中国関連のニュース
このページは、私が気になった中国に関するニュースを個人的にまとめたものです。

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更新日:
 2011年1月9日





















◎ルノー産業スパイ、中国に情報流出か(2011年1月7日、読売新聞)
 【パリ=林路郎】フランスのメディアが6日伝えたところによると、仏自動車大手ルノー社は、日産自動車と共同開発中の電気自動車に関する技術を社外に漏えいした疑いがあるとして、経営陣1人を含む幹部社員3人を無期限の停職処分とした。
 電気自動車の最新技術をめぐる産業スパイ事件と見られ、ルノー社は法的措置を講じる方向だ。フィガロ紙は、ルノー社および仏当局が中国に流出情報が渡った可能性について調査していると報じた。
 内部告発を受け、同社が約5か月にわたって調査を進めていた。3人のうち1人が電気自動車の電池やモーターの開発にかかわっていたとされ、電池やモーターに関する極秘情報が漏れた可能性がある。
 電気自動車部門で世界的リーダーの地位を目指すルノー・日産両社が電気自動車開発に投じた費用は40億ユーロ(約4400億円)に達するという。ルノー社は今年半ばに、電気自動車2モデルを新たに発売する予定になっている。
 エリック・ベッソン産業担当相は、「経済戦争という表現が今回は当てはまる」と事態の深刻さを強調。産業界に「企業秘密の保護強化を求める」と呼びかけ、ルノー社の株式の約15%を保有する仏政府としても事件への対応に乗り出す方針を表明した。

◎中国好景気でマカオのカジノ収入が過去最高(2011年1月4日、読売新聞)
 【香港=槙野健】ロイター通信などは3日、マカオの2010年のカジノ収入が前年比約58%増の約235億ドル(約1兆9100億円)で、過去最高を記録したと伝えた。
 好景気を維持する中国本土からの観光客がカジノで費やす金額が増えたためとみられる。
 マカオは歳入の約7割をカジノに依存しており、06年には、カジノ収入が米ラスベガスを抜いて世界一となった。

◎中国の汚職事件、7年間で24万件(2010年12月30日、読売新聞)
 中国国務院(政府)新聞弁公室は29日、国内で横行する汚職や腐敗の摘発状況などをまとめた初の白書を発表し、検察当局が2003~09年に各地で立件した汚職事件は計24万件以上に達したことを明らかにした。
 白書では、05~09年に土地使用権や鉱山採掘権などに絡む贈収賄事件が計6万9200件以上となり、総額は計165億9000万元(約1990億8000万円)に上るとするデータも公表した。
 胡錦濤政権は来年7月の共産党創設90周年に向けて、国民の不満が強い汚職の摘発を強化する姿勢をアピールしている。

◎中国での賄賂、総額2075億円、05~09年(2010年12月30日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国国務院(政府)は29日、腐敗の摘発などについてまとめた初めての白書「中国の反腐敗と清潔な政治の建設」を発表した。それによると、2005年から09年までの間、土地売却や鉱山開発などの商取引に絡む汚職事件を6万9200件以上摘発。賄賂の総額は約166億元(約2075億円)に達した。
 中国では地方を中心に腐敗が深刻化しており、国民の間で不満が根強い。危機感を抱く共産党は28日の政治局会議で、来年7月の党創立90年へ向けて党員の腐敗取り締まりや綱紀粛正を徹底することを決めている。白書を通じて党や政府の汚職事件への取り組みをアピールする狙いがあるとみられる。
 白書によると、03年から09年までに全国の検察が立件した全汚職事件は24万件を超えた。また、政府の世論調査で「政府の腐敗防止の取り組みに満足している」と答えた人が03年には51.9%だったが、10年には70.6%に上昇したことも記された。

◎花王、中国におむつ工場、50億円投資、12年始動(2010年12月29日、朝日新聞)
 花王は28日、中国安徽省の省都・合肥市に家庭用品の工場を新設し、2012年に始動させると発表した。中国での工場建設は1993年から稼働し、洗剤などを製造している上海工場以来。紙おむつや生理用品などの紙加工製品を生産する。投資額は約50億円。すでに約12万5千平方メートルの用地を確保した。

◎食用キノコ 9割が「蛍光増白剤」で汚染?小学生の調査に当局大慌て(2010年12月25日、スポーツニッポン)
 北京で販売されている食用キノコの9割が漂白剤に汚染されていた―。中国紙が小学生の男子児童(11)による調査結果を報じ、慌てた市当局が「100パーセント近くが安全」と反論する騒ぎがあった。市民の間では「小学生を信じる」との声が圧倒的で、食の安全をめぐる当局への不信感を浮き彫りにしている。
 児童は「食用キノコの一部が漂白剤に汚染されている」という中国紙の報道の真偽を確かめようと、7月にシメジやエノキタケなど16種類のキノコを購入。両親の紹介で大学の研究員らと協力して調べたところ、9割から、食品への添加が禁じられている「蛍光増白剤」が検出された。
 調査結果は11月末、北京紙が大きく報じ、キノコの買い控えが発生。これを受け、北京市の食品安全管理当局が今月初旬、スーパーなどで売られていた132個のキノコを緊急調査し「97.-73%が合格だった」とメディアを通じて公表した。
 しかし、インターネット調査では「児童を信じる」との回答者が約1100人と圧倒的多数を占め「当局を信じる」と答えたのはわずか8人。中国で食の安全をめぐる問題が相次ぐ中、当局への不信感の根強さをうかがわせた。

◎中国:模倣ガンダム?成都の遊園地「オリジナル」と強弁(2010年12月20日、毎日新聞)
 人気アニメ「機動戦士ガンダム」のガンダムにそっくりなロボットの巨大立像が中国四川省成都市の遊園地に登場した。本物と違ってなぜか金色だが、姿形は酷似。著作権侵害の疑いがあり、ガンダムの版権を管理する日本の会社は18日までに調査を始めたが、遊園地は「模倣ではなくオリジナル」と強弁している。
 成都市郊外の遊園地「国色天郷楽園」で、像は高さ15メートルほど。金属枠にナイロン布を張ってつくられ、既にほぼ完成している。夜間は内側からライトアップして像を光らせるようになっており、園によるとクリスマスに向けて半年前から建設を進めていた。
 顔つきや体格、細部もガンダムそっくりで、昨年と今年、東京・お台場や静岡市に登場した高さ18メートルのガンダム像をほうふつとさせる。ガンダムは中国でも一部で高い人気があり、インターネット上で「模倣ではないか」と批判が出ている。
 広報担当者は取材に「ガンダムのまねではなく自分たちでデザインを考えた」と主張しているが、ホームページにはガンダムを指す「高達」と明示されたロボットのイラストも掲載されている。ガンダムの版権を管理する創通(東京)は「事実関係を調査中」としている。
 北京市郊外の遊園地「石景山遊楽園」でも3年前、ミッキーマウスなどに似た着ぐるみが登場、米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーが著作権侵害を訴え出たと報じられた。

◎中国のレアアース輸出、11年も数量枠減、さらに増税(2010年12月20日、朝日新聞)
 【北京=吉岡桂子】中国政府が近く、2011年のレアアースの輸出数量枠を発表する見通しだ。ネオジムなど一部については11年1月から輸出税率を引き上げ、国外への流出を減らそうとしている。日本への荷動きは正常化してきたものの、11年も輸出枠の減少は避けられない見通し。米国など中国外での生産が本格化しそうなのは12年からで、それを待つ11年は、日本企業にとって調達が最も厳しい1年になりそうだ。
 レアアースの輸出枠は08年分は08年1月2日、09年分は前年12月26日、10年分は前年12月31日に中国商務省が正式に発表した。同省は11年について「市場の需給をみながら検討中。できるだけ早く発表する」(姚堅報道官)方針。その量は「(10年よりも)減るが、その幅は大きくない」(陳健同省次官)としている。10年の輸出枠は前年より4割少ない3万トンだったが、実際には9月までに3.2万トンを輸出。そのうち半分が日本向け、19%が米国向けだった。市場関係者の間では、11年の輸出枠は3万トン弱ではないか、とみられている。
 ただ、何度かに分けて発表されることが多く、今年は7月に入って下半期の大幅な削減が判明。日本企業は11年についても全容が判明する時期がいつになるか気をもんでいる。
 中国政府は11年1月1日から一部のレアアースの輸出税を引き上げる。輸出の抑制を狙ってここ数年続いている動きだ。日本の経済産業省などによると、ハイブリッド車の高性能モーターに使うネオジム、塩化ランタンをそれぞれ15%から25%に、レアアース元素を1割以上含む鉄合金を20%から25%に引き上げるなど数品目の課税を強化する。ただ「レアアース全部の品目ではなく、大きな懸念はない」(大畠章宏経済産業相)としている。
 中国政府は環境や資源の保護を理由に、採掘、生産から輸出までの管理を一段と強める方針。レアアースの規制を本格化させた06年に新たな採掘許可証の交付をとりやめ、今年9月からは企業の統合を加速させている。備蓄も近く始める。
 中国はレアアースを用いた製品の生産が自国で増えていることから、資源の枯渇への危機意識を強めている。世界の3割の埋蔵量なのに、安値で輸出することで9割の生産を担っている現状を変えようとしており、「他国の新たな開発を希望する」(姚報道官)という。

◎「自分は負け組」、中国、党・政府幹部の45%が自認(2010年12月6日、産経新聞)
 【北京=川越一】特権階級として一般庶民からの反発が少なくない中国の政府幹部らエリート層の約5割が、自らを「弱勢群体(社会的弱者層)」と受け止めていることが、6日までに明らかになり、中国メディアは「社会の進歩」と揶揄している。
 共産党機関紙、人民日報系の雑誌「人民論壇」がこのほど、党や政府の幹部280人、知識人213人、企業のホワイトカラー325人を対象にアンケートを実施。中でも党・政府幹部の45.1%が「弱勢群体」を自認しているとの調査結果が注目を集めている。
 「弱勢群体」は貧困層や失業者、農民工(出稼ぎ労働者)らの総称。特権を欲しいままにしているとの印象が強い党・政府幹部とは無縁の言葉に見えるが、組織内の地位や職務などの格差が“負け組”意識を生んでいる。
 近年、法制化が進み、インターネットが普及するにつれ、世論の監視が厳しくなっている。問責制度が厳格化され、圧力が増していることも、エリート層の心理に影響を及ぼしている。
 6日付の中国紙、新京報は「時事評論」のコーナーで、「10年前、地方幹部は政府に逆らう“ならず者”を随意に拘束し罰金を科せたが、今、公民権を犯せば、逆に処罰される」と指摘。党・政府幹部の意識の変化を「悪いことではない。特権が弱化し、社会が進歩していることを示している」と分析している。

◎中国で住民千人が病院に抗議、警官隊と衝突(2010年12月6日、読売新聞)
 【香港=槙野健】6日付香港紙・星島日報などによると、中国江蘇省張家港市で5日、市内の病院の患者への対応に抗議する住民約千人が警官隊と衝突、一部住民が負傷した。
 病院は11月28日、風邪と診断した男児(5)に点滴を受けさせたところ容体が急変、まもなく死亡した。この病院では11月19日にも男性患者が点滴を受けた直後に死亡したといい、男児の両親は、地元メディアを通じて病院に説明を求めていた。
 両親が5日に病院で行った追悼式に住民も参加、投石で病院の窓を壊すなどして暴れた。
 病院側は小児科の責任者を一時停職にし、男児が死亡した経緯を調べている。

◎中国で薬物密輸罪、日本人の男に執行猶予つき死刑判決(2010年11月29日、朝日新聞)
 【瀋陽=西村大輔】中国瀋陽市中級人民法院は29日、薬物密輸罪に問われた日本人の男(29)に対し、執行猶予2年の死刑判決を言い渡した。日中関係筋が明らかにした。
 執行猶予付きの死刑判決は、一定期間、服役態度に問題がなければ無期懲役などに減刑されることもある。
 男は今年2月、瀋陽の国際空港で、成田行きの便に搭乗しようとした際、覚せい剤約1キロを所持していた。
 中国当局は薬物犯罪に神経をとがらせており、今年4月、日本人4人に対して日中国交正常化以来初めて死刑を執行するなど、最近では外国人にも例外なく厳しい姿勢で臨んでいる。

◎レアアース工場、壁に「空母となる」、中国・内モンゴル(2010年11月24日、朝日新聞)
 日本への輸入が滞っている中国のレアアース(希土類)の産地に朝日新聞記者が入った。
北京から空路1時間余。内モンゴル自治区の包頭(パオトウ)市は、江西、広東両省など中国南部と並ぶ有数の産地だ。「レアアースの郷(さと)」とも呼ばれている。
 「レアアース企業の先兵として、レアアースの空母となり、富を築き、国家に報いよう」。市内の鉄鋼メーカー、包頭鋼鉄の横にあるレアアース工場の壁には赤ペンキでこう書かれている。
 工場のわきには、レアアースが混じる廃液をためた池があった。いずれ資源化しようとためてあるようだが、国営新華社通信などによると、これがしみ出し、地下水を汚染しているという。池の水面は近くの村の土地より高く、放射性物質が含まれているとの指摘もある。
 近くに住む任さん(42)は「地下水が汚染されている。金持ちから順番に引っ越していった」と話した。任さんも年末までに政府が用意した住宅に移る予定という。
 包頭市中心部から約170キロ北上し、レアアースが眠る鉱山の町、白雲鄂博に着いた。乾いた土に強い風。風力発電の風車が回る。
 レアアースハイテク技術産業開発区やレアアース公園、レアアース国際ホテル。包頭市は特産物の名を冠する施設で目白押しだった。この鉱山の町も、レアアース大通り、レアアース広場住宅、レアアース鉱区銭湯、と同じ調子だ。
 にぎわいから離れて鉱区を探し、工場への道をたずねた。「レアアースがほしいなら人を紹介するよ。一見(いちげん)さんは無理だよ」。バイクにまたがった厳さんは言った。
 中国政府が手を焼く「密輸」は健在らしい。規制をかければ抜け道を探す。厳さんによれば、二つある近くの工場のうち一つは環境への対応が不十分として今年6月、生産停止を迫られたという。
 中国政府は乱立する採掘業者や加工業者を整理・再編し、国内での管理強化を急いでいる。国内業者が密輸出しては安売りに走り、価格を統制できないできたからだ。
 「中東に石油有り、中国にレアアース有り」。この言葉を残したのはトウ小平(トウは登におおざと)氏。そのトウ氏が始めた改革開放策のもと私営企業が乱立し、レアアース産業の「悪性競争」が続くようになったという。
 「中国の管理が乱れていたころ、ある国は安い値段で大量に買っていった。その国には大量の備蓄がある」。温家宝(ウェン・チアパオ)首相は欧州での演説で、名指しを避けたものの、日本などを念頭にこう述べた。
 足元をみられ、日本や米国などに価格の主導権を握られたまま、輸出を続けた悔しさをにじませたものとみられる。
 レアアース規制の出発点はここにある。携帯電話に電気自動車。中国自身もレアアース部品を使う製品を作り始めた。資源を戦略的に使う動きは増し、尖閣事件に絡む「禁輸」は解けても、昔に戻りそうにない。

◎竹製足場に引火?拘束は無資格溶接工ら8人に、53人死亡の上海ビル火災(2010年11月16日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国上海市の中心部にある28階建て教員向け高層住宅で15日午後に大規模な火災が発生した。上海市当局の16日夕の会見によると、53人の死亡が確認されたほか70人以上が負傷し病院で手当てを受けている。死傷者に日本人は含まれていない。
 出火原因として消防当局は、高層住宅の10階部分で外壁の改修工事に使用した溶接の火花が、付近の竹製の足場などに引火して燃え広がったとの見方を示している。公安当局は無資格の溶接工ら容疑者8人の身柄を拘束したと発表した。
 この住宅は教員向けに1990年代に建設された3棟のうちの1棟で、約150世帯が入居していた。
 上海紙、東方早報(電子版)などによると、約1カ月前に始まった改修工事では、作業員がたばこの吸い殻を投げ捨てるなど防災面で問題があり、住民が管理会社に改善を訴えていたが無視されたという。中国では高層ビルの作業現場でも竹製の足場が多用されており、同紙などは今回も竹が火勢を強める要因になったとの見方を伝えている。
 また上海市には地上60メートル以上の高層ビルが約7千棟あるが、高層階に放水が届く消防車の数が少なく、消火活動の初動の遅れが指摘されている。防災や安全管理のずさんさと相まって複合的な原因が、大惨事を引き起こしたとみられる。

◎上海の高層ビル火災の死者53人に、負傷者は70人以上、関係者4人拘束(2010年11月16日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国上海市の中心部にある28階建ての教員向け高層住宅で15日午後に発生した火災により、16日午前までに53人が死亡した。70人以上が負傷し、病院で手当てを受けている。中国中央テレビによると、地元当局は、違法な溶接工事が出火原因だとして関係者4人を拘束、取り調べている。
 地元の東方早報(電子版)などによると、リフォーム工事は約1カ月前から始まった。一部の住民は当初から、「作業員がたばこの吸い殻を投げ捨てたり、可燃性建築資材が積み上げられたりしており、防災面に問題がある」とビル管理会社に訴えたが、無視され続けたという。
 火災発生から鎮火まで5時間以上もかかり、救出作業が難航したことについては、消防局の設備不足を指摘する声もある。火災発生直後、約70台の消防車が駆け付けたが、水が高層に届かない消防車もあったという。
 瀋陽市消防局の陳軍高級工程師は中国メディアに対し、「今の中国各地の消防局の装備には限界があり、50メートル以上のビルの火災になると対応が難しい。ビル内部に備えてあるはずの消防設備も、いざというときには使いにくいという現実もある」と述べ、中国の消防システムは都市建設の速さに追い付いていないことを指摘した。

◎地上の資材から出火? 上海の高層住宅火災で本格捜査始まる(2010年11月16日、産経新聞)
 中国上海市中心部にある28階建て教員向け高層住宅で42人が死亡した大規模火災で、上海市当局は16日、火元の特定を進めるとともに出火原因や延焼の拡大を阻止できなかった要因などについて本格的な捜査を開始した。
 中国の一部メディアは、高層住宅周辺の地上に置かれた資材から出火、外壁工事などのために組まれた足場伝いに燃え広がったとの目撃情報を報道。一方で初期段階で15階から20階付近が最も激しく燃えていたとの目撃証言もあり、当局は慎重に調べを進めているもようだ。
 孟建柱国務委員兼公安相が、陣頭指揮を執るため上海入りする予定。高層ビルが林立する中国最大の経済都市、上海で発生した大惨事への対応に中央政府も神経をとがらせている。
 高層住宅には150余りの世帯が入居。退職した高齢者も多数住んでいた。

◎上海で高層住宅火災、42人死亡、鎮火に5時間(2010年11月16日、産経新聞)
 中国上海市中心部にある28階建ての教員向け高層住宅で15日午後、火災が発生し、中国メディアによると、42人が死亡した。火の回りが早く消火活動は難航し、住宅の大部分が焼け、鎮火に約5時間かかった。
 上海の日本総領事館によると、死傷者に日本人がいるとの情報は入っていない。
 中国の通信社、中国新聞社などによると、1990年代に建設された住宅で、15階から20階付近が最も激しく燃えた。さらに上下の階でも火勢が強まり、断続的に炎が上がって、住宅全体が煙に包まれた。約70台の消防車が出動し、救出活動にヘリコプターも投入した。
 住宅には退職した高齢の教員も多く住んでいる。現場付近は数百メートル離れた場所から交通が規制され、帰宅ラッシュの時間に重なったため、渋滞が発生。やじ馬も集まり、混乱した。

◎「中国最大規模」レアアース泥棒御用、被害3600万円(2010年11月12日、朝日新聞)
 【北京=林望】中国国営新華社のニュースサイトは10日、中国内モンゴル自治区の警察当局がこのほど、地元企業が保有するレアアース(希土類)300トン余りを盗んだ疑いで容疑者8人を逮捕したと報じた。被害金額は300万元(約3600万円)を超え、レアアース窃盗事件としては「中国最大規模」。近年、レアアースの価格が高騰し、同様の事件が相次いでいるという。
 被害に遭ったのは、「レアアースの都」と言われる包頭市にある「包鋼稀土高科技股●有限公司(●はにんべんに分)」。同自治区のレアアース資源を独占的に管理販売し、戦略的な備蓄の機能も担っているという。
 当局の調べでは、鉄鉱石の精製会社の経営者が「包鋼」社の従業員らと結託し、レアアースを100回以上にわたって盗み出し、同自治区内の別のレアアース製錬会社に売っていた。
 同市内では10月末にも、重機を使ってレアアースを盗んだ5人組が逮捕されるなど窃盗事件が続発。新華社は、政府が効率の悪い生産企業を統廃合したため生産量が落ち、値段が高騰していることが背景にあるとしている。

◎英国、中国のイチャモン受け付けず、ケシの花めぐる“歴史摩擦”(2010年11月11日、産経新聞)
 訪中しているキャメロン英首相ら英政府代表団が、胸に赤いポピー(ケシ)の花を付けていることに、中国側が「その花は不適切。アヘン戦争を思わせる」とクレームを付けた。アヘンの原料となるケシが、清朝が英軍に敗れたアヘン戦争(1840~42年)を連想させるためだ。10日付英各紙が報じた。
 ポピーは第一次世界大戦の戦死兵への敬意を示すため、英国では11日の休戦記念日を中心に身に着けるのが習わし。同じ花をめぐり、異なる記憶が摩擦を生んだ形だが、英側はクレームを受け付けず、公式行事を続けた。
 第一次大戦での英国の戦死者は90万人ともいわれる。英政府当局者は「ポピーの花はわれわれにとって大変重要な意味があり、身に着け続けると(中国側に)伝えた」と話した。

◎人民元基準値、2日連続で最高値更新(2010年11月11日、読売新聞)
 【ソウル=幸内康】中国人民銀行(中央銀行)は11日、人民元相場の基準値を1ドル=6.6242元に設定した。
 前日の基準値に比べて0.31%の元高・ドル安で、2005年7月以来の最高値を2日連続で更新した。
 11日午後に韓国・ソウルで開催される主要20か国・地域(G20)首脳会議(サミット)を前に、人民元高を容認する姿勢を示し、各国からの圧力をかわすねらいがあるとみられる。

◎アジア大会:広州の地下鉄巡り混乱、一時無料で乗客殺到(2010年11月9日、毎日新聞)
 【広州・芳賀竜也】12日から広州アジア大会が始まる当地で、市内を網羅する地下鉄(1~8号線)を巡り、混乱が相次いだ。広州市は当初、道路の渋滞緩和を目的に、今月1日から平日の地下鉄運賃を無料化。ところが市民が地下鉄に殺到し、終日ラッシュアワー状態になった。このため、市当局は8日から有料へ戻す羽目になった。市民から批判が集まるかと思いきや、現地では市の判断に称賛の声が上がっている。
 人口約1000万の広州は車社会で、大会期間中は交通渋滞が心配されていた。そのため、08年北京五輪と同様、今月1日からナンバーの末尾が奇数か偶数かによる通行規制を実施。その代替措置として、平日の地下鉄と路線バスなど公共交通機関を、12月中旬まで無料化するとした。五輪などで大会関係者に公共交通機関を無料で利用してもらうケースはあるが、市民にまで適用範囲を広げるのは異例。「大盤振る舞いの英断」のはずだった。
 ところが、無料化スタートと同時に乗客が殺到。地元紙によると、6割の電車で車両定員を超え、通勤ラッシュの乗車は30分待ち。ピークの3日には乗客数は784万人を記録し、これまでの“国内記録”とされる上海万博中の754万8000人(10月22日)を上回った。「無料期間」の1~5日で計3877万人が乗車したという。
 翌6日の土曜日に有料になると、乗客は激減。同日、市当局は「安全確保に問題がある」として一転、平日の無料化を撤回した。市民には「交通手当」として1家族150元(約1800円)を支給することも表明した。
その結果、有料に戻した8日は、無料化初日より361万人少ない420万人と乗客が大幅に減った。
 広州の日刊紙、新快報は8日付の解説記事で「市政府は『朝令暮改』と言われるリスクを背負ってまで、庶民たちの意向をくんでくれた。自分のメンツをつぶされることに遠慮しない、素晴らしい決断だ」とたたえている。

◎中国の環境対策が裏目、電力供給制限で自家発電が急増、軽油不足深刻に(2010年11月8日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国各地のガソリンスタンドが深刻な軽油不足に陥っている。ただしガソリンは十分にある。どうしてこんな現象が起きたのか。各地方政府が環境保護に向け電力供給を制限した結果、企業が軽油を燃料とする自家用発電機を使用するようになったためのようだ。
 中国紙、京華時報によると、江蘇省南京市や浙江省杭州市などでは、給油を待つトラックの長蛇の列が数キロにもおよび、1回の給油は100元(約1200円)まで、と制限するスタンドも現れた。
 中国商業連合石油流通委員会のまとめによると、11月6日までに中国南部では、2千以上のガソリンスタンドが軽油の販売を停止した。北京、大連など北部でも深刻な軽油不足に陥り、多くのスタンドは販売制限などの対策を取り始めた。トラックを使えなくなったため、営業中止に追い込まれた運輸会社も少なくないという。
 大手石油企業、中国石油化工の幹部は中国メディアの取材に対し、「各地方政府が工場への電力供給を制限したことにより、企業が軽油を燃料とする自家用発電機を使用するようなったことが原因」と分析している。
 今年は、環境保護対策を含む第11次5カ年計画(2006~10)の最後の年に当たる。電気使用量を中央政府が規定した目標以内に抑えなければ、地方指導者は管理責任を問われることもあることから、年末が近づくにつれ、各地方政府は電力供給量を極端に減らすようになった。
 浙江省温州市では、住民生活と直結しない製造業の工場に対する電力提供を5日に1回、8時間のみに制限したと報道されている。
 各企業は生産を継続するため、相次いで自家用発電機を購入し、それに伴って軽油の需要が急増したわけだ。自家発電の量は統計に表れないことから、いわば使い放題。しかも、自家発電は発電所で電力を生産するよりも効率が悪いといわれる。地方政府が省エネ目標を達成するために、自家発電で環境にさらに重い負担をかけているのが実態だ。

◎中国、反日デモ取り締まり強化通達、政府批判に発展警戒(2010年10月25日、朝日新聞)
 【重慶=峯村健司】中国各地の反日デモをめぐり、中国公安省が四川省成都などで16日に最初のデモが起きた直後、「デモは違法行為であり厳格に取り締まるように」とする内部通達を各地方政府や大学当局に出していたことがわかった。広がる格差や腐敗問題に不満を持つ市民らがデモに参加し、政府批判に変わりかねないとの危機感を抱いたとみられる。
 複数の中国筋が明らかにした。16日のデモについては地元当局が承認しており、国営の新華社通信も報道していた。だが、一部が暴徒化して日系スーパーの店舗や日本メーカー製の車両を破壊するなどしたため、強硬姿勢に転換したとみられる。
 中国筋によると、公安省は16日夜、全国の大学当局に対し、学生らを自由に外出させないように指示をした。デモの参加者の多くが大学生だったため、翌17日の日曜日にデモが起きるのを未然に防ぐ狙いがあったとされる。
 さらに、17日には各地の公安当局に対して、反日デモについて「違法行為だ」と明示し、店や車両の破壊などの違法行為があった場合は粛々と処罰するように定めた内部通達を出した。当局はこれを受けてデモ規制を強化。各地でデモ予告が出ていた23、24日の週末もデモの集合場所とされた広場や日本総領事館前に大量の治安部隊を投入、多くの都市でデモの発生を抑え込んだ。
 中国政府がデモに厳しい姿勢を取り始めた背景には、対日関係に改善の機運が出ていることに加え、深刻化する就職難や物価高騰などに不満を持つ市民が反日デモに乗じて抗議活動をし、反政府運動に発展することへの警戒があったという。一部のデモには、中国政府が「邪教」と断じた気功集団の「法輪功」が関与しているとの情報が公安当局に入り、危機感が強まった。
 ただ、当局はネットの掲示板などにあるデモの呼びかけを削除するなどの予防措置も取っているが、散発的なデモは抑え切れていない。特に地方の中小都市の場合は、武装警察などの治安部隊の人数が十分ではなく、統制できないケースが続いている。このため、中国政府関係者からは「これ以上広がれば社会不安につながりかねない」と警戒の声が出ている。

◎「腐敗反対」「住宅高騰抑制しろ」中国反日デモに政府批判も(2010年10月24日、産経新聞)
 中国の甘粛省蘭州市と陝西省宝鶏市で24日、それぞれ数百~1000人規模の反日デモがあり、若者らが「釣魚島(尖閣諸島)を守れ」「日本製品ボイコット」などと叫んで市内を行進した。両市ともインターネットで事前にデモが呼び掛けられていた。
 宝鶏のデモでは参加者が反日スローガンを叫ぶ一方で「官僚腐敗に反対」「住宅価格高騰を抑制しろ」などと政府批判の横断幕も掲げており、中国で深刻化している収入格差の拡大や汚職への不満が強いことをあらためて裏付けた。
 ネットで24日の反日デモが呼び掛けられていたのは蘭州、宝鶏のほか江蘇省南京市、湖南省長沙市、湖北省武漢市など。中国当局は反日デモが拡大すれば政府批判や社会不安が広がるのは必至とみて、呼び掛けがあった都市や北京の日本大使館、各地の日本総領事館周辺で引き続き警備を強化していた。

◎中国・蘭州で反日デモ、1時間で解散させられる(2010年10月24日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国甘粛省蘭州で24日午前、日本への抗議デモがあった。住民の目撃情報によると、100人以上の若者らが市中心部の東方紅広場から「日本製品ボイコット」などと書いた日の丸を手に行進を始めたが、1時間ほどで治安当局に解散させられた。また、陝西省宝鶏市でも多数の若者が反日デモを行ったという。
 23日には四川省徳陽で反日デモが起きていた。中国当局はデモを封じ込めようと厳戒態勢で臨んでおり、インターネット上で呼びかけがあった江蘇省南京などでは24日夕までデモ発生は伝えられていない。

◎出産の半数が帝王切開、病院が収入増狙いか? 脅される妊婦も、中国上海(2010年10月22日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国の上海市では、産婦人科での出産の約54%が帝王切開であることが、保健所の調べで分かった。上海紙、新聞晨報によると、世界保健機関(WHO)が推奨する帝王切開での出産率15%を大きく上回っており、中国全体でも飛び抜けて高い比率だという。
 上海市で極端に帝王切開が多い背景には、出産費用が自然分娩(ぶんべん)に比べて約2倍かかるため、収入増を当て込んだ病院側の「ビジネス姿勢」があるとみられている。中国婦人子供保健協会では、「上海の一部の病院は巧みに妊婦を帝王切開に誘導して、妊婦に決断させている」と指摘する。
 上海市内の産婦人科で出産経験のある女性は「分娩直前になって産婦人科医から『あなたは骨盤が小さいので自然分娩は困難だ。自然分娩だと激しい痛みから逃れられない』と脅された」と、今では不本意な様子。
 多くの産婦人科は慢性的な人不足で、出産日時や産気づいてから赤ちゃんが出てくるまでの時間の読めない自然分娩は、商売上、効率が悪いと考えているフシがあるという。

◎反日デモ、当初は当局承認、ネットで勢い拡大、統制失う(2010年10月22日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国四川省成都など3都市で起きた16日の反日デモについて、地元政府当局が事前に承認していたことがわかった。中国政府関係者が明らかにした。だが、インターネットなどで広がったデモの勢いは当局の想定を超え、承認していない都市にも飛び火するなど統制を失ったという。
 中国では、デモは事前に地元当局に申請して承認を受ける必要があり、3都市では今回、数日前に承認されていたという。成都でのデモは、申請したのは100人前後の大学生らだったという。
 申請を認めた背景には、デモを通じて日本への不満を表明する狙いがあったという。中国政府は尖閣諸島沖の漁船衝突事件で悪化した日中関係の修復に動き始めていたが、前原誠司外相は尖閣諸島の領有権について「1ミリとも譲る気持ちはない」などと発言。16日には日本で中国大使館を包囲しようという反中デモの計画もあり、中国側には「日本側に改善の姿勢が見られない」と映ったという。
 だが、いったん火がついた反日デモはインターネットや携帯電話を通じて拡大。成都では参加者が1万人以上に膨れあがり、店のガラスを割るなどの破壊行為に発展したため、取り締まりに乗り出した。
 また、17日以降に起きた四川省綿陽や湖北省武漢などのデモは、事前に認められていなかったという。この関係者は「想定外だった」といい、中国メディアは一切報じていない。また、別の中国政府関係者も「ここまで広がるとは思わなかった」と明かしている。

◎北京市中心部の地下鉄駅付近で爆発、通行人1人けが(2010年10月21日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の新華社通信によると、北京市中心部の地下鉄環状線の「東直門」駅付近で21日午後3時(日本時間同4時)すぎ、爆発があり、近くを通り掛かった米国人1人が足に軽いけがをした。治安当局が一帯を封鎖し、爆発原因などを調べている。北京の日本大使館によると、日本人が負傷したとの情報はないという。
 爆発を目撃した男性が朝日新聞に語ったところでは、現場は商業ビルが立ち並ぶ繁華街の大通りに面した新聞スタンドの裏の植え込み。爆発で土や草が吹き飛び、歩道を歩いていた男性にぶつかったという。現場から十数メートル離れたビルの中にいた女性は「ドンという激しい爆発音を耳にした。外に出ると白い煙が高く立ちこめていた」と話した。
 夜になっても周囲には警戒線が張られ、警察官らの現場検証が続いた。多数の見物人らが集まっており、一部では混乱も起きている。

◎「レアアースの密輸が横行」、中国で報道(2010年10月12日、朝日新聞)
 【北京=吉岡桂子】中国でレアアース(希土類)の密輸が横行している。厳格な通関検査は「密輸対策」ともとれる記事を中国メディアが相次いで伝えている。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件以降、日本への輸出が滞っている問題で、日本は通関手続きの改善を求めている。
 「毎年2万トン以上が密輸されている」。雑誌『瞭望』(10月11日号)が政府や企業関係者の話として報じた。
 9日付中国経営報電子版によると、2009年は正常な輸出枠が5万トンで、密輸は2万トンだったという。レアアースの国際価格が上昇するなかで、中国政府は環境保護などを理由に輸出を制限。輸出枠を減らされた企業が密輸に走っている、と指摘した。
 また、第一財経日報電子版も9月末、「米国への密輸が最も多い」とする企業関係者の話を伝えた。
 尖閣事件後に発生した日本へのレアアースの「禁輸」問題については、「中国が資源を外交のかけひきに使った」として欧米でも批判が出た。相次ぐ「密輸報道」は、国際社会の疑念や日本が問題視する通関の厳格化に対する「反論」ともとれそうだ。

◎中国で食中毒、1人死亡42人入院、許容量数百倍の亜硝酸塩(2010年10月11日、産経新聞)
 新華社電によると、中国四川省の衛生当局は11日、同省カンゼ・チベット族自治州瀘定県のホテルで8日に食中毒が発生、1人が死亡、42人が入院して手当てを受けたことを明らかにした。患者らが食べた朝食から許容量の数百倍の亜硝酸塩が検出され、警察は調理師が食品添加物の亜硝酸塩を塩と間違えたとみて調べている。
 衛生当局によると、ホテルの朝食に出されためん類などの食品から、最高で1キロ当たり11・3グラムの亜硝酸塩が検出された。中国国内では、許容量は1キロ当たり20~50ミリグラム以下などの基準があるという。朝食だったため患者らの食事の量が少なかったが、昼食や夕食だったら被害がさらに拡大したとの指摘も出ている。

◎中国長者番付、トップは資産1兆円、飲料大手創業者(2010年10月4日、朝日新聞)
 【北京=吉岡桂子】中国の民間調査機関「胡潤百富」が発表した2010年の中国の長者番付によると、首位は「飲料大王」と呼ばれる宋慶後・杭州娃哈哈(ワハハ)会長(65)一家で、推定資産は800億元(約1兆円)だった。6年前に1人だけだった100億元(1200億円)を上回る資産家は、200人に膨らんだ。
 宋氏は20年足らずで同社を中国最大級の飲料会社に育てた実質的な創業者。妻や娘とともに同社の株式を大量に保有する。
 数年前に仏食品大手ダノンとワハハの商標権をめぐって対立。09年に合弁を解消するまで、「中国は外資を引き込む政策を改めるべきだ」と、外国企業へ攻撃的な発言を繰り返し、民族意識が旺盛な企業家としても知られる。
 番付の対象とした10億元以上の資産家は1363人で、平均年齢は51歳。不動産や鉱業を営む人が多いという。09年の長者番付首位だった電池・自動車メーカー比亜迪汽車(BYD)の王伝福総裁は今年、今回公表となった5位以内に入らなかった。

◎中国の梅毒患者、10年で4倍に、「予防教育が不足していた」と衛生省(2010年10月2日、産経新聞)
 中国衛生省は21日、梅毒の患者数が10年間で4倍に急増しているとして、エイズとともに感染拡大防止を図る2020年までの10年計画を発表した。
 梅毒の感染例は1999年に約8万件だったが、09年に約32万7千件に達した。衛生省は「感染予防教育が不足していた」とし、青少年らを対象に梅毒予防の啓発活動を展開する。

◎三菱化学、LiB負極材を中国で生産(2010年10月1日、化学工業日報)
 三菱化学は30日、リチウムイオン2次電池(LiB)用負極材を中国で生産すると発表した。10月に現地製造販売会社を設立、約20億円を投資し年産能力4000トンの設備を建設する。2012年3月から営業運転を開始する。新会社の名称は青島雅能都化成(仮称)。山東省青島市平度市に置く。資本金は9230万元(約12億円)で、三菱化学の100%出資。新会社は、三菱化学が出資している球形化黒鉛製造合弁会社である青島菱達化成との隣接地に設立され、原料から製品負極材まで一貫した製造体制が整う。三菱化学の負極材製造設備は坂出事業所にあり、現有3000トンに加え、10年12月と11年5月に完成する2度の増強で7000トンになる。今回の中国設備の完成で、12年3月には1万1000トンに達することになる。15年までに3万5000トンに増強する計画。

◎中国4都市で反日デモ、当局厳戒、破壊行為なし(2010年9月19日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から79年の18日、中国本土では、尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件をめぐって、北京、上海、広東省深セン、遼寧省瀋陽の少なくとも四つの大都市で対日抗議行動があった。(深センの「セン」は土へんに「川」)
 これほど大規模な反日デモは2005年以来。民衆の暴走を恐れる共産党政権は全国で厳戒態勢を敷き、同日夜現在、日本の公館などへの破壊行為は確認されていない。
 北京の日本大使館前には、道路を封鎖して「抗議区域」が設置され、終日、若者らのグループが「日本は釣魚島から出て行け」などと反日スローガンを叫んだ。

◎北京で100人、反日デモ、漁船衝突事件に抗議(2010年9月18日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬、上海=加藤隆則】満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から79年の18日、北京の日本大使館や上海、瀋陽の総領事館前のほか、広東省深セン市内などでも、公安当局による厳戒態勢の中、尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件をめぐる抗議行動が行われた。
 公安車両20台以上が配置された日本大使館近くには、午前9時(日本時間同10時)ごろ、「くたばれ、日本」などと書かれたプラカードをもつ若者3人が到着。その後集まって来た約50人が「(漁船の)船長を返せ」「日本製品ボイコット」などと気勢をあげた。手製の日本国旗を踏みにじる者もいた。続いて約100人がデモ行進を始めた。行進は正午(同午後1時)ごろ、公安当局に解散させられた。

◎中国、デモ拡大警戒、柳条湖事件79周年、ネットも規制(2010年9月18日、朝日新聞)
 満州事変勃発(ぼっぱつ)のきっかけとなった柳条湖事件の79周年にあたる18日、北京の日本大使館や上海などの総領事館の周辺では、尖閣諸島沖で起きた中国の漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件への抗議活動があった。中国当局は周辺を厳重に警備し、デモの拡大を封じる態勢を取っている。
 日本大使館前には同日午前、100人近くが集結。事件で逮捕された中国人船長の早期解放や尖閣諸島に対する中国の領有権、日本製品の不買運動を訴えるシュプレヒコールをあげたあと、警官らに囲まれながら市内でデモ行進を行った。上海総領事館前では、二十数人が「船長を早く帰せ」などと書いた横断幕を掲げ、数人が警察に連行された。広東省深セン(センは土へんに川)では100人余りがデモ行進し、遼寧省瀋陽の総領事館前でも数人が抗議活動をした。
 ただ、中国当局は2005年に起きた大規模な反日デモの再発を阻止するため、日本大使館や各総領事館を前夜から厳重に警戒。18日午前には大使館の周辺道路に100台を超える警備車両を配置し、05年に北京でのデモの出発点となった中関村にも多数の人員と車両が配置された。
 上海の日本総領事館前の道路は朝から通行止めにされ、デモ発生時に道路を封鎖するためのコンテナも数多く運び込まれた。上海万博の日本関連施設の警備も強化した。
 中国当局は、反日デモが統制不能になることを警戒。国内メディアに対し、国営新華社通信の配信以外の報道を規制し、ネット上の主要な反日サイトも検索できないようにされている。

◎中国、ダニ感染症死者33人(2010年9月12日、毎日新聞)
 中国メディアは11日、ダニが原因とみられる感染症のため山東省で11人、江蘇省で4人が死亡したと伝えた。河南省では既に18人の死亡が報告されており、3省だけで死者は計33人となった。
 発熱とともに白血球や血小板の減少を伴うのが特徴で、山東省では08年から報告されているという。具体的な原因は不明で、衛生省が河南省などに専門家を派遣して調べている。

◎ダニに刺され18人死亡、特徴は発熱や血小板減少、中国河南省(2010年9月9日、産経新聞)
 9日付の中国紙、新京報などによると、河南省衛生庁は8日、2007年5月から今月8日にかけ、ダニに刺された557人が発病し、18人が死亡したと発表した。発熱や血小板減少などが特徴で、ダニが何らかの病原を媒介したとみられる。衛生当局が病因を調査している。
 同様の症例は安徽省など各地で報告されているが、北京ではここ十数年、報告されていないという。

◎富士フイルム、中国で化粧品のネット通販開始(2010年9月6日、産経新聞)
 富士フイルムは6日、美白・エイジングケア用化粧品「ASTALIFT(アスタリフト)」シリーズを中国で販売すると発表した。20~30代の富裕層の若者をターゲットに現地通販サイトなどでプロモーション活動を行う。
 中国での輸入・販売は富士フイルムの100%出資子会社の富士フイルム中国が担当。16日から中国最大の通販サイト「淘宝商城(タオバオ・モール)」での販売を始めるほか、自社の通販サイトも立ち上げて販売を拡大する。
 また、香港地域では対面販売の店舗を9月中に開設。年末には第2号店を出し、現地だけでなく、観光客の需要も喚起して世界でアスタリフトブランドの浸透を図る。
 富士フイルムはフィルム事業で培ったナノテクノロジー技術などを生かし、4年前に化粧品事業に参入した。海外での販売は中国が初めてで、今後は肌質が似ているアジアを中心に海外展開を検討している。

◎中国、北極の資源に狙い、開発準備着々と(2010年9月4日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国が北極の開発に向け、着々と準備を進めている。
 中国は北極に眠る資源を将来の成長戦略の要ととらえており、獲得競争に向け足がかりを築く狙いだ。
 新華社通信によると、中国の北極科学調査チームが8月31日、北極圏での約40日にわたる調査を終えた。調査は4回目で、発表によると、アラスカ沖のボーフォート海やベーリング海など130か所あまりで海氷データを収集し生態系を調べた。ただし北極における中国の最大の関心は資源開発であり、並行して資源探査も行った模様だ。
 北極の海底にある原油や天然ガスは世界全体の埋蔵量の4分の1を占めるとされ、金やウランなどの鉱物資源も多い。中国は北極と南極の資源を「21世紀後半から22世紀にかけての経済成長を支える重要資源」(中国筋)と位置づけており、中国海軍の尹卓・少将は中国メディアに「中国が北極海開発の一角を占めるのは当然だ」と明言している。

◎中国で「有田焼」の名称使えないわけは?(2010年8月31日、読売新聞)
 佐賀県は30日、中国で「有田焼」が商標登録され、有田焼の名称が使えない状況になっていることを明らかにした。
 県などは9月30日~10月6日、上海万博にあわせた物産展を現地の百貨店で開催するが、苦肉の策として「日本有田産」「ARITA-CERAMICS(セラミックス)-JAPAN」と表すことにした。
 県流通課によると物産展は、上海梅龍鎮伊勢丹で開催。有田焼のほか、ノリ、ようかん、酒類、飲料などの12企業が出店する。中国では以前に「佐賀」の地名などが登録されていたこともあるため、県は6月、日本の特許庁にあたる中国商標局ホームページを調べた。
 その結果、福建省の住民が、2002年11月に家庭用食器やコップ、陶器などに有田焼の名称を使うことを出願し、04年11月から10年間の期限で商標登録していたという。
 県は、出展する有田焼商社6社と協議し、有田焼という言葉は使わずに産地を表示したり、英語で表記したりすることにした。今後、有田町や業界団体との間で、不服申し立てなどを検討する。県流通課は「中国では当面、知恵を絞ってPRしていくしかない」と困惑している。

◎中国土石流:砂防ダム手抜き工事疑惑など人災批判(2010年8月24日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で1800人近い死者・行方不明者を出した土石流災害は、現場に設けられていた砂防ダムの手抜き工事疑惑など人災批判が出ている。温家宝首相は21、22の両日、再び被災地を訪れ、科学的な計画を立案して復興を進めるよう指示し、人災批判の高まりを警戒している模様だ。
 23日付の中国紙、中国経済時報(電子版)は被災地の現場ルポを掲載。同省地質災害応急センターの黎志恒主任が「砂防ダム7基が土石流を遮った。3基は破壊されたが、一定の効果はあった」と記者に説明したことを紹介し、その上で詳細に反論した。
 同紙記者は、土石流で破壊された砂防ダムは少なくとも説明の2倍の6基あり、壊れたダムを調べると、セメントは外側だけで内側が小石や砂だったことを確認。「手抜き工事だ」と憤る被災者の声を伝えている。
 中国国内メディアが大規模災害で当局批判を大きく報じるのは極めて異例だ。9万人近い死者・行方不明者を出した四川大地震(08年5月)でも、遺族らが小中学校や病院の手抜き工事を指摘したが、中国主要メディアは黙殺した。
 23日付の香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストも被災地を調査した中国科学院の陳寧生教授の分析として、砂防ダムは土石流を防ぐための強度が不足していたと報じた。国内メディアはこの分析を詳しく報じていないが、温首相ら政府首脳には報告されている模様だ。
 被災地を再訪した温首相は被災者の救援活動と危険住宅の撤去など2次災害を防ぐよう指示した上で「さらに複雑で重大な任務は、科学的な計画と合理的な配置の上に立派な郷土を再建することだ」と強調。砂防ダムなどの防災施設が合理的に造られていなかったことを示唆した。

◎中国:死刑適用罪名55種類に削減へ、刑法改正案を審議(2010年8月24日、毎日新聞)
 【北京・成沢健一】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は23日、死刑適用罪名を68種類から13種類削減することなどを盛り込んだ刑法改正案の審議に入った。「死刑執行件数が世界で最も多い」との国際的な批判をかわす狙いがあるとみられるが、削減対象の罪名は現在でも死刑が執行されるケースは極めて少ないとの指摘もあり、影響は限定的なものになりそうだ。
 新華社通信などによると、削減対象となるのは密輸や偽造など経済犯罪が中心で、窃盗、文化財盗掘も対象から外す方針。国民の不満が大きい汚職や麻薬関連の犯罪は死刑適用対象から除外されない。常務委法制工作員会の責任者は「中国の刑罰は運用面で死刑偏重という問題が存在している。一部の経済犯罪は死刑を適用しなくても、社会の安定に悪影響を及ぼすことはない」と話した。
 また、改正案では75歳以上の高齢者に死刑を適用せず、有期懲役の上限を現行の20年から25年に引き上げる。執行猶予付きの死刑判決についても、殺人や強盗などの暴力犯罪は2年後に無期または20年の懲役に減刑した後は、再度の減刑を認めないとしている。中国メディアは、79年に制定された現行刑法で死刑の適用罪名が削減されるのは初めてで、07年から続く死刑制度改革の進展と伝えている。
 改正案では新たに酒酔いや暴走による危険運転、意図的な給与未払い、臓器売買なども刑法犯として処罰対象とすることを盛り込んだ。飲酒運転はこれまで道路交通安全法の取り締まり対象となっていたが、拘留や罰金などの軽い刑しか定められていなかった。具体的な刑罰は明らかにされていないが、罪状によっては懲役刑が科される。
 一方、給与未払いによる労働者と経営者のトラブルは全国で相次いでおり、悪質な給与未払いを刑法犯として扱うことで、労働者の権利を守る狙いがあるとみられる。改正案では、支払い能力がありながら財産移転や逃避などで労働報酬を支払わなかった場合、3年以下の懲役とし、結果が重大な場合は3年以上7年以下の懲役としている。
 臓器売買について改正案は5年以下の懲役とし、罪状が重大な場合は5年以上の懲役と規定している。本人や親族の同意を得ずに臓器を摘出する行為も処罰対象とした。07年に施行した臓器移植条例は臓器売買を禁止しているが、ドナー不足からその後も臓器売買が広がっており、臓器売買仲介に絡み日本人が摘発されたケースもあった。

◎中国移動が2年連続トップ、中国国有企業の利益総額(2010年8月22日、産経新聞)
 21日付の中国紙、新京報によると中国政府の国有資産監督管理委員会は20日、大手国有企業108社の2009年度の経営状況を発表、利益総額は携帯電話最大手の中国移動通信が1484億元(約1兆9千億円)でトップだった。
 中国では携帯電話市場の急速な拡大が続いており、08年度も中国移動が1458億元で首位だった。
 09年度の2~4位は国有石油大手の中国石油天然ガス、中国石油化工、中国海洋石油、5位は石炭最大手の神華集団でいずれも資源・エネルギー関連企業。上位5社で全体の利益総額の56%を占めた。

◎中朝国境の鴨緑江氾濫、4人死亡、6万人避難(2010年8月22日、読売新聞)
 【丹東(中国遼寧省)=比嘉清太】中朝国境地帯で19日から21日にかけて大雨が降り、21日、国境を流れる鴨緑江が氾濫した。新華社電によると、遼寧省丹東では市民約6万4000人が避難し、対岸の北朝鮮・新義州一帯でも農地が冠水。北朝鮮での食料不足に拍車がかかる恐れや、北朝鮮が進めている国境地帯での投資計画に影響が及ぶ可能性がある。
 丹東では住宅230棟が倒壊、土石流で4人が死亡した。地元住民によると鴨緑江沿いの道路が水没し、数十キロにわたり封鎖されたほか、電気や通信が止まった。
 朝鮮通信によると、新義州一帯でも、21日の300ミリを超す雨で、鴨緑江の水があふれ、「住宅と公共建物、農耕地が全面的に浸水した」という。
 鴨緑江に浮かぶ威化島も21日午前、ほぼ水没した。北朝鮮は島で中国の協力を得て投資計画を進めており、ホテルや工業団地をつくる構想とされるが、「計画停滞につながりかねない」(中朝関係筋)との指摘が出ている。

◎中国:北朝鮮「謝罪」で幕引き、不明機墜落(2010年8月20日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国遼寧省撫順県の国籍不明機墜落事故は、国営・新華社通信が19日、北朝鮮軍用機の故障によるもので、北朝鮮が謝罪したと報じ、発生から3日で事実上、幕が引かれた。中国が情報開示に踏み切り、事故処理を急ぐ背景には、朝鮮半島情勢の緊張を高めたくないという思惑がありそうだ。
 事故が起きた17日に平壌を訪れていた中国の武大偉朝鮮半島問題特別代表は20日、訪中した加藤紘一・自民党元幹事長に「訓練中の事故で墜落したとみられる。中国側の巻き添えはなかった」と語った。
 朝鮮半島情勢は、今年3月の韓国哨戒艦沈没事件や対抗措置である米韓合同演習、さらに演習に対する北朝鮮や中国の反発もあり緊張が高まっている。一方、墜落現場は北朝鮮国境から約200キロと近く、事故直後から「偵察」「脱北」などと憶測を招いた。
 中国国防大学の韓旭東教授は20日付の中国紙・環球時報に寄稿し、「墜落事件を騒ぎ立て、北東アジアの軍事情勢をさらに悪化させるべきではない。調査結果を適切に公表することは有益だ」と訴えた。
 中国側が情報開示に踏み切った背景には中国の国内事情もありそうだ。ネット上には墜落機の写真や目撃情報が流れ、国籍不明機の侵入を許した中国軍の防空能力を問題視する意見が相次いだからだ。
 これに対し、韓教授は「北朝鮮機は最新鋭機ではなかった。防空レーダーで判別できるため、作戦命令を出すような緊迫した状況ではなかったと推測できる」と釈明している。
 だが、新華社通信は墜落した北朝鮮機と中国管制当局のやりとりの有無など重要な情報を報じていない。中国のネット上には「北朝鮮要人が乗っていた」などと未確認情報が流れ、なお疑問が残されている。

◎パナソニック:上海のプラズマパネル工場、生産能力5倍に(2010年8月20日、毎日新聞)
 パナソニックは20日、中国・上海のプラズマテレビ向けパネル工場の生産能力(42型換算)を12年度から、現在の約5倍にあたる月産12万台(42型換算)に引き上げると発表した。兵庫県尼崎市のプラズマパネル工場から生産設備の一部を移す。経済成長が続き、薄型テレビの需要増が見込める中国での現地生産体制を強化し、シェア(市場占有率)獲得競争で優位に立つことを目指す。
 パナソニックのプラズマパネル生産拠点は上海と尼崎にあるが、上海工場で需要を賄いきれず、不足分を日本から輸出していた。今回の生産設備移設で輸送コスト削減できるほか、中国での現地生産比率を高めることで円高に伴う為替リスクも軽減できるとしている。中国で今月から発売した3D(三次元)テレビ用パネルも12年度以降、上海で生産する予定。
 尼崎工場は、上海移設分のプラズマパネル生産設備の代わりに太陽電池の生産ラインを置く方向で検討している。

◎中国、50カ国以上で資源獲得、米国防総省の年次報告(2010年8月20日、産経新聞)
 中国が、原油などの天然資源を世界中から幅広く獲得するため、50カ国以上でエネルギープロジェクトに投資したり、開発にかかわっていることが19日までに分かった。米国防総省が、中国の軍事動向に関する年次報告書の中で明らかにした。
 報告書は「エネルギー自給は既に中国にとって選択肢ではない」と指摘し、2015年までに原油の3分の2を輸入するようになると予測。中国がペルシャ湾、中央アジア、アフリカ、北米で原油の獲得を続けるとしている。
 また08年には80%以上がマラッカ海峡を通る海上輸送だったが、カザフスタンやミャンマーなどからの陸上パイプライン建設を行い、リスク分散を積極的に進めることが中国のエネルギー戦略だと分析している。

◎中国のプラズマパネル生産5倍に、パナソニック(2010年8月20日、読売新聞)
 パナソニックが、中国・上海市にあるプラズマテレビ用パネルの生産拠点を一新し、2012年度の生産能力(42型換算)を現在の月2.5万台から約5倍の12万台に引き上げることが19日わかった。
 近く世界最大のテレビ市場となるのが確実とみられる中国で、低コストの生産体制を築き、薄型テレビで世界的な勝ち残りを目指す。
 パナソニックのプラズマパネルの生産拠点は、兵庫県尼崎市と上海市の2か所だが、上海のパネル生産開始は02年と古く、建屋を新設する。
 中国市場向けのプラズマパネルは現在、上海での生産分だけでは足らず、不足分を日本から輸出している。現地生産なら輸送費や関税などがかからず、生産コストは約3割下がる見込みだ。

◎レアアース輸出枠削減、見直しを中国側に要請(2010年8月19日、読売新聞)
 【北京=幸内康】経済産業省の近藤洋介政務官は19日、北京市内で記者会見し、パソコンや携帯電話などの生産に必要なレアアース(希土類)の輸出枠を中国が削減したことに対し、中国商務省に早期改善を求めたことを明らかにした。
 近藤政務官は知的財産権保護官民合同訪中代表団の政府代表として、18日に商務省の崇泉・国際貿易交渉副代表と会談。その際、「世界の産業に大きな影響を及ぼす」と懸念を伝えた。崇副代表は、枠削減の理由を「環境保護の観点から行った」などと説明した。
 今月28日に北京で開かれる日中ハイレベル経済対話で主要議題になる見込みだ。

◎自殺相次ぐ中国の「富士康」が防止訴える集会、各地で6万人参加(2010年8月19日、産経新聞)
 19日付の香港各紙によると、中国・深●(=土へんに川)の工場などで工員の自殺が相次いでいる台湾系電子機器メーカー富士康集団は18日夕、工員計約6万人が参加して自殺防止を訴える集会を中国各地の工場で同時に開いた。
 集会は約2時間。参加者は「命を大切にしよう」などと叫んで行進した。
 また、同社はこの日、現在約45万人の深●(=土へんに川)工場の工員を三十数万人まで減らし、中国の別の地域で1年以内に計40万人を新規採用する計画を明らかにした。中国全土で約90万人の工員を、120万~130万人まで増やすという。
 富士康の深●(=土へんに川)工場では、今年に入ってから5月末までに13件の自殺・自殺未遂が発生。江蘇省昆山の工場でも今月、1人が自殺している。

◎「i PED」「ハイフォーン」、ユルすぎる駅前ビル、コピー品野放し(2010年8月19日、スポーツニッポン)
 世界的人気の米アップルの携帯電話「i PHONE(アイフォーン)4」や情報端末「i Pad(アイパッド)」のコピー商品が、中国南部の経済特区、深センで野放しになっている。本物に比べ圧倒的な低価格が人気で、電気店はどこも活況。知的財産権保護を求める声などどこ吹く風だ。
 経済の改革・開放路線の先駆都市である深センの玄関口、深セン駅。駅前ビルの中の電器店に「i PHONE4G」が並んでいた。i PHONE4そっくり。画面はやや粗いが「機能は本物とほぼ同じ」と店員。1台890元(約1万1000円)で、隣接する香港で売っている本物の約5分の1だ。毎日20台ほど売れるという。
 別の店ではi Padによく似た「i PED」が店頭に。こちらの価格も本物の約4分の1。機能はかなり劣るが、月に100台以上売れるという。店員は「本物は高いからね」と悪びれる様子はない。i PHONEならぬ「ハイフォーン」「タッチフォン」などといった商品も並んでいた。
 深センは、北京や上海などと比べて取り締まりが緩いとみられ、有名メーカーの携帯電話やカメラ、DVDなどのコピー商品が普段から大量に出回っている。今はアップル社製品のヒットに抜け目なく便乗している形だ。

◎米の軍事報告に中国強く反発「客観的事実無視」(2010年8月18日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】米国防総省が16日公表した「中国の軍事力と安全保障の進展に関する年次報告書」について、中国国防省の耿雁生・報道官は18日、「客観的事実を無視し、中国の正常な国防と軍隊の建設を非難するものだ」として断固反対する姿勢を表明した。
 同報道官はその上で、「報告は(米中)両軍関係の改善と発展に不利となる」とし、米国側に対し、関係改善に向け良好な雰囲気と条件を造り出すよう求めた。

◎9600万円収賄の中国・天津幹部に猶予付き死刑判決(2010年8月13日、産経新聞)
 新華社電によると、中国遼寧省瀋陽市の中級人民法院(地裁)は13日、職権を乱用し総額755万元(約9600万円)相当のわいろを受け取ったとして、収賄罪などに問われた天津市浜海新区管理委員会元主任の皮黔生被告に執行猶予付きの死刑判決を言い渡した。
 浜海新区は中国政府が重点的に開発を進めている経済開発区の一つ。皮被告は浜海新区管理委員会主任などを務めていた1995年から2005年にかけ、便宜を図った見返りにわいろを受け取ったほか、国有資産に多額の損害をもたらした。
 中国の執行猶予付き死刑判決は、猶予期間中に問題がなければ、無期懲役などに減刑される。

◎中国土石流、7年前に「特大級」災害を警告(2010年8月13日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で8日に起きた土石流の発生現場が、中国地質環境監測院が2003年にまとめた報告書の中で、「土石流や地滑りなどの地質災害が起きやすい危険地域」に指定されていたことがわかった。
 12日付の中国紙・南方週末が伝えた。地元政府はこの7年間に開発を優先し、対策を講じてこなかったとみられる。
 同院は国土資源省直属で、地質災害を調査、観測する専門機関。報告書では、今回の土石流が発生した同県三眼村と羅家峪村を、甘粛省内で140か所ある地質災害の危険場所の一つにそれぞれ指定。さらに、峰と谷の高度差が1000メートルを超え、多くの住民の生命を危険にさらす「特大級」の災害が起こりかねないと警告し、「関係部門は絶対に警戒を緩めることはできず、早期に危険個所を修復し、土石流発生を予防すべき」としていた。
 しかし、南方週末紙が入手した別の調査報告書は、今回の土石流に関して、「山の開発や道路整備が一定程度、地質災害に影響を与えた」と指摘していた。
 同院のまとめでは、中国全国には地質災害の危険場所が20万か所あり、そのうち1万6000か所が大規模災害になりかねないという。

◎中国、化繊など18業種の旧式設備に廃棄命令(2010年8月12日、化学工業日報)
 【上海支局】中国工業情報化部による国内2000社強への旧式設備閉鎖命令は、製鉄、非鉄、ガラス、カーバイド、化学繊維など18業種と広範囲にわたる従来以上に大掛かりな取り組みとなった。中国では現5カ年計画に入って、とくに設備能力過剰が著しい業種について、小規模設備の閉鎖や大型企業への生産集中といった構造改革を促してきた。今回は「省エネルギーと排出削減、気候変動への対応は特色ある新しい工業化の道筋に必須」(工業情報化部)として従来以上に環境対策を前面に打ち出している。9月までと定めた期限とともに、応じない企業には融資や許認可の面で対抗措置を用意するなど、取り組みを徹底していく構えだ。中国は、現5カ年計画中に国内総生産(GDP)1単位当たりのエネルギー消費量を20%、汚染物質排出量を10%それぞれ削減する目標を掲げ取り組みを進めている。09年には国務院常務会議が20年のGDP1単位当たりのCO2排出量を、05年比40~45%減とする数値目標を決定した。

◎中国で相次ぐ洪水、今春以降のべ2億人被災(2010年8月12日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】新華社通信によると、中国北西部甘粛省で発生した土石流による死者は11日、1117人に達した。
 洪水は南部や東北地方でも相次ぎ、今春以降、被災者はのべ2億人に上っている。災害による社会不安を防ぐため、共産党政権は対策に躍起となっている。
 新華社通信によると、中国南部では4月から6月にかけて14回の豪雨が発生。7月以降も長江流域の湖北、安徽省など広範囲で2週間以上の降雨が続いた。降水量100~200ミリに達した地域は計約28万平方キロ・メートルで、日本の面積の約4分の3に及ぶ。
 東北部の吉林省では、7月下旬から大雨が続き、約40か所のダムで水位が上限を超え、洪水などで85人以上が死亡。山東省では今月8日以降、降水量が302ミリに達した地域もあり、約220万人が被災した。
 中国民政省のまとめでは、今月6日までに洪水による死者は1454人。甘粛省での土石流の死者と合わせると、2500人以上が死亡したことになる。経済損失は約2752億元(約3兆4600億円)と推計され、中国の2009年の国内総生産(GDP)の0.8%に匹敵する。
 蘭州大学大気科学院の王式功・副院長は中国メディアに対し、大雨が続く異常気象の原因として、〈1〉6月以降、赤道付近の太平洋の海水温度が上昇、〈2〉亜熱帯高気圧が不安定化――したことなどを挙げ、「地球温暖化とも関連している」と分析している。
 温家宝首相は、湖北、吉林、甘粛省など、各被災地を視察して迅速な対応をアピール。被災した5省・自治区に対して1億9500万元(約25億円)の災害支援金を支給し、民心安定に努めている。

◎中国土石流の死者1117人に、甘粛省、不明は627人(2010年8月12日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国新華社通信によると、甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で起きた大規模な土石流災害で、現地当局は11日、死者が1117人、行方不明者が627人になったことを明らかにした。政府は全力で救援活動をするよう指示しているが、11日朝には生存者発見の可能性が大きく低下するとされる発生から72時間が過ぎた。行方不明者の多くが遺体として収容されているとみられ、死者数はさらに増える恐れがある。
 11日までに救出された人も1243人に上るが、被災地は大量の土石流が住宅などをのみ込んだ状態で、生存者の捜索は難航している模様だ。
 死者が千人を超えるのは、4月に青海省で起きた大地震で2698人が死亡、270人が行方不明になった事態に続くものだ。同通信によると11日までに治療を受けた負傷者は567人。入院措置がとられた重傷者は64人に上る。事態を重視する中国共産党は10日に最高指導部である政治局常務委員会議を開催し、救援活動の徹底やインフラ設備の復旧を急ぐといった方針を定めていた。
 11日に北京で開かれた水利省などによる記者会見によると、被災者は4万7千人。約2万人の住民が緊急避難生活を強いられており、テント7千張り、寝袋5千個、発電機230台、ろうそく10万本など大量の援助物資が現地に送り込まれている。
 伝染病の発生なども懸念されており、約800人の衛生救援隊が被災地に入り、消毒作業を展開。地元当局は11日の記者会見で、問題の発生は報告されていないとしている。

◎危険物混入罪、男を起訴、ギョーザ中毒で中国当局(2010年8月11日、産経新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件で、中国河北省の石家荘市人民検察院は10日、製造元の食品会社の元臨時従業員で、3月に拘束された呂月庭容疑者(36)を危険物質混入罪で同市中級人民法院に起訴した。中国公安省が同日、日本政府に連絡した。
 同罪は毒物投棄などで他人に重傷を負わせたり死亡させたりする行為に適用される。中国の刑法によると、罰則は10年以上の有期懲役、無期懲役、または死刑と規定される重罪。公安省は起訴事実の詳細を伝えてきていないが、警察庁は「日本の被害も犯罪事実に含まれていると理解している」としている。
 事件は平成18年12月から19年1月にかけ、石家荘市の「天洋食品」が製造した冷凍ギョーザを食べた千葉と兵庫両県の3家族計10人が中毒になった。商品から有機リン系殺虫剤メタミドホスが検出され、中国でも被害者が出た。
 公安省が3月に呂被告を拘束し4月に逮捕。同省はこれまで警察庁に、同被告の供述や現場の状況から、同被告が18年10~12月に3回にわたり、保存庫で注射器を使い出荷前のギョーザにメタミドホスを混入させたとみていると伝達。
 公安省の説明では、呂被告は5(1993)年から臨時従業員として同社に勤務したが、正社員になりたいなどの希望がかなわず不満を抱いたことが動機になったという。
 身柄拘束直後に警察庁は、中国人が国外で犯した犯罪として「代理処罰」の要請も検討。ただ、中国が日本に配慮し日本の殺人未遂罪と同等かそれ以上の厳罰の危険物質混入罪を適用する姿勢を示し「処罰水準に関する日本の希望は事実上満たされる」(警察庁幹部)として要請を見送った。
 今年4月に公安省幹部が来日、7月には警察庁幹部が訪中するなどして情報交換や協議を重ねてきた。

◎中国土石流、死者337人に、救出作業は難航(2010年8月10日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国北西部の甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で起きた大規模な土石流による死者数は、9日、土砂の下などから新たに200人の遺体が見つかり、337人に達した。
 なお1148人が行方不明だ。現地では、軍兵士らによる行方不明者の救出に向けた活動が続いているが、厚く堆積した泥や道路の冠水に阻まれ、作業は難航している。
 新華社通信などによると、同県には各地から軍や武装警察、消防隊員ら数千人が集結。倒壊した建物などを中心に大規模な捜索、救出活動を展開している。しかし、息絶えて見つかる人がほとんどで、発生から48時間が過ぎ、救出活動は厳しさを増している。現地にはテントや薬品などの救援物資も一部届き始めたが、食料品や水が依然不足し、被災者は厳しい避難生活を強いられている。
 8日に現地入りした温家宝首相は9日午前も被災地を回り、物資輸送が円滑に進むよう道路復旧などを指示した。甘粛省政府が土石流の犠牲者1人につき家族に8000元(約10万円)の支給を決めるなど、少数民族地域の被災者の不満を事前に摘む対策も打ち出された。同県を流れる白竜江にできた土砂崩れダムは、軍が9日、爆破作業などを行った結果、水位が約50センチまで下がり、決壊の危険はひとまず遠のいた。

◎中国:赤ちゃんの胸膨らむ 粉ミルクに女性ホルモン残留?(2010年8月9日、毎日新聞)
 【北京・成沢健一】中国で山東省の大手乳製品メーカーの粉ミルクを飲んだ赤ちゃんに胸が膨らみ始め、女性ホルモンが成人並みの数値を示す事例が相次いで報告されている。乳がよく出るように乳牛に注射したホルモンが粉ミルクに残留していた可能性が指摘されており、被害の拡大が懸念されている。
 9日付の中国紙「第一財経日報」などによると、湖北省武漢市の生後4~15カ月の女児3人に乳房の膨らみと女性ホルモンの異常が確認されたほか、江西、山東、広東の各省でも1人ずつ同様の症状の乳児が見つかった。広東省の事例は生後3カ月の男児だった。
 メーカーは「製品にホルモンは添加していない」との声明を発表したが、武漢市の女児の母親には見舞金を支払う意向を示したと同紙は伝えている。
 中国では08年に乳製品へのメラミン混入で乳幼児約30万人に健康被害が出た。ホルモンについては粉ミルクの品質検査項目に含まれていないという。

◎粉ミルクに女性ホルモン?中国で乳児の胸膨らむ(2010年8月9日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国で、山東省の大手乳製品メーカーの粉ミルクを飲んだ赤ちゃんに、胸が膨らむなどの異常が見られることがわかり、粉ミルクに女性ホルモンが混入していた疑惑が浮かんでいる。
 専門家らは、乳がよく出るように乳牛に注射したホルモンが粉ミルクに残留していた可能性があるとの見方を示しており、乳幼児約30万人に健康被害が出たメラミン混入事件(2008年)以来の汚染ミルク問題に発展するとの懸念も出てきた。
 9日付の中国紙「第一財経日報」などによると、湖北省武漢市在住の生後4~15か月の女児3人の乳房が膨らみ始めた。病院で検査した結果、女性ホルモンが成人並の数値を示した。江西、山東、広東の各省でも、同じような症状の赤ちゃんが見つかったという。
 いずれの赤ちゃんも、同じ山東省のメーカーの粉ミルクを飲んでいたが、メーカー側は7日、「製品にホルモンなどは添加していない」とする声明を発表、関連を否定している。だが、専門家によると、中国の粉ミルクの品質基準の検査項目にはホルモンが含まれておらず、監督体制の死角になっているという。

◎脆弱な岩盤、豪雨で一気に崩壊か、中国の土石流(2010年8月9日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で8日に発生した土石流は、同県の脆弱な地盤の山間部に集中豪雨が突然降り、発生したと見られている。
 開発優先で防災対策が十分にとられず、被害が拡大したとの指摘もある。
 新華社通信によると、国土資源省の専門家らは、付近の地盤はもともと弱く、さらに2008年5月の四川大地震で劣化が進んだと見ており、そこへ7日夜、90ミリ以上の集中豪雨が降り、地盤が一気に崩れたと分析している。昨年末から今年前半に続いた干ばつも、地盤の風化を進ませた可能性があるという。
 舟曲県では四川大地震の際も63か所の山崩れが発生し、15人が死亡するなど土砂災害による被害が目立った。
 一方、鉱山資源の開発や水力発電所、鉄道建設が優先される中、防災対策が遅れている面は否めない。
 同地域は鉄や金、アンチモンなどの鉱物資源が豊富だ。中国紙・光明日報は、新たな金鉱や炭鉱の開発がもろい地盤に影響を与え、土砂災害の危険性を増幅していると指摘した。

◎中国で大規模土石流、127人死亡4万人避難(2010年8月9日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】新華社通信によると、中国北西部の甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で8日午前0時(日本時間同午前1時)ごろ、幅500メートル、長さ5キロ・メートルにわたる大規模な土石流が大雨で発生し、少なくとも127人が死亡、1294人が行方不明となっている。
 住民約4万5000人が避難した。同県を流れる河川・白竜江では、土砂が川をせき止めて「土砂崩れダム」ができ、決壊の恐れが強まっている。
 舟曲県は甘粛省の省都・蘭州から南に約280キロ・メートル離れた山岳地帯に位置し、人口約13万4700人のうち、約33%はチベット族。今年4月の青海省地震もチベット族自治州で発生した。少数民族地域での相次ぐ被災を重視する胡錦濤政権は、温家宝首相が8日に現地入りし、救援作業の指揮を執っている。
 しかし、土砂が厚さ4メートル近くまで堆積したり、中心部の主要道路が冠水したりして重機の投入は遅れており、救援活動は難航している模様だ。
 同県東北部の山間地帯で7日午後11時ごろから40分間以上にわたって激しい雨が降り、各地で小規模な土砂崩れが発生した後、8日午前0時ごろに大規模な土石流が発生。複数の集落をのみこみ、同午前1時ごろには白竜江で土砂がたまり、川をせき止め始めたという。ダムの下流では、川の流れが4分の1の量に減っており、人民解放軍などが爆破準備を進めている。
 現地の天気予報によると、白竜江の上流地域では10~11日に、再び大雨になるという。

◎ダムの放水怠った幹部を免職に、中国吉林省(2010年8月4日、産経新聞)
 4日の新華社電によると、中国吉林省樺甸市はダムの放水を適切に行わず洪水被害を拡大させたとして、同市常山鎮の鎮長ら鎮政府幹部3人を免職にした。
 同市は7月28日に豪雨に見舞われたが、常山鎮にあるダムの放水が遅れたために、ダムが決壊。ダム下流の地域に大きな被害が出た。
 吉林省では7月下旬から大雨が続き、3日までに74人が死亡、71人が行方不明となっている。

◎中国、高速鉄道輸出に積極的、「先輩」日本は複雑(2010年8月4日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国が「高速鉄道」の輸出にアクセルを踏み始めた。政府主導で積極的な売り込みを展開。対象国との経済貿易関係の拡大を狙う。アジア周辺国との関係では、政治的な影響力の増大につなげる戦略的な動きとも受け止められている。
 「中国の鉄道は、海外進出戦略の実施を加速する。関係企業を積極的に組織し、国外の鉄道プロジェクトの輸出市場を開拓。国際的に高速鉄道の技術を分かち合いたい」
 中国鉄道省の何華武総工程師は7月末、北京での記者会見で、政府が主導して鉄道技術を輸出する姿勢を訴えた。
 同省は米国、ロシア、ブラジル、サウジアラビアなどとの鉄道建設協力の調整チームを立ち上げたことを明らかにする。「数十カ国が自国の鉄道プロジェクトへの我が国の参加を希望している」(王志国・鉄道次官)といい、トルコやベネズエラの高速鉄道建設計画に中国企業が関与を始めているとされる。
 政府をあげての後押し姿勢は鮮明で、アルゼンチンのフェルナンデス大統領が7月に訪中し、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席と会談した後、両国は100億ドルに上る鉄道関係の合意文書に調印したと伝えられた。
 中国は2000年以降、高速鉄道の建設を重視してきた。日本の新幹線「はやて」を基に製造された車両などが導入されたが、鉄道省は「海外技術に基づく自主開発」との位置づけだ。
 高速鉄道の輸出推進の狙いについて、商務省国際貿易経済協力研究院の梅新育研究員は「『メード・イン・チャイナ』が貿易相手国の国家インフラになることで、中国製品がさらに浸透する。中国ブランドの印象も向上する」などと中国紙に利点を強調する。
 費用面での競争力の強さは無視できない。ベトナム国会は6月、ハノイ―ホーチミン(約1600キロ)の高速鉄道建設計画案を否決した。同案は日本の新幹線方式を採用する見通しだったが、560億ドルといわれる投資額に「負担が大きい」との反対が出たためだ。中国の高速鉄道なら、「費用は新幹線の半分」(中国紙)とされる。
 海外進出を強める背景には、政治的な狙いも指摘される。鉄道省は7月、雲南省から国境を接するミャンマー(ビルマ)やラオスにそれぞれ国際高速鉄道を建設する計画を明らかにした。詳細は不明だが、自由貿易協定(FTA)の実施が始まった東南アジア諸国との輸送能力の拡大を目指すもの。実現すれば、両国における中国の政治的な存在感が一層高まることは間違いない。
 中国の専門家の中には、(1)中国北部からロシアへ(2)中国西部からカザフスタン経由で中央アジア諸国へ(3)中国南部からベトナム経由で東南アジア諸国へ、との三つの国際高速鉄道の建設の必要性を訴える論調も出てきている。

・価格競争力、中国にかなわず
 中国の高速鉄道の一部は日本の新幹線技術をもとに導入された経緯があり、中国にとって日本は先輩格。その中国が積極的な鉄道輸出を進め、日本と競合し始めていることに、日本の鉄道関係者は複雑な心境だ。
 7月に告示されたブラジルの高速鉄道計画。ルラ大統領が2016年のリオデジャネイロ五輪までの開通を目指す国家プロジェクトだ。リオ―サンパウロ間のエコノミークラスの料金を一番安く設定出来る事業者が落札するとの見方が地元で飛び交う。
 日本は価格競争力では中国にかなわない。運行や建設まで受注者が担うなどリスクが高い案件ともいわれ、日本の企業連合は採算を慎重に見極めている。
 ブラジルを含めて、中国は政府首脳によるトップセールスなど国家あげての融資などで受注獲得に貪欲(どんよく)だ。経済協力開発機構(OECD)非加盟で国際ルールの縛りを受けにくいことも営業活動の自由度を高めている。前原誠司国交相も米国やベトナムに直接出向いてトップセールスを重ねているが、国交省幹部は「中国の影は常につきまとう。対抗手段を真剣に考えないといけない」と危機感を募らせている。(澄川卓也、サンパウロ=平山亜理)

・中国の高速鉄道
 2020年までに1万6千キロの高速鉄道網を整備する計画。日本の新幹線網(2千キロ強)の8倍近い。08年8月の北京五輪開催直前には北京―天津(約115キロ)を最高時速350キロで結ぶ高速鉄道の運転を開始。09年12月には武漢―広州(1069キロ)が開業した。12年には北京―上海(1318キロ)が開業予定。日本やドイツなど外国企業が技術移転している。

◎中国、有害物質ドラム缶の回収進む、5年前の失敗教訓(2010年8月2日、毎日新聞)
 【瀋陽=西村大輔】中国・吉林省吉林市の化学工場で7月下旬、有害な化学物質などが入ったドラム缶が洪水の影響で近くの松花江に大量に流れ出した事故で、地元政府は2日までに、流出した7138本のうち7071本を回収した。黒竜江省では少量の汚染が観測されたとして、依然警戒が続いている。
 これまでの調べでは、豪雨に見舞われた7月27日夜に、同川の支流沿いにあった2企業の倉庫が洪水で押し流され、流出したドラム缶の約半数の3662本に有害な化学物質が入っていた。
 温家宝(ウェン・チアパオ)首相の指示で、吉林省、黒竜江省の当局は軍を含め1万2千人を動員して各地で回収作業を展開。事故発覚後、すぐに記者会見を開き、詳細に状況を説明した。当局は2005年の工場爆発による有毒物質の流出事故では、情報隠しなどで厳しい批判を受けただけに、今回の対応は早かった。
 松花江の下流にあたり、ロシア国境地帯を流れるアムール川には、事故当時の水は今月中旬に到達する。このため、ロシア・ハバロフスク地方当局は警戒を緩めていない。中国側に対し、アムール川流域住民の健康に影響があるかどうかを含めた詳しい説明を求めつつ、24時間態勢で水質検査を続けている。
 吉林省では05年11月に化学工場で爆発事故が起き、大量の有害物質が松花江に流出。当局が1週間以上も事態を公表せず被害を拡大させたほか、ロシア側流域でも基準値をはるかに超える有害物質が検出され、国際問題化した。

◎東南ア、中国から武器調達の動き、中国も影響力強化狙う(2010年8月2日、朝日新聞)
 【シンガポール=塚本和人】東南アジアで中国から武器を調達する動きが広がりつつある。経済成長が続く東南アジアの新興国は国防力の拡充を図っており、経済的な結びつきが先行する中国と、安全保障面でも関係強化に動き出したかたちだ。中国にも戦略的重要性が増す東南アジアを自国の安全保障戦略に組み込む思惑が透けてみえる。
 インドネシアのプルノモ国防相は5月末、同国を訪問した中国人民解放軍幹部と会談。プルノモ氏は朝日新聞の取材に対し、中国から短距離対艦誘導ミサイル「C-802」を購入する考えを明らかにした。同氏によれば、中国以外からもオファーがあったが、インドネシアが製造する軍服や軍靴などの軍用品を中国軍に売り込みたい意向もあって中国との取引を進める方針をとったという。さらに、インドネシア側はこのミサイルを国内で中国側と共同生産することも期待している。
 東南アジアの地域大国インドネシアは、冷戦時代には「反共のとりで」として米国と蜜月関係にあったが、1999年の東ティモール騒乱にインドネシア国軍が関与したとして米国は軍事援助を凍結。その間に兵器の老朽化が進み、中国が急接近した。
 マレーシアも最近、中国製の携行式地対空ミサイル「FN-6」を購入するなど建国以来初の中国からの武器輸入に踏み切った。ザヒド国防相は地元メディアに「急成長している中国の国防技術を評価すべきだ」と述べ、今後は中国が有力な兵器調達先の一つになるとの考えを示した。
 インドネシアとマレーシアは国内に中国系住民(華人)を抱え、中国との関係強化は多数派の非華人住民の反発を呼びかねない。それでも中国に接近する背景には、近年の中国台頭で変化した経済事情がある。両国は金融危機後の景気浮揚を中国との貿易拡大などで乗り切ろうとしており、「中国の成長が東南アジアの成長につながる」(インドネシア外交筋)とするほど関係が強まっている。
 東南アジア諸国は、南シナ海での中国海軍の存在感の高まりや、それぞれ周辺国との二国間の安全保障上の問題を抱え、経済発展に伴って国防力の増強に力を入れ始めた。
 中国からの武器調達には、欧米と比べて安価で、配備・使用にあたっての制約が少ないなどのメリットに加え、取引を通じて中国との包括的な関係を強める狙いもある。南シナ海・南沙(スプラトリー)諸島の領有権を巡って中国との対立を抱えるマレーシアが中国から武器を調達するのは、対立を前面に出すよりも対中関係を強化・安定させる方が得策、との現実的な考えからだ。
 東南アジアの後発国にも中国の影響力は強まっている。カンボジアは6月に中国から257台の軍用車両の支援を受け、東ティモールも6月に中国製の沿岸警備艇2隻を調達した。軍事政権のミャンマー(ビルマ)とは90年代から軍事的な関係が続く。
 中国にとっては、中東産原油を積んだ船が通るマラッカ海峡と南シナ海は自国エネルギー供給の生命線。周辺沿岸国との関係強化は最優先課題だ。シンガポールのシンクタンク、東南アジア研究所のイアン・ストーリー特別研究員は「中国による東南アジアへの武器売却収益はまだわずか。それでも売却や支援に熱心なのは、軍事的結びつきを通じて影響力を増大させたいという政治的な理由からだろう」と指摘する。
 こうした動きに、米国や南シナ海の領有権をめぐって中国と対立するベトナムなどは警戒を強めている。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のアンドリュー・タン准教授は「米国の懸念は、中国が武器取引を通じて同地域に影響力を強め、米国や日本が維持してきた優越的な役割が脅かされることだ」と分析する。

◎エア・リキード、南京の液晶パネル工場に高純度ガス供給(2010年7月30日、化学工業日報)
 エア・リキードは南京中電熊猫液晶顕示科技術有限公司が建設を進めている第6世代の液晶パネル工場向けに各種高純度キャリアガスを供給する長期契約を結んだ。エア・リキードはこの契約に基づき、日産230トン超の窒素を生産する新設備を建設する。エア・リキードは南京中電熊猫液晶顕示科技術がシャープの亀山工場(三重県亀山市)の第6世代の生産設備を買い取り、液晶パネルを生産する工場に窒素、酸素、水素、アルゴン、ヘリウムの高純度ガスを供給する。窒素を日産230トン以上生産する設備は、2011年7月に稼働を始める予定。南京中電熊猫液晶顕示科技術は南京市と南京中電熊猫信息産業集団有限公司が設立した。建設している新工場は、南京市が液晶関連産業の育成を目指す「南京液晶バレー」と呼ぶ地区に建設されており、投資額は138億元(約15億ドル)。

◎ウイグル族記者に懲役15年、中国当局の暴動対応批判で(2010年7月27日、産経新聞)
 中国新疆ウイグル自治区に住むウイグル族の新聞記者で、昨年7月のウルムチ暴動で当局の対応を批判したとされるジャーナリスト、ガイラット・ニヤズ氏(51)が23日、ウルムチの裁判所で国家安全危害罪により懲役15年の実刑判決を受けたことが27日、分かった。知人が明らかにした。
 米政府系放送局のラジオ自由アジアなどによると、ガイラット氏は暴動後に外国メディアの取材を受け、コメントしたことが罪に問われたという。
 ガイラット氏は昨年10月に拘束された当時、新疆経済報の記者で、ウイグル族のウェブサイト「ウイグルオンライン」の管理も担当していた。
 ウルムチ暴動はウイグル族による抗議が発端となった大暴動で、約200人が死亡した。

◎薬物がらみか、また日本人3人拘束、死刑執行以降8人目(2010年7月25日、朝日新聞)
 【北京=西村大輔、広州=小林哲】中国広東省珠海で17日、薬物がらみの容疑で日本人の男3人が警察当局に拘束された。日中関係筋が24日に明らかにした。今年4月、麻薬密輸罪で有罪となった日本人4人に対し、1972年の日中国交正常化以降初めて死刑が執行されたが、それ以降に薬物がらみで拘束された日本人はこれで8人になる。
 関係筋によると、3人の男は40~60歳代で、珠海市内のホテルで拘束された。具体的な容疑や薬物の量などは明らかになっていないが、空港などで偶然見つかったケースと違い、警察当局が内偵を進めて拘束に踏み切ったとみられている。
 5月には青島の空港で覚せい剤約2.5キロを日本に持ち出そうとした男が麻薬密輸容疑で拘束され、6月には瀋陽で暴力団関係者とみられる日本人の男4人が麻薬所持容疑などで拘束された。中国では麻薬や覚せい剤50グラム以上の密輸や販売などで死刑の可能性があるなど、日本より薬物犯罪に格段と厳しいが、手を染める日本人は後を絶たない。

◎中国洪水被害拡大、死者700人超建設10年の橋も崩壊危機、脆弱な工法再び明るみに(2010年7月24日、産経新聞)
 【北京=川越一】4月以降、中国中南部を中心に大きな被害を出している豪雨による死者が、24日までに700人を突破した。水害対策を担当する水利省の劉寧次官が記者会見し明らかにしたもので、倒壊した家屋も64万戸を超えた。中国メディアによると、建造してわずか10年の橋も崩壊し始めている。災害のたびに浮上する脆弱(ぜいじやく)な工法が、今回も露呈した形だ。
 問題の橋は浙江省常山市にある。約1千万元(約1億3千万円)をかけて建設され、2000年から使用を開始。地元政府から「優れた建造物」として表彰された。同市では過去10年、大規模な洪水は記録されていないにもかかわらず、今年4月、支柱が崩れ始めていることが発覚した。
 劉次官よると、豪雨被害は、中国中南部を中心に27の省・自治区・直轄市に拡大している。今月21日の時点で、死者は701人、行方不明者は347人。被災者は1億1300万人にのぼっている、中国紙国際情報紙、環球時報(英語版)によると、橋に亀裂が見つかって以来、常山市の地域住民の間に不安が広がっているという。
 建設当時、基礎工事に最新技術を用いなかったことで、耐久性が下がったとの指摘がある。設計関係者は同紙に対し、「市政府は当時豊かではなかったので、簡単で工期が短い工法で橋の基礎を作った」と認めている。
 今月下旬に入って、豪雨の被害は東北部にも拡大しており、遼寧省では家屋5200棟が倒壊した。

◎スペイン国債440億円分、中国が購入(2010年7月13日、読売新聞)
 【ロンドン=是枝智】世界最大の外貨準備を持つ中国が先週、スペインの10年物国債を最大4億ユーロ(約440億円)購入したと、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)が12日伝えた。
 スペインは財政悪化が懸念されているが、中国がスペイン国債を大量取得したことで、市場に買い安心感が広がりそうだ。
 同紙によると、先週行われたスペインの新発国債(発行額60億ユーロ)の入札で、約3分の2を外国人投資家が購入した。特に、アジア勢は約14%を取得しており、そのほぼ半分を中国の国家外貨管理局が買い取ったとしている。
 スペイン国債(10年物)の流通利回りは、4月中旬までは年3.8%前後だった。しかし、ギリシャ危機の深刻化とともに上昇を続け、6月半ばには4.9%台をつけた。現在は4.5%台で取引されている。

◎中国人の個人観光ビザ、発給ペースが倍増(2010年7月10日、読売新聞)
 日本を訪れる中国人観光客を増やすため、政府が今月1日から要件を緩和した個人観光ビザの中国国内での申請・発給件数が、先月に比べて倍のペースで急増していることが9日、明らかになった。
 約半分は、経済発展の著しい上海の総領事館で発給されている。外務省は「日本は近場の旅行先として人気が高まっており、今後も中国全土で発給が増えるだろう」としている。
 個人観光ビザは、中国にある7か所の日本の在外公館が、旅行会社を通じて申請を受け付け、発給する。土日を除いた8日までの発給数は1679件となった。特に8日は1日だけで過去最多の377件に達し、緩和前の6月の1日平均182件から倍増した。
 ビザの申請件数も、同期間で2068件と、緩和前のほぼ2倍となった。
 地域別では、トップの上海総領事館での発給が855件、北京の日本大使館が739件、広州総領事館が85件だった。

◎メラミン基準値の500倍超、中国で粉ミルク(2010年7月10日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国西北部の甘粛省で、有害物質メラミンが混入した粉ミルクが発見された。
 検査当局などが調べを進めたところ、製造した青海省の工場が河北省の業者から購入した粉ミルクの原料38トンに、基準値の500倍を超えるメラミンが混入していたことが明らかになった。9日付の中国各紙が伝えた。
 2008年、メラミン入り粉ミルクを飲んだ乳幼児ら約30万人に健康被害が出て重大な社会問題になった後、政府は監督を強化してきたが、地方で徹底されていない実態が裏付けられた。
 10日付中国紙によると、青海省の公安当局は工場長ら責任者3人と、原料を工場に供給した男を拘束し、流通ルートなどを詳しく調べている。
 一方、吉林省でも6月下旬、メラミン入り粉ミルクが発見された。過去に、廃棄処分になった粉ミルクが横流しされた可能性も指摘されている。

◎中国政府、グーグルの免許を更新(2010年7月9日、読売新聞)
 【北京=幸内康】インターネット検索最大手の米グーグルは9日、中国政府から中国でのネット事業者としての国内免許の更新を受けたと発表した。
 グーグルの事業者免許は6月末に期限を迎え、グーグルが更新を申請していた。
 グーグルは今年1月、中国本土からの組織的なサイバー攻撃や中国政府による検索結果の自主検閲強要を不満として、中国からの撤退検討を発表した。3月に自主検閲をしない香港版に中国版から自動転送する方式に切り替えたが、中国政府は「道理のないやり方」と激しく批判するなど、両者の対立が続いていた。
 ただ、グーグルは6月、香港版での検索サービスに入るかどうかは利用者が選択する方式に変更している。中国政府は6月末の期限を過ぎても「審査中」として判断を保留してきたが、グーグル側の対応を評価したことに加え、自主検閲に対して批判が強い国際的な世論にも配慮し、更新を決めたとの見方もある。
 グーグルは公式ブログに「中国の利用者に検索サービスと製品を継続して提供することを楽しみにしている」とのコメントを掲載した。

◎「前金制」の病院(2010年7月8日、産経新聞)
 数カ月前の話だが、中国人の友人の母親が自宅で夕食中に倒れ、救急車で北京市内の病院に運ばれ、緊急手術することになった。
 その病院は「前金制」に徹しており、注射や点滴を受ける際、友人はまず医者からもらった伝票を持って会計窓口に走らなければならず、「支払い済み」のハンコがないと医師は絶対に薬を使わなかったという。
 手術は成功し母親は順調に回復しているが、「あの日、現金を持っていなかったら病院は何もしてくれなかっただろう」と話す友人には、病院に不満はあっても感謝の気持ちはない。
 病院側にも言い分はあった。せっかく治療を施した病人が病室から夜逃げし、手術代と薬代を回収できないケースが全国で多発しており、その対策だという。
 中国では医療保険制度が不完全で、農村からの出稼ぎ労働者たちは、ちょっとした手術でも自分の年収を超えてしまうような医療費を支払えないのが実態だ。病院の「前金制」は、経済的に恵まれない人たちから治療を受ける権利を奪う残酷なやり方とも言える。
 以前取材した20歳前後の湖南省出身の農民工から、「小さな病気なら仕事を休んで寝て治すが、大きな病気になったら運命だと思ってあきらめる」と、当然のように言われてショックを受けたことがあった。
 北京五輪や上海万博など世界の注目を集める華やかなイベントが開かれる一方、病気を治すという基本的な人権も保障されていない弱者が多くいる。それが今日の中国だ。

◎シャープ、中国での液晶生産プロ“第8世代”めぐり攻防(2010年7月8日、日刊工業新聞)
 中国政府による第8世代クラスの液晶生産プロジェクトの認可が遅れる中、現地ではシャープの劣勢が伝えられている。すでに中国企業の3プロジェクトに認可が下りており、残り2―3枠を5プロジェクトが争う。シャープは今後どのように巻き返すのか、それとも次善の策を練るのか。2011年には中国が液晶テレビで世界最大市場に躍り出ることは確実なだけに、シャープにとって最重要エリアであることに変わりはない。
 第8世代クラスのプロジェクトで候補となっているのは、シャープのほか韓国のサムスン電子やLGディスプレイ、台湾のフォックスコングループ(富士康科技)など5社。国家発展改革委員会が認可に向けて各プロジェクトを評価しているが、水面下では中国政府と各メーカーの間で激しい条件闘争が展開されている。

◎中国の軍事費は公表の1.5倍 軍幹部が初めて認める(2010年7月8日、産経新聞)
 中国人民解放軍の幹部が昨年秋にまとめた内部報告書で、中国の2010年度の「軍事費」は、公表の「国防費」5321億元(約6兆9千億円)の約1・5倍に上る7880億元と明記していることが分かった。中国筋が8日、明らかにした。また報告書は「軍事費」が10年後にほぼ倍増、20年後には3倍増となると予測している。
 中国の軍事予算については兵器開発費などが含まれておらず、公表額より多いと国外からたびたび指摘されてきたが、中国軍幹部がこれを認めていることが明らかになったのは初めて。軍内には、「国防費」とは異なる「軍事費」の概念があることが裏付けられた。どちらも世界では米国に次いで2位の規模。軍事費には、国防費に算入されない兵器開発費や一部の兵器購入費が含まれているとみられる。

◎地表温度最高で68.3度!猛暑でバスが自然発火(2010年7月7日、スポーツニッポン)
 7日付の中国紙、北京青年報によると、北京市内で6日朝、バス停に停車したバスのエンジン部分が猛暑のため自然発火し、全焼した。乗客乗員は逃げて無事だった。オイル管からしみ出した油が引火したのが原因という。
 中国メディアによると、北京市ではここ数日猛暑が続いており、6日は多くの地区で気温が41度前後に達した。地表温度は最高で68.3度を記録した場所もあるという。
 また、北京市は6日、7月から労働者に対する高温下での屋外作業手当を、月当たり60元(約770円)以上から2倍の120元以上に引き上げると発表した。

◎中国豪雨、被災4000万人超、死者・不明465人(2010年7月3日、産経新聞)
 中国民政省は3日までに、南部で6月中旬から月末にかけ降り続いた豪雨のため貴州、江西、福建など9省と広西チワン族自治区、重慶市で計4400万人余りが被災し、266人が死亡、199人が行方不明になっていると発表した。
 倒壊と損壊を合わせた被災家屋は107万軒に上り、直接の経済損失は645億元(約8350億円)を超えたという。
 被害が大きかった貴州省では6月28日、安順市郊外の山崩れで99人が生き埋めとなった。国営新華社通信によると、2日までに18人の遺体が見つかったが、残り81人は不明のまま。死者・不明者のうち48人が15歳以下の子供、22人が60歳以上だった。

◎兵士のネット利用、休日や自宅でも禁止、中国軍が新規則(2010年7月3日、朝日新聞)
 【香港=小林哲】香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、中国の人民解放軍が6月中旬、兵士によるブログやチャットなどネット利用の制限を強化する規則を新たに導入した。従来は規制がなかった休日や自宅での個人的な使用も禁止する内容とされ、ネットを利用する兵士が増え、軍事情報の漏洩(ろうえい)が後を絶たないためという。
 複数の軍関係者が同紙に証言した。元軍幹部によると、数年前に中国が同国初の空母を建設するという機密情報がネットに流出。複数の軍幹部が、空母建設に関するネット上の討論に参加していたことも発覚し、情報管理が問題になった。これまでも勤務中に海外サイトへのアクセスなどを禁じる規則はあったが、入隊前から個人ブログを持つ若い兵士が増えるなど、新たな規制が課題になっていた。
 新規則は、個人で運営するホームページやブログ、チャットなどを利用した情報発信を勤務外や休日であっても禁止し、個人ブログなどは直ちに消去処分にする。過去にネットに投稿された軍関連の重要な文書や写真なども削除する方針。
 ただ、同紙は、欧米の軍隊はネット利用を条件付きで認めているとして、「ネット世代の若い兵士を規制するのは不可能」「すぐに規則をかいくぐる兵士がでる」といった専門家の見方を紹介した。

◎中国向けビザ要件緩和スタート、観光庁長官が瀋陽でPR(2010年7月1日、朝日新聞)
 【瀋陽=西村大輔】政府は1日から、中国人向けに個人観光査証(ビザ)を発給する条件を大幅に緩和した。対象を富裕層から中間層まで拡大し、海外旅行ブームの中国から大勢の観光客を呼び込む狙いだ。溝畑宏・観光庁長官は同日午前、中国・瀋陽で会見し、中国メディアに日本の魅力を熱心に売り込んだ。
 溝畑長官は新たな条件でのビザ申請第1号となる40代の女性に記念品を贈呈。「観光は日本の成長戦略の一つで、中国は最重視している国。多くの中国人に日本を訪れてもらいたい」とアピールした。日中合弁の一汽トヨタ自動車販売も、トヨタ車の購入者の中から抽選で1万人を日本旅行に招待するキャンペーンを打ち出した。
 中国人向け個人観光ビザの発給は昨年7月から始まり、年収25万元(約340万円)以上が条件の一つだった。新しい条件は年収6万元(約80万円)以上かクレジットカードのゴールドカードの所有など。この結果、対象世帯も1600万と、約10倍に増えると期待されている。
 申請先も従来の北京、上海、広州のほか、瀋陽、大連、青島、重慶の4公館にも広げる。今年度は中国大陸(香港、マカオ、台湾を除く)から、昨年度より8割多い180万人の団体・個人旅行客をみこむ。
 政府は、2019年に09年実績の4倍近い2500万人の外国人観光客の誘致を目指す。

◎豪雨で山崩れ、107人が生き埋め、中国南西部(2010年6月29日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】新華社電などによると、中国南西部の貴州省関嶺県で28日午後、豪雨により山崩れが発生し、38世帯107人が土砂の中で生き埋めになった。
 前夜から降り始めた雨は約200ミリに達し、周辺の地盤が緩んでいたとみられる。

◎トヨタ広州工場が操業再開(2010年6月28日、産経新聞)
 トヨタ自動車は28日、中国の広州工場が同日から通常操業を再開したことを明らかにした。現地従業員のストライキで生産停止していた系列の大手部品会社デンソーが通常操業に戻り、部品を調達できるようになったため。
 トヨタは広州工場で「カムリ」などを生産。22日から計4日間操業を停止し、計4700台の生産に影響が出た。「生産台数を挽回する方法をこれから検討する」(広報部)としている。

◎押収した違法コピー商品、8割は中国から、米当局発表(2010年6月27日、朝日新聞)
 【ワシントン=勝田敏彦】米税関・国境警備局が2009会計年度(08年10月~09年9月)に押収した2億6070万ドル(約236億円)相当の違法コピー商品などのうち、79%(金額ベース)が中国からだった。米ホワイトハウスがこのほど発表した「知的財産権保護の新戦略」で分かった。
 押収物では靴や家電製品などが多かった。中国では米国製の映画やソフトウエアの違法コピーも多く出回っているとされる。米政府は違法コピー商品を販売するインターネット・ウェブサイトの取り締まりなどを関係各国と協力して強化する方針だ。

◎「朝鮮戦争は北の侵攻」中国紙が異例の報道(2010年6月25日、読売新聞)
 【瀋陽=比嘉清太】中国国営新華社通信系列の国際問題専門紙「国際先駆導報」最新号(24日発売)は、「1950年6月25日、(北)朝鮮軍が38度線を越えて進撃を始めた」と報じた。
 歴史的に、朝鮮戦争を「米韓による侵略戦争」と位置づけてきた経緯がある中国で、政府系メディアが「朝鮮戦争は北朝鮮軍の侵攻で始まった」との立場を伝えるのは異例だ。
 共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」紙(18日付、電子版)も、朝鮮戦争勃発(ぼっぱつ)時の状況について「(ソ連の)スターリンは(北朝鮮の)金日成の(武力統一)計画に同意した」とする研究者の見解を伝えた。
 韓国の海軍哨戒艦沈没事件を念頭に、「中国が全面的に北朝鮮擁護の立場に立っているわけではないとのメッセージでは」(外交筋)との見方も出ている。
 ただ、同戦争に人民志願軍を派遣して北朝鮮とともに戦った中国は、公式には「北朝鮮の侵攻」を認めていない。中国外務省の秦剛副報道局長は24日の記者会見で、この問題での明確な回答を避けた。

◎偽ATMまで出現、パスワード盗む、北京中心部(2010年6月22日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】中国紙・京華時報は21日、偽の現金自動預け払い機(ATM)が北京市内に設置され、被害があったと報じた。
 携帯電話やブランド品などの偽物にとどまらず、偽ATMも登場したとして、市民もあきれている。
 同紙などによると、中国で盗作を意味する「山寨(さんさい)」版ATMが設置されたのは北京市中心部の街中で、香港の銀行の物を装ったATMは、カードの挿入口、操作ボタンなど本物そっくり。15日にキャッシュカードで現金を引き出そうとした利用者がパスワードを入力すると、「一時サービス停止」と表示され、後日、口座から5000元(約6万6500円)を引き出されたと気づき、警察に通報した。
 警察は20日、容疑者を拘束したが、この容疑者は偽ATMを使ってカード情報や入力したパスワードを盗み取っていたとみられる。

◎トヨタ広州工場が停止、部品会社のストで(2010年6月22日、産経新聞)
 トヨタ自動車は22日、同日朝から中国広東省広州市の完成車組立工場の稼働を停止していることを明らかにした。デンソーの子会社「電装(広州南沙)有限公司」の工場で21日に待遇改善を求めるストライキが発生し、部品の供給が止まったため。広州の工場はトヨタにとって、中国で2番目に大きい製造拠点で、ストが長引けば販売面に影響が出る可能性もある。
 トヨタの広州の工場では、中国での主力車のカムリや小型車のヤリス(日本名ヴィッツ)などを生産している。
 デンソーの部品工場では、トヨタなどの完成車工場に燃料噴射装置を供給。21日にストが始まった影響で、同日午前から稼働が止まっていた。デンソーは賃上げに応じるかは明らかにしていないが、トヨタは「明日以降の操業は、今後の状況をみて判断する」としている。

◎人民元、対ドル基準値0.43%上げ、05年以降最高値(2010年6月22日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国の中央銀行である中国人民銀行は22日午前、人民元対ドル相場の基準値を、前日の基準値より0.43%元高ドル安の1ドル=6.7980元に設定した。人民元相場の弾力化の初日となった前日の銀行間取引の終値1ドル=6.7976元とほぼ同水準。前日の取引で2005年7月の為替制度改革以降の最高値を更新する水準まで元高ドル安を容認したのに続き、取引の目安として毎朝発表する基準値でも、人民元相場の段階的な上昇を認める姿勢を明確にした。
 基準値としては、05年7月の為替制度改革以降の最高値となり、前日の基準値からの上昇率としても改革後で最も高くなった。人民銀は今後、人民元相場の動きを、「基準値の上下0.5%」と定められた1日の取引での許容変動幅の範囲内で市場に委ねたうえで、翌日の基準値設定でも前日の相場上昇を追認していく方針とみられる。
 市場では「今後は、相場をある程度市場の動きに任せ、基準値設定も合わせていくのだろう」(上海の邦銀為替担当者)とみている。銀行間取引では、取引開始直後に一時1ドル=6.7900元まで元高ドル安が進み、前日つけた為替制度改革以降の最高値を更新したが、正午(日本時間午後1時)時点では1ドル=6.8100元前後と、基準値よりも元安ドル高に振れている。
 人民銀が人民元相場の弾力化を高める意向を示す声明を出した後、最初の取引日となった21日は、対ドル相場の基準値を先週末と同じ1ドル=6.8275元に設定。だが、その後の銀行間取引で対ドル相場は大きく元高ドル安が進んだ。ただ、人民銀の意向を反映するとされる基準値が先週末から据え置かれたため、市場では、人民元切り上げに対する人民銀の姿勢をはかりかねた取引参加者から戸惑いの声が出ていた。

◎死者・不明者200人超す、中国南部の豪雨(2010年6月20日、産経新聞)
 中国の通信社、中国新聞社電によると、中国南部で13日から続いている豪雨による死者は20日までに132人となり、行方不明者も86人に上った。
 被災地域は湖南、福建、江西、貴州などの8省と広西チワン族自治区南部で、被災者は1003万人。最も豪雨が激しかった江西省南昌では20日午前8時までの24時間の雨量は329ミリに達したという。

◎中国スト拡大、トヨタ工場が停止、日産関連でも初(2010年6月19日、産経新聞)
 中国での日系自動車部品メーカーでのストライキがさらに拡大している。トヨタ自動車は18日、系列部品メーカーのストの影響で部品が調達できなくなり、天津市にある完成車工場の操業を停止した。
 同市内にあるグループの豊田合成の工場で17日からストが起きた。内外装の樹脂製品を製造しているが、物流部門の従業員約40人が賃上げを要求し、製造部門の一部従業員も加わった。労使協議が行われているが、18日も操業ストップしている。豊田合成では別の部品工場でも15日にストが起きていた。完成車工場の停止は、ホンダに続き、トヨタで2社目。
 また、日本プラスト(静岡県富士宮市)は18日、日産自動車やホンダにハンドルなどを供給している中国広東省中山市の工場で17日から、ストが続いていることを明らかにした。
 現地では一部で生産が停止し、労使間で賃上げ交渉を行っているという。日産関連の部品メーカーでストが確認されたのは初めてだが、完成車工場への影響は今のところ出ていない。
 ホンダ系の自動車部品メーカー、高尾金属工業(滋賀県甲賀市)でも、同社などが出資する湖北省武漢市の部品工場で17日から18日にかけてストが起きた。車体の骨格などを製造し、市内にあるホンダの完成車工場に納入している。

◎中国、人民元の上昇容認へ、対ドル相場固定を解除の意向(2010年6月19日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は19日、「人民元為替レートの弾力性を強める」とする声明を発表した。人民元相場のドルへの固定を解除し、再び人民元を上昇させていく意思を示すものだ。カナダで26日に開かれるG20首脳会議を目前に、為替制度の改革への積極性を示した。
 週明けの21日以降、為替介入によって2008年夏から続けてきた1ドル=6.83元前後での相場固定を解除。対ドル相場の緩やかな上昇を再び容認していくものとみられる。為替制度そのものは変更しないので、人民元の対ドル相場の上昇ペースは今後も人民銀が握る。最大でも毎朝、人民銀が公表する基準値の0.5%に制限される。
 人民銀は声明で「世界経済は着実に回復し、中国経済の回復傾向の基礎もしっかりとしたものになっており、経済運営は平穏に向かっている。人民元為替レートの形成メカニズムの改革をさらに進める必要がある」と強調した。
 中国政府は今回の声明を機に、08年の金融危機で先送りしていた国内の産業構造の転換に本腰を入れる方針とみられる。輸出依存型の経済から徐々に脱却し、産業の高度化を図り、内需主導型への転換を進めていくとみられる。
 中国では人民元相場を固定するために続けてきた「元売りドル買い介入」で、中国国内に人民元がだぶつき、インフレ圧力や不動産バブルが発生。物価上昇を抑えて景気回復を息の長いものにするため、人民元の上昇再開は避けられないものになっていた。
 ただ、ギリシャの財政危機をきっかけとする欧州での財政不安、ユーロ安進行で世界経済の先行きには不透明感が出ていることから、為替制度改革に前向きな姿勢を強調しつつも、人民元の対ドル相場を一度に数%切り上げる方法は避け、人民元相場の上昇ペースについては、世界経済の先行きや輸出の動向を見極めながら決める、との判断に至ったものとみられる。
 中国は05年7月の為替制度改革で、人民元対ドル相場を約2%切り上げ、その後も緩やかな上昇を容認していた。だが、金融危機の深刻化から自国の輸出産業を守るため、08年夏から相場を事実上固定した。自国通貨が安いと、輸出品を割安な価格で他国に売り込める。
 しかし、中国製品を大量に輸入する米国にとっては、人為的な為替の固定は、自国産業の収益を悪化させ、貿易赤字の拡大にもつながる。米議会は「人民元の対ドル相場が不当に安く抑えられているせいで、米国企業の競争力がそがれ、米国内での失業増を招いている」と、中国に対して人民元切り上げを求めていた。今回の声明には、6月下旬にカナダ・トロントで開かれるG20サミットを前に、米国の要求をかわす狙いもあるとみられる。

◎トヨタ天津工場が一時停止、系列でスト、21日にも再開(2010年6月19日、朝日新聞)
 トヨタ自動車は、中国の系列部品メーカーがストライキで操業を停止した影響で、天津市にある車の組み立て工場の操業を18日に停止したことを明らかにした。ただ、部品メーカーのストは19日に終息したため、21日にも生産を再開する見通しだ。
 ストが起きたのはトヨタ系有力部品メーカー、豊田合成の子会社「天津豊田合成」。17日からのストライキで、小型車「カローラ」や高級車「クラウン」向けの内外装の樹脂部品の供給が止まった。
 豊田合成によると、19日午後に賃金の2割アップや諸手当の増額で労使が合意。20日は休日だが、トヨタへの部品供給を急ぐため、稼働し、同日中にもトヨタへの供給を再開する方針だ。
 トヨタの天津工場は、2009年に約38万台を生産したトヨタの中国最大の生産拠点。ストの影響で18日に第1から第3までの3工場すべてが操業を停止。トヨタは「21日から生産を再開したい」(広報)としている。

◎中国原発広がる懸念、放射線物質漏れ、香港など「隠蔽か」(2010年6月16日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国の原子力発電所をめぐる安全性の確保や情報公開の在り方に対し、内外で懸念が広がっている。広東省深●(土へんに川)市の原発で5月23日に起きた放射性物質漏れ事故が3週間以上たって香港側で確認され、中国側はその後やっと「外部への影響はない」とする声明を出すなどお粗末な対応に終始しているからだ。「隠蔽(いんぺい)工作ではないか」との批判も起きている。
 中国では現在11基の原発が稼働し、26基が建設中。今回は香港の報道で原発事故が明るみに出たが、中国の内陸部で今後、原発事故があってもどこまで公正に情報が伝わり、的確に対処されるか疑念が残る。
 香港のニュースサイト鳳凰(ほうおう)網などは16日、事故が起きた大亜湾原発(発電能力98万4千キロワット)を管轄する中国広東核電集団が、「燃料棒に微少なひびが入った可能性があるが、放射性物質は外部から完全に隔離され、外部にはいかなる影響もない」と発表したと伝えた。国際原子力機関(IAEA)の原子力事案には当たらず、公表の義務はなかったと突っぱねている。
 同原発から電力供給を受けている香港の中華電力も同様の理由で、「事故隠蔽ではない」と反論した。
 今回の事故は14日に香港メディアが「大亜湾原発で重大な事故が発生した」と報じて問題となり、香港政府保安局が中華電力に確認を求めたところ、15日になって中華電力が事故の事実を確認した。その後、ようやく中国側も“弁解”の声明を出す騒ぎとなった。
 だが、情報公開の不透明さも手伝って、深●市や同原発から数十キロしか離れていない香港で住民らの不安をあおる結果になった。同原発は中華電力など香港資本も25%出資して1994年9月に設立、70%は香港側に売電されている。
 中国では稼働中の11基の原発の発電能力が合計で約900万キロワット。さらに電力需要急増に対応し湖北、江西や河南など、内陸部も含め同約2950万キロワット、26基もの原発が建設中だ。今回の隠蔽疑惑に加え、原発関連の人材不足や、過去には手抜き工事や発注をめぐる巨額贈収賄事件も摘発されている。

◎「我が子のように接せ」、温首相50人と座談会、労働争議ガス抜き図る(2010年6月16日、産経新聞)
 【北京=川越一】中国各地で賃上げを求めるストライキが発生する中、温家宝首相は、北京市内の地下鉄工事現場を慰問し、農民工(出稼ぎ労働者)約50人と座談会を開いた。過酷な労働条件や低賃金に不満をくすぶらせる全国の農民工に向けて生活改善を約束することで、労働争議の飛び火を防ぐ狙いがうかがえる。
 中国国営新華社通信などによると、温首相は16日の端午節を2日後に控えた14日、北京市内の児童福祉施設や市場などを慰問した足で、休日返上で働く農民工との座談会に臨んだ。
 出席したのは建築業や製造業、サービス業に従事する若い世代の農民工。温首相は、農民工を中国の産業の「主力軍」「社会の財産」と持ち上げ、都市にとけ込み、社会から尊重されるべきだと主張した。
 28歳の農民工が「会社が用意する住居や飲食などの生活条件は悪くないが、仕事はきつく、生活は単調だ。だから、きれいな服を着て、ゆったりと暮らす都市の人々がうらやましい」と訴えると、温首相は農民工の生活改善に賛同。企業に余暇の充実を求め、農民工には読書や技術の習得にいそしむよう助言した。
 そのうえで、「政府や社会の各界はわが子に接するように若い農民工に接するべきだ」と述べ、次世代の主要な労働力となる若年層に、特別な配慮を示した。
 中国の人口統計学者の推定では、2050年には中国国民の4人に1人が65歳以上となる見通しで、労働人口の老齢化や労働力不足が懸念されている。
 賃上げを求める労働争議の拡大は、安価な労働力に頼ってきた「世界の工場」の屋台骨を揺るがしかねない。若年労働者の不満に理解の姿勢を示すことで、事態の沈静化を図った形だ。

◎中国、賃上げ要求スト拡大、政権は後押し(2010年6月16日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】中国の外資工場で賃上げ要求を掲げた労働争議が多発している。
 共産党政権が輸出依存から、内需拡大への経済転換を目指し、労働者の賃上げ要求を黙認していることが背景にある。争議拡大は「世界の工場」と呼ばれた中国の姿を一変する可能性をはらんでいる。
 温家宝首相は14日、北京での視察で民工(出稼ぎ労働者)と面会し、「民工は社会の財産。社会全体で尊重されるべきだ」と述べ、外資工場での賃上げや待遇改善に理解を示した。
 中国ではホンダ部品工場が30%、自殺者が相次いだ台湾系電子工場が60%の賃上げを約束したことが刺激となり、争議は広がる一方。香港の人権団体などによると、広東省や江蘇省などの沿海部を中心に5月以降、20件以上のストが起きた。
 中国は低賃金労働で外資を誘致し、コンピューターや携帯電話の生産を担ってきた。賃金上昇は労働コストを高め、輸出競争力の低下につながりかねない。さらなるインフレを招く可能性もはらんでいる。
 それでも、政権が争議を黙認するのは、消費主導の成長実現には、低賃金に甘んじてきた民工の所得向上が必要とみるためだ。中国紙記者は「外資工場でのストは共産党政権の狙いに合致する」と解説する。
 また、若者の権利意識が強まる中、賃上げで「ガス抜き」を図る狙いもある。1980年代以降に生まれた世代は、2億人を超える民工の6割を占める。親の世代と違って教育水準も高く、権利意識も強い。
 共産党政権は、2008年施行の労働契約法で賃金改定に際して企業に労組との協議を義務化し、労働者に一定の賃上げ要求の権利を認めた。現在、合法化された労組は、共産党指導下の労組全国組織・中華全国総工会(組合員数2億2600万人)だけだが、外資工場では「自主労組」を組織し、集団交渉に臨む動きが目立つ。
 一方、政権は外資工場のストが国営企業に波及することに警戒を強めている。香港メディアによると、河南省の国営繊維工場で今月上旬までに5000人が賃上げなどを求めて2週間ストを続けた際、地元当局は多数の警察官を投入し、強制排除した。参加者の一部はホンダ部品工場のストの写真を掲げ、「彼らには認められたのに、なんで我々はだめなんだ」と訴えたという。
 当局が恐れるのはストの常態化で、賃金や待遇に対する不満が政府批判に発展し、社会不安につながることだ。中国当局者は「当局の思惑を超えるストの拡大は許されない。標的は外資工場に絞られているようだ」と指摘する。

◎中国の検閲問題、グーグル、WTOに提訴の準備(2010年6月12日、朝日新聞)
 【ニューヨーク=山川一基】米インターネット検索最大手グーグルに対する中国の検閲問題で、グーグルが欧米当局と協力して世界貿易機関(WTO)へ提訴する準備を進めていることが11日、明らかになった。検閲自由な貿易を阻害すると主張している。ロイター通信が伝えた。
 グーグルは今年3月、中国政府が検索を制限する検閲をしているとの理由から、中国本土での検索事業を停止。香港に拠点を移している。
 同社幹部はワシントンで開かれた討論会で、検索結果が制限されると、中国に本拠を置く検索サイト「百度(バイドゥ)」などとの競争で不利になるとして、「検閲は貿易障壁に当たると確信している」と主張。米通商代表部や国務省、商務省、欧州当局と提訴に向けた協議をしていることを明らかにした。
 ネット検閲問題が米中間で改めて摩擦を引き起こす可能性が出てきた。ただ、これまでWTOでネット検閲が取り上げられたことはなく、提訴しても問題解決には数年かかる可能性があるという。米国ではクリントン国務長官が、ネット規制は基本的人権を侵害すると発言している。

◎上海、珠海で工場スト、「富士康」が飛び火(2010年6月10日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターによると、中国・上海市と広東省珠海市の外資系電子工場で9日から10日にかけ、工員計数千人がストライキに突入した。
 工員の相次ぐ自殺を受けて大幅昇給した広東省深●(=土へんに川)市の台湾系電子機器メーカー富士康集団と同水準の賃上げを求めており、飛び火した形。
 同センターによると、上海の工場は台湾資本で約5千人が勤務。9日から千人余りがストに突入し、10日は約2千人に増えた。また米国系の珠海の工場では10日から、約3万人のうち千人余りがストを開始した。
 いずれも、連続自殺を受け基本給を2・2倍の2千元(約2万7千円)に引き上げた富士康並みの昇給を求めている。

◎グーグル、中国への圧力要請、米欧各国に(2010年6月10日、産経新聞)
 米インターネット検索大手グーグルは9日、中国が行っているネット検閲が貿易障壁になっているとして米国や欧州連合(EU)加盟国に対して中国に圧力をかけるように要請していることを明らかにした。米メディアが伝えた。
 グーグルの法務責任者がブリュッセルで報道関係者に対し、中国のネット検閲について「人権問題であると同時に貿易障壁だ」と述べた。米国、フランス、ドイツなどが中国への働きかけについて前向きな反応を示したという。
 グーグルは、中国政府から要請された検閲をこれ以上受け入れられないとして、3月に中国本土から撤退し拠点を香港に移した。

◎中国工場スト拡大、台湾系工場で警官隊と衝突(2010年6月8日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国の江蘇省昆山市にある台湾系機械部品工場で7日、賃金制度の見直しなどを求めてストを行った従業員ら約2千人と警官隊数百人が衝突し、従業員約50人が負傷した。8日、香港紙などが伝えた。同市には台湾系企業が3千社あまり進出している。当局では近隣工場への波及や同市に隣接する上海市で開催中の上海万博への影響を懸念し、ストが起きた工場の周辺に1千人以上の警官隊を投入して警戒にあたっている。
 従業員の自殺が相次いだ広東省深●(土へんに川)市の台湾系大手電子機器メーカー、富士康で半年間に2倍の賃上げが決まったことなどが影響したとみられる。同時に、中台関係をめぐる政治力の“逆転現象”が起きているとの見方から、台湾系企業の中国人従業員や労組が、低賃金労働を変えさせる機会ととらえている可能性がある。
 ストが起きた台湾系工場は、米国に本社を置く台湾系のKOKが1993年に設立した書元機械。従業員側は手当て支給などを要求、生産ラインはほぼストップ状態にある。
 また、香港からの報道によると、広東省仏山市でホンダの中国国内の完成車工場向けに部品を供給している地場資本のメーカー、豊富汽配の工場で、従業員ら約250人が7日からストに入った。
 さらに、同省恵州市の韓国系電子機器工場でも従業員約2千人が7日からスト。多数の従業員が周辺の道路を封鎖、警官隊とにらみ合っているという。深●市の台湾系電子機器メーカー、美律電子でも6日から7日にかけて数千人のストが発生した。湖北省随州市では紡績工場で大量解雇に対する抗議行動が起きたという。
 中国では年内にも、「同一労働、同一賃金」といった計画経済時代への逆戻りのような賃金体系を経営側に求める「賃金法」が成立するとの見通しもある。
 これを見越して、労組側がストを巻き起こしたとの指摘もあり、「事態がエスカレートすれば、ベトナムなどへの工場移転も検討せざるを得ない」(日系機械メーカー幹部)と懸念する声が出始めている。

◎ストの工員と警官隊が衝突、50人負傷、中国・上海近郊(2010年6月8日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動情報センターによると、中国上海市近郊の江蘇省昆山市にある台湾系機械部品工場で7日、工員約2千人が待遇改善を訴えてストライキに突入、警官隊数百人と衝突し、工員50人以上が負傷した。
 ストは8日も続いており、上海万博への影響を防ぐため警官隊が工場周辺を警戒している。
 中国では、工員の自殺が相次いだ台湾系大手電子機器メーカー富士康集団や大規模ストが起きたホンダの部品工場で大幅賃上げを実施しており、その余波とみられるストが続発している。

◎広東省でスト続発(2010年6月7日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは7日、中国広東省恵州市と深●(=土へんに川)市の電子機器工場でストライキやデモが起きていると伝えた。
 同省では、工員の自殺が相次いだ台湾系大手電子機器メーカー富士康集団や、大規模ストが起きたホンダの部品工場で大幅賃上げを実施しており、その余波とみられる。
 同センターによると、恵州の韓国系電子機器工場では工員2千人余りが7日からストに突入。低賃金や長時間労働の改善を訴えている。また6日には深●(=土へんに川)の工場でも、賃上げを求める多数の工員が周辺の道路を封鎖、警官隊と乱闘になった。

◎「言論の自由は保障」、ネット政策の正当性訴え、中国初のインターネット白書(2010年6月8日、産経新聞)
 中国国務院新聞弁公室は8日、中国のインターネット状況に関する白書を初めて発表した。「法に基づく管理」や「安全確保」を強調する内容で、ネット検閲やサイバー攻撃などに対する国際的な批判をかわす狙いがうかがえる。
 中国は世界最大3億8千万人超のインターネット利用者を抱える。白書では、インターネットを、経済の発展や科学技術の進歩、社会サービスの加速を促すうえで不可欠な存在と位置づけ、今後5年間で、ネット普及率を45%まで引き上げることを目標に掲げた。
 そのうえで、ネット利用者の3分の1を占める未成年者の健全な成長のために、検閲をはじめとする規制が必要だと強調。国民のネット上での「言論の自由」は保障されているとし、ネット政策の正当性を訴えている。

◎1億人がネットで買い物、中国、取引額は48兆円(2010年6月8日、産経新聞)
 中国国務院(政府)が8日発表した初の「中国インターネット状況」白書によると、中国のオンラインショッピングの利用者は既に1億人を超え、2009年の電子商取引額は3兆6千億元(約48兆円)に上った。
 今年に入り、楽天が中国のネット検索大手「百度(バイドゥ)」と仮想商店街事業の合弁会社を設立。日本のネット通販大手、ヤフーも中国のネット販売最大手「淘宝(タオバオ)」と業務提携するなど巨大市場を狙った連携が活発化している。白書は「ネット販売の拡大は速い」としており、今後もさらに市場が膨らむ見込みだ。
 白書によると、中国のネット広告市場の規模は過去5年間に年平均約30%のペースで拡大し、09年は200億元を突破。09年のオンラインゲームの市場規模も前年比39.5%増の258億元に達した。

◎ホンダ中国部品工場で乱闘、スト続行巡り従業員ら数百人(2010年6月1日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国紙、財経新聞(電子版)によると、従業員のストに揺れる広東省仏山市のホンダ系自動車部品メーカー、本田自動車部品製造で5月31日、経営側を支持してスト回避に動いた労働組合員と、スト続行を主張する従業員の合わせて数百人が工場内で乱闘となり、7、8人の従業員が負傷した。
 通常業務に復帰しようとした組合員が、スト続行を主張する従業員をビデオで撮影したところ、従業員側が「労組は労働者の代表ではないのか」「中国人ではなく日本人(経営側)の肩を持つのか」などと抗議して顔に殴りかかって、流血の騒ぎになったという。
 その後、数十人の地元警察が出動して、工場周辺の道路を封鎖したが、同紙によると、警察当局は乱闘や負傷者の確認を避けた。経営側は労組側に対し、スト参加者への責任は一切追及しないと表明していた。
 この部品工場では変速機を生産しているが、5月17日からのストで部品供給が止まり、ホンダの中国の完成車4工場が相次ぎ操業停止に追い込まれていた。部品工場では賃上げなどの条件に同意した労働組合員らが職場に復帰し、31日に生産を一部再開していた。

◎「レナウン、強いデザイン力」提携の中国・山東の邱会長(2010年5月30日、朝日新聞)
 【済寧(中国山東省)=琴寄辰男】経営再建中のアパレル大手のレナウンと資本業務提携を結んだ中国繊維大手、山東如意科技集団の邱亜夫会長が29日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。財務、市場開拓など四つのプロジェクトチームを双方が立ち上げ、すでに3回の会合を重ねていることを明らかにし、レナウンの今後5年間の新経営計画を6月末までに策定する方針を示した。「シンプルライフ」などレナウンブランドを中国市場で展開する具体策などを盛り込む。
 邱氏がメディアの単独取材を受けるのは、提携発表後初めて。
 如意はレナウン株の4割を保有して傘下に置く見通し。邱氏はレナウンとの提携を検討し始めた時期を「昨年11月」とし、約半年で合意に至った理由について、高級衣料品の戦略などで「両社が一致する点や補い合う点が多かったからだ」と強調した。「我々は生地の技術でリードしており、レナウンは強力なデザイン力と流行をとらえる力を持っている」と述べ、繊維メーカーから総合衣料品グループへの飛躍を目指す如意にとって、レナウンの商品企画力が欠かせないとの見方を示した。
 レナウン再建の課題については「多すぎるブランドの整理」と「中国市場の開拓」などを挙げた。レナウンブランドの中国展開に関しては「すでに全国規模の企業集団と接触しており、一度に100店規模で出店することも可能」と話し、強力に後押しする姿勢を強調した。そのうえで「レナウン側が数百人規模の人員削減が必要と言ってきたこともあったが、私は『必要ない』と言った。中国市場開拓には多くの人材が欠かせないからだ」とも語り、さらなる人員削減は不要との考えを示した。
 また、邱氏は「レナウンの大株主は変わり続け、その多くが短期的な利益を求める投資ファンドだった」と指摘。今回の提携は「兄弟のような関係で、両社双方の発展に有利」と述べ、長期的な戦略に基づくものと強調した。
 レナウンの現在の筆頭株主である金融投資会社ネオラインホールディングスとの関係については、邱氏が提携発表後にネオライン側と接触したことを明らかにしたうえで、「全面的に我々を支持していると思う」と話した。

◎中国が北朝鮮向け支援を制限か、「核融合に成功」報道後(2010年5月30日、朝日新聞)
 【瀋陽=西村大輔】北朝鮮メディアが今月12日に「核融合反応に成功」と報道した直後から、中国当局が北朝鮮向けの支援物資の運搬を一部停止し、経済協力プロジェクトの凍結も検討している模様だと、中朝関係筋が明らかにした。金正日(キム・ジョンイル)総書記の訪中直後に新たな核開発を誇示するような動きを見せた北朝鮮に中国側は強い不快感を抱いているとみられ、独自の制裁措置をとっている可能性がある。
 関係筋によると、中朝国境地帯の各地の貿易拠点で、定期的に北朝鮮に搬出されるコメやトウモロコシなどの穀物や化学肥料、医薬品、工作機械などの支援物資を積んだトラックの流れが、今月中旬から停止、または大幅に減少しているという。
 また、昨年10月の温家宝(ウェン・チアパオ)首相訪朝の際などに合意した経済協力プロジェクトのうち、中朝国境の鴨緑江に新たに建設する橋などを除く多くの計画の凍結が、中国政府内で検討されているという。
 北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は12日、核融合反応に成功したとし、目的を「安全な新エネルギーを得るため」と伝えた。だが、核融合反応は高度な技術と巨額の費用が必要で、国内向けのプロパガンダに過ぎないとの見方が根強い。
 また、北朝鮮の関与が指摘されている韓国哨戒艦沈没をめぐり国際社会の風当たりが厳しくなる中、核技術の水準の高さを誇示して米韓を牽制(けんせい)しているとの見方もある。
 だが、今月上旬に金総書記が訪中し、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席との首脳会談で「朝鮮半島の非核化の目標を実現するために努力する」「6者協議を推進するために積極的に努力する」と確認したばかり。その直後の「核融合反応成功」との報道に、朝鮮半島の安定を最も重視する中国側は強い不満を抱いているとされる。
 核実験などをめぐり国際社会から経済制裁を受けている北朝鮮にとって、中国は最大の援助国。中国から供給される大量の食糧や資源などの支援物資は、北朝鮮の生命線とされる。哨戒艦沈没事件を受けて韓国が南北交流・交易の原則中断を決めるなど、韓国の支援・協力も期待できない状況になっており、そのうえ中国の支援が細れば、北朝鮮は一層厳しい経済運営を迫られることになる。

◎日本人駐在員との給与格差「50倍」やり玉、中国ホンダ系工場スト(2010年5月29日、産経新聞)
 中国広東省仏山にあるホンダ系の自動車部品工場で賃上げを求めて従業員らが行っているストライキで28日、中国人従業員らが日本から派遣された駐在員との「50倍」という給与格差問題をやり玉に挙げ、経営側を突き上げていることが分かった。
 江西省の衛星テレビなどが同日伝えたところによると、ストが起きている「本田自動車部品製造」の女性従業員が手取りで月額平均約1千元(約1万3500円)なのに対し、駐在する日本人技術者は同5万元。従業員らは経営側に日本人の給与を公表するよう迫ったという。
 中国では年内にも「同一労働同一賃金」を柱とする「賃金法」の成立が見込まれており、中国人従業員らはこうした法整備をにらみながら労使交渉を進めているものとみられる。
 部品工場のストには1千人以上が参加。経営側は約350元(約4700円)の賃上げを提示したものの、従業員側は拒否した。賃金の倍増となる1800~2000元への引き上げを求めており、交渉は難航しているようだ。
 工場からの部品供給がストップしたため、中国国内に4カ所あるホンダの完成車工場も操業停止に追い込まれる深刻な事態となっている。
 ホンダは28日、中国国内の工場について月内の稼働を断念したことを明らかにした。31日に再交渉し、6月1日から稼働できるかどうか判断する。広東省広州の輸出専用工場に関しては31日、変速機の在庫がある50台だけ生産。関係者は「部品工場の復旧が最優先だが、並行して部品供給を検討中だ」と述べ、日本からの変速機輸送を検討する方針を示した。
 生産停止の影響について「在庫があるため当面、問題はない」としているが、事態が想定以上長引いて生産計画に波及すれば悪影響が出る可能性も否めない。4月の四輪車の生産実績によると、中国でのホンダの生産は前年4月を28・7%上回る5万8814台で、4月としては過去最高だった。それでも、1~4月が前年比4割増という好調な販売状況に追いつかず、ホンダは中国での増産方針を発表したばかりだった。
 現地事情に詳しい関係者は「中国政府が労働者の権益保護に力を入れる一方、経済発展と一人っ子政策の結果、労働者にとって“売り手市場”になっている」と指摘する。
 ホンダに限らず、中国に進出している企業にとって、労使トラブルや労務コストの増大は頭痛のタネとなりそうだ。(上海 河崎真澄、高橋寛次)

◎深せんの工場でまた自殺未遂、25歳男性が手首切る(2010年5月28日、産経新聞)
 28日付の香港紙、明報などによると、工員の飛び降り自殺が相次いでいる中国広東省深●(=土へんに川)市の台湾系大手電子機器メーカー、富士康集団(フォックスコン)工場で27日早朝、25歳の男性工員が手首を切って自殺を図った。病院に運ばれ命に別条はないという。
 この工場で今年に入り、2件の未遂を含む13件目の自殺・自殺未遂で、飛び降り以外では初めて。新華社電によると働き始めてわずか2カ月余りだった。

◎中国携帯メーカーで相次ぐ若者の自殺、軍隊式管理のストレス? 一人っ子世代のひずみ?(2010年5月27日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】27日付の中国紙、東方早報などによると、広東省深●(=土へんに川)の携帯電話機メーカー、富士康(フォックスコン)で26日深夜、従業員男性(23)が建物から転落し、死亡が確認された。転落死した同社の従業員は、今年に入って10人に達し、いずれも自殺と地元警察は断定した。同社は米アップルなど有力企業から製品の生産を受託する典型的な輸出型企業で、中国の成長を支える現場での相次ぐ自殺に、社会矛盾や一人っ子世代の心理的なゆがみを指摘する声が広がっている。
 10人はいずれも20歳前後で、10人目の転落死は、富士康の親会社でEMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手、台湾の鴻海精密工業の郭台銘会長が、深●の工場で初めて記者会見した26日の深夜に起きた。
 郭会長は会見で、今年に入って25日までに死亡した9人の遺族に哀悼の意を示す一方で、「40万人以上いる従業員の割合からみて9人の死亡は多くない」「9人はいずれも入社半年以内で、仕事上のストレスが原因だったとはいえない」などと述べた。
 富士康では昨年7月にもアップルから受注した携帯電話機「iPHONE(アイフォーン)」の次世代製品のサンプル紛失の嫌疑をかけられた当時25歳の従業員が飛び降り自殺する事件が起きたほか、死亡者とは別に、従業員2人が転落で重傷を負っている。
 中国や香港のメディアは、富士康が製品や技術の秘密保持を徹底するあまり、軍隊式といわれる厳しい人事管理を敷き、ストレスを受けた若い従業員が死に追いやられたのではないか、と経営姿勢を追及している。27日付の文匯報によると、中国の公安省などはこのほど、同社に対する合同調査を開始した。
 40万人の工場従業員のほとんどは深●以外の地方出身で、中学や高校卒業後に採用され、工場に近接する寮などで暮らしている。地元紙は、「戸籍問題をたてに農村出身者が差別される中国都市部の社会矛盾に直面したのではないか」との専門家の見方を伝えた。
 富士康の従業員は1980年以降に生まれた一人っ子政策世代ばかり。「4人の祖父母と両親に甘やかされて貧困を知らず、努力もしなかった中国の若者は、現実の企業社会のルールに適応できない」といった中国の製造業全体が抱える問題に対する関係者の指摘もある。

◎ホンダ、中国4工場がストで停止、部品供給中断(2010年5月27日、産経新聞)
 ホンダは27日、中国広東省仏山市にある部品工場で、中国人従業員の賃上げを求めるストライキが起き、生産が停止している、と発表した。部品供給が止まった同国内の四つの完成車工場も操業停止に追い込まれた。
 操業が止まった工場では日本向けの生産はしていないため、日本国内への影響はないという。ホンダは争議収拾に向けて労使で「前向きに話し合っている」としているが、生産再開のめどは立っていない。
 ストライキは17日、仏山市の変速機を製造する工場で発生。労使協議を行ったが、賃上げ額で折り合わず、21日夜から操業が止まった。
 変速機の供給先で、主力車「アコード」などを製造している同省広州市の二つの工場が24日に停止、26日には湖北省武漢市の工場と、広州市の輸出車専用工場も操業ができなくなった。

◎レナウン、中国企業の傘下に、数十億円出資受ける方針(2010年5月23日、朝日新聞)
 経営再建中の大手アパレルメーカーのレナウンに対し、中国の繊維大手、山東如意集団(山東省)が出資を検討していることが22日、わかった。出資金額は数十億円とみられ、株式の3分の1超を取得して筆頭株主になり、グループ傘下に入れる方針だ。成長著しい中国企業が豊富な資金力で日本企業を傘下に収める例が増えており、こうした動きが加速しそうだ。
 関係者によると、レナウンが山東如意を引受先として数十億円の第三者割当増資をする予定で、近く発表する。山東如意は現在、レナウン株の約25%を持つネオラインホールディングスを抜いて筆頭株主になる見通し。経営の重要事項の拒否権を持てる3分の1超の株式を握り、事実上傘下に入れるとみられる。
 山東如意は中国内で10位以内に入る大手の総合繊維メーカー。レナウンを傘下に入れることで、大きな売り上げが期待できる日本市場での販売に本格的に乗り出す。また、レナウンが展開している紳士服の「ダーバン」といった高級ブランドなどを取り込む狙いがあるとみられる。
 レナウンは1990年代まで国内最大手のアパレルメーカーだったが、バブル崩壊後の景気低迷や安売り店との競争激化で売り上げが減って業績が悪化した。現在も国内上位だが、業績低迷は続いており、2010年2月期連結決算の売上高は前期比17.3%減の1290億円で、純損益も109億円の赤字だった。
 希望退職の募集や資産売却、経費削減を進めてきたが、経営再建ははかどっていない。このため、各国への輸出や巨大な中国市場で利益をあげ、豊富な資金を持つ中国企業の傘下に入ることで、資金繰りを確かにして抜本的な再建を進めるのが得策と判断したとみられる。
 中国企業が日本企業の株式を取得する例は中国経済の成長にともない、この2、3年増えている。有名企業では、スポーツウエアのフェニックスや家電量販店のラオックス、ゴルフクラブの本間ゴルフなどが中国企業の傘下に入った。

◎中国の大富豪、108億円の罰金・資産没収判決(2010年5月19日、読売新聞)
 【北京=大木聖馬】新華社電によると、北京市第2中級人民法院(地裁)は18日、インサイダー取引や贈賄罪などで起訴された中国の家電販売大手「国美電器」創業者の黄光裕被告(41)に懲役14年と罰金6億元(約81億円)、2億元(約27億円)の財産没収の判決を言い渡した。
 黄被告は中国の富豪番付で3回、トップになったことがある大富豪。司法当局は、格差拡大が深刻化する中で不正に荒稼ぎする「問題富豪」を厳しく罰して見せしめとする狙いがあるようだ。
 判決などによると、黄被告は2007年、自身が大株主の会社の株を他人に買わせて、株価が上がると売り抜けるなどして、約3億元(約41億円)の違法な収益を上げた。

◎中国で大雨被害86人死亡、広東など10省、市で(2010年5月17日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国中南部で今月5日から続く大雨の被害で、広東省や重慶市など10の省レベル行政区で17日までに計86人が死亡、少なくとも16人が行方不明になっている。
 華僑向け通信社、中国新聞社電によると、被害が報告されているのは安徽、福建、江西、湖北、湖南、広東、貴州、四川の8省と広西チワン族自治区、中央直轄の重慶市。各地で洪水が発生して住宅など建物が流されたり、暴風やひょうの被害が出たりしている。
 水害による倒壊家屋は8万戸を超え、被災者は1039万人に上ったとの情報もある。広東、湖南、浙江などで被害が大きいが、なかでも広東省広州市では7日から14日まで1週間に3回の豪雨に見舞われ、降水量は440ミリに達した。
 この降水量は年間平均の4分の1に相当し、1908年に広州市で気象観測が始まって以来の記録となった。広州日報(電子版)によると、広東省全体の被害額はすでに10億元(約135億円)を超えている。
 被災地では合わせて40万ヘクタール以上の農地が水害に遭っており、養豚業も打撃を受けた。農産物や豚肉の価格高騰が懸念されている。

◎「のろわれている」?中国携帯メーカー、20歳前後の7人次々転落死(2010年5月17日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国広東省の携帯電話機メーカー「富士康」で、今年1月から今月14日までに7人もの従業員が高所から転落して死亡し、地元メディアなどが経営側の管理を問題視する動きを強めている。
 今月11日に死亡した6人目まで警察はいずれも自殺を図ったとみていたが、14日に死亡した7人目の男性従業員(21)の転落現場では血が付いた短刀が見つかり、遺体には切り傷があった。
 富士康は受託生産型のメーカーだが、昨年7月には米アップルの「i PHONE(アイフォーン)」次世代機のサンプルを紛失したとして、秘密漏洩(ろうえい)を疑われた男性従業員(25)が飛び降り自殺している。今年に入って死亡した7人はいずれも20歳前後。富士康では高僧を招いて法要を行った。
 一方で地元紙やネット上では「従業員管理に問題があるのではないか」「のろわれている」といった批判や中傷が渦巻いている。死亡した7人以外に、転落して重傷を負った若い従業員も今年に入って2人いる。

◎ギョーザ中毒事件は「司法手続き中」、中国当局(2010年5月14日、産経新聞)
 中国公安省の武和平報道官は14日、中国製ギョーザ中毒事件の現在の捜査状況について「司法手続きの最中だ」と述べた。逮捕された容疑者の起訴の見通しや、日本の捜査幹部の訪中時期については明言しなかった。同日行われた記者会見の後、記者団の質問に答えた。
 また武報道官は記者会見で、中国で学校や幼稚園が襲われる事件が相次いでいることについて、防犯対策の強化のほか、社会の各層で起きているもめ事を洗い出し、解決していく必要性を訴えた。

◎本末転倒、中国が「松阪牛」の商標登録却下(2010年5月13日、読売新聞)
 特許庁の地域団体商標(地域ブランド)に認められている「松阪牛」に似た商標が中国で登録されている問題で、三重県松阪市は12日、対抗策として中国政府に申請していた「松阪牛」「松阪肉」の商標登録が却下されたと発表した。
 既に類似の商標が登録されていることなどが理由で、同市は「納得できない」として中国側に再審を申し立てた。
 同市は2006年5月、地域ブランド名が無断使用されないよう、民間企業の現地法人を通じ、商標登録を申請。しかし、その後、四川省の飲食店が01年9月、牛の顔と「松阪」の文字を組み合わせたマークを商標登録申請し、認められていたことが判明した。
 却下通知は4月28日、中国の審査当局から現地法人に届き、「既に登録されているマークに似ている」と理由を説明。四川省のケースを根拠に、中国での飲食店看板には使えないと伝えてきたという。
 これに対し、市は「松阪牛連絡協議会」の会合で経緯を説明し、再審の申し立てを決めた。同協議会長の山中光茂市長は「松阪牛のような国際ブランドの保護育成に対し、国も積極的に関与するべきだ」と話した。

◎表面化する中国の冤罪、殺人で服役、“被害者”現れ、あっさり釈放(2010年5月11日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国中部の河南省で9日、13年前に起きた殺人事件で殺されたと断定された男性が突然姿を現し、犯人として服役中の男性が釈放される出来事があった。警察当局による自白の強要が生んだ冤罪(えんざい)事件で、中国メディアは一斉に警察と司法当局のずさんさを批判している。
 国営新華社通信などによると、1999年5月、同省柘城県の村の井戸から腐乱した首なし遺体が発見され、地元警察当局は、一年半前に行方不明となった近くに住む男性と断定。失踪直前に男性と殴り合いをしたところを目撃された同村の趙作海さんを、殺人犯として逮捕した。拷問が伴う厳しい取調べを受けた趙さんは罪を認める供述をし、2002年に死刑判決を受けた後、懲役29年に減刑された。
 ところが今年4月末、死亡したとされた男性が突然村に戻ってきた。「けんかで趙さんを傷つけてしまい、報復されるのが怖くなり、村を抜け出し、そのまま10年以上も別の町で出稼ぎをしていた」という。
 河南省高級人民法院(高裁)は9日、趙さんの無罪を宣告して釈放したが、事件後に趙さんと離婚した妻はすでに別の男性と結婚、趙さんには帰る家がないという。
 湖北省では05年、妻を殺害したとして11年間服役した男性が、妻が現れたために釈放された事件があった。河北省では1995年、殺人事件の犯人として処刑された男性が、10年後、真犯人が犯行を自供したため、冤罪であることが判明した事件もある。
 ある中国人学者は冤罪事件について「警察の拷問は以前からあった。ネットの普及や報道規制の弱体化で、こうした事件が表に出てくるようになっただけだ」と話している。

◎中国:貿易黒字、4月は1550億円(2010年5月10日、毎日新聞)
 中国税関総署が10日発表した4月の貿易統計によると、貿易収支は16億8000万ドル(約1550億円)の黒字だった。前年同月に比べ87.0%減ったが、2カ月ぶりの黒字となった。再び黒字となったことで、人民元切り上げのタイミングにも影響を与えそうだ。
 輸出は30.5%増の1199億2000万ドル、輸入は49.7%増の1182億4000万ドルだった。米経済の回復などで輸出が安定的に増加している一方で、輸入増加の勢いが3月よりも鈍ってきたことが黒字化の原因。
 1~4月の累計では、輸出は家電や繊維製品などが伸びて29.2%増の4360億5000万ドル、輸入は原油や鉄鉱石、自動車などが増えて60.1%増の4199億4000万ドルだった。貿易黒字は78.6%減の161億1000万ドルとなった。
 1~4月の欧州連合(EU)との貿易総額は34.6%増加。対米は25.0%増、対日も37.5%増えた。対日貿易赤字は前年同期の約3.5倍に膨らんだ。

◎中国人が肉、卵をバカ食い? 経済発展の影響で消費拡大(2010年5月10日、産経新聞)
 国連食糧農業機関(FAO)は10日、人口増加や中国やインドなど新興国の経済発展による食生活の変化を受け、過去約20年間でアジア地域での肉や卵、牛乳などの畜産物の消費が急拡大しているとの報告書を発表した。
 FAOは、中国やインド、ブラジルなど新興国の国民の生活水準が向上し、先進国並みに食生活が豊かになっていると分析。畜産業が急速に拡大する一方、環境への配慮や食の安全対策などが遅れているとして、将来の需要増を見据え、酪農分野への技術支援や投資の増強が世界的な課題になっていると訴えた。
 報告書によると、東アジアと東南アジアの2005年の肉消費量は1人当たり年間約48.2キロで、1980年の約12.8キロに比べ約3.8倍。特に中国の伸び率が顕著で、肉、牛乳、卵のいずれも約4~10倍に増加した。

◎やっぱり中国人は並ばなかった!割り込み祭り(2010年5月1日、Rocket News24)
 5月1日から華々しく開催されている上海万博。世界中のパビリオンが公開され、特に目立っている中国パビリオンは1時間以上並ぶのは当然の大盛況となっている。今回の上海万博、世界中に中国の素晴らしさを伝えるには、北京オリンピック以上の絶好のチャンスといえるかもしれない。
 しかし中国人観光客たちの行動は「素晴らしい」とはいえない。中国人観光客がルールを守って行列に並ばずに、柵を乗り越えて割り込みしてくるのである。「中国人は列に並ばないし列を作らない」と言われているが、正直なところ、ここまで酷いとは思わなかった。記者は割り込みの瞬間を激写した。
 記者(私)は少なくとも、香港パビリオンとインドパビリオンで割り込みする中国人観光客が、スタッフや他の観光客とトラブルなっていたのを目撃した。他のパビリオンでも割り込みは当たり前。売店でもうしろから札を出して前の人より早く買おうとしてくる始末。
 私だけでなく多数の人たちが並んでいるというのに、どんどん柵を乗り越えて割り込みをしてくる中国人観光客。一人が割り込みをすると、「なんだ割り込みしていいあるね!!」と思ったのか、他の中国人観光客たちもどんどん割り込みをしてくるようになり、そこから悪循環が発生。他の観光客に注意されてもキョトンとしている。どうやら、どうして注意されているのかわからないらしい。
 柵を乗り越えた先が最後尾だというのならば百歩譲って許すとしよう。しかし、乗り越えた先のうしろには、私を含め、多くの人たちが並んでいるのである。教育の問題なのか、文化の問題なのか、人間性の問題なのか……、わからない。
 人気のパビリオンともなれば、1~2時間かけて並んでいる人もいるのだ。割り込みは自分の常識かもしれないが、他人(他国)からすると非常識な行為でしかない。こんな当然の事を言うのもおかしいが、割り込み行為は決してやらないでほしいものである。せっかく素晴らしい中国パビリオンを作っても、中国人一人一人が素晴らしい常識を持たない限り、他国の人々は中国に失望するだけである。
 最後に誤解がないようにフォローしておくが、上海万博の中国人スタッフたちは非常に親切に、観光客に対して中国語と英語で対応してくれる。上海万博でわからないことや困ったことがあれば、安心して相談するといいだろう。

◎農民2千人、警官と衝突、中国、11人けが(2010年5月1日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターによると、中国黒竜江省富錦市の農村で4月29日から今月1日にかけ、土地をめぐるトラブルから農具で武装した農民約2千人と警官ら約3千人が衝突し、双方合わせて11人が負傷。1日昼時点でにらみ合いが続いている。
 同センターによると、1994年に中国との協議で韓国がこの村の農地を借り上げたが、97年に手放した後は富錦市政府の関連企業が所有することになり、農民らが不満を募らせていたという。
 農民らが29日夜、線路をふさいで地元の鉄道が不通になり、警官が出動。くわで殴られた警官が重傷を負い、警察車両5台が損壊したほか、農民10人も負傷した。鉄道は1日昼に復旧したが、農民約200人を警官が包囲しているという。

◎念願の開幕式に江沢民氏の姿なく、憶測呼ぶ(2010年5月1日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国の江沢民前国家主席(83)が1日開幕した上海万博の一連の式典に姿を現さず、健康不安説や胡錦濤国家主席との確執の深刻化などさまざまな憶測を呼んでいる。
 江氏は2008年8月の北京五輪の開会式に出席したほか、昨年10月の建国60周年軍事パレードの際には胡主席の横に立ち、健在ぶりをアピールしていた。
 今年になってから公式の場に姿を見せたとの報道はないが、香港各紙は江氏が先月4日に、旧英国租界の建物が残る上海の黄浦江沿いの観光名所、外灘(バンド)を視察したと報じていた。江氏は退任後、上海に居を構えているという。
 上海市トップの共産党委員会書記から党総書記に抜擢(ばってき)されて国家主席に上り詰めた江氏は、在任中から上海への万博誘致に指導的役割を果たした。総書記退任直後の02年12月に上海での万博開催が決定したこともあり、江氏の悲願だった万博の開幕では、公の場に姿を現すとみられていた。
 だが、北京五輪の開幕式を上回る10万発以上の花火を打ち上げて、サルコジ仏大統領など20カ国の国家元首らを迎えた4月30日夜の華やかな開幕式典や、184日間の会期がスタートした1日の開園式などで、江氏登場の報道はなかった。
 上海の外交団の中には「高齢の江氏の健康状態に昨年秋以降、異変があった可能性がある」と指摘する声もある。
 一方、開幕式典は胡氏が「開幕宣言」を行うなど、中央主導の色彩が濃かった。江氏は今でも“上海閥”の実力者とみられているが、06年に上海市幹部が汚職で相次ぎ摘発されるなど打撃を受けていた。開幕式典では、上海市トップの兪正声・党委書記や韓正・上海市長らも目立たず、胡氏が権力の掌握を確実にした可能性もある。

◎中国で相次ぐ児童襲撃、格差への不満はけ口か(2010年4月30日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国南部・広東省の小学校で28日、校内に侵入した男が刃物で児童や教師を襲撃し、計16人を負傷させる事件が発生したのに続き、29日にも東部・江蘇省の幼稚園で園児らが襲われ、計32人が負傷する惨事があった。
 経済発展に伴う所得格差の拡大で、失業者や出稼ぎ労働者らの間で膨らむ不満の矛先が、児童ら弱者に向かっているものとみられる。
 新華社電などによると、広東省の事件の犯人は、別の小学校の男性教諭(33)。教室で児童らを襲った後、校舎屋上で自殺を試みたが警官らに取り押さえられた。4年前から病気で学校を休んでいたという。
 江蘇省では、ナイフを持った47歳の無職の男が幼稚園の教室で園児らに襲いかかり、園児29人を含む32人が負傷した。園児5人は重傷。男は9年前に保険会社を解雇され、マルチ商法に手を染めていたという。3月にも福建省の小学校で、小学生が男に襲われ、13人が死傷する事件があり、死刑が28日に執行されたばかり。

◎毒ギョーザ事件容疑者「梱包の外から注射」、犯行の手口初めて判明、日本側の証拠と合致(2010年4月30日、産経新聞)
 有機リン系の農薬「メタミドホス」による中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、危険物質混入容疑で逮捕された「天洋食品」元臨時従業員、呂月庭容疑者(36)が中国公安省に「(農薬は)冷凍ギョーザが梱包(こんぽう)された段ボール箱の外から、注射して混入した」と供述していることが29日、日本の警察関係者への取材で分かった。日本側の捜査結果と合致するため、警察庁などでは供述の信憑(しんぴょう)性は極めて高いとみている。犯行の具体的手口が明らかになったのは初めて。
 供述内容は今月21、22の両日開かれた情報交換会議で、中国側から警察庁に伝えられた。
 警察関係者によると、呂容疑者は中国公安省の調べに、「(天洋食品の)工場の冷凍庫に侵入し、袋入りの冷凍ギョーザが梱包された段ボール箱の外から、注射器を横向きにして針を刺して注入した」と供述。注入量については「(3日間にわけて)3回やった。(1回あたり)20ccほどだったと思う」と説明した。
 平成20年1月に兵庫県で中毒を起こしたギョーザと同じ製造月日で、大阪府枚方市のスーパーにいったん配送され、「袋がべたべたする」として回収された未開封ギョーザ6袋については、袋の表面からメタミドホスが検出されている。
 このうち1つの袋だけが、表と裏に注射針の貫通したとみられる直径約1ミリの穴が開いていたことが明らかになっている。6袋は、同じ段ボール箱に入れられて日本に輸出され、店舗に配送されていた。
 有機リン系の農薬「メタミドホス」による中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、危険物質混入容疑で逮捕された「天洋食品」元臨時従業員、呂月庭容疑者(36)が中国公安省に「(農薬は)冷凍ギョーザが梱包(こんぽう)された段ボール箱の外から、注射して混入した」と供述していることが29日、日本の警察関係者への取材で分かった。日本側の捜査結果と合致するため、警察庁などでは供述の信憑(しんぴょう)性は極めて高いとみている。犯行の具体的手口が明らかになったのは初めて。
 供述内容は今月21、22の両日開かれた情報交換会議で、中国側から警察庁に伝えられた。
 警察関係者によると、呂容疑者は中国公安省の調べに、「(天洋食品の)工場の冷凍庫に侵入し、袋入りの冷凍ギョーザが梱包された段ボール箱の外から、注射器を横向きにして針を刺して注入した」と供述。注入量については「(3日間にわけて)3回やった。(1回あたり)20ccほどだったと思う」と説明した。
 平成20年1月に兵庫県で中毒を起こしたギョーザと同じ製造月日で、大阪府枚方市のスーパーにいったん配送され、「袋がべたべたする」として回収された未開封ギョーザ6袋については、袋の表面からメタミドホスが検出されている。
 このうち1つの袋だけが、表と裏に注射針の貫通したとみられる直径約1ミリの穴が開いていたことが明らかになっている。6袋は、同じ段ボール箱に入れられて日本に輸出され、店舗に配送されていた。

◎毒ギョーザ、容疑者「段ボール箱の外から注射」(2010年4月30日、読売新聞)
 千葉県と兵庫県の3家族10人が被害に遭った中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、逮捕された製造元「天洋食品」(中国河北省)の元臨時従業員・呂月庭容疑者(36)が中国公安省の調べに対し、「冷凍ギョーザを梱包したした段ボール箱の外側から殺虫剤を注射した」と供述していることがわかった。
 同省が今月21、22日、日本の警察庁で開いた情報交換会議で、同庁に伝えた。
 兵庫県の家族が中毒になったギョーザは、製造した当日に段ボール箱に詰められ、出荷までの約1か月間、工場内の冷凍庫で保管されていた。呂容疑者はこの冷凍庫内に入り込み、注射器で段ボール箱の外から、有機リン系殺虫剤メタミドホスを注入したとみられ、日本側の捜査でもギョーザの袋に小さな穴が開いていたことが確認されている。
 日本側は近く、混入経路の詳しい確認などのため、中国に捜査幹部を派遣する。

◎中国で狙われる子供、江蘇省で園児ら31人刺傷、権力者や金持ちへの復讐?(2010年4月29日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国国営新華社通信などによると、中国江蘇省泰州市泰興の幼稚園で29日午前、刃物を持った無職の男(47)が園児らを次々と襲い、32人が負傷し、うち2人が重体という。上海万博開幕を控えた中国では最近、社会に不満をもつ暴徒が学校や幼稚園を襲撃し児童を大量殺傷する事件が相次いで起きている。
 報道によると、男は29日午前9時40分ごろに幼稚園に侵入し、刃物で児童29人、教員ら3人を次々と刺したあと、警備員らに取り押さえられた。園児らはほとんどが4歳児。男は2001年に勤めていた保険会社を解雇され、その後、違法なマルチ商法を行っていたという。
 この事件の前日の28日には、広東省湛江市の小学校で、休職中の同校教師の男(33)が刃物で児童と教師を襲い、19人にけがを負わせた事件が発生した。男は、病気を理由に休職を求めてきた学校側に不満をもっていたという。
 また、3月23日にも福建省の南平市で、診療所を開こうとして失敗した医師の男が自宅近くの小学校の児童を襲い、8人が死亡、5人がけがをした事件が発生。この小学校は裕福な家の子弟が通っていることで知られ、「金持ちと社会に報復したい」というのが男の動機だったと中国メディアは報じている。
 一連の事件に共通していることは、犯行に及んだ男たちはいずれも一定の教育を受けているが、さまざまな理由で社会の競争に敗れ、自分の生きる価値を見失っていたことだ。
 ある中国の社会問題専門家は「社会の急激な変化についていけず、失意した男たちが不公平感の極端なはけ口として、このような凶悪事件を起こしている。権力者や金持ちに対抗する力がないため、子供たち弱者を狙った」と説明する。
 一人っ子政策を実施している中国では、子供を失った親の悲しみがメディアに大きく取り上げられるため、こうした事件が社会に与えるインパクトは強く、「最後に社会の注目を集めたい」といった犯罪者心理も指摘されている。

◎真夜曲盗作なら厳罰、中国駐日大使が示唆(2010年4月28日、朝日新聞)
 上海万博のPRソングがシンガー・ソングライター岡本真夜(36)のヒット曲「そのままの君でいて」の盗作とされた疑惑について、中国駐日大使が盗作なら厳しく対処する方針を示唆した。程永華駐日大使が27日、盗作疑惑に触れ「中国は著作権保護に真剣で、関係部署が調べている。もし(盗作が)はっきりすれば、厳しい姿勢で臨まなければならない」と話した。
 岡本側は事実上、盗作を認めた万博事務局側の依頼で同曲の使用を許可したが、PRソングの作曲者、繆森(ボク・シン)氏側は「下心のある者が(岡本さんの)似ている曲を用いて、大衆の評判を誤った方向に導いた」と否定し続けている。
 繆森氏の声明に対し、岡本の所属レコード会社、日本クラウン側は猛反発。同曲も収録した5月26日発売のベスト盤「MY FAVORITES」プロデューサーの白石元哉氏は「あれは、ちょっと正直ありえない発言ですね。音楽人が著作権を守るのは基本的な考え方。ちゃんと襟を正していただきたい」とした。

◎岡本真夜レコード会社、疑惑の作曲家に「襟正せ」(2010年4月28日、スポーツニッポン)
 上海万博の公式PRソングが岡本真夜(36)の楽曲の盗作と疑われている問題で27日、原曲の発売元の徳間ジャパンなどは「あそこまでそのままカバーされているものはない」とする見解を発表した。
 岡本が現在所属する日本クラウンとの連名によるコメント。「音楽はそもそも少なからずいろんな方に影響を受ける」としながら「あそこまでAメロ、Bメロ、サビとそのままカバーされているものはない」と盗作が濃厚とみられることを指摘。PR曲の作曲家・繆森氏に対し「ちゃんと襟を正していただきたい」と断じている。
 同曲をめぐっては岡本の所属事務所が19日、万博事務局から楽曲使用申請があったと発表していたが、繆氏が盗作を否定する声明を出していた。

◎「まねして悪い?のお国柄」、日本企業の5割超が「中国に知財侵害」(2010年4月21日、産経新聞)
 上海万博のPRソングの盗用騒ぎなど、中国の知的財産権に対する意識が依然として低いことが露呈する中、日本企業の商標を中国企業が無断でまねるなどの知的財産権侵害が相次いでいることが、経済産業省の調査で分かった。回答企業の半数以上が「侵害を受けた」と回答。「SQNY」など社名を一部改変したり、模倣したラベルと商品を別々の工場で製造して組み立てるなど、模倣の手口の巧妙化も指摘されている。(大坪玲央)
 調査は、平成21年12月~22年2月、製造業中心に日本企業262社を対象に実施。回答した138社のうち、19年度は71社、20年度は73社とそれぞれ5割超が「中国に知的財産権を侵害された」と回答した。侵害の内容としては、両年度とも「商標権の侵害」が約8割を占めた。
 中国企業に運動靴のラインを模倣されるなどの被害に遭っているアシックス(神戸市)の知的財産チームは「被害は年々増えている。中国政府に対策を求めたいが、積極的に動いてもらえないため再犯も多い」と当局の姿勢に不満を漏らす。ほぼ同じデザインのブランドのロゴを使われているミズノ(大阪市)も「『まねして何が悪い』という国柄。経済が発展してもこのままでは一流国になれない」と批判する。
 こうした状況を受け、中国での摘発件数も、19年度の2868件から20年度の3153件へと増加。ただ、今回の調査で「処罰されたか不明」と回答した企業が3、4割に上り、再発防止に結びついているかは微妙だ。
 手口の巧妙化も目立つ。摘発されても罪が軽くなるように、そのまま日本の社名をつけずに「SQNY」の電池や「SHARK」のマイクなど、一部改変した社名を表記した商品も出回った。日中は普通の民家やマンションで適法に商売している業者が、夜間にひそかに模倣品を製造したり、模倣した日本企業のラベルと商品の本体部分を別々の工場で製造して後から組み立てて販売するなど、さまざまな“摘発逃れ”も行われているという。
 経済産業省模倣品対策・通商室では「中国は知的財産権侵害の取り締まりが不徹底なことが多い。日本の中小企業は特に被害に遭いやすいので、各種知的財産権の登録をする必要がある」と注意を呼びかけている。

◎容疑者は待遇不満で工場と係争中(2010年4月20日、産経新聞)
 中国製ギョーザ事件でギョーザに殺虫剤を混入したとして逮捕された中国人、呂月庭容疑者(35)は勤め先の製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)の待遇が不満として地元の労働争議仲裁委員会に訴え、係争中だったことが20日までに分かった。中国誌「財経」最新号(12日付)が報じた。
 天洋食品は労働条件が過酷で、労使間で争議が多発していた。
 呂容疑者は1993年から臨時従業員として勤務していたが、工場側が医療や年金の保険費用を払っていないと訴えていた。また争議が理由で解雇された。
 国有企業の天洋食品は、完全週休2日制で社会保障制度が完備した管理職、保障はあるが月30日勤務する正規従業員、何の保障もない臨時従業員との間で待遇格差が大きく、従業員の不満が強かったという。

◎中国の刑事捜査局長が異動、ギョーザ事件の責任者(2010年4月17日、産経新聞)
 中国公安省で中国製ギョーザ中毒事件の捜査指揮に当たってきた杜航偉刑事捜査局長が陝西省西安市公安局の局長に転任したことが17日、分かった。
 公安省は3月16日に中国人容疑者を拘束しており、2年以上にわたる捜査が一段落したことを受けての異動とみられる。
 杜局長は2008年1月に事件が発覚した直後から一貫して捜査を指揮していた。3月末の西安市人民代表大会(議会)で異動が正式に決まった。後任は不明。
 事件では、容疑者の拘束、逮捕を受けて中国の捜査員が日本側との協議のため近く訪日する。

◎「中国は被害者論」崩れ当局に不信、毒ギョーザ(2010年4月11日、読売新聞)
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件は、中国当局が3月、国内での犯罪だったことを自ら認める異例の展開となった。
 「日本が悪者で中国は被害者」という中国世論の基本構図が突如崩れ、市民の間では当局への疑念も生じ始めている。

・毒ギョーザ事件は日本が悪いのではなかったのか
 北京南西300キロの河北省・石家荘市。ギョーザを製造した天洋食品の近所で商店を経営する男性は、元臨時従業員が逮捕されたことを聞いて憤った。
 男性は、「殺虫剤混入が中国で発生した可能性は極めて小さい」という中国警察の発表を信じてきた。「説明はウソだったのか」と今は怒りの矛先を当局に向けている。
 「日本悪玉―中国被害者論」は、歴史問題を強調する中国では、ほとんど自明の理、あるいは物事の前提のように語られる。ギョーザ事件が発覚した2008年当時、中国では、責任の押しつけを伴う激しい対日批判が噴出した。日本の世論も反発、「ギョーザ」は、食の安全という範囲を超え、感情がぶつかりあう日中対決の象徴になった。
 それが、一転して、「中国人の犯行」である。「ずっと日本が悪いと思っていたのに」(飲食店従業員)という驚きに当局不信が交じる。日本の主張に「負けた」ことについて、ある女性は「日本に落ち度はなくても、無用な騒動を広げ、有力企業の天洋食品をつぶした」と話した。
 一方、日中バトルの“主戦場”となったネットでは、「日本人の真剣に調査する本能と専門的な手法は世界でも有名だ」と日本の警察への称賛も出ている。一方で中国の警察は、「証拠を示して反論することもできない」と批判され、面目丸つぶれだ。「食の安全では日本が上だ。日本に学べ」との評価さえ出ている。
 中国紙のある記者は「中国当局は、最初に『日本が悪い』と言って政治問題化してしまった。中国人に特有の面目を保つ方法だったが、非科学的で話にならなかった」と批判している。
 もっとも、事件発覚から2年以上が過ぎ、中国では全体的に「毒ギョーザ」に対する関心は高くはなく、政府批判の声も大きなうねりにはなっていない。世論の反発を恐れる中国当局が事件の風化を待っていた可能性も十分ある。(河北省石家荘で、関泰晴)

◎女性500人との関係日記、妻に突き出され、中国の元課長を摘発、「目標は800人」(2010年4月11日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国安徽省で女性500人以上との関係を記録した日記やビデオ類の存在が発覚した安慶市の元課長(47)が摘発されて大きなスキャンダルになっている。河南省の大河報がこのほど伝えたところによると、日ごろの行動を怪しんだこの元課長の妻が日記など証拠をみつけ、当局に突き出したという。
 元課長は日記に2003年から500人以上の異なる女性との関係を日時やようすなどを書いた上、「600~800人めざす」との目標も掲げていた。買春など違法行為があったとみられるほか、費用捻出方法として、10万元(約130万円)の賄賂を1年で稼ぐ必要がある、といったとんでもない記述もあった。
 元課長は市の開発事業などを担当していた立場を利用し、不動産事業にからんで地元業者に“性的サービス”の提供なども賄賂として要求していたようだ。
 中国では3月にも、広西チワン族自治区で、女性との不倫関係や受け取った賄賂を記録した日記がインターネット上に出回った同自治区政府の元課長(53)が収賄容疑で逮捕されている。いずれもネット上で「腐敗役人の典型だ」などと、激しい批判が渦巻いている。

◎中国、6年ぶりの貿易赤字、景気回復、輸入増える(2010年4月10日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国税関総署が10日発表した3月の貿易統計によると、貿易収支が72億ドル(約6700億円)の赤字となった。単月の赤字は2004年4月以来、約6年ぶり。
 中国国内景気の順調な回復などで、輸入額が前年同月比66%増の1194億ドルと大幅に伸びたことが大きな理由。輸出額は同24.3%増の1121億ドルで、大きな伸びを記録した前月(45.7%増)からは勢いが弱まった。貿易収支の赤字傾向が今後も続くとの見方は少ないが、中国政府幹部からは、3月中から単月の貿易赤字見通しを示す発言が相次いでおり、米国からの人民元切り上げ要求を牽制(けんせい)する材料になっていた。
 一方、中国の輸入額が膨らんだのは国際的な資源価格の上昇が背景にある。

◎ギョーザ事件、急転直下の容疑者逮捕でも依然残るナゾ(2010年4月10日、産経新聞)
 一時は“迷宮入り”もささやかれた中国製冷凍ギョーザ中毒事件が、急転直下の動きを見せた。発生から約2年2カ月が経過した3月下旬、中国の公安当局がギョーザを製造していた食品会社の元臨時従業員の男の身柄を拘束したからだ。中国の公安当局は、日本のマスコミを対象とした異例の記者会見まで開いて「全面解決」を強調。だが、中国側の発表情報にはこれまでの捜査結果とは矛盾する内容も多く含まれる。事件に残された謎と早期の幕引きを図ろうとする中国の思惑は-。(加藤達也)

・不意打ちの“解決”
 「ギョーザ中毒事件で、天洋食品で臨時従業員として働いていた男の身柄を拘束した」
 中国外務省アジア局の担当者から北京の日本大使館にこうした情報がもたらされたのは、3月26日金曜日の午後11時半ごろのことだった。
 中国の公安当局に身柄を拘束(後に逮捕)されたのは、ギョーザ製造元の食品会社「天洋食品」の元臨時従業員、呂月庭容疑者(36)。
 「身柄拘束」の情報は、中国国営の「新華社」電として瞬く間に日本中を駆け巡ったが、この後、事件をめぐる情報については日本の警察当局による検証もマスコミによる論評もままならず、情報の主導権は終始中国側に握られた。
 中国での勤務経験がある警察OBが言う。
 「引っかかるのは情報の出し方だ。なぜ、新華社報道と同時に、深夜に日本側に知らせてきたのか」
 そこには、中国のある意図が見て取れるという。
 「一報を金曜の深夜に伝えたのは、日本の役所が閉庁になる土日を挟むことでマスコミの国内取材がやりにくくなり、報道される情報量を極小化しようとしたのではないか」というのだ。
 外務省、警察庁など日本側では、日付が変わるころになっても公式の確定情報は発表されておらず、警察庁では担当幹部が情報の収集と確認に追われていた。取材対応した警察庁幹部の1人は「拘束は完全な不意打ち。今年1月まで、公式非公式をあわせて20回以上開いてきた情報交換でもまったく知らされていなかった」と話し、容疑者の氏名、年齢や出身地などごくわずかな情報を繰り返し口にするのがやっとだった。
 日本の警察や外務省が広報発表する前に、「身柄拘束」の一報を配信した中国国営の「新華社」とは、一体どのような組織なのだろうか。
 新華社は日本の内閣にあたる中国の国務院に直属する国家機関で、本来的には日本など自由主義国の報道機関とは異なる。
 発信される情報は「中国の政府や党の公式見解がニュース仕立てにされたもので、中国が各国世論に直接伝えたいメッセージ」(日本の外務省筋)なのだという。
 金曜日の深夜11時半に新華社が伝えてきたビッグニュース。日本の報道機関は色めき立った。しかし、締め切りまでほとんど時間がなかった新聞は結局、ニュースの主要部分について中国側から伝えられる初期情報をほとんどそのまま報道することになった。

・中国発表への疑念
 この事件の情報発信について、中国側の対応は異例ずくめだった。
 「身柄拘束」の一報から2日後の28日には、ギョーザ事件の捜査を担当している中国公安省の杜航偉刑事捜査局長らが、日本のマスコミを対象に異例ともいえる記者会見を開き、詳細な捜査情報を明らかにした。
 中国側発表によると、犯行は呂容疑者が1人で実行。呂容疑者は天洋食品の待遇に不満を訴え、一緒に働いていた妻が産休を取った際にはもらえると思っていたボーナスがもらえず、不満が高まったと動機を供述した。
 呂容疑者がギョーザに混入したとされるメタミドホスは、2007年7月と8月、同食品工場の清掃担当部門から盗み、同じころ、医療機関が廃棄した注射器を、針がついたまま入手。
 同年10月1日、メタミドホスを入れた注射器を持って、ギョーザが保管されている冷凍庫に侵入。注射器でギョーザに注入した-とされる。
 だが、この発表には疑問が残る。
 1つは、ギョーザの“袋の穴”の問題だ。
 兵庫県で被害を出したギョーザの袋とトレー、大阪府で回収されたギョーザの袋にはそれぞれ0・2ミリ~1.5ミリ大の穴が発見されている。
 一方で、千葉県で被害を出した袋は完全に密封されており、穴や傷は発見されていない。
 「手口が違う。犯行手順の違いを意味する可能性があり、本当に単独犯なのか、違和感が大きい」
 日本の捜査関係者は、こう指摘する。
 疑問の2つめは、日本でギョーザから検出された農薬は、メタミドホスだけでなく、有機リン系のジクロルボスも検出されていたが、中国側の説明には、この「第2の農薬」についてまったく触れられていないことだ。
 ジクロルボスが付着したギョーザは、07年6月3日に天洋食品で製造、同月8日に中国・天津港から日本に向けて出荷されている。
 07年11月に福島県喜多方市で販売され、異臭がするとして回収されたギョーザから、事件発覚後に実施した検査で検出された。
 ジクロルボスが付着した製品の製造時期は、メタミドホスの混入時期と約4カ月の開きがある。
 警察庁幹部は「呂容疑者の犯行であるならば、呂容疑者がいつ、どのようにしてジクロルボスを入手し、どのようにしてギョーザに混入したのか、明確にしなければならない」と話す。
 疑問点は、まだある。
 呂容疑者は犯行に用いた注射器を犯行後、「下水道に捨てた」と供述。そして中国捜査当局は今年3月21日、呂容疑者の供述通り発見、押収したという。
 発見時には、注射器は泥に埋まっていた。捜査関係者がこんな指摘をする。
 「捜査の初期に農薬の専門家から話を聞いたが、メタミドホスは、水溶性が高い。下水道の中で長期間、泥まみれになっていたのであれば雨水や雪解け水、泥水で成分が洗い流され、検出されない可能性が高いのではないだろうか」

・なぜ、急展開?
 中国公安省の発表によれば、呂容疑者は当初から一貫して「重要な捜査対象者」とみられていた。
 だが、身柄拘束まで2年以上もの長期を要したのは、決定的な証拠がなかったからだという。
 難航する捜査を急展開させたのは、呂容疑者の妻の話だった。
 呂容疑者は事件後、自宅のテレビでたまたま流れた事件関係のニュースを見て妻に「おれがやった」と漏らした。
 驚いた妻が真剣に問いつめると、呂容疑者はすぐに「冗談だ」と打ち消し、妻もそれ以上、追及しなかった。
 日本の外務省筋によれば、中国側は、かねてから重要参考人とみなしていた呂容疑者をクロとするこの証言の真実性を必死に確認したという。
 そして、本人を追及した結果、注射器という身柄拘束につながる物証の発見につなげたという。
 だが、事件直後に「(メタミドホスの)混入が(中国)国内であった可能性は極めて小さい」と主張していた中国側が、急に方針転換したのはなぜなのか。
 日本の政府関係者が「進展の兆しだったのではないか」と振り返る出来事があった。1月に捜査責任者が異動。その直後、事件は急転直下の展開となった。
 「中国サイドの高いレベルで捜査方針の転換があったのではないか」
 公安省も捜査進展に向け、“大きな力”が働いていたことを会見で配布した資料で認めていた。
 資料にはこうある。
 《中国政府は08年初めの『対日輸出ギョーザ中毒事件』を非常に重視し、中央指導部は真剣な捜査を行うよう指示した》
 中国は民主党政権成立以来、対日重視姿勢を見せている。5月1日に開幕する上海万博を控え、国を挙げてイメージアップに躍起でもある。また、今年11月に横浜で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)での胡錦涛国家主席の来日などもある。
 「中国は、対米牽制(けんせい)の意味からも、日本との蜜月をアピールしたいところだろう。日中の首脳外交が活発化する前に、指導部が対日懸案を一気に解決してしまいたいと考えた結果ではないか」外交筋はこう分析してみせた。

◎中国:大規模ハッキング、ダライ・ラマらの情報盗難(2010年4月7日、毎日新聞)
 【エルサレム花岡洋二】イスラエルの最大紙イディオト・アハロノトが、同国の検閲制度に抗議する記事を相次いで掲載している。同国は原則として「報道の自由」を掲げているが、「国家の安全保障」にかかわる情報は検閲・規制対象。これが結果的に、同国の秘密核開発を支えたとされる。同紙の抗議記事は極めて珍しいもので、注目を集めそうだ。
 欧米メディアなどの報道によると、発端は、有力紙ハーレツが内部文書に基づいて08年11月に報じた、違法な疑いのある軍の活動に関する記事だ。
 ハーレツの報道後、裁判所はイスラエル・メディアと当事者に、関連報道や証言を禁じたという。国内メディアは決定に従ったが、米国に拠点を置く在外ユダヤ人向け通信社が先月29日、ハーレツの報道を受けたイスラエル当局の捜査状況を伝え、米AP通信や英メディアも後追いした。こうした外国報道は、イスラエル国内でもネット上で話題になったため、国民には広く知れ渡っている。
 そうした中、イディオトは今月1日、「(国内治安機関)シャバクが公開を恐れる情報は?」という記事を掲載した。同紙は具体例には触れないまま、自国の検閲制度を「イランのようだ」と批判。英語で「ISRaELi JOURNALiST GaG(イスラエルの 記者 口封じ)」をネットで検索するよう勧めた。
 さらに6日には、米国のジャーナリストがネットに載せた関連記事を翻訳して転載。1ページのほぼ全面を使った記事のうち、規制対象となりそうな部分として約6割を黒い太線で消した。同紙は、毎日新聞の取材に回答しなかったが、検閲制度に抗議する意思を込めたものとみられる。
 AP通信によると、シャバクもコメントしていない。
 イスラエルではすべての報道機関が、国防情報に限り検閲対象。英紙が86年に核開発計画を暴露した際の情報源だった元原子力研究所技師のバヌヌ氏は、国家反逆罪で約18年服役し、釈放後も、外国メディアとの接触を禁じられている。

◎中国:大規模ハッキング、ダライ・ラマらの情報盗難(2010年4月7日、毎日新聞)
 中国のハッカーグループが過去8カ月間、インド治安機関やチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の事務所、国連、在米パキスタン大使館などのコンピューターに侵入し、機密書類や電子メール、個人の金融情報などを盗んでいたと、トロント大(カナダ)などの研究チームが6日、記者会見で明らかにした。
 盗まれたデータには、アフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)の移動に関する文書、ダライ・ラマが発信したメール1500通、インドのミサイルシステムに関する研究機関の分析などが含まれていた。
 チームは「中国政府機関とハッカーたちの関係は不明だ。両者を直接結び付ける確たる証拠は見つかっていない」と説明した。
 発表によると、ハッキング行為は中国四川省が起点。侵入したコンピューターから機密指定の外交文書やクレジットカード番号などを盗み出していた。
 添付ファイル付きのメールを送り付け、ファイルを開くとコンピューターが感染、ヤフー、グーグルなどのフリーメールやインターネットの交流サイト「ツイッター」に接続するよう仕向けるなどの方法を使用。チームのメンバーは「普通のウイルスソフトでは防げない」と注意を呼び掛けた。(ニューヨーク共同)

◎中国南西部で深刻な渇水、人も家畜も「飲み水がない」(2010年4月7日、産経新聞)
 中国南西部で昨年秋以降、干魃(かんばつ)被害が深刻化し、人や家畜の飲料水が不足しているほか農作物も大きなダメージを受けているという。当面、降雨が期待できず、被害規模はさらに拡大する見通しといい、中国政府も農業対策の強化に乗り出している。

・シーン1
 被害は雲南省、貴州省、四川省、広西チワン族自治区、重慶市など5地区で拡大中。ロイター通信によれば、これらの地区で少なくとも5000万人が、何らかの被害を受けているという。
 昨年秋以降、事態は悪化していた。中国政府の公式発表によれば、3月30日現在、全国で飲料水が不足している人は約2425万人。2000万頭近い家畜への飲み水も不足している。
 農作物にも影響は及び、7.7万平方キロの田畑で作物不良となった。全く収穫が見込めない耕作地も少なくなく、損失額は少なくとも計190億元(約2500億円)に上ると予想されている。
 華僑向けの通信社「中国新聞社」(電子版)によれば、これらの地域の降水量は例年の半分程度。一部地域では降水量が平年の3割程度で、半年以上も干魃の状態が続く。中国の水利当局者は「南部が雨期を迎える5月下旬まで、状況が大きく改善することはない」との見通しを示しているという。
 温家宝首相は3月下旬、被害が深刻な雲南省曲靖市を訪れ、打撃を受けている麦畑や、干上がったダムなどを視察。新華社通信によれば、水源の状況に応じた作付けの見直しなど、農業対策を強化するよう指示したという。

・シーン2 「100年に1度の大干魃」すべてが枯れた
 干上がった貯水池に走る無数の亀裂は、ますます深く彫り込まれていき、数カ月も降雨のないことを物語っていた。中国西南部の干魃(かんばつ)被害。中国新聞社(電子版)によれば、世界的な金融危機になぞらえて「100年に1度の大干魃」と指摘する声も出ているという。
 被害が大きい地域の一つ、雲南省では、サトウキビやゴム、コーヒー豆の生産に影響が出ている。また、特産品のプーアル茶や生花の生産も打撃を受けた。広西チワン族自治区では、今春の稲作を断念し、トウガラシに転作することを決断した地域もあるらしい。
 渇水で水力発電ダムも貯水量が減って休止状態となり、広東省など沿岸都市への電力供給にも影響が出ている。電力供給を一時的に制限する措置も検討されているという。各地方政府は節水を呼びかけ、飲用水を輸送するなどして緊急事態をしのいでいる状況だ。
 中国気象当局幹部は中国新聞社の取材に、南西部の干魃被害は今後も続くとの見通しを示したという。その上で「干魃救済緊急資金から200万元(約2600万円)を拠出し、人工降雨などの措置を講じる予定であることを明かした」と伝えている。

◎ギョーザ事件、地元当局が報道管制を強化(2010年3月31日、読売新聞)
 【石家荘(中国河北省)=関泰晴】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、地元当局は、殺虫剤のメタミドホスを混入したとして逮捕された元臨時従業員、呂月庭容疑者(36)の家族などに対する取材を禁止するなど報道管制を強化している。
 呂容疑者の妻(37)の実家がある石家荘郊外の寒村で30日、住民への取材を試みると、即座に治安担当者と名乗る男が現れ、立ち去るよう求められた。男は「農村の安定を乱し、住民を不安に陥れるようなことはやめてほしい」と説明。地元当局の指示もあり、妻の両親への取材は認めないと、強硬に拒否された。
 地元メディアの関係者は、「当局の指示で独自の取材や報道は禁じられている」と話し、肩をすくめる。石家荘ではニュースを知らない人も多く、飲食店で働く女性(24)は「中国では『毒ギョーザ事件』と言うけれど、容疑者が逮捕されたことは知らなかった」と驚いていた。
 石家荘市内にある工場の周辺住民も、取材に対し、「知らない」「わからない」とだけ答えるようになった。工場内に出入りする関係者も口を閉ざし、事件当時の労使関係の実態など、都合の悪い情報が漏れないように警戒している。
 地元メディアの関係者によると、呂容疑者の逮捕発表後の27日、共産党中央宣伝部の幹部が石家荘に入り、統制強化を陣頭指揮した。河北省政府や公安当局も、呂容疑者の逮捕に絡んで記者会見などを開く予定は「絶対にない」としている。

◎中国:日本人死刑通告、重罪に外国人でも厳格な姿勢示す(2010年3月30日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国遼寧省高級人民法院(高裁)で昨年4月に麻薬密輸罪で死刑判決が確定した赤野光信死刑囚(65)の刑を近く執行すると中国政府が、日本政府に通告した。覚せい剤の広がりに危機感を強める中国当局が、密輸や製造などの重罪については外国人でも厳格に執行する姿勢を示したものだ。
 中国外務省の秦剛副報道局長は30日の定例会見で「麻薬犯罪は国際社会が認める重大犯罪だ。各国とも法に基づき厳しく取り締まっており、赤野光信(死刑囚)の死刑執行について昨日(29日)日本側に通告した」と説明した。
 日本政府当局者によると、赤野死刑囚は06年9月に同省大連の空港から、共犯の石田育敬受刑囚(同罪で懲役15年確定)と約2.5キロの覚せい剤を日本に密輸しようとして拘束された。
 中国では航空機で周辺国に覚せい剤を密輸する事件が相次ぎ、日本人では4人の死刑が確定しているほか、1人が服役中で、判決を受けていない未決拘置中も8人いる。中国刑法では、覚せい剤50グラム以上の密輸で「懲役15年か無期懲役、または死刑」と規定。1キロ以上は原則死刑だ。
 同当局者によると、4月5日にも死刑が執行される可能性がある。日本人の死刑が執行されれば、1972年の日中国交正常化以降初めてであり、日中関係にも微妙な影響を与えそうだ。
 昨年12月には、新疆ウイグル自治区ウルムチで、同罪によって死刑判決が確定していた英国人アクマル・シャイフ死刑囚(53)の刑が執行され、ブラウン英首相が中国の司法手続きに不備があるなどとして「最大限に強い言葉で非難する」と反発していた。
 鳩山由紀夫首相は30日、首相官邸で記者団に対し、中国からの死刑執行通告について「中国当局に関心を表明していた。このようなことになるのは大変残念だ」と懸念を表明した。平野博文官房長官も同日の記者会見で、外交ルートを通じて中国政府に懸念を伝える考えを明らかにした。【横田愛】

◎毒ギョーザ事件、貧富・格差への怒りが背景に(2010年3月30日、読売新聞)
 【石家荘(中国河北省)=関泰晴】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国公安当局は、ギョーザに殺虫剤を入れた農村出身の容疑者の犯行動機として、臨時従業員に対する食品工場内での差別に不満があったとの供述があることを明らかにした。
 中国国内では、改善しない貧富格差や差別に起因する「やり場のない怒り」が動機となる事件が増えており、事件はその一例だと受け止める市民も多い。
 「会社幹部は地元政府の関係者が多く、コネがあるので何もしなくても給料も上がる。不公平だと思って1年で辞めた」
 事件で逮捕された呂月庭容疑者(36)と同時期に河北省石家荘市内のギョーザ製造元「天洋食品」の工場で働いていたという20歳代の男性は、会社の差別待遇に怒りをぶちまけた。
 公安当局の発表によると、呂容疑者は「給与や待遇に対して不満を持ち、報復して恨みを晴らそうと、ギョーザに毒を入れた」と動機を語っている。
 関係者によると、同社正社員の月給は、2000元(約2万6000円)。しかし、農村出身の出稼ぎ労働者が多く、職員1000人の大半を占める臨時従業員は正社員の半分の1000元(約1万3000円)前後で、有給休暇もない。正社員登用も難しく、「ほとんどが2~3年で辞めていく」のが実態だ。
 「犯罪は許されないが、容疑者の気持ちは分かるような気がする」(元従業員)、「絶望的な気持ちで社会に仕返しを狙ったのではないか」(地元紙記者)との声が現場にはある。
 農村出身者、貧困層など社会的弱者への差別に解決策が見いだせない中国では、「怒り」「恨み」が原因で犯罪が起こる事例が相次いでいる。
 福建省南平市の小学校では3月、「再就職がうまくいかなかった」ことを理由に中年の男が児童9人を刺殺。陝西省では2月、給与の未払いに怒った50歳代の労働者が路上で爆薬を燃やし、通行人3人が負傷。広東省恵州市では昨年6月、大型バスが暴走して通行人ら4人が死亡したが、運転手は待遇への不満が背景にあったと供述した。
 呂容疑者が20歳まで過ごした石家荘郊外の山村では、若者の就職口がなく、出稼ぎ以外に生活の道はない。出稼ぎ経験のある30歳代男性は、「農民は都会に出ても、教養がない、学歴が低いとバカにされる。不公平なことが多い」と話す。
 石家荘にとどまらず、中国の大都市には貧村からの出稼ぎ者が集まる。そうした人々の間に渦巻く怒りを放置すれば、新たな犯行のひきがねになる懸念がある。

◎【毒ギョーザ逮捕】中国メディアは捜査幹部の会見を報道せず(2010年3月30日、産経新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件で中国公安省の捜査責任者が28日行った記者会見について国営通信、新華社は同日、記事を配信しなかった。このため中国メディアは一切、会見について報じていない。
 記者会見は共同通信など一部日本メディア向けに行われたが、新華社の記者も同席していた。中国内でも事件をめぐり捜査当局や食品安全を担当する検疫当局への批判が出ており、捜査結果内容はさらなる批判を招きかねないため、報道を控えたとみられる。

◎「色情服務」取り締まりは形ばかり、中国広東省、サウナなどの過激サービス(2010年3月30日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国南部の広東省東莞市では風俗業界で「色情服務」と呼ばれる過激なサービスが提供されているが、どうも当局には取り締まる意思がないようだ。
 地元紙によると、市内のサウナなどから違法サービスをにおわす客引きの電子メールが市や省の幹部にまで送りつけられ、衛生局の幹部が取り締まりを指示した。
 担当者があわてて市内のサウナ業者約200人を集めたが、そこで厳命したのは電子メールを使った宣伝の禁止だけ。“違法行為”についての指導は形ばかりだったという。
 東莞市の混乱ぶりに中央の公安省(警察庁に相当)が昨年秋、徹底的な摘発を指示したこともある。
 しかし中国の風俗業界は地元の当局内部に後ろ盾がいるのが普通。このため取り締まりにはさまざまな横やりが入ることから、担当者としても本気で取り締まる気持ちにはなれないようだ。

◎中国雲南省で暴動、13人負傷と香港紙(2010年3月30日、読売新聞)
 【台北=源一秀】香港紙「明報」(電子版)は28日、中国雲南省昆明市で26日夜、数百人規模の暴動が発生し、16人が負傷、40人が逮捕されたと報じた。
 露店の違法営業取り締まりの際に小競り合いが起き、「女性が殴り殺された」とのうわさが発生して騒ぎが拡大した。

◎警察庁困惑「検証しようがない」、毒ギョーザ(2010年3月30日、読売新聞)
 冷凍ギョーザ中毒事件を巡って、28日、日本の一部報道機関に捜査の状況を明らかにした中国公安省。
 その発表では、呂月庭容疑者が事件に使った注射器やメタミドホスを入手したのは、「2007年7、8月」で、同年10月1日、初めて冷凍庫でメタミドホスを注入した後、10月下旬と12月下旬にも同じように注入したとしている。
 ところが、08年2月に、福島県内の店舗で同じ有機リン系殺虫剤ジクロルボスが検出された天洋食品製のギョーザは、前年の07年6月に製造されており、一連の薬物混入を、呂容疑者の「単独犯」とする中国公安省の見解では説明がつかない。これについて警察庁幹部は「一方的に発表内容が伝わって来るだけなので、検証しようがない」と困惑した様子で話した。
 中国側は、さらに2本の注射器について「工場内の通路脇の下水道内に捨てられていた。今月21日に発見した」と発表したが、「事件から2年もたって、いきなり下水道で見つかったと言われても……」と、別の同庁幹部は首をかしげた。
 この日の発表について、同庁には開催することさえ事前に連絡がなく、「またも寝耳に水」(同庁幹部)。同庁は近く中国に幹部を派遣する予定で、「早く現地入りして捜査状況について直接、話を聞く必要がある」としている。

◎回収ギョーザ中毒事件も呂容疑者、公安省幹部(2010年3月28日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国公安省の杜航偉・刑事偵査局長は、28日の一部日本メディアとの会見で、2008年6月14日に中国河北省承徳で起きた「天洋食品」の回収冷凍ギョーザによる中毒事件も呂月庭・容疑者(36)の犯行であることを明らかにした。
 局長は、呂容疑者が07年12月下旬に毒物を混入させたと断定した、と語った。
 問題のギョーザは、当初、天洋食品が回収・保管していたが、その後、河北省内の約20社に大量に横流しされた。被害に遭ったのは、横流しを受けた「承徳鋼鉄」の関係者4人とされる。

◎「日本の中毒、非常に後悔」、毒物混入容疑者(2010年3月28日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国公安省の杜航偉・刑事偵査局長が28日、一部日本メディアの取材に応じ、逮捕された製造元「天洋食品」の元臨時従業員、呂月庭・容疑者(36)は事件発覚約4か月前の2007年10月1日から計3回にわたって、工場内で盗んだ有機リン系殺虫剤メタミドホスを注射器でギョーザに注入していたと供述していると明らかにした。
 杜局長は、呂容疑者は「単独犯だ」と述べ共犯がいた可能性を否定した。同容疑者は社内で正規従業員との待遇の差が大きいことに不満を募らせ、特に、妻の出産休暇の際、ボーナスが支払われなかったことに怒って会社への報復を考えたと供述しているという。
 26日に国営新華社通信が容疑者逮捕を報じて以来、公安省幹部が直接取材に応じ、捜査状況を詳細に明かすのは初めて。杜局長は、日本の警察幹部の訪中を「すでに招請している」と明らかにし、日本の捜査当局と緊密に協力していく姿勢を強調した。
 杜局長によると、呂容疑者は07年7月と8月に工場の清掃部門から殺虫剤を盗み、医療機関から廃棄された針付きの注射器数本を入手。同年10月1日と同月下旬、12月下旬の計3回にわたって、ギョーザの冷凍庫に侵入し、注射器でギョーザに注入した後で注射器を工場内の下水道に捨てたと供述している。
 12月下旬の混入について、局長は、08年6月に河北省承徳で起きた天洋食品製冷凍ギョーザ中毒事件の原因と断定した、と述べた。
 呂容疑者は1993年から天洋食品の食堂管理の臨時従業員として勤務していた。杜局長は、呂容疑者が一貫して「重点捜査対象だった」と強調したが、逮捕まで2年以上の時間がかかったことについては「冷凍庫に接触できる者586人を調べなければならず、作業量が膨大だった」と話した。そのうえで、今回捜査が急転した理由については、呂容疑者が事件発覚後に妻や親戚に「自分がやった」と漏らしていたことがわかり、3月16日に身柄を拘束して調べた結果、メタミドホス混入を認めた、と説明した。21日には本人の供述通りに下水道から注射器が発見されたという。
 呂容疑者は、「日本の消費者の中毒を招くとは思ってもいなかった。非常に後悔している」と話しているという。

◎「工場の芝生用メタミドホス盗み注入」、中国公安省会見(2010年3月28日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国公安省は28日、冷凍ギョーザ事件で拘束した呂月庭容疑者(35)が2007年10~12月に計3回にわたって毒物を製品の冷凍ギョーザに混入させたと供述していることを明らかにした。呂容疑者はこれに先立ち、同年夏に有機リン系成分メタミドホスが含まれる農薬を勤め先のギョーザ工場内で盗んでいたという。
 同省幹部がテレビ朝日など一部の日本メディアと会見した。製造元の天洋食品は事件発生直後、「工場ではメタミドホスは使っていない」と否定していたが、その後の公安当局の調べで、工場内の芝生などの農薬として使われているものがあったことが分かった。呂容疑者は混入に使用した注射器数本も同工場の診療所から廃棄済みのものを盗んだという。
 公安当局は、呂容疑者が妻や親族に対して犯行をほのめかす発言をしていたことを知り、今年3月16日に聴取を開始。犯行を認める供述を得て、「危険物質投与」の疑いで拘束した。同21日に供述通りに工場内の下水溝から注射器が見つかった。指紋は検出されなかったが、注射器の形態なども供述通りだった。
 呂容疑者が工場内の冷凍倉庫でギョーザにメタミドホスを混入したのは07年10月1日。発覚しなかったため、同12月下旬までにさらに2回、繰り返した。その後、冷凍ギョーザを食べた千葉・兵庫県の10人が08年1月、中毒症状を訴え、事件が発覚した。
 1993年から天洋食品の臨時工員だった呂容疑者は、待遇や給与で大きな差がある正社員になれず、不満を抱いた。同じく天洋食品勤務の妻が2005年に出産休暇をとった際1年分のボーナスが支給されなかったことも重なり、「工場への報復」を動機に犯行に及んだという。共犯関係はないとしている。
 公安省は2年間で計500人以上を調べた。中でも呂容疑者を「一貫して重要な捜査対象者」(同省幹部)としていたが、決定的な証拠がなかったという。

◎【毒ギョーザ逮捕】メタミドホス、工場で入手(2010年3月28日、産経新聞)
 中国公安省当局者は28日、共同通信など一部日本メディアと会見し、中国製ギョーザ中毒事件で拘束した呂月庭容疑者(36)が2007年夏に、ギョーザに混入した有機リン系殺虫剤「メタミドホス」をギョーザ工場内で盗み、冷凍保存庫で3回にわたって注入したと供述していることを明らかにした。
 工場側は一貫して「メタミドホスは工場内にはない」と否定していたが、工場で呂容疑者が入手していたことが分かったことで、管理体制も問われそうだ。
 同当局者は呂容疑者が「一貫して重要な捜査対象」だったと指摘した。呂容疑者が妻や親せきに「自分がやった」と認めていたことなどから3月16日に聴取を開始し、21日に本人の供述通り、工場内の下水道から注射器を発見。急転直下、事件が解決に向け動きだしたことも明らかにした。
 動機については、ギョーザ工場の臨時従業員だった呂容疑者が正社員との給与格差が大きかったことなどに不満を抱いていたと語った。

◎ギョーザ事件、日中捜査協力「試金石だったが」(2010年3月28日、読売新聞)
 新華社通信が、「対日輸出ギョーザ中毒事件を解決」という見出しで、「天洋食品」の元臨時従業員・呂月庭容疑者(36)逮捕の一報を伝えたのは、日本時間の26日夜11時51分(現地時間10時51分)。
 警察庁は、これを伝える国内ニュースで初めて逮捕の事実を知り、慌てて在北京日本大使館と連絡を取って、中国公安省への情報収集を依頼した。だが、容疑者が「正社員にしてもらえなかった」などと供述しているという以外、詳しい情報提供はなく、中国との捜査協力、中でも情報交換の難しさが浮き彫りになった。
 その懸念は、当初から指摘されていた。今回の事件発覚後、警察庁と中国公安省は、5回にわたって両国で相互に開いた「情報交換会議」では、「有機リン系殺虫剤メタミドホスが中国で混入した可能性が高い」とする警察庁に、中国公安省は「日本で混入した可能性もある」と主張し、怒声が飛び交う場面も。
 呂容疑者の周辺から2本の注射器が発見されたと中国側が説明している点についても、警察庁内には、「発覚から2年以上たって見つかったというのは不自然」「隠していたのではないか」などという声がある。
 「今回の事件は、日中の捜査当局が協力して捜査に臨んだ初のケースで、試金石だった。結果として容疑者は捕まったが、今後の協力のあり方を模索する必要がある」。同庁幹部の一人はそう指摘する。
 警察庁は近く幹部を中国に派遣し、日本の事件についても徹底解明を求める方針だが、日中間には犯罪人引き渡し条約がなく、公共の安全を害することを禁じた中国の「危険物質投入罪」で逮捕された呂容疑者の身柄が引き渡される可能性は低い。日本の捜査員が直接、事情聴取することも困難とみられる。日本にとっては、中国公安省に「代理処罰」などを要請する中で、真相解明につながる情報を得ていくしか手段がない。
 中国への代理処罰は、09年末時点で、福岡一家4人殺害事件(03年6月)など過去に20件、25人に適用され、このうち9人が死刑判決を受けている。さらに日中間では今回の事件後の08年11月、刑事共助条約が発効し、外交ルートを通さずに捜査資料を提供することが可能になった。同庁は要請があれば、ギョーザから検出されたメタミドホスの「質量分析結果」などの捜査資料を提供する方針で、こうしたやり取りを通じ、どこまで中国側から情報を得られるのか注目される。(社会部、中村勇一郎)

◎ギョーザ事件容疑者「発覚の4か月前に混入」(2010年3月28日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国公安省の杜航偉・刑事偵察局長は28日午前、一部日本メディアと会見し、製造元「天洋食品」の元臨時従業員の呂月庭容疑者(36)が工場の待遇への不満から、事件発覚の約4か月前に殺虫剤の成分であるメタミドホスをギョーザに混入させたことを明らかにした。
 呂容疑者は07年10月、工場内の冷凍庫に忍び込み、注射器でメタミドホスを混入させたという。
 同事件で、公安省幹部が会見するのは2年ぶり。

◎毒ギョーザ、当局が取材規制、住民「全く知らない」(2010年3月28日、読売新聞)
 【石家荘(中国河北省)=関泰晴】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元「天洋食品」の元臨時従業員が逮捕された中国河北省石家荘市の地元メディアが、当局から、独自取材を禁じられ、国営新華社通信の配信記事だけを使うよう通達を受けていたことがわかった。関係筋が27日、明らかにした。北京でも一部紙が小さく新華社配信記事を掲載しただけで、同様の指示が出ていたとの見方が強い。胡錦濤政権は、中国人が逮捕されたことにより、インターネットで政府批判や反日機運が盛り上がるのを強く警戒しており、全国規模で厳しい情報統制を敷いたとみられる。
 関係筋によると、石家荘市の地元各紙やテレビに通達が出されたのは、容疑者逮捕の新華社報道直後にあたる26日深夜から27日未明。
 同筋は「だれも取材をしていないので、地元では何も分からない。政治的に敏感な問題で、当局が非常に気を使っているようだ」と述べた。
 逮捕された容疑者の出身地とされる井●(せいけい)県。石家荘市中心部から車で約30分の場所にある。(●は脛の月がこざとへん)道路沿いにセメント工場が点在し、山間にある町には県の公共機関や団地が立ち並ぶ。農業以外に主な産業はなく、出稼ぎに出るしかない土地だ。
 通りがかりの40歳代男性は「(事件の)報道も見たことがないし、全く知らない」と関心なさげに語った。

◎単独犯?混入時期も不明、毒ギョーザ事件(2010年3月28日、読売新聞)
 千葉、兵庫両県の3家族10人が被害に遭った中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元の「天洋食品」(中国・河北省)の元臨時従業員が逮捕された。
 工場の食堂の管理人だったという男は、いつどのように有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を混入したのか。これまでに浮上した疑問点や、今後の捜査の課題をまとめた。

・どこで
 兵庫県の家族3人が天洋食品のギョーザを食べて中毒になったのは2008年1月5日。このギョーザは前年の10月1日に天洋食品で製造され、その日のうちに袋詰めにされると、段ボール箱に梱包(こんぽう)された状態で約1か月間、工場内に保管、11月2日に輸出されて、4日後に大阪港に到着した。
 一方、千葉県の2家族7人が食べたギョーザの製造は同年10月20日で、23日に工場から出荷され、11月5日に横浜港に着いている。
 二つの事件のギョーザが工場に同時に保管されていたのは10月20日~23日の4日間。食堂の管理人だった呂月庭容疑者(36)は、どのタイミングでメタミドホスの混入が可能だったのか現時点ではわかっていない。
 輸入元の親会社・日本たばこ産業が08年2月に行った説明では、ギョーザの製造過程は「調理」と「包装・梱包・冷凍」に分かれ、指導スタッフも巡回する中、調理の過程での混入は難しいとしていた。
 呂容疑者の周辺からは注射器2本が押収され、メタミドホスも検出された、と中国側は日本に伝えている。兵庫県の家族が食べたギョーザの袋には、直径約1ミリの穴が開いていたことが判明しており、包装後のいずれかの段階で注射器で注入した疑いが濃厚になっている。

・被害の認識
 日本人に被害者が出る可能性があるということを、呂容疑者がどの程度認識していたのかもポイントだ。
 天洋食品は近年、日本向けの加工食品を専門に製造していたとされ、事件発覚後の08年2月2日に開いた記者会見では、07年の日本向けギョーザの年間輸出量が3970トンに上ることを明らかにしている。
 呂容疑者の逮捕容疑は、無期懲役刑や死刑もある「危険物質投入罪」とされる。警察庁は「この罪が日本の殺人未遂罪などに該当するかどうか見極め、中国にどのような処罰を求めるべきか検討したい」としており、近く幹部を中国に派遣し、中国での捜査状況を確認する。

・長期間の可能性
 「長期間、臨時工として勤務しても正社員にしてもらえなかった」。呂容疑者は動機をそう供述していると、中国側が連絡してきているが、単独犯かどうかの説明はないという。
 09年1月には、中国当局が、天洋食品の元従業員数人を事情聴取したことも明らかになっているが、その時の捜査と今回の逮捕がどう関係するのかも不明だ。
 08年2月には、前年の11月に販売された天洋食品製のギョーザから、別の有機リン系殺虫剤ジクロルボスが検出されている。このギョーザが製造されたのは、千葉、兵庫両県の家族が被害に遭ったギョーザより約4か月前で、殺虫剤の混入は長期間続いていた可能性もある。「呂容疑者1人ですべて混入できたのだろうか」。警察庁幹部は首をかしげながら語った。

◎スケープゴート?毒ギョーザ逮捕で当局に不信感(2010年3月28日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で中国人容疑者が逮捕されたとの報道を受けて、中国のインターネットでは、事件発覚から2年以上経過した後の逮捕に懐疑的な見方を示す書き込みも出ている。
 共産党の一党独裁下での情報統制に対する不満が背景にあるとみられる。
 ネット利用者に人気のある「天涯論壇」などには、「2年もたっているのに犯行に使った注射器が残っているなんて」「日本人に説明し、警察がメンツを保つために、容疑者に人民元をたくさん与えて罪を認めさせた。彼はスケープゴートにされた」など警察当局への不信感を示した書き込みが見られた。
 また、容疑者が「元臨時従業員」とされた点についても、「悪事を働くのはどうしていつも臨時従業員なのか」「日本人だって信じないだろう」などの疑念が目立った。
 一方、容疑者に対して、「私憤をはらすため国家の利益とイメージを顧みなかった」「即刻死刑にすべき」などの過激な声もあった。

◎ギョーザ事件容疑者「学費の工面に苦労」、義父母語る(2010年3月28日、朝日新聞)
 【石家荘(中国河北省)=峯村健司】中国製冷凍ギョーザ事件で拘束された製造元の天洋食品(河北省)の元臨時工員、呂月庭容疑者(35)の義父母が27日、朝日新聞の単独取材に応じた。呂容疑者には小学生と幼稚園の子どもがいたが、「長年働いても給料が増えず、子どもの学費を払うのが困難だった」と述べ、生活苦と会社への恨みが動機だった可能性を示唆した。
 義父母宅は、天洋食品から北に約30キロ離れた畑の一角にある古いれんが造りの農家。呂容疑者はここに戸籍を置きながら、工場近くに住んでいた。義母は「仕事と子育てに忙しくほとんど帰ってこなかった。貧しい農家に住むのが嫌だったのだろう」と話す。
 食堂の責任者として妻とともに1日13時間以上働き続けたが、月給は800元(約1万円)前後。ほとんど昇給がなく、業績が悪いと給与がカットされることもあったという。天洋食品は事件当時約850人の臨時工がいたが、平均勤続年数は2年弱。夫婦で10年以上働き続けた呂容疑者は異例だった。勤務の年数や態度によって臨時工から給料が数倍に増える正社員に昇格できるが、かなわなかった。
 呂容疑者は地元警察当局に対し、動機について「こんなに長期間、一生懸命働いても自分と妻を正社員にしてくれない会社に強い不満があり、絶望的な気持ちになった」と供述した。
 一方、日本の警察庁によると、拘束容疑は有毒物質の混入など、公共の安全に危害を加えたりした際に適用され、死刑もありうる「危険物質投与」の罪。

◎ギョーザ中毒事件で容疑者拘束、「天洋食品」元臨時工、中国、待遇などに不満、2年ぶり解決へ(2010年3月27日、産経新聞)
 中国の警察当局は26日までに、2008年1月に発覚した中国製ギョーザ中毒事件で、ギョーザに毒を入れたとしてギョーザ製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)の元臨時工、呂月庭容疑者(36)=河北省出身=を拘束した。新華社電が伝えた。
 中国政府は27日未明までに外交ルートを通じ「容疑者の男を拘束した」と日本政府に伝達した。
 事件は発生から2年余りを経て解決へ向け大きく前進した。
 公安当局は犯行に使用した注射器などを発見した。呂容疑者は容疑を認めており、給料や待遇などの不満から犯行に及んだという。
 事件は「天洋」製のギョーザを食べた千葉、兵庫両県の3家族計10人が中毒症状を訴え、9人が入院したことで表面化。日中両国は捜査協力で合意したが、双方が自国でのメタミドホス混入の可能性を否定、中国側の捜査はいったん中断、難航していた。
 しかし「天洋」が回収したギョーザを食べた中国人がメタミドホスによる同様の中毒症状を訴える事件が発生し、事態は一変。中国側は天洋工場内で故意に混入された疑いが強いとみて国内捜査を再開し、生産ラインで勤務していた従業員や臨時工員らを中心に徹底追及を進めていた。
 天洋食品の問題のギョーザは、日本たばこ産業(JT)のグループ企業の「ジェイティフーズ」が輸入販売元となり、日本国内で売られた。

◎中国政府「日本を狙った犯行」説を否定、ギョーザ事件(2010年3月27日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国製冷凍ギョーザ事件で製造元の元臨時工員の男性が拘束されたことを受け、中国政府が26日夜、事件は「個人的な鬱憤(うっぷん)を晴らすためにギョーザに毒を混入させた。事件の真相は解明された」と日本側に伝えていたことが分かった。ギョーザ輸出先の日本に特別の恨みを持った犯行ではないとの見方を示したものだ。日本側は、中国での処罰を依頼する意向だ。
 日本の警察庁幹部や中国の新華社通信によると、犯行に使われたとみられる注射器2本が下水道から見つかり、中国の捜査当局に押収されていた。注射器には事件で検出された有機リン系殺虫剤メタミドホスが付着していた。
 拘束された呂月庭容疑者(35)はギョーザの製造元、河北省石家荘市の「天洋食品」で食堂の管理人をしていた。給与や、正社員になれないことに不満があり、ほかの職員との間にトラブルがあったとも供述しているという。
 天洋食品のギョーザの大半は日本向けだったため、事件当初は日本に恨みを持った犯行とする見方があったが、中国側としては「個人的な犯行」と位置づけた。
 呂容疑者は、捜査機関が検察当局の承認を経て行う刑事勾留(こうりゅう)の状態にあり、今後、逮捕、起訴へと進む見通しだ。
 事件発生直後は、中国側が「天洋食品の工場内で毒物が混入された疑いはない」と表明。日中双方が自国での毒物混入の可能性を否定する事態になった。しかし2008年夏、天洋製ギョーザで中毒症状を訴える事件が中国でも起き、中国内での毒物混入の疑いが強まった。中国の捜査当局は工場従業員を中心に調べを進めていた。
 27日付の中国の大衆紙は容疑者拘束を伝える新華社の配信記事を掲載したが、共産党機関紙の人民日報などは掲載せず、抑制的に扱おうとする当局の姿勢がうかがわれる。
 中国外務省の秦剛・副報道局長は27日、「中国警察当局が2年以上にわたり怠らず入念に捜査した結果だ。被害者にとって慰めとなるよう希望する」との談話を発表した。

◎「正社員になれず」毒ギョーザ事件、動機供述(2010年3月27日、読売新聞)
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、警察庁は27日、中国公安省からの情報として、逮捕された製造元「天洋食品」(中国・河北省)の臨時工・呂月庭容疑者(36)の周辺から2本の注射器が押収され、日本で中毒を起こした製品に混入していたのと同じ有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出されたことを発表した。
 中国公安省は、天洋食品の食堂の管理人をしていた呂容疑者が容疑を認めているとした上で、動機について「長期間、臨時工として勤務しても正社員にしてもらえなかった」と供述したと説明しているという。
 事件を巡っては、2008年1月に千葉、兵庫両県での被害が発覚した後、河北省でも、同年6月に同じ中毒被害が発生していたことが判明している。警察庁は、呂容疑者がどちらの事件で逮捕されたのかは「現段階では不明」としているが、外務省によると、中国側は容疑者が日本での中毒事件にかかわったことも伝えてきており、今後、「日本側が希望すれば共同捜査を行う用意がある」とも連絡してきたという。
 警察庁に呂容疑者逮捕の連絡が入ったのは27日午前0時。中国公安省は、「2本の注射器は下水道に捨てられていた」としているが、下水道がどの場所にあったのかなどは明らかにしていないという。呂容疑者の単独犯行かどうかについても、警察庁は「現段階ではわからない」としている。
 日中両国の間では犯罪人引き渡し条約が結ばれていないため、警察庁は呂容疑者が日本側の事件に関与していた場合、代理処罰の要請を検討する方針。また、2本の注射器から検出されたメタミドホスが、千葉、兵庫両県で被害が出たギョーザから検出された成分と一致するかどうか確認するため、捜査幹部の派遣も検討している。

◎毒ギョーザ、北京では低調報道、ネット警戒?(2010年3月27日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で容疑者が逮捕されたことについて、北京各紙は27日、1面に「対日輸出毒ギョーザは人為的な毒物混入によるもの」などと小さな見出しを立てる一方で、記事は中面に掲載した。
 記事の内容は、新華社通信が26日夜に報じたもので、独自取材に基づく記述はなかった。北京紙「新京報」は「中国が対日輸出ギョーザ中毒事件を解決」との見出しを掲げた。
 一方、インターネット上では、突然の容疑者逮捕を受け、「国際関係に悪影響を与えたとして容疑者は死刑になるのか」「中国の食品輸出に貢献するのか、打撃になるのか」などと、疑問を呈したり、懸念したりする書き込みがみられた。低調な報道は、中国当局が、ネット上で政府批判や反日ムードが広がるのを警戒して、報道内容を厳しく統制しているためとみられる。

◎毒ギョーザ、北京では低調報道、ネット警戒?(2010年3月27日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で容疑者が逮捕されたことについて、中国外務省は27日、「事件解決は、中国警察当局による2年余りに及ぶ、たゆまぬ入念な捜査の結果だ。被害者にとって慰めになるよう希望する」との報道官談話を発表した。

◎中国製食品、解けぬ警戒心、ギョーザ事件・容疑者拘束(2010年3月27日、朝日新聞)
 中国製食品がスーパーの店頭から姿を消し、検疫体制も揺るがした冷凍ギョーザ中毒事件の発覚から2年余り。容疑者拘束を受けても、消費者の警戒心が解かれるわけではない。影響を受けたメーカーや輸入業者は風評被害を恐れつつ、捜査の進展を見つめる。
 「捜査が進展したのはいいこと」。天洋食品(河北省)と取引のあった東京都内の輸入業者は、そう話した。
 「中国から安くいい商品が輸入され、日中両国ともにメリットがあったはずなのに、この事件でその関係が阻害されてしまった」と事件を振り返る。ただ、「両国ともに検査が厳しくなり、より安全な商品が入るようになったことはよかった」とも語る。
 別の東京都内の輸入会社では事件後、中国の工場と取引を始める際には毎回、商品サンプルの残留農薬の検査を実施している。事件後、卸し先の小売業者や外食業者から証明書の提出を求められるようになったためという。
 一時は激減した中国製品の取扱量は、中国企業の対応の厳格化や低価格への人気から次第に盛り返し、事件前の6割程度まで戻ったという。
 日本ハム(大阪市中央区)も業務用のソーセージなどを天洋食品から仕入れていた。「一般家庭の冷蔵庫にはないはずだったが、『うちのは大丈夫か』と問い合わせが殺到し、窓口がパンクした」。広報担当者は「原料検査などを強化しているが、わざと異物が入れられたような場合には対応が難しい」と話す。
 別の日本の大手食品メーカーは事件以降、中国の工場からの輸入品の品質管理をチェックする回数を増やした。同社は複数の国から商品を輸入しており、「工場では、まじめに働いている人がほとんど。中国産だから問題が生じたというより、製造現場との信頼関係をしっかり築くしかない」と語る。

・厚労省、水際対策に力
 厚生労働省は27日未明、外務省からの情報提供を受け、今後の対応の検討を始めた。厚労省のある幹部は「毒物を入れた経緯や手口が判明しないと、具体的な再発防止策が決められない。まずは詳細な情報が何よりも必要だ」と話した。
 同省は事件を教訓に、輸入冷凍加工食品の残留農薬調査を始めるとともに、水際対策を強化。食品衛生監視員を2008年から09年にかけて約30人増やすなどの対策を進めてきた。
 08年春からは北京の日本大使館に食品安全を担当する外交官を駐在させ、輸出当局の担当者との情報交換をしたり、同じような異物混入問題が起きた際に備えて情報収集に当たったりしてきた。
 別の幹部は注射器を使った手口について「検疫強化だけでは限界がある。普段からどういう体制で食品をつくっているのかにも注意する必要がある」と製造過程を確認する重要性を指摘する。
 また、事件を契機に08年6月にできた「輸入加工食品の自主管理に関する指針」では、輸入食品業者に対し、異物が紛れ込まないよう管理体制が整った工場で作られたものかどうかなどの確認を製造国でするように求めている。
 それでも異物入りの食品が国内に入り込む余地は残る。被害の拡大を少しでも防ぐために、健康被害につながる情報を素早くつかんで関係先に知らせる「食中毒被害情報管理室」を09年4月に新たに設置した。担当者は「検疫体制や通常の製造体制だけでなく、万が一入り込んだ場合でも、被害を最小限にするための工夫が必要だ」という。

◎ギョーザ事件進展、首相「中国側関係者の努力を評価」(2010年3月27日、朝日新聞)
 鳩山由紀夫首相は27日、中国製冷凍ギョーザ中毒で中国捜査当局が製造元の臨時工員だった男を拘束したことについて、「中国側関係者の努力を評価し、さらなる真相究明を期待する。引き続き中国側との間で意思疎通を密にし、相互に協力していく。本件が早期に解決し、日中関係がさらに発展することを期待する」とのコメントを発表した。
 一方、岡田克也外相は27日、拘束について「中国当局の大変な努力の結果、ここまでこぎ着けていただいた」と述べ、中国側の対応を評価した。三重県四日市市であった民主党選挙区支部大会で語った。岡田氏はまた、「(就任後)日中外相同士でこれまで4回会談してきたが、ギョーザの問題は一つの大きな問題だった」と振り返った。

◎ギョーザ事件、呂月庭容疑者、08年に一時拘束(2010年3月27日、朝日新聞)
 【石家荘(中国河北省)=峯村健司】中国の警察当局は発生当初から、天洋食品が雇っていた約850人の臨時工に焦点を絞って捜査してきた。全従業員に30万元(約400万円)という異例の高額報奨金付きで情報提供を呼びかけ、その結果、頻繁な賃金カットやリストラで、多くの臨時工が労働条件に不満を持っていたことがわかった。
 今回拘束された元臨時工の呂月庭容疑者(35)は2008年末に一度、捜査本部が拘束し、1カ月にわたり取り調べたが、釈放した経緯があった。捜査関係者は「逮捕に至る供述が得られなかった」と明かす。
 臨時工は農村出身の出稼ぎ者が多い。勤務時間は連日十数時間に及ぶが、月給は800元(約1万円)前後。事件直前にはストライキを起こした18人が解雇されていた。親会社からの分離・独立をめぐってもめ事もあった。
 だが、物証がないことが捜査の壁となった。
 捜査本部は同社の製造工場や倉庫内に設置していた防犯カメラの録画映像や出勤状況が記されている管理簿の分析を進め、問題となったギョーザが製造された2007年6月3日、10月1日と20日に出入りした者に重点を置いて事情聴取を進めた。しかし防犯カメラの映像に容疑者の姿はなく、メタミドホスの成分分析からも確定的な証拠は得られなかった。天洋食品をめぐるトラブルの多さも、動機面からの捜査を難しくさせた。
 事件発生から2年が過ぎても捜査態勢を維持。呂容疑者を含めた臨時工へのねばり強い聴取を進め、ようやく自供を得たものとみられる。日中首脳会談のたびに日本側が毎回、事件解決を強く求め、「日本政府や国民が事件をきわめて重く見ていることがよく伝わった」(中国政府関係者)といい、胡錦濤(フー・チンタオ)指導部がメンツをかけ、捜査部門に事件の解決を指示した結果ともいえる。

◎ギョーザ事件、急転拘束、輸入関係先「捜査見守る」(2010年3月27日、朝日新聞)
 農薬成分の混入した中国製冷凍ギョーザが全国の食卓を不安に陥れた事件が発覚して2年余。迷宮入りかと思われていた事件について、中国の新華社が「中国警察当局が容疑者の男を拘束した」と報じた。急転直下、真相は解明されるのか。
 中国・河北省の「天洋食品」の製品に、農薬成分メタミドホスは混入されていた。同社と取引のあった東京都内の輸入会社社長は、突然の容疑者拘束の一報に「どこまで確証があるのか分からないので、しばらくは経緯を見ていたい」と語った。
 この事件で、商品の回収を余儀なくされた。「天洋食品側からの補償も考えられないし、とにかく真相解明が遅すぎると感じる」
 事件は2008年1月に表面化した。中国側は当初、「中国国内で農薬成分の混入はない」としていたが、日本側の捜査で同年2月に、未開封のギョーザからメタミドホスが検出され、工場で混入された疑いが強まった。同年4月には、同社が回収したギョーザが河北省内の約20社に転売され、中国でも新たに被害が出た。
 事件を教訓に、輸入冷凍加工食品の残留農薬調査を開始した日本の厚生労働省は、食品衛生監視員を08年から09年にかけて約30人増やすなどの対策を進めてきた。同省のある幹部は「まだ情報は入っていない。今回の男が本当の犯人で、どうやって毒物を入れたのかが判明すれば、具体的な再発防止策をとれる可能性が出てくる」と話し、今後の捜査の行方に注目している。
 当時の子会社がギョーザを輸入していた日本たばこ産業(JT)の広報担当者は「報道を通じて情報は承知しているが、詳細は知らない。会社としては、捜査の進展を見守りたい」とコメントした。

◎冷凍ギョーザ事件、中国当局、35歳の元臨時工員を拘束(2010年3月27日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国政府は26日夜、2008年1月に起きた中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、日本向け輸出用ギョーザに毒を入れたとして、製造元の臨時工員だった中国人の男を捜査当局が拘束した、と日本政府に通告した。日中間の外交問題に発展した食の安全をめぐる事件は、発生から2年余りで大きく進展した。
 新華社通信などによると、男はギョーザの製造元である河北省石家荘市の「天洋食品」の元臨時工員で同省出身の呂月庭容疑者(35)。取り調べに対して容疑を認めている。捜査当局は多数の目撃証言も得たとしている。
 また日本の警察庁幹部が中国側の説明として語ったところでは、呂容疑者は食堂の管理人をしており、長期間、臨時工をしていても正社員になれないことが不満だったと供述。犯行に使われたとみられる注射器が2本、下水道に捨てられていたのが見つかり、注射器には事件で検出された有機リン系殺虫剤メタミドホスが付いていたという。
 呂容疑者は、捜査機関が検察当局の承認を経て行う刑事勾留(こうりゅう)の措置がとられた状態にあり、今後、逮捕、起訴の手続きがとられる見通しだ。
 事件は08年1月、天洋食品製の冷凍ギョーザを食べた千葉・兵庫両県の10人が中毒症状を訴えたことで発覚。一時は日中双方が自国での毒物混入の可能性を否定する事態になったが、同年夏、天洋食品製ギョーザを食べて中毒症状を訴える事件が中国でも起き、中国内での毒物混入の疑いが強まった。日本側は事件の早期解決を求め、両国間の重要外交課題となった。
 この事件の発覚後も、中国製の粉ミルクやピザ生地、卵などから有害物質メラミンが相次いで検出される問題が起きた。日本側に中国食品に対する強い不信感を植え付けたほか、中国の国内でも食の安全に対する関心が高まった。
 27日付の中国各紙は一様に容疑者拘束を伝える新華社の配信記事を掲載した。

◎下水道から注射器2本、ギョーザ事件容疑者の素性(2010年3月27日、スポーツニッポン)
 中国公安省は26日、2008年1月に発覚した中国製ギョーザ中毒事件で、ギョーザに有機リン系殺虫剤「メタミドホス」を混入させたとして、ギョーザ製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)の元臨時工、呂月庭(りょ・げつてい)容疑者(36)=河北省出身=を拘束したと発表した。新華社が伝えた。
 日本の警察庁幹部は27日未明、犯行に使われたとみられる注射器2本が下水道から見つかり、メタミドホスが付着していたと中国外務省が在北京日本大使館に伝えてきたことを明らかにした。
 日中間の一大懸案に発展した事件は発覚から2年2カ月ぶりに、解決へ向けて大きく前進した。
 警察庁によると、中国外務省からの連絡では、注射器は下水道に捨てられていたとみられ、供述に基づき見つかったという。
 警察庁や新華社電によると、呂容疑者は出稼ぎのため天洋食品で働いていたとみられ、食堂の管理人だったが「長期間勤務しても自分と妻を正社員にしてもらえなかった」などと供述。ほかの従業員とのトラブルもあったという。

◎ギョーザ中毒事件被害のJT「状況が分らない」(2010年3月27日、スポーツニッポン)
 中国製ギョーザ中毒事件をめぐり、グループ会社の扱っていた冷凍食品が被害を受けた日本たばこ産業(JT)は27日未明、「報道を通じて情報を知ったが、全く状況が分からない。捜査の状況を見守りたい」(IR広報部)と話した。

◎毒ギョーザ事件、元臨時工の中国人の男拘束(2010年3月27日、スポーツニッポン)
 中国の警察当局は26日までに、2008年1月に発覚した中国製ギョーザ中毒事件で、ギョーザに毒を入れたとしてギョーザ製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)の元臨時工、呂月庭(りょ・げつてい)容疑者(36)=河北省出身=を拘束した。公安当局は犯行に使用した注射器などを発見。事件は発生から2年余りを経て解決へ向け大きく前進した。
 新華社電によると、呂容疑者は容疑を認めており、給料や待遇などの不満から犯行に及んだという。中国政府は27日未明までに外交ルートを通じ「容疑者の男を拘束した」と日本政府に伝達した。
 事件は「天洋」製のギョーザを食べた千葉、兵庫両県の3家族計10人が中毒症状を訴え、9人が入院したことで表面化。日中両国は捜査協力で合意したが、毒物の混入場所をめぐり「中国国内」と主張する日本当局と、日本国内を強く示唆した中国当局の対立が表面化。中国側の捜査はいったん中断、難航していた。
 しかし「天洋」が回収したギョーザを食べた中国人がメタミドホスによる同様の中毒症状を訴える事件が発生し、事態は一変。中国側は天洋工場内で故意に混入された疑いが強いとみて国内捜査を再開し、生産ラインで勤務していた従業員や臨時工員らを中心に徹底追及を進めていた。
 日本政府は今後、中国の関係当局から動機や犯行の具体的な状況について詳しく事情を聴く方針だ。近く中国に協力を求めるとみられる。
 メンツを重視する中国が当初の主張を転換し、決着を図ろうとしていることに、外務省幹部は「全面解決のきっかけになることを望んでいる」と歓迎した。
 一方、共同電によると、日中外交筋は「中国当局から逮捕の予兆は感じられなかった。唐突な感じを受ける」と指摘。一連の捜査の在り方が適正だったかどうかなど、真相把握するまでに一定の時間がかかるとの見方を示した。
 天洋食品の問題のギョーザは、日本たばこ産業(JT)のグループ企業の「ジェイティフーズ」が輸入販売元となり、日本国内で売られた。

◎「中国市民、危険にさらす」ドメイン提供停止の米社幹部(2010年3月26日、朝日新聞)
 【ワシントン=尾形聡彦】インターネット上の住所に当たるドメイン名の提供サービス最大手、米ゴーダディーのクリスティーヌ・ジョーンズ上席副社長が24日、朝日新聞のインタビューに応じた。中国のドメイン名「.cn」の新規提供の停止を決めた理由について「中国市民を危険にさらすなら、むしろドメイン名そのものを販売しないほうがいいと判断した」と語った。
 ジョーンズ氏は24日、米議会の特別委員会に出席。中国当局が昨年12月以降、利用者の顔写真や、利用者の署名が入った書類の提出などを求めてきたことを明らかにした。その後のインタビューでジョーンズ氏は「我々の最大の懸案は、利用者の安全性が守られるかどうかだった」と説明。中国当局への情報提供は「中国の市民が、ネット上の匿名性やプライバシーを守る力を完全にそぐことになる」とも述べた。
 中国側が既存の利用者についても同様の情報を出すよう求めてきたため、ゴーダディーは顧客に意向を聞いたという。承諾したのは2割にすぎず、「残り8割は、(中国当局側によって、ドメイン名が)使用中止にされる可能性がある」という。
 米企業の間では、中国本土での検索事業から撤退したグーグルに追随する動きが今後も広がる可能性がある。
 「グーグルの放った一撃が世界に響き渡り、いまや2番目の米企業がそれに続いた」。米議会の特別委員会では議員から、ゴーダディーの表明を称賛する声があがった。
 英テレグラフ紙(電子版)は、デルのマイケル・デル最高経営責任者と会談したインドのシン首相の話として、デルがパソコン部品の調達先を中国からインドに移すことを検討していると伝えた。「より安全な場所に」がその理由で、グーグル、ゴーダディーに続く動きとして報じている。

◎中国で「グーグル離れ」相次ぐ、ネット業者、検索機能排除も(2010年3月25日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国や香港の通信ネットワーク業者の間で、自社のサービスに組み込んだ米グーグルの技術や検索機能を排除する動きが広がっている。
 25日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、中国の通信大手、中国聯通(チャイナユニコム)が、新型の携帯端末に搭載予定だったグーグル製の基本ソフト(OS)「アンドロイド」の利用を見送ると報じた。同社は「われわれは中国の法律を順守する企業と仕事をしたい。グーグルとは当面、かかわりをもたない」としている。
 また、香港からの報道によると、中国本土向けにサービスを提供している香港の有力ポータル(玄関)サイトTOMは、自社サイト内に置いていたグーグルの検索機能を取り除いた。
 TOMは華僑社会で最も成功した人物として知られる香港の李嘉誠氏が率いる長江実業傘下の企業。李氏は中国共産党の指導者層や中国当局と親しい関係にある。香港メディアはTOMが中国に対する政治的配慮からグーグルとの関係を断ったとの見方を伝えた。
 中国や香港で今後、中国当局を敵に回したくない企業などによる「グーグル離れ現象」も懸念される。

◎人民元で初の貿易決済、三菱東京UFJ銀行(2010年3月25日、産経新聞)
 三菱東京UFJ銀行は25日、日本と中国の間の貿易で、初めて人民元建ての決済を成立させたことを明らかにした。同銀が24日、インキ最大手DIC(旧大日本インキ化学工業)の中国現地法人から日本本社への代金支払いを扱った。
 日本国内で人民元が扱えないため、決済と同時に同銀がドルに替え、日本本社の口座に入金した。為替リスクは日本の本社が管理することになり、中国法人は現地で円やドルに替えなくてすむという。
 中国政府は昨年7月、人民元の国際化に向け、人民元による貿易決済を一部で解禁。今後も利用を検討する企業が出てくるとみられ、同銀は「今は試行の段階だが、これからも取引先との間で実施していきたい」としている。

◎中国のドメイン名「.CN」の新規提供停止、米の企業(2010年3月25日、朝日新聞)
 【ワシントン=尾形聡彦】インターネット上の住所に当たるドメイン名の提供サービスで世界最大手の米ゴーダディー(本社・アリゾナ州)が24日、中国のドメイン名である「.cn」の新規提供を停止すると発表した。インターネット検索の米グーグルが、中国本土での検索事業から撤退したのに続く動きで、米企業と中国当局との摩擦が拡大している。
 ゴーダディーのジョーンズ上席副社長が24日、米議会の特別委員会「中国に関する議会・政府委員会」に出席して発表した。
 ジョーンズ副社長によると「.cn」のドメイン名の提供サービスは、中国政府系の管理団体の認可を受けて、2005年から行っている。従来は、ドメイン名を利用してホームページを開設する個人の名前や住所、電話番号や電子メールを当局に提供すればよく、他国での運用と変わりなかった。
 ところが中国側は昨年12月に規制を大幅に強化。新規の利用者に対しては、カラーの顔写真、利用者の署名が入った申請用紙などの提出を求め始めた。さらに今年に入って、既存の中国人利用者についても、同様の情報を提供するよう求めたという。
 ジョーンズ副社長は新規提供をやめる理由について「利用者個人の安全性に懸念が生じているため」と説明。公聴会では議員から「ゴーダディーは、グーグルに続く初めての企業だ」と評価する声が相次いだ。
 ゴーダディーは、4千万以上のドメイン名をサービスする世界最大手。「.cn」については、中国人など約2万7千件の利用があるという。

・ドメイン提供会社
 インターネット上の住所(アドレス)に当たる「.COM」「.JP」といったドメイン名の使用権を、個人や企業に提供する会社のこと。ドメイン名は国際団体「ICANN」が統括。提供会社は、ドメイン名を個別に管理する団体を通じて、個人などへのサービスを行っている。日本でもネットプロバイダー会社などが提供している。

◎中国の検閲、「1企業では対処できぬ」、グーグル幹部(2010年3月25日、朝日新聞)
 【ワシントン=尾形聡彦】米インターネット検索最大手グーグルの幹部が24日、中国本土での検索事業の撤退問題を議題とする米議会の公聴会に出席した。グーグル側は「政府はネットの自由を守るためにもっと努力すべきだ」とし、米政府による外交面での支援を強く訴えた。これに対し、中国側は「グーグルは約束に違反した」と異例の声明を寄せた。
 公聴会を開いたのは、中国の人権問題を監視する米議会の特別委員会「中国に関する議会・政府委員会」。グーグルの米公共政策部門責任者のアラン・デビッドソン氏は、22日に中国版サイトを停止し、香港版に自動転送される仕組みにしたことについて、「困難な決断だった」と説明。「一企業や一業界では、インターネット検閲の問題には対処できない」とし、ネット上の検閲を外交や通商問題として取り扱い、ルールなどを整備すべきだと訴えた。
 さらに、香港版に対して断続的な検閲を受けていることも明らかにした。
 中国政府は、公聴会に対し、「外国企業は中国国内で事業を行う際には、中国の法律や規制に従う必要がある」との声明を送付した。米議会の特別委は10年ほど前に設置されたが、中国側が声明を送ってきたのは初めてという。
 出席した議員からは、グーグルに対し「注目に値する歴史的な行動だ」「他社にとっての素晴らしい模範になった」と称賛する声が相次いだ。

◎中国、18分野の報道禁止、グーグル撤退直前に通達(2010年3月25日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国メディアを管理する共産党中央宣伝部が、人民元の切り上げをめぐる対中批判や食品安全事件など、18分野の報道や独自取材を禁じる通達を報道各社に出していたことがわかった。米インターネット検索最大手のグーグルが中国本土での検索事業の撤退を表明する直前、大衆が不満を募らせる問題の報道を抑え込む異例の通達に踏み切っていた。中国筋が明らかにした。
 通達は劉雲山・共産党中央宣伝部長名で、21日に主要な新聞、テレビ、ラジオ、インターネットニュース各社にファクスで送られた。日曜日にこうした動きがあるのは異例。グーグルが22日に撤退を発表するとの情報を中国当局が事前につかんだため、急きょ通達を出したのだという。
 規制の内容は、2008年の北京五輪の直前に実施された規制を上回る「過去最大規模」(中国メディア幹部)。グーグル問題で米国は中国のネット検閲の中止を求めていたが、こうした敏感な問題で国内の世論を統一し、メディア規制を緩めることはしないという姿勢を明確に示す狙いがあったとみられる。
 劉部長は通達の中で、特に重要な事項として、米国が中国への圧力を強めている人民元の対ドルレート切り上げ問題を挙げた。米議員らによる中国批判の発言などを報じることを禁止。グーグル問題と同様、基本的に新華社通信の記事だけを使うよう定め、評論記事を書く場合は「米国の対応を批判する内容にするように」と強調した。
 このほか対象となった分野は、いずれも庶民が不満を募らせている問題で「報道が過熱すれば当局批判につながりかねない」(党関係者)との危機感がうかがえる。
 大手新聞社関係者は「読者の関心が高い内容がほとんど禁止され、何を報道すればいいのかわからない」と話す。インターネットニュース幹部は「グーグル問題が中国のメディア規制を結果として強めてしまった」とみている。
 中国外務省の秦剛・副報道局長は23日の定例会見で「国家の安全を害する情報を防ぐため、法にのっとったネット管理を緩めることはありえない」と断言している。

◎中国各紙、グーグル問題を抑制的に報道、対米配慮も(2010年3月24日、産経新聞)
 24日付の北京青年報など中国各紙は、米インターネット検索大手グーグルが中国本土での検索サービスから撤退を発表したことについて、新華社電を引用して中国の立場を指摘する一方、「中米関係に結び付けて考えるべきではない」と強調するなど抑制的に報道した。
 中米関係での政治問題化を避けたい中国当局の意向が反映された形。
 京華時報は「グーグル問題は自由の問題とは関係がない」と論評。他紙と同様に新華社電も引用し、政府がグーグルに不満と憤りを表明したと指摘するとともに、政治問題化には断固反対するとの立場を強調した。
 第一財経日報は1面トップだったが、撤退に関する事実関係を報じるにとどまった。

◎中国の出稼ぎ労働者「農民工」は2億3千万人、国家統計局が発表(2010年3月24日、産経新聞)
 新華社電によると、中国国家統計局は23日、2009年の農村から都市部への出稼ぎ労働者「農民工」の総数が前年比1.9%増の2億2978万人だったと明らかにした。平均賃金は、5.7%増の月1417元(約1万9千円)。
 工場が集中する南部広東省の珠江デルタ地帯の農民工は3282万人と、前年比で22.5%減った。金融危機で内陸部に帰郷した農民工が、政府の景気対策で地元で就業するなどしたことが減少の原因とみられる。

◎「グーグル撤退困らない」中国、国産で対抗(2010年3月24日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】米検索大手グーグル社の撤退で議論の渦中にある中国のインターネット業界では、国外の各種ネットサービスの「代替物」として、検閲に協力的な国産サイトの政府による育成が進み、利用が拡大している。
 ネット上では、同社の撤退後も「日常生活での不便は感じない」などとする利用者が増え、当局主導の統制は巧妙に進んでいる。
 「政治に興味はないし、グーグルがなくても問題はない」。北京の大学で学ぶ男子学生(21)は説明した。代わりとなる検索サイトは中国の「百度(バイドゥ)」があり、市場占有率は5割を超える。検索結果の検閲も気にせず、「情報は十分だ」と話す。
 中国では、言論統制の及びにくい米国などの新形態のネットサービスが出るたびに当局が接続遮断などを行いつつ、中国版「代替物」の普及を図って、国内市場で着実に成長させてきた。当局も、約4億人のネット利用者が管理統制された各種の「代替物」サイトに慣れ、不便を感じないように誘導を図っている。
 中でも急成長しているのは、中国で接続が遮断されている動画サイト「ユーチューブ」の代替版である「土豆網」だ。同社のサイトによると、1日平均の新規動画配信数は計4万件を超えるという。
 また、中国の電子商取引では「アリババ」が世界240か国・地域に1000万以上の会員を抱える。ネットオークションの「淘宝網」も会員数は1億4500万と急拡大を遂げた。
 共産党機関紙・人民日報などが運営するサイトは23日、グーグル社の撤退を歓迎する意見が多数を占めた。当局の意向で世論誘導を狙う「やらせ」の書き込みも多いとみられるが、その中で目立つのは「グーグルがなくても、ほかのサイトがあるので困らない」と実害がないことを殊更に強調する意見だった。
 北京の情報産業で働く米国人技術者は「中国当局は、クローンのような国産『代替物』を普及させている。いずれも当局の統制に従順な企業ばかりで、ネット管理も巧妙化している」と指摘する。
 一方、グーグル社に期待していたネット利用者は規制強化を懸念している。民主活動家の男性(37)は「当局は、グーグルが中国を自主退去するように追い込んだ。今後は国内の代替サイトに対しても統制を強めるだろう」と話している。

◎グーグル擁護、掲示板から削除、ネット統制緩めぬ中国(2010年3月24日、朝日新聞)
 米インターネット検索最大手のグーグルが、中国本土での検索事業から撤退することとなった。「ネットの自由」を掲げる米国と、「ネット管理は当然」とする中国。双方の立場が折り合う余地はないようにみえる。

・米の批判に反発、協議決裂
 中国政府の反応は素早かった。グーグルが中国からの撤退を発表して2時間余りが過ぎた23日午前5時過ぎ、国務院新聞弁公室が「グーグルの道理のない非難とやり方に不満と怒りを表明する」との談話を発表。新華社通信が「米国による、企業活動の政治問題化に反対する」という評論記事を配信した。
 中国政府関係者は「前日の22日までにグーグル側の動きはつかんでおり、周到な準備をしていた」と明かす。
 グーグルが今年1月、中国側の要請による自己検閲を続けることはできないなどと表明した当初、中国政府は冷静な対応に努めた。しかし、米国政府が批判を強めると反発。中国当局者とグーグルとの協議は決裂した。
 中国共産党中央宣伝部は23日朝、各メディア幹部に「グーグル側を批判する評論記事を掲載するように」との内部通達を出した。テレビやインターネットのニュースは新華社の記事や国務院新聞弁公室の声明を繰り返し伝えた。
 ネット掲示板上のグーグル擁護の書き込みはほとんど削除され、「中国人の尊厳を傷つけたグーグルは去れ」「グーグルを使わないようにしよう」と非難一色になった。
 グーグルは、中国版サイトにアクセスすると香港版に転送される措置をとった。しかし、中国からのネット利用では香港版でも天安門事件関連の画像などを見られず、香港版サイト自体にもつながりにくくなった。当局が規制を強めた可能性がある。
 中国外務省の秦剛・副報道局長は23日の会見で「中国政府は法にのっとってインターネット管理をしており、この立場がゆらぐことはありえない」と述べ、ネット統制の手を緩めないことを強調した。

・オバマ政権、WTOへの提訴模索
 「検閲の撤廃という約束をどうしたら果たせるのか模索してきたが、難しかった」
 グーグルのデビッド・ドラモンド最高法務責任者は22日、中国撤退を表明した声明で、こう説明した。
 グーグルにとっては今後の成長に水を差しかねない決断だ。世界最大手とはいえ、中国では地元の「バイドゥ(百度)」に検索シェアで大きく離されていた。裏を返せば、中国は成長の伸びしろが大きい市場のはずだった。だからこそグーグルは、検索事業以外では中国にとどまることを強調した。
 グーグルに追随し、中国政府に表だって抵抗しようとした米企業は今のところない。中国市場の魅力を重視しているためとみられる。ただ、中国の強硬姿勢があらわになったことで、企業イメージを曲げずに中国とぶつかる事例が今後出てくる可能性はある。
 米ホワイトハウス国家安全保障会議のチャン副報道官は22日、「我々はインターネットの自由を支持し、検閲に反対する。表現の自由と情報アクセスの自由は国際的に認められた権利だ」と、意義付けを強調した。
 イランなどの強権国家で民主化を促す手段となりうる「ネットの自由」は、オバマ外交の金看板だ。クリントン国務長官は1月の演説で中国を名指しし、「検閲はどんな企業でも、どこからでも、いかなる方法でも受け入れられるべきではない」と述べ、中国に検閲中止を求めた。
 米国内ではグーグル擁護の声が強い。オバマ政権は「ネット検閲は不公正な貿易障壁に当たる可能性がある」として世界貿易機関(WTO)への提訴を検討中。実際に踏み切るかどうかが次の焦点だ。
 一方、1月以降、台湾への武器売却決定や、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世とオバマ大統領との会談で悪化した対中関係の立て直しも急務だ。国務省のクローリー次官補は22日、「グーグルのビジネス上の決定で、我々は当事者ではない」と中国を刺激したくない思いもにじませた。5月に開かれる閣僚級の米中戦略・経済対話や、米中人権対話といった場で軟着陸を探る可能性もある。

◎中国政府、グーグルを批判「撤退は自らの事情」(2010年3月23日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国の国務院(政府)新聞弁公室当局者は23日、米ネット検索最大手グーグルの撤退表明に対し、「グーグルは中国市場に参入した際の書面での承諾に背き、ネット検索での検閲を停止し、サイバー攻撃を巡って中国を責めた」と述べたうえで、「これは完全な誤りだ」と批判した。国営新華社通信が伝えた。
 同当局者は「我々は商業問題の政治化に断固として反対し、不満と憤慨を表明する」とも反発した。同当局者によると、中国政府は1月29日と2月25日の2度にわたってグーグル側と接触し、中国側の考えについて「我慢強く詳細な説明」をしたという。
 同当局者は「グーグルが中国での検索事業から撤退するのは、グーグル自らの事情だ」と突き放した。
 その一方で「(中国政府は)対外開放の方針を堅持する。外国企業が中国のインターネットの発展にかかわることは歓迎する」と述べたが、「外国の企業が中国で活動する場合、中国の法律や規則に従わなくてはならない」ともクギを刺した。

◎グーグル、検索以外は中国残留、成長期待、拠点残す(2010年3月23日、朝日新聞)
 【ニューヨーク=丸石伸一】米グーグルが22日、中国本土で運営してきた中国版の検索サイトを閉鎖した。検索事業に関しては中国からの「撤退」に踏み込み、自由にこだわる強い姿勢を見せた。ただし、その他の事業は中国に残し、巨大市場での成長の芽を温存する。
 グーグルが22日発表した声明では、研究開発や営業の拠点は残して開発や販売活動は今後も続けることを明らかにし、中国市場での事業を維持することも強調した。
 グーグルは北京と上海、広州の3都市に拠点を置き、中国本土で計約600人の従業員を抱える。このうち半数の300人はエンジニアで、技術開発を担当している。技術者の雇用と研究開発拠点の維持を打ち出したのは、中国でのサービス拡大の余地を残す戦略とみられる。
 グーグルは、携帯電話向けの基本ソフト(OS)事業を展開し、端末開発自体にも乗り出したばかり。今回の検索サービスをめぐる問題で、中国での携帯電話機の発売はいったん延期されたが、成長が期待できる市場からの全面撤退を避けることも、グーグルには重要な決断だったとみられる。
 それでも主力事業の検索サービスでは、中国本土での運営をあきらめざるをえなかった。自己検閲の撤廃について中国政府から譲歩を一切引き出せなかったのに加え、グーグルのサイトへの中国国内からのサイバー攻撃が激しくなっていたことも大きな理由だ。
 グーグルは22日の声明でも、同社をはじめ20社以上の米企業がサイバー攻撃の被害を受けていると指摘し、中国政府に改めて改善を求めた。サイバー攻撃によって、グーグルは知的財産権の一部が盗まれたとされており、事業継続が難しい状況にあったとみられる。だが、中国からのサイバー攻撃について中国政府は「絶対にありえない」などと強く反発しており、両者の協議は平行線のままだったようだ。

◎グーグル、中国本土撤退、香港拠点検索サービス(2010年3月23日、読売新聞)
 【ラスベガス=池松洋、北京=幸内康】インターネット検索世界最大手の米グーグルは22日、中国本土でのネット検索事業から撤退し、同日から香港を拠点とする同社サイトで検閲抜きの検索サービスに切り替えたと発表した。
 検索結果の表示を制限する自主的な検閲を求める中国政府との協議が不調に終わり、「ネットの自由」が保障されない状態で検索サービスを継続するのは困難と判断した。
 中国本土でグーグルの中国語検索サイトに接続しようとすると自動的に香港版に転送される。香港版ではグーグルが自主規制した語彙が表示され、ニュースや画像の自主検閲も行わない。グーグルのデビッド・ドラモンド最高法務責任者は中国本土からの検索事業撤退について声明で「中国政府はグーグルが行う自主検閲は法律で定められており、撤廃を求めても交渉の余地はないとの姿勢を崩さなかった」と説明した。

・中国が非難談話
 一方、中国国務院新聞弁公室は23日、「グーグルの道理のない非難とやり方に不満と怒りを表明する」との談話を発表した。
 グーグル側は「中国政府が我々の判断を尊重することを期待する」と理解を求めたが、香港経由の検索サービスを遮断したり、検閲を行ったりするかどうかについて、現時点で中国政府は方針を明らかにしていない。
 グーグルは1月、中国本土からの組織的なサイバー攻撃や中国政府による検索結果の自主検閲強要を不満として、中国からの撤退を検討すると表明していた。
 中国で事業展開する検索サービス企業は、政府の要請で検索結果の表示を自主制限しており、1989年の天安門事件、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世など人権問題に関する情報が基本的に検索できない。グーグルが中国からの撤退検討を表明した1月12日以降は、こうした情報が一時的に検索できるようになったが、23日午前の時点では再び検索できなくなっている。

◎グーグル、中国本土での検索撤退、自己検閲の継続を拒否(2010年3月23日、朝日新聞)
 【ニューヨーク=丸石伸一】米インターネット検索最大手のグーグルは22日、中国本土でのネット検索サービスを同日から停止したと発表した。検索を制限する検閲の撤廃を中国政府が認めないことがはっきりしたため、中国本土では検索事業からの「撤退」を決めたという。
 表現の自由が制限されていることを理由に、中国外の大手企業が中国での事業を閉鎖するのは極めて異例。この問題では米政府も中国政府を批判しており、米中間の摩擦がさらに強まる可能性がある。
 グーグルによると、同社は22日、中国当局が望まない検索結果の表示を自主的に削除する「自己検閲」をかけていた中国版の検索サービスを停止。中国版のサイト「Google.cn」にアクセスしようとすると、香港版の「Google.com.hk」に自動的に転送されるようにした。香港版は、グーグルが香港にあるサーバーを使って運営しているサイトで、中国語の画面が表示され、自己検閲なしに検索できるようにした、としている。
 23日午前、北京から香港版へのアクセスは不安定になっている。また「天安門」を検索すると、1989年の天安門事件に関するサイトも検索結果リストには表示されるが、サイト本体を見ようとしても多くがつながらない。
 今回の措置について、グーグルは22日の声明で「合法的であり、中国の人々が情報にアクセスする機会を増やすものだ」と説明。「中国政府が我々の決定を尊重することを望む」としている。一方で、香港版への中国本土からのアクセスについて「いつでも妨げることができることは十分承知している」とし、中国政府が今後、香港版を中国本土では見られないようにする可能性を示唆した。
 グーグルは今年1月、中国版の検索サイトへのサイバー攻撃が激しくなっていることや、検閲が続いていることを理由に、中国版検索サイトや中国の現地法人を閉鎖する可能性があると発表。人権関連サイトの表示をしないようにするなどの自己検閲を中国側の要請で実施し続けることは、これ以上受け入れられないとして、中国政府の対応の見直しを求めていた。
 だが、グーグルによると、自己検閲の撤廃について、中国政府が「交渉の余地のない法的な要件であることを非常に明確にした」ため、中国本土で検閲なしの検索サービスを提供することを断念せざるをえなくなったという。

◎政府が検閲か、グーグル、検索の多く利用できず(2010年3月23日、スポーツニッポン)
 米ネット検索大手グーグルが中国本土のサイトへのアクセスを自動的に香港のサイトに転送するサービスを開始した23日午前、中国国内で利用者が検索した結果の多くが表示されない不安定な状態となった。グーグルが中国政府の要請を受けた自主的な検閲を停止したため、政府が直接、検閲に乗り出した可能性がある。
 香港のサイトを訪れると、「グーグル検索の中国の新しい家にようこそ」と表示される。しかし、検索すると、政治的に敏感な「(チベット仏教最高指導者の)ダライ・ラマ(14世)」「天安門」などの語句に対しては結果が表示されず、他の言葉でも表示されない場合が多くなっている。

◎中国政府、グーグルに「完全に誤っている」(2010年3月23日、スポーツニッポン)
 中国政府でネットを管理する国務院新聞弁公室当局者は23日発表した談話で、米検索大手グーグルが香港のサイトで検閲のないサービスを提供すると発表したことについて「中国市場進出時の約束に背いて検閲を停止し、ハッカー攻撃で中国を責めるのは、完全に誤っている」と強く反発した。新華社が伝えた。
 当局者は「外国企業が中国で経営を行うには、中国の法律を必ず守る必要がある」とあらためて表明。その上で「商業問題の政治化には断固として反対だ」と強調した。
 当局者によると、1月29日と2月25日の2度にわたり中国政府の担当者とグーグルの責任者が接触。中国側は「誠意を示した」と主張している。
 一方で、中国に進出する外資系企業から事業環境悪化の懸念が出ていることについて「対外開放の方針は堅持する。外国企業が中国のインターネットの発展にかかわることは歓迎する」と述べ、影響を最小限に食い止めたい意向をにじませた。

◎グーグル、香港経由でサービス提供、ただ中国政府は(2010年3月23日、スポーツニッポン)
 米インターネット検索大手グーグルは22日、北京を拠点に展開してきた中国語のネット検索サービスについて、検閲を避けるため香港経由で提供を始めたと発表した。中国本土の検索サイト利用者は自動的に香港のサイトに転送され、検閲のないサービスを利用できるとしている。
 グーグルは1月、検閲の中止を求めて中国政府と協議入りし、認められない場合には中国事業からの撤退を検討すると発表。しかし「進出企業は中国の法に従うべきだ」と検閲を譲らない中国政府との交渉は難航していた。今回のグーグルの決定は両者の妥協点を探る苦肉の策といえる。
 ただ「中国政府がわれわれの決定を尊重するように望む」というグーグルの方針を中国政府が承認するかどうかは不透明だ。中国政府の対応次第では、グーグルが事実上の事業撤退を迫られる可能性もある。

◎被害者親に「責任追及すれば殺す」とメール、中国、ワクチン異常死で(2010年3月22日、産経新聞)
 中国山西省でB型肝炎などのワクチンを接種した子供に異常が現れ、少なくとも4人が死亡したとされる問題で、被害者の親らが「責任追及を続けると殺す」と何者かにメールや電話で脅迫されていたことが22日、分かった。
 同日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、脅されたのは10人以上。脅迫があったのは21日で「騒ぐのをやめろ」と要求し、従えば「10万元(約130万円)を渡す」とする一方、従わなければ「家に放火して皆殺しにする」などと脅した。
 親らは、ワクチンの管理がずさんだったほか、地元保健当局とつながりのある無資格の業者がワクチン販売を手掛けていたと抗議していた。同紙の調べでは、脅迫は安徽省阜陽市で契約された携帯電話が発信元という。

◎「一企業が国家の権威に挑戦するのか」、中国メディアがグーグル批判(2010年3月21日、産経新聞)
 中国共産党機関紙、人民日報のウェブサイト「人民網」や国営通信、新華社の「新華網」は21日までに、中国市場から撤退するかどうかが焦点となっている米インターネット検索大手グーグルについて「一企業が国家の権威に挑戦しても成功するはずがない」などと強く批判する論評を掲載した。
 「グーグルは自ら袋小路に入り込んだ」と題する論評は、中国政府が「撤退の脅し」を受けて「特定の企業(の要求)にゴーサインを出すことはあり得ない」と断言。「脅し」を使ったグーグルは時代錯誤で「中国を見誤った」と批判した。
 また、グーグルは中国市場に残れば大恥をかくし、撤退すれば企業の発展戦略の大失敗になると指摘した。

◎中国、強まるインフレ懸念、2月消費者物価2.7%上昇(2010年3月11日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国国家統計局が11日発表した2月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月と比べて2.7%上昇した。2008年10月(4.0%)以来1年4カ月ぶりの高い伸び。温家宝(ウェン・チアパオ)首相が5日の政府活動報告で今年の年間目標として掲げた「3%前後」に迫っており、インフレ懸念が強まりそうだ。
 CPIの前年同月比での上昇は4カ月連続で、1月(1.5%)より上昇率は拡大した。なかでも庶民生活への影響が大きい食品の価格は前年同月比6.2%上昇した。
 中国人民銀行(中央銀行)は、金融機関から強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率を今年に入って2回引き上げたが、インフレ懸念はぬぐい切れていない。人民銀が11日発表した2月の貸し出し増加額も7001億元(約9兆3千億円)となり、この2カ月で2兆元以上増えた。
 人民銀の周小川総裁は6日の記者会見で「金融政策は経済指標次第で調整する必要がある」と述べ、今後の利上げに含みを持たせた。
 市場では金融引き締めへの警戒感が強まっており、11日の上海株式市場でも、代表的指数の上海総合株価指数が、CPI発表後に一時的に大きく値を下げる局面があった。

◎中国の食用油、1割が有害、廃油再利用で発がん性(2010年3月21日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国で使用されている食用油の約1割が、厨房などから捨てられた廃油を精製し、再利用した有害な油であることが専門家の調査でわかった。
 「食の安全」などを担当する国家食品薬品監督管理局が全国各地の監督部門に対し、飲食店での有害油の使用禁止を徹底するよう通達を出した。中国紙「中国青年報」などが伝えた。
 調査を行ったのは、武漢工業学院の食品科学の専門家ら。それによると、中国では、毎年、年間食用油消費量約2250万トンの約1割にあたる200~300万トンもの再生油が食卓に上っている計算になる。再生油には、発がん性の高い物質が含まれているという。
 生産コストが1トン当たり300元(約4000円)と安く、業者の利益が大きいことが悪徳ビジネスのはびこる理由で、再生油の80%は経済発展の遅れた農村などで売られているという。
 中国政府は今年2月、李克強・筆頭副首相をトップとする「食品安全委員会」を設立し、「食の安全」対策に力を入れ始めたが、有害物質メラミン入り粉ミルクが再び出回るなど問題は山積したままだ。2月の調査で、期限切れやメラミン含有検査を受けていない問題のある粉ミルクは約2万5000トン発見されている。

◎中国の元最高裁副長官、収賄で無期懲役確定(2010年3月18日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】収賄罪などに問われた中国の元最高人民法院副院長(最高裁副長官)の黄松有被告(52)に対する控訴審判決が17日、河北省高級人民法院(高裁)であり、無期懲役とした一審判決を支持、控訴を棄却した。中国紙、法制晩報が伝えた。
 中国は二審制のため、刑が確定した。黄被告は1949年の建国以来、汚職事件で立件された司法当局者としては最高位の人物。

◎「遺跡の盗掘」10万人規模、今や産業?中国(2010年3月16日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国の華僑向け通信社「中国新聞社」(電子版)は、中国で遺跡の盗掘にかかわる者が10万人に達し、すでに産業化していると伝えた。
 政府系シンクタンクの社会科学院歴史研究所の専門家が同通信社に明らかにした。先に河南省で「曹操の墓」と基本的に確認された墓も盗掘被害に遭っており、専門家の間で、「盗掘産業」の規模の大きさ、被害実態の深刻さが懸念されている。
 盗掘集団は分業化し、輸送専門の者もいるという。市場流通が速く、盗掘された文物は3日後には香港で売られてしまう。司法関係者が盗掘に関与している場合もあり、山西省の遺跡では、公安当局者が「公務執行」名義で盗掘に参加。逮捕されたが、懲役1年の刑にしかならなかった。公安当局が盗掘集団から文物を押収しても、地元に返却せず、売却されるケースもあるという。
 この専門家は「文物は一度破壊されると永遠に再生できない。地方政府はこの問題を重視すべきだ」と、摘発の徹底を求めている。

◎「一人っ子政策」違反、有名人・富裕層の罰則強化(2010年3月16日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】「一人っ子政策」を実施している中国で、今月中旬、北京市人口計画生育委員会が会議を開き、同政策に違反した映画監督やスターら有名人と富裕層に対する罰則を強化する方針を決めた。
 中国紙「京華時報」が伝えた。
 現在、同政策に違反した場合は、年収の3~10倍の罰金を徴収する定めで、一般の給与所得者には非常に重い処罰となっている。だが、有名人や富裕層の間では、罰金を払ってでも、2人目、3人目を出産するケースが少なくない。
 財力に物を言わせ、米国など外国籍を取得してから産む抜け穴もあり、現行の罰金規定では抑止力になっていない。
 第2子を産みたくても、罰金を払えなくて産めない庶民からすれば、怨嗟(えんさ)の対象にもなっており、格差社会への不満拡大にもなりかねない。同委員会は、有名人や富裕層に対する罰金を引き上げ、違反行為に歯止めをかける方針だという。
 ただ、今月発表された米誌「フォーブス」の世界長者番付によると、中国本土の富豪の数が米国に次ぐ2位となり、富裕層が膨張している。どの程度の罰金を定めるかを含め、実際に効果を上げるのは難しそうだ。

◎中国軍将官から次々飛び出す大胆発言、軍の存在感アピールか(2010年3月15日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国人民解放軍の将官は最近、メディアに頻繁に登場し、外交・安全保障政策について積極的に発言しており、国内外の注目を集めている。政府の立場より一歩踏み込み、対外強硬姿勢を示すことがほとんどで、愛国主義教育を受けた若者から支持を受けている。これまでは沈黙することが多かった“制服組”が、同じ時期に一斉に政策に口を出すことは異例だ。今年の国防費予算の伸び率が22年ぶりに一けたに抑えられたことを受け、軍備増強の必要性を強調し、軍の存在感をアピールする狙いがあるとみられる。
 2010年の国防費が発表される前日の3日、政府の諮問機関、全国政治協商会議の委員を務める羅援少将は、北京紙、新京報などの取材に応じ「今年の国防費の伸び率は例年と比べ抑えられる」と言明。「台湾、チベットなどの独立問題を抱え、国家分裂の危険に直面している中国には、国防を増強しなければならない理由はいくらでもある」と述べた。
 この発言は、国防費の伸び率が09年の約14%から、今年は7.5%に抑えられたことに対する「軍の不満を表している」と解釈する香港記者もいる。
 これに先立ち、国防大学の朱成虎少将は、2月に発売された週刊誌「瞭望」で、米国による台湾への武器売却問題について「米国に『台湾関係法』などが存在していることが問題の本質だ」と指摘。外交交渉を通じ米国に、中国の国益に損害を与える法律を改めさせるべきだと主張した。
 この発言は、中国外務省の対米政策を「弱腰」と批判するネットユーザーの熱烈な支持を受けた。朱少将は05年夏、「米政府が台湾海峡での武力紛争に介入した場合、(中国は)核攻撃も辞さない」と発言したことで注目された。
 また、海軍情報化専化諮訊委員会主任の尹卓少将は昨年末、「アデン湾(イエメン沖)での護衛任務をスムーズに行うため、中国はインド洋沿岸に補給基地を設ける必要がある」とメディアに語り、世界から注目された。しかし、中国国防省はその後、「海外に海軍基地を建設する計画はない」と釈明した。
 軍将官による一連の発言は、10年の予算を審議する全国人民代表大会(全人代=国会)のみならず、現在策定中である次期5カ年計画の予算案を意識したものだ、という指摘もある。民族主義の観点に立った発言によって世論を味方につけ、予算をより多く獲得する思惑がありそうだ。
 中国のメディア関係者は「軍人から政府の方針と違う発言が飛び出すことは毛沢東、鄧小平時代には考えられなかった。江沢民時代も少なかった。今の胡錦濤政権が軍を押さえられていないことを象徴しているかもしれない」と分析する。

◎中国、高速鉄道9000キロ建設、12年まで、投資額11兆9000億円(2010年3月13日、日本経済新聞)
 【北京=多部田俊輔】中国鉄道省は13日、2012年までに高速鉄道を約9000キロ建設すると発表した。投資額は約9000億元(約11兆9000億円)。総延長は1万3000キロとなり、同省幹部は「日本やドイツを抜いて世界1位の長さとなる」としている。国内の実績をテコに海外輸出を拡大していく方針も強調した。
 全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の開催にあわせて、鉄道省の王志国次官が記者会見した。専用路線を時速250キロ以上で走行する高速鉄道はこれまでに3670キロが開通し、工事中の区間は1万キロ以上だと述べた。
 同省によると、現在開通している高速鉄道に、在来線で200キロ以上で走行している区間を加えた距離は約6550キロ。王次官は「(実質的には)すでに世界1位だ」と自国の高速鉄道を強くアピールした。

◎グーグルへのサイバー攻撃、中国高官「詳細な証拠を」(2010年3月7日、朝日新聞)
 【北京=古谷浩一】中国のインターネット行政を統括する工業情報省の苗●(ミアオ・ウェイ、●は土へんに于)次官は6日、朝日新聞記者らと会見し、サイバー攻撃を理由に中国から撤退の可能性を表明した米ネット検索最大手グーグルに対し、「証拠」の提供が不十分との立場を示した。中国政府がサイバー攻撃に関与しているとの見方については「絶対にありえない。我々も被害者だ」と主張した。
 グーグルは1月に中国撤退の可能性を表明した際、中国からのサイバー攻撃や中国当局による検閲を理由に挙げた。米オバマ政権も中国側を批判し、クリントン国務長官は「徹底した調査」の必要を訴えた。苗次官は、中国当局が調査に着手していない責任は「証拠」を示していないグーグル側にあるとの立場を強調し、検閲を批判する米国にも強硬な姿勢を示した。
 苗次官は、中国政府とグーグルとの協議について「我々は正式な接触や協議をしていない」と述べ、「グーグル事件に特化した調査はしていない」と言い切った。ただし、「さらなる情報が提供されることを歓迎する。詳細な証拠があるなら、厳格にこの事件を処理する」とも語った。
 米紙などは、米当局の調査でサイバー攻撃が中国の学校から行われた、などと報道。クローリー国務次官補もサイバー攻撃は「中国からの疑いが強い」と指摘したが、苗次官は「彼らに証拠があるのか知らない。詳細な証拠を提供してくれるなら、厳格に対応する」と繰り返した。
 また、「グーグルは撤退する権利がある。中国に残るなら当然歓迎するが、出ていくなら法的な手続きをして、利用者に対するアフターケアをきちんとすべきだ」と述べ、グーグルを引き留める考えのない姿勢を強調した。
 グーグルが2007年に中国市場に正式参入した際、中国の法規を順守すると書面で約束したとして「国家の安全を損なう情報は制限するよう求めている」とも訴えた。

◎中国の13紙、共同社説で戸籍制度を批判(2010年3月4日、読売新聞)
 【北京=槙野健】中国の地方紙13紙が現行の戸籍制度を批判する社説を掲載した。
 中国紙が現行制度を非難する共同社説を掲載するのは、まれ。社説は5日からの全国人民代表大会(全人代)の代表らに早急な制度改革を呼びかけている。
 広東省の「南方都市報」などが1日付で掲載した。都市と農村に二分され、農村から都市への人口流入を制限した現在の戸籍制度は、就職や医療、社会保障などをめぐり、都市と農村の住民間で不平等を生んでいる、と批判している。
 4日付香港紙・明報によると、当局は社説を掲載した報道機関の幹部に対し、全人代などの期間中、戸籍問題を取材、報道した場合、厳しく処分すると通知したという。

◎昭和電工、中国で洗浄剤を生産、半導体・液晶パネル生産増見込む(2010年3月4日、日本経済新聞)
 昭和電工は4日、半導体や液晶パネルの製造工程で使われる洗浄剤「高純度シクロヘキサノン」を中国で生産すると発表した。2億円程度を投じ、中国浙江省の合弁子会社で8月から生産を開始する。中国で半導体や液晶パネルの生産量が増える中、需要が増加すると判断した。
 合弁先の現地企業から原料であるシクロヘキサノンを調達し、精製する。昭和電工はこれまで国内で年間500トン程度の高純度シクロヘキサノンを製造し、半導体や液晶パネルのメーカーに向けて販売している。中国での生産能力は年間5000トンで、大幅に増える見通しだ。

◎中国:上海が「禁煙都市」に,2万人が監視、罰金も(2010年3月2日、毎日新聞)
 上海万博を2カ月後に控える中国・上海市は1日、市内のあらゆる公共施設を全面禁煙にする罰則付き条例を施行した。「煙のない万博」を公約する市当局は、市全体を「禁煙都市」にして世界に取り組みをアピールする狙いだ。
 上海各紙によると、市当局は、禁煙場所で喫煙する人がいないかどうか監視し、喫煙者に注意する2万人のボランティアを結成する計画。中国の喫煙人口は約3億人に上り、愛煙家からは反発も予想される。
 条例施行で上海の学校や病院、行政庁舎のほか、ショッピングセンターや映画館、インターネットカフェなども全面禁煙となる。営業面積150平方メートル以上か座席数75席以上の飲食店については分煙を義務化。ホテルには喫煙しない宿泊客向けの客室を設けるよう義務付ける。
 禁煙場所で注意されてもたばこを吸い続けた場合は最高200元(約2600円)の罰金。指定施設が禁煙や分煙の措置を怠った場合は最高3万元の罰金を科す。
 万博運営当局は「煙のない万博」実現への強い姿勢を示すため、たばこ会社「上海煙草」が申し出た2億元の寄付金を拒否したことがある。

◎「日本人詐欺に注意!」、中国・広州の日本総領事館が異例の警告(2010年3月2日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】「日本人詐欺に注意せよ!」中国南部の広東省深センなどで、日本人が日本人をだます詐欺事件が頻発しているとして、広州の日本総領事館が日本人向けに異例の注意喚起を行っている。
 深センで飲食店を経営する日本人が、客として数回来店したことのある日本人の男から「財布をすられて困っている」と頼まれて金を貸した。だがその後、ぱったり来店しなくなり、男の名刺の連絡先に電話したところ、架空の会社だったことが分かり、同総領事館に通報した。この男は同じ店の他の常連客からも借金していたという。
 さらに、「確実にもうかる」と言葉巧みに日本語学校への投資を誘う日本人の存在も報告されている。同総領事館は日本人の良心や油断につけこんだ悪質な詐欺に注意するよう呼びかけている。

◎中国の若者、春節の出費に苦しむ、帰省で贈り物(2010年2月28日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国の旧正月「春節」シーズンが28日の元宵節(旧暦1月15日の節句)で幕を閉じるが、1980年代生まれの「80後」世代の若者の間で、春節期間中の多額の出費が話題となっている。
 高額の住宅ローンを抱えて生活苦に見舞われた庶民は「房奴」と呼ばれるが、春節の特別出費で疲弊する若者は「祝日の奴隷」という意味から「節奴」と呼ばれ、社会現象となっている。
 中国紙「競報」などによると、伝統を重視する中国社会では、春節には、結婚した若い夫婦がそれぞれの実家に里帰りするケースが少なくない。両親、祖父母への贈り物、お年玉、おいやめいへのお年玉などを合わせると、サラリーマンの1~2か月分の給料に相当し、半月前から準備に追われるという。あるインターネットサイトの調査では、5000元(1元は約13円)~1万元が32%、1万~2万元が16%となった。
 今年の春節前には、就職難で仕事もままならない大卒の若者が出費を恐れ帰省を渋る「恐帰族」まで話題になった。

◎中国でグーグル模倣サイト、「グージエ」本家に酷似ロゴ(2010年2月26日、朝日新聞)
 米検索大手グーグルが、サイバー攻撃などを理由に中国撤退の可能性を表明する中、グーグル中国語版の模倣サイトが登場し、アクセスが絶えない。本家の米グーグルが2月上旬、模倣サイトの運営者に酷似ロゴの使用停止を求めたが、26日現在、使用が続いている。
 模倣サイトは「谷姐(グージエ)」で、米グーグルが中国撤退の可能性を示唆した1月12日の直後にネット上に現れた。本家グーグルの中国語表記は「谷歌」。「歌」は(GE)と発音するが、これは兄を意味する「哥」と同じ発音。模倣サイトは、この兄の部分を「姉」とか「ねえさん」を意味する「姐(JIE)」にしている。ロゴは数種類あるが、基本的なロゴデザインは本家とそっくりだ。
 検索は一応できるが、専門家の見立てでは「グーグルなどの検索結果につながるだけ」。それでも、「谷姐管理人」と名乗る小ゲン(シャオ・シュアン)氏によると、アクセス件数は1日100万件を超えた日もあるという。
 米グーグルは「検索サイトを開設するのは勝手だが、ロゴは当社のトレードマークと酷似しており、無断使用は許せない。2月上旬に使用停止を求める書簡を送った」と怒り心頭だ。これに対して、小ゲン氏は「グーグルへの権利侵害に当たるのかどうかの結論は出ていない。裁判所の判断に従う」としている。(鈴木暁子)

◎東洋アルミ、太陽電池素材を中国で増産、7月に新工場(2010年2月23日、日本経済新聞)
 アルミはく最大手の東洋アルミニウム(大阪市)は太陽電池の電極用素材を中国で増産する。7月に肇慶市に工場を新設。現在は国内で年間約1200トンを生産しているが、2012年度には約5千トンに生産能力を高める。売上高も現在の4倍の約2百億円を見込む。太陽電池の世界的な普及を背景に中国での生産拠点を増強する。
 増産するのはアルミ粉を原料にした素材で、結晶系シリコン太陽電池の裏面電極に塗布する「アルソーラー」。太陽電池の発電効率を高めることができる。中国や台湾の太陽電池部材メーカー向けを中心に販売増を見込んでいる。

◎世襲反対、核放棄、核実験後、中国が北朝鮮に圧力(2010年2月23日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】北朝鮮が昨年5月に核実験を強行した直後、中国共産党が北朝鮮側に対し「改革開放の推進、世襲反対、核放棄」を要請していたことがわかった。複数の共産党関係者が明らかにした。友好関係にある北朝鮮に対し、内政干渉につながる要求をするのは異例で、北朝鮮の核保有や、悪化する経済への中国側の強い危機感を示したものとみられる。
 北朝鮮は昨年6月に金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男ジョンウン氏を極秘訪中させ、北朝鮮の核問題をめぐる6者協議への復帰を示唆し、外資誘致に積極姿勢をみせるなど、態度を軟化させていった。これらの動きのきっかけが、最大の貿易相手国、援助国である中国の圧力だった可能性がある。
 北朝鮮関係者によると、北朝鮮は5月上旬、ジョンウン氏を後継者に指名したことを説明するため、金総書記の義弟、張成沢(チャン・ソンテク)・国防委員を中国に派遣した。核実験後の5月末、事情説明のため再度訪中したが、このとき応じたのは共産党対外連絡部の王家瑞部長だけで、張氏に対し3項目の要請を伝えた。
 北京の外交筋によると、中国側は政府高官や代表団の派遣を取りやめ、企業や大学が受け入れていた北朝鮮の研究者や職員の一部を退去させた。中国メディアには「これ以上危険な火遊びをするな」(人民日報系の環球時報)などと批判的な記事が出てきた。北京の北朝鮮関係者は「これまでにない中国側の強い反発だった」と明かす。
 北朝鮮は、中国の理解を求めるためジョンウン氏を訪中させることを決定。6月10日に張氏を中心とした軍訪問団に同行させた。共産党関係者は「ジョンウン氏自身が訪中することで、世襲に反対する中国側に後継者として認知してもらい、核実験にも理解を求めたかったのだろう」とみる。
 その後、高官の往来が復活する。中国側は戴秉国(タイ・ピンクオ)・国務委員や温家宝(ウェン・チアパオ)首相らが相次いで訪朝して金総書記と会談。戴氏の訪朝の際は、中国から北朝鮮への石油パイプラインを止めて圧力をかけた結果、「6者協議を含む多国間協議を行う用意がある」との言葉を引き出した。
 改革開放政策に対する北朝鮮の姿勢にも、否定的だった従来と比べ変化がみられるようになった。昨年12月、経済特区がある中ロ国境に近い羅先市を視察した金総書記が対外貿易の積極拡大を指示。今年1月20日には外資誘致のため国家開発銀行の設立を発表した。
 中国が要請している金総書記の訪中が実現した場合、核放棄や改革開放政策にどう言及するかが注目される。

◎グーグル攻撃、ソフト開発の中国人特定か、英紙報道(2010年2月23日、朝日新聞)
 【ワシントン=勝田敏彦】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は21日、米インターネット検索最大手グーグルなどが受けたとされる中国からのサイバー攻撃を調べている米国の専門家が、攻撃に使われたソフトウエアを開発した中国人を特定した、と報じた。このソフトを見つけた中国当局の意向で、協力させられていたとしている。
 同紙によると、この人物はコンピューター・セキュリティーのコンサルタントをしている30代の中国人男性。中国政府の常勤職員ではなく、フリーで仕事しているという。米マイクロソフト社の閲覧ソフト「インターネット・エクスプローラー」の弱点をついて攻撃対象のネットワークに侵入できるソフトで、ハッカーが集まるオンラインの「会議室」で披露し、中国当局に見つかったという。
 男性はソフトの使用をためらったというが、中国当局には背けなかったとされる。専門家は同紙の取材に「これほどの技術を持つ人物が、当局の監視から逃れることは不可能だ」と話している。
 同紙は、この男性自身はサイバー攻撃を実行していないとしている。
 グーグルへのサイバー攻撃では、米紙ニューヨーク・タイムズが19日、中国の理工系の名門・上海交通大と山東省の山東藍翔高級技工学校の2校が発信元と報じた。別の人物が、自分の身元を特定されないため両校のネットワークを踏み台にしてサイバー攻撃を仕掛けた可能性があるが、専門家は同紙に「監視が厳しい山東藍翔高級技工学校を攻撃の踏み台に選ぶとは考えにくい」と話している。

◎「中国南部で労働者200万人が不足」、地元紙が報道(2010年2月22日、産経新聞)
 22日付の中国広東省の新聞、南方日報(電子版)は、製造業が多い中国南部で200万人以上の労働者が不足していると伝えた。
 広州市労働市場サービスセンターの主任は、工場が集中する珠江デルタ地帯で大規模な労働者不足が発生していると指摘。特に靴などの製造業、飲食店や物流などのサービス業で深刻で、同省深セン市だけで約90万人が不足しているという。
 労働者不足の背景には、内陸部に帰郷した出稼ぎ労働者が、政府の農村振興策などの恩恵を受けて地元で就業したことなどがあるという。
 金融危機の影響で「農民工(農民の出稼ぎ労働者)」が大量解雇されたが、新華社電によると、中国の景気回復に伴い、深セン市では労働者需要が金融危機前の水準に回復した。

◎北京「芸術区」を暴徒襲撃、日本人含む数人けが(2010年2月22日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】中国内外の芸術家が活動拠点とする北京郊外の「芸術区」で22日未明、立ち退きを迫る暴徒100人がアトリエ施設などを襲撃し、日本人1人を含む数人が負傷した。
 警察当局が暴徒数人を拘束して調べているが、抗議する芸術家ら30人が22日午後、中心部の長安街で「北京はヤクザの街だ」と政府を非難してデモ行進した。北京でデモ行進が展開されるのは異例で、中国で多発する立ち退き問題の深刻さを象徴している。
 襲撃があったのは22日午前2時ごろ。マスクで顔を隠した暴徒が棒などを持って芸術区のアトリエ施設を襲撃。内部で徹夜の警戒に当たっていた芸術家ら7~8人が袋だたきに遭い、千葉県出身の彫刻家(35)も頭部を殴られて4~5針を縫うケガを負った。
 一方、長安街での抗議デモは500メートルほど行進したところで警察当局に制止され、「市民の権利を守れ」などと書いた横断幕も没収された。
 参加した男性は「開発業者がヤクザを使い、我々を襲撃させた可能性もある。土地使用権を売却して巨額の収入を得る地元政府も結託しており、とても信じられない」と話している。

◎中国発グーグル攻撃、二つの教育機関から、米紙(2010年2月19日、読売新聞)
 【ニューヨーク支局】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は19日、インターネット検索世界大手の米グーグル社などが中国からサイバー攻撃を受けたとされる問題で、中国の二つの教育機関のコンピューターが攻撃元だと報じた。
 同紙が関係者の話として報じたところでは、関与が疑われるのは、工科系大学の名門・上海交通大学と、中国軍の支援を受けて設立され、軍に技術者を輩出する山東省の職業訓練校。職業訓練校では、ウクライナ人教授が担当するコンピューター技術クラスとの関連を疑わせる証拠が得られたという。
 一連のサイバー攻撃は、企業秘密や中国国内の人権活動家の電子メールを入手するために行われ、昨年4月に始まったとみられる。2校の広報担当者は自校が疑われていることについて、「知らない」と言っているという。

◎中国、回収したはずのメラミン混入ミルク、再販売か(2010年2月5日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国で2008年に起きた粉ミルクへの有害物質メラミン混入事件で、回収された製品が廃棄されずに再び販売されている疑いが強まった。5日付の人民日報系の国際情報紙・環球時報(英語版)によると、少なくとも10万トンが再流通しているとみられ、中国政府は全国調査に乗り出した。
 メラミン混入事件では、多数の乳幼児に被害が出て深刻な社会問題となり、昨年6月には食品安全法が施行された。しかし、依然として企業は安全よりも利益を優先させている実態が浮き彫りとなり、食品安全の問題が再燃する可能性が出てきた。
 国家品質監督検査検疫総局が事件後、中国国内の粉ミルク会社109社の製品を緊急調査した結果、大手を含む22社の製品からメラミンを検出。問題製品の販売停止と回収を指示した。
 しかし、広州市乳業管理事務所の王丁綿・副主任が同紙に対して証言したところによると、事件後も少なくとも7社が、回収した約10万トンの製品を再び乳製品や家畜の飼料として低価格で販売していた。地方政府が監督を怠っていたことが原因という。
 上海市で昨年12月末、「上海パンダ乳製品」がメラミンを混入させた粉ミルクを販売していた事件が発覚。中国政府は1月30日、食品安全対策に関する全国会議を開催し、各地の担当部門に徹底した調査を求めた。
 消費者問題に詳しい江蘇省南京市の王金宝弁護士(44)は朝日新聞の取材に対し、「法律が整備されても、地方政府や企業の順法精神が欠けていることが深刻な問題だ」と指摘した。

・粉ミルクへのメラミン混入事件
 2008年9月、河北省石家荘市の三鹿集団(事件後に破産)が製造、販売した粉ミルクに有害物質メラミンが混入していることが発覚。中国全土で被害が拡大し、乳幼児29万6千人に腎臓結石など泌尿器系の異常が見つかり、うち6人が死亡した。生乳にメラミンを入れたとして公共安全危害罪などに問われた酪農業者ら2人に死刑、別の1人に執行猶予つきの死刑判決が言い渡された。

◎有害メラミン粉ミルク販売、中国で3人逮捕(2010年2月5日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】4日付の中国各紙によると、中国陝西省の公安当局は、有害物質メラミン混入の粉ミルクを製造販売していたとして、食品会社の社長ら3人を逮捕した。
 メラミン混入の粉ミルクは2008年に乳幼児6人が腎結石で死亡、30万人に健康被害が出た事件で、衛生当局が回収廃棄を命じていたが、一部業者が転売するなどして現在も出回っている実態が明らかになった。
 報道では、逮捕された社長ら3人は09年9~10月に10トンのメラミン混入の粉ミルクを購入。自社製造の粉ミルクと混ぜて計32.5トンを製造販売した。
 このうちの25トンを購入した福建省の食品会社はアメの原料として使い、製品が売られていた。
 08年の事件後、衛生当局はメラミン混入の粉ミルクや乳製品の回収廃棄を指示。だが、その後も廃棄は徹底されず、上海市や河北省などの5省市の食品会社がアイスキャンディーなどの原料に使用し、製品を販売していたことが判明している。

◎中国がとてつもない「巨大地下ミサイル基地」(2010年2月4日、スポーツニッポン)
 中国人民解放軍の戦略ミサイル部隊「第2砲兵」が、内陸部に地下核ミサイル基地を建設している。総延長5000キロに達する「地下長城」との報道もあり、世界で類のない巨大基地とみられている。
 解放軍系の新聞、中国国防報は昨年11月、建設中の基地について「トンネルが四方八方に延び」「100カ所近い作業地点がある」と報道。工事現場の指揮所には数十台のコンピューターが設置されているという。
 環球時報も同12月に「内部のトンネルは総延長5000キロに上り、地下迷宮には本物、偽物あわせて数百のミサイル発射台がある」との米専門家の推測を伝えた。中国中央テレビも国防に関する特集番組で、巨大な地下空間やレールが敷設されたトンネルを放映した。
 場所は明らかにされていないが、河北、河南、山西の3省にまたがる太行山脈とみられる。既存の地下基地を拡大している可能性もあり、米国を射程内とする大陸間弾道ミサイルなどが大量に保管されているようだ。
 中国は「核の先制不使用」を宣言しており、核攻撃を受けた直後の報復能力を確保することが極めて重要。地下基地建設は敵の攻撃から自国の核ミサイルを守り、反撃することが狙い。潜水艦や車両からの発射に比べ、固定発射台は命中精度が高まることも利点だ。
 西側の軍事専門家は「総延長5000キロは大げさと思うが、世界で最大規模のミサイル地下基地だろう」と指摘している。

・中国の戦略ミサイル部隊
 戦略核ミサイルを扱う部隊で第2砲兵と呼称。兵力は約10万人とされるが、実態は不透明。遼寧省瀋陽、安徽省黄山、河南省洛陽など八つの主要基地があり、主要武器は核弾頭搭載可能の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風5A」(射程1万2000キロ)や中距離弾道ミサイル「東風21」(同1800キロ)など。吉林省通化には、日本を射程に収める中距離弾道ミサイルがあるといわれる。保有核弾頭は400~450発との推定がある。

◎贈り物にスパイウエア!中国“脅威の戦略?”(2010年2月1日、スポーツニッポン)
 英情報局保安部(MI5)は、中国の非公然の情報担当者がコンピューター情報を盗むスパイウエアを忍ばせたデジタルカメラや電子機器を英国のビジネスマンに贈り、企業秘密を得ているなどとして、警戒を促す文書を作成した。1月31日付サンデー・タイムズ紙が報じた。
 「中国スパイの脅威」と題する文書によると、中国の人民解放軍や公安省の担当者は貿易フェアや見本市などの際、これら「贈り物」などを伴って接近。英国の防衛、エネルギー、通信などの企業がスパイ活動の標的になっているという。
 またMI5は「北京や上海のホテルの部屋は情報収集機器が取り付けられている可能性がある。客の留守中に捜索されたこともある」「中国情報当局は(知られたくない)性的関係などに付け込み(中国側に)協力するよう圧力をかけることで知られている」などと指摘している。
 この文書は昨年、ロンドンの企業のトップらに配布された。こうした文書を英政府機関が作成したことで、英中関係が緊張する可能性もある。

◎中国がウイルス入りデジカメ贈り、機密情報収集(2010年2月1日、読売新聞)
 【ロンドン支局】中国の情報当局者が、パソコンから情報を盗み出す「スパイウエア」が入った電子情報機器を英国企業のビジネスマンに贈って機密情報を得ているなどとして、英国内の諜報機関、国家保安部(MI5)が警戒を促す文書を作成したと、1月31日付の英紙サンデー・タイムズ(電子版)が報じた。
 文書は昨年、ロンドンの企業幹部ら数百人に配布されたという。
 同紙によると、「中国スパイの脅威」と題した文書は14ページ。英国の防衛やエネルギー、製造業関連の企業を狙って、中国の人民解放軍や公安省の当局者が貿易フェアなどで接近し、ウイルス入りのデジタルカメラなどを贈っているとしている。

◎NHKニュース、中国で一時放送中断、映像制限か(2010年2月1日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】中国で1月31日夜、日中両国の歴史共同研究報告書のニュースを報じていたNHKの海外テレビ放送が途中で一時、中断された。
 中国当局が、報告書に盛り込むことが見送られた1989年の天安門事件などの映像の視聴制限を図ったとみられる。
 報告書について、中国国内では国営ラジオが31日夜に報じたが、中央テレビのニュース番組では触れられなかった。
 NHK広報局は、「天安門事件に関する放送が20秒ほど切れているのは確認している。ニュース映像が一時的に中断されたことは報道の自由を損なうもので遺憾。過去にもチベット問題などで同様のことがあり、機会をとらえて中国側には遺憾の意を伝え、善処を求めてきた。今後も同様の対応を取っていきたい」としている。

◎中国の最低賃金大幅アップ、上海は15%、景気回復背景(2010年2月1日、朝日新聞)
 【上海=奥寺淳】上海市の韓正市長は1月31日の記者会見で、4月から上海の最低賃金を約15%引き上げることを明らかにした。日系企業が多数進出する江蘇省も2月1日からの約13%引き上げを決定。国内の景気回復を背景に、2年ぶりの賃金上昇圧力が各地で鮮明になってきた。
 中国は金融危機の影響で2009年の賃金引き上げを見送っていた。しかし、政府の景気刺激策が功を奏し、09年の国内総生産(GDP)成長率は年8.7%、特に10~12月は10.7%と高い伸び。急激な景気回復とともに、不動産価格が上昇し、労働者の賃金上昇への関心が高まっていた。
 韓市長は「09年に賃金を引き上げなかったことを考慮し、今年は現在の水準より約15%引き上げる」と言明。現在の960元(約1万3千円)が、4月1日から1100元前後になる見通しだ。
 また、江蘇省も2年ぶりの引き上げを決めており、2月1日から蘇州や無錫など中心的な工業地区の最低賃金を850元から960元に調整する。
 「世界の工場」として多くの外資系企業が集まる広東省では、注文の急増などで人手不足が深刻となっており、東莞市トップの市委書記が「引き上げが妥当」と言明。そのほか、北京市や重慶市も年内の引き上げを決めている。

◎フランスの免税品、買い物王者は中国人 ロシア人抜く(2010年2月1日、朝日新聞)
 【パリ=国末憲人】中国人がフランスで買ったブランド品などの免税品の額が昨年、ロシア人を抜いて1位に躍り出た。還付請求代行業者グローバル・リファンド社が発表した。
 中国人の免税品購入額は2009年、前年比47%増の1億5800万ユーロ(約208億円)。その87%はファッション関連に費やされていた。ブランド志向が強いうえ富裕層が急増していたロシアは、金融危機の影響のためか前年から約23%減の1億1100万ユーロ。1位の座を明け渡した。
 かつて圧倒的1位だった日本人は07年にロシア人に、08年は中国人に抜かれ、昨年も3位だった。ただ、円高の影響から約17%伸びて約1億ユーロだった。4位米国人は2%増の6100万ユーロ。
 ロシア人と並ぶブランド好きで知られるウクライナ人は、1人あたり購入額が1481ユーロで、前年に続いて1位。

◎ギョーザ農薬事件2年、首相「中国政府に解明求める」(2010年1月28日、朝日新聞)
 鳩山由紀夫首相は28日、中国製冷凍ギョーザに農薬が混入した事件が未解決であることについて、「まだ中国政府が問題の解決をしていないことは遺憾に思う」と述べ、中国側に捜査の進展を促す考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
 事件が発覚して30日で2年を迎える。今後の日本政府の対応について、首相は「引き続き中国政府に真相解明を求めていく。(日中両国で)食品の安全は徹底していかなければならない」と述べた。

◎グーグルへの攻撃、中国否定、米次官補「大統領も憂慮」(2010年1月23日、朝日新聞)
 【ワシントン=村山祐介】米インターネット検索大手グーグルがサイバー攻撃や中国当局の検閲などを理由に中国撤退を検討している問題で、米国務省のクローリー次官補は22日、中国政府がサイバー攻撃の存在自体を全面否定していることを明らかにした。ホワイトハウスのバートン大統領副補佐官は同日、グーグル問題でオバマ大統領が「サイバーセキュリティーの侵害を憂慮している」と語った。
 クローリー氏によると、グーグルが12日に中国撤退の可能性があると発表した後、キャンベル次官補ら同省高官が周文重・駐米中国大使らと少なくとも3回面談し、説明を求めた。中国側はグーグルが主張するサイバー攻撃について「何も起きていない」と事実関係を否定しているという。
 クローリー氏は「全面否定は有益ではない」と批判したが、現時点では公式抗議の手続きはとっていないという。

◎「グーグル問題」米中間で複数回“あーだ、こーだ”(2010年1月20日、スポーツニッポン)
 米インターネット検索大手グーグルが、中国からのサイバー攻撃などを理由に中国撤退を検討している問題で、キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は19日の記者会見で、米国と中国の当局者間で複数回の会談があったとして米中間のやりとりが続いていることを明らかにした。
 今回の問題は米中にとって貿易摩擦や台湾問題などに続く新たな火種として浮上。国務省は今週初めにも中国政府に文書で正式に抗議するとしていたが、国務省高官は19日、文書での抗議は「まだ」と記者団に語った。
 次官補は会見で、米国が問題を深刻に受け止めていることを強調した上で「中国はグーグルの主張を否定しているが、中国は説明する立場にいる」と述べた。自由で開放されたインターネットは「すべての人々に開かれたものであるべきだ」とも訴え、中国のネット検閲や規制を批判した。

◎中国最高裁元副長官に無期懲役、汚職立件で建国後最高位(2010年1月20日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国河北省廊坊市の中級人民法院(地裁)は19日、収賄罪などに問われた元最高人民法院副院長(最高裁副長官)の黄松有被告(52)に無期懲役の判決を言い渡した。新華社通信が伝えた。黄被告は1949年の建国以来、汚職事件で立件された司法当局者としては最高位の人物。
 判決によると、黄被告は2005年から08年の間、判決を有利にする見返りとして、弁護士らから計390万元(約5200万円)を受け取った。さらに、広東省湛江市で中級人民法院長だった97年には、120万元の公金を横領した。

◎中国、外国人記者にハッカー攻撃(2010年1月19日、産経新聞)
 北京の中国外国人記者クラブ(FCCC)によると、同クラブ会員の北京駐在記者が使用している米検索大手、グーグルの電子メールサービス「Gメール」が19日までにハッカーの攻撃を受けた。グーグルが中国からサイバー攻撃を受けたとされる問題に関連しているとみられ、FCCCはメールなどを通じ会員に注意を呼び掛けた。
 ハッカー攻撃を受けたのは外国メディア数社の記者で、AP通信によると同社の記者1人も含まれる。
 FCCCには、40カ国以上の記者や外交関係者ら400人以上が入会している。

◎米、グーグル問題で中国に公式抗議へ、検閲中止を協議(2010年1月16日、朝日新聞)
 【ワシントン=村山祐介】米国務省のクローリー次官補は15日の会見で、米インターネット検索大手グーグルに対するサイバー攻撃や中国当局の検閲について、週明けにも中国政府に公式に抗議する考えを明らかにした。米政府が外交問題との位置づけを鮮明にしたことで、台湾への武器売却や通商摩擦など懸案続きの米中関係の新たな火種になるのは避けられない情勢だ。
 国務省の当局者は14日、在米中国大使館の謝鋒主席公使に懸念を伝達。納得できる説明がなかったことなどから、外交ルートを使った正式な抗議表明に踏み切る。次官補は「懸念を伝えるとともに、何が起きたのかや、中国政府の今後の対応について説明を求める」と語った。
 ギブズ大統領報道官も15日の会見で、「検閲中止へのグーグルの試みを支持する。これはインターネットの自由についての我々の信念の表れだ」と述べ、中国政府に検閲をやめるよう外交レベルで協議していく方針を強調した。
 米議会の関心も強く、下院外交委員会のバーマン委員長も同日、「委員会ではインターネットの自由の問題と理解している」との声明を発表。クリントン国務長官は21日、インターネットの自由をテーマに演説し、米政府の基本姿勢を明らかにする予定だ。

◎中国、不動産バブル色,地価1年で7.8%上昇(2010年1月15日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国国家発展改革委員会が14日発表した全国70都市の不動産価格指数は、昨年12月の全国平均が前年同月より7.8%上昇した。2008年6月以来1年6カ月ぶりの伸び。09年6月に前年同月比プラスに転じた後、価格上昇は加速しており、「不動産バブル」の様相が強まっている。
 都市別では、深セン(センは「土へんに川」)で同18.9%上昇と約2年ぶりの伸びとなったほか、北京で同9.2%、上海で同7.4%、広州で8.7%それぞれ上昇した。景気刺激のための金融緩和などでだぶついた資金が不動産市場に流れ込んでいるためとみられる。
 中国住宅都市農村建設省の斉驥次官は13日の記者会見で「沿海部の大都市では、販売向け不動産の価格が上がり過ぎている」と認めた。中国政府は7日、投機的な住宅購入を抑えるため、2軒目の住宅を買う場合には価格の40%以上を頭金として支払うよう求める方針を通知。中国人民銀行(中央銀行)も12日、金融機関の預金準備率を1年7カ月ぶりに引き上げることを発表するなど、バブル抑制に動いている。

◎中国:グーグル撤退を慰留、同業他社への影響懸念(2010年1月14日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国外務省の姜瑜副報道局長は14日の定例会見で、インターネット検察エンジン最大手の米グーグルが中国政府の検閲廃止を求め、結果次第では中国から撤退すると表明したことについて「国際的なインターネット企業が中国で法に基づき業務を展開することを歓迎する」と強調し、同社を引き留める姿勢を示した。
 同社が中国政府の検閲に協力しない意向を示し、中国国内で行ってきた検索表示の自主制限を一部解除したことへの批判は避けた。グーグルが撤退した場合の中国市場の信用失墜や同業他社への撤退波及を懸念しているとみられる。
 姜副局長はまた、グーグルが中国国内からサイバー攻撃を受けたと非難していることについて「通報を受けた場合には、関係部門が調査すると信じている」と述べ、同社からの通報を待って捜査が実施されるとの認識を示した。
 クリントン米国務長官がサイバー攻撃について「非常に深刻な懸念と疑念を抱く」と中国政府に説明を求めていることにも「米国側に改めて立場を説明する」と言明し、政府間協議に応じる姿勢を示した。
 副局長は一方で「中国は他国と同じように法律に基づき、国際的に通用する方法でネットを管理している」と強調し、内外からの検閲廃止要求には応じない立場を確認した。
 中国政府は昨年7月に新疆ウイグル自治区ウルムチで発生した民族暴動以降、ネット規制を強化している。他地域でも格差拡大から社会不安が高まっており、安定を維持していくためにはネット規制が不可欠と判断している模様だ。
 約3億6000万人と世界最大のインターネット利用人口を抱える中国で、グーグルは3分の1の市場シェアを占める。中国政府はグーグルの影響力を見極めつつ、検閲廃止を求める同社との交渉を慎重に進めていくとみられる。

◎グーグルが自主規制解除、天安門事件など閲覧可能に(2010年1月14日、日本経済新聞)
 【北京=多部田俊輔】中国にインターネットサービスの検閲撤廃を求めたネット検索世界最大手の米グーグルは14日、中国語版サイトで天安門事件などの写真閲覧制限を解除、中国当局との全面対決姿勢を示した。姜瑜・中国外務省副報道局長は同日の定例記者会見で「中国のネットはオープンだ。管理は国際的慣行に合致している」とグーグルの主張に反論。ただ、中国世論のグーグルへの賛否は二分しているもようだ。
 グーグルは中国側の養成で続けてきた自主規制を一方的に解除したとみられる。中国語版サイトで、1989年に北京で起きた天安門事件やチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世などを検索すると、写真などの検索結果が表示されるようになった。だが表示されたサイトそのものの閲覧は依然としてできない。
 北京のグーグル中国本社には14日、支持者らが集まったほか、支援を意味する花も贈られ、警官らが警備を厳重にした。ネット上では「言論の自由を大切にしている」とグーグル支持の声が上がる一方「中国の実情を考えていない」と批判する意見も出ている。

◎グーグル検閲停止、中国で党批判サイトも公開に(2010年1月14日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】中国外務省の姜瑜・副報道局長は14日の定例記者会見で、インターネット検索世界最大手の米グーグル社が中国当局による検閲受け入れを拒否したことに関し、「中国のネットは開放的だ。国際的なネット企業が中国で法律に基づき、事業を展開することを歓迎する」と述べ、当局の意向に沿って検閲に協力するよう促した。
 姜副局長は、「中国の法律は、いかなる形式のハッカー行為も禁じている。中国政府は、他国と同様に法律に基づいてネットを管理している」と語り、同社が中国国内からサイバー攻撃を受けたと主張していることにも反論した。
 一方、中国国内では14日、グーグルの中国版サイトを通じれば共産党独裁を批判する民主活動家の文章や天安門事件の写真など、これまで見られなかった情報が閲覧できる異例の状態となっている。
 同社が、「言論の自由に反する」として、検索結果の検閲受け入れを停止した結果とみられ、中国当局の対応が注目される。

◎グーグル:中国での自主制限を一部解除、「検閲」に対抗か(2010年1月14日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】インターネット検索エンジン最大手の米グーグルが、中国国内で行ってきた検索表示の自主制限を一部解除していることが14日、分かった。同社は中国国内からサイバー攻撃を受けたことを理由に、中国政府が行ってきた検閲廃止を目指して交渉すると表明している。自主制限の一部解除は検閲やサイバー攻撃への対抗措置とみられ、同社と中国との交渉の行方にも影響を与えそうだ。
 中国語版グーグルでは14日までに、これまでできなかった一部の写真や情報の検索表示が可能になった。グーグルは06年に中国市場に進出する際、中国政府の要請を受け入れ、検索表示の自主制限を続けてきた。
 自主制限を解除した結果、中国当局が民主化を求める学生らを武力鎮圧した天安門事件(89年)で、戦車に1人で立ち向かう男性を撮影した有名な写真や戦車の発砲、虐殺された遺体の模様などが検索表示されるようになった。
 中国国内ではこれらの写真掲載が禁止されている。戦車の写真はグーグルで表示されるようになったが、中国国内の検索エンジン大手、百度(バイドゥ)などでは引き続き表示できない状態だ。
 このほかにも、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の写真を検索すると286万件表示された。中国政府はダライ・ラマ14世を「祖国分裂主義者」とみなし、国内での写真掲載を禁じている。
 こうした「検閲対象」写真は、海外サイトでは大量に出回っているため、中国国内からでも検索方法によっては例外的に表示されることがあった。だが、今回のように大量に表示されることはなかった。
 中国政府がこうした写真を表示させないためには、国内からグーグルへのアクセスを遮断する以外には方法がないとみられる。ただ、グーグルへのアクセスを遮断すると、国内の莫大(ばくだい)な数のユーザーに多大な影響を与えることになる。また、中国が強制措置に乗り出せば、グーグルは中国からの撤退を辞さない構えで、両者の摩擦はエスカレートしそうだ。

◎米ヤフーがグーグルを支持、サイバー攻撃巡り(2010年1月14日、日本経済新聞)
 【シリコンバレー=岡田信行】インターネット検索大手の米ヤフーは13日、同業のグーグルが12日に発表した中国からのサイバー攻撃について、「深く憂慮する」としてライバルのグーグルを支持する考えを明らかにした。ヤフー広報は日本経済新聞の取材に対し、同社のネットワークが攻撃を受けたかどうか、中国事業を今後どう展開するかについては回答を避けた。
 13日の米株式市場でグーグル株は一時、前日終値比3%近く下げた。グーグルが中国撤退の可能性に言及したことから、機会損失を嫌気した投資家の売りを誘った。その後は持ち直し、終値は0.57%安の587.09ドル。一方、中国の検索最大手、百度(バイドゥ)の株式は事業拡大への期待感から一時、15%近く上がった。

◎グーグル、中国で民主化運動などの検索結果を表示、制限解除(2010年1月14日、日本経済新聞)
 【北京=多部田俊輔】米グーグルは14日までに、中国語版サイトで天安門事件など民主化運動に関する検索結果を表示するようにした。同社はこれまで中国当局の要請に応える形で表示を制限していた。検索結果として表示された天安門事件などに関するサイトは依然として当局側が閲覧できない状態にしており、グーグルと中国当局側の緊張が高まっている。
 1989年6月に中国・北京市で発生した天安門事件やチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世などを検索ワードに入力すると、写真などの検索結果が表示されるようになった。
 北京のグーグル中国法人本社には13日から支持者らが集まっているほか、同社には支援を意味する花が送られており、私服警官などが警備を厳重にしている。

◎グーグル「抵抗」中国衝撃、言論統制さらに(2010年1月14日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国の胡錦濤政権は、インターネット検索世界最大手の米グーグル社が12日、中国語サイトの検索結果の検閲受け入れを停止し、中国事業からの撤退の検討を発表したことに衝撃を受けている。
 「巨大市場」を武器に外国の検索企業を検閲に従わせることに自信を深めてきたが、初の「抵抗」の影響が広がれば、政権の言論統制のほころびにつながるだけに、一層締め付けを強める構えだ。
 胡政権はこれまで、共産党による情報独占を突き崩し、「社会の安定」を揺るがしかねない「有害情報」を発信するネットの統制に全力を挙げてきた。だが、世界最高水準の「網絡警察」(サイバー・ポリス)を抱える政権にとっても、チベットやウイグルなどの民族分裂や「台湾独立」、民主化要求など、一党独裁を脅かす恐れのある「有害情報」を根絶するのは容易でない。
 このため、政権は、グーグルや中国の「百度」など、国内外の検索企業に対し、「協力」という名の下に監視と排除の責任を負わせてきた。
 特に、影響力の大きいグーグル社に対しては、再三にわたり揺さぶりをかけてきた。昨年6月の外務省の定例会見でも、グーグルを使ったメールがつながらないとの外国メディアの指摘に対し、秦剛・副報道局長が、グーグルがポルノ情報を流しているとの前提に立ち、「当局の手法は法に基づくもので正当」とはねつけた。
 それでも、今回のような事態が起きたことは、胡政権にとって衝撃だったのは間違いない。今後は、他の検索企業への影響を防ぐため、グーグル社を含む各社と個別の協議を重ねて、検閲への「協力」を改めて迫っていくものとみられる。
 中国筋によると、「胡錦濤総書記自身がネット統制の生ぬるさに強い不満を抱いている」とされ、今年は言論統制の中でもネット統制をさらに強化する方針という。2008年以来、一党独裁を批判する「08憲章」など、大胆な政治改革要求文書がネット上で広がるなどの事態を受けたものだ。
 新華社電によると、今月12日、北京で開かれた党の精神文明建設指導委員会の会議では、イデオロギー担当の李長春・党政治局常務委員が「未成年者の健全な成長促進を目標に、法に基づき、ネットでわいせつな有害情報を広める行為を取り締まり、社会文化環境を浄化しなければならない」と述べ、一層の統制強化を宣言した。

◎グーグル:中国から事業撤退も、政府の検閲に嫌気(2010年1月13日、毎日新聞)
 米インターネット検索大手、グーグルは12日、中国政府の関与が疑われるサイバー攻撃を受けたことを明らかにした。また、検索サービスに対する中国政府の検閲を「これ以上受け入れ続けるつもりはない」と表明、撤退を視野に中国事業を見直す方針を決めたと発表した。
 グーグルは現在、中国政府と検閲を受けずにネット検索サービスを継続できるか協議中。同社は、最終的に中国事務所の閉鎖につながる可能性もあるとの認識を示した。
 同社によると、人権活動家が持つグーグルのEメールアカウントに、外部の第三者が侵入を試みていたことが判明。他の企業や欧州などでも人権活動家を対象に数十のメールアカウントに対する侵害行為があったことが分かったとしている。
 グーグルは利用者に対してアンチウイルスソフトの利用など防護措置を強化するように助言したという。
 グーグルはある程度の検閲が実施されたとしても、サービス提供で利用者が受ける利益の方が大きいと判断し、2006年に中国で本格的な事業を始めた。見直しの背景には、「言論の自由をめぐる世界的な議論」があると強調している。

◎米グーグル、中国からの事業撤退視野、サイバー攻撃など受け(2010年1月13日、日本経済新聞)
 【シリコンバレー=田中暁人】インターネット検索最大手の米グーグルは12日、中国政府に対し、検閲無しでの検索サービスの運営を求めることを明らかにした。交渉が決裂すれば、中国事業から撤退する可能性もある。メール情報を狙ったサイバー攻撃を中国から受けたことも表明。「ウェブ上での発言の自由に対する制限などもあり、中国事業を再検討する」(デビッド・ドラモンド最高法務責任者)ことを決めた。
 グーグルは、昨年12月中旬に中国の人権活動家のメール情報取得を目的とした「非常に複雑な」サイバー攻撃を中国から受けたと説明。ネット、金融、メディア、化学など最低20社の大手企業も攻撃対象だったという。誰が攻撃を仕掛けたかは明らかにしていない。グーグルから流出した情報は「(メールサービス)『Gメール』の2件のアカウントの作成日や表題など」にとどまっている模様で、すでに米当局と協力中という。

◎中国政府「グーグルが撤退するか、分からない」(2010年1月13日、日本経済新聞)
 【北京=多部田俊輔】インターネット検索最大手の米グーグルが中国からの撤退も視野に同国当局に検閲撤廃を要求、クリントン米国務長官は、グーグルが中国から受けたとするサイバー攻撃に強い懸念を示した。一方、中国側では、政府幹部が「グーグルが中国から撤退するかどうかは分からない」とだけ述べた。中国国営の新華社が13日、伝えた。
 中国のインターネット利用者数は2009年7月時点で約3億4000万人。中国共産党が事実上管理するテレビなどに比べ多様な情報を得ることができるため、世論形成への影響を高めている。それだけに「当局が検閲撤廃を認めることはない」(中国ネット企業幹部)との見方が多い。
 中国当局は08年3月のチベット騒乱をきっかけにネットへの規制強化を加速。最終的にはパソコン世界最大手の米ヒューレット・パッカード(HP)などの反発で撤回したものの、09年6月にはパソコンに検閲ソフトの搭載を義務付ける方針も打ち出した。

◎グーグルへのサイバー攻撃「中国から説明ほしい」 米国務長官(2010年1月13日、日本経済新聞)
 【ワシントン=弟子丸幸子、北京=多部田俊輔】クリントン米国務長官は12日、グーグルが中国からサイバー攻撃を受けたと説明している問題について「非常に深刻な懸念と疑念を抱く」とする声明を出した。「中国政府からの説明を期待する」とも言明。米政府がグーグルから経緯説明を受けたことも明らかにし、政府間で対応を協議する必要があるとの立場を強調した。
 そのうえでネット事業を適切に運営できる環境整備の必要性も力説。「現代社会と経済にとって決定的に重要な問題だ」と、サイバー攻撃の取り締まりや検閲の緩和・廃止など事態の改善へ中国政府の取り組みを訴える意向をにじませた。
 米政府は、今回の問題が米産業を代表する大手ネット企業の被害であることに加え、サイバー攻撃を受けたのが中国の人権活動家の情報だったことを深刻視している。今後は貿易摩擦や台湾への武器売却問題に加え、人権問題にも絡むネット事業の扱いを米中関係の懸案の一つと位置づける方向だとみられる。

◎中国政府がサイバー攻撃?グーグルが事業撤退検討(2010年1月13日、スポーツニッポン)
 米インターネット検索大手、グーグルは12日、中国政府の関与が疑われるサイバー攻撃を受けたことを明らかにした。また、検索サービスに対する中国政府の検閲を「これ以上受け入れ続けるつもりはない」と表明、撤退を視野に中国事業を見直す方針を決めたと発表した。
 クリントン米国務長官は、グーグルに対するサイバー攻撃に深刻な懸念を表明、中国側に説明を求める姿勢を示した。
 グーグルは米当局と連携しており、人権問題などをめぐり、米中間の摩擦が強まりそうだ。中国で活動する他の欧米情報技術(IT)企業に影響を及ぼすことも考えられる。同社は現在、中国政府と検閲を受けずにネット検索サービスを継続できるか協議中。最終的に中国事務所の閉鎖など全面撤退につながる可能性もあるとの認識を示した。
 同社によると、人権活動家が持つグーグルのEメールアカウントに、外部の第三者が侵入を試みていたことが判明。他の企業や欧州などでも人権活動家を対象に数十のメールアカウントに対する侵害行為があったことが分かったとしている。
 グーグルは利用者に対してアンチウイルスソフトの利用など防護措置を強化するように助言したという。
 グーグルはある程度の検閲が実施されたとしても、サービス提供で利用者が受ける利益の方が大きいと判断し、2006年に中国で本格的な事業を始めた。見直しの背景には、「言論の自由をめぐる世界的な議論」があると強調している。

◎閉鎖しチャイナ!“ワイセツ物陳列”1万5000サイト(2010年1月13日、スポーツニッポン)
 新華社電によると、中国で出版物やインターネットなどを管理する国家新聞出版総署は12日、昨年1年間で、わいせつ情報が含まれていた1万5000以上のウェブサイトを閉鎖したことを明らかにした。
 中国政府は急速に拡大するインターネットへの統制を強めており、昨年初めからわいせつ画像などの取り締まりを強化してきた。

◎中国検索最大手の百度、サイバー攻撃で4時間機能停止(2010年1月12日、日本経済新聞)
 中国共産党機関紙、人民日報のニュースサイト人民網によると中国検索最大手、百度(バイドゥ)の中国語サイトが12日午前、サイバー攻撃を受け、4時間余りにわたり機能停止となった。
 同社のサイトが接続不能になったのは、午前7時40分(日本時間同8時40分)ごろから正午(午後1時)ごろまでの間。画面には一時、イランの国旗を背景に「このサイトはイランのサイバー軍が乗っ取った」との文章が掲載された。
 同名のグループは昨年12月、ミニブログ大手、米ツイッター(カリフォルニア州サンフランシスコ市)がサイバー攻撃を受けた際にも登場した。実際にイランと関係がある人物が関与したかどうかなどは明らかになっていない。

◎ミサイル迎撃実験、中国が成功、異例の公表(2010年1月12日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】新華社電によると、中国は11日、弾道ミサイルの迎撃実験に成功した。
 実験に使った迎撃ミサイルは地上発射型のものと見られるが、形式や規模などの詳細は伝えていない。迎撃実験は国内で行われ、新華社電は「所期の目的を達成した」と成果を強調した。
 中国がミサイルの迎撃実験成功を公表するのは異例。米国が台湾向けに、ミサイル防衛用の地対空誘導弾パトリオット・ミサイル3(PAC3)の製造を発注したことを受けて、米国をけん制する狙いもあるとみられる。
 ただ、中国外務省は「実験は防衛のためのもので、いかなる国に向けたものでもない」と表明している。

◎「世界の工場」中国、09年輸出額でドイツ抜き世界一へ(2010年1月11日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国の2009年の輸出額は、1兆2017億ドル(約112兆円)だった。中国税関総署が10日発表した。前年より16.0%減り、26年ぶりの前年割れになったが、他国との比較ではドイツを抜き、初めて世界首位に立つことがほぼ確実だ。「世界の工場」としての存在感が一段と高まっている。
 ドイツの09年の輸出額は、1~11月で7346億ユーロ。前年同期より約2割少ない。09年の年間平均レートでドル換算すると約1兆240億ドルで、ドイツが12月だけで約1800億ドルの輸出額を記録しない限り、年間で中国を追い抜けない計算だ。
 中国の輸出額は、01年12月の世界貿易機関(WTO)加盟をきっかけに急増。08年には貿易黒字額でドイツを抜いて首位に立ち、輸出額でもドイツに迫っていた。
 09年は、世界的な景気後退の影響で年間では1983年以来の前年割れ。国・地域別にみると、欧州連合(EU)向けが前年比19.4%減、米国向けが同12.5%減だった。日本向けも同15.7%減と落ち込んだ。
 ただ、12月単月では世界経済の回復傾向を反映して前年同月比で1年2カ月ぶりに増加。08年12月より17.7%多い1307億ドルになり、金融危機前の07年12月の水準も上回った。
 一方、09年年間の輸入額は前年比11.2%減の1兆56億ドル。貿易黒字額は同34.2%減の1961億ドルだった。
 単月の輸入額は11月から前年同月比で増加に転じており、12月は同55.9%増の1123億ドルだった。

◎効果は?つばで3点、ごみで5点、20点で強制退去(2010年1月8日、スポーツニッポン)
 何度もつばを吐けば強制退去。中国広東省広州で公共住宅の住民を対象に、当局がこんな罰則の適用を検討している。
 罰則はポイント制。つばを1回吐くと3点、ごみを散らかすと5点、上層階から物を落とすと7点で計20点になると退去。連続3カ月分の家賃滞納は、いきなり20点だ。
 公共の場でつばを吐く習慣が改まらない中、香港の住宅管理を参考にしたそうだが、広州の生活水準はそれほど高くなく、まねはできないとの批判も。

◎大雪?メンテ? 中国のネット規制一時解除 米紙報道(2010年1月5日、産経新聞)
 米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は北京発で4日、インターネットの規制や検閲が日常的に行われている中国で同日未明、約3時間半にわたりウェブサイトへのアクセス規制が解除されたと報じた。
 多くの利用者が動画投稿サイト「ユーチューブ」や短い文章を掲載する交流サイト「ツイッター」といった、中国政府が禁止するサイトにアクセスできたが、4日朝までには通常通り規制が「復旧」したという。
 原因は不明だが、ネットワークを運営する中国聯通(チャイナユニコム)のメンテナンス作業や、中国北部での大雪が関係しているとの憶測が飛び交っているという。

◎中国ネット検閲、一時ダウン、米紙報道(2010年1月5日、朝日新聞)
 米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)は4日、中国で同日未明、厳しいことで知られるインターネット検閲が数時間にわたってダウンする「事件」があったと報じた。この間、ユーザーは動画共有サイト「ユーチューブ」や会員制交流サイト(SNS)「フェースブック」など、禁止サイトへのアクセスが可能となり、つかの間の自由を享受した。
 同紙によると、検閲がダウンしたのは午前0時~3時半ごろとみられる。原因は不明だが、ネットワークを運営する中国聯通(チャイナ・ユニコム)によるメンテナンス作業や、中国北部を襲った大雪が関係しているとうわさされている。(時事)

◎粉ミルク汚染、上海当局は8カ月公表せず(2010年1月5日、スポーツニッポン)
 中国上海市の乳製品企業が有害物質メラミンが混入した粉ミルクを生産、販売していた問題で、上海市の食品安全当局が昨年4月に問題を把握していたのに昨年末まで公表していなかったと5日付の中国紙、21世紀経済報道が伝えた。
 中国では2008年9月、別の企業による粉ミルク事件が発覚。多数の乳幼児が腎臓結石などにかかり、死者も出て社会問題になった。
 同事件の影響で中国では乳製品の買い控えが起き、業界全体の業績が悪化。上海企業の問題が発覚したのは業績が回復してきた時期で、当局が食の安全の問題が再燃するのを懸念して公表を遅らせた可能性がある。
 同紙によると、上海企業の問題は業界内では公表前に知られていたが、業界関係者は「業績が回復してきた時期だったので口外できなかった」と証言しているという。
 上海当局は昨年末、メラミンが混入した粉ミルクなどを生産、販売したとして「上海熊猫乳製品有限公司」の社長ら3人を起訴したと発表。問題の製品はすべて回収されたとしているが、健康被害が出たかどうかは分かっていない。

◎中国で原発建設ラッシュ、安全性を心配する声も(2010年1月4日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国各地で原子力発電所の建設ラッシュが始まっている。中国では現在、稼働中の原発が11基あり、24基が建設中だが、2020年までにさらに100基以上を建設する計画もあるという。近年の急速な経済発展にともなう国内エネルギー需要の急増と、二酸化炭素排出量削減への国際社会からの圧力などが背景にあるが、入札をめぐる贈収賄事件も多発しており、手抜き工事や人材不足などを理由に安全性を懸念する声も出ている。
 昨年12月21日、北京の人民大会堂で、中国の国有企業、広東核電集団とフランス電力公社(EDF)の共同出資による台山原子力発電所(広東省台山)の起工式が行われた。出力175万キロワットの原発2基を14年までに稼働させる予定で、総資本約167億元(約2200億円)は、外国と共同出資による原発プラントとしては最大規模。フランスが持つ最新技術の採用が中国側の最大の狙いだといわれる。
 広東核電集団は1994年に設立され、広東省周辺を中心に事業を展開し、2つの稼働原発のほかに建設中の原発5つを抱え、さらには内陸部の湖北省などで複数の原発を新設する計画があると報じられている。
 中国政府は2007年に策定した原発整備計画で、20年までに発電量4000万キロワットを目指すとしていたが、09年春に7000万キロワットに目標を上方修正した。しかしその後、内陸部における公共投資拡大路線の中で、原発の新設計画が次々と提出され、建設ペースはすでに目標を超えたもようだ。「今後10年は毎年10基の勢いで原発を建設し、(発電量は)1億キロワットに達する可能性も出てきた」(政府関係者)という。
 しかし、原発の安全性を懸念する声は少なくない。建設計画の多くは人口密度の高い地方都市の近郊に予定されており、08年5月に起きた四川省大地震の震源地から約300キロと近い南充市にも原発の整備計画があり、放射能漏れ事故が懸念されている。技術者育成も建設ラッシュに追いつかず、運用や管理の面での人材不足も指摘されている。
 さらに、建設に絡む汚職の拡大も危ぐされる。中国最大の国有原発関連企業、中国核工業集団のトップ、康日新総経理は今年夏、原発建設の入札に絡み、18億元(約230億円)の贈収賄事件に巻き込まれ、逮捕された。
 投資資金が巨大のうえに専門性が高い原発建設は、汚職の温床となり、これまでにもたびたび責任者が摘発されてきた。インターネットの掲示板などでは、これらの汚職事件が、原発の安全に及ぼす影響を心配する声があがっている。

◎中国の新型インフル死者659人、「増え続けるだろう」(2010年1月4日、スポーツニッポン)
 中国衛生省は4日、中国本土での新型インフルエンザによる死者数が2日までの累計で659人になったと発表した。
 同省は「今後しばらくは死者数が増え続けるだろう」と予測、妊婦や慢性疾患の患者など重症化のリスクが高い人に重点を置いて感染拡大防止を図る考えを示した。

◎北京、ソウルで記録的大雪、航空便に欠航や乱れ(2010年1月4日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実、ソウル=尾島島雄】中国、韓国の首都が大雪に見舞われている。中国・北京は3日未明から雪となり、積雪は10~20センチに達した。国営新華社などによると、1月の降雪量としては1951年からの観測史上最大を記録。韓国・ソウルでも4日未明から大雪となった。気象庁によると午後までの降雪量は25.8センチに達し、観測史上最大だった69年1月の25.6センチを41年ぶりに更新した。
 北京の首都国際空港では4日正午までに880便以上が欠航となったほか、周辺の高速道路も閉鎖。市郊外では積雪が37.5センチに達した地域もあった。5日には気温が氷点下18度まで冷え込む「記録的低温」(気象当局幹部)となる可能性があり、市当局が市民に注意喚起している。
 ソウルでも市内バスの運行に支障が出たほか、金浦空港などで航空便の運航に大幅な乱れが生じた。降雪は4日夕までにやんだものの、ソウル中心街の5日の予想最低気温は氷点下10度。記録的な大雪で除雪作業が追いついておらず、路面凍結による交通事故の多発が懸念されている。

◎中国でも高齢化急速!08年末60歳以上は1億6千万人(2010年1月3日、スポーツニッポン)
 3日の新華社電によると、中国の民政省幹部はこのほど、中国の60歳以上の人口は2008年末の時点で1億6千万人に達し、総人口の約12%を占めていることを明らかにした。
 中国では一人っ子政策の影響などで、急速に高齢化が進んでいる。

◎60歳以上は1億6千万人、中国で人口が急速に高齢化(2010年1月3日、産経新聞)
 3日の新華社電によると、中国の民政省幹部はこのほど、中国の60歳以上の人口は2008年末の時点で1億6千万人に達し、総人口の約12%を占めていることを明らかにした。
 中国では一人っ子政策の影響などで、急速に高齢化が進んでいる。

◎「工業の調味料」希少金属レアアース、中国が管理強化(2010年1月2日、朝日新聞)
 中国が、ハイブリッド車(HV)などハイテク技術に欠かせない希少金属、レアアースの輸出、生産の管理を強めている。輸出許可枠を4年で4割減らしたうえ、金融危機による需給悪化で一部の操業を止めた。中国は世界の生産量の9割超を占めるが、国内では戦略的備蓄をするべきだとの声も出ており、日本の産業界も動向を注視している。
 赤土の山肌に白いパイプが張り巡らされていた。中国南部の広東省との境界に近い江西省カン(章の右に各の口が貢)州市は、同じ中国の内モンゴル自治区と並ぶ世界の2大レアアース採掘基地の一つだ。パイプで吸い上げた薬品を山頂部で土中に注入して浸透させ、ふもとの池にレアアースを流し込んでいる。
 「この池の中に、約2トンのレアアースが入っている」。鉱山を管理する男性が、直径約7メートルの池に沈んだ白い乳液状のものをすくい上げた。これを別の施設で乾燥させ、粉状にして出荷するという。
 だがここでは今、操業は中止している。周辺の鉱山も停止中だ。「昨年夏までは1トン7万元(約90万円)したが、いまは4万~5万元に値崩れした。今春以降、政府から生産しないよう指示された」と男性は話す。
 実は、レアアースを最も必要としているのが日本だ。トヨタ自動車の「プリウス」やホンダの「インサイト」などのHVには、モーターの性能を左右する磁石の磁力を高める原料として、ネオジムやジスプロシウムを使う。電気自動車にも不可欠とされる。
 ハードディスク駆動装置(HDD)や医療機器MRIのモーターなどにも使われており「日本が得意とする産業で技術革新が起こり、必要性が増した」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の土居正典・北京事務所長)。
 中国は、小平氏が1992年に「中東には石油があるが、中国にはレアアースがある」と語るなど、早くからレアアースを重視してきた。
 米国などでは採掘コストの安い中国に敗れ、相次ぎ閉山。その結果、今では中国が世界の生産量の約96%(2008年)を占め、日本が輸入する約4万トン(約700億円、07年)も大半を中国に頼る。また合金メーカーも中国に進出して国営企業から調達し、合金加工して日本に輸出している。
 そのレアアースの輸出許可枠を中国は06年に減らし始めた。05年の年5万トンが09年には年3万1310トンに。同機構は「中国が、鉱産物の輸出振興から内需優先に政策転換した結果」とみる。
 さらに中国メディアの一部が8月、政府が策定中の「09~15年レアアース工業発展計画」に輸出禁止が含まれると報道。当局は火消しに走ったが、中国科学院の研究員が「年10億ドル前後を拠出して基金をつくり、戦略的備蓄をするべきだ」と主張するなど資源保護の論調も目立つ。
 レアアースは現在、景気悪化の影響で品不足ではないが「世界的にHVが急増する12年ごろから需要が爆発的に増える」(合金メーカー幹部)。中国は豪州で鉱山の権益確保も進めており、中国以外の調達先を探す日本との争奪戦は激しくなっている。(中国江西省・奥寺淳)
〈レアアース〉
 希少金属(レアメタル)の一種で、希土類とも言われる。合金に混ぜると素材の性能が高まることが多く「工業の調味料」と呼ばれてきた。磁力を強めるネオジム、高温でも磁力が落ちないジスプロシウムなど、17種類ある。このほか、デジタルカメラのレンズの屈折率を向上させたり、プラズマテレビの蛍光体の色を鮮やかにしたりするのにも使われる。

◎中国製シームレス鋼管に相殺関税、米国際貿易委(2009年12月31日、読売新聞)
 【ワシントン=岡田章裕】米国際貿易委員会(ITC)は30日、油田から石油や天然ガスなどを運ぶための中国製シームレス鋼管について、中国政府による不当な補助金で米国内の販売を増やし、米企業が被害を受けていると判断し、反補助金の相殺関税を課すことを認める決定を下した。
 今回の決定で、米商務省は10~16%の相殺関税を課すことが出来る。2008年の中国製シームレス鋼管の輸入額は約28億ドルで、米国内の消費量の3割強を占めている。対中国の相殺関税として過去最大規模となる。

◎中国軍、幹部若返り人事、江主席時代の色彩消す?(2009年12月31日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国人民解放軍で急速に若返り人事が進められている。30日の中国共産党機関紙「人民日報」(電子版)によると、軍で思想・政治工作などを担当する総政治部の副主任4人のうち2人が交代した。胡錦濤国家主席(中央軍事委員会主席)による軍掌握の一環で、2012年の第18回共産党大会で行われる中央指導部の大型人事に向けた布石と言える。
 総政治部での人事は、上将の劉永治、孫忠同の両氏(いずれも65歳)に代わり、新たに中将の童世平・前国防大学政治委員(61)と、新疆軍区政治部副主任などを務めた杜金才・総政治部主任助理(57)が就任した。
 また、成都軍区の張海陽・政治委員(60)が戦略ミサイル部隊「第2砲兵」の政治委員に昇格する方向だ。同氏は、元中央軍事委副主席、張震氏の子弟。
 今年に入ってから目立ち始めた若返り人事は海軍出身者が中心だ。今回、昇格した童氏も海軍の所属で、江沢民前国家主席が軍の権力を握っていた時代に上将に抜てきされた陸軍出身の張黎副総参謀長が1月に引退、後任に海軍出身で原潜の艦長も努めた孫建国総参謀長補佐(57)が昇格したことなどで示されている。海洋権益の確保を重視する胡指導部の意向を反映したものだ。
 軍内での人事刷新は、軍歴のない胡主席が第18回党大会以降も軍トップの軍事委主席にとどまるためには必要で、「江主席時代の色彩を消す必要に迫られている」(観測筋)と指摘されている。

◎中国当局、ギョーザ事件の捜査縮小、真相究明、暗礁も(2009年12月30日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】千葉、兵庫の両県で計10人の被害を出した中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国公安当局が専従捜査班の人員を百数十人規模から十数人に縮小していたことが30日、中国公安関係者の話で分かった。中国当局が進める重大事件の捜査態勢が判明するのは極めて異例。
 中国製食品の安全性に対する深刻な不信を引き起こした事件は、発覚から2年となる来年1月30日を前に、真相究明が暗礁に乗り上げる可能性が高まっている。

◎ウイグル族が漢族殺害、民族衝突の恐れ、中国(2009年12月29日、読売新聞)
 【香港=槙野健】香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターは28日、中国山西省太原市で25日、ウイグル族3人が強盗目的で漢族住民を襲い、男女2人が死亡する事件が発生、治安当局が両民族の衝突を警戒していると伝えた。
 当局はウイグル族1人を逮捕した。事件後、インターネット上では「ウイグル族を殺せ」との書き込みが多数見られ、現地では、漢族の不満が極度に高まっているという。

◎粉ミルク汚染で引責辞任、中国高官「復活」(2009年12月29日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国紙「北京青年報」などは28日、多数の乳幼児に被害を出した粉ミルク汚染事件で昨年9月に引責辞任した中国国家品質監督検査検疫総局トップ(閣僚級)の李長江氏(65)が、ポルノなど違法出版物を取り締まる政府の工作グループのナンバー2に就任していると伝えた。
 今回の人事は、「引責辞任した幹部は1年以内に指導職務を担当してはならない」との共産党の規定に違反はしていないというが、重大事件だっただけに、「復活」をめぐっては論議を呼びそうだ。李氏は、2001年、食品の安全などを監督する同総局長に就任。在任中は、中国製冷凍ギョーザ中毒事件など「食の安全」に関する不祥事が相次いだ。

◎大学進学の夢もてない農民工の子供たち、中国(2009年12月28日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】農民工(出稼ぎ労働者)の子弟にとって大学進学は遠い夢-。中国でこのほど農民工の子弟を対象に行ったアンケートで、大学を目指して高校進学を選択した者が2割未満だったことが明らかになり、「貧富の差が固定化されてしまう」などと懸念する声があがっている。
 アンケートを実施したのは中国中南部の武漢大学で、対象となったのは武漢市内の中学校に通う農民工の子弟300人余り。
 この調査によれば、中学卒業後の進路として「技術を身につけたい」を理由に専門学校を選んだのが72%と一番多く、「大学に入りたい」として一般高校を選んだのは18%。「早く収入がほしい」として働くと答えた者が10%だった。
 中国の都市部の高校進学率は一般的に7割以上、大学進学率は4割前後といわれている。これと比べると農民工の子弟の進学率が極端に低いことは明らかだ。
 インターネットの掲示板ではこの現象を「中国現代教育の失敗」と批判する意見がほとんどだ。「毛沢東時代は少なくとも教育は公平だった。胡錦濤国家主席をはじめ今の中国の指導者のほとんどは貧しい家庭の出身だが、大学受験を通じて自分の運命を変えた。これからの子供はそれができなくなったことが悲しい」「奨学金制度を充実させ、教育現場の公平性を取り戻さなければ、中国の将来は暗い」などの意見が寄せられている。

◎人民元切り上げ要求「絶対応じられない」、中国・温首相(2009年12月28日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は27日、国営新華社通信のインタビューで、欧米などが求める人民元相場の切り上げについて「さまざまな圧力が(人民元の)上昇を迫るが、我々は絶対に応じられない」と述べ、人民元上昇を容認しない考えを改めて示した。
 温首相は「私は今日も依然として、世界の主要通貨が続けざまに下落する状況下で、人民元の基本的な安定は国際社会への貢献になると考えている」と強調した。人民元の対ドル相場は、昨年夏ごろから1ドル=6.83元前後でほぼ動いていない。
 中国の将来的なインフレ懸念については、「我々はすでにインフレ予想の問題に注目し始めている」と指摘。「経済成長と構造調整、物価上昇を、みな合理的な範囲に保たねばならない」と述べた。

◎東ソー、中国での塩ビ生産3倍に、工場新設、国内を逆転(2009年12月27日、日本経済新聞)
 東ソーは中国・広州市に建材や水道管に使う代表的な汎用樹脂である塩化ビニール樹脂の新工場を建設する。100億円を投じて中国での年産能力を現在の3倍にあたる60万トン超に引き上げる。東ソーは塩ビ樹脂で国内シェア首位だが、増産で中国の生産量が初めて国内を逆転する。需要が低迷する国内から、世界最大の化学品市場に成長する中国に生産を移す動きが活発になってきた。
 中国の塩ビ製造子会社「東曹(広州)化工」(広州市)の隣接地を取得し2010年中に新工場の建設に着手する。現在の年産能力は22万トンだが、新工場は約40万トンとする計画で12年の稼働を目指す。塩ビ樹脂生産では中国最大規模となり、建材や水道管、玩具などの現地需要を取り込む。

◎中国、共産党非難は許さず、民主活動家に重刑(2009年12月26日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】中国の著名な民主活動家・劉暁波氏(53)に対して25日、国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決が下され、共産党独裁に「挑戦」する活動は決して許さず、芽のうちに摘み取るという胡錦濤政権の強硬姿勢が改めて明確になった。
 中国当局は、経済成長による国際的地位向上で人権批判は弱まりつつあると自信を深めており、国内体制の締め付けを一段と強めるとみられる。
 北京市第1中級人民法院(地裁)の判決では、08憲章に加え、劉氏がインターネットで発表した論文6編で、「共産党が唱える愛国主義の本質は独裁政権を愛せということだ」などと批判したことを罪状にあげ、「デマや中傷を広めて国家政権や社会主義制度を覆そうとしている」と断罪した。
 弁護士によると、劉氏は「言論の自由は基本的権利である」と訴え、一貫して無罪を主張。しかし、同法院は「国家政権転覆扇動罪」の最高刑の懲役15年に対し、同11年という重い判決を下した。劉氏は控訴する意向だ。
 08憲章は人権派弁護士ら303人が署名し、昨年12月にネットで公表された。中国の現状は「共産党の天下」と非難し、三権分立の確立や直接選挙の実施、言論や信仰の自由の保障など、19項目の要求を掲げた。
 当局は憲章の発表前に劉氏を拘束、今年12月10日に起訴した。憲章が公表されたウェブサイトも閉鎖した。
 だが、憲章は非公式のブログなどを通じて広がり、12月現在で賛同者の署名は1万件を超えたという。遼寧省の民主活動家の男性(38)は25日、同法院前で「憲章が違法なら、署名した私自身も劉暁波氏と同罪だ。警察は捕まえてほしい」と訴え、連行された。
 劉氏の妻(48)は25日、北京で本紙の取材に応じ、「夫は『中国で言論活動が原因で犯罪者とされるのは、私が最後であってほしい』と言っていた」と述べた。
 劉氏は中国の民主化運動を象徴する存在でもあり、海外でも知名度は高い。即時釈放を求める欧米諸国の大使館員ら約15人が25日、裁判の傍聴を求めたが認められなかった。米大使館員は法院前で中国の対応を非難する声明を発表した。
 ただ、中国の人権問題に厳しく対処してきた米国は、オバマ大統領が11月の訪中で直接批判を控えるなど、トーンダウンが目立つ。中国当局による民主活動家に対する監視や妨害は強まっている。

◎時速350キロ、中国で高速鉄道開通、武漢-広州、3時間で直結(2009年12月26日、日本経済新聞)
 【広州=吉田渉】中国鉄道省は26日、湖北省武漢市と広東省広州市を結ぶ高速鉄道(全長1069キロ)を開通した。鉄道省は高速鉄道の営業速度を時速350キロとしており、世界最速の営業速度となる。従来約11時間かかっていた同区間は約3時間強に短縮される。
 武漢と広州を結ぶ路線は、中国が計画している北京市と広州市を約8時間で結ぶ京広高速鉄道(2012年完成予定)の一部。投資総額は1166億元(約1兆5600億円)。毎日21往復運行する。料金は1等車が780元、2等車が490元。同じ区間で競合する中国南方航空は最低220元の格安便を導入、鉄道と航空便の競争も激化しそうだ。
 高速鉄道の開通により、外資系製造業が多く進出する武漢と広州の移動が容易になる。中国は景気対策で鉄道整備を進めており、各地で高速鉄道の建設を急いでいる。

◎中国新鉄道、1000kmを3時間、東京-新下関に相当(2009年12月26日、朝日新聞)
 【広州=小林哲】営業運転速度としては世界最高の時速350キロで走る中国の高速列車「和諧(わかい)号」が26日、武漢(湖北省)と広州(広東省)を結ぶ新路線(1069キロ)で運行を始めた。所要時間はこれまでの3分の1以下の約3時間だ。
 広州北駅で同日朝、開幕式後に始発列車が出発。12分後に時速350キロに達した。日本の新幹線の東京-新下関間に相当する距離。全路線の6割超を橋やトンネルが占める。着工から約4年半で開業にこぎ着けた。
 列車は16両編成で定員約1100人。独シーメンス社の技術供与を受けたものだ。ほかに、東北新幹線「はやて」をベースに開発した列車(最高速度250キロ)も同路線に投入される。
 運賃は片道で1等780元(約1万円)、2等490元(約6600円)。1日23往復、約30分に1本の運行を予定する。
 日本の鉄道関係者によると営業運転のこれまでの最高速度は仏TGVの時速320キロ。日本の最速は山陽新幹線の同300キロ。中国では、北京南-天津間(約120キロ)を結ぶ路線で時速350キロを出せる車両を投入しているが、長距離での本格運転は今回が初めてとなる。
 中国政府は、2020年までに5兆元(約67兆円)を投入し、計12万キロの路線整備を目指している。ただ、目標達成を急いでいる様子もうかがえる。建設責任者の一人は現地紙の取材に「ドイツ企業から安全確認に2年かかると言われた工程を半年で実現させた」などと述べている。

◎産業スパイ、日本人元社長に異例の実刑判決(2009年12月25日、産経新聞)
 東証2部上場の自動車部品メーカー「ミクニ」の中国四川省成都にある現地法人の日本人元社長が、同社グループの技術など機密を持ち出してライバル会社を現地に設立したとして、成都市中級人民法院(地裁)は24日、元社長に商業秘密侵害罪で懲役2年5月、罰金50万元(約650万円)の実刑判決を言い渡した。
 判決を受けたのは成都三国紅光機械電子の堀茂元社長(58)。知的財産権や産業スパイに絡む係争は中国でも珍しくないが、日本人が実刑判決を受けるのは異例。中国では地裁判決後に1回のみ控訴が可能。2005年に退社した元社長が中国人の元同僚らと図面などを持ち出したとしてミクニ側が同年、元社長らを告訴していた。

◎中国、08年成長率を9.6%に上方修正、GDP総額、日本に迫る(2009年12月25日、日本経済新聞)
 【北京=高橋哲史】中国国家統計局は25日、2008年の国内総生産(GDP)成長率を速報値の実質9.0%から9.6%に上方修正したと発表した。名目GDP総額も速報値より多い31兆4045億元(約420兆円)に膨らみ、世界2位の日本(約505兆円)に一段と迫ってきた。
 GDPの上方修正は4年ぶりに実施した経済に関する国勢調査の結果、第3次産業の数値が当初より増えたためとしている。中国のドル換算のGDPは07年にドイツを抜いて米国、日本に次ぐ世界3位に浮上。09年も8%を超す成長が確実視されており、為替相場の動向次第では10年にも日本を抜くとみられる。
 GDP総額が膨らんだため、GDPを一定額生み出すために排出する二酸化炭素(CO2)の量は前年比5.2%減となり、速報値段階より減少幅が拡大した。中国は11月、単位GDPあたりのCO2排出量を2020年までに05年比で40~45%削減する目標を発表したが、08年までで既に05年比の減少率は12.45%に達したとしている。

◎中国反体制作家に懲役11年(2009年12月25日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】中国共産党による独裁廃止などを求めた「08憲章」を起草したとして国家政権転覆扇動罪に問われた反体制作家、劉暁波氏(53)の判決公判が25日、北京市第1中級人民法院(地裁)であり、同法院は懲役11年、政治権利剥奪(はくだつ)2年の実刑判決を言い渡した。国営新華社などが報じた。
 劉氏の公判を巡っては、米国務省などが「開かれた政府を求めた劉氏の行為は罪に当たらない」などと強く非難しており、今回の判決を受け、欧米各国や国際人権団体などは中国に対する批判を一層強めるとみられる。
 08憲章のほか劉氏が発表した6件の論文で、一党独裁批判や多党制導入などを主張したことが同罪に問われたが、劉氏側は公判で「言論の自由が保障されている」と無罪を主張。劉氏は昨年12月、憲章の発表直前に公安当局に身柄を拘束された。

◎見せしめか、著名反体制作家に懲役11年、中国(2009年12月25日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】北京市第1中級人民法院(地裁)は25日、中国共産党の一党独裁体制の変更を求めた「08憲章」を起草したとして国家政権転覆扇動罪に問われた著名な反体制派作家、劉暁波氏(53)に対する判決公判を開き、懲役11年の実刑判決を言い渡した。中国当局には、劉氏を重罪に処すことで、民主活動家や知識人に対する見せしめとする狙いがあるとみられている。
 検察側は劉氏が「08憲章」のほか、海外で発表した六つの論文で、一党独裁を批判し、多党制導入を主張したことなどについて、「デマや誹謗(ひぼう)などを通じて政権転覆を扇動した」と指摘。これに対して劉氏側は「言論の自由」を根拠に無罪を主張していた。
 法院を訪れた米大使館員(人権担当)は「判決に強い懸念を表明する。中国政府に対し即時釈放を改めて要求する」と述べた。「08憲章」にも署名した劉氏の支援者は「中国に言論の自由がないことを証明した」と話した。
 劉氏は1989年の天安門事件の際、米国留学から帰国して民主化運動に参加、事件後に逮捕され、1年8カ月間投獄された。釈放後も96年から99年まで3年間、労働改造所に送られたが、文筆活動で中国の民主化を主張し続けてきた。
 しかし「08憲章」がインターネット上で発表された昨年12月に拘束され、今年6月、正式に逮捕された。「08憲章」への署名は当局によるネット規制にもかかわらず、1万人前後になったとされる。
裁判所周辺は、公安当局が厳戒態勢を敷き、裁判所前に「記者エリア」を設置、外国人記者の取材活動を規制する措置を講じた。

◎中国の地裁、産業スパイ事件で邦人に実刑(2009年12月25日、読売新聞)
 【成都(中国四川省)=加藤隆則】東証2部上場の自動車部品メーカー「ミクニ」(本社・東京)が成都に設立した現地法人の日本人元社長が、中国国内で同業種の競合会社設立に関与したとして、成都市中級人民法院(地裁)は24日、元社長に対し商業秘密侵害罪で懲役2年5月、罰金50万元(約650万円)の実刑判決を言い渡した。
 審理が2年半も中断するなど不透明な手続きも浮き彫りになっており、元社長は控訴する方針だ。
 判決を受けたのは堀茂・元成都三国紅光機械電子社長(58)。判決などによると、堀元社長は中国人の元同僚ら4人(共犯として執行猶予判決)と、ミクニ同様のオートバイ用排ガス浄化部品を生産する会社を設立。ミクニ側が2005年7月ごろ、部品図面などを持ち出したと告訴した。
 堀元社長ら5人は06年7月に刑事拘留されたが、中国人4人は証拠不十分で保釈。07年3月、5人全員が起訴された際は、同法院が2度にわたり補充捜査を命じている。また5人は、「生産技術は公開情報」と無罪を主張し、審理は07年5月に計4回開かれた後、2年半も中断。刑事訴訟法は、複雑な事件でも審理期間を最長2か月半と定めており、被告人らは「目新しい証拠はなく、長引いた原因は不明だ」と主張している。
 中国の製造業は人材の流動性が高く、知的財産の保護も不十分で、技術流出に絡む紛争は多いが、刑事事件に発展するケースはまれ。中国の法リスクに詳しい梶田幸雄・麗沢大外国語学部教授は「商業秘密侵害罪は要件が厳格な上、高い専門性に見合った裁判官、鑑定人も不足している」と立件の難しさを指摘する。
 その上、司法手続き自体の不透明さがある。今回のように外国人が絡む事件は通常、地元共産党委に属する政法委が各方面の利害を調整し実質的な決定を下す。判決の懲役2年5月は堀元社長の未決拘置期間に等しく、収監を避ける配慮である可能性が高い。一方、捜査当局のメンツをつぶす結論は出しにくい事情がある。堀元社長は「私への個人的な恨みに基づく恣意的な告訴、捜査が行われた」と話している。

◎中国財政赤字が最大更新も、来年、13兆円規模と報道(2009年12月21日、産経新聞)
 中国紙、第一財経日報は21日、来年の中国の財政赤字が1兆元(約13兆円)前後に上り、今年を上回って過去最大を更新する可能性があると報じた。財政省財政科学研究所の賈康所長が19日に北京で開かれたフォーラムで語った。
 今年は予算段階で、国と地方合わせて9500億元の赤字だった。中国は来年を期限とする4兆元規模の景気刺激策を実施中で、来年も公共事業に多額の支出が必要。
 ただ、賈所長によると、財政赤字は中国政府が財政規律を守るための目安としている国内総生産(GDP)比3%以内には収まる見込みという。

◎特例会見、中国では「次の最高指導者」周知の意図(2009年12月15日、読売新聞)
 中国の習近平国家副主席は15日、特例的に天皇陛下と会見し、胡錦濤国家主席(共産党総書記)の最有力後継候補として経歴に箔をつけた。
 「皇室の政治利用」を巡る日本の騒動をよそに、中国は会見の「成功」をアピール、鳩山政権下で対日関係の強化を図る構えだ。
 習氏は15日の会見で、緊張した表情で天皇陛下と握手。長身の習氏は、少し頭を下げて手を差し伸べ、あいさつを交わした。宮内庁によると、習氏は、会見が実現した経緯について直接の言及はしなかったが、「わざわざ機会を作っていただいたことに深く感謝します」と述べた。中国の環境問題なども話題となった。
 中国が会見に強くこだわったのは、次世代リーダーの習氏を「最高指導者級」として処遇するよう求めたからだ。そこには、日本に習氏を印象付ける思惑以上に、中国国内で「次の最高指導者」としての地位を周知させる、内政上の宣伝意図があった。
 中国は、日本の皇室の「政治的価値」を熟知している。銭其チン元外相は回顧録で、1989年の天安門事件後に中国が国際社会で孤立する中、92年の天皇陛下訪中が「対中制裁打破に積極的な効果をもたらした」と振り返り、西側諸国の包囲網を破る突破口となったと総括する。
 習氏の妻で人民解放軍の人気歌手、彭麗媛さんが11月に東京・学習院大で公演した際にも、皇太子殿下が私的に会場を訪れて鑑賞し、言葉を交わされたという。中国にとって、天皇陛下との外交は「政治」そのものであり、中国は今回、様々な手を打って準備した。
 中国外務省の姜瑜・副報道局長は15日の定例記者会見で、「現在のところ、習副主席の訪問は非常に順調に進んでおり、日本も周到な手配をしてくれた」と評価した。
 ただ、皇室相手の外交は、一歩間違うと、日本の国民感情を決定的に悪化させるリスクを伴う。98年に訪日した江沢民国家主席(当時)は、天皇陛下主催の宮中晩さん会で日本の軍国主義を非難して激しい反発を招き、その後の日中関係が冷え込む大きな原因となった。今回も慣例を破る特例会見となったことで、習氏に対して悪印象が残る懸念もある。
 鳩山政権は「日中関係の重要性」を理由に、特例的な会見を認めた。中国共産党と鳩山政権との親密度は、今後さらに深まる可能性が高い。ただ、両国の国民同士の冷めた感情を好転させるという、現在の日中関係における大課題の解決という面では、むしろ逆効果となった恐れもある。(東京で、中国総局、関泰晴、国際部、比嘉清太)

◎中国のエイズ禍、“亡命”の医師が米議会で告発(2009年12月6日、産経新聞)
 【ワシントン=山本秀也】中国で売血による深刻なエイズ禍を世界に告発してきた著名な女医、高耀潔さん(82)=写真=が、中国当局の監視を逃れ米国に事実上亡命した。1日の世界エイズデーをはさみ、ワシントンで渡米後初めて公式の場に姿を現した高さんは、米議会などで「中国のエイズ禍の根源は、政府が真相を隠す血液ビジネスの利権に他ならない」と訴えた。
 高さんは、1990年代から地元の河南省で、売血を介したエイズウイルス(HIV)感染が急速に広がっている実態を独自に調べ、内外に告発を続けてきた。活動は国際的に高く評価された半面、国内では実態隠しを図る中国当局により、行動監視や外部との接触制限などを受けてきた。
 高さんによると、河南省内の自宅の電話が今年5月に切断されたことで危険を察知し、四川、広東各省に逃亡。さらに、四川大地震の被害実態を告発した活動家の訴追を知って最終的に出国を決意し、8月に米国へ渡った。米国では、中国民主化組織「チャイナ・エイド」(ボブ・フー会長)の助けを受け、テキサス州内で情勢を静観していた。
 米国への渡航は、人権賞受賞のためワシントンを訪れた2007年以来だ。高さんは、前回の訪米期間中、中国の監視要員に毎晩、当日の活動状況をひそかに報告させられていたことを告白。今年2月に訪中したクリントン米国務長官の招きで北京に上京したときには、警察に面会を阻止されたことも明らかにした。
 米議会で3日発言した高さんは、エイズ禍に関する司法への告訴が事実上受理されない中国の現状を指摘し、金品供与や昇進などの「アメ」と、脅しや投獄の「ムチ」で、告発者がコントロールされている実態を報告した。
 さらに、エイズ禍を広げた血液ビジネスには、衛生当局の官僚らによる構造的な汚職が深くかかわっていることも詳述。「エイズ問題は中国の経済発展にもやがて影響する。ごまかしは通じない」と訴えた。

◎中国、見せしめ外交、「人権」のカナダ首相を冷遇(2009年12月6日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】2日から訪中したカナダのハーパー首相は6日、香港で曾陰権行政長官と会談したあと、帰国の途についた。近年、人権重視の姿勢を全面的に打ち出しているカナダは中国と険悪な関係が続いており、ハーパー首相は温家宝首相から直接批判されたほか、地方指導者との会談が直前にキャンセルされるなど、“異例の冷遇”を受けた。中国のカナダに対する厳しい姿勢は、中国に友好的でない国々への“見せしめ”とも指摘される。
 2006年2月に就任したハーパー首相は一貫して中国の人権や少数民族政策に批判的な立場を取っており、中国当局による気功団体、法輪功への弾圧などを抗議するために2007年に中国との人権対話を一方的に中断。また、同年にはチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマの公式訪問を受け入れ会談した。
 訪中を控えていたオバマ米大統領が10月にワシントンを訪問したダライ・ラマとの初会談を先送りしたのとは対照的だ。
 さらに2008年夏の北京五輪の開幕式に中国から招待されたが、「人権問題が解決されていない」との理由で出席を拒否した。
 こうした中、ハーパー首相が訪中したのは、来年の冬期五輪開催を控え、中国からの観光客や投資を期待する国内の経済界から圧力を受けたことが要因といわれる。
 3日に行われた温家宝首相との会談では、2国間貿易やカナダへの観光の推進など経済分野では成果を得たが、温首相から「中国とカナダの首相会談はこれが5年ぶり。遅れた訪問ですね」と嫌みをいわれたほか、「カナダが近年、中国に取ってきたよそよそしい態度は、両国関係に影響を及ぼしている」と直接批判された。
 さらに、香港紙、明報によると、ハーパー首相は5日、来年開かれる万国博覧会会場視察のために上海を訪れたが、同日午後に予定されていた韓正市長との会談が中国側によって急きょキャンセルされた。中国の地方指導者が外国の首脳との会談をキャンセルすることは異例で、中国側による不快感表明とみられる。
 北京在住のある中国外交研究者筋は「金融危機以後、中国はますます自信を深めている。今回のハーパー首相に対する厳しい態度は、これまでのカナダの対中政策への報復よりも、最近同じく中国に友好的ではないオーストラリアや旧東欧諸国への“警告”の意味があるだろう」と指摘している。

◎帰国できない、成田空港に滞在1カ月(2009年12月5日、スポーツニッポン)
 中国当局に入国を拒否され、出発地の日本に送還された上海の人権活動家馮正虎(ひょう・せいこ)さん(55)が帰国を求め、約1カ月にわたり成田空港の入国審査前の制限区域に滞在を続けている。「母国への帰国は基本的人権」との訴えに、支援の輪も広がりつつある。
 民間の経済研究所の所長を務めていた馮さんは、1989年の天安門事件の際、民主化運動の弾圧に反対する声明を発表し、職を追われた。その後は日中で民主化や人権擁護活動に取り組み、今年3月、中国で41日間の拘束後に釈放され、4月初めに来日した。
 6月から計7回帰国を試みているが、いずれも中国当局は拒否。あらためて11月3日に成田を出発、上海空港から入国を試みたが拒否され、4日に送り返された。
 今回は日本への入国手続きを拒んだ。「母国に帰国するという基本的な人権を守り、中国当局に屈しないため」と理由を話す。
 馮さんは主に空港の入国審査場脇で過ごし、インターネットなどで抗議行動を知った世界中の人々から寄せられるメールや電話に対応する日々。
 滞在エリアは、日本国内から物品を持ち込むことを禁じる区域。馮さんは、来日する支援者たちが入国審査の際に差し入れてくれるビスケットやチョコレートなどで飢えをしのぐ。水は洗面所で確保し、夜は長いすに横になる。1カ月にわたる滞在にも「少し疲れはあるが、健康状態は大丈夫」と馮さん。
 東京入管成田空港支局は「制限区域内の長期滞在者は初めてのこと。強制的な手段は取れず、最後は自発的に入国手続きをしてもらうしかない」と困惑している。

◎腐敗抗議の数百人拘束、北京、人権状況の実態露呈(2009年12月4日、産経新聞)
 北京市中心部にある中国中央テレビ本社前で4日、地元政府官僚の腐敗や不当な土地強制収用に抗議するため、全国各地から来た数百人の陳情者が、待ち構えていた100人以上の公安当局者に拘束され、「闇監獄」とも呼ばれる拘束用施設に連行された。
 4日は、中国政府が法治の徹底を図るために制定した「法治宣伝日」。早朝から陳情者は、中央テレビに対し、報道を通じて中央や地方の政府などに、法律に基づく統治の徹底を促すよう求めて続々と集合。
 しかし陳情者が同テレビ本社前に来るたびに、多数の制服警官が取り囲んで、公安当局借り上げの市バスに乗せ、従わない陳情者は腕をつかみ強制的にバスに連れ込んで拘束。満席になると、市南部にある拘束用施設に次々と送り込んだ。

◎メラミン混入事件、元酪農業者ら2人死刑執行、中国(2009年11月24日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】新華社電によると、中国で有害物質メラミン混入の粉ミルクを飲んで乳幼児が腎結石などにかかった事件で、河北省石家荘市の中級人民法院(地裁)は24日、公共安全危害罪などで死刑判決を受けていた元酪農業者ら2人の死刑を執行したと発表した。
 昨年発覚した事件では乳幼児6人が死亡、健康被害が出た乳幼児は約30万人にのぼった。乳幼児の両親が各地で損害賠償訴訟を起こす動きもあり、死刑執行は、両親らの不満を和らげる狙いがあると見られる。

◎上海ディズニー、経済効果か文化侵略か(2009年11月24日、読売新聞)
 【上海=加藤隆則】中国政府が今月初めに建設を承認した上海ディズニーランド。
 中国では、来年5月開幕の上海万博に続く大型プロジェクトとして、内需拡大効果に期待が集まるが、米国文化を象徴するミッキーマウスによる「文化侵略」との批判も上がっている。
 上海市政府が今月4日に中国政府の建設承認を発表した翌日の上海各紙は、「ディズニー歓迎」報道一色だった。「経済波及効果は1兆元(約13兆円)以上」「5万人の雇用機会創出」など専門家試算が大きく伝えられた。ディズニー効果で、上海への旅行客が、年間300万~500万人増加すると見込まれるためだ。
 米ディズニー側は長年、中国本土市場進出を目指してきたとされるだけに、オバマ米大統領の訪中直前の承認発表は「(米側への)プレゼント」(中国メディア)と評されている。

・開発に便乗
 建設予定地は、東アジアのハブ空港を目指す浦東国際空港、リニアや上海万博会場に近い「一等地」だ。予定地の浦東新区趙行村では「立ち退きで、生活が改善される」と歓迎ムードが広がっている。
 最後となる稲の刈り入れが一段落した同村で、来年にも始まる工事区域に組み込まれた喬史芳さん(58)は「(立ち退きで)一生かかっても手にできなかった都市戸籍がもらえる。これで安心して医者にもかかれる」と大喜びだ。農地を失った農民には、社会保障が不十分な農村戸籍に代わって、都市戸籍が与えられるからだ。
 また、農地収用に伴う立ち退き補償金の上積みを狙って、相次いで形ばかりのビニールハウスなどを設置する便乗行為が横行、地元当局は、「違法建築」として、解体を命じる騒ぎまで起きている。

・過半数が「嫌い」
 一方で、中国本土初のディズニーランド建設に対して、「中国の民族文化衰退につながる」との批判もわき上がっている。「人民日報」発行の国際問題専門紙「環球時報」が実施したネット世論調査(3000人対象)では、「ディズニーに代表される米文化」に、過半数が「嫌い」と答えた。「米の文化侵略」と民族感情をあおる過激な言論もネット上で飛び交い、中華文化への自信増大のためか、「なぜ孫悟空のテーマパークではいけないのか?」との書き込みも。
 さらに、入園料が300元(約3900円)以上と予想され、所得格差拡大が社会問題化していることから、「裕福な家の子供だけが楽しみ、貧しい子供が傷つく『楽園』になる」と懸念する声も出ている。

・上海ディズニーランド
 アジアでは東京、香港に次いで3か所目となる。2014年に開業見通し。初期の年間入園者数(推定)は約1000万人。敷地面積は400ヘクタール。総投資額は250億元(約3250億円)、中国側が57%、ディズニー側が43%を出資。日本の東京ディズニーリゾートは約200ヘクタール(ホテルなど含む)、ディズニーランドとディズニーシーの入園者数は計2722万人(2008年度)。

◎天然ガス不足の中国、給油待ちタクシーが長蛇の列(2009年11月23日、産経新聞)
 中国・重慶市の高架道路で17日、給油待ちのタクシーが長蛇の列を作る光景が見られた。国営放送によると、吹雪に見舞われた中国北部に供給が回されたため、同国の中部および東部では過去最悪の天然ガス不足に直面している。
 一方、生産者側は、低い利益率のため増産に消極的となっている。

◎中国の新型インフル死者数、少なすぎる?専門家が指摘(2009年11月21日、朝日新聞)
 【北京=小林哲】中国の新型インフルエンザの死者数について、広東省の広州呼吸疾病研究所の鍾南山所長は「公表されている数字は信じられない」などと述べ、一部地域で死者数の隠蔽(いんぺい)が行われていると批判した。現地紙「広州日報」が19日に報じた。
 鍾所長によると、一部の地域では、地方政府が新型インフルの制圧に成功していると見せかけるために患者数を過少報告している。感染が疑われる重症患者に義務づけられているウイルス検査が徹底されず、感染が特定されないケースがあるという。
 中国衛生省の発表によると同国の感染者は16日現在で約6万9千人、死者は53人。流行の程度が異なるため単純には比較できないが、人口が約10分の1の日本(17日現在で死者65人)と同程度の死者しか出ていないことになる。世界保健機関(WHO)の報告書によると、日本の人口100万人あたりの死者数は0.2人(6日現在)で、世界で最も低いレベルにとどまっている。中国についての詳しい分析はまだない。
 衛生省は19日、国内12省に作業チームを派遣し、重症例への対応などを指導したと発表した。新華社電によると 海華報道官は「うその報告や報告漏れ、報告を遅らせることを厳禁する」と強調した。
 鍾所長は中国の感染症対策の第一人者。03年の新型肺炎(SARS)流行の際も、感染拡大を隠そうとする政府に異議を唱えた。

◎中国の新型インフル「死者数隠ぺい」、国内専門家が指摘(2009年11月19日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】19日付の中国紙、広州日報によると、中国で感染症研究の第一人者として知られる広州呼吸疾病研究所の鐘南山所長は18日、新型インフルエンザによる中国の死者数について「公表数は全く信じられない」と指摘した。実際の死者数が一部地域で隠ぺいされていることが理由とし、情報の公開を強く求めた。
 中国衛生省によると、16日までの中国本土の感染者数は約6万9000人で、死者数は53人。中国では2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が大流行した際、政府が情報を隠したことで被害が拡大した。
 鐘所長は「流行のピーク時には、全人口の1~2割にあたる1億3千万~2億6千万人が感染する恐れがある」とも指摘。感染者の3分の2が発症し、800万~1700万人に入院治療が必要になるとの見方を示した。同紙によると、感染拡大で国内総生産(GDP)が0.5%減少する可能性があるという。

◎えっ、2億人以上感染も!中国、インフル死者数を隠ぺいか(2009年11月19日、スポーツニッポン)
 19日付の中国紙、広州日報によると、広東省の広州市呼吸疾病研究所の鍾南山所長は18日、中国の新型インフルエンザの現状について「一部の地域では死者数を隠ぺいしており、公表されている数字は全く信じられない」と述べ、情報の透明性を高めるよう呼び掛けた。
 鍾所長は中国の感染症対策の第一人者。中国本土の感染者数などは公表数より多いと指摘されていたが、専門家が認めたのは初めて。衛生省の発表では16日までの感染者数は約6万9千人で死者は53人。
 また鍾氏は流行のピークには人口の1~2割を占める「1億3千万~2億6千万人が感染する可能性がある」との見通しを示し、積極的な対策をとらなければ、国内総生産(GDP)が約0・5%減少すると警告した。同紙はピーク時を特定していない。
 鍾所長は、2003年に中国で新型肺炎が流行した当初、感染者数を隠ぺいしていた政府側の見解に異論を唱えて一躍有名となった。

◎逆効果、おびえる風俗嬢の映像で警察“集中砲火”浴びる(2009年11月6日、スポーツニッポン)
 中国河南省鄭州市の警察が防犯キャンペーンの一環で風俗店を急襲、風俗嬢を力ずくで捕らえる模様を地元メディアを通じて公開したところ、「風俗嬢の人権を無視している」とインターネットなどで警察が非難の集中砲火を浴びている。警察は旧態依然の手法で“活躍”をアピールしたが、庶民の人権意識の高まりで逆効果を招いた格好だ。
 地元テレビや新聞によると、警察は10月28日深夜、市内の歓楽街で風俗店に踏み込んだ。私服警官が個室の扉をけり壊し室内に突入、中にいた風俗嬢の髪の毛をわしづかみにし、顔を上に向かせる写真や映像が公開された。風俗嬢のおびえた顔も映っていた。
 報道直後からネットで「警官は粗暴すぎ」「顔写真まで公開するのは人権侵害」といった書き込みが殺到。「恥ずかしいのは風俗嬢ではなく、警察の質だ」と当局批判に発展した。当局は「メディアが勝手に写真を公開した」と反論、責任逃れに躍起になっている。

◎風俗嬢摘発で警察の人権侵害に猛批判、中国(2009年11月6日、産経新聞)
 中国河南省鄭州市の警察が防犯キャンペーンの一環で風俗店を急襲、風俗嬢を力ずくで捕らえる模様を地元メディアを通じて公開したところ、「風俗嬢の人権を無視している」とインターネットなどで警察が非難の集中砲火を浴びている。警察は旧態依然の手法で“活躍”をアピールしたが、庶民の人権意識の高まりで逆効果を招いた格好だ。
 地元テレビや新聞によると、警察は10月28日深夜、市内の歓楽街で風俗店に踏み込んだ。私服警官が個室の扉をけり壊し室内に突入、中にいた風俗嬢の髪の毛をわしづかみにし、顔を上に向かせる写真や映像が公開された。風俗嬢のおびえた顔も映っていた。
 報道直後からネットで「警官は粗暴すぎ」「顔写真まで公開するのは人権侵害」といった書き込みが殺到。「恥ずかしいのは風俗嬢ではなく、警察の質だ」と当局批判に発展した。

◎中国新疆の騒乱、12人の死刑確定、被告側の控訴棄却(2009年11月1日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】新華社通信によると、中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチで7月に起きた騒乱で、地元の高級人民法院(高裁に相当)は10月30日、殺人や放火などの罪に問われたウイグル族ら10人を死刑(執行猶予を含む)とした一審判決を支持、被告側の控訴を棄却した。
 中国の刑事裁判は二審制で、控訴しなかった2被告を含めて計12人の死刑が確定した。判決によると、被告らはナイフや鉄パイプで市民を殺害したほか、店舗や住宅に放火した。

◎中国の自動車生産、09年は1千万台突破 年間世界一へ(2009年10月21日、朝日新聞)
 【深セン(中国広東省)=琴寄辰男】中国自動車工業協会は20日、09年年初からの累計生産台数が1千万台を超えたと発表した。中国国内の年間自動車生産が1千万台を上回るのは初めて。
 同協会などはこの日、吉林省長春で記念式典を開いた。中国の新車販売台数は今年、年間1200万台を超える勢いが続いており、米国を抜いて世界首位になる可能性が高まっている。生産台数でも日本を超えて世界一となる見通しだ。
 中国では、今年1~9月の累計で新車販売が966万台と好調で、生産も961万台に達した。08年に1150万台余りを生産して世界一だった日本は、国内市場の低迷などで、今年1~8月の累計では464万台にとどまっている。

◎取材をやめろ! 中国警察、気を失うまで記者を殴打(2009年10月20日、産経新聞)
 20日付の中国英字紙チャイナ・デーリーは、河南省洛陽市で18日夜、地元放送局の記者が交通事故の現場を写真撮影したところ、警官4、5人に拘束され、気を失うまで激しく殴打されたと伝えた。
 中国では記者に対する当局の妨害や暴力が日常的に起きているが、メディアが詳細を報じるのは珍しい。あざの残る記者の顔や手錠が掛けられた手首の写真も掲載した。
 現場は6月に警察車両が人身事故を起こしたのと同じ場所だったため、記者は再発防止を注意喚起するため取材しようとしたところ警官が制止。激しい暴行を受け、目が覚めると暗い部屋の中で手錠につながれていたという。

◎ウルムチ暴動での死刑、6人増え12人に、中国(2009年10月15日、産経新聞)
 新華社電によると、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で7月5日に起きた大規模暴動で、同市の裁判所は15日、殺人などの罪で6人に死刑判決を言い渡した。ウルムチ暴動での判決公判は12日に続いて2件目で、死刑判決を受けたのは12日のウイグル族の6人とあわせ計12人となった。
 新たに死刑判決を受けた6人もウイグル族とみられる。
 裁判所は15日、別の3人に対し、無期懲役を言い渡した。12日の判決では6人に死刑、1人に無期懲役を言い渡した。
 ウルムチ市の暴動では、197人が死亡、1700人以上が負傷した。

◎騒乱招いたウイグル族襲撃、主犯格の漢族に死刑(2009年10月11日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国国営新華社通信によると、今年7月5日に新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチ市で起きた騒乱のきっかけとなった、広東省の玩具工場での漢族とウイグル族との衝突事件に関して、地元の中級法院(地裁に相当)は10日、傷害罪に問われた主犯格の漢族2人にそれぞれ死刑と無期懲役の判決を言い渡した。
 中級法院はウイグル族を含めたほかの9人には懲役8~5年の実刑を言い渡した。
 この事件は6月26日、玩具工場の宿舎で漢族の従業員がウイグル族の従業員を襲撃し、数百人の乱闘に発展。ウイグル族2人が死亡、118人が負傷した。「漢族による集団暴行」とされる映像がインターネット上で広まり、ウイグル族の怒りに火がつき、ウルムチでの抗議デモに発展した。
 中国当局は、衝突事件の首謀者の漢族に対して厳罰姿勢を示すことで、ウイグル族側の不満を解消する狙いがあるとみられる。

◎汚職の不動産局長に実刑 中国、ネットでの告発が端緒(2009年10月10日、産経新聞)
 新華社電によると、中国江蘇省南京市の中級人民法院(地裁)は10日、工事発注などで便宜を図り、業者らからわいろを受け取っていたとして収賄罪に問われた同市江寧区の元不動産管理局長、周久耕被告に懲役11年の実刑判決を言い渡した。
 昨年12月、周被告が高級腕時計を着け、高級たばこを吸っているのに気付いたインターネット利用者が告発。ネット上で追及が始まり、同区は「公費でぜいたく品を購入した」と認定、周被告を免職処分にしていた。
 その後の調査で、周被告が職権を利用して、工事発注や人事などの面で便宜を図り、100万元(約1300万円)以上のわいろを受け取っていたことが判明したという。

◎GM:中国メーカーに「ハマー」売却(2009年10月10日、毎日新聞)
 【ワシントン斉藤信宏】米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は9日、大型SUV(スポーツタイプ多目的車)ブランド「ハマー」を、中国の重機メーカー、四川騰中重工機械に売却することで最終合意に達したと発表した。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、買収金額は約1億5000万ドル(約135億円)という。
 米中両国の独占禁止法に抵触しないことなどが買収の条件となるが、実現すれば中国企業が初めて米国自動車市場に本格参入することになる。中国企業によるGMブランド買収は、世界の自動車産業の主役交代を印象づける出来事として注目されそうだ。
 GMは四川騰中に車両製造工場を引き継ぐ12年まで「ハマー」の生産を続ける。四川騰中はハマーの販売店網も引き継ぐ見通しで、販売店や製造工場など3000人超の雇用は守られる公算が大きい。
 GMは6月に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を受けた際、経営再建策の一環として、世界に10以上あったブランドを4ブランドに絞り込む方針を決めた。
 難航した「ハマー」の売却では最終合意に達したものの、小型車ブランド「サターン」の売却交渉が9月に破談に終わったほか、「ポンティアック」の廃止も決まっている。
 新興国メーカーは、インドのタタ・モーターズが08年に米フォード・モーターから英高級ブランド「ジャガー」と「ランドローバー」を買収するなど先進国の自動車ブランド買収の動きを加速させている。

◎ウイグル族殺害、漢族の男に死刑・無期判決(2009年10月10日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】新華社電によると、中国広東省韶関(しょうかん)市の中級人民法院は10日、同市の玩具工場で今年6月に発生したウイグル族の労働者殺害事件で、主犯格の漢族の男2人に対し、それぞれ死刑と無期懲役の判決を下した。
 事件は新疆ウイグル自治区ウルムチで7月に発生した暴動の原因とされ、中国当局は漢族に厳罰を下すことで、ウイグル族の不満を和らげようとしたとみられる。
 判決によると、殺害事件の発端は同工場で6月25日深夜、漢族の女性が宿舎に戻る際、ウイグル族の男性に追いかけられたこと。漢族の男性が怒って鉄棒などでウイグル族を襲撃し、乱闘で2人が死亡、9人が重軽傷者を負った。乱闘に加わった漢族とウイグル族双方の計9人に対しても、懲役5~8年の判決が下された。

◎ウイグル暴動の発端となった工場乱闘で死刑判決、中国(2009年10月10日、産経新聞)
 新華社電によると、7月に新疆ウイグル自治区ウルムチで起きた大暴動の発端となった広東省韶関市の玩具工場での乱闘事件で、韶関市の法院(地裁)は10日、1人に死刑、1人に無期懲役の判決を言い渡した。
 乱闘事件は6月26日、玩具工場宿舎で漢族の従業員らがウイグル族の従業員を襲撃したことがきっかけで発生。ウイグル族2人が死亡、100人以上が負傷した。
 7月5日に起きたウルムチ暴動は、この乱闘事件に怒ったウイグル族が抗議したことがきっかけといわれている。

◎中朝国境でサリン検出、北朝鮮から風吹く時に2回(2009年10月9日、朝日新聞)
 【瀋陽=西村大輔、ソウル=牧野愛博】中国軍の特殊部隊が昨年11月と今年2月、遼寧省丹東周辺の北朝鮮国境付近で、空気中から猛毒のサリンを検出した。中国当局関係者が明らかにした。実験か事故があった可能性があるとみて、軍が監視を強めている。
 関係者によると、特殊部隊は演習を兼ねて、定期的に空気中の化学物質を調査していた。北朝鮮側から風が吹く時に調べていたところ、1立方メートルあたり0.015~0.03マイクログラムのサリンが偶然検出された。中国軍が航空機で無毒化する薬品を散布したとの情報もある。
 サリンは戦前のドイツで化学兵器用に開発された神経ガスの一種。殺傷能力が極めて高い。95年のオウム真理教による地下鉄サリン事件では多くの死傷者を出した。
 毒性が強く、軍事演習での使用は考えにくいが、何らかの実験をしたか、保管もしくは移送中に事故が起きた可能性がある。丹東に近い北朝鮮・新義州には、軍事目的と疑われる化学工場がある。
 韓国の08年版国防白書によると、北朝鮮は80年代から生物化学兵器の生産を開始。現在、2500~5千トンを貯蔵している。その詳細は不明だが、北朝鮮はサリンの原料となる化学物質を輸入したことがあり、米韓両国は北朝鮮がサリンを保有していると判断、対北朝鮮戦に備えた共同作戦計画に化学防護作戦を盛り込んでいるとされる。砲弾に仕込むのが一般的で、日本を射程に収める弾道ミサイル「ノドン」にも搭載できる。ただ、熱に弱いサリンを大気圏再突入時の熱から防ぐ技術は、現在の北朝鮮にはないとも言われている。

◎狂犬病で毎年2400人以上死亡、中国(2009年9月28日、産経新聞)
 28日付の中国英字紙、チャイナ・デーリーによると、中国衛生省は27日、国内の狂犬病患者が2001年以降増加し、死者が毎年2400人以上に達していると警告する報告書をまとめた。
 死者数はインドに次いで多く、増加の背景にはペットの犬が増えたことや、公衆衛生意識の遅れがあると指摘した。
 中国では年平均4千万人以上が犬などの動物にかまれる事故が発生。狂犬病の感染例は南部の広西チワン族自治区、広東省、湖南省などで多い。
 全国に約7500万匹の犬がいるが、狂犬病の予防ワクチンを接種している犬は20%に満たないという。

◎取材の共同通信記者に暴行、北京のホテルで当局者(2009年9月19日、産経新聞)
 北京市中心部の目抜き通り、長安街に面したホテル、北京飯店の客室で18日夜、軍事パレードの予行演習を取材していた共同通信の記者ら3人が、押し入った中国当局者の男ら数人に暴行を受けた。男らは「カメラ撮影は違法だ」などとして、パソコン2台を破壊した。
 3人は手を後ろに組まされ、ひざまずくよう命令された。携帯電話の使用も禁止され、行動の自由が一時、制限された。長安街では戦車などが集結。建国60年となる10月1日の軍事パレードの予行演習が行われるところだった。
 中国外務省は今月6日の予行演習の際には撮影を禁止すると通達を出していたが、その後の演習では禁止の通達などは出ていなかった。

◎中国で養豚業者が銅在庫を大量保有 そのわけは?(2009年9月19日、産経新聞)
 世界最大の金属消費国、中国の個人投資家が相当量の銅在庫を保有していると英サクデン・ファイナンシャルが明らかにした。
 サクデンでアジアの事業開発を担当するジェレミー・ゴールドウィン氏は訪中後に発表したリポートで、養豚業者ら投機家が5万トンを超える銅在庫を積み上げている可能性があると指摘した。これは上海先物取引所の指定倉庫の在庫の約半分の水準に相当する。同取引所の銅在庫は先週9万7396トンに達し、2年ぶりの高水準を記録した。
 サクデンの推計は、個人投資家による投機が拡大するなか、アナリストらによる中国の金属需要判断が難しくなっていることを裏付けている。これらの投資家が保有する在庫は、各取引所の報告の枠組みに含まれていないためだ。ゴールドウィン氏は、中国の個人投資家が約2万トンのニッケル在庫も保有しているとも指摘している。
 上海東方フューチャーズのアナリスト、江明君氏は「銅取引に全く関係のない人たちが、金を買うのと同様に、価値の保存手段として銅を購入している」との見方を示した。
 中国政府の4兆元(約53兆円)規模の景気刺激策導入と09年1~6月期の銀行融資が過去最高の1兆1000億ドル(約100兆円)に達したことを背景に、建設や自動車製造で使用される銅の買い入れが拡大。ロンドン金属取引所(LME)の銅相場は年初から2倍以上に上昇している。
 金属市場における中国の個人投資家の動きについては、スコシア・キャピタルのアナリスト、ナ・リュー氏が8月17日付のリポートで、市場心理が変化すればすぐに在庫を放出する可能性があると指摘していた。
 江氏も個人投資家の在庫の積み増しは「中国の需要が強いとの印象を与えるが、実際購入しているのは経済に悲観的な見方をしていて、自分たちの富を蓄えようとしている人たちだ」と話した。

◎三菱ガス化学、中国で製紙向け漂白剤の新工場、40億円投資(2009年9月8日、日本経済新聞)
 三菱ガス化学は中国・江蘇省に紙の漂白や半導体の洗浄に使う過酸化水素の新工場を建設した。約40億円を投資、年産能力は3万トンで、同社の過酸化水素の生産能力は約15%高まった。中国国内で製紙向けの需要が高まっていることなどに対応する。過酸化水素は塩素より環境負荷が小さく漂白剤として需要が高まっている。
 三菱ガス化学は国内では四日市工場(三重県四日市市)、鹿島工場(茨城県神栖市)、北海道にある共同出資会社の3つの過酸化水素工場を持つ。インドネシアにも生産拠点があり、中国は海外で2番目の工場になる。

◎中国で暮らす日本人減少、外務省の在留邦人数調査(2009年9月8日、朝日新聞)
 近年急激に増えていた中国で暮らす日本人の数が昨年、香港が返還された97年以降初めて減少した。外務省が7日に公表した昨年10月1日現在の「海外在留邦人数調査」によると、昨年は07年と比べて1977人減って12万5928人だった。
 「在留邦人」は、3カ月以上の長期滞在者と永住者の合計。中国では、日本企業の進出を背景に02年の6万4090人から5年間で2倍に増えていた。しかし、昨年は日系企業で働く人が約5千人減少。進出企業数は依然増えており、各企業が駐在員数を減らす傾向があったようだ。
 中国以外では、オーストラリアの在留邦人が6万6371人となり、英国を抜き、米国(38万6328人)、中国に次ぐ3位に浮上した。国際結婚や定年退職後に移住する人が増えたという。世界全体では111万6993人(前年比2.9%増)で、過去最多を更新した。(五十嵐誠)

◎中国で9日に結婚ラッシュ(2009年9月7日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国で9日、結婚ラッシュを迎える。中国語で「9」は漢字の「久」と発音が同じ。2009年9月9日には、「結婚生活久久久」という語呂合わせから、2人の末永い幸せを願うカップルの気持ちが込められているという。
 華僑向け通信社、中国新聞社などによると、今月9日は平日の水曜日にもかかわらず、北京、上海、杭州などのホテルや結婚式場が予約でいっぱいとなっている。各地の婚姻登録所は、当日に婚姻届を提出する人が普段より大幅に増えることを想定し、スタッフの増員や昼休みの短縮などで対応するという。
 08年8月8日の北京五輪開幕式当日にも結婚ラッシュがあった。「8」は中国語で金持ちになることを指す言葉、「発財」の「発」の発音に近いため、当日、北京で婚姻届を出したカップルは約2万組、上海では約7千組、それぞれ普段の1日分の50倍と20倍だった。今年の予約状況などから、9日に結婚する人数は昨年の8月8日に届かないものの、かなり肉薄する数字になると予測される。
 中国古来の慣習から、偶数の日付のほうが縁起良いとされる。今月9日は西暦で奇数の日付だけではなく、旧暦でも7月21日、伝統的な発想では決して結婚にふさわしい「吉日」とは言いがたい。
 9日の結婚ラッシュは、伝統の暦よりも、語呂合わせを大事にする現在の中国若者の意識変化が伺える。また、「久」を重要視し、「結婚生活の長さ」を気にするのは、中国の離婚率が79年の4%から08年の20%余りに急上昇した世相を反映しているかもしれない。

◎平壌で人気「すり身の牛肉や魚肉とパン」って?(2009年9月7日、スポーツニッポン)
 北朝鮮の首都平壌で最近、イタリア料理店やファストフード店が相次いで登場、世代を問わず人気を集めている。
 凱旋門(ケソンムン)近くに6月に開店したファストフード店は、欧米のハンバーガー店のような店構え。しかし、メニューに「ハンバーガー」の文字はなく、「すり身の牛肉や魚肉とパン」など朝鮮語で表記されている。27種類のメニューの平均単価は228ウォン(約175円)と一般の食堂に比べ割安感がある。外国人を含め1日当たり約150人が訪れ、注文配達も行う。
 支配人の高正玉さん(47)は「徹底して朝鮮式にこだわった。原材料はすべてわが国のもので、味付けも工夫した」と“独自色”を強調する。チェーン展開の計画もあるという。
 目抜き通りの一つ、光復通りに昨年末オープンしたイタリア料理店は、3人の調理師がイタリアや中国で修業、約30種類のピザと約20種類のスパゲティを提供する本格派。
 フロアマネジャーの韓恩恵さん(35)は「当初は興味本位の客が多かったが、今は固定客も増えた」と話す。2階では、イタリア製の服飾や靴、化粧品も販売している。

◎中国:ウルムチ市トップを解任、暴動やデモの頻発で責任(2009年9月6日、毎日新聞)
 【ウルムチ鈴木玲子】新華社通信によると、中国共産党の新疆ウイグル自治区委員会は5日、ウルムチ市トップの栗智共産党委書記(漢族)を解任した。後任には朱海侖・自治区政法委書記が就任した。また、自治区人民代表大会常任委員会は同日、自治区公安庁の柳耀華庁長も解任した。区都ウルムチで大規模暴動やデモが頻発し、治安回復が遅れたことに対する責任が問われたとみられる。
 早期解任によって、市民の不満の矛先をかわす狙いがあるものと見られるが、漢族らによる抗議デモでは自治区トップの王楽泉党委書記の辞任を求める声が強く、今回の解任で事態が収拾するかどうかは不明だ。
 一方、ウルムチ市検察院は5日、記者会見し、通り魔事件で拘束した容疑者のうち既に起訴した4人の氏名などを明らかにした。男3人、女1人でいずれもウイグル族。このうち19歳の男は、街で買い物をしていた女性の尻を針で刺した疑いで逮捕され、起訴された。同検察院は起訴の罪名について公共安全危害罪としている。

◎中国の携帯電話加入者、7億突破、増加の勢い衰えず(2009年9月6日、朝日新聞)
 【上海=奥寺淳】中国工業情報省によると、中国の携帯電話加入総数が7月末時点で7億265万件となり、初めて7億の大台に乗った。1月からの7カ月間で6100万件増加しており、1億件近く増えた昨年と比べても、ペースは衰えていない。
 7月の純増は745万件。1~7月の伸び率を地域別に見ると、携帯の普及率が高い沿海部は前年同期より鈍ったが、人口の多い河南省などを含む中部は伸び率が上昇。経済発展している内陸部が押し上げている。加入総数は01年に1億件を突破。それから8年で7倍に増えた。

◎針使う通り魔、「ウイグル族だ」と漢族デモ(2009年9月4日、読売新聞)
 【ウルムチ=関泰晴】中国西部・新疆ウイグル自治区ウルムチで針を使って通行人を襲う事件が相次ぎ、漢族の住民ら数万人が3日、中心部でデモを行い、「ウイグル族の仕業だ」などとして地元当局に治安対策の強化を求めた。
 新華社電などが伝えた。
 ウルムチでは、当局発表で死者197人を数えた暴動から5日で2か月となるが、深刻な民族対立の火種は依然としてくすぶっている。
 香港メディアなどによると、デモ参加者は自治区トップの王楽泉共産党書記の辞任を求め、「政府は役立たずだ」などと叫んで抗議したという。
 一連の襲撃事件では、注射針が使われたとの報道もある。漢族、ウイグル族や回族など9民族の被害者が出ており、公安当局は容疑者21人を拘束したが、身元などは公表していない。漢族の間では「被害者が数百人に達した。狙われているのは漢族で、犯人はウイグル族だ」などと流言が広がっていた。
 地元住民によると、最初にデモが起きたのは2日で、漢族数百人が地元当局に対し、治安対策の強化や被害者の医療補償などを求めた。3日もデモは続き、参加者が大幅に増えた。武装警察部隊が現場に到着し道路を封鎖するなどして制止に当たっている。
 ウルムチでは、現在も武装警察が厳戒態勢を敷いて治安維持に当たっている。漢族の抗議や不満の矛先が今後、ウイグル族に向かう恐れもあり、民族対立が激化する可能性も出ている。

◎中国・新疆で漢族ら数万人がデモ、治安悪化に抗議か(2009年9月4日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】新華社通信によると、中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチ市内で3日、数万人の住民がデモをした。デモの原因は明らかになっていないが、地元政府関係者などによると、参加者のほとんどが漢族で、治安悪化について当局に抗議したものとみられる。
 7月に同市内で発生した騒乱以降、当局は大量の武装警察部隊などを送り込み、治安回復を進めていたが、依然として住民の不安や反発が根強いことが浮き彫りになった。

◎“携帯王国”中国、「i PHONE」も10月に上陸、3G時代へ(2009年9月3日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国の携帯電話利用者が今年7月末の段階で7億300万人になったことが中国工業情報化省の調べで3日までに分かった。一方で固定電話は3億2800万台と携帯電話の半分に満たない。内陸部などで固定電話より先に携帯電話が普及したことなどが背景にある。
 7月末時点の省別携帯利用者は、広東省が8500万人で最も多く、4000万人台の山東、江蘇、浙江の各省がこれに続く。
 こうした“携帯王国”を狙い、米アップルの携帯電話「i PHONE(アイフォーン)」がついに中国に上陸する。通信大手、中国聯通と中国市場での販売契約を結んだ。
 中国での販売価格は1台3000元(約4万2千円)程度になる見込み。中国聯通による第3世代(3G)携帯網が9月末に全国展開されるのを待って、10月に発売する。
 聯通のほか、中国移動(チャイナモバイル)と中国電信(チャイナテレコム)の通信2社も中国で3Gサービスの運用を開始ずみ。ただ、聯通と電信はそれぞれが国際規格である「WCDMA」、「CDMA2000」を利用しており、移動は中国の独自開発規格「TD-SCDMA」を採用した。このため、3社が別の規格で三つどもえの戦いを展開する事態となっている。

◎液晶パネル、初の海外生産、シャープが中国大手と合弁会社(2009年8月31日、産経新聞)
 シャープは31日、中国の情報・通信機器大手の中国電子信息産業集団(CEC、北京市)と、液晶テレビ用パネルを生産する合弁会社の設立で基本合意したと発表した。シャープが液晶テレビ用パネルの海外生産に踏み切るのはこれが初めて。これまでは国内だけで生産し、海外に輸出してきたが、為替相場による影響を排除するため、海外生産に乗り出す。
 合わせて旧世代のパネル工場で現在休止している亀山第一工場(三重県亀山市)の生産設備をCECの孫会社が設立した液晶パネル生産会社に売却する。
 CECと合弁で設立するのは、「第8世代」と呼ばれる最先端の液晶パネルの工場。建設は北京市を予定しており、投資額や稼働時期など詳細については今後詰める。一方、売却するのは旧世代の「第6世代」と呼ばれる液晶パネルの生産設備。CECの孫会社で南京中電熊猫信息産業集団が、南京市で計画している液晶パネル工場に移転する。同工場は2011年3月までの稼働を計画している。
 またシャープは中国市場の需要増大に対応するため、10年4月に南京市に液晶テレビの設計開発拠点「液晶設計開発センター」を設立する。現地の消費者の生活実態などを研究し、現地のニーズに適した製品を開発し、売り上げ拡大につなげる。
 液晶パネルの海外生産は、今年4月に片山幹雄社長が記者会見し表明していた。

◎シャープ液晶、地産地消作戦、中国メーカーに設備売却(2009年8月31日、朝日新聞)
 シャープは31日、同社の亀山工場の液晶パネル生産設備の一部を中国・南京の電機メーカーに売却し、パネルの生産技術も供与すると発表した。シャープは中国メーカーがこの設備を使ってつくるパネルを仕入れ、中国で販売するテレビに搭載する。中国メーカーの生産は11年3月までに始める。シャープは国内工場だけで行ってきた液晶パネルの生産を海外へ移す「地産地消」戦略を進めているが、今回はその第一弾となる。
 シャープが技術供与するのは、南京市の「南京中電熊猫信息産業集団有限公司(CECパンダ)」。訪中しているシャープの片山幹雄社長がこの日、CECパンダ、南京市の両者と契約を結んだ。シャープは南京市とCECパンダが設立する新会社に設備を売却するが、出資はしない。
 売却するのは、亀山第1工場(04年1月稼働、現在休止中)の設備で、液晶パネルをつくるガラス基板のサイズは「第6世代」(37型換算で6枚取り)。設備を運び出した後の第1工場の活用方法については「未定」という。
 CECパンダは国営電機メーカーが70%、江蘇省と南京市がそれぞれ15%ずつ出資する家電メーカー。液晶やテレビの生産技術は保有しておらず、シャープからの技術供与で液晶テレビ生産に参入する。シャープはCECパンダ側と、第6世代より大きい「第8世代」の生産でも提携する方向で協議していく。

◎希少金属値上がり、7月以降、中国需要で1~4割(2009年8月29日、日本経済新聞)
 電子機器や特殊鋼の生産に欠かせないレアメタル(希少金属)の国際価格が軒並み反発している。7月から上昇が目立ち始め、6月末時点に比べ上げ幅は約1~4割に達した。景気刺激策などを受けた中国の需要増が上昇をけん引。日本国内で在庫調整が進んだ影響もある。レアメタル価格の再上昇は家電や自動車メーカーの収益を圧迫する要因になりそうだ。
 レアメタルは、需要拡大や中国など資源国の輸出管理で昨夏まで高騰していたが、経済危機後に急落した。安定確保のため在庫を積んでいた需要家も多く、銅などの非鉄金属に比べ上昇が遅れていたが、ここにきて反発基調に転じた。

◎中国、空母建造に着手、初の国産、15年完成目指す(2009年8月29日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国軍が上海など6カ所の工場を使い、初の国産空母の建造に着手したことがわかった。複数の軍と造船会社の関係者が明らかにした。国家中央軍事委員会幹部が今年4~6月に各工場を視察し、責任者に空母建造の指示と計画概要を伝えた。2015年までに5万~6万トン級空母の完成を目指す。
 胡錦濤(フー・チンタオ)指導部は10月1日の建国60周年記念式典を前に、海軍の長年の悲願であり、国威発揚にもつながる空母建造に踏み切った。式典に合わせて建造着手を宣言することが指導部内で検討されていたが、「公表すれば周辺国の脅威論をあおりかねない」(中国海軍幹部)という慎重論が強まっている。
 軍関係者によると、空母と、それを護衛する艦船などの船体は、主に上海の江南造船で建造される。遼寧省大連、四川省成都、湖北省武漢、浙江省杭州、甘粛省蘭州にある軍需工場では、電力制御システムやレーダーなどの関連部品を製作している。各工場でつくられた部品や装置は江南造船に集められ、最終組み立てが行われる。
 空母専用に350億元(約4803億円)をかけて設けられた江南造船の第3ドックは、長さ約580メートル、幅約120メートルで中国最大級。約8万人の作業員が集められ、鋼材のさび止め塗装などの作業を始めている。秘密保持のため、構内には国家安全省の職員や警備員を配置している。
 江南造船関係者は「必要な設備はすべて整った。建造は順調に進んでおり、海軍側からは急ぐように指示されている」と明かし、週末も無休で作業をしている。
 中国海軍はソマリア沖での海賊対策に艦船を派遣するなど今年から本格的な遠洋進出に乗り出した。空母建造は公表していないものの、梁光烈国防相が「大国で空母を持っていないのは中国だけで、永遠に持たないというわけにはいかない」と述べるなど、軍幹部の積極的な発言が相次いでいる。

◎中国が武装警察法、権限乱用の批判かわす?(2009年8月27日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】中国の全国人民代表大会(国会)常務委員会は27日、暴動鎮圧やテロ制圧にあたる武装警察部隊の権限を明確化する「人民武装警察法」を可決した。
 各地で暴動が多発し出動の機会が増加している武装警察の活動を法で規定することで、「無制限に権限が拡大、乱用されている」との国際社会の批判をかわす狙いもありそうだ。
 新華社電などによると、武装警察は1982年に創設されたが、活動や権限などの規定があいまいだった。新たな法では、8項目の任務を規定し、〈1〉暴動、騒乱、大規模な暴力的な犯罪〈2〉テロや社会の安全を脅かす事件―の鎮圧にあたることなどが盛り込まれた。

◎中国、武装警察法を採択、暴動鎮圧・テロ対策を正当化(2009年8月27日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は27日、国内の治安維持に当たる武装警察部隊の任務などを定めた人民武装警察法を初めて採択した。中国共産党・政府は、10月1日の建国60周年に向けて、社会暴動の鎮圧やテロ対策を担う現場の活動を正当化する狙いがあるようだ。
 武装警察部隊は人民解放軍から派生した準軍事組織で、行政区域ごとに配置され、総数は約68万人とされる。近年はテロ対策部隊が新設され、各地で頻発する騒乱や暴動にも真っ先に投入されているが、具体的な任務を定めた法律の不備が識者などからたびたび指摘されてきた。
 全人代常務委員会で採択された同法は、任務規定として8項目を並べ、国家施設の警備などのほか「暴動や騒乱、大規模な暴力犯罪事件、テロ襲撃事件およびその他の社会安全事件」を活動の対象に初めて位置づけた。27日、採択後に記者会見した王尚新・法制工作委員会刑法室主任は「法制定は部隊の任務執行に法律上の根拠と保障を与える」と意義を訴えた。
 法案は昨年3月の全人代で提起され、常務委員会で審議が続いていた。今回採択に至った背景には、昨年3月にチベット自治区で起きたラサ騒乱や今年7月に新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチで起きた騒乱を武装警察部隊が中心となって鎮圧した経緯がある。常務委員会の委員からは「二つの暴動処理に成功した実績を明文化すべきだ」と採択を望む声が高まっていた。
 胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席は25日、視察先のウルムチで騒乱鎮圧について「暴力犯罪を断固として制止し、ウルムチの社会安定を回復した」とたたえた。法採択にはこうした中国指導部の意向もある。
 一方、暴動やテロ対策を名目とした武装警察部隊の活動が行き過ぎることへの懸念は消えない。これまでの審議で、委員からは「武装した警察力の行使はあってもいいが、社会暴動はそもそも人民内部の矛盾に原因があり、思想活動や教育活動を通じて解決をめざすべきだ」(白克明氏)との意見も出ていた。
 新法には隊員の職権乱用を戒め、他人の自由を不当に制限したり財産を侵害したりすることを禁じる規定もある。ただ罰則規定はなく、法採択は治安維持の現状追認というのが実態といえそうだ。

◎“駆け込み”帝王切開が急増、早く就学させたい親心? 中国(2009年8月26日、産経新聞)
 【杭州(中国浙江省)=河崎真澄】9月が入学シーズンの中国で、9月初めに出産を予定する妊婦が8月末までの“駆け込み”帝王切開を希望するケースが急増している。8月31日までに生むことで、小学校入学の年齢が1歳近く早まるためだ。
 その理由について上海紙、東方早報は、子供を少しでも早く就学させ自立させたいとの“親心”からだと説明する。子供が社会に出て収入を得るまでの期間が1年近く短縮されて、養育費などが節約できる、との現実的な見方もあるという。
 同紙によると、ある産院では、同じ日に出産した5人の妊婦のうち3人までが帝王切開を選んだ。別の産院に入院中の妊婦は「子供の入学時期を遅らせたくない」と話し、就学時の「早生まれ」目的の帝王切開を行う予定だ。夫も親族も賛成しているとか。
 一方で、妊婦や親族がどこまで未熟児や合併症などの出産リスクを認識しているのか疑問視する声も上がっている。親の都合で早生まれを選んでも、同じ学年の子供たちとの厳しい競争を勝ち抜いていけるかどうかも考えなければならないが、“親心”はそこまでは及んでいないようだ。

◎中国の建国記念愛国映画、ネットで非難とボイコットの動き(2009年8月24日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】建国60周年を記念するため中国映画界が総力をあげて制作し、10月1日の国慶節を前に上映が予定される愛国映画「建国大業」が今、ネットで猛烈な批判にさらされている。出演者の多くが外国籍取得者であることが反発を招いており、「祖国を捨てたやつらに国の愛し方を教えてもらいたくない」などと、インターネットには映画のボイコットを呼びかける書き込みがあふれている。
 映画は中国最大の国有系映画会社、中国映画集団公司が投資し、建国直前の1949年9月の北京を舞台に、毛沢東、周恩来、劉少奇ら共産党指導者の活躍を描いた歴史巨編。中国を代表する人気俳優や歌手ら172人が出演。登場人物の多さと、俳優全員がギャラなしのボランティア出演であることなどが話題になっている。今年2月ごろから、撮影の進捗(しんちょく)状況が中国メディアに詳しく取り上げられており、注目されていた。
 しかし、8月に入り、出演者のうち21人が米国、カナダなどの外国籍を取得していることが報じられ、ネットでの評価は期待から批判へと一変した。「60年来の愛国主義教育が失敗した証拠であり最大の皮肉」「現代中国の恥をさらした映画だ」などとネットには厳しい意見が殺到した。
 中国では近年、子供の教育や高い福利厚生、仕事の得やすさなどを理由に、外国籍を取得する者が増えている。米国政府の統計によると、昨年、米国籍を取得した中国人は4万人を超えた。しかし、取得者の多くが金持ちの有名人や高官の家族など特権階級で、このことが市民の反発を招いているようだ。人材や財産の中国からの流出を懸念する声と同時に、外国籍を取得した中国人を「裏切り者」と決めつける人も多い。今回の“映画批判”は、外国籍取得者に対するこうした市民の不満と嫉妬(しっと)が一気に噴出した現象ともいえそうだ。

◎東レが北京で水処理膜工場、来年4月稼働へ起工式(2009年8月24日、産経新聞)
 東レは24日、工場廃水などの浄化用水処理膜を生産する中国の合弁会社の工場起工式を北京市順義区で行った。設備投資額は約5億元(約70億円)で、来年4月から稼働する予定。
 合弁相手は水処理事業などを手掛ける中国藍星集団(北京市)。資本金3500万ドルのうち、東レグループが50.1%を出資した。
 中国では生活水準の向上や干ばつなどで水不足が深刻化しつつあり、水処理膜市場の規模も拡大。現地生産で水処理事業の拡充を図り、占有率(シェア)を高めたい考えだ。

◎日本語の無料紙創刊ラッシュ、中国・上海、駐在員ら5万人に的(2009年8月24日、日本経済新聞)
 長期滞在の日本人が約5万人とニューヨークを抜き世界最多の中国・上海で、日本語のフリーペーパーが創刊ラッシュとなっている。現在10紙以上が発行され、駐在員や留学生らの情報入手手段として欠かせない存在になりつつある。
 数十ページのタブロイド紙から100ページ以上の雑誌タイプまであり、飲食店やイベントの情報、日系企業の経営者インタビュー、日本で話題のニュースなどを掲載。日本人女性は「外食や買い物の情報を得るのに便利で、上海で暮らす上で不可欠」と語る。
 日本人が多く住む地区の料理店やスーパーなどに置かれ、自由に持ち帰れる。「スーパーシティ」など人気が高いフリーペーパーは発行部数が4万~5万部と、長期滞在者のほとんどが手にできる計算だ。

◎北韓に密輸直前のミサイル用金属、中国が押収(2009年7月29日、KBS World)
 中国の税関が北韓に密輸されようとしていた、ミサイルの開発にも使われる「バナジウム」という金属を押収していたことが明らかになりました。
 これは中国のインターネット・ニュースサイト丹東日報が28日報じたもので、中国東北部の丹東の税関は24日、北韓に輸出される物品が積まれていた車を調べたところ、果物の箱の中に隠されていた「バナジウム」およそ70キロを見つけ、押収したということです。
 見つかったバナジウムは68本の小さいビンに入っており、20万元(およそ3600万ウォン)に相当するということです。
 バナジウムは、熱や磨耗に耐える性質が優れたレアメタル・希少金属で、ミサイルの開発にも使われているため、中国はバナジウムの輸出を厳しく規制しています。
 中国は特に北韓が5月に行った核実験に対する国連安全保障理事会の決議に基づく制裁措置を履行するため、北韓への輸出規制を強化しているものとみられます。

◎「裁判官や警察官、官吏は信用できない」、中国で世論調査(2009年8月22日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国最大手のインターネットサイト「新浪網」などがこのほど中国の社会信用度を調査したところ、裁判官や警察官、官吏に対する信用度が極めて低いことが浮き彫りになった。
 この世論調査には3376人が参加した。大卒が6割以上を占めるほか、中級以上の管理職や技術者が比較的多かった。
 「中国で信用度が高い職種」としては「農民」が19%でトップ。「宗教関係者」11%、「軍人」10%、「学生」9%と続く。
 しかし「裁判官」と答えた者はわずか1%、「警察官」も0.9%、「官吏」も0.8%に過ぎなかった。中国の民衆、とりわけインテリ層が司法や行政の在り方に強い不信感をもっていることがうかがえる。

◎中国の鉛汚染、湖南省でも 、子ども45人が中毒(2009年8月20日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】20日付の中国紙・経済参考報によると、中国陝西省で14歳以下の子どもに鉛汚染が広がっていた問題で、湖南省武岡市の工場周辺でも似たような被害が起きていることがわかった。報道によると、同市が検査した子ども1958人のうち、7割の1354人は血液中の鉛が基準値を超えており、うち45人は鉛中毒とわかった。
 今年7月、同市文坪鎮の子どもたちに発熱、食欲減退などの症状が多発して鉛汚染が発覚。市環境保護局の調査で、付近にあるマンガン精錬工場が汚染源と特定された。工場はすでに閉鎖され、責任者2人が刑事拘束された。市担当者も職務怠慢の疑いで調査されている。
 経済参考報は、中国の経済発展に伴って鉛や水銀など重金属汚染が各地に広がりつつある実態を詳しく伝えた。同紙は地元政府の監督のあり方にも疑問を投げかけている。

◎中国、「検閲ソフト」義務化を断念、回線管理強化型に転換か(2009年8月13日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国政府は13日、国内で販売されるパソコンを対象に、有害サイトへの接続を遮断する政府指定の“検閲ソフト”搭載を義務化するとしていた方針を、撤回した。工業情報省がこの日、記者会見で明らかにした。国際社会だけでなく国内のネットユーザーからも猛反発にあい、異例の「断念宣言」に追い込まれた格好だ。だが、専門家らは、中国当局がパソコン内部ではなく、ネット回線そのものの検閲機能を強化する動きもあるとし、警戒を強めている。
 記者会見で、李毅中工業情報相は、有害サイトへの接続遮断ソフトについて「一律に強制はしない」と述べ、義務化しない方針を明らかにした。さらに「消費者の選択の自由を十分に尊重する」とも強調し、国内のネットユーザーから起こった義務化反対のうねりに配慮した方針転換であることをにじませた。
 ソフト搭載の義務化をめぐっては、日米など各国政府が制度導入の撤回を中国側に求めるなど、国際社会を巻き込む混乱を引き起こした。国内ネットユーザーからも、ソフト開発費として投じた4170万元(約5億8400万円)を「ムダ遣い」と批判する動きも強まり、急ごしらえの新制度は「四面楚歌(そか)」に追い込まれた。
 中国政府は当初予定していた7月1日からの義務化を前に、6月30日の夜になって導入延期を決めた。そして今回、義務化を断念するなど、方針を二転三転させる異例の事態となった。ただ、工業情報省は、すでにこのソフトの搭載を義務づけた中国国内の学校やネットカフェなど、公共の場所でのパソコンについては新制度を継続するとしている。
 断念について専門家の間では、パソコンに政府指定ソフトを搭載させる方式ではなく、「当局が一括管理しているネット回線のそのもののチェック機能を強め、個別のパソコンの情報収集力を管理する方針に切り替えた」との見方が出ている。
 中国国内では原則として、当局がコントロールするサーバーを経由しなければ、ネットの閲覧はできない仕組みだ。当局は、ネット経由で批判の動きが国内に広がり、反政府運動に結びつく点を警戒しているものとみられる。

◎中国、産業スパイ容疑でリオ社員4人を逮捕、新華社報道(2009年8月12日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】英豪系の資源大手リオ・ティント社員が中国との鉄鉱石価格交渉をめぐって中国当局に身柄を拘束された事件で、新華社通信は、社員4人が商業秘密侵害と贈賄の両容疑で12日までに正式に逮捕されたと伝えた。リオ側に商業秘密を提供したとされる収賄側の中国鉄鋼企業の容疑者についても逮捕手続きに入った。
 中国当局は先月5日、リオ社上海事務所首席代表で中国系のスターン・フー氏(豪州国籍)と中国籍の社員3人の身柄を拘束。豪中間の外交問題に発展していた。
 報道によると、中国企業との鉄鉱石価格交渉の責任者だったフー氏と社員3人は不当な手段で中国鉄鋼企業の情報を入手し、その見返りとしてわいろを贈っていた。捜査機関からの送検を受けて、上海市の検察機関が「4人の犯罪容疑を証明する証拠がある」と判断したという。

◎中国:英豪資源大手の支社幹部らを逮捕、産業スパイ容疑(2009年8月12日、毎日新聞)
 【上海・鈴木玲子】新華社通信は12日、中国上海市の検察当局が産業スパイと贈賄容疑で、英オーストラリア資源大手のリオ・ティント上海支社幹部ら4人の逮捕を認める決定を出したと報じた。オーストラリア外務貿易省は同日、中国側から4人が逮捕されたと連絡を受けたことを明らかにした。
 逮捕されたのは、上海支社総支配人で中国系オーストラリア国籍のスターン・フー容疑者と同支社の中国籍社員3人。4人は7月5日に拘束された。
 当局は、4人がわいろを贈るなど不当な手段で中国の鉄鋼メーカーの機密情報を入手したとしている。収賄側の鉄鋼メーカーも、わいろの見返りに情報を提供した疑いがあるとして、容疑者の逮捕手続きに入ったという。
 中国国家機密保護局はウェブサイトで、リオの産業スパイ活動は6年間続き、鉄鋼メーカーは高値で鉄鉱石を買わざるを得なくなり、巨額の被害を受けたと説明している。

◎中国GDP水増し疑惑、語るに落ちた?マイナス発表の山西省を表彰(2009年8月9日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国国家統計局が今年1~6月の国内総生産(GDP)に関する31の省級行政区ごとの集計作業で、唯一マイナス成長を発表していた山西省を、「実事求是(事実の実証に基づき真実を追求する)の精神がある」として、異例の表彰を行っていたことが明らかになった。上海紙、東方早報などが9日までに統計局の情報として報じた。
 1~6月のGDPをめぐっては、31の行政区が発表した地域ごとのGDPを合算すると全国統計の総額より約10%も膨らんでいた。GDP成長率でも、当局発表の全国平均が前年同期比で7.1%だったのに対し、平均値を下回ったのは山西省を含む6行政区にすぎず、当初から統計の“水増し”が指摘されていた。
 これを受けた今回の山西省への表彰は、他の地域の統計に何らかの操作があったことを統計局が暗に認め、改善を促した形だ。
 中国では1958年に毛沢東が農工業の大増産を指示した「大躍進政策」で、単位面積あたりの農産物生産量や地域ごとの鉄鋼生産量などが競われ、地方幹部らが極端な虚偽報告を繰り返した。そうした無謀な経済政策の結果、地方が疲弊し数千万人の餓死者を出したという“前科”がある。
 GDPは地方幹部の人事考課の重要な材料となってきたが、地方政府だけでなく、統計局のデータに関してもこのところ、失業率の低さや平均賃金上昇幅の大きさが現実離れしているとの批判が高まっている。

◎中国の新車販売、7カ月連続世界一、月も100万台超(2009年8月8日、朝日新聞)
 【上海=奥寺淳】中国自動車工業協会がまとめた7月の新車販売台数は、前年同月より63.6%多い108万5600台で、今年に入って7カ月連続で世界一となった。5カ月連続で月間販売台数が100万台を超え、伸び率も6月(36.5%増)を大幅に上回った。
 同協会によると、7月は例年、車の売れ行きが鈍るが、今年は上半期の好調さが続いている。排気量1600CC以下の小型車の車両取得税を5%に半減する販売支援策が功を奏し、7月の乗用車販売は前年同月より7割も増えた。
 1~7月の累計は前年同期比23.4%増の718万4400台。同時期の米国(約580万台)を大きく上回っており、年間でも世界一となる可能性が高まっている。

◎中国の若手大富豪、200億円差し押さえ不正株取引(2009年8月8日、朝日新聞)
 【香港=小林哲】中国の家電販売最大手「国美電器」の創業者で、昨年11月に北京の警察当局に不正な株取引の疑いで拘束された黄光裕氏とその妻の香港の資産のうち、16億6千万香港ドル(約200億円)が香港の裁判所により差し押さえられたことがわかった。香港紙明報などが伝えた。同社の損失補填(ほてん)にあてるための措置という。
 黄氏は、中国の富豪ランキング上位に名前があがる著名な若手経営者。広東省の農村出身で、80年代に兄と創業した同社を中国最大規模のチェーン店に成長させた。

◎中国GDPに水増し疑惑、成長率でも中央と矛盾(2009年8月4日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国の国内総生産(GDP)に統計の“水増し”疑惑が浮上している。31の直轄市や省・自治区がそれぞれ発表した今年1~6月期の地域ごとのGDP額を合算すると、同時期の全国統計より約10%も規模が膨らむことが、中国系香港紙、香港商報の調べで分かった。同紙では、地方政府の幹部らが経済発展の実績を誇張して宣伝するため、統計数字を操作したのではないかと指摘している。
 同紙が、中国本土の31地方政府が発表した同時期の域内GDP額を合算したところ、中央の国家統計局が7月に発表した全国のGDP総額である13兆9862億元(約196兆円)を約1兆4000億元も上回ったという。
 また、GDP成長率でも国家統計局の発表では1~6月期の全国平均が前年同期比で7・1%だったのに対し、31行政区のうち全国平均を下回ったのは6つだけ。マイナス成長は炭坑閉鎖で地元経済が打撃を受けた山西省のマイナス4・4%のみだった。一方で、天津市と内モンゴル自治区が成長率を16・2%と発表するなど、14の行政区が10%以上の成長率を達成したとしており、全国平均との差でどの数字が正しいのか説明がつかなくなっている。
 複数の行政区にまたがる案件の重複計算など誤差もあるとみられるが、これほど中央との差が広がったのは珍しいという。1979年の改革開放以来、中国では地方政府幹部の人事考課に、GDP成長や外資導入などの経済実績を採用してきたが、胡錦濤指導部では行き過ぎた地方開発への懸念などから、最近では環境保護政策やその実績も考課材料にし始めている。
 先月16日には広東省共産党委の汪洋書記が、省内の産業構造転換をめざす方針を打ち出した際、「目先のGDPデータはあまり重視しない」と発言し、注目された。同省GDP成長率は7.1%増で全国平均と“足並み”をそろえている。
 中国の統計をめぐっては、GDP以外にも過去、矛盾点がしばしば指摘されてきた。3日の新華社電によると、国家統計局が河北省北戴河で先月31日から今月1日まで開いた半年に1度の全体会合で、同局内の共産党組織書記の馬建堂氏はあえて、「統計数字の精度や信頼性の向上に努力すべきだ」と強調した。国際社会から疑念を抱かれやすい中国の統計数字の信頼性確保を、関係部門や地方政府に指示した格好だ。

◎中国の消費、二極化鮮明、自動車・家電は好調、衣料・サービス不振(2009年8月2日、日本経済新聞)
 【上海=下原口徹】中国の個人消費の二極化が鮮明になっている。景気減速を反映し、小売り・サービスなどの販売不振が続く一方で、政府が消費刺激策として購入者に補助金を払う自動車や家電の売れ行きは好調だ。中国の2009年4~6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率は前年同期比7.9%増。政府主導の景気回復は進んでいるが、個人消費の足取りは重いのが実情だ。
 「全商品5割引き」中国最大の商業都市、上海市内の衣料品店の店頭にはこんな安売り広告があふれている。7割、8割引きの店も珍しくない。カジュアル衣料品チェーンの店長は「通常のセールは2、3割引きからだが、在庫が多い今年は5割引きから始める店が多い」と話す。

◎中国の実質的な外貨準備、公表より3000億ドル多く、日銀試算(2009年8月1日、日本経済新聞)
 日銀は中国政府の事実上の管理下にある外貨資産が、公表されている外貨準備高よりも約3000億ドル(約28兆円)多いとする試算をまとめた。中国の発表によると、外貨準備高は6月末で2兆1316億ドル。試算通りなら、中国は外貨資産を1割以上多く保有していることになる。国際金融市場での存在感が一段と高まりそうだ。
 外貨準備に含まれていないのは中国人民銀行(中央銀行)が銀行から預かった外貨建ての準備預金と、政府系ファンドなどへの出資分だ。

◎中国・長沙市で千人が抗議デモ、化学工場汚染(2009年7月31日、産経新聞)
 新華社電によると、中国湖南省長沙市郊外で30日、住民らが化学工場の汚染問題をめぐり抗議デモを行い、地元当局庁舎を取り囲んだ。デモは1000人規模とみられる。
 住民は29日にもデモを行った。その際に6人が拘束され、うち1人がけがを負ったことで、住民らが反発を強め、連日のデモとなった。
 住民側は化学工場の汚染物質により「飲み水にも影響が出る」などと訴え、当局側に解決を求めている。

◎性教育不足で毎年1300万人が中絶、中国(2009年7月30日、産経新聞)
 30日付の中国英字紙、チャイナ・デーリーは、中国で中絶手術を受ける女性は毎年1300万人に達していると伝えた。「(避妊方法などの)性教育の不足」が主な原因という。
 中国で生まれる子供は毎年約2千万人に上るが、その6割強に相当する中絶が行われていることになる。専門家は「中絶の多くが未登録の病院で行われており、実際はもっと多い」と指摘した。
 最近の調査によると、中絶した女性の62%が20~29歳で、ほとんどが未婚。上海のある病院での調査では、ホットラインへの相談者で避妊方法を知っていた女性は30%に満たなかった。
 中国で中絶手術の費用は約600元(約8300円)という。

◎リストラ抗議、社長殺す、中国の鉄鋼会社でデモ(2009年7月28日、朝日新聞)
 【瀋陽=西村大輔】中国誌・財経(電子版)などによると、中国吉林省通化の大手国有企業・通化鋼鉄で24日、従業員ら1万人以上が経営悪化に伴うリストラなどへの不満から抗議デモを行い、暴徒化した一部が同社に出資する民間鉄鋼会社・建竜集団から派遣されていた陳国軍社長を殺害した。
 地元報道によると、建竜集団は05年に通化鋼鉄に資本参加したが、金融危機などの影響で経営状態が悪化。最近、建竜集団がさらに増資して買収する計画が明るみに出たことから、人員削減や給与カットを懸念する従業員の不満が高まっていた。
 23日に従業員が「建竜は出て行け」と叫んでデモを始め、工場内の8高炉のうち七つの操業が止まった。陳社長は24日、事情説明のために工場を訪れたが、従業員らに囲まれて殴るけるの暴行を受け、死亡した。
 中国人権民主化運動情報センター(香港)は、デモに参加した労働者は約千人の武装警察官と衝突し、100人以上が負傷したとしている。

◎中国ネット大手の百度、4~6月期45%増益(2009年7月24日、日本経済新聞)
 【ニューヨーク=米州総局】中国のネット検索最大手百度(バイドゥ・ドット・コム)が23日に発表した4~6月期決算は、売上高が前年同期比37%増の1億6100万ドル、純利益が同45%増の5600万ドルだった。中国企業のあいだでネット広告の利用が急速に広がっており、業界最大手として大幅な増収増益を実現した。
 足元の業績も堅調。7~9月期の業績見通しは売上高1億8400万~1億8900万ドルで、市場予測の1億8200万ドルを上回った。

◎化学工場が爆発、4人死亡、100人以上が負傷、中国(2009年7月15日、産経新聞)
 中国中央テレビなどによると、中国河南省洛陽市偃師の化学工場で15日未明、爆発事故が起き、従業員4人が死亡、3人が行方不明となり、100人以上が負傷した。爆発時に巨大な音がして、周囲約30キロで揺れを感じ、付近の建物では多くの窓ガラスが割れたという。
 爆発したのは大型の生産設備と原料で、爆発時に火柱が上がり、工場施設が燃えた。負傷者には、割れたガラス片などでけがをした付近の住民も含まれている。
 工場関係者によると、原料に使われていた有機化合物のクロロベンゼンが爆発したとみられ、当局が詳しい原因を調べている。工場には約300人の従業員がおり、当時は10人ほどが当直をしていた。

◎中国外貨準備、初の2兆ドル突破(2009年7月15日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国人民銀行(中央銀行)は15日、中国の外貨準備高が4月末時点で2兆ドルを初めて突破した、と発表した。直近6月末時点では2兆1316億ドルまで拡大した。このところのドル安傾向でユーロや円建て外貨準備のドル評価額がふくらんでいるうえ、中国経済が相対的に堅調なことからさまざまな形で外貨が流れ込んでいるためとみられる。
 中国の外貨準備高は06年初めに日本を抜いて世界一になり、同年10月には1兆ドルを突破。約2年半でさらに2倍になった。世界で2位の日本の外貨準備高は今年6月末時点で1兆191億ドルと、中国の半分以下の水準だ。
 増加傾向が続いてきた中国の外貨準備高は金融危機による輸出減で、昨年10月末時点では約5年ぶりに減少するなど一時頭打ちになっていた。しかし再び増加傾向に転じている。

◎ウルムチで立てこもり、警官がウイグル族の2人射殺(2009年7月14日、朝日新聞)
 【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)=西村大輔】大規模騒乱が起きた中国・ウルムチの中心部で13日午後3時(日本時間同4時)ごろ、建設中の高層ビルで立てこもり事件があり、数百人の武装警察部隊が出動した。
 当局の発表によると、長刀や棒を持った3人のウイグル族が別のウイグル族を追いかけ、暴行しているのを巡回中の警察官が発見。3人が抵抗したため警告射撃をし、それでも抵抗をやめないため発砲。2人が死亡、1人が負傷したとしている。
 現場はウイグル族居住地区で、観光スポットの「国際大バザール」に近い繁華街。

◎中国東北に熱い視線ベンチャー、中小企業が視察(2009年7月12日、産経新聞)
 ベンチャーや中小企業の経営者ら120人が参加した日本企業家遼寧省視察団(団長、行徳哲男・日本BE研究所所長)が6月25~28日、中国遼寧省瀋陽、撫順、鞍山、大連の各市を訪問し、開発中の工業地帯などを視察したほか、要人とも会談した。遼寧省、吉林省、黒龍江省からなる東北3省は「遅れてきた投資チャンスの地」と呼ばれる。世界不況の中でも勢いよく経済発展を続ける姿を目の当たりにした視察団は、将来のビジネス展開に意欲を示した。
 遼寧省の重点開発地域の一つ、大連長興島臨港工業区。当地に進出した世界第6位の造船会社、韓国STXの造船所や大規模な社員寮が目を引く。3年前までは荒れ果てた土地でしかなかった開発区が、工業都市へと変貌を遂げている。
 「早く投資した人はたくさんもうかりますが、遅れて投資した人は少ししかもうかりません」。大連長興島臨海工業区招商二局の張慶忠副局長はセミナーの中で、同工業区への投資は中国投資の最後のチャンスであると強調した。
 中国政府からもバックアップを受けた同工業区では、今年に限り、生産企業が土地を借用する場合、国家が規定する土地価額全額を補助されるなど優遇措置は手厚い。伊藤忠商事や大陽日酸など日本の大手企業も進出を決めている。
 しかし、韓国では中小企業数十社が進出を決めているのに対し、日本の中小企業やベンチャーの出足は鈍い。日本の中小企業は長引く不況で、少ない投資で高い収益をあげることに専念してきた。このため「技術をメーンに売り込みたいが、中国側は資本を呼び込みたい」(建設関連ベンチャー)と双方の思惑に溝がある。
 とはいえ、高成長を続ける東北3省が魅力ある投資先であることに変わりはない。特に遼寧省は、東北3省の中で最も発展した地域だ。
 中国・鉄鋼発祥の地で「鉄鋼の都」と呼ばれる鞍山市は、工業・商業都市としても成長しようと開発を急いでいる。市の担当者は「開発中の大型ショッピングモールにはスウェーデンの家具販売会社『IKEA』の入居が決まっている」と胸を張る。
 同市では今年1~5月の全市域内の国内総生産(GDP)が18.5%となったといい、世界同時不況にもかかわらず、前年の成長率13.8%を上回る勢いで成長している。谷春立市長は「鞍山市は将来必ず中核都市に発展する」と自信を示した。
 日本経営合理化協会の熊谷聖一専務理事は視察団を代表したあいさつの中で、「これからビジネスのやり方を研究し、いつの日か、事業を展開したいと考えている」と述べた。

◎イーランドが第一毛織を告訴した理由とは(2009年7月12日、朝鮮日報)
 中国市場をめぐり、韓国ファッション業界の「恐竜」第一毛織とイーランドの激しい神経戦が展開されています。イーランド側は1日、ソウル中央地方裁判所に第一毛織を相手取り「中心的な人材を引き抜いた」として採用無効と損害賠償を請求する民事訴訟を起こしました。
 その発端は、約10年間イーランド中国ファッション事業部のトップを務めたA常務が2008年11月、突然辞意を表明したことでした。A常務は今年売上げ1兆ウォン越えが予想されているイーランド中国事業部を成長させた第1功労者といわれています。A常務は5月1日付で、今年1月から空席だった第一毛織の上海法人代表になりました。イーランド側は「A常務は当社中国ファッション事業部のトップを務めたため、中国事業計画など当社の社外秘事項を知っている」と主張しています。
 これに対して、第一毛織側は「わが社の上海法人代表が空席だったとき、中国の新聞に採用広告を出したが、A氏はそれを見てやって来た。ヘッドハンティングではなく、経歴社員の正式な採用過程を通じ採用された」と反発しています。しかし、イーランド側は「A常務だけではない。B作戦本部長も第一毛織に転職し、ほかの幹部2人も第一毛織に移ろうと辞表を提出している。第一毛織側がイーランドの中核的なノウハウを持つ人材を引き抜いている」と主張します。第一毛織は「組織的に人材を引き抜いているというのは名誉棄損」としながらも、「優秀な経歴を持つ人材が自らこちらのドアをノックしてきているのに、拒否する会社があるだろうか」と反撃しています。
 第一毛織とイーランドは韓国ファッション業界で1、2位を争う企業だが、中国ではイーランドのほうが断然リードしています。イーランドは約20年前から中国市場に目を向け、今では約3000店舗を抱えています。97年に中国に進出し、ラピドなど5ブランドを発売している第一毛織との差は大きいのが現実です。イーランド側は「中国での事業は長年現地で積み重ねてきた“関係”が重要なため、一度中国に辞令を出した人材は呼び戻さず、中国で長く勤務させる体制だった。このように育てた人材を奪われたことになる」と主張しています。

◎観光客7人死亡、12人不明、中国重慶で洪水(2009年7月12日、産経新聞)
 12日の新華社電によると、11日午後、中国重慶市の渓谷をハイキング中の観光客が洪水に巻き込まれ、7人が死亡、12人が行方不明になった。16人は救出された。全員、中国人とみられる。
 現場付近では局地的な集中豪雨があり、川の水位が急速に上がり、洪水が発生したという。

◎ウルムチで石油タンク爆発、破壊行為でないと当局(2009年7月12日、産経新聞)
 新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区ウルムチ市北部にある中国国有石油大手、中国石油天然ガス集団の石油精製工場で12日午前10時(日本時間午前11時)ごろ、石油タンクが爆発、同日正午前に鎮火した。消防当局の話として伝えた。
 当局は、死傷者はおらず、爆発は破壊行為によるものではないとしている。現在、詳しい爆発原因を調べている。
 ウルムチでは5日に大規模な暴動が発生。漢民族とウイグル族との間で緊張状態が続いており、当局は武装警察部隊などを投入し、厳重な警戒態勢を敷いている。

◎石油タンク爆発、厳戒態勢のウルムチで(2009年7月12日、読売新聞)
 【中国総局】新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区ウルムチ北部にある中国国有石油大手「中国石油天然ガス(CNPC)」の石油精製所で、12日午前10時(日本時間同11時)頃、石油タンクが爆発した。
 同日正午前に鎮火した。これまでのところ、死傷者は伝えられていない。当局が爆発原因などを調べている。
 ウルムチでは今月5日に大規模な暴動が発生したばかり。中国当局は、武装警察部隊などを大量投入し、厳戒態勢をとっている。

◎インド、2028年に中国抜き人口世界一に=統計庁(2009年7月11日、朝鮮日報)
・韓国は2050年に641万人減の4234万人
 2028年からはインドが中国を抜き、世界で最も人口の多い国になるという見通しが発表された。一方、韓国の人口は2050年までに641万人減り、人口の順位が現在より20段階も下がるものと予想されている。統計庁は今月11日の「人口の日」にちなみ、報告書「世界および韓国の人口現況統計」で、「2028年にインドの人口は14億6400万人に達し、中国の人口14億6000万人を抜き、世界一の人口大国になるだろう」という展望を明らかにした。
 今年の中国の人口は13億4600万人で、世界一だ。次いでインド(11億9800万人)、米国(3億1500万人)、インドネシア(2億3000万人)となっている。しかし、2028年から中国とインドの人口が逆転し始め、2050年になるとインドの人口は16億1400万人に達し、中国の14億1700万人よりも約2億人多くなると推測されている。
 統計庁のチョン・ベックン人口動向課長は「中国は出産抑制政策を施行し、インドより出産率が低いため」と説明している。2005~10年のインドの合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の数)は2.76人だが、中国は1.77人だ。
 韓国でも少子高齢化が早く進み、現在の人口4875万人が2050年には4234万人へと641万人減少する、と統計庁では予想している。これほどの人口減少幅は、経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国のうち、日本(2550万人)、ドイツ(1166万人)に続き3番目に多い。このため、韓国の人口順位は2009年の26位から2025年には32位、2050年には46位へと下がり続けるものとみられている。また、韓国における65歳以上の高齢者人口比をみると、2010年は11.0%でOECD加盟国中27位だが、2050年には38.1%で1位になる見通しだ。

◎【ウイグル暴動】暴動死者数は184人、うち漢族が74%、当局発表(2009年7月11日、産経新聞)
 【ウルムチ=野口東秀】中国国営新華社通信などによると、新疆ウイグル自治区の当局者は、ウルムチ市で発生した暴動の死者数が10日深夜までに184人に上ったことを明らかにした。これまでの当局発表の死者数は156人だった。
 死者の民族別内訳は、漢族が137人(男性111人、女性26人)で全体の74%を占め、ウイグル族が46人(男性45人、女性1人)、回族の男性が1人としている。
 死者に関しては、治安当局がウイグル族に対して発砲したかどうかに関心が集まっている。現段階で当局は発砲の有無について正式な発表をしていない。
 暴動の死者数をめぐっては、亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長が10日、ワシントンで記者会見し、「中国当局の武力弾圧や漢族の攻撃により殺されたウイグル人は各地からの未確認情報を総合すると、5日から現在までで、最大3000人にも及ぶと私たちはみている」と述べた。

◎旭硝子、中国のブラウン管ガラス子会社を売却(2009年7月8日、日本経済新聞)
 旭硝子は8日、連結子会社の韓国電気硝子(韓国・亀尾市)が保有する中国のブラウン管ガラス製造・販売会社を中国企業に譲渡すると発表した。ブラウン管市場の縮小を受けた措置。旭硝子は2009年12月期連結決算で110億円の特別損失を計上する。
 10月に譲渡する湖南HEG電子玻璃公司(中国・湖南省)は、韓国電気硝子の100%子会社。湖南電子信息産業集団公司(中国・湖南省)など2社に全株式を無償で譲渡する。2社は湖南HEGの負債2050万ドル分を引き受ける。
 旭硝子は資産評価減などで09年12月期に特損を計上するが、連結業績予想には織り込み済み。湖南HEGの08年12月期の売上高は約66億円で、営業損益は約16億円の赤字だった。

◎中国:街は厳戒態勢、要所に銃持つ兵士の姿、カシュガルで(2009年7月8日、毎日新聞)
 【カシュガル(中国・新疆ウイグル自治区)浦松丈二】中国新疆ウイグル自治区ウルムチの暴動に続き、ウイグル族住民の抗議デモが発生した同自治区西部のカシュガルに7日、入った。ウイグル族が住民の8割以上を占めるオアシス都市に、同胞の死を悼む祈りが響く。市内の要所には自動小銃を持った兵士が配置され、住民たちの間に一触即発の緊張感が高まっていた。
 市中心部にある中国最大のモスク(イスラム礼拝所)「エイティガール寺院」。6日夜、200人以上のウイグル族住民が抗議デモのために集まろうとして、治安当局に排除された。
 「団結を強化し、分裂主義に反対しよう」。モスク前の大通りを走る宣伝カーからスローガンが聞こえてきた。モスクは7日も封鎖され、自動小銃を抱えた特殊警察隊が通行人を威嚇していた。通りをはさんだ市政府の敷地には軍用トラック7台と大勢の兵士の姿が確認できた。
 近くの路地でスモモを売っていたウイグル族農民のアブマイマイティさん(18)は「ウルムチの暴動も昨日のことも知らない」と言った切り、口をつぐんだ。ウイグル族の通行人たちも取材が暴動の話に及ぶと、逃げるように立ち去っていく。
 「お前は何ものだ」。突然、ウイグル族青年たちに囲まれた。自分は漢族ではなく、日本の記者と明かすと「危険だから敏感なことは聞かないほうがいい」と言い残し、足早に立ち去った。青年たちは地元当局の捜査を警戒しているようだった。
 モスクにほど近いカシュガル最大のバザール「中西亜国際貿易商場」。約4000の商店が軒を連ね、平日でも1日1万人の来客があるというが、客の姿はまばらだった。
 10年以上スカーフを売っているウイグル族のアイグリさん(32)は「普段は地元のウイグル族も漢族や外国人の観光客たちも大勢買い物に来るのに。これほど厳しい警備が敷かれたのは初めて」と話す。その直後、バザールに礼拝を呼びかける声が流れた。アイグリさんは封鎖されたモスクの方角を仰ぎ、悲しげな表情を見せた。

◎中国各地から日本へ個人旅行の第1陣が出発(2009年7月8日、産経新聞)
 中国人の日本への個人旅行が解禁され、第1陣の出発を記念する行事が8日、北京などの空港で開かれた。日本政府観光局北京事務所によると、この日に北京、上海、広州、杭州の4都市の空港から日本へ出発する中国人の個人旅行者は計約70人。
 中国人の日本観光はこれまで添乗員が同行するグループ旅行に限られていたが、経済成長に伴い海外旅行慣れした中国人が増え、日本への訪問でも個人旅行への要望が強まっていた。日本政府は、不法残留を防ぐため一定以上の経済力を持つ富裕層に限定する形で解禁した。
 観光査証(ビザ)の申請受け付けが北京の日本大使館や上海、広州の総領事館で1日に始まり、同日からの3日間だけで約190人が申請した。

◎「ウイグル族を何とかしろ」漢族、一部暴徒化(2009年7月8日、読売新聞)
 【ウルムチ(中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区)=牧野田亨】5日の暴動で死者156人を出した中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチでは7日、多くの犠牲者を出したとされる漢族住民数千人がウイグル族住民に反発して集結し、「ウイグル族を殺せ」などと気勢を上げた。
 一部は暴徒化し、ウイグル族の商店を襲撃するなど民族対立が先鋭化している。新疆の地元当局は7日、事実上の夜間外出禁止令を出し、民族対立が激化し、社会の安定を揺るがす事態にならないように冷静な対応を呼びかけた。
 ウイグル族の店が並ぶ市中心部の解放南路。午後に入り、金属棒や木製の棒を握りしめた漢族住民がウイグル族の屋台をひっくり返し、食堂や建物の窓ガラスをたたき割った。武装警察部隊が催涙弾で鎮圧したが、住民たちはその後、市中心部をデモ行進した。
 ある漢族男性(26)は5日夜からナイフを携帯している。「あいつら(ウイグル族)がまた何か起こしたら、これで刺すためだ」
 「暴動の時、子供が殺されるのを見た。あいつらこそ何とかしろ」。別の場所では、住民を退散させようとする警官に、漢族女性は食ってかかる。「漢族は団結しろ」とかけ声が上がる。
 近くのウルムチ駅では、ウイグル族約30人が乱入し投石、数百人の利用者が駅舎に逃げ込む騒ぎが起きた。こうした騒乱が各地で起き、漢族の不安が、怒りに変わって爆発した。5日の暴動直後から、漢族の職場や居住区では「自警団」結成の動きが相次いでいた。
 ウルムチは漢族住民が増加し、ウイグル族を含む少数民族は人口の約4分の1。地元政府機関トップは漢族が占め、漢族とイスラム教徒のウイグル族とは、居住区も別。ウイグル族は顔の彫りが深く、両民族の違いは一目瞭然(りょうぜん)だ。
 ウイグル族居住区にも7日、漢族数百人が押しかけ、双方が投石を始めた。ウイグル族の男性は「ウイグルの女性が漢族に殴られ、けがをしたと聞いた」と、深くため息をついた。
 自治区トップの王楽泉・共産党委員会書記はテレビ演説を行い、「漢族の行動は社会の秩序を混乱させた」と批判、漢族とウイグル族双方に自制を呼びかけた。

◎金持ちだけですが、中国人の個人旅行解禁(2009年7月8日、スポーツニッポン)
 中国人の日本への個人旅行が解禁され、第1陣の出発を記念する行事が8日、北京などの空港で開かれた。日本政府観光局北京事務所によると、この日に北京、上海、広州、杭州の4都市の空港から日本へ出発する中国人の個人旅行者は計約70人。
 中国人の日本観光はこれまで添乗員が同行するグループ旅行に限られていたが、経済成長に伴い海外旅行慣れした中国人が増え、日本への訪問でも個人旅行への要望が強まっていた。日本政府は、不法残留を防ぐため一定以上の経済力を持つ富裕層に限定する形で解禁した。
 観光査証(ビザ)の申請受け付けが北京の日本大使館や上海、広州の総領事館で1日に始まり、同日からの3日間だけで約190人が申請した。

◎中国:ウルムチに夜間外出禁止も、漢族の一部に報復の動き(2009年7月7日、毎日新聞)
 【カシュガル<中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区>浦松丈二】中国新疆ウイグル自治区で起きた大規模暴動を受け、区都ウルムチでは7日午後、鉄パイプなどを手にした漢族住民1万人以上が、ウイグル族への復讐(ふくしゅう)を訴えて抗議デモを行った。新華社通信によると、同自治区の王楽泉・共産党委員会書記は7日、混乱が広がるのを避けるため、ウルムチを対象に同日午後9時(日本時間同10時)から8日午前8時(同9時)まで全面的な交通管制を敷き、車での夜間外出を禁止すると発表した。
 ロイター通信によると、漢族のデモ参加者のうち数百人がウイグル族と衝突した。警官隊が催涙弾で鎮圧しようとしたが、デモ隊は投石などで抗戦した。一部が暴徒化し、ウイグル族の商店などを破壊したとの情報もある。
 ウルムチでは7日午前、家族が拘束されたことに抗議するウイグル族住民数百人が報道関係者の乗ったバスを取り囲み、警官隊と小競り合いとなった。
 新華社通信によると、デモの引き金となったとされる広東省の玩具工場での乱闘に絡み、警察当局が15人の身柄を拘束した。うち新疆ウイグル自治区出身者3人を含む13人については、乱闘に加わった容疑がもたれ、残る2人は同自治区出身者が従業員女性に性的暴行を加えたとするうわさをネット上で広げた疑いがもたれている。
 ロイター通信によると、世界の亡命ウイグル人で組織する「世界ウイグル会議」の代表で、米国亡命中のラビア・カーディルさん(62)は6日、同会議がデモを扇動したという新華社通信の報道について「全くのうそだ」と否定した。

◎中国・新疆、漢民族1万人暴徒化、「反ウイグル」対立激化(2009年7月7日、日本経済新聞)
 【ウルムチ(中国新疆ウイグル自治区)=尾崎実】中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチの混乱が続いている。7日には漢民族1万人以上が暴徒化してウイグル族が経営する商店を襲撃するなど暴動は拡大した。双方が被害者意識を強めており、民族間の対立がさらに激化。事態の混迷が深まるなかで、同自治区の王楽泉共産党委員会書記は7日、車での夜間外出禁止令を発令した。
 中国当局によると7日までの暴動の犠牲者は156人。民族別の内訳は「公安当局が調査中」(ウルムチ市長)。ウイグル族側は発端となった5日の暴動を「平和的なデモ」と主張しているが、当局の発砲で死者が出たのか、当局が指摘するように「暴力的なデモ」で漢民族が被害を受けたのかはっきりしない。
 ウイグル族の死者が多数なら鎮圧方法の是非が問われ、漢民族が多ければウイグル族への怒りにさらに火を付ける。当局は大量の部隊を投入しながら事態収拾の兆しは見えず、民族問題という中国の難題の根深さを改めて浮き彫りにした。

◎中国・人民日報、ウイグル暴動を「民族分裂行動」(2009年7月7日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国西部・新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで発生した大暴動を受けて、中国共産党機関紙「人民日報」は7日、「強力な措置で暴力犯罪に厳しく打撃を加え、断固として社会の安定を維持せよ」と訴える評論員論文を掲載した。
 今回の暴動を「民族分裂行動」と位置付け、徹底鎮圧する方針を宣言したものだ。チベット族など他の少数民族への波及を阻止しようとする胡錦濤政権の決意表明でもある。
 論文は「これは祖国統一を防衛し、民族団結を守り、社会安定を維持するための激烈な闘争だ」として、破壊活動への参加者に厳罰を科す方針を強調した。その上で、「ゴタゴタを起こして国家を分裂させようとするいかなる行為にも断固打撃を与えるべきだ」「旗幟(きし)鮮明に民族分裂主義に反対しなければならない」と、民族暴動を絶対に阻止する姿勢を表明した。
 当局は、鎮圧を正当化するための宣伝も本格化した。人民日報が発行する国際問題専門紙「環球時報」は7日、暴動についてインターネットサイトで実施した世論調査の結果を掲載。それによると、参加した4万人の95%以上が「非常に憤慨している」「厳罰に処すべきだ」と回答した。
 胡政権はウルムチ暴動を昨年3月のチベット族によるラサ暴動と同様に、「民族分裂行動」と位置づけ、国内を「分裂反対」一色でまとめる狙いだ。背景には「複雑な民族問題を抱え、全国的な波及を恐れる胡政権の危機感がある」(中国筋)という。
 中国の55の少数民族人口は全体の約8%だが、民族自治地域の面積は国土の約64%を占める。地下資源が豊富だが、発展から取り残された地域が多い。政権は「民族自治」地域を設け、チベット、新疆ウイグル、内モンゴル、寧夏回族、広西チワン族の五つが省レベルの自治区を持つ。チベットとウイグルが最も不安定だが、他の地域でも摩擦の火ダネはくすぶっている。
 2004年には、河南省鄭州でイスラム教を信仰する回族と漢族の住民同士が衝突、多数の死傷者が出た。回族の運転する車に漢族の少女がはねられ、死亡したのが発端だった。経済格差などをめぐる日常的な不満が背景にあり、小さなトラブルが大きな騒乱へと発展する構図となっている。

◎暴動端緒、ウイグル族死亡事件の容疑者拘束、中国警察(2009年7月7日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】7日の新華社電によると、新疆ウイグル自治区ウルムチでの暴動の発端となったとされる中国広東省のウイグル族労働者死亡事件で、警察当局はウイグル族3人を含む容疑者15人を拘束した。
 この事件は、先月下旬、同省の玩具工場で漢族とウイグル族の労働者が衝突し、ウイグル族2人が死亡したもの。ウイグル族の住民多数が、自治区政府に事件の真相究明を求めて集まり、警官隊と衝突して暴動に発展したとされる。中国当局は、事件を適切に処理していると宣伝し、ウイグル族の不満を和らげようとしているとみられる。

◎【ウイグル暴動】ウルムチで再び衝突、カシュガルでも暴動の動き(2009年7月7日、産経新聞)
 【ウルムチ=野口東秀】中国・新疆ウイグル自治区で起きた暴動で、ウルムチでは7日午前、ウイグル族住民約200人が家族が拘束されたことに対する抗議行動を行い、再び警官隊と衝突した。この衝突での死傷者は確認されていないが、暴動の死者は16人増えて156人となり、負傷者も1080人に上っている。
 また、中国国営新華社通信は7日、同自治区カシュガルで6日夜、200人以上の住民が中国最大のモスク(イスラム礼拝所)「エイティガール寺院」に集まろうとしたところを警察が排除したと伝えた。
 当局はウルムチのほか、ウイグル自治区内のカシュガル、イリ・カザフ自治州、アクスでも暴動を扇動し、組織しようとする動きがあるとしている。
 香港の人権団体によると、当局はカシュガルなどウイグル独立派の活動が盛んな同自治区内の4地域に、3万人を超える治安部隊を配置、厳戒態勢を敷いている。
 中国指導部が最も懸念するのは、ウイグル族の不満が連鎖的に爆発し、周辺各地に暴動が飛び火することだ。他の少数民族にも波及すれば、事態の深刻化は免れない。当局は現地でインターネットを遮断し、国際電話をかけられないようにするなど情報統制をさらに強化する見通しだ。 
 ウルムチの暴動では、車両261台や商店203軒が焼かれたり、壊されたりしたとする当局は、すでに主導的な役割を果たした人物やグループに対する捜査を進めており、これまでにウイグル族ら約1434人を拘束した。

◎【ウイグル暴動】路上に並ぶ遺体、当局、生々しい暴動映像を配布(2009年7月7日、産経新聞)
 【ウルムチ=野口東秀】中国・新疆ウイグル自治区で起きた暴動で、中国当局はインターネットおよび国際電話を規制を講じるなか、ウルムチ市の指定したホテルに小さな「臨時プレスセンター」を設置し、外国メディア向けに当局が撮影した映像を提供したり、取材ツアーのアレンジをしたりする異例ともいえる素早い報道対応をしている。
 プレスセンターでは、相次いで現地入りした記者を市内の病院に案内し、入院中の被害者への取材を斡旋(あっせん)するなどしている。
 ウルムチ市当局が6日、外国メディアに配布した映像には、暴動の生々しい様子が収められていた。当局が5日に撮影したもので、約7分間。襲撃で死亡し頭から血を流して路上に横たわった多数の住民の姿や、暴徒に襲撃され泣き叫ぶ漢族の女性、炎上するバスの様子などが収録されている。
 昨年発生したチベット騒乱やウイグル自治区各地でのテロ事件ではこうした対応はとっておらず、外国記者が暴力を受けたり、拘束されたりする事態が相次いでいた。
 今回の対応には、当局の鎮圧の正当性を国際社会にアピールしながら、外国メディアを1カ所に集め、コントロールする狙いがあるとみられる。

◎新疆暴動、中国メディアが異例の報道ぶり(2009年7月7日、日本経済新聞)
 【北京=高橋哲史】中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで発生した暴動について、中国メディアは異例の大きな扱いで報道を続けている。7日付の中国各紙は1面トップで「暴力事件」の見出しを掲げ、今回の暴動が分離独立勢力による組織的な「犯罪」であると印象づける報道ぶりになっている。10月に建国60周年を控え、社会安定を最優先に掲げる中国指導部の意向がうかがえる。
 北京の大衆紙「新京報」は7日、1面トップに焼けこげた乗用車やバスが放置されたウルムチ市内の写真を掲載し「捜査当局が暴力犯罪分子の拘束に全力を挙げている」と報じた。国営の中央テレビも、暴徒に襲われ病院で治療を受ける被害者の映像を繰り返し流している。

◎中国・新疆暴動、ウイグル族に根強い不満(2009年7月7日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで5日に起きた暴動の死傷者は6日までに900人を超えた。住民と制圧部隊の衝突の激しさは、地域間、民族間の経済格差など、ウイグル族が抱えた不満の根深さを物語る。10月に建国60周年を控え、社会安定を最優先に掲げる中国指導部は武装警察を大量投入。しかし、力ずくでの封じ込めは、少数民族の反発を一層増幅させる危うさもはらんでいる。
 「警官隊が群衆に向かって突然発砲し、人びとがバタバタと倒れた。道ばたには漢民族もウイグル族も関係なく、血だらけの男女が横たわっていた」。ウイグル族の男性住民(32)が発生当時の様子を振り返る。6日までに日本経済新聞記者が現地に電話取材したところ、衝突の実態や背景が明らかになってきた。5日午後7時半(日本時間同8時半)ごろ、ウルムチ市中心部に住民らが続々と集まり出し、デモ隊は数千人規模にまで膨らんだ。「ウイグルに自由を」などと叫んだ民衆は、制圧に向かった警官らにレンガや石を投げつけ始めた。街中に発砲音が響いたのは、その直後だった。

◎ウイグル騒乱、死者156人に、当局、1434人を拘束(2009年7月7日、朝日新聞)
 【ウルムチ(新疆ウイグル自治区)=奥寺淳、北京=坂尻顕吾】中国の国営新華社通信が7日、警察当局の話として伝えたところによると、中国・新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで5日に発生した騒乱の死者はさらに16人増えて156人に達し、負傷者は1080人に上った。同通信は死者は男性が129人、女性が27人としているが、漢族やウイグル族など民族の内訳は明らかにしていない。また、地元警察当局が騒乱に関与した疑いで1434人を拘束したと伝えた。
 ウルムチのほか、自治区西部のカシュガル、アクス、北西部のイリカザフ自治州でも組織的な騒乱の兆候があったとしている。カシュガルでは6日、地元の有名モスクに200人以上が集結。地元警察当局が解散させたという。
 ウルムチでは、7日朝にかけて装甲車や大量の武装警官が夜通しでウイグル人居住区に厳戒態勢を敷いた。インターネットは遮断されている。
 騒乱現場の近くに住むウイグル族男性は騒乱を目撃し、銃声も聞いたというが、「警官が来て大勢のウイグル族が連行された」と話した。
 騒乱が起きたウイグル族居住区には普段は漢族もいるが、事件後は漢族の姿は見あたらない。双方が「相手に襲われた」と主張し、当面はお互いが近寄らない状態になっている。

◎中国:犬にも一人っ子政策、増え過ぎで制限(2009年7月6日、産経新聞)
 【上海・鈴木玲子】中国広東省広州市は今月から、条例で飼い犬を1世帯当たり1匹に制限した。無登録のペット増加に頭を抱えた市当局が管理強化を狙ったとみられるが、複数の犬を飼う愛犬家からは悲鳴が上がっている。ペット店に愛犬を避難させる飼い主が急増。市民からは人口抑制政策「一人っ子政策」になぞらえ、「犬にも『一人っ子証明』が必要なのか」との不満が噴出している。
 条例は大型の「危険な犬」を飼うことも禁止。違反者には、犬の没収や最高2000元(約2万8000円)の罰金が科せられる。
 複数または禁止された大型犬を持つ飼い主は途方にくれる。愛犬家のサイトには「誰が我が家に踏み込んできてもうちの子(ペット犬)は絶対に守ってみせる」などの悲痛な声があふれる。地元紙によると、街には捨てられたペットと見られる野良犬が増えた。当局に処分を依頼する飼い主もいる。

◎中国新疆でウイグル族暴動、3千人規模、2人死亡か(2009年7月6日、産経新聞)
 【北京=共同】新華社電によると、中国西部の新疆ウイグル自治区ウルムチで5日午後、住民らが通行人を襲い道路を遮断、車に火を付けるなどの暴動が起きた。香港メディアは同日、ウイグル族関係者の話として、約3千人のウイグル族がデモに参加、多数の警官と衝突し、2人が死亡、300人が拘束されたと報じた。
 中国では6月下旬、広東省韶関市の玩具工場で、同自治区から出稼ぎに来ていたウイグル族の労働者が漢民族に襲われ2人が死亡、漢民族を含む118人が負傷する事件が起きており、反発したウイグル族が暴動を起こしたという。
 今年10月に建国60周年を控え、中国政府が少数民族に対する引き締めを強めていることも不満の背景にあるとみられる。同自治区では、昨年8月、警官襲撃など北京五輪妨害を狙ったテロが相次いだ。

◎暴動で住民ら多数死亡、中国・ウルムチ、車両や商店破壊も(2009年7月6日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国国営新華社通信は6日、新疆ウイグル自治区ウルムチで5日夜、暴動が発生し、多数の一般市民と武装警察官1人が死亡、20人以上が負傷したと伝えた。当局は暴徒を逮捕し、暴動を鎮圧したとしている。ウイグル族の漢族に対する強い反感が背景にあり、暴動の規模は、数千人規模とみられる。
 暴動では、多数の車両や商店が放火され破壊されたほか、ナイフや石などを手にした暴徒が通行人を襲撃したもよう。タクシーの運転手は携帯電話や現金を奪われたとしている。当局は高圧電流警棒や威嚇射撃で鎮圧したが、武装警察部隊が展開しており、緊張が続いている。
 新華社通信は、在外ウイグル人組織「世界ウイグル会議」が暴動を主導したとする地方政府関係者の話を伝えており、当局は暴動がインターネットなどで組織されたとの見方を強めているようだ。同組織は、「ウイグルの母」と呼ばれ、ノーベル平和賞候補として名前が挙がったことがある在米ウイグル人の人権活動家、ラビア・カーディルさんが率いている。
 同自治区のヌル・ベクリ主席は談話を発表し、暴動の背景には広東省の工場で先月26日に発生した漢族とウイグル族の衝突があると指摘した。広東省韶関市の香港系玩具工場で、「ウイグル人が漢族の女性を乱暴した」とのうわさが広がったことで、100人以上の漢族労働者が鉄パイプなどでウイグル族労働者を襲い、2人が死亡、漢民族を含む100人以上が負傷した。
 ウルムチでの暴動は、広東省での襲撃事件にからんだウイグル人の漢族に対する“報復”ともみられ、新華社電は、当局者の話として漢族の一般市民3人が死亡したとも伝えている。
 新疆ウイグル同自治区では、昨年8月、北京五輪妨害を狙ったテロが続発した。このうち、武装警察部隊襲撃事件でウイグル族の男2人に死刑判決が言い渡されている。
 中国では、10月の建国60周年を前に各地で暴動が相次いでおり、当局は特に少数民族問題への対応に苦慮しそうだ。

◎新疆ウイグル自治区で暴動、住民多数が死亡(2009年7月6日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで5日午後、地元住民による暴動が発生し、住民多数と武装警察官1人が死亡、20人以上が負傷した。
 警察当局が暴動を鎮圧したが、現地では、多数の車両が放火され、商店も破壊された。
 香港メディアは、暴動がウルムチ中心部の数か所に広がり、約300人が拘束されたと伝えた。広東省の玩具工場で6月下旬に発生した漢族とウイグル族労働者の衝突事件を巡り、約3000人のウイグル族が5日午後、自治区政府に説明を求めてデモを実施、警官隊が鎮圧に当たる中で、暴動に発展した模様だ。抗議行動が同自治区の別の都市で計画されているとの情報もある。
 地元当局は、ノーベル平和賞候補にも名前の挙がる在米ウイグル人の人権活動家、ラビア・カーディルさん率いる亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」がインターネットを通して暴動を主導したと非難した。
 ウイグル族の人権問題などに取り組む日本ウイグル協会は6日、本紙に、ウイグル族17人が治安部隊車両の下敷きとなり死亡したほか、警察側の無差別発砲で死者多数が出たとの情報を明らかにした。

◎中国国有投資、カナダ資源会社に出資、積極投資を再開(2009年7月6日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国国有投資会社の中国投資(CIC)は、カナダの資源会社テック・リソーシズに15億ドル(約1400億円)を出資すると発表した。金融危機による投資環境の悪化で大規模な投資を控えてきたが、株式相場の回復などを受け、再び積極的な姿勢に転換する。
 発表によると、出資後の持ち株比率は17.2%。購入した株式は「少なくとも1年間は保有する」としている。CICによる資源会社への大規模な投資は初めて。
 中国は最近、オーストラリアの資源会社に出資するなど、石油や鉄鉱石といった資源権益確保への動きを強めており、今回の出資もこの方針に沿ったものとみられる。
 巨額の外貨準備を積極運用する目的で07年9月に設立されたCICは、米投資会社ブラックストーンや米金融大手モルガン・スタンレーに相次いで出資してきた。だが、その後の金融危機で評価損が膨らんでいた。

◎セブン&アイ、北京にレストラン、3年後には30店規模(2009年7月6日、朝日新聞)
 セブン&アイ・ホールディングス(HD)は7月下旬、地元企業と合弁で、北京市内にファミリーレストラン「オールデイズ 大望路店」を出店する。同HDによる中国でのレストラン出店は初めて。
 1号店は北京中心部のビジネス街にあるビルの1階に入る。「北京にはファミレス形態の店がほとんどない」(広報)といい、ハンバーグやパスタなど、同HD傘下のデニーズの洋食メニューを導入して顧客層の拡大を図る。客単価は45元(約630円)前後を想定している。
 同HDは年内に北京市内で3、4店、3年後には中国で約30店を出店する計画だ。

◎中国・新疆ウイグル自治区で騒乱、市民に多数の犠牲者か(2009年7月6日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国西部の新疆ウイグル自治区のウルムチ市で5日夜、大勢の市民が参加した騒乱があり、武装警察と衝突した。国営新華社通信によると、多数の市民と武装警官1人が死亡、20人以上が負傷。当局は同日深夜までに事態を沈静化させたとしているが、騒乱の規模などは明らかにしていない。
 新華社通信によると、騒乱が起きたのは同日午後8時ごろ(日本時間同9時ごろ)。ウルムチ市の人民広場や解放路、大バザール(市場)などで多数の車両が焼かれ、多くの商店が破壊された。
 事件の背景について、新華社は「民族分裂を図るウイグル族系のグループが最近、ウェブサイトなどを通じて騒ぎを扇動していた」と指摘。今回の騒乱について「国外から指揮と扇動を受け、国内の組織が実行した計画的、組織的な暴力犯罪」と伝えた。
 一方、香港紙の明報によると、騒乱はデモに参加した約3千人のウイグル族が武装警官と衝突して起きたもので、少なくとも2人が死亡、約300人が当局に拘束された。広東省韶関市の玩具工場で6月下旬、ウイグル自治区から出稼ぎ中の労働者が漢族に襲われて2人が死亡、漢族を含む118人が負傷する事件が起きており、この事件に対する当局への不満が騒乱の背景にあるとしている。
 同自治区では北京五輪直前の昨年8月上旬、カシュガル市で国境警備隊が襲撃され、警官32人が死傷するテロがあった。今年10月には建国60周年を迎えるため、各地で予定される式典に向けて中国当局は少数民族に対する監視と引き締めを強めている。
 在日ウイグル族でつくる日本ウイグル協会が、現地の複数の目撃者から集めた情報によると、今回の騒乱で治安部隊の車両の下敷きになり、少なくとも市民17人が死亡。また、治安部隊の発砲で死者が100人を超すとの情報もあるという。
 ただ、日本時間6日午前2時から現地との電話やインターネットの接続が遮断されており、その後の詳しい状況は把握できていない。

◎けた違いの汚職にびっくり、カジノ豪遊に幹部ポストの“販売”(2009年7月4日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国紙によると、深●(=土へんに川)発展銀行(広東省深●(=土へんに川)市)の支店長だった羅苑棠被告が現役当時、訪れたマカオのカジノで大豪遊し、3400万元(約4億7600万円)も負けたという。このほど拘束された同市の許宗衡・元市長も、人事権を乱用して、幹部ポストを部下に“販売”していたというから驚きだ。日本の新聞なら1面トップ級の大ニュースだが、腐敗がはびこる中国では犯罪規模もけた違いだ。
 羅被告は昨年、27歳という若さで支店長に就任してまもなく、マカオを訪れてはカジノにおぼれた。マカオのカジノといえば、中国官僚が公金で豪遊する話は有名で、大負けして自殺者までいるという。ご多分に漏れず、羅被告も負け続け、莫大な借金を抱える結果となり、地元団体の預金4000万元(約5億6000万円)を不正流用して返済に充てたという。逃亡していたが、湖南省で拘束され、1日の初公判で起訴事実を認めた。
 一方、香港紙によれば、許元市長は市長の立場を利用して、「人事」を“販売”。区長級ポストが1000万元(約1億4000万円)以上、局長級ポストなら500万(約7000万円)から600万元(8400万円)とし、受け取った金は懐に入れていた。許元市長自身も市長に就任するため、数百万元を使ったと指摘する報道もある。
 許元市長は“地下鉄市長”との異名もあり、地下鉄などの公共工事にからみ、わいろを受領していたとみられている。拘束された元市長は現在、「わいろ受領」「官職買収行為」など3つの容疑で取り調べを受けている。

◎中国:マンション倒壊、手抜き工事否定、上海市発表(2009年7月4日、毎日新聞)
 【上海・鈴木玲子】中国上海市で先月27日、建設中のマンションが倒壊し、作業員1人が死亡した事故で、同市政府は3日、事故調査結果を発表した。建物の南北で地盤にかかる圧力バランスが崩れたため、建物の支柱が耐え切れなくなり、倒壊を招いたという。
 調査結果によると事故当時、建物の北側に建設残土が高さ約10メートルまで積み上げられていた。一方、南側では地下駐車場工事のため、地面が深さ4.6メートルまで掘削されていた。北側の建設残土は南側の掘削工事で生じたものだった。
 事故後、業者による手抜き工事の可能性を指摘する声が相次いだが、市は「建物の構造設計や支柱に使用したくいの材質などに問題はない」と否定した。
 事故を巡っては、マンション購入者400人以上が契約破棄や返金などを求めて開発業者に殺到する騒ぎになっている。

◎香港でもタミフル耐性ウイルス、服用していない少女から(2009年7月4日、朝日新聞)
 【香港=小林哲】香港衛生署の発表によると、香港で新型の豚インフルエンザに感染した少女(16)から、抗ウイルス薬タミフルが効かない耐性ウイルスが検出されたことがわかった。少女は症状が軽くタミフルを服用しておらず、なぜ耐性ウイルスに感染したかはわかっていない。
 同ウイルスはデンマークと大阪の患者からも見つかっており、世界で3例目。
 少女は6月11日に米サンフランシスコから帰国。空港で症状が確認され、18日まで隔離されていた。検出された耐性ウイルスは、別の抗ウイルス薬リレンザは有効という。
 香港政府は、タミフルを約2千万錠、リレンザを約200万錠備蓄している。香港では3日、新たに44人の患者が確認され、感染者は計901人に達した。

◎宮本大使への機密提供で懲役18年確定、新華社前局長(2009年7月3日、産経新聞)
 北京市高級人民法院(高裁)は3日までに、宮本雄二駐中国大使らに国家機密を渡したとしてスパイ罪などに問われた国営通信、新華社の前外事局長、虞家復被告(62)に対し、懲役18年を言い渡した一審判決を支持し、控訴を棄却した。中国は事実上二審制のため有罪判決が確定した。
 一審判決などによると、虞被告は中国の対北朝鮮政策の変化などについての情報を提供し、その見返りとして宮本大使から計20万7000元(約290万円)を受け取ったほか、韓国の元外交官からも同様に金品を受け取っていた。
 これに対し、虞被告側は「渡したのは機密情報ではない」と控訴。二審は書面審理のみで、弁護側が申請した宮本大使の証言などは認められなかった。
 宮本大使は一審判決後の5月中旬に記者会見し、「中国の法令を順守してきたつもりだ。何の問題もない」としていた。

◎中国共産党、幹部登用で「社会の安定維持」を評価(2009年7月3日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国国営新華社通信によると、中国共産党は社会の安定に対する成果を重視した、指導幹部や指導グループへの評価制度を導入する。胡錦濤国家主席は「党の団結を高めなければならない」と強調しており、10月1日の建国60周年に向け、次世代の幹部を登用し、幹部登用への透明性を高めて民衆の信頼を得るのが狙いだ。
 胡主席は先月29日、政治局会議を開き、幹部評価制度を確立し、民衆から支持を得られる人材を配置する必要性を訴えた。
 具体的には「経済・社会の協調した発展」という原則下で、「社会の安定維持」、「社会保障と民衆生活の改善」で実際の成果を評価するという。
 社会の安定を重視する背景には、経済格差や社会保障への不満、地方官僚の腐敗、横暴などに対し、各地で暴動などが相次いでいるという事情がある。次世代の有能な幹部を各地の重要ポストに配置することにも、社会の安定を図る狙いが含まれている。
 公式発表では、2008年末の中国共産党の党員数は約7593万人。新中国成立直後の1949年と比べ17倍の数となっている。党の末端組織数も約372万で19倍だ。
 組織の肥大化で腐敗が蔓延(まんえん)する結果を招く一方、中央の政策に背き、地元財界と一体となって“利益追求集団”と化した地方組織もあり、こうした状況は庶民の強い反感を買っている。

◎中国の学生企業家、富豪番付トップは資産140億円、IT目立つ(2009年7月3日、産経新聞)
 大学生で既に10億元(約140億円)の資産家も-。中国の大学生起業家の2009年長者番付(100人)がこのほど発表され、情報技術(IT)関連企業を中心に平均資産は2600万元(約3億7000万円)に上った。
 中国校友会のサイトなどによると、資産10億元の学生富豪トップは浙江省杭州市でネットゲーム企業を経営する浙江理工大の金津さん(25)。オンラインゲーム好きが高じて05年に資本金わずか5000元で起業。若者数100万人が利用する3次元立体(3D)の人気ゲームを開発した。
 最年少は広東省深セン市で広告業などを営む丁仕源さん(19)。53位で資産は300万元(約4200万円)だった。女性はトップ10人に2人が入り、共に資産1億元。
 100人のうち40%がIT関連で、トップ10中8人がIT関連のビジネスで稼いでいた。

◎中国共産党員7593万人に(2009年6月30日、産経新聞)
 新華社電によると、中国共産党中央組織部は7月1日の同党創立記念日を控えた30日、党員数が昨年末で7593万1000人になったと明らかにした。前年の2007年末より177万8000人増えた。
 08年末の人口は13億2802万人で、共産党員の割合は5.7%。

◎「あっ、去年の映像だ!」、中国中央テレビ、ネットで厳しく批判され、編集者を解雇(2009年6月29日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】北京紙、新京報などによると、中国国営中央テレビ(CCTV)は28日までに、ニュース番組の映像を捏造したとして編集者を解雇した。この編集者は今月7日に放送された全国大学統一入試を伝える報道で、1年前の映像を当日に撮影されたものとして使用したが、ひょんなことから捏造が発覚した。
 問題となったのは、看板ニュース番組「新聞聯播」の中で放送された3分弱のニュース。大学入試初日の試験会場周辺の様子を伝える映像のなかに、一瞬だが、「北京五輪まであと63日!」という幕が掲げられたバスが画面に現れた。
 それに気づいた視聴者がすぐにその映像をネット掲示板にアップし、「中央テレビの記者は取材をさぼり、昨年の映像で視聴者をごまかしている」と非難を始めた。北京五輪が昨年8月8日に開幕したため、その63日前は、ちょうど昨年の大学入試時期と一致する。
 視聴者からの抗議を受けて局側は調査を開始、放送から2日後の9日、1年前の映像を使用したことを認め、ホームページで謝罪した。局側は「取材チームは現場に着いたが、突然雨が降り出したため、いい映像が撮れなかった。別の記者に協力を求めたところ、その記者は勘違いし、昨年の映像を局に送った。その日の担当編集者は内容をよくチェックせず、番組を制作した」などと釈明した。
 しかし、こうした釈明は視聴者を納得させることはできず、ネットでは「中国で最も権威あるテレビ局がこんな姿勢でニュース番組を作っていいのか」「今回は動かぬ証拠があるから認めたけれど、いつも私たちをだましているのではないか」といった批判があふれ、局側に対し、経緯の詳細な説明と関係者の処罰を求める意見が多かった。今回、担当編集者が解雇されたのは、こうした世論の厳しい批判を受けたためのようだ。
 中国のネットで出回っている6月7日に放送されたニュース映像の1カット。バスの前の幕に「北京五輪まで63日!」の文字が読める(矢板明夫撮影)

◎中国、石油備蓄2.6倍に、5年後メド、4000億円かけ新基地(2009年6月29日、日本経済新聞)
 【北京=多部田俊輔】中国政府は国家戦略石油備蓄量を5年後をメドに現在の2.6倍の2億7000万バレルに増やす。浙江省などにある第1期備蓄基地の原油充てんがほぼ完了し、年内にも第2期の備蓄基地の建設に着手する。投資額は300億元(約4200億円)規模。国家エネルギー局幹部が明らかにした。世界2位の石油消費国である中国の備蓄動向は世界の石油市場に一定の影響を及ぼしそうだ。
 中国が近く建設に着手する第2期備蓄基地は、8カ所で構成し、合計備蓄量は2680万キロリットル(1億6900万バレル)。「5、6年以内には大半の基地を完成させ、順次充てんを始めていく」(同局幹部)という。

◎アジア最大級の鉄鉱石鉱床、中国・遼寧省で発見(2009年6月29日、朝日新聞)
 【瀋陽=西村大輔】中国遼寧省本渓市でこのほど、アジア最大とみられる巨大な鉄鉱石鉱床が発見された。同市によると、推定埋蔵量は少なくとも30億トンとみられる。
 地元報道によると、10年に生産が開始され、15年には年産500万トンに達する見通し。今後、調査が進めば、埋蔵量は70億トン以上に達すると推測されており、世界最大の規模になる可能性もあるという。
 中国は世界最大の鉄鉱石輸入国で、年間需要の6割、約4億トンを輸入に頼っている。巨大鉱床の発見は、鉄鉱石の価格安定に寄与すると期待されている。一方、専門家からは、鉱床が深く、含有量もあまり高くないため、コストがかかるなどの懸念も指摘されている。

◎建設中マンションが根元から倒壊、上海、1人死亡(2009年6月29日、朝日新聞)
 【上海=奥寺淳】中国上海市閔行区で27日早朝、建設中の13階建てマンションが突然根元から倒れ、作業員1人が死亡した。現場では複数の棟を建築、分譲しており、マンション購入者100人以上が開発業者の事務所に押しかけ、代金返還を迫っている。
 目撃した男性によると、ゆっくり傾き、45度近くまで建物が斜めになったところでドーンと倒れたといい、「別の棟を買ったが、怖くて入居できない」と怒り心頭だ。
 倒壊したマンションを約200万元(約3千万円)で購入した男性は「建築構造や材料に問題がある。返金を求めているが、業者や地元政府から答えはない」と話す。
 原因は不明だが、地元の報道によると、26日にそばの川の堤防が崩れかけたため、建物と川の間に大量の土を積み上げていた。地下駐車場を建設中だったとの情報もある。

◎中国の検閲ソフト義務化問題、日本が2国間協議を検討(2009年6月28日、日本経済新聞)
 【ジュネーブ=藤田剛】中国が7月から国内で販売するすべてのパソコンに中国製の「検閲ソフト」の搭載を義務付ける問題に関して、日本政府は中国に2国間協議を要請する検討に入った。中国は世界貿易機関(WTO)の会合で義務化の正当性を主張したが、検閲ソフトが対中貿易の障壁になる懸念が強いため、改めて2国間協議の場で見直しを求める。
 6月25、26日に開かれたWTOの貿易の技術的障害(TBT)に関する会合で、米国と欧州連合(EU)は検閲ソフト「グリーン・ダム」の搭載義務化に懸念を表明して中国に撤回を要求。日本も同調した。しかし、中国は「青少年をネット上の違法なコンテンツから守るための正当な措置」と反論し、撤回に応じない方針を示した。

◎中国の工場でウイグル族と漢族が衝突、2人死亡(2009年6月27日、読売新聞)
 【香港=竹内誠一郎】香港紙の明報は27日、中国広東省韶関市の香港系大手おもちゃ工場で26日に、新疆ウイグル自治区から雇用された少数民族ウイグル族と漢族の従業員同士が衝突し、ウイグル族の2人が死亡、双方の計118人が重軽傷を負ったと報じた。
 明報によると、工場の従業員は約8000人。ウイグル族約600人が採用された5月から、女性従業員への乱暴などの事件が相次ぎ、ウイグル族の仕業と見なした一部の漢族が宿舎を襲った。経営者は明報に対し、「衝突は生活習慣の違いが主な原因」と説明した。

◎中国の検閲ソフト義務付け、米・EUが撤回要求、WTOで表明(2009年6月27日、日本経済新聞)
 【ジュネーブ=藤田剛】米国と欧州連合(EU)は26日、世界貿易機関(WTO)が開いた貿易の技術的障害(TBT)に関する会合で、中国が国内で製造・販売するパソコンに中国製の「検閲ソフトウエア」の搭載を義務付ける計画に懸念を表明し、撤回を求めた。日本も米・EUを支持する方針を示した。保護主義的な動きが独自のソフトや認証制度の義務付けにつながり、貿易摩擦が激化し始めた。
 中国は有害サイトへのアクセスを制限するという理由で、7月から全パソコンに検閲ソフト「グリーン・ダム」をあらかじめ搭載するよう義務付ける予定。これに米国は「パソコンメーカーや消費者の選択の自由を阻害する」と反発。EUと足並みをそろえ、WTOの会合で急きょ議題に取り上げた。

◎中国汚染粉ミルク事件、2代表の資格はく奪(2009年6月27日、産経新聞)
 新華社電によると、中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は27日、昨年発覚した汚染粉ミルク事件で解任された河北省石家荘市の冀純堂元市長と、昨年の大規模土石流災害の責任を問われ解任された山西省臨汾市の夏振貴元共産党委書記の全人代代表の資格をはく奪することを決めた。
 汚染粉ミルク事件では、地元メーカーが北京五輪開幕前の昨年8月上旬、有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを出荷していたことを石家荘市に伝えたが、同市が河北省に報告したのは9月で、行政側の対応が大幅に遅れる原因となった。

◎中国大手6銀行、5100億円の不正融資、489人を処罰(2009年6月26日、日本経済新聞)
 【上海=下原口徹】中国政府は中国工商銀行、中国建設銀行、中国銀行、中国中信集団、交通銀行、招商銀行の大手6銀行に対し実施した2008年度の会計監査で、365億元(約5100億円)の不正融資があったと発表した。政府は6銀行に指導して273億元を回収させるとともに489人を処罰した。
 不正融資のうち215億元は不動産取引にかかわるもの。住宅ローン名義でほかの融資を行ったり、融資条件が満たされないのにもかからず融資に踏み切ったりしたケースがあった。また107億元は政府の批准を受けていないプロジェクトなどへの融資。43億元は当初の契約とは用途が違う案件への融資だった。

◎ラオックス、中国家電量販大手の傘下入り、正式合意(2009年6月25日、朝日新聞)
 経営再建中の中堅家電量販店ラオックスは、中国の家電量販大手の蘇寧電器(南京市)の傘下に入ることで正式合意した。蘇寧電器が筆頭株主となり役員2人も派遣する。日本の有力家電量販店が中国企業の傘下に入るのは初めて。
 ラオックスは09年3月期まで8期連続の最終赤字。25日に東京で開いた記者会見で、蘇寧電器の孫為民総裁は「早期にラオックスが利益を生み出せる体質にしたい」と話し、3年以内の黒字化をめざす考えを明らかにした。
 ラオックスは、15億円の第三者割当増資を行う。うち8億円は蘇寧電器が引き受け、発行済み株式の27.36%を取得する。残る7億円をラオックスの加盟店が引き受ける。ラオックスは、増資で得た資金を、店舗改装や運転資金に充てる方針。店舗や人員の削減も進める計画だ。
 共同の仕入れ体制も整える。蘇寧電器は中国では取り扱いが少ない高機能の家電をラオックスを通じて入荷し、品ぞろえを充実させる。7月に中国からの個人旅行者にビザ発給が解禁されることにも着目。中国人が日本のラオックスで買った商品を、中国の蘇寧電器の店で修理する仕組みをつくる。ラオックスの山下巌社長は会見で「経営資源の共有の面で考えると一番よいパートナーだ」と説明した。(内山修)

◎中国が穀物の輸出関税を撤廃、国際市況に影響も(2009年6月23日、産経新聞)
 中国財政省は22日、小麦やコメ、大豆など穀物を対象にした輸出関税を7月1日付で撤廃すると発表した。中国産穀物の輸出が加速し、国際商品市況に影響を与える可能性もある。
 穀物を対象にした輸出関税は、食料品高騰が問題になった2008年1月に課されたが、最近では食料品を中心に消費者物価の下落が続いていた。現在の穀物関連の輸出関税は3~10%。
 同時に、硫酸など工業関連産品の輸出関税撤廃や引き下げも実施する。大幅な減少が続く輸出を振興する狙いがある。

◎ラオックス、中国家電大手傘下に(2009年6月24日、読売新聞)
 中国の家電量販店大手・蘇寧電器集団(南京市)は24日、経営再建中の中堅家電量販店ラオックスに約27%出資し、筆頭株主になると発表した。
 日本の家電量販店が中国企業の傘下に入るのは初めてとなる。
 ラオックスが、蘇寧電器など2社を引受先に約15億円の第三者割当増資を行うほか、蘇寧電器から役員2人を受け入れる。
 ラオックスはヤマダ電機など、業界大手との競争激化で業績が低迷。昨秋以降の消費低迷とデジタル家電の価格下落が追い打ちをかけ、2009年3月期連結決算の税引き後利益は125億円の赤字だった。郊外の不採算の店舗を相次ぎ閉鎖し、東京・秋葉原地区に集約するなどの大幅なリストラを進めており、財務体質の改善が課題になっている。
 蘇寧電器は日本式の店舗運営手法を吸収し、日本市場に本格進出する足がかりとする狙いとみられる。蘇寧電器は中国南部を中心に850店以上を展開。08年の売上高は1000億元(約1兆4000億円)を超え、業界2位。中国の小売業としても最大級だ。

◎ラオックス、中国の家電販売大手の傘下入りで正式合意(2009年6月24日、朝日新聞)
 中堅家電量販店のラオックスは24日、中国で急成長している家電量販大手、蘇寧電器集団(南京市)の傘下に入ることで正式合意した。蘇寧電器はラオックスの発行済み株式の27.36%を取得して筆頭株主となり、役員2人を派遣する。共同の仕入れ体制を整え、互いの国の売れ筋商品を供給しあう方針だ。
 ラオックスから提携を持ちかけていたもので、日本の有力家電量販店が中国企業の傘下に入るのは初めて。ラオックスは近く、15億円の第三者割当増資を実施。8億円を蘇寧電器の完全子会社が引き受け、残る7億円をラオックスのフランチャイズ店が引き受ける。

◎有害情報遮断メーカーに嫌がらせ電話1000件超、中国(2009年6月24日、産経新聞)
 新華社電によると、中国の有害サイト接続遮断ソフトメーカー、鄭州金恵計算機系統工程(河南省)は24日、中国政府が国内で販売されるパソコンに同社のソフト搭載を義務付けると発表した今月上旬以降、国内外から1000件以上の嫌がらせ電話があったことを明らかにした。
 中国政府の措置に対する反発が強いことを示しており、同社幹部も「家族を殺す」との脅迫電話を受け、会社のホームページはハッカー攻撃を受け続けているという。
 中国政府は今回の措置について「インターネットの有害情報が青少年に及ぼす悪影響を避けるため」(工業情報省)としているが、国内では強制的な同ソフト搭載に対し「合法性に欠ける」(中国誌)などと批判が相次いでいる。

◎中国、世界最速の“底打ち”脱却、「4~6月 8%成長回復」当局分析(2009年6月24日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】金融危機による輸出低迷で打撃を受けた中国経済が今年1~3月期に底を打ち、4~6月期には回復に向かったとする報告を、中国国家統計局のエコノミストが24日までにまとめた。総額4兆元(約56兆円)に上る景気刺激策の効果が国内消費などに表れたと分析した。分析が正確なら、中国は13億人を超える巨大市場をテコにした「内需主導型」成長により、昨年9月の「リーマンショック」以来の金融危機の泥沼から“世界最速”で抜け出すことになる。日本企業も一段と中国市場への依存度を高めることになりそうだ。
 この報告は、国家統計局のマクロ経済担当エコノミストである郭同欣氏が作成した「現下のいくつかのマクロ経済問題に関する初歩的分析」。公式見解ではないと断っているが、国家統計局公式ホームページで公表されている。
 この中で郭氏は「今年4~6月の国内総生産(GDP)実質成長率は8.0%近くに回復する」と分析した。中国の四半期ごとのGDP成長率は、金融危機の影響で今年1~3月期に6.1%まで鈍化していた。
 4~6月期の成長率は7月16日前後に国家統計局が正式発表する予定だ。郭氏はそれに先立ち、中国国内の月次別の鋼材生産量や発電量、不動産など固定資産投資、消費・販売額など経済指標を分析した結果、今春以降、内需に明確な回復基調が見られたとして、4~6月期のGDP成長率の大幅な回復を予測した。
 郭氏の資料によると、工業部門の成長率に対する寄与度で、中国から海外に向けた「輸出」が昨年11月以来マイナス成長を続けているのに対し、消費や固定資産投資など「内需」はすでに今年2月に底を打ち、拡大基調に転じている。
 外資誘致と輸出拡大により「世界の工場」として高い成長率を維持してきた中国にとって、金融危機に伴う欧米向け輸出の落ち込みをどうカバーするかが危機克服に向けた最大の課題だった。郭氏の分析が正しければ、危機発生から1年もたたずして、中国経済は成長の軸足を輸出から内需に移し、再び成長軌道に乗った可能性がある。
 世界銀行も今月18日の発表で、今年の中国のGDP成長率予測を、3月段階の6.5%から7.2%へと0.7ポイント上方修正した。公共投資や消費など、内需の堅調さを評価している。
 内需主導の回復ぶりが明らかになればなるほど、中国は年内にも日本を抜いて米国に次ぐ「世界2位の経済大国」の座を射止める公算が大きくなってくる。
 清華大学世界経済研究センターなどでは(1)中国が8%超の成長を達成(2)日本はマイナス成長(3)中国の消費者物価が上昇し日本はデフレ(4)日本円の対人民元相場が下落する、との条件下で、中国のGDPは年内に世界2位になると指摘した。2008年の中国のGDPは4兆2950億ドルで、日本の4兆3480億ドルに肉薄している。中国は07年にドイツを抜きGDP世界第3位になっている。

◎米・EU、中国をWTO提訴、「レアメタルの輸出を制限」(2009年6月23日、日本経済新聞)
 【ブリュッセル=瀬能繁】米国と欧州連合(EU)は23日、中国がレアメタル(希少金属)などの鉱物の輸出を制限し国際競争をゆがめているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。米国の対中提訴は今年1月にオバマ政権が発足してから初めて。
 米国とEUは、中国政府がレアメタルなどの輸出について、関税や数量制限を設けることで制限していると批判。中国企業がレアメタルを安い価格で手に入れられるのに対し、欧米企業は高コストとなることから、輸出制限の撤廃を求めていた。
 WTO協定では輸入だけでなく、輸出についても数量制限することを原則として禁止している。自国企業に優先的に配分することで国際競争をゆがめることになるためだ。輸出制限の是正は2001年の中国のWTO加盟時の条件。EUは提訴に踏み切った理由について「WTOの一般ルールに違反しているだけでなく、加盟時の約束も無視している」と指摘した。

・希少金属:きしょうきんぞく【rare metal】
 ニッケル、クロム、タングステン、希土類(レアアース)など埋蔵量の限られた31鉱種の金属のこと。
 レアメタルともいう。鉄、銅、鉛、亜鉛など古くから利用されてきたベースメタルに対し、主に第2次大戦以降利用が進んだ。強度、耐熱性、磁性、耐蝕性、感光性、ガス吸脱着性など、さまざまな特性があり、特殊鋼用の添加材をはじめ用途は幅広い。資源は南アフリカ共和国、中国、オーストラリアなど特定国に偏在しており、安定供給が課題となっている。

◎個人所得税の税収、10年で11倍に、経済成長の中国(2009年6月22日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国で個人所得税の税収額が2008年に3722億1900万元(約5兆2300億円)と前年を16.8%上回って過去最高を更新したことが、中国財政省の資料で明らかになった。同税収額は1998年の338億6400万元に対し10年で約11倍に膨らんでおり、中国の個人所得の急増ぶりを裏付けた格好だ。
 華僑向け通信社の中国新聞社が22日までに伝えたところによると、08年は給与にかかる所得税が同28.1%増の2240億6500万元と全体の59.4%に達した。また、個人所得税の納税者のうち、年収が12万元(約169万円)を上回る“高額所得層”は約3%の240万人だった。この層で約34.8%に当たる1294億元を納税した。
 94年に導入された中国の個人所得税制度だが、2007年までは年平均30%以上も税収が伸びてきた。08年は秋以降の金融危機の影響で伸び率は鈍化したものの、北京や上海、広州など都市部を中心に「サラリーマン」層が確実に増えて、個人収入を伸ばしている様子がうかがえる。
 不況下で不動産相場が伸び悩んでいるが、個人の不動産譲渡や贈与に対する税収は08年に27億6千万円と同26.7%増えた。
 中国での個人所得増大によって、中国全土のレストランなど飲食業の売上高が増大。商務省によると、08年は前年比で24.7%も売上高が伸びて国内総生産(GDP)全体の20分の1に達したという。

◎中国、国家秘密保護法を改正へ、ネット社会に対応(2009年6月22日、産経新聞)
 新華社電によると、中国の全国人民代表大会(国会)常務委員会は22日、急拡大するインターネット社会に対応するため、国家秘密保護法改正案の審議に入った。国家秘密を扱うコンピューターによるネット接続を禁止するなど新たな条項を盛り込み、違法行為には最高5万元(約70万円)の罰金を科すとしている。
 国家秘密保護法は1989年に施行。改正案はインターネットを通じた情報の管理強化などに重点を置いており、通常のパソコンで国家秘密に関する情報を処理することも禁止する。
 秘密漏えいに対しては、これまでも刑法により最高で死刑とすることが可能だった。

◎違法に爆薬を保管、工場爆発で16人が死亡、中国(2009年6月22日、朝日新聞)
 【上海=奥寺淳】中国国営の新華社通信によると、21日午前3時ごろ、安徽省鳳陽県の鉱石加工工場で大規模な爆発事故があり、作業員ら16人が死亡、43人が重軽傷を負った。違法に所持していた爆薬が爆発したとみられ、会社の代表者が警察に拘束された。
 地元当局の調べでは、同社は違法に鉱石を採掘しており、事務棟の倉庫に5~7トンの爆薬を保管。何らかの原因でこれが爆発し、事務棟の南側にあった宿舎が倒壊、寝ていた作業員らが下敷きになった。現場には直径10メートル、深さ5メートルの穴が出来た。

◎たばこ:中国が増税発表 税収増と健康被害減少を狙う(2009年6月20日、毎日新聞)
 中国政府は20日、たばこの増税を発表した。税収増と健康被害を減らすのが狙い。中国は喫煙人口が3億人を超す“喫煙大国”で、税率の低さが、喫煙者が減らない原因の一つとみられている。
 高級たばこに課す消費税率を45%から56%に引き上げ、その他のたばこも増税。さらに、卸売り段階ですべてのたばこに5%の新税を課す。
 中国では、たばこがもたらす健康被害による直接的な損害は年1400億~1600億元(約2兆~2兆30000億円)に上るといい、専門家は「中国のたばこ税率は低すぎる。増税はたばこ被害を減らす有効な手段だ」と指摘している。

◎盗作疑惑:中国の童話がハリー・ポッター酷似、作者は否定(2009年6月20日、毎日新聞)
 【上海・鈴木玲子】中国で発売される童話「冒険小王子」が、世界的ベストセラー小説「ハリー・ポッター」シリーズのエピソードに酷似するとして盗作疑惑が浮上している。中国紙「揚子晩報」などが報じた。ハリーの英女流作家、J・K・ローリング氏側は著作権侵害の可能性を指摘するが、中国の出版社側は「オリジナル作品」と反発を強めている。
 「冒険小王子」は中国人作家、周芸文氏の新童話シリーズで、今月28日に出版を始め、シリーズ20冊を来年にかけて出版する計画。既に2万冊以上が試読本として小学校に配られ、「中国版ハリー・ポッター」と呼ばれ、人気を集めている。
 報道によると、内容は主人公が妖精学校に通う男児で、列車で学校に到着するなど「ハリー」の設定とそっくり。ローリング氏側は、酷似するエピソードは18カ所に上ると指摘。著作権侵害が確認されたら、作者の周氏と出版する江蘇美術出版社に約1億ポンド(約158億円)の賠償を請求する可能性もあるという。
 これに対し同社は19日、インターネットに公開書を掲載し、「出版の決心は揺るがない。作品は中国自身のオリジナルだ」と反論した。また、周氏は地元紙に対して「ローリング氏の弁護士から話が来たことはない。盗作など絶対にない」と否定している。

◎中国で発見の新型インフル、重症化しやすい可能性、東大(2009年6月20日、日本経済新聞)
 中国で見つかった新型インフルエンザウイルスに、人の体内で増殖しやすくなる遺伝子変異が起きていることを、東京大医科学研究所の河岡義裕教授らが確かめ、19日明らかにした。感染すると重症化しやすいタイプに変異しつつある可能性がある。この変異を持つウイルスがどの程度広がっているかは不明だが、河岡教授は「今後増えるかどうか注視する必要がある」と話している。
 遺伝子変異が見つかったのは、5月31日に中国・上海で22歳の女性から分離したウイルス。河岡教授らは公表された遺伝子情報を分析。ウイルスの増殖能力にかかわる「PB2」という遺伝子の配列の一部が、これまで見つかったウイルスに比べ、人の体内で増殖しやすいタイプに変わっていたという。
 豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザのウイルスは鳥、人、豚の4種類のウイルスが複合したことが分かっている。PB2は鳥インフルエンザのウイルスから引き継がれ、人の体内では増えにくいとみられていた。

◎「低俗情報流している」中国がグーグルに一部業務停止命令(2009年6月20日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】20日付の中国各紙によると、中国当局は米大手検索サイト・グーグルに対し、「ポルノなどの低俗情報を流している」として、海外サイト検索など一部業務の停止を命じた。
 ネット上の言論統制を狙う共産党が、「青少年の健全育成」を名目にさらなる規制強化に乗り出したものだ。
 グーグル社に対しては、中国政府系の監視団体・インターネット違法不良情報通報センターが今月18日、「有害サイト接続を遮断せず、ポルノなどの低俗な情報を見られるようにしている」と警告していた。これまで検索に英語を用いることなどにより、中国国内からもグーグル経由で有害サイトへの接続が可能な場合があった。
 処分を受けて、グーグル社は、「すべての業務内容を点検中だ。関係機関との協議で大部分の問題は解決した」との声明を発表。当局に協力する姿勢を示している。
 中国当局は、7月以降に国内で販売されるパソコンに有害サイト検閲ソフト「グリーン・ダム」装着を義務化する方針も決めており、ネットから「有害」情報を締め出す動きを強めている。
 有害サイトに関し、新聞出版局は8項目の「低俗」基準を公表、「倫理・道徳に反する文字や内容」「未成年者の心身の健康に影響を与える内容」を幅広く摘発できるものとなっている。ネット利用者からは「拡大解釈が横行するのは目に見えている。行き過ぎだ」と非難の声が出ている。

◎中国政府、グーグル中国に海外サイト検索停止命令、管理強化へ(2009年6月19日、日本経済新聞)
 【北京=多部田俊輔】中国国営の新華社は19日、中国政府当局が米グーグルに対し、同社中国語サイト「グーグル中国」がポルノなどの低俗情報を提供しているとして、海外サイトの検索サービスなどの暫時停止を命じると伝えた。中国政府は天安門事件20周年や建国60周年を迎え、1月からインターネット上の情報管理を強化しており、その一環とみられる。
 グーグル中国については、中国インターネット違法・有害情報通報センター(CIIRC)が18日、ポルノなどを提供していると強く非難し、政府当局に制裁を科すよう勧告した。政府当局は同日午後、グーグル中国の責任者を呼び、アクセスを遮断するように警告したという。
 新華社によると、政府は工業情報化省や公安省などと協力し、5月からネット上の低俗情報などの摘発を本格化。過去1カ月余りで約1000の有害サイトに閉鎖を命じた。最近は携帯電話サイトの取り締まりを強化している。

◎天安門事件追悼集会を放送したテレビ局の編集者らを停職(2009年6月18日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】中国人権民主化運動情報センターは18日、中国広東省の広州テレビが香港で開かれた天安門事件追悼集会の映像を放送したとして、広州市共産党委員会宣伝部が編集者ら5人を停職処分にしたと伝えた。テレビ局の上層部も近く処分を受ける可能性があるとしている。
 同局は4日夜に開かれ、過去最多の15万人が集まった追悼集会の模様を5日のニュース番組で約10秒間放送。担当者が映像に気づかず、カットしなかったことが原因という。
 中国当局は天安門事件に関する報道に対し厳しい報道管制を敷いており、事件から20年の今年は、外国テレビ局が関連映像を流すと画面が突然暗転するなどの措置が取られていた。

◎中国フィルタリングソフト義務化問題のあまりに多すぎる疑問(2009年6月17日、日本経済新聞)
 中国工業情報化省が6月9日に発表した通達が国内外に波紋を広げた。その内容は、青少年の保護を目的に7月1日から中国国内で販売するパソコンすべてに有害サイトへのアクセスを遮断するフィルタリングソフトの搭載を義務付けるというもの。この唐突な決定に対しては、義務化の妥当性はもちろん、フィルタリングソフトの中身や開発メーカーにも批判や疑念が広がった。(肖宇生)

・防戦に追われた工業情報化省
 通達が発表されたとたん、中国国内のネットユーザーはもちろん、米ウォール・ストリート・ジャーナルをはじめ海外メディアも関心を示し、プライバシー侵害や情報統制への懸念を示した。中国の法曹界からも不正競争防止や独占禁止法制などに抵触する恐れがあるとして、工業情報化省に聴聞会の開催を要求する声が上がった。
 あまりの反響の大きさに工業情報化省は「使用の強制性はない」「ユーザーによるアンインストールは自由」などと説明して事態を沈静化しようとしたが、それで収まる気配はなかった。
 それもそのはず。中国にもすでに数多くのフィルタリングソフトが流通している。そのなかで、何の前触れもなく特定メーカーの製品を強制的に搭載させるというのだから、混乱を巻き起こすのは当然だ。しかも、その指定メーカー2社はこれまで一般にあまり知られていない会社だったため、なおさら騒動に拍車がかかった。
 政府は予算として4170万元(約6億円)を支出してソフトの1年間の使用権を買い取るという。そのため、パソコンメーカーやユーザーに新たな負担は発生しないとしているが、2年目以降どうなるかは不明確だ。こうした予算の使い方や消費者負担の問題についても議論が広がっており、工業情報化省は防戦一方に追い込まれた。

・ソフトを開発した2社の正体は
 この一件でにわかに有名になったのが2社のソフトメーカーだ。1社は、画像や映像のフィルタリングソフトを開発した「鄭州金恵計算機系統工程」。もう1社は、主に文字フィルタリングソフトを開発した「北京大正語言知識処理科技」。しかし、コンピューター業界でもこの2社の業務内容や経歴を詳しく知る人は少ない。
 北京大正社は中国科学院と北京麦納新技術という会社の共同出資会社で、北京麦納社の代表である孟東豫氏が北京大正社の代表も兼任している。ただ北京麦納社も孟氏もそのバックグラウンドは世間に知られておらず、北京大正社の実態も今のところよくわからない。
 一方の鄭州金慧社も状況はそれに近い。会長の周海琴氏は中国科学院傘下の組織において共産党の党委員会トップを務めていたとされ、こちらもよくあるITベンチャーの経営者像とはかけ離れている。2社の共通点は中国科学院だが、背景に何かあるのかはわかっていない。

・ソフトの品質に疑問符
 工業情報化省がこの2社のソフトを選んだ理由は、フィルタリング機能の高さにあるという。フィルタリングソフトは一般に、有害サイトのURLをデータベース化してそこへのアクセスを遮断する。一方、両社のソフトはサイト自体の内容を判断して遮断するというのだ。
 この政府の宣伝はネットユーザーの好奇心を大いに刺激した。ソフトが本当に触れ込みどおりの性能を備えるのかを検証しようと、数多くのネットユーザーが分析やテストに取り組んだ。そしてメーカーにとっては残念ながら、数日もたたないうちに「このソフトを無力化できた」という宣言がネット上にいくつも登場し、その方法も掲載された。
 さらに、画像のフィルタリングでは色だけを判断して接続を遮断するなどの問題がみつかったほか、テキストも特定の文字が含まれれば遮断するケースがあったという。もちろん、これらの結果は公式に検証されたものではないが、多くの人がこのソフトの実力にクエスチョンマークを付けた。米国では他社のプログラムを盗用しているとの指摘やセキュリティー上の脆弱性が見つかったなどの分析結果も出ている。

・不透明な決定プロセスこそ問題
 数多くのフィルタリングソフトのなかから、工業情報化省はなぜ2社の製品を選んだのか。今回の問題では、中国当局によるネット規制の強化という側面がクローズアップされたが、同じように重大視すべきなのがその決定プロセスの不透明さだ。
 実は通達が出る前に、すでに全国の学校ではフィルタリングソフトが一斉に適用されている。しかし、市販のパソコンではユーザーに利用を強制することはできず、実効性がどの程度上がるかはそもそも疑問だ。それでもあえて2社のソフトを義務化しようとしたのはなぜか。
 中国の産業政策や行政は海外からの批判が多いが、近年はかなり近代化が進み、法令に基づく適正な運用を心がけてきた。批判を受けても、ステップを踏んで粛々と説明責任を果たそうとしている。
 ただ、今回だけは工業情報化省にあまり弁解の余地はなさそうだ。最新の情報では、フィルタリングソフトはパソコンに同梱するがプリインストールはせず、使用をユーザーの選択に任せる譲歩案を打ち出したという。いずれにせよ工業情報化省にとっては久々の失点であり、フィルタリングソフト問題の収拾どころか、他のスキャンダルに発展しなければよいと心配に思うのが、今の筆者の心境だ。

◎中国が北朝鮮が、韓国軍をハッカー攻撃1日1万件(2009年6月16日、スポーツニッポン)
 韓国軍機務司令部は16日、同軍のコンピューターに対し、軍事情報を盗むことなどを目的に1日平均1万450件のハッカー攻撃が行われていると発表した。
 聯合ニュースによると、攻撃は中国や北朝鮮など海外から行われているとみられる。
 同司令部によると、ハッカー攻撃のほか、ホームページの改ざんやウイルス配布など韓国軍のコンピューターに対する不正行為は1日平均計9万5千件。聯合ニュースによると、昨年に比べ20%増えている。

◎薬買い取りビジネス横行、中国、医療格差が背景(2009年6月13日、産経新聞)
 医療費の高騰が社会問題化している中国で、高価な処方薬の違法売買がビジネスとしてまん延している。医療保険で安く買える退職公務員らが、多めに買った薬を売って小銭を稼ぎ、買い取り業者は、医薬品不足の農村部に薬を割安で供給してもうける。都市と農村の貧富の格差や医療保険制度の整備の遅れが背景にある。
 北京市内の病院の周りには「収薬(薬買い取ります)」との札を立てた業者が目につく。安貞病院前で札を立てていた男性は「高血圧や糖尿病、心臓病など高額な治療薬は定価の5割で買い取る」と話す。「売りに来るのは、余った薬を使わない老人」と説明した。
 薬の買い取りは違法行為だが、男性は駐車中の警察車両の隣で堂々と営業中で、「収薬」は事実上、野放しだ。

◎スパイ容疑で有名女性アナを拘束 中国公安当局(2009年6月11日、産経新聞)
 11日の中国共産党機関紙、人民日報のニュースサイト「人民網」などによると、国営の中国中央テレビの著名な女性アナウンサー、方静さん(38)が5月にスパイ容疑で公安当局に拘束されていたことが分かった。
 方さんは国外に軍事情報を提供するため軍事関連の話題を取り上げる番組「防務新観察」のニュースキャスターを自ら志願した疑いを持たれているという。
 中国では機密の範囲が極めて広く、定義もあいまいなため、スパイや機密漏えいの容疑で拘束されるメディア関係者が少なくない。

◎中国、風力発電能力を20年に8倍に、政府が支援、10兆円投資(2009年6月7日、日本経済新聞)
 【北京=多部田俊輔】中国政府は2020年に風力発電能力をいまの約8倍の1億キロワット超に増やす。発電設備メーカーや発電会社への支援に乗り出す構えで、総投資額は10兆円規模になる見通し。温暖化ガスの排出抑制につなげるうえ、減速する中国経済のけん引役に位置づける。日本メーカーを含めた関連企業の商機も広がりそうだ。
 中国国家エネルギー局が年内にもまとめる新エネルギー産業振興計画に数値目標を盛り込む。「20年末で3000万キロワット」の既存計画に比べ3倍以上の上方修正になる。

◎無罪か有罪か「トウ玉嬌事件」、中国ネット世論が左右(2009年6月6日、産経新聞)
 「正当防衛だ」「いや、当然殺人罪だ」。中国のインターネットの書き込みなどで、ある事件が話題となっている。湖北省の娯楽施設で先月に起きた「トウ玉嬌事件」だ。上海市で昨年7月に公安庁舎に押し入り、警官6人を刺殺した楊佳死刑囚(執行済み)事件を例えに“女楊佳事件”とも呼ばれる。
 5月10日、女性従業員のトウさん(21)が同省巴東県の県政府幹部1人を刃物でのどを刺して死亡させ、もう1人にケガを負わせた。中国メディアによると、これら幹部がトウさんに対し、一緒に風呂に入るよう求め、拒否されると言動で侮辱。札束で頭をたたいたとの指摘もある。
 公安当局は「殺傷行為は過剰な防衛にあたる」として、殺人などの疑いで拘束した。しかし、女性従業員の家族や弁護士が「不当な拘束」として抗議、県政府や公安当局に対する反発がネットなどで広がった。抗議行動も起き、27日には湖北省北京事務所に30人ほどが詰めかけるなどした。
 さらに10万人のデモが呼びかけられるなど事態は拡大、県政府などは負傷した2人の職員を免職や党籍を剥奪(はくだつ)する一方、司法当局もこのほど、トウさんに対する身柄拘束を解き、自宅監視に切り替えた。
 日本なら当然、逮捕され司法処置されるケースだが、中国では官僚の横暴ぶりに対する民衆の反発と怒りは強く、きっかけさえあればいつでも爆発する状況にある。ネット世論が政府に与える影響の大きさをも示すわけだが、事件を受けて、北京などではマッサージなどの風俗店を当局が立ち入り検査したり、摘発している。

◎路線バス炎上、窓開かず?25人死亡、中国・四川省成都(2009年6月5日、読売新聞)
 【北京=関泰晴】新華社電によると、中国四川省成都で5日朝、路線バスが炎上し、乗客ら25人が死亡、76人が負傷した。
 警察当局が原因を調べている。バスは窓が開かない構造だったとの報道もあり、火が出ても乗客が閉じ込められ、被害が拡大した可能性も指摘される。

◎中国で食品安全法施行、官民癒着に無認可企業、実効性に疑問(2009年5月31日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国国内における食品生産の監督システム強化などを盛り込んだ「食品安全法」が1日から施行される。全国人民代表大会(全人代=国会)で5年間審議し、ようやく可決した法律だ。ギョーザ中毒事件や汚染粉ミルク事件などを受け、国内外で高まる中国製食品への不信感を払拭したいとの狙いがあるが、「中国の問題は法律の不備が原因ではなく、現場で法律が執行されないことだ」と新法の実効性を疑問視する声が早くも出ている。
 法律では、これまで複数の官庁が持っていた食品生産への監督権限を新設された国家食品安全委員会に集約させて効率化を図る。添加物の使用規制を厳しくし、違反者に対する罰則も重くする。また、虚偽の広告への取り締まりを強化、芸能人やスポーツ選手など有名人が出演した広告の食品に問題が発生した場合、その連帯責任を負わなければならないと明記した。これについては一部の芸能関係者から「やりすぎだ」との批判があがっており、食品安全問題に詳しい中国人弁護士も「世界基準から見ても厳しい」と話している。
 しかし、中国には1995年に成立した「食品衛生法」がすでにあり、これまでに衛生省などが制定した食の安全に関する規定は100以上、衛生基準は500以上にものぼる。この分野で法律の空白があったわけではなく、きちんと執行されていなかったことが一連の不祥事が発生した原因だと指摘される。
 例えば、昨年9月に発覚した汚染粉ミルク事件。有害物質メラミンの大量混入が半ば公然と行われていたにも関わらず、問題企業は毎年のように生産過程を監督する政府機関から表彰を受けていた。「官業の癒着構造により、法律が機能していないことが、悲劇をもたらした原因だ」と、中国メディアも事件後に強く批判した。
 法律はまた、「問題が発生した場合、速やかな情報公開」を企業に求めているが、報道の自由のない中国でどこまで徹底されるのか疑問だ。さらに、中国には少なくとも数十万の無認可の小規模な食品企業があるとされ、地方の監督当局がすべてをカバーすることなどとても不可能との指摘もされている。

◎「日本車お断り」、中国・重慶に「抗日スタンド」登場(2009年5月29日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】「当スタンドは日本車には給油しません」-。こんな看板を掲げた奇妙なガソリンスタンドが中国重慶市に現れ、地元カーマニアのサイト「汽車(自動車の意)中国車友会」で話題になっている。この看板には「惨殺された2000万人の同胞のため」と“理由”も添えられている。
 いわば「抗日」を売りにしたものだが、このサイトによると、経営者の劉登雲氏は、「中国人の国民意識は低すぎる。経済発展したとしても歴史を忘れてはならず、感覚麻痺(まひ)した人を覚醒(かくせい)させなければならない」と話したという。劉氏は看板を取り外すよう圧力がかかった場合は、訴訟に持ち込む考えも表明している。
 このスタンド登場を写真入りで伝えたサイトには、「よくやった!」「実際の行動を基礎とせよ(日本車お断りを実行せよ)」といった書き込みが相次ぎ、支持が広がっている。

◎見つけ次第撲殺! 突然の犬禁止令の背景は? 中国の地方都市(2009年5月25日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国の地方都市でこのほど、「市内を犬禁止区域と指定し、犬は見つけ次第撲殺する」との強烈な内容の「犬類管理規定」が発表され、犬を飼っている市民が強く反発している。
 この都市は中国の東北部にあり、ロシアと国境を接する黒竜江省の黒河市。古くから犬を飼う習慣があるため、これまでに観光客や小中学生が犬にかまれた事件は時折あったが、野犬はともかく、当局が「飼い犬」を問題視することはとくになかった。今回は何の前触れもなく「犬のない町」を目指すことを宣言、市政府の男性職員らで構成し、犬を撲殺する「打狗(狗は中国語で犬のこと)隊」は今月中にも市内でパトロールを開始するという。
 多くの市民は戸惑い、農村部に親戚(しんせき)がある家は慌てて犬を避難させるなど混乱した。ある年配の女性は「子供はみんな遠くへ出稼ぎに行ったので、唯一の家族の犬がいなければ生きていけない」と、規定撤廃を地元メディアに訴えている。
 インターネットの書き込みでは現地政府を「独裁者」「ナチス」などとする批判が殺到する一方、この規定が突然発表された背景について多くの憶測が寄せられた。「市が観光都市の認定を国に申請したためだ。犬を一掃すれば認可が下りやすくなる」という説のほか、「市の指導者が最近、川の近くで犬にかまれた個人的な恨みからだ」との未確認情報も寄せられた。

◎中国、誘拐児童発見にデータベース構築、年間被害者2500人(2009年5月22日、産経新聞)
 中国公安省はこのほど、人身売買目的で誘拐された子供たちの身元確認を迅速に進めるため、全国規模のDNAデータベースを構築した。北京紙、新京報によると、公安省刑偵局は同種のデータベース作成は世界初としている。中国政府として、人権状況改善に取り組む姿勢をアピールする一環とみられる。
 中国国営新華社通信によると、公安省は全国の警察機関に、住民から児童の失踪(しつそう)や誘拐、人身売買の訴えがあった場合、即座に捜査に着手するよう指示した。子供が誘拐・売買されたり、行方不明になったりした父母から採血してDNAデータを収集、被害者の子供からもデータを集め、データベース上で照合する。
 中国政府は2008年1月から「中国女性・児童人身売買対策行動計画(08~12年)」を実施中だ。公安省は「以前から人身売買を厳しく取り締まってきた。1980~90年代以降、人身売買事件数は徐々に減少している」としているが、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、誘拐された子供や女性は、中国政府の集計でも毎年2500人近くに上る。被害者の支援団体は、何十万人にも及ぶと主張している。
 同紙は、一人っ子政策が行われている中国では、男児を切望する傾向があると指摘。福建省で農業を営む38歳の男性は2008年に5歳の男児を3500ドル(約33万円)で買ったことを明かしたという。
 現在、中国国内には236カ所のDNA検査施設がある。中国紙、法制日報(電子版)によると、00年にはDNA検査で誘拐された子供546人の父母が判明したという。
 もっとも、子供が発見されなければデータベースも意味がない。07年に息子を誘拐された深●(=土へんに川)の男性はニューヨーク・タイムズ紙に対し、過去2年間に深●(=土へんに川)周辺で起きた約2000件はすべて未解決で、「大海原で釣り針を探すようなものだ」と語っている。自慢の照合システムの効果は不透明だ。(川越一)

◎中国がコピー兵器を続々生産、露の怒り受け知的財産保護協定(2009年5月22日、産経新聞)
 中国がロシアから購入した戦闘機や潜水艦、戦車など主要兵器20種以上をコピーして国産化、途上国へ大量に販売し、怒ったロシアの要求で、昨年12月に両国間で兵器に関する知的財産権保護協定が結ばれていたことが21日までに分かった。
 カナダの軍事専門家、平可夫氏によると、中国の戦闘機「殲11B」はロシア製スホイ27のコピーのほか、「元」級潜水艦はキロ級潜水艦、99式戦車の車台はT72、自走ロケット砲AR-2はスメルチのコピー。少なくとも21種に上るという。
 兵器のコピーは過去15年間にわたって行われており、ロシア側は詳細なコピー兵器リストを作成し、中国側に突きつけた。知的財産権保護に関する協定は昨年12月中旬、ロシアのセルジュコフ国防相が訪中した際に調印されたが、両国は一切公表していない。

◎尾を引く汚染粉ミルク事件、外国製品急増、廃業する酪農家も、中国(2009年5月21日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国で昨年9月に発生した汚染粉ミルク事件はいまだに消費者の心理に大きな影を落としている。国産粉ミルクが敬遠され、高価な外国製品の需要が急速に伸びており、深刻な打撃を受けた国内の業界からは政府に支援を求める声が出始めている。
 中国乳製品協会の統計によると、今年の第1四半期に輸入された外国製粉ミルクは6・6万トンにのぼり、昨年同期より83%も伸びた。外国製粉ミルクの市販価格は国産品の2倍を超えることが多いが、乳幼児を抱える多くの保護者は「安さ」よりも「安心感」を重視していることがうかがえる。こうした傾向は中国の中でも比較的豊かな沿海部でより顕著にみられる。
 一方、国産粉ミルクは在庫が急増し、全国ですでに30万トンを超えたという。河北省や新疆ウイグル自治区などで多くの中小乳製品メーカーが生産停止に追い込まれ、牛乳を捨てたり、乳牛を殺したりして自主廃業する酪農家も現れている。中国メディアは「国産品の中からその後、有害物質は検出されていない」と伝えているが、消費者の不安解消には至っていないようだ。
 経済紙、中国産経新聞によると、各メーカーと酪農団体はすでに中国政府に対し、在庫の粉ミルクを国の備蓄用として買い取るよう求める要望を出したという。
 昨年9月、河北省の大手乳製品メーカーが生産した粉ミルクに有害物質のメラミンが混入していたことが発覚。それを飲んだ乳幼児計29万人が健康被害を受け、11人が死亡したことが後に判明した。

◎やっぱりNG! 中国「セックス」テーマパーク、即刻撤去命令(2009年5月18日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国重慶市はこのほど、市内で建設が進んでいる「セックス」を題材としたテーマパーク「性公園(ラブ・ランド)」の即刻撤去を命じた。15日付の英字紙チャイナ・デーリーが計画を報じたところ、「低俗すぎる」などとの批判が集中し、あわてて再調査に乗り出した市側が急遽(きゆうきよ)、処分を決めた。
 重慶晩報(電子版)によると、市当局は「性公園の内容は低俗かつ露骨で、社会に悪影響を及ぼす」と断定した。「性公園」は地場資本の美心集団が、「性に関する知識を科学的に伝える」などとして、10月のオープンに向けて準備を進めてきた。
 しかし中国紙の報道を受け、Tバックを着けた巨大な女性の下半身像の広告塔や、高さ約1メートルの男性生殖器模型などパークの“オブジェ”画像がインターネットで流れ出し、批判が強まっていた。市の命令を受けた美心集団は直ちに撤去作業に入って謝罪。今後は市当局と協力し新たなテーマパークを作り直すという。
 当初は「エイズ防止に役立つ」「中国人のタブーを打破する」と宣伝され、一部には「前衛的だ」との前向きな評価もあったが、まだまだ時代はそこまで進んではいなかったようだ。

◎花火で全焼の中国国営テレビ社長が辞任(2009年5月18日、産経新聞)
 中国国営新華社通信は18日までに、中国中央テレビ(CCTV)の趙化勇社長が定年で辞任、新社長に党中央宣伝部の焦利副部長(54)が任命されたと伝えた。
 今年2月9日に同テレビ新社屋付属ビルが花火の打ち上げで全焼した火災の引責との見方を香港紙は示している。(北京 野口東秀)

◎中国の腐敗幹部、ひょんなことで悪事が露呈、元愛人の密告も(2009年5月15日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】お茶の箱の底から預金残高が合計で200万元(1元は約14円)余りの通帳が-。中国メディアはこのほど、今年4月に党籍を剥奪されたことが報告された河南省鄭州市の王治業・同市規律検査委員会書記の豪華な生活と、あっけない転落ぶりを伝えた。
 王書記は日本で言えば、地方都市の副市長クラスだが、自宅以外に別荘も所有していた。別荘の敷地には、プール、ゴルフ練習場、冷凍倉庫、人工滝なども造られていた。
 失脚の発端となったのは、2007年夏のある出来事。廃品回収のために住宅街を回っていた2人の農民がある家の前で警備員と口論をしたとき、家の中から出てきた中年女性が仲裁し、高級茶「鉄観音」をもらった。
 2人は廃品回収業者にこのお茶をプレゼント。廃品回収業者がお茶をいれた後、箱を壊したところ、底が二重になっており、8冊の通帳が隠されていたのだった。
 【北京=野口東秀】お茶の箱の底から預金残高が合計で200万元(1元は約14円)余りの通帳が-。中国メディアはこのほど、今年4月に党籍を剥奪(はくだつ)されたことが報告された河南省鄭州市の王治業・同市規律検査委員会書記の豪華な生活と、あっけない転落ぶりを伝えた。
 王書記は日本で言えば、地方都市の副市長クラスだが、自宅以外に別荘も所有していた。別荘の敷地には、プール、ゴルフ練習場、冷凍倉庫、人工滝なども造られていた。
 失脚の発端となったのは、2007年夏のある出来事。廃品回収のために住宅街を回っていた2人の農民がある家の前で警備員と口論をしたとき、家の中から出てきた中年女性が仲裁し、高級茶「鉄観音」をもらった。
 2人は廃品回収業者にこのお茶をプレゼント。廃品回収業者がお茶をいれた後、箱を壊したところ、底が二重になっており、8冊の通帳が隠されていたのだった。

◎「北情報を宮本大使に提供」、中国新華社前局長スパイ事件判決(2009年5月15日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国国営新華社通信の元外事局長、虞家復被告(62)が宮本雄二・駐中国大使らに情報を提供した見返りに金品を受け取っていたとされる事件で、懲役18年の実刑を言い渡した1審判決は、虞被告が中国の対北朝鮮政策などの国家機密情報を違法に同大使らに提供して国家の安全に危害を与えたと断じている。判決はしかし、情報機関出身であることを知りながら韓国の元外交官に情報提供していたことの方を重くみている。
 関係者によると、虞被告は、大使が公使時代の1998年に知り合い、食事などをする関係になり、(大使着任後の)2006年9月から翌年7月にかけ、宮本大使から複数回に分けて20万7000元(約300万円)を渡されたと供述。判決などでは、同被告が口頭で、(1)対北朝鮮政策の変化(2)中国銀行の北朝鮮への送金停止措置(3)北朝鮮の輸出優遇政策の変化(4)中国の外交政策-について情報を提供した、としている。
 虞被告は宮本大使にこれらの情報を話したことや金品の授受は認めたものの、「情報は外国の通信社などが報道した内容ですべて公開情報だ。機密情報を渡していないし、報酬は受け取っていない」と反論し、虞被告の妻も「宮本大使には現金の趣旨を、裁判の場ではなくてもいいので、記者などに説明してほしい」と話しているという。同被告は上級審に控訴した。
 宮本大使は15日、記者団に、「外交の内容をいちいち申し上げることはマイナス面も出てくるのでコメントしない。日本の対中活動に影響が出るとは思わない」と述べ、具体的な内容に言及することは避けた。

◎「大使が300万円手渡す」、新華社元局長が供述(2009年5月14日、産経新聞)
 中国国営通信・新華社の前外事局長、虞家復被告(62)が宮本雄二駐中国大使に国家機密を渡したとしてスパイ罪などで実刑判決を受けた事件で、虞被告が捜査当局の調べに対し、「大使本人から現金20万7000元(約300万円)を直接手渡された」と供述していることが14日、分かった。関係者が明らかにした。
 在北京日本大使館は「裁判についてはコメントしようがない」としている。
 関係者によると、虞被告は宮本大使が公使として北京に勤務していた1998年に知り合い、たびたび食事に行く関係になった。大使着任後の2006年9月から07年7月の間、食事の席などで、大使本人から複数回にわたって現金を手渡されたと供述している。

◎新華社元幹部に懲役18年判決、駐中国大使に国家機密(2009年5月14日、産経新聞)
 中国の裁判所は14日までに、宮本雄二駐中国大使や韓国の元外交官に国家機密を渡していたとして、中国国営通信社・新華社の外事局長を務めていた虞家復被告(62)に対し、懲役18年の判決を言い渡した。オーストラリアに移住した虞被告の娘などの話として、同国紙、オーストラリアン(電子版)が伝えた。
 同紙によると、虞被告は1970年代に新華社に入り、日本と韓国情勢が専門分野だった。同被告は2006年から07年にかけ国家機密を漏えいしたとして、07年7月に自宅軟禁下に置かれ、同年12月に逮捕された。逮捕前に役職を退いたという。
 虞被告は宮本大使らに情報を渡したことは認めている。同被告の弁護士は、被告が提供した情報は広く入手可能で、国家機密漏えいには当たらないとしている。虞被告の娘によると、家族は控訴を検討しているという。在中国の日本大使館幹部は13日夜、「オーストラリアンの報道は見たが、コメントできない」と話した。

◎「法令尊重、問題ない」、駐中国大使がコメント(2009年5月14日、産経新聞)
 中国国営通信社、新華社の元外事局長が、宮本雄二駐中国大使に対し、国家機密を渡したなどとして有罪判決を受けたことについて、宮本大使は14日、大使館を通じ「外交活動の個別のやりとりについてはコメントできない」とした上で「現地の法令を尊重しており、問題はないと考えている」とコメントした。
 オーストラリア紙、オーストラリアンによると、元外事局長の虞家復被告は2006年から07年にかけ国家機密を漏えいしたとして07年12月に逮捕され、中国の裁判所で今月14日までに懲役18年の判決を受けた。
 被告側は宮本大使らに情報を渡したことは認めたが、提供した情報は広く入手可能で国家機密漏えいには当たらないと主張していた。

◎米国で腐敗中国官僚に重刑(2009年5月11日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国での報道によれば、総額約4億8300万ドルを横領したとして米国で逮捕された中国銀行開平支店(広東省)の許超凡元支店長と許国俊元支店長に対し、米ラスベガス連邦裁判所が6日、詐欺やマネーロンダリング(資金洗浄)などの罪でそれぞれ禁固25年と同22年の判決を下した。海外に逃亡した高官が海外で裁かれ、重刑を受けた初のケースと中国メディアは評価している。
 8日付中国紙「環球時報」などによると、判決を言い渡された2人の妻もそれぞれ8年の禁固刑となった。米国で罪を認めて司法取引に応じた別の元支店長は中国に強制送還され、懲役12年の判決を受け服役中という。この歴代支店長3人は、銀行の資産を米国に移す手口で横領を続けていたが、2001年の事件発覚前に妻らと米国に逃亡し、ラスベガスのカジノで資金洗浄していたという。
 同紙は、2001年に配信された国営新華社通信の記事を引用し、4000人を超える容疑者があわせて50億元(1元は約14円)を海外に持ち逃げしたと指摘する。中国当局は米国に逃亡した腐敗官僚1000人以上の名簿を米国側に提出しているという。
 中国の腐敗官僚が高飛びする場合、地位が高い場合、米国、カナダ、オーストラリアに逃亡するケースが多く、太平洋の島国に身を潜める事例も指摘される。米国では高級住宅地に住むケースも少なくない。「環球時報」の記者は、ラスベガスのカジノの貴賓室で中国の大型国有企業の元トップという高齢者が多額の現金で遊ぶ光景を目撃したという。地位が低い官僚は東南アジア、アフリカ、東欧などに逃亡するようだ。
 逃亡官僚は現役時代に権力をフルに使い、家族や愛人を海外に移住させ、米国籍を取得させる。その後、海外に投資する形で合法的に現金を移す。海外移住に向け現役時代に居住権や国籍を取得する者もいる。
 今回、米国の裁判所が初めて中国の腐敗官僚に重刑を下したことで、インターネットの書き込みでは「海外逃亡に歯止めをかけ、すでに逃亡している官僚を震え上がらせることになる」と評価する意見が出ている。

◎誘拐された女性と子供410人保護、中国(2009年5月8日、産経新聞)
 中国の通信社、中国新聞社によると、中国公安省当局者は7日、女性や子供の誘拐事件を集中的に捜査し、この1カ月間で、72の誘拐グループを摘発、214人の女性と196人の子供を保護したと発表した。
 同当局者は、女性や子供が誘拐され、人身売買される事件が多発しているとの認識を示し「社会問題だ」と強調。誘拐事件は、省をまたぐことが多く、犯人も定住していないことが多いため捜査が難しいと指摘。その上で「誘拐が判明した時点で即座に捜査を開始する必要がある」と述べた。

◎幹部ら246人の不正摘発、中国、四川地震の支援で(2009年5月8日、産経新聞)
 新華社電によると、中国四川省規律検査委員会は8日、昨年5月に起きた四川大地震の震災支援で救援物資、資金の扱いをめぐり不正行為をしたとして、4月末までに地方幹部ら計246人を摘発し、うち231人を処分したと発表した。31人は刑事訴追を受けた。
 最も重い処分となったのは省内の市病院幹部で、救援資金約1万1000元(約16万円)を被災者側に支給しなかったとして、懲役7年の判決を受けた。別の村の幹部は支援金を支給する際に村民から500元を不正に受け取り、懲役3年を言い渡された。

◎中国国有の非鉄大手、豪希土類大手に51%出資で合意(2009年5月4日、日本経済新聞)
 【北京=多部田俊輔】中国の国有非鉄大手、中国有色鉱業集団は4日までに、オーストラリアのレアアース(希土類)大手ライナスに51.66%出資することでライナスと合意したことを明らかにした。出資額は2億5200万豪ドル(約180億円)。ライナスは資金繰りのため、中国の銀行から100億円規模の融資も受ける。両社は中豪政府の承認を求める。中国メディアによると、中国企業による豪資源会社の買収は今年4件目。

◎中国、ソフト設計図に固執、IT情報強制開示、来月に詳細(2009年4月25日、日本経済新聞)
 【北京=多部田俊輔】中国政府は5月までにIT(情報技術)セキュリティー製品の技術情報をメーカーに強制開示させる制度の詳細を公表する。日米欧の各国政府は知的財産が流出する恐れがあると反対してきたが、「IT強国」を目指す中国政府は導入の意欲を改めて示した。対象範囲などによっては、日米欧企業が大きな影響を受ける恐れがある。
 中国が導入にこだわるのは、独自の安全基準である「強制製品認証制度(CCC認証)」にITセキュリティー製品13品目を加えること。ICチップ用OS(基本ソフト)やネットワーク監視システムなど、情報システムや情報機器の安全性確保に不可欠なソフトウエアだ。日米欧企業が強みを持つ分野で、認証を受けられなければ中国で販売できなくなる。

◎IT製品の情報開示義務、中国が近く詳細公表(2009年4月25日、朝日新聞)
 中国政府が日本政府に対し、外国企業に情報セキュリティー製品の技術情報開示を義務づける「強制認証制度」の詳細内容を5月1日までに公表すると伝えたことが24日、分かった。日本政府は、企業の知的財産が流出する恐れがあるとして、制度導入の撤回を強く求めている。
 経済産業省によると、中国当局から今月上旬に連絡があった。制度が導入されると、機密性の高い先端暗号技術や基本ソフト(OS)まで中国当局に開示しなければ、中国での製造や販売ができなくなる恐れがあるという。
 中国政府は昨年1月、13製品を対象とした制度の概要を公表し、今年5月に制度を導入するとしていた。しかし、日米欧などの反対にあって今年3月に延期を表明している。
 13製品にはコンピューターウイルスを防ぐための「ファイアウオール」やICカードリーダーが含まれ、業界団体のまとめでは、日本企業の取扱金額は1兆円にのぼるという。
 二階経産相はこの日の記者会見で「国際的に例のない強制認証制度が導入されると、日中両国の通商貿易関係や中国産業の発展への影響を及ぼす」と述べ、制度導入への懸念を改めて表明した。

◎中国、融資拡大促す 当局トップ、8%成長実現へ景気けん引(2009年4月19日、日本経済新聞)
 【海南省(中国南部)=品田卓】中国は実質経済成長率8%の実現をめざし、金融面で景気をけん引する姿勢を強めている。19日まで3日間の日程で開かれた博鰲(ボーアオ)アジアフォーラムで、中国銀行業監督管理委員会の劉明康主席と中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁はそれぞれ、銀行融資の拡大と柔軟な金融政策を続ける考えを強調した。
 銀行融資については1~3月期の全国ベースの増加額がすでに4兆5800億元(約66兆円)と、今年(1~12月期)の年間目標である5兆元をほぼ達成した。しかし、銀行監督当局トップである劉主席は「5兆元は上限ではない。8%成長の目標を達成させるためには銀行の役割が非常に大きい」と述べ、今後も融資拡大を促す姿勢を示した。
 劉主席は、融資の急拡大が不良債権を生むとの懸念が出ていることに対して「1~3月期の融資には必ずリスクは含まれている。だが、それはコントロールできる範囲だ」と語った。

◎万里の長城2千キロ長かった、総延長は8851.8キロ(2009年4月19日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】「万里の長城の総延長は8851.8キロに上る」。世界文化遺産にも登録され現存する部分が多い明代(1368~1644年)の万里の長城について、中国政府は建国以来初めて大規模な測量結果を公表した。
 調査は「万里の長城保護プロジェクト」の一環として国家文物局と国家測量局が07年5月から08年末まで実施。その結果、れんがなどで造った「人工壁」は全体の約7割に当たる6259.6キロで、残りはがけなど天然の地形を利用しており、総延長は8851.8キロと確定した。東端の遼寧省から西端の甘粛省まで10の省や直轄市、自治区にまたがっていた。
 それぞれの長城の長さを足し合わせれば1万2700里(6350キロ)となることから「万里の長城」の名が付いたとされるが、これまで総延長を確定するような大がかりな測量がなされていなかった。今回は天然壁の部分も含めたことから、2千キロ以上も長さが延びたようだ。
 ただ、自然災害のほか道路や鉄道などの公共工事の影響で、人工壁の約3割は既に消滅。原形をとどめていない部分が多く、れんがなどの保存状態が良い部分は8.2%(513.5キロ)しかなかった。北京市の八達嶺(はったつれい)長城や甘粛省の嘉峪関(かよくかん)などはこのうちの一部で、観光地として公開されている。中国政府は今後、秦代や漢代などの長城も総延長を調査する。

◎中国の億万長者82万人、最多の北京、113人に1人(2009年4月18日、朝日新聞)
 【上海=奥寺淳】資産が1千万元(約1億5千万円)以上ある富豪が中国には82万5千人いる。中国の民間の研究機関「胡潤百富」が15日に発表した調査で、こんな結果が出た。都市別では北京が最多で113人に1人の割合。中国都市部を中心とした購買力の高さが裏付けられた形だ。
 胡潤が個人の投資金額や納税額、車や家の購買状況などをもとに算出した。富豪は大都市に偏っており、1位の北京は14万3千人で全体の17%。2位の広東省(13万7千人)、3位の上海(11万6千人)の3地域で、ほぼ5割を占めた。富豪の割合は、中国全体では約1700人に1人だった。
 資産には株式のほか近年、値上がりの著しかった不動産も含まれるという。
 胡潤によると、同規模の資産家の割合は英国が150人に1人、米国が100人に1人で、北京や上海は肩を並べた形。今回の調査に協力した人の8割は、金融危機後も生活に大きな影響はなかったと答えたという。
 一方、資産が1億元(約15億円)以上ある大富豪は中国全体で5万1千人にのぼった。

◎チベット暴動、4人に死刑判決、2人は執行猶予付き(2009年4月8日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】新華社通信によると、中国チベット自治区ラサ市の中級人民法院(地裁)は8日、昨年3月に発生した暴動で放火などの罪に問われた被告4人に死刑判決を言い渡した。うち2人は2年の執行猶予付きで、このほか1人を無期懲役とした。ラサ暴動参加者への判決で死刑が伝えられたのは初めて。
 自治区側は昨年3月14日のラサ暴動で市民18人が死亡、約380人が重軽傷を負ったと公表。公安当局は放火など約300件の違法行為を摘発し、暴動に加担した疑いがあるとして約950人を拘束した。このうち約70人を刑事法廷にかけているとされる。

◎ハッカーが中国政府幹部から機密文書盗む(2009年4月1日、産経新聞)
 1日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは消息筋の話として、3月の中国全国人民代表大会(全人代=国会)開幕前に中国国務院(政府)幹部のコンピューターにハッカーが侵入し、温家宝首相の政府活動報告の草案を含む機密書類が盗まれたと伝えた。
 同紙によると、ハッカーのアクセスは台湾からあった。盗まれた書類の中には、政府活動報告の草案に対する共産党政治局員らの修正意見が含まれていた。修正意見は報告そのものよりも機密性が高いとされている。
 政府幹部はネットに接続するパソコンと機密情報を扱うパソコンを分けなければならないと規則で定められており、ハッカーの侵入を受けた幹部は規則に違反していた。侵入を知った温首相は激怒、同幹部は既に処分されたという。

◎中国:広東省「GW復活」に政府が反対、背景に「対立」(2009年3月29日、毎日新聞)
 【上海・鈴木玲子】中国で昨年廃止された5月の大型連休について、広東省政府が独自に「復活」させると宣言、国務院の事実上の阻止によって撤回に追い込まれるという異例の事態が起きた。香港紙は、背景に「中央政府と広東省の対立がある」と指摘している。
 中国は5月1~7日が7連休だったが、法改正によって昨年から1~3日の3連休に短縮された。だが、長期連休の復活を望む声は多く、広東省は25日、土日の振り替えなどで調整し、独自に長期連休を復活させると発表した。
 同省は「観光業など内需消費を拡大できる」と強調。重慶市、湖南省、新疆ウイグル自治区も中央政府に復活を要請している。
 ところが、香港紙「文匯報」によると、広東省は発表した25日夜、省内報道機関に発表内容を報じないよう指示した。国務院は翌26日、法に基づき法定休暇を守るよう全国に通知した。
 今回の騒動について香港英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は「中央と広東、特に温家宝首相と(広東省トップの)汪洋・省共産党委員会書記の間に不和が生じている、との憶測が強まるのは避けられない」と報じた。温首相と汪書記は、中小企業救済を巡って対立したことがある。

◎中国:手足口病で児童ら18人死亡、4万人超が感染(2009年3月29日、毎日新聞)
 中国で今年に入って手足口病の感染が急増し、衛生省は27日、重症の児童ら18人が死亡したと発表した。全国で4万人を超す感染を確認。患者の9割以上が5歳以下の児童で、河南省で7人、山東省で5人が死亡した。
 手足口病は口の中や手足に発疹(はっしん)が出る感染症。5~7月に感染拡大の恐れがある。日本でも毎年夏に流行期を迎えるが、手洗いの励行などで死亡例はほとんどない。中国では昨年、30人以上が死亡している。【上海】

◎中国の粉ミルク汚染で石家荘市元幹部ら14人処分(2009年3月26日、産経新聞)
 26日の新華社電によると、中国河北省規律検査委員会などはこのほど、有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件で、製造元の三鹿集団(破産)のある石家荘市の元幹部ら14人を処分した。
 処分の対象となったのは石家荘市の冀純堂元市長や元副市長、河北省農業庁の元幹部ら。冀氏は事件発覚後、市長を解任されたが、今回の処分で共産党と行政の役職について免職となった。

◎中国・粉ミルク汚染で元酪農業者らの死刑確定(2009年3月26日、産経新聞)
 中国河北省の高級人民法院(高裁)は26日、多数の乳幼児に被害が出た汚染粉ミルク事件で、有害物質メラミンを混入し公共安全危害罪に問われた元酪農業者、張玉軍被告ら3人に対し、死刑(うち1人は執行猶予2年)を言い渡した一審判決を支持、控訴を棄却した。新華社などが伝えた。
 中国は二審制のため死刑判決が確定した。また、汚染された粉ミルクを生産した三鹿集団の前会長、田文華被告についても無期懲役の一審判決を支持した。
 張被告は、2007年から08年にかけ、牛乳のタンパク質含有量を高く見せ掛けるため、メラミンを混入した粉約776トンを製造して牛乳業者に販売、三鹿集団を中心とする乳業メーカーが粉ミルクなどの原料として購入していた。

◎中国、ユーチューブ接続遮断、暴動動画と関係?(2009年3月25日、産経新聞)
 中国当局は米検索大手グーグル傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」への国内からのアクセスを遮断した。グーグルの広報担当者の話としてAP通信などが25日までに報じた。
 アクセスが遮断されたのは23日ごろ。担当者は理由について明らかにしていないが、同サイトにはチベット自治区ラサで昨年3月に発生した暴動の際、警官に暴行され死亡したとされるチベット民族の男性の映像などが最近投稿されている。
 この映像について新華社は24日、チベット亡命政府関係者が提供したもので、場面をつなぎあわせてつくった偽物だとのチベット自治区当局者の話を伝えている。

◎昨年、中国の死刑執行3.5倍に、国際人権団体報告(2009年3月24日、産経新聞)
 【ロンドン=木村正人】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)は24日、2008年に世界25カ国で少なくとも2390人の死刑が執行されたと発表した。07年の1252人から大幅に増えた。昨年夏に北京五輪を開催した中国での死刑執行は全体の7割強を占め、前年より約3.5倍に増加していた。
 アムネスティの報告書によると、死刑が執行されたのは、多い順に中国が1718人以上(07年推計は470人)▽イラン346人以上(同317人)▽サウジアラビア102人以上(同143人)となっている。米国は37人(同42人)、日本は15人(同9人)だったという。
 死刑宣告を受けたのは52カ国の8864人だった。
 中国は死刑執行の件数を公表していないため正確な数字は分からないが、最高人民法院(最高裁)が07年1月、死刑執行が適切かどうかを判断する制度を導入したのをきっかけに、この年の死刑執行は06年の1010人から大幅に減少した。さらに最高人民法院は、昨年前半に死刑判決の15%を覆したと発表していた。
 しかし、アムネスティの報告書では、五輪開催を機に再び増加している実態が浮かび上がっている。同報告書は、中国では死刑判決を言い渡されるケースでも公正な裁判は行われていないと指摘している。
 死刑制度を維持しているのは59カ国で実際に死刑を執行したのは25カ国にとどまるため、アムネスティは「死刑廃止に向け前進している」と評価している。

◎チベット僧ら数百人が警察襲撃、中国・青海省(2009年3月23日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】新華社電によると、中国青海省ゴログ(果洛)チベット族自治州のラギャで21日、チベット仏教僧侶100人近くを含む数百人の群衆が警察署を襲撃、地元政府職員数人が軽いけがを負った。
 騒動は22日までに収まり、警察が6人を逮捕したほか、89人が自首した。このうち、93人が地元寺院の僧だったという。
 インド北部ダラムサラに本拠を置くチベット亡命政府によると、警察署周辺には約4000人が集結し、「チベット独立」などと叫んだ。チベット動乱50年、ラサ暴動1年にあたる今月、チベット族居住地域では武装警察などが厳戒態勢を敷いているが、こうした大規模暴動が伝えられるのは初めて。
 新華社電は、僧侶側にけが人が出たかどうかは伝えていない。襲撃の原因については、チベット独立活動に関与した疑いで警察の取り調べを受けていた男性が、20日に警察署から逃亡し、行方不明になった事件との関連を指摘している。
 AP通信などは、亡命政府の情報として、男性が黄河に飛び込んだと伝えた。警察はこの男性の部屋でチベットの旗や政治宣伝ビラなどを見つけ、拘束したという。

◎チベット自治州、僧侶百人らが警察署襲撃、暴動収まらず(2009年3月22日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国国営新華社通信によると、青海省果洛チベット族自治州で21日午後、チベット寺院の僧侶約100人を含む数百人が地元警察署を襲撃し、職員ら数人が軽傷を負った。同自治州では9日にも警察署が地元住民に襲われる事件が起きており、厳戒態勢を強める当局とチベット族との対立が深まっているようだ。
 チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世がインドに亡命するきっかけとなった騒乱から50周年を迎えた10日以降、大規模な暴動が伝えられたのは初めて。
 警察当局は22日、暴動に関与した6人を逮捕し、89人が警察署に出頭したが、このうち93人が僧侶だった。警察当局は、20日に拘束したチベット独立派の男が取り調べ中に逃げ出し、行方不明になったことがきっかけになったと説明しているが、詳しい原因は明らかにしていない。
 一方、チベット亡命政府によると、男はチベット寺院の若い僧侶で、警察の取り調べを受けていた最中に近くを流れる川に飛び込み、自殺を図ったという。

◎倒壊校舎施工図は国家機密、中国当局が「圧力」(2009年3月18日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動情報センターは18日、中国・四川大地震で倒壊した校舎をめぐり、中国当局が手抜き工事を裏付ける施工図を持っている可能性のある遺族ら3人に対し、施工図を公開した場合は国家機密漏えい罪で処罰すると警告したと伝えた。
 同センターによると、3人は四川省北川県の北川中学校の校舎倒壊で亡くなった生徒の遺族ら。手抜き工事を訴えるため、入手した施工図を全国人民代表大会(全人代=国会)代表に送付しており、施工図をまだ持っている可能性があることから、当局が公開しないように「圧力」をかけた。
 施工図には、倒壊により判明した実際の校舎の鉄筋よりも多い数の鉄筋を使うように記されているほか、より太いものを使うようになっていたという。

◎やっぱりコネ? 中国主席の息子が国有企業のNO2に(2009年3月16日、産経新聞)
 16日付の香港紙、星島日報は、中国の胡錦濤国家主席の息子、胡海峰氏(37)が昨年、北京の名門校、清華大が出資する国有企業「清華控股有限公司」のナンバー2に当たる同社の共産党委員会書記に就任したと伝えた。
 同紙によると、胡海峰氏は北方交通大を卒業後、清華大で経営学を学んだ。党委書記は同社内では会長に次ぐ地位。本人がビジネスに直接関与する立場を嫌ったことから、党委書記に就任したという。これまでは同社傘下企業の幹部を務めていた。

◎中国2月の輸出、25.7%の大幅減、輸出先が総崩れ(2009年3月12日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国税関総署が11日発表した2月の通関統計(速報)によると、2月単月の輸出額は649億ドル(約6兆4千億円)で前年同月比25.7%の大幅減となった。輸出額の前年同月割れは、昨年11月以降4カ月連続だが、減少幅は大きく拡大した。世界同時不況で輸出先は総崩れの状態で、前月まで400億ドル前後だった貿易黒字額も48億ドルまで縮小した。
 輸出額は1月も同17.5%と大幅に減っていたが、中国税関総署は、旧正月休暇が前年より早い影響が大きいとし、「特殊要因を除けば前年同月比6.8%の増加」と説明していた。だが、減少幅は2月にさらに拡大、1~2月の累計は前年同期比21.1%減と大幅な落ち込みだった。
 1~2月の輸出額を国・地域別にみると、欧州連合(EU)向けが同22.9%減、米国向けが同16.1%減、ASEAN(東南アジア諸国連合)向けが同24.5%減となるなど、主要な輸出先すべてで前年同期を下回った。日本向けも同17.5%減、中継貿易の拠点である香港向けも同26.5%減と落ち込んだ。
 金融危機の影響が中国の輸出入にはっきり表れた昨年11月以降、先に輸入額が落ち込み、貿易黒字額はかえって拡大する状況が続いた。
 資源価格の下落で輸入額が縮小した面もあるが、原材料を輸入し加工品を輸出する加工貿易が輸出額の5割を占める中国では「現時点の輸入は未来の注文書」(李徳水・元国家統計局長)。欧米などからの受注減が、まずは輸入減に表れ、遅れて輸出減につながった。
 輸出の大幅減を受け、2月単月の貿易黒字額は前月の約8分の1に縮小し、06年2月以来の低水準にとどまった。

◎中国の工業生産減速、前年比3.8%増 過去最低水準に(2009年3月12日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国国家統計局が12日発表した1~2月の工業生産(年間営業収入500万元=約7千万円=以上の企業)は、前年同期比3.8%増と過去最低水準にとどまった。金融危機による輸出急減や国内景気の減速が響いた。中国の国内総生産(GDP)の四半期統計は、消費、投資といった需要側の統計を中心に推計する日本などと異なり、生産側の統計がもとになる。3月に工業生産の大幅改善がなければ、1~3月のGDP成長率は一段と減速する可能性が高い。
 中国の工業生産は昨年11月に前年同月比5.4%増まで伸び率が低下。旧正月休暇の時期のずれの影響が出る1、2月を除けば、単月では94年に月次統計を取り始めて以来、最低だった。12日の発表は、今年1~2月累計の伸び率でこれをさらに下回った。
 内訳では、繊維などの基礎原料のエチレンが前年同期比11.1%減、銅など非鉄金属が同9.5%減となったほか、自動車も同1.7%減。温家宝(ウェン・チアパオ)首相が「非常に重視している」とする発電量も同3.7%減だった。
 ただ、セメントが同17.0%も伸びたほか、前年同月割れが続いていた粗鋼も同2.4%増とプラスに転じた。これら一部製品では、景気減速を受けた生産調整が一巡した可能性もある。4兆元(約57兆円)超の内需拡大策の効果がいつごろはっきりと表れるかが今後の焦点となる。
 中国の李毅中・工業情報相は10日の記者会見で、セメントや粗鋼などの生産回復の動きを「政策の効果で、よいニュースが出ている」としながらも「多くの産業で供給過剰が続いており、生産の回復が新たな波乱につながる可能性がある」との見方を示した。

◎中国のわいろ総額300億円に、起訴公務員は10%増(2009年3月10日、産経新聞)
 中国最高人民検察院(最高検)の曹建明検察長(検事総長)は10日、全国人民代表大会(国会)で、昨年1年間に汚職・横領で起訴された公務員が前年比10.1%増の3万3953人に上ったとの活動報告を行った。立件されたわいろの総額は21億元(約300億円)に上った。
 胡錦濤指導部が共産党・政府の公務員の汚職根絶に厳しい姿勢で臨んでいるにもかかわらず、腐敗が依然極めて深刻なことを示した。
 報告によると、収賄額10万元以上、横領額100万元以上とされる悪質事件で立件された国家公務員は計2687人で、うち閣僚級が4人いた。

◎中国外相、ギョーザ事件「捜査中」、日本側姿勢にいら立ちも(2009年3月7日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国の楊潔チ(ようけつち)外相は7日、北京の人民大会堂で記者会見し、北朝鮮が人工衛星打ち上げの名目で弾道ミサイルの発射準備を進めている事態について、「我々は朝鮮半島の平和と安定の維持が各国の利益に合致すると考え、関係各国がそのために有利となることを多く行うよう望む」と述べ、間接的な表現ながら、北朝鮮に自制を求めた。(「チ」は竹かんむりに「褫」のつくり)
 また、楊外相は、中国製冷凍ギョーザ中毒事件について、「一つの刑事事件であり、捜査は継続中」と強調。その一方で、食品安全に関する日中間の長期的な協力メカニズムをつくるべきだとの考えを改めて表明した。さらに、「長い間捜査したが、解決に至っていない食品(安全)事件は日本にないというのか」と逆質問するなど、この問題を繰り返し指摘されることへのいらだちをうかがわせた。
 一方、中国が日中合意に反する形で単独開発を進めている東シナ海のガス田「樫(かし)」(中国名・天外天)をめぐって、楊外相は、「中国の排他的経済水域にあり、中日合意とは関係ない」と語り、単独開発の正当性を訴えた。

◎中国:国債を増発、景気減速に歯止め、全人代報告(2009年3月6日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国の温家宝首相は5日、全国人民代表大会の政府活動報告と付属文書の中で、中央政府と地方政府を合わせた財政支出を前年比22.1%増の7兆6235億元(約110兆5400億円)にすると表明した。マイナス成長に陥る日米欧の主要国の財政支出拡大に制約がある中、中国は建国以来最大規模の新規国債発行に踏み切り、景気減速に歯止めをかける姿勢を鮮明にした。
 中国は昨年秋に、10年までに総額4兆元(約58兆円)をインフラ整備などに投資する内需拡大策を発表した。しかし、大半は同年を期限とする「第11次5カ年計画」や、次期5カ年計画に盛られる事業の前倒しと見られており、どれだけの景気刺激効果があるのか不透明な面が多い。
 5日の財政報告によると、09年の公共投資は前年比2倍以上の9080億元を計上。また、付加価値税改革などにより企業と国民の負担を約5000億元軽減することも盛り込み、投資と消費の両面から内需を押し上げる方針を示した。
 人民元レートについては、政府活動報告で「合理的な均衡水準で基本的な安定を保つ」と説明。昨年夏以降の変動範囲である1ドル=6.8~6.9元台前後の水準を維持するため、金融当局による為替介入を続けることを示唆した。

◎上海余話:「性表現」はダメ(2009年3月4日、産経新聞)
 上海市の衛生局が、バスや地下鉄など交通機関の広告に「男子」「女子」の文字を使うことはまかりならぬ、とのお達しを出した。医療機関や美容整形などに限った話だが、通達によれば、なんでも「性」に関する表現は「良くない影響を与える恐れがある」との見解で、性機能の強化や性病治療をうたう広告も禁止。ましてや避妊具や女性の体(裸体ではない)を強調する広告は厳禁だ。
 性病に少しでも関係すれば、泌尿器科だろうが肛門科だろうが産婦人科だってダメ。それも不妊治療までが禁止範囲に含まれるというから、「行き過ぎ」のそしりは免れそうもない。
 なぜそこまで、と通達をよくよく読むと、禁止の期限が2010年12月31日までとある。どうも来年5月1日から10月31日まで開催される「上海万博」をみすえた時限措置のようだ。万博事務局では入場者数7000万人を目標に掲げているが、95%の6650万人が中国国内からと見込んでおり、海外からは日本人が最多の100万人と予想している。
 華僑も詰めかけるとすれば、期間中に上海を訪れる人の97%くらいは漢字を読めそうだ。「メンツを重んじた共産党か市のお偉いさんがどうせ『性表現を徹底的に取り締まれ』とでもツルの一声を発したんでしょ」というのが、通達に慣れっこの上海人の解説。
 なぜ禁止か。疑問をはさむことすら許されぬ国に住むことは容易ではない。(河崎真澄)

◎競売落札中国人の支払い拒否に、中国国内のネットで批判拡大(2009年3月4日、産経新聞)
 清朝時代の中国からの略奪品であるウサギとネズミのブロンズ像をパリの競売で落札後、代金の支払い拒否を表明した中国人の“競売妨害”とも呼べる行為に対し、中国のインターネット上では「中国のイメージを傷つける」などとする批判派が拡大、賛成派を上回る勢いになっている。
 ネット上の書き込みでは「(競売を認めた)フランスが不誠実である以上、彼の行動は当然」「巧妙な手口で素晴らしい」との称賛も少なくない。中国では伝統的に法律より、「大義」を重んじる傾向がある。
 しかし「毒入り粉ミルクに続いてまた中国の信用を傷つけた」「妨害しても今後、中国人が競売から排除されるだけ」と国際感覚を意識した批判が意外と多い。「中国政府も不当な競売と反対していたのに参加すること自体が売国奴的」との批判も目立つ。
 中国外務省は落札者が中国人とは知らなかったとした上で「民間の問題であり、コメントしない」としている。

◎被害者の95%賠償受け取り、中国、粉ミルク汚染で(2009年3月3日、産経新聞)
 3日付の中国共産党機関紙、人民日報によると、最高人民法院(最高裁)の瀋徳咏常務副院長は2日、有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件で、被害に遭った乳幼児約30万人の家族の95%以上が企業側から賠償金を受け取ったことを明らかにした。
 ただ、連絡が取れない家族がいるほか、受け取りを拒否し訴訟手続きを進める家族もおり、瀋副院長は「裁判所は法に従って(訴訟を)受理するかどうかを決める」としている。

◎支払い拒否の中国人「責任を果たした」、競売出品者「保有し続ける」(2009年3月2日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】第2次アヘン戦争のさなか、中国清朝の離宮「円明園」から英仏連合軍に略奪され、このほどパリで競売にかけられたウサギとネズミのブロンズ像の落札者が中国人だったことが2日、明らかになった。国営新華社通信が伝えた。落札した民間組織顧問は「金を払うつもりはない。中国人としての責任を果たしただけだ」と話しており、像の引き渡しをめぐって新たな問題が起きる可能性が高い。
 新華社によると、落札したのは流出文化財を取り戻す活動をしている民間組織「海外流出文化財救出基金」の顧問を名乗る蔡銘超氏。
 像をめぐっては、中国外務省が「中国に所有権があるのは間違いない」と返還を要求。在仏中国人弁護士らによる競売差し止め請求をパリ大審裁判所(地裁)が棄却したことから、中国国内ではインターネットなどで仏製品不買を呼びかけるなどの過激な主張が飛び交う一方、蔡氏の行為は愛国心と団結心を鼓舞する事例と受け止められている。 ブロンズ像は、先ごろ亡くなったフランスの服飾デザイナー、イブ・サンローラン氏の遺産として競売にかけられ、3140万ユーロ(約39億円、手数料込み)で落札された。ロイター通信によると、サンローラン氏のパートナーで、競売出品者となったピエール・ベルジェ氏は、代金が支払われなければ、ブロンズ像を自宅で保有し続ける意向を表明した。

◎落札の中国人「金払わない」と宣言、イブ・サンローランの遺品(2009年3月2日、産経新聞)
 第2次アヘン戦争で英仏連合軍が1860年に中国から略奪、フランスの服飾デザイナー、故イブ・サンローラン氏の遺産としてパリで2月25日に競売にかけられたウサギとネズミのブロンズ像を落札したのは中国人だったことが2日、分かった。
 ロイター通信によると、落札者を名乗る中国人は2日、記者会見し「落札した金を支払うことはできない」とし、支払いを拒否する姿勢を示した。
 新華社電によると、海外に流出した文化財を取り戻すキャンペーンを行っている中国の民間組織「海外流出文化財救出基金」が、中国人がブロンズ像を落札した事実を明らかにした。落札した中国人についての詳細は不明だが、同基金と連携しているとみられる。支払いを拒否した後の対応については不明。
 2つのブロンズ像は競売会社クリスティーズにより競売にかけられ、2点で計3140万ユーロ(約39億円、手数料込み)で落札された。

◎北京弁護士会が初の公開選挙、民主派の働きかけで実施(2009年3月2日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】北京市弁護士協会(会員約1万8千人)が26、27両日、代表を選ぶ初めての公開選挙を実施した。共産党の一党支配体制下で、当局の影響を強く受ける職業団体で選挙が導入されることは異例。一部の民主派弁護士による運動が消極的な協会を突き動かしたもので、民主化を求める声が高まっていることを示している。
 北京市中心部の朝陽区にある投票所には、十数人の警察官が警備しており、物々しい雰囲気に包まれていた。会場内には深紅の真新しい投票箱が設置され、朝から投票する弁護士が列をつくった。投票した男性弁護士の一人は「これまでだれが会長なのかも知らなかった。当局が民主化にお墨付きを与えたことを意味し、全国に波及する可能性がある」と評価する。
 市内各区の弁護士がそれぞれ投票し、合計229人の代表を選ぶ。その後、代表が会長ら執行役員を選出する仕組み。同協会はこれまで、一部の幹部が内部で会長らを選んでいた。
 ところが約40人の民主派弁護士が昨年8月、「歴史の潮流に見合った民主的な直接選挙の実現を」と題する呼び掛けをインターネットを通じて始めた。会長職を協会の一部だけで決めている点を「非民主的で不透明」と批判した。これに対し協会側が「少数の弁護士が民主化推進の名目でデマを流して、人心を惑わせる言論の扇動は違法だ」と反論。両者の対立は深まり、昨年10月に行われる予定だった選挙は延期されていた。
 民主派弁護士らは選挙制度についての勉強会を重ね、賛同を求めるビラを配って、約100人の署名が集まった。北京大など有名大学の教授からも選挙導入を求める声が高まった。協会内でも「自ら選んだ代表こそが自分たちの権利を守ってくれる」という意見が強まり、初の選挙実施にこぎ着けた。
 民主派グループのメンバーには、人権活動家の胡佳氏=国家政権転覆扇動罪などで服役中=の弁護人、李方平氏らが含まれている。これらの弁護士は小規模の事務所に属しており、執行部には入れなかったが、民主派グループから代表を選出すれば「協会や政府に対して人権侵害について組織的に意見できるようになる」(民主派弁護士)と期待する。
 しかし、民主派グループは少数派で、会長に選出される可能性は高くない。李弁護士は「民主化への大きな一歩といえるが、有権者が直接会長を選べず、選挙結果が明らかになるまで1週間もかかるなど、改善の余地は大きい」と指摘する。

◎中国:食品安全法が成立、効果疑問視する指摘も(2009年3月1日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員会は28日、食品の生産から流通までの全過程で安全確保に関する行政監督を強化し、食の安全に対する国内外の信頼回復を目的とした食品安全法を可決した。6月1日施行する。
 同法の草案は07年12月に同常務委に上程された。しかし、その後日本で発覚した冷凍ギョーザ中毒事件や、有害物質メラミンの粉ミルク混入事件などを受けて改正が繰り返された。民事賠償が行政処罰に優先することや、虚偽広告を取り締まる規定が書き加えられ、消費者保護の姿勢を強化した。広告は、芸能人やスポーツ選手ら有名人が出演した広告の食品に問題が発生した場合、有名人も食品メーカーの経営者とともに連帯責任を負う。
 食品だけでなく、農薬や肥料などへの管理も厳格化し、違法業者に対する罰則も引き上げた。また、食の安全に関連する政府機構の権限が分散し、効果的な取締りができない弊害が出ていることを踏まえ、政府内に食品安全委員会を創設して権限を調整することも盛り込んだ。
 ただ、中国では、知的財産権保護に対する法律強化にもかかわらず、ブランド品の海賊版などが一向に減らないのと同様、食の安全に対しても効果を疑問視する指摘も根強い。

◎中国に食品安全法、危険食品ならCM出演に連帯責任(2009年3月1日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国の全国人民代表大会(国会)常務委員会は28日、「食の安全」を確保するため、食品生産の監督強化などを盛り込んだ「食品安全法」を可決した。
 6月1日から施行される。中国製冷凍ギョーザ中毒事件や約30万人の被害者を出した汚染粉ミルク事件などで中国産食品に対する不信感が国内外で強まる中、信頼回復を図る。
 新華社電などによると、食品生産の監督権限を調整するため、「食品安全委員会」を政府内に設立するほか、違法業者に対する罰則強化などを定めている。タレントやスポーツ選手ら有名人が出演した広告の食品に問題が生じた場合、有名人も食品メーカーの経営者とともに連帯責任を負う規定が新たに盛り込まれた。
 同法案は2007年12月に上程されたが、「食の安全」を脅かす一連の事件を受けて修正が重ねられてきた。ただ、中国では、利益優先の違法行為が後を絶たず、同法の実効性について疑問視する声も多い。

◎中国:景気対策で赤字が過去最大13兆円規模に、09予算(2009年2月25日、毎日新聞)
 23日付の中国週刊紙、経済観察報は、中国政府が3月の全国人民代表大会(全人代=国会)に景気刺激型の09年度予算案を提出し、赤字規模は9500億元(約13兆円)と過去最大を記録すると報じた。
 中国政府が昨年11月に打ち出した総額4兆元の景気対策実施に向け、公共事業などへの支出が膨らむ一方、財政収入が落ち込んでいるため。建設国債発行額も08年度予算の300億元から大幅に増える見通しだ。
 赤字額のうち2000億元は、地方が実施する公共事業のため、中央政府が発行する国債で賄うという。08年度予算の赤字規模は1800億元で、予算段階の赤字額としては03、04年度の3198億元がこれまで最高だった。
 新華社電によると、中国共産党政治局も23日、全人代に温家宝首相が提出する政府活動報告案を審議し、公共投資の大幅増加で内需拡大を図る方針を確認した。

◎北京中心街で車炎上、2人負傷、「直訴」の焼身自殺図る?(2009年2月25日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】新華社電によると、北京市中心部の繁華街で25日午後、男性3人が乗った小型乗用車から出火し、このうち2人が負傷して病院に運ばれた。
 命に別条はないという。
 市当局は「3人が直訴のために北京に来た」としており、焼身自殺を図ったとみられる。現場は、目抜き通りの王府井と長安街の交差点。

◎北京市の繁華街で車炎上、男女3人が焼身自殺図る(2009年2月25日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】25日午後2時50分ごろ、北京市の繁華街、王府井の交差点付近で、3人の男女が乗用車内で火をつけ焼身自殺を図った。北京市公安局によると、3人は病院に運ばれ、うち2人がけがをした。3人は、地方の政府や裁判所の対応に不満を持つ中央政府へ直訴に来た者とみられる。
 目撃者によると、3人が乗った乗用車は内モンゴル自治区のナンバー。車上に中国国旗と2本の赤旗を掲げて何かを叫んだという。近くにいた警察官が制止しようとしたところ、車に火を放った。警察官らが窓ガラスを割って突入、3人を車外に引きずり出した。

◎中国の炭鉱でガス爆発、44人死亡、多数の作業員が坑内に(2009年2月22日、日本経済新聞)
 【北京22日共同】新華社電によると、中国山西省太原市古交の炭鉱で22日未明、ガス爆発が発生し44人が死亡した。坑内には依然として多数の作業員が取り残されており、犠牲者がさらに増える恐れがある。
 事故発生時には坑内で436人が作業していた。現場では、多数の救助隊員が集まり、坑内に空気を送りながら救出活動が行われている。
 山西省では、鉱山に絡む事故が多発。2007年12月には臨汾市の炭鉱で100人以上が事故死した。昨年9月にも同市で違法操業の鉄鉱山のダムが決壊して土石流が発生、270人以上が犠牲になり、当時の孟学農省長らが監督責任を問われ事実上更迭された。

◎シャープ、液晶パネル中国生産検討、亀山ライン売却案も(2009年2月21日、朝日新聞)
 シャープは、薄型テレビ向け液晶パネルの生産を海外にシフトする検討を始めた。中国の大手電機メーカー上海広電集団と提携し、中国内で生産する方向で同社と交渉に入っている。急激な円高で採算が悪化しているためで、国内では旧世代の設備となる亀山第1工場(三重県亀山市)のラインを売却し、中国に移転する案も浮上している。
 提携が実現すれば、日本の電機メーカーによる中国での大型液晶パネル生産は初めて。中国内向けの生産が中心になるとみられる。提携の具体策は今後詰めるが、広電集団以外のメーカーとも接触している模様だ。
 海外向けテレビでシャープはこれまで、国内で作ったパネルを輸出し、欧州やメキシコ、中国などで組み立てて販売してきた。パネル自体は同社の基幹技術と位置付け、国内での生産体制を敷いてきた。しかし、円高が進んでいることや、サムスン電子など韓国、台湾勢との価格競争が強まっていることから、旧世代では海外に生産を移すことが適切だと判断した。
 亀山第1工場は04年1月に稼働し、「第6世代」と呼ばれる大型パネルを生産してきた。景気の減速で昨秋以降、世界的に液晶テレビ市場が縮小するなか、シャープは在庫圧縮のため減産に着手しており、現在は携帯電話など中小型液晶向けに切り替えるためラインを一時停止している。亀山では第2工場で「第8世代」パネルを製造している。
 シャープは最新の「第10世代」パネルを生産する堺工場(堺市)を建設中だ。10年春の稼働予定で、既存の旧式設備が余剰となることも、亀山第1の移転構想を後押ししている。
 広電集団は「第5世代」の中小型の液晶パネルをテレビ、パソコン向けに製造している。

◎中国、暴動やデモ相次ぐ、不満層と反体制勢力の“合流”警戒(2009年2月20日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国では今年に入り、職を失った農民工(出稼ぎ労働者)に加え、土地の強制収用に反発する農民や元軍人らによる暴動やデモなど、当局への抗議行動が全国各地で相次いでいる。その規模は数百から数千人にのぼり、社会不安が顕在化し始めたとの見方も出ている。当局は、これら住民の不満層と、チベットなどの民族独立派、民主化活動家などが合流し、混乱が拡大する事態を警戒している。
 「内外の敵対勢力が農民工を利用し、(暴動など)破壊行為を行うことを断固阻止する必要がある」
 中国紙によると、労働者組織、中華全国総工会の孫春蘭副主席は17日、こう述べ、暴動やデモを防ぐために農民工に資金を無利息で貸し付けるなどの措置を講じる考えを示した。
 公式発表では、2500万人の農民工が年内に失業する危機にある。経済の動向次第ではこれがさらに増え、暴動や犯罪も増加するとみられている。
 さらに、3月にはチベット動乱から50年、4月には気功集団「法輪功」の中南海包囲事件から10年など、当局が神経をとがらせる“記念日”を迎える。
 このため、党直属機関は今月1日、関係当局に「2009年全国社会治安総合管理の要点」を通達し、その中で、▽内外の敵▽民族の分離独立派▽暴力・テロ組織▽極端な宗教団体-の各勢力による「破壊活動を徹底して抑え込む」などとした方針を示した。
 関係者によると、公安省は今月中旬、北京に全国の公安幹部を集め、今年10月に行われる「建国60周年記念式典の成功」を昨夏の北京五輪と同列視し、今年の優先課題と位置づけ、強い危機感をにじませた。
 政府はこれを受け、農民らを対象にパソコン教室を実施するなど、社会格差を是正する取り組みを行う一方で、6月4日の天安門事件20周年をにらみ、反体制活動や抗議行動を封じ込めるため、大量の当局者を動員して北京の警戒を強化する予定で、「硬軟両様」の対策をとり始めている。
 温家宝首相は今月、失業した農民工や就職難の大学生との座談会を開き、民意を重視するとの姿勢をアピールし、指導部の強い危機感を印象付けた。
 【中国で今年発生した抗議行動】

(民主化系サイトや関係団体などから)

■浙江省桐郷市
2月14日 労働者がらみの交通事故の処理をめぐり数千人と約1000人の警官隊が衝突

■浙江省温州市
2月16日 土地開発をめぐり農民ら約100人が、数千人が署名した横断幕を手に抗議

■山東省済南市
1月中旬(予定) 教師、元教師が処遇改善を求め北京まで5000人のデモ行進を計画。一部拘束

■山東省済南市
2月11日 元軍人ら約1000人が地元幹部との会見求め抗議行動

■山東省済南市
1月7日 労働者約数百人が賃金未払い問題でデモし警官隊と衝突

■湖北省随州市
2月16日 元教師ら約100人が待遇を不満とし示威行動

■湖南省吉首市
1月10日 違法に資金を集めた企業をめぐるトラブルで数千人が抗議

■広東省広州市
1月-2月 断続的に数百人、1000人規模で住民が発電所建設に反対し警官隊と衝突

■広東省広州市
2月16日 靴工場閉鎖で約300人の労働者らが抗議行動

■広東省陽江市
2月8日 住民1000人以上が海浜開発に反対し警官隊と衝突

■河北省三河市
1月5日 住宅建設の質めぐり購入者約数百人が抗議

■河北省孟村回族自治県
漢族と回族計1000人が乱闘

■河北省武安市
2月11日 約50人の農民が幹部の不正に抗議

■河北省保定市
1月11日 土地問題で農民と開発側が衝突

■上海市
2月4、11日 失業者や土地を失った農民など1000人超が市政府前に集まる

■北京市
2月9日 河北省からの陳情者が腐敗に抗議し横断幕掲げる

■貴州省徳江市
2月8日 催し物をめぐるトラブルなどで約1万人の群集の一部が警官隊と衝突

■雲南省景洪市
1月下旬 労働者数千人が賃金問題で抗議行動

■陝西省西安市
1月8日 約2000人の元軍人らが待遇改善求め抗議、警官隊と衝突

■安徽省淮南市
2月5日 政策に反対しタクシー業者約1000人がストライキ

◎京セラ、中国に太陽電池パネル新工場(2009年2月20日、産経新聞)
 京セラは20日、中国・天津の太陽電池パネルの生産拠点に新工場を建設すると発表した。同社は、平成23年度の太陽電池の年間生産量を、20年度の2倍以上の650メガワットへ引き上げる計画で、その一環。
 新工場は延べ床面積2万8800平方メートル。4月着工し、来年春ごろ完成予定だ。工場建設で、天津の生産能力は現在の年間60メガワットから最終的に4倍の240メガワットになる。チェコなどにある他のパネル生産拠点も順次、生産能力を増強する。

◎「中国あげつらうな」、中国の習近平副主席、メキシコ訪問で失言(2009年2月19日、産経新聞)
 中国の習近平国家副主席が外遊先のメキシコで、「腹がいっぱいになってやることのない外国人がわれわれの欠点をあれこれあげつらっている」と発言し、「国家指導者にふさわしくない失言」(中国紙記者)と話題になっている。
 副主席は11日、華僑と会談した際、中国が13億人の食糧問題を基本的に解決したのは人類に対する貢献だとし、「中国は革命も輸出せず、飢餓や貧困も輸出せず、外国に悪さもしない。これ以上いいことがあるか」と述べた。
 中国でもインターネットで発言や映像が伝わり、直後からブログなどで「酒に酔った勢いでの発言ではないか」「穏健な胡錦濤指導部のイメージを傷つける」と批判が広がった。習副主席は胡国家主席後継の最有力候補とされる。

◎「特権」への批判相次ぐ、中国、国営テレビ火災(2009年2月18日、産経新聞)
 北京市内で9日に発生した国営、中国中央テレビ(CCTV)の付属高層ビル火災で同テレビに対し「自業自得」「特権が招いた火災」などの批判がネット上で相次いでいる。
 火災は、同テレビ側が警察の制止にもかかわらず禁止されている花火を打ち上げ、発生。批判には、貧富の格差が拡大する中、特権意識を背景にした同テレビの日ごろの報道姿勢に対する不満があるとみられる。
 同テレビは10日に謝罪したが、ネット上では批判的な書き込みが噴出。中国紙、北京日報も「禁止花火を上げ、計り知れない害を及ぼした」と指摘した。
 同テレビは胡錦濤国家主席ら国のリーダーの動向などは詳しく報道するが、庶民の窮状はなかなか報じないとの不満も根強く「人々が興奮しているのは、うそを報道し続けてきた中央テレビの不幸が見られたからだ」との書き込みも。

◎ロシア:中国に20年間石油供給、250億ドル融資見返り(2009年2月18日、毎日新聞)
 【モスクワ大前仁】中露両国は17日、中国がロシアに対し250億ドル(2兆3000億円)を融資する見返りとして、ロシアが20年間にわたり中国に対し石油を供給する長期契約に合意した。これにより東シベリアの原油を太平洋岸に輸送する「太平洋パイプライン」の中国支線の建設など、2国間のエネルギー協力事業が加速するとみられる。
 インタファクス通信などによると、ロシア側の国営石油会社「ロスネフチ」、パイプライン建設会社「トランスネフチ」と、中国側の中国石油天然ガス集団(CNPC)、国家開発銀行が同日、北京で合意文書に署名。融資の内訳は、ロスネフチに対し150億ドル、トランスネフチに対し100億ドルとなる見通し。一方、ロスネフチは現在の契約が切れる2011年以降、CNPCに対し毎年1500万トンの原油を供給する。
 両国は昨年10月、東シベリアのスコボロジノから中国・大慶まで延びる同パイプライン中国支線の建設で基本合意したが、融資条件など条件交渉が長引いていた。ロシアでは経済危機の影響を受け、ロスネフチ、トランスネフチ両社とも資金不足に陥っており、パイプラインの建設続行に際して、中国からの融資を求めていた。

◎北朝鮮の情報管理、中国ピリピリ、各国が収集活動活発化(2009年2月17日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康状態に注目が集まる中、友好国の中国の当局が、情報収集を活発化させる各国の動きに神経をとがらせている。中国筋によると、政府系シンクタンクの中国社会科学院の幹部が北朝鮮に関する情報を韓国側に漏洩(ろうえい)した疑いで、取り調べを受けていることが判明。大使館や外国メディア関係者に単独で許可なく接触することを禁ずる通達を出すなど、管理を強めている。
 この社会科学院の幹部は、朝鮮半島情勢や日中関係など中国での東アジア研究の第一人者で、対日政策の決定にも影響力を持つとされる。中国内外のメディアに頻繁に登場していたが、1月下旬ごろ公の場から姿を消した。
 複数の中国筋によると、この幹部は1月下旬、捜査当局に拘束され、事情聴取を受けている。北朝鮮をめぐる政府の機密情報を韓国の情報機関に漏らした疑いが持たれているという。
 捜査当局は、幹部が情報提供の見返りに金品を受け取ったかどうかを調べているとみられる。社会科学院外事局は「そのような話は聞いていない」と否定しているが、幹部とは連絡がとれない状態が続いている。
 背景には、金総書記の健康不安が広まった昨年以降、北京を舞台に繰り広げられている各国の大使館や情報機関関係者による激しい情報収集活動がある。
 特に力を入れているのが韓国で「北朝鮮の情報収集にかける要員数や経費は他国と比べても群を抜いている」(北京の外交筋)。昨年初めにも、中国共産党対外連絡部の複数の幹部が、北朝鮮関連の機密情報を韓国情報機関に漏らしたとして処分された。
 朝鮮戦争以来、「血で固められた友情」で結ばれてきた中朝は、定期的に両国の首脳らが往来しており、中国はベールに包まれた北朝鮮の重要情報を持つと言われる。今年1月には王家瑞・対外連絡部長が訪朝、金総書記と会談したことが注目された。
 各国からの要請を受け、党幹部が2月上旬、各国の大使館員を集めて金総書記の健康状態を説明した。外交筋によると、この幹部は「発する言葉や指摘されている左手の動きに問題はなかった」と説明し、健康であることを強調した。だが、中国側が撮影した映像は見せず、ある外交筋は「すべてを明かしているとは思えず、北朝鮮に気遣っている感じだった」と明かす。
 中朝国交樹立60周年にあたる今年は「中朝友好年」と位置づけられ、両国首脳の往来が予想されている。特に北朝鮮を刺激しかねない金総書記の健康や後継者問題は「語ることすら許されず、最も敏感な話題」(中国政府筋)と言われており、中国当局は今後さらに締め付けを強めるとみられる。

◎北京で人工降雨実施(2009年2月13日、産経新聞)
 新華社電によると、中国当局は12日、空軍輸送機を使い、北京市上空を中心に約400リットルの液体窒素を散布、広範囲に雨を降らせることに成功した。
 北京では約110日にわたり目立った雨が降っておらず、今回の人工降雨は「国営中国中央テレビの付属高層ビル火災を受けて実施したのではないか」(中国紙記者)との見方も出ている。
 12日は朝から曇り空で、今回の人工降雨で降水量を最大10%増やすことができたという。北京市を取り囲む河北省でも同日、ヨウ化銀などを詰めたとみられるロケット弾約650発と砲弾約390発を打ち上げ、一部地域を除いて雨を降らせることに成功した。

◎中国:チャイナルコが英豪系リオ社に大型投資、資源確保へ(2009年2月12日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国国営の非鉄金属最大手、中国アルミニウム(チャイナルコ)は12日、英豪系資源大手リオ・ティントに195億ドル(約1兆7500億円)出資すると発表した。国営新華社系「新華網」によると、中国企業の海外投資案件としては過去最大。世界最大の外貨準備を生かして、世界同時不況下、割安になっている資源権を確保しておこうとの中国政府の意向に沿った投資とみられる。
 195億ドルのうち、123億ドルはリオがオーストラリア、米国、チリなどに保有する鉄鋼石や希少金属の9鉱山などの権益に、残り72億ドルはリオの転換社債に、それぞれ投資する。チャイナルコは現在、米アルミ大手アルコアと共同で、リオの株式約9.3%を保有しているが、今回発表された転換社債を株式に転換すれば18%に増える。チャイナルコはリオに対し、複数の非常勤役員を派遣する方向。一連の投資にはオーストラリア政府などの承認が必要という。
 世界に多くの資源権益を保有するリオをめぐっては、昨年、同業大手の英BHPビリトンや三井物産が買収に名乗りを上げたが、価格などの条件が折り合わず、断念した経緯がある。今回の投資で、中国政府の動かせる資金の豊富さが改めて浮き彫りになった。

◎北京ビル火災:許可受けず花火、容疑の12人拘束(2009年2月12日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】北京市朝陽区の中国国営・中国中央テレビ(CCTV)新社屋の付属高層ビル火災で、北京市公安局は12日、危険物で火災を発生させた容疑で、新社屋建設プロジェクト室の責任者ら12人を拘束したと発表した。
 拘束されたのは同室の徐威主任(50)とCCTV職員3人、花火の打ち上げ業者8人。調べでは、12人は打ち上げに同市の許可が必要な大型花火700発余り(100万元=約1300万円相当)を無許可で打ち上げ、火災を発生させた疑いがもたれている。
 火災では消防士ら8人が死傷しており、逮捕、起訴されれば厳罰が予想される。業者8人は逃走中に拘束された。

◎中国国営TV火災で12人拘束、上層部の責任注視(2009年2月12日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国国営新華社通信によると、北京市中心部の中国中央テレビ(CCTV)新社屋の付属高層ビル火災で、公安当局は12日、違法に花火を打ち上げた重大責任事故罪の容疑で、同テレビの新社屋建設プロジェクト弁公室の徐威主任(50)ら計12人を拘束したと発表した。今後、同テレビ上層部の責任が追及されるかどうか注目されている。
 拘束されたのは、徐主任と現場にいた職員3人、雇われて花火を打ち上げた業者の8人。同日付の中国紙「京華時報」などは、検察当局も火災の背景に職権乱用などの不正があるか調査に乗り出したと報じた。
 打ち上げた花火は北京五輪で使用された系統に属し、通常は打ち上げが禁止されている「礼花弾」で、約700発、約100万元(約1300万円)相当が準備され、21発を残して打ち上げられた。
 同火災に関する報道では、新華社の原稿を使用し、「掘り下げた報道をしないよう」通達が出されていると指摘され、一部関係者は「すでに政治問題化している」と話す。インターネットの書き込みでは「上層部は公開で謝罪もしていない。徐主任個人が花火打ち上げを決めるわけがない。民事、刑事両面で責任をとれ」などと庶民レベルで今後の成り行きが注視されている。

◎中国の著名弁護士行方不明、関係者「強制的に連れ去られた」(2009年2月12日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国の人権派弁護士として知られる高(こう)智晟(ちせい)氏(44)が行方不明になっている。関係者はクリントン米国務長官が今月下旬に訪中するほか、3月初旬には全国人民代表大会(全人代=国会)が開かれることから、当局が“口封じ”のため身柄を拘束したのではないかと推測している。今回の事態を受ける形で、高氏が「2007年秋に当局から激しい拷問を受けた」とする記録文が関係者により公開された。
 高氏は「今月4日未明、陝西省の親族宅にいたところ、乱入した十数人の集団に強制的に連れ去られた」(関係者)という。
 高氏が親族宅から連れ去られた状況を親族から聞いた関係者は産経新聞に対し、「高氏が連絡を必ずとっている人物への連絡が現在もない」と指摘した。北京市内の高氏の自宅にも人のいる気配はなかった。
 高氏は農民や非合法気功集団「法輪功」への支援活動で知られたが、胡錦濤政権を批判するなどし、06年12月に国家政権転覆扇動罪で懲役3年、執行猶予5年の判決を受けた。07年に入り、米国の国会議員に人権問題に関する手紙を送ったとされた後、同年9月下旬、行方不明になった。
 高氏が今回、行方不明になった直後、高氏の手によるとされる記録文(07年11月28日付)がインターネットなどで公開された。それによれば、高氏は同年9月21日に路上で突然、車に押し込まれた。その後で連れ込まれた部屋では、複数の公安当局者から「死ぬときが来た」と電流警棒で下半身をはじめ全身を殴打されたり、尿をかけられたりするなどの拷問を受け続け、「筆舌に尽くしがたい絶望のどん底に突き落とされた」という。
 記録文によると、約50日間の拘束のうち、10日間余は拷問が続き、当局者は「この売国奴が。米国が何をお前に与えてくれたのだ。ここは中国だ。共産党の天下だ。お前の命など虫けらと同じだ」とののしった。高氏は「共産党は素晴らしい」などと唱えさせられた後に食事を与えられたが、最後に何度も「今回のことを話すと、次は死ぬときだ。次は妻子の前でお前をかわいがってやる」と当局者から威嚇されたといわれる。
 高氏は昨年、ノーベル平和賞の候補といわれた。国家政権転覆扇動罪で服役中の民主化活動家、胡佳氏とも関係が深い。一方、一党独裁体制の廃止を求めた「08憲章」の起草者で昨年12月8日に拘束された劉暁波氏は今月12日現在、依然釈放されていない。

◎違法花火で12人を拘束、北京の国営TV付属ビル火災で(2009年2月12日、産経新聞)
 12日付の中国紙、京華時報によると、北京市警察当局は、市内の国営中国中央テレビ新社屋北側にある付属高層ビル火災に関連し、違法に花火を打ち上げたとして重大責任事故罪の容疑で、同テレビの新社屋建設プロジェクト弁公室の徐威主任ら計12人を拘束した。
 拘束されたのは、徐主任のほか、現場にいた職員3人と花火会社の8人。火薬が多く含まれ、通常は打ち上げが禁止されている「礼花弾」と呼ばれる花火約700発、約100万元(約1300万円)相当が準備され、21発を残してほかはすべて許可なく打ち上げられた。
 中央テレビ関係者によると、火災当日は春節(旧正月)から数えて15日に当たる「元宵節」に当たり、同テレビ関係者に「新社屋予定地で花火を見る会」の通知が出されていた。

◎ウイグル人東大院生、中国が釈放、妻「声を聞かせて」(2009年2月11日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】東大大学院に留学中の98年、一時帰国した中国で国家分裂扇動などの容疑で逮捕され、投獄されていた新疆ウイグル自治区出身のウイグル人男性、トフティー・トゥニヤズさん(49)が10日、11年の刑期を終えて釈放された。支援者が明らかにした。今後も当局の監視下に置かれるとみられる。トフティーさんは出迎えた親族とともに、自治区西部にある自宅に向け警察車両で移送された。
 妻のラビヤさん(45)は長男(19)、長女(11)とともにさいたま市に住む。「逮捕当時4カ月だった長女は父を覚えていない。声だけでも聞かせて欲しい」と話している。トフティーさんが早く戻れるよう日本政府にも支援を求めるという。
 トフティーさんは同自治区カシュガル出身で、ウイグル民族史を研究。一時帰国していた98年2月、公文書館で資料をコピーしたことや出版予定の書籍の内容が国家分裂扇動などの罪に当たるとして懲役11年の判決を受けた。

◎中国ビル炎上、原因の違法花火、テレビ局が打ち上げ(2009年2月11日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】北京市中心部にある国営中国中央テレビ(CCTV)の新社屋敷地内で内装工事中だった高層ビルの火災で、市消防局は10日、CCTV側がビル付近で数百発の花火を違法に打ち上げ、火災につながったことを明らかにした。新華社通信が伝えた。
 火災による被害者は消防隊員7人と建築作業員1人の計8人で、うち死者は消防隊員の男性(29)だった。
 報道によると、CCTVは湖南省の花火業者を雇い、敷地内の空き地で火力の強い式典用の花火を打ち上げていたが、使用に必要な市当局の許可を得ていなかった。当日夜、巡回中の警察官が忠告したが、CCTV側は無視して花火を続けたという。
 打ち上げの様子はCCTVが設置した4台のカメラに録画されており、市消防局がテープを確認。警察当局は打ち上げにかかわった関係者を拘束したほか、花火の燃え殻などを押収した。
 CCTVは10日午後、同社のウェブサイトで「国家財産に重大な損害を与えたことは誠に残念であり、周辺の交通渋滞や生活の不便をもたらし、心からおわびします」と謝罪のコメントを発表した。

◎中国:高層ビル全焼、1人死亡、国営TVの違法花火で(2009年2月10日、産経新聞)
 【北京・浦松丈二】北京市朝陽区の中国国営・中国中央テレビ(CCTV)新社屋の敷地内で9日午後8時半(日本時間同9時半)ごろ、火災が発生し、社屋北側で建設中の付属高層ビル(30階建て)が全焼した。10日未明に鎮火したが、消防士1人が死亡。ほか5人と同テレビ職員1人が煙を吸い込むなどして負傷した。
 同市消防局は10日、ビルのオーナーであるCCTVが市当局の制止を無視して違法にビル付近で花火100発を打ち上げたことが原因と発表した。警察当局も関係者を監視下に置いた。
 CCTVは「心からおわびする」とコメントを発表したが、国営テレビの「強権体質」は内外の批判を招きそうだ。打ち上げられた花火は北京五輪にも使用された式典用で市当局の許可が必要だったが、CCTVは無許可で打ち上げ、その様子をカメラ4台で撮影したという。
 全焼した付属高層ビルは高さ159メートル。今年半ばにホテル「マンダリン・オリエンタル」などが入居予定だった。

◎首都空港前社長に死刑判決、中国・山東省の地裁(2009年2月10日、産経新聞)
 新華社電によると、中国山東省済南市の中級人民法院(地裁)は10日、巨額のわいろを受け取っていたとして収賄罪などに問われた首都空港集団前社長の李培英被告に死刑判決を言い渡した。
 首都空港集団は北京首都国際空港をはじめ中国各地の空港運営を行っている。判決によると、李被告は1995年から2003年にかけ、職務権限を利用し取引先などから計約1億900万元(約14億5000万円)を受け取っていた。

◎北京・建設中ビル火災:「北京の顔」炎上に衝撃、「倒壊する、近づくな!」(2009年2月10日、産経新聞)
 【北京・浦松丈二】昨年8月の北京五輪前から「北京の顔」として本格的な開発が続いていた中心ビジネス街「中央商務地区(CBD)」で9日夜、新名所に加わるはずだった超高層ビルが炎上し、北京市民に衝撃を与えた。
 「倒壊する危険性があるから近づくな!」。現場から約200メートルの地点で警察官が規制線を張り、近づけない。計54台の消防車が出動し、サイレンが鳴り響く中、周囲では花火の打ち上げが続き、けん騒に包まれた。中国では春節前日の1月25日から爆竹・花火を打ち上げることが許可されており、この日が最終日。例年、残った花火を大量に打ち上げることで知られている。
 建設中のビルの窓からは次々と炎が噴き出る。ビルの密集地で消防車は片側からしか近づけない。さらに、はしご車が到着せず、下層階でしか消火活動ができない。ラジオも盛んに「見物に来てはいけません」と放送しているが、数千人の市民が集まって携帯電話で撮影したり、知人に連絡したりしていた。

◎首都空港前社長に死刑判決、中国・山東省の地裁(2009年2月10日、産経新聞)
 新華社電によると、中国山東省済南市の中級人民法院(地裁)は10日、巨額のわいろを受け取っていたとして収賄罪などに問われた首都空港集団前社長の李培英被告に死刑判決を言い渡した。
 首都空港集団は北京首都国際空港をはじめ中国各地の空港運営を行っている。判決によると、李被告は1995年から2003年にかけ、職務権限を利用し取引先などから計約1億900万元(約14億5000万円)を受け取っていた。

◎中国新車販売 初の世界一、1月73万5500台で米国抜く(2009年2月10日、産経新聞)
 【上海=河崎真澄】中国国営新華社電によると、中国自動車工業協会は10日、今年1月の中国国内の新車販売台数(速報値)が前年同月に比べ14.4%減の73万5500台になったと発表した。このうち乗用車は同7.8%減の61万600台だった。米調査会社が発表済みの同月の米新車販売台数(速報値)が65万6976台だったため“敵失”とはいえ、中国が単月の自動車販売台数で初めて米国を抜き、世界トップの座に立ったことが確認された。
 米市場が急速に縮小する一方で、個人消費や地方自治体の購買を強く奨励する中国は乗用車を中心に底堅い需要があり、米国を上回った。耐久消費財の象徴である自動車販売で中国が米国を抜いたことで、金融危機に端を発した世界的な不況下で、中国の存在感が高まることになりそうだ。
 中国政府が景気刺激策の一環として、1月20日から年末まで、排気量1600cc以下の小型車の取得税の税率を10%から5%に引き下げたため、小型車の販売台数は前年同月比で増加傾向にある。同協会では「全体の販売台数は前年を下回っているが、小型車の好調な売れ行きで、低迷していた中国市場に回復の兆しが表れた」と話している。
 先月の春節(旧正月)前商戦とも重なり、買い控えてきた層の購買意欲を刺激したようだ。小型車のうち国内メーカーによる自主ブランド車の占める割合は昨年の25.9%から、1月は29.7%に上がり、日系小型車の割合を上回った。
 中国の新車販売台数は1999年から10%以上の伸びを続け、2006年に日本を抜いて世界2位になった。08年は1000万台突破が期待されたが、世界的な景気後退の影響で前年比6.7%増にとどまり938万台。主力のセダンは504万台で、国内メーカーが約26%、日系メーカーが約31%だった。日系はホンダのアコード、トヨタのカローラ、カムリが多い。
 中国自動車工業協会では09年の販売台数を5%増と見込んでいる。米市場は08年に18.0%減の約1324万台に落ち込み、今年も減少する可能性が高い。

◎中国PHSサービス終了へ、ユーザー不在の当局決定で広がる波紋(2009年2月10日、日本経済新聞)
 中国の通信産業主管省庁である工業信息化部が先ごろ出した一通の通達が大きな波紋を呼んでいる。明言はしていないものの、中国版PHSである「小霊通」の廃止を意味する内容だったからだ。いまだに7000万人近い利用者を擁するサービスへの突然の退場宣言にユーザーは混乱し、通信業界には様々な思惑が蠢き始めた。
 当局が今回下した決定のキーワードは「TD-SCDMA」だ。つい最近交付した中国3G免許の一つ、中国の独自国際規格である。PHSが使用している1900~1920MHz帯の周波数は、TD-SCDMAに割り当てられた1880~1900MHz帯に隣接する。このままでは3Gサービスの運営に支障をきたす恐れがあるため、2011年末までに1900~1920MHz帯から引き上げるよう通達したのである。

・ユーザーが反発 「市場か国策か」の論争も
 中国のPHSはピーク時に9000万人超のユーザーを抱えたが、ここ数年は減少が続き、衰退ぶりは明らかだった。しかし、このタイミングでいきなりサービス終了期限が発表されるとは予想されておらず、ユーザーには驚きが広がった。
 特に、中国が威信をかけるTD-SCDMAを盾にとったようなやり方に、「ユーザー視点を欠いた決定」と反発が強まっている。この問題は「市場か国策か」という論争に発展し、弁護士などの法律家も独占を助長する疑いがあるとして合法性を疑問視し、聴聞会の開催を要求しているほどだ。
 PHSサービスを展開する当事者であるチャイナテレコムやチャイナユニコムは、「いかなる場合でもユーザーの利益を最優先する」とのコメントを発表したが、その具体的な方策はまだ出ていない。キャリア間、そしてキャリアと政府間の駆け引きが今後さらに激しくなるのは確実だ。今回の決定はまだ方針と期限を示しただけで、中国社会は固唾を呑んでその追加細則の発表に注目している。

・妥協の産物として生まれた中国PHS
 今回の決定では当局が市場無視と批判されているが、そもそも中国のPHS導入政策そのものが苦肉の策だった。なぜならPHS技術の導入が検討された当時から、政府はすでに携帯電話規格としては方向的に見劣りするとして導入に反対だった。
 しかし、勢いのある携帯事業を分離され(後にチャイナモバイル)、固定通信しか残っていなかったチャイナテレコムがPHSの導入を強く働きかけた。それまでガリバーであったチャイナテレコムの圧力により当時の信息産業部は仕方なく、「PHSは固定通信の延長と補助である」と定義し、政策のグレーゾーンを作り出したのだ。
 それにより2002年から地方都市でサービスを始め、1年で600万ユーザーを獲得して政府の外堀を埋めた。以降、政府の「奨励せず、関与せず」という曖昧な方針の下で、PHSはその低価格を武器に地方から大都市へとエリアを広げ、4年間でついに1億人に迫るユーザーを抱える一大陣営に成長したのである。
 PHSはある時期まで、落日の固定通信キャリアであったチャイナテレコムとチャイナネットコムを救ったともいえる。もちろん、移動通信のチャイナモバイルは猛反発したが、チャイナモバイルの強さゆえに政府はバランスをとるべく固定通信キャリアを“懐柔”したわけだ。
 PHSは淘汰される技術の烙印を押されながらも、通信キャリアと政府の駆け引きによる妥協の産物としてこれまで生き延びてきた。今回の決定は、その政策の天秤がTD-SCDMAを担うことになったチャイナモバイル側に傾いた結果ともいえる。いずれにせよ、その決定プロセスにおいてユーザーは蚊帳の外だった。

・7000万ユーザー争奪戦が勃発
 今回の決定はユーザーからの反発を招いたが、もはや逆戻りはできない。次の焦点はやはり、7000万ユーザーの今後だ。移転をスムーズに運ぶことが大前提になるだろうが、その裏では潜在顧客を巡る各キャリアの熾烈な争奪戦が予想される。
 今のところ、チャイナテレコムが5000万人、チャイナユニコムが2000万人(旧チャイナネットコム分)のPHSユーザーを抱えている。3G免許が交付されている2社にとって、これらのPHSユーザーをいかに自分の陣営に引き止めるかは死活問題となる。
 一方、3Gサービスで一番不確実性の高いTD-SCDMAを担うチャイナモバイルも、ガリバーの座を守るため虎視眈々としている。中国の携帯契約数は6億件を突破し、新規ユーザーの開拓も頭打ちになりつつある。PHSユーザーはローエンドの顧客層ではあるが、残された市場としては最大のターゲットになるからだ。
 特にTD-SCDMAはまだ魅力的な3Gアプリケーションが欠けており、ローエンドユーザーをまとめて獲得できる今回の機会はまさに渡りに船といえる。2G時代の覇者は間違いなく3Gの最初のターゲットとして照準を合わせ、チャイナテレコムやチャイナユニコムも一歩も引けない。その戦いは3G時代の前哨戦としてすでに始まっている。

・次世代PHS戦略にも影
 一方、今回の決定で中国市場を失う日本のPHS陣営への打撃はあまりにも大きい。中国市場はPHSの最大市場であり、ユーザー数の9割以上を占めているからだ。
 その推進役であるウィルコムは2007年末にチャイナネットコムとデータ通信を中心とした包括提携を結び、巨大な中国市場をバックに次世代PHSの普及に繋げるシナリオを描いた。しかし、そのチャイナネットコムはすでに業界再編により姿を消し、絵に描いた餅になっている。
 ウィルコムがどこまで中国市場を分析したのかについては疑問符をつけざるを得ない。ウィルコムの命綱である次世代PHSサービスは今年スタートするが、それも海外市場、つまり中国市場の存在があって初めて意義がある。日本発の通信技術として初めて海外市場で開花したPHSだが、中国の陥落は次世代PHSの戦略にも影を落とすことになろう。

◎北京高層ビル火災、中央テレビの違法な花火打ち上げが原因(2009年2月10日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】北京市中心部にある中国中央テレビ新社屋に隣接する付属高層ビルで9日夜起きた火災について、市公安当局は10日、中央テレビが同ビル付近で花火を違法に打ち上げたことが原因と発表した。
 新華社通信が同日伝えた。
 花火は昨夏の北京五輪でも使われた式典用とみられ、打ち上げには市当局の許可が必要だった。同テレビはこれを無視して、湖南省の花火業者を雇い、花火を打ち上げた。公安当局が容疑者を監視下に置き、調べを進めている。
 この火災で、消防士1人が死亡したほか、建設作業員1人と消防士6人の計7人が負傷。中央テレビは10日、「国家財産に重大な損失をもたらし、周辺住民にも不便をかけた」などとして、放送を通じて陳謝した。

◎北京の高層ビル火災、国営テレビが謝罪、禁止区域で花火強行(2009年2月10日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】北京市の高層ビル、マンダリンオリエンタルホテルが全焼した9日夜の火災は、隣接する国営中国中央テレビが当局に無断で打ち上げた花火が原因と判明した。中央テレビは10日、自社のホームページで「国家財産に重大な損失を生じさせ、住民に生活の不便を与えたことを深くおわびする」と謝罪した。
 北京市消防局の調べでは、中央テレビは9日夜、ビル西南角の空き地で、契約した花火会社に、数百発に上る撮影用の花火を打ち上げさせた。
 市はテレビ局と周辺一帯を打ち上げ禁止場所に指定していたが、中央テレビ側は打ち上げを強行。使用した花火も、市中心部での打ち上げには許可が必要な爆発規模の大きいものだった。警官の制止を無視して打ち上げたとの情報もあり、公安当局が容疑者の身柄を拘束し事情を聴いている。

◎北京の火災、1人死亡 消防局幹部「国営TV局が花火」(2009年2月10日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】北京市朝陽区の国営中国中央テレビ新社屋に隣接する付属高層ビル火災は10日未明、出火から約6時間後に鎮火した。国営新華社によると、消防隊員1人が死亡、他の隊員5人と中央テレビ職員1人が負傷した。
 新華社によると、北京市消防局幹部は「中央テレビが花火会社を雇い、市の許可を得ないまま、ビル西南角の空き地で、数百発の花火を打ち上げていた」と出火原因を明らかにした。
 北京は干ばつの影響で100日以上まとまった雨が降っておらず、空気が乾燥。火災が発生した9日は、北京中心部で春節(旧正月)期間中の花火打ち上げが許可された最終日で、多数の市民が花火や爆竹を楽しんでいた。工事関係者は「ビル最上階の防水材料は燃えやすい材質だった」と説明している。

◎中国、新車販売世界一、ひと月73万5千台、米を抜く(2009年2月10日、朝日新聞)
 【武漢(中国湖北省)=琴寄辰男】中国自動車工業協会が10日発表した1月の新車販売台数は73万5千台で、前年同月と比べて14.4%の大幅なマイナスとなった。ただ、1月の米国市場の販売台数が約65万7千台にとどまったため、単月の販売台数で中国が初めて世界首位に立った。
 中国の新車販売台数は、世界的な金融危機の影響などで昨年8月に3年半ぶりに前年同月比マイナスに転じ、その後も10月を除いて前年同月割れが続く。中国政府は、排気量1.6リットル以下の乗用車を購入した場合、車両取得税を半減するなどの支援策を打ち出しており、1月はこのクラスの乗用車の販売台数は同1.5%増だった。中国自動車工業協会は「支援策の効果が出始めており、メーカーの在庫圧力は緩和されてきている」としている。ただ、「今後の一段の落ち込みが心配」(日系メーカー)との声も出ている。

◎北京の偽造品モール、7店を営業停止、店が抵抗で警察ざた(2009年2月8日、産経新聞)
 北京市内の中心部にあり、偽ブランド品販売で知られる有名なショッピングモール「秀水街」で8日、偽造品を販売したとして管理組織側が7店舗を営業停止処分にしたところ店舗側が抵抗、警察が出動する騒ぎとなった。
 1日にも7店舗を営業停止にしており、管理組織によると、2月中に計30店舗を処分するという。
 8日は管理組織側が警備員を連れて店舗を訪れ、高級ブランドのルイ・ヴィトンやグッチに似せたかばんや財布などを売っていたとして営業停止を命令。店側は「偽物は売っていない」などと反発、もみ合いとなった。
 秀水街には間口3、4メートルの店舗が1000以上並ぶ。中国では偽造品取り締まりが厳しくなっており、商品棚には並べずに、こっそり販売するケースが後を絶たない

◎中国:71年以来の大干ばつ、中北部(2009年2月6日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国中北部が深刻な干ばつ被害に見舞われている。北京市では昨年10月26日から降水量が0.1ミリを超えない日が100日以上続き、5日付の中国各紙は71年以来の「歴史的な干ばつ」と伝えた。
 中国の穀倉地帯である河南、安徽、山東、河北、山西、甘粛、江西などの各省で小麦が枯れるなど干ばつ被害を受けた面積は、日本の国土の約4分の1にあたる1000万ヘクタールに迫っているという。
 中国政府担当者は「被害面積、継続時間のいずれも過去にあまり例がない」と述べ、人工降雨を検討していると明かした。

◎中国の1月新車販売が米抜く、中国紙報道(2009年2月5日、朝日新聞)
 中国紙、第一財経日報は5日、1月の新車販売台数で中国が米国を抜いたもようだと伝えた。月間新車販売で中国が米国を上回り、世界最大となるのは初めてという。
 1月の米新車販売台数は前年同月比37.1%減の約65万7000台と、記録的な落ち込みを見せた。一方、米ゼネラル・モーターズ(GM)幹部が明らかにした推計では中国の1月の新車販売は約79万台。
 中国の自動車業界関係者は同紙に「大体そのようなところだ」と語り、GMの推計と大差ないとの見方を示した。中国の自動車市場も景気減速の影響を受けているが、日米欧と違い市場が成熟しておらず、初回購入需要が中心で根強い購買意欲がある。

◎「独り勝ち」マック、この不況下に1万人超雇用(2009年2月5日、スポーツニッポン)
 新華社電によると、米ファストフード大手マクドナルドの中国現地法人は4日、中国国内で今年、175店舗を新規出店し、1万人以上を新たに雇用すると発表した。
 マクドナルドは既に中国で1050店舗余りを出店。今年の新規出店規模は中国以外の世界各地での新規出店数の合計を初めて上回るという。
 中国でも大幅な景気減速で消費不振が懸念されているが、現地法人幹部は「中国政府の内需拡大の呼び掛けに応じて、より多くの実益を消費者に与えたい」と語り、割安なセットメニューで攻勢をかける考えを示した。
 マクドナルドは日本でも、不振の外食業界で「独り勝ち」の状態。日本マクドナルドホールディングスが4日発表した2008年12月期連結決算は外食業で初めて5000億円を突破した。

◎「中国に社会正義を」、弁護士511人が抗議、集団で権力に対抗(2009年2月2日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国広東省で起きた農地収用問題をめぐる差し戻し審で昨年末、農民を支援していた深セン市の40代の男性弁護士が器物損壊罪で実刑判決を受けた。ずさんな審理に抗議する弁護士511人が1月中旬、「司法の公正」を求めて署名し、裁判所に提出された。背景には「司法の独立」「社会正義」が実現されていないことに対する不満がある。一党独裁体制の変更を求めた「08憲章」に代表される、集団で権力に対抗する動きがさらに活発化しそうだ。
 署名にかかわった弁護士らによると、2006年末、広東省河源市東源県で約40戸の農民の土地が水力発電所建設のために強制収用された。ところが、発電所建設後に起きた洪水で土地が流出。「違法な収用」「補償額が低すぎる」などと反発した農民側は工事停止を求めて企業側と衝突し、弁護士と農民2人が08年1月、当局に逮捕された。嫌疑は「2回にわたり村民を扇動して工事を阻止し、工事現場の財物を破壊して5万元(1元約13円)を損失させた」。08年6月にそれぞれ懲役4年、懲役10月、懲役9月を言い渡された。
 この判決が全国の法曹界に論議を引き起こした。08年8月には北京、上海、河南省など10省市の弁護士36人が、(1)公正な審理(2)弁護士の就業権の保障(3)社会公平正義の実現-を求める「公開の手紙」を発表した。その後、裁判は差し戻され、12月に弁護士だけが懲役2年に減刑された。
 しかし、実刑判決には変わりなく、法曹界では「弁護士の人権活動に対する当局の報復だ」などとして批判の輪が拡大。511人の弁護士の署名簿が今年1月中旬、広東省河源中級人民法院に提出された。同署名簿では1審証拠の瑕疵(かし)を補う合理的理由が示されないまま判決が下されたと指摘。「徹底して真相究明を求める」としている。
 今年に入り、北京では道路建設に抗議した垂れ幕を当局が強制排除。山東省では賃金未払いに抗議する労働者のデモ、雲南省では年金支給を求めるデモが起きている。

・最近の人権、民主化の動き
 中国は今年、民主化運動を弾圧した天安門事件やチベット問題などの記念日がめじろ押しで、当局は「政治的に敏感な年」と位置づけ、世論・思想の引き締めを強化する方針を打ち出している。
 しかし昨年12月、民主運動家らが共産党一党支配体制の変更、言論の自由、司法の独立などを求めた「08憲章」を発表したほか、今年1月には学者や弁護士22人が「暴動事件などを意図的に隠蔽(いんぺい)している」として国営中央テレビの視聴拒否を宣言。さらに元安徽省人民政治協商会議常務委員が政治改革を求める「全国人民に告げる書」を発表するなど、体制改革を求める知識人らの党・政府批判の動きが相次いでいる。
 市民レベルでも家屋強制撤去などに対し政府を訴える動きも多く、報道ベースでは1990年から2007年までの行政訴訟件数は128万件に達している。
(セン=土へんに川)

◎中国:出稼ぎ「農民工」2000万人失職(2009年2月2日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国共産党は2日、農村から沿海地区などの都市部に出稼ぎに出る「農民工」約1億3000万人のうち、15%強の約2000万人が金融危機による工場閉鎖などで失職したとの推計を明らかにした。失職した農民工の大半は、先月25日に始まった春節(旧正月)を待たずに帰郷したとみられる。失業が長引けば社会不安に結びつきかねないため、党中央は全国の党・行政機関に雇用対策を強化するよう指示した。
 党中央農村工作指導小組弁公室の陳錫文主任は記者会見で、農民工は平年でも600万~700万人増加しており、今年は失職した農民工を合わせ2500万人前後の雇用圧力があると説明した。農民が起こす暴動や抗議行動は、土地の強制収用や環境汚染などが主な原因となっていたが、「失業が新たな要因になる可能性がある」と危機感を示した。

◎中国、旧正月の小売売上高13.8%増、増加率は2.2ポイント低下(2009年2月2日、日本経済新聞)
 中国商務省が発表した春節(旧正月)休暇(1月25~31日)期間の小売売上高は2900億元(約3兆8000億円)で、前年比の増加率は2008年実績より2.2ポイント低い13.8%だった。春節商戦は中国サービス業のかき入れ時。関係者の間では、景気減速が鮮明になる中でも小売売上高は堅調で、個人消費の底堅さを示しているという分析も出ている。
 品目別では食品(23%増)や飲料(17.5%増)のほか、出稼ぎ労働者が帰省した内陸部を中心に家電(17.8%増)販売も伸びた。「食品などの価格が急上昇した昨年からの物価下落分を考えると、売上高の伸びの鈍化ペースは思いのほか小さかった」(外資系証券)との見方が広がっている。
 もっとも、中国消費をけん引する上海市の小売売上高は8.4%と一ケタ増にとどまった。「春節商戦がこの程度では今後の販売動向が心配」(上海の小売関係者)との声も出ている。上海では、マンションや自動車など高額商品の売れ行きも鈍っているようだ。

◎失業・帰郷の中国「民工」2千万人に、共産党幹部が推計(2009年2月2日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国共産党の陳錫文・中央農村工作指導グループ弁公室主任は2日の記者会見で、全国約1億3000万人の「民工」(農村からの出稼ぎ労働者)のうち、景気後退による工場閉鎖などで失業し、帰郷した人が約2000万人にのぼるとの推計を明らかにした。
 今年新たに増加する見通しの民工を加えて、約2500万人の雇用の受け皿が必要になるという。
 陳主任はまた、土地収用や環境汚染、強制立ち退きなどが、従来から暴動など官民衝突の主な要因になっていると指摘したうえで、今年は民工の失業問題が、社会の安定を左右する新たな要因になるとの見方を示した。
 中国では、春節(旧正月)明け以降も民工の大量失業状態が長引けば、社会不安につながりかねないとして、「2月危機」が懸念されている。

◎中国:三鹿前会長が控訴、粉ミルクメラミン汚染で無期懲役(2009年2月2日、毎日新聞)
 新華社電によると、有害物質メラミンで汚染された粉ミルクを製造したメーカー、三鹿集団(河北省石家荘市)の前会長、田文華被告は1日、無期懲役などの1審判決を不服として、河北省高級人民法院(高裁)に控訴した。1審の石家荘市中級人民法院(地裁)は1月、田被告に劣悪品生産販売罪で、無期懲役と約2470万元(約3億2500万円)の罰金を言い渡した。

◎電池交換したばかり? 携帯電話が爆発、男性死亡、中国(2009年2月1日、朝日新聞)
 【広州=小林哲】広州日報によると、広州市中心部のパソコン店で30日夜、20代の男性店員の左胸ポケットに入れてあった携帯電話が爆発、男性は死亡した。携帯電話の電池を新品に交換したばかりだったといい、警察が電池を製造したメーカーの特定などを急いでいる。中国では、携帯電話の爆発事故がしばしば起きている。

◎鳥インフルエンザ死者相次ぐ、警戒強める中国(2009年1月31日、朝日新聞)
 【広州=小林哲】中国で鳥インフルエンザ(H5N1型)のヒトへの感染が広がっている。公表された感染者は今年になって7人、うち5人が死亡し、すでに昨年の死者数を上回った。中国政府は「感染拡大の兆候はない」としているが、旧正月(春節)を故郷で過ごした人たちのUターンラッシュが始まり、警戒を強めている。
 今年最初に死者が出たのは北京。昨年末に市場で買ったアヒルを調理した女性(19)が発熱や呼吸困難を起こし、入院先で5日に死亡した。その後も17日に山東省済南の女性(27)▽20日に湖南省懐化の病院に入院中の貴州省の男性(16)▽23日に新疆ウイグル自治区ウルムチの女性(31)▽26日に広西チワン族自治区の男性(18)と死亡が相次ぎ、3週間余りで昨年1年間の4人を上回った。
 かつてない速いペースでの死者の増加に中国政府は警戒を強める。国営新華社通信は、「現在の感染は散発的」「大規模で爆発的な感染が起きる証拠はない」などとする専門家の意見を紹介。ヒトからヒトへの感染拡大でないことを強調して、国内外に広がる不安を打ち消そうとしている。
 中国中央テレビも、死者が出るたびに情報を詳しく報じている。各地で緊急対応措置が発動され、専門家チームが感染者と接触した人を特定し、発熱などの症状が出ていないか7日間様子を見ていることなどが伝えられている。
 政府は、春節明けを前に多くの人が都会に戻るのに備え、原因不明の肺炎患者が出た場合に医療機関に報告の徹底を求めるなど、対策を強化する。
 ただ中国には感染源になりうるアヒルやニワトリを飼う農家が多く、感染の危険性が元々高い。感染の約8割が冬から春(11月~3月)に集中しており、増加は避けられそうにない。陳竺・衛生相も「今はヒトへの感染が多発する季節で、感染防止は厳しい状況にある」と散発的な感染が続くことを認めている。
 ヒトへの感染が続けば、やがてウイルスが進化してヒトからヒトに感染するタイプが現れる可能性がある。万一、人口が密集する都市部でウイルスが広まれば、一気に流行する危険が高い。
 大流行(パンデミック)を防ぐには、発症初期に患者を隔離するなど感染の封じ込めが欠かせない。だが、北京で死亡した女性の場合、病室などで家族や医療関係者116人が二次感染の危険にさらされるなど当局の対応に不安が残った。
 現地紙によると、女性は地元の医院で「風邪」「肺炎」などと診断されて転院を繰り返し、家族に鳥インフルエンザ感染の疑いが告げられたのは発症から11日後の死亡前日だった。中国のある医療当局者は「患者側が医療費の負担を心配して症状が重くなるまで受診しないことや、高額な検査を受けたがらないことが多く、感染確認が遅れることはあり得る」と認める。

◎中国製ギョーザ中毒:事件から1年、冷食不振が長期化、中国産排除、コスト増追い打ち(2009年1月29日、毎日新聞)
 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件から1年。消費者の中国製食品離れの影響で、国内冷食各社の販売不振は長期化の様相だ。「安全安心」の向上のため、一部企業では材料調達や生産を「国内回帰」させているほか、原産地表示を厳格化する動きも出始めた。
 問題のギョーザを開発・販売した日本生活協同組合連合会(日生協)では昨年4~12月の冷凍食品の売上高が前年に比べ5%減。特に中国製は8割減だった。輸入したジェイティフーズも、昨年4~9月の家庭用冷凍食品の売上高は6割減。夏場は回復基調だったが「有害物質メラミンの混入などで中国産への不信が増幅し、再び厳しい状況」という。
 財務省の貿易統計では、中国製食品の輸入量は中毒事件以後、前年割れが続き、ギョーザを含む穀物類は昨年10~11月にかけ落ち込み幅が拡大している。
 消費者の中国食品離れで、日生協は自社のギョーザのうち中国製3品目を製造中止し国内産4品目に絞った。日本水産も中国での生産の一部を山形県の子会社などにシフト。原材料を国内産に切り替える企業も目立つ。
 ただ、メーカーにとって国内回帰はコスト増に直結する。味の素冷凍食品は2月に「ギョーザ(12個入り)」をリニューアルするが、原料のキャベツをすべて国産に切り替えるため、店頭想定価格は320円から360円に上がる。日生協のギョーザも最も割安な商品で比較すると国産は中国製より約3割高い。「中国なしでは成り立たない」(日水)との指摘もある。
 景気悪化に伴う節約志向で、消費者の選別の目は厳しくなっているが、味の素は「価格に見合った安心感を提供できれば評価されるはず」と話している。【森禎行】

◇産地自主表示の動きも
 冷凍食品離れの背景には「何が入っているか分からない」という消費者の不安感もある。現行のJAS(日本農林規格)法は、多くの加工食品について原材料の原産地表示を義務づけていないからだ。農林水産省は見直しを進めているが、業界では自主的な表示に踏み切る動きもある。
 同法が原材料の原産地表示を義務づけている加工食品は、乾燥した魚介類など加工度の低い一部の品目だけ。その他は最終加工地だけを表示すればいい。農水省は対象品目の拡大などを検討しているが、同省が昨秋実施したアンケートでも原材料の原産地表示に賛成する人が8割に上った。また、東京都は、今年6月から国内で製造された家庭用冷凍食品すべてに原料原産地表示を義務付ける。
 一方、問題のギョーザを輸入したジェイティフーズは昨年6月からほとんどの加工食品について原料の原産地を表示。親会社の加ト吉も来月から順次、表示に踏み切る方針だ。
 原材料の調達先が多岐にわたり、表示しきれないケースもある。このため、ニチレイ子会社のニチレイフーズは昨年4月から一部の製品にQRコード(二次元バーコード)をつけ、携帯電話を使って原産地情報を読み取れるようにした。
 ただ、原材料の調達先は季節によって変わるケースなどもあり、今後は表示の煩雑化やコストの増大が課題になりそうだ。【工藤昭久、森禎行】

◎中国、春節にネット規制強化、閉鎖次々、体制批判牽制も(2009年1月27日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】26日に春節(旧正月)を迎えた中国で、当局がネット規制を強めている。風紀改善のための「特別キャンペーン」として、サイトの閉鎖やわいせつ画像などの削除を次々に進めている。今のところ取り締まり対象は「低俗な内容」に限っているが、ネット上での民主化要求や体制批判への牽制(けんせい)も狙っている様子がうかがえる。
 キャンペーンは国務院(政府)新聞弁公室や公安省、文化省など7部門合同で5日から始まった。春節明けまでの1カ月を集中取り締まり期間と位置づけている。新聞弁公室が23日現在で公表したデータによると、すでに1250サイトを閉鎖、330万本余りのわいせつ情報を削除した。公安省は未成年者保護法違反などで61件を立件し、41人を逮捕したという。
 閉鎖したサイト名は公表していないが、中国政府は今月上旬から別途、「低俗サイト」と名付けたリストを数回にわたって公表。大半は国内サイトが、中には米検索大手「グーグル」なども含まれ、「画像検索が多数のわいせつサイトにリンクしている」などと指摘していた。新聞弁公室の劉正栄ネット担当副局長は23日、「低俗サイトが青少年に及ぼす影響を純粋に考えたキャンペーンであり、それ以外の目的はない」と訴えた。
 一方、中国では先月9日、作家や弁護士らが「08憲章」と題した民主化要求案をネットに公表。今月12日には国営テレビを「洗脳番組」とした視聴拒否宣言が出るなど、知識人らの共産党や政府に対する批判が相次いでいる。当局が規制を強めている背景には「当局がネット監視に力を入れていることを印象づける」(党関係者)という狙いもあるようだ。

◎中国、アフリカ援助拡大(2009年1月26日、産経新聞)
 26日の新華社電によると、中国の陳徳銘商務相はこのほど対アフリカ援助を今後も拡大していく考えを示した。特に病院、学校、体育館などのインフラ整備が重点。
 今年の対アフリカ援助の規模は2006年の2倍となり、既に22カ国と33の事業について優遇借款の供与で合意しているという。

◎北京市の人口1695万人、4分の1が出稼ぎ労働者ら(2009年1月26日、産経新聞)
 26日の新華社電によると、北京市統計局は2008年末、同市の常住人口は前年末より62万人増え、1695万人となったと明らかにした。全人口の4分の1が外部からの出稼ぎ労働者やその家族という。

◎回収ギョーザ、20社に転売、省当局仲介か 新華社報道(2009年1月26日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】昨年1月に日本で発覚した中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品(中国河北省石家荘市)が回収したギョーザが昨年4月、河北省内の約20社に売り渡されていたことを新華社通信(英語版)が24日夜、伝えた。
 新華社電は、国有企業を監督する同省国有資産管理監督委員会の当局者らの話として、承徳鋼鉄で男性1人が会社から配布された天洋の回収ギョーザを食べ体調不良を訴えたこと、唐山鋼鉄では天洋のギョーザを食べた社員に食中毒がなかったことを明らかにしている。
 これら鉄鋼メーカー2社はいずれも天洋と同じく省内の国有企業。同委が苦境にある天洋の支援策として回収ギョーザの購入を仲介したものとみられている。
 事件をめぐっては昨年7月初旬、中国側が「回収ギョーザを食べた4人が6月中旬、健康被害を起こした」と日本側に通報していたが、関係者によると、この被害は承徳鋼鉄で起きたものだった。

◎中国:鳥インフルエンザ感染6人目、うち4人死亡(2009年1月26日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国衛生省は25日、貴州省貴陽市の男性(29)が鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染し、重体となったと発表した。中国国内での感染者は今年に入って6人目、うち4人が死亡している。この男性は発病前に市場で生きた家禽(かきん)に触れたことがあるという。

◎中国製ギョーザ中毒:昨年4月、河北省の20社が購入、事件後、天洋の回収分(2009年1月26日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、中国国営・新華社通信(英語版)は24日、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)が事件後回収したギョーザについて、河北省の企業約20社が昨年4月に購入していたと報じた。25日付の中国各紙はこの記事を掲載しておらず、日本向けに事実関係を説明する狙いとみられる。また、同省当局者は、承徳鋼鉄が配布したギョーザを食べた男性従業員1人が体調不良を訴えたが、病院に行かずに回復したと明らかにした。一方、同じように配布された唐山鋼鉄では食中毒は発生していないとしている。
 関係者によると、同省当局が経営難に陥った天洋食品を救済するため、地元企業にギョーザ購入を指示していた。当時、中国側は「中国国内で毒物が混入した可能性は極めて低い」との見解を示しており、輸出前に回収された製品は安全だと判断していたという。

◎中国製ギョーザ中毒:中国当局、冷凍庫管理者を拘束、天洋の数人、長期に(2009年1月25日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で中国公安当局が、製造元の「天洋食品」(河北省石家荘市)の工場内の冷凍庫を管理する従業員が殺虫剤メタミドホスを製品に混入したとの見方を強め、従業員数人を長期間拘束して事情を聴いていることが分かった。事情に詳しい同社関係者が24日証言した。
 関係者によると、中国公安省と河北省公安当局でつくる捜査チームは、同社社員100人余りと工場の臨時工数百人らから聞き取りを実施。日本でメタミドホスが検出されたギョーザの製造日と出勤記録などから、冷凍庫周辺で製品にメタミドホスが混入された可能性が高いと判断した。事件前にメタミドホスを扱った経験を持つ関係者が複数いることも明らかになった。
 事情聴取は同社関係者のなかで(1)会社側と過去にトラブルを起こした(2)冷凍庫のカギを開けられる(3)メタミドホスに接触した経験がある--人物を対象に実施。疑いがぬぐい切れない複数の従業員が数カ月にわたって拘束されているという。
 公安当局と同社が懸賞金をかけて容疑者を追っているが、決め手となる情報は寄せられていないという。

◎天洋の回収ギョーザ、河北省が横流しを指示(2009年1月25日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】昨年1月の中国製冷凍ギョーザ中毒事件で製造元の「天洋食品」(河北省石家荘市)が回収・保管していたギョーザが、複数の鉄鋼メーカーに大量に横流しされた問題で、同社など国有企業を監督する河北省の政府部門「国有資産監督管理委員会」が「安全」と判断し、メーカーに横流しを指示していたことがわかった。
 同委関係者が24日明らかにした。
 同委関係者は本紙に対し、「長い間、ギョーザは密封保存されていたが、我々が検査した後、安全だという結論が出た」と語った。昨年1月の事件後、日本に輸出できなくなり、経営難に陥った天洋食品を救済するため、同委が監督下にある大型国有企業「河北鋼鉄集団」に買い上げさせ、集団傘下の「承徳鋼鉄」などに配布させたとみられる。
 一方、新華社通信は24日、河北省内の約20社が昨年4月、天洋食品の回収ギョーザを購入したと報じ、幅広い横流しの事実を認めた。また、同省当局者が「承徳鋼鉄の男性従業員1人が配布されたギョーザを食べた後、不調を訴えた」ことを明らかにしたと報じた。中国当局が新華社を通じ、国内での事件の具体的内容を公式に明らかにするのは初めて。

◎中国でコピー商品続々、変種ロゴ「NOKLA」「SUNY」(2009年1月25日、読売新聞)
 【香港=竹内誠一郎】携帯電話などの盗作版を意味する「山寨(さんさい)」という言葉が、中国で広まっている。
 海外から知的財産権保護の遅れを非難される中国当局は取り締まりに躍起だが、「山寨文化」という言葉まで生まれる社会現象にまで発展し、根絶は容易ではない。春節(旧正月)前夜の25日には、中央テレビの国民的番組「春節聯歓晩会」(春晩)の模倣版「山寨春晩」まで北京で行われた。
 「山寨」とは本来、中国の王朝に抵抗した盗賊が立てこもった山中の城塞(じょうさい)の意味。これが広東省を中心に、違法商品を製造する地下工場を指す用語となった。コピー商品は「山寨機」と呼ばれる。
 全国の「山寨機」の生産拠点、広東省深センの電器街では、米アップル社の「iPhone」の完全コピーや、「NOKIA」を「NOKLA」に、「SONY」を「SUNY」とロゴを変えた機種がずらりと並ぶ。機能は本物とほぼ変わらず、価格は5分の1。新商品の登場からわずか1~2か月でコピーを生み出すゲリラ的商法が、昔の盗賊の姿と重なり合ったとされる。
 香港誌「亜洲週刊」によると、「山寨機」は年間1億台以上が生産され、海外の大手携帯メーカーだけでなく、中国政府も付加価値税収入だけで178億元(2300億円)の損失を被ったとされる。当局はこの2年間、取り締まりを強化したが、大きな効果は上がっていないという。
 携帯電話のカメラに外付けの望遠レンズなど、高機能を搭載しながらも低価格というだけでなく、偽物が醸し出す反権威の雰囲気に大衆は喝采(かっさい)を送る。昨年から、「山寨」はパロディー的要素も加わった言葉として急速に広まり、ネットでは、人気歌手周傑倫(ジェイ・チョウ)さんの「山寨版(そっくりさん)」が登場。「ノーベル賞」にさえ、山寨版が出てきた。
 その中で、四川省出身の施孟奇さん(36)が提唱した企画が「山寨春晩」だ。さすがに、中央テレビの看板番組の模倣には批判が相次ぎ、「山寨春晩」組織委員会関係者によると、これまでテレビ各局の撤退、会場の使用許可取り消しなどが相次いだ。最終的には当初の計画を大幅に縮小して、マカオのテレビ局が放映を引き受けた。
 中国国内では「低俗。中国の恥」というコピー文化への批判もあるが、「山寨文化」は大衆社会の開き直りでもある。施さんは「山寨とは一言で言えば民間文化。コピーもあればパロディーもあり、中国が多様である証拠」と話している。

◎中国製ギョーザ:冷凍庫管理者数人を長期に拘束、中国当局(2009年1月25日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で中国公安当局が、製造元の「天洋食品」(河北省石家荘市)の工場内の冷凍庫を管理する従業員が殺虫剤メタミドホスを製品に混入したとの見方を強め、従業員数人を長期間拘束して事情を聴いていることが分かった。事情に詳しい同社関係者が24日証言した。
 関係者によると、中国公安省と河北省公安当局でつくる捜査チームは、同社社員100人余りと工場の臨時工数百人らから聞き取りを実施。日本国内でメタミドホスが検出されたギョーザの製造日と出勤記録などから、工場の冷凍庫周辺で製品にメタミドホスが混入された可能性が高いと判断した。また、事件前にメタミドホスを扱った経験を持つ関係者が複数いることも明らかになった。
 事情聴取は同社関係者のなかで(1)会社側と過去にトラブルを起こした(2)冷凍庫のカギを開けられる(3)メタミドホスに接触した経験がある--人物を対象に実施。捜査過程で疑いがぬぐい切れない複数の従業員が数カ月にわたって拘束されているという。
 事件では、公安当局と同社が合計65万元(約850万円)の懸賞金をかけて容疑者を追っているが、容疑者特定の決め手となる情報は寄せられていないという。一方、当局が内部犯行の見方を強めていることについて、同社社員は「捜査の方向が間違っているのではないか」と疑問視している。

◎中国製ギョーザ、省政府が横流し斡旋、新たな中毒も(2009年1月25日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】昨年1月に発覚した中国製冷凍ギョーザによる中毒事件後、製造元の国有企業「天洋食品」(河北省石家荘市)が売れ残った大量のギョーザを、地元政府の斡旋(あっせん)で同省内の鉄鋼工場に横流しし、新たな中毒事件を引き起こしていたことが24日までに分かった。「中国国内での毒物混入はない」と断定した中国当局の発表を信用したためで、同省関係者もギョーザを食べた従業員も危険性について認識していなかったようだ。
 河北省の国有企業幹部によると、日本との取引を中止され経営難に陥った天洋食品を救済するため、地元の国有企業を管轄する同省国有資産管理監督委員会は、同じ国有企業の同省鉄鋼グループに対し、売れ残った10万食以上のギョーザの購入を持ちかけた。ギョーザは同グループ傘下の唐山、承徳、張家口など各地の子会社で無料配布されたが、それを食べた複数の従業員が下痢や嘔吐(おうと)などの中毒症状を訴えたという。
 国営新華社通信は24日夜、天洋食品が回収したギョーザを昨年4月に同省の企業約20社が購入したと報じた。一方で、同ギョーザを食べて重い中毒症状を訴えたケースはないとする当局者らの見解も伝えた。
 だが、「唐山鉄鋼」の50代の男性従業員は産経新聞に、「昨年5月ごろに会社からギョーザを数袋もらったが、同僚の中にギョーザで体調を崩し入院した人もいたため、しばらくして回収された」と証言した。
 日本での中毒事件は中国でも報道されたが、中国公安省は昨年2月に記者会見で、「中国国内での毒物混入」を否定したため、「日本での混入説」はほぼ既成事実として中国で認識された。多くの中国メディアは「工場内の安全管理に問題なし」として、天洋食品を事件の被害者のように報じたため、一般市民からも同情が集まっている。横流しを斡旋した地元政府は、ギョーザの危険性についてまったく認識していなかったと関係者は証言した。工場周辺では、いまだに「日本人犯人説」が独り歩きしているのが現状だ。
 【中国製ギョーザ中毒事件】 2007年12月から08年1月にかけて、中国河北省石家荘市の天洋食品が製造した冷凍ギョーザを食べた千葉、兵庫両県の3家族計10人が食中毒となり、製品から有機リン系殺虫剤メタミドホスを検出。中国側は中国での故意の混入を一貫して否定してきたが、中国でも中毒被害が発生。事件の真相は依然、解明されていない。

◎鳥インフルで09年4人目の死者、中国(2009年1月24日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】中国衛生省は24日、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染した新疆ウイグル自治区ウルムチ市の女性(31)が23日に死亡したと発表した。中国での鳥インフルエンザによる死者は今年4人目。同省によると、女性は10日に発病した後、病状が悪化し入院治療を受けていた。発病前、市場で生きた家禽(かきん)と接触していた。

◎天洋食品回収のギョーザ、中国鉄鋼メーカーに大量横流し(2009年1月24日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士、牧野田亨】昨年1月、日本で発覚した中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)により回収・保管されていたギョーザが、河北省唐山市の「唐山鋼鉄」など複数の鉄鋼メーカーに大量に横流しされ、同年4~6月ごろ、従業員やその家族らが食べていたことが23日、関係者の話で分かった。
 また、別の関係者は、中国国内で6月に起きた中毒事件の被害者が、同省承徳市の「承徳鋼鉄」の関係者4人であると明らかにした。4人は横流しされたギョーザを食べたものとみられ、中毒事件発覚後もギョーザが広範囲に出回るという、ずさんな管理実態が浮き彫りになった。
 唐山鋼鉄従業員によると、冷凍ギョーザは昨年5月ごろ、会社から「福利厚生の一環」として無料配布された。対象は、正規従業員7000~8000人のうち夜勤者が中心で、日本で中毒事件が発覚し、輸出が禁止された天洋食品製「中華deごちそう ひとくち餃子」が2~4袋ずつ配られた。
 唐山市で本紙が確認した製品の包装デザインは黒色が基調で、事件当時公表された赤色基調のものとは異なる。輸入元企業の親会社の日本たばこ産業(JT)によると、黒色の商品は高級感を出すためデザインを刷新したもので、昨年2月から発売する予定だったが、事件発覚で日本国内には出回らなかったという。
 記載された賞味期限「2009年4月6日」から逆算すると、製造日は昨年1月6日で、天洋食品が保管していたものとみられる。多くの従業員がギョーザを食べたとみられるが、中毒など健康被害は伝えられていない。同省邯鄲(かんたん)市の「邯鄲鋼鉄」でも、昨年4~6月ごろ、2~3袋ずつ配布された。系列病院の職員を含め、約3万人に配られたという証言もある。
 一方、承徳鋼鉄従業員によると、ギョーザは「ひとくち餃子」で、昨年5月ごろ、同社周辺に4か所ある従業員食堂で販売され、購入者が列を作ったという。だが、1、2か月後、会社が突然、残っているギョーザの回収を開始。会社側からは、中毒患者発生などの説明はなかったという。
 中国筋によると、中国では、経営不振の企業などの救済策として、在庫品を低価格で他の企業などが買い取り、従業員に配布する行為が少なくないという。
 JT・IR広報部は、天洋食品製造のギョーザの所有権について、日本に輸出され、通関に合わせてJT側に移る契約だったと説明。中国国内での横流しに関して、「非常に遺憾。天洋食品と接触できないため、打つ手がない」と話している。

◆中国製冷凍ギョーザ中毒事件=千葉、兵庫両県の3家族10人が07年末から08年1月にかけ、天洋食品製造のギョーザで中毒症状になった事件。ギョーザから有機リン系殺虫剤メタミドホスが検出されたが、中国側は同年2月末、「原料、生産工程、輸送過程でメタミドホスが混入された状況は見つかっていない」との見解を公表。だが、6月中旬、中国河北省で4人が天洋食品のギョーザを食べ、中毒を起こしたことから、中国国内での混入の可能性が強まっていた。

◎中国製ギョーザ中毒:回収ギョーザ、河北省が横流し指示、昨年、天洋食品救済で(2009年1月24日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、製造元の「天洋食品」(河北省石家荘市)が回収、保管していたギョーザ約15万食が08年4~6月にかけて複数の地元国有企業に横流しされていたことが分かった。複数の関係者が24日明らかにした。同省唐山市の「唐山鋼鉄」従業員が同5月にこのギョーザを食べて中毒症状を訴え、病院に運ばれていた。横流しは、地元政府機関が経営難に陥った天洋食品の救済のため国有企業に購入を指示したもので、改めて食の安全をめぐる中国のずさんな管理が浮き彫りになった。
 唐山鋼鉄では同5月ごろ、会社側から福利厚生として従業員や家族らに天洋食品製「中華deごちそう ひとくち餃子」が数万袋の規模で無料配布された。中国では08年1月に日本で発覚した同社製の中毒事件が大きく報道されておらず、従業員らは危険性を知らされずに食べたとみられる。
 関係者によると、地元国有企業を監督する河北省国有資産監督管理委員会が唐山鋼鉄の親会社、河北鋼鉄集団側に冷凍ギョーザの購入を指示。同集団を通じて複数の傘下製鉄会社の従業員に無料配布、または販売された。
 日本政府は事実関係を中国側に問い合わせているが、中国側は「把握していない」と確認を避けている。
 中国では同6月にも同社製の冷凍ギョーザを食べた4人が中毒になった。関係者によると、この4人も河北鋼鉄集団の傘下の「承徳鋼鉄」(同省承徳市)の関係者だという。
 横流しされたギョーザは日本で中毒事件が発覚する直前まで天洋食品で製造していたギョーザと同じ製品であり、安全性は確認されていなかったという。

◎中国製ギョーザ:河北省指示で天洋食品分横流し、中毒発生(2009年1月24日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、製造元の「天洋食品」(河北省石家荘市)が回収、保管していたギョーザ約15万食が08年4~6月にかけて複数の地元国有企業に横流しされていたことが分かった。複数の関係者が24日明らかにした。同省唐山市の「唐山鋼鉄」従業員が同5月にこのギョーザを食べて中毒症状を訴え、病院に運ばれていた。横流しは、地元政府機関が経営難に陥った天洋食品の救済のため国有企業に購入を指示したもので、改めて食の安全をめぐる中国のずさんな管理が浮き彫りになった。
 唐山鋼鉄では同5月ごろ、会社側から福利厚生として従業員や家族らに天洋食品製「中華deごちそう ひとくち餃子」が数万袋の規模で無料配布された。中国では08年1月に日本で発覚した同社製の中毒事件が大きく報道されておらず、従業員らは危険性を知らされずに食べたとみられる。
 関係者によると、地元国有企業を監督する河北省国有資産監督管理委員会が唐山鋼鉄の親会社、河北鋼鉄集団側に冷凍ギョーザの購入を指示。同集団を通じて複数の傘下製鉄会社の従業員に無料配布、または販売された。
 日本政府は事実関係を中国側に問い合わせているが、中国側は「事実関係を把握していない」と確認を避けている。
 中国では同6月にも同社製の冷凍ギョーザを食べた4人が中毒になった。関係者によると、この4人も河北鋼鉄集団の傘下の「承徳鋼鉄」(同省承徳市)の関係者だという。
 横流しされたギョーザは日本で中毒事件が発覚する直前まで天洋食品で製造していたギョーザと同じ製品であり、安全性は確認されていなかったという。

◎「日本の“中古品”なぜ」回収ギョーザ中毒で怒る従業員(2009年1月24日、産経新聞)
 中国河北省唐山市の鉄鋼メーカー、唐山鋼鉄で昨年4~5月に配布された天洋食品(同省石家荘市)製のギョーザは、食べた一部の従業員が中毒症状を起こしたが、ほかの多数の従業員は「日本で中毒を起こした“中古品”をなぜわれわれに食べさせるんだ」と懸念し、封も切らずに廃棄していた。
 昨年1月末に日本で事件発覚後、中国公安省は2月末に中国国内での混入の可能性を否定していた。今回発覚した無料配布は、6月の中国での中毒事件で国内混入が決定的になる前。天洋食品を監督する河北省国有資産監督管理委員会は「安全」と判断、監督下の企業に配布させたが、従業員らは当初から「危険性」を感じていたようだ。
 配布を受けた従業員の中には「食べた。結構おいしかった」(男性従業員)と話す人が半数程度いる一方で、「もらってすぐに捨てた。中毒事件で回収されたギョーザでしょ」(女性従業員)と安全性を疑問視する声もあった。
 また、別の女性従業員は「なぜ日本のお古を中国人が食べなくてはいけないのか。日本人は中毒になるけど、中国人なら大丈夫ということか」と不快感を隠さなかった。

◎中国・天洋食品、回収ギョーザ大量横流し(2009年1月24日、日本経済新聞)
 【石家荘(中国河北省)=尾崎実】昨年1月に千葉、兵庫で被害を出した中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、製造元の天洋食品(中国河北省)が回収したギョーザが同年6月までに、河北省の複数の鉄鋼メーカーに大量配布され、製品を食べた一部の従業員や家族が中毒症状を訴えていたことが24日、関係者の話で分かった。食品安全問題を巡る中国側のずさんな管理体質が改めて浮き彫りになった。
 日本での事件後、天洋食品が回収・保管した製品が再び出回り、中国国内で4人が有機リン系殺虫剤メタミドホスによる中毒被害を受けたことが既に判明しているが、「横流しルート」が具体的に明らかになった。中国公安当局は一連の事件について解明を進めているが、配布は地元政府が指示したとみられる。
 複数の関係者によると、問題のギョーザを従業員らに配布したのは、いずれも河北省に本社を置く唐山鋼鉄、邯鄲鋼鉄、承徳鋼鉄の3社。天洋食品側から300万元(約4000万円)相当の製品を分配された。昨年6月上旬、唐山鋼鉄と邯鄲鋼鉄は従業員らに製品を無料で配布。承徳鋼鉄は社員食堂で販売した。

◎被害者90%が賠償受け入れ 中国汚染粉ミルク事件(2009年1月24日、産経新聞)
 23日の中国中央テレビによると、中国乳製品工業協会は、有害物質メラミンが混入した汚染粉ミルク事件で、被害に遭った乳幼児の約90%に当たる26万2600人余りの患者の遺族や家族がメーカー側から賠償金を受け取ったことを明らかにした。
 中国衛生省の調査では、これまでに29万人以上が腎臓結石などにかかり、うち6人が死亡。工業協会は死亡者や連絡が取れた891人の重症者のうち、2人の家族らを除いて賠償を受け入れたとしている。同テレビは軽症者の詳しい受け取りの状況は伝えていない。
 賠償金額は死亡者が20万元(約260万円)、重症者が3万元、軽症者が2000元とされ、家族らから「低額すぎる」と批判が出ていた。

◎中国粉ミルク汚染:メラミン粉販売業者に死刑、地裁(2009年1月23日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】新華社通信によると、中国で化学物質メラミンが混入された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石になった事件で、河北省石家荘市中級人民法院(地裁)は22日、メラミンの粉末を製造販売した業者1人に死刑、仲間の業者1人に無期懲役の判決を、また、最大の被害者を出した「三鹿集団」(破産)の元董事長兼総経理(会長兼社長)の田文華被告に無期懲役の判決を言い渡した。業者2人は、生乳のたんぱく質含有量を多く見せかけるためメラミンを混ぜた「たんぱく粉」を酪農家に売り、公共安全危害罪に問われた。

◎メラミン混入犯3人に死刑判決、中国・汚染粉ミルク事件(2009年1月22日、産経新聞)
 【石家荘(中国河北省)=矢板明夫】中国国営新華社通信によると、有害物質メラミンが混入した粉ミルクを飲んだ乳幼児ら29万人以上に被害が出た事件で、河北省石家荘市の中級人民法院(地裁)は22日、メラミンを混入したとして公共安全危害罪などに問われた元酪農業者、張玉軍被告ら3人に死刑(うち1人は執行猶予2年付き)、同市の乳製品メーカー「三鹿集団」の前会長、田文華被告ら3人に無期懲役を言い渡した。他の被告6人は懲役15~5年の実刑判決を受けた。
 2008年9月、中国甘粛省で同社の粉ミルクを飲んだ乳児が相次いで腎臓結石にかかったことで事件が発覚。その後、同社など22社の粉ミルクや牛乳へのメラミン混入が判明した。健康被害は、邦人を含む乳幼児ら約29万6000人に広がり、うち6人が死亡した
 地元検察当局によると、張被告は07年~08年8月、水を入れて量を増やした牛乳のタンパク質含有量を高くみせかけるため、メラミンを混入した物質約776トンを製造。うち600トン余りを牛乳業者などに販売、三鹿集団も粉ミルクの原料に使っていた。同社はメラミンが検出された後も汚染粉ミルクの製造・販売を続け、被害が拡大した。
 中国外務省の姜瑜報道官は22日の定例記者会見で、「中国政府は食品の安全、品質を重視し、法に基づき厳正に処理してきた」と述べ、事件後、法整備を進め、食品の安全性に関する監督を強化してきたことを強調した。

◎中国の粉ミルク汚染、メラミン混入関与の業者に死刑判決(2009年1月23日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】新華社電によると、中国で有害物質メラミンが混入された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎結石などにかかった事件で、河北省石家荘市中級人民法院(地裁)は22日、メラミン入り原料の粉を製造・販売などし、公共安全危害罪などに問われた業者2人に死刑、1人に執行猶予付きの死刑判決を言い渡した。
 粉ミルク汚染事件で判決が出たのは今回が初めて。
 また、事件の発端となった粉ミルクを製造し、劣悪品生産・販売罪に問われた同市のメーカー「三鹿集団」の田文華・前会長には無期懲役の判決を言い渡した。
 事件で健康被害が出た乳幼児は中国全土で約30万人に上っており、死刑判決は「食の安全」に対する不信感が国内外で強まる中、この問題を重視する姿勢を示す狙いがあるとみられる。
 業者は、メラミンが化学工業製品で食べてはいけないことを知りながら、牛乳中のたんぱく質含有量を多く見せるため、メラミン入りの粉を大量に生産・販売、生乳に混入させていた。三鹿集団も、メラミン混入を知っていながら、粉ミルクの生産・販売を停止せず、被害を拡大させたという。

◎中国:メラミン混入業者に死刑判決、「三鹿」元会長に無期(2009年1月22日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】新華社通信によると、中国で化学物質メラミンが混入された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石になった事件で、河北省石家荘市中級人民法院(地裁)は22日、メラミンの粉末を製造販売した業者1人に死刑、仲間の業者1人に無期懲役の判決を、また、最大の被害者を出した「三鹿集団」(破産)の元董事長兼総経理(会長兼社長)の田文華被告に無期懲役の判決を言い渡した。
 業者2人は、生乳のたんぱく質含有量を多く見せかけるためメラミンを混ぜた「たんぱく粉」を酪農家に売り、公共安全危害罪に問われた。一方、田被告は昨年8月にメラミン混入を確認しながら政府に生産停止を命じられる9月まで生産、販売を続けていたことで劣悪製品生産販売罪に問われていた。

◎中国、9.0%成長に減速、08年、6年ぶりに1ケタ成長(2009年1月22日、日本経済新聞)
 【北京=高橋哲史】中国国家統計局は22日、2008年の国内総生産(GDP)が実質で前年に比べ9.0%増えたと発表した。中国の成長率が一ケタ台に落ち込んだのは2002年(9.1%)以来、6年ぶり。金融危機に端を発する世界経済の低迷で輸出の不振が鮮明になり、固定資産投資や生産活動が減速した。中国政府は内需拡大を通じて雇用と社会安定の維持に必要とされる「8%成長」の確保に全力を挙げる。
 08年10―12月期のGDP伸び率は前年同期比6.8%だった。
 07年のGDP伸び率は13.0%だったので、08年は4.0ポイント低下した。落ち込み幅は天安門事件が起きて7.2ポイントの急減速となった1989年以来、19年ぶりの大きさ。08年のGDPの規模が2年連続で米国、日本に次ぐ世界3位になったのは確実だが、1人当たりでみるとなお100位以下の低水準にとどまる。

◎中国GDP、10~12月6.8%、減速さらに強まる(2009年1月22日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国国家統計局が22日発表した08年10~12月の国内総生産(GDP)実質成長率は前年同期比6.8%だった。7~9月の9.0%からさらに減速し、01年10~12月の6.6%以来、7年ぶりの低成長となった。
 中国政府は「保八」(成長率8%維持)を掲げて内需拡大策に取り組むが、足もとでの大幅減速は強い逆風となる。世界経済の先行きにも影響を与えそうだ。
 08年の実質成長率は9.0%。6年ぶりに10%を下回り、13.0%に上方修正された07年から大きく減速した。名目GDP総額は30兆670億元(約391兆円)で、07年に続いて米国、日本に次ぐ世界3位を維持した。
 成長が一段と減速したのは、欧米向けを中心に輸出が落ち込んだためだ。10月こそ前年同月比19.2%増だったが、11月は同2.2%減と7年5カ月ぶりに前年同月を割り込んだ。12月も同2.8%減とマイナス幅はさらに広がった。11月以降、米国向け、欧州連合(EU)向けとも前年同月を割り込み、中継貿易の拠点である香港向けも同15%を超える減少が続く。
 輸出の減少は生産の大幅な調整を招いている。工業生産(年間営業収入500万元以上の企業)の前年同月比の伸びは10月に、旧正月の影響で比較できない1、2月を除くと約7年ぶりに10%を割り込み、11月には5.4%増と、94年に月次統計を取り始めて以来最低を記録した。
 内需では、企業の設備投資、建設投資などの固定資産投資が08年に25.5%増、消費動向を示す小売総額が08年に21.6%増で、足もとでも数字上は堅調。ただ、高額品の消費は伸び悩んでいる。

◎ギョーザ事件:捜査情報に懸賞金、中国当局と天洋食品(2009年1月21日、毎日新聞)
 【石家荘(中国河北省)浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、中国公安当局と製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)が合計65万元(約850万円)の懸賞金をかけて容疑者を追っていることが分かった。同社社員が17日証言した。
 懸賞金額は当地の物価水準では異例の高額。懸賞金は当初、公安当局が犯人逮捕につながる情報提供者に対して30万元の支払いを約束していたが、有力情報が集まらないため、同社工場長が最近、懸賞金に35万元を上乗せすることを社内の会議で約束した。
 同社工場は生産を停止しているが、正社員は捜査に協力するため出勤を命じられている。工場には月曜から金曜までほぼ毎日、捜査員7、8人が訪れ、製品のギョーザに接触できるなど条件を満たした社員を連行し、無実が完全に証明されるまで拘束し厳しく事情を聴いているという。

◎中国:鳥インフルエンザの死者3人目(2009年1月21日、毎日新聞)
 【上海・鈴木玲子】中国国営新華社通信によると、強毒性鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染し8日発病した貴州省の男子学生(16)が20日、湖南省の病院で死亡した。5日に北京市の女性(19)、17日に山東省の女性(27)が死亡。今年に入り中国での鳥インフルエンザによる死者は3人目となった。
 一方、20日付の中国紙「第一財経日報」は、鳥インフルエンザで重体の山西省の女児(2)の母親が6日ごろ「重症肺炎」で死亡していたと報じた。親子ともニワトリとの接触があったとされ、鳥インフルエンザによる死亡の可能性もある。

◎中国:共産党部長、招請受け平壌へ(2009年1月21日、毎日新聞)
 【北京・西岡省二】中国国営新華社によると、中国共産党の王家瑞・対外連絡部長が21日夜、北朝鮮の朝鮮労働党の招請を受け、平壌へ向かった。王部長は北朝鮮の最高指導者、金正日(キムジョンイル)総書記との親交が深く、健康状態が回復基調にあると伝えられる総書記との会見が実現する可能性が強い。
 金総書記が会見すれば昨年8月に脳卒中で倒れて以来、初めての外国高官との面会となる。
 王部長は、26日からの春節(旧正月)を前にした胡錦濤総書記(国家主席)のメッセージを北朝鮮側に伝達し、中朝国交樹立60周年関連行事などについて協議するとみられる。
 王部長は04、05、08年も春節に合わせて訪朝し、金総書記と会談している。北京の外交関係者は「金総書記との会談が実現すれば中国メディアが取材することになり、健康状態を確認できる機会になる」と話している。

◎中国共産党部長が訪朝、金総書記との会談焦点(2009年1月21日、日本経済新聞)
 【北京=佐藤賢】新華社電によると、中国共産党の王家瑞対外連絡部長が21日、北朝鮮を訪問した。中国共産党と朝鮮労働党の友好相互訪問の一環とみられる。王部長は昨年1月の訪朝で金正日総書記と会談しており、健康悪化説がくすぶる金総書記との会談が実現するか注目される。
 王部長は胡錦濤国家主席から金総書記へのメッセージを伝達する見通し。北朝鮮の核問題についても意見交換するとみられる。中朝の国交樹立60周年となる今年を「中朝友好年」としており、関連行事や往来についても話し合う見込みだ。
 王部長は昨年1月のほか2004年1月と05年2月に訪朝した際にも金総書記と会談するなど金総書記と親交が深い。05年と昨年は金総書記が会談後、王部長ら訪朝団のために宴(うたげ)を開いて歓待している。

◎「台湾スパイ容疑はねつぞう」中国報道官(2009年1月21日、日本経済新聞)
 【北京=佐藤賢】中国国務院台湾事務弁公室の楊毅報道官は21日の記者会見で、台湾総統府職員が中国に機密資料を漏らしたとして逮捕された事件について「機密資料を渡したという報道は全くの捏造(ねつぞう)だ」と否定した。

◎中国3社の意匠権侵害、独バスメーカーが勝訴(2009年1月21日、日本経済新聞)
 【重慶=多部田俊輔】独バスメーカーのネオプランが意匠権を侵害されていたとして中国のバス製造・販売会社3社を訴えていた訴訟で、北京市第一中級人民法院は製造販売の中止と2116万元(約2億8000万円)の損害賠償を中国3社に命じた。中国側は独自のデザインなどと主張したが、法院は外観に差がほとんどないと判断した。
 中国紙の京華時報が21日に報じた。製造販売中止などを命じられたのはバス製造販売の江蘇塩城中威客車(江蘇省)など3社。

◎メラミン賠償金求め最高裁に提訴、中国下級裁不受理で(2009年1月20日、産経新聞)
 有害物質メラミンによる中国の粉ミルク汚染事件で、被害に遭った乳幼児の親ら213人が、最大の被害を出したメーカー、三鹿集団(河北省石家荘市)などに対し、計約3600万元(約4億7000万円)の賠償金を求める訴えを、最高人民法院(最高裁)に起こした。親らの代表が20日明らかにした。
 親らは石家荘市の地裁と河北省の高裁で、いずれも訴えが受理されなかったため最高裁に訴えた。しかし最高裁も同日、審査が必要として受理せず、1週間以内に受理するかどうか決めるという。
 賠償金は被害の程度によって最高で1人60万元を要求。三鹿などは、約30万人の被害乳幼児を対象に1人2000元、死者の遺族には20万元支払うと決定、一部の親は既に受け取っている。

◎鳥インフルエンザ、中国で今年3人目の死者(2009年1月20日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】新華社通信によると、鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染して治療中だった中国貴州省出身の男子学生(16)が20日、湖南省の病院で死亡した。中国では今月、北京市の女性(19)と山東省済南市の女性(27)も鳥インフルエンザで死亡しており、今年の死者は3人目となった。
 学生は8日に貴州省で発症し、16日に隣接する湖南省の病院に入院。17日に省衛生当局が学生からH5N1型ウイルスを検出していた。

◎中国軍「海洋や宇宙に拡大」、海軍力を強化、国防白書(2009年1月20日、読売新聞)
 【北京=佐藤賢】中国政府は20日、2年ぶりの国防白書「2008年中国の国防」を発表した。国防政策として「海洋や宇宙、電磁空間の安全を守る能力を高める」と明記。遠洋での作戦能力や宇宙・サイバー戦への対応を増強する方針を示した。日本について前回は集団的自衛権行使などへの警戒を示したが、今回は艦艇の相互訪問などで「日中の防衛関係は進展した」と指摘した。
 国防政策では「情報化の条件の下での局地戦争勝利」との基本方針を維持したうえで、脅威の多様化に対応して任務の幅も広げる必要性を強調。領土、領海、領空だけでなく、海洋や宇宙、電磁空間に活動範囲を拡大する。「強大な海軍の建設に努力する」とも明記し、特に海軍力の増強に力を入れることを鮮明にした。
 テロ対策や国連平和維持活動(PKO)に重点を置く方針も明示。国内の脅威にも触れ、台湾独立や新疆ウイグルの東トルキスタン独立、チベット独立を求める運動が「国家の統一と安全を脅かしている」と指摘した。

◎中国で「言論の自由」訴訟、ブログ運営業者相手取り(2009年1月20日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】北京市の会社役員が19日、政治改革を求める論文を掲載した自らのブログについて、ブログを運営するインターネット業者がアクセスを禁じたのは、中国憲法に定める「言論の自由」への侵害などとして、同市海淀区人民法院(地裁に相当)で、この業者を相手取り、閲覧再開などを求める訴訟を起こす手続きを行った。
 法院は7日以内に受理するかどうかを判断する。
 訴えたのは、元安徽省人民政治協商会議常務委員で北京在住の汪兆鈞(おうちょうきん)氏(60)。先月31日、独裁の弊害と民主化の重要性を訴える「全国人民に告げる書」と題する論文を発表したが、ブログは即日、アクセス禁止となった。
 中国では先月、知識人ら303人が一党独裁を批判する「08憲章」を発表。今月には22人が「洗脳を拒絶する」として中央テレビの視聴ボイコットを宣言するなど、民衆の反政府感情の高まりを背景に、ネットを舞台にした民主化要求が相次ぎ公然化しており、「言論の自由」を掲げた今回の提訴に大きな注目が集まりそうだ。
 汪兆鈞氏が発表した論文「全国人民に告げる書」の要旨は以下の通り。
 09年は、社会転換が始まる年にしなければならない。
 株式市場で政府が優先的に守らなければならないのは共産党の利益だ。多くの地方政府は土地売却、住宅建設で生命をつないでいるが、建設された住宅を買える人はいない。中国経済の問題は、党が政治を握り、銀行、資本市場を独占していることだ。党は、徹底的に反省し、自ら改革する決意を下すべきだ。
 民主的社会制度がなければ、社会矛盾は広がり、冤罪(えんざい)が激増する。(直訴者らは)動乱を起こさないよう注意しなければならない。
 党の思想、世論封鎖を打破してこそ、国家の誤りを終結させられる。インターネットが封殺されれば裁判所に訴え、受理されなければデモ行進を行い、デモが認められなければ同じ色の旗を掲げればよい。
 党はそんなに批判が怖いのか。党はメディアとネットに対する監督、検査を停止すべきだ。封鎖をやめて初めて、本当の人民の声を聞くことができる。
 国軍を政党の軍隊に変えているのは憲法違反だ。
 大学生が社会的責任を意識し、巨大な力を示す時、新たな光明を迎える。
 胡錦濤国家主席と温家宝首相は、このまま「成り行きに任せ」れば、退任後、必ず責任を追及される。
 台湾の民主を学ばなければならない。民主化すれば中国は大きく飛躍できる。

◎中国、「MSN中国」も低俗と批判(2009年1月19日、産経新聞)
 9日付の中国各紙によると、中国政府は8日、社会道徳にそぐわない「低俗な内容」が多数含まれているとして、ソフトウエア最大手の米マイクロソフトが運営するインターネットの中国語版ポータルサイト「MSN中国」など14サイトを新たに「低俗サイト」として公表した。
 中国政府が今週着手したネット上のわいせつ情報などの取り締まり強化対策の一環で、リスト公表は2回目。1回目の「低俗サイト」リストでは、米ネット検索大手グーグルなど19のサイトが名指しで批判を受けた。
 MSN中国については、一部に「大量の低俗な絵や写真が含まれている」と指摘している。

◎中国、新たに12の「低俗サイト」を公表(2009年1月19日、産経新聞)
 新華社電によると、中国政府は19日、わいせつ情報が含まれているとして、新たに12のウェブサイトを「低俗サイト」として公表した。政府が5日から着手したネット上のわいせつ情報などの取り締まり強化策の一環で、リストの公表は4回目。
 これまでに米ネット検索大手グーグルを含む計50の「低俗サイト」が公表され、約720のサイトが閉鎖されている。

◎「サイト閉鎖は違憲」と初の提訴、北京の会社経営者(2009年1月19日、産経新聞)
 中国の大手ニュースサイト「新浪網」が民主化要求の文書を掲載したウェブサイトを閉鎖したのは、表現の自由を保障した憲法に違反するとして、文書を発表した会社経営者の男性(60)=北京市=が19日、新浪網を運営する会社に、サイトの再開を求める訴えを起こした。
 中国でインターネットは共産党の管理下にあり、党を批判する内容のサイトは日常的に閉鎖されている。男性の弁護士によると、サイト閉鎖を違憲とする提訴は初めてとみられる。
 しかし裁判所は、審査が必要だとして同日は提訴を受理しなかった。今後も受理されない可能性がある。
 男性は昨年12月31日「共産党の執政になってから人民に言論の自由はない」と党を批判し民主化を求める文書を発表。一党独裁体制の廃止などを呼び掛けた文書「08憲章」が国内のネットで閲覧できないことも批判した。サイトは数日で閉鎖された。

◎中国側「ギョーザ事件進展なし」、警察庁に回答(2009年1月19日、産経新聞)
 警察庁は19日、中国警察の中央機関である公安部との定期協議を都内で開き、中国製冷凍ギョーザ中毒事件についても協議。中国側から「いまだに解明には至っていない」との説明を受けた。
 協議には、警察庁から金高雅仁・総括審議官ら幹部が、公安部側は張巨峰・国際協力局副局長らが出席。犯罪情勢全般に関する全体会合後、個別事件などを協議する分科会に移り、ギョーザ事件についても、課長級幹部同士が情報交換した。
 中国側はこの際、ギョーザ事件の捜査状況について「長期間にわたって大規模な態勢で捜査しているが、いまだに解明には至っておらず、進展はない」と説明。引き続き両国の捜査機関が連携を強化していくことで合意した。
 日中間では昨年12月、「刑事共助条約」が調印。起訴、公判に必要な証拠物については外交ルートを通さず、捜査機関同士が直接要請が可能となったが、警察庁によるとギョーザ事件についてはこれまでに、中国側から証拠提供の申し入れはないという。

◎鳥インフルエンザに感染、27歳女性死亡、中国・山東省(2009年1月19日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国衛生省は18日、山東省済南市在住の女性(27)が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染し、17日夜死亡したと発表した。
 今月5日に北京で鳥インフルエンザによる初の死者が出たほか、17日にも山西省で2歳の女児が重体になっていることが判明したばかり。

◎公安省幹部2人取り調べ、中国(2009年1月19日、産経新聞)
 19日付の中国紙、新京報は、中国有数の富豪として知られる家電販売最大手「国美電器」の創業者、黄光裕氏の経済事件に関連し、中国共産党の規律検査委員会が公安省の鄭少東次官補兼経済犯罪捜査局長と相懐珠副局長の2人を取り調べていると伝えた。
 黄氏の経済事件では、黄氏のマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑いで香港とマカオの賭博業界の関係者が取り調べを受けており、鄭次官補らは同関係者との関連が指摘されている。
 また、国美電器は18日、黄氏が取締役会議長などの役職から離れたと発表した。ただ、黄氏は同社の35・55%の株式を保有し続けている。

◎中国製ギョーザ中毒:中国当局、捜査情報に懸賞金、天洋食品が上乗せ(2009年1月18日、毎日新聞)
 【石家荘(中国河北省)浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、中国公安当局と製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)が合計65万元(約850万円)の懸賞金をかけて容疑者を追っていることが分かった。同社社員が17日証言した。
 懸賞金額は当地の物価水準では異例の高額。懸賞金は当初、公安当局が犯人逮捕につながる情報提供者に対して30万元の支払いを約束していたが、有力情報が集まらないため、同社工場長が最近、懸賞金に35万元を上乗せすることを社内の会議で約束した。
 同社工場は生産を停止しているが、正社員は捜査に協力するため出勤を命じられている。工場には月曜から金曜までほぼ毎日、捜査員7、8人が訪れ、製品のギョーザに接触できるなど条件を満たした社員を連行し、無実が完全に証明されるまで拘束し厳しく事情を聴いているという。

◎ギョーザ事件:捜査情報に懸賞金、中国当局と天洋食品(2009年1月18日、毎日新聞)
 【石家荘(中国河北省)浦松丈二】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、中国公安当局と製造元「天洋食品」(河北省石家荘市)が合計65万元(約850万円)の懸賞金をかけて容疑者を追っていることが分かった。同社社員が17日証言した。
 懸賞金額は当地の物価水準では異例の高額。懸賞金は当初、公安当局が犯人逮捕につながる情報提供者に対して30万元の支払いを約束していたが、有力情報が集まらないため、同社工場長が最近、懸賞金に35万元を上乗せすることを社内の会議で約束した。
 同社工場は生産を停止しているが、正社員は捜査に協力するため出勤を命じられている。工場には月曜から金曜までほぼ毎日、捜査員7、8人が訪れ、製品のギョーザに接触できるなど条件を満たした社員を連行し、無実が完全に証明されるまで拘束し厳しく事情を聴いているという。

◎中国のGPSが2020年完成、空母戦闘群と連動(2009年1月18日、朝日新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国が構築を進めている中国版GPS(全地球測位システム)「北斗」の地球規模の運用態勢が2020年までに整う見通しとなった。
 中国紙「中国国防報」などが伝えた。すでに衛星5基を打ち上げて軍民両用で地域的な運用が始まっているが、最終的に30基余りを使用する予定で、今年は一気に3~4基の衛星を打ち上げる。
 米国のGPSに依存しない北斗の地球規模のカバーは、建造に向けて本格的な研究が始まった空母戦闘群と密接な関係を持つ。ミサイル駆逐艦、艦載機の精密誘導兵器などを駆使する空母戦闘群にとって、独自技術による測位システムは欠かせない。有事の際、米国がGPSをコントロールし、空母などが機能不全に陥る事態を避けるためだ。外交筋の間では「空母建造の時期は北斗の完成をにらんだもの」との見方が出ている。
 03年5月から正式に運用を開始した北斗は、中国とその周辺地域を対象に、軍だけでなく、漁業、気象、交通などの分野で幅広く利用され、昨年5月の四川大地震の際には軍の救援活動で威力を発揮したという。精度などレベルを大幅に向上させた第2世代の整備も07年4月から始まっている。
 衛星測位システムは、米国のGPSのほか、ロシアの「グローナス」が10年のシステム完成に向けて急ピッチで態勢を整えている。

◎中国当局、メタミドホス混入疑いで「天洋」関係者を聴取(2009年1月18日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国公安当局が昨秋以降、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)の工場関係者数人を有機リン系殺虫剤メタミドホスを混入させた疑いがあるとして拘束し、事情聴取を進めていたことが分かった。
 関係筋が17日明らかにした。ただ、混入が立証できず、捜査は暗礁に乗り上げている。中毒被害事件が発覚してから今月30日で1年を迎えるが、解決は難しそうな情勢だ。
 関係筋によると、当局は、北京五輪閉幕後の9月頃から捜査を本格化。工場関係者の家族3代まで聴取の範囲を広げ、反日的な背景がないかどうかを含めて調べを進め、数人を拘束した。だが、容疑を否認しているほか、殺虫剤混入を立証できる決定的な物証や動機が見つかっていないという。

◎天安門事件の再評価厳しく、趙元総書記死去から4年(2009年1月17日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】民主化運動を武力弾圧した天安門事件(1989年6月4日)で失脚した中国共産党の趙紫陽元総書記が死去してから17日で4年。祭壇が設けられた北京市内の趙氏の自宅には、軍の発砲などで子供を失った母親らが続々と駆けつけた=写真(野口東秀撮影)。今年は同事件から20年にあたり、当局は世論の引き締めを格段に強化している。趙氏の名誉回復と「反革命暴乱」と定められた同事件の見直しは厳しい情勢だ。
 趙氏宅には天安門事件で息子を亡くし、一党独裁の終結を求めた「08憲章」の最初の署名者でもある丁子霖・元中国人民大学助教授らが姿をみせ、趙氏の大きな写真が掲げられた書斎は花束で埋まった。
 記帳簿には「人民はあなたを忘れない」「現在の社会はあらゆる腐敗が蔓延(まんえん)している」などの言葉が書き込まれ、片足を失った民主活動家のほか、国家政権転覆扇動罪で服役中の胡佳氏(代理人署名)らの名前などがみられた。
 趙氏の娘、王雁南さんは「天安門事件の再評価は時間の問題だと、官僚も庶民もわかっている。必ず社会正義が実現し、政治体制の進歩がなされると信じる」と強調した。
 指導部は2005年、1987年に失脚し、追悼大会が天安門事件につながった胡耀邦元総書記を事実上“再評価”している。しかし趙氏については「動乱を支持し党分裂を図った」とし、名誉回復は否定したままだ。

◎ギョーザ中毒事件で元従業員を拘束、聴取 中国当局(2009年1月17日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国製ギョーザ中毒事件で、中国公安当局は製造元の天洋食品(河北省石家荘市)に勤めていた男性従業員ら3人前後を容疑者として絞り込み、事情聴取していることが17日までにわかった。中国筋が明らかにした。男らは容疑を認めていないが、当局はさらに徹底した捜査を継続する方針だ。
 容疑者の一人は、ギョーザを冷凍庫で保管する段階にかかわる従業員とみられ、昨年秋の時点ですでに拘束されていた。当局は絞り込んだ男らが共謀した可能性を視野に入れているもようだ。しかし供述は二転三転するなど、あいまいだという。
 当局は、延べ約1000人から事情聴取し、管理記録や出勤状況を調査したほか、監視カメラの映像などを分析してきた。さらに、家族や友人、同僚らも聴取するなどし、その結果、昨年秋から冬にかけて3人前後に絞り込んだ。
 容疑が完全に固まっていないため、当局は事情聴取のための拘束という形式で、釈放、再拘束を繰り返すなどして調べているが、毒物混入を立証できる決定的物証に欠けており、解決までにはなお時間がかかる可能性がある。
 事件をめぐっては、昨年6月に、天洋食品が日本での事件後に回収したギョーザを従業員の親戚(しんせき)らに販売、4人が中毒症状を起こし、日本と同じ農薬成分メタミドホスが検出された。この事件は中国製食品への不信が急速に高まるきっかけとなり、日本の対中感情を悪化させる要因にもなった。

【用語解説】中国製ギョーザ中毒事件
 2007年12月~08年1月に、中国河北省石家荘市の天洋食品製の冷凍ギョーザを食べた千葉県と兵庫県の3家族計10人が下痢や嘔吐の症状を訴え9人が入院、女児1人が一時意識不明となった。検査で具や包装から有機リン系の殺虫剤メタミドホスが検出され、中国製食品に対する不安が拡大した。日本国内ではメタミドホスは使用禁止。中国でも07年に使用が禁止され、08年1月に製造・販売も禁じられた。08年6月に中国でも食中毒被害が発覚。中国国内での故意の混入が疑われてきた。

◎中国、わいせつ500サイト閉鎖(2009年1月16日、産経新聞)
 16日付の中国紙、経済日報によると、中国工業情報省は15日、政府が先週から始めたインターネット上のわいせつ情報などの取り締まり強化策として、既に500以上のウェブサイトを閉鎖したことを明らかにした。
 ネット上で違法にわいせつ情報を流したとして公安当局が拘束した容疑者も、数十人に上るという。
 中国政府はネット情報に対する監視を強めてきたが、今回は1カ月かけて、わいせつ情報などを掲載している「低俗」サイトに対する取り締まりを強化。米ネット検索大手グーグルや米マイクロソフトが運営する「MSN中国」を含む50サイトが「内容が低俗」として名指しで批判されている。

◎中国のネット利用者、2億9800万人、08年末41%増(2009年1月15日、日本経済新聞)
 【上海=渡辺園子】中国インターネット情報センターは、2008年末の同国のネット利用者数が前年同期比41.9%増の2億9800万人に達したと発表した。農村での利用者が6割増と大幅に増えた。人口普及率は22.6%。7割超の日本や米国よりはまだ低いが「初めて世界平均(21.9%)を上回った」という。
 中国のネット利用者数は既に米国を抜き、世界一。ネット上のサービスで利用率が高いのは音楽ダウンロード(83.7%)やニュース配信(78.5%)。株取引の利用率は11.4%で、株価低迷を背景に07年末比で6.8ポイント低下した。携帯電話でのネット接続の利用者は07年末比2.3倍の1億1760万人に急増した。

◎ニセ1万円札2390枚両替、中国国有企業の理事長起訴(2009年1月15日、読売新聞)
 【香港=竹内誠一郎】15日付の香港各紙によると、香港の銀行で日本円の偽1万円札2390枚を両替したとして、中国本土出身の男(56)が14日、偽造通貨行使の罪で起訴された。
 男は「偽札だとは知らなかった」と主張している。
 「明報」紙によると、男は中国国有企業の理事長で、7日、仲間の女に1万円札2390枚を預け、196万香港ドルに両替させた。銀行はその後、すべて偽札だったと気づき、警察に通報。男は、女が逮捕されたあと、警察に出頭した。

◎中国産ウナギに殺虫剤、首都圏に販売、千葉県が回収命令(2009年1月15日、朝日新聞)
 千葉県は15日、同県成田市の輸入業者「丸勝」(西勝光治社長)が中国から輸入した活(い)きウナギから、基準値の3倍の殺虫剤が検出された、と発表した。印旛保健所は立ち入り調査を実施し、同日、食品衛生法違反で丸勝に回収命令を出した。健康被害の届け出はないという。
 県衛生指導課によると、殺虫剤は「ジコホール」で、国内では現在、生産されていない。活きウナギは3日に中国から1500キロ輸入され、東京、埼玉、千葉の卸売業者に販売されたという。成田空港検疫所が検査したところ、基準値(0.01ppm)を超える0.03ppmが検出されたことが14日に分かり、厚生労働省が県に連絡した。

◎中国で大量の偽札出回る、100元札受け取り拒否も(2009年1月14日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】昨年末から今年初めにかけて、中国各地で100元(約1300円)の偽造紙幣が大量に出回り、相次いで見つかっている。北京紙「新京報」などは「銀行の偽札鑑別機を通り抜ける」とその精巧ぶりを報じたところ、市民の間で不安が広がり、100元札の受け取りを拒否する商店やタクシー運転手も現れている。
 中国メディアによると、12月初めまでは広東省周辺で、出稼ぎ労働者らに支払われる給料の中から偽札が集中的に見つかったが、その後、福建省、四川省など全国に広がったという。一部の工場経営者が偽札業者から大量購入して給料として従業員らに配り、旧正月の帰省ラッシュに伴って全国に広がった可能性もあるという。
 偽札は、その紙質や精巧な印刷からホンモノと見分けがつかないといわれている。偽札は、紙幣の下部に印刷されている通し番号がHD90から始まるものが多いとされる。だが、同番号のホンモノの紙幣もあり、それだけで判断はできないという。密造の場所は特定されておらず、台湾で作られた可能性が高いともいわれているが、一部のネット情報では北朝鮮から流入したとの説もある。
 中国では、偽札を発見し銀行などに届け出ても、没収されるだけでまったく補償されないため、偽札を手にしたら黙ってそれを使おうとする人が多い。そのため、警察に寄せられる情報は少なく、捜査は難航しているという。
 中国人民銀行(中央銀行)の貨幣金銀局の葉英男局長は8日、記者会見し「一部の小売店で使用されている偽札検査機は、品質が悪く判別能力に欠けている。これが偽札流通の要因となっている」と述べ、今後は国家質量技術監督局と連携し、偽札検査機の品質向上に引き続き努めたいとの意向を示した。
 米国営短波ラジオ放送局のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は10日、「偽造紙幣の流通は、人民元に対する信用を失墜させた」と報じている。

◎「国営テレビは洗脳番組」、中国内の学者ら視聴拒否宣言(2009年1月14日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】「中国中央テレビの洗脳番組を拒絶する」。中国内の学者や作家、弁護士ら22人が連名で国営テレビを「国家宣伝」と位置づけ、ネット上で視聴拒否を宣言した。体制批判は避けているが、共産党や政府の統括下にある中核メディアの是非を知識人が正面から取り上げた動きだ。
 宣言文は12日付で公表された。中国中央テレビについて、(1)ニュース番組は民衆の集団抗議など社会矛盾を取り上げない、(2)国内報道は紋切り型の慶事報道に偏重している、(3)大量の宮廷ドラマは征服された側の民族感情に配慮していない、などと指摘。「われわれには視聴を拒否する権利がある」と訴えた。
 宣言文に署名した弁護士の1人は14日、朝日新聞の取材に「三鹿集団による粉ミルク事件では被害者の側に立った報道がほとんどないなど、以前からメディアのあり方に疑問を持っていた」と話した。

◎300人が人権問題で抗議、北京、警察が100人連行(2009年1月14日、産経新聞)
 中国政府で対外宣伝部門を主管する国務院新聞弁公室の庁舎前で14日午前、各地の当局の腐敗や非人道的な対応に怒った陳情者ら300~400人が「中国には人権がない」などと抗議し、100人以上が警察車両で現場から連行された。
 中国では当局への抗議行動が活発化しているが、新聞弁公室前での集団抗議は珍しい。
 目撃者によると、抗議に参加したのは世界人権宣言の採択から60周年の昨年12月10日に外務省前で「人権状況の改善」や中国政府の「国家人権行動計画」への参画を訴える抗議行動を行ったグループが中心。外務省は同月18日、同計画を作成した新聞弁公室が1月14日に訴えを受け付けるとグループに回答していたため、現場に集まった。
 当初は数十人だったが、北京に長期滞在している地方の陳情者が続々と集まり、抗議文書を掲示するなどの行動に発展したという。

◎「低俗サイト」第3弾公表、中国政府、国内で運営の17サイト(2009年1月14日、産経新聞)
 14日付の北京晨報によると、中国政府はサイトの一部に社会道徳にそぐわない「低俗な内容」が含まれているとして、新たに17のサイトを「低俗サイト」として公表した。
 政府が5日から着手したネット上のわいせつ情報などの取り締まり強化策の一環で、リストの公表は3回目。17サイトは中国紙、京華時報のニュースサイト「京華網」などすべて中国国内の会社が運営しているもの。
 これまでの2回では、米ネット検索大手グーグルを含む計33のサイトが「低俗サイト」として公表された。

◎中国:貿易伸び10%台に、黒字額は世界一へ(2009年1月13日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国税関総署が13日発表した最新の貿易統計によると、輸出と輸入を合わせた08年の貿易総額は前年比17.8%増の2兆5616億ドルだった。貿易黒字額は前年比12.5%増の2954億ドルで、4年連続で過去最高を更新した。貿易総額、黒字額とも07年に首位だったドイツを超え、貿易総額では米国に次ぐ2位に、黒字額では首位に立つ可能性が高い。
 08年の輸出は前年比17.2%増の1兆4285億ドル。ドイツの08年1~11月の輸出額は9278億ユーロ(約1兆2300億ドル)で、輸出額でも中国がドイツを超え、世界でトップとなる見通しだ。ただ、輸出入額は、金融危機の影響で先進国向けの輸出にブレーキがかかったため、昨年11月にWTO加盟(01年12月)以来初めて前年実績を下回った。

◎中国3G免許交付は「世界トップ奪取」の大号令(2009年1月13日、日本経済新聞)
 3Gの検討開始から11年、中国の通信産業を主管する工業・信息化部は1月7日、チャイナモバイル、チャイナテレコムそしてチャイナユニコムの3キャリアに対して、それぞれTD-SCDMA、CDMA2000およびWCDMAの3G免許を交付した。当日は記者などを一切シャットアウトし、関係者だけの極めて静かな船出となったが、世界の通信業者にとってインパクトは絶大に違いない。(肖宇生)
 「中国3G免許はいったいいつ交付されるのか」。この極めて複雑な命題を読み解こうと、世界中の通信関係者が何度もチャレンジし、その度に予想を裏切られてきた。ただし、長らく免許交付のアキレス腱となっていたTD-SCDMAの実用化と通信キャリアの再編などの課題は2008年中にクリアされ、発表は時間の問題だったといえる。
 今回の免許交付は満を持してのデビューともいえるが、正直なところ2009年旧正月前に正式発表されるかどうかには確信を持てなかった。しかし、急速に進行する世界同時不況が、発表のタイミングを見計ってきた中国政府の決断を後押ししたに違いない。
 なぜなら、4兆元の景気対策を打ち出した中国政府にとって、3G投資は持って来いのカードだからだ。ネットワーク投資だけでも今後2年間2800億元(約4兆2000億円)が必要とされ、関連産業の投資を含めると2兆元(約30兆円)に上るともいわれている。中国経済も減速が余儀なくされているなか、3Gスタートは久々の明るいニュースといえよう。
 TD-SCDMA実用化に向けた検証作業、キャリア再編の完了、そして景気対策の起爆剤としての期待。3G免許は結果として、絶好なタイミングで交付されたのである。
 去年の再編を終えて3大キャリアに集約された中国通信業界だが、今のところはチャイナモバイルの一人勝ちだ。ユーザー数も財務体質も収益レベルも他の2社を圧倒している。
 しかし、GSM時代にわが世の春を謳歌してきたチャイナモバイルも3Gでは全く未知数のTD-SCDMAを担うことになり、不確定要素がにわかに高まる。去年の試運用を経て北京などの大都市を中心に10都市にTD-SCDMAネットワークを構築したが、去年12月時点で1万7672という基地局数ではまだ足りないのは明らかだ。
 もちろん、失敗が絶対許されないプロジェクトだけに、チャイナモバイルもネットワークの構築に血眼になっている。今年だけでもインフラに588億元(約8820億円)を投じ、6万カ所の基地局を設置するという。エリアも今の10都市から238都市へ拡大し、全国の中規模都市の70%をカバーする。それでもTD-SCDMA陣営の一番の弱みは端末で、質・量とも改善されてきたとはいわれながらも、他2規格と比べるとその貧弱さを否めない。
 一方、チャイナテレコムとチャイナユニコムは、サービス開始時期ではチャイナモバイルに先行を許しているものの、すでに成熟している規格だけに追いつくのは早いと見られる。両社ともネットワークの構築とバージョンアップを急ぎ、CDMA2000とWCDMAのブランド力を最大限に生かしてチャイナモバイルからユーザーを奪い取ることを狙っている。得意の固定通信分野で培ってきた企業顧客資源を活用し、固定・携帯を統合したサービスでドル箱の法人分野も開拓する腹積もりだ。
 鍵を握っているのは魅力あるソリューションの提供や投資体力、そしてブランド力の確立だ。ガリバーのチャイナモバイルに対しチャイナテレコムとチャイナユニコムが挑むという構図は今後何年間かは続くだろう。それでも3社に与えられた時間はさほど多いとはいえない。
 勝負の行方が見えないキャリア業界をよそに、通信設備メーカーからは高笑いの声が聞こえそうだ。特に中国二強である華為技術と中興通信は、WCDMAとCDMA2000のいずれでも着々実績を残し世界トップ5にも入っている。中国3Gのスタートでさらに追い風が吹きそうだ。
 お家芸のTD-SCDMAはもちろん、CDMA2000とWCDMA分野においてもここ数年間は2社合計で50%以上の中国国内シェアを確保できるとみられる。保守的に計算しても売り上げで毎年100億~300億元(約1500億円~4500億円)の上積みが見込める。
 両社はこれまで価格競争力とスピードを武器に海外市場で欧米メジャーと渡り合ってきた。世界不況で欧米メーカーが苦戦し海外市場の急激な回復も望めないなか、今回の地元の競争で海外勢と市場シェアを分け合う気持ちは更々ないだろう。
 世界の通信市場が頭打ちになるなかで、中国の3Gはスタートした。しかし、それはあくまでも通過点である。では、中国の通信業界はどこへ向かうのか。そこで注目すべきなのは、独自規格TD-SCDMAを背負うチャイナモバイルの動向である。なぜならチャイナモバイルはその目線をすでに4Gに向けているからだ。
 3Gの運営は4Gへのスムーズな移行を図るためのツールにしか過ぎない。すでに最大のネットワークを持つチャイナモバイルは、中国だけでなく新興国を中心とした海外進出にも乗り出している。TD-SCDMAの運営で実績を示せれば、4G時代の規格策定などにおいてその発言力をより高められることは間違いない。
 それは通信設備メーカーも同じだ。最近は特許数や国際組織への寄稿数などが急増しており、開発力も高まってきた。エリクソンなどの欧米メジャーに追いつき、そして追い越せるかどうかはここ何年かが正念場になるだろう。過去20年、規格や技術の主導権を欧米メジャーに握られ苦しんできた中国通信業界だが、10年後にその立場が逆転することも夢ではない千載一遇の好機を迎えている。

◎上海市、9%成長に減速、09年目標、高成長に陰り(2009年1月13日、日本経済新聞)
 【上海=戸田敬久】上海市は13日、人民代表大会(議会)を開き、2009年の成長率の目標を9%に設定した。10%前後だった08年実績に比べ減速し、1991年(7.1%)以来の低い水準となる。高成長を続けてきた上海経済にも陰りが見え始めた。一方、09年の同市の税収入は6%増と、08年の13.3%増に比べて大幅に鈍る見込みだ。失業率は4.5%前後に抑える計画だという。

◎【メラミン混入】低額賠償金の受け取りを拒否(2009年1月13日、産経新聞)
 有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件で、中国の粉ミルクメーカーが支払う賠償金について、被害に遭った乳幼児の親ら200人以上が、一生分の治療費負担が必要などとして、低額の賠償金受け取りを拒否する署名活動を始めた。親の代表が13日、明らかにした。
 活動は、インターネット上で11日夜に始め、12日夜の時点で200人以上が署名しており、さらに広がることは確実。親らは、1回の賠償金支払いだけでなく、後遺症が出た場合の補償や、これまでの治療費の返還などを求めている。
 最大の被害者を出した粉ミルク製造元の三鹿集団(河北省石家荘市)などは、被害に遭った約30万人の乳幼児を対象に一人2000元(約2万6000円)、死者の遺族には20万元の賠償金を支払うことを決めている。

◎上海ディズニーランド、開業へ調印、早ければ14年(2009年1月13日、朝日新聞)
 【上海=西村大輔】中国中央テレビなどは13日、上海市政府と米ウォルト・ディズニー社が「上海ディズニーランド」開業の取り決めに調印した、と伝えた。早ければ2014年にも開業する見通しで、東京、香港に次いで東アジアで3カ所目となる。
 報道によると、運営会社の持ち株比率は上海市政府傘下の企業が57%、ディズニー側が43%。244億8千万元(約3300億円)を投じ、最終的には香港ディズニーランドの数倍にあたる6~8平方キロの規模になるという。
 建設地は明らかになっていないが、これまでの地元報道によると浦東国際空港に近い同市東部の浦東新区内とみられている。

◎ペット犬大量死、中国でドッグフード回収(2009年1月12日、産経新聞)
 12日付の上海紙、東方早報によると、上海の販売業者がオーストラリアのメーカーから中国に輸入したドッグフード「優格(中国でのブランド名)」を食べたペット犬が吐血して死ぬ例が相次ぎ、店頭からの製品回収を急いでいる。発がん性のあるカビの一種が混入した可能性があり、食べた後すぐに中毒死した小型犬も報告された。これまで100頭前後が死亡したとの情報もある。米国では2007年に中国産の原料を使ったペットフードを食べた多数の犬や猫が死んで社会問題となったことがある。

◎中国、抗生物質乱用で毎年8万人死亡(2009年1月12日、産経新聞)
 12日付の中国紙、中国青年報によると、中国の医学専門家は医療施設で抗生物質の乱用により毎年約8万人が死亡し、約800億元(約1兆500億円)の医療費の浪費を招いていると指摘した。
 専門家の推計では、2005年に薬の副作用で死亡した患者約20万人のうち、40%は抗生物質の乱用が原因だった。外国では安全性に問題があるため使用禁止となったのに、中国内では依然広く使用されている抗生物質もあるという。
 乱用の理由について、医療水準の低さや投薬による利益獲得があるとしている。

◎中国の新車販売938万台、08年、6.7%増に急減速(2009年1月12日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国自動車工業協会は12日、08年の新車販売台数が938万台だったと発表した。国営新華社通信が伝えた。金融危機の影響による販売不振で、前年比6.7%増と、98年(2.4%増)以来の低い伸びにとどまり、20%を超えた07年から急減速した。08年年初には1千万台突破が見込まれていたが、夏前から富裕層や企業の購買意欲が急速に冷え込み、達成できなかった。
 08年の生産台数は5.2%増の935万台だった。
 中国自動車市場は、06年に25%を超える伸びを記録し、日本を抜いて米国に次ぐ世界第2位に躍進。07年も22%増の879万台に達した。だが08年は夏前から販売が急減速し、8月に05年2月以来3年半ぶりに前年同月比マイナスに転落。その後も、10月を除いて前年同月割れが続いた。
 地元企業との合弁会社を通じて中国市場に参入している海外大手メーカーも、08年は伸び悩んだ。07年は33.7%増だったホンダは11.7%増の47万3千台に、07年は62%増だったトヨタ自動車も、17%増の58万5千台にそれぞれとどまった。米ゼネラル・モーターズは6%増と、99年の中国市場での販売開始以来初めて10%を割った。独フォルクスワーゲンは、香港、マカオでの販売を含めて12.5%増だった。
 北米、日本市場が不振を極め、各メーカーの期待が中国市場に集まるなか、09年は「市場全体で5%程度の伸びを見込むが、それも景気がいつ底入れするか次第」(日系メーカー)。1千万台達成は09年も難しい、との見方が早くも出ている。

◎街角:中国・吉林省、値切り交渉の報い(2009年1月11日、毎日新聞)
 吉林省長春から300キロ北上した農村の長距離バスターミナル。無許可で「白タク」営業している運転手が次々に声を掛けてきた。
 取材で市内を回った後、250キロ離れた黒竜江省ハルビンへ行くと説明すると、30歳前の運転手は「高速料金を含めて800元(約1万1000円)」と吹っかけてきた。この辺の農民の1カ月の平均収入を超える額だ。路面が凍結しているとか、空車で戻らなければならないとか、いろいろ理由を並べ立てる。
 冗談を言うな、と笑い飛ばしながら掛け合っていると、集まり始めた他の運転手に「上客」を奪われると思ったのか、「500元でいい」と乗車をせかされた。
 トウモロコシが刈り取られた畑が延々続く舗装路を時速80~90キロで飛ばす。外気は氷点下15度。夕刻前なのに人影はない。2時間以上走った。
 前方の橋に「改修中」の札が掛けられていた。吉林と黒竜江を隔てる拉林河。幅30メートルほどの水面は氷結していた。別の道を尋ねると、運転手は「遠すぎる」と沈黙した後、道路をそれて河原の土手を下り始めた。
 まさかとは思ったが、運転手は氷の表面にタイヤのわだちがうっすら残っているのを指さし、「仕様がない」と車を滑らせ始めた。対岸まで約10秒。私は助手席で体をこわばらせていた。反対の土手に上がった途端、運転手も「フー」と肩で息をした。
 片道90元の高速料金を切り詰めるため、迂回(うかい)路を走ったという。値切り交渉には自信を持っていたが、とんだ落とし穴だった。【大塚卓也】

◎中国、精巧なにせ札で騒動、検札機すり抜け(2009年1月11日、日本経済新聞)
 中国で通し番号が「HD90」から始まる高精度のニセ100元(約1300円)札が出回り、従来の検札機では識別できずに騒動になっている。中国人民銀行(中央銀行)は急きょ、にせ札について説明資料を公開するなど注意を呼びかけている。
 中国の小売店の大半はにせ札に対応するため、店頭に100元札用の検札機を備えている。だが、人民銀によると「HD90」のにせ札は、偽造防止処理の多くを模し、検札機で識別するのが難しい場合があるという。(上海=戸田敬久)

◎中国、世論統制を強化、記念日続々「敏感な1年」に警戒感(2009年1月11日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国共産党は、報道や学術・文化界を含めた世論・思想の引き締めを強化する方針をこのほど打ち出した。経済の悪化で失業者が増大し、民衆の暴動が各地で吹き荒れる中、政治的に敏感な記念日がめじろ押しのためだ。公安当局は、民主化の動きを警戒、徹底してその芽を摘む構えで、宣伝工作と治安対策を格段に強化する見通しだ。指導部は、社会の安定を最大の政治原則として建国60周年を乗り切る構えをみせている。
 香港誌「開放」「争鳴」の最新号は、中国共産党が2008年12月、「世論宣伝の管理を強化する」内容の「24号文書」を党内に伝達したと報じた。胡錦濤国家主席(党総書記)が「西洋化と(体制内の)分裂に反対する旗を高く掲げる」よう指示したという。文書の通達は「金融危機で経済が衰退する時期には、特に世論を厳しくコントロールし、(党に歯向かう)異分子に打撃を与え、『社会の安定』を維持する必要がある」(争鳴)からだ。
 胡主席は12月中旬、「西側の政治制度をモデルにすることは絶対にない」と明言した。当局は、一党独裁体制を批判し、政治体制の改革を求めた「08憲章」の起草者で、著名な作家の劉暁波氏を拘束した。関係者によると、当局は、同憲章に署名した70人以上を尋問し、署名撤回を要求している。同憲章に関する取材や報道を禁止する通達も出された。
 「社会の安定」重視は、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する反日団体が1月10日に湖南省で開く予定だった会議が当局の意向で突然中止となったことにも表れている。
 共産党は1月4、5日、全国宣伝部長会議を開催。思想部門を統括する李長春・党政治局常務委員が「統一された宣伝・思想・文化工作」を展開し、社会の安定を維持する方針を打ち出した。国内の報道機関は08年8月の北京五輪期間中、社会の不安定化につながる報道を規制されていたが、今後、統制は一層強化されそうだ。
 09年は政治的に「敏感な年」(当局者)と認識しているからで、党中央組織部長の李源潮政治局員は「党と国家にとり、試練の年になる」と表明した。
 中国は、10月1日の国慶節(建国記念日)に大規模な軍事パレードを10年ぶりに実施し、大々的に国威発揚を図りたい考えだ。関係者によると、パレードに治安維持を担う武装警察部隊が初めて参加する方向で調整中だ。胡主席は1月4日、武装警察部隊幹部と会見し、「職責と使命は極めて重大だ」と激励した。

・中国の今年の主な記念日
 3月10日:チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の海外亡命(同月17日)につながったチベット動乱から50年。
 4月25日:非合法の気功集団「法輪功」メンバーが権力の中枢、北京の中南海を包囲し、党中央に衝撃を与えた事件から10年。
 5月4日:反日愛国運動(五四運動)90年周年。
 5月12日:約8万7000人の死者・行方不明者を出した中国・四川大地震から1年。
 6月4日:民主化運動を武力弾圧した天安門事件から20年。
 10月1日:建国60周年(国慶節)。

◎中国「西側の技術盗んでない」、高速鉄道で(2009年1月11日、日本経済新聞)
 【北京=共同】中国鉄道省の王勇平報道官は10日、テレビ中継された記者会見で中国の高速鉄道について「自国の知的財産権による成果で、西側の技術の窃取は存在しない」と強調した。
 フランス鉄道車両大手アルストム・トランスポールの最高経営責任者(CEO)が、中国は海外メーカーの技術を転用した車両を輸出しようとしているなどと、年初の英紙フィナンシャル・タイムズ上で非難したことに反論した。
 報道官は、2004年以来、ドイツや日本、フランスなどの企業と協力、時速200キロレベルの技術を導入、吸収した上で300~350キロレベルの車両を自主開発したと述べた。

◎DOWA、中国で家電再利用事業、金・銅など抽出(2009年1月11日、日本経済新聞)
 非鉄大手のDOWAホールディングスは年内にも中国で家電リサイクル事業を始める。不要になったテレビや冷蔵庫、洗濯機など当面、年40万台程度を回収して金や銅などの金属資源を抽出、再利用する計画。中国では今後、老朽化して廃棄対象になる家電や自動車が大量発生する見込みだ。このため中国政府は今月から資源再利用などを促す新法を施行しており、先行してノウハウを蓄積してきた日本企業の商機が広がりそうだ。
 中国での自動車や携帯電話の年間販売台数は世界全体の1割を超え、日本を上回る消費大国に成長した。今後も急ピッチでの需要拡大が続けば部品に使う金属資源などが世界的に不足する恐れが強く、同国でのリサイクル体制の整備は世界の資源需給の行方を大きく左右することにもなる。

◎鳥インフルで街に警戒感、北京近郊、感染源で消毒(2009年1月10日、産経新聞)
 北京市で5日、鳥インフルエンザにより死亡した女性がアヒルを購入した河北省三河市の行宮市場では連日、徹底的な消毒が続いている。北京市では初の死亡例で、街には変異する恐れがある新型インフルエンザ発生への警戒感も強まってきた。
 感染源と疑われている家禽(かきん)類が売られていた同市場の一画は、黄色いテープで隔離されたまま。「消毒作業はいつまで続くの。商売どころか、寝る場所もない」。売り場に住んでいた女性が嘆いた。
 両市は隣接しており、境界には道路や鉄道に検疫所が設けられ、北京市への生きた家禽類の搬入を厳しく制限している。
 一方、北京市内の市場では、煮沸したニワトリやアヒルが売られているが、感染を恐れる市民はほとんど手を伸ばさない。

◎中国:ネットで2億人がニュースを見る(2009年1月10日、毎日新聞)
 インターネット社会が急速に進む中国で、ネット利用者の8割に当たる2億600万人がネットでニュースや情報を見ていることが明らかになった。中国の政府系シンクタンク、中国社会科学院が発表した「09年社会青書」の中の「08年中国インターネット世論分析報告」で発表された。
 中国のネット利用者は08年上半期で2億5300万人に達し、世界一に躍進した。報告によると、利用者は30歳以下の若い世代が中心で全体の68.6%を占める。国営新華社通信のウェブサイト「新華網」など3大ニュースサイトと「新浪」など4大ポータルサイトでは、1日に2万件のニュースが更新され、平均アクセス数は20億件に上る。
 08年は特にニュースへのアクセス数が急増した。同年上半期にはネットでニュースを見る利用者は5164万人増の2億600万人に上った。「(四川大地震や北京五輪など)大きな出来事が続いたため」と分析する。
 中央政府は民衆の意見を把握するため、ネット重視の姿勢を示す。一方で、政府に都合の悪い事件や情報は強制的に削除するなどネット監視体制を続ける。

◎女児を殺害、遺体の一部を火鍋で食った!?中国・広州の「食人」事件(2009年1月10日、産経新聞)
 中国の広州市で、女児(4)を殺害し、バラバラに切断した遺体を冷蔵庫に保管していた男(33)が逮捕された。報道によれば、男は遺体の一部を「火鍋」に入れて食べた疑いが強いことが地元の警察当局の調べで判明したという。付近では、幼い子供が相次いで行方不明になっており、連続「食人」事件に発展する可能性も出てきた。もともと奇行が目立った男の“猟奇的”な犯罪の一部始終を、報道を元にたどった。(桜井紀雄)
 「広州日報」や「信息時報」などの地元紙や、香港紙「星島日報」の報道を総合すると事件の概要はこうだ。
 事件は1月2日、中国南部沿海部の都市、広州郊外の集合住宅で起きた。被害にあったのは、両親と3人で暮らす李伶俐ちゃん。隣には祖父母が住み、ひとりっ子として両親、祖父母から溺愛(できあい)されていた。
 その家族が外出したすきの犯行だった。午前8時ごろ、父親は1月1日に買ったばかりの服とくつを伶俐ちゃんに着せ、妻とともに近くの縫製工場に出勤。祖母も仕事に行き、祖父は近所の女性に孫を預けて廃品回収に出かけた。
 「いつもこうでした。1時間ちょっとすれば戻りますし、いつもなら何も起きなかったのに…」地元記者を前に祖父はそう唇をかんだという。
 だが、9時半過ぎに帰宅した祖父は孫娘がいないことに気付く。「玄関で遊んでいたと思ったら目を離したすきにいなくなったの」と伶俐ちゃんを預かった近所の女性は説明した。「友達とでも遊んでいるんだろう」と近所を聞いて回ったが、見当たらず、昼に戻った両親らと警察に届け出た。
 狭い通路を隔て20平方メートル足らずの部屋が100世帯以上長屋状に密集する住宅地。警察は一軒一軒くまなく当たったが、まったく手掛かりがつかめなかったという。
 「あいつじゃないかと真っ先に思いました」取材に訪れた報道陣に、こう話したのは祖母だった。祖母は正午ごろ、日ごろから不審な言動が気になっていた「張」という姓の近くの男の家を訪ねた。
 「見てないけど」男はしらばっくれたという。
 近所の人と男の部屋を確認すると、異臭が漂っていたうえ、女性や女の子ものの大量の服が床一面に積み重ねられていた。だが、孫娘の姿はなく、部屋を後にしたという。
 「伶俐はあの服の山に隠されていたかもしれないのに…」。祖母の悔やんでも悔やみきれない様子が報道されている。
 それでも疑念が晴れなかった祖母は2時間後に再び男の自宅を訪ねた。さっきはなかったはずの血がドアに付いているのを見た。まだ、乾いてもいない。
 だが今度は、男はドアを開けようとしない。近所の人と力ずくでドアを開けると、絨毯が真っ赤に血で染まっていた。「これは何?」問いつめる祖母に、男は「鴨の血ですよ」と平然と言ったという。「鴨はどこなの!」言葉を継ぐ祖母に、男は押し黙った。
 警察が踏み込み、部屋を捜索したが、伶俐ちゃんはいない。あるのはワンドアの小型冷蔵庫だけ。冷蔵庫の扉を開けた捜査員の目に飛び込んできたのは、切断された女児の頭部と体の一部だった。
 「お前はそれでも人間か!!」捜査員の怒号が響き渡ったという。警察は殺人容疑で男を緊急逮捕。近所の人たちは、無表情なまま連行される男をただ見つめていた。
 報道によれば、警察は男の部屋から冷蔵庫や凶器とみられる大小複数の刃物を押収した。男は殺害と遺体損壊の事実を全面的に認めているという。遺体は8つに切断したとされるが、6部位しか見つかっていない。
 調べでは、残る2つの部位は、煮立った「火鍋」に入れ、調味料を掛けて食べた疑いが強いという。6部位は「後で味わうため」冷蔵庫に入れていた可能性が高いとみて捜査している。
 男は中国内陸の四川省の出身で、2年前からこの住宅地に住み始めた。いつも1人で、近所付き合いはなく、男のフルネームを知る人もほとんどなかった。近所の人の話では、縫製工場に勤めていたが、今は失業して終日、家にこもりきりだったという。
 だが、奇行ぶりは有名で、伶俐ちゃんの失踪を聞いて「男の仕業では」と思った住民は祖母ばかりでなかった。女性服を集めるだけではなく、自ら女性もののワンピースを着て出歩くこともあった。ある朝には、ブラジャーなど女性ものの下着姿で、玄関先で平然と歯を磨く男を住民が目撃していた。
 住宅内には街頭テレビが設置され、住民らが集まって見るのが習慣だという。男はドラマには見向きもしないのに、戦争映画だけは食い入るように見つめ、殺害シーンになると興奮しだして独り言をつぶやいていたという。
 殺害シーンが映し出されたとき、男がつぶやくのをそばにいた人が耳にしている。「人肉はうまい。本当にいい味だ」
 男は住宅地からの出入りを繰り返していた。最初は数カ月で別の場所に引っ越していったが、昨年に戻ってきた。だが、夜中に叫んだり、長刀を振り回して住民を威嚇したため、住民らの不安を訴える声に追い出された。それがどういうわけか、昨年11月に再び戻ってきたのだ。
 伶俐ちゃんの祖母は、玄関先で男が子供たちにあめをあげ、喜ぶ姿を目にしていた。「その中でも特に伶俐ちゃんをかわいがっていたようだった」という。
 帝塚山学院大の小田晋教授(犯罪精神医学)は「女児への強烈な性愛が殺害し、解体する行為をへて、食べることで自分のものとして完全に支配するという異常行動に結び付いたのではないか」と分析する。
 「この事件が初めてのはずがない」「大量の女の子の服は盗んだものと思っていたが、既に殺されてしまった子のものじゃないか」。住民らは事件後、取材に対し、口々にこう話した。街では約2年前から児童が突然いなくなる事件が相次いでいる。「この子を捜しています」と書いた張り紙も目につくという。
 住民の1人は「3カ月前にも3歳の女の子がいなくなった。あの子も食べられてしまったのでは…」と話したという。
 警察も連続「食人」事件の疑いもあるとみて、専門捜査チームを立ち上げ、失跡児童宅を回って今回の事件との関連を調べ始めた。
 さらには300人近い行方不明児童の父母が住民組織を立ち上げ、「子供を返して」と訴え始めた。伶俐ちゃんの遺族をはじめ、警察や行政の不備を追及する声も高まっているという。
 「現代に食人文化が残っているわけもなく、事件は犯人の性向によるところが大きいだろう」と中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聰氏は指摘する。
 「伶俐ちゃんは誕生日を迎えたばかり。かわいく、賢く活発で、家族は宝のようにかわいがっていました」近所の住民は取材にこう答えている。事件後、母親は病に倒れたという。「部屋に入り、孫のズボンや靴を見るだけで耐えられない。全部処分してしまおうと思う」祖母の声だ。
 家宅捜索で、大量の女の子の服が押収された男の自宅前には、ピンクの女の子のくつがぽつんと残されていたが、伶俐ちゃんのものでないことは父親が確認したという。くつの持ち主は依然見つかっていない。

◎上海にディズニーランド、米ディズニーが計画書を提出(2009年1月10日、日本経済新聞)
 米ウォルト・ディズニーが「上海ディズニーランド」の建設を目指し、事業計画書を上海市に提出したと、9日付の米ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が伝えた。同社が43%、上海市が57%を出資する合弁会社を設立し、35億9000万ドル(約3200億円)を投資する。中国政府の認可が必要となるが、2014年にも開業する計画。実現すれば、中国では香港に続く2カ所目のディズニーランドとなる。

◎メタミドホス:中国産に多量の不純物、東京農業大が検出(2009年1月10日、毎日新聞)
 本山直樹・東京農業大学総合研究所客員教授は9日、中国産メタミドホス製剤(有機リン系殺虫剤)に多量の不純物が含まれていたと発表した。中国製冷凍ギョーザ中毒事件の警察の分析でも、ギョーザから検出されたメタミドホスに不純物が含まれていた。
 本山教授は、中国・浙江省の農薬メーカーが製造し、ペルーに輸出・販売されたメタミドホス製剤「MTD600」を分析した。その結果、農薬を溶かす溶剤のジエチレングリコールのほか、トリメチルホスホロチオエートやジメチルチオメチルホスフェートなど5成分の不純物を検出した。日本ではメタミドホスの試薬品がわずかに流通しているが、不純物がほとんどない。
 警察は昨年の捜査で「中国の製造段階での意図的な混入の可能性が高い」とし、本山さんは「ギョーザのメタミドホスの不純物と照合すれば原因がより明らかになる」と警察側から求めがあれば協力する意向だ。分析結果は3月17~19日の日本農薬学会でも発表する。

◎中国、「MSN中国」も低俗と批判(2009年1月9日、産経新聞)
 9日付の中国各紙によると、中国政府は8日、社会道徳にそぐわない「低俗な内容」が多数含まれているとして、ソフトウエア最大手の米マイクロソフトが運営するインターネットの中国語版ポータルサイト「MSN中国」など14サイトを新たに「低俗サイト」として公表した。
 中国政府が今週着手したネット上のわいせつ情報などの取り締まり強化対策の一環で、リスト公表は2回目。1回目の「低俗サイト」リストでは、米ネット検索大手グーグルなど19のサイトが名指しで批判を受けた。
 MSN中国については、一部に「大量の低俗な絵や写真が含まれている」と指摘している。

◎鳥インフル、北京で初の死者、中国政府、拡大防止急ぐ(2009年1月8日、日本経済新聞)
 北京市で鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染した女性(19)が死亡したことを受け、同市政府など一帯の地方政府は7日までに一斉に感染の拡大防止に乗り出した。26日の春節(旧正月)に伴う大型連休を控え、首都で初めてとなる感染死亡事案に中国政府は危機感を強めている。
 国営の新華社によると、北京市は6日、指揮センターを立ち上げ、生きた家禽(かきん)の市外からの持ち込みを禁止するとともに、市内の養殖現場では防疫管理の強化を始めた。

◎北京市、家禽流入を禁止、鳥インフル対策強化(2009年1月7日、産経新聞)
 新華社電によると、北京市衛生当局は7日、市内に住む女性が鳥インフルエンザウイルスに感染して死亡したことを受け、生きた家禽(かきん)類の市外からの搬入を原則禁止するなど感染拡大防止対策の強化に乗り出したことを明らかにした。
 中国紙、京華時報によると、北京で鳥インフルエンザ感染による死者が出たのは初めて。女性がアヒルを買った河北省の市場は北京、天津両市の間にあり、天津市当局も警戒を強めている。
 北京市では、市内に通じる道路や鉄道などに検疫所を設け、運び込まれる動物に対するチェックを強化。市内の養鶏場でも消毒に力を入れているという。

◎中国政府、ポルノ規制でウェブ企業に圧力、グーグルや百度がやり玉に(2009年1月7日、日本経済新聞)
 中国政府が、オンラインのアダルトコンテンツに対する規制を強化し、Googleを含む複数の企業に対してポルノの入手しやすさを制限するよう通告した。遠回しだが見え透いた法的な脅しと言えそうだ。
 中国の政府機関7部門は、合同で行った現地時間1月6日の発表で、「低俗なコンテンツ」へのアクセスを違法に提供しているとして19のサイトを挙げた。その中には、Googleのウェブ検索と画像検索や、百度のウェブ検索サイトとブログサイト、「Sohu.net」などが含まれている(Googleは不正な行為を否定した)。
 国務院新聞弁公室の発表は、「全国的な犯罪撲滅」運動と銘打って、国民に違法な投稿やウェブサイトを報告するよう呼びかけている。中国政府の統制下にある中国日報は、公表された企業は「ポルノを広め、若者の道徳を脅かしていることが判明した」と報じるとともに、取り締まりが実施される可能性があると警告している。
 中国のネット検閲についてはこれまで、主に政治関連サイトに注目が集まっていた(ニュースサイトや人権問題サイトは頻繁にアクセスを制限されている)。だが、同国を統治する中国共産党は長年にわたり、ポルノの排除にも関心を寄せてきた。CNET Newsでは1996年の時点ですでに、中国のインターネットユーザーが「ポルノの作成や入手を違法とする一連の規則に署名する」よう求められたと報じている。
 最近の例では、中国公安部が2007年に、ポルノやオンラインのストリップショー、さらには官能小説をも捜査対象とすると述べている。2008年に開催された北京五輪中に実施されたネット規制は、同年12月の数週間に一部復活した。
 中国の当局者はこれまでに奇妙な発言を何度か行っている。アテネで開催されたインターネット関連の国際サミットでは、中国政府の代表が懐疑的な聴衆に向けて、「私は、中国でBBCを閲覧できないとか遮断されているという話を聞いているが、人々がなぜそんなことを言うのかわからない。われわれは規制を全く行っていない」と述べた(この発言を聞いた法輪功の信者たちは驚いたことだろう)。
 仮に規制の対象が単に政治の言論だったなら、米国の議員たちは間違いなく、儀礼化した公聴会を開いて中国政府やGoogleなどの各社を報道陣の前で形式的に非難する気になったはずだ。だが、話題に上がっているのはポルノなので、おそらく中国の検閲政策を称賛する上院決議案が提出される可能性のほうが高いだろう。

◎中国:鳥インフルで北京の女性死亡(2009年1月6日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国北京市衛生局は6日、鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染した北京市の女性(19)が5日に死亡したと発表した。新華社通信によると、この女性を看病した看護師が一時発熱した。看護師の詳しい症状などは伝えられていない。
 同市衛生局によると、女性は同市朝陽区在住で12月24日に発病、同27日から入院していた。新華社電によると、女性は12月19日に北京郊外の河北省の市場でアヒル9羽を購入して解体し、うち3羽を父親、叔父、友人にプレゼントした。
 この女性とは家族や隣人ら116人と一時発熱した看護師を含む医療スタッフ102人が接触していたという。
 世界保健機関(WHO)によると、6日現在、中国国内でこれまでに31人が鳥インフルエンザに感染し、21人が死亡している。うち昨年は3人が死亡した。

◎中国で連続人食い事件?女児バラバラ殺人容疑で男拘束(2009年1月7日、読売新聞)
 中国広州市で、4歳の女児がバラバラ遺体となって発見される事件があり、警察は6日までに、30歳代で失業中の隣人の男を、殺人の疑いで拘束した。
警察は、男が女児の遺体を食べた疑いがあるとして調べている。女児宅の周辺ではほかにも、幼児の行方不明事件があり、地元メディアは、「連続食人事件」との見方を伝えている。
 広州日報によると、女児の遺体は男の部屋の冷蔵庫に隠されており、2日、捜索中の警察官が発見したが、遺体の一部は見つからなかった。(香港・竹内誠一郎)

◎グーグルなど「低俗」批判、中国、ネット統制強化(2009年1月6日、産経新聞)
 6日付の中国各紙によると、中国政府は5日、インターネット上のわいせつ情報などに対する重点取り締まりに着手する方針を決め、米ネット検索大手グーグルなど19のサイトについて「低俗な内容を含んでいる」として公表、批判した。
 中国政府は急速な勢いで拡大するインターネットに対する統制を強めてきたが、今回は1カ月かけてネット上のわいせつ情報などを取り締まり、悪質な場合は閉鎖するとしている。
 「低俗」批判を受けたのは、グーグルのほかは主に国内のサイト。グーグルについては、ウェブ検索と画像検索が多数のわいせつサイトにリンクしているとしている。

◎製薬、中国開拓へ攻勢、「世界2位の市場」に布石(2009年1月4日、日本経済新聞)
 アステラス製薬など国内製薬大手が中国市場の開拓に乗り出す。人口の増加と所得水準の向上などを受けて中国の医薬品市場は年率2ケタ増のペースで拡大しており、近い将来、日本市場を抜いて米国に次ぐ世界第2の市場に成長する見通し。景気悪化で米欧の医薬品市場の伸びが鈍化してきているため、中国で主力薬の発売や営業員の増員を進める。
 アステラス製薬は2009年夏にも主力薬「ベシケア」を中国で売り出す。ベシケアは世界売上高が600億円強に達する薬剤で、泌尿器分野を得意とする同社が主力薬と位置付ける製品。頻尿や尿失禁などの症状が起きる過活動ぼうこうの治療に使う。

◎中国当局、五輪との関連初めて認める、粉ミルク・メラミン混入事件(2009年1月2日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国で粉ミルクに有害物質メラミンが混入された事件で、製造元の「三鹿集団」の元経営陣に対する刑事裁判が河北省石家荘人民法院(地裁)で始まった。31日の初公判では、検察側が「北京五輪への影響を避けるために被害状況を隠蔽(いんぺい)した」と指摘したのに対し、被告側は「公表が遅れた責任は地元政府にある」と激しく対立。北京五輪が粉ミルク事件の被害拡大の原因の一つであることを、中国当局が初めて認めた形となった。
 1日付の中国政府系英字紙「中国日報」によると、劣悪生産販売罪などを問われた三鹿集団前会長の田文華被告(66)の公判で検察側は、「ミルクを飲んだ子供たちに健康被害が起きていることを知りながら、田被告は昨年8月1日の社内の幹部会議で、『公表すれば北京五輪に悪影響を及ぼすほか、会社に大きな損害を与える』と話すなど、事実隠蔽を指示した」と指摘。これに対し田被告は「五輪開幕前の8月2日に、被害状況を河北省の石家荘市に書面で報告しており、公表が遅れた責任は行政側にある」と主張した。
 事件は9月中旬、上海の地方紙が「三鹿集団のミルクを飲んだ多くの乳幼児が入院」と報じたことで明らかになった。その後の調べで同社の経営陣は少なくとも8月初めから汚染の実態を把握していたが、公表しないまま1月以上も約900トンの汚染粉ミルクを生産し、被害を拡大させた。
 事件発覚後、中国国内のネットや欧米などのメディアは、「公表が遅れたのは中国が国家の威信をかけた北京五輪への影響を避けるため」とする分析記事を掲載しているが、中国メディアは事件と五輪と結び付けることを避け、企業の責任のみを追及した。
 三鹿集団のトップを長年務めた田被告は、中国有数の女性企業家として知られるが、国有系企業である同社の重大不祥事の公表は、所轄する地元政府の同意が必要だといわれている。中国の社会問題専門家も、「事件と五輪の関係を認めたのは一歩前進だが、一企業が北京五輪への影響を考慮する必要はなく、行政責任を追及すべきだ」と指摘している。
 事件で29万人の乳幼児に腎臓結石などの異常が見つかっており、うち6人が死亡した。中国メディアによれば、田被告は死刑か無期懲役の判決を受ける可能性もあるという。

◎判明後も汚染粉ミルク生産、三鹿集団前会長の初公判(2008年12月31日、産経新聞)
 中国河北省石家荘市中級人民法院(地裁)で31日、有害物質メラミンで汚染された粉ミルクを製造した三鹿集団(石家荘市)の前会長、田文華被告(66)ら経営幹部4人の初公判が開かれた。検察側は三鹿がメラミン検出の判明後も1カ月余りの間、約904トンの汚染された粉ミルクを生産したことを明らかにした。
 中国メディアによると、田被告は三鹿を中国有数の乳業メーカーに育て上げた著名な女性経営者だが、三鹿は事件で経営が悪化し破産宣告を受けた。田被告は劣悪品生産販売罪に問われており、最高で無期懲役になる可能性があるという。

◎中国公安当局が警備強化、失業増の治安悪化など警戒(2008年12月31日、産経新聞)
 31日付の香港紙、明報は、企業倒産や失業者の増加に伴う治安悪化などを警戒し、中国各地の公安当局が12月から警察官らの休暇を返上し、警備強化に乗り出したと伝えた。
 同紙によると、少なくとも北京、上海、広州各市や四川大地震の被災地域の公安当局では12月の休暇を返上。1月末の春節(旧正月)や3月開催予定の第11期全国人民代表大会第2回会議に向け、警戒態勢のレベルを格上げした。
 また2009年は建国60周年、天安門事件20周年の節目にあたり、政治的に敏感な年となることから、北京市では五輪が開催された08年並みの警戒態勢が敷かれる見通しという。

◎「日本軍医の美談」日本語教材から削除、中国側のご都合歴史教育(2008年12月30日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】日本のNPO法人が編集した日本語教材が中国で今秋出版されたが、原本に史実として収録されていた「旧日本軍医が多くの中国人を助けた」との内容に対し、中国側が「問題がある」として削除していたことが29日までにわかった。中国では愛国主義教育の一環として、日本軍の残虐さを誇張して描写した書籍が大量に出版されており、こうした日本軍のイメージと矛盾しているため中国側が難色を示したとみられている。
 この日本語教材は、北京の大手出版社「外語教学と研究出版社」が9月に出版した「日語読庫」で、日本のNPO法人、日本語多読研究会(本部、東京)が外国人向けに編集した「日本語多読ライブラリー」(アスク出版)を原本にしている。
 日中の両出版社は当初、同じ内容の掲載を前提に話を進めていた。ところが、中国側が突然、変更を求めてきたという。
 この教材にはもともと、「雪女」「走れメロス」など日本のおとぎ話や短編小説、伝記など5つの文章が収録されていたが、中国側が問題視したのは「永井隆、原爆の地長崎に生きて」という文章だった。
 長崎に原爆が投下された後、自分も被爆しながら、多くのけが人を治療した医者、永井隆氏の生涯をつづった文章で、1937年に永井氏は軍医として中国に赴き、日本人だけではなく、病気や負傷をした中国人を多数治療したことも紹介されている。
 そのうち、「1939年には1年間で4000人の中国の人々を助けた」などの部分について、中国の出版社が「記述に問題がある」として日本側に手直しを求めてきた。
 日本側は、執筆の際に参考にした「永井隆全集」など多くの史料を中国側に送り、説得しようとしたが、結局「永井隆」の部分はすべて削除して出版された。
 アスクの担当者は産経新聞の取材に対し、「この教材は外国人向けの読み物であり、日本人の中には永井隆博士のように素晴らしい人物がいることを、ぜひ中国の皆さんに知ってもらいたかった」と述べた。中国側と何度も交渉したこの担当者は「削除は中国側の出版社の現場の意見ではなく、上の方の判断」との印象を受けたという。中国の外語教学と研究出版はこの件について「ノーコメント」としている。
 同教材は2007年10月に韓国で出版され、来春は台湾でも出版される予定だが、いずれも原本のままで、内容については問題視されていない。

◎中国、輸出時の「減税」拡大、輸出下支え狙う(2008年12月30日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国政府は29日、工業用ロボットなど高水準の技術を使った553品目を対象に、メーカーが輸出時に税金の還付を受ける比率を来月1日から引き上げると発表した。実質的な減税措置で、輸出の下支えが狙い。8月以降で4回目。
 中国の輸出は、金融危機の影響で11月に約7年半ぶりに前年同月比マイナスに転じるなど厳しさを増している。還付率の変更は、工業用ロボットや航空機の慣性航法装置などは13~14%から17%へ、バイクやミシンなどは11~13%から14%へ引き上げる。

◎粉ミルク汚染で30万人に補償金、中国の製造22社(2008年12月28日、日本経済新聞)
 【北京=佐藤賢】新華社電によると、中国乳製品工業協会は27日、中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石などになった事件で、粉ミルクを製造した22社が、被害を受けた乳幼児30万人近くに補償金を支払うことを明らかにした。
 補償金総額は不明だが、多数の被害を出して破産した三鹿集団は9億200万元(約119億円)を拠出している。22社は乳幼児が後遺症になった場合、医療費を補償するため共同で医療賠償基金も創設した。

◎中国で改正特許法可決、海外直接出願認める、事前審査義務付け(2008年12月28日、日本経済新聞)
 【上海=渡辺園子】中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員会は27日、改正特許法を可決した。知的財産権保護の徹底を狙い、他人の特許を詐称した場合の罰金を増額。国際競争力を高める理由から、中国での特許出願を経ずに海外に直接出願することも認めた。ただ、中国当局による安全保障上の事前審査を義務付けており、不透明さも残る内容となった。
 改正特許法は2009年10月1日に施行される。改正は00年に続き3回目。27日に記者会見した国家知識産権局の尹新天・広報担当官は改正目的について「(自主開発能力を備えた)創新型国家の建設へ向け、自主創新能力を高める」と説明した。
 他人の特許を詐称した場合、現行法では違法所得を没収し、最高で3倍の罰金を科すことができる。新華社電によれば、改正法は最高罰金額を違法所得の4倍に増額。違法所得がない場合の最高罰金額も現行の5万元を20万元に増額する。

◎中国粉ミルク汚染:業者2人を起訴、最高で死刑(2008年12月27日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で粉ミルクに化学物質メラミンが混入した事件で、メラミンを製造・販売した業者2人の初公判が26日、河北省石家荘市中級人民法院(地裁)で開かれた。新華社通信によると、検察側は「多くの消費者、特に乳幼児の健康、生命に深刻な損害を与えた」として、最高刑が死刑の公共安全危害罪で起訴したことを明らかにした。
 業者はメラミンが健康被害を引き起こすことを知りながら、原料乳のたんぱく質含有量を多く見せかけるため、昨年10月~今年8月に約775トンを製造、600トン余りを酪農家らに販売したとされる。

◎中国メラミン汚染ミルク事件、破産の製造元が119億円賠償(2008年12月27日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】中国で有毒物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石などになった事件で、多数の被害を出して破産した製造元の三鹿集団(河北省石家荘市)が26日までに、被害者への治療・賠償費として9億200万元(約119億円)を全国乳業協会に支払った。同日付の中国紙、新京報などが報じた。
 一方、メラミン入りの粉を製造、販売した男2人の初公判が26日、同市中級人民法院(地裁)であり、検察側は最高刑を死刑と定めた公共安全危害罪で起訴したことを明らかにした。
 一連の事件は、患者数が約29万4000人に上るなど、中国全土に深刻な被害をもたらした。中国当局は被害者への賠償を急ぐとともに、関与した者には厳罰で臨むことで、事態の収拾を急ぎたい考えだ。

◎メラミン:中国・三鹿集団が破産、回収で多額負債抱える(2008年12月27日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】有害物質メラミンで汚染された粉ミルクを製造していた中国河北省の乳製品大手、三鹿集団が同省の裁判所から破産を宣告されたことが24日分かった。同社の大株主であるニュージーランドの同業最大手フォンテラが発表した。汚染ミルクの回収で多額の負債を抱え、金融機関のつなぎ融資も得られなかった。
 今年9月、同社の汚染粉ミルクを飲んだ複数の乳幼児が腎臓結石で死亡したことが表面化して以降、中国では他のメーカーの乳製品からも次々にメラミンが検出された。中国政府は一連の汚染粉ミルクで乳幼児29万人以上に泌尿器異常などの被害が出たと発表している。
 同社の負債額は明らかではないが、中国の週刊誌「財経」によると、同社は出荷済みの粉ミルク1万トン以上を回収、その賠償金だけで7億元(約95億円)にのぼる。さらに被害者への補償費は、他社製品による被害を含め40億元前後にのぼり、このうち9億元前後が同社の負担になると見込まれている。今後、破産管財人が同社の資産売却を進めるが、賠償資金を捻出(ねんしゅつ)できるかどうかははっきりしていない。

◎中国:ミャンマーのパイプライン経営権を取得(2008年12月27日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】ミャンマーを経由して中国の雲南省昆明に石油・天然ガスを運ぶパイプライン計画について、ミャンマー軍事政権が中国に経営権を付与したことが26日明らかになった。ミャンマーが資源産業の経営権を外国に与えるのは初めて。軍事政権の「後ろ盾」となってきた中国は資源の見返りを手に入れた形になった。
 計画は、中国が中東などからタンカーで輸送してきた石油と、ミャンマー沖で産出される天然ガスを2本のパイプラインで中国に輸送する。ミャンマー西部チャウピューから中部マンダレーなどを通り、昆明を結ぶ。
 パイプラインを設置・運営する企業の詳細はこれまで明らかでなかったが、中国商務省によると、中国石油天然ガス集団(CNPC)が過半数の50.9%、ミャンマー国営石油ガス企業(MOGE)が残る49.1%を出資することで合意。中国側が事実上、経営権を握ることになった。
 エネルギーの需要急増が見込まれる中国にとって、安全上の懸念があるマラッカ海峡を迂回(うかい)するミャンマー経由のパイプライン建設は長年の「悲願」(中国紙)だった。近く着工し、2013年の稼働を目指す。
 天然ガスはパイプラインの起点に近いミャンマー沖のベンガル湾で韓国の「大宇グループ」などが開発するシュエ・ガス田から供給する計画で、大宇グループと中国のCNPCなどが24日、30年間の売買契約に調印した。
 中国は07年1月、シュエ・ガス田の主要17鉱区のうち、CNPCが3鉱区計1万平方メートルの探査権をミャンマー側から譲り受けていた。この譲渡契約が結ばれる直前には、国連安全保障理事会でミャンマー民主化要求決議案が提出され、安保理常任理事国の中国が拒否権を行使したことから、事実上の見返りとみられていた。中国が今回、パイプラインの経営権を取得したことで、ミャンマーの資源開発で上流(探査)から中下流(輸送、販売)を押さえることになる。

◎中国:メラミン製造・販売業者2人、最高刑なら死刑も(2008年12月27日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で粉ミルクに化学物質メラミンが混入した事件で、メラミンを製造・販売した業者2人の初公判が26日、河北省石家荘市中級人民法院(地裁)で開かれた。新華社通信によると、検察側は「多くの消費者、特に乳幼児の健康、生命に深刻な損害を与えた」として、最高刑が死刑の公共安全危害罪で起訴したことを明らかにした。
 業者はメラミンが健康被害を引き起こすことを知りながら、原料乳のたんぱく質含有量を多く見せかけるため、昨年10月~今年8月に約775トンを製造、600トン余りを酪農家らに販売したとされる。

◎中国:メラミン混入で22社、乳幼児30万人に賠償金(2008年12月27日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】新華社通信によると、中国で粉ミルクなどに化学物質メラミンが混入した事件で、中国乳製品工業協会は27日、国内のメーカー22社が健康被害を受けた乳幼児30万人に賠償金を支払うことを明らかにした。
 被害者たちは各地の地裁に集団訴訟を起こそうとしているが、地裁は一律に受理していない。中国政府はメーカー側の自主賠償で早期解決を目指す方針とみられる。
 報道によると、22社はすでに同協会に資金を拠出しており、近く支払いが始まる。また共同で医療賠償基金も設立し、後遺障害が発見された患者には医療費を補償するとしている。賠償総額や基準などは明らかになっていない。

◎中国の腐敗摘発、ネットが後押し、社会の不満解消狙う?(2008年12月27日、日本経済新聞)
 官僚腐敗などが深刻な中国で、インターネットでの市民の告発を端緒に、捜査当局が不正摘発に乗り出すケースが相次いでいる。共産党や中央政府に批判的な意見は従来通り規制しており、「市民参加型」による末端幹部らの立件や処分を、社会の不満解消につなげる狙いがあるとみられる。
 浙江省温州市の党委幹部4人が今月初め、部下19人とともに65万元(約860万円)の公費を使って米国に旅行したとして、厳重警告などの処分を受けた。発覚のきっかけは11月下旬、ネット上に掲載された匿名の書き込み。内部文書も添付されていたことから、市党委などが調査を開始した。

◎中国、不正摘発にネット活用、市民の声拾い不満解消?(2008年12月26日、日本経済新聞)
 官僚腐敗などが深刻な中国で、インターネットでの市民の告発を端緒に、捜査当局が不正摘発に乗り出すケースが相次いでいる。共産党や中央政府に批判的な意見は従来通り規制しており、「市民参加型」による末端幹部らの立件や処分を、社会の不満解消につなげる狙いがあるとみられる。
 浙江省温州市の党委幹部4人が今月初め、部下19人とともに65万元(約860万円)の公費を使って米国に旅行したとして、厳重警告などの処分を受けた。発覚のきっかけは11月下旬、ネット上に掲載された匿名の書き込み。内部文書も添付されていたことから、市党委などが調査を開始した。

◎製造元が119億円賠償へ、中国の汚染粉ミルク(2008年12月26日、産経新聞)
 26日付の中国各紙によると、有害物質メラミンが混入した粉ミルクで健康被害が生じた問題で、最大の被害者を出し、破産した粉ミルク製造元の三鹿集団(河北省石家荘市)は被害者への賠償のため9億200万元(約119億円)を全国乳業協会に支払った。石家荘市当局が25日、明らかにした。
 中国当局は被害者による個別の損害賠償請求訴訟を封じ込めているが、同協会を通じて賠償問題を解決する意向とみられる。
 同紙によると、賠償費用は40億元程度と見積もられ、このうち医療検査費26億元は政府が負担、残りを三鹿などの製造元22社で分担するという。

◎北京大出身者だけで1兆3000億円! 中国人富豪ランク(2008年12月26日、産経新聞)
 26日付の中国紙、京華時報によると、中国の大学同窓会などで組織する中国校友会は25日、過去10年間に国内外で発表された中国人富豪ランキングに入った1500人余りの出身校を調査した結果、北京大学出身者が35人でトップだったことを明らかにした。
 2位は民間企業が多数集まる浙江省の浙江大学で23人、3位は理工系の名門校として知られる北京の清華大学で22人だった。ランキング入りした北京大学出身者の財産は、合計で1000億元(約1兆3000億円)を超えているという。

◎中国粉ミルク汚染:三鹿集団が破産、回収で多額負債(2008年12月25日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】有害物質メラミンで汚染された粉ミルクを製造していた中国河北省の乳製品大手、三鹿集団が同省の裁判所から破産を宣告されたことが24日分かった。同社の大株主であるニュージーランドの同業最大手フォンテラが発表した。汚染ミルクの回収で多額の負債を抱えていた。

◎居眠り幹部6人を更迭、中国湖南省衡陽市(2008年12月25日、産経新聞)
 新華社電などによると、中国湖南省衡陽市共産党委員会は25日、会議中に居眠りした6人の幹部を、社会に悪い影響を与えたとして更迭すると決定した。
 衡陽市軽工総公司の劉梓恒社長兼党委員会書記ら6人は、18日に開かれた衡陽市の改革・開放30周年記念大会に出席、居眠りしている様子が写真付きで新華社など多くのニュースサイトで報じられた。
 インターネット上では「会議に中身がないから居眠りしても仕方がない」と擁護する声もあるが、「厳しく処分すべきだ」との意見が多かった。

◎パンダ:中国から台湾に贈呈、つがいが台北に到着(2008年12月24日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】中国が台湾への贈呈を決めていたつがいのジャイアントパンダが23日、四川省から台北に到着した。台湾にパンダが来るのは初めて。「大陸からのクリスマスプレゼント」と歓迎ムードが広がっているが、中国側の思惑に警戒する声も出ている。受け入れ先の台北市立動物園は来月下旬の春節(旧正月)休暇に合わせ、一般公開を予定している。
 2頭は中国四川省臥竜のパンダ保護研究センターで飼育されていた雄の「団団(トアントアン)」と雌の「円円(ユエンユエン)」で、ともに4歳。2頭の名前を並べると「団円」になり、中国語で「(長く離れた)家族の再会」を意味し、中国側の将来の中台統一の意図も見え隠れする。
 馬英九政権の急速な対中接近に反対する野党・民進党の関係者からは「政治色が強過ぎる」として、改名を求める声も上がる。だが、動物園側は「ペアで一つの名前になり、親しまれる」として改名は予定していない。
 パンダのレンタル料は、希少動物を中台間で交換する方式のためにかからないが、台北市は飼育費用として来年度予算に3800万台湾ドル(約1億円)を計上している。

【ことば】パンダ贈呈
 パンダの贈呈は05年春に台湾の連戦・国民党主席(当時)が中国を訪問し、国共トップ会談が60年ぶりに実現した際に中国側が表明。パンダの移動は希少生物の国際取引を禁じるワシントン条約で規制され、「国際取引」か「国内移動」かの政治的な問題が生じたが、馬英九政権は台湾の希少動物を中国側へ贈り、交換という方法で問題をかわし、受け入れが実現した。

◎粉ミルク汚染の三鹿が破産(2008年12月24日、日本経済新聞)
 粉ミルクへの有害物質メラミン混入事件を起こした中国の乳製品メーカー、三鹿集団(河北省石家荘市)が河北省の裁判所から破産宣告を受けたことが24日、明らかになった。三鹿の筆頭株主でニュージーランドの乳製品メーカー、フォンテラが発表し、中国メディアが一斉に報じた。
 三鹿の粉ミルクを飲んだ多数の乳幼児が腎臓結石などにかかり、数人が亡くなったとされる。中国内外で社会問題となり、同社は経営難に陥っていた。地元政府によると、破産手続きに入っても被害者への賠償を優先するとしている。(中国総局)

◎中国の貧困人口4300万人に(2008年12月23日、産経新聞)
 中国誌「財経」(電子版)によると、中国政府はこのほど貧困層の基準を来年より現行の「年収786元(約1万400円)以下」から「1067元以下(同1万4100円)」に変更することを決めた。これにより貧困人口は、1479万人から約4320万人へと大幅に上方修正される見通しとなった。
 中国政府は貧困の基準を生存確保ぎりぎりの「絶対的貧困層」と、低収入の「相対的貧困層」の二段階に分類。内外から分かりづらいなどと批判が出たため基準を一本化することにしたという。

◎【中国改革・開放30周年】広がる格差、腐敗の矛盾(2008年12月22日、産経新聞)
 1978年12月の中国共産党中央委員会総会(三中総会)で改革・開放に転じて30年。中国は社会主義体制の下で市場経済を導入、年平均9・8%という驚異的な成長を続け、30年前には1億ドル余しかなかった外貨準備高は2兆ドル、米国債の最大の保有国になった。国内総生産(GDP)は30年前の約70倍、年内にドイツを抜き米日に次ぐ世界3位になるのは確実だ。
 歴史的にもまれな急成長を生んだ改革・開放は、「第二の革命」と呼ばれる。それを導いたトウ小平氏は、毛沢東の第一の革命とは対照的に、個人の思想や欲望を解き放ち、外資導入など社会主義のタブーを次々に打破、経済発展を促すのに成功した。
 しかしトウ小平氏が描いた中国の理想像は、毛沢東のそれと通じるものがあった。万民が平等で豊かな大同社会の実現であり、改革・開放はその手段だった。トウ氏が晩年、貧富の格差拡大や腐敗の蔓延(まんえん)を強く嘆いたのもそのためだった。
 中国はこの30年間に大きく変わった。社会も人びとの意識も国際化、国民多数の生活水準は上がり、文化芸術面でも多様になった。しかし貧富の格差は拡大する一方だし、社会的な差別や不公正も深刻なままだ。
 胡錦濤国家主席は18日に行われた改革・開放30周年記念大会で、「偉大な成果」を誇示し、共産党の指導で改革を進める方針を強調した。世界金融危機が中国を直撃する中で、さまざまな問題、矛盾を解決するには一党独裁の社会主義体制の堅持が不可欠との考えだ。
 89年6月の天安門事件で中国は大きく動揺しながら、その後に起こったソ連・東欧の激変に耐え、経済第一主義によって一党体制を維持したが、国民の間では、民主化要求が潜在する半面、毛沢東信仰も根強く、中国の今後の社会経済には不安定要素が多い。
 来年の建国60周年を前に、一部の知識人は「08憲章」なる民主化宣言を発表した。それが直ちに影響力を広げるとは思えないが、中国共産党が「第二の革命」を超え、政治改革という「第三の革命」を起こす圧力は次第に強まっていくだろう。

◎禁輸和牛をベトナム経由で“堪能”、中国富裕層(2008年12月20日、産経新聞)
 【バンコク=菅沢崇】ベトナムの冷凍和牛の輸入量が過去3年で20倍増を記録した。同国では伝統的に牛肉の消費はほとんどなく、食肉加工業者によると、和牛は直接輸入を禁じられている中国に闇ルートで搬出され、富裕層の元に届いているという。上海などで空路での和牛の密輸摘発が相次ぐ中、ベトナムを隠れみのにした「おいしい和牛」の密輸ルートが定着しつつある。
 ベトナムの食肉は、豚と鶏の消費だけで全体の約9割を占める。しかし、日本の農水省によると、2005年に13.5トン(9400万円)だった和牛の輸入が07年には80トン(4億9300万円)に増え、今年は10月末までに267トン(17億3100万円)と激増。日本料理店などで需要が急増している様子もなく、関係者によると「業者が中国に搬出している」という。
 中国当局は牛海綿状脳症(BSE)の発生で和牛の輸入を01年に禁止した。しかし、富裕層の間で人気は衰えず、今年5月にはズワイガニと偽って和牛を持ち込もうとした日本の業者が摘発されるなど、密輸が相次いでいる。ベトナムは正規輸入が認可されているが、同国と中国間では陸路、海路とも密輸の摘発が行き届かず、関税を支払わずに和牛が中国側にわたっているとみられる。

◎反中国の取締法に反対デモ、返還9年のマカオ(2008年12月20日、産経新聞)
 中国返還から9年を迎えたマカオで20日、地元労働者や民主派議員ら約1000人(主催者発表)がデモ行進を行い、マカオ政府が準備を進めている反中国活動を取り締まる「国家安全法」の制定に反対を訴えた。
 香港からも同法制定に反対する立法会(議会)の民主派議員らがデモに参加しようとマカオに向かったが、議員8人を含む20人以上がマカオ当局に「公共秩序を守るため」などとして入境を拒否された。
 マカオ政府は10月、マカオ基本法(憲法に相当)に基づき、中国政府転覆や国家分裂などを禁じる国家安全法の草案を発表。2009年中の制定を目指している。(共同)

◎中国の人権派元弁護士に実刑判決、「人権弾圧」と支援者(2008年12月18日、産経新聞)
 北京五輪関連の土地再開発に絡み、公務執行妨害罪で起訴された中国の人権派元弁護士、倪(げい)玉蘭被告(48)の初公判が18日、北京市の裁判所で行われ、裁判は同日中に結審、倪被告は懲役2年の実刑判決を受けた。
 倪被告は自宅の立ち退き問題だけでなく、各地で起きる強制収用に対し立ち退き被害者の権利を守る抗議活動を展開してきた。支援者は「人権弾圧」と批判を強めている。被告は判決を不服として上訴する方針。
 倪被告は4月、自宅を強制的に取り壊そうとした業者に抗議したところ「業者を殴った」として拘束された。その後の警察の調べに対し、拘束への抗議をしたことが「公務執行妨害」とされ、起訴された。自宅は11月に取り壊されたが、補償金は支払われていない。

◎中国広東省、中小企業の生産停止や廃業加速、10月8513社(2008年12月18日、日本経済新聞)
 中国の改革・開放でけん引役を務めてきた南部の広東省で、中小企業の淘汰が加速している。同省で10月、生産停止や廃業に追い込まれた中小企業は合計8513社に達し、単月で1~9月の累計(7148社)を上回った。世界的な景気低迷で輸出頼みの労働集約型企業の環境が厳しさを増している。
 同省によると生産停止・廃業したのは電機・機械部品、紡織、建築材料など低付加価値品を生産する小規模メーカーが中心。省内で登記する企業は約100万3000社で、その大半は中小企業とされる。就業人口7000万超の約65%は中小企業で働いており、失業増大で社会不安が広がる恐れもある。(広州=阿部将樹)

◎中国でタクシースト拡大、当局軟化、他業種に飛び火も(2008年12月18日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司、広州=小林哲】中国各地にタクシー運転手によるストライキが広がっている。当局が、ストを認めないこれまでの強硬路線を転換し、運転手の求めに応じて補助金を交付するなど柔軟姿勢を示したため、一気に拡大した。ストに関する報道も事実上解禁され、他の業種にまで飛び火し始めた。
 発端は11月3日からの重慶市のストライキだった。「重慶市の全市でタクシースト」。新華社通信の速報記事は政府内やメディア界に衝撃を与えた。中国当局が04年「社会不安につながる」として記事での使用を禁止した「罷工(スト)」という言葉を使っていたことに加え、労働条件の改善を求めるタクシー運転手が早朝からストに突入し、スト破りのタクシーを別の運転手が襲うなど暴動化して警察車両3台を含む約20台が襲撃されたと、これまでになく詳しく伝えたからだ。
 新華社は翌日から「罷運(輸送をやめる)」という言葉に置き換えたが、「当局がスト権を事実上容認した」(大手紙記者)という観測が広まった。多くの地方紙やインターネット新聞が「罷工」を見出しに使って大々的に報じ始めた。
 中国ではかつては憲法上、スト権が認められていたが、82年に「社会主義体制下、ストで労働問題を解決する必要はない」として削除された。ストが起きた場合、当局は首謀者を割り出して見せしめに逮捕するなど強硬姿勢をとってきた。
 しかし今回、重慶市当局の対応は違った。「我々の政策に何が足りなかったのかについてしっかりと検討したい」。共産党指導部の政治局員である薄熙来・市党委員会書記が運転手の代表者と会談して陳謝した。1台当たり1日50元(約700円)の補助金を出すことも決めた。柔軟姿勢の背景には、暴力行為の広がりとネット世論がストを支持したことがある。
 こうした措置は「成功例」として、メディアや携帯電話のネットワークを通じて全国に広がった。広州市では12月1日、ほとんどのタクシーが姿を消し、駅や繁華街に長い列ができた。2万台と言われるタクシーの約7割の運転手が携帯電話で連絡をとりあい、「サービス中止」と書いた張り紙をフロントガラスに張って営業を停止した。
 ストの背景は労働条件の悪化だ。1日12時間労働でほとんど休日もなく、会社への上納金や燃料費を払うと売り上げの1~2割しか手元に残らない。手取りはよくて月3千元(約4万円)。運転手の男性(45)は「政府からは税金、会社からは費用の支払いを求められる」と不満を訴える。広州市当局は、重慶にならって、運転手の負担を毎月最大800元下げる通達を発表。現地紙がこの対応を手厚く報じ、事態は収束した。
 中国政府関係者によると、報道されていないものを含め、この1カ月余りで約20の省と市でタクシー運転手のストが起きた。タクシー運転手だけにとどまらず、学校教師や工場労働者にも波及し始めた。この関係者は「人民重視は大切だが、際限なく広がると体制や治安を脅かしかねない」と懸念する。

◎警官17人殺害の襲撃犯2人に死刑、中国(2008年12月17日、産経新聞)
 新華社電によると、新疆ウイグル自治区カシュガルの地裁は17日までに、8月の警官隊襲撃事件で殺人罪などに問われたウイグル民族の男2人に死刑判決を言い渡した。
 事件は8月4日朝に発生。2人はジョギング中の武装警察部隊員の隊列にダンプで突っ込み、刃物や手製爆弾で警官17人を殺害、15人を負傷させた。
 北京五輪が行われた8月には新疆で警官が襲われる事件が相次いで発生、中国当局は北京五輪妨害を狙ったウイグル民族独立派によるテロと断定している。

◎強毒性ウイルスと確認、香港の鳥インフル(2008年12月12日、産経新聞)
 香港当局は12日までに、香港の養鶏場で検出された鳥インフルエンザウイルスは毒性の強いH5N1型だったと確認した。当局は養鶏場の外部からウイルスが入ったとみて感染経路を調べている。
 また12日付の香港各紙によると、香港の養鶏業界で中国本土から養鶏用の受精卵が違法に持ち込まれているとの疑惑が持ち上がり、香港当局は感染との関連も含め調査する方針を決めた。
 香港当局は9日、九竜半島の養鶏場で採取した鶏の死骸(しがい)などからH5型のウイルスが検出されたと発表していた。(共同)

◎中国:輸出、初の減、「世界の工場」に不況余波、11月(2008年12月11日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国税関総署が10日発表した11月の貿易統計によると、輸出は前年同月比2・2%減の1149億8700万ドルで、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した01年12月以降、初めて減少に転じた。
 世界的な景気減速による市場縮小の余波が「世界の工場」にも本格的に押し寄せた形だ。輸出企業が集中する沿海部などでの雇用問題が深刻化するのは確実だ。
 輸出の減少は01年6月以来、7年5カ月ぶり。輸入も同17.9%減の748億9700万ドルで、05年2月以来の減少となった。輸入減少は原油価格などが急落した影響と見られる。貿易収支は400億9000万ドルの黒字と、4カ月連続で単月の過去最大を更新、初めて400億ドルを突破した。

◎中国:民間航空機180機解約指示、メーカー減産必(2008年12月11日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国民用航空局が中国国内の航空会社に対し、09年に引き渡しが予定される航空機の契約取り消しか、納期の先送りを指示する通達を出したことが分かった。中国国営新華社が伝えた。金融危機による旅客減や不採算路線の拡大で苦境に陥っている航空各社の経営悪化に歯止めをかける狙い。中国航空業界を最大顧客にしている米ボーイングや欧州エアバスなど大手航空機メーカーの生産計画に影響が出るのは必至とみられる。
 民航局は同通達で、航空機納入契約の取り消し・延期を「できる限り奨励する」と指示したほか、09年内にリースの満期がくる航空機の契約更新停止、老朽航空機の売却を進めるよう要請した。10年までは貨物を含む新会社の市場参入を認めない方針も示した。
 新華社系ネットサイト「新華網」によると、中国航空各社は04年以降、毎年20%のペースで保有旅客機を拡大。ボーイングとエアバスがほぼ二分する形で市場を独占しており、09年は計180機の納入を予定していた。
 両社の07年の全世界での民間機納入実績はボーイングが441機、エアバスが453機で、中国各社が来年納入予定の180機をすべてキャンセルすれば、両社は2割前後の減産が避けられないことになる。
 中国には中国国際、中国南方、中国東方の国営大手3社を含め24社の航空会社がある。四川大地震などの大規模災害、北京五輪時の入国規制による旅客急減に米国発金融危機が追い打ちをかけ、大手3社は先月までに政府に公的資金による資本注入を申請。すでに中国南方に対する30億元(約405億円)の資金支援が決まっている。

◎不祥事は直接北京へ「私たちの報道に報復できない」、中国地方政府と中央メディア対立(2008年12月9日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国の国営中央テレビ(CCTV)の女性記者が今月初め、山西省太原市の検察庁に収賄容疑で逮捕された事件が中国国内で注目を集めている。同記者が検察庁の不祥事を取材中に起きた事件であり、北京の各紙は「拘束は違法」として女性記者を応援している。最近、不祥事報道をめぐり中央メディアと地方政府が対立することが多くなっており、中国メディアの報道姿勢は確実に変化してきたようだ。
 8日付の北京紙「北京青年報」は1ページ半を使ってこの事件を詳報した。それによると、この記者は李敏といい、4日夜、山西省からやってきた検事ら4人に北京市内の自宅から連行された。その際、取材相手から20万元(約280万円)相当の金品を受け取った容疑を告げられたが、同紙は「取材相手は李氏の恋人でもあり、受け取った金品はわいろに当たらない」と指摘。同時に李氏は現在、同検察庁の職権乱用事件を取材している最中であり、11月、李氏はほかの2人の記者とともに同検察庁幹部から「罰を受けても後悔するなよ」と脅迫されていたことも報じた。
 同様の事件は今年1月にも起きている。全国紙「法制日報」傘下の雑誌「法人」が遼寧省鉄嶺市西豊県の立ち退きに絡む不祥事を伝えると、同県の党委書記の指示を受けた警察官3人が北京の雑誌社を訪れ、名誉棄損容疑で女性編集長を逮捕しようとした。北京の各メディアは「言論弾圧だ」と一斉に反発、この結果、最終的には中央政府も動いて同書記が免職された。
 中国のメディアの予算や人事権などは原則として、各地の共産党宣伝部の管理下にあるが、十数年前から、民間資本の参入などが徐々に認められるようになったため、メディア間の競争が激しくなり、スクープや調査報道の数が増えた。とくに影響力の大きい北京のメディアは、中央政府への批判こそしないが、地方に起きた不祥事を積極的に報道するようになった。
 一方、各地域で絶大な権力を持つ地方政府は、地元の司法やメディアを完全にコントロールしている。そこで弱者は不満があると、中央メディアに直接訴え、それを報道してもらうことが増えた。
 8日付の北京紙「新京報」は、山東省新泰市が地元政府に対する不満を北京へ直訴しようとした多数の陳情者を精神病院に強制的に入院させたことをスクープし、ネットで大きな反響を呼んだ。同紙の関係者は産経新聞の取材に対し「私たちは党中央宣伝部直轄なので、山東省は私たちに報復できない」と話している。中国共産党によるメディア統制は、ほころびつつある。

◎「国辱だ」水着で中国旗にねそべったアイドル、ネットで“炎上”、著名人狩りの実態(2008年12月7日、産経新聞)
 日本で活動する中国出身アイドルの1枚のグラビア写真が、中国でバッシングの標的になっている。水着で中国国旗に寝そべるカットが「国家を侮辱している」というのだ。利用者が2億5000万人を超す中国のネット社会では、これまでも五輪選手や著名人らが非難の的にされ、謝罪に追い込まれたり、個人情報をさらされる被害を受けている。愛国心に名を借りた中国「網民」(ネットユーザー)の“暴走”がとまらない。(桜井紀雄)

・「神聖な国旗をけがした!」網民らが猛反発
 中国で騒動の的になっているのは、杭州出身のアイドル、ローラ・チャン=中国名・陳怡=さん(21)。
 チャンさんは、中国の人気オーディション番組に出場したのをきっかけにスカウトされ、昨年5月に来日。NHKの「テレビで中国語」のレギュラーを務めたほか、多くのバラエティー番組に出演し、今秋にはドラマデビューを果たしたアイドルだ。
 北京五輪もあって、グラビアアイドルとしても引っ張りだこで、各雑誌のグラビアにも登場したが、学習研究社(学研)発行の月刊誌に掲載された1枚の写真が今回、非難の対象となった。
 写真は、紺の競泳用水着を着たチャンさんが日本と中国の国旗を敷いたソファに寝そべって笑顔でポーズを取ったもの。健康的な印象を受けるが、写真がネットで中国に流出し、論議を呼んだ。
 中国の国旗が腰の下敷きになっているため、「国旗を尻に敷いて扇情的写真を撮るとは、国旗をないがしろにしている」とネット上で批判が殺到したのだ。
 ネット上の騒ぎを新聞など中国メディアが紹介し、騒動を知らなかった人の怒りも増長させた。
 《彼女の行為は神聖な国旗をけがした》《中国国旗は無数の革命の先人たちが命に代えて守ってきたものだ》…。中国紙にはこうした「網民」らの声とともに「著しく原則を逸脱している」との専門家の意見も載った。
 これらの記事が大手ニュースサイトに転載され、《われわれの国旗を金もうけに使うのは許せない》とそれに対する新たな書き込みを生む負の拡大再生産が続いている。

・「国旗法違反?」アイドル側は困惑
 騒ぎは法律論争にまで飛び火した。
 中国の法律家の1人は中国紙の取材に、中国の「国旗法」には「商標や広告に使ってはならない」「燃やしたり汚したり破損させ侮辱してはならない」との規定があるとした上で、「中国では刑事責任が問われるが、日本の雑誌となると、彼女の法的責任を追及できないのではないか」との見方を示した。
 ネットでは、《個人の自由じゃないか。彼女を責めるべきではない》との意見も書き込まれたが、それに対して1000件もの反対意見が殺到。膨れあがった怒りの声にかき消された。
 あるサイトには、「恥だ」36.1%▽「国旗をないがしろしている」31.5%▽「こっけいだ」15.6%との網民への調査結果まで掲載された。
 写真はもともと、8月発行の雑誌に掲載されたものだった。それが在日中国人が「中国では知られていないアイドル」として、ネットに写真を転載したのが、本国に伝わり、法律論争まで引き起こす皮肉な結果を招いたようだ。
 この騒ぎにチャンさんの所属事務所では「騒動は承知しているが、出版社の企画に沿って撮影したものであり、ノーコメントとさせていただきたい」としている。
 写真を掲載した学研側は「北京五輪直前ということで、五輪を盛り上げるため、日中の友好をテーマに企画しました。中国出身のチャンさんの持ち前の明るさを前面に押し出したつもりですが…」と戸惑う。
 「発行からこれだけたってからの予期しない事態に残念というほかありません」(学研)。当事者だけではなく、日本人であれば、こんな事態を誰が予想できただろうか。

・旭日旗ファッションの女優も強烈なバッシング
 「愛国心をあおる国旗という話題に、アイドルというネット世代が最も食いつきやすいキーワードがそろい、ここまで広がることになった」
 ネット事情に詳しく中国のネット炎上に関する著書もある中国在住のライター、山谷剛史氏はこう指摘する。
 「この手の話題は、アクセスも増えるため、どこのポータルサイトもこぞって掲載したがる」とサイト運営側の事情にも触れた。
 似たケースは過去にもあった。
 有名女優のヴィッキー・チャオ=中国名・趙薇=さん(32)が日本の旭日旗をイメージするデザインの服を着た写真が2001年、ファッション誌に掲載されたところ、批判が殺到した。チャオさん側は「雑誌の要望に応えただけ」としたが、テレビに映像を流さないといった女優生命の危機に立たされ、結局、「歴史認識の浅さを痛感し、反省する」と謝罪した。
 台湾のアイドル、レイニー・ヤン=中国名・楊丞琳=さん(24)もテレビ番組で03年、日中戦争の期間を問われ、「11年」と回答。司会者から「8年」と正され、「たったの8年」と答えたことから中国で非難が相次いだ。
 「私の前世は日本人」といった日本びいきの発言もあり、CDなどの不買運動に発展。「彼女は南京事件の死者を『たった数十万』と発言した」と歪曲(わいきょく)した話題がネットでくすぶり続け、昨年、北京で涙ながらに謝罪する事態に追い込まれた。
 最近でも映画「紅いコーリャン」や「覇王別姫」で知られる大物女優、鞏俐(コン・リー)さん(42)が夫と同じシンガポール国籍を選択したところ、ネット上で「裏切り者」「売国奴」といったバッシングが巻き起こっている。

・「人肉検索」で執拗な攻撃、個人情報の公開も
 チベット騒乱や聖火リレー妨害、四川大地震、北京五輪…。今年は中国人の愛国心をあおるニュースが続いた。
 五輪では、アテネで金メダルを獲得し、英雄視されていた陸上百十メートル障害の劉翔選手(25)が途中棄権し、ネットで大バッシンされたことは記憶に新しい。
 チベット騒乱をめぐっては、米国の大学で、中国人女子学生がチベット支持派と中国人学生の対立回避を呼び掛けたところ、ネットを通じて中国国内でも「売国奴」と非難が起きた。中国の実家の住所がネットでさらされ、「売国奴を殺せ」と実家の壁に落書きされた。
 「人肉検索」。集団で個人情報をたどり、ネットで公開する行為を中国でこう呼ぶ。
 人肉検索の恐怖は四川地震後にも吹き荒れた。被災地復興のための寄付をしなかったり、寄付が少額だった企業経営者や著名人は情報がネットにさらされ、攻撃の的になった。
 ネットで不適切な書き込みをした女子学生も個人情報を公開され、休学に追い込まるなど、網民による目に見えない“集団リンチ”が拡大し続けている。
 「80後」。中国で1980年以降に生まれ、改革開放期に育った世代をこう称する。教育の影響もあり、ほかの世代に比べても愛国的発言を好む傾向にあるとされる。「この世代とネット世代が重なる」と山谷氏は指摘する。
 ネット利用者が2億5000万人を超し、世界一のネット大国となった中国だが、ネットが普及したのはここ数年のことだ。
 ユーザーが若い世代に集中していることもあり、「日本のユーザーに比べて一体となってあおる傾向が強いうえ、愛国的話題になると、沸点が低い」(山谷氏)。
 「80後」は一人っ子政策で過保護に育ったとされるが、四川地震では、被災地に大挙してボランティアに駆け付け、政府を驚かせた。ネットは地震の惨状を世界に発信し続け、閉ざされた中国のイメージに変化をもたらせた。まさにもろ刃の剣だ。
 巨大化した中国ネットは、一大勢力となった網民らは、どこに向かおうとしているのか。グラビア問題にとどまらず、日本人も無関係ではいられない時代が訪れようとしている。

◎粉ミルク汚染の中国・石家荘市、「食品安全都市」アピール(2008年12月7日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】新華社電によると、有害物質メラミンが混入した粉ミルクを製造した「三鹿集団」がある中国河北省石家荘市で6日、「食品安全都市」を建設し、イメージアップを目指す式典が開かれ、当局者や食品関係者ら約10万人が署名活動に参加した。
 メラミン汚染粉ミルク事件は、国内外で「食の安全」に対する信頼性を一層低下させるきっかけになり、腎結石などの健康被害を受けた乳幼児は全国で29万4000人に上っている。
 同市トップの車俊・共産党委員会書記が「三鹿(粉ミルク)事件は市のイメージを著しく損ねた。事件を教訓に食品安全・安心都市を建設しよう」と訴えた。
 同市には、冷凍ギョーザ中毒事件で問題になった「天洋食品」もあるが、国内でほとんど報じられていないことから、ギョーザに関して新華社電は伝えていない。

◎100人以上の陳情者を拘束、北京、土地強制収用抗議で(2008年12月4日、産経新聞)
 北京市中心部にある中国国営の中央テレビ前で4日、各地で相次ぐ不当な土地強制収用や公安当局者らによる市民への暴行などに抗議するため地方から集まった100人以上の陳情者が拘束され、バスに強制的に乗せられて連行された。
 4日は、中国で法治徹底を図るため制定された「法制宣伝日」。陳情者は中央テレビに対し、法に基づく統治の徹底を地方政府に促すよう求めて集まったが、逆に北京五輪後もデモ行為に対する厳しい規制が続く現状が浮き彫りになった。
 陳情者はこの日早朝から中央テレビ前に集まり始め、周辺には数百人の警官と警察車両数十台が待機して警備。陳情者が来るたびに公安当局が借り上げたバスに力ずくで乗せ、北京市南部の収容施設に連行した。また、公安当局者は外国メディア記者の写真撮影や陳情者への取材を妨害した。

◎中国当局幹部「ギョーザ事件は人為的混入」と強調(2008年12月3日、産経新聞)
 来日中の中国輸出入食品安全局の林偉副局長は3日、中国製ギョーザ中毒事件について「人為的な混入事件であり、一般的な(食品の)安全性の問題ではない」との見方を示した。
 東京都内で開かれた中国産食品の安全性に関するシンポジウムで発言した。「中国は食品について管理監督を強化しており現在、中国で食品安全法が議論されている」とも話し、今後さらに監督体制が強化されるとの見通しを明らかにした。
 同席した中国の前外相李肇星氏も「刑事事件であれば、両国関係部門は犯人を逮捕し、国民に損害を与えないようにしなければならない。食の安全について日中で定期的に交流することが必要だ」と述べた。

◎中国:人民元、上昇ストップ、輸出企業支援へ(2008年12月2日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】05年7月の為替制度改革以降、上昇を続けてきた中国の通貨・人民元の対米ドル相場が3カ月以上足踏みし、元安に振れる局面が目立っている。米国発の金融危機で成長率鈍化が鮮明になった9月下旬以降、中国政府が「積極財政と適度の金融緩和」に政策転換し、為替政策も従来の元高容認方針を撤回。苦境に陥った輸出企業の支援にかじを切った可能性が指摘されている。
 上海市場の人民元相場は1日夕、銀行間取引で1ドル=6.8848元を付けた。中国人民銀行が設定した中間値が同6.8505元と前週末より0.2%強の元安になり、当局が本格的な元安誘導を始めたとの観測が広がった。人民元の1日あたりの変動幅は中間値の上下0.5%以内に制限されているが、1日の下落率は0.49%強で、05年の制度改革以来で最大の下げ幅。
 制度改革以降、ほぼ右肩上がりで上昇した人民元相場は6月中旬に1ドル=6.8元台に突入したが、それ以後は減速し、10、11月は変動率が2カ月連続でマイナスになった。
 金融危機が表面化した9月以降、繊維など労働集約型企業の倒産や操業停止が相次ぎ、社会不安の増大を恐れる中国政府は10月以降、輸出税の還付率引き上げなど相次ぐ救済策を打ち出した。
 中国人民銀の周小川総裁が11月10日に「元切り下げの可能性を排除しない」と発言したことをきっかけに、市場では「為替政策も方向転換が明確だ」(為替ディーラー)との指摘が相次いでいる。

◎中国・家電量販最大手の創業者に株価操作の疑い、「国美ショック」の波紋(2008年12月2日、日本経済新聞)
 中国の家電量販店最大手「国美電器」の創業者である黄光裕氏が過去の株価操作の疑いで公安当局から取り調べを受けたことが11月最終週に明らかになった。このニュースは瞬時に広がり、国民は億万長者ランキング1位に輝いたばかりの時代の寵児の転落に驚きを隠せない。「国美ショック」は何を示唆しているのか?(肖宇生の中国IT最前線)

・立志伝中の大富豪の転落
 全国をカバーする1300カ所の店舗網、1000億元(約1兆5000億円)を超える売上高、パートも含めて30万人近くの従業員――。国美電器はどれをとってもライバルを圧倒する中国家電量販店の最大手だ。
 業績面でも中国屈指で、フォーブス誌のアジア太平洋のベスト上場会社のトップ50、ビジネスウィーク誌のアジアベストパフォーマンスカンパニートップ50などにランクインする。創業してまだ20年しか経っていないのも驚きだが、それを作り上げた黄氏も立志伝中の人物、中国屈指の大富豪として常に注目の的となってきた。
 黄氏はよくあるアメリカ帰りのITエリートではなく、貧しい家庭に生まれ中学校も卒業できなかったが、こつこつと商売を拡大させ頂点まで上り詰めた。中国大富豪ランキングでは、2004年と2005年、そして10月に発表されたばかりの2008年番付でも再びトップに立っている。そのサクセスストーリーは庶民の共感を呼び、2007年に業界3位の永楽電器と同4位の大中電気を相次ぎ買収した豪腕ぶりでスーパースター経営者の名を確かにした。 その黄氏の突然の不正疑惑である。今回の事件はまだ詳細が明らかになっていないが、株価操作以外にも賄賂やマネー・ロンダリングなどの疑いもとりざたされている。真実であれば、関係する金額の巨大さや範囲の広さから大型事件に発展する可能性もある。正に天から地への転落となる。

・鍵を握るベンダーの動き
 黄氏の事件が発覚した後、国美電器は法人としての国美電器とは関係がないことを訴えるのに躍起になっている。11月24日から香港証券取引所での取引が一時停止されている国美電器は28日に公告を出し、今回の取り調べはあくまでも黄氏個人へのものであると公安当局から通達があったことを明らかにした。
 さらに、臨時役員会を開いてCEO代理やCFOを選任し、外部機構の監査を受け入れることも表明した。外国人の社外取締役からなる特別委員会を設立するなどコーポレートガバナンスの透明度を高めるための施策も相次ぎ打ち出して、不穏な空気を収めようと懸命だ。 ただし今の国美電器には、より差し迫った問題がある。それは来年1月下旬の旧正月まで続く年間最大の商戦期間中に十分な商品を確保できるかどうかという問題だ。その鍵を握っているのがベンダーの動向である。
 これまで国美電器に頼ってきたベンダーの大多数は表向きに国美支持を打ち出している。ほとんどのベンダーにとって国美電器は最大の流通チャネルであり、国美電器に莫大な売掛金を抱えているからだ。
 国美電器の経営が混迷を深めれば、ベンダーも無傷ではいられない。しかし、その支持はあくまでも黄氏事件と国美電器に関係がないことが前提だ。今後の捜査で万一でも会社の関わりが判明するような事態になれば、ベンダーも難しい対応を迫られるだろう。
 いずれにしてもベンダーは今、国美電器がシロなのかどうかを固唾を飲んで見守っている。そして、彼らの行動は国美の今後に大きな影響を及ぼすだろう。

・一企業にとどまらない「国美ショック」
 「国美ショック」はそれだけにとどまらない。そもそも国美電器は中国市場における家電製品の流通シェア15%という絶大な存在である。世界同時不況が懸念されるなか、中国の家電産業にはただでさえ逆風が吹いており、最大の流通チャネルである国美電器が何かあれば死活問題だ。家電産業は中国の改革開放の尖兵として経済を牽引してきた存在であり、その影響は経済全体に及びかねない。
 いまのところ国美電器にすぐに取って代わる会社はない。ライバルの蘇寧電器は最近株価も上昇し販売でも積極攻勢に出ているが規模的に大きく劣っている。特に雇用面では、直接雇用30万人、物流やメンテナンスなどを含むと50万人といわれ、ベンダーなどの関連業界まで含めれば短期的な影響は計り知れないだろう。
 輸出不振などで雇用環境が悪化するなか、経済落差の拡大に怒りを向ける庶民層の反発に神経を尖らせている中国政府も気が気ではない。つまり、黄氏事件の国美電器への飛び火はすでに単一企業を超える問題となっている。中国政府も含めて多くの関係者が会社の無事を祈っているに違いない。

・曲がり角迎える中国経済改革の鑑になるか?
 黄氏だけでなく、中国で成功している企業家はこのところ常に議論の的となっている。普段は世間から羨望の眼差しが注がれるが、一旦何か非があると思われれば猛烈なバッシングを受ける。もちろん、企業家が地位に相応しい言動を求められるのは当然だが、国民感情にも複雑な一面がうかがえる。その根底にあるのはやはり経済格差の問題だ。
 中国の改革開放政策が始まって30年近く経った。これまでは2ケタ成長が当たり前だったが、そうした時代はいつまでも続くはずはなく、今後はある程度規律のある成長軌道に向かうだろう。企業家にとっても同じだ。法律も整備されないまま、法意識も薄い改革当初の環境のなかでは「何でもありの経営」で急激に富を蓄積できた企業家も少なくないはず。しかし今後はそれが許されなくなっていくだろう。
 中国市場にはホットマネーが溢れている。中国の企業家は機会が多いゆえだろうが、その魅惑に負けて安易にマネーゲームに手を出す傾向がある。しかし、自分の成功の歴史、そして自社の永続になりうる事業をもう一回見直す必要があるのではないだろうか。
 政府も同じだ。国美電器の行方はまだ分からないが、たとえクロであるとしてもマイナスの影響の大きさばかりを考えて温情処理や隠蔽などをせずに、厳正に処理すべきだろう。短期的に動揺があるかもしれないが、長期的に見ればそれはより秩序ある市場を育てていくのに不可欠なのだ。
 すでに経済大国に成長した中国の政府としてはその度量も必要とされ、その余裕もあるはずだ。いずれにしても、曲がり角を迎えようとしている中国マクロ経済環境において、政府も企業家も今回の事件を鑑(かがみ)にできるかどうかが今後の中国発展の鍵を握っているのは間違いなさそうだ。

◎中国でタクシーのスト続発、「二重三重の搾取」に不満爆発(2008年12月2日、読売新聞)
 中国各地で11月からタクシー運転手のストライキが続発、香港誌などによると、これまでに重慶市、海南省三亜、広東省広州など15地域以上でストが発生する異常事態となった。
 各地の同業者が波状的に動き出し、事実上連帯する「ストの連鎖」が、共産党政権に対する強烈な圧力となっている。震源となった重慶から飛び火した三亜を中心に、その状況を探った。

◆「10%」
 中国では一般的に、地方政府がタクシーの総数を規制、営業権を台数単位で企業に売り渡し、企業がそれを運転手に請け負わせている。関係者によると、運転手の多くは元農民。違法の高利貸から借りた金を元手にし、「二重三重に搾取されている」という。
 会社への支払いや経費などを除いた収入は「売り上げの10%程度」と言われる。しかも、搾取を嫌った無許可の“白タク”がまん延、三亜では「正規車の3倍以上いる」という。
 こうした状況は各地に共通する。運転手は「経済的弱者」と呼ばれ、その不満は全国に充満していた。

◆「大成功」
 11月3日、重慶市で8000台以上がストに入り、市政府は負担軽減を約束。6日には党最高指導層の政治局員である薄煕来・市党委員会書記が運転手代表との対話に応じた。
 「勝報」は、全国の運転手を刺激、三亜ではストを呼びかけるビラがすぐに出回った。作成者は不明。だれも知らず、知っていても話さない。「市当局が逮捕に動いたから」だ。
 9日夜、約300人の運転手が、浜辺の芝生で集会を開いた。「我々の意見を市に伝えよう」という声は、「直訴じゃだめだ」という声にかき消され、スト決行の流れが決まった。
 10日早朝、数百台が一斉ストを開始。「スト破り」の正規タクシーは壊され、すぐに営業をやめた。14日、市交通局幹部3人の辞任、タクシー会社による不正徴収金の返還、白タク摘発の強化などの成果を得て、ストは終息した。だれもが「大成功だった」と口をそろえる。

◆「事実上の組織」
 タクシー問題に詳しい中国政法大の王軍博士は「事実上の『組織』が存在して、初めて集団行動が取れる。携帯電話などの通信機器が、こうした組織の結成を容易にした」と語った。同じ問題に直面するタクシー運転手は「均質化」された集団であり、通信手段があれば簡単に結合するという。
 三亜の30代運転手は「勝因」をこう総括した。「ばらばらだと警察に威圧されておしまい。成功のコツは大勢が一緒に事を起こすこと。農民蜂起と同じだ」
 タクシー運転手の動きを、民衆の互助、自衛組織としての役割を持っていた中国古来の民間秘密結社になぞらえる専門家もいる。三亜の40代運転手は「このストの『指導者』を探したい。お礼をしたいし、次にストをする時、また頼らなくてはいけないから」と話した。

◆政権の恐れ
 共産党関係者は「地方指導者はいま、民衆の集団行動を非常に恐れ、穏便に事を済まそうとしている。武力鎮圧などで事態を悪化させれば、自分が責任を取らされる」と話す。安定を死守したい党中央も、激増する民衆抗議への対応方針を「鎮圧から隔離へ」(中国筋)と転換している。
 政権の慎重姿勢もあり、三亜の「成功」はさらに飛び火していった。タクシーストは、1件ごとに孤立した民衆暴動や集団抗議とは違い、人々が同じスローガンを共有する反日デモに近い。それを防ぐのは困難だ。タクシーストにとどまる保証もない。この秋、四川省や重慶などでは、教師のストも続発している。(三亜で 杉山祐之)

◎中国粉ミルク汚染:乳幼児被害、中国全土で29万人(2008年12月2日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国衛生省は1日、化学物質メラミンに汚染された乳児用粉ミルクで健康被害を受けた乳幼児が中国全土で29万4000人に上ったと発表した。うち死亡した6人は粉ミルク飲用が原因だった可能性があるという。
 同省がメラミン汚染が発覚した9月10日から11月27日までの被害件数をまとめた。大手乳製品メーカー「三鹿集団」など問題の粉ミルクを飲んだ可能性がある2238万人が診察を受け、症状が重く入院した患者は延べ5万1900人で、現在も861人が入院している。多くが泌尿器系に結石があると診断された。

◎メラミン被害の乳幼児29万人余、中国衛生省が発表(2008年12月2日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】2日付の中国各紙によると、中国衛生省は1日、有害物資メラミンに汚染された粉ミルクで腎結石などの健康被害を受けた乳幼児が全国で29万4000人に上ったと発表した。
 9月10日から11月27日までの状況をまとめたもので、入院治療を受けた5万1900人中861人が今も入院中という。
 メラミン混入事件発覚後、死亡した乳幼児は報告されていないが、発覚前に甘粛省などで死亡した計6人については、粉ミルクとの関連性を排除できないという。

◎中国メラミン粉ミルク事件、乳幼児29万人が異常(2008年12月2日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国衛生省は1日、粉ミルクに有害物質メラミンが混入した事件で、中国全土で計29万人余りの乳幼児に腎臓結石など泌尿器系の異常が見つかったと発表した。衛生省はこれまで約5万人の乳幼児が治療を受けたとしていたが、被害の深刻さが裏付けられた。
 11月27日までに計5万1900人が入院し、うち861人が入院中だ。衛生省によると、全国各地から11人の死亡報告があったが、調査の結果、うち6人が汚染粉ミルクとの関連が認められたが、ほかの5人については因果関係がなかったとしている。

◎中国:HIV感染者、26万人を超す(2008年12月1日、毎日新聞)
 新華社電によると、中国衛生省は30日、9月末現在の中国のエイズウイルス(HIV)感染者の報告数が26万4302人となったと発表した。今年1月以降で約4万4800人増加した。
 感染者のうち発症した患者は7万7753人。死者は3万4864人となった。
 未報告も含めた推定の感染者数は約70万人といわれている。

◎女優コン・リーさんのシンガポール国籍取得、ネット上で非難噴出(2008年11月30日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】映画「紅いコーリャン」などで国際的に知られる中国出身女優、鞏俐(コンリー)さん(42)がシンガポール国籍を取得したことから、中国のインターネット上で「裏切り者」との非難が噴出している。
 北京五輪聖火リレーなどを機に沸騰した過激なネット民族主義の新たな標的になった形だ。
 中国紙などによると、コン・リーさんは、文化人代表として人民政治協商会議(政協)委員を務めたこともあるだけに、ネット利用者から「彼女の根は中国にあり、事業も中国にあるのに、他国の国籍を取得するのは不適切だ」との批判が集中した。
 さらには、「国の恥」などとして、出演映画のボイコットすら呼びかける動きもあるほどだ。
 外国での活動に便利なため、米国籍やカナダ国籍を取得するスターは少なくない。
 だが、共産党機関紙「人民日報」によると、大手ポータルサイトの調査で、「スターの外国国籍取得を理解できる」と答えたのはわずか7%にも満たなかったという。

◎スパイ罪で科学者の死刑執行、中国(2008年11月29日、産経新聞)
 中国当局は28日、台湾に軍事情報を流したとして、スパイ罪で死刑判決を受けた中国人科学者、沃維漢氏の死刑を執行した。オーストリア国籍の娘のチェン・ランさんが明らかにした。
 チェンさんが北京のオーストリア大使館から得た情報によると、死刑は28日朝、銃で執行された。チェンさんは「強いショックを受けている。私たちは父の身に何が起きていたのか知る権利が否定された」と話している。
 沃氏は2005年にスパイ容疑で逮捕された。チェンさんらは、当局から沃氏との面会を認められ、27日朝に逮捕後、初めて面会。チェンさんは同日記者会見を開き、死刑執行の中止を求めていた。

◎中国:エアバス社製旅客機150機の納入延期(2008年11月29日、毎日新聞)
 【パリ福井聡】欧州航空機大手エアバス社(本社・仏南部トゥールーズ)は27日、中国への旅客機計150機の納入が中国側からの通告で延期されたと発表した。
 サルコジ仏大統領が12月6日に予定するチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世との会談を理由に、中国は同1日に仏東部リヨンで温家宝首相が出席予定だった欧州連合(EU)中国サミットの延期を発表していた。納入延期の通告もこれに伴う措置としている。
 サルコジ大統領の昨秋の訪中時、エアバス社は中国の航空各社との間で「A320」110機と「A330」40機の受注契約を結んでいた。中国では今春、パリでの北京五輪聖火リレー妨害を巡り、仏系スーパーへの不買運動も起きた。

◎上海に高さ632メートル、121階建てビル建設へ(2008年11月27日、産経新聞)
 上海市政府は27日、同市の金融街に高さ632メートル、121階建ての超高層ビル「上海タワー」を建設すると発表した。2014年に完成予定で、中国で最も高い建造物になる。
 上海の国有企業3社が出資した会社が開発を手掛け、総投資額は148億元(約2060億円)で、金融機関や高級ホテルが入居する予定。金融危機や上海の不動産市場の低迷で資金調達を懸念する声も出ているが、開発担当者は「ビルが完成するまでに景気も回復する」と強気の構えだ。
 森ビルが建設した高さ492メートルの「上海ワールド・フィナンシャル・センター」や、420メートルの「金茂ビル」の隣に建設。上海の金融街に3つの超高層ビルがそびえることになる。

◎解雇の補償金不満、広東省の工場でデモ、警察と衝突(2008年11月27日、朝日新聞)
 【香港=奥寺淳】中国広東省東莞のおもちゃ工場で25日夕、出稼ぎ労働者が解雇補償金の金額が少なすぎるとしてデモを起こし、警官隊と衝突した。国営新華社通信によると、労働者が警察車両と小型パトカーの計5台をひっくり返し、事務所を襲い、パソコンなどの機器を破壊した。
 デモの原因は、工場が216人の雇用契約を26日に終了しようとしたこと。AFP通信によると、デモは最大約2千人に達し、警察との衝突で6人がけがをしたという。

◎低賃金、タクシー運転手の反乱、中国各地に飛び火(2008年11月26日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国北西部の陝西省周至県で24日早朝、県中心部の雲塔広場に百数十台のタクシーが集まり、運転手たちが待遇改善などを求めてストライキに突入した。25日付の地元紙「西安晩報」などが伝えた。11月になってから、このようなタクシーストは重慶市、海南省など各地で相次いでいる。
 運転手たちは過酷な労働条件を強いられており、高額な管理費を徴収し続ける当局に対する不満が一気に噴出したとみられる。
 今回の一連のストは中南部の重慶市から始まった。3日早朝、市内の約1万6000台のタクシーが一斉に止まり、同市の交通網を完全にまひさせた。運転手たちは「管理費の値下げ」「違法経営の白タクの一掃」「ガソリン料金の値下げ」などを当局に要求したという。
 中国メディアの報道によると、同市のタクシー運転手は毎月約7000元(約10万円)の管理費を納めるほか、ガソリン代として2000~3000元を自己負担しなければならない。休まずに毎日13時間以上働いても、毎月の売り上げ(約1万2000元)の6分の1しか自分の収入にならない状況が長年続いているという。
 最近の景気低迷で収入はさらに減少しており、管理費とガソリン料金を下げようとしない当局に対する怒りが爆発した格好だ。
 中国ではこれまでも北京や長春などで小規模なタクシーストが起きているが、その際、当局は「社会安定を乱す行為」として、リーダーを逮捕するなど高圧的な対策を採ってきた。
 しかし、重慶市政府は今回、ストが大規模でネットなどの世論が運転手たちを支持していることなどを考慮し、柔軟な対応を選択。管理費の値下げに応じ、白タクの取り締まり強化を約束し、運転手側の要求を一部受け入れた形で、事態収拾を図った。
 ところが、重慶市の対応がメディアで報じられると、タクシーストが一気に全国に飛び火した。海南省三亜市と甘粛省永登県で10日、広東省スワトー市で20日にそれぞれ大規模ストが起き、同省広州市や山東省の済南市でもストの動きがあったという。
 中国の法律では、労働者にはストの権利を認めていない。国有企業などには形だけの労働組合はあるものの、共産党の下部組織となっており、当局は、ストが各地に発生する事態に対応するマニュアルをもっていない。
 対応を一歩誤れば、ストはさらに拡大しほかの業種にも及ぶ可能性もあり、社会不満が一気に広がりかねない。

◎中国、1%超す大幅利下げ、国内景気の下支え(2008年11月26日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国人民銀行(中央銀行)は26日、金融機関の預金・貸出金利を27日から引き下げると発表した。1年物で1%を超える大幅な引き下げだ。6年7カ月ぶりに金融緩和に転じた9月以降、利下げは4回目だが、下げ幅は最大となる。金融危機の影響で減速する国内景気を下支えするのが狙いで、金融機関の預金準備率も来月5日から引き下げる。
 金利の引き下げ幅は1年物で1.08%と、過去3回の引き下げ幅(1年物で0.27%)を大幅に上回る。1年物で預金金利が2.52%、貸出金利は5.58%になる。預金準備率は大手国有商業銀行などで1%、中小金融機関で2%引き下げる。

◎警官6人殺害で死刑執行、ネットでは「英雄」視、中国・上海市(2008年11月26日、産経新聞)
 中国のニュースサイト「新華網」によると、中国上海市で7月に警官6人が刺殺された事件で、死刑判決が確定していた楊佳死刑囚に26日、死刑が執行された。
 北京市出身で無職の楊死刑囚は上海市公安局閘北分局が入った建物に押し入り、刃物で警官9人を刺し、6人を死亡させた。
 楊死刑囚は昨年、自転車窃盗の疑いで同分局の警官に拘束され、その後、精神的ダメージを受けたとして賠償を求めたが拒否され、報復のために襲撃したとされる。
 中国では、公安当局の腐敗への不満が高まっており、インターネット上では楊死刑囚を「英雄」扱いする意見も出ていた。

◎中国の大富豪、相場操縦関与で取り調べ(2008年11月24日、産経新聞)
 24日付の中国紙、第一財経日報などは、北京市公安局の専門捜査チームが、中国の家電販売最大手「国美電器」創業者、黄光裕氏(39)を相場操縦などに関与したとして拘束、数日間取り調べを続けていると伝えた。
 経済誌、財経(電子版)によると、黄氏の兄が代表を務める不動産会社の株価が昨年、値幅の上限(ストップ高)を三十数回記録するなど大幅に上昇した。黄氏はこの過程で、同社株の相場操縦に関与した疑い。
 黄氏は中国の代表的な企業経営者として知られ、米経済誌フォーブスの2006年版中国富豪番付で資産総額が首位となり、今年も2位だった。

◎中国有数の富豪拘束、経済事件に関与か(2008年11月22日、産経新聞)
 22日付の香港各紙は、中国有数の富豪で知られる家電販売大手「国美電器」創業者、黄光裕氏(39)が経済事件に関与したとして公安当局に拘束され、取り調べを受けていると伝えた。黄氏は先月、米経済誌フォーブスが発表した「2008年版中国の富豪400人」の番付で、資産総額2位に入っている。
 各紙によると、黄氏は20日午後、北京で公安当局に拘束された。銀行との取引をめぐって違法な行為があったとされるが、容疑の詳細は不明。
 国美電器は1987年に設立。中国国内280以上の都市に1200以上の直営店を構えている。

◎ミカン農家が新聞社に抗議、中国、「ウジ虫」報道で販売不振(2008年11月20日、産経新聞)
 20日付の中国系香港紙、文匯報によると、上海市でミカンを栽培している農民100人以上が19日午前、ミカンからウジ虫が見つかったとの報道で売れ行きが悪くなったとして、同市の共産党機関紙、解放日報に押し掛け、抗議の座り込みを行った。
 解放日報グループの新聞晨報は先月24日、上海市民が庭に植えたミカンからウジ虫が見つかったと報道。
 ミカン農家側はこれにより被害を受けたとして、ロビーなどに座り込み、一部農民はミカンを買い取るよう要求したが、警官に説得され、19日夕方、解散した。
 中国ではこのほど、四川省産のミカンからウジ虫が大量に見つかり、ミカンを敬遠する動きが広がっていた。

◎米国債保有、中国が1位に、約57兆円で日本抜く(2008年11月19日、朝日新聞)
 【ワシントン=星野眞三雄】米財務省が18日発表した9月の国際資本統計によると、中国の米国債保有高は9月末時点で5850億ドル(約56兆7千億円)となり、首位を続けていた日本(5732億ドル)を抜き、世界最大の米国債保有国となった。
 米国発の金融危機が世界的に広がっているが、中国は米国債への投資を続けていることが確認された。米財政赤字が拡大する中、米国債の安定的な引受先となっている。
 国・地域別の米国債保有高で、中国は前月に比べ436億ドル増え、日本は128億ドルの減少。3位は英国で3384億ドルだった。海外全体では2兆8605億ドルで、前月より1106億ドル増えた。
 中国の米国債保有高は、00年9月末時点では621億ドルだった。8年間で10倍弱も増えたことになる。中国は多くを米国債などのドル資産で持つ外貨準備高が06年1月に日本を抜いて世界一となっている。

◎中国で住民2000人が市庁舎襲う、仮設住宅中止に反発か(2008年11月18日、CNN)
 北京(CNN) 中国国営新華社通信は、北部の甘粛省隴南市で18日未明、住民ら約2000人の集団が市庁舎を襲ったと伝えた。
 隴南市は5月の四川大地震後、市庁舎を別の場所に移す計画を進めていたが、移転に反対する住民約30人が17日に集会を開催。その日のうちに数千人の集団に膨れ上がって市庁舎を襲い、車両や建物を破壊した。
 非公認の市民ブログは、集まった人の数を1万人と伝えている。ある書き込みによれば、市庁舎の移転計画のせいで数千家族が住む仮設住宅の建設がストップし、多くが移転を強いられそうだという。集まった人たちが暴徒化したのは、武装した警官が配備され、市当局が対話を拒んだためだと記した書き込みもある。
 隴南市では四川大地震で275人が死亡、6000人が負傷し、住宅100万棟以上に倒壊などの被害が出た。

◎貴州暴動で6人に有罪、中国(2008年11月15日、産経新聞)
 中国の通信社、中国新聞社によると、中国貴州省瓮安県で6月末に起きた大規模暴動で、同県の人民法院(地裁)は14日、社会秩序かく乱や放火の罪などで住民5人に懲役16-5年の実刑判決を言い渡した。別の1人は自首したため、執行猶予付きの懲役2年を言い渡された。
 暴動は女子中学生の死亡事件に対する公安局の処理に不満を持った住民らが数万人規模で公安局の建物を焼き打ちするなどした。
 事件では、当局の対応にも問題があったとして県トップの書記らが免職処分となった。

◎中国、家畜飼料への混入調査(2008年11月11日、産経新聞)
 中国各地で卵から有害物質メラミンが相次いで検出された問題で、中国政府はメラミンが家畜の飼料の原料に混入されていたとみて調査に乗り出した。メラミン入りの飼料は業界内では「公然の秘密」(中国紙、南方日報)とされ、温家宝首相が「1、2年以内に解決」と大号令をかける「食の安全」への信頼が取り戻せるかは不明だ。
 同紙によると、5年前から養殖魚の飼料にメラミンが混入され、乳牛、豚、鶏など広く家畜の飼料にまん延した。タンパク質の含有量を多く見せ掛けるためで、偽の「タンパク質エキス」として出回っている。
 化学業界の製品製造過程などで出る廃棄物のメラミンを使用。被害が卵だけでなく、家畜の肉にも拡大するとの懸念が広がっている。

◎10月の中国貿易黒字が過去最高に(2008年11月11日、ロイター)
 中国税関当局が11日発表した10月の同国の貿易黒字は352億4000万ドルで、過去最高を記録した9月の293億ドルを大幅に上回った。10月の輸出は前年比19.2%増、輸入は同15.6%増。
 市場予想は、貿易黒字が313億ドル、輸出が18.8%増、輸入が19.0%増。
 1─10月の貿易黒字は2159億9000万ドル。

◎中国 都市部でも暴動頻発、失業や社会不安、当局への不満増大(2008年11月10日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国南部の広東省深●(=土へんに川)市では7日、約2000人の民衆が警察庁舎に押しかけて警察車両に火を放つなどの暴動が起きた。最近の景気低迷で失業者が急増したこともあり、腐敗した地方政府や横暴な警察に対する民衆の不満はさらに増大。農村部を中心に起きていた暴動は今年になってから、都市部でも頻発する様相を呈している。社会不安への発展を恐れる当局は、失業対策を手厚くするなどして火消しに躍起となっているが、先行きは不透明な情勢だ。
 国営新華社通信などによると、暴動のきっかけとなったのは交通取り締まり中に起きた死亡事故だった。同市宝安区で7日、無免許でオートバイを運転していた男性(31)が、同市管理委員会が設置した検問所を突破した。男性を止めようとした職員の一人がトランシーバーを投げつけたところ、男性は街路灯に衝突して死亡した。遺族は「警察が人を殺した」として男性の遺体を警察庁舎に運び込み抗議。同日夜になると、やじ馬を含め約2000人の民衆が集まり、庁舎を包囲して投石するなど騒ぎは大きくなった。
 当局は遺族に一時金として20万元(約280万円)を支払うとともに、トランシーバーを投げつけた職員を拘束したことで、事態はようやく沈静化した。
 中国政府の統計によると、中国では昨年、農村部を中心に土地収用問題をめぐる暴動が約9万件発生したが、都市部は比較的に静かだった。しかし、失業者の急増や株価の低迷などの影響が都市部住民の生活を直撃したことで、当局への不満を爆発させる形の暴動や警察襲撃事件が都市部でも起きるようになった。
 上海では7月に、警察の不当捜査への報復で6人の警官が刺し殺される事件が起きた。犯人はその後、死刑判決を受けたが、インターネットでは、彼を「人民の英雄」と称賛する意見が数多く寄せられた。
 広東省の東莞市では10月中旬、工場の閉鎖により失業した労働者1000人以上が未払い給料を求めて、抗議デモを起こし、それが暴動にまで発展した。
 広東省や上海などの都市部周辺には、製造業を中心に約2億人の出稼ぎ労働者が集まっているが、輸出不振と景気低迷で今年上半期だけで、その1割に当たる2000万人が失業した。若年失業者が一気に都市部で増えることを警戒した当局は、「職業紹介所」を各地に新設するとともに、未払い給料や帰郷の交通費を立て替えるなど失業対策を実施しているが、失業者急増のペースに追い付いていないのが実態のようだ。
 深●(=土へんに川)市の暴動を現場で取材した香港の男性記者によると、死者は地方からの出稼ぎ労働者。警察庁舎で暴れた人たちの多くは死者と面識はないが、死者と同じく最近失業した地方からの出稼ぎの若者が多かったという。同記者は「政府に対する不満が鬱積(うつせき)している。理由などはいらない。きっかけさえあればいつでも暴動は起きる状態だ」と話している。

◎オバマ陣営のコンピューターにハッカー侵入、外国政府機関の仕業か(2008年11月7日、産経新聞)
 【ワシントン=有元隆志】米大統領に当選した民主党のオバマ上院議員の選対本部のコンピューターに今年夏、ハッカーが侵入していたことが6日、明らかになった。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は中国からのサイバー攻撃と報じた。共和党候補マケイン上院議員の陣営も、8月にFBIから同様の警告を受けたという。
 米政府当局者は同紙に対して、サイバー攻撃が中国の政府機関によるものか、政府とは関係ないハッカーによるものかは解明されていないと語った。
 米誌ニューズウィークなどによると、ボルテン大統領首席補佐官はオバマ陣営の選対責任者デービッド・プラフ氏に、「あなたたちは大きな問題に直面しており、早急に対処する必要がある」と警告した。陣営の内部資料などが大量に流出したという。
 中国からのサイバー攻撃をめぐっては、昨年6月にゲーツ国防長官の執務室で使用する電子メールシステムがハッカーの侵入で停止状態となった。フィナンシャル・タイムズは国防総省筋などの話として、この侵入を「中国軍によるもの」と報じた。

◎ラサ暴動で55人に有罪判決、中国、拘束は1300人超(2008年11月5日、産経新聞)
 新華社電などによると、中国チベット自治区幹部は4日、3月に区都ラサで起きたチベット民族住民らによる暴動で、これまでに55人に有罪判決が出たことを明らかにした。自治区を訪問したオーストラリア下院議員との会談で語った。
 自治区幹部によると、暴動に絡み警察当局が1317人を拘束。うち1115人は犯罪が軽微で、反省もしているとして釈放された。判決を受けた55人の具体的な量刑は不明だが、同幹部は「証拠は明らか」と指摘した。
 同幹部は中国政府とチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世側との対話に、「成否はダライ・ラマ本人(の対応)で決まる」と述べ、ダライ・ラマにチベット独立運動に携わらないよう求めた。

◎重慶のタクシーストで暴動、警察車両を襲撃、中国(2008年11月3日、産経新聞)
 中国重慶市で3日、労働条件の悪さや厳しい取り締まりへの不満からタクシー運転手が早朝からストライキに突入した。一部ではスト破りのタクシーを別の運転手が襲うなど暴動となり、警察車両3台を含む約20台が襲撃された。新華社などが伝えた。
 運転手側はタクシーの初乗り運賃が5元(約70円)と安いのに、会社側が売り上げから徴収する毎月の管理費が7000-8000元と多すぎるなどと訴えていた。交通違反に対する罰金が高すぎることも一因と話す関係者もいたという。
 重慶市内には約1万6000台のタクシーがあり、このうち市中心部は9000台。朝のラッシュアワーの時間帯から営業中のタクシーが見つからない状態になったが、午後には一部が地元当局者の保護を受けながら業務に復帰したという。

◎重慶のタクシーがスト(2008年11月3日、産経新聞)
 3日の新華社電は、中国重慶市のタクシー運転手が3日早朝からストライキに入ったと報じた。朝のラッシュアワーの時間帯から営業中のタクシーが見つからない状態という。
 運転手側は「初乗り運賃が5元(約70円)と安い上、1台当たりの月の売り上げから会社が徴収する7000から8000元の管理費が高すぎる」と訴えている。管理費と諸経費を除いた分が運転手側の取り分になる。
 同時に、市交通当局に対しても無許可タクシーの取り締まりが不十分などと指摘している。
 重慶市内のタクシーは1万6000台で、このうち市中心部は9000台。

◎光緒帝の死因はヒ素中毒、清朝末期、専門家調査で「謎」を解明(2008年11月3日、産経新新聞)
 中国の通信社、中国新聞社によると、清朝末期の光緒帝(1871-1908年)の死因がヒ素中毒であることが2日までに、専門家の調査で分かった。この研究成果は、国家清史編さん委員会による「清史」に組み入れられるという。
 専門家チームは2003年に調査を開始し、光緒帝の遺髪や遺骨、衣服などをエックス線などで科学的に調査。衣服の一部や頭髪から致死量を超えるヒ素が検出された。
 光緒帝は幼少期に即位したが、西太后らが実権を握る期間も長く、日清戦争の敗戦にも見舞われた。光緒帝と西太后はほぼ同時期に死去。光緒帝の死因については諸説あり、歴史の謎とされてきた。

◎中国、メラミン使用は「公然の秘密」、中国紙報道(2008年11月1日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製粉ミルクへの混入で問題化した有害物質メラミンが中国産の卵からも検出され、社会に不安が広がっている。
 中国紙「南方日報」(電子版)は30日、動物の飼料へのメラミン混入は業界全体の「公然の秘密」で、5年前に水産物養殖の飼料から始まり、家畜に広がったと伝えた。メラミンが食品業界で幅広く使用されている実態が浮かび上がってきた。
 問題の卵を生産した養鶏場の親会社「大連韓偉集団」(遼寧省大連市)は、養鶏場で使った飼料の原料から、9月22日にメラミンが検出されていたことを認めている。同集団によると、この原料を製造した同省瀋陽の業者はすでに拘束され、工場は閉鎖されたという。業者が、粉ミルク同様、たんぱく質の含有量を多く見せるため、原料にメラミンを添加していたものとみられる。
 その後、山西省と湖北省の企業が生産した卵からもメラミンが検出された。いずれも北京市内では販売されていないが、市内の卸売市場で、卵を買い控えて一時価格が下がったほか、周辺の農村でも卵が売れないなどの影響が出ている。
 南方日報は、広東省の飼料業者の話として、メラミンが水産物養殖業から家畜まで幅広く使用され、その影響は粉ミルクをはるかに超えていると指摘。メラミンは、実際にたんぱく質を含んだ原料の代替品として飼料に添加され、特に中国南部ではスッポンやウナギの養殖に使われている。
 衛生省によると、粉ミルク汚染による腎結石などの健康被害で入院している乳幼児は10月29日現在も、2390人に上っている。

◎中国が今年3回目の利下げ、市場の資金不足解消狙う(2008年10月29日、読売新聞)
 【北京=寺村暁人】中国人民銀行(中央銀行)は29日、今年3回目となる利下げに踏み切った。
 主要政策金利の一つで金融機関から企業などに貸し出す際の「法定貸出金利」を30日から期間1年物で0.27%引き下げ、年6.66%とする。同時に、預金金利も1年物で0.27%引き下げる。中国は今月9日にも利下げをしたばかりだ。世界的な金融危機の影響を抑制するため、1か月半の間に3回という異例の対応となった。
 中国では、サブプライム問題による金融機関の直接の損失は多くないが、市場の一部では資金不足が生じている。

◎中華レストランの「かぼちゃ饅頭」からメラミン検出(2008年10月29日、読売新聞)
 すかいらーくの子会社でバイキング形式の飲食店を全国展開する「ニラックス」(東京都武蔵野市)は29日、中華レストラン「ブッフェグランチャイナ」で販売した中国製「かぼちゃ饅頭」から有害物質メラミンが41ppm検出されたと発表した。
 同社によると、かぼちゃ饅頭は、ファミリーレストラン「サイゼリヤ」でメラミンが検出された冷凍ピザと同様、「ザ・ベスト創食」(大田区)が中国広東省の「金城速凍食品」から輸入した。9月11日から10月1日まで東京都町田市、昭島市、八王子市、千葉県印西市、神戸市、岡山市、広島市、福岡市の8店舗で販売され、すでに6189個が客に提供された。検出量は、体重60キロの人が1日30個食べなければ摂取許容量を超えないため健康への影響はないという。
 ニラックスは、金城速凍食品製の「エッグタルト」からメラミンが検出されたとの報道を受け、今月2日、同社製の2品を販売中止にして自主検査したところ、かぼちゃ饅頭からの検出が判明。原材料の練乳にメラミンが混入していたとみられる。
 ニラックスは在庫をすべて廃棄するが、客への返金は考えていないという。

◎中国製「かぼちゃ饅頭」からメラミン(2008年10月29日、スポーツニッポン)
 外食チェーン「ニラックス」(東京都武蔵野市)は29日、同社が運営するレストラン8店舗で提供した中国製の「かぼちゃ饅頭」から微量のメラミンが検出されたと発表した。客から健康被害の連絡はないという。
 ニラックスによると、かぼちゃ饅頭は9月11日から10月1日まで神戸市や広島市、福岡市などのレストランで計6189個が提供された。原料に練乳を使用しており、同社の自主検査で1ロ当たり41ミリグラムが検出された。同社は「健康への影響がない程度の量」としている。

◎上海の森ビルオープンセレモニー、カレーラスが世界1展望室で熱唱(2008年10月25日、産経新聞)
 上海の新ランドマークとなった「上海環球金融中心(ワールド・ファイナンシャル・センター)」のオープニングセレモニーが25日、元首相の中曽根康弘氏らを招いて行われた。会場の世界1の高さを誇るガラス張り展望ルーム=473メートル=では「世界三大テノール」の一人、ホセ・カレーラスがオープンを祝って熱唱した。
 通称「上海ヒルズ」と名付けられた同ビルは高さ492メートル、地上101階建て。ビルには高級ホテルや日本のメガバンクなどが入居している。

◎狂犬病相次ぎ、犬1万匹捕殺、中国雲南省(2008年10月25日、産経新聞)
 25日付の中国紙、新京報によると、中国雲南省弥勒(みろく)県で狂犬病による死者が相次ぎ、当局がこのほど、県内の犬と猫をすべて捕らえて殺すよう指示を出した。県内では9万匹以上の犬が飼われているが、すでに1万1500匹が殺されたという。
 弥勒県で最初に狂犬病の死者が出たのは今年7月で、これまでに6人が死亡。県内の犬約8万4000匹は免疫の注射を打っており、住民からは「犬がいなければ防犯に困る」と不満も出ているが、県当局者は「ウイルスが(免疫効果のないタイプに)変異する可能性もあり、動物防疫法に基づき一律に捕殺する」と説明している。

◎狂犬病の死者相次ぎ犬・猫1万匹殺す、中国・雲南省(2008年10月25日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国紙、都市時報によると、中国雲南省弥勒県で狂犬病による死者が相次いだため、地元当局が病気が発生した半径5キロ以内にいるすべての犬と猫を殺す指示を出した。すでに約1万1千匹が殺されているが、「ワクチンを打った犬まで殺すのはやり過ぎだ」と住民から不満の声が上がっている。
 弥勒県では今年7月以来、6人が死亡している。県内の約8万4千匹の犬は免疫の注射を打っているが、県当局は「人命がペットより重要なのは当然で、ウイルスがワクチンの効かないタイプに変異する危険性がある」として、動物防疫法に基づき一律に殺すことを決めた。

◎中国、衛星2基打ち上げ(2008年10月25日、産経新聞)
 新華社電によると、中国は25日、山西省の太原衛星発射センターから宇宙空間観測衛星「実践6号」2基を打ち上げた。2006年に打ち上げた同様の衛星2基を引き継ぎ、宇宙空間の環境や放射線などを測定する。
 打ち上げには中国が独自開発したロケット「長征4号B」が使われた。

◎日清食品カップめん、4月以降で防虫剤成分検出26個(2008年10月25日、読売新聞)
 神奈川県藤沢市と横須賀市で、「日清食品」製の「カップヌードル」などから防虫剤成分が検出された問題で、同社は24日、東京・新宿の東京本社で記者会見を開き、両市のケース以外に、今年4月以降、20件計26個のカップヌードルなどから防虫剤成分のパラジクロロベンゼンやナフタレンが検出されていたと発表した。
 同社は「製造時に混入した可能性は低く、保管時ににおいが移った疑いがある」との見解を表明した。
 これに関連し、今月20日、カップヌードルを食べて嘔吐(おうと)した藤沢市の女性宅と、先月27日、食べる直前に異臭を感じた横須賀市の男性宅には、商品から検出された成分を含む芳香剤や防虫剤があることが同県警の調べでわかった。いずれも購入から約1か月間、近くに芳香剤や防虫剤が置かれており、県警幹部は「成分が気化して容器内に染み込んだ可能性が高い」との見方を示した。
 県警幹部によると、容器にも目立った穴は確認されなかった。藤沢市の女性宅には、パラジクロロベンゼンを含む芳香剤が、横須賀市の男性宅には、パラジクロロベンゼンを含む芳香剤とナフタレンを含む防虫剤があったという。
 一方、日清食品によると、両市のケース以外に特に今年7月以降、「薬品のようなにおいがする」という苦情が全国から相次ぎ、このうち日本生活協同組合連合会(東京都渋谷区)が「CO・OPコープヌードルしょうゆ」などのブランドで製造委託した2件4個から最大92ppmのパラジクロロベンゼンが検出された。また18件22個からも、測定できないほど微量のパラジクロロベンゼンやナフタレンが検出された。健康被害は報告されていない。
 同社は防虫剤の近くで保管すると、成分が容器を通って浸透し、内部のめんに付着することが実験で確認されたと説明。特に4月から導入した新容器「ECO(エコ)カップ」は、臭気が浸透しやすいとして容器を改良する方針を明らかにした。日生協も24日、同社に製造委託した5商品の出荷を停止するとともに各地の生協の店頭から撤去した。

◎中国で製造・輸入の「カップ春雨」から微量メラミン(2008年10月25日、読売新聞)
 食品卸業「龍口食品」(東京都文京区)は25日、中国から輸入したカップ春雨「龍口春雨 野菜たまご(55グラム)」のスープのもとから有害物質メラミンが検出されたため、すでに出回っている分について自主回収を始めたと発表した。
 検出したメラミンの量は1キロあたり2.3ミリ・グラム。米食品医薬品局(FDA)の基準では健康に影響がないレベルで、これまでに健康被害の報告はないという。
 同社によると、この商品を製造したのは、中国・福建省の工場。今月1日に輸入した商品を自主検査したところ、メラミンが検出され、24日に出荷を停止した。同時に輸入した商品は保管したままで、流通していないという。メラミンが混入した経緯は不明。
 同じ工場で製造された商品は2007年10月から約110万個が輸入され、うち約100万個が全国のコンビニエンスストアやスーパーなどに出荷された。問い合わせは同社(0120・56・3037)。

◎北京、農民らが政府に抗議デモ、厳戒下、異例の出来事(2008年10月25日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】アジア欧州会議(ASEM)首脳会合が始まった北京市中心部にある公安局の施設前で24日、中央政府に陳情に来た農民ら約60人が、地方政府や裁判所による不正の告発や問題解決を訴えるためのデモをした。厳戒警備下の首都での抗議活動は異例だ。
 政府の開発で土地や家を奪われたり、警察当局の暴行でけがをしたりした人たちで、公安当局に促されて1時間ほどで解散した。

◎警官による暴行死で騒動、中国浙江省(2008年10月24日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは23日、中国浙江省温州市の派出所で、出稼ぎ労働者が拘束中に警官に殴られて死亡したとみられる事件があり、抗議する労働者ら1000人以上が22日、派出所を取り囲む騒ぎがあったと伝えた。
 同センターによると、労働者の中にはれんがで派出所の設備を壊す者もいたといい、100人以上の警官隊が出動した。警官の暴行が原因で住民が死亡したとみられる事件は今月に入り、河南省と黒竜江省でも起きている。

◎拘留中の不審死に怒り、千人が派出所襲う、中国浙江省(2008年10月24日、朝日新聞)
 【南寧(中国広西チワン族自治区)=奥寺淳】香港の中国人権民主運動情報センターによると、中国浙江省温州で22日、派出所に拘留された出稼ぎ労働者が不審死したことに怒った住民約1千人が詰めかけ、警察と衝突した。住民は周辺の道路を埋め尽くして、抗議デモも行った。
 拘留中に亡くなったとされるのは江西省からの出稼ぎ労働者で、遺体に多数の傷跡が残っていたという。このため労働者の友人や親族らが派出所前に集結し、派出所の一部設備を破壊した。同センターによると、派出所は拘留中に人が死亡し、抗議行動があったことは認めたという。

◎中国の結婚披露宴で食中毒が相次ぐ(2008年10月22日、産経新聞)
 [北京、21日、ロイター] 北京郊外の同じレストランで17日と18日に行われた結婚披露宴で、約250人の出席者のうち少なくとも60人が食中毒になり、数日内に病院に搬送された。
 新京報は「結婚披露宴で嘔吐(おうと)や下痢に見舞われたことをほかの人に話さなければならないなんて恥ずかしかった」とのある村人のコメントを伝えた。
 中国では今月に入って、河北省で行われた結婚披露宴でも塩と間違えてさび取り剤が入れられた料理を食べ、約170人の招待客が食中毒となっていた。
 さらにその前日には、中国北西部に位置する甘粛省の結婚披露宴で、ゲスト61人が食中毒に見舞われた。
 中国では近年、食の安全が揺らいでおり、最近では汚染された粉ミルクにより多くの乳幼児に健康被害が出ており、4人の赤ちゃんが死亡したことも報告されている。

◎米、ベビーベッドで2人死亡、中国製など160万台回収(2008年10月21日、朝日新聞)
 ロイター通信によると、米国のベビー用品メーカー、デルタ・エンタープライズは21日までに、中国などで製造されたベビーベッドを使用して乳幼児2人が死亡する事故があったとして、約160万台をリコール(回収・無償修理)すると発表した。インドネシア、台湾製もあった。日本で販売されていたかどうかは不明。
 同社のホームページによると、問題のベッドは95~07年に製造された。ベッドの留め具に不具合があるという。

◎サイゼリヤでもメラミン、中国製生地ピザ4万8600枚に使用(2008年10月21日、読売新聞)
 イタリア料理のファミリーレストラン「サイゼリヤ」(本社・埼玉県吉川市)は20日、関東や東北地方の店舗で調理、販売したピザの生地から、有害物質メラミンが検出されたと発表した。
 生地は中国の業者が製造したもので、冷凍商品として輸入されていた。メラミンは4.3ppmと微量だが、厚生労働省が自主回収の目安にしている2.5ppmを超えていた。ピザはすべて消費されたが、現在までに健康被害は出ていないという。
 同社や厚労省、埼玉県によると、冷凍ピザ生地は広東省沸山市の金城速凍食品有限公司が製造。先月10日にザ・ベスト創食(東京都大田区)が5.7トンを輸入し、サイゼリヤに納入した。
 サイゼリヤはメラミンの混入の有無を自主検査するため、先月29日までに専門機関にピザ生地のサンプルを提供し、メラミンが検出されたとする検査結果は今月16日に届いた。しかし、同社は結果が出る前の今月1~2日に、関東、東北地方の約540店舗でピザを提供し、すでに4万8600枚が消費されていた。同社は3日以降、粉乳を使用しないピザ生地に切り替えていた。
 一方、ザ・ベスト創食では先月中旬、中国国内でメラミン汚染が広がったことを受け、金城速凍食品に商品に使用される粉乳のメラミン検査を依頼。同社からは「検出されなかった」との回答を得ていたという。
 金城速凍食品は、JTBのグループ会社「JTB商事」が今月初め、メラミンが検出されたことで自主回収を発表した菓子「エッグタルト」も製造していた。
 サイゼリヤは全国にチェーン展開するファミリーレストラン。同社のホームページによると、昨年8月現在で761店舗。

◎サイゼリヤのピザ生地からメラミン検出、中国の業者が製造(2008年10月20日、読売新聞)
 イタリア料理のファミリーレストラン「サイゼリヤ」(本社・埼玉県吉川市)は20日、関東や東北地方の店舗で調理、販売したピザの生地から、有害物質メラミンが検出されたと発表した。
 生地は中国の業者が製造したもので、冷凍商品として輸入されていた。メラミンは4.3ppmと微量だが、厚生労働省が自主回収の目安にしている2.5ppmを超えていた。ピザはすべて消費されたが、現在までに健康被害は出ていないという。
 同社や厚労省、埼玉県によると、冷凍ピザ生地は広東省沸山市の金城速凍食品有限公司が製造。先月10日にザ・ベスト創食(東京都大田区)が5.7トンを輸入し、サイゼリヤに納入した。
 サイゼリヤはメラミンの混入の有無を自主検査するため、先月29日までに専門機関にピザ生地のサンプルを提供し、メラミンが検出されたとする検査結果は今月16日に届いた。しかし、同社は結果が出る前の今月1~2日に、関東、東北地方の約540店舗でピザを提供し、すでに4万8600枚が消費されていた。同社は3日以降、粉乳を使用しないピザ生地に切り替えていた。
 一方、ザ・ベスト創食では先月中旬、中国国内でメラミン汚染が広がったことを受け、金城速凍食品に商品に使用される粉乳のメラミン検査を依頼。同社からは「検出されなかった」との回答を得ていたという。
 金城速凍食品は、JTBのグループ会社「JTB商事」が今月初め、メラミンが検出されたことで自主回収を発表した菓子「エッグタルト」も製造していた。
 サイゼリヤは全国にチェーン展開するファミリーレストラン。同社のホームページによると、昨年8月現在で761店舗。

◎サイゼリヤのピザ生地からメラミン検出、中国の業者が製造(2008年10月20日、読売新聞)
 イタリア料理のファミリーレストラン「サイゼリヤ」(本社・埼玉県吉川市)は20日、関東や東北地方の店舗で調理、販売したピザの生地から、有害物質メラミンが検出されたと発表した。
 生地は中国の業者が製造したもので、冷凍商品として輸入されていた。メラミンは4.3ppmと微量だが、厚生労働省が自主回収の目安にしている2.5ppmを超えていた。ピザはすべて消費されたが、現在までに健康被害は出ていないという。
 同社や厚労省、埼玉県によると、冷凍ピザ生地は広東省沸山市の金城速凍食品有限公司が製造。先月10日にザ・ベスト創食(東京都大田区)が5.7トンを輸入し、サイゼリヤに納入した。
 サイゼリヤはメラミンの混入の有無を自主検査するため、先月29日までに専門機関にピザ生地のサンプルを提供し、メラミンが検出されたとする検査結果は今月16日に届いた。しかし、同社は結果が出る前の今月1~2日に、関東、東北地方の約540店舗でピザを提供し、すでに4万8600枚が消費されていた。同社は3日以降、粉乳を使用しないピザ生地に切り替えていた。
 一方、ザ・ベスト創食では先月中旬、中国国内でメラミン汚染が広がったことを受け、金城速凍食品に商品に使用される粉乳のメラミン検査を依頼。同社からは「検出されなかった」との回答を得ていたという。
 金城速凍食品は、JTBのグループ会社「JTB商事」が今月初め、メラミンが検出されたことで自主回収を発表した菓子「エッグタルト」も製造していた。
 サイゼリヤは全国にチェーン展開するファミリーレストラン。同社のホームページによると、昨年8月現在で761店舗。

◎中国:警官6人刺殺の被告、2審も死刑、上海の高裁(2008年10月20日、毎日新聞)
 中国新華社通信によると、上海市高級人民法院(高裁)は20日、市内の警察署で7月、警官6人を刺殺した楊佳被告に対し、死刑とした1審の同市第2中級人民法院(地裁)判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。中国は2審制だが、死刑執行は最高人民法院(最高裁)が審査のうえ許可する。

◎中国:成長率1ケタに減速、危機感浸透、景気対策実施へ(2008年10月20日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国の四半期ベースの経済成長率が1ケタ台に落ち込んだことを受け、中国政府が投資、輸出、国内消費を全面的に底上げする景気対策を実施する方針を鮮明にしている。米国発の金融危機が世界的な景気の下押し圧力となる中、先進国経済を支えてきた中国にも企業の倒産や不動産市場の冷え込みなどの影響が広がり、北京五輪後の景気減速が想定を超えかねないとの危機感が政府・共産党幹部に浸透し始めたためだ。
 米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題は昨年夏から徐々に拡大し始めたが、これまで中国の統計に目立った影響は出ておらず、「米国経済が落ち込んでも新興国は高成長を続ける」との楽観論が濃厚だった。しかし、9月の工業生産の伸び率は前年同月比11.4%と、8月から一気に1ポイント以上低下。「世界の工場」として豊富な資本を海外から集めてきた足場が揺らぎ始めている。
 国家統計局の李暁超報道官は20日の記者会見で、世界的な金融危機について「(中国のような)新興国、発展途上国などへの影響は予想をはるかに超えている」との危機感を表明した。さらに、「税、財政、融資、貿易政策を総動員する」と、減税や財政出動に踏み込む可能性を示唆した。
 政府・共産党内では「成長率が7~8%を下回ると、毎年900万人以上といわれる新規雇用を吸収できず、政権への批判が高まる」との懸念が広がっている。温家宝首相も9月、「比較的早い成長を維持することが中国の世界に対する最大の貢献」と明言しており、市場関係者は「97年のアジア通貨危機以来の規模の景気対策を打つ」との見方を強めている。

◎上海の警官殺傷被告、死刑確定、傍聴席から「人民英雄」の声(2008年10月20日、読売新聞)
 【上海=加藤隆則】不当捜査への報復が招いた上海市の警官殺傷事件について、上海市高級人民法院(高裁)は20日、故意殺人罪に問われた楊佳被告(28)に対する1審の死刑判決を維持し、刑が確定した。
 中国では、警察の無法ぶりに対する庶民の不満が高まっており、傍聴席からは楊被告を「人民の英雄」と称賛する声も聞かれた。
 事件は昨年10月、楊被告が同市内で、警察から無実の自転車窃盗容疑で拘置されたのが発端。7月1日の事件発生後、インターネット上では、楊被告が供述したとされる「(不正な取り調べについて)お前が答えをくれないなら、おれが答えを出す」との言葉が支持を集め、「侠客(きょうかく)」と英雄視する書き込みが多数登場した。
 判決公判では、警察当局が数百人規模の警備で不満市民を排除したが、それでも100人を超える人だかりができた。傍聴席にいた上海市の男性は「被告の名は『人民の英雄』として永遠に残る」と話した。
 判決は、楊被告が警官に反抗的な態度をとり、不当捜査に対する損害賠償請求を拒否されたため、市内の警察署を襲撃、包丁で警官6人を殺害、4人を負傷させたと認定。「(警官から)殴るけるの暴行を受けた」とする同被告の訴えは、「証拠がない」と退けられ、聴取にあたった警官への証人尋問も却下された。
 中国では、一党独裁の下で司法による紛争解決が事実上マヒし、警察があらゆる紛争の場に介入する傾向が支配的だ。警察の権力行使をチェックする機能も働いていない。

◎中国製添加物からメラミン、台湾、回収し輸入禁止に(2008年10月19日、産経新聞)
 台湾の衛生当局は18日、中国から輸入した食品添加物から高濃度の有害物質メラミンを検出したとして、添加物の回収を指示、中国からの輸入禁止措置を取ったことを明らかにした。健康被害の報告は伝えられていない。
 19日付の台湾紙、聯合報などによると、添加物は、庶民的な食べ物である「油条」と呼ばれる揚げパンやビスケットなどに使われる重炭酸アンモニウム。膨張剤として使われる。
 台北の食品業者が今年1月から、河北省石家荘と福建省福州のメーカーから約400トンを輸入。当局は既に約130トンを回収したという。

◎北京市元副市長に死刑判決、五輪開発でわいろ、愛人(2008年10月19日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】北京五輪施設周辺などの土地開発問題に絡み、不動産業者から多額のわいろを受け取ったとして、収賄罪に問われた北京市元副市長の劉志華被告は18日、河北省衡水市中級人民法院(地裁)で、執行猶予2年付き死刑判決(2年後に無期懲役に減刑される可能性のある死刑)を受けた。
 判決によると、劉被告は1999年から2006年まで、副市長の職権を乱用して土地開発や不動産販売の許認可などで業者に便宜を図り、計約700万元(約1億円)のわいろを受け取った。劉被告の愛人で、建設会社経営の王建瑞被告も同罪で起訴された。
 劉被告は、06年6月に別の愛人の告発で「生活の腐敗と堕落」を理由に副市長と北京五輪関連施設建設の最高責任者を解任され、身柄を拘束された。中国当局は北京五輪のイメージ低下を最小限に食い止めるため五輪が終了するまで初公判を開かず、劉被告の汚職事件の詳細を報道することを禁じたといわれている。
 しかし、香港のメディアが、劉被告には十数人もの愛人がおり、劉被告が愛人たちのために150部屋もある北京郊外のホテル式マンションを用意したなどと、その腐敗ぶりを報道して大きな話題となった。最近も、劉被告の元愛人が2人の赤裸々な関係を書いたとされる告発文がネットの掲示板に転載され、「党は彼のようなモラルの低い人間をなぜ登用したのか」などといった共産党政権への厳しい意見が数多く寄せられていた。
 中国では昨年、汚職などで立件された公務員は4万人以上、地方各省トップを含む閣僚級は6人、中央、地方の局長級は167人に上る。土地開発に絡む収賄事件は特に多く、汚職官僚のほとんどは複数の愛人を持つとされる。
 今回、劉被告が受けた死刑判決は、今年4月に同じく収賄罪に問われた上海市の陳良宇元書記が受けた懲役18年の判決と比べてかなり重い。五輪後、胡錦濤政権が「高官の腐敗」と戦う姿勢を改めて内外に示したものとみられる。

◎元北京市副市長に猶予付き死刑判決(2008年10月19日、日本経済新聞)
 【北京=高橋哲史】19日の中国紙、京華時報によると、収賄罪に問われていた北京市元副市長の劉志華被告が18日、河北省衡水市中級人民法院(地裁)で1審判決を受け、執行猶予2年付きの死刑を言い渡された。判決によると、劉被告は副市長在任中に市内の土地開発を巡って業者や知り合いの個人に便宜を図り、見返りとして愛人とともに計約700万元(約1億円)を受け取った。

◎中国民衆くすぶる不満、党・地方幹部の更迭相次ぐ(2008年10月19日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】北京五輪を終えた中国で、中央や地方政府の幹部更迭が相次いでいる。いずれも被害の大きい事件や事故、不正疑惑などの責任を問われた形だ。各地で広がる民衆の不満に火がつけば「共産党一党支配」の正統性が揺らぎかねず、更迭の背後には胡錦濤(フー・チンタオ)指導部の強い意向がうかがえる。
 農村改革をテーマに、12日に終わった共産党の第17期中央委員会第3回全体会議(3中全会)。突然、文化省次官だった于幼軍・中央委員の解任が決まった。深セン(センは土へんに川)市長時代の不正疑惑が取りざたされ、北京の消息筋は「来年3月の全国人民代表大会ですべての肩書が剥奪(はくだつ)されるだろう」と予測する。
 山西省で9月上旬に発生した土石流災害では、同省人民代表大会常務委員会で孟学農省長らの解任が決まった。死者が250人以上に広がり、そもそも鉱山会社の違法採掘を摘発できなかったことが理由とされたが、委員会には胡氏の側近とされる李源潮(リー・ユアンチャオ)・党中央組織部長がわざわざ北京から駆けつけ、「党と政府のイメージを大きく損なった」と発言した。
 有害物質メラミン入り粉ミルク事件でも、発端となった「三鹿集団」本社がある河北省石家荘市の党委書記や市長が解任、閣僚級の幹部も食品検査態勢の不備を指摘されて事実上、更迭された。党関係者は「閣僚のクビを切ってでも態勢を立て直す姿勢を示さなければ、子育て中の両親の怒りは鎮まらない」と語る。
 胡指導部が厳しい姿勢で臨むのは、これ以上、民衆の不満が拡大すれば政権批判につながりかねないと懸念しているためだ。北京外交筋は「中国は五輪成功を掲げて社会問題を力ずくで抑え込んできた。そのタガがはずれた今、ちょっとした事件や事故で抑えていた民衆の不満に火がつくことを最も恐れている」と指摘する。
 今年12月の「改革開放政策」満30年を前に、指導部は「科学的発展観」を党の指導理念として定着させるべく、党や政府の各部門で勉強会を繰り返す政治キャンペーンを始めている。「調和の取れた発展」をうたっているが、経済発展重視の従来の基本路線は変更しない構えだ。
 だが、都市と農村の格差や幹部の腐敗問題など、改革開放路線がもたらした負の側面を指摘する声は絶えない。相次ぐ幹部更迭の背景には「見せしめとして、理念に反する者を抑え込む狙いがあるのかもしれない」(日本大使館幹部)との見方も出ている。

◎メラミン:日本人2歳児が被害、粉ミルクで腎臓結石、中国(2008年10月18日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で化学物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石などになった問題で、中国山東省在住の日本人男児(2)が粉ミルクを飲んで腎臓結石にかかっていたことが分かった。北京の日本大使館当局者が18日明らかにした。中国のメラミン汚染で日本人の健康被害が判明したのは初めて。
 男児は生まれて間もないころから中国の大手乳製品メーカー、「三鹿集団」(河北省石家荘市)の粉ミルクを飲んでいたため、メラミン汚染を報道で知った親が心配して地元医療機関で診察を受けた。診察によると、男児の腎臓には小さな結石が確認され、粉ミルクとの関係が強く疑われている。
 ただ、自覚症状はなく入院の必要はないと判断された。初診から3カ月後に再検査を受けることになっているという。中国国内では粉ミルク汚染で診察を受けた乳幼児が5万人以上に達し、なかでも高濃度のメラミンが検出されている「三鹿」を飲んだ乳児に被害が集中している。
 腎臓結石になった男児の父親は日本生まれ、母親は中国生まれ。

◎中国、取材規制緩和を継続、五輪時限措置を条例化(2008年10月18日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国外務省の劉建超報道局長は17日深夜の臨時記者会見で、中国における外国記者の取材活動に関して新たな条例を発表した。北京五輪の臨時措置だった「取材先の同意があれば当局の許可は不要」とする規制緩和を継続する内容で、劉局長は「改革開放の精神に照らし、臨時規定を長期にわたって有効とする」と説明した。
 07年1月に施行された臨時規定は、外国記者の取材に当局の許可を義務づけていた部分を改め、北京パラリンピック終了後の同日までの時限措置としていた。
 この日施行された新条例は一方で、常駐外国記者証など許可証を持たずに取材した場合は「公安機関が取材の停止を命じることができる」と定め、規定や手続きに従っていない場合は「常駐許可の取り消し」も可能とした。取材規制の緩和継続は中国の対外イメージ改善を狙ったとみられるが、地方での取材妨害や記者拘束は続いており、新条例の徹底が今後の課題となりそうだ。

◎<金融危機>破産より中国への身売りを選択へ、欧米企業(2008年10月18日、livedoor news)
 2008年10月16日、ロイター通信社はコラムで、世界的な金融危機が中国の資源企業に海外進出の絶好のチャンスを与えている、と論じた。資金繰りに苦しむ欧米企業は「破産するくらいなら中国企業に身売りするほうが良い」と考え始めているようだ。
 コラムによると、世界第4位の経済規模を誇る中国は長い間、石油や金属など海外の資源関連企業に対する買収や出資を望んできた。だがその道が険しかったことは、05年に中国の国有石油大手、中国海洋石油が米石油会社ユノカル(Unocal Corporation)をライバルである米石油大手シェブロンテキサコ(ChevronTexaco)より有利な条件で買収提案したにも関わらず、中国脅威論が高まっていた当時の米議会の反発を受け、撤退した例が象徴的といえる。
 世界大手の監査法人であるプライスウォーターハウスクーパーズ(PWC)の駐オーストラリア採掘業チーフのTim GoldsmITh氏は、「多くの鉱業プロジェクトが資金不足で頓挫している。オーストラリアは特に厳しい状況だ」と現状を語る。また、中国能源(エネルギー)網の韓暁平(ハン・シャオピン)副総裁は「以前は自ら門を閉ざしていた欧米企業が、『破産するよりは』と進んで身を預けてくるようになった」と指摘した。(翻訳・編集/NN)

◎<カップル就活>就職難で窮余の策!?失業と失恋防止で、上海市(2008年10月18日、livedoor news)
 2008年10月16日、大学生の就職難が続く中、あの手この手で職探しをする学生の中に、恋人とペアで売り込む“珍種”の就職活動を行うカップルがいることが分かった。履歴書の左右に男子学生と女子学生の個人情報が記載してあるという。新民ネットが伝えた。
 このほど上海市の同済大学で行われた外資系企業の就職説明会に参加した大学4年の学生は、自分は企業から就職の声がかかっているがガールフレンドはまだ就職の当てがなく、「2人の履歴書をセットにして一緒に提出するしかない」と言う。
 これには反対する親もいる。有名大学に通う息子を持つ母親は「息子はペア求職をやめたならば6000元(約9万円)の給料で採用するといわれたが、これを拒絶。いまだに就職が決まっていない。専門学校に通うガールフレンドが息子の足を引っ張っている」と訴える。
 ペア就職を望む学生らは卒業と同時に職と恋人を失う「二重の危機」を回避するため、就職活動を共にし同じ会社に入社しようというのだという。
 一方、企業の就職説明会コーディネーターは、ペア求職に難色を示す企業は少なくないという。理由は、社内での2人の接触時間が多くなり仕事に影響する、2人の関係が密接すぎて部門の情報が漏れる恐れがあるなど。同済大学学生就職課も「職業は自分の特性に合わせて選ぶもので、ガールフレンドと一緒に求職し、進退を共にするものではない」とのコメントを発表した。(翻訳・編集/汪葉月)

◎中国製の乾燥全卵からメラミン検出(2008年10月16日、読売新聞)
 三井物産(東京都千代田区)は16日、中国の業者から輸入した乾燥全卵から、有害物質メラミンが検出されたと発表した。
 日本国内で中国産卵製品からメラミンが検出されたのは初めて。検出されたメラミンは4.6~2.8ppmと微量だが、厚生労働省が自主回収の目安にしている2.5ppmを超えており、同省では中国産鶏卵の輸入業者に自主検査の徹底を指示した。現在までに健康被害は報告されていない。
 三井物産などによると、乾燥全卵を製造したのは、中国・大連の大連韓偉食品有限公司。三井物産は先月1日に約20トンを輸入し、全量を食品大手「キユーピー」の子会社「キユーピータマゴ」(調布市)に販売した。このうち、約400キロが岩手県内の製パン会社に納入された。約50万~60万個の菓子パンが製造され、すべて消費された可能性が高いという。
 三井物産には今月6日、大連韓偉食品から「飼育しているニワトリのエサからメラミンが検出された」と連絡が入り、保管していた乾燥全卵の三つのサンプルを検査したところ、そのすべてからメラミンが検出された。一方、キユーピータマゴが4種類の菓子パンを調べたところ、メラミンは検出されなかった。
 三井物産によると、大連韓偉食品は中国最大級の卵製品メーカー。

◆乾燥全卵=鶏卵の黄身と白身を乾燥させ、粉状にしたもので、パンやめん類、菓子などの風味付け、ペットフードの原料に使用される。鶏卵に比べ長期保存が可能。農水省によると、国内に流通するほとんどが輸入品で、2007年度の輸入量は3368トン。米国からが2303トンで最も多く、中国は3位の265トン。

◎中国産インゲンから農薬、1人体調不良、東京・八王子(2008年10月14日、日本経済新聞)
 厚生労働省は15日、東京都八王子市内のスーパーで販売された中国産冷凍インゲンを食べた同市の女性が体調不良を訴えたと発表した。インゲンからは基準値を最大で約3万4500倍上回る高濃度の有機リン系農薬ジクロルボスが検出されたという。同省は「残留ではなく、混入の疑いが高い」として注意を呼びかけるとともに、自治体を通じて商品の販売中止と回収を指示した。
 八王子市保健所は同日、警視庁八王子署に通報。同署は、何者かが混入した疑いもあるとみて捜査を始めた。
 同省によると、女性は11日に八王子市のイトーヨーカドー南大沢店で購入し、12日夜に調理。味見したところ味に異変を感じ、石油のようなにおいを感じたという。女性は舌のしびれやむかつきを感じ、東京都町田市内の病院を受診。一晩入院したが退院し、回復したという。

◎中国黒竜江省、警官の暴行で大学生死亡(2008年10月13日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは13日、中国黒竜江省ハルビン市の飲食店で11日、男子大学生と警官6人が口論となり、大学生が警官らに殴られ死亡したと伝えた。警官はいずれも当局に拘束された。
 同センターによると、警官らは大学生を飲食店から約80メートル離れた場所まで引きずり、服を脱がせた上で「おれたちが誰だか知らないのか」などと叫びながら暴行を加えたという。
 中国の地元メディアは警官らが絡む乱闘事件があり、男性1人が死亡したと伝えていた。

◎中国黒竜江省、警官の暴行で大学生死亡(2008年10月13日、産経新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは13日、中国黒竜江省ハルビン市の飲食店で11日、男子大学生と警官6人が口論となり、大学生が警官らに殴られ死亡したと伝えた。警官はいずれも当局に拘束された。
 同センターによると、警官らは大学生を飲食店から約80メートル離れた場所まで引きずり、服を脱がせた上で「おれたちが誰だか知らないのか」などと叫びながら暴行を加えたという。
 中国の地元メディアは警官らが絡む乱闘事件があり、男性1人が死亡したと伝えていた。

◎貿易黒字が過去最大更新、中国、9月は293億ドル(2008年10月13日、産経新聞)
 中国税関総署は13日、9月の貿易黒字が前年同月比21.9%増の293億ドル(約2兆9500億円)になったと発表した。3カ月連続で前年同月を上回り、前月に続き過去最大を更新した。
 輸出は電気製品などが好調で21.5%増の1364億ドル、輸入は21.3%増の1071億ドルだった。貿易相手別では、金融危機の発端となった米国との貿易が減速したが、欧州連合(EU)や日本とは高水準で推移、インドとの貿易も急増した。

◎メラミン汚染の中国粉ミルク会社など、被害児の両親が提訴(2008年10月10日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】有害物質メラミンに汚染された中国製粉ミルクを飲み、腎結石を患って治療中の広東省の男児(生後11か月)の両親が、粉ミルク製造元の「三鹿集団」(河北省石家荘市)と中国乳業協会を相手取り、治療費など90万元(約1260万円)の支払いを求める訴状を広州市中級人民法院(地裁に相当)に提出したことが、9日分かった。
 男児側の代理人をつとめる弁護士が本紙に明らかにした。
 同法院は8日に訴状を受け取っており、内容を検討の上、受理するかどうか決める。
 弁護士によると、男児は両方の腎臓に結石ができていた。河南省でも同様の訴状が提出されており、今後も提訴に向けた動きが各地で相次ぐ可能性がある。

◎放射性物質「生活困り盗んで転売」、中国の工場保安職員(2008年10月6日、朝日新聞)
 【香港=奥寺淳】6日付の香港紙明報によると、中国広西チワン族自治区貴港で先月、放射性物質「セシウム137」の塊2個がセメント工場から盗まれた。警察が捜査した結果、工場の保安職員が容疑者と判明。「家計が苦しく、盗んで転売した」と話しているという。
 警察に通報されたのは先月24日。セシウムが入った缶がこじ開けられ、中身がなくなっていた。工場の保安職員がどういう物質かよく知らないまま盗み、廃棄物回収業者に104元(約1700円)で転売したという。
 警察が60人態勢で捜した結果、1個は別の廃品店で見つかった。その店主は「もう1個はすでに廃品処理した」と話したが、警察は別の場所にまだセシウムがある可能性があるとして捜査を続けている。

◎中国粉ミルク汚染:メラミン、飼料にも、中国、メーカー3社告発(2008年10月6日、産経新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で粉ミルクが化学物質メラミンに汚染され、乳幼児が腎臓結石になった問題で、中国農業省は5日までに、乳牛などの飼料にも違法にメラミンが混入されていたとして、飼料メーカー3社を公安機関に告発した。牛乳のたんぱく質含有量を多くみせかけるため、メラミン入りの飼料を乳牛に与えていたとみられる。
 同省は今月2日までに牧場や企業など約8万8000社で飼料検査を実施し、151社を行政指導。3社は違法にメラミンを混入した飼料を生産していたとして告発した。

◎北京五輪施設は大人気、でも大気とマナーは逆戻り(2008年10月5日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国の国慶節(10月1日)に伴う大型連休(9月29日から10月5日まで)の間、北京五輪のメーンスタジアム「国家体育場」(愛称・鳥の巣)や競泳会場となった「国家水泳センター」などの五輪施設が一般に開放され、観光客で連日にぎわった。しかし、高額な入場料などに対する国民の不満が高まっているほか、大気汚染や交通渋滞も五輪開催前の劣悪な水準に戻ってしまった。五輪後の北京が“素顔”に戻るまで時間はかからなかったようだ。
 4日正午すぎ。北京中心部から、競技施設などが集まる北京五輪公園に向かう道は、大型バスなどで数キロの渋滞ができていた。
 中国メディアの報道によると、連休期間中、五輪関連施設は観光名所の故宮博物院や万里の長城を上回り、北京で最も人気の高い観光スポットとなった。今月1日には故宮の2倍に当たる24万人が、3日には51万人が訪れた。
 北京五輪は国を挙げての一大イベントだっただけに、当然の現象ともいえそうだが、国民からは不満の声が上がっている。
 施設の入場料が高すぎるのだ。鳥の巣は50元(約800円)、すべての施設を観覧できる総合チケットは100元(約1600円)する。
 2007年の中国の都市住民の平均月収は約1150元(約1万8000円)、農村住民の平均月収が345元(約5500円)という中、この入場料は一般国民にとって高額といえる。
 河北省唐山市から来た会社員の男性(24)は「テレビで感動した場所を自分の目で確かめたかった。一生の思い出になる」と話しながらも、「中学生の弟を連れてきたかったが、値段が高いので断念した」と残念そうな表情をみせた。
 ある中年女性は「五輪成功のために清掃のボランティアに参加するなど、五輪を一生懸命支えたのに、なぜ私たちからお金を取るのか」と憤りが収まらない。
 五輪で熱戦が繰り広げられた主な16施設は、イベント会場やスポーツ普及施設などとして再利用される計画だ。鳥の巣は、投資会社に30年間運営を委託し、北京を拠点とするサッカーチームのホームグラウンドなどに利用される予定。
 また、宿泊施設だった選手村は、高級住宅に改造され、売りに出されている。
 しかし、国が巨額な投資をし、全国民が協力して成功を収めた北京五輪。「一部の業者だけがもうけるのはおかしいではないか」。そんな反発の声も国民から上がっている。
 不満はそれだけではない。五輪を通じて追放されたかにみえた“北京病”が舞い戻ってきたのだ。
 北京の大気汚染指数は、今月2日まで3日連続で「軽度の汚染」とされる基準値を超えて悪化。市内の交通渋滞も五輪開催前の劣悪な状況となっている。
 北京の全市民を巻き込んだ「マナー向上キャンペーン」も最近話題に上らなくなり、行列の割り込みなどは各所で普通にみられるようになってしまった。
 インターネット上でも高額入場料や、復活した大気汚染などへの批判が日増しに増えているのが現状だ。

◎崩れた中国庶民の不動産財テク、利息や元金返済なく相次ぐ暴動(2008年10月2日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国各地で、不動産会社が高利回りをうたい資金を違法に集めたが、利息の支払いや元金の返済ができなくなり、出資した住民が集団で陳情したり、暴動を起こしたりするケースが相次いでいる。北京五輪前の不動産ブームを当て込んだ庶民の安易な金もうけ主義が背景にあるが、五輪後の社会安定を目指す胡錦濤指導部は早期に問題の芽を摘み取りたい考えとみられる。
 「月7%の利息。出資1万元(1元約15円)で月に700元、10万元なら月7000元の収入。仕事をせずに家にいるだけでよかったのに」「利息をあてにマンションを買った。元金だけでも返せ」
 中国紙などによると、湖南省吉首で9月3日から4日夜にかけ、不動産会社が利息の支払いや元金の返還をしないことに出資者の住民が怒り、道路をふさいだり、線路になだれこみ鉄道の運行をストップさせたりした。人権団体などによれば、住民は1万人以上に達し、5000人近い武装警官らと対峙(たいじ)、一部住民は投石したという。
 現地では、不動産会社が2004年ごろから月5~12%という高利で違法な資金集めを行っていたが、数社が元金の返還に行き詰まった。「40社余が資金を集め、世帯の7、8割が参加していた」との声もある。
 出資者は高利回りに目がくらみ、ホテルや娯楽施設の建設など不動産会社の宣伝をうのみにしたようだ。老後の資金や家屋強制撤去の「補償金」を充てたり、銀行から借金をしたり、店舗を売却して出資金を集めたりしたという。
 7月末ごろ、地元政府の幹部らが出資していた元金と利息計7億元を引き出したとの情報も流れ、危機感を感じた出資者が出資金を引き出す事態となり、不動産会社は相次いで元金の返済や利息の支払いを停止したようだ。
 不動産会社は、銀行の貸し渋りなどで不足した開発資金を補うため、高利回りを宣伝し多数から資金を集めたとみられる。銀行の貸し渋りは中央政府が景気過熱を抑制するために金融を引き締めた結果生じた。
 不動産会社はこうして資金を集めたものの、不動産市場の冷え込みなどにより資金繰りを悪化させたとみられる。
 香港の人権団体によると、浙江省麗水でも9月18日に同様の事態で1万人以上の市民が庁舎前などで抗議行動を起こし、当局と衝突、20人が負傷した。不動産5社が約10万人から30億元を集めていたという。
 河南省商丘では「被害総額6億1000万元、被害者7400人規模」の事態となり、7月に補償を求めるデモが起き、予定された北京五輪の聖火リレーが中止された原因になったとみられている。同市では聖火リレーランナーに選ばれていた会社社長が7月初め、5万人から12億元を集めていたとして拘束された。寧夏回族自治区銀川でも同じような問題で9月中旬にデモが起きたようだ。

◎中国で粉ミルク一斉検査、20社31品目からメラミン検出(2008年10月2日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】有害物質メラミンによる乳製品汚染事件で、中国の国家品質監督検査検疫総局は9月30日夜、汚染発覚の発端となった乳児用粉ミルク以外の粉ミルクを一斉検査した結果、国内大手「三鹿集団」(河北省石家荘市)をはじめ20社の製品31品目からメラミンが検出されたと発表した。
 これまで、メラミンは乳児用粉ミルクと牛乳、ヨーグルトで検出されていたが、汚染範囲がさらに拡大したことになる。同総局は20社に対し、31品目の回収を指示した。今のところ、飲用による腎結石発症の報告はないという。
 乳児用以外の粉ミルクは、主に学生や高齢者、妊婦の栄養補助食品として飲用される。今回の調査では、市場占有率が7割を超える計154社について、9月14日以前に製造された265品目を検査。汚染が判明した31品目のうち、約3分の1を三鹿ブランドが占め、メラミン検出量も1キロ・グラム当たり6196ミリ・グラムと最多だった。

◎北京で「ロハス族」急増、五輪契機に環境・健康重視へ(2008年10月1日、産経新聞)
 北京で最近、環境や健康を重視したライフスタイルを追求する「楽活(ロハス)族」が急増している。環境をテーマの一つに掲げた北京五輪の影響もあり、新しい物好きの若者たちには「おしゃれで格好良い生き方」に映るようだ。
 今年1月に創刊された雑誌「LOHAS」の編集者、鍾●(=日へんに句の口が二)芳さん(31)もロハス族。ヨガや水泳に定期的に通い、食生活にも気を使うが「健康のためにストイックになるのではなく、ロハスの中国語訳の通り『楽しく生活』することが一番」と話す。
 約10年前に米国で注目され、日本でも数年前からブームとなっているロハス。鍾さんの雑誌は、環境に優しい生活やストレス軽減法などの記事とともに、おしゃれなスポーツウエアやインテリアの特集が組まれる。中国全土で69万部を発行し、読者は20~40代の高収入の女性がほとんどだ。

◎中国で粉ミルク一斉検査、20社31品目からメラミン検出(2008年10月1日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】有害物質メラミンによる乳製品汚染事件で、中国の国家品質監督検査検疫総局は9月30日夜、汚染発覚の発端となった乳児用粉ミルク以外の粉ミルクを一斉検査した結果、国内大手「三鹿集団」(河北省石家荘市)をはじめ20社の製品31品目からメラミンが検出されたと発表した。
 これまで、メラミンは乳児用粉ミルクと牛乳、ヨーグルトで検出されていたが、汚染範囲がさらに拡大したことになる。同総局は20社に対し、31品目の回収を指示した。今のところ、飲用による腎結石発症の報告はないという。
 乳児用以外の粉ミルクは、主に学生や高齢者、妊婦の栄養補助食品として飲用される。今回の調査では、市場占有率が7割を超える計154社について、9月14日以前に製造された265品目を検査。汚染が判明した31品目のうち、約3分の1を三鹿ブランドが占め、メラミン検出量も1キロ・グラム当たり6196ミリ・グラムと最多だった。

◎中国の粉ミルク、乳児用以外にメラミン、20社31商品(2008年10月1日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】1日付の中国各紙によると、国家品質監督検査検疫総局の検査で、新たに乳児用以外の粉ミルクや調整粉乳で有害物質メラミンが検出された。20企業の31商品にのぼり、いずれも各メーカーや流通段階で大量回収が始まった9月14日以前に生産されたという。
 メラミンの混入はこれまで、乳児用粉ミルクで22社、牛乳で3社の製品から検出されていたが、それ以外の乳製品にも汚染が広がっていたことを中国当局が認めた。
 総局は、全国の粉ミルクメーカー約290社から154社(市場占有率70%以上)を抽出し、9月14日以前に生産され、回収された265商品でメラミンの有無を検査した。乳児用粉ミルク事件の発端となった三鹿集団(河北省石家荘市)とその関連企業に集中しており、含有量が1キログラム当たり6グラム以上に達する商品もあった。ただ、成人の場合は乳児より耐性があり、今のところ腎臓結石などの被害は確認されていないという。

◎メラミン混入、「地下工場」で2007年後半から製造販売(2008年9月30日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】30日の中国各紙によると、粉ミルク、牛乳などに有害物質メラミンが混入された問題で、河北省警察当局は最近、石家荘市で乳牛飼育、牛乳生産にかかわる41業者を捜査し、計222・5キロのメラミンを押収、22人を拘束した。
 当局はまた、メラミン入り「たんぱく粉」を違法に製造し、牛乳生産業者らに売っていた「地下工場」を摘発、容疑者を拘束した。2007年後半から製造販売していたという。

◎メラミン:中国「三鹿集団」の粉ミルク混入で22人拘束(2008年9月29日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】29日の新華社通信によると、中国の大手乳製品メーカー「三鹿集団」(河北省石家荘市)の粉ミルクに化学物質メラミンが混入し、乳幼児が腎臓結石になった問題で、河北省警察当局はメラミンを混入した疑いで、製造工場関係者、牧場経営者ら22人を拘束し、メラミン222.5キロを押収した。警察当局はメラミン混入が組織的に行われた可能性があるとみて、全容解明を急いでいる。
 同省警察当局の調べによると、混入されたメラミンは、製造工場関係者が違法工場で製造。昨年から「プロテイン・パウダー」として牧場などに組織的に売却した。製造自体は罪ではないが、人体に有害であると認識しながら売却したことが違法とされた。

◎【中国毒ギョーザ】公安当局、容疑者数人に絞り込む、犯行は否認(2008年9月29日、産経新聞)
 日中両国で被害者が出た中国製ギョーザ中毒事件を調べている中国の公安当局は、今年6月に中国で起きた事件で、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)の従業員について捜査を進め、容疑者を「数人」まで絞り込んだが、いずれも犯行を否認していることが29日、分かった。中国筋が明らかにした。
 毒物混入事件は立証が難しく、容疑者の自供も得られていないことから捜査が難航している可能性がある。
 中国の公安当局は、8月下旬までに従業員9人について「容疑が濃厚」と判断。中国筋は「いま容疑者として残っているのは数人」と述べ、その後さらに絞り込みが進んだことを示唆した。(共同)

◎中国で役人解任の嵐、切り捨てて党中央の権威守る?(2008年9月23日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】粉ミルク汚染など重大な事件・事故を巡り、中国の政府高官、地方幹部が続々解任されている。
 9月中旬以降、4件に絡んで約20人が更迭され、中国メディアはその激しさを「未曽有の嵐」と形容する。北京五輪終了後、社会問題が再び噴き出した中国。胡錦濤政権は、民衆の怒りを集めた役人を切り捨てる“正義の味方”役を演じ始めた。共産党中央の権威を守るためだ。
 粉ミルク事件では、22日に国家品質監督検査検疫総局長(閣僚級)のほか、メーカーのある河北省石家荘市のトップが更迭された。同市の主要幹部は軒並み解任された。
 同日、河南省登封市では、大規模炭鉱事故の責任をとらされ、市長、副市長の免職が決まった。21日には、43人が死亡した深センのナイトクラブ火災で地区指導者が免職となっている。(深センのセンは土ヘンに「川」)
 政権の決意を示したのが、胡氏に近いとされる孟学農・山西省長の辞任。人災要因が強い土石流で250人以上の犠牲者を出した責任をとらされた。
 解任の「嵐」は、民衆の怒りが強く、社会の安定が脅かされた時に吹く。五輪前の7月~8月初めにも、政権は、大規模な官民衝突が起こった貴州省甕安(おうあん)県や雲南省孟連県の指導者らを解任、とりあえず安定を回復している。
 幹部解任は、安定維持、党中央の権威の維持・向上に実際の効果を持つ。
 都市部、農村部を問わず、社会に不満を抱く民衆の多くが、「庶民の苦しみを分かってくれる胡主席や温家宝首相はとても尊敬できる。だが、現場の腐敗役人は最悪だ」と話す。北京に来る直訴者をはじめ、胡氏らが腐敗役人を「懲らしめる」のを待つ人々は、全国に広く存在している。
 官民衝突に詳しい党関係者は、「“皇帝の善政”を待ち望む大衆心理は強い。党中央の権威が維持されていれば、各地の民衆の怒りは孤立したままであり、反政府で一体化することはない」と指摘する。「中央の権威維持」とは、メンツだけの問題ではない。
 政権の思惑を裏付けるように、中国での解任報道には、「中央が粉ミルク事件の責任者を厳しく処分」など、勧善懲悪的な表現が目立つ。解任の嵐もまた、一種の政治宣伝といえる。同時に、そうした手法に頼らなくてはならない党の苦境を示すものともいえる。
 解任の嵐が、党中枢である政治局員以上に及ぶ可能性は小さい。党関係者は「彼らは、党分裂など政治的誤りを犯さない限り切られない」と断言する。

◎中国の汚染粉ミルク被害者が製造元提訴、240万円請求(2008年9月27日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲み、腎結石などを患って入院中の河南省の男児(1)の両親が、粉ミルク製造元の「三鹿集団」(河北省石家荘市)を相手取り、治療費など15万元(約240万円)を求める訴状を地元人民法院に提出したことが、26日分かった。
 男児側の代理人弁護士が読売新聞に明らかにした。同法院は近く正式に受理するかどうか決定する。
 粉ミルク汚染事件で、提訴に向けた具体的な動きが判明したのは初めて。同事件で病院にかかった乳幼児は全国で5万人を超えており、今後、同様の動きが相次ぐ可能性がある。
 弁護士によると、男児は、腎臓や尿道などに結石ができ、腎機能が衰弱していたという。

◎粉ミルク含む中国製食品、EUが禁輸へ(2008年9月26日、朝日新聞)
 【ブリュッセル=井田香奈子】中国の粉ミルクなどに有害物質メラミンが含まれていた問題で、欧州連合(EU)の欧州委員会は25日、粉ミルクを含む子ども向けの中国製食品の輸入を禁止することを加盟国に提案した。早ければ26日から実施する。
 主に想定されているのはクッキー、チョコレートなどの菓子類。欧州委によると、EU域内ではこれまでメラミンを含む中国製食品は確認されていない。

◎中国のIT情報開示制度、日米欧の経済界が懸念表明へ(2008年9月25日、日本経済新聞)
 【成都=馬場燃】中国がIT(情報技術)製品のソフトの設計情報開示を新しく求める制度の導入計画を進めていることを受け、日米欧の経済界が共同で懸念を表明する検討に入った。ソフトの設計情報は通常、知的財産権の保護対象となる機密情報であるほか、外国企業にとって貿易の障壁になりかねないと再考を促す。
 この制度は「ITセキュリティー製品の強制認証」と呼ばれ、中国政府が外国企業にIT製品を制御するソフトウエアの設計図を開示するよう迫る。対象は「基本ソフト(OS)一体型の製品」「ネットワークの監視システム」など13分野にのぼる。情報を開示しない場合は中国で製品を販売できなくなる。

◎メラミン禍:粉ミルクから致死性菌、中国紙(2008年9月23日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国の大手乳製品メーカー「三鹿集団」(河北省石家荘市)の粉ミルクに化学物質メラミンが混入し、乳幼児が腎臓結石などになった問題で、22日付の中国紙・蘭州日報によると、中国甘粛省当局は同社製の粉ミルクから新たに髄膜炎や腸炎を引き起こす恐れがある細菌、エンテロバクター・サカザキが検出されたと公表した。
 世界保健機関(WHO)によると、エンテロバクター・サカザキは感染した乳幼児の20~50%が死亡したとの報告があり、死亡に至らない場合も、神経障害など重い合併症にかかる恐れがある。
 北京市でも昨年7月、同市で販売されている粉ミルク58点とビーフン51点を検査したところ、全体の6%にあたる粉ミルク3点、ビーフン4点からエンテロバクター・サカザキが検出されて問題になっていた。

◎中国汚染粉ミルクの「三鹿集団」返品殺到、石家荘(2008年9月23日、読売新聞)
 【石家荘(中国河北省)=牧野田亨】中国で起きた粉ミルク汚染事件で、最初に製品の汚染が発覚した国内大手「三鹿集団」(河北省石家荘市)の本社には、返品した商品の代金支払いを求める卸売業者が押しかけるなど混乱が続いている。
 石家荘市は製品の冷凍ギョーザが日中両国で中毒事件を起こした「天洋食品」もある街。市民の間では「また街のイメージが悪くなる」との声が漏れた。
 三鹿集団社屋のロビー周辺には、全国から集まった卸売業者約100人が座り込んでいた。近くの駐車場には、返品された粉ミルクの箱が1000箱以上置かれている。
 「指示に従って返品したのに、三鹿は支払い済みの代金を返さない」。河南省から来たという男性(37)は怒りをあらわにした。会社側との交渉は難航し、人数は日に日に増えているという。
 同社の粉ミルク販売量は国内1位。前身の企業時代を含めると50年以上の歴史があり、住民にも親しまれてきた。返品に来た女性(26)は「私の周りも三鹿の粉ミルクを使っている。それがこんなことになるなんて」と嘆いた。
 三鹿集団から車で20分ほど離れた場所に、天洋食品の工場がある。すでに操業を停止して半年以上過ぎ、三鹿集団周辺とは対照的に、敷地内にほとんど人影はなかった。近くの男性(32)は「ギョーザ騒ぎが終わったら、今度は粉ミルク。一体どうなっているのか」とため息をついた。
 天洋食品のギョーザを巡っては、中国当局は国内犯行との見方を強め、本格的な捜査をしている。公安筋によると、延べ1000人の従業員らから事情聴取したほか、有力情報に30万元(約480万円)の報奨金も出すことを決めた。
 だが、粉ミルク事件発覚後、公安当局は専門チームを作って28人を逮捕・拘束するなど、この事件解決に全力を挙げている。河北省政府当局者は22日、本紙に「粉ミルク事件は世界的な問題。最優先で取り組む課題だ」と語った。日中筋の間では「ギョーザ事件の捜査が後回しにされるのでは」との懸念が広がっている。

◎ミルク汚染で引責、中国の閣僚級・食品検査総局長が辞任(2008年9月22日、読売新聞)
 【北京=竹内誠一郎】中国中央テレビは22日、食品の安全などを監督する国家品質監督検査検疫総局のトップで閣僚級の李長江総局長が辞任したと伝えた。
 共産党中央・政府は、多数の乳幼児に被害を出した粉ミルク汚染事件で、多くのメーカーが有害物質メラミンを混入させていたことに対する監督管理責任を認め、李局長の辞任申し出に同意した。
 事実上の解任で、今回事件を巡って中央省庁の高官が辞任するのは初めて。李氏は、2001年に総局長に就任。在任中は、冷凍ギョーザ中毒事件など中国の「食の安全」に関する不祥事が相次いだ。
 また、党・政府は、製造元の「三鹿集団」がある河北省石家荘市のトップ、呉顕国・同市共産党委員会書記を解任した。中央テレビは「事件を直ちに上部に報告せず、処理に手落ちがあった」と伝えた。同市ではすでに、冀純堂市長が解任されている。解任は、食の安全などに関する大規模事故で政府が定めた責任追及規定を適用したという。

◎「ホワイトラビット」からメラミン検出、シンガポール政府発表(2008年9月22日、読売新聞)
 【シンガポール=伊藤彰浩】中国で発生した有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件に関連し、シンガポールの農業・食品・獣医庁は21日、中国の土産物として日本でも知られる「ホワイトラビット(大白兎)」ブランドのミルクキャンデーからメラミンが検出されたと発表した。
 製品は同ブランドの主力商品「クリーミーキャンデー」で、同庁は購入済みの消費者に食用を避けるよう呼びかけた。
 「ホワイトラビット」は中国・上海の老舗食品企業「冠生園」の有名商標で、このキャンデーは1972年に訪中したニクソン米大統領(当時)に周恩来首相(同)が贈ったことでも知られている。
 シンガポールの輸入代理店は問題の商品が「冠生園」の製品であることを認めているが、中国国内では、この商品からのメラミン検出は報じられておらず、波紋が広がる恐れがある。

◎中国粉ミルク汚染:メーカー、賠償と再発防止誓う、21社が中国政府に提出(2008年9月22日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で化学物質メラミンが混入した粉ミルクを飲んだ乳児が腎臓結石などになった問題で、製品からメラミンが検出された「伊利」「蒙牛」「光明」などメーカー21社は20日、被害者への賠償や再発防止策を盛り込んだ「品質安全誓約書」を中国政府に提出した。中国中央テレビは21日、各社の代表が誓約書を読み上げ、頭を下げて謝罪する場面を放映した。
 誓約内容は、統一基準による被害賠償▽汚染製品の生産停止と回収▽原材料と製品の検査厳格化--など。誓約書を受け取った国家品質監督検査検疫総局の蒲長城・副局長は「今後、食品原料以外のものを違法に添加した企業、個人は厳しく処罰する」と表明した。

◎メラミン粉ミルク事件、発覚遅れに当局の「隠ぺい説」も(2008年9月22日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国で乳幼児が有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲み、腎結石になった事件では、最初に製品の汚染が発覚した国内大手「三鹿集団」(河北省石家荘市)の当局への報告が大幅に遅れたほか、行政の対応も後手に回った。
 一部には、8月の北京五輪への悪影響を懸念した「隠ぺい説」などを指摘する声も出ている。公安当局は同社の汚染事件にからみ、原乳の仲買人ら28人を逮捕・拘束。中国紙によると、「混入は2005年4月に始まり、関係者にメラミンを販売するネットワークがあった」と供述しているという。供述通りなら、汚染が3年以上も見逃されていたことになるが、検査当局幹部は13日の記者会見で、「通常の検査では、(混入が)予測できない化学物質の検査は行っていない」と説明した。
 河北省の楊崇勇副省長は中国紙に対し、同社は8月2日に石家荘市に汚染を報告したが、同市は9月9日まで河北省に報告しなかったことを明らかにした。北京五輪は同市が報告を受けた直後の8月8日に開幕、同24日に終了した。

◎中国汚染ミルク、乳児の被害5万人以上、衛生省発表(2008年9月22日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国衛生省は21日、化学物質メラミン入りの粉ミルクが原因で腎臓結石となり、医療機関で治療を受けた乳児が全国で5万4千人を超えたと発表した。事件の発端となった三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクが原因としており、その他の粉ミルクや牛乳では症例が出ていないとしている。
 衛生省によると、外来診療後に健康を回復した乳児は3万9965人、現在も入院中の乳児が1万2892人で、このうち104人は重症という。このほか、1579人は入院後に退院していた。
 また、受診したうち2歳未満の乳児が全体の8割、2歳以上3歳未満が2割弱、3歳以上は1%未満だった。

◎中国汚染ミルク、香港、台湾、シンガポールでも(2008年9月22日、朝日新聞)
 【香港=奥寺淳、シンガポール=杉井昭仁】中国製の牛乳や乳製品が化学物質メラミンに汚染されていた問題は21日、香港や台湾、シンガポールにも相次いで飛び火した。香港では世界最大手の食品メーカー、ネスレ(スイス)の中国製牛乳からメラミンが検出され、政府機関がネスレに製品回収を求めている。被害はさらに拡大する勢いだ。
 香港でメラミンが検出されたのは、中国山東省青島で製造された業務用の「ネスレ・デイリー・ファーム・ピュア・ミルク」(1リットル)。香港政府の食品安全センターによると、メラミンの濃度は1.4ppmで「通常に飲む程度なら健康に影響はないが、子供には飲ませない方がいい」(同センター)としている。
 また、香港の大手スーパー各社は、ネスレの中国産粉ミルクも撤去を始めた。香港紙・蘋果日報が乳製品の調査を検査機関に独自に依頼した結果、黒竜江省製のネスレの粉ミルク(900グラム缶)からメラミンが検出されたと21日付で報じたため。濃度は0.6ppmと微量だったという。
 これに対し、ネスレは「どの製品もメラミンに汚染されていない自信がある。中国の農家とも緊密な関係を築き、牛乳の質の向上を指導している」と発表し、報道の根拠はあいまいだと批判した。
 一方、台湾の衛生当局は21日、粉ミルクなどすべての中国産の乳製品の輸入を全面的に禁止すると発表し、即日実施した。飲料メーカー「金車」がインスタントコーヒーに使っていた中国産原材料から微量のメラミンが検出されたといい、同社も製品の回収を始めた。
 シンガポールの農業・食品・獣医庁も、中国製の「ホワイト・ラビット・クリーミー・キャンディー(大白兔乳糖)」からメラミンを検出。中国製の牛乳と乳製品、中国製牛乳を原材料に含む菓子類の輸入・販売を全面禁止し、地元食品メーカーにも使わないよう命じた。

◎世界最大手のネスレ牛乳からもメラミン検出、香港政府発表(2008年9月21日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】中国での有害物質メラミンによるミルク汚染事件で、香港政府は21日夜、スイスの世界最大手の食品・飲料メーカー「ネスレ」(中国名・雀巣)が中国で製造し、香港でも流通している牛乳からメラミンが検出されたと発表した。
 通常の飲用では健康に重大な影響はない軽度の汚染だが、香港政府はこの牛乳の販売停止と回収を飲食業界に要請するとともに、「小さな子供には飲ませないように」と警告している。
 発表によると、メラミンが検出されたのは、山東省青島にある「青島雀巣有限公司」が製造した牛乳(1リットルパック)。この牛乳を体重7.5キロ・グラムの1歳の子供が1日3.38リットル飲めば、米食品医薬品局(FDA)の安全基準値を上回ることになるという。

◎メラミン乳:「伊利」などメーカー21社、謝罪と誓約書(2008年9月21日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で化学物質メラミンが混入した粉ミルクを飲んだ乳児が腎臓結石などになった問題で、製品からメラミンが検出された「伊利」「蒙牛」「光明」などメーカー21社は20日、被害者への賠償や再発防止策を盛り込んだ「品質安全誓約書」を中国政府に提出した。中国中央テレビは21日、各社の代表が誓約書を読み上げ、頭を下げて謝罪する場面を放映した。
 誓約内容は、統一基準による被害賠償▽汚染製品の生産停止と回収▽原材料と製品の検査厳格化--など。誓約書を受け取った国家品質監督検査検疫総局の蒲長城・副局長は「今後、食品原料以外のものを違法に添加した企業、個人は厳しく処罰する」と表明した。

◎中国:群集1万人が警官隊と衝突、浙江省の市庁舎前(2008年9月20日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」は20日、中国浙江省麗水市で18日、1万人を超える群集が不動産投資に絡む抗議のため市庁舎前などに押し掛け、警官隊と衝突し20人が負傷したと発表した。さらに大規模な抗議行動が起こる可能性もあるという。
 同センターによると、麗水市の不動産業者5社は04年から、高利息の不動産投資を募集。約10万人から30億元(約450億円)を集めたが、資金繰りに行き詰まったため今月に入り2社が利息の支払いを停止した。市公安当局が18日に1社の経営者を逮捕し、口座を凍結したところ、出資した市民が会社や市庁舎に群がったという。

◎中国、ヨーグルト製品からもメラミン検出(2008年9月20日、読売新聞)
・被害が拡大、死者5人に
 【北京=牧野田亨】中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎結石になった事件で、中国国家品質監督検査検疫総局は19日、乳製品メーカー大手の「蒙牛」「伊利」「光明」の3社について、牛乳に加え、ヨーグルト製品からもメラミンが検出されていたことを明らかにした。3社は牛乳同様、自主回収を始めた。在北京日本大使館によると、日本にはどちらも輸出されていないという。
 また、江西省のニュースサイト「大江網」は同日、同省で7月に男児1人が腎結石で死亡していたと伝えた。新疆ウイグル自治区でも1人の死亡が確認され、死者数は計5人になった。
 同サイトによると、江西省の死者は生後6か月で、「三鹿集団」(河北省石家荘市)が製造・販売した汚染粉ミルクを飲んでいた。これまでの死者は甘粛省2人、浙江省1人だった。被害が拡大している現状を受け、北京など23省・市の弁護士73人が弁護団を結成、訴訟を視野に被害者からの相談受け付けを始めた。

・胡主席が幹部を批判
 【北京=杉山祐之】中国中央テレビによると、胡錦濤・共産党総書記は19日、北京の中央党校で開かれた会議で演説し、汚染粉ミルク事件など「食の安全」問題が続発していることについて、「一部幹部は危機意識が足りず、管理が緩んでいる」と関係者を厳しく批判した。

・輸入粉ミルク求め香港へ、中国住民急増
 中国での有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件を受け、香港に外国製粉ミルクを買い出しに来る中国本土の住民が急増、香港の一部小売店では輸入粉ミルクの販売制限も始まった。
 香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストなどによると、中国との境界に近い上水地区では、事件発覚後、輸入粉ミルクの買いだめをしようとする中国人客が急増。小売店側は、香港人客への供給確保のため、中国人客に対し、1人あたり2~4缶に販売を制限した。日本製粉ミルクを扱うネットショップも人気の的。中国内から注文が相次ぎ、1週間で売り上げが3倍に跳ね上がった店もあるという。

◎不動産投資で損失、中国・浙江省で1万人が抗議デモ(2008年9月21日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターは20日、浙江省麗水市で18日、不動産開発企業による違法な資金集めで損失を受けた出資者1万人以上が市庁舎前などで抗議デモを行い、警官隊と衝突、20人が負傷したと発表した。
 さらに大規模な抗議デモが起きる可能性があるとして、当局は厳戒態勢に入った。
 麗水市の不動産企業5社が2004年以来、高利回りをうたい文句に約10万人から30億元(約470億円)の資金を集めたが、今年に入り資金繰りが悪化。当局が18日に1社の経営者を拘束、口座を凍結したため、出資者らが市庁舎などに押しかけた。
 同センターによると、中国各地では北京五輪前の不動産ブームを当て込んだ資金集めが行われたが、市況の冷え込みで不動産企業の資金繰りが苦しくなっている。

◎宗教の自由侵害「特に懸念」、中国など8か国指定、米報告書(2008年9月20日、読売新聞)
 【ワシントン=宮崎健雄】米国務省は19日、各国の宗教の自由に関する2008年版の年次報告書を発表し、宗教の自由の侵害が「特に懸念される国」として、中国や北朝鮮など8か国を昨年に続いて指定した。
 報告書は中国について、8月の北京五輪期間中、当局が政府非公認の教会を閉鎖させたり、数人の外国人活動家を「違法な宗教活動をした」などとして拘束、ビザを取り消したりしたと報じられていることを指摘。またこの1年で、チベット自治区や新疆ウイグル自治区の弾圧が強まり、3月のチベット自治区の暴動を機に、中国政府当局者がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世への批判を強めているとした。
 また北朝鮮については、「真の宗教の自由は存在しない」と厳しく批判。金正日総書記や父親の故・金日成主席の個人崇拝が政権イデオロギーの支えであり、国教のようになっていると分析している。
 特に懸念される国には、中朝のほかミャンマー、エリトリア、イラン、サウジアラビア、スーダン、ウズベキスタンが指定された。

◎“魚が色白に”養殖魚の餌からメラミン、中国産が原料(2008年9月20日、スポーツニッポン)
 韓国農林水産食品省は20日までに、全羅北道の飼料会社が販売した養殖魚の餌から、中国で粉ミルクなどへの混入により健康被害が拡大している有機化合物メラミンが検出されたことを明らかにした。餌は粉末状にしたイカの内臓が主原料で、韓国産と中国産を混ぜて作っていた。韓国メディアが一斉に報じた。
 聯合ニュースによると、4~6月に韓国内の16の養殖業者から、同社の餌を与えた魚に色が白くなるなどの異常が見つかったとの報告が寄せられたため、国の施設で餌に含まれる成分を調べたという。
 飼料会社などが問題の餌の自主回収を進めている。

◎工場内の毒物混入「ありえない」、中国のあん製造元(2008年9月20日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】長野市の菓子製造業「丸生本店」で粒あんを味見した従業員が手足のしびれなどを訴えた問題で、あんを製造した中国・青島の「青島冨士嘉食品有限公司」の従業員は20日、本紙の電話取材に対し、「工場内で製品に毒物が入ることはありえない。とても驚いている」と語った。
 また、「私たちが毒物を入れる理由はない。過去約20年間にわたり日本に輸出しているが、問題が起きたことは一度もない」と述べた。
 この従業員によると、あんの製造工程は完全に機械化され、まとめて大量に製造されるため、一袋にだけ問題が出ることは考えにくいという。

◎石油みたい、異臭あんこは中国・青島の工場で製造(2008年9月20日、スポーツニッポン)
 長野市の食品製造販売会社「丸生本店」の従業員2人があんこを味見し、嘔吐や手足のしびれを訴えた問題で、あんこは長野市の納入業者が中国に持つ合弁企業の工場で作られていたことが20日、分かった。
 長野市保健所が19日に行った簡易検査では有機リン系などの物質は検出されなかったが、あんこは石油のようなにおいがしたといい、同保健所と長野県警が成分を詳しく調べている。
 納入業者によると、問題のあんこは3月に中国・青島市の合弁企業の工場で製造された砂糖入りの小倉あん。密封し、一袋5キロ入り4袋を1箱に梱包、船で日本に運ばれた。賞味期限は1年間。
 同社は「問題があったのは7月中旬以降に輸入した約270箱のうちの1袋だけ。製造過程で何かが混入したとは考えにくい」と説明した。
 丸生本店の従業員2人は19日午後3時ごろ、彼岸用のおはぎを作るため、真空パックを開封し、刺激臭がしたため、指ですくって味見した。

◎敵機来襲?上海で防空警報鳴り響く(2008年9月20日、スポーツニッポン)
 中国最大の経済都市、上海市のうち浦東、虹橋の両国際空港周辺を除く地域で20日午前、防空警報の試験が行われ、サイレンが一斉に鳴り響いた。
 同市ではこれまでも地域を限定し、警報を使った防空演習が行われているが、上海紙によると、市内のほぼ全域で警報の試験が行われたのは、1949年の新中国成立以来、初めてという。
 20日は「全民国防教育日」とされ、市当局は、防空警報システムの検査や市民の国防意識向上が目的としている。

◎ヨーグルトもメラミン汚染、中国の粉ミルク死者は5人に(2008年9月20日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎結石になった事件で、中国国家品質監督検査検疫総局は19日、乳製品メーカー大手の「蒙牛」「伊利」「光明」の3社について、牛乳に加え、ヨーグルト製品からもメラミンが検出されていたことを明らかにした。
 3社は牛乳同様、自主回収を始めた。在北京日本大使館によると、日本にはどちらも輸出されていないという。
 また、江西省のニュースサイト「大江網」は同日、同省で7月に男児1人が腎結石で死亡していたと伝えた。新疆ウイグル自治区でも1人の死亡が確認され、死者数は計5人になった。
 同サイトによると、江西省の死者は生後6か月で、「三鹿集団」(河北省石家荘市)が製造・販売した汚染粉ミルクを飲んでいた。被害が拡大している現状を受け、北京、河南など23省・市の弁護士73人が弁護団を結成、訴訟を視野に被害者からの相談受け付けを始めた。

◆輸入粉ミルク求め香港へ
 中国での有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件を受け、香港に外国製粉ミルクを買い出しに来る中国本土の住民が急増、香港の一部小売店では輸入粉ミルクの販売制限も始まった。
 香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストなどによると、中国との境界に近い上水地区では、事件発覚後、輸入粉ミルクの買いだめをしようとする中国人客が急増。小売店側は、香港人客への供給確保のため、中国人客に対し、1人あたり2~4缶に販売を制限した。日本製粉ミルクを扱うネットショップも人気の的。中国内から注文が相次ぎ、1週間で売り上げが3倍に跳ね上がった店もあるという。(香港支局 吉田健一)

◎中国のメラミン乳製品事件、死者は計5人に(2008年9月20日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国江西省のニュースサイト「大江網」の19日の報道によると、同省内で、三鹿集団(河北省石家荘市)製粉ミルクを飲んだ6カ月の乳児が腎臓結石となり死亡していた。化学物質メラミンが乳製品に混入した一連の事件による犠牲者は5人目となった。
 北京の日本大使館は19日、メラミンが混入した牛乳と粉ミルクが日本に輸出されていないことを確認した。日本向け加工品に使われていた可能性を引き続き調べている。

◎汚染乳製品メーカーの「蒙牛」が謝罪(2008年9月19日、日本経済新聞)
 【香港=吉田渉】乳製品への有害物質メラミン混入が発覚した「中国蒙牛乳業」の姚同山・最高財務責任者(CFO)は19日、香港で開いた決算発表記者会見の席で、汚染商品を摂取して健康を害した消費者に謝罪した。原因については「政府と共同で調査中だ」と述べるにとどめた。そのうえで「(大きな問題となっている)粉ミルク事業の比重は低く、業績への影響は大きくない」と強調した。

◎中国:牛乳からもメラミン、汚染粉ミルク、集団訴訟を準備(2008年9月19日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国の大手乳製品メーカー「三鹿集団」(本社・河北省石家荘市)が製造した粉ミルクに有機化合物メラミンが混入し、乳幼児が腎臓結石などにかかった事件で、新疆ウイグル自治区政府は18日、同自治区で乳児1人が死亡したと発表した。これまで甘粛省2人、浙江省1人が死亡しており、死者は計4人となった。
 事件では三鹿集団のほか全国21社の粉ミルクからもメラミンが検出され、中国全土で6200人以上の健康被害が報告されている。中国中央テレビは同日、大手乳業メーカー3社の牛乳からもメラミンが検出されたと報じた。
 中国国民の「食の安全」への不信感が強まる中で18日、今回の事件の被害者や弁護士が、製造業者と政府機関を相手取った集団訴訟を準備していることが分かった。中国で政府と大手企業を相手取った集団訴訟は、極めて異例。既に中国14省市の弁護士31人による被害者弁護団が結成されている。
 中心メンバーの弁護士は毎日新聞の取材に「個人で訴えても勝訴できる可能性が低く、集団訴訟が最良の方法。業者だけでなく、政府機関に違法行為があれば一括して責任を問いたい」と語った。
 中国では近年、環境汚染や強制立ち退きをめぐる行政訴訟が増加しているが、住民側が勝訴することは極めてまれだ。準備段階で、原告側が当局から訴訟を起こさないよう強い圧力を受けることもあるといわれる。一方で、公正な裁判を通じた消費者保護の必要性が指摘されている。

◎中国:汚染粉ミルク、国民に衝撃、わが子が危ない(2008年9月19日、毎日新聞)
 中国の大手乳製品メーカー「三鹿集団」製の粉ミルクに有機化合物メラミンが混入し、多数の乳幼児が腎臓結石などにかかった事件は、「一人っ子」政策で子供を大切にする中国国民に強い衝撃を与えている。政府は対策を急ぐが、一方で地元当局が混入の事実を隠ぺいした疑いが濃厚になりつつある。経済成長で生活が豊かになるなかで、一向に改善されない「食の安全」問題への批判の矛先は、中国政府に向かいつつある。【北京・浦松丈二、上海・鈴木玲子、台北・庄司哲也】

◇「国産飲めぬ」…母が怒り
 「母乳よりも栄養が豊富という宣伝を信じて、高い粉ミルクを購入してきたのに」。北京市内で18日、「三鹿集団」の製品を子どもに飲ませてきたという母親は、事件に怒りをあらわにした。
 事件の影響は中国全土に波及している。上海市内の大手スーパーでは、商品棚からほとんどの国産粉ミルクが撤去され、割高な外資との合弁企業の製品が人気を集める。米国ブランドの粉ミルクを購入した1歳の男児の母親(30)は「国内大手のブランドからメラミンが検出されたと聞いて、本当に驚いた」と不安を隠さない。別の母親は「国産は怖くて、私の周りではだれも飲んでいないわ」と明かした。
 18日付香港紙「文匯報」(電子版)によると、香港では中国以外のメーカーの粉ミルクを買い求める客が殺到し、1人2缶までの制限を設ける店も出ている。香港では、乳製品だけでなく、パンなど牛乳を使用した製品へも、市民の不安が波及している。
 メラミン混入の背景には、経済成長による生活スタイルの変化で、乳製品の消費が毎年20%近い伸び率で急増していることがある。逮捕された搾乳業者は、品薄の牛乳に水を入れて薄め、たんぱく質の含有量検査をパスさせるため、メラミンを混ぜたと供述している。

◇地方政府は1カ月放置
 「乳製品市場の混乱や検査体制の不備、力不足を反映したものであり、責任をもって改善を進めなければならない」。18日付の中国各紙によると、温家宝・中国首相は17日、対策会議を開き、事件についてそう強調した。
 中国政府は、国民の関心の高い「食の安全」を重視し、関連法を制定するなど対策を急いできた。17日の会議では、(1)責任者の厳格な処分(2)被害者の医療無料化の徹底(3)補助金支給による乳製品の増産促進などが決まった。
 しかし、中央の方針と地方政府の実態はかけ離れている。18日付の中国紙・新京報によると、「三鹿集団」が本社を置く河北省石家荘市は、同社からメラミン混入の報告を受けながら、約1カ月間も河北省に報告していなかった。
 また、被害者の相談を受けている弁護士によると、地方では医療無料化の方針が完全には守られておらず、粉ミルクを飲んで体調が悪化した乳幼児も同じように診察料を請求されるケースが相次いでいるという。
 メラミン混入をめぐっては昨年、米国でペットフードを食べた犬や猫が相次いで死亡し、原料の中国製小麦グルテンにメラミンが混入していたことが判明した。ペットフードへのメラミン混入が粉ミルクにまで拡大したことで、政府の思惑とは裏腹に効果的な対策がとれていない実態が、浮き彫りとなった。

◇粉ミルク事件…患者6200人超す
 中国甘粛省蘭州市の医師が今月8日、同じ粉ミルクを使っていた乳児14人が腎臓結石の治療を受けたと公表した。その後、全国で被害が報告され、18日までに患者は6200人を超えた。河北省石家荘市のメーカー、「三鹿集団」が05年4月から粉ミルクにメラミンを混入していたのが原因だったが、中国政府の検査の結果、伊利、蒙牛など大手乳業メーカーを含む21社の粉ミルク製品からもメラミンが検出された。一部は、台湾、バングラデシュ、ミャンマー、イエメン、ニュージーランドにも輸出されていた。18日までに、三鹿集団の元代表や搾乳業者ら計18人が逮捕・拘束されたほか、石家荘市党委員会副書記が免職となった。

◎中国で牛乳からも有害物質メラミン、大手3社が自主回収へ(2008年9月19日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国中央テレビは18日、有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件を受け、中国政府が全乳製品を対象に実施している品質検査で、国内大手メーカーの「蒙牛」「伊利」「光明」の3社が製造、販売する牛乳からもメラミンが検出されたと伝えた。
 粉ミルク以外の乳製品から検出されたのは初めて。
 同テレビは「検出量は微量で健康に大きな影響はない」としているが、中国政府は3社に対し、自主回収を指示した。
 一方、乳幼児が腎結石になった事件では、18日付の中国紙「新京報」が河北省の楊崇勇副省長の話として、同省石家荘市が市内の乳製品メーカー「三鹿集団」から8月2日に粉ミルク汚染の報告を受けながら、今月9日まで省に報告しなかったと伝えた。楊副省長は市の対応について「企業と癒着がなかったかどうか調査中だ」と語った。
 また、楊副省長は中国紙「21世紀経済報道」の取材に対し、牛乳にメラミンを混入してたんぱく質含有量を高める手口が2005年4月から行われていたことを明らかにした。中国外務省の姜瑜・副報道局長は18日の定例記者会見で、国内2社が汚染粉ミルクをミャンマーなど5か国に輸出しており、回収を指示したことを明らかにした。

◎「IT製品、ソースコード開示せよ」、中国が外国企業に要求へ(2008年9月19日、読売新聞)
 中国政府が外国企業に対し、デジタル家電などの中核となる製品情報を中国当局に開示するよう命じる新制度を2009年5月から導入する方針であることが18日わかった。
 対象はICカードやデジタル複写機のほか、薄型テレビなども含まれる可能性がある。開示を拒否すれば、その製品の対中輸出や中国での現地生産、販売が一切禁止される。企業の知的財産が中国企業に流出するおそれがあるほか、デジタル機器の暗号技術が中国側に筒抜けとなる安全保障上の懸念もある。経済産業省や米通商代表部(USTR)などは制度の撤回を強く求める構えで、深刻な通商問題に発展する可能性がある。
 中国は、新制度を「ITセキュリティー製品の強制認証制度」と呼んでいる。具体的には、対象となる製品について、デジタル家電などを制御するソフトウエアの設計図である「ソースコード」の開示を外国企業に強制する。対象製品は、開示されたソースコードに基づく試験と認証機関による検査に合格しないと中国で製品を販売出来ないという、国際的に例のない制度だ。
 新制度の対象としては、ソニーが開発した非接触ICカード技術「フェリカ」や、デジタル複写機、コンピューターサーバーなど、暗号機能が含まれる製品が有力。
 中国政府は、ソースコードの開示を求める狙いについて、ソフトの欠陥を狙ったコンピューターウイルスや、コンピューターへの不正侵入を防ぐためと説明している。
 しかし、開示内容が中国政府を通じて中国企業に漏れる恐れはぬぐえない。そのうえ、日本製デジタル機器の暗号情報も見破られやすくなり、中国の諜報(ちょうほう)活動などに利用される懸念も指摘されている。
 業界団体の試算によると、日本企業の対象製品は、現在の中国国内での売上高で1兆円規模に上る可能性がある。在中の日米欧の経済団体は、連名で中国当局に懸念を表明する方針だ。

◎中国、牛乳も汚染、粉ミルク混入は行政が隠ぺいか(2008年9月19日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の国営中央テレビは18日、国家品質監督検査検疫総局が大手乳業メーカー「蒙牛」「伊利」「光明」の3社の製品サンプルの約1割から、化学物質メラミンが検出されたことを明らかにした。牛乳へのメラミン混入が判明したのは初めて。国民の不信感は乳製品全体に広がり始めた。
 一方、18日付の中国紙、新京報によると、メラミンが混入された三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクで多数の乳幼児が腎臓結石になった事件で、石家荘市政府が三鹿集団から混入の連絡を受けていたにもかかわらず、1カ月以上にわたって河北省政府に報告していなかったことがわかった。市政府の隠匿が被害拡大を招いた可能性がある。
 河北省の楊崇勇副省長が明らかにした。河北省は石家荘市と三鹿集団との間で何らかの癒着があった可能性があるとみて調査に乗り出した。
 三鹿集団は北京五輪開幕直前の8月2日、石家荘市政府に汚染の事実を伝えていたが、市が省政府に報告したのは9月9日だった。国の規定では、食品安全にかかわる重大事故の場合は2時間以内に省に報告することになっている。
 また、この問題で新疆ウイグル自治区でも18日、新たに1人の死亡が確認され、死者は計4人となった。河北省の警察当局はメラミンを違法に販売していたなどとして新たに14人を逮捕し、逮捕者は合計18人となった。

◎中国:汚染粉ミルク、死者4人に、不安抱え親子で検査(2008年9月18日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で粉ミルクに有機化合物メラミンが混入され、乳幼児が腎臓結石などにかかった事件を受け、中国江蘇省南京市の病院には18日、病気を心配する親子が大挙して検査に訪れた。この日、新疆ウイグル自治区でも乳児1人が死亡し、死者は4人となった。これまでの死者は甘粛省2人、浙江省1人で、被害は全国に拡大している。

◎中国の国鳥選定難航、「タンチョウ=日本の鶴」で具合悪く(2008年9月18日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国政府の国鳥選定作業が難航している。
 最有力候補は古くから長寿や吉祥の象徴とされるタンチョウ(中国名・丹頂鶴)だが、ラテン語の学名が「日本の鶴」を意味し、反対論が起きていることが原因のようだ。
 タンチョウの生息地・黒竜江省チチハル市関係者らによると、国鳥選定作業は国家林業局が「民族意識、自然保護意識の高揚に役立つ」として、中国野生動物保護協会に指示。2004年にネットで調査した結果、タンチョウが全体の約60%を占め1位になった。
 しかし、中国紙「新京報」によると、タンチョウの学名は「Grus japonensis」(日本の鶴、の意味)で、「中国の国鳥としてふさわしくない」との批判が起き、政府がタンチョウに決めるのをためらっているという。
 中国のウエブサイト「天涯網」の調査では、「学名を理由にタンチョウの資格が剥奪されるのは合理的か」との質問に対し、約9000の回答の約7割が「合理的。民族の気概を重視するから」との選択肢を選んだ。国鳥候補としてはスズメが約41%を占め、1位になった。「黙々と働く姿が中国人に似ている」との理由からだが、「あまりに平凡」との反対意見も出ている。トキも人気はあるが、学名が「Nipponia nippon」で「日本」がつくため、状況はタンチョウと同じだ。

◎中国・汚染粉ミルク、乳幼児死亡3人に、被害6千人超す(2008年9月17日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石になった事件で、中国政府は17日、新たに浙江省で死者1人が確認され、死者は計3人となったと発表した。
 また、腎結石になった乳幼児は同日午前8時現在で6244人に上り、このうち、1327人が現在も入院、治療を受けているという。

◎中国:粉ミルク22社製品からメラミン検出(2008年9月17日、毎日新聞)
 中国中央テレビは16日、有機化合物メラミンが粉ミルクに混入されていた事件を受け、国家品質監督検査検疫総局が国内の粉ミルクメーカー109社の製品を緊急調査した結果、22社の製品からメラミンが検出されたと報じた。事件の発端となった河北省石家荘市のメーカー、三鹿集団以外に伊利、蒙牛、雅士利など乳製品大手の製品も含まれ、一部はアジア各国に輸出されていた。
 中国の「食の安全」に再び懸念が強まるのは必至で、当局はメラミンが検出された製品の販売停止と回収を指示した。三鹿の製品は台湾に出荷されていたが、雅士利の製品はバングラデシュやミャンマー、イエメンに輸出されていた。これまで、日本に輸出されたとの報道はない。
 一方、中国の通信社、中国新聞社によると、河北省公安庁は16日、三鹿集団の粉ミルクにメラミンが混入された事件で、容疑者の男2人を新たに逮捕したと発表した。いずれも原料の牛乳にメラミンを混ぜて出荷した疑いで、逮捕者は計4人となった。警察当局は、ほかに22人を拘束して調べている。
 新たに逮捕されたのは石家荘市内の牛乳業者で、牛乳のたんぱく質含有量を増やしたり、牛乳の異臭を取り除くためメラミンを混ぜたという。
 中国新聞社はまた、石家荘市の共産党委員会の決定を受け、三鹿集団の田文華会長が事件の責任を取って社内の党委書記の職務を解任され、会長職も更迭されることになったと伝えた。

◎中国:粉ミルク22社からメラミン検出、一部は輸出(2008年9月17日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国で有機化合物メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳児が相次いで腎臓結石になった事件で、中国政府は16日、発端となった「三鹿集団」(河北省石家荘市)のほか、国内の粉ミルクメーカー21社の製品からメラミンが検出されたと発表し、製品の回収を命じた。汚染粉ミルクの一部は海外に輸出されていたといい、当局は日本を含め輸出先の確認を急いでいる。
 事件発覚を受け、中国国家品質監督検査検疫総局が全国109社の粉ミルクメーカーの491品目を検査したところ、22社69品目からメラミンが検出された。このうち、広東省のメーカー「雅士利」の製品はバングラデシュ、ミャンマー、イエメンに輸出されていた。また、香港で販売されていた中国製アイスキャンディーからもメラミンが検出された。
 関係者によると、中国の乳製品は半加工品として日本に輸出されるケースもあり、中国製乳製品のすべてを追跡することは極めて困難とみられる。
 一方、河北省公安庁は16日までに、水で薄めた牛乳のたんぱく質含有量を増やすためにメラミンを混入して「三鹿集団」に販売したとして、搾乳業を営む兄弟2人を含む計4人を逮捕した。
 中国衛生省によると、国内でこれまでに粉ミルクを飲んだ乳児2人が死亡、1253人が病院で診察を受けている。

◎死亡3乳児、結石6200人、中国・粉ミルク被害拡大(2008年9月17日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国で生産された乳児用の粉ミルクをめぐり、中国国内22企業の商品から有害物質メラミンが検出された問題で、中国衛生省は17日、粉ミルクが原因で腎臓結石になったとみられる乳児3人が死亡、ほかに6244人がメラミン入り粉ミルクの被害を受けたと公表した。
 9月上旬に三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクからメラミンが検出されたが、同社を含む22社の粉ミルクが汚染されていることが判明して被害者数が広がった。治療を受けた乳児の大半は症状が軽かったが、1327人が現在も入院中で、60人余りは衰弱して重症だという。

◎河北警察当局、容疑者2人を逮捕、三鹿粉ミルク事件(2008年9月16日、朝日新聞)
 河北省公安庁の史貴中・報道官は15日午前、三鹿集団の粉ミルク重大事件発生後、河北省の公安当局は逮捕した容疑者に対し、連日取り調べを行っていることを明らかにした。三鹿公司の原料の牛乳に有害物質のメラミンを混入した疑いのある容疑者19人を刑事拘留し、うち2人が逮捕された。
 史報道官によると、河北警察当局の警察官約800人は12日明け方5時、原料の牛乳にメラミンを混入した疑いのある作業場を捜査し、メラミンと思われる品物を発見。警察当局は関係者78人を喚問のために呼出し、有毒・有害食品を生産・販売した罪で容疑者19人を刑事拘留し、うち2人を逮捕した。
 河北省正定県の人民検察院は14日夜、同県公安局が刑法第144条の規定を犯した罪で、有毒・有害な食品を生産・販売した疑いのある耿兄弟を容疑者として逮捕することを許可した。
 耿容疑者、男、48歳、漢族、河北省正定県南楼郷出身。耿容疑者は04年5月、搾乳所の経営を始め、知人と乳牛飼育団体を設立して、同団体から牛乳を仕入れ、三鹿集団に納品し、関連協議書も結んでいた。耿容疑者が経営する搾乳所は家族経営で、妻と娘も経営に係っていたほか、村の住民2人をパートで雇い、弟が三鹿集団への輸送を担当。乳牛飼育団体では乳牛307頭を飼育していた。
 警察の調べによると、三鹿集団に納品した牛乳が昨年末、検査不合格で返品が相次ぎ、3トン車に積んだ牛乳はすべて処分しなければならず、多大な経済損失を被った。その後、たんぱく質の測定値を高く見せるため、牛乳に化学工業原料のメラミンを混入。耿容疑者は唐県にある化学工業原料店にわざわざ出向き、メラミン20キロを購入、割合を量って三鹿集団向けの牛乳に混ぜていた。この化学工業原料店へは2度ほど顔を出し、メラミンを購入していったという。この兄弟はメラミンを混入した牛乳を毎日約3トン生産・販売していた。

◎三鹿集団の粉ミルク、腎臓結石患者が1253人に(2008年9月16日、朝日新聞)
 衛生部の馬暁偉・副部長は15日、特別記者会見を開き、「三鹿製の粉ミルク」による重大事件発生後、全国各地の衛生部門と医療スタッフが直ちに行動を起こし、患者に対する細かい診断と治療を積極的に進め、これまでに一部の患者が健康を回復したことを報告した。
 統計によると、三鹿製の粉ミルクを飲んだ乳児1万人近くが15日午前8時現在、全国の医療機関で診察を行い、1253人(2人死亡)が腎臓結石と診断。うち913人の症状は軽く、容態は安定しており、一部は通院治療を続けているが、一部は完治したという。現在も340人の患者が入院しており、うち53人は重態だが、その他の患者の容態は安定し、回復に向かっているという。
 馬副部長によると、衛生部は「三鹿」の粉ミルクを飲んで腎臓結石になった患者の治療を全力で展開。早期回復するようサポートし、新たな死者が出ないよう、目下緊急対策に取り組んでいる。今回の緊急対応策として▽検査・診断・治療を続け、治療の規範化を確保▽重症患者は小児科と総合力のある医療施設の整った病院または小児病院で集中治療▽治療の必要に基づき、各地に専門家を派遣――をあげている。

◎中国:0.27%利下げ、6年7カ月ぶり(2008年9月16日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国人民銀行は15日夜、金融機関の貸出基準金利を1年物で0.27%引き下げ7.20%にすると発表した。16日から実施する。米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)による世界的な金融市場の混乱が連鎖し、減速傾向にある中国経済の先行き不安が広がるのを防ぐ狙いとみられる。中国の利下げは02年2月以来、6年7カ月ぶり。
 金融機関の預金の一部を中央銀行に再預金させる比率である預金準備率も25日から引き下げる。下げ幅は大手を除く中小金融機関は1%、四川大地震被災地の金融機関は2%とする。預金基準金利は据え置いた。
 中国の経済成長率は今年第2四半期(4~6月)で10.1%と2ケタ成長を維持しているものの、減速が続いている。日本に次ぎ第2の輸出相手国である米経済減速の影響で外需の落ち込みが始まっており、製造業が集中する沿海部では企業倒産も増加している。
 このため政府は7月、軸足を「景気過熱防止」から「成長の維持と、インフレ防止」に切り替えた。ただ、8月の卸売物価指数は前年同月比10.1%増とインフレ懸念は収まっていない。利下げはコスト高に苦しむ企業救済と同時に、リーマンの経営破綻による国際金融危機が波及し、低迷する上海などの株式市場の底割れを防ぐ意味合いが強い。

◎中国の粉ミルク汚染、21社の製品からメラミン検出(2008年9月16日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国中央テレビによると、中国政府は16日、有害物質メラミンによる粉ミルク汚染事件で、製品の汚染を認めた乳製品メーカー「三鹿集団」(河北省石家荘市)のほか、全国21社の製品からもメラミンが検出されたとして、社名と製品名を公表した。
 粉ミルク汚染が1企業の問題ではなくなったことで、中国製品の「食の安全」に対する不安が一層高まるのは避けられない事態となった。
 事件を受け、中国政府は、全国109社を調査。メラミンが検出されたのは上海、山東省青島、内モンゴルなどの企業で、このうち1社の製品はミャンマー、イエメン、バングラデシュにも輸出されていたが、輸出品の保存サンプルからは検出されなかったとしている。
 また、新華社電によると、河北省公安当局は16日、原料の牛乳にメラミンを混入し、三鹿集団に販売したとして、新たに石家荘市の酪農関係者ら男2人を逮捕したと発表した。事件での逮捕者は4人になった。

◎中国の汚染粉ミルク事件、有害物質混入の兄弟を逮捕(2008年9月16日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】新華社電によると、中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳幼児が相次いで腎結石になった事件で、河北省の公安当局は15日、原料の牛乳にメラミンを混入し、同省石家荘市の粉ミルクのメーカー「三鹿集団」に売ったとして、同市正定県の搾乳業の兄弟2人を14日に逮捕したと発表した。
 また、衛生省によると、粉ミルクを飲んだ乳幼児は1万人近くに上り、報告された患者は1253人になった。うち2人が死亡し、53人が重症という。
 公安当局の調べでは、この兄弟は昨年末、出荷した牛乳が三鹿集団の検査で不合格となり、損をしたことから、その後は蛋白質の含有量を多く見せかけるため、牛乳にメラミンを加えるようになった。1日3トンの牛乳を納めていたという。

◎牛乳メラミン混入の被害1253人、2人死亡、業者逮捕(2008年9月16日、朝日新聞)
 新華社電によると、中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳児が腎臓結石になった事件で、河北省政府は15日、牛乳にメラミンを混入し乳製品メーカー「三鹿集団」(同省石家荘市)に売ったとして、警察が14日夜、有害食品生産販売の疑いで同市正定県の搾乳業の兄弟2人を正式に逮捕したと発表した。混入した牛乳の量は1日3トンに上っていた。
 中国衛生省のまとめでは、同社の粉ミルクを飲んだ乳児は1万人近くに上り、診察を受けた患者は1253人。このうち甘粛省で5月1日に男児、7月22日に女児が死亡したが、いずれも「当時は原因が分からず、最良の治療時期を逃した」(北京大学第一病院幹部)とされる。重症は53人。
 調べによると、兄弟は昨年末、自分たちの搾乳場から出荷した牛乳が三鹿集団の検査で合格せず損をしたことから、その後は牛乳にメラミンを混ぜ、たんぱく質含有量を高めて検査をパスしていたとされる。

◎天洋食品の9人が容疑濃厚、中国当局、ギョーザ事件で(2008年9月16日、産経新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件を捜査している中国の公安当局は、6月に中国内で起きた中毒事件に関し、製造元の天洋食品(河北省石家荘市)のギョーザ生産ラインで働いていた従業員のうち9人について、殺虫剤混入にかかわった疑いが濃厚と判断していることが16日、分かった。中国筋が明らかにした。
 同筋によると、6月の事件は天洋食品が日本での事件後に回収したギョーザを従業員の親戚(しんせき)や同郷者らに格安で販売。これを食べた4人が中毒になり、ギョーザから有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出された。中国当局は、このギョーザが国内の市場に出回っていないことから「天洋食品内部で殺虫剤が故意に混入された可能性が高い」とみて、問題のギョーザを製造した日に勤務していた従業員を徹底捜査。正規と臨時の従業員を合わせ9人が容疑濃厚として残っているという。

◎中国:違法鉱山の土石流災害で山西省長が引責辞任(2008年9月15日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国山西省襄汾県で今月8日、違法採掘の鉱山のボタ山が崩れて土石流が発生。下流の市場や民家を巻き込み14日までに254人の死亡が確認される事故があった。新華社通信によると同日、同省ナンバー2の孟学農省長が引責辞任した。
 現地からの報道によると、土石流は約20万立方メートルで、土石流がわずか数十秒の間に下流の町をのみ込んだ。約30ヘクタールが埋没。建物は1階部分が完全に埋まり、住民は2階部分を歩きながら行方不明の家族を探し回った。
 国際的な資源高騰を受けて、中国の鉱山では安全基準を無視した違法操業が続けられている。中国政府は違法操業の責任を明確化し再発を防止する立場から、省長の引責辞任という厳しい処分に踏み切ったとみられる。
 孟省長とともに、安全管理を担当する張建民副省長も辞任。後任の省長代理には、土石流の原因調査を指揮した王君国家安全生産監督管理総局長が就任した。

◎中国粉ミルク汚染の死者2人に、患者は1253人(2008年9月15日、産経新聞)
 中国衛生省は15日、有機化合物メラミンに汚染された粉ミルクで乳幼児が腎臓結石などにかかった問題で、患者数が全国で1253人に達したと発表した。
 また、衛生省によると、死者数は1人増えて2人となった。いずれも甘粛省の乳児で、1人は生後5カ月の男の子で5月に死亡、もう1人は8カ月の女の子で7月に亡くなった。患者のうち340人が入院治療中で、うち53人は重症だという。

◎粉ミルク汚染で、中国公安当局が2人逮捕(2008年9月15日、産経新聞)
 中国で有機化合物メラミンに汚染された粉ミルクで乳幼児が腎臓結石などにかかった問題で、河北省公安庁は15日、同省石家荘市のメーカー三鹿集団に汚染した牛乳を出荷していた疑いで、同市内の男2人を逮捕したと発表した。
 同公安庁によると、二容疑者は兄弟で、2004年に牛乳の生産、販売を開始。約300頭の乳牛を飼育し、三鹿集団に粉ミルクの原材料となる牛乳を出荷していた。
 出荷した牛乳が三鹿側から数回にわたり不合格になったため、昨年末からタンパク質の含有量を増やすためメラミンの添加を始めた。メラミン20キロを同市内で購入、メラミンを混ぜた牛乳の出荷量は日量約3トンだった。

◎粉ミルク汚染、牧場経営者や搾乳業者など容疑者を特定(2008年9月15日、朝日新聞)
 「三鹿集団」製粉ミルクによる食品安全上の重大事故について、河北省政府は19日、容疑者19人の身柄を拘束したと発表した。うち18人は牧場、乳牛飼育団体、搾乳所の経営者で、警察当局が現在、全力で捜査を進めている。中国新聞社が伝えた。
 河北省政府は14日、事故原因の調査状況について会見を開いた。河北省公安庁政治処の史貴中主任によると、事故発生後、警察当局は踏み込んだ捜査の結果、流通販売・在庫管理・生産加工の各段階でメラミンが混入された可能性を相次いで排除、原料の牛乳およびその買付段階に捜査の的を絞った。
 三鹿集団の主な原料買付ルートは(1)牧場モデル。100頭以上の乳牛を1カ所で飼育し、まとめて牛乳を納品する(2)乳牛飼育団体。団体経営者が土地を提供、各自が乳牛を飼育し、団体としてまとめて牛乳を納品する(3)搾乳所モデル。農家が各自乳牛を飼育するが、搾乳は搾乳所がまとめて行う(4)以上3 モデルの混合――の4つ。警察当局は、このうち41団体の経営者にメラミンを混入した重大な嫌疑を認め、その所在地、責任者、および従業員の構成と業務規則を確認した上で、12日午前5時から人民警察約800人を動員して取り調べを行った。現場からはメラミンに似た物質が押収された。
 史主任は「関係者78人を法に基づき出頭させ、うち19人を有毒有害食品生産販売罪の容疑で法に基づき拘束した。うち18人は牧場、乳牛飼育団体、搾乳庁の経営者。残る1人は添加剤を不法販売していた業者だ。彼らはタンパク質の測定値を引き上げて不法に利益を図ろうと、原料の牛乳にメラミンを混入したと供述している」と発表した。

◎北京市、公用車の利用を週1日減へ(2008年9月15日、朝日新聞)
 北京市政府は13日、省エネと環境保護のため、ナンバープレートの末尾に基づく公用車の「週1日運転規制」を同日より厳格に施行すると発表した。「新京報」が伝えた。
 各級行政機関・社会団体・政府系非営利性事業機関・国有企業の、特殊公用車以外のすべての公用車について、ナンバープレートの末尾番号別に5組に分け、月曜日から金曜日までの各1日ずつ、運転を規制する。他の団体や個人にも、この規則に照らして車の運転を週1日減らし、公共交通を活用するよう呼びかける。
 公用車運転規制:(ナンバープレートの末尾が)月曜日は1と6、火曜日は2と7、水曜日は3と8、木曜日は4と9、金曜日は5と0。

◎中国、6年7カ月ぶり利下げ、金融緩和に転換(2008年9月15日、朝日新聞)
 【北京=琴寄辰男】中国人民銀行(中央銀行)は15日、金融機関の貸出金利を16日から引き下げると発表した。利下げは02年2月以来、6年7カ月ぶり。世界経済の先行き不透明感の高まりなどを受けて金融緩和に転じた。
 引き下げ幅は1年物で0.27%、半年物で0.36%など。金融機関の預金準備率も25日から、大手国有銀行を除き、現行の17.5%から16.5%に引き下げる。

◎薄めた牛乳ごまかすためメラミン混入、中国の兄弟逮捕(2008年9月15日、朝日新聞)
 新華社電によると、中国で有害物質メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳児が腎臓結石になった事件で、河北省政府は15日、牛乳にメラミンを混入し乳製品メーカー「三鹿集団」(同省石家荘市)に売ったとして、警察が14日夜、有害食品生産販売の疑いで同市正定県の搾乳業の兄弟2人を正式に逮捕したと発表した。混入した牛乳の量は1日3トンに上っていた。
 同事件では、乳児の腎臓結石が最初に明らかになった甘粛省で、報告のあった患者数が15日までに102人、このうち死者が2人にそれぞれ増えた。
 調べによると、兄弟は昨年末、自分たちの搾乳場から出荷した牛乳が三鹿集団の検査で合格せず損をしたことから、その後は牛乳にメラミンを混ぜ、たんぱく質含有量を高めて検査をパスしていたとされる。

◎メラミン入り粉ミルクで2人目の死者、中国発表(2008年9月15日、CNN)
北京(CNN) 新華社電によると、有害物質メラミンに汚染された粉ミルクで乳児が腎臓結石を発症している問題で、中国当局は14日、新たに1人の乳児が死亡したことを明らかにした。
汚染粉ミルクによる死者が報告されたのはこれで2例目。
衛生当局によると、腎臓結石などにかかった乳児は1200人を超えていることが分かった。340人は入院治療を受け、このうち53人が重症だという。
当局は全国規模で乳児用粉ミルクの検査を実施しており、16日に結果を発表する予定だ。

◎中国・山西省ナンバー2、土石流被害で引責辞任(2008年9月14日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国中央テレビなどは14日、山西省臨汾市襄汾県で8日に発生した土石流で多数の死者が出た問題で、中国共産党中央と政府が省ナンバー2の孟学農・省長の引責辞任と、安全管理担当の張建民・副省長の免職に同意したと伝えた。
 土石流による死者数は14日までに254人を数え、さらに多数の遺体が土砂の下に埋まっているという。事態を重視した胡錦濤総書記、温家宝首相が原因究明と関係者に対する責任追及の徹底を指示していた。

◎山西省土石流、県トップを停職処分、死者は254人に(2008年9月14日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】14日の新華社通信によると、中国山西省の孟学農省長と張建民副省長が、同省臨汾市襄汾県で8日に発生した土石流災害の責任を問われて解任された。また臨汾市は、県トップの共産党委書記と県長の2人を停職処分にすることを決めた。13日夜までの捜索で、死者は計254人、負傷者数は36人にのぼっているという。
 土石流は8日朝、襄汾県の山間にある民営鉱山会社の近くで発生し、下方の市場や集落などが被災した。山西省当局はこの会社が違法操業で、敷地内にあった選鉱くず貯蔵施設の決壊が土石流につながったとの見方を強めている。
 襄汾県は、身元が特定できた犠牲者には1人当たり20万元(約320万円)の賠償金を支払うことを決めた。

◎乳児の結石被害3万人超、中国粉ミルクに化学物質(2008年9月13日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の国営新華社通信によると、化学物質メラミンに汚染された三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクを飲んで乳児が腎臓結石になった問題で、中国衛生省は13日、国内で報告のあった患者数が432人に上ることを明らかにし、同社に操業停止を命じたと発表した。被害者は少なくとも3万人を超えるとみられる。
 地元捜査当局は関係者78人の取り調べを始めており、容疑者19人を拘束したと発表した。関係者は調べに対し「利益を上げるため原料の牛乳に水を加え、薄くなったたんぱく質を補おうとメラミンを添加した」と供述したという。
 調べによると、三鹿集団は8月初旬の段階で、自社の検査によりメラミンを検出していたにもかかわらず公表せず、一部の製品だけを回収していた。衛生省などの調査グループは、病気になった乳児の尿からメラミンの成分を検出。「結石は汚染粉ミルクが原因」と結論づけた。
 北米で昨春、ペットフードを食べた犬や猫が大量死した問題でも、原料の中国産小麦グルテンにメラミンが混入したとみられている。

◎乳児の結石被害3万人超、中国粉ミルクに化学物質(2008年9月13日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の国営新華社通信によると、化学物質メラミンに汚染された三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクを飲んで乳児が腎臓結石になった問題で、中国衛生省は13日、国内で報告のあった患者数が432人に上ることを明らかにし、同社に操業停止を命じたと発表した。被害者は少なくとも3万人を超えるとみられる。
 地元捜査当局は関係者78人の取り調べを始めており、容疑者19人を拘束したと発表した。関係者は調べに対し「利益を上げるため原料の牛乳に水を加え、薄くなったたんぱく質を補おうとメラミンを添加した」と供述したという。
 調べによると、三鹿集団は8月初旬の段階で、自社の検査によりメラミンを検出していたにもかかわらず公表せず、一部の製品だけを回収していた。衛生省などの調査グループは、病気になった乳児の尿からメラミンの成分を検出。「結石は汚染粉ミルクが原因」と結論づけた。
 北米で昨春、ペットフードを食べた犬や猫が大量死した問題でも、原料の中国産小麦グルテンにメラミンが混入したとみられている。

◎三鹿集団が回収場所を設置、問題の粉ミルクを回収へ(2008年9月13日、朝日新聞)
 河北省石家庄の三鹿集団は12日、工場の敷地内に回収場所を設置し、消費者が購入した問題の粉ミルクの回収にあたっている。また、販売店などのルートを通じて市場に出回っている問題の粉ミルクの回収も始めた。

◎メーカーが回収発表の数週間前に汚染把握、中国の粉ミルク問題(2008年9月13日、CNN)
 中国で有機化合物メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳児に腎臓結石が多発している問題で、同国衛生省は13日、メーカーの乳製品最大手、三鹿集団が製品回収に踏み切る数週間前、汚染の事実を既に掌握していたことが分かったと報告した。
 一方、地元紙チャイナー・デーリーは、発症例は全国で140件に増えたと報じた。甘粛省では約59人としている。1人が死亡している。国営・新華社通信によると、同省の衛生当局者は1歳以下の幼児16人が腎臓の異常を訴えたとの連絡は7月16日に入っていたと述べた。
 衛生省は、同メーカーが汚染の事実を把握しながら、早期に消費者に通知、回収を実行しなかった理由には触れなかった。同省は12日、全国的な調査の開始を発表、責任者には「厳重な処罰」を科す方針を示した。
 同省によると、三鹿集団は8月の試験でメラミンの混入を確認していた。同社が衛生省などに汚染の事実を連絡した時期は不明だが、8月6日前に生産された製品約700トンの回収の発表は9月11日だった。同社には、ニュージーランドの企業も資本参加しているが、この企業は汚染された粉ミルクは海外に輸出されていないと説明している。
 中国紙によると、三鹿集団の幹部は粉ミルクの品質に対する消費者からの苦情は3月と6月にあったが、原因を解明出来なかったと説明。8月に検査装置が外国から到着し、メラミンの混入を初めて確認したとしている。混入の経緯は不明。
 新華社によると、腎臓結石の症例は7月中旬に発覚。中国の他のメディアは3月とも報じている。ただ、国家品質監督検査検疫総局などは迅速な品質調査に着手していなかった。
 メラミンはプラスチック製品などの原料となる有機化合物で、摂取を続けると腎臓結石の原因となる。窒素を多く含み、食品のタンパク質含有量の測定値を高く見せることができるため、昨年、中国の業者が米国に輸出したペットフードに添加していたことが発覚、批判を浴びた。
 中国では04年、必要な栄養素を含まない偽ミルクが出回り、乳児少なくとも12人が死亡、200人が栄養失調に陥る事件があった。偽ミルクを製造したメーカーは40社に上り、47人が逮捕されている。

◎腎臓結石の乳児432人、中国粉ミルク汚染で19人拘束(2008年9月13日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国で大手メーカーの粉ミルクを飲んだ乳児432人が相次いで腎臓結石となり乳児1人が死亡したことが明らかになった。このメーカーがある河北省の当局者は13日、粉ミルクに化学物質のメラミンを故意に混入させていた疑いで公安当局が19人を拘束したと発表した。一方で、メーカーに今年3月からクレームが届いていたほか、6月には国家品質監督検査検疫総局に消費者から訴えがあったことも判明した。
 このメーカーは「三鹿集団」(石家荘市)。今回の事件では、メーカーが半年間も政府への報告を怠り、政府も今月上旬に国内で報道されるまで調査に着手しておらず、この結果、被害が拡大したといえる。政府が北京五輪で「食の安全」をアピールしていただけに、企業、政府の対応に対する国民の不満と不信が高まるのは避けられない。
 メラミンに汚染された製品は今年3月から8月5日までに製造されたとみられている。石家荘市政府は「酪農家から牛乳を買い取る過程で、不法分子が利益を上げるため、水で薄めた牛乳にメラミンを添加した」とみている。メラミンを添加したのはタンパク質の量を多く見せかけるためとみられる。

◎乳児の結石被害3万人超、中国粉ミルクに化学物質(2008年9月13日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の国営新華社通信によると、化学物質メラミンに汚染された三鹿集団(河北省石家荘市)製の粉ミルクを飲んで乳児が腎臓結石になった問題で、中国衛生省は13日、国内で報告のあった患者数が432人に上ることを明らかにし、同社に操業停止を命じたと発表した。被害者は少なくとも3万人を超えるとみられる。
 地元捜査当局は関係者78人の取り調べを始めており、容疑者19人を拘束したと発表した。関係者は調べに対し「利益を上げるため原料の牛乳に水を加え、薄くなったたんぱく質を補おうとメラミンを添加した」と供述したという。
 調べによると、三鹿集団は8月初旬の段階で、自社の検査によりメラミンを検出していたにもかかわらず公表せず、一部の製品だけを回収していた。衛生省などの調査グループは、病気になった乳児の尿からメラミンの成分を検出。「結石は汚染粉ミルクが原因」と結論づけた。
 北米で昨春、ペットフードを食べた犬や猫が大量死した問題でも、原料の中国産小麦グルテンにメラミンが混入したとみられている。

◎三鹿集団が回収場所を設置、問題の粉ミルクを回収へ(2008年9月13日、朝日新聞)
 河北省石家庄の三鹿集団は12日、工場の敷地内に回収場所を設置し、消費者が購入した問題の粉ミルクの回収にあたっている。また、販売店などのルートを通じて市場に出回っている問題の粉ミルクの回収も始めた。

◎中国で乳児多数に結石被害、粉ミルクに化学物質混入か(2008年9月12日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国の大手乳製品メーカーが製造した乳児用の粉ミルクに、人体に入ると結石ができる恐れがある化学物質が混入していた疑いが強まり、中国衛生省は12日、被害を受けた乳児の全国調査に乗り出すとともに、各地の衛生局に治療方法を通知した。
 衛生省によると、製造元は「三鹿集団」(本社・河北省石家荘市)。粉ミルクからメラミンと呼ばれる化学物質が検出された。泌尿器系の結石を引き起こす恐れがあるという。衛生省の通知を受け、三鹿集団は今年8月6日以前に製造・出荷した約700トン分の自主回収を始めた。
 数日前から同社製の粉ミルクを飲んだ乳児多数が腎臓結石になった事例が報告されていた。甘粛省では乳児1人が死亡した。

◎中国で乳児多数に結石被害、粉ミルクに化学物質混入か(2008年9月12日、朝日新聞)
 【北京=坂尻顕吾】中国の大手乳製品メーカーが製造した乳児用の粉ミルクに、人体に入ると結石ができる恐れがある化学物質が混入していた疑いが強まり、中国衛生省は12日、被害を受けた乳児の全国調査に乗り出すとともに、各地の衛生局に治療方法を通知した。
 衛生省によると、製造元は「三鹿集団」(本社・河北省石家荘市)。粉ミルクからメラミンと呼ばれる化学物質が検出された。泌尿器系の結石を引き起こす恐れがあるという。衛生省の通知を受け、三鹿集団は今年8月6日以前に製造・出荷した約700トン分の自主回収を始めた。
 数日前から同社製の粉ミルクを飲んだ乳児多数が腎臓結石になった事例が報告されていた。甘粛省では乳児1人が死亡した。

◎香港ディズニーランド:3周年、拡張計画難航、前途は多難(2008年9月12日、毎日新聞)
 香港ディズニーランドは12日、開園3周年を迎えた。入場者数はやや持ち直したが、人気回復の起爆剤として期待した施設の拡張計画は、香港政府との交渉が難航。上海ディズニーランドが2012年にもオープンすると伝えられ、同じ中国本土客に頼る香港ディズニーの前途は多難だ。
 香港紙によると、入場者数は1年目から目標を40万人下回る520万人、2年目は420万人にまで落ち込んだ。3年目は若干増え、500万人弱と推計されている。
 3年目の入場者増の理由には、中国本土からの集客数が増えたことや、景気の回復が挙げられているが、コストが収入を上回る状況に変わりはなく、依然厳しい経営が続いているという。

◎ギョーザ事件「密告」奨励、中国、有力情報に460万円(2008年9月12日、朝日新聞)
 【石家荘(中国河北省)=峯村健司】中国製冷凍ギョーザの中毒事件をめぐり、中国の捜査当局は、製造元の「天洋食品廠公司」(河北省石家荘市)の退職者を含めた約千人の全従業員に対し、30万元(約460万円)という異例の高額報奨金付きで情報提供を呼びかけていることが分かった。また陣頭指揮を執るため、捜査幹部を現地に派遣。作業にあたった臨時従業員の3親等以内の親族全員を事情聴取するなど、容疑者の絞り込みを本格化させている。
 「ギョーザ事件の一日も早い真相解明と警察当局の捜査に協力するため、積極的に情報提供を求める」
 捜査を担当する石家荘市公安局は7月中旬から、事件解決につながる有力な「密告」を呼びかける通知を配布している。「提供者の秘密と安全は必ず守る」として、専用の電話番号とメールアドレスを設けた。毎日平均数十件が電話とメール、手紙で寄せられているといい、「事件解明の手がかりになる情報も含まれている」(関係者)という。
 通常の報奨金が高くても数万元程度までなのに比べると異例の高額で、同社の一般従業員の月収の数百倍に相当する。地元当局者は「犯人は複数もしくは組織的な可能性があり、背後まですべて解明する必要がある」と強調する。
 中国筋によると、公安省は刑事捜査局の余新民副局長を直接現地に派遣し、捜査指揮に当たらせている。同社の製造工場や倉庫内に設置していた防犯カメラの録画映像や従業員の出勤状況が記されている人事管理簿の分析を進め、問題となったギョーザが製造された昨年6月3日、同10月1日と20日に出入りした複数の臨時工を絞り込んで、不審な人物の特定を急いでいる。
 一方、事件後操業を停止している天洋食品の工場を閉鎖することを検討していることが新たに分かった。複数の天洋食品関係者によると、短期契約を結んでいたすべての臨時従業員を解雇し、一部の正社員だけで事件後の処理や捜査協力に当たっている。
 今年6月中旬、中国でも天洋食品の工場内から横流しされたギョーザを食べた一家4人が中毒を起こしたことで、「再開は絶望的」(同社関係者)となった。

◎ラマダン中に「断食するな」、中国新疆自治区(2008年9月12日、朝日新聞)
・「責任書」署名義務付け
 【上海=西村大輔】9月初めのイスラム教断食月(ラマダン)開始後、イスラム教徒のウイグル族などが多く住む中国新疆ウイグル自治区の各地方当局が、断食の時間に食事をさせるなど、宗教活動への介入を強めている。8月に相次いだ政府機関への襲撃事件が背景にあるとみられるが、信教の自由の侵害として国際的な批判を招きそうだ。
 8月4日にウイグル族の男2人が武装警察を襲撃、16人が死亡する事件があったカシュガル市。同市管内のイェンギサール県政府は飲食店67店に、ラマダン中も通常通り営業することを約束する承諾書に署名させた。
 イスラム教徒が多い地域の飲食店は、断食の時間とされる日の出から日没まで閉店することが多いが、県政府は「社会秩序を乱し、民衆の生活に大きな影響を及ぼす」とし、営業する店には税金の減免措置などをとる。
 政府や共産党のウイグル族職員に対しては、昼間から飲食店を利用し、「宗教的雰囲気を薄めるため積極的な役割を果たす」よう指示した。
 同市ヤルカンドでは、党員や学生に、断食や宗教活動に加わらないことを約束する「責任書」への署名を義務づけ、学生へのマルクス主義、無神論の教育を強化。男性がひげを伸ばしたり、女性が顔をショールで覆ったりしている場合は「各種有効な方法」を用いて阻止するとした。
 同市ポスカム県は学生に、宗教を信じず、断食に加わらないように教育し、学校の食堂は通常通り開くことを決定。キジルス・キルギス自治州ウルグチャト県では警察官らをモスクに派遣。宗教活動が禁じられている党員や政府・国有企業幹部が礼拝に来ていないか調べる。
 同自治区民族事務委員会幹部は「新疆は少数民族地区だが、イスラム教徒以外の住民も多い。これらの措置はラマダンの大衆の社会生活への影響を少なくするために考えられた」と説明している。

・50点未満は立候補できず
 【バンダアチェ(インドネシア・スマトラ島)=矢野英基】インドネシアで例外的にイスラム法が導入されているナングロアチェ州が、来年の州議会議員選挙で立候補を予定するイスラム教徒に聖典コーランの朗読テストを実施し、論議を呼んでいる。
 テストは8日にバンダアチェで開始。12日までに約1300人が受ける。その場で指定された章を5分ほど朗読。専門家が100点満点で評価し、50点未満なら立候補できない。州選管幹部は「簡単な内容だが、中には50点を取れない人もいる」という。
 選管はテスト実施の根拠は州法にあるとするが、同国政府は、州法の一部は無効と指摘。州内に六つある地方政党の立候補予定者にはテストを義務づけられても、全国政党の立候補予定者には義務づけられない、との見解だ。
 全国政党の与党ゴルカル党のある立候補予定者は10日にテストを受けたものの、「テストを受けない権利も認めてほしい」。イスラム系全国政党の国民信託党の国会議員も「中央政府の見解を州政府は受け入れるべきだ。朗読が下手な人もいれば、上手な人もいる」と批判する。
 保守的なイスラム教徒が多いナングロアチェ州では02年以降、飲酒の禁止のほか、女性の肌を隠すスカーフ着用義務などが導入された。

◎中国、偽物の可能性がある粉ミルクで乳児に健康被害(2008年9月11日、ロイター通信)
 乳児が偽物の可能性がある粉ミルクを飲んだ後に腎臓結石を発症するという健康不安が中国で広がっていると、新華社が11日伝えた。
 新華社は中国当局者の話として、中国北西部の甘粛県で腎臓結石によって乳児1人が死亡したと報じたが、この死亡例が粉ミルクと関連しているかどうかは不明。
 健康不安は、2004年に乳児13人が偽の粉ミルクを与えられて死亡した事件を思い出させる。
 新華社が地元メディアを引用して伝えた情報によると、少なくとも7つの省と地域で、乳児が粉ミルク「Sanlu」を飲んだ後に腎臓結石を発症した。健康被害を受けた乳児の数はわかっていない。
 甘粛県の医師の話では、14人いる患者はすべて生後11カ月以下の乳児で、同じブランドの「偽の粉ミルク」によって腎臓結石を発症した可能性があるという。
 新華社はまた、中国当局が調査中とした上で、製造メーカーのSanluグループも製品が「偽物かもしれない」ため、甘粛県に調査団を派遣して独自に調査をすると伝えた。

◎中国各地で粉ミルクで腎臓結石、甘粛省では乳幼児59人(2008年9月11日、産経新聞)
 中国甘粛省で同一商品名の粉ミルクを飲んだ乳児が相次ぎ腎臓結石にかかった問題で、ほかに江蘇、陝西、山東、安徽、湖南各省と寧夏回族自治区でも同様のケースが報告されていたことが分かった。新華社が11日伝えた。
 また、甘粛省衛生庁は11日、同省内で腎臓結石にかかったと報告があった乳幼児が今年59人おり、1人が死亡したことを明らかにした。乳幼児が問題の粉ミルクを飲んでいたかどうかは不明。2006、7年はゼロだった。
 中国当局が問題の粉ミルクと病気の関連を調べているが、メーカー側は同社製品のラベルを張った偽粉ミルクが出回っていた可能性があると話しているという。

◎株価下落で中国当局、ネットでの論評に検閲強化(2008年9月11日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】10日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、中国共産党中央宣伝部が、株価下落に関するインターネット上の論評やリポートなどへの検閲を強化したと報じた。
 中国当局は、株価低迷や経済の先行き不安が、投資家の抗議行動など社会不安を引き起こしかねないとの懸念を強めている模様だ。
 同紙によると、中央宣伝部が金融関連のサイト管理者に対し、株式市場についての論評掲載などを控えるよう口頭で指示。7月には、中国証券監督管理委員会が、株式市場をめぐる否定的な論評を公表しないよう証券会社に求めていたという。
 上海株式市場全体の値動きを示す総合指数は今年に入り、6割近く下落している。

◎中国・甘粛省の粉ミルク健康被害、乳児1人死亡の報道も(2008年9月11日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国甘粛省で6月末以降、乳児14人が相次いで腎結石と診断され、飲用した粉ミルクによる健康被害が指摘されている問題で、新華社通信は11日、同省衛生庁報道官の話として、今年に入って乳児59人が腎結石と診断され、うち1人が死亡していたと伝えた。
 死亡した乳児が同じ粉ミルクを飲んでいたかどうかは不明。
 甘粛を含め江蘇、陝西など少なくとも七つの省・自治区で類似の症例が確認され、国家品質監督検査検疫総局は粉ミルクと腎結石の因果関係の調査を始めた。
 甘粛の14人が飲んでいた粉ミルクは、国内有名ブランド「三鹿」とされる。メーカーの「三鹿集団」は新華社通信に対し、独自調査を始めたことを明らかにする一方、偽商品が出回っている可能性を示した。

◎山西省で土石流被害、26人が死亡(2008年9月9日、朝日新聞)
 山西省臨汾市襄汾県陶寺郷にある塔山鉱区で8日8時ごろ、暴雨に伴う土石流が発生、廃棄された尾鉱(選鉱で有用鉱物を採取した残りの低品位の鉱物)の倉庫が崩れ落ちた。同日午後5時までに26人の死亡が確認された。具体的な被害者数は現在調査中。

◎日中貿易に変調、20年上期、輸出入数量が初めて減少(2008年9月9日、産経新聞)
 日中貿易に“変調”の兆しが広がっている。輸出入の金額では米国を上回る最大の貿易相手国となった中国だが、数量ベースでみると、平成20年上期に輸出入ともに、この10年で初めて減少に転じた。中国からの輸入減少は、安い製品を供給する「世界の工場」としての中国の地位が揺らいできたことが原因だ。日本からの輸出減少は、拡大成長を続けてきた中国経済の減速の表れとみられ、日本企業の中国戦略に大きな影響を及ぼすのは必至だ。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)が、財務省貿易統計を基に品目ごとの金額や価格から貿易量を算出し分かった。
 それによると、平成12年を「100」とした指数で20年上期の中国からの輸入数量は「178.6」となり、19年の「192.9」から14.3ポイント減少。中国への輸出数量は「250.7」と、19年の「283.7」から30ポイントも減った。
 輸出入が数量がマイナスに転じるのは、ジェトロが統計を分析した平成10年以降では初めて。
 ただ、金額でみると、20年上期の日中の輸出入を合わせた貿易総額は前年同期比3%増の約13兆7434億円で、米国の11兆6967億円を上回る日本にとって最大の貿易相手国となっている。
 輸入数量が減少に転じたのは、日本企業にとって中国の位置づけが大きく変化してきたためだ。これまでは中国に製造拠点を移し、現地の安い労働力で生産した「メード・イン・チャイナ」を日本に供給するビジネスモデルの浸透で、輸入が増え続けた。
 しかし、急速な経済成長に伴う賃金アップで労働コストが上昇。さらに、人民元の切り上げで日本への輸出採算も悪化し、「中国は『工場』としての魅力を失いつつある」(ジェトロの中井邦尚氏)。
 ジェトロが19年度に実施した調査では、中国生産拠点の役割について、「中国の国内市場向け」との回答が、「第3国への輸出」を上回り、『工場』から『市場』への変貌(へんぼう)が鮮明になっている。
 カジュアルウエア「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングも、現在約9割をしめる中国での生産比率をバングラディッシュなどにシフトすることで3分の2まで引き下げる方針を打ち出した。柳井正会長兼社長は「突然の関税率変更などカントリーリスクに加え、人件費などコストが上昇している」と話す。
 一方で、中国向け輸出の減少は、かねてから懸念されてきた北京五輪後の景気失速が原因とみられる。
 道路などのインフラ投資や企業の設備投資の一巡を受け、まず工作機械や建設機械などの生産財や鉄鋼、化学などの素材の輸出が落ち込み始めている。
 日本工作機械工業会によると、国内メーカーの対中受注額は今年5月以降、前年割れが続いており、「金型産業向けの需要が冷え込んでいる」(森精機製作所)という。
 輸出入の数量減少傾向は今後さらに本格化する可能性があり、右肩上がりで拡大してきた日中貿易は転機を迎えている。

◎「台湾に情報漏洩」人民解放軍中尉の死刑執行、中国(2008年9月9日、朝日新聞)
 【香港=奥寺淳】香港の中国系紙「大公報」によると、中国人民解放軍の中尉(33)が台湾に軍事情報を流すスパイ行為をしたとして死刑判決を受け、5日に執行されたと報じた。
 南京軍区の軍事法院の判決によると、中尉は06年11月、江蘇省無錫のインターネットカフェで台湾のスパイ組織と連絡を取り、116件の軍事秘密の電子データを送ったという。このうち9件は極秘文書だった。同法院は中国の刑法と軍の規定に基づき、中尉に死刑判決を言い渡した。
 中尉は判決を不服として控訴したが、解放軍の軍事法廷も訴えを却下。最高裁に当たる最高人民法院も死刑判決を支持し、5日に死刑が執行されたという。

◎中国で「南部鐵器」商標登録申請、岩手の業界、反撃へ(2008年9月7日、朝日新聞)
 岩手県を代表する伝統工芸の「南部鉄器」が、旧字を使った「南部鐵器」として中国で商標登録申請されていることが分かった。商標が認められると、輸出販売が難しくなるうえ、ブランド失墜も招きかねない。県南部鉄器協同組合連合会(盛岡市)は8日にも東北経済産業局と協議し、異議申し立てなど対抗策を検討する。
 連合会などによると、申請は昨年9月3日で、申請者は香港の業者とみられる。商標登録されれば、本物の南部鉄器を中国へ輸出した際に、「類似商標」として登録業者の申し出などで輸出の差し止め措置などが講じられる可能性があるという。
 加盟58社と岩手県内最大の水沢鋳物工業協同組合(奥州市)は、「鋳技(てつぎ)」のブランド名でデザイン、色彩も現代風に工夫した南部鉄器の欧米向け輸出を3年前から本格化。一部の業者は中国輸出も手がけている。今年1月には特許庁から地域団体商標の登録が認められたばかりだ。
 組合の後藤安彦事務局長は「岩手ブランドをまねた商標登録は心外だ。異議申し立てをしたり当方から中国で新たに商標登録したり、対抗措置を取りたい」と話す。(加賀元)

◎中国浙江省で1万人が抗議行動、警官隊と衝突(2008年9月5日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国浙江省寧波市で4日に1万人規模の民衆による抗議行動が起き、警官隊と衝突する騒ぎが発生した。5日、香港の中国人権民主化運動情報センターが伝えた。抗議に参加した出稼ぎ労働者約20人が負傷、10人が拘束されたという。湖南省吉首市でも3日から4日にかけて1万人の群衆が抗議行動を起こしており、北京五輪で抑えられていた社会不満が今後、相次ぎ噴き出す可能性がある。
 寧波市での騒動は、衣料品工場で14歳の少年が重傷を負ったことがきっかけ。家族は同工場がある町の治安要員に殴られ建物から落ちたと疑い、友人らとともに工場側に抗議した。この抗議に出稼ぎ労働者も加わり、工場に投石する事態となった。500人以上の特別警察隊が群衆を排除しようとしたため、激しい衝突に発展したという。
 また、国営新華社通信などによると、湖南省吉首市では、高い利息収入を名目に違法に資金を集めていた不動産会社が利息や資金を返還しないことに出資者らが怒り、群衆が駅や道路をふさぐなどして警官隊と衝突した。新華社電は、衝突による死傷者はいないとしているが、香港の人権団体は50人以上が負傷したとしている。

◎ギョーザ事件:中国が捜査方針転換、「国内混入」を追及(2008年8月31日、毎日新聞)
 6月に中国国内でも発生していたことがわかった中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国の捜査当局が従来の方針を転換し、中国国内での毒物混入の可能性を含めた捜査を進めている。胡錦濤国家主席が捜査の加速と真相究明を指示したことを受けたものだ。製造元の天洋食品工場内での混入かどうかが、焦点となっている。日中の外交当局は、捜査当局同士の連携を進めているが、「食の安全」にかかわる問題だけに、日本側の積極的な情報公開も求められている。
 中国公安部は28日、日本に捜査情報を正式に伝達した際、冷凍ギョーザの生産過程を含めて調査していることを伝え、事実上、中国国内での混入の可能性を認めた。中国の中毒事件のギョーザが市場では流通しておらず、被害者が天洋食品関係者の可能性があることも伝えてきており、同社工場内での毒物混入の可能性も示唆した。また、日本の中毒事件と同じくメタミドホスが原因であることも認め、中国公安部は詳細な毒物分析を進めていることも明らかにした。
 中国は、北海道洞爺湖サミットでの日中首脳会談を控えた7月初めに、6月の中毒事件発生を日本側に通報。北京五輪が閉幕し、9月の日中韓首脳会談を控えたタイミングで、再び捜査情報を伝えてきた。日中関係の節目ごとに、中国の協力姿勢をアピールする狙いとみられる。
 今月17日の日中外相会談では、中国が国内での毒物混入の可能性を否定し、連携がうまくいっていなかった両国の捜査当局間で、情報交換を促進することで合意。日中外交当局は、捜査の進展をにらみつつ、捜査結果を公表するタイミングを計っていくとみられる。
 外務省は30日、一部報道を否定する形で、「中国政府が、中国国内で起きた中毒事件について、毒物が中国国内で混入した可能性が高いことを正式に認めた旨、日本政府として、中国政府から情報の提供を受けたことはない」とするコメントを発表。あくまで中国政府の正式な見解を待つ姿勢を示している。【須藤孝】

◎北京五輪終え、中国製ギョーザ中毒事件の捜査本格化 胡主席が徹底捜査指示(2008年8月31日、産経新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件で、中国公安当局は厳戒態勢を敷いた北京五輪の警備が終わり、ようやく捜査を本格化させた。日中首脳会談などでたびたび取り上げられ「胡錦濤国家主席自身が日本での事件の影響の大きさを感じた」(日中関係筋)ため、徹底捜査を指示したことが背景にある。
 中国側は7月上旬、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)を控え、日本側に中国国内での中毒発生を連絡。日中首脳会談の前に「事件解明への誠意」をみせた。追及の矛先をかわす目的もあったとみられるが、日中関係のさらなる改善に向けた胡主席の意向が働いたことは間違いない。
 ただ、事件発生当初から地元公安当局が内部犯行の可能性も視野に捜査してきたが、決定的な証拠が乏しく、犯人の特定が難しいのが現状。全面解決への道のりには紆余(うよ)曲折がありそうだ。

◎中国「ギョーザ中毒は工場内犯行」、臨時工を集中聴取(2008年8月31日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】千葉・兵庫両県で1月に発覚した中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、中国公安当局が製造元の「天洋食品廠公司」(中国・河北省)の製造過程で農薬成分が故意に混入された内部犯行の可能性が高いとみて、同社の臨時工を集中的に事情聴取していることがわかった。中国側はこれまで「工場での混入の疑いはない」として、製造過程での混入を指摘する日本側と意見が対立していたが、中国側が捜査姿勢を一転させたことで両国の捜査協力が前進し、真相解明に向けて動き出す可能性が出てきた。
 さらに今回、6月中旬に中国内で起きたギョーザ中毒事件では、天洋食品が冷凍庫に保管していた回収品を同社の関係者が横流しし、それを食べた別の4人の同社関係者が中毒症状を起こしたことが新たに判明した。公安当局がそのギョーザを鑑定した結果、日本で中毒事件を起こした製品と同じ農薬成分「メタミドホス」が検出され、その濃度が極端に高かったことから、いずれも天洋食品の工場内で何者かが故意に混入させた疑いが濃厚と判断した。
 中国筋によると、公安当局は同社から押収した消毒液のほか、薬物の管理記録や生産管理記録を再度捜査。さらに、従業員の出勤状況などが記されている人事管理簿や、工場内に設置されている防犯カメラの映像を分析した。これまでに従業員55人の事情聴取を終え、聴取の範囲を退職した臨時工にまで広げて集中的に捜査している。
 また、中国で発生したギョーザ事件では被害者4人の中に子どもも含まれ、重症患者もいるという。横流しした天洋食品の関係者は調べに対し、「特に安全性に問題はないと思って、冷凍庫から持ち出して複数の知人に安値で販売した」と供述している。ギョーザはいずれも天洋食品の関係者にしか渡しておらず、中毒を起こした4人以外に被害者を確認していないという。
 中国公安省の捜査責任者は28日、日本政府側に対して、中国で起きたギョーザ事件の製品は同国内の市場には流通しておらず、天洋食品の関係者らの間だけに出回っていたと説明していた。
 日本側のこれまでの捜査では、具材からはニラの残留検疫基準の6万倍を超える農薬成分が検出され、包装袋の外側から染み込んだ可能性はなく、日本での流通過程で混入された可能性は極めて低いと判断し、国内での捜査を終了していた。
 ギョーザ事件は、中国製食品への不信感や中国に対する日本の国民感情を悪化させる要因ともなっていた。今後、日中両国の警察当局は証拠や捜査情報の交換を進めていくことになる。

◎ウイグルの警官殺害、公安当局が容疑者6人射殺し3人拘束(2008年8月30日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】30日の新華社電によると、中国西北部の新疆ウイグル自治区の公安当局は29日夜、カシュガル市近郊のシュレ県などで警官ら計5人を殺害して逃亡していた容疑者9人を同県で発見し、このうち6人を射殺、3人を拘束した。
 この際、刃物を持った容疑者の激しい抵抗に遭い、民兵1人と武装警察官1人が負傷したという。
 容疑者は、8月12日にシュレ県の検問所を襲撃して治安要員3人を殺害。27日には同市に近いジャシ県で事件を捜査中の警官ら2人を殺害し、さらに逃走していた。

◎「参加でき幸せ」「格差の方が大切」、北京市民、光と影(2008年8月25日、朝日新聞)
 「声と健康には自信があるからね。中国百年の夢に参加でき、これほどうれしいことはない」
 北京五輪の柔道会場で案内役ボランティアを務めた元オペラ歌手尚慕周さん(85)。若者の模範になろうと外に立ち、誘われても会場には入らなかった。「近頃の若者は甘やかされているから、きついボランティアはいい経験。メダルより、もっと大事なものを学んでくれたはずだ」
 「鳥の巣」の外でサックスや笛を吹き続けた殷妙芳さん(70)は「中国と五輪のために自分にもできることがあって幸せ」と振り返った。
 「五輪歓迎演奏会」と称して期間中、1人で野外演奏をしてきた。音楽を始めたのは60歳を過ぎてから。一度だけ「鳥の巣」に入り、陸上競技を観戦した。「どの国の人も自分の国のために一生懸命頑張っていた。中国も同じ」
 五輪の「成功」を喜べない人たちもいる。
 今年6月、地方に住む姉一家宅が悪質な開発業者に壊されるなどした北京市内の会社員男性(31)は、その窮状を訴えようと、期間中に公安当局が設けた公認デモの申請窓口に通った。
 公安当局が「デモになる前の相談でほとんどの案件が解決した」と説明しているのをテレビで見たからだ。だが、申請は受理されず、担当者は「調べる」といった、その結果の連絡はまだない。
 陳情と申請に追われ、何の競技も見ないまま五輪は終わった。9月6~17日の北京パラリンピック中も公認デモの申請窓口が設けられるはずだ、と望みをつなぐ。
 「デモが1件もないまま終わり、関心を持つ海外メディアが帰ってしまう。政府が本当に声を聞いてくれるのか全く分からない」。男性の不安は消えない。
 9月下旬に司法試験を控える北京市内の男性(25)は「環境や地域格差などの問題の方が大切ではないか」と訴える。期間中は大学構内の自習室から閉め出された。
 01年の誘致決定時は地方の大学1年。卒業後、故郷に戻ると、植物が減り、赤トンボも見なくなった。無造作な開発が悲しかった。でも思いは打ち明けない。「中国で国を批判するには勇気がいる」
 厳しい規制をかいくぐり、ダフ屋行為で1万元(約16万円)稼いだというトラック運転手の男性(33)は「金もうけが一番。いい五輪だったよ」と笑った。「閉会式も関係ないよ。もうけを家に持って帰って、8歳の長男の学費にするんだ」。稼いだ額は給料の3カ月分にのぼった。

◎金メダル選手に560万円、中国(2008年8月25日、産経新聞)
 中国政府系のウェブサイト「中国網」によると、中国国家体育総局の肖山(しょう・ざん)副局長は二十四日、一部地方紙の取材に対し、北京五輪で金メダルを獲得した中国の選手に一人35万元(約560万円)を支給することを明らかにした。前回のアテネ五輪では20万元だった。
 中国は北京五輪で51個の金メダルを獲得、国別で初のトップとなった。
 また同体育総局の劉鵬(りゅう・ほう)局長は二十四日、選手養成など中国政府の対スポーツ投資が毎年8億元に上っていることを明らかにした。

◎北京五輪:中国メディア「成功」と自画自賛、批判伝えず(2008年8月25日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】25日付の中国共産党機関紙「人民日報」は、北京五輪閉会に関して「光栄は偉大なオリンピックに属する」と題した社説を掲載し、「北京五輪は世界の人々の団結と友情を示した」と自画自賛した。チベット問題など五輪に関連した海外からの批判には一切触れていない。
 社説は、北京五輪には過去最多の204カ国・地域から1万人余りの選手が参加し、45億人が観戦したと紹介した上で、中国選手団が「金メダル51個を獲得し、ずばぬけた成績で世界の注目を集めた」と指摘した。
 さらに「改革開放から30年を迎えた中国は五輪を機に対外開放にさらに自信を持ち、中国の近代化にも深遠な影響をもたらす。これは北京の、さらにオリンピックの誉れだ」と意義を高く評価した。
 また、同日付の北京地元紙「北京青年報」は中国の金メダル51個にスター選手の写真をあしらった1面と中面に30ページ以上の特集を組み、大々的に五輪閉会を報じた。同紙社説も「中国人は世界の信任を得た」と手放しでほめちぎった。
 一方、中国国営・新華社通信は25日、五輪成功を称賛する外国メディアの報道を伝える一方、チベット問題や報道、宗教の自由を問題視する内容は全く報じていない。

◎新聞は「成功」、ネットでは批判(2008年8月24日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国共産党中央機関紙の人民日報は24日、1面の総括記事で「8月、北京は世界の舞台であった」と五輪は成功したと報じた。各紙も国内外の声を引用し五輪成功の権威づけに懸命だ。しかし、インターネットには批判も少なくない。統制された公式メディアとは違い、ネット世論を掌握しきれていない中国共産党の報道統制のほころびから、北京五輪の真実の姿がかいま見える。
 人民日報は「北京、五輪の日々」の記事で、「党中央、国務院の指導のもと全力を注いで開催された五輪が国際社会、各国選手、人民を満足させた」と論評した。開幕式、選手村、会場、交通、ボランティアに対する国際オリンピック委員会(IOC)関係者の絶賛ぶりを紹介。市民へのアンケート調査で99%が「なんらかの形で五輪にかかわっている」と答えた結果などを引用し、五輪には市民の積極参加があり、ボランティア意識や列に並ぶという文明的生活習慣など、市民に与えた精神的遺産も大きいと評価した。
 新京報、環球時報、北京青年報はシンクロナイズドスイミングの米国チームが「謝謝、中国!」と書いた横断幕を掲げ入場する写真を1面に掲載した。開会式での「口パク事件」や人権活動家の拘束など五輪に対するマイナス報道はほぼ統制され、陸上男子ハードルの劉翔選手の土壇場での棄権問題については「劉選手擁護」で各紙が足並みをそろえた。
 一方、ネット上では掲示板やブログで、外国サイトから情報を得たネットユーザーの多様な意見があふれた。胡錦濤国家主席も重視しているという人民日報運営の掲示板「強国論壇」では、「そんなに金をかけて五輪をするな。金持ちはそんなに多くないし、素直な人民もそんなに多くない」「金メダルの数からすると中国は強大になった。だが、われわれが必要なのは毎日1人当たり300グラムの米と150グラムの肉だ」「五輪でどれほど浪費したのか。劉翔は国家のものか。五輪の総括が必要だ」「金メダルが増えると劉翔みたいな選手が増えるのか、たえられない」といった厳しい意見も少なくなかった。
 また、体操選手の年齢詐称問題については「農村では年齢を詐称して結婚することはよくあることだ」といった皮肉もあった。
 こういった五輪批判は削除の対照になっているが、現実にはその膨大な書き込みの前に削除しきれていない。このためネットにかいま見える国民の本音こそが、五輪の成功度をはかる裏のバロメーターといえそうだ。

◎ニイハオ!北京:病院にもダフ屋、買えない診察券、午前4時には長蛇の列(2008年8月23日、産経新聞)
 【北京・三木陽介】北京五輪の競技会場には、チケットを不正転売する多くのダフ屋がいるが、中国では、こんなところにもダフ屋が出没する。
 北京市北部の総合病院。午後5時。正門前に新聞紙を敷いて男女5人が座っている。何をしているのか尋ねると、みな「家族が病気なんだ」と言い、それ以外は何を聞いても口を閉ざした。
 診察券のダフ屋だ。翌朝、もう一度行ってみると、1階の八つの診療科窓口には数十メートルの患者の列ができている。「おれが先だ」「助けて」と悲鳴や怒号が飛び交う。前夜の5人組は片隅でニヤニヤ。カモを狙っているのだろう。
 中国では公的医療保険制度が確立しておらず、治療費は各自が負担する。まず10元(約150円)前後の診察券を買い、診察後、診察料と薬代を支払う。診察券の枚数が限られているため、医師が少ない科や人気医師の場合、これを逆手に取り高く売ろうとするダフ屋がいるのだ。コンサートやスポーツのチケットのダフ屋「票販子(ピャオファンズ)」に対し、「号販子(ハオファンズ)」と呼ばれる。
 あるタクシー運転手(46)は頭痛を訴えた妻を病院に連れて行った。受付は午前4時には既に長蛇の列。診察券は買えなかった。そこへ男が近寄ってきて「50元(約750円)でどうだ」と言われた。
 天津市の30代の男性は家族が高熱を出し、北京の有名病院に行った。2晩並んだが診察券は入手できない。疲れ切ったところに、号販子が10倍以上の値段をふっかけてきた。
 警察は北京五輪を機に私服警察官を配置するなど、号販子の取り締まりを強化したが、「五輪期間中だけ」との声も聞こえる。病院側も電話予約制や身分証の提示など独自の対策に乗り出した。
 だが、不信感は根深い。別のタクシー運転手は「いずれ、号販子と手を組んでもうけようとする悪い医者が出てくるよ」と言った。

◎「トイレ守」一家住み込む北京の公衆トイレ、汚名返上へ(2008年8月23日、読売新聞)
 【北京=梅村雅裕】北京市が不衛生で知られる公衆トイレの汚名返上に躍起だ。
 五輪期間中は、利用者が1人出て行くごとにモップを手にした清掃員が掃除。住み込みの「トイレ守」も活躍している。トイレを改築し、利用マナー向上を呼びかけてきた同市では、閉幕が近づいても「最後まで気を抜くな」と清掃員を督励している。
 「監督官の巡回は1日に5~6回。市の環衛局幹部が来たこともある」。繁華街・王府井の公衆トイレ。清掃員の伍自春さん(35)が語る。開幕前は1日1~2回の巡回だった。「五輪開催中は特に汚れに注意するよう言われている」という。
 伍さんが担当するトイレの入り口の脇に3畳ほどの小部屋がある。室内に2段ベッドと冷蔵庫。お昼が近いため、床の上で炊飯器が蒸気を上げていた。
 「子どもは夏休みで遊びに来ているだけ。普段は夫と2人暮らしなの」。妻の張立珍さん(33)は、伍鵬君(7)の頭をなでた。仕事は、トイレ掃除と紙の補充。公衆トイレに住み込みで働いているのだ。
 安徽省で農業をしていた伍さんは、昨年この職を得た。給与は2人で2000元(約3万円)。大卒初任給より1000元少ないものの家賃や光熱費はゼロで、成績次第でボーナスもある。「水を流さない人は減り、利用者のマナーも良くなった。仕事に満足している」。張さんは言う。
 旅行者は使用をためらうほど不衛生だった中国のトイレ。仕切りがなく、他の利用者と顔を合わせることから「ニーハオ・トイレ」とも呼ばれた。
 北京市がトイレ改革に乗り出したのは、五輪開催が決まった2001年から。改築、新築を重ねて、仕切りも当たり前となり、清掃員も大増員した。住み込み式は1700か所。格付けもあり、三つ星や四つ星などの認定証を掲げたトイレもある。
 評判は上がった。ボート女子のオランダ代表で銀メダルに輝いたエスター・ウオルケル選手(33)は「故宮の公衆トイレに行ったら思いの外きれいだった」。エチオピアのマラソンコーチ、ゼラレム・デスタさん(58)も「20年間で10回ほど北京に来たが、随分清潔になったと思う」と満足そうだ。
 もっとも昔ながらの平屋街「胡同」の裏通りには、今もニーハオ・トイレが残る。近くの飲食店従業員の女性(22)は「こんなの時代遅れ」と話す。それでも家庭にトイレがない胡同では公衆トイレは生活の一部。近所の男性(44)は「子どもの時から利用しているし、何も気にならない」と話していた。

◎北京「公認デモ」いまだゼロ、市民日参「用紙くれない」(2008年8月23日、朝日新聞)
 【北京=奥寺淳】北京五輪の開催中に中国が認めた「公認デモ実施地」で窮状を訴えようと、市民がデモ受付窓口に日参している。中国側は「デモをする前に問題はすべて解決した」と胸をはるが、実態は申請用紙すらもらえず、申請者が手続き後に拘束されたとの情報も絶えない。申請窓口の現場を訪ねた。
 21日午後、デモの申請窓口となっている北京市公安局治安管理総隊の窓口には、約20人の市民が集まっていた。
 「地元の市政府にも訴えた。吉林省政府にも、国の相談窓口にも行った。でも何も解決しない。五輪のデモ窓口に来るしかなかった」
 吉林省の男性(49)は、A4判2枚の「デモ嘆願書」を握りしめ、妻と親類の計4人で申請窓口を訪れた。
 嘆願書によると、6月下旬、いきなり重機がやって来て数十年住んだ自宅の取り壊しを始めた。破壊された証拠を守るため、その後もテントを張って住み続けたが、今度は100人以上の男から殴るけるの暴行を受け、現金や携帯電話などすべてが奪われた。義弟は右目を失明した。
 男性は、額に残った長さ約5センチの切り傷を見せながら、「デモをさせて欲しい」と訴えた。しかし公安職員は「関係部局に連絡を取って解決する」と繰り返し答え、1週間後に来るよう言われた。一緒に行った親族の男性は「1週間後は五輪は終わっている。正式な申請用紙が欲しいと言っても、くれない」。22日も結果は同じだった。
 北京市の元軍人(58)も計11人で窓口を2度訪れたが、やはり「申請用紙がもらえないので、手続きできない」。21日に取材した約20人の申請者は、いずれも申請用紙がもらえていなかった。
 北京市公安局は市内3カ所の公園を「公認デモ実施地」に指定している。しかし、デモはまだ1件も実施されていない。当局は、18日までに77件の申請があったが、「(デモ申請者が)関係部署に相談し、問題は解決した」と説明。北京五輪組織委員会の王偉副会長も「話し合いで問題を解決するのは中国の文化。中国はいつも調和を重視している」と会見で強調した。
 しかし、米政府系のラジオ・フリー・アジアによると、申請した湖南省出身者は手続き後に拘束。中国語のインターネットニュース「博訊」も、山東省の申請者が拘束されたと伝えた。
 北京五輪組織委も22日の会見で、北京の70代の男女が「公共の秩序を乱した」として1年間の再教育キャンプ送りになったことを認めた。「調和」との説明にほころびも見えるが、「あくまで個別の案件だ」(王副会長)と意に介していない。

◎中国産の輸入物価が上昇、日本の物価上げ要因に(2008年8月17日、日本経済新聞)
 中国からの輸入品が日本に物価上昇圧力をかけ始めている。中国産の割合が5割を超す輸入品の輸入物価を調べたところ、衣類や玩具、オーディオなどの物価が前年より軒並み上昇。ここへきて上昇基調がはっきりしつつある。中国はこれまで安価な工業製品を供給する「デフレ輸出国」と位置付けられてきたが、上昇が続けば製品の値上げを通じて日本の消費者物価を押し上げる可能性もある。
 日銀がまとめた7月の輸入物価指数によると、ポロシャツや手袋は前年同月に比べて9%上昇。今春あたりから上昇ペースがじりじりと速まっている。パジャマやトレーナーも4%上がっている。輸入衣類では中国産のシェアが8割に上っており、輸入物価の上昇が先行きの値上げ圧力となりそうだ。

◎中国、警官“暴発”に苦慮、銃違法使用、市民殺傷事件多発(2008年8月16日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国公安省は北京五輪が始まった8日付で、銃の使用と管理強化を命じる内部通達を出していたことが16日明らかになった。地方都市で、警官が銃を違法に使用し、市民を殺傷する事件が多発、市民の憎悪を呼ぶ事件がたびたび発生しているためだ。通達は北京五輪の安全警備を念頭に置きつつも、民衆の怒りにより、現体制の存立基盤が揺るぎかねない─との中国指導部の強い懸念が反映されているようだ。

・危機感募らせ内部通達
 北京の警察関係者が産経新聞に提供した「最近、頻発する公安人民警察の銃管理使用規定違反による死傷事件についての通達」(8日付)によると、「一部の地方で発生している公務用の銃による死傷事件が公安(警察)機関の名誉と人民警察のイメージを損なう」として、民衆の暴動に対しておびえて発砲したり、派出所の銃を私的な猟に使い誤って農民を撃ち殺した事件などの具体的な例を挙げている。
 通達は「警察の銃管理が依然、甘く、誤っているケースがあることが明らかになった」と述べたうえで、「これら事件の教訓は深刻だ。警察は五輪開幕に当たり、その安全確保という重大任務に携わっており、拳銃の管理はさらに重要である」と訴えるなど、北京五輪の治安維持に万全の状態で当たるよう指示している。
 また、通達は「法に従い、銃の正確な使用を保証するよう要求する。公務用の銃の管理をしっかりと行い、銃の審査・保管を行う人間の資格や携帯登録制度を厳格化し、その使用状況の報告を誠実に実施しなければならない」と指摘。銃の使用状況に問題があった場合、法に従った厳格な措置を行うとしている。
 北京では五輪の安全確保という重要任務に当たる警察だが、地方では「腐敗権力の象徴」として、民衆から襲撃を受けることもしばしばだ。警察側が武器で対抗し、官民ともに死傷者が出る事件が多発している。
 資料を提供した警察関係者は「警察内部のたがが緩んでいる。人民のための警察の銃が人民を殺傷するなどあってはならないこと」といい、このままでは国民の警察に対する不信感と憎悪が爆発しかねないとの懸念を漏らしている。
《通達が例にあげた喫緊の警察の銃による殺傷事件》

・7月19日午前、雲南省普●(さんずいに耳)市公安局の捜査チームが同市郊●(孟へんに力)連県の鎮や村で“犯罪容疑者5人”を取り調べようとしたところ、事情の分からぬ約500人の村民が「少数の不法分子」に扇動され、なたや鉄棒、すきなどを持って警官を包囲し衝突が発生。警官側は脅威を感じて、制止のためにゴム弾を発砲、被弾した少数民族イ族男性、岩尚軟(50)とその息子(20)が死亡。この騒ぎで41人の警官と19人の村民が負傷し、9両の警察車両が破壊された。
 (この事件は後に新華社で報道され、胡文彬・共産党委員会書記が責任を問われて解任された。ゴム栽培に従事する農民が、ゴムの買い上げ企業の国際相場よりも低い買い上げ価格設定に不満をもった抗議活動からはじまるトラブルとみられている)

・7月24日午前、広東省東莞市公安局沙田分局のパトロール大隊副隊長・丁夕平(44)が、男女関係のトラブルから、軍隊時代の戦友で沙田鎮供電企業のマネジャーを公務用拳銃で銃殺、その妻も銃撃で負傷させたあと、自身も拳銃自殺した。

・7月26日午前、新疆ウイグル自治区タチェン市で、林業派出所指導員と同市副書記、同市政法委員会書記ら6人が郊外の村に狩猟に行った際、規定に違反し、30発の実弾入りライフルを政法委書記に貸し与えていた。政法委書記は猟の帰りに通りかかったスイカ畑で、農民夫婦を獲物と間違え発砲。農民は死亡し、その妻も重傷を負った。

・7月28日午後1時ごろ、広西チワン族自治区田林県公安局が鉱物違法採掘に対して捜査していたところ、100人以上の事情が分からぬ雲南省籍の村民が、採掘主に扇動され警察を包囲。公安局副局長らが携帯していた銃を奪おうとした。このとき、副局長は「人民警察武器使用条例」を無視して、発砲して民衆を制止しようとしたが、逆に銃を奪われて自分の足を撃たれたほか、警官5人が負傷した。

◎英記者拘束、警察かばう中国側に外国メディアの批判噴出(2008年8月16日、朝日新聞)
 【北京=奥寺淳】チベット支援活動家を取材中の英国人記者が北京五輪会場近くで拘束された問題で、北京五輪組織委は14日の定例会見で「(警察に)記者証を見せたらすぐに解放された」と述べ、誤解に基づくものだったとの認識を示した。一方、外国人記者からは「自由に取材できるという約束を中国は守っていない」との批判が噴出、会見は紛糾した。
 一緒にいた同僚によると、英国人記者は警察に拘束される際、「私は英国の記者だ」と中国語と英語で訴え続けたが、そのまま連行されたという。同委の王偉副会長は「警察とのコミュニケーションがうまくいかなかった」と警察をかばったが、会見で米テレビ局記者は「連行される前から彼は記者証を手に持って示していた」と反論した。
 会見では、中国が公約した「五輪期間中の報道の自由」に質問が集中。同委が、五輪村から離れた3カ所の公園を「公認デモ地域」に指定したと発表しながら、まだ1件もデモが認められていないことにも質問が及んだ。
 デモの申請と拒否件数についてこの日の会見で答えると約束していたが、王副会長は「私たちは五輪を成功させるための仕事をしている。公安当局に聞いて欲しい」と述べるにとどまった。
報道の自由や人権問題を何度も聞かれ、王副会長が「我々は討論しているのではない」と声を荒らげる場面もあった。

◎中国:消費者物価指数、6.3%上昇、7月(2008年8月13日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国国家統計局は12日、7月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比6.3%上昇したと発表した。上昇幅は6月の7.1%から0.8ポイント低下した。
 しかし、前日発表された7月の卸売物価指数の上昇幅は10.0%と、前月の8.8%から一気に2ケタ台に加速、一定期間後にCPIに波及するとみられ、中国政府は引き続き物価抑制を重視する政策を続ける構えだ。

◎東芝、中国生産合弁を完全子会社化(2008年8月13日、日本経済新聞)
 東芝は中国の電機大手、TCL集団(広東省)と合弁で運営していた白物家電の生産会社を完全子会社化した。高機能の冷蔵庫や洗濯機を売れ筋の機種に素早く変更できる運営体制に改めた。主力とする日本向けに加えロシア、中国などで高機能製品の需要が伸びているのに対応する。松下電器産業が専用家電を発売するなど、急成長が期待される新興国での家電事業を強化する動きが激しくなってきた。
 東芝の全額出資子会社で白物家電を手がける東芝ホームアプライアンスが90%、TCLが10%出資していた「東芝家電製造(南海)」(広東省仏山市)の合弁を解消した。東芝側がTCL側の持ち株を約2億円で買い取った。

◎中国:日本人記者ら一時拘束、新疆ウイグル自治区(2008年8月11日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国新疆ウイグル自治区クチャ県で武装集団による警察襲撃事件を取材していた産経新聞中国総局の記者と時事通信社の記者、カメラマンの計3人が10日夜、同県の警察当局に一時拘束された。両社によると、記者らは暴行は受けておらず、約1時間半後に解放された。
 一方、新華社電によると、事件による武装集団の死者が7人から10人に増え、襲撃で死亡した警備員と合わせて死者は11人となった。警察は容疑者2人を拘束、供述から武装集団は15人とみて、残る3人の行方を追っている。死亡した容疑者のうち、8人は警察に射殺され、2人は自爆で死亡したという。

◎中国:新疆で県公安局など襲撃、容疑者含め11人死亡(2008年8月11日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】新華社通信によると、中国新疆ウイグル自治区クチャ県で10日未明、武装集団が手製爆弾を使って県公安局などを襲撃した。爆発は12回起き、警察が応戦した結果、容疑者10人を含む11人が死亡、市民ら5人が負傷した。北京五輪の開幕後、当局を狙った襲撃事件が発生したのは初めて。五輪妨害を狙ったテロの可能性もあり、中国指導部にとって大きな衝撃となりそうだ。
 最初の爆発は10日午前2時(日本時間同3時)ごろ、飲食店近くで起きた。午前2時半ごろには、武装集団が三輪自動車で県公安局の敷地内に突っ込み、手製爆弾を爆発させた。さらに、地元政府庁舎やスーパー、ホテルなども襲撃された。
 一連の爆発で警備員1人が死亡し、警官2人と市民2人、警備員1人が負傷した。武装集団のうち8人が警察に射殺され、2人が自爆で死亡した。警察は容疑者2人を拘束した。

◇記者ら一時拘束
 現地からの情報によると、クチャで取材していた日本人記者3人が10日夜、地元当局に拘束された。時事通信社によるとうち2人は同社の記者とカメラマン、産経新聞社によるともう1人は同社中国総局の記者で、暴行は受けておらず、約1時間半後に解放されたという。

◎中国:国有企業社長らの平均年俸は760万円(2008年8月10日、毎日新聞)
 中国政府の李栄融国有資産監督管理委員会主任は10日の記者会見で、政府が直轄する国有企業の社長や副社長ら首脳の平均報酬が06年で47万8000元(約760万円)だったことを明らかにした。企業利益は全体で7685億元、報酬総額は5億7700万元だった。
 平均報酬額は04年が35万元、05年が43万元で年々大幅に伸びているが、李主任は従業員の平均年収の方が伸び率がやや高いことを強調した。政府直轄の国有企業数は、毎年再編が進み、現在は149社。(共同)

◎中国:新疆で爆発、犯人5人射殺、五輪妨害テロの可能性(2008年8月10日、毎日新聞)
 中国国営の新華社通信によると、新疆ウイグル自治区クチャ県の中心部で10日未明、武装グループが公安施設や企業活動を所管する工商管理所などを襲撃した。警察は現場で容疑者5人を射殺、警察官2人と保安要員1人が負傷した。北京五輪の妨害を狙ったウイグル独立派のテロの可能性が強い。同自治区カシュガルでは8月4日、武装警察部隊が襲撃され警察官16人が殺害される事件が起きており、公安当局はクチャ県中心部を事実上の戒厳状態に置いた。
 国家の威信を懸けた北京五輪開催中の警察襲撃事件は、胡錦濤指導部に大きな打撃。今後、各地で一段と警備が強化されるのは確実だが、閉幕まで安全を確保できるか指導部に大きな試練となる。
 新華社によると、事件が起きたのは午前2時半(日本時間同3時半)ごろ。タクシーに乗ったグループが、手製爆発物を投げ付けて警察車両二台を燃やした。警察は現場を封鎖、人民解放軍も警戒態勢に入った。新華社は当初午前3時すぎから午前4時の間に数回爆発があり2人が死亡したと伝えていた。犯行声明などは出ていない。
 クチャ県のホテル従業員は、県中心部で公安当局による車両通行禁止令が出ており「事実上の戒厳状態になっている」と語った。
 新華社などによると、カシュガル地区の史大剛共産党委員会書記はカシュガルでの襲撃事件をめぐる五日の記者会見で、ウイグル独立派「東トルキスタン独立運動(ETIM)」が今年初め、「北京五輪終了」までテロ攻撃を毎月行うと宣言し、中国国内のテロ勢力に指令を出していた、と明らかにした。
 このほか雲南省昆明で7月21日にバス連続爆破事件が発生。「トルキスタン・イスラム党」を名乗る組織がビデオによる犯行声明を発表し五輪を標的に攻撃を行うとの声明を出している。(共同)

◎中国警察当局が容疑者5人射殺、新疆でまたテロか、周辺厳戒(2008年8月10日、産経新聞)
 【北京=矢板明夫】中国新疆ウイグル自治区中部のクチャ(庫車)県の中心街で10日未明に起きた爆発事件で3人が負傷、警察当局は容疑者5人を射殺した。中国国営新華社通信が伝えた。8日から始まった北京五輪の妨害を狙ったテロの可能性もある。当初は2人が死亡と伝えられていた。
 爆発は午前3時20分から4時にかけて発生。目撃者によれば、爆発とともに炎の光が見え、同時に散発的な銃声も聞こえたという。現場付近は直後から封鎖され、地元治安関係者によると、現地に駐屯する人民解放軍部隊は厳戒態勢を敷いているという。
 新華社通信は、爆発の標的となったのは、公安施設や企業活動を所管する施設で、警察車両2台が燃えたと伝えている。
 事件があったクチャは天山山脈の南部、自治区の区都ウルムチから西に約740キロにあり、人口は約40万人。イスラム教を信仰するウイグル人を中心に多くの少数民族が居住している。古代のシルクロードの要衝の一つとしても知られ、日本人を含む外国人観光客に人気が高い。
 中国では五輪開幕直前から、すでに複数のテロ事件が起きている。7月下旬に雲南省昆明市で路線バスの連続爆発事件が発生し、新疆の独立派と見られる「トルキスタン・イスラム党(TIP)」を名乗る組織が犯行を認める声明を発表。TIPはその後、北京五輪で新たなテロを示唆するビデオ声明をウエブサイトで出している。
 今月4日には同自治区カシュガルで、早朝の訓練に向かう武装警官が襲撃され、16人が死亡する事件が発生。地元治安当局は新疆独立派によるテロ攻撃と断定している。

◎広東省、五輪盛り上がり遠く、繊維メーカー倒産相次ぐ(2008年8月10日、日本経済新聞)
 北京の南2000キロに位置し、繊維産業が集積する広東省は五輪の祝賀ムードからほど遠い。世界経済の減速や人民元相場の上昇で輸出が低迷し、繊維メーカーの倒産が相次いでいるためだ。工業情報化省の朱宏任局長は北京での記者会見で「今年上半期、繊維産業が受けた打撃はかなり大きい」と述べ、支援策の強化が必要との認識を示した。
 「五輪に向けた運送コストの上昇も経営が悪化した一因だ」。5月に生産をストップした広東省広州市の衣料品工場の責任者はこう話す。五輪開幕を祝う空気はほとんどない。7月には温家宝首相が同省を視察に訪れたが「自分たちには関係ない」と切り捨てる。(北京=高橋哲史)

◎新疆ウイグル自治区で連続爆発、2人死亡、新華社報道(2008年8月10日、朝日新聞)
 【北京=坂尻信義】中国北西部の新疆ウイグル自治区クチャで10日未明、爆発が数回にわたり発生し、少なくとも2人が死亡した。国営新華社通信が英文配信で速報した。犠牲者はさらに増える見通しとしている。また、警察当局が犯人を追跡する過程で、少なくとも容疑者4、5人を死傷したという。
 同通信が目撃者の話や現地の警察当局から得た情報として伝えたところでは、爆発はクチャの中心街で午前3時20分から4時にかけて起きた。爆発音があたりに響き渡った後、閃光(せんこう)があがり、散発的な銃声も聞かれたという。警察当局が現場一帯を封鎖している。地域に駐屯する中国軍も警戒態勢に入り、一部の動員も始まっているという。
 クチャは同自治区のウルムチから直線距離で南西に約400キロ。アクス地区の拠点都市で、人口約40万人とされる。
 北京五輪開催中に少数民族のウイグル族の分離独立派が活動しているとされる同自治区で連続爆発事件が発生したことは、胡錦濤(フー・チンタオ)指導部にとっては衝撃とみられる。同自治区では4日に北西部の国境に近い拠点都市カシュガルで、武装警察隊員がウイグル族の男2人に襲撃され、16人が死亡、16人が負傷している。

◎毒ギョーザ担当?中国食品監督局長が自殺(2008年8月9日、スポーツニッポン)
 中国国家品質監督検査検疫総局の食品生産監督管理局のウ・ケンペイ局長(42)が自殺したと8日付の香港紙、星島日報が伝えた。2日に建物から飛び降りた。自殺前に司法当局が局長と接触していたとの情報もある。
 国家品質監督検査検疫総局は食品や日用品の安全性確保や動植物の検疫などを担当。その中で食品生産監督管理局は国内での食品の安全管理や監督、食中毒事件の調査を担っている。中国国内で6月中旬に起きたとされるギョーザ中毒事件の対応にも同監督管理局がかかわっていたとみられるが自殺との関係は不明。
 同紙によると、北京五輪開催直前の時期にあたるため、中国メディアは当局の意向に従い、局長の自殺についての報道を控えている。5日には総局内で会議が開かれ、李長江総局長が部下に規律の徹底を求めたという。

◎中国、評価に過剰反応、海外メディア「監視されてるようだ」(2008年8月8日、産経新聞)
 北京五輪では、ホスト国の中国が外国メディアの報道に異常なまでに細心の注意を払い、五輪の評価に過剰反応していることが特徴の一つだ。一方、海外メディアの方は取材の不自由さを感じているようだ。
 「プレスセンターの食堂の値段が高いと文句を言ったら、翌日から大幅に値下げされた。こんなことは初めてだ」と驚きの表情で語るのは、英国系大手通信社のベテラン男性記者だ。しかし「五輪があす開幕するというのに、われわれは中国人選手をまだ一人として取材できずにいる」と不満を漏らす。
 米国の女性記者も同様だ。「生活環境面では配慮してくれているが、私たちに中国を褒める記事を書かせようとして必死に(中国当局が)アプローチしてくるのはうっとうしい。私はスポーツ記者だ。中国の改革開放の成果などに興味はない」と言い放つ。
 北京五輪を取材するため訪れる外国人記者は、史上最大規模の2万人以上だとされる。北京市内にはプレスセンターが2カ所設けられ、記者たちのために取材ツアーや映画の上映会など多くのイベントも用意されている。
 「一番驚いたのはプレスセンター内のボランティアスタッフの多さだ。トイレの前にも必ず立っており、どこにいても監視されているようだ」と語るフランスの男性記者もいた。
 外国メディアの報道について、中国のメディアは逐一反論するなど、こちらも神経をとがらせている。たとえば、中国の農民工の人権問題や北京の大気汚染問題などを批判する欧米メディアの報道に対し、中国メディアは細かいデータを引っ張り出し、必死に否定する。
 一方、6日付の国際情報紙「環球時報」は1面トップで「北京を絶賛する声が急増した」と報じた。米紙ワシントン・ポストや英国のBBC放送など複数のメディアが最近、北京五輪を好意的に紹介した報道を取り上げたものだ。
 そうした報道について環球時報の記事は「外国の選手や観光客が大挙して北京に入り、中国の実態を知ったためだ」と分析し、「外国メディアは中国を歪曲(わいきょく)できなくなった」としている。
 しかし、BBC放送の関係者は「われわれは今までと同様の報道をしただけにすぎない」と首をかしげた。(矢板明夫)

◎「騒動起こした」中国ネットで日本メディア批判(2008年8月8日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、事件後に回収された「天洋食品」(河北省)製ギョーザが中国国内で流通し、中毒を起こした問題をめぐり、中国のインターネット上で6日深夜から7日にかけ、日本メディアや中国政府に対する批判が現れた。
 中国主要メディアは事実を報じておらず、数は少ないが、北京五輪開会式を8日に控えた当局は、過激な論調を徹底的に封じ込めるとみられる。
 大半が五輪直前に問題が発覚したことへのいらだちだ。対日食品輸出業者関係のネット論壇には「五輪がまさに開幕するという時に、『小日本』(日本に対する蔑称(べっしょう))がこうした騒動を起こした」と、日本メディア批判が書き込まれた。
 「ニセ物が多い中国の商品。靴下は2日も履けば、穴があく。五輪はこうした事実を隠しきれない」と自己批判的な論調もあった。
 批判の矛先は、中国政府にも向けられた。「6月中旬に国内で中毒事件が発生してから今日まで、情報が統制されてきた。日本メディアで明らかになって(中国政府が)初めて認めた。面目も信用もない」との書き込みがあった。

◎ギョーザ中毒、非公表は中国側の要請、高村外相明かす(2008年8月7日、読売新聞)
 高村外相は7日、読売新聞などのインタビューに応じ、中国製冷凍ギョーザ中毒事件で中国政府から同国内での被害発生の連絡を受けながら事実関係を公表しなかった理由について、「中国政府が通報してきた際、『捜査の途中経過なので公表しないでほしい』と言ってきた」と述べ、中国側の要請があったことを明らかにした。
 外相は、「情報提供者が公表しないでほしいと言っている以上、公表しないのは情報の世界の大原則だ」と強調した。

◎ギョーザ中毒事件、日中捜査協力の強化要請へ、8日に首脳会談(2008年8月7日、日本経済新聞)
 政府は6日、中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、中国側に捜査協力の強化を働きかける方針を決めた。製造元の天洋食品が回収したギョーザが中国内で流通し、6月中旬に複数の中国人が有機リン系殺虫剤「メタミドホス」の中毒を起こしたことが明らかになったためだ。福田康夫首相は8日に北京で中国の胡錦濤国家主席、温家宝首相とそれぞれ会う予定で、首脳会談を通じて協力強化と早期解決を促す。
 町村信孝官房長官は6日の記者会見で、日中首脳会談で捜査協力の強化を求めるかどうかについて「当然触れる」と述べた。中国外務省は6日、日本経済新聞の書面質問に「中国国内で6月中旬に中毒事件が発生した。公安省が全力で捜査しているところだ」と回答。中国側によると、事件を日本政府に伝えたのは主要国首脳会議(洞爺湖サミット)前の7月初旬という。

◎厳戒態勢は中国全土に、「まるで戦争中」との声も(2008年8月7日、読売新聞)
 8日開幕の北京五輪を前に、厳戒態勢は北京だけでなく、中国全土に及んでいる。
 新疆(しんきょう)ウイグル自治区で起きたテロを受け、警備や規制が一層強化される中、「まるで戦争中みたい」(上海市民)との声も出ている。

・瀋陽:タクシーもテロ警戒
 【瀋陽=末続哲也】上海同様、サッカーが行われる遼寧省瀋陽。市当局が、タクシー運転手に「重要治安情報を提供すれば、最高50万元(約750万円)の報奨金を出す」と通知し、2万台近いタクシーが“パトカー”になった。
 ただ、「テロリストの発見は素人には無理」(35歳のタクシー運転手)との声もあり、市当局は、重要情報を提供した一般市民にも、同様の報奨金を出すと追加発表した。
 路線バスの警備では、860人の私服警官が乗り込む措置を決定。新疆ウイグル自治区で武装警察部隊への襲撃事件が起きた直後の今月5日には、予備役兵1000人を路線バス警備に正式投入した。
 市内では、当局の指導の下、約8万人の市民ボランティアが組織され、街の随所で目を光らせる。選手団のホテルに隣接する住宅地には、「(警備の都合を考えて)外出を極力控えましょう」と呼びかける文書まで張り出された。
 警備が強化の一途をたどるなか、根拠不明のうわさも飛び交う。今月2日には「鉄道を爆破する」と地元警察に電話をかけた男が逮捕された。男は「驚かせたかっただけ」と供述、テロとは無関係と見られるが、こうした事件も当局を刺激する。地元当局者は「五輪警備で問題が起きたら、幹部のクビが飛ぶ」と話した。
 住民側には、戸惑いもある。タクシー運転手の男性(40)は、「タクシーの交通違反取り締まりが強化され、夜間客も激減した」と嘆いた。

・上海:50メートルおきに武装警官
 【上海=加藤隆則】男女サッカーの計12試合が行われる上海市中心部の「上海体育場」と、近接する選手用ホテル「華亭賓館」は7月20日以降、「電流注意」の表示を掲げた金網フェンスで囲まれた。
 体育場は市民が気功やダンスを楽しむ憩いの場だったが、一般の立ち入りが禁止され、武装警察が50メートルおきに立つ厳戒ぶり。警備には人民解放軍の兵士ら1万5000人が投入され、通りかかった女性が「まるで戦争が始まるみたい」と驚きの表情を見せた。
 体育場の敷地内で営業していた大手スーパーや飲食店もすべて閉鎖。華亭賓館は約800室のうち、五輪関係者用の約300室以外は予約を受け付けず、空室のままだという。
 最寄りの地下鉄駅では、所持品すべての検査器通過が義務づけられている。路線バス計1600台には監視カメラが設置され、下水道もカメラによる監視体制が敷かれる。市当局は、テロ情報の提供者に最高で50万元(約750万円)の賞金を出すと呼びかけている。
 上海では5月、通勤ラッシュの路線バスで、乗客の持ち込んだ可燃物が炎上、3人が死亡、12人が負傷した事件が未解決のままだ。7月には、男が刃物を持って警察署を襲撃、警官ら11人を殺傷する事件が発生しており、不安をいっそうあおる結果となっている。

◎中国製ギョーザ中毒、専門紙が日本の報道を引用し伝える(2008年8月7日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国製冷凍ギョーザ中毒事件に絡み、事件後に回収された「天洋食品」(河北省)製のギョーザが中国国内で流通し、中毒事件を起こしたことについて、7日付の中国の国際問題専門紙「環球時報」は、日本の報道を引用する形で事件を伝えた。
 ただ、「日本が再び『毒ギョーザ』をあおっている」との見出しで、中国外務省が事件発生を認める報道官談話を出したことには触れず、日本メディアが“書き飛ばし”ているとの印象を与える。
 記事は日本メディアが6日、相次いで中国での中毒事件発生を伝えたことを紹介。福田首相が「長い時間がかかっているが、できるだけ早く解決しなければならない」と発言したことも引用したうえで、「『毒ギョーザ』は、日本メディアが再び熱心にあおり立てる対象になった」と指摘している。もっとも、記事の扱い自体は地味。今回の事件について、ほかの主要紙は一切報じていない。当局が厳しく情報統制を行っていることをうかがわせる。

◎日本メディア引用し「中国国内でも中毒」報道、ギョーザ事件で中国紙(2008年8月7日、産経新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件で7日付の中国紙、環球時報は、日本側の報道を引用して製造元の天洋食品(河北省)が国内で回収した冷凍ギョーザを食べた中国人が有機リン系殺虫剤「メタミドホス」による中毒症状を訴えていたことを伝えた。
 中国外務省は6日、国内での中毒発生を認めたが、中国の主要メディアは報じておらず、当局が報道を規制しているとみられる。環球時報も「日本が再び中国製“毒ギョーザ”をあおる」として、日本側の一方的な情報のような記事になっている。

◎中国、ギョーザ中毒認める、従来の主張から転換(2008年8月7日、読売新聞)
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件に絡み、中国外務省は6日、報道官談話を発表、製造元の「天洋食品」(河北省)が事件後に回収したギョーザが中国国内で流通し、6月中旬、有機リン系殺虫剤メタミドホスによる被害が出ていたことを初めて公式に認めた。
 「中国国内で同社製品にメタミドホスが混入した可能性は極めて低い」とする従来の主張を転換する内容。これを受け警察庁は北京五輪閉幕後にも、中国で中毒を引き起こしたギョーザの鑑定結果など捜査状況の説明を求め、日本の事件との関連性を確認する方針だ。
 【北京=牧野田亨】この日の談話は「中国政府はこれを極めて重視し、公安部門が全力で捜査中」とした。日本の報道を受けた迅速な対応で、事件解決に前向きな姿勢を示す狙いがあるとみられる。回収したギョーザが流出した経緯や被害者の人数、被害状況は明らかにしていない。
 外務省の兒玉和夫外務報道官は6日の記者会見で、在北京日本大使館を通じ、事実関係を中国外務省に確認できたとしたうえで、中国側が〈1〉日本の事件との関連性も含め、引き続き捜査する必要がある〈2〉公安当局が捜査を展開している――と説明したことを明らかにした。町村官房長官も同日夕の記者会見で、8日の北京五輪開会式に合わせて行われる日中首脳会談で、この事件が取り上げられる見通しを示した。
 この事件を巡って、警察庁と中国公安省の公式協議は4月9日以降、中断していた。中国側が先月の北海道洞爺湖サミット前になって、この情報を伝えてきたのは、サミットでの日中首脳会談を意識したものと言える。ただ、「積極的に捜査している様子はうかがえない」(日中関係筋)との指摘もあり、全容の解明につながるかどうかは不透明だ。

◎ギョーザ中毒、ダメージ懸念し、ネットも統制(2008年8月7日、読売新聞)
・五輪の中国 報道は沈黙
 中国河北省石家荘市の「天洋食品」製冷凍ギョーザが、中国国内で健康被害を出していた問題は、国内での殺虫剤混入を否定してきた中国側の主張を覆すものだ。
 日本で中毒被害が発覚してから6か月余り。日本政府内には事件解決への期待もあるが、北京五輪開会式を控えた中国政府は国内報道を封じており、中国内は「沈黙」が支配している。(北京 牧野田亨、政治部 川上修、社会部 中村勇一郎)
 中国では6日夜現在、国内での中毒事件は一切報道されていない。中国外務省が同日出した報道官談話も、問い合わせたメディアに対し、報道官事務室がファクスしているだけだ。
 複数の北京市民に話を聞くと、一様に「本当?」「政府が認めたのか?」と疑いの目を向けた。女性会社員(32)は「また外国メディアが大げさに騒いでいるでしょう」とうんざりした様子だった。
 天洋食品の工場がある石家荘市も状況は同じだ。市内のタクシー運転手は「そんな話、聞いたことがない。どう思うかと聞かれても……」と、言葉に詰まった。工場は当局によって操業停止にされたまま。「今では工場に行く客もいないよ」と打ち明けた。街では、天洋食品のことはもう話題にも上らないという。
 事件発覚時には、インターネット上で、日本を罵倒(ばとう)する過激な言葉が飛び交ったが、今回は、海外の報道を見たうえでの反応は見当たらない。
 こうした“沈黙”の背景には、中国政府の強力な報道、ネット統制がある。国家の威信をかけた北京五輪の開会式を8日に控え、事件が報道されれば、日本批判が起きる可能性があるほか、国内の「食の安全」問題が焦点となり、政府批判につながりかねない。五輪を安定した環境で開催したい中国政府にとっては、何としても避けたい事態だ。
 冷凍ギョーザは中国人家庭にも広く普及し、頻繁に食卓に上る。「日本向けの輸出商品は国内用より安全だ」(北京市の男性)とのイメージもあり、北京の地元紙記者は「その話は初耳。本当なら大変なことだ」と興味を示す。その一方で、「今の中国メディアの仕事は、国民のすべての関心を五輪に向けさせること。五輪にマイナスとなる情報を報道することはありえない」と打ち明けた。
 北京の街は、五輪にちなむオブジェが各所に設置されるなど、すでに五輪一色。6日は五輪選手村で、日本選手団の入村式が行われた。選手たちも、今回の事件は知らないようだった。福田富昭・日本選手団長は記者会見で、「食の安全」について尋ねられ、「選手が生活するのは(中国側も食材の品質に気を使っている)選手村の中。ここの食事は安全。何も心配していない」と話した。
サミット前、日本側へ情報
 「本日、中国外務省に事実関係を確認した。一刻も早い事件解決につながることを期待している」
 外務省の兒玉和夫外務報道官は6日の記者会見で、中国でも日本と同様の中毒事件が発生していた事実を発表した。しかし、外務省には7月初めに、在北京日本大使館を通じ、中国当局から非公式に情報がもたらされていたという。
 中国は自国での被害発生を6月に把握しており、この時期に日本に情報を伝えた理由ははっきりしない。ただ、このころ、日中両国は東シナ海のガス田問題に道筋をつけ、喫緊の懸案はギョーザ中毒事件だけになっていた。7月7日からの北海道洞爺湖サミットの際に行われる日中首脳会談の前に日本側に情報を伝え、事件の解決に向けた中国の姿勢を示すことが、中国には最良のタイミングと映っていたようだ。事件発覚から5か月が経過し、日本での報道が下火になっていたことも、「中国側の背中を押した」(政府筋)と見られている。
 一方、日本政府が情報を表に出さなかったのは、〈1〉中国の事件で、被害者も中国人〈2〉今年2月に警察庁長官が「日本国内での混入可能性は低い」と発言、中国側の反発を招き、捜査協力に支障が出た〈3〉中国の捜査当局内で、中国での混入の可能性を認めるか否かで意見対立が発生し、捜査幹部が更迭されるなど、権力闘争の材料になっているとの未確認情報がある――などの事情を考慮したためだ。
 7月9日の日中首脳会談や、同22日のシンガポールでの日中外相会談でも、事件解決に向けた協力は確認したが、「中国での被害発生は話題にならなかった」(外務省筋)とされる。
 今回、中国政府が正式に国内での被害発生を認めたことで、日本政府内には、「北京五輪閉幕後にも事件は解決するのではないか」(外務省幹部)との期待も出ている。
製造から10か月、解明に壁
 警察庁にも、中国側が外交ルートを通じて自国内でのメタミドホスの混入を示唆したとする情報が7月上旬、外務省から非公式に伝えられた。ただ、中国国内の捜査を指揮する中国公安省からは6日の公式発表まで、何の情報提供もなかったため、同庁はこれまで中国側の動きを静観するしかなかった。「中国の外交当局と公安省の間で、この問題に対する温度差があったのではないか」。警察幹部の一人はそう指摘する。
 千葉県と兵庫県の3家族計10人が中国・天洋食品製のギョーザで中毒になったことが表面化したのは今年1月30日。ギョーザの製造日は昨年10月1日と20日で、現時点でも製造からすでに約10か月経過している。今後、中国国内の捜査が本格化しても、メタミドホス混入の経緯や関与した人物を特定できるかどうかは不明で、警察内部からは「手放しで喜べる段階ではない」との声があがっている。

◎中国外務省、冷凍ギョーザによる中毒の国内被害を認める(2008年8月6日、読売新聞)
・メタミドホス 現地混入強まる
 中国製冷凍ギョーザ(餃子)中毒事件で、製造元の中国河北省石家荘の「天洋食品」が事件後に中国国内で回収したギョーザが流通し、このギョーザを食べた中国人が有機リン系殺虫剤メタミドホスによる中毒症状を起こして、重大な健康被害が出ていたことがわかった。関係筋が5日明らかにした。
 これまで日中双方の警察当局がそれぞれ自国内でのメタミドホスの混入を否定してきたが、中国国内で同様の事件が発生したことにより、中国での混入の可能性が強まった。
 中国から連絡
 日本政府は今後、中国公安省に事実確認を要請するとみられ、日中両国の捜査協力がようやく本格化する可能性が出てきた。
 関係筋によると、中国側は7月初め、北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の直前に、外交ルートを通じて、日本側にこの新事実を通告、中国での混入の可能性を示唆したという。
 事件が起きたのは6月中旬。天洋食品が回収した冷凍ギョーザの一部を食べた中国人が中毒を起こし、重大な健康被害が出たという。被害者の人数や症状などは不明だが、千葉県などの事件と同様、ギョーザに含まれていたメタミドホスが原因と特定された。事件後、日本に輸出される前の商品は天洋食品が回収したことになっており、今回、中毒を引き起こした商品が流通した理由やその経路などはわからない。
 中国側の混入の可能性が強まったことで、中国の捜査当局は事故と故意による混入の両面で改めて捜査を急ぐ必要に迫られそうだ。
 冷凍ギョーザ中毒事件では、千葉、兵庫両県の3家族10人が昨年末から今年1月にかけ、天洋食品製造のギョーザで中毒症状になった。中国側は2月末、「原料、生産工程、輸送過程でメタミドホスが混入された状況は見つかっていない」との見方を表明。これに対し、警察庁は、メタミドホスの成分分析の結果、日本国内にはない不純物が検出されたことなどから、「日本で混入された可能性は極めて低い」との見解を示していた。

【中国製ギョーザ事件の主な経緯】
 1月30日 千葉、兵庫両県で、中国製ギョーザの中毒被害事件が発覚。両県警がメタミドホス検出と公表
 2月5日 千葉、兵庫両県警が共同捜査本部設置。福島県、大阪府でも被害が発覚
  15日 警察がメタミドホスが日本製でないと断定
  25日 警察庁幹部が訪中し、中国公安省と協議
  28日 中国公安省が中国でメタミドホスが混入した可能性は低いと発表
 5月7日 日中首脳会談でギョーザ事件捜査協力強化で合意

◎中国外務省、冷凍ギョーザによる中毒の国内被害を認める(2008年8月6日、読売新聞)
 中国製冷凍ギョーザ中毒事件に絡み、中国外務省は6日、報道官談話を発表、製造元の「天洋食品」(河北省)が事件後に回収したギョーザが中国国内で流通し、6月中旬、有機リン系殺虫剤メタミドホスによる被害が出ていたことを初めて公式に認めた。
 「中国国内で同社製品にメタミドホスが混入した可能性は極めて低い」とする従来の主張を転換する内容。
 これを受け警察庁は北京五輪閉幕後にも、中国で中毒を引き起こしたギョーザの鑑定結果など捜査状況の説明を求め、日本の事件との関連性を確認する方針だ。
 【北京=牧野田亨】この日の談話は「中国政府はこれを極めて重視し、公安部門が全力で捜査中」とした。日本の報道を受けた迅速な対応で、事件解決に前向きな姿勢を示す狙いがあるとみられる。回収したギョーザが流出した経緯や被害者の人数、被害状況は明らかにしていない。
 外務省の兒玉和夫外務報道官は6日の記者会見で、在北京日本大使館を通じ、事実関係を中国外務省に確認できたとしたうえで、中国側が〈1〉日本の事件との関連性も含め、引き続き捜査する必要がある〈2〉公安当局が捜査を展開している――と説明したことを明らかにした。町村官房長官も同日夕の記者会見で、8日の北京五輪開会式に合わせて行われる日中首脳会談で、この事件が取り上げられる見通しを示した。
 この事件を巡って、警察庁と中国公安省の公式協議は4月9日以降、中断していた。中国側が先月の北海道洞爺湖サミット前になって、この情報を伝えてきたのは、サミットでの日中首脳会談を意識したものと言える。ただ、「積極的に捜査している様子はうかがえない」(日中関係筋)との指摘もあり、全容の解明につながるかどうかは不透明だ。

◎中国:北京に発電車両を移動、五輪期間の電力供給を死守(2008年8月4日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】8日の五輪開幕を控え北京市の電力需要が急増している。五輪開催都市での電力供給を死守するため、中国最大の送電会社である国家電網は、山西、江西、浙江、吉林、寧夏の5省・自治区に配備していた発電車両計28台を北京市に移動、国際的な体面を保とうと懸命だ。
 中国では、石炭価格高騰による発電所の運転停止に加え、四川大地震などの影響で送電設備が倒壊したため電力不足が深刻化している。すでに各地で計画的な停電が始まっている。
 国営新華社通信によると、北京市に新たに配備された発電車両の発電容量は1万850キロワット。以前から北京市にある発電車両22台を合わせた計50台で発電容量は2万6890キロワットになる。いずれも市内で停電が発生した時の緊急電源として活用するという。
 中国紙によると、北京市の今夏の最大電力は、過去最高だった昨年夏の最大電力を23%上回る1460万キロワットに達する見通し。日本の中国電力の発電能力(約1200万キロワット)を大幅に上回る水準が見込まれている。

◎北京五輪:関連グッズが大人気、記念金貨や偽物も(2008年8月4日、毎日新聞)
 【北京・長野宏美、中本泰代】北京五輪関連グッズが大人気だ。中には87万元(約1305万円)の記念金貨3枚セットも。一方、マスコットの偽物を2元(約30円)で売る業者も登場。真夏の北京はグッズ商戦も熱い。
 北京市の繁華街・王府井(ワンフーチン)にある工芸品デパートでは、1階が五輪関連グッズ売り場になっている。午前10時の開店前から行列ができる日もある。
 開幕1週間前の1日は、国家体育場(愛称・鳥の巣)のデザインに「開幕式」の文字が入ったバッジを求めて約200人が並んだ。1個35元(約825円)。限定70個が売り切れ、次の入荷は未定という。中国で「八」の数字は縁起がいいとされ、「開幕まであと8日」と書かれたバッジも品切れになった。
 鳥の巣の純金模型は2万3000元(約34万5000円)。メーン会場が描かれた金貨3枚セットはさらに高額で87万元だが、29個が完売したという。店員の李文超さん(24)は「すべて人気があって何がお勧めとは言えない。全部1番です」と話す。現在は約7割が中国人客で、その半分が北京市民という。
 市内の無職、楊玉時さん(66)は車に飾る五星紅旗やハンカチなどを購入。「五輪のおかげで交通網がすごく便利になった。自分も大会を支えるため買い物をした」と語った。
 五輪グッズの偽物もさっそく登場。観光地の天安門や故宮博物院周辺では、5人組のマスコット「福娃(フーワー)」(幸福な子供たち)の携帯ストラップなど偽造品を手にした売人が盛んに声をかける。
 中年女性がストラップセットを手に「10元(約150円)」と近寄ってきた。「半額で」と答えると商談成立。女性は「警察が来るから早く」とせかし、代金を受け取ると素早く背を向けた。別の中年男性が2元(約30円)で売っていたストラップセットの福娃は緑色の顔で、明らかに偽物と分かる。いずれも商品に福娃の文字や五輪マークはなかった。

◎五輪開会式は「時々雷雨」の予報、ミサイルで雨雲消滅も(2008年8月4日、読売新聞)
 【北京=結城和香子】北京市気象局は3日の記者会見で、現時点で「時々雷雨」との予報が出ている8日の開会式の夜について、必要なら事前に人工雨を降らせる緊急対策を検討すると語った。
 薬剤を積んだ小型ミサイルを撃ち込み、事前に雨を降らせて雨雲を消滅させる手法は、しかし、「まだ実験段階で、不確定要素も多い」(人工降雨担当者)。
 しかも、雲の状態によって手法が異なるという。局地的な雨を降らせることで、北京の天気を改善できる条件がそろえば、開閉会式の夜に向けて実施したいとした。
 一方、長期予報では、8月中に台風が数回発生、うち2~3度沿岸部に上陸する見通し。セーリングが行われる青島、馬術が行われる香港などに、影響が及ぶ可能性がある。

◎ニイハオ!北京:「新幹線」静かに時速345キロ(2008年8月3日、毎日新聞)
 【北京・三木陽介】北京五輪開催を前に1日開通した中国版新幹線「京津城際高速鉄路」に2日乗車した。世界最速の時速350キロ。日本の新幹線開業も東京五輪(1964年)の開幕前だった。中国の威信をかけた超特急の乗り心地は--。
 北京南-天津間の約120キロを約30分で結ぶ。2010年開催の上海万博に合わせ、青島などを経由し上海までの約1300キロに延びる予定だ。名称は「和諧号」。中国共産党が04年に掲げたスローガン「和諧(調和)社会」から命名した。
 北京南駅はサッカー場のような巨大な建物。ほぼ15分おきに出発しているが、人気が高く、午前11時ごろ発券窓口に並び、購入できたのは午後2時5分発の券だった。片道で58元(約870円)。磁気券に慣れていないせいか、券を取り忘れそうになる乗客も。その度に女性職員が「1人1枚持って」と叫ぶ。
 発車前は中国人もこぞって記念撮影。車両は外観も内装も東北新幹線「はやて」に似ている。発車ベルはなく、定刻に静かに動き始めた。徐々に速度が上がる。揺れはほとんど感じない。ドア上部の電光掲示板に速度が表示され、7分後、「のぞみ」の300キロを超えた。さらに2分後、345キロに達した。
 乗客は静かで寝ている人も。35分であっという間に天津に到着した。申健さん(25)は「便利になった」と感慨深げだった。

◎中国:時速350キロ、五輪に合わせ「新幹線」開通(2008年8月3日、毎日新聞)
 【北京・三木陽介】北京五輪開催を前に1日開通した中国版新幹線「京津城際高速鉄路」に2日乗車した。世界最速の時速350キロ。日本の新幹線開業も東京五輪(1964年)の開幕前だった。中国の威信をかけた超特急の乗り心地は--。
 北京南-天津間の約120キロを約30分で結ぶ。2010年開催の上海万博に合わせ、青島などを経由し上海までの約1300キロに延びる予定だ。名称は「和諧号」。中国共産党が04年に掲げたスローガン「和諧(調和)社会」から命名した。
 北京南駅はサッカースタジアムのような巨大な建物。ほぼ15分おきに出発しているが、人気が高く、午前11時ごろ発券窓口に並んだが、購入できたのは午後2時5分発の券だった。片道で58元(約870円)。磁気券に慣れていないせいか、券を取り忘れそうになる乗客も。その度に女性職員が「1人1枚持って」と叫ぶ。
 発車前は中国人もこぞって記念撮影。車両は外観も内装も東北新幹線「はやて」に似ている。発車ベルはなく、定刻に静かに動き始めた。徐々に速度が上がる。揺れはほとんど感じない。ドア上部の電光掲示板に速度が表示され、7分後、「のぞみ」の300キロを超えた。さらに2分後、345キロに達した。
 乗客は静かで寝ている人も。35分であっという間に天津に到着した。申健さん(25)は「便利になった」と感慨深げだった。

◎中国、ネット規制を一部緩和、チベット問題などは制限(2008年8月3日、日本経済新聞)
 北京五輪を取材する報道陣の拠点、メーンプレスセンター(MPC)で一部ウェブサイトへの接続ができなくなっていた問題で、中国当局は2日までにインターネット規制を緩和した。一般の回線での閲覧も可能になったが、チベット問題などに絡むサイトは依然、規制対象のまま。五輪を目前に控えた中国の「開放」と「引き締め」は試行錯誤が続いている。
 アクセスが可能になったサイトは、英BBC放送の中国語版や米政府系放送局「ラジオ自由アジア」などのほか、ヒューマン・ライツ・ウオッチやアムネスティ・インターナショナルなど国際人権団体のホームページ。
 国際オリンピック委員会(IOC)と北京五輪組織委員会(BOCOG)は五輪の開催に当たり、大会を取材するメディアのネット接続を制限しないことで合意していたが、7月8日にMPCがオープンして以降、一部サイトへのネット接続を中国側が遮断していたことが判明。各国メディアから批判の声が上がり、IOCも事態の改善を求めていた。(北京=尾崎実)

◎中国独禁法、IT4社が当局提訴、施行後初(2008年8月3日、日本経済新聞)
 【上海=戸田敬久】中国で独占禁止法が1日に施行されたのを受け、北京のIT(情報技術)関連企業の4社が2日までに行政上の権利を乱用して市場競争を阻害する「行政独占」などを理由に中国当局を提訴した。中国紙、新京報などが報じた。中国独禁法での提訴は初めてとみられる。
 訴えられたのは、政府機関の国家品質監督検査検疫総局。同局の傘下企業の商品認証システムへの強制加入は、独禁法の行政独占に当たるとして、IT企業の北京兆信信息技術など4社が北京市第一中級人民法院(地裁)に提訴した。
 中国独禁法は、企業の価格協定や支配的地位の乱用に加え、行政機関による市場競争の阻害も違法と定めている。行政当局の恣意(しい)的な規制を巡り、今後も民間企業の訴訟が相次ぎそうだ。

◎中国、一般家庭のネット規制緩和、「五輪限定」難しく?(2008年8月3日、朝日新聞)
 【北京=稲垣康介】IOCのロゲ会長は2日、メーンプレスセンター(MPC)などでのインターネットのアクセス規制が緩和され、状況が好転しているとの見解を示した。英BBC中国語版や一部の国際人権団体のサイトが閲覧可能になったなどの成果を挙げ、「これは中国という国にとってかつてない出来事だ」と話した。
 一方で、チベット亡命政府や中国内で非合法な「法輪功」のサイトは依然として見られない。
 北京の一般家庭回線からも一部で、中国当局がアクセスを規制してきた香港や台湾などのニュースサイトに接続できるようになっている。複数の北京市民によると、中国の敏感な問題を多く扱う香港の明報や亜洲週刊、台湾の自由時報、米政府系のラジオ・フリー・アジアなどのサイトが最近閲覧できるようになった。規制緩和を五輪関連施設だけに限ることが難しかったとみられる。

◎中国の金メダル候補 年齢詐称疑惑で分かった仰天実態(2008年8月2日、ゲンダイネット)
 信じられないことが発覚した。中国の女子体操選手の年齢詐称疑惑である。
 米紙ニューヨーク・タイムズによると、北京五輪に出場する女子選手の少なくとも2人は「出場資格の16歳に満たない14歳」の疑いがあるという。名指しされたのは、段違い平行棒の金メダル候補である何可欣と江ギョク玉源の2人だ。
 過去の国内大会の記録や報道では生年月日が何選手「1994年1月1日」、江選手「93年10月1日」と記録されているが、パスポートにはそれぞれ「92年1月1日」「91年11月1日」と記されていたという。両選手が国内大会で使っていた生年月日が正しいとしたら、現在、16歳の条件を満たしていないため出場できなくなる。もちろん、中国体操連盟は過去の報道が誤りであり、パスポートが正しいと主張している。
 中国側の言い分が確かとしても、生年月日が2つある疑問は解けない。
「以前から中国政府も国民も誕生日への関心が薄いのです」
 中国に在住する日本人の大学教授はこう事情を説明する。
「だからパスポート、IDカード、運転免許などの誕生日がすべて違う人もいます。とくに女の子の場合、将来の結婚のために役所への届け出を遅らせることが多い。1、2年サバを読むのは当たり前のこと。生年月日が1つの人は10人に1人でしょう」(前出の大学教授)
 一人っ子政策も影響している。2人目が禁じられているから、役所に届け出ないケースが珍しくなく、結局、本当の生年月日は分からないわけだ。
 こうした事情を知れば、中国人の年齢問題をつついてもナンセンスだと分かるが、世界一流の新聞が今になってカミついたのにはウラがある。女子体操の最強国は米国と中国。昨年の世界選手権では米国が団体優勝し、準優勝が中国だった。今回の米国の揺さぶりで、五輪の結果も見えてしまったようだ。

◎中国、ネット規制を一部緩和、チベット問題など規制続く(2008年8月2日、日本経済新聞)
 北京五輪を取材する報道陣の拠点、メーンプレスセンター(MPC)で一部ウェブサイトへの接続ができなくなっていた問題で、中国当局は2日までにインターネット規制を緩和した。一般の回線での閲覧も可能になったが、チベット問題などに絡むサイトは依然、規制対象のまま。五輪を目前に控えた中国の「開放」と「引き締め」は試行錯誤が続いている。
 アクセスが可能になったサイトは、英BBC放送の中国語版や米政府系放送局「ラジオ自由アジア」などのほか、ヒューマン・ライツ・ウオッチやアムネスティ・インターナショナルなど国際人権団体のホームページ。
 国際オリンピック委員会(IOC)と北京五輪組織委員会(BOCOG)は五輪の開催に当たり、大会を取材するメディアのネット接続を制限しないことで合意していたが、7月8日にMPCがオープンして以降、一部サイトへのネット接続を中国側が遮断していたことが判明。各国メディアから批判の声が上がり、IOCも事態の改善を求めていた。(北京=尾崎実)

◎中国的白タク・ダフ屋あがったり、五輪で取り締まり(2008年8月2日、朝日新聞)
 【北京=延与光貞】五輪開幕を控え、北京市内では「白タク」や「ダフ屋」など違法営業の取り締まりが厳しさを増してきた。「期間中は仕方ない」とあきらめ顔の人もいれば、すき間を縫って商売を続けるつわものもいる。
 地方からの長距離列車の終点になっている北京西駅の駅前。いつもは「どこに行くの」と声をかけてくる白タク(中国語で「黒車」)の運転手たちの姿がない。パトロールの警官らが周辺を頻繁に回っているからだ。
 この道10年という40代の白タク運転手は「パラリンピックが終わるまでは危ない」と7月初めから仕事を休み、家でマージャンをして過ごす。
 違法営業は承知の上だ。昨年から管理が厳しくなったといい、すでに3回拘留された。「もう慣れた。ほかにいい仕事がないから仕方がない。人様から奪ったり、盗んだりしているわけじゃないし」とやめるつもりはない。
 「五輪なんて金持ちのためのもの。生活のために働いているおれたちには、楽しむ余裕なんてない」と厳しい取り締まりに不満を隠さない。
 7月25日からの最後のチケット販売期間中、中国語で「票販子」と呼ばれるダフ屋が連日、当局に拘束された。
 それでも五輪公園の販売所近くの歩道を歩くと、日焼けした男性があたりをうかがいながら声をかけてくる。「チケットかい? 何がほしいの」。卓球の決勝は3千元(約4万5千円)、水泳の決勝は1500元(約2万2500円)という。元の値段を聞いても「この時期に元の値段は関係ない。負けられないよ」と強気だ。
 ほかにどんな種目があるのか聞くと、「何でもあるけど、ここは取り締まりが厳しい。後で電話して」と早口で携帯の番号を告げてきた。その場で長く話すのを避けるそぶりだった。

◎ここまでやるか!中国“メダル獲得大作戦”(2008年8月1日、ゲンダイネット)
 北京五輪で最多金メダル獲得を狙う中国のやり口はメチャクチャだ。女子体操選手のうち、少なくとも2人が出場資格の16歳を満たさない14歳と報じられた。
 中国体操連盟の当局者は2人のパスポートを示して潔白を訴えているというが、いかにもありそうな話だ。「北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠」の著者で国際政治学者の浜田和幸氏はこう言う。
「あの国にとって、数字をイジるのは大したことではない。人口ですらゴマカしています。公式データでは13億人ですが、当局関係者は“16億人は軽く超えている”と平然と口にしているほどです」
 中国の至上命題は五輪のメダル数で米国を抜き、ロシアを寄せ付けず、日本は足元にも及ばせないこと。それだけに勝つための秘策奇策は、まだまだあるはずだ。例えば、“人体実験”。
「ドーピング検査をすり抜ける筋肉増強剤を開発するため、囚人を使った人体実験を繰り返しているという情報があるのです。英国の諜報機関MI6が暴露し、チャールズ皇太子やブラウン首相が開会式出席に難色を示しているのはこのせいだといわれています」(前出の浜田氏)
 さらに、“替え玉”作戦。
「2年ほど前、各国選手を招いて開催されたプレ五輪イベントのマラソン大会はひどかった。中国男子選手の中に双子がいて、沿道に設けられた死角で入れ替わっていたのです。へばっていた選手が猛スピードで駆け出し、ゴボウ抜きで優勝したのだからお笑いです」(スポーツライター)
 他にも、審判団の主任はすべて中国人で固めているし、メダル不発に備え、スポーツ大会併催も計画している。少林寺拳法などの武術を競う国際大会をやる予定で、金メダルは五輪と同格扱いだとか。
 そこまでしますか……。

◎中国:五輪開催前にネット規制、批判高まる(2008年8月1日、毎日新聞)
 【北京・杉尾直哉、小坂大】五輪開催を前に、中国当局がインターネットの閲覧を厳しく規制し、国外からの批判が高まっている。五輪取材の報道関係者約2万2000人が集まるメーン・プレス・センター(MPC)では、国際人権団体や、中国が非合法化して弾圧を続ける「法輪功」などのサイトの閲覧が制限され、世界から集まった記者に、逆に言論統制の実情を印象付ける結果となっている。
 プレスセンターでは、欧米からの記者を中心に「サイトを開こうとしたがつながらない」との声が続出。英BBCテレビなど欧州の有力メディアが繰り返し、「接続不能」と表示されたパソコンの画面を映して「ネット規制が行われている」と報道した。
 国際オリンピック委員会(IOC)は7月31日、中国当局と北京五輪組織委員会(BOCOG)に改善を申し入れ、プレスセンターでは1日朝、「アムネスティ・インターナショナル」「ヒューマンライツ・ウォッチ」などの人権団体のサイトは閲覧できるようになったが、法輪功関連のサイトは依然閲覧不可能だ。
 豪州のABCテレビによると、同国のスミス外相は31日、政府として中国側にネット規制を改善するよう要請。さらにIOCに対しては、この問題で十分な対応策を取っていないと批判した。
 IOCは1日、「中国側とネット規制を認める協定は結んでいない。中国が約束を守ることを信じている」との声明を出した。

◎ニイハオ!北京:ネット監視「仮想警察官」(2008年7月31日、毎日新聞)
 【北京・木戸哲】中国は2億人以上がインターネットを利用するネット大国だ。一方で、特定サイトにはアクセスできず、利用状況も監視されているという。実名で登録しないと閲覧できない北京市郊外のネットカフェを利用してみた。
 店に入るとパスポートの提示を求められた。画面に向かい約30分。若者に人気のサイトを閲覧中に突然、画面左上に男性警官のキャラクター「警警」が現れた。「仮想警察官」と呼ばれているという。女性警官「察察」も姿を見せた。
 仮想警察官をクリックすると、表示されたのは海口市公安局のホームページ。北京から約2000キロも離れた海南省の省都。早々に店を後にした。料金は3元(約45円)だった。
 表現の自由を求める「独立中国ペンクラブ」獄中作家委員会の張裕事務局長(56)=スウェーデン在住=によると、中国では04年に20万カ所あったネットカフェの半分が閉鎖され、利用状況を記録するソフトがインストールされた。06年には仮想警察官が現れるようになる。5万人以上の警官がネットを監視しているともされる。

◎北京の大気汚染、劇的改善は困難か、「良」でも注意が必要(2008年7月31日、産経新聞)
 北京五輪が間近にせまり、中国当局は大気状況改善に向けた対策に躍起だ。7月20日に車両の偶数、奇数ナンバーによる通行規制が始まった後も大幅な改善がみられない状況があり、五輪への影響を懸念する声は収まらない。北京市環境保護局は改善策の効果を示し批判の打ち消しに躍起で、追加対策を実施する方針もあるが、それでも「急速な改善は難しい」との指摘が。従来以上に体調管理が重要な五輪になりそうだ。(金子昌世)
 大気状況について「これ以上悪くなることは防げても、急速な改善は難しいだろう」。こう指摘するのは昨年8月に北京市内各所で大気や気象条件を測定した「気象海洋コンサルタント」社(横浜市)の馬場正彦氏。理由の一つとして「地理的な理由もあって北京は風が弱く、空気の循環がよくない」ことをあげる。
 具体的に汚染状況をみると、馬場氏が観測期間中の昨夏の北京と東京の日射量を比較したところ、北京は東京の3分の1程度。チリなどの浮遊粒子状物質が地上に届く前に光を反射してしまうためだ。ここ数年の浮遊粒子状物質は東京の約5倍にものぼるという。
 北京市環境保護局も、ぜんそくなどの原因になる粒子状物質が環境基準に届いていないと認めている。それでも大気汚染が昨年より大幅に改善され「選手の健康に悪影響を与えないと保証できる。マラソンなども問題ない」と強調するが…。
 「(北京市の)環境保護局が発表する空気の質が『良』でも、もともと(日本より)粒のやや大きいチリを検査対象にしているので、注意してほしい」と馬場氏。「ホテルなど室内も外気を取り入れている以上、室内だから問題はないとはいえない」と指摘する。
 国立スポーツ科学センター(JISS)が五輪代表選手を対象とした検査では、約10%がぜんそくを発症する危険性があることも判明しており、日本オリンピック委員会(JOC)では大気や気象状況への注意を促すとともに、防塵(ぼうじん)マスク500枚を用意。米国や英国も特殊マスクを用意したという。こうした中、豪州オリンピック委員会では、健康への影響を懸念する選手の欠場を容認する姿勢を示している。

◎北京の「偶数奇数ナンバー」交通規制強化へ(2008年7月31日、朝日新聞)
 【北京=阿久津篤史】大気汚染の状況を改善するため「偶数日は偶数ナンバーの車、奇数日は奇数ナンバーの車のみ通行できる」という交通規制を実施中の中国・環境保護省や北京市が、さらなる規制に乗り出す。新しい規則では、48時間先の大気汚染の程度がひどいとの予報が出た場合は、ナンバーの末尾が当該日の末尾と同じ車も走行が禁止される。
 北京市は20日からナンバープレートによる通行規制を始めた。しかし中国の独自の大気汚染指数でも目標を達成できない日が半数近くあり、当局が「霧」と表現するスモッグ状のもやに包まれる日が続く。市環境保護局の広報担当者はほぼ毎日記者会見に出席し、国外メディアの追及に対して「空気の質は見た目では分からない」「写真で空気が汚いように見えるのは、カメラマンの技術が悪いからだ」と主張してきた。

◎中国のネット規制、海外メディア対象に一部緩和(2008年7月31日、読売新聞)
 【北京=松本浩行】北京五輪の報道拠点となるメーンプレスセンター(MPC)で、中国当局に好ましくないホームページなどへのインターネット接続が規制されている問題で、北京五輪組織委が、「遅くとも開幕(8月8日)までには、規制を緩める」との方針を決めたことが30日、わかった。
 国際オリンピック委員会(IOC)や海外メディアからの批判を受け、中国当局が譲歩を強いられたものとみられる。
 組織委関係者によると、規制が解除されるのは、これまで閲覧出来なかったBBCの中国語ホームページなどの一般情報で、早ければ8月1日から実施される。ただし、中国当局が邪教と呼ぶ気功集団「法輪功」やチベット亡命政府のホームページなどに対する接続規制は継続されるという。また、この措置は、あくまで海外メディアに対する規制緩和にとどまり、一般市民は今後も閲覧することは出来ない見通し。
 中国のインターネット規制は、反政府的な言論を一般市民の目から遮断するのが目的。反政府的なホームページにとどまらず、批判的な声を客観的に報道する海外メディアのホームページでさえも、中国語版では接続出来ないようになっていた。
 30日の記者会見で、五輪組織委新聞宣伝部の孫偉徳副部長は、「外国の記者が、五輪に関する取材をするうえでのネット利用には十分なサービスを提供している。(現状でも)五輪報道をするうえで問題はないはずだ」と話した。

◎ニイハオ!北京:五輪に合わせ「突貫工事」(2008年7月30日、毎日新聞)
 【北京・木戸哲】北京一高い超高層ビルの建設が進んでいる。大気に影響が出る工事が禁じられた20日以降もガラスのはめ込み作業が続き、五輪開幕に間に合わせるかのように外観が完成した。74階建てで高さ約330メートルと伝えられるが、工事現場にいた出稼ぎ労働者の農民工は「75階建てだ」と話す。70階建てと聞く市民もいて“謎”に包まれたビルだ。
 天安門前の大通り・長安街を東へ約5キロ。「国貿」と呼ばれる新たな北京の中心地に建設現場はある。3期工事のメーンタワーとしてオフィスやホテル、ショッピングモールが入る予定。施工会社などに正確な階数や高さを問い合わせたが、回答は得られなかった。
 完工は09年とされるが、地元の建設関係者は「五輪に間に合わせて外装を仕上げるよう、当局から口頭で指示があったようだ」と明かす。99年に建国50周年を祝う式典が北京で開かれた際にも、中身が空っぽのビルの外装を約1カ月で仕上げたという。

◎ご注意!中国外資ホテルで客のネット利用監視、米議員指摘(2008年7月30日、読売新聞)
 【ワシントン=黒瀬悦成】対中強硬派のサム・ブラウンバック米共和党上院議員は29日、記者会見し、中国公安当局が北京五輪を前に、同国で営業する複数の大手外資系ホテルに対し、宿泊客が接続、閲覧したインターネットに関する情報を監視する機器を強制的に設置させていた、と発表した。
 ブラウンバック議員によると、監視機器の設置は複数のホテルへの聞き取り調査で発覚。同議員が入手した公安当局からホテル側への命令文書には、当局の指示に背いた場合、中国での営業許可の取り消しなどの「厳罰」を下す可能性も示唆していたという。
 同議員は、「中国政府は五輪開催期間中は検閲行為を実施しないと確約していたはずだ」と指摘、「我々は激しい怒りを表明するべきだ」と強調した。

◎五輪プレスセンターでもネット規制、中国外務省認める(2008年7月29日、朝日新聞)
 【北京=阿久津篤史】中国外務省の劉建超報道局長は29日の定例記者会見で、国際オリンピック委員会(IOC)発行の身分証を持つ北京五輪取材記者の拠点となるメーンプレスセンター(MPC)内でのインターネットについて、「みなさんが必要としている正常な情報はアクセス可能だ」と述べ、規制を実施していることを事実上認めた。
 中国は日常的に、外国メディアや人権団体などのサイトへのアクセスを遮断するなどの規制を行っている。しかし五輪関連施設や五輪記者が宿泊するホテルなどでは規制をしないとこれまでは説明し、4月に規制解除を要請したIOC側も「アクセスの自由は保証される」としてきた。
 劉局長は「正常な情報」の具体的内容は明かさなかったが、規制の具体例として気功集団「法輪功」のサイトを挙げ「法輪功は非合法の邪教組織であり、彼らの宣伝は当然禁止される」と話した。

◎施行控えた中国の独禁法、運用指針示されず、巨額制裁金の恐れも(2008年7月26日、産経新聞)
 中国が8月1日に独占禁止法を施行するのを控え、進出企業に不安が広がっている。どのような行為が違反となるかを具体的に示すガイドライン(指針)が策定されておらず、ある日突然、独禁法に抵触したとして巨額な制裁金を課せられる恐れがあるからだ。このため、日本の公正取引委員会は早期の指針策定を中国側に求める方針だが、中国ビジネスをめぐる新たなリスクが浮上した格好だ。(飯塚隆志)
 中国の独禁法は、刑事罰もある日本の独禁法制とは異なり、違法行為に対して巨額の制裁金を課す欧州連合(EU)タイプだ。制裁金額もEUとほぼ同じ「前年度売上高の1~10%」と規定されており、不当な価格カルテルなどが摘発された場合には数百億円単位の制裁金を支払わされることも想定されている。
 しかし、違反に関するガイドラインが策定されていないため、どのような事例が独禁法に抵触するかが明示されていない。中国独禁法では価格カルテルや市場の分割支配など一般的な禁止行為に加え、競争関係にある企業間の独占的協定を禁じている。こうした協定をめぐっては「独禁法の執行機関が認定する」と規定しているだけで、メーカー同士の通常の販売提携などが抵触するかは示されていない。
 また、小売店による値引きを認めない再販価格維持などを禁じた取引先との関係についても、具体的な違反の認定は執行機関に委ねられている。「販売店に提示している希望小売価格が独禁法に抵触する恐れはないのか」(大手メーカー)などと日本企業は懸念を強めている。
 さらにM&A(企業の合併・買収)の規制についても不明確なままだ。中国独禁法の政令案では、届け出基準として「世界売上高が90億人民元(1350億円)以上」などとしているが、どのような場合にM&Aが認可されるかは示されていない。合併によってシェアを高めようとした場合、審査の長期化などでM&Aが一段と困難になるとの見方も広がっている。
 こうした懸念に加え、中国市場では価格カルテルなどの旧弊が色濃く残っており、日本企業がそうした商慣習に染まっているケースも指摘されている。中国進出企業関係者は「中国に進出した日本の大手企業のなかには、堂々と再販価格の維持を求めるところがあり、いつ摘発されてもおかしくない」と警鐘を鳴らしている。

★中国の独占禁止法
 昨年8月末に成立し、今年8月1日に施行される。中国では「反不公正競争法」「価格法」で価格カルテルなどは禁止されていたが、取り締まりの規定が整備されておらず、不正が横行している。このため、独禁法を施行することでカルテルの禁止や行政による入札への不当介入などを禁じたほか、大型合併などの場合にはシェア調査を実施し、合併の認否を審査する。国務院(中央政府)に設置される独占禁止委員会がガイドラインを策定する予定。

◎中国の発電所排煙、子どもに発達障害(2008年7月26日、朝日新聞)
 【成都(中国四川省)=小林哲】中国の石炭火力発電所のそばで生まれた子供は、通常より発達障害を起こすリスクが高まることが統計的に裏付けられた。排煙に含まれる大気汚染物質が原因で、汚染除去装置の不十分な施設を多く抱える中国にとって深刻な問題になりそうだ。米コロンビア大と重慶医科大などの研究チームが米専門誌に論文を発表した。
 研究チームは、重慶市銅梁地区にある石炭火力発電所が04年に運転を止めた前後に、半径2キロ以内に住むたばこを吸わない妊婦から臍帯血(さいたいけつ)を採取。発電所の排煙に含まれ、発がん性や発達毒性などが指摘される多環芳香族炭化水素(PAH)の蓄積量などを比べた。
 さらに、生まれた子供が2歳になった時点で面接式のテストを行い、運動と適応、言語、社会性の4分野について発達度を測定した。
 その結果、発電所が稼働中の02年に生まれた110人中15人で運動分野の発達障害がみられたのに対し、05年に生まれた107人では、障害は5人にとどまった。
 PAHの蓄積量は、発電所が稼働していた02年の方が05年より1.5倍ほど高く、研究チームは、間接喫煙などほかの汚染物質の影響も考慮した統計解析から、「発電所の停止で子供の発達障害が有意に減少した」と結論づけた。
 中国では、発電電源の75%を占めるほど石炭火力への依存度が高い。脱硫装置などの設備がない発電所もいまだに多く、大気汚染の温床になっている。

◎中国、警察権力の乱用禁止、五輪目前、抗議頻発に対処(2008年7月26日、朝日新聞)
 【北京=坂尻信義】中国共産党・政府が、警察権力の乱用を禁じる異例の規定を打ち出した。背景には、警察への抗議行動が各地で頻発していることへの危機感がうかがえる。警察官6人を殺した男を英雄視する声も上がった。北京五輪を目前に控え、当局は警察不信が社会不安を招くことを恐れているようだ。
 25日付の党機関紙・人民日報などによると、党中央規律検査委員会や監察省が「陳情処理の違反に対する規律処分の暫定規定」を公布した。市民からの陳情や投書を適切に処理せず、さらに問題を深刻化させて抗議の暴動を引き起こした場合などは、党や政府の責任者を懲戒免職や降格処分にする、と定めた。
 また、警察官が暴動などを押さえ込む際、武器を乱用した場合にも免職や降級の処分にするとしている。
 異例の規定は、警察の怠慢や権力の乱用が各地で横行していることの裏返しともいえる。最近、貴州省で少女が死亡する事件の処理問題で数万人規模の騒乱が起きたのをはじめ、陝西省や浙江省、広東省などで警察が市民に襲われて放火されるなどの「官民衝突」が頻発している。
 また、上海では今月1日に楊佳容疑者(28)が警察署に押し入り、刃物で警察官6人を殺害、数人を負傷させた。中国や香港のメディアは、北京在住の楊容疑者が昨年10月、観光で訪れた上海でレンタル自転車に乗っていて自転車泥棒と間違えられ、警察官たちに暴力をふるわれて生殖機能に障害を受けたことを恨んでの犯行だった、などと報じている。
 事件後、中国の有力サイトには「楊佳は英雄だ」「警察が暴力を続ければ、第二、第三の楊佳は免れない」といった書き込みが相次いだ。市民の警察に対する信用の低下や反発は、一党支配の足元を揺るがしかねない。

◎ギョーザ中毒事件、日中外相が捜査・協力強化で一致(2008年7月22日、読売新聞)
 【シンガポール=加藤淳】高村外相は22日午前(日本時間22日午後)、シンガポール市内のホテルで中国の楊潔チ(ようけつち)外相と会談し、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件について、協力して解決に取り組む方針を改めて確認した。(「チ」は竹かんむりに「褫」のつくり)
 楊外相は「生命と安全にかかわる大事なことだ。捜査と協力を強化したい。できるだけ早く真相解明したい」と述べた。
 また、北朝鮮による拉致問題に関し、高村外相は「北朝鮮は約束した再調査を実施していない。中国からも働きかけて欲しい」と要請。楊外相は「拉致を含む日朝間の諸問題解決を期待している」と応じた。
 23日の6か国協議の外相会合では、北朝鮮が申告した核計画の検証作業について、実質的合意を目指す考えで一致した。

◎中ロ、40年経て国境画定、大ウスリー島の半分が中国に(2008年7月22日、朝日新聞)
 【北京=坂尻信義】新華社通信によると、中国の楊潔チー(ヤン・チエチー)=チーは竹かんむりに褫のつくり=外相とロシアのラブロフ外相は21日、北京で会談し、中ロの東部国境画定に関する議定書に署名した。大ウスリー島(中国名・黒瞎子島)の半分が中国に引き渡される。かつて武力衝突にも発展した両国間の国境紛争は、40年以上に及ぶ交渉を経て最終決着。約4300キロにわたる国境線がすべて画定された。
 両国は05年、ハバロフスク西方のアムール川(同・黒竜江)とウスリー川の合流点に位置する大ウスリー島の東部をロシア領に、同島西部と隣接するタラバロフ島(同・銀竜島)を中国領にすることで合意。詰めの交渉が続いていた。
 中国と旧ソ連は69年、ウスリー川のダマンスキー島(同・珍宝島)で武力衝突。その後も対立が続いた。署名後、楊外相は「両国の戦略的パートナーシップは、かつてないほど高い水準に達した」と述べた。

◎世界最速の北京~天津間高速鉄道で試乗会、8月1日開業へ(2008年7月22日、読売新聞)
 【北京=寺村暁人】8月1日に開通する北京~天津間の高速鉄道の試乗会が22日、海外メディア向けに行われた。
 最高時速350キロで北京~天津間を30分で結び、所要時間を従来の半分以下に短縮する計画だ。実現すれば仏TGVを抜いて世界最速の営業運転路線となる。総工費は200億元(約3100億円)。
 この路線には、日本の新幹線「はやて」をベースとした「CRH2-300」と、独シーメンスの技術を導入した「CRH3」の2種類の車両が使われる。中国鉄道省は、いずれも「外国の技術を元に、国情にあわせて自主開発した」としている。
 開通予定は北京五輪開幕直前で試運転を開始したのは7月1日と、「高速鉄道としては異例」(業界関係者)の短さ。鉄道省の王勇平・宣伝部長は「安全性には配慮しており問題はない」と強調した。

◎中国雲南省でバス連続爆発、2人死亡、「人為的な破壊事件」と断定(2008年7月21日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】中国国営の新華社などによると、雲南省昆明市で21日午前、2台のバスが相次ぎ爆発し、少なくとも2人が死亡、14人が重軽傷を負った。現地の公安当局は一連の爆発を「人為的な破壊事件」と断定、爆破に至る詳しい経緯などについて捜査している。北京の日本大使館によると、日本人の被害者が出たとの情報はない。
 今月に入り、中国各地では地元政府と住民らの衝突が頻発している。8月に北京五輪を控え、中国当局は国内全域でテロや妨害行為に対する警戒を強化しているが、今回の事件は治安面に不安を残す現状を改めて浮き彫りにした。
 同日午前7時(日本時間同8時)ごろ、昆明市の中心部にあるバス停で、乗客を乗せたバスが停車したところ、突然車体の前部が爆発。約1時間後には西へ3キロほど離れた交差点で別の1台が爆発した。公安当局は省内各所の道路や空港などで厳重警備を敷き、関与者の割り出しに全力を挙げている。

◎中国広西チワン族自治区でも大規模デモ、失業者らが市庁舎に(2008年7月21日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】21日付の香港紙・明報によると、中国広西チワン族自治区欽州市で今月15日、住民1000人以上が市政府庁舎に押しかける大規模デモを行い、少なくとも10人が公安当局に逮捕された。
 失業者や農民らが、解雇後の生活保障や当局による土地強制収用などに不満を強め、抗議行動を起こしたという。
 中国では最近、当局に不満を持つ住民による抗議行動が各地で頻発。6月末には貴州省甕安県で、数万人が地元政府庁舎や警察本部を襲撃したほか、7月中旬には浙江省玉環県で出稼ぎ労働者らが派出所を襲う騒乱が起きている。

◎北京五輪に備えナンバー規制、専用レーンも使用開始(2008年7月21日、朝日新聞)
 【北京=阿久津篤史】北京市は20日、北京五輪に備えて自動車ナンバーの末尾が奇数か偶数かで通行を制限する交通規制を始めた。また、市内の幹線道路に設けられた五輪関係車両専用レーンの使用も始まった。
 交通規制は五輪に向け大気汚染を改善し渋滞を緩和するためで、一般車両は奇数日は奇数ナンバー、偶数日は偶数ナンバーしか走行できない。市内約329万台のうち、通行量は45%減になる見通し。一連の取り組みで大気汚染物質が63%減るとしている。違反罰金は200元(約3千円)。パラリンピックが閉幕する9月下旬まで続く。

◎中国でバス2台爆発、2人死亡、「人為的」と断定(2008年7月21日、朝日新聞)
 【北京=坂尻信義】中国の国営新華社通信は21日、雲南省昆明市で同日朝、バス2台が相次いで爆発し、計2人が死亡、14人が負傷したと伝えた。いずれも通勤客を乗せて市街地を走行中、1台目は午前7時10分ごろ、2台目は同8時5分ごろに爆発し、それぞれのバスで1人が死亡した。公安当局は「人為的な破壊事件」と断定、犯人の行方を追っている。8月の北京五輪を前に、中国国内での治安問題への懸念が高まる可能性がある。

◎中国公安当局、地下教会代表を北京市外に追い出す、香港英字紙(2008年7月21日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】20日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、中国公安当局が18日、政府非公認のキリスト教地下教会の団体「中国家庭教会連合会」の張明選会長夫妻を滞在先の北京から河北省に強制的に追い出したと報じた。
 北京五輪期間中、張氏と海外要人が情報交換を行うことを阻止する狙いがあるとみられる。
 同紙によると、張氏夫妻は、滞在先の北京市内の宿泊施設から7人前後の私服警官に無理やり車に乗せられ、河北省の宿泊施設に運ばれた。警官は張氏に「五輪期間中は北京に滞在するな」と話したという。張氏は6月中旬にも欧州連合(EU)の欧州議会議員と面会しようとしたところを公安当局に一時拘束された。
 共産党一党独裁体制の中国では、政府が許可した宗教活動しか認められておらず、地下教会は弾圧の対象となっている。

◎北京ピリピリムード、市民生活に影響も(2008年7月21日、読売新聞)
 【北京=小島剛、梅村雅裕、鈴木隆弘】五輪開幕まで20日足らずとなった北京で、ピリピリムードが高まっている。
 鉄道の新路線が開通し、最新鋭のエコバスも登場。世紀の祭典に向けて盛り上がりを見せる一方で、工事の全面禁止や交通規制なども始まり、市民生活にも影響が出ている。工事現場から立ち去る出稼ぎ労働者(民工)や仕事が制限される運転手からは「国家的行事だから仕方ない」とため息も漏れてくる。
 19日に営業が始まったばかりの鉄道「空港線」は市中心部と北京首都国際空港の約28キロを約20分で結ぶ。高架線で街の風景を一望できるため、空港に用事がない人もカメラを片手に観光気分を楽しんでいる。
 空港では20日からターミナルに入るだけでも、爆発物の検査が必要になった。出迎えなどで空港を訪れた人も手荷物を爆発物検知器にかけなければならず、入り口には長蛇の列ができた。
 五輪メーン会場となる国家体育場(愛称・鳥の巣)や国家水泳センター(同・水立方)の周辺を走るハイブリッドバスも運行を開始。1台につき大型リチウム電池10個を積み、電気で動くバスとともに、「緑の五輪」(環境五輪)のシンボル的な存在で、乗客の張梓さん(65)は「音は静かだし快適です」と話していた。
 悪名高い大気汚染への切り札として20日に始まったナンバー規制。昨年8月の五輪プレ大会で実施された時は、大気も環境基準をクリアしたと発表されており、当局は「五輪期間中の大気汚染は改善される」と自信をみせる。
 この日、通行を許可されたのは偶数ナンバーの車。交通量はいつもの日曜日と比べるとめっきり減ったが、1日おきにしか車を運転できない不便さは市民生活にも影響している。
 白タクなどは公共交通機関とは違って規制の対象になるため、運転手の中年の女性は「五輪で仕事が繁盛すると思っていたのに」と嘆き節。一方、清華大学近くで客待ちしていた別の男性運転手は「小学校4年生の娘が成績優秀で五輪の開会式に招待されるんだ。2か月間、収入が減ることぐらい何でもないよ」と喜色満面で話していた。
 土木工事が全面禁止となった市内では、鉄骨がむき出しになった建築中のビルや、がれきが放置されたままの現場が散在している。
 卓球会場となる北京大学の南にある中関村広場。五つ星ホテルの建設現場で作業していた四川省出身の民工の男性は「作業はきょうで終わり。明日から何をするか決まっていない」とあきらめたような表情で笑い、「国家の歴史的な行事だから、仕方ないよ」とつぶやいた。
 中心部・故宮の北では18日朝、古い民家が住民とともに姿を消した。再開発で周辺の家屋が取り壊される中、住民の女性一人だけが立ち退きを拒否していた。10平方メートルちょっとの平屋建てがあった場所は20日には整地され、草花が植えられていた。
 この一角は開会式直前、聖火リレーのコースになる。民家が面していた大通りを市内観光バスがゆっくりと通り過ぎていく。
 近所の住民によると、女性はおとなしく、政府に逆らうような人柄ではなかったという。立ち退きを免れた近くの男性は「移転補償費が30万元ほど(約470万円)では住まいを買えないし、この地への愛着もあっただろう。彼女の気持ちは理解できる」と話した。近くの通路の壁には、女性が張った「犬を探しています」という写真付きのビラが残っていた。

◎中国:北京五輪目前、農民工「締め出し」開始(2008年7月20日、毎日新聞)
 【北京・木戸哲】建設現場で働き、北京の発展を支えてきた地方からの出稼ぎ労働者「農民工」が、五輪を前に続々と街を離れている。2カ月間の工事停止期間が20日に始まり、北京市当局が帰郷を促すような政策を取っているためだ。「事実上の追い出し」「貧困層隠し」との声もあるが、家族と過ごす長い休日を楽しみにしている農民工も多い。「彼らが帰ってこなければ工事が再開できない」。五輪後に向け、企業側は気をもんでいる。
 北京市政府の通告によると、20日~9月20日の2カ月間、大気に影響を及ぼす土木工事や建設工事は停止される。この間に北京五輪・パラリンピックが開催されるからだ。農民工が北京に残るには、「暫住証」という証明書を取得する必要がある。市側が農民工の管理を強化しているため、留守番役に選ばれた農民工以外は暫住証取得は困難だという。
 地元の建設関係者は「事実上、出ていってくれという面もある。治安対策に加え、農民工が出歩くことによるイメージダウンを避けたいという当局の思惑もあるのでは」と話す。
 「残りたいけど、暫住証がもらえないので帰るしかない」。長距離列車が発着する北京西駅で20日、列車を待っていた山西省の男性(40)はあきらめ顔で話した。別の男性は「北京にいても五輪を見るカネはない」。河南省から来た6人の男性たちは「仕事がないなら、あるところに行くだけ」と話し、内モンゴル自治区に向かった。
 一方で、陝西省出身の祁紅続さん(45)は「僕は五輪に向けて建てられたホテルの現場で働いていた」と誇らしげに話す。帰省中も1日10元(約150円)の補償がもらえ、片道の交通費も会社が負担してくれるという。カネを受け取れるのは北京に戻ってきてからだが、「大学入試が終わったばかりの娘と久しぶりにゆっくり話せる」と笑顔を見せた。
 北京市中心部の高層ビル建築現場前では、数人の農民工がしゃがみ込んでいた。2カ月分の給料が未払いのままだという。「帰りたいけど、金をもらうまでここを離れるわけにはいかない」と口々に不満を口にしていた。
 北京師範大の趙※副教授(※は火へんに偉のつくり)によると、農民工の日当の相場は1日60元(約900円)。月収1800~2000元になり、市の最低賃金(1カ月760~780元)を上回る。副教授は「農民工がいなければ北京では工事は再開できない。業者は9月に農民工が戻ってくれるか心配している」と指摘している。

◇農民工
 地方からの出稼ぎ農民。サービス業で働く人たちも含まれる。北京市では数十万人が工事現場で働いているとも言われる。中国では自由に戸籍は移せず、戸籍地を離れているため、社会保障制度の枠外に置かれてきた。給与の不払いが問題化したこともあるが、最近は待遇が改善されているという。

◎【円ドル人民元】「五輪を機に浮上する中国のマネーパワー」(2008年7月20日、産経新聞)
 米CNNテレビは最近、スーダン・ダルフール地方の惨状を伝え、現地の石油利権獲得に向けて投資、さらに武器輸出する中国を厳しく批判し、「北京五輪にも影響する」と報じた。チベット問題に続き、中国の人権抑圧に対する国際批判は止むことがない。
 だが、北京は動じない。指導部がその「マネーパワー」の威力に自信を深めているからだ。例えば、チベット騒乱後、五輪開会式への出席拒否を口にしていたフランスのサルコジ大統領は、国内の強い反対を押し切ってまでなぜ翻意したのか。
 中国共産党のある幹部は得意げに語った。「観光立国フランスには衝撃となる党中央の統一戦線工作の成果だよ」。敵を味方に変えるのが同工作だ。中国は有り余る外貨を海外で使うために海外観光ツアーを奨励している。中国の旅行社は欧州関係のツアーを盛んに組んでいる。ところがもっとも人気のあるはずのフランス向けは希望者が集まらないという理由でツアーを中止、キャンセルが相次いだ。党中央の「暗黙の指示」を受けた旅行社がフランスを狙い撃ちにして「自主規制」したのだ。
 米国も「人権」に構ってはいられない。北朝鮮の核をめぐる6カ国協議での議長国中国の役割に加え、今や中国は米国にとって「最後の貸し手として考えるべき」(7月17日付英フィナンシャル・タイムズ紙)という存在にまでなった。折しも米住宅抵当金融公社経営危機が表面化し、米金融市場を根底から揺るがせている。問題の公社2社が発行したり保証している住宅関連証券化商品の規模は、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)証券の10倍以上ともみられる。米政府は公的資金投入を検討しているが、必要額は住宅バブル崩壊の進行とともに巨額化し、イラク戦費などで膨らんだ赤字財政をさらに圧迫する。すると米国債への信認も揺らぎ、ドルが暴落しかねない。
 中国は世界最大の米国債と米住宅公社を中心に米政府機関債の保有国である。政府機関債は年間1500億ドルのペースで新規購入しており、現時点では5000~6000億ドルを保有しているとみられている。機関債全体の10分の1で、中国が売りに転じると米金融市場は大きく動揺するはずだ。したがって、米国は中国を「安定株主」として是が非でもつなぎ止めておく切実な事情がある。
 中国外国為替管理局は五輪前夜の8月4日から、中国国内の輸出業者の外貨をコンピューターによって全面管理する。「熱銭」と呼ばれる投機資金の流入を抑えるという名目だが、外貨も外国為替管理局が指定した特別な銀行口座に集中させ、監視する。中国に入ってきた熱銭は1兆7500億ドルで、外貨準備と同水準、2007年の中国GDP(国内総生産)の5割を超えると政府系の社会科学院は試算している。この巨額マネーが「五輪後」に逃げ出すのを防ぐと同時に、管理統制下に置いて、そのマネーパワーを最大限、政治戦略の達成手段として駆使するだろう。

◎中国:河北省の警察署内で9日に爆発、10人負傷(2008年7月20日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」は20日、中国河北省広宗県の警察署内で9日に爆弾が爆発し、10人が負傷したと発表した。原因は不明だが、中国では警察当局と住民との衝突事件が相次いでいる。住民が警察への不満から爆弾を仕掛けた可能性もあるという。
 センターによると、地元警察官や病院は爆発があったことを認めたが、原因については語らなかったという。

◎中国:少数民族地域で住民と警察衝突、16人死傷(2008年7月20日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国国営・新華社通信によると、中国雲南省孟連ダイ族ラフ族ワ族自治県で19日、住民約400人と地元警察が衝突した。警察側はゴム弾を発砲して鎮圧し、住民2人が死亡し、1人が負傷した。警察側も13人が負傷した。中国の少数民族地域で大規模な衝突が起きたのは今年3月のチベット暴動以来。
 報道によると、地元のゴム園で働く労働者が衝突に加わっている。ゴム園では最近、激しい労働争議が起きていたとされ、地元当局が詳細を調査中としている。
 同県は中国西南部のミャンマー国境に位置し、人口11万4000人のうち21の少数民族が86%を占める。その多くがチベット語系の言葉を話し、仏教や原始宗教などを信じている。

◎街角:北京、追われる出稼ぎたち(2008年7月20日、毎日新聞)
 「北京はどんどん暮らしにくくなる。もうやってられない」。四川省から北京に出稼ぎに来ている女性から友人にメールが届いた。働いていた飲食店が営業停止になり、職を失ったという。
 地方からの出稼ぎ労働者が次々と北京を追われている。北京五輪を前に街の美観を気にする市当局が、建設工事や深夜営業店への締め付けを強めているからだ。
 北京市公安局によると、同市に登録している出稼ぎ労働者ら一時居住者は約520万人。北京の戸籍を持つ約1200万人の半数近くにのぼる。近年、五輪施設の建設ラッシュの労働力として急増し、北京の経済発展を支えた。一方、外来人口の急増による治安悪化や家賃上昇などマイナス面も指摘される。
 彼女のメールは「昨日も警察が店に来て、『全員家へ帰れ、もう出勤しなくていい』と命じていった」と続く。営業停止になる理由は必要書類の不備などさまざまだが、期間はほぼ一律に五輪・パラリンピック終了までだ。当局は公式には認めないが、出稼ぎ労働者を社会不安要因とみなしているのは間違いなさそうだ。
 従業員らにとって最大の問題は、規制が終わる9月20日までをどう乗り切るか。中国では休業中の従業員に給料を全額支払う会社はまずない。彼女も「家賃の安い所に引っ越そうと何日も物件を探しているが、どこも高くて」と悲鳴を上げる。
 「五輪期間中は列車の切符も不足する」と聞いて北京駅を訪れると、早くも長蛇の列ができていた。五輪開会を前に北京を去る人たちだった。【浦松丈二】

◎北京五輪控え偶数、奇数のナンバー規制始まる(2008年7月20日、産経新聞)
 【北京=川越一】北京五輪の開幕を間近に控えた北京市で20日、一般車両のナンバーの偶数、奇数による交通規制が始まった。ナンバー規制は大気汚染の改善と慢性的な渋滞の緩和に向けた最終手段。テレビや新聞などで徹底的に告知をしたにもかかわらず、“北京侵入”を試みる市外ナンバーの乗用車が追い返される光景もみられた。
 北京市内で登録されている自家用車はすでに300万台を突破している。現在でも1日1000台のペースで増加しており、工場の吐き出す煤煙(ばいえん)と並び深刻な大気汚染の元凶とされてきた。
 工場の移転や一時操業停止を進めてきた北京市は、車両のナンバーの末尾の偶数、奇数で市内の通行を規制し、交通量の削減と排ガス削減をもくろんだ。そのほか、公用車や企業の車も30%以上が使用を停止。排ガス基準を満たしていない車両の通行も禁止した。
 北京市環境保護局は、今回の規制で乗用車の通行量は約45%削減されると予測。汚染物資の排出量も約37%減少するとの試算もある。昨年8月、4日間にわたって行ったテストの際は、主要道路の交通量が約3割減少、大気の状況についても改善がみられたとされている。
 ナンバー規制は午前0時~同3時を除き、終日行われる。違反した場合は100元(約1500円)の罰金が科せられる。規制初日の20日、北京~天津間の高速道路の料金所では自動小銃を手にした武装警察官も出動し、違反車両をチェックした。検査は1台につき約30秒のペースで進められたが、数百メートルの車列ができていた。
 天津市ナンバーと山西省ナンバーの2台が追い返されていたが、検査にあたっていた警察官によると、同日午前10時の時点で、同料金所での違反車は3、4台にとどまっているという。
 警察官は「テレビや新聞で十分に告知したから、全国民が知っているはずだ」と話したが、山西省ナンバーのSUV(スポーツ用多目的車)を運転していた中年男性は「規制は知っていたが、何とかなると思った」。“確信犯”も存在するようだ。

◎雲南省でも暴動、警官隊と400人衝突、2人死亡(2008年7月20日、朝日新聞)
 【上海=西村大輔】中国の新華社通信によると、雲南省孟連で19日朝、住民約400人と警官隊が衝突して住民2人が死亡、警官13人と住民1人が負傷した。警官隊は鎮圧のためにゴム弾を発砲した。
 同通信によると、住民側の一部はゴムを栽培する農民で、地元企業に対して抗議行動を繰り返していた。警官隊が事件の処理のために現場に出動した際に、住民との衝突が起きたらしい。
 孟連は雲南省南部のミャンマー(ビルマ)との国境付近にあり、タイ族やワ族などの少数民族が多い自治県。北京五輪を目前に控え、当局は治安維持に全力を挙げているが、各地で住民暴動が相次いでいる。

◎開業地下鉄いきなり遅れ、駅では汗だく、20日にナンバー規制も(2008年7月19日、産経新聞)
 【北京=川越一】北京五輪に向け、総額223億元(約3500億円)を投じて整備が進められていた空港線と地下鉄など新路線3本が19日午後、開通した。利便性が増した地下鉄は五輪期間中、1日平均約500万人の利用が見込まれている。20日からは車のナンバーの偶数、奇数による交通規制も始まり、大気汚染の改善と渋滞緩和が期待されている。
 同日は空港線と女子マラソンの野口みずき(シスメックス)が“北京の秋葉原”と呼んだ市北西部の電器街「中関村」や、東部のビジネス街を通る地下鉄10号線が開業した。10号線から乗り換えて五輪公園に向かう五輪支線はテロ対策のため、選手や関係者、当日の入場券を持つ観客しか利用できず、北土城駅の駅員によると、開業は五輪開幕の8月8日になるという。
 一方、北京国際空港と北京市内を約20分で結ぶ全長28キロの空港線は、開業初日、緊急停車を繰り返し、10分程度の遅れが出るケースもみられた。ビニールハウス状の空港駅は蒸し暑く、電車を待つ乗客が汗だくになっていた。
 母親と一緒に空港線を利用した北京市の大学生、殷丑楠さん(20)は「時間が短縮できるから25元(約390円)でも許せる。混雑していなかったら、これからも利用したい」と話していた。

◎広東省で数百人暴動、取り調べで男性死亡、警察に抗議(2008年7月19日、朝日新聞)
 【上海=西村大輔】中国広東省博羅で、無許可で客を乗せた電動バイクの運転手が取り調べの際に死亡したのをきっかけとして、17日、住民数百人が警察車両をひっくり返したり、警官を切り付けたりする暴動が起きた。香港紙・東方日報が18日に伝えた。中国では6月下旬以降、貴州、陝西、浙江の各省で公安当局に抗議する暴動が続いている。
 同紙によると、運転手の男性が路上で警官の制止を振り切ったところ拘束され、警官らが通過を許可する代わりに200元(約3千円)を男性に要求した。男性が断ると公安局の施設に連行され、殴られて死亡したという。
 地元公安局は男性の遺族との和解を模索したが、遺族側が拒否。警察の対応に怒った親族や同業者ら数百人が公安局の施設を取り囲み、一部が暴徒化して施設や警察車両を壊し始めた。刃物を持った住民に追いかけられた警官3人が死亡し、多数が負傷したとの情報もある。
 地元の40代の男性は朝日新聞の取材に「2階建ての公安施設の1階はガラスが割られ、室内もめちゃめちゃに壊された。中にいた警官はみんな逃げた」と話した。
 6月28日には、貴州省甕安(おうあん)で16歳の少女が死亡する事件の処理をめぐり数万人の騒乱が起き、地元公安局の庁舎が放火されるなどした。7月5日は陝西省府谷で、ナンバープレートがない車を運転していた男性が警官に追いかけられて川に転落、死亡した事件をめぐり、多数の住民が警察車両に放火するなどした。浙江省玉環では10~13日、一時居住許可証の処理をめぐり警察官と口論になり出稼ぎ労働者が殴られた事件をきっかけに、千人を超える労働者が派出所に投石し、警察車両を破壊した。
 背景には、警察の深刻な腐敗体質や市民への高圧的な姿勢などに対する強い不満がある。いずれも発端は小さな事件だが、住民の反感に火が付いて拡大した形だ。
 当局は武装警察などを動員、多数の住民を拘束するなど厳しく取り締まっている。一方で、甕安では県共産党委員会書記や公安局長らを解任し、府谷では警官6人の職務を停止した。住民側の不満への対応も打ち出さざるをえなくなっている。

◎中国:北京の地下鉄3路線新設、北土城駅で開通式(2008年7月19日、毎日新聞)
 【北京・藤野智成】北京五輪に向けて新しく建設した北京市内の地下鉄3路線が19日午後2時(日本時間同日午後3時)、一斉に開通する。総工費223億元(約3440億円)をかけた大規模プロジェクトで、慢性化している交通渋滞の緩和が期待されている。午前中、北土城駅で開通式が行われた。
 3線は市内北部と東部を走る半環状線の「10号線」、10号線の北土城駅から北上し、メーン会場の国家体育場(愛称・鳥の巣)などの競技場が集まる五輪公園内を走る「オリンピック支線(8号線)」、北京首都国際空港と結ぶ「機場(空港)線」の延長計58キロ。
 オリンピック支線は五輪とパラリンピックの期間中、当日の入場券持参者と選手、関係者らが利用する。

◎北京の地下鉄3路線が開通、五輪支線は一般開放せず(2008年7月19日、産経新聞)
 北京五輪に向け北京市で整備が進められてきた3本の地下鉄の開通式が19日、行われた。北京の地下鉄は計8本となり、五輪期間中は1日平均約500万人が利用するとみられる。
 新路線は北京国際空港から約20分間で市内に到着する空港線、市北西部のハイテク街や東部のビジネス街を通る10号線、10号線から乗り換えて五輪公園に向かう五輪支線。
 テロ対策のため、五輪支線は五輪期間中、選手や関係者、当日チケットを持っている観客しか利用できない。乗客は10号線の乗換駅で改札を出て安全検査を受ける。一般に開放されないことに不満も出ている。全面開放は9月20日から。
 新路線は五輪に向けたインフラ計画の柱として総額223億元(約3500億円)が投じられた。10号線は各駅にエレベーターや車いす用昇降機を設け、バリアフリー化を進めた。(共同)

◎北京の地下鉄新路線、19日午後開通へ、五輪会場と空港結ぶ(2008年7月19日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】北京五輪開幕が迫り、19日午後に開通する北京の地下の新路線が同日、外国メディアに初めて公開された。北京の空の玄関、首都国際空港と五輪会場周辺をつなぐことで、観戦の利便性向上を目指すのが狙いだ。
 この日公開されたのは、新たに開通する3路線のうち、五輪会場に近い北京北部と東部を走る半環状線「10号線」。五輪期間中、6両編成の車両が最短3分半の間隔で運行し、1本当たり最大1400人余りの乗客を五輪会場の近くまで運ぶ。
 五輪を控えた北京の交通整備の目玉だったが、北京市交通委員会は安全検査の強化を理由に、10号線と五輪公園までを結ぶ「五輪支線」の乗り換えをできなくした。地下鉄だけを使った空港からの会場入りが出来なくなったほか、6月末開通という当初計画もずれ込んでいた。

◎海外芸能人“反中国”活動で興行主に罰則(2008年7月19日、スポーツニッポン)
 中国文化省は国家の安全や民族間の団結を妨げる外国や台湾、香港の芸能人のコンサートなどを容認しないとする通達を出した。北京五輪を控えた警戒強化の一環。同省ウェブサイトに18日、掲載された。共同電によると、通達は政府の宗教政策に違反したり民族的な恨みをあおる演出、わいせつな演技なども認めないと強調。違反した場合、興行元に対し2年間にわたって海外アーティストの受け入れを禁止すると警告した。
 中国では3月、アイスランドのビョークが上海公演で「ディクレア・インディペンデンス(独立を宣言せよ)」と題した歌を歌い「チベット!チベット!」と連呼。「チベット独立」を支持したとして当局が非難していた。通達は「中国の主権に危害を加えたことのある団体、個人の興行を認めない」としており、ビョークのほか、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世を支持する欧米スターらも中国での活動を規制されそうだ。

◎人気ない日本米、中国で大量売れ残り(2008年7月17日、スポーツニッポン)
 日中両国政府の合意に基づき日本が中国に輸出したコメのうち、追加輸出分の約3割が売れ残っていることが17日、明らかになった。
 輸出された日本のブランド米の価格が中国産の数10倍もするため、消費者が敬遠したとみられる。富裕層を中心に日本米の需要をつくり出し、年間コメ消費量1億3000万トンとされる巨大市場への進出を目指した日本の輸出戦略は早くも見直しを迫られそうだ。
 中国へ輸出したのは、新潟県産コシヒカリと宮城県産ひとめぼれ。2007年7月に北京と上海で売り出された計24トンは完売。さらに追加輸出した100トンを北京、上海だけでなく、天津や広州など計13都市で今年から販売している。
 しかし関係者によると、追加輸出分は2月の春節(旧正月)後に販売が落ち込み、6月末までに約30トンが売れ残った。日本の農林水産省の担当者は「日本のコメは当初、中国メディアも報道し話題となった。春節前後まで企業などが贈答用として購入したが、一般の家庭にまで浸透しなかった」と分析する。
 中国での販売価格は2キロ当たりコシヒカリは198元(約3000円)、ひとめぼれが188元。安全検査費用や中国の業者に支払う手数料が価格を押し上げ、台湾、米国、シンガポールなどに輸出している日本のコメと比べても高いという。
 農水省は「これまでのようなペースでの輸出を続けるのは難しい」と予測。今後は、販売するコメの種類を増やしたり、中国で販売手数料の引き下げを促したりすることにより、中国の消費者への浸透を目指す考えだ。
 日本のコメ輸出は03年に中国の検疫制度改正に伴い停止されたが、07年4月の温家宝首相の訪日時に両国政府が輸出再開で正式合意した。

◎75万トン除去も繁殖中、セーリング会場の青島でアオサ異常発生(2008年7月15日、産経新聞)
 北京五輪セーリング競技の会場でもある山東省青島市の海域で6月中旬以降、アオサが異常発生し、競技本番で影響が出ないよう市当局は除去に躍起だ。
 同市によると、ピーク時には、青島沿岸の400平方キロの海面がアオサで覆われ、1.5万平方キロの海域に影響が出て、セーリング競技の練習にもおよんだ。この海域には五輪のセーリング競技が行われるエリアも含まれていた。
 アオサは20日で1.5倍に増える繁殖力が旺盛な海藻。それだけに市当局は、五輪競技の運営に支障が生じることを強く懸念し、アオサの除去作戦に乗り出した。
 この約1カ月間、1日当たり約5000人の兵士、市民ボランティア約3000人、企業・政府機関職員を総動員し、計75万トンのアオサを除去。アオサの分布面積は61.66平方キロにまで縮小した。しかし、近隣の沿海200キロにわたりアオサの繁殖はなお続いている。
 青島では北京五輪のセーリング女子470級代表の近藤愛、鎌田奈緒子の両選手を含め、36カ国・地域の405選手・コーチが練習。青島五輪セーリング委員会は連日、選手らに「アオサ予報」を出し、練習への悪影響を防いでいる。
 しかし、なぜ急にこの海域でアオサが異常発生したのかは不明だ。中央政府は事態を重視し「アオサ自然災害応急処置専門委員会」を立ち上げるよう指示。科学技術省、中国科学院、国家海洋局の専門家らが原因解明と根本的な解決策を検討する。(山東省青島市、福島香織)

◎中国浙江省で出稼ぎ農民数百人が暴動、拡大の恐れ(2008年7月15日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターは14日、中国浙江省玉環県で11日から13日にかけ、警察に拘束された仲間の釈放を求める数百~1000人の民工(出稼ぎ農民)による暴動が起きたと伝えた。
 同センターによると、民工の一人が9日、臨時居住許可証の手続きをめぐり、担当者と口論になって殴られたのが発端となった。民工らはこの担当者の逮捕を求めたが、警察は逆に民工らを拘束。怒った民工が派出所に押しかけレンガを投げつけるなどした。
 警察は民工30人を拘束したが、14日時点でも抗議行動は続いており、同センターは、30人の処分次第では再び大規模な暴動に発展する可能性があると指摘した。
 中国では6月にも、公安当局を襲撃する大規模暴動が貴州省で起きたばかり。

◎中国:河南省の企業家を逮捕、違法に出資金187億円集め(2008年7月14日、毎日新聞)
 14日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国河南省の企業家が違法に資金を集めたとして、公安当局に逮捕された。この企業家は来週から河南省で行われる北京五輪の聖火リレーのランナーに選ばれていた。
 同紙や香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターによると、逮捕されたのは「未来農業」社の呉振海会長。会長は同社が扱う産品の生産量などについて虚偽の事実を出資者らに示し、先月までの間に約5万人から約12億元(約187億円)を集めたとされる。
 河南省の劉満倉副省長が会長の有力な支持者で、中国共産党の規律検査部門が劉氏の関与についても調査を始めているという。(共同)

◎中国貴州暴動、100人の身柄拘束(2008年7月14日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】中国貴州省甕安県で起きた3万人規模の暴動で、貴州日報は14日、地元公安当局が355人の関与者を取り調べ、うち容疑者100人の身柄を拘束したと報じた。
 拘束した容疑者のうち39人は暴力組織の構成員だった。公安当局はこうした暴力組織が市民を扇動、脅迫する形で暴動を引き起こしたとみており、組織メンバーを含めた関与者の割り出しに全力を挙げている。

◎中国製レンジで火災11件、昨秋リコール、改修進まず(2008年7月14日、朝日新聞)
 家電販売業「小泉成器」(本社・大阪市)が昨年9月からリコール(部品交換)している中国製電子レンジによって火災が11件起きたことが14日わかった。いずれもけが人はいなかったが、改修対象の2機種(KRD-0105、0106)計8万台に対し、改修率は6月30日時点で4.4%にとどまる。
 経済産業省によると、使用中に扉の開け閉めを繰り返すと、開閉を感知するスイッチが接触不良になり、火花が出て発火する恐れがあるという。先月29日に東京都、今月4日には埼玉県で使用中の製品から火が出る事故があった。同社の問い合わせ先はフリーダイヤル(0120・551・494)。

◎労働者千人が中国浙江省で暴動、拘束に抗議、派出所囲む(2008年7月14日、朝日新聞)
 中国浙江省玉環で12~13日、拘束された仲間の釈放を求める千人以上の出稼ぎ労働者が警察の派出所を取り囲み、投石したりして建物を破壊した。香港の中国人権民主運動情報センターなどが14日、伝えた。
 一時居住許可証の処理を巡り労働者が9日、警官と口論になり殴られたのが発端。憤慨した労働者ら数百人が派出所に集まったが、当局は労働者23人を逮捕したため、抗議はさらに広がった。(上海)

◎「青空」増は人為的? 北京市「汚染ひどいと改善措置」(2008年7月11日、朝日新聞)
 【北京=阿久津篤史】北京市で「青空の日」が増えたのは当局が操作した結果?――。市環境保護局の杜少中副局長は10日、記者会見で「大気汚染がひどい時は観測点周辺で空気改善の措置を取る。指数が基準を多少上回りそうな時には有効に制御できる」と述べ、人為的に調整していることを認めた。具体的には、粉じん発生を伴う建設現場の工事を一時中断させるなどの措置を指すとみられる。
 北京市は浮遊粒子状物質や二酸化硫黄などの濃度による大気汚染指数を定め、100以下の日を「青空の日」としている。98年は100日だったが、北京五輪を前に大気状況を改善し、昨年は246日に増えたと宣伝していた。
 10日の記者会見では、「100以上のところに一種の空白地帯がある」と指数の分布の偏りを指摘する質問が出た。杜副局長は「観測所の観測範囲は周囲9平方キロと局地的。簡単な対策を取ればデータはよくなる」と話した。

◎北京五輪記念の10元札、市場で100倍以上の高値に(2008年7月10日、読売新聞)
 【北京=田村充】発行が始まった北京五輪の記念紙幣10元札(約150円)が10日、北京市内の切手・紙幣市場に出回り、100倍以上の値を付けた。
 前日は終日、各銀行で徹夜組も含め大行列が見られた。市北部の紙幣市場にはメーン会場・国家体育場(愛称・鳥の巣)が描かれた10元札が登場。10日午後の時点で、北京のサラリーマンの平均月収の3分の1に相当する1000元(約1万5000円)を超える高値も。
 50人以上の知人に交換用の10元と謝礼50元を渡して並ばせ、50枚以上を仕入れたという店主は、「この市場で、在庫はウチが最も多い。品薄になればもっと値上げできる」とニヤリ。

◎中国公安当局、「新疆独立派」ウイグル族5人を射殺(2008年7月10日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】10日の新華社電などによると、中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチ市の公安当局は8日、「漢族殺害を目指す『聖戦』の訓練を受けた」ウイグル族5人を射殺した。
 北京五輪を狙ったテロを警戒する共産党政権は、分離独立運動の火種がくすぶる新疆で、力の行使をためらわない徹底的な治安対策を進めている。
 事件の発端は、5月に同市で起こった漢族傷害事件。今月8日、武装した警官15人が、事件の容疑者を含むウイグル族男女15人がいるアパートを包囲した。催涙弾を撃ち込むと、男らが刃物を持って飛び出し、警官1人が負傷。直ちに警官隊が発砲、5人が即死し、2人が負傷した。残りは捕らえられた。
 新華社は容疑者たちの「聖戦」を強調、アパートからは30本以上のナイフが見つかったと伝えている。香港紙によると、全員が新疆独立派だった。
 事件翌日の9日、同市公安局の陳壮為・党委員会書記は、全警官に対し、「北京五輪の安全確保に向けた第2段階の総動員令」を出し、「大事件はもちろん、小さな事件も起こさない」ための緊急行動を取るよう命じた。
 同市当局は今年1~6月、「五輪破壊を狙った」5つの暴力・テロ組織を摘発、「テロ容疑者」82人を拘束した。さらに、分裂主義者、過激分子など66人を逮捕、党が非合法化する気功集団「法輪功」のメンバー25人も捕らえたという。この強力な治安維持活動が、五輪を前にさらに厳しくなる。
 中国外務省の劉建超・報道局長は、10日の定例記者会見で、政権側の対応に関して、「新疆には確実にテロ組織が存在し、テロに打撃を加える中国政府の態度は揺るがないことを強調したい」と述べた。
 ただ、五輪のための治安維持が、民族融和につながっているかどうかは疑問だ。力を前面に出した対応が、ウイグル族の反政府、反漢族感情をさらに刺激している可能性がある。

◎五輪テロ警戒で82人拘束、ウイグル自治区、上半期(2008年7月10日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国の国営新華社通信によると、北京五輪を控えてテロへの警戒を強める新疆ウイグル自治区公安庁が今年上半期(1~6月)、北京五輪のテロを狙って準備をしていたとして五つの「テロ組織」を摘発し、82人のメンバーを拘束。さらに41カ所の「訓練所」を破壊したという。陳壮為・副庁長が9日、明らかにした。
 中国公安省は、中国から分離独立して少数民族ウイグル族の新国家創設をめざす「東トルキスタン・イスラム運動」の動きを警戒しており、陳副庁長は「五輪開幕を目前に控え、安全確保のために取り締まりを一段と強化しなければならない」と述べた。
 一方、中国外務省の劉建超報道局長は10日の定例記者会見で、北京在住の英国人1人を自宅から連行して、国外追放にしたことを明らかにした。チベット独立を求めているインド・ダラムサラの亡命チベット人団体「チベット青年会議」のメンバーで、当局の調べに中国の法律に違反したことを認めているという。

◎中国、車販売に一服感、上半期18%増(2008年7月10日、日本経済新聞)
 【広州=阿部将樹】急成長を続けていた中国の自動車販売に一服感が出てきた。中国汽車工業協会が10日発表した2008年上半期(1~6月)の中国内生産の自動車販売台数(商用車含む)は前年同期比18.5%増の518万2200台だった。同国の中・南部を襲った大雪・大雨の被害、四川大地震などで伸び率は鈍化しており、足元の販売にやや陰りも見え始めている。
 06、07年の上半期は20%を超える伸び率だった。今上半期のスポーツ多目的車(SUV)とミニバンを除く乗用車の販売台数は17.1%増の360万9000台だった。

◎中国の貿易黒字11.8%減、08年上半期、輸出が減速(2008年7月10日、朝日新聞)
 中国税関総署が10日発表した08年上半期(1~6月)の貿易収支(速報)によると、貿易黒字は990億ドルと前年同期と比べて11.8%減少した。米経済の減速や人民元の対ドル相場上昇などの影響で輸出が減速しているうえ、原油などエネルギー資源の高騰で輸入も大幅に伸び、黒字幅が縮小した。
 08年上半期は、輸出が前年同期比21.9%増の6666億ドルと20%を超える伸びを維持したものの、輸入が同30.6%増の5676億ドルと大幅に増加した。
 中国の貿易黒字は04年以降増加が続き、高い経済成長を引っ張ってきた。07年は上半期だけで1千億ドルを超え、年間では過去最高の2622億ドルを記録した。だが、08年は5年ぶりに減少に転じる公算が大きくなっている。

◎高価な割に味は中国米と互角?日本のブランド米が中国市場で大苦戦(2008年7月10日、Diamond on line)
 日本産のコメ、その第2便が昨年12月末と08年1月下旬に中国に輸出された。07年7月に送り込まれた第1便24トン(新潟産コシヒカリ、宮城産ひとめぼれ)が、富裕層を中心に「パーッと売れた」という手ごたえから、上海・天津の港に荷揚げされた第2便(合計100トン)は北京、上海のみならず、中国13の地方都市にばら撒かれた。だが、半年経った今、日本産米の売れ行きが鈍っている。流通ルートと販売価格、その選択は正しかったのか。日本産米の中国展開は早くも黒雲が立ち込めている。

・輸入第1便の「売れた」はぬか喜びだったのか?
 攻めの農業のシンボルでもある日本産のコメ、昨年、その対中輸出が4年ぶりに解禁となった。07年6月末、第1便が日本の港を出発、中国に陸揚げされると、「1袋(2キロ)198元(約2970円)」という目の玉が飛び出るほどの価格をつけて市中に出回った。日本円に換算すれば10キロ1万5000円もするコメだ。コメの味にうるさい日本の主婦が求めても10キロ5000円がせいぜい。ちなみに日本のコメの小売価格、新潟産コシヒカリなら4896円(07年12月、10キロ)、宮城産ひとめぼれなら4100円(同)だ。
 中国のサイトにも「こんな高い米、一体誰が買う?」、「喜んでいるのは日本の農民だけだ」と書き込みが走り、現地在住の日本人主婦も「買えるわけがない」、頼みの外食、すなわち日本料理店もまた「こんなコストのかかるコメ、客に迷惑かけるだけ」・・・・・・と冷ややか。決して「日本米が歓迎されていた」わけではなかった。
 中国で年間消費されるコメは1.3億トン、1人当たり年間およそ100キロを食べる。上海の庶民が選ぶのは1キロ2~3元(1元=約15円)程度のコメ。富裕層が買い求める良質米でも1キロ10元程度だ。が、中国で流通を始めた日本米は1キロ約100元、どう考えたってこれを受け入れることができるのはかなり「特殊」な層だ。
 だが、そんなコメがこともあろうに「パーッ」とはけた。中国のコメ相場の10~50倍に相当するコメを買って行ったのは富裕層といわれ、上海では「初日で500袋も売れたらしい」というウワサが流れた。店舗によっては「かなりの数の予約が一気に入った。けれどもレジに現れたのはどうみても普通のおばさん。富裕層には見えなかった」と率直に語るところもあれば、「売るためにサクラを仕掛けたのでは」という穿った見方も存在した。
 だが、考えてみれば6000袋ぐらいは実は簡単にはける。
  「うちは第1便の時100袋を売り切った」と話すのは上海を拠点に中国全土で10店舗の日本食材スーパーを展開する石橋修さんだ。「売り切ったといっても10袋ずつ10店舗においたわけですから、その程度は難なくさばけるんです。うちの店舗では5キロパックのコメが月何十トンと売れるんですから」と続ける。
 そもそも、中国市場においては24トンなどたいした量ではないのだ。さらに第2便では中国に100トンが輸出され、2キロパック換算で5万袋を販売することになる。これを13の都市で割ると1都市あたり平均3846袋。決して手の届かない目標ではない。
 だが、その日本産米は“魅力あるはずの中国市場”を目の前に行き詰っている。第2便の100トンは、半年を経過した5月末時点でようやく60トンが売れた程度。第1便を「売れた」と見るのは早計だったのか。

・どこでも手に入る日本米は、高いだけの“フツーの米”
 果たしてこの日本産米をどう中国市場でどう流通させるか。
 07年4月、輸出まであと2ヵ月余りという時期、その流通ルートは「輸出は全農、輸入は中国穀物大手商社のCOFCO(中国糧油食品進出口有限公司)が行う」(農水省)というものだった。いよいよ販売という段でこの「2社による販路開拓」から「全農→農協貿易→COFCO→伊藤忠→現地での小売業」という図式に形を変える(そもそも、198元という常識を逸した価格も、富裕層への過度な期待と中間業者が増えたがための設定だとも。初期段階では2キロパック80元で売られる予定だった)。
 そして、第2便が来ると決まるとこの流通ルートがさらに“進化”した。
 「全農→農協貿易→COFCO(1次問屋)→伊藤忠(2次問屋)→現地の問屋(3次問屋)→小売業」となり、2次問屋の下に3次問屋が加わることになったのだ。上海市場の広い範囲で日本米が流通させるにはその意義は大きい。
 だが、意外にも聞こえてきたのは、上海の日系流通小売業者からの嘆きの声だ。結果、「1袋198元」の超高級米が「ただのフツーのコメに成り下がってしまった」というのだ。
 「日本米を売る側にもプライドがあった。言うなれば限定されたところにしか売ってないというオンリーワンのイメージだね。ところが第2便の蓋を開けてみてビックリ、どこの店でもあるじゃないの」
 確かに日本産米はカルフール古北店にも置かれていた。しかも、埋もれるようにひっそりと。周りには日本産の品種をうたい文句にした「中国産米」もある。タイからの輸入米もうず高く積み上げられている。1袋198元の日本産米は気を利かせて「ご贈答用」の紙袋を備え付けるも、角のひしゃげた紙袋はかえって「しょぼい」印象を与えてしまっている。せっかくの日本のブランド米もこれでは消費者には届くまい。
 「どこでも売っているならうちで扱う意味はない」―、第2便の販売開始から半年、小売業者の間では「日本産のコメ」への関心は潮が引くように薄れてしまっている。
 行き詰る日本産米だが、折りしも今年5月、中国向け日本産米の輸出をめぐり恒常的輸出条件が確立した。従来、日本産米は暫定輸出という位置付けで、その取引は全農とCOFCOの間に限られていたが、今後は輸出ルートの多様化が現実のものとなる。
 「競争ができる環境になる」「コメビジネスと関係のない貿易業者でも米を中国に輸出できるようになる」と関係者も関心を寄せるが、いくつかのハードルも。生産者側は中国側の検疫条件をクリアするための追加投資、さらに複雑な手続きが要求され、貿易業者は、1%の関税でのコメ輸出ができるように、「割り当て」を持つ中国の輸入業者と組むことが求められる。いずれも経験がないところでの取り組みとなるので、ビジネススタイルが確立するまでは手探り状態が続くだろう。

・中国東北米と日本米は味の区別がつかない?
 中国特有の流通小売事情という障壁以上に「日本米など中国で売るなんて所詮無理」と思う理由がもう1つある。中国の東北地方で収穫される「東北米」の存在だ。
 中国では2000年を過ぎたあたりから、パサパサした長粒米が姿を消し、日本のコメのような粘り気のあるコメが全国的に普及するようになった。
 筆者は05年に上海の日本人主婦を対象に、利き酒ならぬ「利き米」を行ったことがある。黒龍江省のコメ、新疆ウイグル自治区の米、江蘇省の米と一緒に魚沼産コシヒカリを出したところ、参加いただいた奥様方は大いに混乱した。それだけ中国産米がおいしくなったのだ。
 かつての不毛の地・黒龍江省では耐冷性の品種改良技術の進歩とともに、肥沃な土地柄を生かして「うまいコメ」の生産地として「中国東北米」ブランドを確立させてきた。さらに、93年の日本のコメ不足を引き金に日本の商社が行った開発輸入は、中国東北地方でのコシヒカリ、アキタコマチの生産を可能にした。
 黒龍江省に限らず、パキスタンとの国境に近い新疆ウイグル自治区でもアキタコマチの農場がある。しかも合鴨農法を導入した有機栽培の実験に着手していたのには驚かされた。

・日本米は中国東北米にブランド価値を与えただけか
 輸入日本産米にはこれだけの競合が存在する。中国のサイトの書き込みに「日本のコメの味は東北米と変わらない」とあったが、なるほどその通りなのだ。
 上海の売り場では、“パンダ印の「秋田小町(表記はママ)」”“日本髪印の「秋田錦」(同)”など、黒龍江省や吉林省を産地とした中国東北米が並べられるようになった。かつてなら産地の1つとしてしか受け止められなかった中国東北米が、「日本品種」をうたい文句に40元、50元という高価格帯で軒並みデビューを始めたのだ。いわゆる便乗商法だが、「1袋198元」の日本産米に比べたらはるかに安い。
 そして、ここでも最後に笑うのは中国。「市場に入れてくれた」と日本側に感謝されるばかりか、中国東北産米にまでブランド価値を与えてくれて・・・、と内心ほくそ笑んでいるに違いない。市場での値崩れと相対的な価値の低下で、いずれ消滅してしまう日本産米が不憫でしかたがない。

◎毛沢東に代わり「鳥の巣」、五輪記念紙幣に徹夜組(2008年7月10日、朝日新聞)
 【北京=阿久津篤史】北京五輪を記念し中国人民銀行が発行した10元(約150円)札が9日から、市中の銀行で交換できるようになった。
 記念紙幣の表には、通常紙幣の毛沢東に代わり「鳥の巣」の愛称がある五輪主会場の国家体育場が描かれている。裏は五輪発祥の地・古代ギリシャの円盤を投げる人の彫刻などのデザイン。発行は600万枚のみで、北京では徹夜組も出た。1人1枚に制限されたが、開店早々に品切れが続出。「200元(約3千元)で買う」とのダフ屋も出た。

◎中国海洋石油:傘下企業がノルウェー社を買収へ(2008年7月8日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国各紙は8日、国営石油大手、中国海洋石油(CNOOC)傘下の中海油田サービスが、ノルウェーの海上石油掘削会社であるアウィルコ・オフショアの全株を買収することで合意したと報じた。原油高が続く中、海外での海底油田探鉱を強化し、原油の安定調達と海外収益の拡大を狙う。
 買収総額は約25億ドル(約2700億円)で、両政府の認可と株主総会の承認が前提になる。
 アウィルコはオーストラリア、ノルウェー、ベトナム、サウジアラビア、地中海の5カ国・地域に海上油井プラットフォームを保有しており、中海油田は同社の買収によって、これまで空白域だった北欧、地中海に探鉱拠点を拡大できる。

◎中国の貧困層、1500万人まで減少(2008年7月8日、産経新聞)
 8日の新華社電(電子版)によると、2007年の中国農村部の貧困層人口は前年より約661万人少ない1487万人となった。中国の貧困層の定義は1人当たり年収683元(約1万円)以下。年収958元以下の低収入層は709万人減の2841万人だった。

◎中国・貴州省当局、大規模暴動で地元県幹部4人を解任(2008年7月5日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】5日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストなどによると、中国貴州省甕安県で少女強姦殺人事件隠ぺい疑惑をきっかけに起きた大規模暴動で、貴州省共産党委員会は4日までに、同県トップの王勤・県党委書記と王海平・県長ら県幹部少なくとも4人を解任した。
 同省党委の石宗源書記は3日に開かれた暴動の検討会の席上、「民衆の利益を侵害する事案が頻繁に起きていた」と県当局を批判しており、幹部への厳しい処分で、暴動の遠因となった当局の汚職や職務怠慢などに対する民衆の不満を和らげる狙いがあるとみられる。

◎貴州省暴動、事態収拾急ぐ中国、300人逮捕・ネット閉鎖(2008年7月5日、読売新聞)
 中国貴州省甕安(おうあん)県で6月28日に発生した大規模暴動は、1日までに武装警官など約3000人が出動し、沈静化した模様だ。
 暴動は、女子中学生に対する強姦(ごうかん)殺人事件を、地元警察が隠ぺいしたとする疑惑を端緒に発生した。中国政府は、北京五輪を約1か月後に控えたこの時期の暴動発生に衝撃を受けており、暴動参加者の摘発を本格化させる一方、省トップが地元政府の失政を事実上認めるなど、事態収拾を急いでいる。
 「暴動は落ち着いたが、町中、警官だらけだ。暴動には5万~6万人が加わったと思う。参加者はどんどん増えた」。甕安県の男性店員は本紙の電話取材に興奮気味に語った。女性住民は「自首を呼びかける宣伝車が走り回っていて怖い」とすぐに電話を切った。
 香港の人権団体・中国人権民主化運動ニュースセンターによると、公安当局は暴動の際のビデオ映像などを基に摘発を本格化しており、これまでに300人以上が逮捕された。
 中国政府は、8月の北京五輪を間近に控え、チベット暴動に続く大規模暴動に衝撃を受けている。特に懸念されるのが、当局者の腐敗や横暴に不満を抱く、他の地方への飛び火だ。政府は、暴動の写真が掲載されたインターネットサイトを相次いで閉鎖。香港メディアによると、暴動に関する中国メディアの独自報道も禁止された。
 一方、国営新華社通信によると、省トップの石宗源・同省共産党委員会書記は「社会の調和と安定が最優先課題」と発言。そのうえで、「住民の移住や強制立ち退きなどの問題にこれまで十分な配慮をしてこなかった」と地元政府を批判し、住民の“懐柔”も図っている。省政府が捜査員を派遣し、再捜査にも着手した。
 だが、住民の不満は依然くすぶり続けている。1日付の香港紙・東方日報などによると、地元政府は30日、死亡した少女の両親に遺体を3日以内に埋葬するよう「最後通告」を出した。遺族や一部住民は「証拠隠滅になる」と強く反発。当局は1日、遺体の再検視を決めた。
 今回の暴動は、6月下旬に水死体で見つかった少女を、公安当局が「自殺」と判断したことが引き金となった。遺族側は性的暴行を受けた後に川に落とされたと主張。「犯人の一人の親が公安幹部のため、本格捜査が行われなかった」とのうわさも加わり、6月28日午後、住民数万人が暴徒化した。
 住民らは、警察本部を占拠して焼き打ちするなどして警官隊と衝突。新華社通信は制圧の際に警官隊が催涙弾を使用したと伝えたが、香港メディアは警官隊の発砲で住民少なくとも1人が死亡したと報じ、食い違っている。
 中国内陸部に位置する貴州省は経済開発が遅れた最貧省の一つ。甕安県は少数民族地区にあり、貧富の格差などへの根強い不満が、「中国で今年最大の暴動」(香港の人権団体)の遠因となった可能性がある。(香港支局 吉田健一)

◎中国:大規模計画停電、五輪供給を優先、石炭高騰で一部発電所停止(2008年7月5日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国の電力各社が、需要最盛期の9月にかけ、大規模な計画停電を実施する。国際的なエネルギー価格の高騰で国内の石炭市況が跳ね上がり、燃料の調達難から一部の火力発電所が運転停止に追い込まれているためだ。中国政府は、五輪開催地の北京、天津などへの供給を優先し、国際的な影響を極力避ける意向だが、日本企業の工場が集まる沿海部では操業短縮を求める動きが出始めており、生産活動への打撃は必至だ。
 中国の電力業界関係者によると、今夏の電力不足規模は最大1800万キロワットで、日本の東北電力1社分に相当する見込み。発電所の新設が相次いだ06、07年は不足量が1300万~1000万キロワットまで緩和されたが、今年は「停電が社会問題化した04~05年に匹敵する深刻な状況」(関係者)になる。
 標準的な国内炭価格は、07年の1トン=480~550元(1元=約15円)から、今年は700元前後に急騰。中国政府が、事故の相次ぐ小規模炭鉱を次々閉鎖してきたことも重なり、内陸の産炭地から遠い広東省などでは同900元前後まで上昇している。
 中国では、電力供給の9割を火力発電が占め、ほぼ全量が石炭火力。政府は電気料金を低価格に統制しているため、発電量が増えるほど電力会社の損失が膨らむ。国営電力5社は、昨年までの黒字から、今年第1四半期(1~3月)には計27億元の赤字に転じた。運転を止めた発電所は5月末段階で計600万キロワット超に達し、その後も沿海部を中心に運転停止が広がっている。
 従来、広東など周辺省に150万キロワットの余剰電力を供給してきた四川省も、5月の大地震で電力設備が倒壊し、逆に省外から電力を調達する必要に迫られたことも響いた。
 停電は一般家庭も対象で、地区ごとに異なる方法で実施される。山東省青島市では6月初旬、市政府が企業ごとに輪番での操業停止などを指示。上海市などでも9月下旬まで輪番操業停止が指示される見通しだ。

◇日本企業、操業調整
 日本企業では、トヨタ自動車やホンダなどが、計画停電の対象となる広東省内に工場を置く。同省広州市内に合弁工場があるホンダによると、計画停電はすでに数年前から定期的に実施されている。停電前には当局から予告があるため、予定日は工場を休業し、別の休日に振り替え操業するなどして生産計画への影響を防いでいるという。ただ今回は、これまで当局からの連絡がなく、規模は不明だが、実施された場合は「生産に影響を与えないよう、振り替え操業で対応したい」(ホンダ広報)と話している。
 日立製作所、松下電器産業、ソニーなど電機大手各社も、これまで何度も計画停電に対応してきた経験があり「生産時期を調整するなどの対応は可能」(大手)との声が強い。ただ「政府から指示を受けたら、従わざるを得ず、大規模なら影響はあるかもしれない」(三菱電機)と懸念している。【宮島寛、宇都宮裕一】

◇中国主要地域の電力供給制限(日本貿易振興機構北京センター調べ)
 山東省:青島、済南市などで電力供給制限を実施
 上海市:9月下旬まで輪番で操業停止を実施予定
 浙江省:9月下旬まで輪番で操業停止を実施予定
 江蘇省:9月下旬まで輪番で操業停止を実施予定
 遼寧省:大連市内の経済開発区の企業に供給制限を通知
 広東省:省内企業に電力供給制限の実施を通知。企業の重要性に応じて4分類し、供給制限量を決定

◎渋滞回避へ 五輪専用レーンの整備始まる(2008年7月5日、産経新聞)
 北京市内の主要道路で4日、五輪関係車両をスムーズに通行させるための専用レーンの整備が始まった。
 市内の環状線では、一車線が専用レーンとなることを示す黄色い線が引かれ、道路上に五輪のロゴが表示された。北京市内の専用レーンは全長200キロに達し、7月20日から2カ月間使用される。(共同)

◎北京の渋滞、大気汚染対策 夫婦に限りナンバープレート変更OK(2008年7月5日、産経新聞)
 北京市当局は、ナンバープレートの偶数と奇数によって一般車両が走行できる日を分ける規制について、夫婦それぞれが所有する車のナンバーがいずれも偶数か奇数の場合、いずれかを変更できると発表した。5日の新華社電(電子版)が伝えた。
 この規制は五輪に向けた渋滞や大気汚染に関する対策の一環で、20日から実施される。
 未処理の交通違反があったり、廃車期限に達していた車両は対象外。ナンバー変更後、速やかに車両保険や税金に関する手続きを行うよう求めている。(共同)

◎暴動の責任「幹部が相次いで免職」中国、五輪目前でピリピリ(2008年7月5日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国・貴州省甕安(おうあん)県で起きた大暴動をめぐり、地元政府幹部が相次いで免職処分となった。この早期対応の背景には、1カ月後に北京五輪を控え、民衆の感情に一応の理解を示すことで各地への飛び火を防ごうという「社会の安定を最優先する胡錦濤指導部の考え」(中国共産党関係者)がある。一方で、公安省(警察庁に相当)は暴動や抗議行動への危機感を示し、五輪終了まで地方からの陳情者をできるだけ減らすよう全国に指示した。しかし、いずれも短期的な処方で、社会矛盾を背景とした民衆の不満を根本的に解消させるには限界がありそうだ。
 暴動をめぐり貴州省政府は4日、同県トップの王勤党委書記とナンバー2の王海平県長を解任した。公安局長ら2人も解任されている。「民衆の利益を侵す状況が起きた」(石宗源・同省党委書記)とする一方、処分を決めた省級会議では、「暴力組織の犯罪を軽んじた幹部や公安当局者がいた」と地元政府と公安当局が厳しく批判されており、解任は“けじめ”であると同時に、各地方政府への“見せしめ”でもある。
 インターネットに地元政府を「黒社会」と非難する書き込みがあふれていることも背景にある。関係筋によると、胡錦濤国家主席は(1)事態拡大の防止(2)適切な処理(3)情報公開-を指示した。指示を受け当局は事態を収束させたが、暴動の原因となった「少女は自殺した」という地元当局の説明に民衆は納得していない。
 「なぜ少女は突然、川に飛び込んだのか」「少女を助けようとした男らがなぜ賠償金を払うのか」「不自然な点が多い」という意見がネットで飛び交っており、当局への不信や不満はより鬱積(うつせき)している。
 一方、中国では退役軍人の再就職や福利に対する不満も強く、五輪前の社会不安のひとつだ。香港の人権団体などによると、黒竜江省、内モンゴル自治区、陝西省などで昨年、騒乱が連携して発生。先月から今月にかけ山東省煙台市でも集団抗議が起きたようだ。
 また、地方政府の腐敗や不正を訴えるため、北京にやって来る直訴者の集団抗議も不安定要素だ。公安省の楊煥寧次官は3日、地方の公安幹部が自ら陳情を受けつけるよう指示したが、「抗議行動を起こされて地方政府がマイナス評価を受けないよう、陳情者を北京に向かわせないだけ」(直訴者の女性)と冷めた見方は少なくない。
 北京では五輪に向け直訴者が住む「直訴村」の解体が進められたが、分散し隠れ住む直訴者の完全統制は不可能。こうした中、当局は摘発を繰り返している。

◎中国:貴州暴動、県トップら解任、異例の早期対応(2008年7月5日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国貴州省甕安(おうあん)県で少女(16)が死亡した事件をめぐって6月28日起きた3万人規模の暴動で、中国共産党は4日、同県トップの王勤党委書記とナンバー2の王海平県長を解任した。直接の責任者である公安局長ら2人も解任した。党幹部が1週間の早さで処分されるのは異例。事件を重視する胡錦濤指導部の強い姿勢を示した。
 同省トップの石宗源省党委書記は暴動について「死因をめぐる論争が導火線だが、背景には鉱物資源開発や住民立ち退きなどで一部幹部が住民の利益を侵し、警察力を乱用したことがある」と地元幹部を批判していた。

◎中国:貴州暴動で県トップら解任、1週間の早期対応(2008年7月5日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国貴州省甕安(おうあん)県で少女(16)が死亡した事件をめぐって6月28日起きた3万人規模の暴動で、中国共産党は4日、同県トップの王勤党委書記とナンバー2の王海平県長を解任した。直接の責任者である公安局長ら2人も解任した。党幹部が1週間の早さで処分されるのは異例。事件を重視する胡錦濤指導部の強い姿勢を示した。
 同省トップの石宗源省党委書記は先だって、暴動について「少女の死因をめぐる論争が直接の導火線だが、背景には鉱物資源開発や住民立ち退きなどで一部幹部が住民の利益を侵し、警察力を乱用したことがある」と地元幹部を批判していた。
 しかし、同省公安庁は遺族らが究明を求める少女の強姦(ごうかん)殺人疑惑を改めて否定し、少女は川に飛び込んで自殺したとの捜査結果を発表。現場にいた同級生3人の親類に県党委書記や公安幹部がいるとの情報も否定した。

◎中国:香港の議員を入境拒否 四川の手抜き工事指摘で(2008年7月5日、毎日新聞)
 4日付の香港紙「明報」(電子版)によると、同僚議員とともに四川大地震の被災地入りをしようとした香港立法会(議会)の民主派、梁国雄議員が、中国本土の訪問に必要な「帰郷証」が発給されず、入境を拒まれた。同紙によると、梁議員は四川大地震で浮上している学校校舎の「手抜き工事」の追及を公言したことから、中国当局から拒絶されたとみられている。
 また、同日付の香港各紙によると、香港紙「りんご日報」の記者が今月1日、五輪関連取材での北京入りを拒まれた。同紙は中国共産党に批判的なメディアとして知られる。【台北支局】

◎当局が埋葬を強要か貴州省で死亡の少女(2008年7月4日、産経新聞)
 3日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国貴州省で起きた暴動の原因となった16歳の少女の死亡事件をめぐり、少女の遺族は「地元当局から、補償金を受け取って(少女の)遺体を埋葬するよう圧力を受けた」と語った。
 同紙によると、少女が自殺したとの警察の捜査結果に納得できずに、遺族が遺体を埋葬しないでいたところ、当局の数十人が遺族のもとを訪れ、葬儀代として30万元(約470万円)を受け取ることに同意するように強要したという。
 遺族は「私は農民なので政府のやり方を受け入れるしかない」と話した。遺族らは3回目の警察の検視結果が出たのを受け、2日に遺体を埋葬したという。(共同)

◎テディベアの中国生産「ノー!」 品質低下許せず(2008年7月4日、産経新聞)
 【ベルリン=黒沢潤】世界で100年以上にもわたって愛され続けてきたぬいぐるみ「テディベア」を生産するドイツのシュタイフ社が、人件費の安い中国での生産を打ち切り、地元ドイツで生産する方針を決めた。中国での生産で品質低下が顕著となっており、老舗としての“誇り”がそれを許せなかったようだ。
 1880年創業のシュタイフ社が作るテディベアは1902年生まれ。愛くるしい表情でコレクションとしての価値も高く、母から子へ、子から孫へと世代を越えて世界中で愛され続けてきた。発売当初、粗悪な模造品が相次いで出回ったことから、左耳には同社の刻印ボタンが取り付けられ、品質を保証するトレードマークにもなっている。
 同社幹部は独メディアに対し、中国での生産の打ち切りについて、「もし(テディベアの)ガラスの目が1ミリでもずれていたら、愛くるしい表情がとたんに間の抜けた表情になってしまう」と指摘。中国での労働者の入れ替わりの激しさについても、「最近はいつも新しい人材の養成に時間を割かねばならない。不良品も続出している」と不満を述べた。長年、我慢を続けてきたが、ついに“堪忍袋の緒”が切れた形だ。
 世界中の玩具メーカーは低コストの魅力から、中国に生産拠点を移しつつある。だが同社は、品質低下だけでなく、中国から3カ月かけてドイツに船便で輸送する際のコストなども無視できないとしている。
 テディベアは第26代米国大統領、セオドア・ルーズベルトの愛称テディにちなむ。1902年、狩猟好きのルーズベルトが子熊の命を助けたというエピソードが新聞に掲載されたのを機に、「テディ」の名前を冠した熊のぬいぐるみが人気を博すようになった。

◎中台直行便が離陸、中国人の台湾観光解禁(2008年7月4日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】中台を直行で結ぶ週末チャーター便が4日朝、台湾の桃園国際空港や中国の北京、上海などから相次いで飛び立った。厳しく制限されてきた中国人観光客の台湾観光もこの日、全面解禁され、数百人の観光客第1陣が台湾を訪れる。台湾の馬英九(マー・インチウ)政権誕生後に始まった中台の雪解けムードを一層、高めると期待されている。
 これまでは春節(旧正月)など大きな祝日以外は飛べなかった中台間直行のチャーター便だが、中国と台湾は6月に週末運航と中国人の台湾観光解禁を合意した。年内に平日運航に拡大される。観光客は1日3千人が上限。滞在は10日以内で、団体旅行に限定されている。

◎中国-台湾に直行チャーター便、金~月に36往復(2008年7月4日、読売新聞)
 【桃園(台湾北部)=石井利尚】中国と台湾を結ぶ直行チャーター便の週末運航が4日、始まった。
 中台間の往来は通常、香港やマカオで乗り継ぐ必要があるが、毎週金曜日から月曜日までの4日間は直行便が運航し、飛行時間が大幅に短縮される。外国人の利用も可能で、中台間の人的往来が今後、さらに活発化しそうだ。
 台北近郊の桃園空港を出発した第一便は同日午前、上海・浦東空港に到着した。
 一方、中国人の台湾観光も4日に解禁され、第1陣753人が広東省広州などから直行便に分乗して台湾入り。これまで中国人の訪台は、学術交流や第三国経由の旅行などに限定されていたが、今後は、1日約3000人を上限に台湾訪問が可能になった。
 台湾と中国双方の航空会社によるチャーター便は、北京~台北や上海~台北などの間を、週4日間に計36往復する。
 中台間では2003年、春節(旧正月)休暇に限定した直行チャーター便が運航、06年に中秋節などの祝祭日にも拡大した。直行便と中国人の台湾観光解禁は、6月の中台対話で合意された。

◎中国:共産党員7415万人に、人口の5.6%(2008年7月3日、毎日新聞)
 新華社電によると、中国共産党中央組織部は同党創立記念日の1日、党員数が昨年末で7415万3000人になったことを明らかにした。昨年6月時点では7336万3000人で、半年で79万人増えた。中国の昨年末の人口は13億2129万人で、共産党員の割合は5.6%となる。(共同)

◎「貴州騒乱、背後に深い原因」 地元公安局長ら解任へ(2008年7月3日、朝日新聞)
 【上海=西村大輔、香港=奥寺淳】中国・貴州省で16歳の少女が強姦(ごうかん)され死亡したとして数万人の騒乱が起きた事件で、同省トップの石宗源・省共産党委書記は3日、現場となった甕安(おうあん)県の公安局長ら2人を解任する方針を決めた。人民日報のウェブサイト「人民網」が伝えた。
 石書記は省内の会議で「騒乱は少女の死因が導火線だが、背後には深い原因がある」「鉱物資源開発や立ち退きなどで住民の利益を侵し、警察力を好き勝手に利用した」と指摘。県政府と県党委の責任追及も指示した。
 一方、3日付の香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストによると、少女の遺族は「省政府などから毎日、葬式代として3万元(約45万円)を受け取るよう同意してサインしろと強い圧力を受けている」と語った。遺族は「尾行され、携帯電話が盗聴される。こんな怖い思いは初めて」と話した。役人が家に来て、賠償を受け入れるよう深夜まで迫ったという。遺族は「お金でなく正義が欲しい」と話した。
 これに対し貴州都市報は、当局が提示した3万元は、事件への関与が疑われた同級生3人が計9千元、地元政府が2千元、残りが政府が集めた寄付金といい、「政府の考慮に感激している」と遺族が話した、と伝えた。

◎「少女の遺体を再び検視」中国・貴州省の暴動(2008年7月2日、産経新聞)
 中国・貴州省甕安県で起きた大規模暴動で、地元政府は1日、暴動に未成年者が多く関与しており、「不法分子」に扇動された可能性が強いとし、関係部門に青少年教育を強化させることを決めた。当局は、チベット騒乱同様、今回の暴動も「一部の者が真相を知らない群衆を扇動した」と位置づけている。1日の国営新華社通信は、「不法分子が公安局(警察)の3階まで侵入し火を放った」など悪質さを強調した。
 一方、中国の通信社、中国新聞社によれば、同省当局者は1日の会見で、暴動の原因となっ地元の少女の死因確認のため、再度、遺体を検視する構え表明した。

◎資生堂:商標権侵害で中国企業を提訴、化粧品大手初(2008年7月1日、毎日新聞)
 化粧品大手の資生堂は25日、自社商号の無断使用などで商標権を侵害されたとして、中国・上海市にある企業3社とその代表者を相手取り、総額約189万元(約2900万円)の損害賠償と謝罪を求め、現地で提訴したことを明らかにした。国内の化粧品会社は中国で高級化粧品販売を積極的に展開しているが、国内大手が中国で知的財産権の侵害に関する訴訟を起こすのは初めてとみられる。
 資生堂によると、上海晶典化粧品有限公司など3社は「資生堂雅姿」「SHIDOAS」といった資生堂と酷似した商標の化粧水などを資生堂製品の4分の1程度の価格で販売していた。中国国内全体での年間被害額は20億~30億円にのぼるとみられる。
 上海市で06年5月に開かれた化粧品展示会で、3社が「資生堂」を名乗って出展したことから商標権の侵害が発覚。中国政府と連携して年約300件を摘発し、3社に対して侵害行為の中止を求めていたが、侵害行為が止まらないため今年4月に上海市第2中級人民裁判所に提訴した。26日に初公判が開かれる。【森有正】

◎中国:貴州暴動で胡主席、情報公開を指示(2008年7月1日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】中国貴州省甕安(おうあん)県で28日、女子中学生の強姦(ごうかん)殺人事件の捜査への不満をきっかけに発生した数万人規模の暴動について、中国の胡錦濤国家主席は、地元メディアは自発的に報道すべきで、情報を封鎖してはならないと指示した。大規模暴動が民衆の口伝いに広がったことから、情報を積極的に公開し、民衆の不満を和らげる狙いがあるとみられる。
 1日付の香港紙「明報」が消息筋の話として報じた。胡国家主席は「小さな刑事事件が、どうしてこのような大規模な暴動を引き起こしたのか」と述べるとともに、社会の安定を図るよう指示した。
 一方、香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターによると、現地には2000人を超える武装警察や公安関係者が投入され、暴動による逮捕者は300人以上に上っている。同センターは暴動の発端となった強姦殺人事件の被害者の叔父が逮捕されたと指摘している。

◎中国:北京-天津間高速鉄道が試運転、五輪前開通へ(2008年7月1日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国政府が全国で建設を進めている時速300キロ以上の高速鉄道網の先陣を切り、北京-天津間高速鉄道の試運転が始まった。北京五輪開幕前の8月1日に開通する予定。
 新華社通信によると、劉志軍鉄道相が同乗した6月25日の試運転で、最高時速394.3キロを記録。北京南-天津駅間約120キロを25分10秒で結び、所要時間を現行の半分以下に縮めた。鉄道省の技術者は「世界で運行中の軌道鉄道では最速」と語っている。
 車両は独シーメンスから技術を導入し、中国が独自に設計した「CRH3」型。8両編成で営業運転される見通し。海外の専門家の間では、試験運転期間が極めて短期であることや、一部区間の工事がまだ終了していないことから「安全性を軽視している」(在北京外交筋)との指摘も出ている。

◎ニセ札「逆流」対策、台湾大わらわ、人民元解禁(2008年7月1日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】台湾で30日、中国人民元と台湾ドルの両替が全面解禁された。4日から中国人観光客の台湾渡航が解禁されるのに合わせた措置だが、懸念されるのが人民元のニセ札問題。中国で出回るニセ札の多くが台湾製といわれ、台湾の金融・観光業界はニセ札の「逆流」対策に大わらわだ。
 台湾は30日、中国・福建省沿岸の金門、馬祖両島に限っていた人民元の両替を1人2万人民元(約31万円)を上限に全土に拡大、金融機関、ホテル、百貨店など約1300カ所で可能になった。
 台湾の法務部(法務省)調査局によると、台湾は印刷技術が高く、中国では死刑にも処されるニセ札製造が台湾では最高懲役10年と軽い。台湾と中国の犯罪組織は90年代からニセ札を台湾で製造し、中国に運んで協力を深めた。「中国に運ばれていた台湾製のニセ札が今後台湾で使用される事態が心配だ」。調査局の胡興勇科長は話す。
 同局や台湾の中央銀行が主催した識別講習会が大盛況。小規模店舗では小型の紫外線装置などで対応するが、大量の紙幣を扱う銀行やホテルはそうはいかない。ニセ札検査機を製造する宙皇企業(台北市)には大量の契約が舞い込んでいる。台湾銀行は約千人の行員を対象に両替業務の訓練を実施。楊豊彦・同行副総経理は「人民元の特徴を行内の外貨業務の人員に徹底させればニセ札への対応は十分可能」と話している。

◎藻?藻!中国・青島の海岸に大量漂着、五輪前に懸命の除去(2008年7月1日、読売新聞)
 【青島(中国山東省)=加藤隆則】北京五輪が1か月余りに迫る中、セーリング競技会場となる山東省青島の海岸に大量の藻が漂着、漁船400隻に加え人民解放軍や地元のボランティアら数万人が連日、懸命の除去作業に当たっている。
 現地入りしている約30か国以上のチームの練習に支障が出ており、本番への影響が懸念されている。
 地元紙によると、青島近海での藻は5月末に確認され、現在は約400平方キロの範囲に拡大。うちセーリング競技関連水域約50平方キロの3分の1が含まれている。藻は昨年も確認されているが、今回のような規模は過去に例がなく、原因に関しても環境汚染による富栄養化や南方での大量降雨など諸説が出ている。
 現地の五輪当局は「競技水域は15日までにきれいにする」と公言しているが、周辺の海水浴場には抹茶色に染めた綿のような藻が打ち上げられ、ブルドーザーですくい上げる作業が続いている。これまでに回収されたのは10万トン以上。運搬用のトラック運転手は「早朝から日没まで休みなしだが、波がどんどん運んでくるので際限がない」と弱り果てた様子だった。

◎ネズミ駆除剤で集団中毒、中国海南省、12人が入院(2008年6月30日、産経新聞)
 中国海南省海口市のケーキ店で6月28日、従業員らが集まり夕食を取ったところ吐血するなどの中毒症状が出て、12人が入院した。地元当局は「毒鼠強」と呼ばれるネズミ駆除剤が原因の中毒と断定、混入された経緯を調べている。同省の地元紙、海南日報(電子版)などが30日までに伝えた。
 同紙によると、12人のうち4人の症状が重いという。食べたのはアヒルの丸焼き料理など。病院で患者らの嘔吐(おうと)物などを調べたところ、毒鼠強が検出され、特に米の中に多く含まれていた。
 海南経済報(電子版)によると、毒鼠強は中国では1991年に使用禁止になったが、海南省では2000年と03年にも毒鼠強による中毒事件が発生。海口市政府は今回の事件を受け、毒鼠強のヤミ販売取り締まりを強化する方針を打ち出した。

◎女子中学生暴行疑惑で起きた暴動、中国、五輪前に抑え込む構え(2008年6月30日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】貴州省甕安(おうあん)県で28日に発生した数万人規模の暴動をめぐり、中国当局は30日、参加者に自首を呼びかける一方、暴動のきっかけとなった女子中学生(15)に対する強姦殺人疑惑の調査を必ず実施すると宣伝し、事態の沈静化を図ろうとしている。当局は北京五輪を前に他の地域への波及を防止するため力で押さえ込む構えで、人権団体は約300人が拘束されたと伝えた。「暴動は庶民の絶望感の表れ」(北京の知識人)と指摘され、官僚腐敗に対する鬱積(うつせき)した怒りが噴き出したともいえそうだ。
 「金のある者、権力者は何でもできる腐敗社会。中国はまさに“黒”だ」。
 暴動に関するインターネットの書き込みは、大部分が地元当局の司法腐敗を非難、「民衆の怒りを知ったか!」と暴動に賛同する内容が多い。
 当局は暴動を撮影したビデオなどをもとに参加者を拘束しているようだ。関係サイトによると、拘束された中には30人の生徒も含まれているという。当局は武装警察ら2000人を投入し、催涙弾と高圧電流警棒などで鎮圧。米政府系の自由アジア放送は「発砲で4人が死亡」との説が現地で流れていると伝えた。
 消息筋によると、30日、多くの商店が店を閉め、街頭を武装警察が隊列を組んで行進し威圧。群衆に襲撃され炎上した公安庁舎や政府庁舎の周囲は同日午後から二重に封鎖され、一般の人々は近寄れない。
 暴動について同日付の地元紙「貴州日報」は「少数の者が真相を知らない群衆を扇動し政府部門を襲撃した重大事件」と位置づけ、公安局はテレビで暴動参加者に対して自首を繰り返し求めている。一方で現場周辺では当局の広報車が走り、「事件の公正な調査をする」と宣伝している。
 暴動のきっかけは、女子中学生の死亡。家族や同級生は、政府または公安幹部の親族とみられる男ら2人組による暴行殺害と疑い、2人がすぐに釈放されたことに対し、数百人の生徒らが集団で公安当局前で抗議行動を繰り広げたが、逆に武装警官らに殴打され、これに群衆が反応したとの見方が多い。「連続女子暴行事件、鉱山をめぐる汚職などへの不満も背景」との説も流れている。
 胡錦濤指導部は「調和社会」構築を掲げ社会の安定を図ろうとしているが、チベット族の騒乱に続く今回の暴動で、中国社会の不安定さが改めて露呈した形だ。「農地収用問題や官僚腐敗、当局者の横暴、退役軍人の福利問題など社会の底辺にたまった不満のマグマはいつでも噴出する」(北京の法律家)といわれ、今後も大規模な抗議行動や暴動が発生する可能性は否定できない。

◎「幻の華南トラ」でっちあげ写真で賞金詐欺、中国で農民逮捕(2008年6月30日、読売新聞)
 【上海=加藤隆則】中国陝西省林業庁が昨年10月、絶滅の危機に瀕(ひん)している「華南トラ」として公表した写真について、同省は6月29日、写真を捏造(ねつぞう)と認め、撮影者の男性農民を詐欺容疑で逮捕したと発表した。
 写真は、世界的な真がん論争を巻き起こしており、同庁の副庁長ら政府部門の13人も、真偽を確かめず公表したとして免職などの処分を受けた。
 新華社電によると、ニセ写真は同省鎮坪県の周正竜容疑者(52)が、地元の山中にトラの絵を置いて撮影。林業庁は周容疑者に賞金2万元(約30万円)を与え、地元では観光PRに向け、自然保護区指定の申請準備が進められた。
 華南トラは体長約2.5メートルと他種よりも小型で、国際自然保護連合によると、推定個体数は20~30。1983年に湖北省で確認されたのが最後で、林業庁は写真を「歴史的発見」としていた。
 しかし、写真の公表直後から、インターネットなどで「トラの姿勢がみな同じで不自然」と疑問が噴出。論争は、米科学誌「サイエンス」にも紹介された。

◎中国で邦人男性に死刑判決、麻薬密輸罪で(2008年6月30日、読売新聞)
 中国遼寧省の大連市中級人民法院(地裁に相当)は30日、麻薬密輸罪に問われた60歳代の日本人男性、赤野光信被告に対し、執行猶予の付かない死刑判決を言い渡した。
共犯の50歳代の日本人男性、石田育敬被告も同罪で懲役15年の判決を受けた。2人は控訴する方針。2人は2006年9月に大連空港で麻薬2.5キロを日本に密輸しようとして拘束された。
 中国で起きた日本人の麻薬密輸事件で、執行猶予の付かない死刑判決が出たのは4人目。うち3人は死刑が確定したが、「日本への政治的配慮」(外交筋)もあり、刑は執行されていない。(瀋陽支局)

◎中国で日本人被告に死刑判決、麻薬密輸罪で(2008年6月30日、朝日新聞)
 【瀋陽=古谷浩一】中国遼寧省の大連市中級人民法院で30日、麻薬密輸罪に問われた日本人被告に対する一審判決があり、60代の男に執行猶予なしの死刑判決が言い渡された。
 関係者によると、この男は、大阪府から来た赤野光信被告。共犯とされる50代の石田育敬被告に対しても同日、懲役15年の判決が下された。
 2人は06年9月に大連空港から覚せい剤約2.5キロを日本に航空便で運び出そうとして中国当局に拘束された。この日の判決を受け、ともに控訴の意思を示しているという。
 中国で日本人に対して執行猶予なしの死刑判決が出たのは4人目となる。いずれも麻薬密輸などの罪に問われたもので、これまでの3人は死刑判決が二審ですでに確定しているが、最高裁に当たる最高人民法院の判断がまだ出ていないため、執行はされていない。

◎中台直行便、浮気文化に引導? 往来増え台湾男性ら恐々(2008年6月30日、朝日新聞)
 【台北=野嶋剛】中国・台湾関係の雪解けで7月4日から週末の中台間直行チャーター便の運航が始まることから、中国駐在の台湾ビジネスマンたちが愛人との関係を終わらせることを迫られている、と話題になっている。往来が不便な今は中国への単身長期滞在・出張が主流だが、今後はそうもいかなくなる。「身辺整理」を急ぐ動きが出ているという。
 台湾紙の聯合報などによると、中国に進出した台湾企業などの長期滞在者は現在、家族を含め100万人。多くが単身赴任の男性だ。往来には香港など第三地経由で片道で丸1日かかり、台湾に戻るのは月に1、2回という生活のビジネスマンが多い。このため、中台間の物価差もあって気軽に愛人をつくる男性が続出。「在大陸包二●(中国大陸で愛人を囲う、●は女へんに乃)」という言葉が流行語にもなった。
 直行便ができれば、台湾人駐在者が多い上海や広州、アモイなどには2時間前後で行けるようになる。妻ら家族が簡単に往来でき、自身も台湾に戻らない「言い訳」がなくなる。男性たちは愛人問題の対処に必死で「手切れ金はいくら払えばいいか」「相手が別れないと言い張ったらどうすればいいか」といった相談が弁護士事務所に寄せられているという。
 台湾の女性団体、晩晴婦女協会の林蒔萓・副総幹事は「台湾の男性たちは今までは寂しさもあったかも知れないが7月4日は心を改めるチャンスです」と話している。

◎台湾ドル:人民元との両替業務、本島でもスタート(2008年6月30日、毎日新聞)
 台湾の台湾ドルと中国の人民元の両替が台湾本島でも解禁され、各金融機関の窓口での両替業務が30日から一斉に始まった。
 台湾当局は、7月4日からの中台直行の週末チャーター便運航▽中国人の台湾観光解禁--を前に、1949年の中台分断後、流入を認めていなかった人民元の両替解禁を6月26日に決定した。1回当たりの両替の上限は2万人民元(約31万円)としている。
 中国からの週末チャーター便が乗り入れる予定の台北市の松山空港内の銀行窓口では、両替に備えて用意した故毛沢東主席の肖像がデザインされた100人民元紙幣を行員が手に取って数えていた。
 台湾での人民元の両替は、中国との間で小3通(通商、通航、通信の直接交流)が実施されている離島の金門、馬祖両島だけで05年から試験的に実施されていた。
 中台交流拡大による台湾の経済浮揚を掲げる馬英九政権の発足後、対中経済規制の緩和が広がっており、台湾当局は中国からの株投資についても一部解禁を決めている。【台北・庄司哲也】

◎中国:貴州で数万人の暴動、当局の発砲で1人死亡(2008年6月30日、毎日新聞)
 29日付の香港紙、明報などによると、中国貴州省甕安(おうあん)県で28日午後、15歳の少女に対する強姦(ごうかん)殺人事件をめぐり、地元公安局の事件処理に不満を持った住民らの抗議が数万人規模の暴動に発展し、鎮圧に当たった当局側の発砲で1人が死亡した。中国国営通信、新華社も29日、暴動が起きた事実を伝えた。
 チベット暴動に続き大規模な混乱が起きたことで、北京五輪開催を8月に控えた中国社会の不安定ぶりが露呈する形となった。胡錦濤指導部はこれらの動きを実力で抑え込む構えとみられる。
 3月にはチベット自治区などで暴動が起きたが、香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは今回の暴動を、今年中国で起きた暴動としては最大規模と指摘した。
 明報や同センターによると、今月下旬に起きた強姦殺人事件で、公安局が逮捕した容疑者数人を釈放したことに対し、徹底捜査を求める親族や少女の同級生が28日、公安局を訪れ抗議。多くの住民が加わり暴動になった。容疑者の中には公安局幹部の親族が含まれていたという。
 暴動では公安局の建物やパトカーが放火された。29日未明まで続き、鎮圧のため1500人以上の武装警察官や警察官を動員。約150人が負傷し、住民200人以上が当局に拘束された。(共同)

◎中国・貴州で数万人暴動、女子中学生強姦殺人の捜査に不満(2008年6月30日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】29日付の香港紙・明報によると、中国貴州省甕安(おうあん)県で28日、女子中学生(15)が殺された強姦(ごうかん)殺人事件の捜査に不満を持った住民数万人が警察本部などを占拠、建物や警察車両に放火するなどの騒ぎとなった。
 警官隊の発砲により1人が死亡したとの情報がある。新華社電は29日、事態は終息したと伝えたが、消息筋によると、暴動は同日もまだ続いているという。
 同紙などによると、公安当局が事件の容疑者として逮捕した男2人を翌日に釈放したことが事件の発端となった。被害者の遺族が公安当局に徹底捜査を求めたが逆に暴行され、親族1人が死亡した。容疑者の1人の親が公安幹部だったため本格捜査が行われなかったとのうわさも流れ、住民の怒りが爆発。28日、午後、警察本部や地元政府庁舎などを襲撃する事態に発展した。

◎四川大地震:核物質処理に特殊部隊投入、中国軍(2008年6月29日、毎日新聞)
 中国人民解放軍は28日までに、四川大地震の被災地に、核・化学物質の処理にあたる特殊部隊員2746人を投入したことを明らかにした。華僑向け通信社、中国新聞社が伝えた。
 特殊部隊は、被災したセメント工場から有害な放射性物質コバルト60を回収。また化学工場からのアンモニア、塩酸漏出事故などの処理に当たり、「被災住民に対する脅威を取り除いた」(軍当局)としている。
 特殊部隊は、核・化学物質処理の特殊技術を習得している人材を全軍から選抜したという。

◎「危険度高いドメイン名は香港・中国」米ソフト会社調査(2008年6月22日、朝日新聞)
 【広州=小林哲】米コンピューター安全ソフト会社マカフィーが、インターネット上の「住所」にあたるドメイン名の危険度ランキングを発表した。ネット検索でウイルスに感染するなどの危険が高いウェブサイトが多い国・地域別のドメインは、1位が香港で2位が中国本土だった。最も安全だったのはフィンランドで日本が続いた。
 アクセス数の多い990万のサイトを調べたところ、265の国・地域別のドメインでは、アドレス末尾に香港のドメイン「.hk」がつくサイトの19.15%に問題があった。2位は末尾に「.cn」のドメインがつく中国本土のサイトで11.76%。ほかに危険度が高かったのは、フィリピン、ルーマニア、ロシアなど。逆に安全だったのはフィンランド、日本で、危険なサイトはそれぞれ0.05%、0.13%だった。
 危険度が高いとされたことについて、香港の現地紙は、登録手続きや審査などが甘く、手数料が安いため、海外の迷惑メール業者などの悪用が目立つなどと分析。ネットの安全管理に対する意識の低さも背景にあると報じた。

◎奇数ナンバーは偶数日の運転ダメ、北京五輪で交通規制(2008年6月20日、産経新聞)
 北京市政府は19日、北京五輪と北京パラリンピックのため、7月20日から3カ月間、市内での自動車の通行規制を行うと発表した。ナンバープレートの奇数と偶数に従い、それぞれ奇数日、偶数日に運転を認める。警察や軍の車両、消防車、救急車、バスのほか、五輪関係車両は例外とするが、公用車も運転を自粛し、期間中は車両数の7割減を目指す。規制に従う自動車オーナーには道路使用費や自動車税が免除されるが、違反者は優遇されないという。(北京、福島香織)

◎手抜き工事批判の女性を拘束、中国(2008年6月18日、産経新聞)
 中国・四川大地震に関連し、倒壊した校舎の手抜き工事を海外のサイト上で批判した大学の元職員が政権転覆扇動の疑いで拘束されたことが分かった。香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターが18日伝えた。
 拘束されたのは四川省綿陽市の西南科技大に勤めていた56歳の女性。女性は地震後にサイト上で、校舎が倒壊したのは手抜き工事が原因だと書いたほか、中国政府は地震が起こるとの予報を一般市民には伝えず軍関係施設にだけ知らせたと批判していた。
 センターは、政治犯が釈放されるケースは少ないことなどから、女性が何らかの刑に処せられる可能性が高いと指摘している。

◎胡指導部の「政治判断」、ガス田共同開発(2008年6月18日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国政府が東シナ海ガス田共同開発問題で日本側と合意した背景には、胡錦濤指導部の「政治判断」がある。中国側には日中中間線の日本側で共同開発する権利を確保したとのメリットもあるが、「日中関係を重視し、重大な決断をした」(共産党関係者)との考えが強い。胡錦濤国家主席と温家宝首相が日中関係が改善基調にあるタイミングの中で最終判断したとみられる。
 中国ではこの判断について、「中国側の譲歩」ととらえる向きが多く、胡主席にとっては政治的リスクに転じる可能性も残されている。
 「胡錦濤指導部はこの問題で保守派を押さえ込む構えだ。当然、軍内の強硬派もだ」。18日、中国政府筋はこう説明した。
 「海洋大国」を目指し海軍の増強を進める中国では、東シナ海問題を含め、海洋権益を守る盾となる軍の意向は強く反映される。2005年にソブレメンヌイ級駆逐艦が白樺(中国名・春暁)ガス田近くを航行したのは軍事的牽制(けんせい)であり、自国の海だとアピールする狙いと受け止められる。
 中国は1970年代に探査を始め、東シナ海を実効支配する過程で、90年代には平湖ガス田の生産を開始、2000年には春暁ガス田の開発に着手しており、「日本側が主張する中間線の中国側で開発してなぜ悪いか」という考えがあった。しかも白樺周辺海域は中国にとっては「表玄関」でもある。
 このため、指導部としては、軍内の対日強硬派だけでなく、国内の反日思考の強い活動家や世論から「弱腰外交」「安易な対日譲歩」と批判される可能性を念頭にした上で判断した。中国外務省が17日の段階で「白樺は中国の主権の範囲内。主権問題と共同開発問題とは無関係」と強調したのも、対日譲歩ではないことを国内向けに訴える必要があったからにほかならない。
 指導部は、日中間での首脳往来が定期化し、しかも四川大地震への日本側の対応により中国側の対日感情が和らいだタイミングをみて判断したとみられる。自衛隊艦艇が来週、中国に寄港し、軍事交流の象徴となることも踏まえているようだ。
 胡主席は軍掌握度を徐々に高めており、米国の台湾への武器売却が足踏み状態となったことも指導部が東シナ海問題で軍を説得できる材料との指摘もある。
 日中外交筋によると、5月の胡主席の訪日で合意した日中共同声明について「もろ手を挙げての賛成ではない」とする勢力が中国国内にあり、指導部がその「戦略的互恵関係」の「具体的成果」として見せるため、四川大地震で日本の救援隊を一番乗りさせたり、今回の東シナ海問題で合意したりする必要があったという。

◎大気汚染の原因? 北京など「焼き畑禁止」(2008年6月14日、産経新聞)
 14日付の中国紙、北京青年報によると、北京五輪へ向けた大気汚染防止策の一環として北京、天津両市と、河北省など周辺四省・自治区で麦刈り取り後の焼き畑やワラ焼却を全面禁止すると北京市環境保護当局者が明らかにした。
 北京では、昨年6月も農作業の焼き畑のため粒子状物質や一酸化炭素濃度が増加するなど大気汚染が起きたという。(共同)

◎中国と台湾、直行チャーター便や旅行解禁で合意(2008年6月13日、CNN.co.jp)
 北京-中国と台湾の交流窓口機関の代表者は13日、中台間の直行チャーター便の運航拡大や、中国からの台湾旅行解禁を柱とする合意文書に署名した。中台間の対話が再開されたのは約9年ぶり。
中国・海峡両岸関係協会の陳雲林会長と台湾・海峡交流基金会の江丙坤理事長が、当地の釣魚台国賓館で会談した。
 双方はまた、査証(ビザ)発給などの手続きを担当する「交流事務所」を相互に常設することでも合意。さらに、年内には陳氏が台湾を訪問することも決まった。
 中台間のチャーター便運航はこれまで、年数回の祝日などに限られ、台湾へ帰省する家族連れが乗客の大半を占めていた。合意を受けて、7月4日にはチャーター便の週末運航が開始されるとともに、初の中国人団体客が台湾を訪れる予定だ。

◎北京五輪で中国を訪れる人は電子スパイに注意(2008年6月12日、産経新聞)
 【ワシントン=USA TODAY(ピーター・アイスラー)】北京五輪まであと2カ月。これから、多くの人が中国を訪れるだろう。その際、政府高官やビジネスマンは特に、電子スパイに用心した方がよさそうだ。
 米連邦議会の諮問機関、米中経済安全保障検討委員会のラリー・ウォーツェル委員長は「中国ではパソコンやPDA(携帯情報端末)などに不正侵入され、情報が盗まれる可能性が高い。中国政府はプロバイダーを支配しており、情報をモニターしたり、バグを植え付けることもできる」と指摘している。
 この件に関して中国大使館に問い合わせをしているが、返事はまだない。ただ、先月、中国外務省の秦剛報道官は、米国に対する中国軍のスパイ行為について「根も葉もないこと」と否定している。
 米国政府は今のところ、中国における電子スパイの危険性について言及していない。元連邦捜査局(FBI)捜査官のマイク・ロジャー下院議員(共和、ミシガン)は「重要な貿易相手国である中国を怒らせたくないのだろう。しかし、中国人がこのチャンスを見逃すはずがない」と注意を呼びかけている。
 自己防衛策としては、中国に持っていくパソコンなどに入っている重要なデータは消去するか、新しいものを持参する。そして、中国から帰ったときは、米国のネットワークに接続する前に、ウイルスやバグの有無をチェックする必要があるだろう。

◎すべての鶏を処分へ、香港政府(2008年6月12日、産経新聞)
 香港政府は11日、香港内の3つの市場で採取した鶏のふんから新たに鳥インフルエンザウイルスが検出されたため、香港内のすべての生きた鶏を処分すると発表した。
 香港では九竜半島にある市場で今月3日に採取した鶏のふんからウイルスを検出。鶏の産地は香港か中国本土とみられるため、本土からの鶏の輸入と香港の業者からの出荷を7日から3週間停止することを決めていた。
 その後、政府がさらに香港内の市場を検査したところ、3市場の鶏のふんからウイルスが見つかった。政府は引き続きウイルスの感染源などについて調査している。

◎地下室の貸し出し禁止、五輪にらみ北京(2008年6月12日、産経新聞)
 北京五輪開催を控えた治安対策の一環として、北京市が市内の建物の地下室貸し出しを禁止したことが分かった。11日付の香港紙、明報が伝えた。
 地下室には、経済的な理由などから地上の部屋を借りられない北京市以外からの出稼ぎ生活者など十数万人が住んでいるとされ、こうした人たちへの管理強化が目的とみられる。
 同紙によると、既に地下室に住んでいる人は6月末までに引っ越しをしなければならない。ただ禁止措置は一時的なもので、五輪終了後には解除される見通しという。

◎5月の中国貿易黒字は202.1億ドル、4月から増加=税関(2008年6月11日、朝日新聞)
 [北京 11日 ロイター] 中国税関総署によると、2008年5月の中国貿易黒字は202億ドルとなり、4月の167億ドルから増加した。2007年5月は224億5000万ドルだった。
 輸出は前年比28.1%増の1205億ドル、輸入は同40.0%増の1003億ドル。
 ロイターがまとめたエコノミストの予想は、貿易黒字が210億ドル、輸出20.0%増、輸入27.4%増だった。
 07年10月以降は、3月を除き、輸入の伸びが輸出の伸びを上回っている。5月までの1年間の貿易黒字は2547億ドルと、4月までの2569億ドルからわずかに減少した。2007年の貿易黒字は2622億ドル。

◎中国の成長と変化が、日本に5年間の物価上昇をもたらす(2008年6月10日、Diamond on line)
 河南省で、高速道路のガソリンスタンドで順番を待っていた車の列で割り込みをしたトラック運転手が、ほかの運転手たちから集団暴行を受けて死亡する事件があった。まるで四川大地震でミネラルウォーターをうばいとっているような姿である。
 また上海市では、平常通りの営業を維持するガソリンスタンドは半分以下に減少した。広州市ではガソリンスタンドの8割の店で石油の輸送が滞り、ガソリン供給ができない状況である。軽油の場合、トラック運転手が長時間ガソリンスタンドに並んでいても、100元分しか売らない店が多く、結局6ヵ所ものスタンドを回って満タンにするような場合が多く、運転手は1日がけで燃料収集にまわらなければならない。
 すべて原油高が原因である。
 中国政府はこれ以上の物価高騰を抑えるため、石油価格の値上げを見合わせてきたが、そのせいで石油会社では逆ザヤが発生し大きな負担となった。大手石油会社は07年には49億円の補助を受けている。
 全体のCPI(消費者物価指数)は8%だが、食品は20%、ものによっては2倍以上の値上がり急激なインフレが続いている。上海市の30代のバイリンガルの会社員は「コンビニエンスストアどころかスーパーで毎日の日用品が高すぎて買えない。家賃も1.5倍に値上がりした。そのため夫は会社の寮に住み、私は実家に戻り、週末しか会わない週末婚である。子供をつくるなんてお金がなくてとんでもない話だ」と悲鳴をあげる。最低限の生活ができないと悲鳴を上げている日本だが、インフレは中国のほうがひどく、悲鳴の大きさは日本より中国のほうが激しいかもしれない。
日本が世界の食糧を独占することはもはや不可能
 とはいえ食料事情でいえば、インフレ率は中国より少ないが、大局的にみて日本は中国よりもっと深刻な事態に陥る。
 いつの間にか日本の食卓は大国・中国に揺さぶりをかけられるようになった。原油高の影響で全国規模の漁業団体が夏にはいっせいに休漁を検討、今度は魚まで消えることが懸念されている。ウナギだけでなく鯉なども中国からの輸入が増えるかもしれない。
 これまでの10年は先進国が経済成長していたが、現在は中国やインドなど10億人以上の大食漢の国の経済が成長している。おのずと食糧需要が増え、世界の食糧が吸い取られることになる。
 豪州の小麦の輸出先は日本から中国に移行している。経済が低迷し金の無くなった日本は、世界の食料を手にいれることが難しくなった。人口が多い国が成長を続ける今後の5年間は、世界的に食糧が不足し、市況(価格)が高騰、自給率の低い日本はその影響をもろに受けることになる。
 今後も5年は食料品の値上がりは続くことが懸念される。小麦は14%、大豆はたった3%の自給率でしかない日本において、打撃は避けられない。日本の人口は世界の1%だが、世界の食糧の20%を吸収していた。中国は世界の人口の10%を占めているが、まだ世界の食糧の2%しか消費していない。経済大国日本は、これまでが恵まれすぎていたのかもしれない。

・アジアで製造する比較優位性が失われた
 食品だけではない。工業製品においても、もはや輸送コストもかかり、人件費も上昇してきた中国で製造する比較優位性が失われつつある。中国に進出した企業が製造拠点を移行し、本格的に活動を始めるにしても数年はかかる。
 人民元切り上げに原油高、労働法により中国の人件費が値上がることで影響を受けるのは、食料品だけでなく衣料品も同じだ。ワイシャツ、スーツ、下着まであらゆる衣服に用いられる素材、ポリエステルや、アクリル、ナイロンなどは、ほとんどが石油から精製され、中国で製造されている。すでに原料と燃料費におけるコスト高は前年比で15%以上も増えている。今のところメーカーは大きな値上げに踏み切っていないが、今後は衣料品の値上げも進むことが懸念される。
 いずれにせよ、もっとも長期的に物価高の影響を受けるのは、自給率が低い食料品に他ならない。日本の農業と比較すれば、株式会社化されている中国の農業制度のほうがましである。これまで日本政府が農業政策をないがしろにしてきたことへの罰が、いま与えられているのかもしれない。

◎機内に不審物か、北京空港、出発に遅れ(2008年6月10日、毎日新聞)
 10日付の中国紙、京華時報は、北京空港に駐機中の韓国釜山行き中国国際航空機内で9日、不審物が見つかったため出発が約7時間遅れたと報じた。
 9日午前、検疫当局と警察の車両が機内から手のひら大の3つの不審物を運び出すのを乗客が目撃した。乗客は別の航空機に搭乗するよう指示された。
 中国国際航空は出発が遅れた原因について「故障」としか説明していないが、検疫当局は機内で不審物を発見し、検査するため運び出したことを認めているという。

◎北京空港でテロ未遂、当局秘密裏に摘発、シンガポール紙(2008年6月4日、読売新聞)
 【シンガポール=伊藤彰浩】3日付のシンガポール華字紙「聯合早報」は、消息筋の話として、北京国際空港で先月、自動車爆弾テロ未遂があり、当局が秘密裏に摘発したと報じた。
 事件は中国国内では報道されていない。
 中国当局は事件について、新疆ウイグル自治区の独立を求める勢力が企てた疑いがあると見ているが、背景は今のところ明らかでないという。中国国内では、今年3月にも同自治区ウルムチ発の国内線旅客機でテロ未遂事件が発覚し、犯人が拘束されている。
 同紙は、北京五輪開幕を控えた厳戒ぶりを伝える中で自動車爆弾テロ未遂を報じた。それによると、中国当局は、約1か月前から外国人の入国規制強化を開始。33か国の国民の香港でのビザ申請を停止したほか、シンガポール国民に対する15日間のビザなし入国措置も取り消したという。

◎出生率1.32に回復06年、婚姻増が原因(2007年6月6日、人民網日本語版)
 女性が生涯に産む子どもの平均数を示す06年の合計特殊出生率が1.32と、過去最低だった05年の1.26を0.06上回り、02年の1.32以来4年ぶりに1.3台に回復したことが6日、厚生労働省のまとめた人口動態統計で明らかになった。雇用の回復で結婚するカップルの数が増え、生まれた子どもの数が05年より増えたことが主な原因。しかし07年に入ってから足元の出生数は伸び悩んでおり「回復は一時的」との見方もある。
 06年の出生数は今年2月に公表された速報値(日本で生まれた外国人などを含む)で112万2278人と前年より3万2041人、2.9%多かった。前年同月との比較では、1月、9月以外はすべての月で上回り、特に11、12月の出生数は前年同期比で5~7%も増えた。
 昨年末公表の最新の人口推計では、5月までの出生増を織り込んで06年の出生率を1.29と見積もっていたが、後半の出生増が予想を上回り、推計より高率となった。
 出生数の回復に大きく寄与しているとみられるのが、結婚の増加。06年の婚姻数は速報値で前年比2.4%増の74万8017組。最近では結婚する女性の4人に1人が妊娠中で、婚姻数は約7カ月後の出生数に強い影響を与えるとされる。
 05年6月以降、男性の雇用者数は増え続けており、厚労省は一貫して「雇用回復で生活が安定して結婚するカップルが増え、出生増につながった」との見方をしている。

◎せき止め湖下流域に99個の放射性物質、30日までに回収へ(2008年5月30日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】29日付の中国紙「法制晩報」は、中国・四川大地震でできた四川省北川チャン族自治県の「唐家山土砂崩れダム」(せき止め湖)で決壊防止に向けて人工排水路を確保する工事が進む中、排水が行われた場合、その影響が及ぶ下流域に、放射性物質が99個あると伝えた。
 同紙によると、放射性物質は12の機関が保有するもの。このうち6割は大型重機がないと回収できないため、四川省当局は29日午前までに重機を調達。30日夜までに全部を回収する方針だ。同紙は放射性物質の種類を明らかにしていない。
 唐家山の土砂崩れダムでは、軍・武装警察が重機で排水路を掘削する作業を急いでいるが、29日午前は、降雨で物資を運ぶヘリが飛行できず、作業が難航。水位も上昇し続けており、時間との戦いになっている。
 同紙によると、四川省内のその他の土砂崩れダム4か所の下流域にも、移動の必要がある危険な化学品が約5000トンあるという。
 一方、29日午前、北川県の救援本部付近の倉庫で、漂白剤に雨がかかって自然発火し、大量の塩素ガスが発生する事故があった。煙は一時10階ほどの高さに噴き上がり、救援要員が避難する騒ぎとなり、数人が軽い中毒を起こしたという。

◎中国当局、米商務長官のPCデータ盗み→システム侵入図る(2008年5月30日、読売新聞)
 【ワシントン=黒瀬悦成】AP通信は29日、中国当局者が昨年12月に北京を訪問したグティエレス米商務長官のノートパソコンのデータをひそかにコピーし、同情報を基に商務省のコンピューターシステムへの侵入を図っていたことが分かった、と報じた。
 複数の関係者が同通信に語ったところでは、中国当局による「データ盗み出し」は、商務長官が中国側との貿易協議に出席した際、パソコンの前を短時間離れたすきに行われたと見られ、商務省のシステムへの侵入は少なくとも3回試みられていたことが確認された。関係者によれば、具体的な被害は出ていないという。
 商務省や国防総省、国務省などの米主要官庁は2006年以降、中国から頻繁にサイバー攻撃を受けているとされ、商務省は職員個人のパソコンから同省のコンピューターネットワークへのアクセスを禁止するなどの対策を講じている。

◎ガス壊疽発症3万5千人、感染症の流行懸念 四川大地震(2008年5月28日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】中国・四川大地震の被災地で、致死率の高いガス壊疽(えそ)を発症した患者が少なくとも3万5千人に上ることが27日、中国政府当局者の話でわかった。中国政府はこれまで、ガス壊疽患者は58人と公表しているだけだった。衛生環境が悪化し、結核や肝炎なども報告されており、感染症拡大の阻止が急務となっている。
 四川省成都市の病院関係者によると、地震発生1週間後からガス壊疽患者が増え、9歳の子供もいたという。すでに感染者全員を病院に収容、隔離して治療したというが、壊死(えし)を食い止める効果が高い高気圧酸素治療器約100台が地震で壊れ、治療が遅れていた事情もあるという。
 中国衛生省の斉小秋・疾病対策局長は27日の会見で「気温が急激に上昇、被災地の衛生状態は悪化し、被災者の体力も落ちている」として感染症流行への懸念を示した。
 軍は26日、特殊衛生防疫隊員約200人を派遣した。これまでに1万5千人の防疫作業員が消毒にあたり、26日までに被災地の99%の地域の消毒作業を終えたという。中国政府はコレラとA型肝炎、出血熱のワクチンを被災地に緊急配布、約100万人に予防接種をすることを決めた。
 中国政府の27日の発表によると、死者は6万7183人、行方不明者は2万790人となった。被災者は4561万人に上り、避難者も1500万人を超えた。
 中国地震局によると、27日午後4時3分ごろ、四川省青川県を震源とするマグニチュード(M)5.4の余震があった。同4時37分には、その5キロ北東の陝西省寧強県を震源とするM5.7の余震が起きた。青川県だけで42万戸以上が倒壊した。

〈ガス壊疽〉
 細菌が傷口などから体内に入って感染、筋肉など体の一部の組織が死んでしまう(壊死する)感染症。壊死した組織で毒素が作られガスを発生させながら全身に影響が広がる。進行が急速で、切開でうみを出して壊死部分を切除するなど早期治療ができないと死に至る確率が高い。災害や戦争での外傷で起きる例が多い。

◎セメント工場などから7個の放射性物質回収(2008年5月26日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】26日付の北京紙「新京報」は、中国の環境保護省が、四川大地震で甚大な被害が出た四川省北川チャン族自治県にあるセメント工場などから、同日までに7個の放射性物質を回収したと伝えた。
 同紙によると、23日に1個、25日に6個が回収されたという。放射性物質の種類について触れていないが、セメント工場ではセシウムを使用しているとされ、セシウムの可能性がある。
 同省は23日の記者会見で、22日正午までに、危険性のある放射性物資50個を発見したが、15個が建物のがれきの下などに埋まっており、未回収としていた。北川チャン族自治県で回収された7個が15個の一部かどうかは不明だ。

◎「観光地の死者数ごまかし」うわさ広がる、四川大地震(2008年5月26日、朝日新聞)
 「観光地のイメージを落としたくない地元政府が死者数をごまかしている」。中国・四川大地震で被災した成都市の観光地について、こんなうわさが広がっている。真相は不明だが、背景には救援活動の遅れに被災者が不信やいらだちを募らせている現状がある。
 「銀廠溝(ぎんしょうこう)行き」と車体に書かれた軽自動車が3台、避難所になっている成都市彭州の西郊中学校の校庭に並んでいる。地震前には観光客を送迎していた車だ。今は被災者の仮の住まいになっている。
 市の最北部にある銀廠溝は、美しい滝と渓谷で知られる避暑地。成都の不動産会社が80億元(約1200億円)を投じ、米国、韓国の3社と共同でリゾート開発が今年始まったばかりだ。すでにホテルや約90軒の民宿が立ち並んでいたが、地震で渓谷が崩れ建物はほぼすべて倒壊した。
 「これだけ被害が出ているのに、なぜ地元のテレビさえほとんど報じないのか」
 銀廠溝で被災、西郊中に避難してきた陳定華さん(56)は声を荒らげた。「被害が知れわたるとリゾート開発会社に逃げられるから、地元政府が止めているんだろう」。周りの被災者たちがうなずいた。地震後も、彭州の地元政府担当者は「観光名所を再び開発して銀廠溝のブランドを守る」と地元紙に述べ、計画続行を強調している。動植物園や温泉、スキー場などをつくる計画だ。
 地元救援本部によると、銀廠溝を含む竜門山鎮の住民の死者数は422人。だが、銀廠溝への道路の復旧が遅れ、被害の詳細は不明な部分が多い。銀廠溝から西郊中に避難した女性は「私の集落だけで35人死んだ。地元政府の集計は少な過ぎる」と言う。
 こうした見方は各地でささやかれている。銀廠溝から約20キロ南の彭州・通済鎮の女性(31)は「銀廠溝では5千人以上が死に、地元政府が口止めしていると聞いた」。 ネットの掲示板でも「死者は1万人に上る」「中国中央テレビはなぜ報じないのか」とエスカレートしている。
 地元政府関係者は「ネットで書かれているのは知っているが、竜門山鎮の人口は1万人余りだからあり得ない」と否定する。だが、救援に駆けつけた別の県の関係者は「死者は公表数よりもっと多いかも知れない。地元政府は知っているが、報道機関には絶対に話さないだろう」と語る。
 憶測が飛び交う背景には、救援活動の遅れや被災者支援の不足から、地元政府への不信が高まっている事情がある。銀廠溝出身で西郊小学校の避難所にいた男性(40)は「避難所は学校の先生が管理しており、地元政府の人間は見たこともない。物資も足りず、テントも自分でつくった」と憤る。
 彭州に隣接する都江堰では、いい加減な被災統計をつくったとして地元政府幹部が罷免された。地元政府に対する被災者の視線は、一段と厳しくなっている。(成都〈中国四川省〉=琴寄辰男)

◎香港の家賃、急騰、五つ星ホテルも契約更新断られる(2008年5月25日、朝日新聞)
 香港でオフィスや住居の賃料が急騰している。外資の進出ラッシュに加え、過熱の背景には、通貨が米ドルと連動する「ペッグ制」の存在がある。香港は好景気なのに、米国の金融緩和で金利が実質マイナスとなり、だぶついた資金が不動産に流入しているからだ。(香港=奥寺淳)
 香港の金融街・中環(セントラル)に事務所を構える日本のある金融機関に今春、家賃値上げの通知が届いた。3年前、3.3平方メートル当たり約2万8千円で契約した。新たに示された家賃は同7万2千円。2.6倍だった。
 「値下げ交渉はしたが、1円も安くならなかった。相場は3倍でも当たり前だから、ましな方でしょう」。交渉にあたった駐在員は、あきらめた表情で話す。
 五つ星の高級ホテル、ザ・リッツ・カールトンは1月、大家に契約更新を断られ、九竜半島側で再開業する予定の10年まで、香港での拠点を失った。地元の不動産業者は「ホテルに1棟貸しするより、オフィスの方が高い家賃が取れるからだ」と語る。
 ほかにも、米投資銀行大手モルガン・スタンレーや全日空などの外資企業が、より家賃の安い九竜側に移ることを決めている。不動産仲介大手、中原地産の黄良昇・研究部主幹は「この調子だと賃料は今年中に、香港返還の97年を超えそうだ」と予想する。
 「返還バブル」に沸いた97年の反動で、その直後から香港の不動産価格や株価は急落。さらに同年のアジア通貨危機、03年の新型肺炎SARS騒動もあり、経済は低空飛行を続けてきた。
 ところが、04年以降、年率10%を超える中国の高度成長の恩恵を受け、香港の景気は急回復してきた。オフィスの賃料は、07年までの3年間で平均7割上昇。中環の中心部では03年から4倍近くにもなった。住宅の家賃は、昨年末から今年2月末までに6.4%も値上がりしている。
 相場を押し上げているのが外資企業の存在だ。香港政府の統計では、10年前に約2500社だった外資企業は、07年に1.5倍の3890社に増加。法人税が安く、株式の譲渡益や配当が非課税なので、特に銀行や投資銀行などは「中国投資への玄関口」である香港に進出し、事業拡張がいまも続いている。
 そこに金利の低下が加わり、不動産市場への資金流入に拍車をかける。香港ドルは米ドルと連動するペッグ制を採用しており、金利も米国と連動する。米低所得者向け(サブプライム)ローン問題で米国が昨年から利下げを繰り返し、香港の金利も急低下。今や普通預金の利子は年0.01%程度だ。
 一方で、最近の物価上昇率は3%を超え、金利は実質マイナス状況にある。住宅ローン金利も下がり、個人も住宅投資をしやすくなった。低調な株式市場からは資金が流出し、不動産市場になだれ込んでいる。
 みずほ総研の稲垣博史・香港駐在シニアエコノミストは「経済は中国と連動しているのに、通貨が米国に連動するペッグ制の矛盾が出ている。いずれ香港ドルは切り上げざるを得ないだろう」と話す。

◎物資横領に反発、被災民数千人が警官と衝突、四川省(2008年5月23日、産経新聞)
 23日付の香港紙、明報によると、中国・四川大地震で被害を受けた四川省徳陽市羅江県で21日、救援物資の横領を疑う被災民数千人が抗議デモを行い、警官隊と衝突、地元公安局の副局長が負傷したほか、警察車両1台が壊された。12日の地震発生後、被災地で大規模な抗議行動が起きたのは初めてとしている。
 同紙によると、21日、ナンバープレートのない軍用車両が、トラックで運ばれてきたインスタントラーメンや飲料水などを積んで走り去ろうとしたため、救援物資の横領とみて反発した被災民は車両を包囲、地元政府に説明を求めた。
 被災民らはその後「腐敗反対」のスローガンを叫びながらデモ行進し、参加者の一部が副局長の頭などを殴った。警官数十人が駆けつけ副局長を救出、容疑者を拘束しようとして衝突が起き、警察車両1台が壊された。(共同)

◎倒壊学校の「おから工事」実態、一部中国紙誌が報道始める(2008年5月23日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】中国・四川大地震で多発した学校倒壊の一因とされる手抜き工事について、共産党政権の厳しい報道統制の下、一部中国紙誌が現場の実態を断片的に伝え始めた。
 「コンクリートの中に入っているのは、針金だ。鉄筋なんかじゃない!」
 22日の南方週末紙によると、地震発生翌日、中国最強の地震レスキュー隊とされる国家震災緊急救援隊のメンバーが、数百人が生き埋めになった四川省都江堰(とこうえん)市の中学校倒壊現場で怒っていた。「『おから工事』そのものだ!」と隊員は言う。
 施工業者が役人に賄賂を渡し、その分、鉄筋を減らすなどで調整し、おから並みのもろい建築を作る。それが「おから工事」だ。
 「南風窓」誌は、同じ学校で建築に詳しい人が「鉄筋の数が少なすぎるし、細すぎる。直径12ミリであるべき部分が6ミリしかない」と語るのを聞いた。
 これは都江堰だけの問題ではない。同省内では、被害が特に深刻な地域を除いても計約6900棟(14日現在)の校舎が倒壊している。南方都市報(電子版)は、「テレビで校舎の倒壊現場を見ると、鉄筋が非常に細い。明らかに基準をクリアしていない」という北京の建築設計士の見方を紹介した。
 第一財経日報紙は23日、「各地の学校は、上の階が直下の階を次々に押しつぶしながら、積み木のように崩れた」と記した。耐震性が低く、新改築時には使用が認められていない建材が、多くの学校で使われていたという。
 政権は、四川大地震の規模の大きさは強調している。だが、「人災」の側面があった可能性については、ほとんど沈黙したままだ。

◎がれきの下に放射性物質15個、中国当局が会見(2008年5月23日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国の環境保護省当局者は23日、北京で記者会見し、四川大地震の被災地で22日正午までに、危険性のある放射性物質が50個発見され、このうち35個を回収したことを明らかにした。残りの15個については位置を特定できたが、建物のがれきの下に埋まるなどしており、現在回収不能という。当局者は「放射能漏れ事故は起きていない」としたが、放射性物質の種類や扱っていた施設の場所などについて、今回の発表でも一切明らかにしなかった。
 これまで新華社通信は「がれきの下に埋もれた放射性物質32個のうち30個を回収した」と報じていた。
 また、当局者は、工場倒壊により、四川省什(ジュウ)ホウ市でアンモニアが漏れたり、綿竹市の工場でリンが燃焼したりする化学物質漏洩(ろうえい)絡みの事故が4件発生していたことを明らかにした。(ホウは「方」におおざと)
 ただ、「周辺の水質や大気に悪影響はない」としている。什ホウ市では、化学肥料を生産する工場が被災、周辺住民が一時避難していた。
 環境保護省は、今後、環境汚染事故が起きる可能性のある30か所余りを追跡調査し、事故を未然に防ぐよう四川省当局に命じた。省当局が化学企業など1万社以上の企業を徹底調査した結果、省内の76%の企業が操業停止状態に陥っていることがわかったという。
 一方、中国政府は23日、四川大地震の死者が前日より約4600人増えて計5万5740人に、負傷者が29万2481人に達したと発表。行方不明者は2万4960人。

◎被災地域、放射性物質15個未回収、四川大地震(2008年5月23日、朝日新聞)
 【北京=峯村健司】四川大地震の被災状況について中国環境保護省の呉暁青次官が23日、記者会見し、地震のため被災地域にある50個の放射性物質に保管や安全上の問題が発生、うち15個は建物の倒壊などの危険があるため未回収であることを明らかにした。
 15個のうち3個はがれきに埋まって回収不能というが、これらが具体的に何を指すのかは明かさなかった。中国政府は20日時点では未回収は2個としていた。呉次官は「放射能漏れは起きていない」と説明している。
 中国政府の23日の発表によると、地震でこれまでに確認された死者は5万5740人、行方不明者は2万4960人となった。

◎中国:北京で手足口病拡大、3606例確認し1人死亡(2008年5月14日、毎日新聞)
 【北京・西岡省二】北京市衛生局は13日、中国各地で拡大する手足口病について、市内で今年3606例の感染が確認され、うち1人が死亡したと発表した。北京での死者は初めて。中国各紙が14日報じた。
 12日の新華社によると、中国国内の手足口病の死者は今年39人。

◎中国:手足口病患者各地で拡大、34人死亡患者2万人以上(2008年5月11日、毎日新聞)
 【上海・鈴木玲子】中国で手足口病患者が急速に拡大し、新華社通信によると9日現在、34人が死亡、患者は計2万7499人に上った。3月に安徽省で急増した後、北京や上海市、広東省など各地に広がった。政府は、同病を法定伝染病に指定し、専門家対策チームを設立する。

◎手足口病1万2千人に、中国、死者26人(2008年5月6日、産経新聞)
 5日の新華社電は、中国安徽省などで猛威を振るう手足口病の感染者が同日までに、全国で1万1905人に達したと伝えた。死者は26人となり、感染は拡大の勢いを見せている。
 新華社によると、死者の多くは安徽省阜陽市に集中し、22人が死亡した。ただし、感染は全国に広がり、北京では5日までに1482人が、隣接する河北省でも206人が感染。江蘇、湖南、湖北の各省などにも拡大している。
 ロイター通信によると、世界保健機関(WHO)の北京代表は感染がピークを迎えたかどうかは不明としつつも「五輪への影響はないと思う」としている。
 手足口病は3月上旬から安徽省で広がりが確認された。5歳以下の子供の感染が多く、肺水腫を併発するなどして死亡することがある。北京では感染者のうち818人が幼稚園内で感染した。

◎中国:上海で路線バス全焼、3人死亡(2008年5月6日、毎日新聞)
 【上海・鈴木玲子】中国上海市楊浦区で5日午前9時(日本時間同10時)ごろ、路線バスから出火し、全焼した。乗客3人が死亡、少なくとも12人が負傷した。上海の日本総領事館によると、日本人が巻き込まれたとの情報はない。警察当局は「乗客が引火しやすい品物を持ち込んでいた」と発表。詳しい出火原因を調べている。
 乗客や目撃者の証言によると、爆発音は聞こえなかったという。現場近くにいた男性は「乗客がもみ合うようにドアから逃げ出してきた。バスはものすごい勢いで燃えた」と話した。現場はスーパーや飲食店などが建ち並ぶ住宅街。黒煙が立ち上り、周辺道路は一時封鎖された。
 上海ではバス火災が相次いでおり、今年3月に2件、昨年7月にも3件発生している。

◎上海で路線バス炎上・3人死亡、12人負傷(2008年5月5日、日本経済新聞)
 【上海=戸田敬久】上海市公安局は5日、同日午前9時ごろに同市楊浦区で路線バスが炎上、3人が死亡し、12人が負傷したと発表した。原因は調査中。上海の路線バスは今年に入り、少なくとも3件の炎上事故を起こしている。
 地元紙などによると、炎上したのはエアコン付き大型バス。窓の開閉が難しく、炎上時の脱出ルートが乗降口の1カ所に限られたため一部の乗客が逃げ遅れたという。上海の日本総領事館は、「現時点で死傷者に日本人はいないことを確認した」としている。
 中国の路線バスは旧型が多く、整備不良などから炎上事故が頻発。地方都市に限らず、発展が著しい北京や上海など大都市でも発生している。

◎ソフトバンク、中国ネット大手を傘下へ、400億円出資(2008年4月30日、朝日新聞)
 ソフトバンクは、中国のインターネット大手「オーク・パシフィック・インタラクティブ」(OPI、北京市)に40%出資することで合意した。筆頭株主になる。OPIは、学生向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「校内網」を運営している。
 7日に第三者割当増資を引き受けてOPI株約14%を約100億円で取得。さらに約26%分の新株予約権を得た。孫正義ソフトバンク社長が取締役に就任した。最終的には計約400億円を出資する。
 「校内網」の会員数は約2200万人。ソフトバンクは配当利益に加え、顧客基盤の活用を狙う。
 ソフトバンクは、中国の企業間電子商取引のシェア7割、ネットオークションの8割を握るアリババグループにも約30%出資している。

◎上海市元トップ、懲役18年確定・汚職事件で控訴せず(2008年4月22日、日本経済新聞)
 【上海=渡辺園子】新華社電は22日、上海市の大型汚職事件で収賄罪などに問われ1審で懲役18年、財産30万元(約440万円)没収の有罪判決を受けた上海市の元トップ、陳良宇・元市党委書記が控訴期限の21日までに控訴せず、判決が確定したと報じた。
 陳元書記は4月11日に天津市第2中級人民法院(地裁)で収賄罪と職権乱用罪で実刑判決を受けていた。「財経」ネット版によれば2007年7月に逮捕された陳元書記の刑期は25年7月25日までだが、服役態度が良ければ9年間にまで減刑される可能性があるという。
 上海汚職では国有企業や上海市の元幹部など約20人が起訴された。新華社系の「新華網」によれば既に16人が執行猶予付き死刑や無期懲役、懲役1年半~19年の判決を受けた。懲役19年の1審判決を受けた民営企業家、張栄坤被告が控訴したほか、陳元書記の側近だった陳超賢・元長寧区長などの裁判が未開廷だが、陳元書記の判決確定で事件処理は大きな山を越えたことになる。

◎中国からの武器輸入阻止へ、ジンバブエ向け、米政府(2008年4月22日、産経新聞)
 大統領選後の混乱が続くジンバブエに輸出する大量の武器を積んだ中国船に対し、武器が政権による野党弾圧に使われる恐れがあるとして周辺各国に貨物を荷揚げしないよう米政府が働き掛けていることが22日、分かった。AP通信が米政府当局者らの話として伝えた。
 中国船はジンバブエ治安部隊用の迫撃砲など大量の武器を積載。ジンバブエは内陸国のため周辺国の港で荷揚げする必要があるが、南アフリカは18日、荷揚げを拒否。その後、モザンビークでも同様に拒否されたため、現在、中国船はアンゴラかナミビアに向かっているとみられる。
 中国外務省は22日、武器輸出は昨年の契約によるもので、最近のジンバブエの混乱と関連はないとして「政治問題にすべきでない」と反発している。

◎武器輸出の中国船、アンゴラへ(2008年4月21日、産経新聞)
 アフリカ南部ジンバブエ向けの武器を積んだ中国籍コンテナ船「安岳江」が南アフリカで荷揚げを拒否され、21日現在、南ア領海を航行している。
 現地報道によると、積み荷は自動小銃など77トンで、米当局に武器密輸で起訴されたことがある中国軍系の企業がジンバブエ国防省に出荷した。船は14日、南アのダーバン港沖に到着。18日夜、アンゴラに向かった。ジンバブエでは3月29日に大統領選が行われたが、開票されないまま再集計が進められており、ムガベ大統領による野党勢力への弾圧が懸念されている。

◎北京市が大気汚染対策で五輪中、土木作業など停止(2008年4月14日、産経新聞)
 14日付の中国紙、北京晨報によると、北京市はこのほど、8月の北京五輪に向け、大気汚染の原因となる土木工事や化学工場の操業を7月20日から2カ月間停止するなどとした通知を関係部門に出した。
 この期間、建設現場では空気を汚す土木作業などを停止。汚染物質を排出する化学やセメントの工場、採石場などは操業を停止または制限する。(共同)

◎上海市汚職、元トップに懲役18年判決、中国の裁判所(2008年4月11日、朝日新聞)
 【上海=西村大輔】上海市社会保障基金をめぐる汚職事件で、天津市の裁判所は11日、中国共産党の元政治局員で上海市トップだった陳良宇・元市党委員会書記(61)に対し、職権乱用と収賄の罪で懲役18年、個人資産30万元(1元は約15円)没収の判決を言い渡した。
 汚職事件をめぐる政治局員の有罪判決は、98年に懲役16年の判決を受けた陳希同・元北京市党委書記以来、10年ぶり2人目。2期目を始動させたばかりの胡錦濤(フー・チンタオ)政権が、党幹部に広がる深刻な腐敗体質に対し、厳しい姿勢を示した形だ。
 地元報道によると、陳良宇元書記は02年、故・黄菊元副首相の秘書の紹介で上海の実業家、張栄坤被告(34)=懲役19年、控訴中=と知り合い、年金や失業保険などの原資となる社会保障基金から、張被告に対し約10億元を不正に融資することを決めた。張被告は融資を利用して高速道路の経営権を握った。さらに複数の企業家から計約240万元のわいろを受け取り、贈賄側に市の財政支援を行うなど便宜を図った、とされる。
 06年8月に事件が表面化して以降、陳元書記のほか、黄元副首相の秘書、市幹部や大手国有企業幹部ら約20人が続々と解任、逮捕され、中国の政界を揺るがした。胡国家主席が、江沢民前総書記につらなる「上海閥」の影響力をそごうとした政争の側面も指摘された。
 陳元書記自身は一貫して上海で出世。02年10月に市党委書記に就任、政治局員も兼務した。江前総書記や黄元副首相らの後ろ盾により、最高指導部である党政治局常務委入りも取りざたされたが、06年9月に市党委書記を解任、07年7月に党籍も奪われた。

◎人民元、初の1ドル=6元台に突入、上海市場(2008年4月10日、読売新聞)
 【珠海(中国広東省)=寺村暁人】10日の上海外国為替市場の人民元相場は、中国人民銀行(中央銀行)が同日の取引の中心となる対ドル基準値を前日の基準値より0.0105元の元高・ドル安となる1ドル=6.9920元に設定し、6元台に突入した。
 人民元の対ドル・レートが切り上げられ、変動相場制に移行した2005年7月の人民元改革以降、6元台になるのは初めてだ。
 正午(日本時間午後1時)現在、6.9909元で取引されている。
 中国では、消費者物価指数の上昇率が政府の年間目標を大きく上回っており、政府がインフレ抑制のために人民元の上昇スピードを加速させている。人民元の対ドル・レートは、05年7月の切り上げから2年9か月で約16%上昇した。

◎北京五輪目前・中国の独自規格3G携帯、とうとう始動(2008年4月1日、日本経済新聞)
 中国通信キャリア最大手のチャイナモバイルは先週、中国独自の第3世代携帯電話(3G)規格であるTD-SCDMAの試験運用を4月1日に開始すると発表した。中国独自規格への固執や業界再編に向けたキャリアの思惑など様々な要素が絡み、中国の3G解禁のうわさはここ何年もの間浮かんでは消えていた。北京五輪を目前に控え今度こそ商用化、そして普及への道筋をつけることができるだろうか。(中国IT最前線)

・料金はGSMと同等・5割引キャンペーンも
 チャイナモバイルの発表によれば、今回の試験運用はすでにTD-SCDMAのネットワークが構築されている北京、上海、瀋陽、広州、シンセンなど8つの都市で行われる。実施に当たって、その料金体系も決まった。ユーザーへの浸透を早めるため、基本料金も通話料金も、基本的に既存の第2世代(GSM)と同じ水準に据え置いた。
 さらに、試験運用期間中は通話料の5割引キャンペーンも実施する。自社の流通チャネルへの販売奨励金も少額ながら初めて導入した。チャイナモバイルは次のステップについて公言していないが、4月から2回目の端末調達を開始することもすでに決まっているようだ。
 調達の数量は20万~30万台規模という。4月前半に機種の認定が終わり、4~5月にテスト、6月以降に市場に出回るという計算だ。上記8都市のTD-SCDMAネットワークのカバー範囲も既存のGSMの95%に達しているという。
 端末はほとんどがTD-SCDMAとGSMの切り替えを自動的に行うデュアル方式のため、サービスエリア外や信号が弱い場合も無難に対応できそうだ。中国政府は北京五輪における無線通信サービスはTD-SCDMAで実施すると公約しただけに、通信キャリアもラストスパートを切ったといってよさそうだ。

・アキレス腱は端末の供給力
 中国政府とTD-SCDMA陣営は「北京五輪までに」を合言葉に準備を進めてきただけに、今回の五輪を普及のきっかけにしようと狙っている。とはいえ、実現できるかどうかは微妙なところだ。なぜなら、十分な数の端末を提供できるかどうかがいまだ見えないままだからだ。端末の開発はずっと同陣営のアキレス腱だった。徐々に改善されつつあるが、チャイナモバイルから見て頼りない状況に変わりはない。
 現時点で北京五輪までに市場に投入することが明確になっている端末台数は30万台前後に過ぎない。産業に影響を及ぼすには少なくとも100万台級の端末の投入が必要だ。もちろん、チャイナモバイルも大規模な端末の投入でネットワークのテストを行いたいところだが、端末の選択肢はいまだ限られているようだ。成熟度の高い中興通訊(ZTE)やレノボ、サムスン電子の端末でさえネットワーク間の切り替えのスムーズさや高速移動中の安定性などの指標においてはチャイナモバイルの要求を存分に満たしていない。
 端末メーカーの開発の遅れは、チャイナモバイルがこれまでTD-SCDMAにあいまいなスタンスをとってきた影響があるのは言うまでもない。今回キャリアが一歩踏み出したことにより、メーカーの開発も熱を帯びてくるだろう。しかしながら、北京五輪の開催時期である8月まではあとわずかだ。キャリアもメーカーも時間との戦いを強いられることになる。

・成功すれば業界地図を塗り替える可能性も
 これまでの中国の通信業界は、華為技術や中興が設備メーカーとして健闘してきたこともあり、国内と海外の力の差が徐々に縮まってきた。しかし、端末に関しては全く歯が立たないのが現状だ。
 2007年度の中国市場の端末販売ランキングは外資系のノキアやモトローラ、サムスン、ソニー・エリクソンが上位を独占し、この4社で市場シェアの6割以上を占めている。中国系としてはレノボだけが辛うじて4位に食い込んでいるが、その次となるといまだ差が大きい。
 ただ、これはあくまでも2Gにおいての話。もしTD-SCDMAが本格的に普及していけば、設備メーカーはもちろん、端末メーカーの業界地図も塗り替わる可能性を秘めている。
 チャイナモバイルによる端末メーカーの1回目の審査において許可が下りた6社の中では、サムスンとLG電子以外、すべて国内メーカーだ。2回目の審査もまもなく行われるが、もっとも有望なのは華為などの国内メーカーだというのが大勢の見方だ。
 今回の試験運用に投入される6万台の端末は国内メーカー製が85%を占めている。ノキアなど静観していた欧米メーカーは最近こそ積極的な姿勢が見られるようになってきたが、機を逸した感が否めない。TD-SCDMAに参入することになれば欧米メーカーも現地パートナーとの協力が欠かせなくなるだろう。今までと全く逆の構図だ。

・難しい立場のチャイナモバイル
 TD-SCDMA陣営は苦節10年を経てようやく試験運用にこぎ着けたわけだが、今後も予断を許さない。TD-SCDMAが大成するのか、それとも試験運用のままで終わるのかの鍵を握っているのは、ほかでもなく通信キャリアの動きだ。チャイナモバイルもその例外ではない。
 GSMにおいて中国で圧倒的な強さを誇り、名実とも世界ナンバーワンの通信キャリアになったチャイナモバイルだが、去年まではTD-SCDMAにそれほど積極的ではなかった。もちろん、自らの牙城であるGSMとの競合への考慮もあるが、もっとも大きかったのはTD-SCDMAの将来に対する不安だ。ただし国策会社であるチャイナモバイルが、国策の独自規格の推進から逃れられるはずもない。
 推進の中心になってからもそのスタンスは慎重で、もともと昨年末の予定だった試験運用もここまで遅れた。やっと重い腰を上げたわけだがその悩みは尽きないようだ。なぜなら、いくら国策会社といってもチャイナモバイルは上場会社だからだ。
 ナスダックと香港に上場している同社は、世界中の株主に対して下手な投資はできない。今回のTD-SCDMAの試験運用でそれぞれ8つの都市に別の運営会社を作り、上場会社とは完全に別会計にしているのもそのためだ。試験運用を通じてネットワークの安定性を検証し、ユーザーを獲得することが当面の目標だが、それを達成してからも難しい舵取りを強いられるのは間違いない。
 TD-SCDMAを育てながらGSMと平行で運用し、そのままTD-SCDMAの第4世代規格であるTD-DLTEへ傾くのか?それとも天秤をかけて両方を運用するのか?国策と市場の間に挟まれたチャイナテレコムの一挙手一投足を、TD-SCDMA陣営は注意深く見守るしかない。
 チャイナモバイルの試験運用は成功するだろうか?現時点では誰も予測できないが、TD-SCDMAの運命もこの試験運用にかかっていることは確かだ。

◎牛乳で園児75人食中毒、中国広東省(2008年3月29日、産経新聞)
 29日付の中国紙、中国青年報によると、広東省で26日、同省珠海市内の牛乳メーカーが生産した牛乳を飲んだ幼稚園児75人が食中毒症状を訴え病院で手当てを受けるなどした。
 地元衛生当局の調査では、牛乳から黄色ブドウ球菌が検出され、当局はメーカー側に生産停止と製品の回収を指示した。
 メーカーによると、警察当局が加わり原因を調査中で、結果が分かり次第公表するとしている。

◎中国:「五輪バブルない」北京市が分析、不動産白書(2008年3月21日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】北京市社会科学院はこのほど「都市・農村発展報告07~08」と題した白書をまとめた。市民の関心が高い夏の北京オリンピック後の不動産価格の動向を分析しているが、北京五輪は価格高騰の根本的な原因ではなく「五輪バブル」は存在しないと分析。五輪後も不動産価格の緩やかな上昇が続くと結論付けた。
 白書によると、昨年10月に北京で売り出された29カ所のマンションの平均敷地面積は約120平方メートルで、価格は約150万元(約2250万円)。北京市民の平均可処分所得の約75年分にあたる。
 価格高騰は、住民の収入増と北京市民以外による住宅購入など多くの要因が重なっていると説明。特に、市外に住む富裕層が子弟を北京の学校に通わせるために住宅を買うケースが全体の35%に上っていると指摘した。
 一方で、今の価格水準は平均的な勤労者世帯には手の届かない水準であることも指摘。住宅投機の制限などを政策当局に求めた。

◎中国:鉄鋼など42社で操業規制、五輪の環境対策で河北省(2008年3月21日、毎日新聞)
 中国の通信社、中国新聞社電によると、河北省は21日、北京五輪に向けた大気汚染対策として取り組んでいる企業の操業停止、制限について、鉄鋼、電力、化学、セメントなど汚染物質を多く排出する分野の計42企業を対象にすることを決めた。
 河北省は北京を取り囲んでおり、同省の企業による汚染物質排出は北京の大気汚染の一因とされる。北京に隣接する同省保定市などでは建物の建設や取り壊しも中止するという。

◎ラサ暴動で24人逮捕と発表、検察当局、出頭170人(2008年3月20日、産経新聞)
 中国チベット自治区ラサ市の人民検察院(検察庁)は20日、ラサの暴動にかかわったとして24人を逮捕したことを明らかにした。暴動に絡んで逮捕が正式に発表されたのは初めて。
 ルオジュイ容疑者ら24人は、国家安全に危害を与える罪と、暴動の際の破壊行為などに問われている。同検察院の謝彦軍・副検察長は「事件はダライ・ラマ(14世)一味が組織し綿密に計画したものだ」と述べた。
 国営の新華社通信は、19日午後10時(日本時間同11時)までに同暴動に絡み170人が警察に出頭したと伝えた。
 新華社はまた、14日の暴動では市民13人が死亡したほか325人が負傷、422の商店と120の家屋、6の学校などが損傷を受けたと報道。被害は2億元(約28億円)に上るとしている。
 ラサ暴動の発生以来、デモによる人的、物的被害を強調し、デモ隊側の死傷者の有無などは一切伝えていない。

◎「ラサ暴動で24人逮捕」、国家安全危害などの容疑(2008年3月20日、朝日新聞)
 中国チベット自治区ラサで起きた暴動にかかわったとして、ラサ市人民検察院は19日、国家安全危害罪と傷害、強盗、放火など刑法違反の容疑で24人を逮捕した。中国チベット・ニュースネット(人民日報とチベット日報が運営)が20日、伝えた。

◎ダライ・ラマ14世が会見、チベット暴動で国際調査を(2008年3月16日、読売新聞)
 【ダラムサラ(インド北部)=永田和男】インド亡命中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世は16日、本拠を置くダラムサラで記者会見し、中国チベット自治区での暴動を中国当局が鎮圧した問題について、原因や死者数を把握するため、国際的な独立調査団が直ちに現地入りすることが望ましいとの見解を示した。
 ダライ・ラマは会見で「意図的かどうかはともかく、(チベットで)文化的虐殺が起きている」と述べ、中国当局の対応を批判。「中国側とチベット人側はともに一歩も引かない構えで、私は今、1959年3月(のチベット動乱時)と同じ気持ちを味わっている」と述べ、6か月間で8万7000人が死亡したとされる、49年前の大動乱に匹敵する事態の再来に強い懸念を示した。
 中国側が、暴動の背後にダライ・ラマ自身がいると非難していることについては、「私がどうやってチベット内部にそんな影響を持てるのか」と強く否定した。
 北京五輪については、「世界最大の人口を持つ文明国である中国には、開催の資格はある」と述べ、中止やボイコットを求める考えはないと表明。その上で「国際社会は中国に対し、この機会に国内の人権状況を見つめ直すよう促すべきだ」と述べた。
 一方、チベット亡命政府幹部は16日、記者団に対し、これまでに確認された暴動での死者は80人で、負傷者も72人に上ると述べた。

◎チベット情勢、中国国内のメディアは沈黙(2008年3月16日、朝日新聞)
 中国チベット自治区ラサで起きた僧侶や市民らの大規模な抗議行動について、ほとんどの国内メディアは沈黙を続けている。中国中央テレビの海外版など一部は、暴動で店舗や警察車両が破壊された場面を部分的に報じているが、中国当局が国外向けに抗議行動の「悪質性」を強調することで、武力鎮圧を正当化する狙いとみられる。
 チベット自治区当局は、記者を含め、外国人や中国人旅行者の新たな入境を禁じている。外国メディアの取材を禁じる目的があるとみられる。
 在京チベット関係者によると、ラサにいる外国人観光客は自治区外へと出されており、その際、ビデオカメラの映像などは消去されたり、没収されたりしているという。
 同自治区共産党委員会は15日、緊急拡大常務委員会を開き、「民衆を総動員して打ち勝たなければならない」と、強硬姿勢で臨む方針を決めた。
 一方、中国チベット自治区に隣接する四川省の成都には16日、同自治区のラサから旅行客らが相次いで到着し、激しい騒乱の様子を証言した。
 旅行者らによると、ラサ市内では14日午後、多数のチベット族が刃物を手に商店を破壊。旅行で訪れていた日本人男性(24)は「バイクに乗って走っていた漢族の男性が5人ほどのチベット族の男女に襲われ、石で殴られるのを見た」。自分も漢族に間違われて殴られそうになり、日本人だと説明すると「中国人(漢族)が憎かったらおまえも一緒に石を投げろ」と言われたという。
 16日夜、成都からチベット自治区に向かう幹線道路には至る所に警察官が配置され、約40台の警察や武装警察の車両がサイレンを鳴らして走り去るのが目撃された。香港から同自治区のシガツェを訪れていた男性(43)は「中国の警察は極めて緊張した様子で、不審者がいないか調べていた」と話した。15、16両日で500人以上のチベット僧や住民が当局に拘束されたとの情報もある。
 北京の日本大使館によると、ラサ市内には54人の日本人がいる。同大使館が中国外務省に確認したところ、日本人を含む外国人に被害は出ていないという。

◎チベット騒乱拡大、四川省で衝突、7人死亡か(2008年3月16日、朝日新聞)
 中国チベット自治区ラサで起きた共産党・政府に対する僧侶や市民の抗議行動は、16日までに鎮圧された。しかし、インドに拠点を置く非政府組織(NGO)チベット人権民主化センターによると、四川省のチベット族居住地域で僧侶ら約1000人が治安部隊と衝突、7人が射殺されるなど、騒ぎは中国各地に飛び火し始めている。
 中国筋によると、ラサには多数の軍や武装警察が配置され、騒ぎは16日までに鎮圧された。現地入りした香港テレビ局TVBによると、市中心部は封鎖され、武装した1万人ほどの兵士が家宅捜索などを行っている。暴動で市内の160カ所が放火され、学校や病院など40カ所が焼けたと新華社通信は伝えた。
 インドにあるチベット亡命政府はラサで死者80人、負傷者72人が確認されたとしている。在京チベット関係者がラサから得た情報では、遺体を積んだ中国当局のトラックが市内から郊外に移動しているという。
 一方、ロイター通信は地元当局者の話として、チベット自治区に隣接する四川省のアバ県で16日に約200人が地元警察署に火炎瓶を投げ、建物が焼失したと伝えた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)などによると、四川省や青海省のチベット族居住地域で警察署が放火されたり、多数の僧侶が逮捕されたりしており、多数の僧侶らが拘束されたという。チベット亡命政府の報道官も四川省で3人、青海省で6人が死亡したとの未確認情報があると語った。

・ダライ・ラマ、中国の武力の使用非難
 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は16日、チベット亡命政府のあるダラムサラで記者会見し、中国当局がチベット自治区で起きた騒乱について「ダライ・ラマ一派の策動」としていることについて「完全に誤りだ」と否定、「武力の使用は時代遅れだ」と中国当局の対応を非難した。
 ダライ・ラマは騒乱の原因について、「何が起こっているのか、あなた方(メディア)や国際機関で調べてほしい」と呼びかけた。そのうえで、「(チベット人に対し)恐れと懐疑心ばかりでは、真の調和や団結は不可能だ」と、中国当局の対応を批判した。
 中国当局が17日中に自首すれば処罰を軽くするとしていることについては「(投降しなかった場合に)何が起こるか、憂慮している。だが、私にはチベット人を止める力はない」と述べた。

◎中国:メタミドホス押収、農薬工場を閉鎖(2008年3月14日、産経新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国・天津市農薬監督管理部門は、市内にある農薬工場8社に対し、生産禁止となっている有機リン系殺虫剤メタミドホスなど高濃度の農薬5種類を生産していたとして、工場閉鎖の処分を下し、生産設備を撤去した。押収した農薬は計約3300キロに上る。新華社通信が13日、地方紙「天津日報」の報道として伝えた。
 天津市内でメタミドホスなどの販売を全面的に禁止するため、政府関連部門が工場や商店などを巡回して農薬を回収。農民の手元に残っている農薬は、購入価格で買い取って、農民の負担を軽減するという。
 中国では今年1月、メタミドホスの生産、販売、所持を厳しく取り締まる通達が出された。しかし、メタミドホスは安価で殺虫効果が高いため、使用したがる農民も多く、販売が続いている農村もある。

◎チベット自治区ラサで大規模暴動、商店に放火、数人死亡か(2008年3月14日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】新華社電によると、中国チベット自治区の区都ラサの中心部で14日、放火が相次ぎ、多数の商店などが焼かれた。
 北京発のAFP通信は、ラサの救急センター当局者の話として、暴動により数人が死亡したと伝えた。民族・宗教問題での根深い対立を抱え、中国政府が反政府行動を厳しく取り締まっている同自治区で大規模な民衆暴動が発生したのは、ラサに戒厳令が敷かれた1989年以来とみられる。在北京日本大使館によると、14日夜現在、日本人に負傷者が出たとの情報はない。
 在北京の米国大使館は14日、ホームページを通じ、ラサに滞在する複数の米国人から、「銃声を聞いた」との情報が寄せられたことを明らかにした。
 新華社電が報じた目撃証言によると、14日午後2時(日本時間同日午後3時)ごろ、放火が始まり、ラサを代表する名刹(めいさつ)であるジョカン(大昭寺)前の広場から多数の人が出ていった。複数の負傷者が出ており、病院に運ばれた人もいる。
 また、商店街の店が焼かれ、車両も放火されているという。

◎ハワイから西は中国、東は米で? 中国軍幹部が提案(2008年3月12日、朝日新聞)
 「空母を開発するから、太平洋のハワイから東部を米国がとり、西部を中国がとるというのはどうか」――。米太平洋軍のキーティング司令官は11日の上院軍事委員会で、中国軍幹部からこんな「提案」があったことを明らかにした。キーティング氏は「冗談とはいえ、中国軍の戦略的考え方を示唆している」と語った。
 米中は軍事交流に取り組んでいるが、キーティング氏は「ビールをちょっと一杯という感じでは全くない」と言及。中国軍幹部に「電話番号を聞いても教えてもらえない」として、日本や韓国との緊密な協力関係にはほど遠いとも語った。
 中台衝突の可能性については「非常に低い」とする一方、「中国は65隻の潜水艦を保有しており、米軍が太平洋に展開する潜水艦の2.5倍近い」と中国の軍事力強化に懸念を表明。また、米中の軍事ホットラインが2カ月以内に開設されるとの見通しも示した。
 一方、キーティング氏は記者団に、日米韓3カ国による防衛対話を日韓両政府に提案していることを明らかにした。上院軍事委には「平和維持活動や人道支援・災害救援の分野で3カ国の協力強化を呼びかけている」とする書面を提出した。
 韓国の李明博(イ・ミョンバク)・新大統領が日米との連携に前向きな姿勢を示していることを受け、米側から提案したとみられる。

◎中国「スパイ」判決、官房長官が「不可解」と不快感(2008年3月11日、読売新聞)
 中国の北京市高級人民法院(高裁)が2006年9月に、日本外務省の国際情報統括官組織を「スパイ組織」と認定した確定判決を出していたことについて、町村官房長官は11日午前の閣議後記者会見で、「事実関係のコメントは控えたい」としながらも、「外務省の国際情報統括官組織は諸外国に関する情報の収集、分析をやっている組織だが、そういう組織は各国にある。そういう諸外国の情報収集、分析をやったならば、スパイ組織であると断定することは誠に不可解なことと言わざるを得ない」と述べ、不快感を示した。
 高村外相は11日、「外務省はいろいろな情報収集活動をしている。情報収集活動の具体的な内容を言うことは、これからの情報収集活動に差し障る場合もあるので、その判決内容を知っているか、いないかも含めて、答えを差し控えたい」と述べた。

◎北京の高級人民法院、判決で日本外交官を「スパイ」断定(2008年3月11日、読売新聞)
 中国の北京市高級人民法院(高裁)が2006年9月の判決で、日本外務省の国際情報統括官組織を「スパイ組織」と認定したうえで、同組織で勤務していた現外務省幹部と、在北京日本大使館書記官を「スパイ」と断定していたことがわかった。
 在東京関係筋が10日明らかにした。中国の裁判は2審制で、2人と接触していた中国人男性(48)に対しては、この判決により、「スパイ罪」で無期懲役が確定した。中国が日本の外務省組織と外交官をスパイと断じたことが表面化するのは極めて異例で、判決は当時の小泉政権下で関係が冷却していた日本への根強い警戒感を映し出している。
 同筋によると、同法院は判決のなかで、「国際情報統括官組織」で05年当時、東アジア地域の情報収集と分析を担当していた現外務省幹部と、在北京日本大使館書記官について、「日本のスパイ要員、スパイ組織の代理人」と断じた。この幹部は北京での大使館勤務経験があり、たびたび中国を訪問していた。また、本紙と別の社の日本人記者2人についても、中国人男性から機密情報の提供を受けていたとして、「スパイ組織の代理人」と決めつけた。
 この中国人男性は、北京で日本人客らを対象にマッサージ業に従事していた。親が共産党の古参幹部で、党重要機関内に知人がおり、中国で反日デモの嵐が吹き荒れていた2005年春、国家安全当局に拘束された。
 同筋によると判決は、中国人男性は外務省幹部と大使館書記官の2人が日本のスパイ要員であると知りながら、「何度もその指示を受け、国家機密を探り出して2人に与えた」としている。また、05年初頭、男性は2人の手配で日本を訪問した際、知人から得た指導者用電話帳などを「スパイ組織及びその代理人」に渡し、30万円を受け取ったと指摘した。
 ただ、判決は具体的な「機密」の内容には一切触れず、男性が「スパイ罪」を犯した動機も明示しないなど、証拠や事実関係の認定が極めて甘いものとなっている。スパイ要員などとされた書記官は判決後も、国外退去などの処分を受けることなく勤務を続けている。
 北京市高級人民法院の確定判決に先立ち、北京市第2中級人民法院(地裁)は06年6月、中国人男性に「スパイ罪」で無期懲役の判決を言い渡した。これに対し、男性側は、「外務省幹部らがスパイとは知りようがない。電話帳は機密にあたらない部分のコピーで、30万円は未払いのマッサージの報酬だ」などと主張し控訴した。
 しかし、高級人民法院は、「事実関係は明確」として、控訴審を書面審理ですませ、06年9月8日、原判決を支持し、男性の控訴を却下した。中国の刑事訴訟法は、国家機密にかかわる案件の裁判は非公開審理にすると定めており、今回の裁判も非公開で行われた。
 読売新聞は「スパイ組織の代理人」と名指しされた本紙記者から事情を聞くなど調査したが、判決が指摘するような事実はなかった。また、外務省にもコメントを求めたが10日夜現在、回答はない。
 読売新聞東京本社広報部の話「判決が本紙記者をスパイ組織の代理人と認定したのは事実無根であり、極めて心外だ」

◎死刑判決の15%が証拠不十分などで差し戻し、中国最高裁(2008年3月11日、読売新聞)
 【北京=加藤隆則】10日の新華社電によると、中国の最高人民法院(最高裁)が昨年1年間に審査した下級審の死刑判決事件で、証拠不十分、量刑不当などの理由で差し戻されたケースは約15%に上った。
 死刑件数は国家機密で具体的な数字は明かされていないが、関連統計の公表は異例。
 冤罪防止のため昨年以降、死刑判決の審査権が高級人民法院(高裁)から最高人民法院に委譲された成果をアピールする狙いがある。その一方で、地方での審理が依然として“恣意(しい)的に”行われていることも物語っている。
 同電はまた、昨年、無期刑に減刑される猶予付きの死刑判決数が、通常の死刑判決数を上回ったと指摘。「死刑を慎重にし、減らす政策が着実に実行されている」としている。だが、「猶予付き」は汚職事件に適用されることが多く、「官」優遇の司法批判につながっているのも事実だ。
 人権擁護団体「アムネスティ・インターナショナル」(本部・ロンドン)によると、2006年、中国での死刑執行数は少なくとも世界全体の約3分の2を占める1010人。情報開示が不十分で、実際は、8000人に上る可能性があるという。

◎韓国企業、中国から“夜逃げ”続出、青島地区だけで206社(2008年3月7日、産経新聞)
・賃金高騰、トラブルも
 韓国商工会議所が会員企業約350社に対し先月実施した調査で、対中進出済み企業のうち、約3割までが中国ビジネスからの撤退を検討、または準備していることが明らかになった。このところ韓国企業が中国での賃金上昇など経営環境の急速な悪化で事業撤退に追いつめられるケースが増えており、中には清算手続きを一切無視して経営者らが“夜逃げ”同然で中国から消え去る事件も多発しているという。(坂本一之)

≪9割が環境悪化懸念≫
 同会議所の調査結果によると、今後の中国市場に関して「企業環境は悪化する」と中国進出ずみの韓国企業の約86%が指摘した。昨年3月に実施した同様の調査では、同じ設問で「悪化する」と回答した企業は約33%にとどまっていた。中国での事業環境の悪化に懸念を示す韓国勢が一気に9割近い水準に達した。
 沿岸都市部では賃金上昇が進み、「(農村部などからの)出稼ぎ労働者を確保するのも2000年ごろとは異なり年々難しくなっている」(日系企業関係者)というありさま。特に中小の日系企業では管理職の人材確保が経営課題に発展。低賃金を武器に外資の投資を集めてきた中国に変化の波が押し寄せている。
 中国政府は今年1月に労働者の権利強化を図った労働契約法を施行。終身雇用への移行を含めて経営側にとって総人件費の上昇は避けられず、同時に労使関係もこれまでよりも複雑になった。

≪ベトナムやラオスに≫
 韓国紙、朝鮮日報などによると、年15%を超える賃金上昇や加工貿易禁止品目の拡大など、中国当局の規制措置で悪化する経営環境に対応できず累積赤字となった企業が生産設備を放棄。法的な清算手続きを無視して突然、帰国してしまう問題も相次ぎ発生した。賃金や労使関係をめぐって経営者が暴力沙汰(さた)に巻き込まれるケースもある。
 韓国輸出入銀行がまとめた調査では、山東省の青島地区に00年から07年までに進出した韓国企業8344社のうち、手続きを踏まずに無断で撤退した「夜逃げ企業」が206社にも達した。夜逃げは03年ごろから目立ち始め、07年は87件にまでその規模が拡大。夜逃げ企業はアクセサリーや縫製、皮革関連の製造業など人件費のコスト上昇を吸収しにくい労働集約産業が多かったという。
 すでに中国では「夜逃げ韓国企業」周辺でトラブルも起きており、中韓経済関係にも悪影響を及ぼしかねない状況だ。
 企業の生き残りをかけてコスト競争力のある中国本土に進出した韓国企業も経営戦略の見直しを迫られており、中国一極集中回避のための「チャイナ・プラスワン」や中国以外をめざす「ポストチャイナ」の投資地としてベトナムやラオスなどに関心が移っている。

◎2300個超の宇宙ごみ、中国の衛星破壊実験で米司令官が指摘(2008年3月5日、産経新聞)
 米戦略軍宇宙統合機能部隊のシェルトン司令官(空軍中将)は4日の上院軍事委員会小委員会の公聴会に提出した書面証言で、中国による昨年1月の人工衛星破壊実験で発生した宇宙ごみが、これまで探知されたものだけで2300個を超えることを明らかにした。
 同実験については、中国が弾道ミサイルで破壊した気象衛星の破片が宇宙空間に飛散、他国の衛星に衝突する危険が指摘されていた。司令官は、探知できない小さな宇宙ごみは「数万個」に上ると指摘、中国の実験を「無責任」と批判している。
 実験に伴う宇宙ごみの数について、民間の専門家は「1~10センチ大のごみ約4万個」などと推測していた。米軍高官が公に確認するのは異例。
 宇宙ごみは数十年間にわたって軌道にとどまると考えられている。司令官は中国の実験で発生した宇宙ごみのうち、軌道を外れて大気圏に再突入したものはこれまで25個だけで、多くが宇宙空間にとどまって他国の衛星の障害になっていると指摘した。
 他方、米軍が今年2月、北太平洋上空で実施した洋上ミサイルによる偵察衛星破壊では「ごみの99%以上が約3カ月以内に大気圏に再突入する」と述べ、問題は少ないと説明した。

◎中国の宇宙軍拡を懸念、米国防総省が「軍事力報告」公表(2008年3月4日、読売新聞)
 【ワシントン=宮崎健雄】米国防総省は3日、2008年版の「中国の軍事力に関する年次報告書」を米議会に提出、公表した。
 報告書は、中国の宇宙における軍事能力向上の野心や軍の近代化、核ミサイル増強に向けた取り組みに強い懸念を示すとともに、中国による米政府機関へのハッカー攻撃にも言及した。
 報告書は、中国人民解放軍が情報化時代の現代戦争で「敵国の偵察・通信衛星の破壊が必要」と強調している点を指摘。07年1月の衛星破壊実験で顕在化した宇宙の軍事利用に向けて、開発を続けていると警戒感を示した。
 中国のミサイル能力に関しては、射程約7200キロ・メートルの大陸間弾道ミサイル「東風(DF)31」に加え、射程約1万1200キロ・メートルの「東風31A」も配備中と指摘。「晋」級原子力潜水艦に搭載可能な射程約7200キロ・メートルの新型弾道ミサイル「巨浪(JL)2」も09~10年に配備予定とした。
 また、台湾対岸へ配備した短距離弾道ミサイルも、07年11月までに990~1070基に上り、06年10月の900基から大幅に増加したとしている。
 さらに報告書は、中国のスパイ活動の活発化を指摘。07年は国防総省を含む米政府機関のコンピューターへのハッカー攻撃による侵入が相次いだとし、「その多くは中国が発信源とみられる」と言及した。
 一方、07年の外国兵器購入費も前年比5割増の1億5000万ドルとなり、近代化を急いでいるとしている。

◎中国鋼材30トンからコバルト60、伊警察が押収(2008年3月2日、読売新聞)
 【ローマ=松浦一樹】中国からイタリアに昨年輸入されたステンレス鋼材約30トンから、放射性物質コバルト60が検出されたため、伊警察当局が押収、搬入ルートなどについて捜査していることが分かった。ANSA通信が1日、伝えた。
 問題の鋼材は昨年5月、同国北部の商業港ラスペッツィアに陸揚げされたもので、イタリアの鋳物工場が中国の大手製鉄所から輸入した鋼材の一部。
 警察では、鋼材の製造過程でコバルト60が混入した可能性があるとみて、国際刑事警察機構(ICPO)に通報したという。被曝(ひばく)被害などがあったかどうかは不明。
 コバルト60は人工的に造られた放射性物質で、半減期は5.27年。ガンマ線源として用いられ、がん治療など医療用のほか、工業用としても広く使われている。

◎中国でメタミドホス積んだトラックが横転、地元紙報道(2008年3月2日、朝日新聞)
 中国湖北省の高速道路で2月24日早朝、有機リン系農薬成分メタミドホス約5トンを載せたトラックが横転した。積んでいた300個余りの箱の約半数が破れて路上に流出、有毒ガスが発生した。地元紙の武漢晩報が2月26日付で伝えた。
 ガスは強い風で広がり、数キロ先でも鼻を突くにおいが感じられたという。周辺住民や環境などへの被害は出なかったが、高速道路は約7時間にわたって閉鎖された。
 冷凍ギョーザ中毒事件で問題となったメタミドホスは中国で生産、販売、運搬が禁じられているが、同紙はトラックがメタミドホスを運んでいた理由には触れていない。

◎中国から「夜逃げ」も、韓国企業、3割が撤退検討(2008年3月1日、朝日新聞)
 中国に進出している韓国企業の経営環境が人件費急騰などで急速に悪化している。韓国商工会議所が会員企業350社を対象に行った調査によると、約3割が中国からの撤退を検討あるいは準備と回答した。韓国企業が多い山東省では正式な清算手続きを踏まずに「夜逃げ」するケースも増えている。
 2月に行われた同調査によれば、進出企業の約86%が「今後中国の企業環境は悪化する」と回答した。昨年3月の調査で「悪化する」としたのは約33%。過去1年間で悲観的な見方が急速に広がった。
 この背景には中国の労働契約法施行などによる人件費上昇のほか、税制などで外国企業への優遇措置がなくなったことなどが指摘されている。特に対応策が遅れている中小企業の経営悪化が顕著だという。

◎中国で63人が集団食中毒、2人死亡(2008年2月25日、朝日新聞)
 25日付の香港紙によると、中国広東省深セン市で23日、自動車部品や電子部品などをつくる大型工場の従業員63人が近くの食堂で朝食をとった直後にめまいや腹痛、けいれんなどを訴えて病院に運ばれ、2人が死亡した。市当局が食堂の水や食品から亜硝酸塩の成分を検出したという。従業員らは揚げ豆腐、ナスやピーマンなどを使った料理を食べた。食堂は無許可営業で2月上旬の春節(旧正月)前に営業停止処分になったが、勝手に営業を再開していたという。

◎中国:感染症で1万3037人が死亡、07年(2008年2月24日、産経新聞)
 中国衛生省は24日までに、エイズなどの感染症によって昨年1年間に計1万3037人が死亡したと発表した。2003年春に大流行した新型肺炎(SARS)は、発症者もいなかったとしている。
 昨年1年間のエイズ感染者数は、前年比45%増と急増した。鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の感染は、計4人で、うち2人が死亡した。(共同)

◎中国:不動産“値引き”過熱、「1戸買えば1戸進呈」、相次ぐ物件処分、暴落不安も(2008年2月24日、産経新聞)
 【北京・大塚卓也】右肩上がりの価格高騰が続き「バブル」の指摘も増えていた中国の不動産市場に変調の兆しが出てきた。夏の北京五輪を機に市況が反落するといった不安から、不動産業者が、あの手この手のサービスで手持ち物件の処分に動き始めたのだ。全部屋の家具・家電を無料提供したり、1戸買えばもう1戸をタダで付ける業者まで登場。競争過熱による暴落を不安がる声も出ている。

・20年間管理費タダ
 北京市中心部から北に約25キロ。環状鉄道13号線「回竜観」駅から徒歩約15分の新興住宅地区で建設が進む高層マンション「東亜・上北中心」の販売センターには、「20年間の管理費、契約税、補修積立金を進呈」と書いた垂れ幕が並ぶ。女性販売員が「2月いっぱいの限定特販です。同じ特典は二度とないですよ」とパンフレットを差し出した。昨年12月に売り出された15階の物件(約83平方メートル)の元の価格は約92万元(約1380万円)だが、特典を加味した実質価格は79万元(約1185万円)で、15%の値引きに相当するという。
 市中心部への通勤圏にある宣武区広安門の分譲マンション「栄豊2008」でも、特定物件を対象に「買一送一(1戸買えば1戸を進呈)」と名付けたキャンペーンを3月9日まで実施中だ。関係者は「市西南部という場所柄、外国人の借り手がなく、投資に不向きで買い手がつかないのではないか」と話す。
 北京の不動産市況は、昨年10~12月の前年同月比上昇率が平均15%に達した。株式市場に流れていた投資資金が、高値警戒感から再び不動産市場に向かったのが理由と見られ、表面上は騰勢が続いている。

・五輪後、値崩れの声
 しかし、12月末に中国南部の深センで、不動産仲介業者の倒産が相次ぎ報じられ、「ポスト五輪」の値崩れを予測する声も聞かれるようになった。
 北京に拠点を置く香港の不動産開発会社幹部は「富裕層目当ての高額投資物件は、昨年11月以降、3カ月連続で価格の横ばいが続いており、周期的に見てそろそろ価格は下がる」と話している。
 不動産は、高度経済成長で増えている富裕層の主な投資対象だ。長者番付の上位を占めるのは不動産開発業者で、不動産市況の動向は、中国の国内消費と密接に関係している。
 価格が急落すれば、高値転売を見込んでいた開発業者が不良債権を抱え込むことになり、消費が鈍るのは必至だ。
 ただ、米国のサブプライムローン問題を受けて世界の株式市場が混乱する中、中国の不動産が世界の投資資金の逃避先となるといった見方もあり、相場の先行きは見通しにくくなっている。

◆中国の住宅販売で見られる主な“特典”の例◆
 所在地・物件 特典

<北京>
栄豊2008・1戸買うと、もう1戸進呈
富貴園・駐車場を提供

<上海>
名門世家・駐車場の使用権を提供、バルコニーを一つ増設
天安花園・駐車場を提供

<深セン>
俊景豪園・全部屋の家電品提供
東悦名軒・サンルーム増設

◎中国・広東省で集団食中毒、2人死亡、無許可営業の軽食店(2008年2月24日、読売新聞)
 【台北=吉田健一】香港公共ラジオなどによると、日系企業が多く進出している中国広東省深セン市で23日、軽食店で朝食を食べた63人が食中毒と見られる症状を訴えて病院に運ばれ、うち2人が死亡した。(センは土ヘンに「川」)
 報道によると、63人は中国の有名自動車部品メーカー・BYDの中国人従業員で、食後2時間ほどして体の不調を訴えたという。軽食店は無許可営業だった。公安当局が原因を調べている。

◎中国、米に情報公開求める、スパイ衛星破壊(2008年2月21日、朝日新聞)
 中国外務省の劉建超報道局長は21日の定例会見で、米国のスパイ衛星破壊に対し、情報提供など「国際的な義務」を果たすよう求めた。中国は昨年1月、事前の通報なしに衛星破壊実験を行い、国際社会の批判を浴びたが、米国には「国際社会に必要な状況や関連データの提供」を求めた。
 劉報道局長は今回の米国によるスパイ衛星の破壊が「宇宙の安全や他の国家に損害を与えかねない」と指摘した。

◎農民がマンション占拠、激化する“土地闘争”中国(2008年2月18日、毎日新聞)
 【北京=福島香織】中国の首都、北京で土地を都市再開発に奪われた北京市豊台区太平橋村の村民200人以上が、その土地に建設されたマンション2棟を占拠、昨年12月1日から居座り続けている。
 「だって、このマンションは私たちのものだから…」。マンション占拠メンバーのひとりの女性(42)は興奮した口ぶりで言い放った。2月中旬、完工直前のマンション「首科花園」のロビー。壁にペンキで「村居委会(村民居住委員会)」の文字がでかでかと書かれ、10人前後の元村民が怖い顔で座り込んでいた。
 「毎日、退職した老人、女性たちが交代で占拠し続けているんだ」と老人(68)のひとりが言う。電気もスチームも水も切られ、豆炭を燃やして暖をとっている。
 「いつまでいるって? 問題が解決するまでだ」とある男性は徹底抗戦の構えだ。占拠したばかりの12月初め、開発業者が武装警察とともに追い出しにきたが「私たちはすでに最悪のところまで追いつめられている。今さら怖いものなどない」と、追い返した。
 話はややこしい。地元紙・新京報(12月23日付)によると、人口3000人あまりの太平橋村は1993~94年、木材加工・製紙などの集団経営の成功で年間の村内経済生産1億元(1元=約15円)をほこる豊かな村だった。しかし94年、都市緑化・再開発計画の通達により、工場をたたまねばならなくなった。同村は開発業者に土地109ヘクタールを提供、マンションを建設する契約をかわす。
 再開発が完了すれば、村民は大人1人あたり80平方メートルの住宅が分配される約束だった。「マンションが完成すれば、私たちもいい家に住め、車も持つような豊かな生活ができると信じていた」と冒頭の女性。
 ところが2005年までに776世帯2100人はマンションを分配されたが、約500世帯1090人には分配されなかった。この理由として開発業者は、旧家屋の撤去費用などに村に融資した1億2800万元が焦げ付き、村民に提供する予定だった床面積4万平方メートル分を差し押さえた、と説明した。
 この融資については当時の村の指導部だけが承知していたというが、村民には寝耳に水。しかも当時の書記らはすでに村にいない。さらに調べると、村の開発業者に対する負債は全部で4億元にのぼり、村民は「前書記らが開発業者と結託して私腹を肥やしたのではないか」と疑心暗鬼に陥っている。
 「裁判を起こすにしても、私たちに勝てる見込みはない。ならば…」と、12月1日、200人あまりの村民がマンション2棟に突入。開発業者側は「村民の行動は違法」とするが「政府の調停に期待する」と目下強硬手段には出ていない。
 このマンションは5月に受け渡される予定のため、購入者がときどき心配そうに様子を見に来るが「自分たちは契約書があるから法律に守られる。でも村民は戦うしかないからがんばってほしい」と応援する人も少なくない。
 双方が納得できる解決策が探り当てられるのか、いつものように強制排除で幕となるのか。いずれにしろ経済のゆがみの中で庶民の抵抗ぶりは近年、ますます過激になってきているようだ。

◎報道賞は合成写真、中国、華南トラに続き(2008年2月18日、毎日新聞)
 新華社電などによると、中国中央テレビの2006年度「記憶に残る報道写真賞」の第3位に選ばれた青蔵鉄道の列車とチベットカモシカを撮影した写真が、2枚の写真の合成だったことが18日までに分かった。
 中国では、絶滅したとの見方もある野生の華南トラの“スクープ写真”の真偽をめぐり大論争が起き、写真を公表した陝西省林業庁が「重大情報を、いいかげんに発表してしまった」との謝罪文を公表したばかり。
 写真には、チベット自治区と青海省を結ぶ青蔵鉄道の高架下を、数十匹のチベットカモシカが一列になって走る様子が写されている。しかし専門家が「音に敏感なカモシカは、列車が走れば散り散りに逃げ回るはず」と疑問を提起。撮影したカメラマンが、別の時間に同じ場所で撮影した写真を合成したと認めた。
 カメラマンは「報道写真として発表したことはない。もともと芸術的にするため加工した芸術写真だ」と話している。
 チベットカモシカは北京五輪の大会マスコットのモチーフにもなっており、中国政府が保護を重視。この写真は、青蔵鉄道の建設で環境に悪影響が出ていないとアピールする格好の構図で、インターネットなどを通じて広く出回っていた。(共同)

◎中国、報道賞受けた写真「合成だった」(2008年2月18日、日本経済新聞)
 【北京=共同】新華社電などによると、中国中央テレビの2006年度「記憶に残る報道写真賞」の第3位に選ばれた青蔵鉄道の列車とチベットカモシカを撮影した写真が、2枚の写真の合成だったことが18日までに分かった。
 中国では、絶滅したとの見方もある野生の華南トラの“スクープ写真”の真偽をめぐり大論争が起き、写真を公表した陝西省林業庁が「重大情報を、いいかげんに発表してしまった」との謝罪文を公表したばかり。
 写真には、チベット自治区と青海省を結ぶ青蔵鉄道の高架下を、数十匹のチベットカモシカが一列になって走る様子が写されている。しかし専門家が「音に敏感なカモシカは、列車が走れば散り散りに逃げ回るはず」と疑問を提起。撮影したカメラマンが、別の時間に同じ場所で撮影した写真を合成したと認めた。

◎黄砂予報精度かすむ、国家機密と中国がデータ提供拒否(2008年2月16日、読売新聞)
 春になると、中国大陸から飛来する黄砂を日本、中国、韓国、モンゴルの4か国で観測し、環境省のホームページ(HP)で飛来状況を公表したり、予測したりする計画が、当初協力を約束していた中国が「離脱」したため、精度を確保できない見通しになっている。
 中国側が「気象情報は国家機密」として、データの提供を拒否したためで、HPは、肝心の発生源の情報がないまま今月下旬の本格運用を迎える。
 黄砂が飛来することで、中国や韓国では、住民の呼吸器系の健康被害が相次ぎ、日本では、九州を中心に洗濯物が汚れたり、精密機器の工場で不良品の発生率が上がったりするなどの実害が出ている。福岡県保健環境研究所(太宰府市)によると、昨年4月初めに観測した黄砂では、同県内で大気が薄い褐色に変わり、粉じん濃度も一斉に基準値を超えた。
 気象庁では現在、黄砂の飛来状況について、全国85地点で観測した情報を発表しているが、目視確認のため国内に飛来した時点の情報しかなく、正確な飛来量も予測できない。
 このため環境省では昨年春、HP上で「黄砂飛来情報ページ」の試験運用を始め、今年2月下旬から、中国と韓国の各1か所、モンゴルの3か所、それに日本の10か所の観測地点のデータをもとに、地上から上空6キロまでの実際の飛来量や、黄砂の予想分布図を公表する予定だった。
 中でも、中国の観測地点は、日本への飛来ルート上の首都・北京にあるため、日本への飛来量について精度の高い予測を出すには不可欠だったが、試験運用を始める直前の昨年4月、中国側から突然、データ提供をストップすることを通告された。
 気象観測データは国の安全と利益にかかわる機密情報として、あらゆる気象観測データを国外に持ち出すことを禁じた法律「気象局13号令」を施行したことが理由だった。この状況は現在も続いており、今月下旬から始める本格運用でも、中国でどれぐらいの量の黄砂が発生しているのか、発生源のデータがないまま、飛来量を予測することを余儀なくされる。
 さらに中国は、日本の政府開発援助(ODA)の無償資金協力で、新たに7か所に観測機器を設置して黄砂の観測網を充実させる予定だったが、これも昨年5月に中止し、日本が準備した2億5000万円の無償資金協力(2006年度)もキャンセルとなった。
 日中韓3か国は先月、黄砂の共同研究に乗り出したが、このままでは発生源のデータはモンゴルのみになり、今後の研究にも影響を与えそう。
 環境省環境保全対策課は「中国からは『北京オリンピックがあるため、研究目的に提供できることになったとしてもホームページでの公開は難しいだろう』との情報を得ている」と話している。

◎スパイ罪服役11年「中台対立の犠牲」、台湾人元教授(2008年2月15日、朝日新聞)
 中国政府からスパイの罪に問われ、11年間の服役を経て仮釈放された台湾の林正成・元教授(58)がこのほど朝日新聞の取材に応じた。林氏は日本留学時代、中国人技術者の留学生からミサイル情報を入手し、当時の国民党政権に渡したとされるが、林氏は「逮捕は不当」と主張し、獄中の扱いや取り調べが「人権無視のひどいものだった」と話している。
 林氏は85年に筑波大で博士号を取り、92年に台湾の東海大学日本語科で教え始めた。97年、学術会議で訪れた北京で拘束された。容疑は「80年代前半、日本留学時代に知り合った中国のミサイル開発技術者の留学生に対し、帰国後、中国にいる台湾側の人物に弾道ミサイルのデータを渡すよう依頼した」だった。
 林氏は言う。
 「確かに『高』という留学生から数回、中国のミサイル開発事情を聞き、国民党の駐日関係者に情報を渡したが、帰国後に関する依頼はしていない」
 92年と94年に訪中して再会したときもミサイルなどの話題には触れないようにしたという。
 取り調べでは台湾人が10年以上前の日本での行為で逮捕されるのはおかしいと訴えたが、「否認すると『お前は中国人だから関係ない』と殴られ続け、独房に2カ月間、一切の接触も情報もなく閉じこめられたこともあった」。過酷な取り調べが2年近く続いた後、1日だけの裁判で懲役15年が言い渡された。
 北京市の刑務所に一般受刑者とともに入った。面会を制限され、模範囚だったがなかなか減刑されなかった。釈放時には「取り調べや獄中の様子を口外するな」と口止めされた。台湾では教職は失い、体重は逮捕前より10キロ以上落ちた。
 林氏の服役中、台湾側が救出に動いた形跡はない。国民党は李登輝政権の90年代に対中スパイ工作を終結。林氏は忘れられた存在となった。
 林氏は「自分を使い捨てにした国民党と私のような政治犯を不当に拘束する中国の両方が許せない。自分は中台対立の犠牲になった」と話し、損害賠償請求訴訟を起こしたいとしている。

◎米シャトルめぐりスパイ逮捕、中国に機密渡す目的(2008年2月12日、産経新聞)
 米司法省は11日、スペースシャトルなど航空宇宙開発に関連する機密を中国に渡す目的で盗んだスパイ行為の疑いで、米航空機大手ボーイングの元技術者(72)を逮捕したと発表した。
 逮捕されたのはカリフォルニア州在住の中国系米国人で、1973年から防衛・宇宙関連会社に勤務。この会社が96年にボーイングに買収された後は同社で働き、2003ー06年には同社の請負業者として働いていた。
 司法省によると、元技術者はシャトルやC17輸送機、デルタ4ロケットに関する機密を中国に譲り渡すため取得したり、隠すなどしていた疑い。
 これとは別に、司法省は政府の機密書類を中国側に渡したスパイ行為の疑いで、国防総省の職員ら計3人をこの日逮捕した。

◎中国で殺虫剤使った犯罪多発、報復の“凶器”にも(2008年2月9日、毎日新聞)
 中国製ギョーザ中毒事件で、混入薬物として確認された有機リン系殺虫剤「メタミドホス」や「ジクロルボス」は、中国で過去に起きた中毒事件で頻繁に名前が登場、報復などの動機で犯罪の“凶器”に使われたケースも少なくないことが8日までに分かった。
 中国の報道によると、2003年12月、湖南省衡陽市の学校で学生67人が朝食後、中毒症状になった。捜査の結果、食堂の職員が、口論となった食堂責任者への腹いせにメタミドホスをめん類のスープに入れたことが判明した。
 陝西省安康市の農村では6年6月、井戸にメタミドホスが投げ込まれ、井戸水を飲んだ21人が中毒になった。犯人は村の女で「村民にばかにされた」と思い、報復のため犯行に及んだという。
 中国で「敵敵畏」と呼ばれ、殺虫剤として今も農村部に普及しているジクロルボスは7年7月、北京市で起きた殺人事件で使われた。老夫婦らが息子の家庭内暴力に手を焼き、息子の妻と3人で共謀、ジクロルボスを混入した酒を息子に飲ませ、中毒症状で倒れたところを首を絞めて殺害した。
 同年10月には上海市で夫の浮気を疑った妻が心中しようと夕飯にジクロルボスを混入させたが失敗、今年2月に殺人未遂罪で懲役2年の判決を受けている。(共同)

◎服役中の「南方都市報」元幹部、中国が仮釈放(2008年2月9日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】9日付の香港紙「明報」は、2004年に汚職などの罪で懲役8年の判決が確定し服役中だった中国広東省の地元紙「南方都市報」の元幹部、喩華峰氏が仮釈放され、8日に自宅に戻ったと報じた。
 中国当局は、北京五輪を前に国内の人権活動家への締め付けを強める一方、5日には、スパイ罪で服役中だったシンガポール紙ストレーツ・タイムズの香港人記者、程翔氏を刑期半ばで仮釈放するなど、「アメとムチを使い分けて国際的な批判をかわそうとしている」(香港の人権活動家)模様だ。
 報道によると、喩氏は社内のボーナス配分で不正を働いたとして、04年1月、身柄を拘束された。
 南方都市報は、報道規制が強い中国にあって比較的自由な報道姿勢で知られる。喩氏の拘束は、同紙が03年12月、報道規制を破って広州での新型肺炎再発を報じた件などに対する当局の見せしめだとして、国内外で強い批判を招いた。

◎SARSスクープの広州紙、元副編集長も釈放、中国当局(2008年2月9日、朝日新聞)
 9日付の香港各紙によると、中国当局は7日、横領罪などで懲役8年の判決を受け服役していた広州市の「南方都市報」元副編集長の喩華峰氏(40)を釈放した。中国当局は5日にもスパイ罪で服役していたシンガポール紙記者の程翔氏(58)を仮釈放したばかり。
 喩氏は04年1月、同紙の資金を横領したなどとして市検察当局に拘束され、懲役12年(後に8年に減刑)の判決を受けた。市検察当局は当時、喩氏のほか、同紙編集長ら幹部を次々と拘束。直前に同紙が中国当局の発表前に新型肺炎SARSの疑いのある患者の発生をスクープしたことから、内外から「言論弾圧」との批判が相次いでいた。

◎中国で逮捕続々、「人権」主張は国家転覆扇動罪(2008年2月9日、朝日新聞)
 五輪が半年後に迫った中国で、人権の擁護や民主の拡大を求める活動家らへの締めつけが強まっている。特に、「人権」や「民主」を求めただけで「国家政権転覆扇動」の罪に問われて逮捕されるケースが増えている。国際人権団体は、北京五輪の誘致にあたって中国政府が掲げた「人権状況を改善する」との国際的な約束を守るよう求めるが、五輪が近づいて状況はむしろ悪化しているとの見方が強い。
 今月初め、浙江省杭州市の中級人民法院(地裁)は、著名なインターネット作家の呂耿松氏に対し、国家政権転覆扇動罪で懲役4年の実刑判決を言い渡した。
 呂氏は中国の人権弾圧、共産党・政府高官の腐敗などを批判する文章をネット上などで発表してきた。昨年9月に逮捕された。判決が言い渡された法廷では「民主必勝、専制必敗」などと叫んだという。
 米国ニューヨークに本部を置く人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチが北京五輪の開催まで半年を期に発表した声明によると、過去1年に逮捕されるか有罪判決を言い渡された著名な活動家は呂氏で6人目。中国の公安当局が国家政権転覆扇動容疑を名目にした逮捕件数は06年から07年にかけて20%増加したという。そのうえで、同容疑・罪の拡大解釈と乱用が「活動家を黙らせる武器になっている」と批判した。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルやパリに本部を置く「国境なき記者団」なども、中国の人権状況の悪化に懸念を示している。
 目立つのは、北京五輪開催で国際社会の注目が集まることを人権状況の改善につなげようとする取り組みへの弾圧だ。黒竜江省で「五輪より人権を」と署名集めをした楊春林氏も国家政権転覆扇動容疑で逮捕された。
 一般市民への締めつけも強まっているとの見方が一般的だ。
 中国が巨大な市場として脚光を浴びるようになるに従って、主要先進国が人権分野で中国側に厳しい注文をつける場面は少なくなっている。ヒューマン・ライツ・ウオッチのリチャードソン・アジア部長は声明で「国際社会が北京五輪に絡んだ弾圧に沈黙すれば、その弾圧に青信号を出したのと等しい」と警鐘を鳴らしている。

・この1年に「国家政権転覆扇動」で逮捕、有罪判決を受けた著名な活動家

・呂耿松氏
 2月に懲役4年の判決。浙江省在住のインターネット作家。逮捕後、国際ペンクラブなどが早期解放を求めていた。

・胡佳氏
 昨年12月に拘束され、1月に逮捕通知が家族に届いた。北京市在住で妻子も軟禁されている。エイズウイルス感染者の人権擁護に取り組み、北京五輪を期に今年を「中国人権年」とするよう訴えた。

・陳樹慶氏
 昨年8月に懲役4年の判決。作家で民主化を求める非公認政党・中国民主党の準備委員会メンバー。

・楊春林氏
 昨年8月に逮捕。黒竜江省の元工場労働者で「五輪より人権を」と訴え、署名活動にあたっていた。
厳正学氏 昨年4月、懲役3年の判決。芸術家。インターネットで文章も発表。懲役刑の被告などに科される「労働改造制度」に反対する署名活動などに取り組んだ。

・張建紅氏
 昨年3月、懲役6年の判決。ウェブサイトを運営し、「中国政府を中傷した」などと批判された。

◎シンガポール紙記者を釈放、中国(2008年2月5日、毎日新聞)
 台湾のためにスパイ活動をしたとして、2006年8月に北京の裁判所で懲役5年の判決を受けたシンガポール紙ストレーツ・タイムズの程翔記者が、5日までに仮釈放され香港に戻った。同紙関係者が明らかにした。
 同紙シンガポール本社は「程氏が春節(旧正月)を前に家族の元に戻ることを喜んでいる」とする声明を発表した。
 程記者は05年4月、中国で台湾のために情報収集に従事していたとして広東省広州市で拘束された。一方、家族は同記者が1989年の天安門事件で失脚した故・趙紫陽元総書記の回顧録を入手しようとしたため罪に問われたと語っていた。(共同)

◎スパイ罪で服役の香港人記者を仮釈放、中国当局(2008年2月5日、朝日新聞)
 台湾の情報機関に国家機密を提供したとして中国でスパイ罪に問われ、懲役5年の実刑判決を受けたシンガポール紙ストレーツ・タイムズの香港人記者、程翔氏(58)が5日、仮釈放され、2年9カ月ぶりに香港に戻った。中国通のベテラン記者が突然拘束された事件はメディア界に衝撃を与え、内外から懸念の声が集まっていた。
 程氏は同日午後、広東省広州市の刑務所から香港に到着した。報道陣の前には姿を見せなかった。
 仮釈放について、「五輪を控え、香港や国際世論の不満を極力減らしておく狙いだろう」(中国共産党関係者)との見方もある。

◎中国で大雪被害拡大、春節の帰省客580万人足止め(2008年2月4日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】今月7日の春節(旧正月)を前に、50年ぶりの大雪に見舞われた中国では、被災者が1億人を超えるなど各地で大きな被害が出ている。
 1月10日以降、家屋倒壊などで少なくとも60人が死亡、176万人が避難を余儀なくされた。寒波は交通網も直撃、各地で足止めされた帰省客は計580万人に達した。
 被災者の不満が社会不安に結びつくことを懸念する中国政府は、温家宝首相ら指導者が被災地に飛び、胡錦濤政権が掲げる「親民路線」の強調に努めている。
 3日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストなどによると、寒波被害は湖南省や貴州省など中・南部を中心に20の省・市・区で発生。直接の経済損失は538億元(約8610億円)に上った。
 送電線切断などによる停電や断水も各地で起き、広東省清遠市の山間部では、住民数千人が8日間にわたって水も電気もない生活を強いられているという。
 一方、出稼ぎ労働者が多い広東省広州の駅前は連日、十数万人の足止め客であふれかえり、混乱している。

◎中国の歴史的寒波、580万人駅に足止め(2008年2月2日、朝日新聞)
 中国中南部を襲った歴史的な寒波で、中国政府は1日、これまでの被害状況を発表した。先月10日以来、大雪などによる災害で60人が死亡、175万9000人が緊急避難を余儀なくされた。倒壊した家屋は22万3000棟に及んだ。直接の経済損失は537億9000万元(約8000億円)に達している。
 旧正月(2月7日)前の帰省ラッシュのさなかに大雪で鉄道の不通が相次ぎ、足止めされた乗客は580万人余りに上った。広州(広東省)では79万7000人が駅などに留めおかれ、上海でも11万8000人、南昌(江西省)で3万3000人、成都(四川省)で2万2000人が身動きがとれなくなった。大雪で空の便も大幅に乱れ、先月25~30日に3250便が欠航、5550便が遅れたという。
 送電線の切断や鉄塔の倒壊も相次ぎ、湖南、貴州、江西の各省では広い地域で停電が発生。火力発電所への石炭輸送が滞り、中国中南部を中心に19省で電力供給制限を実施しているという。

◎ギョーザ問題発覚後、中国の地元各紙が初の報道(2008年2月1日、読売新聞)
 【石家荘(中国河北省)=牧野田亨】中国製の冷凍ギョーザによる中毒問題で、ギョーザを製造した「天洋食品」がある河北省石家荘市の地元各紙は1日、新華社電などを引用する形で、今回の問題を初めて報じた。
 ただ、「ギョーザに問題は見つかっていない」との趣旨の記事で、市民の間では「それならきちんと説明してはどうか」と、天洋食品を批判する声も挙がっている。
 地元紙、燕趙都市報の記事は、「日本に輸出された『問題ギョーザ』から問題は見つかっていない」との見出し。1月31日の国家品質監督検査検疫総局の発表を基にしており、「農薬成分は見つかっておらず、製造記録も完全だ」などと、会社側に立った記事となっている。
 問題の発覚後、天洋食品の正門前には連日、日本や香港などの報道陣が集まり、1日朝も約50人が詰めかけた。だが、同社はこれまで一切取材に応じていない。市民らは問題についてまったく知らされておらず、「何があったのか」と、市民50~100人が報道陣を遠巻きにする状況が続いていた。
 新聞記事を読んだ男性(45)は、報道陣が社内に入れない様子を見て、「この記事の通りなら、中に入れて説明すればいい。それができないのは何か後ろめたいことがあるからだろう」と批判。別の男性は「天洋食品は、地方から来た若い女性たちを、月1000元(約1万5000円)で1日10時間以上働かせていた。昨年末には一部従業員が突然解雇され、問題になった」などと打ち明けた。
 また、20代の男性は「友人が天洋食品の敷地内の寮に住んでいるが、命令で外に出られないそうだ。その理由が、この記事でやっとわかった」と話していた。

◎中国人民解放軍、除雪に15万人動員(2008年1月30日、産経新聞)
 中国人民解放軍は30日までに、同国中部や南部で続く大雪への対策として、道路、線路の除雪作業や住民避難誘導などのため、陸海空3軍と武装警察部隊合わせて約15万8000人を出動させた。同日付の軍機関紙、解放軍報などが伝えた。
 同紙によると、大雪で各地の交通網、送電系統が寸断され、住民生活に深刻な影響が出ていることから、軍総参謀部と総政治部が各部隊への出動を指示。予備役兵ら30万人も動員された。
 また公安省報道官によると、各地で連日十数万人の警察官、消防関係者が道路網の復旧にあたっている。動員人数は延べ99万人に達したという。

◎中国大雪、春節前に各地で被害、政府に危機感(2008年1月29日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国の上海市、貴州、湖南、湖北、安徽各省など中・南部で低温・降雪が続き、避難を強いられるなど被災者が14省・自治区で7786万人(28日段階)に達した。各地で停電が発生したほか、春節(旧正月=2月7日)前の帰省客の足となる鉄道ダイヤも大混乱している。民政省の発表では、28日までに大雪による直接経済損失は約221億元(約3315億円)に上るという。
 今回の寒波は50年ぶりとされ、工場の倒壊や部品供給の停滞など各種企業活動にも影響が及んでいるようだ。
 国営新華社通信などによると、2週間で少なくとも24人が家屋倒壊などで死亡したが、このほか29日には貴州省で高速道路の路面凍結によりバスががけから40メートル下に転落し25人が死亡する事故も起きた。
 高速道路の渋滞・閉鎖、航空便の欠航、鉄道の遅れ、長距離バスの運行中止が各地で相次ぎ、31省の省・直轄市、自治区のうち半数以上で寒波に伴い電力不足が深刻化、電力供給が制限されるなどしている。火力発電用の石炭供給に支障が出たためだ。
 鉄道の乱れは農民工(出稼ぎ農民)や学生の帰省に大きな影響を与えており、大混雑している駅が少なくないようだ。中国紙によると、上海駅では長距離列車の乗車券販売が中止された。
 同駅周辺で数万人が待機しているともされ、こうした状況は社会不安の要素にもなるため、温家宝首相は担当閣僚を集め春節を前に電力供給と交通網の復旧、石炭輸送に全力を尽くすよう指示している。広東省の広州地区の各駅ではすでに計50万人が足止めされているという。
 農作物被害も発生、肉・野菜の価格も上昇しており、政府は食糧輸送を確保するとともに、便乗値上げに対する監視を強化。各地方政府は緊急体制を敷き、食品や衣服などを支給している。

◎中国中南部で歴史的寒波、日系自動車3社、工場止まる(2008年1月29日、朝日新聞)
 中国の中南部が歴史的寒波に見舞われ、広東省広州市に進出している日系乗用車メーカー3社の工場が相次いで生産停止に追い込まれた。広東省と他省を結ぶ道路が積雪や凍結でマヒし、部品の到着が遅れているため。通常は暖かい地域を氷雪害が直撃。完成車の輸送や部品メーカーの生産にも影響が出ている。
 同市花都区にある日産の合弁工場(年産能力36万台)は約10日前から、部品供給が厳しくなり、28日から生産が止まっている。湖北省などから調達しているが、陸路がマヒ。空路も各地で空港が閉鎖され、部品調達が難しくなっている。同工場は2月3日から旧正月(春節)休みに入るが、復旧は厳しい、という。同社の湖北省襄樊市の合弁工場も停止している。
 広州市南沙区のトヨタの合弁工場(同20万台)は上海方面からの部品調達が厳しくなり、29日夜、工場を止める。30日は復旧の見込みというが、天候が回復しなければ厳しい状況が続く。天津市にあるトヨタ工場の一部も30日、稼働を止める。
 広州のホンダの合弁会社(同36万台)は29日、同市増城区にある第2工場を止めた。30日は復旧する見通しという。3社とも中国での販売は好調だが、悪天候に邪魔をされた形だ。

◎30年ぶり大雪、24人死亡、中国で7800万人被災(2008年1月28日、産経新聞)
 中国民政省は28日、同国の中西部や南部を中心に大雪の被害が拡大、同日までに24人が死亡し、約7800万人が被災したと発表した。
 30年来の雪害とされ、中央気象台は大雪警報を発令。14の省、直轄市、自治区で被害が出ており、経済損失は約220億元(約3300億円)に上るという。
 新華社電によると、湖南省では26日、送電線の鉄塔が倒れ、送電線などに付いた氷を取り除く作業をしていた作業員3人が死亡。江西省では27日、41人の乗客を乗せたバスがスリップして横転、5人が死亡した。
 貴州省では1600以上の家屋が倒壊し、5人が死亡。停電による被害も深刻で、ある病院では節電のため手術ができない状態だという。
 広東省の広州駅では列車の運休により、27日までに17万人以上が足止めされ、改善されない場合、60万人に増える可能性があるという。
 積雪のため27日、全国で19の空港が閉鎖された。発電用石炭の輸送にも支障が出ており、多くの発電設備が停止しているという。

◎中国で歴史的寒波、7千8百万人被災、帰省の足は大混乱(2008年1月28日、朝日新聞)
 2月7日の旧正月を前に、中国中南部が歴史的な寒波に襲われ、帰省の足が乱れている。北京―広州を結ぶ鉄道は全線がまひ。空路も雪や凍結で混乱している。
 広州駅前は、大きな荷物を抱えた帰省客が周辺の道路まであふれ、28日は20万人前後に達した。鉄道当局は近日中の復旧は無理とみて2月6日まで乗車券販売を止め、出稼ぎ労働者3000万人にできるだけ帰省しないよう呼び掛けている。
 「50年に1度」という氷雪害に見舞われた湖南省も、停電で鉄道が止まったほか、長沙空港が25日から閉鎖され、高速道路も広範囲で通行止めになっている。
 民政省のまとめでは安徽、江西、河南、湖南、湖北、貴州など14省で約7800万人が被災。送電施設が結氷で壊れ、各地で大規模な停電が起きているほか、石炭輸送が止まり、発電に大きな影響が出ている。
(たまたま実情を聞くことができたので、記載しておく。25日に、江蘇省宜興市の会社に連絡したら、停電で会社が休みだとの情報を得ることができた。詳細は、新聞に記載されている通り。現地では25日には分かっていることだが、中国政府として発表したのは28日になってから。この国が発表する情報の内容には疑問が残る。)

◎中国:上海市長「表現の権利保障する」、直後、生活問題訴える市民ら十数人を連行(2008年1月25日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中国上海市で24日、人民代表大会(市議会)で韓正市長が「表現(の自由)の権利を適切に保障する」と発表した直後、会場前で生活問題を訴えようとしていた市民ら十数人が公安当局に連行される騒ぎがあった。
 韓市長は大会開幕式で「公開・透明な政府の建設」を推進すると強調。「市民の知る権利、参加する権利、表現する権利、監督権を適切に保障する」と述べていた。上海市では、土地開発に伴う住民立ち退き問題や、リニアモーターカー延長計画に反対する直訴や陳情、抗議活動などが頻繁に行われている。

◎中国GDPは11.4%増、世界3位ドイツに迫る(2008年1月24日、読売新聞)
 【北京=寺村暁人】中国国家統計局が24日発表した2007年の実質国内総生産(GDP)の伸び率は前年比11.4%増となった。
 好調な輸出や内需に支えられ、06年の11.1%からさらに成長が加速し、1994年以来13年ぶりの高い伸び率となった。名目GDP総額は24兆6619億元(約364兆5000億円)で、米国、日本に次いで世界3位のドイツ(06年で約355兆円)に迫った。
 設備投資や公共投資などを合算した「固定資産投資」は同24.8%増となった。政府による再三の金融引き締めや投資抑制策にもかかわらず、依然として高い水準で推移している。
 個人消費の指標となる社会消費品小売総額の伸びは同16.8%増と、06年(前年比13.7%増)から拡大した。11日に発表された貿易黒字は同47.7%増の2621億9700万ドルで、投資と個人消費、貿易黒字がGDP全体を大きく押し上げる役割を果たした。
 一方、消費者物価指数は同4.8%増と、06年(同1.5%増)から急伸し、政府目標の同3%増を大きく上回った。特に、庶民の生活を直撃する食品価格の上昇が大きく、中国政府の最大の課題となっている。

◎北京の人口、1600万人を突破、人口抑制が課題に(2008年1月22日、人民網日本語版)
 国家統計局北京調査チームと北京市統計局が21日に発表したデータによると、北京市の常住人口は2007年末に1633万人に達した。1年間で52万人増えた計算となり、昨年は01年以来で人口増加幅の最も大きい年となった。「中国新聞網」が伝えた。
 北京市ではかつて、市の収容可能人口の推算に基づき、2010年の常住人口を1600万人前後に抑えるという目標を掲げていた。目標人数の算定にあたっては、生態環境の収容能力や資源面での条件、就業可能人口などさまざまな条件が考慮された。しかし市の人口抑制問題が予想以上に複雑で困難を極めたことから、06年の北京市の両会(人民代表大会、政治協商会議)で採択された10年までの発展計画綱要では、人口抑制の目標数値は削除され、「北京の都市総体計画に対する国務院の回答書で提出された人口規模の抑制のための目標と要求に照らして、経済・行政・法律など有効な手段を用いて総合的な調整を行い、人口規模の急成長の段階的な抑制に向けた措置を実施していく」という表現に改められた。
 今回発表された統計によると、1600万人を超える北京の人口のうち、北京戸籍の住人の占める割合は4分の3で、残りの4分の1は市外からやってきた住人だ。人口分布をみると、市の中心部を取り巻く「都市機能開拓区(朝陽区、海淀区、豊台区、石景山区)」への人口移入が明らかに増加し、市の中心部である「首都機能核心区(東城区、西城区、崇文区、宣武区)」の人口増加傾向も依然として高くなっている。

 ※ 北京市が第11次5カ年計画(2006~10年)期間中に立てた都市計画では、市内の18区県を、上記の「首都機能核心区」および「都市機能開拓区」と、「都市発展新区」と「生態育成発展区」の合わせて4区域に分けている。

◎ビール消費量、中国が4年連続1位(2008年1月20日、朝日新聞)
 キリンホールディングスのキリン食生活文化研究所がまとめた世界主要国のビール消費量によると、06年の世界のビールの総消費量は前年比5.8%増の約1億6576万キロリットルで、21年連続して増加した。東京ドームをジョッキに見立てると、05年より7.3杯分多い約134杯分を飲み干したという。
 国別では、経済成長が著しい中国が4年連続で1位。1人当たりの消費量は日本の6割程度だが、人口の多さによって、世界のビール消費量の2割以上を占めた。
 アジアではタイ(18位、前年比15.3%増)、ベトナム(23位、同7.8%増)も消費量を大きく伸ばした。欧州ではポーランドやウクライナが消費量を増やした。
 キリン食生活文化研究所によると、「生活水準が向上するにつれて酒類の低アルコール化が進み、ビール消費量が増える」という。ウオツカが好物のロシアでもビールの消費が増え、世界第3位になった。
 日本の順位は6位で変わらなかった。ただ、1人当たり消費量は、大瓶換算で05年より0.5本減って77.9本(49.3リットル)。05年の36位から38位に順位を下げた。

◎大型犬禁止の北京、盲導犬歩けぬ、五輪期間中は特例でOK(2008年1月18日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】8月に夏季五輪、9月にパラリンピックが行われる北京市で、視覚障害者の女性が初めて盲導犬を導入したところ、大型犬の飼育を禁じる市の規定のため、活動できない状態が続いている。
 中国には現在、視覚障害者が約1200万人いるとされるが、活動中の盲導犬は遼寧省大連市の4頭だけ。
 北京五輪組織委員会は「五輪、パラリンピック期間中は認める」としているが、視覚障害者の間からは、規定改正を求める声が強まっている。

◆自宅付近限定◆
 女性は、1984年に米国で行われたパラリンピックの走り幅跳びで、金メダルを獲得した平亜麗さん(44)。現在はマッサージ店を経営しているが、ほとんど目が見えず、外出には友人らの付き添いが必要だ。
 「人に頼らず、自立した生活がしたい」と決意した平さんは、昨年12月、中国では5頭目となる盲導犬「ラッキー」を大連から借り受け、地元公安当局に飼い犬として登録しようとしたが、拒否された。
 北京市の「養犬管理規定」によると、飼い犬の登録が義務づけられ、無登録の犬は没収される。さらに、市中心部では体高35センチを超す犬の飼育は禁じられ、違反すれば5000元(約7万5000円)の罰金が科されることになっている。
 公安当局は、ラッキーの没収などの措置は控えているが、平さんは市民の通報を恐れ、自宅や店舗内とその周辺でしか一緒に出歩けない状態という。

◆始まりは06年◆
 中国では、視覚障害者の学費免除や起業の際の資金援助など、様々な施策がある。北京市内では、公共施設の段差をなくす工事も急ピッチで進められている。
 その一方、盲導犬の導入は遅れ、中国最初の盲導犬養成基地が大連市に開設されたのは2006年5月。現在、上海など他都市でも養成されているが、関係者は「盲導犬はえさ代など費用がかかるため、導入が遅れた。最近は視覚障害者の中にも盲導犬を飼える生活レベルになった人たちが出始めたが、規則整備などはまだ追いついていない」と説明する。
 大連市を管轄する遼寧省にも、大型犬の飼育を禁じた規定はある。だが、盲導犬養成基地で訓練を受けた犬は、例外扱いになる。北京市の規定にはこの部分がないため、混乱が生じている。
 市では、五輪やパラリンピック期間中は「例外」扱いとしたものの、抜本的な改革について、公安当局は「関連する政策を検討中」とするだけで、内容や時期を明らかにしていない。
 平さんは、「中国で盲導犬への理解を深めるためにも、北京で安心して活動できるようにしてほしい」と話している。

◎中国ネット人口2億1千万人、今年中に米抜き世界一に(2008年1月17日、読売新聞)
 【北京=寺村暁人】中国インターネット情報センターは17日、中国のインターネット人口が2007年末時点で2億1000万人に達したと発表した。
 昨年1年間の増加率は53.3%で1日当たり20万人増加しており、08年中に世界トップの米国(2億1500万人)を抜き、世界一になる見通しだ。
 ただ、07年末のネットの普及率は16.0%で、世界平均の19.1%を下回っている。地域別では、北京が46.6%、上海が45.8%と比較的高かったが、貴州省6.0%、雲南省6%など、大きな格差が見られる。

◎中国がインドの最大の貿易パートナーに(2008年1月17日、日本経済新聞)
 インドにとって最大の貿易パートナーはアメリカだった。しかし昨年、長い間トップの座を保ってきたアメリカを、ついに中国が抜いた。インドの政府関係者によると、2007年の対中国の貿易額は386億ドル。一方の対アメリカ貿易額は346億ドルであった。
 インドと中国間の貿易額は2006年、前年よりも一気に137億ドル増加し、249億ドルとなった。53%以上の増加である。両国首相は、2010年までに両国間の貿易高を400億ドルにする目標を、600億ドルに上方修正した。
 インドがアメリカから購入したボーイング機の代金を払い始めれば、中国の地位が揺らぐだろう、という指摘もある。しかし、インド政府関係者は、「中国がインド最大の貿易パートナーの地位を失うとは考えにくい。シン首相の中国訪問で、両国首脳の間で実りのある話し合いがもたれれば、インドと中国の貿易はいっそう成長していくだろう」と語る。
 また、インドのカマル・ナート商工相は、「中国はタバコの巨大市場だ。中国は世界中からタバコを購入しているが、インドは高品質のタバコを他国より安く提供できるだろう。私は、インドが中国のタバコ市場で大きな地位を占めることを確信している」と語る。
 インドの対中国、対アメリカ貿易の大きな違いは、対アメリカ貿易の場合、インドは黒字だが、対中国の場合、赤字になるということだ。
 対アメリカでは、2006~07年度に70億ドルの黒字を記録した。一方、対中国では、96億ドルの赤字を記録している。

◎新幹線写真を無許可使用、北京空港の広告看板で(2008年1月15日、産経新聞)
 北京国際空港で、日本の新幹線の写真を無断で使用した巨大な広告看板が掲示されていることが15日、分かった。JR側の抗議に対し、北京市の広告会社は無許可使用を認め、撤去も検討している。
 中国では違法コピーや海賊商品の販売など、著作権や商標権の侵害が横行。五輪開催を前に国際化を急ぐ中国政府は、あらためて問題を突きつけられた格好だ。
 広告は、クライアント募集のために広告会社が自社をPRした約10平方メートル大の写真看板。出発ゲート付近に掲示され、背景に東海道・山陽新幹線の車両が大きく写っている。
 JR西日本が調査し問い合わせたところ、広告会社は「昨年11月から掲示を始めた」と説明。インターネット検索で見つけた新幹線の写真を無許可で使用、看板にしたという。
 広告会社はJR西に対し「広告に掲示意図は特にない。こうした広告ができることを表現したかった。この枠で広告を掲示したいという顧客が見つかったら、看板はすぐ切り替える」と釈明したという。
 JR西の担当者は「日本行きの飛行機が多く出発するゲート付近なので、多分に日系企業を意識した広告と思われる。あまりにも堂々と無断使用しているので驚いた」と話している。

◎中韓「キムチ摩擦」が解決、検査強化解除(2008年1月10日、産経新聞)
 中国検疫当局は10日、中国産キムチから寄生虫の卵が見つかったとして韓国が2005年から実施してきた輸入時の検査強化が解除され、両国間のキムチをめぐる貿易摩擦が「円満に解決した」と発表した。
 韓国政府は05年10月、中国産キムチから寄生虫の卵が検出されたと発表し、輸入時に全量を検査対象とする措置を実施。中国政府も韓国産から寄生虫の卵が検出されたと発表して対立し、一時は中韓首脳会談でも議題となった。
 中国側の発表によると、中国当局が国内のキムチ輸出業者に対する衛生管理を強めたことから韓国は昨年8月、検査対象を全量から20%に引き下げることに同意。今年に入り、05年以前と同様の10%にすると通知してきたという。

◎南京に住む父子の鳥インフル、人から人への感染を確認(2008年1月10日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国衛生省報道官は10日の記者会見で、江蘇省南京市の父子が昨年相次いで鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染した事案について、「(家庭での)密接な接触によって感染した」と発表、人から人への感染だったと結論付けたことを明らかにした。
 中国で人から人への鳥インフルエンザウイルスの感染が確認されたのは初めて。
 一方、同報道官は、人の間で流行するようなウイルス変異については、「発生していない」と否定した。父子が、病死した家禽(かきん)類と接触した形跡はなく、感染ルートは分かっていない。
 父子は、息子が昨年11月に発症し、死亡した。その後、父親も発症、治療を受けた。

◎中国で初、人から人への感染確認、鳥インフルエンザ(2008年1月10日、朝日新聞)
 中国・南京市の父子が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染した問題について、中国衛生省の報道官は10日の定例会見で、死亡した息子から父親への感染を確認したと発表した。中国で人から人への感染が確認されたのは初めて。ウイルスが「新型」に変異すると大流行する恐れがあるが、「遺伝子の変異はない」としている。
 父親は完治しており、父子と接触があった約80人からは異常が見つかっていないという。ただ、死亡した息子への感染ルートはまだ確認できていない。報道官は「冬から春にかけて鳥インフルエンザが多発する恐れがあり、予防対策を徹底していく」と述べた。
 オランダやベトナムなどで鳥インフルエンザの人から人への感染が確認されている。ウイルスが人から人への感染力が高い新型インフルエンザになると、世界的に流行する可能性がある。

◎中国からの穀物輸出ストップ? 緊急「輸出」関税(2007年12月30日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国財政省は30日、2008年1月1日から12月31日までの1年間、小麦、トウモロコシ、コメ、大豆など穀物と穀物製品の8種類57品目に5~25%の輸出関税を課すと発表した。
 中国では食品を中心とした物価上昇傾向に歯止めがかからず、庶民の生活への圧迫が懸念されていた。今回の緊急措置で穀物の輸出を減らし、国内消費に回すことで、食品物価の安定を目指すねらいがある。ただ、この措置が中国の農産品最大輸入国である日本の食品物価や国際市況に少なからぬ影響を及ぼす可能性がありそうだ。
 財政省ウェブサイトによると税率は麦類20%、麦類製粉25%、コメ、トウモロコシ、イネモミ、大豆は5%などとなっている。財政省は小麦やコメなどの輸出促進が目的の輸出還付税を20日から廃止したばかりだった。
 中国では11月の消費者物価指数が前年同月比で6.9%上昇。食品価格は同18.2%と大幅に上昇。食品価格の高騰は今後も続くとみられている。
 庶民はすでに家計の圧迫を感じているようで、重慶市のスーパーでは安売り食用油に殺到した客が圧死している。一部エコノミストの間ではこのままでは狂乱物価につながり、社会の安定にも影響するとの懸念が出ていた。

◎中国の死刑執行、銃殺が大多数(2007年12月26日、産経新聞)
 中国の死刑制度の研究者、劉仁文氏は26日付の中国紙、新京報のインタビューで、中国の死刑執行方法について「銃殺が依然大多数だが、一部の省都では(致死薬物)注射が主流になった」と語った。
 同氏によると、中国では約10年前から注射方式の導入を始めたが、経費がかかるため、ほとんどの中小都市には注射設備がない。このため、設備を搭載した移動型死刑執行車両が各刑務所を巡回している都市もある。同氏は銃殺を担当する執行者の精神的なストレスが大きいことを指摘、全国に注射方式を速やかに導入するよう提言した。

◎中国各地に“地下教会”、活動家ら信者7000万人?(2007年12月26日、産経新聞)
 中国各地に点在する地下教会。クリスマスの25日、北京郊外の農家でも地下教会の礼拝がひっそりと行われた。地下教会は、「反体制ネットワーク」に発展しかねない危険な存在とも現政権には映る。実際、この礼拝に集まったのは、人権活動家や、民主化運動にかかわって逮捕された人など、中国共産党の執政に失望、不満を持つ人ばかりだった。(北京 野口東秀)

・郊外農家の礼拝 人権活動家、天安門事件関係者ら
 「あの男には注意して」。北京市中心部から車で約2時間の一軒家。25日午前、次々に人が集まり始め、十数人が集まったとき、ある出席者から耳打ちされた。
 50代の男は当局に礼拝を事後報告する疑いをもたれていた。出席者同士が信者の近況などを話していたが、その男が来た途端、「敏感な話」はピタリと止まった。私服の公安当局者も突然現れた。人数、顔ぶれの確認だろう。
 当局は、大規模な人数での開催だった場合は事前に阻止しただろう。この礼拝は人数的には許容範囲だったようだ。北京五輪を控え、表だって圧力を加えることは欧米の反発、批判を招き、国益にならないとの判断もあるだろう。
 地下教会信者の正確な実数は不明だが、共産党員に匹敵する「推定7000万人」との指摘もある。それだけに、「信仰の自由と言論の自由・民主化が結びつき、政権基盤を揺るがす危機感が中国共産党にはある」(信者)とみられる。
 実際、礼拝に参加した人々は口々に「中国の国旗と国歌はわれわれのキリスト教教義と相反する」「中国の民主・自由化を実現しなくてはならない」と話す。
 牧師は、民主化運動を弾圧した1989年の天安門事件をきっかけに信者となった劉鳳鋼氏(49)が務めた。
 関係者によると、劉氏は「地下教会の圧迫例を列挙」した文書を書き、「社会を撹乱(かくらん)した」ことで90年代に2年間、黒竜江省の労働教養所で強制労働、2003年からも3年半、国家秘密探知罪で刑務所で過ごしたという。地下教会の教会撤去に関する情報をインターネットで示唆したことなどが理由だ。
 礼拝は「報告する疑いをもたれていた」男のせいか、緊張した雰囲気が漂う。テーブルに山積みされた聖書は、「あるところから仕入れた」(出席者)という。非合法組織「中国民主党」幹部の高洪明氏(57)もその聖書を手にした。
 90年代に労働教養所で信者の影響を受け入信。その後も「国家政権転覆罪」に問われ、懲役8年の刑期を終え、今年6月に出所したばかりだ。
 こうした礼拝について、政府関係者は「今、宗教を圧迫することはしない。反動も強い。問題は宗教を利用した政権転覆活動、分裂活動、反共産党思想の宣伝だ」と強調している。

・地下教会
 中国では共産党中央統一戦線工作部や国務院国家宗教事務局などが宗教活動を統制、管轄しており、公認組織のプロテスタント系信者が1600万人、カトリック系が530万人とされる。当局の統制に反発、政府公認の組織に属さず、自由な活動を求める信者の自主的な集まりが家庭教会、地下教会と呼ばれる。農民層だけでなく、拝金主義や蔓延(まんえん)する汚職、モラル低下に幻滅した知識人層、富裕層にも信者は増えている。

◎中国:時速300キロの国産列車完成、北京-天津間運行へ(2007年12月24日、毎日新聞)
 新華社電によると、中国山東省の鉄道車両メーカー、南車四方機車車両は22日、時速300キロ走行が可能な初めての国産列車「和諧号」が完成したと発表した。来年3月に鉄道当局に引き渡し、8月の北京五輪前に北京-天津間で運行を開始する予定。
 同社は川崎重工業などと提携、東北新幹線の「はやて」をベースにした車両の技術提供を受け、高速旅客列車を生産している。新華社は「和諧号」について「外国の技術を導入、吸収した上で中国が自主開発した」と伝えており、日本の技術がベースになっている可能性がある。(北京・共同)

◎マカオで市民がデモ、中国返還8周年、貧富格差拡大に抗議(2007年12月20日、読売新聞)
 【マカオ=吉田健一】中国返還8周年を迎えたマカオで20日、格差拡大などに抗議するデモが行われ、主催者によると、約7000人が参加した。
 マカオでは今年、デモが相次いでおり、カジノ景気の陰で広がる貧富の格差などに市民が強い不満を抱いていることを示している。
 参加者は「中国からの不法労働者を規制せよ」「不動産価格を安定させよ」などと叫び、政府を批判するプラカードや横断幕を手に市街地を練り歩いた。
 マカオは昨年、カジノの売り上げが米ラスベガスを抜き世界一となり、一人当たり域内総生産(GDP)も初めて香港を上回った。しかし、中国から流入する不法労働者が、地元労働者の賃金を押し下げるなど、市民の多くはカジノ景気の恩恵を受けていない。

◎マカオで政府批判デモ、数千人参加、高まる政府不信(2007年12月20日、朝日新聞)
 中国返還8周年を迎えたマカオで20日、民主化を前面に掲げる初の本格的なデモがあった。民主派議員や労働組合などが呼びかけたデモには市民数千人が参加。深刻な汚職や社会格差への強い不満を背景に、外資導入でカジノの売り上げを世界一に導くなど剛腕を発揮してきた何厚●(●=金へんに華))長官への不信感が噴き出し、中国政府も懸念を深めている。
 「清潔な長官こそ必要だ」「公共の土地を食い物にさせない」。道路を埋めた市民が叫ぶスローガンは、全面的な直接選挙の実現、官業癒着への批判、経済優先の施策、貧富の格差への不満まで多岐にわたった。
 ポルトガル植民地時代から市民が政府を公然と批判することは少なかったが、今年5月のメーデーでは、不法労働者の流入阻止などを求める数千人が警官隊と衝突するなど、市民の不満が噴出し始めている。
 民主派議員の呉国昌氏は「問題の根は政府を監督する制度の欠如。中国政府にマカオの現実を直視させたい」と話した。
 マカオでは11月、収賄罪などで起訴された政府の公共工事管轄部門のトップ、欧文龍被告(50)の公判が始まった。欧被告は、総額8億パタカ(約120億円)のわいろを受け取ったとされる。欧被告は公判で「大規模工事の決定権は上司にあった」と何長官の関与を示唆した。「腐敗の根は想像以上に深い」(30代自営業)との疑念が市民に広がっている。
 99年に初代長官に就任した何氏はカジノ改革を断行して外資を積極的に導入、02年以降、年10~30%の経済成長を実現した。だが、経済の急成長は物価の高騰を生み、住宅価格が4年で4倍に上がった地区も。好況に沸く建設業も賃金の安い中国本土出身の労働者に独占され、「地元住民が恩恵を受けられず、たまった不満が社会の不安定要素になっている」(何偉雄・マカオ大学教授)。
 「一国二制度」で先行する香港では03年の返還記念日に50万人の民主化要求デモが起き、董建華(トン・チエンホワ)長官辞任の引き金になった。中国共産党関係者は「マカオで同じ失敗では許されない。社会不満が高まるほど民主派勢力の力が増すだけに、北京の懸念は強い」と話す。

◎素材各社、高機能品を中国で量産・需要増で新戦略(2007年12月17日、日本経済新聞)
 素材各社が中国で高機能素材を生産する。三井化学と三菱ガス化学は2010~12年にも車や家電に使う高機能樹脂の工場をそれぞれ建設。旭硝子は省エネガラスの量産を始めた。米国に次ぐ規模を持つ中国の素材市場では、所得水準向上に伴い強度などに優れる高機能品の需要が急伸している。主に日本から汎用品を輸出してきた各社が、得意とする高機能品の現地生産に一斉に踏み切ることで、日本の素材業界の中国戦略は新段階に入る。
 中国の石化製品需要は世界の16%を占め、米国に次ぎ2位。日本の化学業界は06年に国内生産の16%を中国に輸出したが品目はポリエチレンなど汎用品が多かった。今後は高付加価値で利ざやも大きい高機能品の市場開拓に力を入れる。

◎中国:「死の即席めん」の原因は殺鼠剤(2007年12月9日、毎日新聞)
 【北京・共同】8日の新華社電によると、中国雲南省昭通市で3日、即席めんを食べた小学生4人が直後に腹痛を訴えて死亡したのは、即席めんに殺鼠剤(さっそざい)が混入していたことが原因だと分かった。地元警察当局者の話として伝えた。警察は何者かが故意に殺鼠剤を入れた可能性は低いとみて、混入経緯を調べる。

◎中国:即席ラーメン食べ小学生4人中毒死(2007年12月6日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国雲南省昭通市魯甸県で3日、同じインスタントラーメンを食べた小学生4人が直後に中毒症状を起こして死亡した。中国当局は原因が解明されるまで近くの食料品店28カ所を営業停止処分にした。5日付の中国各紙が報じた。
 死亡したのは9~13歳の4人。路上に倒れているのを通りかかった教諭が発見した。朝食を食べられなかった友だち同士で1杯のラーメンを分けて食べていたという。
 中国では安価なインスタントラーメンの人気が高いが、最近は原材料費の高騰で廃油を再利用した粗悪品が出回っているという。また、ずさんな製造管理で殺鼠剤(さっそざい)などの毒物が食品に混入する事件も相次いでいる。

◎中国人観光客、「買い物多い」ツアーに抗議し警官隊と衝突(2007年12月6日、産経新聞)
 マカオで団体ツアーに参加していた中国人旅行者120人が4日夜、旅程に買い物が多すぎるとして暴徒化し、機動隊が出動する騒ぎとなった。
 香港のケーブルテレビや蘋果日報によると、警棒や暴動鎮圧用のシールドを持った20数名の警官は、中国・湖北省からの旅行者と5時間近くにらみ合いを続けたという。
 旅行者らは、同ツアーのガイドが多くの店に自分たちを案内し、無理やり品物を購入させたと主張。警官ともみ合いになり、旅行者の男2人、女3人が身柄を拘束された。
 マカオはギャンブルが法律で認められていない中国で、唯一合法的にカジノが利用できる場所。中国政府が個人旅行者への規制を緩和した2003年以降、同地への訪問者数は倍増、昨年のマカオへの旅行者は2200万人前後となっている。(ロイター)

◎鳥インフルで1人死亡、人からの感染調査、中国(2007年12月3日、朝日新聞)
 新華社通信によると、中国江蘇省の衛生当局は2日、同省の男性(24)が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染して死亡したと発表した。男性はウイルスに感染した家禽(かきん)類との接触がなかったことから、同当局は人から人への感染の可能性がなかったかどうか調査に乗り出し、男性と接触した69人の検査を進めている。
 同当局によると、男性は11月24日に発熱や悪寒の症状が現れ、同27日に肺炎と診断されて入院。病状が悪化し12月2日に死亡、ウイルス感染が確認された。中国で鳥インフルエンザによる死者は17人となった。

◎鑑定結果は「ニセ写真」、野生の華南トラ騒動(2007年12月3日、毎日新聞)
 中国国内の有名写真家らで構成する撮影家協会は3日までに、真偽をめぐり大論争に発展している野生の華南トラの“スクープ写真”は「偽物」との鑑定結果を発表した。同日付の中国各紙が報じた。
 鑑定には動物学者や植物学者らも参加。陝西省安康市鎮坪県の猟師、周正龍氏が「10月3日に地元の山中で撮影した」とする写真40枚を分析した結果、「トラのポーズが全く同じ。立体感も感じられず、実物ではない」と断じた。
 複数の専門家も「国内で販売されたカレンダーに同じポーズのトラが写っている」と指摘。「カレンダーのトラを拡大コピーし、山中にコピー写真を立てて撮影した後、スクープ写真として発表した可能性が高い」との見解を相次いで表明した。
 これに対し、周氏は中国紙の取材に「絶対に本物」と反論。決着はついておらず、最終判断は真相解明を進める国家林業局に委ねられた形だ。
 中国では10月以降、インターネットを中心に華南トラ写真の真贋(しんがん)論争が繰り広げられている。偽物と主張する学者らは「打虎派」、周氏や地元の支持者らは「保虎派」と呼ばれ、メディアの派手な報道も手伝い国民の関心事となっている。(共同)

◎選手用に特別飼育、「五輪豚」に市民反発、中国(2007年11月20日、朝日新聞)
 北京五輪の選手や関係者用に特別に飼育されているという「五輪豚」をめぐり、中国で議論が沸騰している。豚肉を独占提供する業者が安全確保のため秘密養豚基地を建設したなどとする報道に「我々はどうでもいいのか」と市民が反発。五輪組織委員会は「報道は大げさ。関連企業に警告した」と火消しに躍起だ。
 「五輪豚」は新京報が8月末に報道。秘密養豚基地は10カ所で、監視カメラを配備。飼料は欧州連合(EU)認証の有機農産物を使い、毎日2時間運動させて健康増進に努めている――などという業者の話を伝えた。
 中国産食品への不安が高まる中で安全性をアピールした形だが、今年は伝染病の流行などで豚肉価格が高騰しており、消費者心理を逆なで。「いつも食べている豚肉は危険ということか」などと反発の声が噴き出した。
 組織委は公式ホームページで「五輪豚は組織委や北京市当局が要求したものではない」と沈静化に必死だ。養豚業者は朝日新聞の取材に「五輪豚は確かにいて一般とは違う飼育態勢を取っているが、具体的には答えられない」と話している。

◎中国政府ぐるみで日系企業乗っ取り?現地社長が8億円横領(2007年11月18日、読売新聞)
 中国・江蘇省昆山(こんざん)市淀山湖鎮(てんざんこちん)に進出している洋服メーカー「冨田(とみだ)」(愛知県一宮市)が、地元政府ぐるみの企業乗っ取りで業務を妨害されているとして、中央政府の商務省に救済を求める異例の直訴を行った。
 同社の冨田博社長(63)は同市政府認定の「名誉市民」だが、「一部の役人が私利に走り、称号も役に立たない」とお手上げの状態。政治腐敗が外資のチャイナリスクとして表面化した形だ。
 「冨田」は1992年、昆山市にある国営企業と合弁でスーツなどを生産する縫製工場を設立、99年に同社と中国の関連会社が全株を買い取った。昨年の年商は8000万元(約12億8000万円)で、従業員は約650人。
 同社によると、当初の合弁先から派遣されていた社長の中国人男性(43)が2004年末、健康上の理由で退職。その後、弁護士や監査事務所の調査で、土地の買収資金などの名目で支出された約5300万元(8億4800万円)を横領していた疑いが発覚した。
 さらに男性は、工場用地の名義を自分の経営する「新東湖服装公司」に無断で変えていたほか、市政府側との間で工場所有者を同公司とする契約書まで作成していたこともわかった。
 冨田側が同市公安局に通報したところ、逆に男性側は昨年4月から9月にかけ、工場の出入り口にコンクリートの壁や鉄柵を設けて営業を妨害。同社は近隣の蘇州市検察当局に相談したが、「地元の抵抗で捜査ができない」との返答だった。
 冨田は昆山市対外経済貿易委員会に対し、来月17日に迫った合弁期限の延長を申請しているが、これも棚上げされたまま。日系企業が約400社進出し、外資誘致に積極的な同市としては異例の対応で、在上海日本総領事館も市関係部門に善処するよう申し入れた。
 市や鎮の政府幹部の一部は調査をしないまま、「資金を保管しているだけで横領にはあたらない」と男性側にお墨付きを与える文書を捜査当局に提出している。
 こうした経緯からみて、一連の不正には政府関係者も関与している可能性が高いといい、同社は商務省に対し、「背景には土地などの公共財産を流用しようとする官民の癒着がある」と訴えている。
 男性と同委員会は読売新聞に対し、「取材には応じない」としている。
 冨田は明治初期創業の老舗。88年以来、遼寧省大連、瀋陽や上海に延べ10の合弁会社を設立して洋服を生産し、日本や欧州の量販店、大手スーパーなどに卸している。瀋陽でも名誉市民の表彰を受けている冨田社長は、「長く中国とかかわってきたが、こんなことは初めて。せっかく育てた工場なので、何としても操業を続けたい」と話している。(上海支局 加藤隆則)

◎中国:貿易黒字過去最高、1~10月累計2千億ドル突破(2007年11月13日、毎日新聞)
 中国税関総署が12日発表した10月の貿易収支(速報)によると、貿易黒字は前年同月比13.5%増の270億5000万ドル(約3兆円)で、1~10月累計では前年同期比59.0%増の2123億6000万ドル(約23兆4600億円)に達し、2000億ドルの大台を初めて突破した。年間でも2000億ドルを超えたことはこれまでなかった。
 10月の貿易黒字は、単月としても過去最高だった今年6月を上回った。大幅な伸びが続いていることから、米国などからの黒字削減要求が一段と強まりそうだ。
 10月の輸出は22.3%増の1077億3000万ドルで、輸入は25.5%増の806億7000万ドル。中国政府は貿易黒字の削減に努力する姿勢を示しているが、輸出額は5カ月連続で1000億ドルを超え、年間の貿易黒字は2500億ドルに達するとの見方が強まっている。
 国・地域別の輸出入額では、1~10月の累計で欧州連合(EU)が2875億ドルとトップ。日本は1920億ドルで米国に次ぎ3位。(共同)

◎中国:特価の食用油奪い合いで3人死亡、重慶市のスーパー(2007年11月12日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】新華社通信によると、中国重慶市の外資系スーパー「カルフール」で10日、開店10周年セールに客が殺到し、倒れた人の下敷きになった3人が死亡、31人が負傷した。特価品の食用油の奪い合いが原因。
 普段は5リットルで51.4元(約760円)の食用油が、39.9元(約590円)で販売された。午前4時から客が並び始め、開店時には数百人に上った。踏み倒された人々がいても、食用油の奪い合いは続いたという。
 中国では最近、物価の上昇が著しく、食用油は今夏に比べても約1.3倍に値上がりした。中国の庶民生活には、大量の食用油が不可欠で、価格高騰は死活問題となっている。

◎中国:ニセ学歴が横行、幹部の高学歴化が進む中(2007年11月9日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中国の幹部の高学歴化が進む中、ニセ学歴が横行していると、新華社通信が主管する週刊誌「瞭望」(最新号)が報じた。大学との合意で、短期間で修士や博士の課程を修了して学位を取得、出世を目指す「学術腐敗現象」が起きているという。
 同誌によると、04年10月に党中央組織部などが調査した結果、全国の幹部約67万人のうち約1万6700人の学歴内容で問題が発覚。幹部40人に1人の割合でニセ学歴の可能性がある計算だ。
 「ポスト胡錦濤」として党最高指導部の政治局常務委員に昇格した習近平氏(54)は法学博士、同じく李克強氏(52)は経済学博士を取得しており、若手世代の高学歴化は著しい。中国では働きながら学位を取る社会人大学院が盛んなのも、高学歴の取得に拍車をかけている。
 しかし、仕事で忙しい幹部は、普段の授業出席や宿題は秘書に任せ、学期末の試験だけ本人が出席。教授にわいろを渡したり、学校の広告塔となる代わりに、試験で簡単な問題を要求したり、0点でも合格できるように配慮してもらう。これらは「公然の秘密」だという。

◎中国:先天異常の出生率が急増 環境汚染の影響指摘も(2007年11月10日、毎日新聞)
 中国で生まれつき障害のある子供の出生率が01年の1万人当たり104.9人から、06年には145.5人に急増していたことが10日までの中国紙の報道で分かった。研究者は水や大気など環境汚染の影響を指摘している。
 中国英字紙、チャイナ・デーリーによると、国家人口計画出産委員会の江帆副主任は四川省成都で開かれた会議でこのデータを報告。「中国では先天異常の子が30秒に1人誕生しており、状況は年々悪化している」と語った。また「(先天異常の増加は)総合国力強化や社会経済の持続的発展に直接影響する」と懸念を示した。
 産炭地として有名な山西省の計画出産担当者は、炭鉱周辺で「先天異常が全国平均よりはるかに高い」と報告、環境汚染との関連性を強く示唆した。同省は先天異常の出生率が全国31の省・直轄市・自治区で最も高いという。
 香港紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、江副主任のデータに関連し、上海の復旦大学の呉超群教授は「遺伝などの要因もあるが、われわれの調査では環境汚染の影響が非常に大きい」と分析した。(北京・共同)

◎華南トラ騒動、写真の裏に巨大な利権構造(2007年10月25日、毎日新聞)
 【北京=矢板明夫】中国陝西省鎮坪県の山中で、地元の猟師(52)が10月はじめ、ほぼ絶滅したとされる野生の華南トラを撮影したという写真の真贋(しんがん)をめぐり、メディアを巻き込んで大論争に発展した問題で、中国国家林業局は24日、専門家を現地に派遣する方針を固め、真相究明と事態収拾に乗り出した。写真をめぐる中国各紙による報道合戦は過熱一方だが、その裏では保護区設置などによる巨大な地元利権が絡んでいる。
 北京紙・新京報などによると、自然生態保護を担当する中国国家林業局は23日、撮影者の周正竜氏と写真を鑑定した陝西省林業庁の担当者、専門家ら計9人を北京に呼び、事情聴取を行った。同局は近く専門家チームを派遣し、野生の華南トラの生存条件に適する環境が現地に残っているかどうかを含め、調査する方針だ。
 一方、真贋論争が勃発(ぼっぱつ)して以来、総人口約5万7000の鎮坪県に全国から100人以上の報道陣が殺到。現地入りした記者の話によると、県内のホテル、旅館はすべて満室となり、入山案内料の相場も数十元(1元は約15円)から数百元に高騰。にわかに「華南トラ景気」に沸いた。写真に対し疑問を持つ記者が多いのに対し、地元の人は口をそろえて「本物だ」と主張している。
 鎮坪県周辺の山中は1950年代までに華南トラの名所として知られていたが、60年代初めに大掛かりな乱獲が行われ、それ以後は姿を全く見かけなくなった。捕獲したトラの骨などは漢方薬の材料に使われたという。
 しかし近年、中国国内で旅行ブームが始まったのを受け、地元政府は観光資源として華南トラを活用しようと考え、これまでに数回にわたり捜索チームを山中に派遣、糞(ふん)や足跡らしきものを複数発見したが、決定的な証拠はなかった。
 周氏の写真が今月12日に公表されると、同県政府の動きは迅速だった。14日に「華南トラ保護弁公室」を立ち上げ、19日に「鎮坪華南虎」の商標登録の手続きを開始。国に対して「華南トラ自然保護区」の申請書類づくりを始めたという。
 保護区の設置が認められると、同県の国内総生産(GDP)の4分の1に相当する2000万元の資金が投入されると中国紙が報じている。このため、現地の農民の間では、早くも「来年から働かなくてもよい。国から金がもらえるのだから」といったうわさまで流れているようだ。

◎大発見か捏造か? 幻の「華南トラ」43年ぶりに確認(2007年10月23日、毎日新聞)
 【北京=矢板明夫】本物の華南トラなのか-。いま、写真の真偽をめぐり、中国で大論争が起きている。
 今月3日、陝西省鎮坪県の山中で、猟師、周正竜氏(52)が一頭の野生のトラを発見し撮影した。地元の専門家らが鑑定した結果、写っているのはほぼ絶滅したといわれる華南トラであると断定され、野生の華南トラが43年ぶりに確認される重大発見となった。
 陝西省林業庁は12日に会見し、周氏に対して賞金2万元(約30万円)を贈呈、華南トラを保護するため、周辺の山での猟の禁止なども発表した。中国の各メディアは「華南トラ発見」のニュースを大きく報じ、トラを退治した男を意味する「打虎英雄」という言葉に引っ掛けて、トラの撮影に成功した周氏を「撮虎英雄」と持ち上げた。
 しかし、写真が公表されると、「野生にしては太りすぎ」「至近距離での撮影に対して全く反応しないのはおかしい」などと、トラの不自然さを指摘する書き込みが各ウェブサイトに殺到。公表された3枚の写真で、トラの表情と姿勢がまったく同じことなどから、「撮影したのは、トラの写真を実物大にしたパネルではないか」との意見が多く寄せられた。
 20日、中国科学院植物研究所の研究員、傅徳志氏は広東省の新聞「南方都市報」に対し、トラの体と周辺の植物の葉っぱの大きさがアンバランスであることなどを指摘し、「学者の名誉をかけて、写真は捏造(ねつぞう)だ」と断言した。
 陜西省林業庁は「専門家チームが出した結論なので、写真は本物」とし、再鑑定する考えがないことを明らかにした。一方、周氏はメディアの取材に対し、トラの写真は計71枚もあり、すべてをみれば、「捏造でないことはわかるはず」と主張、しかし、写真を高く売りたいため、「いまのところ、それを公表する予定はない」としている。

・華南トラ
 中国の中南部を中心に生息しているトラ。体長は2.5メートル前後。シベリアトラなどと比べて小さい。1950年代に約4000頭いたとされる。現在は各地の動物園などに約70頭がいる。野生種については64年以後、正式に確認されていない。すでに絶滅したと主張する学者もいる。

◎「央企」を知らずして中国経済を語るなかれ(2007年10月2日、日本経済新聞)
 最近、日本人に馴染みの薄い「央企」という言葉が中国のメディアに登場している。しかし、「央企とは何か」という質問をそのまま中国人にぶつけないほうが賢明だろう。なぜなら、その瞬間から相手に「このひとは中国のことをまったく知らない」と見下されてしまうほど、いまの中国ではホットなキーワードだからだ。(肖宇生の中国IT最前線)
 「央企」とは中央政府直轄の大型国有企業(金融を除く)の略称だ。何十万の国有企業のうち、「央企」に認定されるのはたったの155社で、中国国有経済のピラミッドの頂点ともいえる。中国石油やチャイナモバイルなど、日本でもよく耳にする企業のほとんどが「央企」であるといえばイメージも沸いてくるだろう。
 中国ではいま、大型国有企業育成の国家戦略の下で「央企」改革が急ピッチで進められている。これまで海外のメディアでは、中国の経済発展における外資系企業や新興民営企業の健闘が伝えられてきた。しかし今後の中国経済の発展を占うのに「央企」抜きでは語れないということは間違いなさそうだ。

・存在感抜群の「央企」
 昔の大型国有企業のイメージは計画経済そのもので、経営不在の典型例だったが、改革開放に伴いその経営は質、規模ともに急激に改善されてきた。国策である大型国有企業の育成政策が施行されてからここ4~5年間は特に顕著だ。いまや中国の国力上昇のもっとも代表的な立役者といっていい。
 フォーチュン誌による2006年の「世界トップ500」の企業に中国の大陸系企業は19社がランクインしており、そのうち銀行や保険を除く13社はすべて「央企」なのだ。経営規模だけではない。その利益も急速に拡大している。2005年度の「央企」の税引き前利益の合計は6276.5億元(約9兆4000億円、1元=15円で換算)にも上っている。2003年度の3000億元から3年間で倍増しているわけだ。今後もさらに増える見込みで、その勢いはすさまじい。
 「央企」は毎年中国政府から認定される資格みたいなもので、数年前の200社近くから現在の155社に減少したように、経営改革が遅れたり業績が落ち込んだりすると容赦なく淘汰される。世界に通用するグローバル企業を育成するという中国政府の狙いから、今後も 「央企」の統廃合を進めると見られており、2010年には80から100社に絞り込まれるそうだ。それだけに、中国の国有企業にとっては政策面で優遇される「央企」に認定されることが最高の名誉になっている。

・「外資系より央企」就職戦線の異変
 「央企」の好調ぶりは人材争奪面においても明らかだ。それは新卒や転職などの就職市場に大きな異変を引き起こしている。何年か前までは学生や転職組の「央企」の人気は、欧米企業を始めとする外資系企業の後塵を拝してきたが、いまや完全に逆転する勢いだ。
 大多数の新卒にとっては「央企」への就職は完全に高嶺の花になってしまった。ある「央企」の総合職の募集要項は、清華大や北京大などごく限られた名門校だけを指定し、しかも修士以上に限るとされている。中国人学生にとっては「央企」の安定した仕事の環境や高い給与水準、充実した福利厚生などが就職先として羨望の的となっている。
 対照的に外資系企業はハイリスク・ミドルリターンと映るようになってしまった。外資系企業の最大の魅力はグローバルなキャリア設計にあったが、「央企」に入ってもそれほど遜色ないため、その逆転現象が加速している。
 そして、やはり自国を代表する企業で働きたいというプライドも影響しているようだ。これは中国の国力上昇の当然の副産物ともいえるが、もっとも根本的な原因は「央企」が人材の誘致においても猛烈な勢いで力を入れるようになってきたからだ。
 いままで優秀な人材は当然のように外資系企業に入ってきたが、これからはその通りにいかないということが目に見えている。これは欧米企業の人材戦略にも大きく影響を及ぼしそうだ。待遇面や現地人材の登用などにおいて欧米企業に劣る日系企業にとってはなおさらだ。

・経営陣公募で人事改革
 近年、中央政府に直接任命されてきた経営陣の人事にもメスが入り始めた。役員レベルの公開招聘もその1つだ。ヘッドハンティングは社内外、国内外を問わないからかなり踏み込んだ改革といえよう。2003年から2006年までの間、すでに80社近くの「央企」が公開招聘に参加し、81名の人材を外部から招き入れた。
 今年も電信や鉄鋼など基幹産業を含む「央企」の人材公開招聘を行った。募集人数は22名で、その内訳は副社長9名、CFO7名、法律顧問6名とかなりのハイレベルといってよい。応募しやすくするため、初めて海外にも招聘会場を設けた。積極的なアピールや周到な準備から応募人数も1603人に上ったという盛況ぶりだ。そのうち、外国人は25人、香港や台湾、マカオなどのグレートチャイナ地域出身者も10人いる。
 選考のスピードも電光石火だ。公募は5月末に始まったが、9月末時点ですでに14名が着任した。今後も定期的にこういった人材招聘を行っていくという。さすがに最高責任者である社長レベルまでは行っていないが、執行レベルの経営陣はすでに開放されたといっていい。それは中国政府の「央企」育成の本気度を如実に表している。

・「央企」改革に下支えされる中国株式市場
 長い間、中国株式市場は国のマクロ経済の急速な発展から乖離し、低空飛行の状態が続いた。中国政府もこれを問題視し、数年前から法制度の整備や流通株の増大などを通じて株式市場の改革を進めてきた。
 当初、大量の非流通株(政府保有などで市場に流通しない株式)の市場への放出は株価の下降圧力になりかねないと懸念されていたが、結果は周知の通り、ここ2年間中国の平均株価は4倍増と、急激な上昇を見せている。その要因は「央企」の改革による上場企業の業績改善や将来への期待が投資家心理にプラスに働き、積極的な投資と株価の上昇を引き起こし、さらに多くの国民を株式市場に引き寄せるという好循環にある。
 いまも「央企」改革の重点である企業の統合や持ち株会社の上場、上場企業へのさらなる優良資産の注入などは中国株式市場にもっとも影響を与えるプラス要因だ。つまり、こういうマクロの環境があるからこそ、すでに5500点を超えている上海株価指数はいっこうに調整局面に入る気配を見せないのだ。
 チャイナモバイルなどすでに香港に上場している大型「央企」の国内株式市場復帰の動きも、投資家の期待を大きく膨らませている。いまの中国株式市場は大型「央企」に背負われているといっても過言ではない。
 中国の改革開放はすでに20年を数えるが、ついに主役の登場だ。大型「央企」は猛スピードで近代化を図り、その豊富な資金力、川上産業においての圧倒的な強さ、充実した開発力を引っ提げて、競争の激しい中国市場、そしてグローバル市場に参戦しようとしている。迎え撃つ外資系グローバル企業との勝負の行方が見えてきたとき初めて、中国の改革開放の評価が下されるだろう。

◎中国の富豪は品性が悪い(2007年9月26日、産経新聞)
 中国紙、中国青年報などが最近実施した中国の富豪のイメージに関する世論調査で「品性が悪い」と回答した若者が67%に上った。不正をした富豪の逮捕や国外逃亡が後を絶たず、金持ちへの不信感が強い中国社会の現実を浮き彫りにしている。
 同紙によると、調査で富豪の「品性がよい」と答えたのはわずか4%。また尊敬に値する「富豪」が備える要件について聞いたところ「社会的な責任感」(88%)、「思いやり」(77%)、「合法的な手段」(74%)が多く、いまの中国の富豪に欠けている要件もほぼ同様だった。
 中国大陸に「尊敬する富豪はいない」との答えが57%に達し、逆に最も評価が高かったのは慈善事業への貢献で知られる香港の財閥の総帥、李嘉誠氏で、2番目は米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長だった。
 北京大学の夏学●(亦の下に金)教授は「中国では国有資産を私物化するなどした一獲千金の成り金が多い」とした上で「富豪たちの価値観に多くの問題がある」と指摘した。

◎米シスコ、中国ハイアールと提携(2007年9月26日、日本経済新聞)
 【シリコンバレー=村山恵一】ネットワーク機器最大手の米シスコシステムズは25日、中国の家電最大手、海爾集団(ハイアール)と提携すると発表した。家庭用ネット機器の開発などで広く協力し、成長が期待できる中国市場の開拓につなげる。ハイアールは事業のグローバル化にシスコの経営ノウハウを生かすことも狙っている。
 シスコはルーター(経路制御装置)などネット構築のための機器が主力。主要顧客は企業で、消費者向けビジネスの強化が課題となっている。今後、ネット対応家電などの市場が伸びるとみて、潜在需要が大きい中国で事業拡大の足がかりを築く。ハイアールとの協業による具体的な製品計画などは明らかにしていない。
 両社はグループ管理や財務、投資戦略など経営手法についても情報を共有する方針。主にシスコがノウハウを供与し、ハイアールが中国以外で事業を拡大するのを支援するとみられる。

◎中国の知財問題、パネル設置決定、WTOが米提訴受け(2007年9月26日、朝日新聞)
 知的財産権が守られていないとして米国が中国を世界貿易機関(WTO)に提訴していた問題で、WTOは25日、この問題の紛争処理小委員会(パネル)設置を決めた。米国と中国の間の通商問題では自動車部品、中国の自国企業への輸出補助金に続き、3件目のパネル設置となった。
 米国は、映画や音楽の海賊版や偽ブランド品などに対する中国政府の取り締まりが不十分で米国企業が損害を受けている▽海賊版への刑事罰が軽くWTOの知的財産権(TRIPS)協定に違反している、として今年4月に提訴。米中2国間での協議が続けられてきたが解決に至らず、8月に米国がパネル設置を要求した。
 紛争処理機関によると、米国は中国が一定の対策を講じていることは認めたが、「対応が尽くされていない」としてパネル設置を求める姿勢を変えなかった。
 審理には日本や欧州連合(EU)なども「第三国」(オブザーバー)参加する。パネルは裁判の一審にあたる。

◎女子サッカー日本代表の横断幕に、ブーイングの中国反省(2007年9月26日、朝日新聞)
 中国・杭州市でこのほど行われた女子サッカーのワールドカップのドイツ戦で、日本選手が試合後に「ARIGATO 謝謝 CHINA」と書いた横断幕を掲げた行動が、日本にブーイングし続けた中国側に反省の気持ちを呼び起こしている。地元メディアは「中国のブーイングは日本の横断幕に負けた」と観戦マナーを批判している。
 17日の試合中、約4万人の観客のほとんどがドイツを応援。試合前の「君が代」斉唱では多くの観客が起立せず、ブーイングも起きた。ドイツが攻めたり、得点したりすると大歓声が起こり、日本は完全にアウェー状態。荒川がけがで交代したときでさえ、日本へのブーイングが響いた。しかし、日本代表が横断幕を掲げると、中国人の一部からも拍手が起きた。
 国営新華社通信は20日、「北京五輪でこのような反日感情を持ち込めば、中国人の国際的なイメージを損なう」と論評。反日的な記事が多いとされる全国紙「国際先駆導報」も「日本人は不快な気持ちを乗り越える勇気を見せたが、中国人にはその勇気がなかった」と指摘した。
 ネットの掲示板やブログでも議論が沸騰。「日本選手は横断幕を準備しながらブーイングを浴び続け、どんなに悲しかったか。横断幕を見て、中国人として恥ずかしかった」などの意見が掲載された。

◎北京五輪チケット、中国国内販売がドタバタ(2007年9月26日、朝日新聞)
 北京五輪の中国国内向け入場券販売がつまずいている。第1次販売分に当選した人のクレジットカードや口座から代金を引き落とせないトラブルが続出。北京五輪組織委員会は25日までだった支払期限を急きょ延長した。
 第1次販売は6月30日に申し込みを締め切った。抽選の結果、約72万人の申込者のうち約30万人が約159万枚を当てた。本人名義のVISAカードによる決済か、中国銀行の口座引き落としで代金を払う。
 ところが申込書の誤記や口座の残高不足、他人名義のカードの使用などが相次ぎ、「相当数の当選者が支払いを済ませていない」事態になった。カードや口座による決済に不慣れなことや、申し込めるだけ申し込んで思った以上に当選し、代金の支払いを見送る例が多いとみられている。
 当選通知は電子メールや手紙だけだったが、組織委は25日から当選状況や支払いの成否について電話での照会も受け付け始めた。「第1次販売で支払いを済ませない人は、第2次販売には参加させない」と新方針も示し、支払い催促を行っている。

◎中国:第4のロケット発射基地建設へ、南部・海南島に(2007年9月25日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中国政府と中央軍事委員会は、中国南部・海南島の文昌市にロケット発射センターを建設することを承認した。国内4番目だが、初めて内陸部以外の発射基地になる。
 文昌発射センターは、2010年に市場参入を計画中の新たな運搬ロケット「長征5号」を使用し、主に衛星や宇宙ステーションなどを打ち上げる。大型ロケットが中心となるため、推進力は従来の発射センターより約10%高まる。中国は宇宙ビジネスを加速させそうだ。
 内モンゴル自治区酒泉など既存の発射基地3カ所はいずれも内陸部にあり、ロケットの運搬は鉄道輸送。ロケットの直径が3.35メートル以内に制限されてきた。
 文昌は海に面した立地から大型ロケットの海上運搬に適し、発射時の残骸(ざんがい)が落下した際の危険性も低くなる。低緯度で静止軌道に乗せやすく、衛星の寿命が延長される利点もある。

◎実効性は「?」北京タクシー全面禁煙、成人男性の半数喫煙(2007年9月23日、産経新聞)
 【北京=川越一】2008年北京五輪で“禁煙五輪”を実現させるため、北京市は10月から市内を走るタクシーの全面禁煙を実施する。「喫煙大国」との悪評を一掃する狙いがあるが、中国の喫煙率は35.8%で、そのうち66.8%が男性。中国の英字紙チャイナ・デーリーによると、北京市では成人男性の約半数が喫煙者といわれるだけに、実効性が上がるかどうか、立ちこめる紫煙で見通しは悪そうだ。
 1992年バルセロナ五輪以降、五輪施設の禁煙措置は一つの流れになっている。北京五輪でも選手村や競技施設、観客席を禁煙とすることが決まっている。選手やコーチが利用する練習施設や居住施設でのたばこの販売も禁止している。
 五輪を契機に国際的なイメージの改善をもくろむ北京市はすでに、外国人選手や観光客の目につく機会が多いタクシー運転手のマナー改善に着手している。運転中の喫煙やたばこのポイ捨てが目立っていたが、北京市運輸管理局は今年8月に通達を出し、乗客が運転手の喫煙を発見した場合、カメラ付き携帯電話などで撮影し通報するよう奨励。違反した運転手には100~200元(約1500~3000円)の罰金が科されることになっている。
 「緑色タクシー」と題された今回の禁煙キャンペーンは対象を乗客まで広げたのが特徴だが、中国各紙は具体的な罰則規定が明らかにされていないことを問題点として指摘する。北京の大衆紙、新京報によると、タクシー運転手ができるのは喫煙をやめるよう乗客に注意するだけ。従わない場合も下車を強制することは規定上不可能で、「乗客の喫煙を阻止する方法がない」のが実情だ。
 今年1~2月、中国吉林省長春などで開催された冬季アジア競技大会では、禁煙のはずの体育館内のトイレに、紫煙が充満した。今度は北京市民や訪問者のモラルが問われそうだ。

◎中国退役軍人の暴動、黒竜江省チチハルにも飛び火(2007年9月15日、朝日新聞)
 香港の人権団体「中国人権民主運動情報センター」は14日、中国黒竜江省チチハル市の鉄道学校で13日夜、職業訓練していた1000人規模の退役軍人が学校施設を破壊するなどし、治安当局と衝突したと伝えた。内モンゴル自治区や陝西省などでも同様の暴動が起きており、中国鉄道省は12カ所の鉄道学校の退役軍人約6000人を一時帰郷させる通知を出したという。
 同センターは、中国軍は人員削減で退役した軍人を鉄道学校で学ばせる政策を進めているが、卒業後の就職が難しく、不満が高まっているとしている。

◎中国が初の食品安全法、年内にも施行へ(2007年9月15日、産経新聞)
 中国政府が食品の安全基準や、行政と事業者の責任を明確にした初の「食品安全法案」をまとめ、年内の施行を目指していることが14日までに分かった。政府当局者が北京で開かれていた「食の安全」に関する国際会議で明らかにした。
 同当局者によると、早ければ10月末の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会に上程される。同当局者は、同法施行は「世界の食の安全性向上にもプラスとなる」と語った。
 食品安全法案は、食品関連事業者の責任や地方自治体の監督責任、損害賠償請求など消費者の権利を明確化したのが特徴。食品の安全基準や監督・検査制度、輸出入時の安全措置のほか、食品の生産から流通、飲食店での提供までの全過程での安全義務を明記した。
 食品事故の予防と対応を定めた章では、問題のある食品のリコール(無料の回収)制度を盛り込んでいる。
 法案は全10章、百数十条から成る。中国では「食の安全」に関する法律が複数に分かれており、責任の所在が不明確だった。このため、20005年ごろから包括的な「食品安全法」をつくる準備が進んでいた。

◎人民元が最高値更新(2007年9月13日、産経新聞)
 13日の上海外国為替市場の人民元相場は大手金融機関の相対取引で一時、1ドル=7.5101元まで上昇し、2005年7月の切り上げ後の最高値を更新した。7.5105元で大方の相対取引を終え、終値としても最高値を更新した。前日終値は7.5216元だった。

◎101階建て「上海環球金融中心」、建設大詰め(2007年9月13日、朝日新聞)
 森ビルが上海で08年春の完成を目指す101階建て超高層ビル「上海環球金融中心」の鉄骨が最上階まで組み上がり、13日、工事現場が報道関係者に公開された。アンテナなどの突起物を除くビル本体の高さは492メートルで、完成時点で世界一となる見通し。森ビルの森稔社長は「当初より7年も遅れたが、上海が世界の金融センターに成長し、ちょうど良いタイミングになった」と語った。
 総工費は約1250億円で、ビルの延べ床面積は約38万平方メートル。店舗やオフィスのほか、79~93階は高級ホテルが入る。100階には「世界一高い展望台」を設ける。
 オフィス部分の賃料は1日1平方メートルあたり3ドルを設定し、上海では最高ランク。みずほコーポレート銀行など金融機関約30社の入居がほぼ決まっている。

◎香港ディズニーランド、経営難続く、開業2周年(2007年9月13日、朝日新聞)
 香港ディズニーランドが12日、開業から2周年を迎えた。不振だった1年目からの立て直しを狙い、様々なサービスを打ち出したものの、2年目の入場者数は前年をさらに下回った模様で、厳しい状況が続く。
 香港ディズニーは入場者数や収益を一切公表していないが、複数の香港紙は8月、消息筋の話として、2年目の入場者が「400万人前後にとどまる」と伝えた。目標の547万人はおろか、前年実績の520万人も下回る。
 開業当初、「アトラクションが少ない割に高い」と批判された香港ディズニーは、昨年3月から、通常の約2枚分の料金で買える平日用通年チケットなど8種の優待チケットを発売した。
 夏休み最終盤の8月末、ゲートをくぐる客の9割以上はこうした優待チケットの利用者だった。園内での消費が期待できるとはいえ、入場料収入は伸びない。
 香港ディズニーは「お客様の満足度は高まっている。長期的に成果を上げる自信はある」と強調。香港政府も「長期的に見るべきプロジェクトだ」と繰り返すが、見込みの甘さは隠せない。
 香港政府は、初期投資額約248億5000万香港ドル(約4000億円)のうち政府が約9割の224億香港ドルを拠出するという破格の条件でディズニーランドを誘致。運営会社にも出資している。政府は再投資の是非を検討しているが、立法会では「政府の信頼にかかわる問題。予算審議には厳しい態度で臨む」(李華明議員)といった声が強まりつつある。

◎中国製自動車そっくりだ、BMWが提訴(2007年9月11日、朝日新聞)
 フランクフルトの国際自動車ショーに出展された中国製自動車が自社の車の意匠権を侵害する疑いがあるとして、独BMWはその輸入販売会社を相手取り、国内販売の中止を求めて7日にミュンヘンの地裁に提訴したことがわかった。
 問題の車は双環汽車(河北省)製「CEO」で、BMWは自社の高級SUV(スポーツ用多目的車)「X5」のデザインに非常に似ているとしている。BMWは、独国内で10月中旬から販売を予定している双環製の車のショー出展を見合わせるよう求めていた。
 訴えられた輸入販売会社は「CEOは約3年前から市場に出ており、いま訴えるのはおかしい」(幹部)としている。CEOはすでにスペインやロシアなどで販売されているという。

◎中国のエイズ感染21万人に、半年で1万8千人増(2007年9月9日、朝日新聞)
 新華社電によると、中国国務院(中央政府)エイズ予防・治療工作委員会弁公室は8日までに、今年7月末までに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者が21万4300人に達したと明らかにした。このうち発症者は5万6758人で、1万8246人が死亡した。
 今年1~6月に新たに報告された感染者は1万8543人に上り、4314人が発症、2039人が死亡するなど、同弁公室は「感染などは依然として上昇傾向にある」と懸念を示した。
 ただ、報告されていない患者も多く、実際の感染者は65万人に達すると推定されている。

◎中国主席、輸出品の安全確保で国際協力強化を表明(2007年9月7日、産経新聞)
 中国の胡錦濤国家主席は6日、オーストラリアのハワード首相との会談後の記者会見で、世界で中国産の食品や玩具などの安全性への懸念が広がっていることを重く受け止めていると述べ、中国が輸出品の安全を確保するため、国際協力を強化する用意があると表明した。
 胡主席は会見で「中国は品質検査を進める上で国際社会との協力を強化したい」と語った。
 シドニーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は9日に採択予定の首脳宣言に、中国への名指しを避けながらも「食の安全強化の必要性」を盛り込む見通しだ。(共同)

◎中国・上海でナンバープレート高騰、車体の半額も(2007年9月1日、朝日新聞)
 マイカーブームにわく中国・上海で、車のナンバープレートの値が高騰している。プレートが競売にかけられているためで、8月には1枚75万円にまで跳ね上がった。「最も高価なブリキ板」と皮肉られている。
 中国は今や、日本を抜いて販売台数で世界第2位の自動車大国。なかでも経済発展が著しい上海では、欧州や米国、日本、韓国の自動車メーカーが販売合戦を繰り広げ、街には世界中の新型車がひしめく。
 一方、車の増加で交通渋滞や大気汚染が深刻となっており、上海市当局は車のナンバーの発行数量を制限。毎月、入札・競売をおこなって交付している。
 国営新華社通信によると、8月は8000枚のプレートをめぐって1万2943人が応募し、平均落札価格は4万6897元(約75万円)。過去最高だった6月の4万7711元と同水準で、4万元弱だった昨年後半よりも過熱している。
 「10万元(約160万円)のドイツ車を買おうと思うけど、ナンバー代が車体価格の半分もするなんて」。自動車教習所に通う40代の女性看護師は不満顔だ。免許取得費も約5000元と、他の地域より高い。にもかかわらず、夫婦の貯金をはたいてでも、初めてのマイカーを取得する夢は捨てられない。
 しかし、「上に政策あれば、下に対策あり」が中国人の信条。ナンバー取得費が安い江蘇省など、上海近郊の省のナンバーを入手する要領のいい者も少なくない。「車のディーラーが簡単に手続きを代行してくれた」と新車を購入した別の女性。偽ナンバーも出回っているという。

◎中国財政相が辞任・香港紙「汚職で解任」(2007年8月30日、日本経済新聞)
 【北京=宮沢徹】中国国務院(中央政府)新聞弁公室は30日、金人慶財政相が個人的な理由で辞職願を提出し、中央政府が解任に同意したことを明らかにした。金財政相は政府系のシンクタンク、国務院発展研究センター副主任(閣僚級)に転出する予定という。
 香港紙は今回の解任の原因は汚職事件で、後任の財政相には謝旭人・国家税務総局長が就任すると報じている。
 中国は10月15日の共産党大会に向けて、幹部の汚職を徹底的に追及する方針を示しており、上海市の前党委書記など汚職で更迭される幹部が相次いでいる。

◎中国産冷凍枝豆、除草剤が残留(2007年8月30日、朝日新聞)
 厚生労働省は29日、中国産の冷凍枝豆に、検出されてはならない除草剤の一種「プロファム」が残っていたとして、食品衛生法に基づく検査命令を全輸入業者に出した。違反品は廃棄されるなどして国内で流通していないという。
 同省によると、中国産の冷凍枝豆に残っていたプロファムは、7月に那覇検疫所で0.04ppmが検出されたことを受けて検査を強化した後、今月23日に東京検疫所で0.01ppmが検出されたため、より厳しい検査命令を出した。07年の中国からの冷凍枝豆の輸入量は1万9130トン。

◎洪水などの被災者、延べ3億1千万人、今年の中国(2007年8月23日、朝日新聞)
 中国民政省は22日、今年に入り水害などの自然災害の被災者は延べ3億1000万人、経済損失は1264億元(約1兆9000億円)に達したと発表した。南部を中心に豪雨による洪水が多発したことが原因で、記者会見した李学挙民政相は「今年の災害は大変深刻だ」と述べた。
 四川や雲南、湖南の各省で水害が頻発している。民政省による現地への緊急救助出動は41回に上り、倒壊家屋は110万戸に及んでいる。住居や食料が不足しており、政府の救済処置が必要な被災者は約7000万人に達する。同省は被災者や死者の家族に対して救済金や慰問金を支払うことを検討しているという。

◎中国:ノキアなどの工場で1万人スト、賃金など不服に(2007年8月22日、毎日新聞)
 携帯電話端末の世界最大手ノキア(フィンランド)の携帯電話用部品などを手がける中国広東省深センの工場で20日、約1万人の全従業員が賃金などを不服として大規模ストを実施した。約1000人が付近の道路を封鎖するなどしたため、警察当局と衝突、数人が拘束された。
 関係者が22日、明らかにしたもので、ストは同日も続いている。警察当局が警戒しているという。
 ストが起きた工場はドイツ資本で、ノキアのほか米モトローラやソニーの携帯電話用バッテリーなどを製造。香港紙によると従業員の9割が四川、湖南、湖北省から出稼ぎに来た女性。関係者は労使交渉が行われているものの合意に至っていないとしている。(香港・共同)

◎中国:嫁不足深刻、適齢期男性は女性より1800万人多く(2007年8月22日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中国共産党機関紙「人民日報」は22日、中国では現在、20~45歳の結婚適齢期の男性が女性より1800万人多く、2020年にはこの差が3000万人に拡大すると報じた。遼寧省瀋陽で21日に開かれた出生計画に関する会議で発表された。嫁不足は既に深刻化しており、誘拐などの犯罪への警戒が高まっている。
 中国の05年出生比率は女児を100とすると男児は118.88。農村に根強く残る男尊女卑の風潮などにより、男女比の不均衡は拡大を続けている。国家人口計画生育委員会の張維慶主任は「中国は男女比の差が世界最大で、最も長い期間続いている国家となった。社会の安定に悪影響を及ぼすだろう」と指摘した。
 中国政府は出生計画において「厳しい情勢と任務に直面している」として、不均衡を是正するため「女児愛護行動」キャンペーンを展開したり、胎児の性別を理由にした中絶を禁止している。

◎麻薬密輸の2邦人に中国高裁が死刑判決、執行は最高裁次第(2007年8月21日、読売新聞)
 【大連(中国遼寧省)=末続哲也】中国で麻薬密輸罪に問われ、1審で死刑判決を言い渡された元暴力団組員、武田輝夫被告(64)(名古屋市出身)と40歳代の鵜飼博徳被告(岐阜県出身)に対する控訴審の判決が20日、遼寧省大連市の省高級人民法院(高裁)であった。
 同法院は控訴を棄却し、1審判決を支持した。中国は2審制で、2邦人の死刑が確定した。
 中国で起きた日本人の麻薬密輸事件ではこれまで、執行猶予付きの死刑判決が確定したケースはあるが、執行猶予なしの死刑判決が確定したのは初めて。
 死刑執行には、中国最高人民法院(最高裁)の許可が必要なため、今後、同法院が判決を検討し、最終判断を下すことになる。日本の外務省は「少なくとも最近15年間、海外で邦人が死刑に処せられたケースはない」としている。
 判決によると、武田被告は2003年、中国で覚せい剤計約9キロを集め、鵜飼被告ら「運び屋」を使って日本への密輸を指揮した。中国では04年2月にも同省瀋陽で、武田被告の麻薬密輸事件にかかわったとされる60歳代の邦人男性に、1審で執行猶予のない死刑判決(控訴中)が出ている。

◎日本産ナマコ、中国で空前のブーム、価格5年で5倍(2007年8月21日、朝日新聞)
 中国で日本産のナマコがブームを呼んでいる。特に乾燥品は価格がここ5年で5倍に跳ね上がり、密漁も急増している。ただ生態にはナゾの部分が多く、いつ枯渇するかも分からない。このため農林水産省は産地の研究機関と共同で、北海道も独自に、実態を調査して増殖させる作戦に乗り出した。
 北海道最北の稚内市。日本の4分の1の市場占有率を誇る北海道の中でも、最もナマコ漁が盛んだ。ある漁師(66)がこっそり自宅の裏庭を見せてくれた。
 網の上に天日干しされた10センチ大のトゲトゲがついた黒い固まり。中国では干しアワビやフカヒレなどと並ぶ高級食材の「北海キンコ」だ。「最近、キンコ泥棒が多い。夜は自宅の中で保管するんだ」と言う。
 乾燥ナマコは現在、1キロ4万~5万円で輸出される。「日本産はキロ当たり中国のサラリーマンの平均月収くらい」と中国人の輸出業者(44)は言う。背景に中国の経済成長がある。遼寧省や山東省で養殖を進めているが、富裕層は日本の天然ものを好むという。
 北海キンコの大半は中国へ輸出される。横浜中華街の老舗(しにせ)「珠江飯店」は今は特別な時以外仕入れない。「買うのは中国大使館ぐらい。入荷も不安定で日本人は食べないのに価格が異常だ」と料理人の片岡叔民さん(56)は言う。
 ナマコは生態が明らかでない点が多い。このため農水省は今年度から、北海道、青森、山口、佐賀、名古屋などの研究機関や大学など全国12機関と共同で、把握・管理の方法を探る。香港や中国本土で市場調査もする。担当者は「日本産は世界のナマコピラミッドのトップにいる。安定供給を可能にしたい」と話す。
 北海道も8月から増殖に本格的に取り組み始めた。3年間、毎年100万匹を孵化(ふか)させ、約1年かけて育てた後、放流して追跡調査する。「半分生き残ってくれれば上出来」と道の担当者。
 愛知、福井、山口、大分の4県は20年ほど前、水産庁の事業でナマコ増産の技術開発を始めたが、国内消費は伸び悩み長くは続かなかった。この事業にも携わった水産大学校(山口県下関市)の浜野龍夫准教授が主宰する研究会にはここ2、3年、問い合わせが急増している。
 浜野准教授は「中国では強壮に良いという言い伝えがある。今より下がったとしても、高値安定が続くのではないか」とみている。

◎ダイキン、中国で冷媒原料を合弁生産(2007年8月18日、日本経済新聞)
 ダイキン工業はエアコン冷媒やフッ素化学製品の原料となる「無水フッ化水素酸」の生産拠点を中国江西省に現地企業と合弁で設立する。投資額は5億円程度で、2009年1月の稼働を目指す。中国は無水フッ化水素酸の原料となる蛍石の生産大国。蛍石を安定調達するため、中国に生産拠点を設けることにした。
 合弁の相手は、蛍石の採掘で中国最大手の中蛍集団(浙江省)。9月末に合弁会社を設立する予定で、資本金は15億5000万円程度。ダイキンが55%、残りを中蛍集団が出資する。

◎中国、批判的スクープ「禁止令」、段ボール肉まん事件で(2007年8月18日、朝日新聞)
 北京テレビによる「段ボール肉まん捏造(ねつぞう)報道」をきっかけに、中国当局が報道規制を強めている。複数のメディア関係者によると、事件直後、偽食品摘発や重大事件などマイナス面の調査報道やスクープ報道を禁止する通達が出された。当局は来年8月の北京五輪に向けて報道の規制緩和の方針を打ち出しているが、メディア関係者は「以前より社会問題の報道に対する引き締めが厳しくなった」と指摘する。
 複数のテレビ局や新聞社の関係者の証言によると、通達は肉まん事件が起きた直後の7月下旬、共産党中央宣伝部から各メディアに出された。
 通達では、肉まん事件は、北京五輪を控えた重要な時期に海外で中国産食品についての過剰な批判を引き起こし、国家の対外的なイメージやメディア界の信用を著しく失墜させたと強調。調査報道やスクープ報道は「市民を不安にさせ、社会の混乱を招く危険性がある」と警告し、各社の独自取材による批判型記事掲載の自粛を指示した。
 当局は、捏造報道を見つけ出すため、各地方の党宣伝部や新聞社、テレビ局に対し、視聴者や読者から報道内容への批判や情報提供を受け付ける専用電話を設置するように命じた。捏造報道を転載した他のメディアの責任も追及するという厳しい内容だ。
 通達後、紙面をにぎわせていた危険な食品や問題製品についての記事はほとんど見なくなり、当局が発表した安全対策や中国製品の合格率の高さをアピールする報道が目立つ。地元紙記者は、通達直後、上層部から「国家のイメージを損なう報道はいっさいするな」と厳命されたと語る。
 中国では、メディアは共産党の方針や政策を宣伝する「党ののどと舌」(代弁者の意味)と位置づけられ、報道の自由は制限されている。しかし近年、環境問題や食の安全の分野で、各放送局や新聞社の記者が独自に調査して告発する報道が増加。「政府や政策を直接批判する内容以外はほぼ許されていた」(テレビ局記者)
 「肉まん事件」は、こうした緩和の流れに水を差した形だ。「五輪を控え、当局はさらに『社会の安定』を重視し、締め付けは一層厳しくなる可能性が高い」(中国の大手新聞社記者)という。

◎「段ボール肉まん」で懲役1年、TV局アルバイトに判決(2007年8月13日、朝日新聞)
 新華社電によると、段ボールの混ざった肉まんが販売されているとのやらせ報道問題で、中国・北京市第2中級人民法院(地裁)は12日、「偽造肉まん」ビデオを作成してテレビ局に持ち込んだアルバイトの被告(28)に対し、懲役1年と罰金1000元(約1万6000円)の有罪判決を言い渡した。
 判決は被告の行為について、「特定の商品の名声を傷つけ、劣悪な影響を作り出した」と指摘した。被告は法廷で、視聴者や肉まんの業界関係者、テレビ局に謝罪したという。

◎中国当局、玩具生産2社を輸出停止処分に、鉛検出問題(2007年8月9日、朝日新聞)
 中国から米国に輸出された玩具の塗料から相次いで鉛が検出された問題で、中国の国家品質監督検査検疫総局は9日、広東省にあるメーカー2社を輸出停止処分にしたと発表した。今後刑事責任も追及するという。
 処分を受けたのは、米マテル社の子会社フィッシャー・プライス社が販売する、人気テレビ番組「セサミストリート」のキャラクター商品などを製造していた「漢勝木業製品工場」と、米RC2コーポレーションが販売する幼児向け玩具「きかんしゃトーマス」を製造していた「利達玩具有限公司」。
 いずれも全米で販売され、すでにプライス社は約100万個、RC2社は約150万個を自主回収した。きかんしゃトーマスの一部は日本でも販売され、販売元のソニー・クリエイティブプロダクツが無償交換に応じている。

◎中国“見せしめ”禁輸発動も、食の安全、東南アジアに広がる不安(2007年8月7日、産経新聞)
 【シンガポール=藤本欣也】中国製品が大量に出回る東南アジアで、中国製食品への不安が広がっている。フィリピンやマレーシアなどでは一部食品の輸入禁止や検査強化を実施。一方の中国当局は、同様に禁輸措置の検討を進めるインドネシアに対し、突然、同国産の水産物の禁輸措置を発動、インドネシア側を震え上がらせた。“見せしめ”との見方も広がる中、「食の安全」と「対中関係」のはざまで東南アジアが揺れている。
 ジャカルタからの報道によると、インドネシアのカラ副大統領は6日、記者団に「中国との間で貿易戦争になることは望んでいない」と語った。
 同国政府に衝撃が走ったのは3日。中国が突然、「インドネシア産水産物から基準を超える水銀やカドミウムなどが相次いで検出された」と公表し、「消費者を保護する」ため、すべてのインドネシア産水産物の輸入をストップした。
 特定品目だけでなく、すべての水産物を対象に輸入を禁止するのは異例。インドネシア産水産物の対中輸出高は年約1億5000万米ドル(約180億円)で、全体の7.3%を占めている。禁輸の影響を懸念するインドネシア政府は、「残留物で問題が起きたとの報告もなければ、中国側から事前の警告もなかった」と中国側の強硬措置に戸惑っている。
 一方、東南アジアでは中国製品への規制の動きが広がっている。フィリピン政府は7月、中国製の4種類のキャンディーなどから有害物質のホルムアルデヒドが検出されたとして、これらの製品の輸入を禁止。マレーシア政府も、調査回数を増やすなど中国製食品の検査を強化することを決めた。
 インドネシアでは、中国製菓子からホルマリンが検出されただけでなく、中国製化粧品や玩具にも有害物質が含まれていることが確認されるなど社会問題化し、政府が対応を検討していた。中国の性急な措置は、東南アジア諸国に広がる規制の動きへの過敏な反応とする見方も出ている。

◎中国製「カシミヤ100%」実は2割(2007年7月31日、スポーツ報知)
 「カシミヤ100%」などの表示で販売された中国製セーターに一般の羊毛が大量に混ざっていたことが分かり、公正取引委員会は31日、景品表示法に基づき、販売元の丹羽幸(名古屋市)と小杉産業(東京)の2社に排除命令を出した。
 公取委によると、丹羽幸は昨年から今年にかけて、スーパーなどでセーターを販売した際、カシミヤは十数%―二十数%しか使用されていなかったのに「カシミヤ100%」と表示。小杉産業が一昨年から今年にかけて販売したセーターとベストも「カシミヤ50%毛50%」と表示していたが、実際には数%―二十数%しか含まれていなかった。
 衣類はいずれも中国企業が製造、日本の検査機関「毛製品検査協会」の検査を経て両社が販売。製品の一部を使った検査では、素材が適正に用いられていることが確認されており、公取委は、中国企業が検査をかわすため、カシミヤを多く使用したサンプルを検査用に提出したとみている。
 景表法は故意か過失を問わず、商品を販売した業者の表示が対象。公取委は毛製品検査協会にも再発防止策を講じるよう要請した。
 丹羽幸と小杉産業は「公取委の指摘を受け、再発防止に努めたい」としている。

◎カシミヤ偽表示で業界波紋、現地検査や中国製輸入停止も(2007年8月4日、読売新聞)
 中国から「カシミヤ100%」の表示で輸入されたセーターやマフラーに別の動物の毛が混じっていたとして約85万点が回収された問題で、国内のアパレル業界に波紋が広がっている。
 中国での製造過程で意図的に混入された疑いが指摘されているためだ。商社や小売店は検査回数を増やし、国内で流通するカシミヤ製品の約8割の品質検査を行う財団法人「毛製品検査協会」(東京)も、中国5か所で現地業者を集めて品質基準に関するセミナーを開催するなど、対策に躍起だ。一方、検査コストの負担増から中国製カシミヤの取り扱いをやめる動きも出始めている。
 関係者によると、混入していたのは「綿羊絨(めんようじゅう)」と呼ばれる羊の一種やヤクの毛など。今年1月以降、7社が自主回収に踏み切り、公正取引委員会は7月末、カシミヤの混用率が特に低かった2社に景品表示法違反で排除命令を出した。
 マフラーを自主回収した東京の服飾品卸会社は「コストが上がっても品質は守らなければ」として、従来は、内モンゴル自治区の工場側が送ってきたサンプルを検査機関に出していただけだったが、今シーズンから、担当者が現地に出向き、計3回、抜き取り検査を行う。検査や渡航の費用がかさむため、「マフラー1点で約200円の負担」となり、今年は出荷量を4分の1程度に減らすという。
 業者の多くは同様の対策を予定しているが、福岡市のアパレル業者は「現状より検査に費用がかかると商売にならない」と、中国からの輸入をすべてストップした。
 毛製品検査協会は、6月に現地でセミナーを開いたほか、中国・天津の検査所の検査員を1人から2人に増員した。また、検査済みの100%製品につけていた「カシミヤラベル」は当面、発行しない方針だ。本所寛理事(59)は「抽出検査で全製品の責任まで負うことはできず、現情勢ではやむを得ない措置。しかし、日本側の検査強化や品質管理の啓発活動が悪質業者へのけん制になり、正常化に向かうはず」と話している。
 欧米や日本の高級品メーカーでつくる「カシミヤ・キャメルヘア工業会」(本部・米国)によると、主要産地の内モンゴルでは、砂漠化などで生産量が減少傾向にあり、原毛価格はここ数年、60~70%も高騰しているのに、小売価格にはほとんど変動がない。背景として、製造業者らがコストを下げるため、別の繊維を混入している可能性が指摘されている。
 日本の輸入量の約8割を中国製が占めるが、北部の河北省などでは無数の零細業者が乱立して流通ルートが複雑になっており、どこで混入が行われたのか追跡するのは困難という。

◎中国製カシミヤ混用率に虚偽表示、公取委が2社に排除命令(2007年8月1日、読売新聞)
 50%や100%と表示した中国製セーターなどのカシミヤ混用率が、実際には最大でも20%台だったとして、公正取引委員会は31日、衣料品製造販売の小杉産業(東京都中央区)と丹羽幸(名古屋市)に対し、景品表示法違反(優良誤認)で排除命令を出した。
 公取委によると、小杉産業は2005年10月ごろからセーターとベスト計22品目に、丹羽幸は昨年10月ごろからセーター計11品目に、それぞれ「カシミヤ50%」、「カシミヤ100%」と表示して販売していたが、実際のカシミヤ混用率は、小杉産業の製品が1.6~25.5%、丹羽幸の製品では16.1~26.4%に過ぎなかった。
 両社は、製造を委託している中国内の業者に、表示通りの混用率にするよう指示したが、納入品の品質を確認していなかった。丹羽幸は、財団法人・毛製品検査協会から「カシミヤ100%」「このマークは試験鑑定を行ったものにつけられるものです」などと記された下げ札を購入し、これらのセーターに取り付けていたため、公取委は同協会にも再発防止を求めた。

◎中国で取材妨害、干渉続く、外国人記者クラブが調査報告(2007年8月1日、産経新聞)
 北京の「中国外国人記者クラブ」(メリンダ・リュウ会長)は1日、北京五輪を約1年後に控えた中国で、海外メディアに対する取材妨害や当局による干渉がことし157件発生、中国政府が五輪取材で求められる報道の自由の保証などの国際的基準に応えていないとする調査報告を発表した。
 調査は北京、上海などに駐在する二十数カ国、163人の記者が回答。全体の約40%に当たる記者が、当局による拘束や呼び出し、取材源に対する脅迫、身体的暴力などを報告した。
 この中には、中朝国境を取材した英テレビクルーが武装警察に拘束された例や、チベット自治区で取材したドイツの記者のインタビュー相手が罰金を科された例などが含まれる。
 調査では、回答者の67%が中国が五輪に向け保証した取材の自由を実現していないと指摘。95%は「中国の現状は報道の国際的基準を満たしていない」と答えた。

◎採算割れでも止まらない中国の銅輸入(2007年7月31日、日本経済新聞)
 中国の銅地金輸入が止まらない。本来の消費ペースを大幅に上回る勢いで輸入されており、中国国内需給が大きく緩和。国内価格の指標となる上海期貨交易所相場は、国際指標であるロンドン金属取引所(LME)の相場水準を大きく下回る状態が続いている。
 「今年に入っての中国の輸入量は異常ですよ」。市場関係者は口をそろえる。
 2007年の中国の銅消費量は430万トン程度と予測されている。これに対して供給は国内生産量が330万トン。輸入で残りの100万トンを補う形が想定され、需給はほぼ均衡するはずだった。
 ところが、ふたを開けてみると、今年に入っての中国の銅輸入ペースは市場予想をはるかに上回る勢い。1~6月の輸入量は89万~90万トン。生産と消費の量はほぼ市場予想通りのペースだったため、「半年で既に20万トン前後の供給過剰になっている」との声も聞かれる。
 中国国内の需給緩和により、LME相場と上海相場の格差が拡大している。25日時点のLME銅3カ月先物相場は1トン7778ドル。上海相場の期近をドル換算し、輸入税などを省くと約7390ドル。上海相場が390ドル程安い計算になる。
 中国には需給が大幅に緩和していても輸入をやめられない理由がある。近年の非鉄価格上昇を見て、中国の輸入業者は自由貿易協定(FTA)を締結するチリなどの生産会社と長期契約を結んでいる。そのため、どんなに国内需給が緩くても決まった量を引き取らなくてはならない。
 輸入業者はLME相場を基準とした価格で銅地金を買い、中国内ではほぼ上海価格で売る。また、中国内の製錬所はLME相場に連動する価格で原料を買い、生産した地金を上海価格で売る。市場間の価格差により、現地の輸入業者や製錬所は多額の損失を被っている。
 とはいえ、市場原理としてはLME価格と上海価格、つまり国際価格と中国内価格は最終的には同水準に収れんしていく。市場の話題は「それがどうやって起こるか」だ。足元では2通りの予測が出ている。
 1つは輸入業者の収益悪化で長期契約の履行が不可能になり、輸入が激減する。もう1つは経営体力のない製錬所の減産や操業停止だ。どちらも中国市場への供給を絞り、国内相場を押し上げる材料となる。
 現時点ではこうした事態が起こりうるのか不明だが、銅市況を読む上で注視すべきポイントの1つといえる。

◎中国当局・FBI、偽ウィンドウズ販売で25人逮捕(2007年7月25日、朝日新聞)
 中国公安省は24日、米連邦捜査局(FBI)と合同で、上海や深センにあるパソコンのマイクロソフトの基本ソフト(OS)の偽造工場を捜索、偽造ソフト約7万枚を押収し、偽造団のメンバー25人を逮捕したと発表した。米国などで中国製偽造ソフトによる著作権侵害が深刻化する中、中国当局は対策に力を入れていることをアピールする狙いがあるとみられる。
 公安省とFBIは今月上旬、上海に本拠地がある偽造団の6カ所の工場を捜索。マイクロソフト社のウィンドウズ・ビスタやXPなどの偽造ソフトのほか、偽の証明書約23万通と説明書約6万枚なども押収した。米国やカナダ、オーストラリアなどで、正規品の約10分の1の価格で売りさばかれていたという。

◎中国やらせ報道、高まる視聴率獲得圧力、チェック制度未確立(2007年7月21日、産経新聞)
 北京の段ボール紙を混ぜた肉まん販売の報道は「やらせ」と発覚、中国製食品の安全性に関心が高まる中、「偽食品についての偽報道」は二重の衝撃となった。市場経済の波がメディアにも押し寄せ、制作側に視聴率獲得の圧力が高まる一方、先進国ほどチェック制度が確立していないことが背景にある。

・焦り
 「NHKと違い受信料収入はなく、民放同様激しい視聴率競争がある」
 やらせ事件を起こした北京テレビに勤める記者はこう説明する。広告収入が上がるよう視聴率を取れる番組が求められている。
 中国紙、新京報によると、でっち上げに至る経緯はこうだ。
 同テレビに以前、視聴者から紙くずを混ぜた肉まんが売られているとの電話通報があり、身近な話題を取り上げる「透明度」という番組の今年6月の制作会議で、担当記者が番組で取り上げることを提案した。
 しかし、この記者は十数日間、市内を歩き回ったが問題の肉まんは見つけられず、既に提案したことへの焦りもあり、身分を労働者と偽って露店主に段ボール肉まんをつくるよう依頼。今月8日に報道した。

・2つのベクトル
 記者は臨時スタッフとして同テレビで働き始めたばかりで、成果を挙げて名前を売りたかったという。一般にニュース1本の制作で5000元(約8万円)程度の報酬があるため、同紙は報酬への欲求もあったと指摘した。
 かつては完全に政府のプロパガンダ機関だった中国メディアは、改革・開放路線で独立採算制となり、今は「政府の宣伝機能と市場原理という2つのベクトル」(北京テレビ記者)の間で揺れている。政治・言論面の報道規制は依然厳しいが、社会・生活面ではかなり自由度が高まった。
 ここ数年は大衆受けする調査、告発報道も急激に増えた。しかしフリージャーナリストの安替さん(32)は「視聴率に敏感になる一方で、まだ米国のような、やらせを防止する厳格なチェック制度はメディアに確立していない」と断言。局内の管理者も自分に調査報道の経験がないから放送前に視聴してもやらせを見抜けないと分析する。
 一方で、番組制作の外注は激増しているが、きちんとした雇用契約もなく、収入が不安定な外部スタッフも多いという。

◎「段ボール肉まん」やらせ、捜査結果もウソ?北京市民「疑心暗鬼」(2007年7月20日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国の北京テレビが特ダネとして報道した「段ボール入り肉まん」事件が実はテレビ局のアルバイトスタッフによる「やらせ」報道であったことが北京市当局の捜査で判明した。ニセ飲料水などニセモノ食品が氾濫(はんらん)するうえ、報道もニセモノという状況に、市民の間には「北京市当局の捜査結果もウソではないか?」といった疑心暗鬼が広がっている。
 18日夜、北京テレビが説明した経緯によると、同テレビ報道番組「透明度」(8日)で最初に放送した、水酸化ナトリウム水溶液漬けの段ボールをまぜた肉まんの製造過程の映像は、番組制作チームのアルバイトスタッフが、出稼ぎ者4人に作り方を教え、家庭用ビデオで撮影、編集したやらせ映像だった。放送後、北京市工商当局、公安当局が合同で捜査した結果、報道を虚偽だとしてアルバイトスタッフを拘束した。京華時報(19日付)によれば、加担した4人の出稼ぎ者も拘束されているという。
 「透明度」はタレコミ情報をもとにした盗撮で構成される暴露番組。このアルバイトスタッフはこれまでもしばしば高視聴率を稼ぐネタを持ち込み、特に問題はなかったという。
 一方、市民の間にはメディアへの不信と同時に、新型肺炎が蔓延(まんえん)した2003年に報道統制により事実を隠蔽(いんぺい)した“前科”がある北京市当局に対する疑心暗鬼も広がっている。
 インターネットの人気の言論サイト強国論壇には「少なくとも段ボール肉まんが存在するかしないかの結論は出ていない」「ちょっと様子をみてみよう。この事件はまたどんでん返しがないとも限らない」「(北京市の当局者は)成績のためなら、真実も黒く塗りつぶしてウソにする」といった声が寄せられている。

◎不正生む共産党「価値観の真空」、中国・有害物質入り産品(2007年7月20日、産経新聞)
 【ワシントン=古森義久】米国で中国社会研究の権威とされるプリンストン大学のペリー・リンク教授は18日、中国での有害物質入り産品の問題は、中国共産党が長年にわたってもたらした「価値観の真空」から生じる腐敗、不正の結果だとする見解を発表した。
 リンク教授は中国の毛沢東主席主導による「反右派闘争」の50周年を記念し、同闘争の犠牲になった言論人や学者らを招いてプリンストン大学でこのほど開いた学術会議の模様を報告しながら、この見解をワシントン・ポスト18日付に寄稿論文として載せた。
 同論文は反右派闘争の犠牲者の一人、劉賓雁氏の「中国には共産党が宣言する『真実』と農民の生活から生まれる真実との二つがある」という言葉を引用し、二つの「真実」が存在するというギャップが、「価値観の真空」、さらには偽善を生むようになったと述べた。同論文はさらにこの偽善が「中国社会に腐敗、不正、ペテンを長年、はびこらせ、最近、明るみに出たペットフード、医薬品、歯みがきなどの有害汚染の土壌」となったという見解を強調した。
 リンク教授はこの「二つの真実」や偽善の実例として、中国共産党は毛沢東主席の巨大な肖像画をなお天安門に掲げ、「社会主義」の標語を最優先させているが、現実には資本主義の拡散を許し、政治的に従順でさえあれば、経済的にはなにをしてもよいという風潮を生んだ、と指摘している。
 1956年後半から始まった中国の「反右派闘争」では、共産党の政策を少しでも批判する知識人ら合計五十数万が「右派」のレッテルをはられ、弾圧された。

◎ロシア人と中国人住民が大げんか、ハバロフスク(2007年7月20日、産経新聞)
 【モスクワ=遠藤良介】インタファクス通信によると、ロシア極東ハバロフスクのアムール河岸で18日夜、ロシア人と中国人住民による少なくとも数十人規模の衝突が起き、ロシア人4人が刃物で切られ重軽傷を負った。地元当局は中国人約20人を拘束した。
20人拘束、ロシア人4人重軽傷
 人口減少に悩むロシアの極東部には、中国からの出稼ぎ労働者が大量に流入している。政治レベルでは中露の友好演出が進むが、住民レベルでは中国人に対する複雑な感情がある。

◎段ボール肉まん告発、やらせ、北京TV謝罪「虚偽報道」(2007年7月19日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国の北京テレビは18日夜、同テレビ局が特ダネとして報道した「段ボール入り肉まん」報道が、アルバイトスタッフによる「やらせ」であったことを認めた。テレビを通して視聴者に「虚偽報道し、悪質な社会的影響を与えた。社会に深くおわびする」と謝罪した。
 この報道は8日、北京テレビ番組「透明度」で初めて放送された。水酸化ナトリウム水溶液につけた段ボールと豚肉のミンチを6対4の割合でまぜて肉まんを作り、同市朝陽区で販売している様子を販売員らのインタビューなどを交えて生々しく報道した。しかしそれらは、アルバイトスタッフが自ら段ボールなどを持ち込み、出稼ぎ労働者4人に指示してやらせ、ハンディビデオカメラで撮影、編集していたことが判明した。
 この報道は、中国中央テレビなども後追い報道し、さらに日本を含めた海外メディアも相次いで報道。国際社会からの反響も大きかったため、北京市当局が捜査に乗り出していた。警察当局はアルバイトスタッフをすでに逮捕。北京テレビはこの虚偽報道を受け、「教訓をくみ取り、管理をさらに強化し、虚偽報道を断固根絶する」と、関係者を厳重処罰する方針を示した。
 中国の食品安全問題は国内外で非難されているが、捏造(ねつぞう)報道の発覚により、今度は報道の信憑性も問われることになりそうだ。

◎115年間で最大の集中豪雨、36人死亡、中国・重慶(2007年7月19日、朝日新聞)
 新華社電によると、中国内陸部の重慶市では16日以降、115年間で最大の降雨記録となる歴史的な集中豪雨が続き、18日までに36人が死亡し、11人が行方不明となった。同市は昨夏、100年に1度とも言われる深刻な干ばつに見舞われており、2年連続で厳しい自然災害に直面した形となった。
 重慶市に隣接する四川省でも豪雨が続き、7月に入って54人が死亡、22人が行方不明。国務院(中央政府)は18日、こうした事態を受け、水利、民政、財政、衛生各省から成る緊急対策チームを重慶・四川の被災地区に派遣した。

◎中国上半期のGDP11.9%、インフレ懸念する声も(2007年7月19日、朝日新聞)
 中国国家統計局は19日、07年上半期(1~6月)の国内総生産(GDP)の実質成長率(速報値)が前年同期比11.5%だった、と発表した。第2四半期(4~6月)は同比11.9%だった。公共投資や民間の設備投資は活発で、旺盛な輸出で過去最高を更新中の貿易黒字が景気を牽引(けんいん)する状況が続いている。
 急激な株高を懸念した中国政府は株取引にかかわる印紙税率の引き上げなどの対策を打ち出し、株式市場は落ち着きを取り戻している。ただ、資金は再び不動産投資に向かいつつあり、住宅価格が値上がりしている。
 また、伝染病をきっかけとしたブタ肉の値上がりなどで上半期の消費者物価が前年同期比で3.2%上昇した。人民元の値上がりを抑える目的で中央銀行が続けている元売りドル買い介入は、市場に流通する通貨(人民元)の量を過剰にしており、インフレを懸念する声も出ている。

◎中国:経営者に懲役9年の実刑判決、れんが工場虐待(2007年7月17日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中国山西省のれんが工場で農民が強制的に働かされ、虐待されていた事件で、傷害や拘禁の罪などに問われた工場経営者の王兵兵ら5被告に対する判決公判が17日、同省臨汾市中級人民法院(地裁)で開かれた。新華社通信によると、王被告に懲役9年▽工場監督者の衡庭漢被告に無期懲役▽労働者1人を暴行して殺害した看守の趙延兵被告に死刑▽その他の2被告に懲役2年--の判決が言い渡された。
 5月に事件が発覚してから約1カ月半で処分や判決が下される「スピード解決」となった。胡錦濤政権には、事件が社会不安や不満の拡大を招くのを抑えたい意図があるとみられる。
 同法院などによると、衡被告らは06年1月、経営者の王被告かられんが工場の監督を請け負い、無許可のまま、河南省や陝西省の駅などで知的障害者9人を含む農民31人をだまして工場に連行した。5被告は06年3月~07年5月末、労働者が逃走しないよう暴力を振るい、監禁した。生産量を上げるために1日14~16時間も働かせた上、焼き上がったばかりのれんがを搬出させて、労働者にやけどを負わせた。
 判決後、山西省高級人民法院(高裁)の劉冀民副院長は記者会見し、省内で他に同様の七つの事件で計29被告に対する裁判が行われたと述べた。子供を誘拐して労働させていた事件では、一部の被告に懲役5年の実刑判決が下されたという。

◎中国:薬草採りの縄張り争いで衝突、6人死亡、チベット族(2007年7月17日、毎日新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターの17日の発表によると、中国四川省甘孜チベット族自治州稲城県で13日、薬草採りの縄張り争いから隣接する二つの村の住民計500人が衝突、6人が死亡し約110人が負傷した。
 両村の境界線があいまいで、貴重な収入源であるキノコの一種、冬虫夏草を採る際、これまでも争いとなっていた。13日には一方の村の住民が銃や手りゅう弾を使って攻撃。武装警察が出動して事態の収拾にあたったという。
 稲城県は電話取材に対し「そのような事実はない」と否定した。

◎冬虫夏草巡り住民衝突、手投げ弾などで6人死亡、中国(2007年7月17日、朝日新聞)
 香港の人権団体「中国人権民主運動情報センター」によると、中国・四川省稲城県で13日、漢方の強壮剤として珍重される「冬虫夏草」の採取場所を巡り、地元のチベット系住民同士が衝突し、一方が手投げ弾を使うなどして6人が死亡、100人以上がけがをした。
 同県坡郷の住民が手投げ弾や歩兵銃を使って桑堆郷の住民を攻撃したという。武器の入手経路は不明。1000人以上の武装警察が現場に入り、暴徒らの行方を追っている。
 両郷の住民は以前から冬虫夏草をめぐって対立。住民は「県政府に再三調停を求めていたが、政府は対応しなかった」と批判しているという。

◎中国が輸出停止企業リスト更新、33社から52社に拡大(2007年7月17日、読売新聞)
 【北京=牧野田亨】中国の国家品質監督検査検疫総局は16日、食品の安全性に問題があるなどとして輸出停止措置をとった国内企業のリストを更新し、10日発表の33社から52社に拡大した。
 日本向け輸出企業も11社から15社に増えた。
 日本向けでは新たに、福建省の冷凍食品会社が輸出したニンジンから日本の基準量を上回る農薬が検出されるなどした。

◎北京市が偽肉まん検査(2007年7月16日、産経新聞)
 16日付の中国各紙によると、豚肉の代わりに段ボール紙を混ぜた偽肉まんが見つかったことを受け、北京市当局は11日から14日にかけて市内23カ所の露店を立ち入り検査した。紙など違法な原料を使った肉まんは見つからなかった。
 地元テレビ報道が暴露した偽肉まんは、豚肉が高騰したため露店主が段ボール紙を肉に混入。偽肉まんを販売した露店主は逃走しているという。

◎中国:大気汚染に抗議、住民が警察と衝突、5人拘束(2007年7月14日、毎日新聞)
 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは13日、四川省峨眉山市で、アルミニウム精錬工場による大気汚染事故に怒った住民が警察部隊などと衝突、10人が負傷したほか、5人が拘束されたと発表した。
 センターによると、精錬工場で6月24日、有毒物質が大気中に漏れ出す事故が発生し、住民は「農作物が被害を受けた」と工場側に賠償を要求。工場がこれを拒否したため、住民が7月10日に周辺道路を封鎖するなど抗議行動を起こし、衝突に発展した。有毒物質の成分、具体的な被害状況は不明。

◎中国、土地の違法利用深刻、随・唐遺跡がゴルフ場に(2007年7月13日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国の徐紹史国土資源相は12日記者会見し、違法な土地利用に関連した贈収賄事件の調査結果を発表した。古代の遺跡の上にゴルフ場を建設するなど、利益目当ての乱開発が目立った。
 発表によると、今年1~5月の間だけで農地の不正収用など土地の違法利用で調査した事件は2万4245件に達した。一方、土地開発にからみ2005年8月から今年5月までに贈収賄事件として摘発したケースは98件、4330万元(約7億円)にとどまった。
 土地の違法利用の中には、龍門石窟などで知られる河南省洛陽市で、開発業者が隋、唐の時代の遺跡を含む約35ヘクタールを「植物生態園」の建設名目で借り、ゴルフ場を建設していたケースもあった。周辺は1980年代に保護区に指定されていたが、業者は遺跡と認識していたにもかかわらず開発したとみられる。
 また、北京市では約66ヘクタールの農地が違法に競馬場用地として貸し出されていたほか、浙江省平湖市でも農地を含む75ヘクタールが違法に収用され、ゴルフ場が建設された。
 北京五輪を控え、開発ブームにわく中国では、官民が癒着して農地を安い補償金で収用、開発する問題が各地で発生しており、農民による抗議行動の一因になっている。
 徐国土資源相は会見で「地方政府の中には土地の違法利用を黙認、もしくは背後で操っているところもある」と地方の腐敗ぶりを非難した。

◎「偽肉まん」は、豚肉と段ボールの割合が4対6、中国(2007年7月13日、朝日新聞)
 中国産の食品や薬品に対し各国で不信感が高まる中、中国の国内に流通する食品からも相次いで「偽物」が見つかっている。地元メディアの報道で次々と暴露され、市民の不安は高まっている。
 どろどろに溶かした段ボールの固まりをひき肉に練り込んでいる隠し撮り映像が、11日、北京テレビのニュースで流された。豚肉と段ボールは4対6の割合。香料を足して10分ほど蒸すと「偽肉まん」ができあがる。放送後、インターネットの掲示板には「何を信じて食べればいいのか」などの書き込みが殺到した。
 水道水が飲用に適さない北京では、大型ボトル入りの飲料水を家庭や会社で飲んでいるが、地元紙・京華時報によると、北京市内で売られている大手4社の飲料水が年間約1億本であるのに対し、実際に流通している4社の銘柄入り大型ボトルは約2億本あった。
 中国中央テレビによると、河南省では約1万3000本の偽ワインが見つかった。水で半分以上薄めて香料を加えており、価格は本物の5分の1程度だった。

◎欺瞞!!中国の食品、肉まんの中身は「段ボール」(2007年7月12日、産経新聞)
 【北京=福島香織】11日の北京テレビによると、北京市朝陽区のヤミ食品工場が、豚肉ミンチに古い段ボールを溶かしたものを加えてつくったあんで肉まんを製造していた。インターネット上では北京市民らから「もう街角で肉まんは食べられない!」との悲鳴が上がっている。日本ではミートホープの食肉偽装事件が大問題になったが、中国のニセ食品はより大胆だ。
 北京テレビ記者が、ヤミ食品工場に潜入取材、生々しい映像とともに報道した。
 ヤミ工場関係者の説明によると、古い段ボールを水酸化ナトリウムに浸し、溶かしたあと40%の豚肉、葱(ねぎ)をまぜ、豚肉味の香料など調味料で味付け、肉まんにして毎朝街角で売っていたという。色といい、食感といい、本物との見分けはつかず、このヤミ工場では毎日1000元(約1万6000円)分前後の肉まんを売りさばいていたという。関係者によれば、全国の肉まんヤミ工場がみなこのニセ肉まんの作り方を知っているとされる。
 中国では昨今、豚の感染症流行の上、世界的なトウモロコシの値上げで豚の飼料も高騰したため、養豚をやめる農家が激増、豚肉不足に陥り豚肉価格が高騰。このため、病死した豚の肉や水を注入した「水増し豚肉」が市場に普段より多く出回っていることに注意が喚起されていた。

◎携帯充電池、4割品質基準満たさず・中国広東省(2007年7月5日、日本経済新聞)
 中国広東省工商行政管理局は省内で流通する携帯電話機用充電池の品質調査で4割が基準を満たしていなかったと発表した。中国では甘粛省で携帯電話機の充電池が突然爆発、1人が死亡する事故が起きたばかり。充電池の安全性に対する消費者の不安が募っている。
 同管理局が市場で流通している充電池のうち、任意に集めた40種類の安全性能を調べた。問題のあった16種類の充電池には「ノキア」「モトローラ」の携帯電話機専用の充電池も含まれていた。いずれも安全保護機能が不十分で、過剰充電や過剰放電で発火や爆発する可能性があるという。
 ノキアやモトローラの携帯電話機は中国市場でシェア1、2位の人気製品。日本人を含め、中国で暮らす外国人も多く使っている。今回、問題となった充電池はメーカーの正規品でない可能性もあり、同管理局では「できるだけ正規品を選んで使ってほしい」と注意を呼びかけている。

◎報復? 干しブドウなど米国産食品相次ぎ不合格、中国(2007年6月30日、朝日新聞)
 中国政府は米国産の輸入食品に対して、安全検査を強め始めた。干しブドウ、カシューナッツなどについて、虫や大腸菌の混入を理由に中国の基準に「不合格」だとして廃棄し、輸入を差し止めた。中国メディアは、山東省青島で輸入した米国産栄養剤から基準値を超える鉛が検出された、とも報じた。
 中国は、先進国における安全規制の強化を貿易摩擦を背景にした中国製品の輸入規制と受け止める向きが強く、米国への対抗措置といえる。中国産歯磨き粉の問題では「人体の健康に影響はない」(中国政府)、「いわれなき批判で損失1000万ドル」(中国業界団体)と反発している。
 中国政府は昨年、日本の食品の残留農薬規制の強化に伴い、中国産品から不合格が続出した際も、日本産輸入品の摘発を続けた。

◎中国、労働者の権利保護を強化へ 雇用の長期化促す(2007年6月30日、朝日新聞)
 中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)の常務委員会は29日、雇用契約の長期化を促すなど、労働者の権利保護を強化した労働契約法案を可決した。08年1月から施行する。
 中国では、山西省で明らかになった未成年者の強制労働など、正規の契約を結ばない雇用が横行し、労働者の保護が急務とされてきた。ただ、安い賃金を競争力としてきた企業には、負担となりそうだ。
 法案によると、働き始めてから1カ月を過ぎても書面契約を結ばない雇用主は、月給の2倍の割増賃金を支払わなければならない。また、同じ企業で勤続10年を超えたり、期限付き契約を2度更新したりした場合、労働者が希望すれば、基本的に無期限の雇用契約を結ぶことも義務づけた。派遣社員であっても、正社員と同じ仕事をした場合は、同じ賃金の支払いを受け取る権利がある、とした。また、労働者の権利に影響する社則の変更は、組合と協議するよう求めている。
 中国では労働契約を結んでも1年更新の企業が多いため、「安定に欠け、労働者の権益に深刻な影響を与えている」(全人代広報担当)として、雇用主に契約の長期化や退職時の補償金の支給を促す

◎中国、労働契約法を採択、労務コスト上昇へ(2007年6月30日、読売新聞)
 【北京=寺村暁人】中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は29日、労働者の権利保護を強化した「労働契約法」を採択した。対象は外資系企業を含み、来年1月1日に施行する。
 中国では現在、契約期間の終了時に退職金を支払う必要はないが、同法施行後は「経済補償金」の支払いが義務付けられる。また、20人以上の人員削減を行う場合、労働組合か従業員の意見聴取と、当局への報告義務を盛り込んだ。
 さらに、連続して期限付きの雇用契約を行ったあと、再び契約する場合は無期限の契約にする必要が生じる。日系企業などにとっても「人員調節が難しくなるほか、労務コストも確実に上昇する」(メーカー人事担当者)見通しで、各社は対応に迫られそうだ。

◎中国、外資の審査強化へ、国内企業合併・買収時に(2007年6月29日、朝日新聞)
 中国政府は、外資が中国企業を合併・買収する際に、国家の経済安全保障の審査を強化する方針を固めた。28日も開会中の全国人民代表大会常務委員会で審議中の独占禁止法案に、国の安全保障審査の条文を付け加えた。具体的な規定は今後、詰める。
 現状の規定では、外資の合併・買収が重点産業にかかわり、国の経済安全保障に影響を与える可能性がある場合や有名商標、老舗(しにせ)屋号を持つ国内企業の支配権が外資に移転する場合は商務省に届け出て、承認を受ける必要がある、とされている。法案審議の過程で、経済の安全保障に影響を与える条件などがあいまいだとして、規定を具体化したうえで審査を行うべきだ、との主張を受けて、規制を強化する。
 国営新華社通信によると、04年以前は合併・買収による外資の投資は、海外からの直接投資の約5%だったが、05年には2割に近づいた、という。米投資ファンドによる建設機械会社の買収に強い反対が出るなど、外資に対して誘致だけでなく、排斥する動きも表面化し始めた。

◎中国の国有石油大手会長が辞任、不正容疑で取り調べ報道も(2007年6月27日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】中国の国有石油大手・中国石油化工(シノペック)は26日までに、同社の陳同海会長が「一身上の理由」で辞任したと発表した。
 中国系香港紙・大公報は同日、陳氏は、不正を働いた疑いで関係部門の取り調べを受けていると報じた。
 不正の具体的な内容は不明だが、上海を舞台にした汚職に関与した疑いが浮上しているという。
 陳氏の後任には、蘇樹林・前遼寧省共産党委員会常務委員が就任する見通し。陳氏は2003年から同社会長を務めていた。

◎中国北部、8年続く異常干ばつ、五輪への影響も懸念(2007年6月26日、朝日新聞)
 中国北部で干ばつが深刻化している。北京の天安門広場では5月26日に最高気温が39度に達し、56年ぶりの高温を記録。異常な干ばつはこの8年間続いており、慢性的な水不足と砂漠化に拍車をかけている。来年夏に予定される北京五輪で、熱中症などの影響が出るのではないかと政府が危機感を高めている。
 北京から南西に約70キロ離れた河北省黄家屯村。前が見えないほどの砂ぼこりが舞い、芽生えたばかりの落花生は砂で根元が黄色くなっている。村民の話では、近くを流れる川は10年ほど前に枯れ、地下水も数年で底をつく恐れがあるという。
 「家の井戸も枯れてきた。これ以上深く掘るのは不可能だ。どう暮らしていくのか」。小麦で生計をたてる村の男性(58)は肩を落とした。
 中国北部の干ばつは8年連続で発生している。国家洪水干ばつ防止事務室によると、5月末時点で被害面積は約15万平方キロメートル。約900万人に影響が出ている。
 砂漠化も進み、政府部内での報告によると、中国北部の砂漠の総面積は約60万平方キロメートルに及ぶ。90年代末から毎年約3500平方キロメートルずつ増え、砂漠が北京市内から約70キロのところまで迫っている。
 水不足も悪化の一途だ。地表水はほぼ無くなり、北京から800キロ以内の主な河川は干上がった。大部分を地下水に頼っているが、300~400メートルまで掘らないと水が出ない状況だという。
 中国環境科学学会の魏復盛副会長は、過度の地下水採取がさらに地表を乾燥させていると指摘。「地球温暖化により干ばつの悪化が予想され、黄砂の発生や砂漠化を進行させる」とみる。
 来年8月に開催が迫った五輪への影響も懸念される。マラソンなどの屋外競技で熱中症などの被害が出る恐れがあり、国家体育総局陸上競技管理センターは道路脇のスプリンクラーの設置や救護所の増設を検討中だ。それでも、根本的な解決策にはならないという。

◎少年1000人を強制労働、中国山西省のれんが焼き工場(2007年6月14日、朝日新聞)
 14日付の中国紙・新京報などは、中国河南省鄭州市から1000人以上の少年が山西省にある闇のれんが焼き工場に連れて行かれ、強制労働させられていると伝えた。少年は食事を十分に与えられず、1日14時間以上も労働し、少しでも怠けると、頭から流血するほどれんがで殴られる過酷な状態に置かれているという。
 少年は鄭州市の駅などでだまされ、れんが工場の集中する山西省臨汾市や永済市に連れて行かれ、500元(約8000円)で売られた。最年少は8歳で、7年間働かされた少年もいた。
 自分の子供が悲惨な労働を強いられている父親約400人がインターネット上で救出を求めたのを契機に、河南省政府は事態を重視し、公安当局も行方不明者の実態把握や誘拐犯罪組織について捜査を本格化している。このネットには6日間で58万件のアクセスがあるなど、反響が広がっている。(時事)

◎偽ヤマハ・オートバイ、中国で1億2500万円賠償命令(2007年6月12日、読売新聞)
 ヤマハ発動機は12日、オートバイを製造・販売する中国の4社が「YAMAHA」などの登録商標権を侵害したとして損害賠償などを求めた訴訟で、中国の最高人民法院(最高裁)がヤマハ発側の主張をほぼ全面的に認め、4社のうち3社に約830万元(約1億2500万円)の支払いなどを命じたと発表した。
 中国での商標権侵害を巡る訴訟では、過去最高の賠償額とみられるという。
 ヤマハ発によると、浙江華田工業有限公司は、2000年に日本で設立されたヤマハ発とは関係のない「日本雅馬哈(やまは)」という会社と商号使用許諾契約を結び、「日本YAMAHA株式会社」などと記したロゴを付けたオートバイを中国国内で製造。ほかの2社は販売を行っていた。
 3社は、損害賠償のほかに中国のオートバイ専門誌での謝罪広告の掲載なども命じられたという。

◎中国での二輪車商標訴訟、ヤマハ発動機が勝訴(2007年6月12日、日本経済新聞)
 【北京=尾崎実】自社の商標を無断で使用されたとして、ヤマハ発動機が中国の二輪車メーカーなど計4社を相手取り、損害賠償などを求めた訴訟の判決が、12日までに最高人民法院(最高裁に相当)であった。同法院は商標権の侵害を認め、中国メーカーなどに約830万元(約1億3000万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。
 ヤマハ発動機によると、中国企業を相手取った二輪車の商標を巡る訴訟では過去最高の賠償額。「中国での訴訟であいまいだった損害額の算定根拠を明確にし、多額の賠償を認めた。抑止効果が期待できる画期的判決」(日本貿易振興機構北京センター)という。

◎中国南部で洪水、66人死亡し897万人が被災(2007年6月11日、朝日新聞)
 国営新華社通信によると、湖南、広東、福建各省など中国南部で大雨による洪水が発生し、10日夜までに66人が死亡、897万人が被災した。
 民政省によると、家屋は4万8000棟が倒壊したほか、損壊は9万4000棟にのぼる。大雨は6日から降り始め、一部地域で大規模な洪水、土砂崩れ、土石流災害が起きた。

◎【円・ドル・人民元 通貨で読む世界】中国の暴走抑制に道筋(2007年6月10日、産経新聞)
 頻発する海外での中国製食品の有害物質混入の露見は、歯止めがかからない環境破壊と同じように、共産党官僚による13億人の統治システムが限界にきていることを暗示している。水や空気に加え食の安全確保は政治の基本なのだが、それを実現できないなら、体制が独裁的であろうと民主的であろうと政治支配者の正当性が問われる。
 北京指導部はそんな危機感を持っているのだろうが打つ手は相変わらず、中国の古いことわざにある通り「殺鶏嚇猴」(鶏を殺して、猿を脅かす)。だが、責任者だった国家食品薬品監督管理局の前局長を収賄罪で死刑にしようと、事態が改善するかどうか党中央のスーパー・エリートですら不安にさいなまれている。
 知り合いの北京の教育官僚は一切外食しない。昼食も30分以上かけて自宅にもどってとる。奥さんが厳選した安全な食材を料理する。家族をごっそり東京に移住させ、本人には逆単身赴任の北京エリートもいる。
 チャイナ・リスクとは予測がつかないことにある。古代中国の思想家、荘子の格言「成即毀(成れば壊れる)」は中国史そのものである。今の二けた成長の裏側をみれば、明らかに分裂、崩壊の危機の芽が多岐にわたって膨らんでいる。その危機がいつどこでどんな形に展開するのか、判断材料すらない。
 市場も環境もグローバル化した今、このリスクは中国に暮らす人々のみならず、日本など近隣アジア、さらに全世界を襲う。少なくても民主政治で、司法、立法、行政が分立し、幅広く多様な有権者の意見が政治に反映するなら、政治の先行きは予測できる可能性が高いが、北京では政治改革の動きすら封じられている。
 チャイナ・リスクをどう管理するか、という観点で考えると、今回の主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)で果たした日本の役割には意義がある。安倍晋三首相は渋るブッシュ大統領を説得し、米国に日本、欧州、カナダの合意を尊重し、長期的な目標を設定することを受け入れさせた。この合意をもとに米国と並んで中国、インドなど京都議定書に参加していない世界の二酸化炭素(CO2)排出量の4割以上を占める主要排出国が参加できる枠組みをつくる道筋を付けた。さらにサミットでは安倍首相の呼びかけで、知的財産保護の分野で模倣品や海賊版対策に関する多国間の枠組みを定めた新条約締結に向け、議論を加速させることでも一致した。
 中国関連合意は環境、知的財産権と分野が限定されているが、国際的なルールの枠組みの中に中国を引き込み、いわば多国的な「外圧」により、中国の暴走を抑えてゆく。日本、欧州、ロシアとも同意できたこと自身が、中国に対する強力なメッセージになる。特定国による外圧はナショナリズムからくる反発を呼ぶが、多国間の枠組みによる強制力は、「国際社会との調和」をめざす中国の指導部にとっても受け入れやすいはずだ。1990年代末、当時の朱鎔基首相は世界貿易機関(WTO)加盟に際し、国際的なルールという大義を使って国有企業改革を断行した。安倍首相の活躍を演出した日本外務省が中国を国際的な枠組みに追い込む意図を露骨に示すことは対中外交上まずいだろうが、サミットはこれから日本がとるべき対中国戦略の先駆けになった。(編集委員、田村秀男)

◎建設中の上海ヒルズ、400メートル突破、強風でも快適(2007年6月5日、読売新聞)
 【上海=加藤隆則】上海・浦東新区に森ビルが建設中の101階建て超高層複合ビル「上海環球金融中心」(高さ492メートル)が400メートルを突破、5日、90階部分が日本メディアに公開された。
 同階には強風対策として、150トンの重りをつり下げた「制振装置」2基を設置。風の加速度を40%軽減でき、「世界で最も厳しい日本の振動基準を満たした」(萩野谷昭二・同ビル副総経理)という。また、風の逃げ道を作るため、上層部は大きな台形の形にくりぬくデザインだ。
 9月に上棟、来春に完工の予定。アンテナなどを除いた軒高442メートルは、米シカゴのシアーズタワーを抜いて世界一の高さとなる。オフィス、ホテルのほか100階に世界最高の展望台を設置、94階にエレベーターによる自動車搬入も想定した展示スペースを設ける。
 同社は昨年11月、ビルプロジェクトの総称を「上海ヒルズ」(上海秀仕)と発表。ところが市当局から「名称の届け出がない」と抗議を受け、以来、「ヒルズは愛称。今後、漢字表記は用いず、英語表記のみ使用する」としている。

◎中国:「ニセモノ天国」続く、地方経済の中核に(2007年5月31日、毎日新聞)
・中国・長江デルタ地域の地図
 映画や音楽ソフトの海賊版など知的財産権保護への取り組みが不十分だとして、米国が中国を世界貿易機関(WTO)に提訴したことを受け、WTO小委員会による審議が近く始まる。中国政府は偽ブランド取り締まりの努力を訴えているが、ディズニーなどに酷似したキャラクターがあふれる遊園地が非難を集めたように海外の目は厳しい。中国の市場は依然、「ニセモノ天国」の状況が続いている。【北京・大塚卓也、上海・大谷麻由美】
 中国政府は、偽ブランド商品や海賊版ソフトの最大の生産・流通拠点という汚名を返上するため、商標や特許など知的財産権保護にかかわる法律を次々と改正、「法律と執行制度はほぼ整った」と強調する。だが、中央政府でつくった法律も、地方政府など執行機関の末端に近づくほど徹底されていない。
 大きな要因と指摘されるのが、手口がますます巧妙化していることだ。日本や韓国の企業に被害が多い電器製品では、製造業者が偽物の商標を付けて出荷するのはまれだ。「正規に似せた『SONY』『Canon』などの偽商標が、流通段階で付けられて販売されている」(日本メーカー幹部)ため、違法業者の特定が困難という。
 「Panesonic」「Sanyou」など正規ブランドと微妙に違う偽商標品の場合、購入者が偽製品と分かって買っているため、当局もほとんど放置している。
 拍車を掛けているのが地方政府による「地元経済優先主義」だ。偽物の製造業者が地域経済の中核を担い、雇用を抱えているほか、税収源になっている例も多い。「中央の号令も省以下の地方政府では形骸(けいがい)化している」(日本貿易振興機構北京センター)という。特に上海周辺の華東地区や、広東省などの華南地区など一大拠点とされる地域では「『偽物』がすでに産業構造に組み込まれている」との指摘もある。

◇取り締まり来たら隠す--上海の偽ブランド店街
 上海・浦東新区の上海科学技術館地下にある商店街「亜太盛匯」。バッグや財布を売る小さな店がにわかに騒がしくなった。「(市の監督機関)工商局が検査に来る」。地方出身の女性たちが有名ブランドのルイ・ヴィトンやシャネル、コーチの偽ブランド品を奥の部屋に隠し始めた。当局による取り締まりは以前より頻繁になったが、乗り切るのは難しくない。
 亜太盛匯に偽ブランド店が急増したのは昨年7月以降だ。ガイドブックにも紹介されていた市内の偽ブランド街・襄陽市場が昨年6月末に閉鎖されたが、偽ブランド品の店主たちは亜太盛匯などに引っ越して商売続行中だ。客引きが日本人客に「トケイ、ヤスクスルヨ」と声を掛けてくる姿に変わりはない。
 カラフルなデザインのナイロンバッグが人気の米国のブランド「レスポートサック」は4月、上海の繁華街に専門店をオープンした。だが、上海では広東省広州製の偽バッグが数年前から売られ、亜太盛匯にも1年前に登場した。値段は10分の1以下。売り子は「こちらの売り上げには全く影響ない。困っているのはあちらだろうね」と意に介さない。

◇民族系国産車の外観、外車とうり二つ--GMは静観
 日本貿易振興機構北京センターの経済視察団に同行し、今月中旬、安徽省蕪湖市の自動車メーカー、奇瑞汽車本社を訪ねた時だ。車体組み立て工場入り口に並ぶ展示車両を撮影しようとしたところ、説明役の職員が「工場内は一切撮影禁止です」と制止した。
 当初は工場の生産ラインを見学できる予定だったが結局、販売計画を聞かされただけ。視察団の一人は「自信のなさの表れでしょう」とつぶやいた。
 中国には日米欧などの世界的有力メーカーの技術供与を受けて合弁生産する第一汽車、上海汽車など国営メーカーのほかに、90年代後半以降に地方政府などの主導で自動車生産に参入した「民族系」と呼ばれるメーカーが林立する。奇瑞はその筆頭格で、3月の販売台数は4万4568台と国内首位に立った。
 しかし、内実は海外の技術の「寄せ集め」の色彩が濃い。販売拡大の原動力になった小型看板車種「QQ」(03年生産開始)の外観は米ゼネラル・モーターズ(GM)の小型戦略車「スパーク」と、うり二つ。コピー車の典型例だが、最低価格を3万元弱(約44万円)と外資系競合車の半値程度に抑え、中流層ユーザーの人気を集める。
 当初、知財権侵害訴訟に発展するとの予想が多かったが、「QQ」の生産ラインは経営難を機にGM傘下に入った韓国・大宇から導入したとされ、GMは静観を続けている。エンジン生産ラインは米フォードの英国工場の中古ラインを購入し、その後、内製化したとされている。李立忠副社長は「生産設備は国内、海外から幅広く調達している」と説明する。
 奇瑞は米自動車販売会社と組み、08年から米国市場に乗用車を輸出する計画だったが、昨年破談になった。蕪湖市幹部は「品質水準が米社の要求に達していなかったのも理由の一つ」と認める。今後、民族系メーカーが日米欧などへの進出計画を本格化した場合、「知財問題」に再び火がつく可能性もある。

◇江蘇省と日系企業、「知的財産権」で組織
 「江蘇省は地方保護主義ではない。模倣品は撲滅する」。上海や江蘇省を含む長江デルタ地域に進出する日系企業・団体で構成される「上海知的財産権問題研究グループ」(加盟社数114社)と江蘇省の協力機構「ブランド保護連携フォーラム」が4月に設立された。同省南京市で開かれた総会で、省質量技術監督局の夏鳴局長はこう強調した。
 江蘇省のように地方政府が外資系民間組織と知的財産権保護に向けた組織を設立するのは珍しい。仇和・副省長は「知的財産権の保護事業は江蘇省の国際的イメージをアップさせ、経済全体の発展を促す」と述べた。
 長江デルタ地域に進出する日系企業は1万社を超える。中国最大の集積地であり、知的財産権の被害も集中している。省は知的財産権の保護活動を強化することで、投資環境を整備し、外資の一層の呼び込みを図る狙いがある。

◇昨年、3507人が有罪--政府、「氷山の一角」示唆
 中国政府は4月中旬に知的財産権侵害案件の取り締まり状況を発表し、公安当局などが昨年1年間に国内で押収した海賊版出版物などの数はCDなどの音楽ソフト4800万枚、雑誌110万冊、ゲームソフト379万枚余りに上ったと取り締まりの成果を強調した。知財権侵害で2277件を刑事事件として処理し、3507人に有罪判決が下ったという。
 ただ、具体的なケースや比較できるデータが不明確であるほか、取り締まりが氷山の一角に過ぎないことは政府自身が示唆している。国家知識産権局の尹新天報道官は記者会見で、北京、上海、深センなどの一部の商業施設では当局が偽ブランド販売禁止の通達を出したにもかかわらず、消費者がニセモノ商品を買い求めて来ることを例に挙げ、取り締まりの限界に理解を求めた。
 北京では、市政府が取り締まり強化姿勢を示しているが、「製造業者をつぶさない限り続く」(関係者)との指摘が多い。

◎中国:せき止め薬死亡で反論「原因はパナマ企業側」(2007年6月1日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中米パナマで昨年、中国産原料が含まれるせき止め薬を服用した100人以上が死亡したとされる事件があり、中国政府は31日、「原因はパナマ企業側にある」という調査結果を発表した。
 中国から輸出される食品、医薬品、鍋などの食器類などから人体に有毒な物質の検出が相次ぐなか、中国は信用回復のために急きょ調査結果を公表したが、自国に責任がないことを強調する姿勢に各国の消費者の不信はかえって強まる可能性がある。
 事件は昨年秋、せき止めシロップ薬を飲んだ多数の市民が死亡。米ニューヨーク・タイムズ紙は5月、原因は薬の原料として使われた中国製のグリセリンだと報じた。
 国家質量監督検験検疫総局の魏伝忠・副局長は会見で、江蘇省にあるグリセリン生産工場と、製品を輸出した北京の貿易会社の調査結果を発表した。貿易会社は03年、医薬品に使用できない工業用グリセリンをスペイン企業に1万キロ以上輸出した。その際、医薬品に使用できないことは通達したという。その後、スペイン企業がパナマ企業にこのグリセリンを輸出。パナマ企業が医薬品に使用できると偽って薬品原料にしたという。
 副局長は中国からの輸出の際、実際の成分を説明せず包装には別の製品名を表記した「規範の問題」があったと明らかにしたが、「主な責任はパナマ企業だ」と強調した。
 また、パナマなどでジエチレングリコールが含まれた中国製練り歯磨き2種類が見つかった事件もあり、魏副局長は「毒性の低い物質」として、大量に摂取しなければ問題はないとした。
 魏副局長は、中国製品の安全性に対する信頼が揺らいでいることについて「消費者の健康と安全を確保するため、政府の監督部門は更に厳格な管理を進める」と述べた。

◎「パナマの業者に責任」中国、有毒薬品輸出で釈明(2007年6月1日、朝日新聞)
 中米パナマ向けに輸出された中国産の風邪薬の原料と歯磨き粉から毒性物質が検出された問題で、中国の国家品質監督検査検疫総局は31日、調査結果を発表した。いずれも毒性のあるジエチレングリコールが含まれていたことを認めたが、「輸出企業は薬として使われるという認識はなく、偽造薬として販売したパナマの業者に責任がある」と釈明した。
 同総局の魏伝忠副局長が会見した。説明によると、北京の貿易会社が03年夏、15%のジエチレングリコールが含まれた「工業用グリセリン」をスペインの貿易会社に輸出。この際、スペイン側には医薬品に使用できないことを説明したというが、さらにパナマに輸出され、同国の業者が「薬用純正グリセリン」と改ざんして販売。これが風邪薬に使われ、100人が死亡したという。
 歯磨き粉は、江蘇省の化学工場が製造したもので、同じくジエチレングリコールが含まれていた。同総局は「ジエチレングリコールの毒性は低く、少量含まれた歯磨き粉を使用した場合の人体への影響は因果関係がわからない」と説明した。

◎せき薬死亡、原料輸出の中国・副局長「原因はパナマ側に」(2007年5月31日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】中米パナマで昨年、中国産毒性原料を含むせき止め薬を服用した人が多数死亡、中国の医薬品、食品への信用を失墜させた事件で、中国国家質量監督検験検疫総局の魏伝忠・副局長らが31日、北京で記者会見し、主な原因はパナマ企業側にあるとの調査結果を発表した。
 魏副局長によると、中国江蘇省の企業が2003年、グリセリンの代用品となる工業用製品「TDグリセリン」を、スペイン企業に薬には使えないと念を押した上で1万キロ以上輸出。後日、スペインから「TDグリセリン」を輸入したパナマ企業が、米国で薬に使用できる物質と偽って薬の原料にしたという。
 魏副局長は、パナマで毒性物質を含む中国産練り歯磨きが見つかったとされる件でも、安全上の問題はないと語った。

◎受動喫煙で年間10万人死亡、5億人以上が被害、中国(2007年5月30日、朝日新聞)
 喫煙人口が世界最多の3億5000万人に上る中国で、受動喫煙による被害が広がり、年間10万人以上が死亡していることが、衛生省の「喫煙抑制報告」で30日までに明らかになった。同省は「受動喫煙の危害が深刻に受け止められていない現実に対し、科学的証拠を列挙した」とし、被害拡大に警鐘を鳴らすとともに、公共の場所などでの禁煙立法の必要性を訴えている。
 同報告によると、受動喫煙の被害者は5億4000万人で、うち15歳以下が1億8000万人。受動喫煙が原因の肺がんや心臓病などによる死者は年間10万人以上と推定されるという。(時事)

◎化学工場建設反対のデモを、携帯メールで呼びかけ、中国(2007年5月30日、朝日新聞)
 中国福建省アモイ市の住民の間で化学工場建設反対のデモを呼びかける携帯メールが飛び交っている。経済優先で計画を進める政府への反発を住民がメールで広げている模様だ。
 30日付香港紙「香港経済日報」などが伝えた。それによると、数日前から「6月1日午前8時、腕に黄色いリボンを巻いて抗議しよう」といったメールが広がっている。
 同市は昨年、台湾資本のベンゼン工場などを誘致。「アモイ史上、最大の投資プロジェクト」と言われる大型事業だが、建設地が市街地に近いため、住民から健康被害を心配する声が続出した。全国政治協商会議委員らも計画の中止を求めたが、市政府は明確な回答を示していないという。
 05年春の反日デモで携帯メールが参加呼びかけの道具になるなど、中国では住民が当局の監視の目をかいくぐり、携帯メールで情報を共有するケースが増えている。

◎中国、食の安全遠く、偽薬承認で収賄の元局長に死刑判決(2007年5月29日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】新華社電によると、北京市第1中級人民法院(地裁に相当)は29日、偽薬承認の見返りに巨額の賄賂を受け取ったなどとして収賄、職務怠慢罪に問われた国家食品薬品監督管理局の鄭篠●(てい・しょうゆ)・前局長(62)に対し、死刑の1審判決(中国は2審制)を言い渡した。(●は草冠に諛のつくり)
 現在、中国製医薬品、食品の安全性に対する信頼が内外で大きく揺らいでおり、判決には信頼回復を図る当局の狙いもありそうだ。
 同局は、食品、医薬品、化粧品などの安全管理を総合的に監督する政府機関であり、「食、医の安全」を守る砦(とりで)といえる。
 だが、鄭被告は、同局の前身である医薬管理局の局長時代なども含め、1997年6月から2006年12月にかけて、医薬品、医療機器の許認可を巡り、製薬会社8社から計649万元(約1億円)相当の金品を受け取っていた。01年からは、虚偽の申告資料に基づく薬品に生産許可を与え、うち6製品は偽薬だったという。
 法院は、極刑とともに、政治権利の終身剥奪、全財産の没収も命じた。
 中国外務省の姜瑜・副報道局長は29日の記者会見で、判決に関して「中国政府は食品、薬品の安全を一貫して重視している。国際社会とともに努力し、中国の食品の安全と信用を守りたい」と述べた。
 外務省が、医薬品、食品の安全確保を強調しなければならないほど、中国製品の信用失墜は著しい。
 米国などでの報道によると、中米・パナマで昨年秋、中国産の有毒物質を含むせき薬を服用した100人以上が死亡。同国ではさらに、毒性物質を含む中国産練り歯磨きが見つかり、現在、調査が続いている。米国では、やはり中国産原料を含むペットフードを食べた犬や猫が大量死した。
 中国国内では、食や医の安全を脅かす事件が頻発している。昨年来、発ガン性物質を含む着色料などを使って製造された食品が続々と見つかっている。魚の養殖などでも発ガン性物質は使用される。防腐剤や甘味料を調合した人工ハチミツ、廃油で作った食用油、工業用漂白剤を使用したしらたきもあった。農産品の残留農薬、偽薬も大きな問題であり続けている。
 食、医の安全に向けた政権の決意は強い。胡錦濤国家主席は先月、「食の安全の業務を全面的に強化せよ」と指示した。29日付の英字紙チャイナ・デイリーによると、政府当局者は食品輸出管理を強化する考えを示した。これに、司法の厳罰姿勢が加わる。
 だが、安全軽視の風潮は、死刑判決を受けた鄭被告ら汚職に走る政府の担当官からヤミ業者まで広い範囲に及ぶ。政権の姿勢が、現状をどこまで改善できるかは不透明だ。

◎中国、無許可食品の海外流出認める、安全検査強化を強調(2007年5月29日、産経新聞)
 中国の食品衛生当局は、国内で輸出許可を得ていない「違法な食料品」が大量に海外に出回っている実態を認め、今後、安全、衛生検査体制を強化し、検査に合格した食料品のみを外国に輸出する考えを強調した。29日付の英字紙チャイナ・デーリーが報じた。
 中国の国家品質監督検査検疫総局などによると、4月に米国が中国から輸入した品質に問題がある食料品のうち、56%以上が無許可だった。
 同当局者は「こうした違法な食料品が中国産の評判を傷つけている」と認め、外国企業に対し、中国当局の許可を得ていない食料品を輸入しないように呼び掛けている。

◎中国の前食品局長に死刑判決(2007年5月29日、日本経済新聞)
 【北京=宮沢徹】中国・新華社電によると、北京市第一中級人民法院(地裁)は29日、鄭篠萸・前国家食品薬品監督管理局長に死刑判決を言い渡した。政治権利の終身剥奪(はくだつ)も命じた。前局長は2005年6月まで局長を務め、その後、中国薬学会理事長に就任。医薬品の許認可権限を利用して、649万元(約1億円)のわいろを受け取ったとされ、収賄罪とともに、職務怠慢の罪で起訴されていた。

◎三井物産、中国に鋼材加工拠点・宝鋼集団と共同で(2007年5月28日、日本経済新聞)
 三井物産は年内にも、中国で現地の宝鋼集団と共同で鋼材の加工・流通拠点を2カ所新設する。設備投資は合計で約20億円。山東省に設けるコイルセンターからは自動車業界向けに鋼板を供給。広東省の物流拠点では宝鋼の製品を保管し、需要家に販売する。中国では経済発展により鉄の消費量が拡大しており、拠点を拡充することで事業基盤の拡大を図る。
 山東省烟台市のコイルセンター「烟台宝井鋼材加工」には三井物産が35%、宝鋼が65%出資した。加工能力は年11万トンで、主に上海GMに販売する。

◎世界揺るがす中国毒物禍、米「輸出企業を登録制に」(2007年5月26日、産経新聞)
 【ワシントン=渡辺浩生】中国産の食品や医薬品から有毒物質が発見されている問題で、米政府は24日、訪米中の中国の関係閣僚に対し、米国向け輸出企業を登録制にするなど監視強化を要請した。中国産原料を使ったペットフードを食べた犬猫が相次ぎ中毒死したのに続き、中国製練り歯磨きに有毒化学物質ジエチレングリコールが混入していたことが明らかになり、中国の医薬品や食品に対する不信感は広がる一方だ。
 「消費者の信頼を得られない国家が世界市場で失望を買うことぐらい、彼らもわかっている」
 レビット米厚生長官は24日、訪米中の高強衛生相らと会談後、報道陣にこう語った。
 中国に対し米側が求めたのは(1)米国向けに食品や飼料、医薬品を輸出する企業の登録義務付け(2)未登録企業の輸出禁止(3)厚生省・食品医薬品局(FDA)の検査官による現地企業の査察実施への協力-など8項目。これに対し、中国側は要請を持ち帰るとし、即答を避けた。
 3月に発覚したペットフード禍は、汚染原因である有機化合物メラミンの特定や流入経路の追跡に手間取り、汚染ペットフードを食べた大量の鶏や豚が出荷された。FDAの現地調査も足止めをくらった。この苦い教訓を生かして、透明性向上を図ろうというものだ。
 こうした中で、致死量のジエチレングリコールが混入した中国産練り歯磨きがパナマ、ドミニカ共和国、オーストラリアで相次ぎ発見された。FDAは中国産練り歯磨きの全貨物の検査に着手。「米国への流入は確認されていない」(レビット長官)が、ロイター通信によると、米国にとって中国はカナダに次ぐ2番目の練り歯磨き輸出国だけに懸念は拭いきれない。
偽アンコウも…なんとフグ輸出
 さらに24日には、中国産アンコウと表示された箱入りの魚約128キロのリコール(自主回収)をカリフォルニア州の輸入業者が発表した。それによると、“アンコウ”を食べたシカゴの住民2人が倒れ、フグの毒として知られるテトロドトキシンが検出されたという。FDAでは、フグをアンコウと偽表示して輸入されたとみている。
 中国側の安全管理や法令順守意識が未熟であるにもかかわらず、農務省によると、2006年の中国からの農産物輸入は前年比20%増の23億2705万ドルで、02年から倍増した。米紙ワシントン・ポストによると、そのうちFDAが水際で検査できるのは全体の1%以下。それでも今年1~4月に298の貨物の輸入が差し止められた。
厚労省が「危険食品」の情報収集着手
 中国産の食品や医薬品の安全性に懸念が広がる中、厚生労働省は、中国から輸入される食品などに関する情報収集に乗り出している。米国で見つかった「危険食品」についても情報収集を進めており、水際での対策強化も検討している。
 過去には日本でも、基準を超える抗菌性物質が検出された中国産ウナギや、発がん性の疑われる物質で加工された乾燥果実などが見つかった。厚労省は、違法物質が検出された食品について、検疫所の検査の強化を図るなど対策を取ってきた。一方、パナマなどで見つかった毒性物質の入った練り歯磨きは日本では確認されていないという。
 厚労省によると、練り歯磨きは化粧品か医薬部外品に分類され、販売には薬事法に基づく製造販売業の許可が必要だ。海外から原料として取り寄せる場合も製造工程の明らかな原料でなければ使えない。製造販売業者の品質・安全管理基準で、製造工程の確認が義務付けられているためだ。
 厚労省はこれまでのところ「違法な原料や医薬品が輸入される可能性は低い」としている。

◎中国産アンコウにフグ混入、米当局、患者発生で注意喚起(2007年5月26日、朝日新聞)
 米食品医薬品局(FDA)は25日までに、「中国産アンコウ」として出荷された魚に猛毒を持つフグが交ざっている恐れがあると、消費者に注意を呼びかけた。シカゴでこの魚を使ったスープを食べた2人が体調不良を訴え、1人は入院。FDAが検査したところ、フグ毒の成分テトロドトキシンが検出された。魚を輸入販売したカリフォルニア州の業者は自主回収に乗り出した。
 FDAによると、テトロドトキシンは致死量が含まれている恐れがあるという。「中国産アンコウ」は昨年9月から282箱(1箱約10キロ)が同州のほか、イリノイ州、ハワイなどの卸業者を通じて販売された。商品の箱には「冷凍アンコウ」「中国産」などの表示があり、成分表示にも同様に書かれていたという。
 FDAは、毒性を考慮してフグの輸入には厳しい基準を適用しているが、今回輸入した業者はこうした基準を満たしていなかった。この魚を輸出した中国の業者の商品については、全量検査を行っているという。
 米国では中国の原材料を使ったペットフードが原因で犬や猫が死亡する例が相次いだことをきっかけに、中国の食品や医薬品の安全性に対する懸念が強まっている。

◎中国製の土鍋から鉛、上薬から溶け出す?(2007年5月25日、読売新聞)
 札幌市の男性が今年1月、市内にある家具製造販売大手の量販店で購入した中国製土鍋を使用中、鍋の縁から鉛が溶け出していたことが25日、わかった。
 鉛は食品衛生法が定める基準値(2.5ミリ・グラム/リットル)を下回る1.8ミリ・グラム/リットルだったが、量販店は土鍋を撤去した。北海道立消費生活センターは、土鍋の縁に塗られた上薬から鉛が溶け出した可能性が高いとみて、厚生労働省、北海道、札幌市に事例報告した。
 同センターによると、男性は自宅で、この土鍋を使って2時間ほど水炊きしたところ、鍋の縁から銀色の液体が溶け出しているのに気付き、量販店側に連絡した。同店がテストしたところ、液体は法定基準値以下の鉛を検出した。原因などについては不明だったため、男性は3月、同センターに苦情を申し出た。
 同センターでも土鍋を取り寄せて検査し、縁から鉛が溶け出すのを確認した。同センターなどは、量販店と仕入れ先の新潟県の業者に対し、原因を究明するよう指導した。

◎米が中国産練り歯磨き検査、パナマなどで有毒物質検出(2007年5月24日、産経新聞)
 パナマやドミニカ共和国で中国産の練り歯磨きから致死量の有毒物質ジエチレングリコールが検出されたとして、米食品医薬品局(FDA)は、中国から米国に輸入されるすべての練り歯磨きの積み荷を検査すると明らかにした。ロイター通信が23日報じた。
 米国では、中国産のペットフードの原料や家畜用飼料に化学物質が混入していたことが大きな問題となっている。
 FDAによると、米国向けの練り歯磨きが汚染されているという確証はなく、検査は「予防的措置」としている。パナマの検査官は、中国から2種類のブランドの練り歯磨きが自由貿易区を通じて違法に輸入されたと話しているという。ブランド名は不明。
 ジエチレングリコールは車の不凍液に使われる有毒物質で、独特の甘味がある。日本では過去にワインへの混入が問題となった。

◎「一人っ子政策」に反発、地元政府取り囲み放火も、中国(2007年5月21日、朝日新聞)
 中国広西チワン族自治区南部の博白県で、地元政府による「一人っ子政策」の違反取り締まりに住民が反発し、数千人が政府の建物を取り囲んで放火するなど緊張が高まっている。武装警察隊などが沈静化を図っているが、けが人が出ている模様だ。
 騒ぎが起きたのは19日。香港紙などによると、同県農村部の四つの地域で放火するなどした。中国では少数民族などの特例を除き、2人以上の子どもを産むと罰金が科せられる。香港紙によると、同県の担当部門は上位機関から「管理が甘い」と批判されたため、3月から取り締まりを強化したという。
 同県に住む30代の女性は電話での取材に「当局は違反者に数万元、数十万元と勝手な罰金を科し、払わないと家財道具を取り上げていった」と話した。
 一人っ子政策を巡っては、山東省の人権活動家が政府による強制堕胎の実態を告発し、国際的な批判が出ている。

◎中国新幹線、備品盗難はじめ「非文明的行動」相次ぐ(2007年5月20日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】日本やフランスなど各国の技術を導入したのに「国産」と宣伝している中国版新幹線が早くもピンチだ。4月18日から各地で時速200キロ以上の高速運転が始まったが、乗客による車内の備品持ち去りが後を絶たない。来年の北京五輪に向け、どうすればマナーが向上するのか中国指導部も頭が痛い。
 「社会公民の恥。中国人のイメージに悪影響を与える。五輪に向けこうした非文明的行動は注意しなくてはならない」。国営新華社通信(電子版)は乗客のマナーに疑問を投げかけ、処罰が有効策と指摘している。
 新華社によると、河南省鄭州市の検査場で検査員約100人は車内を点検して嘆いた。手洗い場のセンサー式蛇口、手洗いや排水の備品が消え、飲みかけのジュースが座席に放置されていた。
 中国各紙によると、信じられないほど備品が持ち去られている。トイレットペーパーに緊急脱出用のハンマー、便座の温度調節用つまみ、トイレットペーパーホルダーの軸など。センサー式蛇口のように持ち去っても何に使うのか想像もつかないものも含まれている。
 座席の物入れ網が破かれたり、トイレで喫煙したり、通風孔へのごみ投入、緊急用ボタンへのいたずら、トイレの水を流さない-など悪質なマナー違反も目につく。さらには大声を出したり床にたんを吐くなど傍若無人に振る舞う、足を前の座席に投げ出して足のにおいを発散させるなど周囲の迷惑を省みない行動もあるという。
 日本の新幹線車両をベースにしたCRH2など高速列車の愛称は「和諧(わかい)(調和)」号。名前は立派だが、車内の様子は公共精神の欠如を物語っている。

◎中国産ペットフード禍、背景に食のグローバル化(2007年5月18日、産経新聞)
 米国で中国産ペットフードを食べた猫や犬が次々に死ぬ事態が起き、このペット王国を揺るがしている。“犯人”は、原料の小麦グルテンに混入した有機化合物と判明し、食物連鎖による人体への影響すら懸念されて、波紋が広がった。今回の騒ぎは、グローバル化の時代、1国の農産品や食品の安全管理体制がズサンだと禍(わざわい)は世界に及ぶということを改めて教えている。(ワシントン、渡辺浩生)
 発端は3月中旬、カナダのペットフード大手メニュー・フーズ社が犬猫用フードのリコール(自主回収)を発表したことだった。半生状ペットフードを食べた猫や犬が腎(じん)不全で死亡するケースが北米で相次いだためで、回収の対象は95種、6000万点に上った。
 米国は、無人島に同伴者を1人連れて行くとしたら「ペット」と半数が答えるといわれるほどのペット王国。全世帯の43%が犬を、37%が猫を飼っており、被害も当然、米国に集中した。米食品医薬品局(FDA)によると、飼い主から寄せられた苦情は1万7000件、死亡したケースは数千件に達し、リコールを公表したペットフードメーカーも12社に広がった。

・有機化合物メラミン混入
 原因は、ペットフードの原料である小麦グルテンに有機化合物メラミンが混入していたことだ。メラミンは、尿素とアンモニアを反応させて製造され、主に合成樹脂の材料に使われる。
 製品化されなかったペットフードは飼料としても養鶏場や養豚場に出荷されていて、豚6000頭、鶏2000万羽も汚染飼料を食べたとして出荷を差し止められた。汚染小麦グルテンは養殖魚の餌の原料にもなり、約200カ所の養殖場や孵化場で使われていた。人体への影響まで懸念されだしたのだ。
 FDAは「メラミンは極めて微量。危険度は極めて低い」とし、検査の結果、メラミン入りの飼料を食べた鶏、豚は食品として安全だと宣言した。小麦グルテンは一般に、食肉や魚の加工品、ベビーフードにも使用される。この点についても、「食品の原料として直接使われた証拠は得ていない」(FDA)という。

・飼料価格つり上げの手口
 だが、今回、中国の農産品、食品の安全管理体制への不信は決定的となった。
 中国当局も今月、タンパク質の含有量を多く見せかけるため、メラミンを添加した小麦グルテンを輸出していたと見て、江蘇省と山東省の食品輸出業者2社に対する捜査に着手した。家禽の一大産地である山東省では、この増量方法は、飼料価格つり上げの手口として知られていたという。
 ただ、FDAが汚染経路を特定すべく派遣した調査官が現地入りしたときには、輸出業者の施設は閉鎖され、「見るべきものは何も残っていなかった」(米紙ワシントン・ポスト)。
 米環境消費者団体「環境防衛」のレベッカ・ゴールドバーグ氏は「農業のグローバル化に伴い、ある国の不正が一見、無関係な他の多くの人々に影響するようになった」と、同紙に指摘する。実際、中国産食糧の米国向け輸出は過去26年間で20倍に膨らんでいる。
 問題の小麦グルテンは日本には入っていないとはいえ、水際でのチェック体制強化を怠ってはならない。

◎中国、WHOに9億6000万円寄付(2007年5月17日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国の高強衛生相は15日、ジュネーブで開かれている第60回世界保健機関(WHO)年次総会に出席し、WHOに800万ドル(約9億6000万円)の寄付を行うと発表した。16日、国営新華社通信がジュネーブ発で伝えた。高衛生相は「この寄付金は主にアフリカなど発展途上国での保健・疾病監督ネットワーク設立、疾病予防・治療および突発的公共衛生事件への対応能力向上に役立てられる」と説明、対アフリカ外交の一環であることもうかがわせた。
 今年1月に中国の後押しで香港出身のマーガレット・チャン氏が事務局長に就任した後の初の年次総会で、中国はWHOを通じた保健分野における国際的な発言力強化の姿勢を示した。大手ポータルサイト・新浪掲示板に寄せられた中には「台湾をWHOから排除するためなら、800万ドルは当然」「WHOやアフリカとの距離をつめる一石二鳥の策」と支持する声のある一方で、「国内の医療問題を解決してからにしろ」という非難の声も少なくない。
 WHO年次総会は14日、台湾の加盟問題の議題申請を却下していた。

◎光化学スモッグは中国発? 環境研・九大が推計(2007年5月13日、朝日新聞)
 日本列島が高気圧に覆われ各地で今年一番の暑さになった今月9日に、九州北部から関東まで20都府県以上で観測された光化学スモッグは、中国大陸で発生したオゾンが主原因だったらしい。西風でオゾンが運ばれてきた様子が、九州大学と国立環境研究所によるシミュレーションで再現された。以前から指摘されている「越境汚染」の可能性を裏付けるものだ。
 光化学スモッグは、光化学オキシダント(主成分はオゾン)が起こす。オゾンは、自動車や工場などが出す窒素酸化物などの大気汚染物質が日光を浴びるなどして生じることが知られている。
 10年以上前からアジアの光化学スモッグを研究してきた九州大応用力学研究所の鵜野伊津志(うの・いつし)教授、環境研の大原利真(としまさ)・広域大気モデリング研究室長らのグループは、中国や日本を含むアジア各地の大気汚染物質の排出量を、エネルギー消費や車の台数などから推計。オゾン生成の化学反応や風向・風速を加味して、地上でのオゾン濃度の変化を数値計算した。
 それによると、6日午後3時では中国沿岸部などに高濃度の地点があるが、日本は各地とも低濃度だった。ところが、東シナ海の高気圧の北側に西風が吹き、7日から9日にかけて、高濃度のオゾンが中国から日本に広がったとの結果が出た。
 九州などに広がったオゾンは8日時点で、地域によっては光化学スモッグ注意報の発令基準(0.12ppm)に近い濃度レベルに達する、との計算結果で、8、9日に日本国内で実測された光化学オキシダントの濃度分布などとよく合っていた。
 光化学スモッグは70年代がピークだったが、近年、再び各地で注意報の発令が増えている。特に九州北部や日本海側での発令が目立ち、9日には新潟県で72年の観測開始以来初の注意報が出された。こうした特徴や、日本の大気汚染が規制で改善傾向にあることから、研究者の間では中国からの越境汚染の影響が大きいとの見方が強かった。
 大原室長は「国内で光化学スモッグの原因物質をさらに減らすと同時に、越境汚染について国際的なルールを作る必要がある」と指摘している。

◎北京“偽ディズニー”当局指導、大あわて模様替え(2007年5月12日、産経新聞)
 【北京=福島香織】ミッキーマウスそっくり人形やディズニー風アトラクションなどで“北京のディズニーランド”と人気を集めていた国営遊園地「石景山遊楽園」が12日までに、大あわてで模様替えを行った。米ウォルト・ディズニー社が北京市版権(著作権)局に「著作権侵害だ」と通報、同市版権局の指導を受けたからだ。
 同園は「ディズニーは遠すぎる、石景山遊楽園においで!」を宣伝文句にミッキーマウスや白雪姫などディズニー・キャラクターからドラえもん、ハローキティまで国際的人気キャラクターを勝手に使用したパレードなどで人気を呼び、年間入場者数は150万~200万人に達した。
 しかしこのメーデー休暇に日本のフジテレビなどが著作権侵害ぶりを相次いで報道。証拠映像が米動画投稿サイト「ユーチューブ」で世界中に配信され、ディズニー本社の知るところとなった。
 11日付の新京報によると版権局はすでに独自調査を行い、著作権侵害疑惑のある看板や玩具などを撤去するように指示した。12日現在、ミッキーマウスなどが描かれていた看板はエビやカニの模様に塗り替えられ、ディズニー風の人形も撤去された。みやげ店の売り子は「ミッキーマウスなんて見たこともありません」と口裏を合わせていた。だが、シンデレラ城などのそっくり施設はそのままだ。
 当初、遊園地側はミッキーマウスに見えるキャラクターはオリジナルの「大耳猫」と主張。だが中国の大手ポータルサイト「新浪」のネットアンケートでは65.84%が著作権侵害とみている。

◎物権法採択も、北京のマンション開発、立ち退き拒否に荒業(2007年5月12日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】マンション開発が進む北京の住居区でツルハシやモリ、棍棒(こんぼう)などを手にした100人近い“武装集団”が今月8、9日未明、立ち退きを拒否していた住民の寝込みを襲い住宅二十数戸をたたきつぶした。マンションの開発業者は事件との関係を否定している。私有財産の保護を強化した物権法が3月に採択され、10月に施行されるが、記者が目の当たりにした地上げの現実は想像を絶していた。
 北京市朝陽区では高層マンションの開発が進む一方で、住宅があちこちで瓦礫(がれき)と化し、まるで爆撃を受けたような光景が広がっていた。テレビや冷蔵庫、自転車などが散乱し、30歳代の女性がぺしゃんこになったタンスの中身を取り出そうとしていた。身の置き場を失った数人が木片で火を起こし、昼食の支度をしていた。住民は瓦礫の山から引っ張り出した床板や車、テントでの野宿生活を強いられていた。
 複数の住民によると、事件は8、9の両日、いずれも午前2~3時の間に起きた。8日は約30人、9日は約100人がトラック十数台やフォークリフト数台で乗り付けた。この集団はツルハシやモリ、棍棒などを手に住宅に押し入り、「立ち退きだ!」と大声で叫びながら寝ていた住民を外にたたき出した。
 殴打されたり、半裸状態のまま放り出されたり、地面にひざまずかされたりした住民もいた。身の回りのものを持ち出す時間すら与えず、集団は数十分間にフォークリフトを使って住宅を破壊し尽くしたという。
 住民は110番したが、「現場から約500メートル離れた派出所の警官が到着したのは30、40分後。集団はすでに逃げ去っていた」という。
 男性住民は「東北地方の黒社会(暴力組織)の仕業だ。記者に話すと報復が恐い」と恐怖におののいていた。
 事件は一帯のマンション開発地域に住む住民に知れ渡っており、「同じ目に遭うかもしれない」と不安が広がっていた。
 破壊された住宅の場合、開発業者から住民に提示された立ち退き料は1平方メートル当たり4300元(1元約15円)。住民側は「そんな額でいったいどこに移り住めというのか」と交渉を拒否していた。
 中国では都市開発地域だけではなく、地方でも十分な補償を受けられないまま農地を強制収用された農民の不満が高まっている。昨年、土地をめぐる違法行為は全国で13万1077件(前年比17.3%増)が明るみに出、3593人が処分され、このうち501人が刑事処罰を受けた。
 胡錦濤国家主席は「社会矛盾解決や社会調和促進の能力を強化すべきだ」と強調しているが、現実はうたい文句のようにはいかないようだ。

◎米ペットフード事件、中国当局、メラミン輸出一転認める(2007年5月10日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国の国家質量(品質)監督検査検疫総局は8日、米国で中国産小麦を使ったペットフードで犬やネコが中毒死した事件で、中国の2企業が有機化合物メラミンを添加した小麦グルテン粉などを米国に輸出していたことを認め、今後調査に協力する方針を表明した。同総局はこれまで、これら企業が米国向けに飼料用小麦グルテンなどを輸出したことはないとしていたが、一転関与を認めた。
 問題の企業は、江蘇省の徐州安営生物技術開発公司と山東省の濱州富田生物科学技術有限公司。2社が輸出していた小麦グルテンには、食品への使用が禁止されているメラミンが添加されていたうえ、検査義務のない品名で税関に報告され、検査検疫機関の監視をくぐって輸出されていた。
 企業責任者は法に従い厳重に処罰されるという。同総局は検査結果を米食品医薬品局(FDA)に報告し、米国側に飼料安全協力メカニズムの創設を提案した。
 中国では、鴨卵の黄身を赤くするために発がん性が指摘される着色料スダンレッドを飼料に加えたり、豚肉の色を美しくするため、気管支ぜんそくの治療薬に使われる塩酸クレンブテロールを飼料に加えるなど、飼料、食品への化学物質の添加が、法で禁止されているにもかかわらず、日常茶飯事となっている。
 厚生労働省は日本の輸入業者に対し、中国の2企業のグルテンを輸入した場合は返品または廃棄し、関係機関へ知らせるよう呼びかけている。

◎米の人権団体がヤフー提訴、活動家逮捕で中国政府に加担(2007年4月19日、朝日新聞)
 米国の人権擁護団体が18日、中国政府に逮捕され、服役中の中国人活動家とその妻を代理する形で、米インターネット大手ヤフーを連邦地裁に提訴した。ヤフーが中国当局の捜査に加担したため、活動家が逮捕され、人権が侵害されたと訴えている。
 活動家はネット配信記事で、中国民主化の必要性を主張。ヤフーが当局に提出した利用記録から身元が特定され、逮捕後の2005年、国家転覆を扇動した罪で10年の禁固刑を言い渡された。
 ロイター通信などによると、人権団体はヤフーの人権侵害行為を批判し、活動家救出活動への尽力や損害賠償の支払いを要求。ヤフーは「中国で事業をする以上、現地法に従う必要があり、従わなければ現地従業員が罰せられる」と反論した。

◎タンは吐かない、臭いさせない、五輪控え北京のタクシー(2007年4月19日、朝日新聞)
 ニンニクの口臭や喫煙、茶髪、男性の長髪、女性のイヤリングは厳禁、来夏に五輪開催を控える北京市が街のイメージアップをめざしてタクシー運転手の「資質向上」に乗り出すことになった。
 市当局によると、窓からタンを吐いたり物を捨てたりしない、車内で変なにおいがしないなどの12項目をチェック。違反があれば会社に通告し、改められない場合は、運転手の資格を取り消すなどの措置をとるという。
 北京のタクシーは数年前に新型車両が一斉に導入され、見かけはきれいになったが、強烈なニンニクや足のにおいを放つ運転手も少なくない。
 「髪形まで制限するのはやりすぎ」との声もあるが、市交通委員会の劉小明・副主任は18日の記者会見で「五輪を迎えるにあたって重要な措置のひとつ。タクシーはサービス水準をさらに上げて初めて美しい北京の風景の一部となれる」と力を込めた。

◎禁止用語提案に反論が殺到、北京五輪、マナー向上で(2007年3月20日、産経新聞)
 来年夏に五輪開催を控える中国の北京では、関連施設などハード面の整備が急ピッチで進められているが、同国のメディアは最近、市民にマナーの向上を呼びかけ、外国人との接し方について特集を組むなど、ソフト面での啓蒙活動に躍起になっている。3月中旬まで開かれていた中国人民政治協商会議(政府の諮問機関)でも、五輪開催期間中の国のイメージアップが話題になった。
 北京市、国家体育総局、国家観光局などの関係者が参加した分科会では、「路上でたんをはくこと」「列をつくって並ばないこと」「禁煙場所での喫煙」「下品な言葉使うこと」を「4つの害」と指定し、五輪までになくす運動を推進すべきだとの意見が出された。劉敬民・北京市副市長は「北京市民の姿を世界中の数十億人もの観客がテレビカメラを通じて見ている」ため、「市民を広く巻き込んでこの問題(マナー)について話し合いたい」と語った。
 五輪報道をめぐっては、民族間の敵対心をあおる「一矢を報いる」、「雪辱する」などの「戦争用語」を使用禁止すべきだとの意見が前国務院新聞弁公室主任の趙啓正氏から出されたが、この意見がメディアに報じられると、早速ネットで「外国のメディアは使っているのに、中国だけが言葉狩りするのがおかしい」「スポーツの面白さがなくなる」といった反論が殺到した。
 文化部長(大臣)を務めた作家・王蒙氏は、「日本選手に対して、私たちはこれまでの失礼や友好的でない態度を改めるべきだ」と語ったが、これについてネットでの反応はまちまちだ。(矢板明夫)

◎中国:茶への投機が過熱、500万円のプーアル茶も(2007年3月17日、毎日新聞)
 中国で茶への異常な投機ブームが起きている。主な対象は日本でも人気が高いプーアル茶で、産地の雲南省の茶販売店では3キロ30万元(約500万円)の“超高級茶”も登場した。
 中国経済はカネ余り状態が続いており、投機マネーが株式や不動産だけでなく茶にも向かった格好だ。プーアル茶は中国で庶民が日常的に飲んでおり、投機ブームで庶民の手が届きにくくなる懸念もあるという。
 雲南省の省都、昆明の茶販売店。約500万円の茶は直径30センチほどの円盤形に固められている。一部の高級品は古いほど味がよくなるとされ、この茶は1973年産。茶の産地として知られる同省思茅市は4月から名前を「プーアル(普〓)市」に変更するという。上海など大都市では、外国人の観光客を狙って高値で売りつけようという悪質な茶販売店もある。
 昆明ではプーアル茶への投機に目を付けた茶販売店が急増。古くからある店の店主は「最近の茶市場は乱れている」と嘆いている。(上海・共同)

◎中国:春節の爆竹、北京で125人けが、男性1人が死亡(2007年2月19日、毎日新聞)
 【中国総局】春節(旧正月)の18日、中国各地で新年祝賀行事があった。北京市では大みそかにあたる17日夜から18日未明にかけて街中で爆竹や花火が鳴り響き、昨年より13人多い125人が負傷した。地元紙はうち男性1人が死亡したと伝えた。爆竹や花火による火災は114件発生した。
 爆竹は破裂音が魔よけになると信じられ、春節や慶事に欠かせないが、事故が多いことから同市では94年から禁止されていた。だが、市民の要望が強く、昨年の春節から解禁された。
 解禁2年目となる今年、同市は路上の清掃作業員を延べ1万6000人出動させ、約900トンを超す爆竹などの残がいを回収した。けがの原因にもなる爆竹、花火の粗悪品は後を絶たず、今年は5億6000万本と昨年の4倍に達したという。

◎パンダ:中国で人工繁殖、ベビーブームに(2007年2月11日、毎日新聞)
 中国では昨年、人工繁殖によって34頭のパンダが生まれ、このうち30頭が元気に育っているという。同センターでも双子の姉妹パンダが相次いで双子を出産するなどベビーブームに沸き、9日、その様子が公開された。

◎スパイ罪のシンガポール紙記者、広州に移送(2007年2月10日、産経新聞)
 9日付の香港紙、明報などによると、スパイ罪に問われて懲役5年の判決を受けたシンガポール紙ストレーツ・タイムズの香港駐在記者、程翔受刑者が北京から広州の刑務所に移送された。家族に当局の通知が届いたという。
 北京よりも広州の方が設備が整っているとされ、接見を要求する家族が移送を求めていた。

◎尖閣諸島:調査船EEZ出るも、中国から経過説明なし(2007年2月5日、毎日新聞)
 沖縄県尖閣諸島・魚釣島(中国名・釣魚島)近くの日本の排他的経済水域(EEZ)内で4日、事前通報せずに調査活動をしていた中国の海洋調査船「東方紅2号」は、発見から約12時間後の同日午後10時ごろ、日本側EEZを出た。外務省によると、5日午前までに、中国政府から経緯などの説明はないという。
 塩崎恭久官房長官は5日午前の記者会見で「通告していないEEZ内の水域で活動することは不適切であり、こういうことがないようにしてもらいたい」と遺憾の意を表明した。

◎中国の衛星破壊実験、米次官「有人飛行にも危険、不快」(2007年2月2日、朝日新聞)
 ローレス米国防副次官は1日、対中国政策を議会に提言する超党派の諮問機関「米中経済安保検討委員会」の公聴会で、1月12日に中国が実施した衛星破壊実験について「極めて不快なできごととして起きた」と強い懸念を表明した。
 同副次官は、衛星破壊実験は「有人宇宙飛行への危険が高まるばかりか、他国の宇宙利用、民間の商業利用にとっても損害を与える可能性も含んでいる」としたうえで、「中国は宇宙空間での攻撃能力に関し、強大で多次元な計画を持っており、衛星破壊実験はその一要素にすぎない」と警告した。
 米中間の軍事対話が思うように進まない状況下で、中国側が米国に通知せずに実験に踏み切ったことが、軍事的な意図について判断ミスにつながる恐れがあるだけに「特に厄介だ」と指摘。「この問題について彼ら(中国)と対話を持たない限り、誤解が重なり、懸念も増大する」と、中国側に透明性の向上を求める姿勢を明らかにした。

◎中国のネット人口1億3700万人、10人に1人利用(2007年1月24日、朝日新聞)
 中国のインターネット人口が、昨年末の段階で日本の総人口を超える約1億3700万人に達したことがわかった。業界団体の調査結果として中国各紙が24日、報じた。一昨年末に比べて約2600万人増え、中国人の10人に1人がインターネットを利用していることになる。
 中国インターネット情報センターの調べでは、ネット利用者は昨年、05年比で23.4%増。99年末の利用者は890万人だった。
 一方、ネット利用者が1カ月に使う接続費は83.5元(約1250円)で、05年より2割近く下がった。このため、同センターの毛偉主任は、今後さらに利用者の増加率は加速すると予測した。
 ただ、中国で深刻な社会問題となっている都市と農村の格差はネット普及率にも当てはまり、都市は農村に比べて6.5倍の早さで利用者が増えているという。

◎EU、中国の「衛星破壊実験」を批判(2007年1月24日、朝日新聞)
 欧州連合(EU)は24日、ジュネーブ軍縮会議で、中国による弾道ミサイルを使った「衛星破壊実験」を取り上げ、「宇宙での軍備競争を拡大しないとする国際的な努力に逆行する」と批判した。
 軍縮会議は22日に今年の第1会期が始まった。24日の全体会合でEU議長国のドイツ大使がEUを代表して発言。衛星破壊実験に懸念を表明した後、大量破壊兵器の宇宙空間への配備を禁じる宇宙条約のすべての加盟国に対して「条約の責務を果たし、国際法に従い、国際平和を乱さない宇宙活動をすべきだ」と訴えた。
 中国はこれに対し「(衛星破壊は)あくまで実験であり、他国に対して脅威を与えるものではない。中国は常に宇宙の平和利用を支持し、宇宙軍拡に反対してきた」と反論した。
 EUはまた、北朝鮮のミサイル発射実験、核実験を「挑発的で国際社会を無視するものとして非難する」とし、さらなる核実験をしないよう呼びかけ、6者協議による外交解決努力を全面的に支持するとした。

◎「上海一の富豪」贈賄容疑で逮捕、前市党書記の妻も聴取(2007年1月23日、朝日新聞)
 不動産取引などで、かつて「上海一の富豪」と呼ばれた実業家、周正毅氏が上海市の検察当局に贈賄容疑などで逮捕されたことが分かった。同市新聞弁公室が22日明らかにした。周氏は、市社会保障基金を巡る汚職事件に関与した疑いで解任された陳良宇(チェン・リアンユイ)・前市共産党委員会書記との癒着疑惑が指摘されている。
 関係筋によると、党の規律検査部門は陳・前書記の妻からも聴取しているとされ、今秋の第17回党大会までに前書記の立件と事件の全容解明を目指すとみられる。
 同筋によると、前書記は当初の調べに、汚職事件への関与を否認していた。だが、その後、拘束された側近らの供述で、妻や愛人らの名義で約3億元(約45億円)分の株券などを不正に受け取った容疑が浮上した。

◎中国が衛星破壊実験を初めて認める、中国外務省の会見で(2007年1月23日、朝日新聞)
 中国外務省の劉建超報道局長は23日の記者会見で、中国が衛星破壊実験を実施したことを初めて認め、日米など関係国に通報したことを明らかにした。劉局長は、実験実施は「いかなる国に向けたものでもなく、いかなる国にとっても脅威にならない」と強調した。
 劉局長は、衛星破壊実験について「隠すような問題ではなく、実際に各国が関心を表明した後、すぐに各国に状況を伝えた」と説明。「中国は一貫して宇宙の平和利用を主張している。いかなる形での宇宙での軍拡競争にも参加することはない」と述べた。再実験の可能性については「現在計画があるとは聞いていない」とした。
 また、実験実施に対し日本政府が懸念を表明したことに関連して、「日本がさらにどのような状況を知りたいのか分からない」と述べ、「日本が望むなら意見交換を歓迎する」とした。

◎中国:衛星兵器実験に成功、米が懸念表明(2007年1月19日、毎日新聞)
 【ワシントン和田浩明】米政府は18日、中国が対衛星兵器の実験に11日初めて成功したことを確認し、中国政府に対し懸念を表明したことを明らかにした。有人宇宙飛行に成功した中国が衛星攻撃能力まで保有したことで、米国やロシアが対抗して宇宙空間での軍拡競争が始まるとの懸念が出ている。実験で破壊された衛星の破片が、日本も参加する国際宇宙ステーション(ISS)などの脅威になる可能性も指摘されている。
 17日に実験を最初に報じた航空宇宙専門誌エビエーション・ウイーク・アンド・スペース・テクノロジー(電子版)などによると、中国は米東部時間11日午後5時28分(現地時間12日朝)、四川省の西昌宇宙センターから対衛星兵器を搭載した中距離弾道ミサイルを打ち上げた。このミサイルに搭載された「運動エネルギー迎撃体(KKV)」と呼ばれる装置が、99年に打ち上げられていた中国の古い気象衛星「FY-1C」に高度約860キロ付近で衝突し、破壊したと見られる。
 米国家安全保障会議(NSC)報道担当官は、18日の声明で実験を確認し、「この兵器の開発と実験は(米中)両国が民間宇宙開発分野で実現を目指す協力の精神に反する」と中国を非難した。
 米ハーバード大学の天文学者ジョナサン・マクドゥエル氏によると、破壊された気象衛星は「数百の破片」に分裂、雲状に広がっている模様で、ISSなどにぶつかり損傷を与える危険もある。低軌道には通信や全地球測位システム(GPS)などに使われる民間・軍用衛星も多数周回している。同氏は「中国に対抗して米国が、80年代に開発した対衛星兵器を実戦配備する可能性も出てきた」と毎日新聞に指摘した。
 米下院のマーキー議員(民主党)は18日、宇宙空間での軍拡競争が始まりかねないとの懸念を表明し、対衛星兵器の開発・配備を禁止する国際条約締結を目指すようブッシュ大統領に求めた。
 ブッシュ政権は中国の宇宙技術開発の進歩に神経をとがらせ、民間分野での交流や情報交換の促進を図っている。昨秋はグリフィン米航空宇宙局(NASA)長官が訪中した。一方で昨年10月には宇宙空間の軍事面での重要性を強調し、米国の行動の自由の確保を目指す新国家宇宙政策を発表している。

◇「懸念持ってる」塩崎官房長官
 塩崎恭久官房長官は19日午前の記者会見で、中国の対衛星兵器実験について「米政府から報告を受けている。宇宙の平和利用、安全保障上の観点から懸念を持っている」と述べた。北京の日本大使館から中国外務省に事実関係と意図の説明を求めたことも明らかにした。

◎早い話が:インド人も驚いた=金子秀敏(2007年2月1日、毎日新聞)
 中国四川省の山奥から打ち上げられたミサイルが、約850キロ上空を周回する古い気象衛星「風雲1C」を撃墜した。
 米情報当局からその情報が米メディアにリークされた。衛星が1メートルだとすれば、850メートル先にある直径1ミリの針の穴に糸を通したようなものか。
 このニュースが流れた2日後、米国では上下両院軍事委員会が緊急招集され、米政府に報告を求めた。人工衛星を攻撃する兵器「アンチサテライト・ウエポン」(ASAT)を中国が保有したことが、いかに米国を憂慮させたかわかるだろう。最近、中国の潜水艦が米国の航空母艦を背後からこっそりつけ回したが、軍事委員会は緊急招集されていない。
 9・11テロの後、米国はミサイル防衛(MD)システムの建設を進めている。低軌道を飛ぶ偵察衛星で地上を常時監視し、高軌道の早期警戒衛星でミサイル発射を探知、イージス艦などからの迎撃ミサイルで撃ち落とす構想だ。日本もこれに一枚かんでいる。
 だが、偵察衛星の目つぶしが可能なら、イージス艦は無用の長物になる。ミサイル防衛のアキレスけんを、あらためて突きつけられた。
 日本政府の憂慮は「中国の衛星の破片が散らばって、ほかの衛星を壊す恐れがある」というものだ。米国の憂慮とは質が違う。
 もともと衛星撃墜兵器を開発したのは米国だ。1984年、ミサイルによる衛星撃墜実験に成功した。ところが、ソ連がレーザー兵器による衛星撃墜に成功した。米国もすぐにレーザー兵器開発に切り替えた。そのとき「ミサイルによる衛星破壊は、破片が出る」とされた。実際はレーザー兵器の登場でミサイル方式は旧式になったのである。いま、米国は大型ジェット機に搭載したレーザー兵器で地上300キロのミサイル、衛星を破壊できるそうだ。
 米国とならんで素早い反応を示した国がある。インドである。
 インドでは2年前から、偵察衛星の情報を集約して陸海空3軍を統合指揮する防空司令部を作るという構想が宙に浮いていた。空軍の予算ばかり増えると陸軍、海軍が大反対していた。
 が、隣国の中国が衛星撃墜実験に成功したというニュース。一気に宇宙軍拡に乗り遅れるなというコンセンサスができて、防空司令部が具体化した。新たな宇宙軍拡競争はもう始まっている。(専門編集委員)

◎ハルビン幻想、氷絵巻、それでも零下12度「暖かい冬」(2007年1月30日、朝日新聞)
 中国最北の黒竜江省の省都ハルビン市で恒例の「氷雪節」が行われている。今年は50年ぶりの暖かい冬を迎えた。日本でも暖冬でスキー場などの客足が衰えているが、こちらは厳しい寒さを敬遠していた人たちがどっと詰めかけ、市内のホテルも連日満室。うれしい悲鳴をあげている。
 観光客のお目当ての一つは10万立方メートルの雪と13万立方メートルの氷を使った「氷雪大世界」だ。巨大な雪像や、氷を積み上げて内側からライトアップした作品が会場内に所狭しと並び、夜空の下、幻想的な世界を浮かび上がらせる。
 市気象局によると今年の1月上旬の平均気温は零下12.9度で、例年より約6度高い。降雪量も少なく、祭りに使われる天然雪の割合も3割から1割ほどに減ったという。

◎名前は「子弾頭」、新幹線ベースの中国高速鉄道GO!(2007年1月29日、読売新聞)
 【上海=加藤隆則】JR東日本の新幹線車両「はやて」をベースにした中国の高速鉄道「子弾頭」(弾丸)が28日、上海―杭州、上海―南京間で営業運行を開始した。
 中国メディアによると、当面は最高時速160キロ前後で運転する。子弾頭は中国山東省青島の大手鉄道車両メーカーと日本の川崎重工業などが合弁で生産。8両編成を連結させた16両。
 中国政府は高速鉄道の自主開発の方針を打ち出しており、今回の「子弾頭」についても「国産」と伝えている中国メディアが多い

◎中国自動車産業、過当競争で輸出にはけ口(2007年1月29日、産経新聞)
 【上海=前田徹】販売台数が700万台を超えて世界第2位となった中国の自動車市場で、外資系、国有企業系、民営企業系のメーカーが三つどもえの販売合戦を繰り広げている。国内メーカーは100社以上が乱立し、激烈な「春秋戦国時代」を勝ち抜く安売合戦により、“価格破壊”と過剰生産に悩まされている。有り余る中国車は最近では海外輸出に振り向けられ始め、中国当局は「無秩序な輸出は対外イメージを損ねる」として抑制に乗り出した。
 自動車メーカーの業界団体である中国汽車工業協会によると、中国の2006年自動車販売台数は721万6000台となり、日本を抜いて世界2位の市場に躍進した。また、生産台数も727万台余りでドイツを抜いて同3位となった。
 規模では米ゼネラル・モーターズや独フォルクスワーゲンなど外資との合弁国有企業が上位を占める。それがここ数年、乱立する純国産メーカーが小型車を中心に善戦し、すでに市場の3割近くを奪うまでに成長してきた。
 国内メーカーは年間販売台数で数十台という会社を含め100社以上がしのぎを削り、新規参入が加速している。例えば乗用車メーカーは01年には二十数社あったが、05年に50社を超え、中国の自動車メーカーの数は世界1となった。市場無視の投資拡大の結果、国内の総生産能力は1000万台を超えるのが時間の問題となり、設備稼働率も05年で71.5%の低水準にとどまっている。
 こうした状況を背景に、各社とも「降価」(値下げ)を武器に過当競争を繰り広げている。昨年12月も国産車50モデル以上が、一斉に数千元から最大3万元(45万円)もの値下げに踏み切った。“老舗”の外資系も値引き競争に巻き込まれ、フォルクスワーゲンの中国向け人気車「サンタナ」は発売当初に比べ半値以下に落ちている。自動車価格はかつて発売後3年は維持できたが、今や1年未満で調整を余儀なくされるという。
 一方、国内市場の過当競争と値崩れから逃れ、輸出で利益を確保しようとする中国企業が急増。現在、メーカーと商社を併せて1175社が海外進出に殺到している。
 中国商務部によると、輸出台数が年間10台以下の業者が669社、わずか1台の業者となると204社にものぼる。過当競争は飛び火して、昨年の輸出自動車約9万台の平均単価は前年比19.5%も下落し、こちらも採算無視の輸出競争に陥る懸念が広がる。
 このため、商務部や国家発展改革委員会などの当局は、自動車輸出許可のための資格検査を義務づけた通知を発表し、「安かろう悪かろう」の対外イメージを作り出す弱小メーカーの締め出しを狙っているという。

◎マカオ、ベガス抜く、カジノ売り上げ8400億円(2007年1月24日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国政府が唯一賭博を公認する特別行政区マカオ統計当局によると、昨年のカジノ売り上げが速報値で69.5億ドル(現在のレートで約8400億円)に達し、米ラスベガスの推計65億ドルを超えた。カジノ市場対外開放からわずか4年、カジノ都市として世界首位に躍り出た背景には、膨張する中国経済からあふれでるチャイナ・マネーと国際カジノ産業に流れ込む外資がある。
 昨年のマカオカジノ売り上げは前年比22%増。今年も順調に伸びる見込みで、2007年は80億ドルに達するとの推計もある。マカオのカジノ売り上げは昨年1~10月の段階ですでに56.3億ドルを記録し、ベガス同期の54.4億ドルを上回っていた。賭博税はマカオ税収の7割を占める。
 地場カジノ関係者によれば、マカオカジノの客の93%は中国大陸からの客だ。国内経済の過熱が警告され不動産投資にも陰りが出る中、中国の新興富裕層は03年に個人旅行が解禁されたばかりのマカオのカジノに押し寄せている。昨年、広東省東莞市にある小さな町の町長が1.1億元の公金をマカオカジノで使い9000万元(約13億500万円)も負けた事件が明らかになったように、客には汚職官僚も少なくない。
 清濁併せのむチャイナ・マネーを吸い上げるべく外資も殺到。24日付の証券時報によれば現在、マカオカジノに進出している外資系5社の初期投資は計200億ドル。中でも04年5月に開業したベガス資本のサンズはテーブル数でいえば地場カジノ・マカオ博彩(SJM)を超え、世界最大規模だ。すでに投資分の回収に成功、05年のマカオでの収益はサンズ全体収益の70%以上を占めるという。

◎中国:日本技術の新幹線が臨時運行、春節の帰省ラッシュで(2007年1月24日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也、上海・大谷麻由美】春節(旧正月)の帰省ラッシュを控えた中国の一部在来線で今週末以降、日本の新幹線の技術を導入した新型車両が、臨時列車として運転を始める。日本は、中国が国家プロジェクトとして進める「北京-上海間高速鉄道」への新幹線採用を強く働きかけてきた。4月には温家宝首相の訪日も決まっているため、日本の関係者の間では「高速鉄道への参画も」との期待が高まってきた。
 在来線に登場するのは、川崎重工業など日本企業6社が、技術供与先の中国「南車四方機車車両」(山東省青島)と共同で製造した「CRH2型子弾頭」。東北新幹線「はやて」「やまびこ」に採用されている「E2系1000」が基礎になっているという。
 上海-南京(江蘇省)、上海-杭州(浙江省)で28日から営業運転され、上海鉄道局は24日に乗車券の販売を始めた。北京-青島(山東省)間でも運転される。当面は時速160キロ以内で、4月18日のダイヤ改正後は同200~250キロで走行する。
 一方、「北京-上海間高速鉄道」については、中国鉄道省が「自主開発」を表明したが、車両や根幹技術には海外勢の支援が不可欠と見られている。中国ナンバー2の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長と自民・公明両党訪中団との22日の会談に、JR東日本の大塚陸毅会長が同席したことも、日本側の期待感を増幅させている。

◎中国のネット人口1億3700万人、10人に1人利用(2007年1月24日、朝日新聞)
 中国のインターネット人口が、昨年末の段階で日本の総人口を超える約1億3700万人に達したことがわかった。業界団体の調査結果として中国各紙が24日、報じた。一昨年末に比べて約2600万人増え、中国人の10人に1人がインターネットを利用していることになる。
 中国インターネット情報センターの調べでは、ネット利用者は昨年、05年比で23.4%増。99年末の利用者は890万人だった。
 一方、ネット利用者が1カ月に使う接続費は83.5元(約1250円)で、05年より2割近く下がった。このため、同センターの毛偉主任は、今後さらに利用者の増加率は加速すると予測した。
 ただ、中国で深刻な社会問題となっている都市と農村の格差はネット普及率にも当てはまり、都市は農村に比べて6.5倍の早さで利用者が増えているという。

◎中国、05年のGDPを10.4%成長に上方修正(2007年1月24日、朝日新聞)
 中国国家統計局は05年の国内総生産(GDP)の実質成長率を0.2ポイント上方修正し、10.4%だった、と発表した。GDP総額は18兆3868億元(約276兆円)。
 昨年1月の当初発表では9.9%としていたが、昨年8月に10.2%と1度目の上方修正をしていた。06年分のGDPは25日に発表される。

◎中国、衛星攻撃兵器の実験を公式確認(2007年1月23日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国外務省の劉建超報道官は23日、定例記者会見で、中国が人工衛星を弾道ミサイルで破壊する衛星攻撃兵器実験を実施したことを公式に確認した。劉報道官は、「中国は一貫して宇宙の平和利用を主張、宇宙空間の軍事化と軍備競争に反対するとの立場に変化はない」と強調。さらに「いかなる国にも脅威にならない」と述べ、日米両国などに通報したことを説明。また、現時点で「2度目の実験実施は聞いていない」と語った。
 ロイター通信が23日、米専門家の話として伝えたところでは、破壊された衛星の破片は高度約400キロから同約3000キロの範囲で雲のように集まって漂っている。このため、各国の衛星だけでなく高度約400キロの軌道上で建設中の国際宇宙ステーションに衝突する可能性がある。
 しかし、会見で同報道官は、破片が他の衛星に衝突する可能性などについては回答を避けた。
 中国は日本時間12日午前7時28分、四川省の上空、高度約850キロにあった老朽化した自国の気象衛星を、地上から発射したミサイルに搭載した弾頭で破壊した。

◎中国が秘密兵器で米衛星への奇襲計画、米議会諮問機関(2007年1月20日、読売新聞)
 【ワシントン=貞広貴志】米連邦議会の諮問機関「米中経済・安全保障見直し委員会」は19日、中国が米国などの人工衛星に対抗するため検討している戦略を分析した報告書を公表した。
 中国については、弾道ミサイルを用いた人工衛星の破壊実験が発覚したばかりだが、報告書は秘密裏に開発した兵器システムで米衛星に奇襲をかける計画の存在や、ミサイルによる物理的な衛星撃破に加え、電波妨害や地上局破壊など多彩な攻撃の可能性を明らかにしている。
 報告書は、委員会の委託で、国防総省の中国問題顧問を務めるマイケル・ピルスバリー氏が中国の軍事専門誌など公開情報を収集・分析する形でまとめた。現役の人民解放軍将校らによる構想を「30の提案」に分類し、特に「秘密裏に対衛星兵器を開発し、使用に当たっては警告なく奇襲せよ」とした主張に深刻な懸念を表明している。
 また、報告書は中国が全地球測位システム(GPS)衛星も標的にしていると指摘し、「50基の衛星に対して攻撃を仕掛けられた場合、米軍だけでなく米国の市民経済にも壊滅的な悪影響を及ぼすことになる」と予測した。
 報告書は、中国が電波妨害や地上局の破壊などあらゆる手段を用いる恐れがあるとした上で、「中国当局は、米国にはどの国が攻撃してきたか実証する能力がないと踏んでいる」との見方を示している。

◎日東電工、中国の深センに液晶フィルム新工場(2007年1月19日、日本経済新聞)
 液晶用光学フィルム世界最大手の日東電工は中国・深セン市に新工場を建設し、2007年10月に稼働させる。総投資額は約200億円。深センなど華南地域には現地テレビメーカーのほか、韓国・台湾の液晶パネルメーカーが相次ぎ進出を計画しており、供給体制を強化する。08年の北京五輪開催などで中国の液晶テレビ市場は3年後に現在の五倍強に膨らむ見通し。成長市場で拠点を拡充し事業拡大を目指す。
 新工場は、まず第一期分として約60億円を投じて深センにある光明ハイテクパーク内に建設する。その後2―3年で140億円程度の追加投資を実施。画面サイズが65インチ以上の大型液晶パネル向けフィルムを生産できる最新鋭の加工・検査設備を導入する。2~3年後に約250億円の売り上げを目指す。

◎覚せい剤密輸の日本人被告に死刑判決、中国・人民法院(2007年1月18日、朝日新聞)
 中国遼寧省の大連市中級人民法院は18日、覚せい剤約5キロを中国から日本に密輸しようとして覚せい剤密輸罪に問われた名古屋市出身の武田輝夫被告(63)に対して、死刑の判決を下した。武田被告は、02年10月に福井市栃泉町の元金融業の男性宅で現金約800万円と貴金属類約5750万円が奪われた緊縛強盗事件で、福井県警から強盗傷害容疑の国際指名手配をされている。
 中国で日本人の被告に対する執行猶予無しの死刑判決はこれで3例目。これまでの2人の被告はいずれも控訴中で、刑は確定していない。
 武田被告は03年に運び役の日本人らを通じて覚せい剤を大連から日本に密輸しようとしたなどとして、04年6月に中国広東省で中国当局に拘束された。同年10月に覚せい剤密輸の罪で起訴され、公判で罪状をほぼ認めていた。
 また、同法院はこの日、この事件で覚せい剤密輸に関係した罪に問われた日本人男性(40)に対しても懲役3年の判決を下した。

◎日中貿易:2千億ドル突破(2007年1月17日、毎日新聞)
 中国税関総署は16日までに、06年の日本と中国の貿易総額(輸出入合計)が前年比12.5%増の2073億6000万ドル(約25兆円)になったと発表した。2000億ドルを超えたのは初めて。日本は中国にとって、欧州連合(EU)、米国に次ぐ3位の貿易相手だが、中国の対外貿易全体に占める比率は11.8%で05年の13%よりやや低下した。
 税関統計によると、中国の対日輸出は9.1%増の916億4000万ドル、日本からの輸入は15.2%増の1157億2000万ドルだった。(北京・共同)

◎中国人民銀、巨額の資金吸収(2007年1月17日、日本経済新聞)
 【上海=川瀬憲司】中国人民銀行(中央銀行)は16日の公開市場操作(オペ)で2100億元(約3兆2550億円)の人民銀行手形を発行した。新華社などによると1回の発行額としては過去最大。過剰流動性を抑えるため、15日には民間銀行の預金の一定部分を強制的に吸い上げる預金準備率の引き上げで約1500億元を吸収するなど、引き締め姿勢を強めている。
 今回発行した手形は1年物。利率は前回1年物を発行した9日と同じ2.7961%。人民銀は年明け以降、四回の手形発行で既に計4600億元の資金を吸収した。
 中国では流入する多額の外貨を人民銀が買い取り人民元の上昇ペースを抑えている。人民銀は手形発行などを通じ、市中にだぶつく人民元を吸収するオペに追われている。

◎中国の化学繊維生産量、世界全体の50%超える(2007年1月17日、読売新聞)
 中国の化学繊維生産量が、2006年に世界全体の生産量の半分を初めて超えたことが16日、日本化学繊維協会のまとめで明らかになった。
 中国の生産量は、前年比15%増の約1886万トンで、世界全体に占めるシェア(占有率)は前年の46.6%から50.9%に上昇した。
 中国の安い化繊製品に市場を奪われ、韓国は同11.3%減、アメリカが同7.8%減などと落ち込んだ。日本も、同2.8%減の約99万トンで、シェアは前年より0.2ポイント低い2.7%になった。
 一方、インドは同11.4%増と生産量が増加し、シェアは前年より0.4ポイント上昇して、6.5%となった。化繊協会は、国別で世界4位のインドが、07年は台湾、アメリカを抜いて2位に浮上すると予想している。

◎中国への直接投資、5%増の630億ドル・06年(2007年1月15日、日本経済新聞)
 【北京=桃井裕理】新華社によると、中国の薄熙来商務相は15日、2006年の対中直接投資(実行ベース)が前年比5%増の630億ドル(約7兆5600億円)だったことを明らかにした。05年は同0.5%減と6年ぶりのマイナスを記録したが、昨年は再びプラスに転じた。
 対中投資は外資の進出に伴い急増していたが、中国政府がハイテクなどに絞って誘致する政策へシフトしてきたことなどを受けて、伸びが鈍化している。外資にもインドやベトナムなど中国以外へ投資を振り向ける動きが出ている。
 一方で中国は海外への投資を積極化している。薄商務相によると、06年の対外投資(実行ベース)は同32%増の161億ドルだった。中国政府による対外投資奨励策を受け、中国企業の海外進出や資源開発などのプロジェクトが増加したとみられる。

◎中国人、「影響力は世界で2番」の自負、日米共同調査(2007年1月14日、読売新聞)
 中国人は自ら「中国はアメリカに次ぎ世界で2番目に強い影響力を持ち、10年後はアメリカに追いつく」と信じている――。
 日本、アメリカ、中国、インドの4か国、計6649人を対象に実施した意識調査で、こんな結果が出た。
 調査は国際経済交流財団が米シカゴ地球問題評議会と共同で行った。それによると、中国人の考える影響力のある国は、アメリカに続き自国が2位、3位ロシア、4位欧州連合(EU)で、日本は8位だという。中国の影響力について、日本人は、アメリカ、EU、ロシア、イギリスに続く5位、アメリカ人は3位、インド人は5位と位置づけていた。ただ、アメリカ人も、中国は10年後にアメリカに次いで2番目に強い影響力を持つようになると予測している。
 国際社会で存在感を増す中国に対して、「影響力の増大を抑えるために積極的に動くべきだ」との意見は、日本人で28%、アメリカ人で29%、インド人で23%といずれも3割以下にとどまった。逆に、日本人の72%、アメリカ人の65%、インド人の40%が「友好的な協力関係の構築を進めるべきだ」と、中国の台頭を好機ととらえる人々が多かった。
 ただ、「中国はパートナーか、ライバルか」という問いには、日本人の86%、アメリカ人の49%が「ライバル」と答えており、協調関係の構築は容易ではなさそうだ。

◎中国:広州市がGDP水増し統計、地方ではいまだに横行か(2007年1月12日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中国の広州市が、06年の同市の1人当たり国内総生産(GDP)を国家統計局とは違う独自の計算方法で算出し、本来より約3000ドルも多い約1万1000ドルと発表していたことが分かり、批判を浴びている。上海市も昨年まで同様の手法で統計発表していた。中国ではこれまで地方政府の業績をGDP成長率で評価してきた結果、こうした統計数値の水増しが横行しているのが実態。胡錦濤政権はこの状況を是正するため、成長至上主義から安定した発展方式への転換を図っているが、地方政府の意識変革は難しそうだ。
 広州市長は昨年末、同市の1人当たりGDPを戸籍人口の約702万人で計算すると1万ドルを超える見込みだと述べ、この情報が年明けから広まった。しかし、国家統計局が算出で使うのは同市の戸籍人口ではなく、常住人口の約994万人。これで計算すると1人当たりGDPは約7800ドルにとどまった。広州市に対して「不正確」「水増し」と批判が寄せられたため、同市はその後、数値を約7800ドルに修正した。
 上海市も05年、戸籍人口を使って1人当たりGDPを約8300ドルと発表したが、国家統計局の発表では約6300ドルだった。北京市の場合は、国家統計局の発表と同じで、05年の1人当たりGDPは約5500ドルだった。

◎中国軍機、また墜落、部隊間に設備・人材の格差?(2007年1月12日、朝日新聞)
 香港の親中国紙「文匯報」は12日、中国人民解放軍機が11日に山東省青島市の市街地に墜落したと報じた。重傷者はいない模様。9日にも広東省で解放軍機が墜落したばかり。専門家は、相次ぐ解放軍機事故の背景として「軍改革の過程で、設備や人材の部隊間格差が広がっている」と指摘している。
 同紙などによると、11日午後5時過ぎ、北海艦隊に所属する小型軍機が青島市東部の株洲路に墜落した。パイロットは墜落前に脱出し、市民にもけがはなかったという。事故原因は不明。
 昨年6月に安徽省で最新鋭の警戒管制機が墜落し40人が死亡したのに続き、10月には河北省で、今月9日にも広東省で解放軍機が墜落した。
 解放軍は兵器の現代化や人員の削減などの改革を進めているが、軍事専門家の平可夫氏は「資金や設備が重点的に投入される部隊と、そうでない部隊の格差が広がっている」と指摘する。

◎中国の貿易黒字、74%増の1774億ドル・06年(2007年1月10日、日本経済新聞)
 【北京=吉田忠則】中国国営の新華社は10日、2006年の貿易黒字が前年比74%増の1774億ドル(約21兆円)になったと報じた。黒字の拡大は成長率を押し上げる一方、大量の外貨の流入で過剰投資も引き起こしている。黒字急増を抑えるため、人民元の上昇をどこまで認めるかが今年の焦点となる。
 輸出入総額は24%増の1兆7606億ドル。輸出の伸びが27%なのに対し、輸入の伸びは20%にとどまり、貿易黒字を大きく膨らませた。黒字の拡大が寄与し、06年の経済成長率は実質で10.5%に達したもよう。輸入の伸びは年間を通して徐々に落ちてきており、放っておけば今年も大幅に黒字が増える可能性が大きい。
 06年の人民元の対ドルの上昇率が3.4%と小幅だったことも貿易黒字が急増した原因。黒字の拡大はマネー膨張による資産バブルなど経済への悪影響も心配されている。

◎新疆独立テロ組織18人を射殺、中国ウイグル当局発表(2007年1月8日、読売新聞)
 【北京=杉山祐之】中国の通信社・中国新聞社電などによると、中国・新疆ウイグル自治区の公安当局は8日、同自治区のパミール高原地帯で、今月5日にテロリスト18人を射殺、17人を拘束した、と発表した。その際、自家製の手投げ爆弾22発、製造中の手投げ弾1500発以上を押収した。
 同電によると、射殺、拘束されたのは、新疆独立を目指すテロ組織とされている「東トルキスタン・イスラム運動」のメンバー。パミール高原に訓練キャンプを設置、そこを拠点にテロ活動を行っていたという。
 公安当局側は摘発の過程で反撃を受け、要員1人が死亡、1人が負傷した。

◎中国:暴動や抗議行動に危機感、最高裁長官(2007年1月8日、毎日新聞)
 新華社電によると、中国最高人民法院(最高裁)の蕭揚院長(長官)は7日、暴動や暴力的な抗議行動が「社会の安定に影響する突出した問題」になっていると述べた。山東省済南市で開いた法曹関係者の会議で語った。
 中国では地方官僚の腐敗行為などに反発する住民の抗議が多発しているが、法曹の最高責任者が危機感を示したのは異例。蕭院長はまた、昨年1~11月に全国の裁判所で判決を下した刑事事件の被告は75万9230人で前年同期より4.3%増えたと指摘、治安悪化に懸念を表明した。(北京・共同)

◎渡航の際は注意、香港、広州でタバコ、バイク禁止(2007年1月5日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】香港で1日からレストランなどの公共スペースでの喫煙を禁止する条例が施行された。違反者は5000香港ドル(約7万5000円)を科されることになり、街中でこっそりと吸う喫煙者への厳しい目が広がりそうだ。香港に買い物に出かける日本人には要注意だ。
 この条例は、サービス産業で働く約20万人を副流煙による健康被害から守るのが狙いという。
 禁煙となったのは、海水浴場や1200カ所の公園だけでなく、レストラン、バー、カラオケ、学校、病院、オフィスビルなどの屋内公共スペース。“執行猶予”されるのは、サウナや麻雀店、マッサージ店で、2009年7月から禁煙となる。
 施行当日の元旦には、2145人に巡回の当局者から「注意」が与えられた。人口700万人のうち80万-90万人とされる香港の喫煙者は我慢できなくなった場合、「喫煙マップ」を頼りに喫煙場所を探し回ることになりそうだ。当局は、公園など市内255カ所に指定の喫煙場所を設置したという。
 「空気が良くなった」という賛成派に対し、「タバコ税を払っているのに納得できない」「(レストランでの)売り上げに心配だ」などの声も出ている。
 一方、広東省広州では、1日から庶民の足でもあるオートバイの走行が市街地で禁止された。中国紙によると、広州でのオートバイ台数は97年段階ですでに40万台を超えている。
 オートバイによる交通事故、交通秩序混乱、ひったくりが増加したことなどが理由。昨年11月の新規車両(車)登記件数は前年同月比88%増の1万7530件に達した。オートバイ禁止で車への乗り換えが増加したようだ。

◎東芝が中国でノートPC2種の販売自粛(2007年1月5日、読売新聞)
 東芝は4日、ノート型パソコン「サテライト L100」と「サテライト A80」の2機種について、中国全土で販売を自粛していることを明らかにした。
 静電気の影響を防ぐ性能が基準に達していないとして、中国・浙江省が省内での販売停止を命じていた。
 同省はほかに、富士通、NEC、米ヒューレット・パッカードの各1機種についても販売停止を命じている。各メーカーに対し、消費者の請求があれば、返品に応じるよう求めている。
 浙江省は昨年12月、品質検査の結果、4社の計5機種が静電気に対する耐性の「国家推薦基準」に達していないとして、省内での販売停止を命じた。これまでに販売されたのは約1000台とみられる。

◎中国:上海市汚職、わいろ3億元、今秋までに刑事事件に(2007年1月4日、毎日売新聞)
 【上海・大谷麻由美】上海市の社会保険基金をめぐる汚職事件で、上海市党委員会書記を解任された陳良宇氏が受領したわいろは、総額3億元(約45億円)余に達したことが分かった。中国の情報に詳しい香港誌「亜州週刊」が報じた。陳氏は昨年9月に党職を解任され、党中央規律検査委員会に身柄を拘束されている。同委員会は今秋の第17回党大会までに陳氏の身柄を司法当局に引き渡し、訴追手続きが行われるとみられる。
 同誌によると、陳氏の事務所からは高価な書や絵画の他に汚職事件の証拠は見つからなかったが、その後、別の場所から上海市の長寧区長やその他の人の名義で受け取った株券などが見つかり、わいろの総額が3億元余に達することが判明した。同委員会はうち1億5000万元(約22億5000万円)分の裏付け調査を終えたという。
 陳氏は当初、汚職事件への関与を否認した。しかし陳氏と関係の深い長寧区長が、自身が拘束された後に陳氏に関する情報を提供し、事件の全容が判明した。
 汚職にかかわった陳氏の息子は米国に逃亡。陳氏の妻や関係のあった女性も同委員会の調査を受けているという。汚職に関与した幹部や不動産開発業者の調査も続き、約50人が拘束された。
 中国では汚職事件の最高刑は死刑。成克傑・元全人代副委員長は約4000万元(約6億円)を受け取ったとして、00年に死刑となった。

◎中国製の模倣「日本ブランド」中東へ、被害9兆円にも(2007年1月4日、読売新聞)
 中国で作られた日本製品の模倣品が、オイルマネーで潤う中東諸国へ不法に輸出、販売される被害が急増している。
 特許庁の調べでは、〈メード・イン・ジャパン〉に対する信頼度を背景に、自動車部品や家電製品などを中心に、中国国内で消費されるものも含め、全世界での被害総額は年間9兆円(2002年)にのぼるという。神戸港などを経由して再輸出されるケースもあるといい、捜査当局は警戒を強化、政府と業界も本格的な対策に乗り出した。
 被害総額は、特許庁が国内企業から聞き取り調査した結果をもとに推計した。関係者によると、中東諸国は関税が安く、販売網が発達していることから、中国で作られた日本製品の模倣品が、約5年前から大量に流れるようになった。日本製を強調するため、中国からいったん神戸港など日本国内へ持ち込んだうえで輸出することもあるという。
 花王(東京)は、調査会社から「中国・海門市の工場で模倣品が製造されている」と連絡を受け、中国当局に摘発を要請。当局は05年3~9月、同社製品を模したローション約5万本(約2500万円相当)とラベル約50万枚を押収した。
 日産自動車(同)は05年4月、同社製のスパークプラグの模倣品が、中国からUAE(アラブ首長国連邦)へ輸出されたとの情報で、税関当局と協力して、ドバイで「NISSAN」と表記されたプラグ3万5000個(約700万円相当)を見つけた。

◎中国:財産権の範囲拡大 「物権法」来年成立見通し(2006年12月30日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】土地の国家所有を維持する中国が、個人や企業の財産に対する権利を認める「物権法」が、来年3月5日から開かれる全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で成立する見通しになった。北京で開かれていた全人代常務委員会の第25回会議は29日、同法案を承認し、来年の全人代に提出すると決めた。約10年にわたる論議の末、「私有」の範囲が一歩拡大されることになる。
 中国では90年代後半からマイホームブームが起こったが、個人が購入したマンションなどの財産に対する最終的な帰属先はあいまいだった。購入者は、70年間の土地の使用権を同時に得るものの、現行の関連法では、70年後には土地使用権とマンションの所有権を国に無償で返却しなければならないためだ。
 関係者によると、今回の法案は、国家が個人と集団の「合法的権利」を保護する義務を明記。土地などの公有財産と、不動産などの私有財産の権利は「平等」との考えを打ち出している。
 個人のマイホームの場合、土地の使用権が終了した後も、新たに使用権を支払えば継続的に使用できるようにし、個人の「財産権」が保護される。不動産登記の閲覧も自由化され、居住者が知らないまま悪質な業者が転売するといった事例も防げるようになるという。

◎中国:雑誌編集長を解任、汚職記事に当局者が反発か(2007年1月1日、毎日新聞)
 1日付の香港紙、明報などによると、北京の月刊誌「百姓」の黄良天編集長(50)が12月31日、解任された。同誌は地方で起きている汚職や農民の強制立ち退きなどに多く誌面を割き、当局者らの反発を買っていたとされる。
 黄氏は2004年9月から編集長。農業省管轄の同誌は発行部数約五万部で、06年には江蘇省の強制立ち退きや江西省で起きた学生による大規模デモなどを報道。ホームページが過去2年間に4回にわたって閉鎖されたという。
 黄氏は、解任について中央の規定による幹部の定期異動とだけ説明を受けたという。

◎中国:法人税、外資優遇廃止へ(2006年12月30日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員会は29日、外資系企業への優遇税制を廃止し、国内・外資を問わず税率を25%に統一する新たな企業所得税(法人税)法案を承認した。来年3月の全人代に諮り、成立する見通しだ。競争力のある外資企業の誘致をテコに経済成長を進めてきた従来の経済政策を転換し、国内企業の競争力強化に軸足を置く狙い。
 激変緩和措置を盛り込み、08年からの実施が有力視されている。外資企業はコスト上昇になり、多くの国内企業は減税となる見通し。黒字化して2年間は所得税を免除、その後3年間は税率を半分にする措置も段階的に廃止されるとみられる。
 企業への税率は現行33%と決められている。しかし、経済開発区では、輸出入を扱う一部企業には15%や24%の軽減税率が適用されている。

◎香港、元旦からレストラン・カラオケなどで禁煙(2006年12月27日、朝日新聞)
 美食の街で食後の一服が御法度に――新年から香港のレストランやカラオケ店、オフィス、公園、バス停など不特定多数の市民が集まる公共スペースで喫煙が禁止される。喫煙による健康被害の軽減をめざす新条例が施行されるためだが、客足に響きかねない業界からは反発の声も。日本から観光やビジネスで訪れる喫煙者は用心が必要だ。
 1月1日から、約1万軒とされるレストラン、50万室のオフィス、1400カ所の公園のほか、カラオケやバス停なども禁煙になる。香港名物の競馬場も、馬券売り場を含め室内は禁煙だ。
 ナイトクラブやサウナ、18歳以下は入店禁止のバーなどの「大人のサービス業」は今回の対象からは外れたが、遅くとも09年7月までには禁煙になる予定だという。
 香港の人口約700万人のうち、喫煙者は約84万人。香港政府は、医療費の増加や生産力の低下など、喫煙を原因とする経済被害が「毎年少なくとも53億香港ドル」(約800億円)に上るという数字をあげ、市民に協力を呼びかけている。
 違反者には最高で5000香港ドル(約7万5000円)の罰金を科す。
 パトロールするのは「控煙督察」と呼ばれる政府職員だが、その数は当面100人足らず。取り締まりの主力は現場を管理する事業主たちだ。しかし、銅鑼湾の食堂店主は「昼休み、オフィスを離れてたばことコーヒーで生き抜きというお客さんが多い。たばこを吸えなければ客足が遠のきそうだ」という。
 98年にはゲームセンターなどの禁煙条例を施行しながら有名無実になった。事業手らの協力が得られず、マフィアの影響力を恐れて、政府の取り締まりも徹底しなかったためだ。今回、香港政府はメンツをかけ説得に全力を挙げる方針だ。

◎「違法行為」で中国・青島市トップを解任、内容明かさず(2006年12月25日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】24日の中国国営新華社通信によると、中国共産党中央規律検査委員会はこのほど、山東省党委副書記で青島市トップの杜世成・党委書記が重大な党規律に反し、重大な違法行為を犯したとして刑事告発を決定した。杜氏は職務を解任された。党中央は、後任の青島市党委書記に閻啓俊・山東省党委常務委員を任命した。具体的な違反内容は明らかにしていない。
 中国では今年、前上海市党委書記の陳良宇氏や元北京市副市長の劉志華氏らが汚職で解任されており、新華社は今回の処分についても、中央による官僚の党規違反や汚職に対する厳しい姿勢の表れと指摘している。

◎愛人5人・24億円収賄、中国の前海軍軍人に無期判決(2006年12月23日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】23日付の香港の中国系紙文匯報などによると、中国人民解放軍の軍事法廷は14日、汚職などで解任、起訴された王守業・前海軍副司令官(62)に対し、無期懲役の判決を言い渡した。
 同紙などによると、王被告は軍総後勤部幹部などを務めていた1995年から2001年にかけ、約1億6000万元(約24億円)に上る収賄・公金流用を行ったほか、5人の愛人を持つなどの「道徳的腐敗」の責任を問われた。軍が公表した軍人の汚職案件の中では、汚職額、役職ともに過去最高という。
 今回の事件は、王被告に結婚を迫った愛人の1人が、結婚や500万元(約7500万円)の手切れ金支払いに応じなかった王被告を軍に告発して発覚した。

◎私服でパトカー禁止、中国、私物化横行で規制(2006年12月15日、朝日新聞)
 けたたましくサイレンを響かせて走るパトカーの車内で警察官とその家族が歓談していた――。中国では決して珍しくないパトカーの私物化に歯止めをかけようと、公安省が新たな「パトカー管理規定」を発表した。
 中国各紙によると、私服でパトカーを運転する▽サイレンを乱用する▽パトカーや警察車両の証明書を勝手に貸し出す――など8項目の禁止事項を盛り込んだ。対象には公安・警察部門のほか、検察、裁判所、刑務所の公用車も含まれる。
 こうした規定は違反者が多いことの裏返しといえる。ただ、新規定は「特殊任務」や容疑者の追跡時などは適用外としており、どこまで徹底されるかは不透明だ。

◎中国、ネット音楽を統制、文化侵略阻止狙う(2006年12月13日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国文化省は12日、インターネットを通じた音楽サイトの管理規制方針を初めて発表した。ネット音楽による知的財産権侵害防止のほか、今年打ち出された「文化発展計画綱要」を受けた文化統制強化の一環とみられ、外国音楽による文化侵略阻止やネット音楽の国産化推進といった狙いもうかがえる。
 管理規制では、ネット上の音楽配信サイトなどは2007年3月1日までに、文化省の審査と許可を得なければならないとし、外資の参加を禁止している。また、音楽は「民族精神を体現し時代の特徴を反映する独創的なもの」であることを求めており、規制対象は欧米や日本の「低俗な」ロックやポップス、社会不満や矛盾を揶揄(やゆ)した替え歌などに及ぶ可能性がある。
 新華社通信(電子版)によれば、中国のネット音楽産業は昨年、36億元(1元=約15円)の収益をあげ、伝統的なレコードやCD産業の収益(27億元)を大きく上回っている。当局は、こうした成長産業を国産化することで、経済的利益も期待しているようだ。
 ただ、ネット業界関係者らは「今回の規制はネット音楽創作の才能や意欲をつぶしかねない」と危機感をもっており、当局の音楽統制はむしろ中国独自のネット音楽の成長を阻むものと受け取られている。

◎またも日本車のコピーデザイン!近づいてきた?中国経済の終焉(2006年12月13日、毎日新聞)
 北京モーターショー(11月18~27日)に中国車メーカーの出展した新型車のデザインが問題になっている。中国メーカーのコピー商品は今に始まったことではないが、08年の北京オリンピックを控え、先進国並みのモラルが内外から求められる中で、世界中の自動車メーカーが集まる場で国営企業が堂々とコピーデザインを発表する姿勢に、厳しい声があがっている。

・民族資本の新型車は日本車そっくり
 04年の同ショーではホンダCR-Vのコピー車が目を引いたが、今回のターゲットはトヨタと日産。ピックアップやSUVを販売していた長城汽車が、新たに小型車市場に参入するとして発表した3台が微妙なデザインなのだ。FLORIDはフロントがトヨタのヴィッツ、リアが同じくトヨタのイストにそっくりの1.3Lモデル。GWPERIはどう見ても日産ノートのコピー。COOLBEAR(下記画像)はbB以外の何者でもない。さすがの中国人も見かねたのか、自動車情報サイトでは、同3車種のコピーデザインを批判する記事が見受けられる。
 日本もかつては外車のコピーデザインが多く、あまり強くは言えない立場ではある。しかし、コピーにも限度はあるだろう。いくら似ていてもセリカとシボレーモンザ2+2を間違えて買うことはありえないし、ベンツの真似から始まったレクサスは今や完全にオリジナルのデザインに至っている。最近ではミラジーノがミニのイメージだが、これも本歌取りといったところだ。日本も通ってきた道とはいえ、これほど露骨だと何かしら相容れないものを感じるのだ。
 中国のモータリゼーションにはすさまじい勢いがあり、アメリカのコンサルティング会社ブーズ・アレン&ハミルトン社は、2015年に日本を抜き、中国が世界第2位の自動車市場になると予想している。中国自動車工業協会の集計では、06年の国内販売台数(1~10月)は前年同期比25.7%増の577万台。2010年ごろには1,000万台を超えると予想している。この急成長は、今まで富裕層の贅沢品だった自動車が、都市部を中心に中間層にも普及し始めているためだ。好景気とともに民族資本といわれる中国の自動車メーカーが低価格の自動車を市場に供給しているためである。
 富裕層は海外メーカーのセダンやSUVを好むが、新しい購買層は収入も少なく、民族資本の小型車やミニバンを購入する。価格も安く、奇端汽車の奇端QQはリッターカーながら3万元(約75万円)を切る。
 海外の自動車メーカーにとって、先進国市場が飽和状態の現在、中国市場は非常に魅力的だ。その強みを知っている中国は、商品のコピーはもとより、上海市嘉定区では誘致した外資系企業に立ち退きを要求(補償は未定)するなど、時として専横ぶりを発揮する。しかしリスクがあっても、進出しないわけにはいかないのが現状だ。

・魅力を失う工場としての中国
 中国の市場としての魅力が増すにつれ、皮肉なことに世界の工場としての魅力は急速に薄れているとの見方もある。
 要因はいくつもある。年10%前後ずつ人件費が上昇し、最大の魅力だった安い人件費が確保できなくなっている。さらに環境汚染が激しく、工業用水の確保も難しい。そればかりか、中国政府が環境問題を公式に認めた場合、すべての責任を進出している外資系企業に押し付けられる可能性は極めて高い。マックスファクターの化粧品SK-Ⅱに高濃度のクロムが含有されていたとの政府発表を行い、一部店舗では返品を求める顧客が暴徒化、閉鎖を余儀なくされたのは記憶に新しい。
 農村部と都市部の経済格差、高い失業率が原因の農民の暴動は増加の一途をたどり、不動産投機の高騰はすでにバブル化しているともいわれている。チャイナリスクが市場の魅力を上回り始めているのだ。
 中国商務省の統計では、06年1~9月の日本の対中投資は前年同期比29.55%減少の32億6,669万ドルに留まっている。欧米も同様の傾向にあり、設備投資が一巡したことに加え、高まるチャイナリスクを嫌った企業が、生産拠点をインドや東欧に移し始めたというのが実情のようだ。
 では中国の企業が外資の手助けなく一人立ちできるのか?これは非常に心もとない。昨年のことだが、ドイツで行われた自動車の安全性能評価試験で、20年行われている同試験で初めて中国の四輪駆動車が星ゼロとなった。中国メーカーがエンジンを作る技術もシャーシを作る技術も不十分で、日本企業などからOEM供給を受けているのは公然の秘密だ。技術レベルは非常に心もとないと言えるだろう。
 外資系が中国で作る方から中国に売る方へ重点を移せば、今まで潤沢にあった外貨もおのずと減り始める。近いうちに元の固定レートを支えることができなくなるだろう。元は高騰し、バブルは弾ける。借り物の繁栄は長く続かない。レッドドラゴンは早くも空から落ち始めている。

◎知財権、米「中国の侵害深刻」、著作権ビジネスでは9割(2006年12月13日、産経新聞)
 【ワシントン=渡辺浩生】米通商代表部(USTR)は11日、米議会に提出した中国の世界貿易機関(WTO)加盟5周年の年次審査報告で、中国での模造品製造や著作権侵害など知的財産権(IPR)の侵害が、「米国のあらゆる分野の産業に深刻な経済的被害をもたらし、容認しがたい」と厳しく糾弾した。
 中国はWTO加盟に伴って、IPRをめぐる国際基準に基づいた国内法、諸規制の整備・見直しを進めてはいる。しかし、ソフトウエアから、情報技術、衣料、スポーツ用品に至るまでIPR侵害が広がったままだ。
 ソフトの不正コピーによる被害は2005年で12億7000万ドルと試算。中国の著作権ビジネスの9割前後は侵害にあたるとみている。加えて、米国境で差し押さえたコピー製品の69%、8720万ドル相当は中国から流入したものという。
 報告書は、IPR侵害が横行する要因として、中国の法令順守意識が希薄なことを指摘。違反事案に対する刑事捜査、違反者の起訴などに対する司法当局の腰の重さや、罰金など刑事罰の軽さも問題視し、「侵害者に安全な隠れ家をつくっている」と厳しく批判した。
 さらに、外国製の映画、書籍、ビデオに対する輸入制限も結果的に、これらの製品の模造を助長していると分析。氾濫(はんらん)する医薬品や食品、自動車・航空機部品の模造品は、「米国消費者の健康と安全の直接的脅威」と受け止めている。

◎収監中のジャーナリスト、世界で134人、中国が最多(2006年12月8日、読売新聞)
 【ニューヨーク=大塚隆一】ニューヨークに本部を置く民間団体「ジャーナリスト保護委員会」(CPJ)は7日、世界のジャーナリストの収監状況を発表した。
 今年はインターネット媒体の記者や編集者が初めて全体の3分の1を超えた。国別では中国が8年連続で最多となった。
 CPJによると、1日現在、報道内容を理由に収監されているのは24か国の134人で、昨年より9人増えた。最も多いのは新聞や雑誌など活字媒体の67人。これにネットの49人が続いた。テレビ、ラジオは各8人だった。
 国別では中国31人、キューバ24人、エリトリア23人の順。中国は半数以上の19人がネット関連だった。また約4分の3は「反国家」というあいまいな理由で収監されていた。
 CPJのジョエル・サイモン事務局長は「中国政府はネットの統制や検閲が不可能という見方に挑んでいる。その通りになれば、ネットも報道の自由も大きな打撃を受ける」と述べた。

◎中国でニセ軍用車が横行、犯罪組織が「特権」悪用2006年12月6日、読売新聞)
 【北京=末続哲也】中国で人民解放軍所属の自動車を装った「ニセ軍用車」が多数出回り、問題化している。
 軍用車は、道路通行料や駐車料などが免除される。警察も、軍用車の交通規則違反には目をつぶりがちだ。この特権に着目した犯罪組織が軍用車を偽造し、密輸などに悪用している。ニセ軍用車の通行料不支払いなどの損失は毎年5億元(約73億円)以上とされ、軍は取り締まりに必死だ。
 中国各紙によると、一般車は通常、青や黒、黄のナンバープレートを使うのに対し、軍用車は白プレートを使うが、犯罪組織が、このプレートを偽造したり、盗んだりしてニセ軍用車を仕立て、麻薬や密輸たばこの運搬などに使う例が増加している。ニセ軍用車で一般車に衝突し、法外な賠償金を脅し取る集団も現れた。
 軍は8月以降、警察とともに取り締まりを強化。27の犯罪集団の230人以上を摘発し、盗まれた軍用車のプレート360枚以上や、偽造プレート1566枚、ニセ軍用車両1258台を押収した。特権を盾にした軍用車の迷惑運転も批判され、軍はとばっちりを受けた形だ。

◎【中国】狙われる日本人:中国ドラッグ最新事情(2006年11月29日、サーチナ・中国情報局)
【メンタルリスクと中国】違法性薬物・ドラッグ編(2)―佐野秀典(MD.ネット代表取締役社長)
 世界の年間麻薬取引額は、世界中の自動車取引を上回る約3000億ドルといわれている。ほぼ原油の取引高に匹敵する金額である。そんな麻薬という「商品」の90%は、タイ、ラオス、ミャンマーの国境にある「ゴールデントライアングル」とトルコ、イラン、アフガニスタン、パキスタンを三日月状に貫いて拡がる「ゴールデンクレセント」の二大拠点で生産されている。
 この二大「ゴールデン」エリアのいずれにも接しているのが、中国という国だ。中国が現在、世界の麻薬取引の一大中継国になっていること、そして国内に夥しい数の薬物常用者を抱えるに至っていることの背景には、そんな地理的条件がある。中国では国を挙げて麻薬、覚せい剤の撲滅キャンペーンが行われており、公安部が05年に摘発したドラッグ関連事件は4万5000件、逮捕者は5万8000人にのぼった。といっても「国家禁毒委員会」によれば、中国の麻薬常用者は116万人という膨大なものであり、しかも年間15-20%のペースで増加しているのである。しかし薬物の専門家たちは、実際には麻薬・覚せい剤乱用者は当局の発表を大幅に上回る500万人前後存在しており、4年後には1000万人レベルに達するとみている。
 そんな現代中国における違法性薬物の代表は、ケシから取れるアヘンを精製したヘロイン(海洛因)で、当局の統計でも乱用薬物の78.3%を占めている。しかしその中国に今、大きな変化が生じている。麻薬とまったく異なる乱用薬物、「覚せい剤」の蔓延である。麻薬と覚せい剤の違いは次回以降で詳述するが、中国におけるこうした薬物乱用実態の変化には、実は日本も深く関わっている。
 日本の違法性薬物に対する取り締まりは世界一だ。島国という地理的条件もあるが、日本の税関や警察の乱用薬物に対する水際での取締りは、先進国でも類を見ない力を持っている。日本が長く「世界一クリーンな国」の座を譲らなかったのは、国民性ではなく、実は警察の力によるところが大きかったのである。それでも韓国や北朝鮮などから日本に密輸されていた覚せい剤はかなりの量に上ると推測されている。ところが近年、政治的な事情もあって、北朝鮮からの密輸取締りは徹底的に強化された。日本国内の覚せい剤の末端価格は品薄のために一時的に高騰したほどだが、北朝鮮では行き場のない覚せい剤が国内に大量に出回り、さらに、本来は麻薬王国であった地続きの中国にも大量に流入していったというわけだ。ヘロインなどの麻薬はダウナー(神経抑制剤)だが、覚醒剤はこれとは全く違うアッパー(神経興奮剤)であり、また取引価格も比較的安いこともあって、覚せい剤は瞬く間に中国で勢力を拡大していったのである。当局の最新リポートによれば、すでに薬物犯罪事件の半数が覚せい剤関連のもので占められているという。
 ところで、日本では薬物乱用といえば大部分が覚せい剤であり、麻薬乱用者の割合は非常に低い。これは世界を見渡しても例外的な傾向だが、それもそのはず、覚せい剤は日本生まれの「商品」なのである。ルーツは戦時中の日本で戦意高揚のために用いられたケミカルドラッグ(化学合成薬物)だ。戦後、米国にこれが伝わり、錠剤の経口摂取による乱用が増加した。日本では戦後から最近まで、覚せい剤は静脈注射による摂取が主で、骨までしゃぶり尽くすことから「しゃぶ」と呼ばれるようになったのである。
 最近問題になっているMDMA(隠語ではエクスタシー、エックス、バツ)も、法的には麻薬に分類されているが、実は覚せい剤と幻覚剤を合成した物質だ。実はこの夏、「先生、幻覚が・・・」と上海から私に電話をかけてきた日本人女性が服んだドラッグもMDMAだった。覚せい剤を生み出した国の若者たちがいま、それが大量に出回っている中国で、その餌食になり始めているのである。

◎中国で移植、肝炎拡大か、韓国人患者は6.5%感染(2006年11月28日、読売新聞)
 中国で肝臓移植を受けた韓国人の6.5%がB型またはC型肝炎ウイルスに感染していたことが、成均館(ソンギュングワン)大学(ソウル)移植外科のイ・ソック教授らの調査で明らかになった。
 中国で臓器提供者のウイルス検査が十分行われず、肝臓や輸血血液などに肝炎ウイルスが混入していた疑いがある。
 日本人で中国で移植を受ける患者は後を絶たないが、移植後のウイルス感染が広がっている可能性が出てきた。日本でも感染の実態調査を迫られそうだ。
 韓国では、中国に渡って臓器移植を受ける患者が急増しており、イ教授らは、中国で肝臓移植を受けた患者を診療している韓国の医療機関を対象に調査した。
 その結果、昨年までの5年間に490人が中国で移植を受け、その後32人がB型、C型肝炎に感染していた。今後、肝硬変や肝臓がんを発病する恐れがある。
 厚生労働省研究班が今年3月にまとめた調査によると、中国で移植を受けた日本人患者は、肝臓が14人、腎臓106人だった。把握できなかった患者も多く、移植後の患者の健康調査も行われなかった。
 しかし、中国で腎臓移植を受けた日本人が肝炎に感染したケースも既に明らかになっており、今回の韓国での調査により、日本でも肝炎ウイルス感染の拡大が懸念される。
 中国へ渡航しての移植が絶えない背景には、日本国内での脳死移植の停滞がある。移植を望んで日本臓器移植ネットワークに登録している患者は現在、肝臓で約130人、腎臓が約1万1700人いるが、脳死移植を受けたのは肝臓34人、腎臓でも56人に過ぎない。

◎ホンダ、中国メーカーに「CR-V」酷似車出展で抗議(2006年11月28日、産経新聞)
 ホンダの中国現地法人、ホンダ中国投資は27日、北京モーターショーに同社のスポーツ用多目的車(SUV)「CR-V」に酷似したSUVを出展した中国メーカーに、その撤去を申し入れたことを明らかにした。実際に市場に投入されれば、法的措置も検討する。ホンダによると、このメーカーは中堅の中順汽車。CR-Vについては、意匠権をめぐって他の中国メーカーとも裁判を続けている。

◎人民元、対米ドルで最高値更新、香港ドルと等価に(2006年11月28日、産経新聞)
 【北京=共同】27日の上海外国為替市場の人民元相場はドルに対して一時、1ドル=7.8410元まで上昇し、昨年7月の切り上げ後の最高値を更新した。7.85元の突破は初めてで、1ドル=7.75~85香港ドルの幅で米ドルに連動している香港ドルとほぼ等価になった。
 香港ドルに比べ人民元には多くの規制があり、香港経済に直ちに大きな影響はないとみられるが、香港の銀行などでの顧客向けレートはすでに人民元の方が高い。この傾向が続けば、長期的には香港ドルの地位低下につながる可能性もある。
 この日、人民元の大手金融機関の相対取引は1ドル=7.8436元で終え、終値も最高値となった。前週末の終値は7.8525元だった。
 香港ドルは1997年の返還以降も人民元よりやや高い交換レートを維持してきたが、人民元が切り上げ以降じりじりと値を上げた結果、対米ドル相場で肩を並べるのは時間の問題とみられていた。
 香港の中央銀行に当たる金融管理局は当面、現行の米ドル連動制を維持する考えを示している。

◎中国、核関連輸出規制条例を改正(2006年11月26日、日本経済新聞)
 【北京=桃井裕理】新華社によると、中国政府は25日までに核関連物資、技術の輸出規制に関する条例を改正した。違反した場合の罰則を強化、最高で取引額の5倍の罰金を科すこととした。条例には「核兵器拡散と核テロ行為の防止」を制定目的として盛り込み、核の平和利用で国際社会と協力していく姿勢を強調した。
 改正条例には、厳格に制限する対象として濃縮ウランや重水生産の設備など「核拡散にとって敏感な物資」を新たに加えた。核関連の物資や技術の輸出に関しても「中国政府の同意を得ずに第三国に譲渡しない」「譲渡を受けた第三国は利用にあたって中国政府の提示する義務に従う」などの規定を加えた。

◎過去最大級ポルノサイト運営者に無期懲役、中国(2006年11月23日、産経新聞)
≪会員60万人集める≫
 新華社電によると、中国山西省太原市の中級人民法院(地裁)は22日、中国で過去最大級のポルノサイトを運営していた男性被告(28)に無期懲役を言い渡した。個人資産10万元(約150万円)の没収も命じた。仲間8人にも最高10年の懲役刑が言い渡された。
 同被告は2004年以降、仲間と米国のサーバーを使って4つの有料ポルノサイトを開設、大量のポルノ写真や映像を掲載し、会員約60万人を集めていた。ドメイン名やIPアドレスを頻繁に変えるなどして摘発を逃れていた。
 被告のグループが得た違法な利益は少なくとも20万元に上り、一部は海外の銀行に送金していたとされる。

◎中国山西省の炭鉱爆発事故、死者81人に(2006年11月17日、産経新聞)
 中国山西省で今月起きた2つの炭鉱事故の死者数が16日までに、計81人に上った。新華社電が同日までに伝えた。新華社電によると、このうち同省原平市の炭鉱で5日に発生した爆発事故では、作業員47人が死亡。同省晋中市で今月上旬発生した爆発事故では、当時坑内で働いていた34人全員が死亡したという。

◎上海バブルにブレーキ?売れぬ億ション、一方根強い投資も(2006年11月17日、産経新聞)
 【上海=前田徹】上海の不動産バブルにブレーキがかかったのかどうかが、いま注目を集めている。胡錦濤政権が経済過熱を背景に上海市トップの陳良宇書記を解任して以来、常に右肩上がりだった不動産価格が、横ばい状態になったと発表されたからだ。だが、中国人民元の切り上げは必至とみて、切り上げ期待の不動産投資は根強いとの見方が投資会社の間などで支持されている。
 上海バブルの象徴といわれた超高級マンション「湯臣一品」。4棟を1棟ごと(約600億円)に販売する計画を香港系不動産会社が断念したというニュースが、上海紙東方早報に掲載されたのは10日のことだ。それによると、2005年に完成後、ニューヨークやロンドンで販売活動を続けたが、結局買い手がつかず2棟を賃貸に切り替え、残る2棟は個別販売に切り替えたという。黄浦江に面した絶景の「億ション」(約600平方メートル、約10億円)は結局、2室が売れただけだ。
 また、上海市房屋(家屋)土地管理局や上海社会科学院らも、胡錦濤政権の経済引き締め路線を意識して「上海の不動産過熱は峠を越し、落ち着いて推移」と強調している。手渡された「上海房地産(不動産)市場報告」最新号(10月号)でも、昨年前半まで年20%前後の高騰を続けた価格が、不自然なほど横ばい状態になっている。
 だが、一方で陳前書記時代に計画された郊外住宅地は完売状態で、不動産バブルが続いているかの様相も見せている。
 例えば、上海市政府がベッドタウン構想として建設した「テムズ・タウン」は総工費750億円。近くの湖から人工の川を引き入れ、中心に英ブリストルの教会を模して配置するなど、英国住宅街をコピーした高級住宅街となっている。
 一戸建て(500平方メートル)で2億円前後もし、安い集合住宅も含め計2000戸もあったが、05年までの予約販売で完売している。購入者の大半は上海中心街の住民だが、今年10月に正式オープン後も入居者はなく、大半が投資目的とみられる。しかもベッドタウン構想はほかにも、イタリアやドイツなどをコピーした住宅街が4カ所もあり、いずれも完売という人気ぶりだ。
 香港や台湾の不動産投資専門家は、中小不動産に投機熱が残っているとし、「人民元に25%ほど切り上げる余裕があるから」と指摘している。
 また、日本の総合銀行系研究所によれば、中国の不動産バブルは中国国有銀行の巨額マネーが流れ込んで起きている。引き締め過ぎればバブル崩壊で一気に銀行の不良債権問題が露呈するため、政府は穏やかなバブル傾向を保つ必要があるとみている。不動産価格の見事な横ばい状態の事情を裏付けているようだ。

◎パキスタンへの原発供与は正当、中国外務省副報道局長(2006年11月16日、産経新聞)
 中国外務省の姜瑜副報道局長は16日の定例記者会見で、核拡散防止条約(NPT)未加盟で核兵器を保有するパキスタンへの中国の原発供与に関し「両国は核エネルギーに関する平和利用協定を締結しており、国際原子力機関(IAEA)の保障措置(査察)協定も結んでいる」と述べ、正当な行為と主張した。
 副報道局長は、パキスタン国内で中国が供与した原発の建設工事が順調に進んでいるとの見方を示した上で「両国が精力的に建設を進め、完成させることを期待している」と語った。

◎上海の邦企業立ち退き問題で総領事館が口上書(2006年11月16日、産経新聞)
 【上海=前田徹】上海市嘉定区の工業区に入居している10社の日本企業などが都市計画を理由に立ち退き要求されている問題で在上海総領事館は15日までに上海市当局に対し「日本企業の問題に重大な関心を持っており、満足のいく解決を求める」との口上書を手渡した。誘致日本企業の投資保護を目的に調印された日中投資保護協定の存在についても確認した。上海市側は企業の意見を十分に尊重したいと述べた。
 口上書によると、「中長期の展望を持って誘致されてきた日本企業が入居後わずか1、2年で立ち退きを求められて困難に直面している。上海の日本企業全般に困惑と当惑が広がっているので、満足のゆく解決に向け努力してほしい」などとしている。また、日中保護協定は1988年に締結されたもので、日本企業が中国の国有化や土地収用案件に巻き込まれる場合、投資保護が約束され、立ち退く場合も相応の補償が受けられることになっている。
 同工業区への入居日本企業はハウスやヤクルトなど47社にのぼるが、工業区が新城(ニュータウン)建設計画を理由に第1期として日本企業10社を含む24社が上海市嘉定区政府から正式に立ち退き通告されている。企業側はいずれも2004年から翌年にかけて入居したばかりで「誘致時に立ち退きを予定していた可能性がある」と不信感を強めており、基本的には撤回を求めるとしている。

◎中国、台湾人ビジネスマン2人をスパイ容疑で逮捕(2006年11月16日、産経新聞)
 中国国務院台湾弁公室の李維一報道官は15日の記者会見で、台湾ビジネスマン2人がこのほどスパイ容疑で逮捕されていることを確認した。台湾メディアによると、2人は中国南部の福建省で軍事機密を収拾し、台湾当局に伝えていた疑いで、9月上旬にそれぞれ湖南省長沙市、広東省広州市で拘束されたという。

◎中国人は化粧ができなくなる? 重金属含有で中国が警告(2006年9月24日、産経新聞)
 【北京=福島香織】香港基準・鑑定センターは25日までに、クリスチャン・ディオール、ランコム、エスティ・ローダー、クリニークの世界4大化粧品ブランドすべての化粧品に、微量のクロム、ネジウムなどの重金属類が含まれていると発表した。
 中国では日本製化粧品のマックスファクターSK-IIにクロムなどが含まれていたとして非難報道が続き、全国で返品騒ぎが発生しているが、ディオール、エスティ・ローダーに含まれているクロム類はSK-IIよりも多いという。
 センターによれば、クリスチャン・ディオールのファンデーション、エスティ・ローダーのファンデーションにはクロムがそれぞれ、キロあたり4.5ミリグラム、3.9ミリグラム含まれ、SK-IIより多かった。この他のブランドのファンデーションにもクロム、ネオジムが含まれていた。

◎P&G上海支社襲われる(2006年9月24日、産経新聞)
 23日付の中国紙・南方都市報によると、中国当局が日本製化粧品「SK-II」ブランドの商品に金属類が含まれていると発表した問題で、上海では怒った群衆がP&G上海支社に押しかけ、玄関口のガラスなどを壊す騒ぎが起きた。P&G広州支社によれば「一部地域で重大な治安事件が発生している」といい、他の地域でも暴力事件が発生しているもようだ。

◎中国製美白クリームに水銀2万倍「短期的には美白効果」(2006年11月16日、産経新聞)
 【北京=福島香織】国営新華社通信によると、中国内陸部の安徽省の検疫当局が行った中国製化粧品の抜き打ち品質検査で、合肥市など4市の市場に出回っている50種の商品のうち7商品が不合格だった。なかには水銀の含有量が国家基準の2万倍という問題商品も複数含まれていた。
 サンプルは上海市、浙江省、広東省、安徽省など9省市の37メーカーの製品。2万倍の水銀入り化粧品は、南京市の工場で製造されたクリームや広州市のメーカーの美白クリームなどだった。
 同省検疫当局は「水銀は短期的には色素を減退する効果があり、多くの不法企業は美白効果を追及するために商品に水銀を入れてる。しかし皮膚から水銀が吸収されれば慢性水銀中毒を引き起こし、骨格や歯、肝腎機能に悪影響を及ぼす」と注意を促している。
 中国ではSK-IIなど日本製輸入化粧品に含まれる微量のクロムが問題視されていたが、中国製化粧品は論外といえそうだ。

◎中国、対北ぜいたく品禁輸に消極的 「正常な貿易に影響」(2006年11月16日、産経新聞)
 中国外務省の姜瑜副報道局長は16日の定例記者会見で、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議が定めたぜいたく品の禁輸条項に関連し「北朝鮮との間の正常な貿易に影響を与えるべきではない」と述べ、同条項を利用した北朝鮮への圧力強化に消極姿勢を示した。
 副局長の発言は、ぜいたく品輸出禁止措置を講じた日本政府の姿勢を牽制する意味も込められているとみられる。
 また、副局長は、決議がぜいたく品の定義を具体的に明記していないと強調。「各国は国情に照らして(禁輸措置の内容を)決めることになる」と述べ、中国自らの判断で対応を決める考えを示した。
 さらに大量破壊兵器の拡散防止に向けて不審船の臨検などを行う拡散防止構想(PSI)への参加可能性については「中国は政治と外交手段を通じて処理すべきだと主張している」と述べ、あらためて慎重姿勢を示した。

◎中国建設銀、北朝鮮への送金業務を再開(2006年11月16日、日本経済新聞)
 【北京=宮沢徹】中国の大手銀行、中国建設銀行は今週から北朝鮮への送金業務を再開した。10月9日の核実験以降、制裁の一環として停止していた。北朝鮮が核問題を巡る6カ国協議への復帰を表明したため中国政府が制裁の一部緩和に動き出した可能性もある。
 中朝貿易の窓口になっている遼寧省丹東の建設銀支店関係者は「週初めに行内の上層部から送金再開の指示を受けた」と述べた。ただ、送金できるのは企業に限られているという。

◎ヘロイン禍、中国深刻、「黄金の三日月地帯」から流入激増(2006年11月13日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】「アフガンタバコ」「黄粉」などと呼ばれるヘロインが、大量にアフガニスタンなどから中国に流入している。中国公安当局によると、新疆ウイグル自治区のウルムチ市だけで2000年の7倍、約7トンものヘロインが流通しているという。中国紙「南方都市報」がこのほど報じた。これらヘロインは最終的に北京、上海、広州など都市の「地下市場」に流れ込んでいるという。
 ヘロインは、アフガニスタン、パキスタン、イランの国境地域「黄金の三日月地帯」(ゴールデン・クレセント)から新疆ウイグル自治区に密輸されるという。
 ウルムチ市だけで中毒者は1万人を超えるといわれ、同市の疾病コントロールセンターの担当者によると、人口1900万人の同自治区では今年6月現在で、エイズウイルス(HIV)感染者が1万6000人いるが、うち1万2000人は注射の回し打ちなど、原因はヘロインに関連しているものという。
 「アフガンタバコ」の特徴は、東南アジアのヘロイン生産地「黄金の三角地帯」(ゴールデン・トライアングル)産に比べ、「4倍の吸入効果があり夢心地となる。中毒者にとっては、ゴールデントライアングル産はくず同然」とされる。
 「黄金の三角地帯」では、摘発強化でアヘンの原料となるケシ畑が減りアヘンの生産が急減、国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、アフガニスタンが世界1の供給国と報告している。
 「アフガンタバコ」の販売価格は、1グラム600元(1元約15円)で、1グラムが20パックに分割され、1パック40元から50元の安さで販売されていることも市場拡大の要因だ。
 販売組織は、アフリカ人、パキスタン人を運び屋として雇い、体内に隠すなどの方法で1キロ単位で密輸、成功報酬は4500米ドルという。
 中国国家禁毒委員会は今年6月、ヘロインなどの麻薬や覚せい剤の常用者が昨年末で78万人、ヘロイン常用者の7割が35歳以下と深刻な状況を報告している。中国当局は昨年、薬物事件で5万8000人を摘発、ヘロイン約7トンを押収しているが、当局者は、新疆ウイグル自治区になだれ込むヘロインの量は、摘発分の約10倍と指摘する。

◎中国:孫文の生誕140周年記念式典、胡総書記が演説(2006年11月13日、毎日新聞)
 【北京・飯田和郎】中国共産党の胡錦濤総書記(国家主席)は12日、辛亥革命の指導者、孫文の生誕140周年記念式典で演説し「中国が統一できてこそ、全国人民は幸福になる。統一できなければ、害を被る」との孫文の言葉を引用し、「祖国の完全な統一は中華民族の根本的利益だ。統一に向けて努力し、すべての中国人の幸福な生活と素晴らしい未来を創造しよう」と呼びかけた。
 胡総書記は昨春、訪中した台湾最大野党・国民党の連戦名誉主席にも「第1次国共合作」(1924年)を推進した孫文の役割を称賛しており、中台双方が「国父」とみなす孫文をキーワードに、台湾野党との連携を模索する考えだ。
 胡総書記は演説で「『台湾独立』を進める分裂勢力とその活動に断固反対する」と述べたが、従来どおり台湾側を刺激する強硬な発言は控え、陳水扁総統ファミリーの金銭スキャンダルで混乱する台湾政局を見守る姿勢を示した。

◎中国の肥満人口6000万人、栄養不良も2400万人(2006年11月12日、産経新聞)
 約2400万人が栄養不良に陥る一方、約6000万人が肥満-。中国国家食物栄養諮問委員会の専門家がこのほど、中国のいびつな栄養事情に関する報告をまとめた。中国メディアが伝えた。
 貧富の格差や、都市部と貧困農村部の地域格差が背景にある。報告は都市部での肥満対策として、行政機関などによる適切な栄養指導を実施する必要があると訴えた。「肥満」の定義は明記していない。
 報告によると、全国の貧困人口は2005年末で約2365万人で、この層の栄養状態は劣悪と指摘。一方で、経済発展に伴い豊かさを享受する都市部では脂肪分を多く含む動物性食物の摂取が急増し、栄養のバランスを崩した結果、治療が必要なほどの肥満や、生活習慣病が子供にまで拡大しているという。
 中国の高血圧と高脂血症の患者は計約1億6000万人、糖尿病患者は約2000万人に上る。

◎中国の10月貿易黒字、単月の過去最高を更新(2006年11月8日、読売新聞)
 【上海=寺村暁人】10月の中国の貿易黒字が238億ドル(約2兆7900億円)となり、単月の過去最高を更新したことが8日、中国税関当局の発表で明らかになった。
 中国の貿易黒字の拡大により、米国の議会や産業界などからは、為替改革や輸出抑制策を求める声が強まりそうだ。
 発表によると、今年1~10月の中国の貿易黒字の累計は1336億ドルに達している。

◎日系企業10社に移転要請、上海の工業区(2006年11月2日、朝日新聞)
 上海市郊外にある同市嘉定区政府は2日、同区内の工業区に進出している上海ハウス食品など日系企業10社に対し、再開発計画を理由に移転を要請した。工業区内の日系企業は40社以上にのぼり、今後、さらに多くの日系企業が移転を求められる可能性もある。上海の日本総領事館も事態を重視しており、市当局に対し、企業側に納得できる解決策を求めていく方針だ。
 同区政府は2日、関係企業向けの説明会を開いた。出席した日本貿易振興機構(ジェトロ)上海代表処によると、説明会には副区長らが出席し、新たに住宅街などを開発する「嘉定新城」計画について説明した。区側は、対象地域に入った日系企業10社を含む計24社の外資系企業に対し、「移転に協力していただきたい」と要請した。ただ、移転期限などは伝えなかったという。
 移転を迫られた企業に対して、区側は代替地を用意するとしているが、移転費用など具体的な話は出なかったという。

◎模倣品への罰則強化求め、中国に圧力、WTO包囲網で(2006年10月28日、読売新聞)
 日米欧などが、世界貿易機関(WTO)を通じ、中国政府に映像ソフトの海賊版やコピー商品に対する罰則強化などを求めることが28日、明らかになった。
 中国の不十分な取り締まりが模倣品が横行する要因と判断した。
 米国が今週にもWTOに提訴し、日本と欧州連合(EU)などは第三国(オブザーバー)として、米中の二国間協議に参加する。知的財産権侵害の厳罰化を求めるWTO提訴は初めてで、国際的な包囲網で中国への圧力を強める。
 WTOの知的財産権保護協定(TRIPS)は、模倣品製造・販売業者が摘発された場合は、業者に刑事罰を科すよう加盟国に義務づけている。
 しかし、中国では、模倣品業者が刑事訴追される押収額の最低ラインは、販売価格で総額5万元(約75万円)と、規定が甘い。日米欧はTRIPSに反する恐れが強いとし、訴追基準を厳しくするよう求める。
 WTOに提訴後、米国は中国との二国間協議で改善を要求する。
 中国の対応が不十分な場合は、WTOに紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請し、TRIPS違反かどうか判定を求める。違反と認定されれば、中国に改善勧告などが出される可能性がある。
 中国では、音楽や映画の不正コピーのほか、服飾や家電の偽ブランド品が流通し、日本企業の被害額は年間9兆円以上と見られている。

◎海賊版や模倣品で中国をWTO提訴へ・日米欧など(2006年10月28日、日本経済新聞)
 日米欧などの主要国は、中国が違法な海賊版や模倣品の製造・販売に十分な対策を講じていないとして、世界貿易機関(WTO)を通じて知的財産制度の是正を求める方針だ。米国が提訴して日欧がこれに参加する形を取り、中国に対し違反業者への刑事罰を厳しくするように求める。各国の映像産業やブランド品メーカーなどは中国での知的財産権侵害で年々大きな被害を受けており、これ以上放置できないと判断した。知財侵害の摘発強化を求めるWTO提訴は初めて。
 今回の措置は日本、米国、欧州連合(EU)とカナダが連携して検討してきた。来週にも米国がWTOに訴状を出す方向で最終調整している。日本などは第三国として協議に参加、事実上の「共同提訴」となる。

◎中国が110品目に輸出関税、資源流出防止へ(2006年10月28日、読売新聞)
 【北京=寺村暁人】28日付の中国紙新京報などによると、中国は11月1日から割りばしや石炭、石油、鉄などの輸出品に、暫定的に関税を課すことを決めた。
 対象となる輸出品は計110品目で、約100品目は現在、輸出関税は課されていない。関税率は銅やニッケル、アルミなどが15%、割りばしや木材、鉄鋼製品などが10%、石炭や原油が5%となる。
 中国財務省は、生産時のエネルギー消費や環境汚染が多い製品の輸出抑制や、国内資源の流出防止が目的としている。同時に、省エネ関連の設備や一部のハイテク製品など58品目の輸入関税率を引き下げており、国内の産業構造を省エネ・環境配慮型に転換する狙いもありそうだ。

◎中国、希少金属や石炭などに輸出関税・最大15%(2006年10月28日、日本経済新聞)
 【北京=飯野克彦】中国政府は11月1日から、希少金属や石炭など110品目に最大15%の輸出関税をかける。同時に、石炭やガソリン、コンピューター部品など58品目について輸入関税を引き下げる。資源・エネルギーの浪費を抑え技術革新を促す狙い。
 財政省が10月27日付で発表した。輸出関税の税率は銅やニッケルなどが15%、割りばしや希少金属などが10%、石炭、原油などが5%。一方、現在は3~5%の石炭の輸入関税はおおむね1%とし、特にコークスは税率をゼロとする。
 石炭については9月15日に輸出の際の増値税(付加価値税)還付制度を撤廃したばかりで、2カ月足らずの間に「輸出奨励品目」から「輸出抑制・輸入奨励品目」に転じることになった。指導部内で石炭資源への危機意識が急浮上したことがうかがえる。

◎中国、北朝鮮口座を凍結、国境付近の主要銀行(2006年10月25日、朝日新聞)
 中朝国境にある中国遼寧省丹東の中国主要銀行の支店の一部で、北朝鮮国籍の個人やその法人が開設した口座の外貨の扱いを事実上凍結する措置がとられていることが24日、複数の銀行関係者の証言で明らかになった。北朝鮮の核実験発表後にドルなどの外貨による振り込みや引き出しの受け付けが停止されたという。国際社会の経済制裁の動きを受けた措置とみられる。中国銀行の北朝鮮向け送金の停止に続く金融面での規制強化は、核実験の再実施阻止に向けて北朝鮮への圧力を強めている表れといえそうだ。
 丹東にある中国大手の中国銀行、中国建設銀行、招商銀行の各支店関係者によると、「口座凍結」の措置がとられたのは北朝鮮の核実験発表後の13日ごろから。ある銀行関係者は「核実験発表を受けた措置だと理解している」と話した。
 ただ、人民元口座や人民元に両替しての振り込みや引き出しは「振り込みはダメだが、引き出しは1日5万元(約75万円)までは可能」(中国銀行関係者)「人民元ならいずれも可能」(招商銀行関係者)などと銀行によって対応が分かれている。規制対象は主にドルなどの外貨のみにとどまっている。
 丹東は中朝貿易の3分の2が集中していると言われ、数百人の北朝鮮貿易関係者が滞在するとされる。中国銀行が北朝鮮向けの送金業務を停止していることもすでに明らかになっており、中朝間の決済業務には支障が生じているという。ただ、現金での直接決済や物々交換といった方法も多用されている。

◎中国に市場開放と政治改革を要求、EUが対中新政策(2006年10月25日、読売新聞)
 【ブリュッセル=林路郎】欧州連合(EU)の欧州委員会は24日、今後数年間の対中戦略の指針となる政策文書をまとめた。
 文書は「中国指導部は、基本的人権と自由の促進など国内改革を何度も口にしたが、進展は思わしくない」とし、政治改革の推進を要求した。
 通商分野では、中国にさらなる市場開放や公正な貿易ルールの確立を求め、進展がなければ「保護貿易主義的な手段を取る余地がある」と警告した。
 欧州委が2003年9月公表した前回の政策文書は、急成長を遂げる中国市場への高い期待を反映し、中国を「戦略的パートナー」と初めて位置づけたが、今回は、より現実的な対中認識を示した。
 EUの対中貿易赤字が05年で約1060億ユーロ(約15兆3700億円)にまで膨らんで問題化していることや、中国の競争力の高まりに対する欧州での危機感の芽生えが背景にある。
 EUでは、中国の反国家分裂法制定、外国メディアの締め付け強化や人権問題など内政面への懸念も徐々に強まっており、「08年の北京五輪をにらみ、従来のバラ色の対中認識を軌道修正し、中国の現状を直視した上で、EUとしてモノを言う姿勢を明確にした」(外交筋)とみられている。
 文書は、アジアの地域情勢に触れ、中国とロシアやインドとの関係強化を評価しつつ、「日本との関係は改善の余地がある」と指摘した。日本と米国が強く反対するEUの対中武器禁輸措置の解除については、人権状況を理由に認めない立場を再確認したが、EU側が将来の解除に備え、「解除が武器輸出の拡大につながらないことを保障する必要がある」とも明記した。
 さらに、中国の巨大なエネルギー需要から、国内に急ピッチで火力発電所を増設し、欧州に近いアフリカで「資源外交」を展開している点について、環境保護やエネルギー安保の観点から情報交換を進めるべきだとしている。
 文書は、中国内政上の懸念事項として、人権、自由、法の支配を列挙。胡錦濤政権が進める汚職対策や体制改革を支援する用意を表明している。EUと中国は、双方の関係を包括的に定める新たな「パートナーシップ協力合意」の策定を控えており、今回の文書は、この交渉に臨むEU側の基本的立場を示すものだ。

◎中国で販売中止の「SK-2」、韓国当局は「安全」(2006年10月25日、朝日新聞)
 中国で金属成分の検出を理由に販売停止に追い込まれた日本製化粧品「SK(エスケー)-2(ツー)」シリーズについて、韓国食品医薬品安全庁は2日、「検査の結果、微量の金属成分が検出されたが、健康に危害を及ぼす量ではない」と発表した。
 同庁が韓国に輸入されている8製品を検査した結果、7製品からクロムとネオジムが検出されたという。ただし、いずれも非常に微量で、「信頼できる論文など学説に照らした結果、皮膚など人体に影響を与える心配はない」とした。製造管理記録も入手して調べたが、製造過程で配合された事実もなかったとしている。
 韓国では、SK-2は韓国P&Gが日本から輸入して販売している。高級化粧品として人気が高いが、中国での騒動を受け、一部百貨店などで販売中止や消費者が返品を求める動きが出ていた。

◎化粧品「SK-2」の品質騒動、安倍訪中で急転決着(2006年10月24日、読売新聞)
 【北京=加藤隆則】日本から輸入されたマックスファクター社の「SK-2」シリーズの化粧品が販売中止になった問題で、中国当局は23日、「(使用禁止のクロムなどは)製造過程で微量が混ざることがある。わずかであれば健康への害はないと言える」との声明を出した。
 24日付の中国各紙が報じた。これを受けて、親会社の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)中国法人は同日、「数週間以内に中国での販売を再開する」と発表した。
 日本の残留農薬規制で中国からの農産品輸出が減少したことへの報復との見方があったが、安倍首相訪中による日中関係好転で、一気に幕引きした格好だ。
 今回の問題では、「日本のP&Gは傲慢だ」などとする報道にあおられ、返品騒動が各地に拡大。興奮した市民がP&G上海事務所のガラスドアを破損する騒ぎまで起きた。

◎日本製「SK-II」一転して危険性低い、中国当局(2006年10月24日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国の国家質量監督検査検疫総局は24日までに、日本製造の高級化粧品、マックスファクターSK-II(製造元P&Gジャパン)について、「化粧品製造の技術的な要因で、微量のクロム、ネオジムが含まれているが、危険性は低い」との見解を公表し、同総局の検査結果をもとにした9月14日の「危険」との判定を翻した。
 安倍晋三首相の訪中で日中関係が好転したことで、これまでの日本バッシング姿勢を改めようとの中国当局の意図もうかがえる。
 P&G(中国)では、9月22日から商品の国内販売を一時停止していたが、24日にはできるだけ早く販売を再開すると発表した。

◎中国:濃縮ウラン持ち歩く、男2人を逮捕(2006年10月24日、毎日新聞)
 【北京・飯田和郎】24日付の香港紙「明報」などは、濃縮ウラン約1キロを持ち歩き、売りさばこうとしていた中国人の男2人が9月、北京市公安当局に逮捕されたと報じた。2人は朝鮮族とみられ、濃縮ウランは04年10月に海外で別の男から手に入れたと供述し、ロシア産と推測されている。
 2人はネパールとの国境地域や新疆ウイグル自治区、中朝国境の遼寧省丹東などを訪れ、購入希望者を求めていたという。押収されたウランの濃度はわかっていない。

◎中国、日本産狙い撃ち? 化粧品・食品検査厳格化(2006年10月1日、朝日新聞)
 日本製の化粧品や食品の品質を問題視する事件が中国で相次ぎ、波紋を広げている。大規模な騒動となった高級化粧品「SK(エス・ケー)-2(ツー)」は、中国市場で販売再開のめどが立たないまま。食品では詳細な情報が中国側から提供されず、日本政府は対応に苦慮する。日本への狙い撃ちとの見方もあるが、消費者の安全意識の高まりなど様々な事情がからんでいるようだ。

・販売めど立たぬ「SK―2」
 上海の高級百貨店では、SK―2の専売コーナーの取り壊しが進む。配合が禁じられているクロムなどの成分が当局の検査で検出され、一時販売停止に追い込まれたからだ。返品・返金を求める消費者が同市のオフィスに殺到し、玄関扉が破壊される事件も起きた。
 美容液が880元(約1万3000円)などSK―2は日本円で1万円前後の商品が多く、中国都市部の月収に相当する超高級品だ。外資系で働く30代の中国女性は「水銀入りの国産化粧品が摘発されるなど、安全性へ関心が高まっている。信用と期待が高い輸入品には反発も激しい」と話す。
 SK-2は米P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)傘下のマックスファクター(神戸市)が生み、現在はP&Gの化粧品ブランドとして日中韓や米英など12カ国・地域で売られている。シンガポール、台湾、香港、EU(欧州連合)の当局や業界団体は安全を宣言したが、中国大陸では騒動が続く。
 問題の成分についてP&Gは「配合はしていない。水や土に微量に含まれるため混入の可能性もあるが、中国当局による検出量はWHO(世界保健機関)が『食べても安全』とする量よりはるかに少ない」と反論。日本政府も中国政府に、化粧品成分の詳しい規制情報の公表を要請した。
 中国では05年、SK―2で皮膚炎を起こしたとする訴訟が起き、ネット上でボイコット対象の日本製品に加えられることもあった。今回も日本製を強調した報道が目立ち、「(日本を狙い撃ちする)政治的な理由がある、と疑念を持たれるのを避けられない」(香港紙、明報23日付社説)とする論評も出始めた。
 こうした批判を意識してか、中国商務省系の新聞、国際商報は最近、ケンタッキーフライドチキンなどでの食品安全を巡るトラブルを挙げて「国際企業と消費者の紛争が増えている」とする記事を掲載。その中で「(外資は)輸出先の法律や基準にあわせるべきだ」として、中国独自基準の正当性を強調している。

・農薬規制に報復の見方
 中国では日本製食品への圧力も強まる。中国政府は6月から強化した安全検査で日本産の冷凍タコやサンマ、魚肉ソーセージなど約30品目から、中国の基準値以上のヒ素などが検出された、と公表。日本政府にも8月下旬に通報があり、管理の厳格化を求めているが、日本側には「報復」との見方が広がっている。
 日本政府が5月末に、国産・輸入を問わず食品の残留農薬に対する規制を強化し、中国の農産物の対日輸出が6月時点で2割近く激減。中国商務省が「公平性に問題がある」と反発した経緯があるからだ。
 検査の厳格化により、日本からの食材調達が遅れた飲食店が一部に出ている、との情報もある。ただ、政権交代で日中関係の改善も期待されるだけに、日本政府は、安全性をめぐる騒動が、新たな摩擦の火種になることを恐れている。
 「何ですかね、この時期に」。中川農林水産相(当時)は9月中旬の記者会見で不快感を示した。日中貿易では、01年に日本が中国産のネギなど3品目に緊急輸入制限措置を暫定発動し、中国が日本製自動車などに報復関税をかけて混乱した過去がある。松岡農水相は29日、「冷静に誠意を持って話せば、道が開ける」と話した。
 厚生労働省は、中国側に事実関係や基準の詳細などを照会中だが、「返答がないので輸出業者や生産地が特定できず、注意を促そうにも難しい」(監視安全課)。農水省も中国側から回答があれば、業者に中国の基準の順守を指導し、事態の沈静化を待つ構えだ。
 中国産の茶、玩具、電気製品などの安全性をめぐり、EUは中国政府間と日常的に対話の機会を設けている。この点で、日中間では「当局間の連携や意思疎通に滞りがある」(中国紙記者)との指摘もある。

◎SK-II、中国政府が「安全宣言」 P&G販売再開へ(2006年10月2日、朝日新聞)
 米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の中国法人は24日、使用禁止物質のクロムが検出されたとして中国全土で販売を停止していた子会社のマックスファクター(神戸市)の化粧品「SK-II」の販売を近く再開すると発表した。中国当局から「含有量は微量で健康被害のリスクは低い」と「安全宣言」が出たためだ。
 中国の国家品質監督検査検疫総局は9月、SK-IIからクロムなどが検出されたと発表。返品を求める利用者が殺到し、同社は「治安上の理由」で売り場を閉鎖していた。同局と中国衛生省は23日、再検査結果を発表し、「クロムは生産過程で添加したのではなく、原材料に含まれるごく微量なもの。消費者の健康を害したとの証明はない」との見解を示した。
 これを受け、P&Gは「当社が主張していた安全性が証明された」との声明を発表。数週間以内に元通り営業を再開する方針を明らかにした。

◎上海汚職事件、市トップ解任から1カ月、拘束者50人超(2006年10月24日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国上海市の社会保険基金をめぐる大型汚職事件で、同市トップの陳良宇・前共産党委員会書記が解任されてから24日で1カ月が経過する。23日付中国系香港紙、大公報(電子版)は政府関係者や企業トップら拘束者がすでに50人を超えたと伝え、事件はさらに拡大する様相をみせている。
 消息筋によると、上海市の国有資産管理委員会の複数の幹部がこのほど拘束されたもようだ。事件の調査は党中央規律検査委員会が100人規模で行っているが、報道によると、すでに地元官僚ら数百人が聴取を受けたという。
 事件は中国初の自動車レース場「上海国際サーキット」にも飛び火している。レース場はF1世界選手権の開催のために建設され、2004年の完成直後に中国で初めて「中国グランプリ」が実施されたが、中国各紙によると建設費を含む投資額は20億元(約300億円)近いとされる。
 消息筋は、この建設をめぐって▽建設申請や周辺地区開発の手続きに関する規定違反▽建設用地取得の際に中央政府の正式認可を取得していなかった-ことなどが調査の対象となっていると指摘、「開発に伴う贈収賄も存在するとみられる」と述べた。
 すでに「上海国際サーキット経営有限公司」の郁知非社長が今月16日ごろから事情聴取を受け、事実上の拘束状態に置かれているほか、複数の企業トップが事情聴取を受けているようだ。
 10月に入り、当局は新たに複数の金融機関にも調査を拡大。上海に本社を置く大手資産運用会社「華安基金管理」の韓方河社長についても調べを進めている。韓氏は上海事件の柱となる社会保険基金の不正融資問題にも連座しているとみられ、当局は陳前書記ら党幹部に対するわいろの有無に注目している。
 上海事件では、すでに国家統計局長を解任された邱暁華氏が関与していたことが明らかになっているが、邱氏は江沢民前国家主席につらなる「上海閥」との癒着が指摘されており、内部情報を漏らしていた可能性があるという。
 胡錦濤指導部は「上海閥」の弱体化に向け、調査をさらに強化する構えで、中国紙、二十一世紀経済報道は「上海事件は新段階に入った」と指摘している。

◎「官の世界は暗闇」、友人にメール、誹謗罪で起訴、中国(2006年10月24日、朝日新聞)
 「官場月黒くして風高し 人権財権を抓(つか)むに絶招あり」(官の世界は真っ暗闇。権力や金をものにする術にだけはたけている)――中国・重慶市彭水県の男性公務員がこんな詩を作って携帯メールで送信したところ、「党と指導者のイメージを傷つけた」として逮捕、起訴された。中国歴代王朝で繰り返されてきた「文字の獄」の現代版だと、批判が起きている。
 20日付の香港紙「明報」などが伝えた。
 逮捕されたのは、同県教育委員会に勤める31歳の男性。8月、仕事の合間の暇つぶしに詩を作りメールで友人らに送ったところ、2週間後、突然、職場に乗り込んできた公安当局に連行された。1カ月後に保釈処分となったがこのほど、「誹謗(ひぼう)罪」で起訴されたという。
 同県幹部は「党と国家指導部のイメージを傷つけ、(反政府的な)不法組織にも影響を与える」と力むが、同県ではトップの党委員会書記が収賄容疑で逮捕されたり、幹部と業者との癒着が疑われたりして住民の不満が高まっていた。男性は「後悔はしていないが、ただただ残念だ」。周囲の人々は政治の話に口をつぐむようになったという。

◎中国:上海汚職事件で初の逮捕者(2006年10月21日、毎日新聞)
 上海市の社会保険基金をめぐる汚職事件で、不正融資を受けていたとされる張栄坤氏の経営する投資会社は20日、張氏が逮捕されたと発表した。中国紙「上海証券報」が21日報じた。同市トップの党委員会書記、陳良宇氏の解任にまで発展した大型汚職事件で、関係者の逮捕が明らかになったのは初めて。
 張氏は02年、同市労働社会保障局長らにわいろを渡し、社会保険基金から32億元(約480億円)の不正融資を受けたとされる。今年7月から、中国共産党中央規律検査委員会などの調査を受けていた。【上海支局】

◎旭硝子、中国新工場を発表(2006年10月12日、日本経済新聞)
 旭硝子は12日、中国広東省仏山市に自動車用ガラスの新工場を建設すると発表した。生産能力は年100万台分。約65億円を投じて2008年初めにも稼働させる。トヨタ自動車など中国南部で生産を拡大する日系メーカーに供給する。中国の自動車用工場は河北省秦皇島市に続き2カ所目で、同国での生産能力は現在の2倍近い年220万台分になる。

◎中国製品値上がり鮮明、9カ月連続輸入価格上昇(2006年10月3日、日本経済新聞)
 中国から輸入する製品価格の上昇傾向が鮮明になってきた。2005年10月に前年同月比プラスに転じて以降、今年6月まで9カ月連続で上昇。原材料の値上がりや中国人民元相場の緩やかな上昇に加え、強みとしてきた低廉な人件費が高騰し始めたことがある。世界経済にデフレ圧力をもたらしているとの指摘も出ていた中国の低価格輸出が転機を迎えつつある。
 中国からの輸入価格は財務省の貿易統計などをもとに食料品、一般機械、電気機械、輸送機械の分野ごとの加重平均で輸入通関時の価格の推移を算出。それによると、6月の輸入価格は前年同月比で4.2%の上昇となった。昨年10月にプラスに転じて以降、前年同月比での上昇率は2―7%台とばらつきがあるものの、上昇基調が定着している。

◎中国人は化粧ができなくなる? 重金属含有で中国が警告(2006年9月25日、産経新聞)
 【北京=福島香織】香港基準・鑑定センターは25日までに、クリスチャン・ディオール、ランコム、エスティ・ローダー、クリニークの世界4大化粧品ブランドすべての化粧品に、微量のクロム、ネジウムなどの重金属類が含まれていると発表した。
 中国では日本製化粧品のマックスファクターSK-IIにクロムなどが含まれていたとして非難報道が続き、全国で返品騒ぎが発生しているが、ディオール、エスティ・ローダーに含まれているクロム類はSK-IIよりも多いという。
 センターによれば、クリスチャン・ディオールのファンデーション、エスティ・ローダーのファンデーションにはクロムがそれぞれ、キロあたり4.5ミリグラム、3.9ミリグラム含まれ、SK-IIより多かった。この他のブランドのファンデーションにもクロム、ネオジムが含まれていた。

◎上海市トップを解任、不正事件に関与・新華社報道(2006年9月25日、日本経済新聞)
 【上海=渡辺園子】新華社電は25日、中国共産党中央政治局が24日に会議を開き、上海市のトップである陳良宇・共産党上海市委員会書記の解任を決めたと報じた。同時に中央政治局委員の職務停止も決めた。新華社電によれば、党中央紀律検査委員会の調査により、上海市社会保障基金の資金不正流用問題への関与や、職務上の権限を利用した親族への不正な利益供与などの疑いがもたれている。韓正・上海市市長が書記代理に任命された。

◎ウルトラマン勝手に増殖? 著作権めぐり中国で裁判(2006年9月24日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】「ウルトラマン」が中国で裁判沙汰になっている。タイの映画製作会社がウルトラマンキャラクターを創り、中国で売り出した。このため北京で23日、「ウルトラマン著作権検討会」が開かれた。円谷プロダクション(東京都)は8月、タイの企業と中国側協力企業などを相手取り「盗作で著作権侵害」と訴えを起こしている。
 ウルトラマンシリーズのキャラクターは50近くある。円谷プロなどによると、タイの会社は「ウルトラマンミレニアム」など3つのキャラクターを創り、グッズを販売。今年5月から中国・杭州で長期イベントを実施し、3つのキャラクターが登場するドラマも完成させ、テレビ放映の準備をしているという。
 1976年、円谷プロは資金援助を受ける見返りに初期作品の海外利用権をタイの映画製作会社の会長(当時)に譲る契約を交わしたとされ、日本の最高裁は2004年、円谷プロの上告を棄却、「日本以外での独占的利用権は会長側にある」との判断を示した。今後、裁判闘争は中国に舞台を移しそうだ。

◎中国、東京海上日動を処分、駐在員の営業を問題視(2006年9月24日、朝日新聞)
 損害保険最大手の東京海上日動火災保険が、中国国内で不法な営業をしたとして中国の保険監督管理委員会(CIRC)から罰金9万元(約130万円)の処分を受けたことがわかった。本来は保険営業ができない北京の駐在員事務所で02~05年の間に顧客を中国の保険会社に紹介したことなどが営業活動にあたると判断された。これを受け、東京海上日動は駐在員を支店に引き揚げるなどの対応をとる方針だ。
 東京海上日動は中国本土では上海に支店を、北京、大連、南京、広州など9カ所に事務所を置く。現地の法律などによると、支店のある上海地域では保険営業ができるが、その他の地域では大企業相手の取引を除いて営業はできない。
 だが、日系企業などから「他地域でも相談に乗ってほしい」といった要望が多いため、駐在員が適正な保険料水準を教えたり、現地の会社を紹介したりしていた。契約の一部は、現地の保険会社から再保険として引き受けることもあったといい、こうした一連の活動が問題視されたようだ。
 ただ、支店を出す際のCIRCの認可が簡単にとれないこともあり、中国に事務所を置く日本の損保各社は同様のサービスをしている場合が多い。東京海上日動の行為が違法とされたことで、各社とも新たな対応を迫られそうだ。

◎「SK―2」販売停止、P&Gの中国事業にも波及(2006年9月24日、日本経済新聞)
 【上海=川瀬憲司】マックスファクター(神戸市)が生産する化粧品「SK―2」が中国で一時販売停止に追い込まれた問題が、親会社の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の中国事業にも波及してきた。上海の事務所のドアが壊される事件が発生したほか、当初は「日本製」と強調していた地元メディアも徐々にP&Gを主語に報道し始めた。
 23日付の複数の上海紙によると、22日午後、P&G中国法人の上海支社の入り口のガラス製のドアが破壊された。中国の品質管理当局から使用禁止物質が含まれるとされた製品の返品を求める数十人の消費者の一部が過激化したとみられる。

◎中国:P&G上海のドア破壊、SK-2問題で抗議過激化(2006年9月23日、毎日新聞)
 日本から輸入したマックスファクターの化粧品「SK-2」シリーズから使用禁止の重金属が検出されたと中国当局が指摘した問題で、消費者ら十数人が22日、同社の親会社プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)上海支社へ抗議に押し掛け、入り口のガラスドアを破壊する事件があった。
 上海紙が運営するニュースサイト「東方ネット」によると、当初、P&Gの責任者を取り囲んで抗議していた消費者らが過激化し、ガラスドアをけるなどして破壊した。負傷者はなかったもよう。P&G中国法人(広東省広州市)の広報担当者は、中国国内の他の地域でも同様の暴力事件が発生したと説明しているという。
 中国各紙は、検出された重金属クロムなどが、アレルギー性皮膚炎を引き起こす可能性があると報じ、「顔が赤く腫れた」といった消費者の訴えを紹介。香港でも微量の重金属が検出され、韓国では一部で販売が中止されたことなどを紹介し、問題が他の国にも広がっていると報じており、消費者の不安心理をあおっている。
 このため、パニックに陥った消費者が上海など各地で返品のため化粧品売り場に殺到するなど、混乱が生じている。

◎化粧品「SK-2」、中国で販売停止、返品で売り場混乱(2006年9月23日、朝日新聞)
 米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の中国法人は22日、グループのマックスファクター(神戸市)製の化粧品「SK-2(「2」はローマ数字)」の販売を、同日から中国全域で一時中止する、と発表した。中国政府から使用禁止物質が含まれているとの指摘を受け、返品を求める利用者が各地の売り場に殺到。同社は「現場の混乱を避ける措置」と説明しており、禁止物質を原材料に使ったことは否定している。
 中国の国家質量監督検験検疫総局は今月半ば、SK-2の9商品から使用禁止物質のクロムなどが検出されたと発表。地方検疫機関や日本政府に日本製化粧品の検査強化を求めた。上海市政府も21日、別の3商品からも同じ使用禁止物質が検出されたとして販売中止を求めていた。
 SK-2は、仏ロレアルや資生堂と並んで中国でも人気の高い高級化粧品ブランド。ほぼ全量を滋賀県野洲市の工場で生産しており、中国では高級百貨店を中心に95店舗で販売している。
 P&Gは「空気や水に微量に存在する成分が検出されたとしても、日本の安全基準は満たしており問題とされない」と反論しているが、中国各地で返品・返金に応じている。ただ、窓口が少ないうえ領収書持参が条件だったため混乱が拡大。上海の地元紙によると警察が収拾する事態にもなった。今のところ販売再開のメドは立っていない。

◎中国:化粧品SK-2から禁止物質を検出、返金の客殺到(2006年9月22日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中国広東省の検疫部門が、米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)傘下のマックスファクター(神戸市)が製造した高級化粧品「SK-2」シリーズの一部製品から、中国で使用が禁止されている物質が検出されたと発表し、波紋が広がっている。P&Gの中国法人は製品に問題はないと説明しているが、消費者の心情に配慮し、一部製品について販売を停止、返金に応じている。
 SK-2は、中国でも人気が高く、日本から輸入されている。広東省当局は14日、中国で使用が禁止されているネオジムとクロムが検出されたと発表。これが地元メディアで大きく報じられ、上海のデパートには返金を求める客が殺到した。
 P&G広報担当者は、「検出された両物質は、SK-2の原材料として配合されていない」と説明しているが、天然の原料から微量に検出される両物質が製造過程で入る可能性はあるという。

◎米国ホンダ、中国企業を特許侵害で提訴(2006年9月21日、朝日新聞)
 自動車大手ホンダの米販売子会社「米国ホンダ」が、携帯型発電機などに使う小型エンジンの特許が侵害されたとして、中国の発電機メーカー「ウーシー・キポー・パワー」を米国際貿易委員会(ITC)に提訴したことが20日明らかになった。関連製品の米国内での輸入や販売の差し止めを求めている。
 米国ホンダによると、この中国メーカーは、米国ホンダが米国で保有する特許を無断で使って小型エンジンを製造。この小型エンジンを使った携帯型発電機や水ポンプを、米国で輸入・販売した疑いがあるという。
 米国ホンダは今年初めに特許侵害の恐れがあると気づき、中国メーカー側と交渉したがまとまらず、提訴に踏み切ったという。

◎中国、海外旅行者のマナー向上目指し法改正か、香港紙報道(2006年9月18日、産経新聞)
 17日付の中国系香港紙、文匯報は、中国当局が中国人の海外でのマナー向上に向け、海外で「問題」を起こした国民の旅券の再発行を拒否したり、出国できなくするなどの処分を認めるよう「旅券法」の改正を検討していると報じた。
 中国人旅行者のマナーの悪さを批判する報道が欧米などで相次いでおり、2008年北京五輪に向けたイメージアップの一環とみられる。
 新法の詳細は不明だが、文匯報によると、処分の対象になるのは(1)ホテルのロビーで大声で話したり、暑さに耐えられず人前で服を脱ぐ(2)公道でつばやたんを吐く(3)旅行ガイドの言うことを聞かない―などの行為という。

◎香港ディズニーランド開業1年、年間目標達成できず(2006年9月12日、朝日新聞)
 香港ディズニーランド(HKD)が12日、開業1年を迎えた。アジアで2番目のディズニーランドとして注目を集めたが、オープン前後の混乱などで不評を買ったこともあり、年間目標の560万人を達成できなかった。優待チケットの販売など巻き返しに必死だが、試練の2年目となりそうだ。
 4日に記者会見したHKD運営会社のビル・アーネスト最高経営責任者(CEO)は「入場者が560万人に到達するのは今月末以降」とし、初年度目標を達成できなかったことを初めて認めた。これまでの入場者数は明らかにしなかった。
 HKDは開業直前のリハーサル営業で混雑や接客態度の悪さが指摘され、春節(旧正月)には来場者数の見込みを誤って前売り券を買った数百人が入場できないなど混乱が続いた。入場券を期日指定にし譲渡も許さないなど、強気の販売戦略も地元旅行会社の反発を買った。
 HKDは今春以降、香港市民は一定期間、入場券1枚で2日間入園できるようにしたり、季節限定で何度でも入園できるチケットを発売したりして、優待サービスを相次いで打ち出している。香港旅遊業議会の董耀中総幹事は「自身のブランド力を過信したのは確かだが、最近は地元旅行業界の意見に耳を傾け、状況は改善している。家族連れの比率が約4割に増えるなど、一定の効果はある」と話す。
 しかし、日本の大手旅行会社担当者は「物珍しさもあって売り上げは堅調だが、リピーターをつかむところまで行っていない」と厳しい見方だ。
 HKDは誘致に当たり、香港政府から用地造成費や運営会社などへの巨額の出資を受けているにもかかわらず、入場者数や財務状況を公表していない。

◎警察に不満の住民、数千人が抗議・衝突、中国・浙江省(2006年9月10日、朝日新聞)
 8日付の香港紙「明報」などによると、中国浙江省瑞安市で女性教師が自宅アパートから転落死し、死因を「自殺」と断定した警察の捜査に疑念を持った生徒や地元住民らが再捜査を求めて警察隊と衝突する事態に発展した。住民ら十数人が逮捕されたほか、催涙弾が当たるなどしてけが人も出た。
 6日、デモを鎮圧しようと警察が十数人を逮捕。怒った住民数千人が7日、地元政府の建物に集まって抗議した。
 女性は8月18日に死亡した。警察は自殺と断定したが、生徒らが「信じられない」としてインターネット上で捜査への疑問を書き込んでいた。その後、夫からの暴力を示唆する日記が見つかるなどし、関心を集めていたという。

◎中国:村民2000人が鉛中毒、工場の粉塵原因(2006年9月6日、毎日新聞)
 香港紙・明報(電子版)は6日、中国甘粛省徽県水陽郷で、村民約2000人が環境汚染によって鉛中毒となったと報じた。そのうちの約400人が子供だという。地元の製鉄工場から排出される粉塵(ふんじん)が原因とみられ、地元当局は8月22日、同工場に生産停止を命じた。中国では水や空気の汚染が進んでおり、健康被害も多数報告されている。【上海支局】

◎元、最高値更新、1ドル=7.93元台に、上海市場(2006年9月4日、朝日新聞)
 4日の中国・上海外国為替市場の人民元相場は、根強い元買い需要を背景に大幅上伸し、2005年7月の切り上げ後の最高値を更新した。銀行間取引の終値は1ドル=7.9385元と、前週末終値比0.0147元の元高・ドル安。

◎男女人口不均衡で危機感、中国当局「女児大切に」PR(2006年9月4日、読売新聞)
 【北京=末続哲也】3日の中国各紙によると、女児より男児を好んで出産する傾向が強い中国で、男女人口比の不均衡を改善するため、中国当局が女児を大切にするよう訴える全国規模のキャンペーンを始めた。
 中国では2030年以降、20~49歳の男性人口が女性を3000万人上回る事態も予想され、当局は危機感を強めている。
 「一人っ子政策」が続く中国では、農村部を中心に、親の面倒を老後も見てくれる跡取り息子を確保する必要性などから、妊娠時に超音波検査で男児と分かったら出産し、女児の場合は人工中絶する風潮が目立つ。この結果、新生児の女100人に対する男の数は、1970年代の106.32から昨年は118.58に上昇し、不均衡が表面化している。
 今回キャンペーンでは、18日間にわたって男女比の不均衡の問題をPRするという。

◎中国遺棄化学兵器問題、新資料発見か、政府が調査(2006年9月3日、産経新聞)
≪結果次第では事業見直しも≫
 中国遺棄化学兵器問題で、「日本軍が中国に化学兵器を遺棄した」という中国側の主張を覆す可能性のある資料が見つかっています。この問題では、廃棄処理のために政府が負担する費用が数千億円規模に膨らみかねないことや、“遺棄兵器”の実態が不透明という指摘も出ています。政府首脳は詳しく調査、分析するとしています。(『正論』編集部 喜多由浩)
 この問題は、先の大戦で「旧日本軍が中国各地に化学兵器を遺棄した」として、平成2年に中国政府が日本政府に解決を要請してきたことが発端です。9年には、遺棄化学兵器の廃棄義務をうたった化学兵器禁止条約が発効し、日中両国が批准。11年には、日本側が廃棄処理費用を全額負担することなどを盛りこんだ覚書を交わしました。
 これに伴い日本政府が負担する総事業費は今後どれだけ膨らむか、見通しすら明確ではありません。
 中国側は、旧日本軍が遺棄した化学兵器が、吉林省のハルバ嶺などに約200万発残っている、と主張しています。しかし、その主張に疑問を持つ意見は当初から少なくありませんでした。終戦後、日本軍は旧満州(現・中国東北部)ではソ連軍(当時)によって、中国大陸部では主に中国国民党軍によって武装解除され、所持していた武器・弾薬は化学兵器も含めてソ連・中国軍に引き渡していた(遺棄したのではない)とされていたからです。
 しかし、日本政府は「中国、ソ連の同意の下に引き渡されたことを確実に裏付ける証拠、資料があるとは承知していない」などという消極的な理由で、中国側の主張をいわば“丸飲み”してきたのです。
 ところが最近になって中国側の主張を覆す可能性があるさまざまな資料が見つかりました。山形県のシベリア史料館には、中国で日本軍が武装解除の際に引き渡した武器・弾薬を詳細に記した「兵器引継書」が約600冊も残っていました。受け取った中国軍の責任者の署名・捺印(なついん)があり、化学兵器だけを除外した形跡も見られません。
 また、防衛庁の防衛研究所には、日中両政府が「遺棄化学兵器」として廃棄処理対象にしている『あか筒』『みどり筒』を台湾で中国軍に引き渡していたことを記した「引渡兵器目録」がありました。さらには、中国側が遺棄化学兵器が大量に残っていたと主張しているハルバ嶺近くの敦化で、化学兵器(毒ガス兵器)をソ連軍に引き渡したという元日本軍兵士の証言まで出てきたのです。
 安倍晋三官房長官は5月、衆院内閣委員会での答弁で「(シベリア史料館で見つかった資料などについて)政府としてしっかり調査したい」と述べました。政府は、新しい事実を示す資料などが見つかった場合、事業の「基本的な枠組みが変わってくる」としており、対応が注目されます。

◎青蔵鉄道にネパール国境まで延伸する計画、インドは警戒(2006年9月2日、産経新聞)
 【中国総局】世界で最も高い場所を走る中国の青蔵鉄道(通称「チベット鉄道」)をネパール国境まで延伸する計画が進んでいる。中国との経済関係を強化したいネパール側は計画を歓迎しているが、中国と国境を接するインドは「中国の軍事力強化につながる」などとして、強く警戒している。
 中国紙「環球時報」などによると、チベット自治区政府の向巴平措(こうはへいそ)主席は先月末、ラサで、ネパールのオリ副首相と会談し、「青蔵鉄道は、その支線を最終的にはネパールとの国境まで伸ばしていくことになる」との計画を明らかにした。
 チベット鉄道の支線敷設工事は来年から始まり、ラサの約270キロ西に位置する同自治区第2の都市シガツェまで延伸し、3年以内に完成する予定。さらに、シガツェから約400キロ離れたネパールとの国境の町・樟木(ダム)まで、鉄道を敷設する計画だ。
 同主席は「チベット自治区と東南アジア諸国との経済交流を活発化する」と指摘。オリ副首相も「ネパール政府にも同じような願いがあり、中国との国境まで鉄道が敷かれることが望ましい。ネパールは中国とともにその実現のため努力したい」と歓迎の意を表明した。
 しかし、1962年に中国と国境紛争を経験し、アジアの“ライバル”でもあるインドの国防関係者は中国紙の取材に対して、「すでに、シガツェとネパール国境を結ぶ道路が建設中だ。さらに、ネパール国境まで鉄道が延伸されれば、中国の軍事活動ラインが拡大するとともに、軍事物資などの運搬能力を高めることになる」と指摘するとともに、「その結果、南アジアに中国の軍事プレゼンスが直接及ぶことになり、この地域の戦略地図を塗り変える可能性が強まる」と述べて、延伸計画に神経を尖らせている。

◎中国企業番付:国有企業が上位独占、中国石油化工1位維持(2006年9月2日、毎日新聞)
 中国企業連合会などが2日発表した06年版の中国企業大手500社番付は、国有石油大手、中国石油化工が売上高8230億元(約12兆円)で昨年に続き首位を維持、上位は例年通り石油、電力、金融など寡占型国有企業が占めた。2位は中国の送電会社の大半を傘下に収める国家電網、3位は国有の中国石油天然ガスと前年と同じ順位。10位まで国有企業が独占した。
 民間では、パソコン最大手の聯想(レノボ)グループが24位、家電大手の海爾(ハイアール)が25位に入った。
 500社の売上高総額は中国のGDPの約78%に相当。25社が売上高1000億元を超えた。

◎マツタケ、ワサビ、日本の食卓支える中国「シャングリ・ラ」(2006年9月1日、産経新聞)
≪3カ月で年収の50倍 中国・雲南省北部≫
 チベットに隣接する海抜3000メートル級の高原地帯、中国・雲南省北部が日本の味覚を支える大規模な「食材基地」になろうとしている。すでに6年前からマツタケ狩りに従事するチベット族は増える一方だし、ワサビ作りに精を出す農家も規模拡大に熱心だ。豊富な清流と穏やかな気候がうまくマッチしたことが背景にあるのだろう。日本独自の味を世界に求める食材のグローバル化はとどまるところを知らない。(中国雲南省シャングリ・ラ 前田徹)
 日本の秋の味覚、マツタケの集散地は、理想郷を意味する「シャングリ・ラ」という名の街だ。海抜3280メートル。亜熱帯気候の緯度に位置し、さらに周囲を4000メートルから6000メートル級の山に囲まれた盆地のため過ごしやすい高原になっている。
 もともとは「中甸(ちゅうでん)」という中国名だったのを約4年前、観光客目当てに、英国作家ヒルトンの小説「失われた地平線」で描かれた理想郷に改名したのはそうした温和な環境に由来している。この地方が実はマツタケを含むキノコの理想郷でもあることがわかり、日本の商社が買い付けに現れたのをきっかけにマツタケラッシュが始まった。
 キノコ採りのシーズンは5月から10月までのほぼ半年。マツタケの場合、6月から8月がピークで1日5トンの収穫があるが、5月や10月でも1日2トン程度の収穫が見込めるそうだ。シャングリ・ラの中心にあるマツタケ市場はこの間、周辺の山から下りてきたチベット族の農民らであふれかえっている。特に活気がでるのは夜9時以降。奥地で採れる良質のマツタケが市場にたどり着くのに10時間以上かかるからだ。
 このラッシュで貧しい農民は大いに潤っている。マツタケがなければ年収200元(3000円)程度の人が、少なくとも3カ月で2000元(3万円)、多い人は1万元(15万円)も稼ぐ。このマツタケのうまみに気づいた市は2年前に輸出会社を設立、加工品も含めると年間1500トンを扱っている。加工工場も日本の食品会社の指示で万全の安全基準を採用するなど、日本の食料供給システムの一部になりつつあるといってもよい様相を見せている。
 一方、ワサビはシャングリ・ラの南300キロにある麗江(れいこう)が生産地になっている。こちらは張西京さんら地元起業家が6年ほど前に日本のワサビ市場に目をつけ、加工工場を作ったのが始まりだ。当時、雲南省が周辺の貧しい農民にワサビの作付けを指導し、それを買い取って良質なものは生ワサビとして出荷、残りはわさび漬けや練りワサビに加工して日本に輸出している。
 この工場はほぼ100%日本市場向けで、張さんはさらに大きな需要を期待している。

◎干ばつの中国・重慶でダム決壊の恐れ、長江水位は激減(2006年8月27日、朝日新聞)
 記録的な少雨と高温が続いている中国重慶市で、干上がったダムの堤防に亀裂が入り、豪雨などがあれば決壊する恐れが高まっている。長江下流域の水深が大幅に下がるなど、干ばつの影響も拡大している。
 同市水利局のホームページや27日付の香港紙によると、同局の調査では少なくとも大小約300のダムで亀裂が確認された。深さが1メートルを超す亀裂もある。気象予報は来月、同地域で豪雨があるとしており、同局は決壊への警戒を強めている。
 四川省では今年5月から記録的な少雨と高温が続き、重慶市は今月中旬、気温44.5度を記録。780万人の市民が飲用水の不足に悩んでいるほか、農畜産業などへの被害は60億元(900億円)を超えた。
 この干ばつの影響で、江西省九江で長江の水深が昨年より6メートルも下がるなど、長江下流域の水深も夏季としては過去100年で最低水準まで下がっている。

◎重慶で過去最高の44.5度、中国、深刻な猛暑続く(2006年8月16日、朝日新聞)
 中国内陸部では50年来といわれる深刻な干ばつが続いているが、中国でも酷暑の地として知られる重慶市で15日、気温が44.5度に達する記録的な猛暑となった。新華社電が伝えた。同市ではこれまでの最高気温だった1953年の44.1度を更新。5月中旬以降、ほとんど雨が降らず、750万人以上の飲料水が不足する緊急事態になっている。

◎17歳未満、幼女と性行為合法?中国最高裁が新解釈(2006年8月26日、産経新聞)
 【北京=伊藤正】日本に劣らず性の低年齢化が進む中国で、最高人民法院(最高裁)が今年1月、公告した未成年者の刑事事件に関する司法解釈が論議を呼んでいる。14歳未満の女子との性行為を「強姦罪」としている刑法に対し、14歳以上17歳未満の男子に限り、条件付きで犯罪にならないと例外にする新解釈をしたためで、司法の現場が混乱する一方、青少年の性犯罪を助長するなどの批判が出ている。
 最高法院の司法解釈(全20条)は、法的責任を負う14歳以上18未満の未成年者の犯罪構成要件を規定。例えば摘発2回までの窃盗は、犯行を供述、盗品を返却すれば犯罪と見なさないとするなど、「教育を主とし、懲罰を従とする」(前文)寛大さが特徴だ。
 このうち最も議論になったのが、幼女(14歳未満)との性行為に関する規定。「たまの行為で、情状が軽く、重大な結果を引き起こさない」ことを条件に、14~16歳の少年の刑事責任を問わないとしているが、条件規定のあいまいさが混乱を招いた。
 中央テレビの報道によると、今年5月、甘粛省の農村で、16歳未満の中学生3人が、9歳と10歳の女子に5時間にわたって性的暴行を加える事件が発生。警察は容疑者を拘束したが、検察は最高法院の司法解釈により立件できないとし、容疑者を釈放させたという。
 悪質な犯罪を免罪にしたこのケースは、幼女の人権無視と批判を浴びた。北京市石景山区人民法院(区裁)は今月初め、公安、検察当局と協議、17歳未満男子と幼女との性行為は「双方の意思に基づくもので、暴力によらず重大な結果を引き起こさなければ免責する」との共通認識に達した。
 最高法院の解釈より具体的だが、問題は「双方の意思」。中国刑法が、幼女との性行為を、年齢や同意の有無にかかわらず「強姦」と規定しているのは、性知識や判断力を欠く幼女の保護のため。この点は日本の刑法も同じだが、女子の早熟化が著しい現状にそぐわないとの指摘もある。
 例えば北京で2年前、ネットで知り合い恋に落ちた17歳男子と13歳少女が性関係を結び、少女の家人の訴えで少年が強姦罪で懲役1年6月の判決を受けた事件があった。このケースは少年が17歳のため、新解釈の適用外だが、強姦罪が妥当か議論になった。
 中国では青少年犯罪が社会問題化する中で、青少年の保護、育成強化を主眼にした未成年者保護法の改正案が全国人民代表大会(国会)で審議中だ。犯罪歴のある少年が社会から疎外され、犯罪を重ねることが多い現実を踏まえ、非行少年に社会が温かく接し、更生を促そうとの狙いが最高法院の新解釈にも反映している。
 いわば胡錦濤政権の看板である和諧社会路線に沿った法解釈だが、貧富の差拡大など、青少年が犯罪や非行に走る社会環境の下では、青少年犯罪を助長し、特に幼女を性的被害にさらすとの指摘も多く、司法現場の混乱は続きそうだ。

◎中国の亜硫酸ガス排出が世界最悪に(2006年8月20日、朝日新聞)
 中国国家環境保護総局によると、石炭を使う火力発電所などで生じる亜硫酸ガス(二酸化硫黄)の排出量が05年は2549万トンに達し、世界最悪だった。
 国営新華社通信によると、00年比27%増の水準。中国は環境汚染物質の排出を10年までに05年より10%減らす目標を掲げているが、達成は難しそうだ。同総局は排出が減らない原因を「エネルギー消費の約7割を石炭に依存しているため」とし、「10年までに年間2295万トンに抑えたい」という。

◎靖国参拝、「正常な日中関係」へ一歩(2006年8月16日、産経新聞)
 小泉純一郎首相の6年連続、そして8月15日の靖国神社参拝は、「歴史カード」を手に譲歩を迫る中国と、歴史上の負い目からそれに従い続ける日本という、20年来固定化していた日中関係のあり方に「構造改革」をもたらした。平成13年の流行語大賞にも選ばれた「聖域なき構造改革」を掲げて登場した首相は、小泉劇場の幕を閉じるに当たり、最後の改革を成し遂げたといえる。
 首相が5年前の自民党総裁選の公約だった15日の参拝を果たしたことは、本来は国内問題である戦没者の慰霊・追悼のあり方を外国の干渉から、日本人自身の手に取り戻す大きな契機にもなり得るものだ。
 首相の参拝継続によって、「中国は、すでに靖国カードが通用しなくなったことに気付かざるをえなくなった」(アジアの外交官)。今月3日に死去した前上海総領事の杉本信行氏は「中国は首相が15日に行くことを含んで想定しており、15日に行こうが行くまいが、結果は同じだ」と語っていた。5年間、参拝日を変えながら中国の対応を見守ってきた首相は、そうした中国側の事情を読み切り、この日の参拝に踏み切った。
 持続的な経済成長のために日本との協力が不可欠な中国側に、「思うような成果が上げられないのに、靖国問題でこれ以上もめ続けるのには辟易(へきえき)している」(外務省幹部)といった受け止めが広まっている。
 首相が、中国が最も嫌がった15日にあえて参拝することで「次期首相がたとえ春秋の例大祭に参拝しても、中国側は『小泉氏よりましだ』と対応を控えることができる」(政府関係者)のも事実だろう。次期首相への就任が有力視される安倍晋三官房長官への「置き土産」だったのかもしれない。
 「中国は、日本人の心の問題に踏み込んだことをきっと後悔する」
 首相はかつて周囲に、こう漏らしたことがある。その通り、中国による日本の政財界、マスコミも動員した靖国参拝反対キャンペーンは、日本人の贖罪意識を強めるどころか、中国への警戒心や反中感情を高める結果になっている。
 首相の靖国神社参拝は、敗戦国に対して優位に立ち続ける中国と、その言いなりになる日本という不正常な両国関係を、対等で普通の関係へと一歩近づけたのは間違いない。(阿比留瑠比)

◎首相靖国参拝:中国がデモ封じ込める、反日再燃を懸念し(2006年8月15日、毎日新聞)
 【北京・西岡省二】小泉純一郎首相が終戦記念日に靖国参拝したことを受け、中国指導部は国内の反日感情が再燃することを懸念し、大規模デモを封じ込めた模様だ。胡錦濤指導部には靖国参拝を契機にした対日非難の矛先が政権に向けられるのを警戒する一方、日本の次期政権と関係改善を目指す中で不利な要因は排除しておきたいという意図がある。
 日本大使館前で15日午前、抗議行動を主導した反日の民間団体「愛国者同盟ネット」。サイト編集長の盧雲飛さん(31)は、毎日新聞に対し「抗議行動は事前に公安当局の許可を得ており、参加人数や抗議文の内容、スローガンの文言などは事前に届け出を済ませていた」と明かした。中国当局は、参拝に反対する市民に「はけ口」を提供する半面、過度な抗議行動は徹底的に抑え込むスタンスを明確にした。
 中国国内では貧富の差が拡大する一方、官僚の汚職などが相次ぎ、市民には社会への不満がくすぶっている。中国指導部には「反日=反政権」(日中筋)との懸念が強く、昨年4月の反日デモと同様、反日感情が反政権に転換されることを強く恐れている。
 また、反日デモでは在留邦人・企業などに被害が出て、中国のイメージが損なわれた。この教訓も背景にあるようだ。

◎鳥インフルエンザ:農業男性が感染死、死者14人に、中国(2006年8月15日、毎日新聞)
 中国衛生省は14日、新疆ウイグル自治区の農業の男性(62)が鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染し、7月12日に死亡したと発表した。男性は6月19日に発病したが、その1カ月前から外出しておらず、身近な人の中にも感染した鳥との接触はなかった。中国でH5N1型の感染による死者は14人となった。【上海支局】

◎収賄容疑で上海市局長を解任、大型汚職事件に発展か(2006年8月15日、朝日新聞)
 上海市の社会保障基金を巡って、大型の汚職疑惑が浮上している。市人民代表大会常務委員会(議会に相当)は11日、市労働社会保障局の祝均一・局長(55)を解任。同基金から32億元(約450億円)を民営企業側に違法融資したなどの疑いがもたれ、当局が収賄容疑などで調べを進めている模様だ。これに関連し、大手国有企業のトップや副市長らの関与も取りざたされている。
 上海市新聞弁公室は15日、朝日新聞の取材に対し、祝氏の解任のほか、国有の大手電気設備メーカー、上海電気グループの総裁(57)ら複数の幹部が共産党の党規律違反の疑いなどで党規律検査委員会の調べを受けていることを明らかにした。
 香港メディアの報道によると、違法融資された32億元は、上海の民営企業家(32)の手を経由して高速道路事業への投資に流用されたという。香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」は、上海市の副市長(59)も同委員会の調べを受けていると発表したが、上海市新聞弁公室は副市長の聴取について否定した。

◎淋病に梅毒、中国、急増する性感染症を調査へ(2006年8月13日、産経新聞)
 中国衛生省は12日までに、中国の性感染症が1980年代以降急増しているとして感染実態をより正確に把握するため、モニター地区を定めて定点調査を実施するとの通知を出した。同省によると、05年の梅毒の報告例は前年比約35%増の12万6400件、淋病(りんびょう)は18万300件。淋病が中国の感染症の4位、梅毒が5位となっている。中国紙は、性感染症の重点調査対象者として(1)売春婦(2)男性の同性愛者(3)長距離トラックの運転手―を挙げた。

◎台湾に機密漏洩、中国政府官員を死刑に(2006年8月11日、産経新聞)
≪記録ビデオ、幹部の機密保持教育の教材に≫
 【北京=野口東秀】中国政府機関の幹部が台湾の情報機関員に国家機密文書を売り渡していたことが発覚し、今年4月に死刑に処せられていたことが10日分かった。河南省政府関連機関のホームページが明らかにした。中国当局はこの幹部の裁判の模様などを撮影した記録ビデオを制作し、中央・地方の公的機関の幹部を対象にした「機密保持の活動教育」の学習教材として視聴を義務付けるなど、機密漏えいに神経を尖らせている。
 シンガポール紙「聯合早報」(電子版)などは他紙を転電する形で、死刑に処せられた幹部は「●(=ニンベンに冬の二テンがニスイ)達寧」という名前で、全国社会保障基金理事会弁公庁(外事部)主任とし、人物経歴や機密関係文書、陳情書類などを扱っていたと伝えた。
 ●氏は以前、北京の中国国家発展改革委員会に勤務しており、15年間にわたり情報を「台湾特務」に渡し、見返りとして計25万ドル(約2800万円)を手にしたとされ、今年4月に刑を執行。接触していた「台湾特務」も無期懲役の判決を受けたという。

◎中国貿易黒字:3カ月連続で過去最高更新、7月(2006年8月10日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国税関総署が10日発表した7月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字額は146億1300万ドルとなった。6月の145億ドルを上回り、3カ月連続で過去最高を更新した。1~7月の累計黒字額は759億5400万ドル。通年でも昨年の1019億ドルを大幅に上回る勢いで、人民元の大幅切り上げを求める米議会、産業界との摩擦が一段と強まりそうだ。
 7月は輸出入とも大幅に伸びたが、特に輸出は前年同月比22.6%増の803億3700万ドルだった。携帯電話や液晶テレビなどに加えて鋼材の輸出も前年同月比で4割近く伸びたのが主因。米国などからは、航空機や農産物などを中心に輸入拡大の圧力が強まるのは確実だ。

◎中国:高額納税者優遇、子供の入試に得点加算、福建省の市(2006年8月7日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】中国南部の福建省ショウ州市は、市内で私営企業を経営する高額納税者の子供に対して、高校の一般入試の得点を20点加算する政策を始めた。私営企業の発展と税収を増加させるのが目的。貧富の差が入試の得点に直接影響する不公平な措置に批判が集まる一方で、中低収入の家庭からは「金持ちが特権を持つのは仕方ない」とあきらめの声も出ている。中国紙「南方週末」が3日、報じた。
 同紙によると、300万元(約4300万円)以上を納税した私営・外資企業計106社の経営者の子供が「20点加算」の資格を得た。今年6月の入試で、実際に制度を活用して合格した子供もいた。入試の満点は710点。
 全国各市の指導者にとって、私営企業の発展度合いは、自らの成績の判定基準となる。このため、ショウ州市では今年3月、私営企業を発展させるため、「20点加算」や「有料道路を2年間、無料で通行させる」などの優遇政策を打ち出した。
 中国では、スポーツの成績優秀者や生徒会活動への積極的な参加者、少数民族などに入試で得点を加算する規定がある。だが、高額納税者の子供への得点加算は珍しい。

◎キリスト教地下教会を強制撤去、中国・杭州(2006年8月3日、朝日新聞)
 新華社通信によると、浙江省杭州市で先月29日、当局の許可を受けないで建設されたキリスト教会が強制的に撤去された。中国国営の同通信が非公認の教会について報道することは異例で、都市部で急増しているとされる地下教会への対応を、当局が重視し始めた表れとみられる。
 報道によると、この教会は付近のキリスト教徒らが集会場所として建設した。これに対し、地元当局は「商業施設の建設計画が決まった土地であり、教会建設は違法」として撤去。グループの代表者2人が逮捕された。
 米国の中国語ニュースサイトは、現地の目撃者から得た情報として、キリスト教徒と警官の双方あわせて1万人近くが衝突し、数十人が逮捕され、負傷者も多数出たと伝えた。

◎中国、腐敗事案が約7000件、国家公務員が23%(2006年8月1日、産経新聞)
 新華社電などによると、中国国務院(政府)監察省の李玉賦次官は31日、昨年8月から今年6月までに商取引をめぐる腐敗事案が6972件に上り、腐敗事案の総額は19億6300万元(約282億円)だったことを明らかにした。
 このうち国家公務員が関与したのは全体の23%に当たる1603件、5億800万元に及び、局長級49人、課長級367人を処分した。胡錦濤指導部による道徳心向上などの政治運動にかかわらず、腐敗現象が改善されていない現状が浮き彫りになった。
 李次官は、政府による商品買い付けのほか、不動産や資源開発、医薬品などの取引で不正が行われるケースが多いと指摘、「取り締まりを強化する」と述べた。

◎中国の石油消費、過去最高に、06年上半期(2006年7月30日、朝日新聞)
 中国の06年上半期の原油と石油製品の消費量は、それぞれ1億6199万トン(前年同期比8.2%増)、9685万トン(同19.2%増)だった。10.9%もの高成長で需要が急増している。一方、生産量はそれぞれ、9166万トン(同2.1%増)、8482万トン(同5.6%増)だった。消費量、生産量とも過去最高。国営新華社通信が伝えた。輸入量はそれぞれ、7033万トン(同17.6%増)、1203万トン(同48.3%増)だった。

◎「食事まずい」などと数千人が3日間暴動、中国の工場(2006年7月29日、産経新聞)
 29日付香港紙、明報によると、中国広東省東莞市にある香港資本の工場(従業員約8000人)で今月23日から3日間、労働条件が劣悪などとして従業員数千人が工場内の食堂などを壊したり、近くの道をふさいだりする騒ぎを起こした。
 従業員1人が頭部を負傷し、警察が十数人の身柄を拘束したという。
 同紙によると、従業員側は残業代の不払いや工場の食事のまずさなどに不満を持ち、騒ぎの後は辞職を求める従業員が相次いでいる。(共同)

◎中国人民解放軍、北朝鮮軍の越境防止対策で兵士増派か(2006年7月27日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】香港の人権団体「中国人権民主化運動ニュースセンター」が26日、消息筋の話として明らかにしたところによると、中国人民解放軍は最近約1週間の間に、対北朝鮮国境の警備強化のため、吉林省琿春市など国境近くの複数の都市に兵士2000人を増派した。
 同センターによると、越境した北朝鮮軍兵士と解放軍兵士が昨年10月、銃撃戦となって解放軍兵士1人が死亡するなど、中朝国境では昨年、両軍兵士間で3件の銃撃戦が発生。
 今回の増派は、そうした越境防止への対策と見られる。

◎遺棄化学兵器:中国黒竜江省で600発発見、緊急回収作業(2006年7月27日、毎日新聞)
 新華社電によると、中国黒竜江省綏化市で、最近新たに旧日本軍の遺棄化学兵器約600発が見つかり、日中共同の緊急回収作業が26日、始まった。
 中国側が6月末から今月初めにかけて発掘。中国側の要請で日本政府が専門家を派遣、同省ハルビン市の保管庫で分類や封印作業を始めた。
 中国東北地方には日本軍の遺棄化学兵器が大量に残っており、黒竜江省では今月、牡丹江市寧安で日中合同で回収作業が行われた。(共同)

◎中国銀:対北朝鮮、マカオ支店の口座凍結、米当局者が明言(2006年7月26日、毎日新聞)
 【ソウル中島哲夫】韓国紙・朝鮮日報は25日、中国の国有商業銀行・中国銀行がマカオ支店の北朝鮮口座を凍結したと、韓国政府関係者の証言を引用して報じた。ロイター通信も米政府当局者2人の話として、同支店の北朝鮮関連資産凍結を把握しているとワシントン発で伝えた。中国による凍結の信ぴょう性が高まり、その背景に国際的関心が集まっている。
 凍結情報は韓国野党議員が米政府の元高官から聞いたとして24日、明らかにした。また北朝鮮が中国人民元も偽造しているとの情報も同時に公表した。これに対して韓国政府閣僚は「正確な情報がない」と語っていた。
 だがロイター通信によると米当局者は「凍結された」と明言。凍結は7月5日以前に実施され、北朝鮮のミサイル発射を受けたものではない▽中国銀行は米国市場に参入したがっている--などと指摘し、金融部門の透明性を高める努力の一環だろうと推測した。
 北朝鮮による米ドル偽造などの疑惑を背景に米国は調査の手を世界に広げ、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジアへの制裁で北朝鮮関連口座を凍結させた。北朝鮮はこの解除を6カ国協議復帰の条件としており、大きな痛手になった模様だ。

◎中国、ネット規制巧妙化 “抜け道”ブラウザに対抗(2006年7月23日、朝日新聞)
 【北京=福島香織】中国が国家プロジェクトとして進めているネット規制システム「金盾」をバージョンアップし、パソコン別検閲が可能となるなど、より巧妙化している。
 中国ではこの春から初夏にかけてMSN、hotmailやグーグル、国内大手検索サーチエンジンの新浪、捜狐などが相次いでアクセス障害やサービス停止になっていた。関係者は、これをネットを規制するという政策のために必要なバージョンアップ作業、検閲対象用語の増加のためとしていた。
 しかし、金盾プロジェクトの技術関係者によれば、今回のバージョンアップは単なる検閲対象ワードの増加だけでなく、システム自体が進化したという。これまでは検閲対象用語をもとに、サイトへ一律に接続遮断を行っていたが、今後はパソコンのIPアドレス(ネット上の識別番号)ごとに、アクセス履歴を解析、そのユーザーの政治的傾向を分析した上で接続の可否を判断していくという。
 たとえば娯楽サイトしかアクセスしていないパソコンが、「人権」という用語で検索したり、人権サイトにアクセスしたりしても問題ないが、チベットやウイグル族関連のサイトにアクセスし続けたあとに接続しようとすると、遮断される仕組みになるという。
 これだと、同じサイトでも接続できる人と接続できない人が出て、特定の用語やサイトがアクセス禁止の対象となった印象を与えにくい。遮断された方も接続できないのはネット規制によるものではなく、自分のパソコンやサーバーの調子が悪いためだと納得してしまいがちだ。ユーザーに検閲されていると気づかせないように、巧妙にネット規制を実施するのが狙いだ。
 こういった当局のネット規制の巧妙化の背景には、規制が厳しくなるほど、その対抗システムが発達するという状況がある。たとえば、北京のソフト会社が03年に発表したプロキシ機能を持つ中国製フリーウエアブラウザ「傲游(Maxthon)」は本来、過剰なネット広告のフィルタリング機能が売りだった。
 が、同ブラウザを使えば、当局が行うネット規制が回避できることがわかり、それが人気を呼んだとみられ、「中国国内で約3600万回(全世界では6000万回以上)もダウンロードされ、少なくとも中国のネットユーザーの17%以上が利用している」(傲游広報)という。
 中国インターネット情報センターによれば6月末までに、中国のネット人口は1億2300万人に達し、ネット普及率は9.4%。半年前1500万人だったブロガーは2800万人となり、一大情報発信源となっている。

◎中国:日本と台湾産の樹脂の不当廉売認定、商務省(2006年7月23日、朝日新聞)
 中国商務省は22日、日本と台湾産の合成樹脂材料、ポリブチレンテレフタレート(PBT)について、ダンピング(不当廉売)と正式認定、同日から5年間、日本と台湾産のPBTに6.24~17.31%のダンピング税を課すと発表した。
 PBTは自動車や電子部品に広く使われている。商務省は昨年6月に日台産について調査を開始、今年3月にダンピングの仮決定を下していた。(共同)

◎中国のネット人口、1億2300万人に(2006年7月23日、朝日新聞)
 中国のインターネット人口が6月末時点で、前年同期比19.4%伸びて1億2300万人に達した。このうち、小中高校生は3000万人に上り、高校生では半数がネットを利用している。中国共産党機関紙、人民日報がこのほど、中国インターネット情報センターの調査として伝えた。

◎中国、ニジェールでウラン獲得へ、原発増設が背景、資源外交加速(2006年7月22日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国が世界有数のウラン産出国ニジェールでのウラン開発を本格化する。中国は今年4月、オーストラリアとの間でウラン鉱石の貿易に関する協定に締結。これに加えて、ニジェールでの動きは、中国内で急ピッチに進む原子力発電所建設に対応するもので、中国は今後もウランをめぐる資源外交を加速させるとみられる。
 ニジェールは、カナダ、オーストラリアに次ぐウランの3大産出国で、世界の産出量の9%を占めるとされる。中国紙「東方早報」によると、ニジェールは今月中旬、同国北部のウラン鉱区で、中国の国営企業「中国核工業集団」傘下の関連企業3社に開発権を付与したと発表した。
 すでに、ニジェールのウラン鉱市場にはカナダやフランス、日本、スペインが進出、5月にはカナダが北部の開発権を得るなど、ニジェールのウランを巡って競争が激化している。
 一方、中国はオーストラリアとの協定締結で今後、年間2万トンのウラン鉱石の輸入を計画。北京の外交筋は「カナダともウラン輸入をめぐり交渉中だ」と指摘する。

◎中国の台風被害の「情報隠し」、地方政府を戒る通知(2006年7月22日、朝日新聞)
 今月中旬に中国華南地方を襲った台風の被害状況を巡り、中国民政省が21日、地方政府の虚偽報告を戒める通知を出した。国営テレビが湖南省政府の「情報隠し」を指摘したのがきっかけとみられる。事件事故や災害の対応を巡る中央政府、地方政府、メディアの緊張関係が深まっている。
 22日付の香港紙「明報」によると、民政省は21日、湖南、広東、福建など被災地の地方政府に「虚偽報告は許さない」との緊急通知を出した。
 背景となったのは、中央電視台が20日に放映した湖南省でのルポ。死者数は省政府が発表していた78人より大幅に多いはずだと「情報隠し」の可能性を指摘した。翌日、同省は死者が268人に達したと発表。「実態把握に手間取っただけ」としているが、民政省は緊急通知で地方政府を牽制(けんせい)した形だ。

◎中国:海外からの直接投資は微減、上半期(2006年7月15日、毎日新聞)
 中国商務省が15日までに発表した今年1~6月の海外からの直接投資実行額は284億2800万ドル(約3兆3000億円)で、前年同期比0.47%の微減だった。6月は54億3900万ドルで、前年同月比12.23%減と大きく落ち込んだ。
 中国は投資の先行きを示す契約ベースの金額を公表しなくなっているが、15日付の中国英字紙チャイナ・デーリーは、商務省のシンクタンクの研究員の話として「中国の労働コストの上昇などから、付加価値の低い産業分野では外国企業が投資を削減しつつある」との分析を伝えた。
 国・地域別では首位が香港で、英領バージン諸島、日本、韓国、米国が続いた。(北京・共同)

◎秦時代の墓から欧州系の人骨、学説より1世紀早く交流か(2006年7月2日、朝日新聞)


 中国陝西省西安市郊外にある秦(紀元前221~同206年)の始皇帝陵の近くの約2200年前の墓から出土した人骨が、DNA鑑定の結果、欧州系の特徴を持つ男性のものであることが、同省考古研究所や復旦大学(上海)などの研究グループの調査で分かった。始皇帝陵の建設労働に携わったとみられる。研究者は従来の学説より1世紀ほど早い時期に、すでに中国の中心部と中央アジアや西アジアなどの民族との間で交流があった可能性を指摘している。
 陝西省考古研究所によると、墓は2003年に始皇帝の陵墓の近くで見つかり、121人分の人骨が出土。このうち50人分の人骨について、復旦大学現代人類学研究センターに依頼し、DNA鑑定を実施した。担当した同センターの徐智さんによると、1人分の手と足の遺骨が、遺伝子的に現代の欧州系に多い特徴を持つ15歳以上の男性のものとみられることが判明した。前漢(紀元前202~紀元後8)の時代にシルクロードを通じた東西交流が盛んになる前に、中国と欧州系の民族との間に接触があり、遺伝子的な交流があったことも推測されるという。
 同考古研究所の段清波・研究員によると、多数の人骨が埋葬される形式から、墓は社会的身分の低い者たちが埋葬されたもので、欧州系の男も何らかの理由で中国に来て、始皇帝陵の建設に従事させられた可能性が高いという。段研究員は「始皇帝の中国統一の時期に文化や芸術面でも東西交流があったのではないか」と話している。

◎違法企業、百億円超を国外持ち逃げ、中国福建省(2006年6月27日、産経新聞)
 26日付香港各紙によると、中国福建省泉州市で高利息をうたい市民の金を違法に集めていた地元企業グループ、●(門がまえに虫)林集団の林鳳良総裁が今年4月、客の金10億元(約145億円)以上を持って国外逃亡した。同集団は直後に倒産、少なくとも10万人の市民が被害を受けたとみられる。
 地元の区幹部が収賄容疑で3月に当局の調べを受けたことから、捜査が及ぶのを恐れて逃亡したとみられ、公安当局が行方を追っている。福建省では以前、アモイ市で巨額密輸事件が起きており、主犯とされる頼昌星氏はカナダに逃亡中。林氏も同国に逃げたとの情報がある。(共同)

◎反日デモ:上海日本総領事館と上海市、原状回復で合意(2006年6月20日、毎日新聞)
 【上海・大谷麻由美】上海で昨年4月16日に起きた反日デモの際、投石などで破損した上海日本総領事館の外壁や窓ガラスなどについて、総領事館と上海市政府との間で、資材をすべて日本から輸入し、原状回復することで合意した。上海の外交筋が19日、明らかにした。北京の日本大使館と大使公邸は昨年末に工事が完了している。交渉が難航していた総領事館も反日デモから1年以上がたち、工事着手に動き出すことになった。
 外交筋によると、同市政府は5月下旬、総領事館の要求通りに原状回復すると通達した。同市政府の見積書では、工賃などは含まず、資材費だけで約4000万円に上る。現在は、総領事館と同市政府が業務を委託した中国企業との間で、工事の打ち合わせを行っている。資材の輸送などで、工事開始は早くても秋以降になる見通し。総領事館の割れた窓ガラスや外壁の傷は現在もそのままになっている。

◎中国で化学工場爆発、有毒物質流出(2006年6月16日、産経新聞)
≪大規模河川汚染の恐れも≫
 新華社電は15日、中国浙江省竜泉市を流れる竜泉渓近くの化学工場で同日、爆発事故が断続的に起き、有毒物質が流出したと報じた。地元当局は大規模な河川汚染に発展する恐れがあると警告した。
 当局によると、爆発が起きたのは、漂白剤などの原材料となる過酸化水素の製造工場。爆発は、同日午前から夜にかけて断続的に起きており、2人が行方不明になった。有毒物質が竜泉渓に流入する恐れが大きく、200キロ以上下流の沿海都市、温州市にかけた地域住民の飲料水に影響を及ぼす可能性があるとしている。
 現地では、多数の消防関係者が有毒物質を含んだ汚水が河川に流れ込まないよう、土砂を積み上げるなどの作業を急いでいる。(共同)

◎中国でまた軍用機墜落、少なくとも住民1人死亡(2006年6月14日、朝日新聞)
 14日付の香港各紙によると、中国福建省福州市で訓練中の人民解放軍機が墜落、現場近くにいた住民が少なくとも1人死亡した。中国では3日に安徽省で最新鋭の警戒管制機とみられる軍機が墜落し、40人が死亡するなど事故が相次いでいる。
 報道によると、12日午前、訓練中だった国産戦闘機「殱(チエン)7」型機が福州市郊外の工場付近に墜落。機体の破片に直撃された守衛が死亡した。パイロットは脱出して無事だった。

◎人民元、2度目の1ドル7元台(2006年6月14日、朝日新聞)
 中国の外国為替市場の人民元相場は14日午後、1ドル=8元を突破し、1ドル=7.9995元をつけた。昨年7月の為替制度改革後、7元台をつけたのは約1カ月ぶりで2度目となる。
 中国人民銀行は毎朝、その日の「基準値」を発表して為替取引を誘導している。14日の基準値は1ドル=8.0051元。この日は取引開始直後から元買いが進み、午後3時半ごろ8元を超えた。銀行間取引が終了する午後5時半を前に反落し、終値は1ドル=8.0005元だった。
 元相場は5月15日、元切り上げ後、初めて1ドル=8元を突破。7.9972元まで元高が進んだが、わずか1日で再び8元台に反落。その後、人民銀が発表する基準値は1ドル=8.01~02元前後で推移。日中の取引においても強い政府介入で元高が進むペースは抑えられていた。一方で、介入に伴うドル買いが、すでに世界一に膨らんだ外貨準備高をさらに膨らませることへの懸念も広がっていた。

◎米財務省:中国4社の資産凍結、イラン向け兵器拡散で(2006年6月14日、毎日新聞)
 【ワシントン木村旬】米財務省は13日、イランの大量破壊兵器(WMD)の拡散に関与したとして、中国企業4社と米企業1社に対し、在米資産の凍結と米国との取引禁止を命じた。WMD拡散防止のため、昨年6月に施行した大統領令に基づく措置。
 財務省によると、5社はWMDの運搬が可能なミサイル開発のため、資金・技術面などでイランの関係団体を支援した。
 同省は「世界中の政府がイランの活動を手助けしないように適切な措置を取ることを求められている」との声明を発表し、金融制裁への同調を促した。

◎「イランにミサイル関連部品」、米が中国企業4社を制裁(2006年6月14日、日本経済新聞)
 【ワシントン=藤井一明】米財務省は13日、イランにミサイル関連の部品を供与したことなどを理由に、中国企業4社と米企業1社に制裁を科すと発表した。商取引の禁止や在米資産の凍結などが柱で、他国にも同様の措置を取るよう求めた。アハマディネジャド・イラン大統領の中国訪問を目前に控え、イランの核開発問題などを巡り欧米と温度差を残す中国に、イランが接近するのを事前にけん制する狙いもあるとみられる。
 制裁は金融機関との取引停止などを通じて大量破壊兵器や、それを運ぶミサイルの拡散にかかわった企業や団体、個人の活動を制限するのが狙い。昨年6月、ブッシュ大統領が署名した大統領令に基づく。これまでに北朝鮮、イラン、スイスなどの企業や政府系機関への制裁を決めているが、中国企業や国内企業への適用は初めて。

◎中国:5月の貿易黒字、過去最高を更新(2006年6月12日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国税関総署が12日発表した5月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字額は前年同月比約44%増の130億400万ドル(約1兆4800億円)で、月間ベースで過去最高を更新した。繊維製品や携帯電話・部品などを中心に輸出が同25.1%の増加となり、同21.7%増だった輸入の増加ペースを上回った。
 今年1~5月の累計貿易黒字額は前年同期比56%増の467億9300万ドルに上った。このままのペースが続けば、05年通年の黒字額1018億ドルを超えるのは確実な情勢だ。
 輸出で増加が目立つのは携帯電話・部品や半導体チップなど。昨年以降の人民元相場上昇で輸出鈍化が懸念されている紡績や衣類製品なども1~5月の累計で2割以上の増加が続いており、影響は軽微にとどまっている。一方、輸入も原油や天然ゴムなどの一次産品を中心に増加した。
 米中貿易摩擦を背景に、5月上旬に一時1ドル=7元台に突入した人民元相場はその後同=8元台で足踏みしており、米国などから再び切り上げ圧力が強まりそうだ。

◎中国:北京市副市長解任、五輪前に首都のイメージダウンも(2006年6月12日、毎日新聞)
 【北京・飯田和郎】北京市の劉志華副市長(57)が汚職にかかわったとして解任されたことで、08年夏季五輪を控えた首都のイメージダウンが懸念されている。劉氏は北京の都市計画を担当しただけに、五輪に向けた建設事業が腐敗の温床になった可能性もある。ただ、胡錦濤指導部は首都に潜む「膿(う)み」を出しきることで、国家の威信をかけた五輪に関係する腐敗を許さない決意を示したといえる。
 中国系香港紙「文匯報」によると、関係者からの通報によって共産党中央規律委員会が内偵を進め、解任に至ったという。関与した汚職の具体的内容が今後の審査の重点になると予測している。
 劉氏はインフラ整備、スポーツ、住宅や交通施設の建設などの分野を担当してきた。また、歴史的建造物・景観の保存や整備の責任者だった。
 中国政府は現在、北京五輪を前に400億ドルを投入し、北京の再開発事業に取り組んでおり、国際オリンピック委員会に対し「汚職のない五輪」を約束してきた。
 劉氏も重要な権限を持っていたようで、汚職のまん延が改めて証明されたと言える。
 しかし、腐敗の一掃は胡錦濤指導部の最優先課題の一つであり、おひざ元の北京も例外ではない。とりわけ国際的に注目を集める北京五輪に関係する工事・事業は透明性の高さが要求される。劉氏の解任は、今後への警鐘にもなりそうだ。

◎中国:北京市副市長を汚職で解任(2006年6月12日、毎日新聞)
 【北京・飯田和郎】北京市の人民代表大会常務委員会(市議会に相当)は11日、劉志華副市長(57)が汚職にかかわったとして解任した。劉氏は北京の都市計画を担当しただけに、08年の夏季五輪に向けた事業が腐敗の温床になった可能性もある。胡錦濤指導部は首都に潜む「膿(う)み」を出しきることで、国家の威信をかけた五輪に関係する腐敗を許さない決意を示したといえる。
 常務委は「(劉氏の)生活が堕落した。証拠は明白で、極めて重大」と説明している。中国系香港紙「文匯報」によると、関係者からの通報によって共産党中央規律委員会が内偵を進め、解任に至ったという。
 劉氏はインフラ整備、スポーツ、住宅や交通施設の建設などの分野を担当してきた。また、歴史建造物・景観の保存や整備の責任者だった。
 中国政府は現在、北京五輪を前に400億ドルを投入し、北京の再開発事業に取り組んでおり、国際オリンピック委員会に対し「汚職のない五輪」を約束してきた。劉氏も重要な権限を持っていた模様で、劉氏には刑罰を含めた処分が下されるのは間違いない。
 首都・北京のイメージダウンは避けられないが、腐敗の一掃は胡錦濤指導部の最優先課題の一つであり、おひざ元の北京も例外ではない。とりわけ国際的にも注目を集める北京五輪に関係する工事・事業は透明性の高さが要求される。劉氏の解任は今後への警鐘にもなりそうだ。

◎中国人民解放軍用機が墜落、最新鋭機の可能性(2006年6月6日、朝日新聞)
 中国安徽省東部で3日、人民解放軍機の墜落事故があり、軍最高幹部が現場入りしたことなどから、軍が開発した最新鋭機だった可能性が専門家の間でとりざたされている。新華社は事故機は「輸送機」としているが、型式や原因などは依然、不明のままだ。
 新華社によると、事故は浙江省との省境に近い山中で起き、乗員40人全員が死亡した。胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席は原因究明と現場処理のための特別チームの派遣を決定。中央軍事委員会副主席の郭伯雄(クオ・ポーシュン)氏や解放軍幹部が現場入りした。
 3日の新華社電は輸送機事故としたが、香港の親中国紙大公報は5日、墜落したのは「早期警戒管制機」だったと報道。現場周辺を管轄する解放軍南京軍区保有の「KJ2000」型と「運8」型警戒機の性能などを詳しく紹介し、米軍やロシア軍にない新しいレーダー技術を備えた最新鋭機としている。
 香港紙によると、現場一帯は数キロの範囲で立ち入り禁止になっている。事故機は低空飛行で現場上空に入って墜落。墜落直前に空中で爆発したとする目撃証言もある。

◎軍事転用懸念リスト、14社削除を要求、中国、経産相に今年2度(2006年5月30日、産経新聞)
 製品や技術を核兵器開発などに転用される懸念があるとして、政府が輸出を規制している外国企業の一覧表「外国ユーザーリスト」をめぐり、中国が14社の自国企業の掲載を削除するよう求めていることが29日、わかった。ただ、リストは欧米諸国との情報交換を経て作成しており、日本単独で中国を「懸念なし」とみなすことはできない。日本の安全保障政策の根幹にもかかわるだけに、所管する経済産業省は中国の要求に応じない方針だ。
 経産省によると、中国の薄煕来商務相が今年2月、北京で二階俊博経産相と会談した際に要求を伝えた。今月27日に京都迎賓館で行われた会談でも、薄商務相は「ぜひユーザーリストから削除してほしい」と再び強く要請。このときは、両国の担当部局が意見交換を継続することで合意した。
 外国ユーザーリストは貿易管理の新制度「キャッチオール規制」とともに、平成14年に導入された。対共産圏輸出調整委員会(ココム)規制など従来の輸出管理制度は軍事転用の懸念される品目を規制してきたが、キャッチオール規制では懸念される企業をリストに挙げ、輸出する際には経産省の審査を受けることになっている。
 これまでも、イスラエルなどが日本の関係当局に自国企業の削除を求めてきた経緯はあるが、貿易管理の専門家は「閣僚同士の会談で正式議題に持ち込まれたのは初めてではないか」と指摘。そのうえで、「中国に核関連技術が渡ればパキスタンや北朝鮮に流出する可能性が極めて高い」と警告する。
 ただ、日本のリストは米国務省や商務省が作成したリストの情報が反映されたもので、同様のリストを持つイギリス、カナダ、ドイツなどとともに事実上、民主主義先進国による包囲網として機能している。
 2度にわたる中国の要求に対し、経産省幹部は「交渉事項にはあたらない」として受け入れない構えだが、貿易管理にあたっては協力関係も欠かせないことから対話は続けていくとしている。
 中国への輸出をめぐっては今年1月、ヤマハ発動機が大量破壊兵器に転用できる無人ヘリを中国企業などへ不正輸出したとして、経産省が同社を刑事告発している。

≪はっきりと断るべきだ≫
・安全保障に詳しい志方俊之・帝京大教授の話
 「中国の核技術は昔のソ連のコピーに過ぎないが、最近はロシアとの関係が良好でないこともあり、日本の技術が欲しくなってきたのではないか。中国にしてみれば『すでに核兵器を保有しているのだから、北朝鮮などと同列に核不拡散の対象として扱われたくない』という理屈があるのだろう。ただ、中国から他の国へ核技術が流出する恐れが高く、日本は対中輸出を規制する同盟国の枠組みから抜けるわけにはいかない。無理な要求は軽く聞き流し、できないことはできないとはっきり断るべきだ」

・外国ユーザーリスト
 政府が輸出者(個人・企業)に対し、核兵器や大量破壊兵器開発の懸念がある外国企業・団体の情報を提供するため公表しているリスト。最終的に利用する需要者(ユーザー)がリストに含まれている場合、外為法に基づいて経産省に輸出許可申請が必要とされる。今年4月に改訂されたリストには北朝鮮58、イラン42、パキスタン24、中国14、シリア6など計9カ国、185社が掲載されている。

◎黄砂よりも紫煙、中国の喫煙人口は世界の約3分の1(2006年5月29日、読売新聞)
 【北京=末続哲也】中国衛生省は29日、中国の喫煙状況についての報告書を発表し、2002年の中国の喫煙者が推定約3億5000万人に上り、世界の喫煙人口(約11億人)の約3分の1を占めると明らかにした。
 報告書は、喫煙の抑制が「民族の隆盛にもかかわる」と指摘し、公共の場での禁煙を法制化するなど、対策の必要性を訴えた。
 報告書によると、中国で肺がんなど喫煙による疾病で亡くなる人は年間約100万人で、2020年には200万人に倍増する見通しだ。喫煙者の若年化も進んでいる。
 中国は、全世界の約3分の1のたばこを産出する一大生産国でもある。たばこ産業に依存する地域も多く、喫煙の危険性を啓発する活動が滞りがちとの見方もある。

◎ミリタリーバランス:中国軍事費、公表額の1.7倍に(2006年5月25日、毎日新聞)
 【ロンドン山科武司】英国際戦略研究所(IISS)は24日、国際軍事年鑑「ミリタリーバランス06」を公表し、中国の実際の軍事費が公表額の1.7倍に上るとの見方を示した。
 年鑑によると、中国の公式の03年軍事関連予算は1907億元(約230億ドル)だったとされるが、IISSの試算では3284億元に達しているという。当時の為替レートなどを勘案すると396億ドルに相当し、国内総生産(GDP)の2.7%を占めるとされる。米国は3.7%、英国は2.4%だという。
 年鑑は中国が沿岸地域で海軍やミサイル部隊を中心に軍備近代化を進めていると指摘し、「欧米や周辺地域の緊張が強まっている」と分析した。
 また、紛争地で民間軍事会社の役割が拡大している理由について、年鑑は軍事費抑制の経済的側面に加え、紛争長期化で正規軍駐留が困難になる局面が増えたためと分析、「規制する国際法は整備されておらず、活動を制御できない恐れがある」と懸念を示した。イラクでは現在1万5000~3万人の民間軍事会社社員が活動しているという。

◎中国軍のミサイル、台湾対岸に710~790基・米報告書(2006年5月24日、日本経済新聞)
 【ワシントン=丸谷浩史】米国防総省は23日、中国の軍事力に関する年次報告書(2006年版)を公表、「中国の軍事力は台湾海峡だけでなく、資源や領土をめぐる紛争にも適応できる能力になりつつある」と、強い懸念を示した。具体例として台湾対岸の短距離弾道ミサイルが年平均100基のペースで増加、すでに710~790基が配備済みと指摘した。
 報告書は中国の実際の国防予算が公表額の2倍から3倍に達している可能性があると分析。06年は700億~1050億ドルにのぼり、最大の場合、日本の防衛予算(06年度、約4兆8000億円)の2倍以上になると推計した。同時に「(実際の軍事力が)明らかでない状況が続けば、国際社会が中国の軍事力拡大に防御策を講じるようになるのも理解できる」と、中国軍の透明化を促した。
 中国のミサイル能力については、能力増強と性能向上が進んでいると指摘。そのうえで台湾海峡をめぐる情勢は「中国の経済成長、増大する外交的影響力、軍事能力の改善により、中国側に傾いている」と分析した。

◎独シーメンス:鉄道、通信、発電など中国から大量受注(2006年5月22日、毎日新聞)
 【北京・大塚卓也】中国を公式訪問しているドイツのメルケル首相は22日、時速200キロ以上で走る高速鉄道の開発や欧州・アジア間の貨物輸送促進などの経済分野の合意書に調印した。これに合わせて中国を訪れているドイツ大手企業グループのシーメンスが、鉄道、通信、発電、医療機器の各分野で中国側と広範な取引契約を結んだことも明らかになった。新華社などが伝えた。
 シーメンスが中国側と結んだ契約の中には、中国鉄道省が発注する車両納入に伴う技術協力も含まれているが、日本企業と受注を競っている「北京-上海間」などの高速鉄道のどの区間にかかわる契約なのかなど、詳細は明らかになっていない。
 また、同社は中国移動通信や中国ユニコムとの間で、第3世代携帯電話網の運営システムや設備の納入にかかわる合意書にも調印した。

◎中国:炭鉱事故で44人不明、炭鉱側が虚偽報告の可能性(2006年5月20日、毎日新聞)
 中国山西省大同市の炭鉱で18日に出水事故が起き、炭鉱労働者44人の安否が不明になっていることが、地元当局の20日夜までの調査で分かった。新華社が同日伝えた。
 新華社電によると、炭鉱では事故当時、145人が作業中で、このうち101人は自力で逃げ出したが、44人が閉じ込められた。不明者の救出作業が続いている。
 事故を起こした炭鉱の関係者は事故直後、不明者数について「5人」と当局に報告していた。このため、新華社電は、炭鉱側による虚偽報告の可能性を指摘している。(北京・共同)

◎中国のブログ人口、来年1億人に迫る見込み(2006年5月10日、朝日新聞)
 ネット上で個人が日記風に書き込んで簡単に情報発信できるブログの中国での登録者数が急増し、来年には1億人に迫りそうだ。一方で、ネット隆盛のあおりを受けた新聞業界は苦境にあるとの指摘が出ている。
 中国社会科学院や清華大学がまとめた「メディア青書―06年中国メディア産業発展報告」によると、中国でのブログ登録者は、昨年末の1600万人から、今年中に6000万人を突破。来年は9900万人に達すると予測される。同書は、登録者急増により「ブログが大衆化し、ネットの発展が個人化の時代を迎えた」と指摘した。
 一方で、同書は新聞については、広告収入が減少しているとともに、若者の新聞離れが進んでいると分析。特に「人民日報」や「経済日報」などの党や政府の機関紙は「説教というメディアが決してやってはならないことをしている」ため、信頼性と影響力が低下しており、「読者の支持を得られなければ、他メディアに取って代わられる危険に直面する」との厳しい見方を示した。
 日本の総務省によると、日本でのブログ登録者数は、3月末で868万人。

◎割りばし:輸入先・中国が生産制限、弁当業界などに影響(2006年5月9日、毎日新聞)
 使い捨ての代表格として、国内で年間約250億膳(ぜん)が消費される割りばし。その9割を占める輸入先・中国が生産制限を決め、弁当や外食など関連業界に影響が出始めている。安さに飛びつき、国内生産地を切り捨ててきたツケとも言え、業界・消費者双方に農林業生産空洞化の問題を示す一例だ。【小島正美】
 “中国ショック”は2段階で到来した。最初は昨年11月、中国の輸出団体が「原木の高騰」などを理由に、日本割箸(わりばし)輸入協会(大阪市)に50%もの値上げを通告してきた。それでも中国産は1膳約1~2円。国産は同2~20円程度なので、まだ価格面の優位性は動かなかった。
 ところが今年3月、今度は中国政府が「森林保護」を理由に生産を制限し、将来的には輸出も禁止すると決めた。建築には使いづらいシラカバや他の間伐材を主原料にしているが、森林乱伐による洪水や砂漠化などが問題化する中、矛先の一つになった形だ。
 では、日本国内の状況はどうか--。実は20年前まで、割りばし生産量の約半数は国産だった。ところが90年代以降の低価格競争の波の中、安い中国産が急激に増え、気が付けば9割を超えるまでになっていた。
 国内の2大産地は北海道と奈良。高級品主体の奈良は今も命脈を保っているが、中国産と競合した北海道は壊滅状況だ。85年当時、北海道には生産会社が約70社あり、約1900人の従業員がいたが、04年現在で8社約40人にまで激減した。山口晴久・同協会広報室長は「このままだと、いつ割りばしがなくなってもおかしくない状況になってきた」と危機感を抱くが、一度減った生産量は簡単には戻らない。
 外食や安売り店には、既に影響が出ている。100円ショップなどに割りばしを卸すアサカ物産(東京都三鷹市)は、1袋80膳入りを50膳入りに変えてコストアップに対応し始めた。
 全国で約760店の居酒屋などを展開するマルシェ(大阪市)は年間約1500万膳を使ってきたが、2月からフランチャイズを含めた全店でプラスチック箸に切り替えた。さらに、直営の約250店では「MY箸」ポイントカードを作り、はしを持参した客には1回50円のポイントを付け、10ポイントで500円分の飲食をサービスするほか、50円を自然保護団体に寄付する活動を始めた。直営の居酒屋「酔虎伝・新宿三丁目店」(東京都新宿区)の石本千貴店長は「割りばし廃止への苦情はありません」と安堵(あんど)する。
 一方、コンビニ業界は「物流コストの削減などで吸収する」(セブン&アイ・ホールディングス)「しばらくは現状のまま」(ローソン)と、推移を見守っている状況。
 輸出禁止は本当にあるのか、あるとすればいつか。今後は中国政府の動きにかかっているが、山口室長は「弁当や外食なども、いずれ消費者がお金を払って割りばしを買う時代がくるのでは」と予測している。

◎グーグル中国名「谷歌」に反対署名、「ダサい」と悪評(2006年5月3日、朝日新聞)
 インターネット検索エンジン最大手の米グーグルが中国国内で運営するサイトの中国名「谷歌(クーコー)」に対し、利用者から「やぼったい」「がっかりした」と反対の声があがり、名称変更を求めるネット署名の輪が急速に広がっている。2日までに全国から1万2千人を超える署名が寄せられた。
 グーグルが4月12日に北京で発表した。「谷」は「穀」の簡体字で、「谷歌」は「豊作の歌」という意味。中国の伝統文化を強く意識しつつ、検索を通じ様々な情報を収穫している姿をなぞらえたといい、グーグルにとっては初めての外国名となった。「谷歌」のイメージビデオでも、山水画を背景に使い、中国の利用者への浸透を狙っている。
 しかし、名称発表直後から、ネット上では利用者から反対の声が続々あがり、同17日には名称変更を求める署名サイトが立ち上がった。「グーグルは命名に際し、利用者を尊重せず、透明・平等・公開という同社の一貫した文化に反した」として、「谷歌」への反対を呼びかけた。
 賛同して署名した人の多くが、グーグルの「新鮮で個性的なイメージ」に比べて、「谷歌」は「あまりに伝統的でやぼったい」「似合わない」と主張。中には「国歌(クオコー)と発音が似ていて嫌だ」と、グーグルの当局寄りの姿勢を暗に批判したと受け取れる声もある。
 急成長する中国のネット市場への食い込みを図るグーグルは1月、中国進出に際して、中国の法や規制に従って当局が禁止するサイトを検索結果に表示しないと表明。米議会からは、中国の情報規制に手を貸すとして厳しい批判が出ている。

◎「地下工場きりなし」、中国の海賊版市場、実態を追う(2006年5月2日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】「中国は海賊版の根城だ」と米国が強く非難する知的財産権侵害問題。中国政府も取り締まりの姿勢をみせているが、街中には海賊版があふれ、減る気配すらない。海賊版はどこで製造されどう売られているのか。
 「黒社会」(暴力団組織)に所属し、路上で販売している男性に同行し、その実態を追った。28歳になる劉敦球(仮名)は河南省の出身。14歳で家を出た後、盗みやゆすりで日銭を稼いでいた。10代のころは「野宿の毎日だった」と話す。午前、劉は北京市内の「東郊市場」に足を運んだ。ある売り場で顔見知りの販売員が、袋詰めにした千枚の海賊版DVDを段ボール箱から取り出し劉に差し出した。米国や日本、中国の映画がほとんどだ。「表向きは電子製品の販売業。裏で海賊版を売るんだよ」と劉。市内には何カ所も裏市場があり、劉はその裏市場をすべて具体的に話す。
 劉とこの販売員によると、DVDはほとんどが広東、浙江省の「地下工場」で製造される。北京で最近、工場の「ボス」が摘発されたが、影響はないという。
 「地下工場」で海賊版を製造する機械は1台200万元(約2800万円)。工場全体の設備投資には約1000万元(約1億4千万円)かかっているという。
 工場の労働者は周辺の農民たち。最低1週間は工場に閉じ込められ、外出も携帯電話も禁止される。「家族構成も徹底して調べる。密告を防ぐためだ」という。
 劉は、工場から「運び屋」によって市場に届けられた1枚2.1元(約30円)のDVDを2.5元(約35円)で仕入れ、倍の5元(約70円)で販売する。1日70枚程度が、数時間でさばけるという。ほかにも、借金の取り立て代行や航空機のチケット販売などで稼ぎ、月収は5000元(約7万円)ほどだと話した。
 海賊版販売で摘発されたこともあるが、拘留されたことはない。「知り合いが多いから大丈夫だ。5000枚以下の所持・販売で捕まってもすぐに釈放される。警察も闇の流通規模が大きすぎて、つかまえようともしない」。
 米通商代表部(USTR)はこのほど、年次報告書を発表、米製品の海賊版が出回る中国を「容認できないほど深刻だ」と厳しく批判した。
 「4月の胡錦濤(国家主席)の訪米後、確かに流通量は減った。でもいずれ元に戻る。工場から販売までいくらでも人はいる。当分はこの仕事をするつもりだ」。そう話す劉は、下水道のふたを開けると、隠していたDVDの詰まったバッグを取り出した。

◎黄砂、4年ぶりの猛威、中国では死者(2006年5月2日、朝日新聞)
 黄砂が4年ぶりに東アジアで猛威をふるっている。発生源に近い中国では砂嵐で死者が出た。風下の韓国では外出も思うに任せない。日本でも今年は降る範囲が広く、しかも長引く見込み。今年の五月晴れは、ちょっと視界が悪そうだ。


 中国北部では今春すでに13回黄砂が吹き、02年以来の多さとなった。各地で黄砂による被害が伝えられている。内陸部・甘粛省では4月9日、工事現場に向かっていた男性18人が黄砂の嵐で行方不明になり、うち2人が死亡した。黄砂の飛散が多い内モンゴル自治区のフフホトでは、呼吸器の異常を訴えて診察を受ける人が例年より5割も増えたという。
 同16日夜から17日にかけては30万トンもの黄砂が降り注ぎ、「砂漠のよう」(国営新華社通信)になった北京では、「08年の五輪の最中に黄砂が吹いたらどうするのか」と心配する声が出始めた。国家林業局の担当者は「五輪が開かれる8月には例年黄砂は少ない」「植林などの防止策が08年までには成果をあげる」。当局は懸念の打ち消しに必死だ。
 ソウルは今年、延べ11日間も黄砂の来襲に見舞われた。33年間の平均3.6日を大きく上回り、新聞は「黄砂テロ」などと報じた。「子どもやお年寄りが外出できない」と市民にいらだちも募る。


 中でもひどかった4月8日の飛散は「スーパー黄砂」と呼ばれた。「大したことはない」と予報した気象庁に抗議が殺到。李萬基(イ・マンギ)長官が同庁始まって以来の「国民への謝罪」を表明した。
 「テロ対策」として、なぜかブタの三段バラ肉焼き「サムギョプサル」が大流行している。ブタの脂やニンニクが「のどのホコリを退治する」と信じられ、普段は宴会のごちそうなのに、昼から店がごった返す。
 家電メーカーによると、空気清浄機も平時の倍以上売れ、外出も控えるため通信販売の比率が全体の8%から倍増したという。
 全国的に黄砂に注意するよう呼びかける黄砂情報は今年、すでに4回出た。02年の最大の飛来を受け、気象庁が04年から出しているが、昨年までは1回しか出ていない。
 気象研究所の田中泰宙研究官は「中国内陸部が乾燥しているうえ、偏西風の蛇行が日本に黄砂を持ってきやすいコースになっている。5月からは徐々にコースが変わるが、今年は黄砂の飛来が少し長めになるかもしれない」と心配する。
 気象庁によると、今年日本で黄砂が確認された「のべ日数」は、4月30日現在で572日。1カ所で確認されれば1日で、10カ所で観測されれば10日という計算だ。すでに過去3年を大幅に超えた。東京都心で6年ぶり、千葉市で18年ぶりなど東日本でも目立つ。
 今年の大量飛来の原因の一つは、中国内陸部の高温少雨だ。気象庁によると、中国東部や中央アジアでは3月の平均気温が平年に比べて最大で6度も高い異常高温となった。高気圧に覆われ、晴れて降水量も少ない。
 飛来する黄砂の粒子も気になる。名古屋大学大学院環境学研究科の長田和雄助教授らは、富山県の立山連峰で、雪に交じる黄砂の分析を進める。
 通常の数倍、直径0.01ミリ以上の粒子も見つかっている。この大きさだと通常は、中国や韓国で落ちてしまうはずだ。
 さらに、アジアで顕著なのが、黄砂や汚染物質でできるとされる「褐色の雲」だ。気象研究所は中国とともに、この雲の解明を進めようと計画している。三上正男・第二研究室長は「通常の雲と違い、発生の仕組みはわかっていない。褐色雲を含め、黄砂が東アジアの気候にどんな影響を与えるのか、各国が協力して解明していく必要がある」と話している。

◎黄砂被害:中国・北京の晴天日が減少、大気汚染が深刻化(2006年5月1日、毎日新聞)
 新華社電によると、北京市環境保護局は29日、黄砂の影響による大気汚染が深刻化し、今年1月から同日までの北京の晴天日数が昨年の同じ期間と比べて16日少ない60日だったと発表した。
 同局によると、モンゴルと中国内モンゴル自治区の降水量が少ないことが原因で黄砂被害が多発、これまでに7回被害に見舞われて「重度の大気汚染日」は17日を数えた。
 中国は5月1日からメーデーに合わせた1週間の大型連休に入る。北京市気象台は20日、連休中に黄砂被害は発生しないとの予測を発表した。(北京・共同)

◎中国でマネーロンダリング法が8月にも採択(2006年5月1日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国が初の「マネーロンダリング(資金洗浄)対策法」(中国名・反洗銭法)を導入する。官僚や銀行員らが違法に得た公金や資金を海外に持ち逃げるケースが後を絶たず、1978年末の改革・開放路線の推進以来、30年弱で計4000人の官僚らが約500億ドル(約5兆7000億円)を海外に持ち逃げしたとされるだけに、この法案は国家財産を守るとともに、国民から批判をかわす目的があるとみられる。
 法案は開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会で審議されており、8月にも採択される見通しとなった。法案では資金洗浄取締り協力機関として、金融機関以外に、不動産、宝石店、会計事務所などを指定した。一定の条件を満たす公務員が口座開設する場合などの身分照会を強化し、資金の往来についての監督を行う。

◎毛沢東のナゾ解明 “遺産”は約20億円(2006年5月1日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】香港紙「大公報」(電子版)などはこのほど、これまで謎とされてきた毛沢東主席の“遺産”について、「原稿料による収入が2001年5月時点で累計1億3121万元」と伝えた。現在のレート(1元=約15円)換算で約19億7000万円に上る計算。妻だった江青氏は5回も原稿料を渡すよう党に迫ったが、「毛主席の著作は全党の知恵の結晶」と拒絶されたという。
 北京で出版された雑誌「党史文苑」などで明らかになったとしており、文化大革命初期の1967年10月、毛主席自身が調べたところ、原稿収入は570万元。毛氏が死去した直後の76年12月、ボディーガードを務め、党副主席にもなった汪東興氏が調べると、原稿料は7580万元に増えており、「党中央中南海第一党小組」の名義で中国人民銀行(中国の中央銀行)に預金されていた。
 毛氏の個人名義の口座は中国銀行中南海支店にあり、通常80万、90万元の預金が蓄えられていたが、毛主席は年間で1万元も使わず、晩年はほとんど手をつけなかったという。

◎中国とイラン、11兆円の石油・天然ガス開発契約へ(2006年5月1日、読売新聞)
 【テヘラン=工藤武人】イランのメヘル通信は29日、中国の劉振堂・駐イラン大使が、イランでの石油と天然ガス開発をめぐる専門家による調査が終了し、両国が総額約1000億ドル(約11兆4000億円)の契約に近く調印する見通しを明らかにしたと伝えた。
 同通信は、イラン石油省の代表団が近く中国を訪問し、正式に調印する予定としている。
 劉大使は、核問題に絡んで米国が対イラン制裁を課そうとしている動きについて、「イランによる中国への石油売却を米国が妨害するなら、米国は同量の石油を中国に売却してくれるのか」と批判。「いかなる国も契約を阻むことはできない」と述べ、イランでのエネルギー開発を推進する意向を強調した。
 イラン核問題への対応をめぐり、中国は、イランへの経済制裁も辞さない構えを見せる米欧とは一線を画し、制裁に一貫して消極的な立場を取っている。

◎ゴルフの元祖は中国の球技?・中国が主張(2006年4月26日、日本経済新聞)
 【北京26日共同】中国ゴルフ協会と故宮博物院などの研究チームは26日、12世紀の北宋時代に中国でゴルフの原型に当たる球技「捶丸」が始まっていたと発表、文献などに基づいて復元した木製クラブやボールを公開した。
 捶丸は中国語で球を打つという意味。ゴルフの原型は14~15世紀にスコットランドで行われていた球技とされるが、異説もある。研究チームは元代の文献に、12世紀前半の北宋時代に捶丸が既に流行していたとの記述があり「捶丸がゴルフの元祖といえる」と主張している。
 元代には貴族の遊びとしてルールもほぼ確定。故宮博物院所蔵の明代の絵画にも皇帝や女性が捶丸を楽しんでいる場面が描かれているが、清朝が国民の体育活動を規制してから衰退したという。
 崔楽泉・中国体育博物館研究員は起伏のある競技場でホールに球を入れる形式や、条件に応じて複数の「クラブ」を使い分けることなど「捶丸」と現代のゴルフは共通点が多いと指摘した。

◎黄砂防止で国際協力の強化を訴え、中国林業局(2006年4月20日、朝日新聞)
 中国国家林業局の劉拓・防砂治砂弁公室主任は20日の記者会見で、今春観測されている大規模な黄砂に関連し、発生防止のため「全世界の共同の努力が必要だ」として国際協力の強化を訴えた。原因としては、国土の砂漠化に加え、天候の影響が大きいとの見方を示した。
 今春、北京ではすでに10回黄砂が吹き、年平均の6回を上回っている。
 同主任は植林などの黄砂防止策について「我が国は発展途上国であり、任務の重さに比べて資金の投入が少ないという矛盾が突出している」と述べ、資金が不足している現状を明らかにした。
 黄砂発生の最大の原因としては国土の砂漠化を挙げた。05年の調査で砂漠が国土の18%に達し、1年間に1280平方キロ増加したという。この春は、中国北部で例年に比べ気温が高いうえ極端な少雨だったため、地表の乾燥が激しく、発生しやすくなったと説明した。

◎中国:1~3月期GDP成長率、前年同期比10.2%(2006年4月16日、読売新聞)
 【北京・大塚卓也】中国の胡錦濤国家主席は16日、台湾国民党の連戦名誉主席との会談の中で、中国の06年第1四半期(1~3月)の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比10.2%だったことを明らかにした。3月の政府活動報告では06年の成長率の計画値を8.0%に設定したが、これを大幅に上回るペースで、通貨・人民元に対する米国などからの切り上げ圧力が一層強まる可能性がある。
 胡主席は成長率の内訳には言及していないが、前期比で26.6%の大幅増となった輸出や、引き続き好調な固定資産投資などが成長の主因となった模様。昨年7月以降の人民元高は、現段階では成長鈍化の要因にはなっていないとみられる。
 会談で、胡主席は「中国の成長は台湾とのより多くの経済貿易協力にとって好ましい環境を生み出す」と強調。その一方で「我々は過度の経済成長は追求していない。重要なのは経済の効率を高め、省エネや環境保護、国民生活の改善に注意を払うことだ」と述べた。

◎台湾の工作機械、中国が軍事転用(2006年4月12日、産経新聞)
 【台北=長谷川周人】台湾製の超高精度な工作機械が中国で大量に軍事転用され、武装ヘリコプターの攻撃能力を高めるなど、中国軍による兵器近代化に利用されていることが11日分かった。中国が800基を超える短距離弾道ミサイルを台湾に向けて配備するなか、台湾企業の技術がその下支えをするという皮肉な実態が浮き彫りになった。
 台湾の国防当局関係者らによると、中国での軍事転用が確認されたのは、NC(数値制御)旋盤加工と呼ばれる1000分の1ミリ単位の超高精度で金属を加工する台湾製の特種工作機械。昨年の後半段階では、ミサイルの発射装置に使うステンレス部品の加工のため、少なくとも数十台がフル稼働していた。
 部品の形状などから攻撃ヘリに搭載する発射装置とみられるが、中国海軍主力の「直昇9C(Z-9C)」は対潜ヘリで、対戦車、対空ミサイルは搭載していない。
 このため台湾の国防当局では「問題の部品は軽量化が施された多連装式で、陸軍が中国初の本格的な攻撃ヘリとして、台湾上陸作戦も視野に入れて開発した『武直10(WZ10)』に搭載されると考えられる。超高精度加工は精度向上などが目的とみられる」と分析する。

◎日中の税関、支援協定を締結、水際の取り締まり強化(2006年4月2日、朝日新聞)
 日中両国政府は2日、税関当局同士の情報交換手続きを簡素化して、密輸品などの水際での取り締まりを強化する「税関相互支援協定」を締結した。同日発効。違反業者の情報を共有して、不正薬物や鉄砲の密輸の取り締まり、知的財産権の保護などでの協力をしやすくするのが目的という。
 日本は同様の協定を米国や韓国ともすでに結んでいる。中国との交渉は昨年10月の小泉首相の靖国神社参拝によって日中関係が悪化し、締結が遅れてきた経緯がある。

◎中国の国民の85%、生活苦しいと感じる、経済成長の裏、激しい負担増(2006年3月23日、産経新聞)
 【北京=福島香織】急激な経済成長を続ける中国だが、国民の85.3%はいまの生活が10年前より苦しくなったと感じていることが分かった。
 中国青年報などが中国各地の住民7625人を対象に行ったアンケート調査結果をもとに報じた。78.8%が10年前より収入がアップしたとする一方、85.3%が生活の負担が重くなったと答えている。
 中国国家統計局によると、1996年から2005年の10年間で、収入の平均上昇率が消費者物価指数(CPI)の上昇率を上回っており、統計値からみれば生活は楽になっているはず。しかし、中国のCPIが採用する基準が20年前のもので、市民生活を圧迫する3大問題の住宅費、教育費、医療費が含まれていない、あるいは正確に反映されていないことが、このような庶民感覚のギャップを生んでいるようだ。
 例えば、住宅価格は1世帯の年収の3倍から6倍が正常とされるが、中国の都市住民は住宅購入のために平均13.4年分の年収をつぎ込んでいる。上海や杭州、温州など住宅価格が高騰している都市では年収の20倍にも達する。
 さらに、大学の1年間の学費は、20年前は200元(約2800円)だったものが、いまは5000元(約7万円)と25倍にも上る。
 衛生省の統計によると、医療費の総額はこの20年で40倍になり、個人負担も医療費の21.2%から55.5%に膨れ上がっている。中国では健康保険制度が未整備であることが背景にある。最近ではこれに老人介護費の問題が重くのしかかっている。
 今回の調査によって、中国では表面的豊かさとは裏腹に、マクロ統計に現れない負担が庶民の暮らしを強く圧迫しており、中国政府が目標としている「小康社会(ややゆとりある生活)」の実現にはほど遠い実態が浮き彫りになっている。

◎兵器輸入、中国が最大、01~05年に計1.5兆円(2006年3月23日、産経新聞)
 中国の通常兵器輸入総額が2001~05年の合計で133億4300万ドル(約1兆5600億円)と世界最大だったことが23日までに、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)がまとめた最新推計で分かった。中国は年別でも04年、05年と2年連続でトップだった。
 中国は国防費の実態が不透明と批判される中、日本や米国が懸念する急速な軍事力増強が数字で裏付けられ、特に航空戦力強化を重視していることをうかがわせた。01-05年合計は、中国の次がインドで、原油高によるオイルマネーで潤う中東諸国もここ数年で台頭。世界の兵器輸出市場は3年連続で拡大した。(共同)

◎割りばしにも課税、中国、12年ぶり消費税見直し(2006年3月23日、朝日新聞)
 中国政府は4月から、消費税率を12年ぶりに大幅に改定し、大型車やゴルフ用品、プレジャーボート、高級腕時計などのぜいたく品へ新たに課税したり、税率を引き上げたりする。木材の浪費と環境汚染を抑制するため、割りばしなど木製の使い捨てばしにも5%課税する。環境意識の高まりから、各地の人民代表大会(議会)などで、対日輸出も多い割りばしへの批判が強まっていた。
 一握りの富裕層向けのぜいたく品とみなされたゴルフ用品やプレジャーボートは10%、何十万円もする高級時計には20%を新たに課税。一方、シャンプーやスキンケア用品などの普及品は、一部の高級品を除いて課税対象から外す。
 自動車の消費税率は、省エネ推進のための小型車普及を狙い1~1.5リットルの排気量車は2%引き下げて3%とし、4リットル以上なら20%など段階的にした。ただ、税率格差は需要の中心の2リットル車前後で数%と小さく、「調整力には乏しい」(地元紙、新京報)との指摘がある。
 中国は94年、たばこや酒、自動車など「ぜいたく品」11品目に対して消費税を導入した。

◎中国、中南米・アフリカ進出、米安保の脅威(2006年3月9日、産経新聞)
・セミナーで専門家、資源獲得へ軍事援助も
 【ワシントン=古森義久】中国の中南米とアフリカへの資源獲得のための進出が独裁政権を支援し、軍事援助をからめるという形が多いという点で、米国の安全保障への侵害にもなるという懸念が七日、ワシントンの大手研究機関でのセミナーでブッシュ政権に近い専門家たちから表明された。
 ブッシュ政権に近い大手シンクタンクのヘリテージ財団は七日、「アフリカと中南米で拡大する中国の影響力」と題するセミナーを開いた。同財団の中南米専門研究員のスティーブ・ジョンソン氏は中国が石油や希少金属などの資源獲得のため中南米のベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、チリ、ウルグアイ、ボリビアなどに貿易、投資、経済援助という形で進出し、とくにベネズエラからの石油輸入を急増させている現状を報告した。
 同氏はこの中国の動向が一般の国々とは異なる特徴として、(1)単なる企業ではなく国家機構自体が当事者となっている(2)経済交流に軍事援助をからませる場合が多い(3)交流の相手に非民主主義の独裁国家が多い(4)交流の方式では人権尊重などの国際規約を守らない-などという諸点をあげた。
 とくに中国はベネズエラ、ボリビア、ニカラグアなどに戦闘機や空対地ミサイルを供与し始めたという。
 有力民間コンサルタント企業のブーズアレン社の中南米専門家エバン・エリス氏も、中国の中南米進出の主要動機は自然資源の獲得だとして、中国の中南米からの輸入が昨年は千三百七十億ドルと前年比26%の増加となった点を強調した。
 エリス氏はさらに、(1)反米チャベス政権のベネズエラからの石油は中国の石油輸入全体の20%にまで急増した(2)中国は最近、チリに二十億ドルを投入して、銅の独占的な調達の権利を得た(3)中国は同じ反米のモラレス大統領が政権を握るボリビアにも急接近して天然ガス開発などのために三十五億ドルの投資をした(4)キューバには新たにニッケル獲得のために四億ドルを投資した-ことをあげて、中国の中南米での動きには反米政権への協力が目立つと指摘した。
 ヘリテージ財団のアフリカ専門研究員のブレット・シェーファー氏は、アフリカでも中国は中南米と似た進出が目立つとして、スーダンでの地元石油機構の40%の株保有による大規模な石油調達、アンゴラでの二十億ドルの融資提供による石油開発権利の獲得、ナイジェリアでの原油獲得、ザンビアでの銅獲得、リベリアなどでの木材調達などの具体例をあげた。
 同氏はそのうえで中国のアフリカでの接近の相手はほとんどがスーダンやジンバブエのような独裁の無法国家だと述べ、スーダンに対してはとくに兵器供与や軍事教育などの軍事援助が顕著だと報告した。

◎鳥インフルエンザ、中国で10人目の死者(2006年3月8日、日本経済新聞)
 【上海=渡辺園子】浙江省衛生庁は8日、同省安吉県の9歳の少女が毒性の強いH5N1型の鳥インフルエンザのため6日に死亡したことを明らかにした。中国ではこの少女を含めこれまでに15人の感染を確認し、うち10人が死亡している。浙江省での死者は初めて。

◎中国、失地農民4000万人、突然の略奪、揚げ句…犯罪者扱い(2006年3月7日、産経新聞)
 中国では開発に伴う農地収用で土地を失った農民は4000万人に上るといわれ、土地問題を主な原因とする農民の暴動を含む住民の集団抗議行動は、昨年だけで8万7000件に達した。5日に開幕した全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で温家宝首相は社会のひずみを是正、発展から取り残された農民ら弱者を救済する方針を強調した。しかし、実際に土地を奪われた農民には、救いの手はほとんど届かず、不満は高まるばかりだ。(北京 野口東秀) 
 始まりは1997年秋だった。山西省臨汾市の村に住む楊如梅さん(45)の土地に突然、10人ほどの男がトラクターで乗りつけ、農地を徹底的に踏みつぶした。夫婦でやめさせようとしたが、髪をつかまれ殴られた。「村幹部が加わっていた。警察官2人も見ているだけ。私は農地の写真を撮るしかなかった」
 楊さん夫婦の農地は0・3ヘクタール。白菜、トウモロコシなどを栽培。小麦の生産は年350キロ、羊も放牧するなど食糧以外に年間6、7000元(1元約14・5円)の現金収入があり、そこそこの暮らしだった。それが突然、村から土地の明け渡しを要求された。最初に襲われたのはその直後だった。村の幹部に掛け合ったが、十分な補償も得られないため、裁判に訴えた。
 ところが判決を待っていた2003年6月21日。楊さんの家の畑は再び襲われた。8月には鉄パイプを持った男たちが自宅に押しかけ、子供2人も殴られた。しばらくすると、今度は4人の男たちが無断で楊さんの農地を耕していた。やめさせようとしたが、男たちは楊さんを殴り、言い放った。「土地はおまえらのものじゃない」
 03年12月に出た判決は、「村民委員会は13万7000元余を賠償せよ」と楊さんの訴えを認めたが、いまだ1元も支払われていない。
 楊さんは山西省や臨汾市政府などへ「直訴」を始めた。ところが04年8月、自宅に公安当局者が来て拘束された。公安当局者は「あの農地を村に渡していたら罪には問われることはないんだ」と言ったという。
 「地元じゃ解決できない」と思った楊さんは、同年10月末から北京に出た。高架下や駅で野宿し、政府機関を陳情して回った。拘束されては地元に送り返され、05年1月、ついに詐欺容疑で逮捕された。
 親戚(しんせき)を通じ、裁判で認められた13万7000元を放棄し、直訴をやめれば罪は問わないと言われたが、結局詐欺罪で有罪となり、懲役1年、執行猶予1年の判決を受け、控訴した。
 その後、再び北京に出て直訴を再開。貯金も底を突き、借金は3万元以上に膨れあがった。訴えもむなしく11月の2審判決では懲役1年、執行猶予1年、罰金2000元を言い渡された。
 今年の元日、天安門広場の国旗を前に、「冤罪(えんざい)だ!」と大声で叫んだ。3度叫んだとき、駆けつけた警察官に拘束された。「社会秩序を乱した」として10日間拘留された。
 故郷の二男は、山西省太原市の経済管理幹部学院に合格したが、入学金もなく入学できなかった。「土地も奪われ、金ももらえない。犯罪者として罪にも問われた。家があっても帰れない」と嘆いた。

◎中国で9人目のH5N1型感染死、広東省で初確認(2006年3月5日、産経新聞)
 中国広東省トップの張徳江書記は5日、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染死した疑いがあると4日に発表された同省広州市の男性(32)について、感染を確認したと述べた。訪問先の北京で明らかにした。
 広東省で人への感染が確認されるのは初めて。中国での感染者は15人目で、死者は9人目となった。
 男性は2月22日に発熱などの症状が出て、今月2日に死亡した。鶏と接触する機会が多かったという。

◎中国全人代:農民や労働者の暴動に危機感、弱者対策の背景(2006年3月5日、毎日新聞)
 【北京・成沢健一】5日に開幕する中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の政府活動報告で温家宝首相が弱者対策を強調する背景には、相次ぐ農民や労働者の暴動が「政権の安定を脅かす存在となっている」(中国筋)との危機感があるためだ。
 「以人為本」(人を中心とする)をスローガンに掲げる胡錦涛指導部のカラーが鮮明に表れるとともに、「先富」(一部が先に豊かになる)から「共富」(共に豊かになる)へ戦略を転換させる第一歩となる。
 4日に明らかになった活動報告では、過去1年の実績をアピールする一方で、「長期に累積した矛盾がなお根本的に解決しておらず、軽視することができない新たな問題も起きている」と率直に認めている。具体的には、農民収入の伸び悩みや土地収用をめぐるトラブル、環境汚染、相次ぐ重大事故などを挙げた。
 弱者の不満は数字にも表れている。中国公安省によると、農民や労働者による暴動など公共の秩序を乱す「集団的事件」は昨年、前年より約1万3000件多い約8万7000件起きている。
 都市と農村の収入格差は78年の2.57倍から昨年は3.22倍に拡大した。深刻化する役人の腐敗は、格差に対する弱者の不満に拍車をかけている。
 今年の全人代は、本来なら5年に一度、向こう5年間の中期計画を示す場になるが、活動報告は今年の活動指針に重点を置いた。格差や腐敗に対する庶民の不満が「待ったなし」の状態になった現実を反映している。
 活動報告の中では、「三農(農業、農村、農民)問題」解決のために前年より422億元(1元は約15円)多い3397億元を投入するとともに、失業者対策の充実や社会的弱者による訴訟の支援も表明している。
 だが、役人の腐敗については、新味のある対策は示していないうえ、海外から批判が出ているメディア規制を改める姿勢も見せていない。政府に対するチェック機能を議会である全人代がどう果たしていくかも注目されている。
 ▽温家宝首相の政治活動報告の骨子は次の通り。
 一、06年からの5カ年計画期間中の年平均成長率目標を7.5%とし、06年単年は8%前後とする。
 一、社会主義新農村の建設を推進する。
 一、大衆の身近な利益に関する問題を重視し、解決を目指す。
 一、節約型社会の建設を目指す。
 一、台湾人民に期待を寄せる方針は変えない。
 【北京・西岡省二】

◎中国全人代:成長率「7.5%前後」目標に、政府報告(2006年3月5日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国の温家宝首相が5日開幕する全国人民代表大会(全人代=国会)の冒頭行う政府活動報告の全容が4日、判明した。
 今年1年間の経済成長率の目標を「8%前後」に設定し、安定成長を目指す一方、急速な経済成長で生まれた格差是正、とりわけ農村対策に重点を置き、「民衆の切実な利益にかかわる突出した問題」である教育、衛生、安全の向上を掲げる。
 政府活動報告には、06~10年の発展戦略「第11次5カ年計画」案も盛り込まれた。今後5年間の経済成長率の目標を「年平均7.5%」に設定した。過去3年間が平均10%と、第10次5カ年計画(01~05年)の目標値「7%前後」を大きく上回ったためで、より現実的な目標に設定することで地方の過熱経済を防ぐ。
 温首相は全人代の「大胆な改革」として、5カ年計画より政府活動報告に重点を置いた。胡錦涛指導部の1期目任期が残り2年となり、社会矛盾が拡大する中、新5カ年計画の1年目の今年、指導方針を明確にし、目標達成への決意を示す。
 政府活動報告の基調は、バランスを重視し、持続可能な発展を目指す「科学的発展観」による「調和の取れた社会」づくり。これは胡主席の指導指針で、格差是正、とりわけ都市と農村の均衡の取れた発展を急務としている。「三農(農業、農村、農民)問題」解決のため、「社会主義新農村の建設」を全面的に打ち出し、「国家の基礎施設建設の重点を農村に移す」と表明する。
 台湾問題については台湾の陳水扁総統が先月27日、「国家統一綱領」などを事実上廃止すると発表したが、全体としてソフト路線を踏襲した。外交では日本を含め、個別の国名を挙げず、国際協調の推進を表明する。

◎中国国防費、18年連続2けたの伸び、前年比15%増(2006年3月5日、朝日新聞)
 中国の国務院(政府)は全人代に対し、2838億元(約3兆9732億円)にのぼる06年の国防予算案を提出した。前年比約15%の伸び率で、18年連続の2けた増。中国側は経済発展と生活水準の向上にともなう人件費の上昇、原油価格の高騰などを理由にしているが、軍拡路線や国防費の不透明さには「中国脅威論」が根強い米国などから批判を浴びそうだ。
 全人代の姜恩柱報道官が4日の記者会見で公表した。例年通り内訳は明らかにしなかったが、全人代で採択される見通し。姜報道官は国防費は前年実績比14.7%の伸び率だが、国防費が財政支出に占める割合は7.4%と「例年並み」で、米国(17.8%)やフランス(11.4%)より低い水準としている。

◎タン吐きの罰則強化、北京五輪へ、マナー向上策活発化(2006年3月1日、読売新聞)
 【北京=松本浩行】トリノ冬季五輪が終わり、世界の関心が2008年北京五輪に移行しつつある中、北京市では五輪開催に向けた動きが活発化している。
 北京市は1日の記者会見で、所かまわずタンを吐く市民の悪習慣を是正しようと、これらの行為を厳しく取り締まる方針を明らかにした。さらに、各家庭にマナー読本を配布するほか、公共交通機関の割り込み乗車を防ぐための監視員を現在の1500人から今年中に3000~4000人に増員する。
 中国では、3月下旬から国を挙げて「五輪を迎えよう 文明的になろう 新風を作ろう」運動を展開予定。北京市は、この運動に合わせ、五輪開催都市として恥ずかしくないように、一層のマナー向上を図る。
 市当局は、五輪の招致成功以来、市民のマナー向上作戦に取り組んできたが、一向に減らないのが路上でのタン吐き行為。これまでも、最高50元(1元は約15円)の罰金を課す規定はあったが、空文化していたため、今後は監視と罰金徴収を強化する。持ちあわせがなく、罰金を払えない場合には、自分で吐いたタンの後始末を即時にさせる。
 一方、マナー向上以外にも、五輪期間中どこでも観戦が出来るように、今年中に市内各所に1万台のテレビを設置する計画を策定。一部のバスで、乗務員に英語で停留所を案内させる試みが始まるなど、「高レベルで特色ある五輪」実現のための努力が続いている。

◎人民元:連日最高値、米国の為替自由化圧力が背景か(2006年3月1日、毎日新聞)
 中国・上海の外国為替市場で人民元相場の上昇が加速し、05年7月の切り上げ後の対米ドルの最高値を連日のように更新している。1日は中国が一層の為替自由化策を取るとの現地の報道により、元高が進むとの思惑につられて東京市場で円買い・ドル売りの動きが強まる一幕もあった。米国の中国に対する為替自由化圧力も高まる一方で、市場では一層の元高を予測する声が広がっている。
 中国は、05年7月21日に人民元の為替レートを対米ドルで約2%切り上げるとともに、1日に前日比で上下0.3%の範囲内の変動を認めた。
 実際の上昇ペースは鈍く、上昇率は昨年末までは年率換算で約1.1%程度に過ぎなかった。しかし今年に入り、旧正月に当たる春節の休み明けの2月6日から目立って急上昇を始め、3月1日の上海市場の終値は、1ドル=8.0369元の高値を記録。今年に入ってからの上昇率は年率換算で3%を超えている。
 上昇の背景には、巨額の対中赤字を抱える米国が、中国への為替自由化圧力を強めていることがある。米国政府が今春公表の為替報告書で中国を「為替水準を操作している国」と断定、対米貿易への制裁措置を発動する可能性も出ている。
 これに対し中国は、人民元先物や金利スワップなどの金融商品の自由化などに取り組むことで「予想以上に速いペースで改革が進めている」(邦銀為替担当者)との評価を得たい考え。大和総研の亀岡裕次・シニアエコノミストは中国の動きについて「市場介入で安定的なペースで元高を進める一方、対外投資の規制緩和など、元高要因にならない改革をすることで自由化姿勢をアピールしている」と分析する。
 市場では人民元相場が今年1年間で「3~4%上昇」と予想する声が多い。「内陸部の低所得地帯への影響を考慮すると元の急伸は介入で抑えざるを得ない」(アナリスト)という国内事情に配慮しながら、米国の圧力をどうかわすか。「この1年、対中投資の規制緩和など、元高にもなりうる改革に踏み出せるかが勝負になる」(同)との声が出ている。【平地修】

◎村田製作所、中国の生産拠点を集約(2006年2月17日、日本経済新聞)
 【無錫(江蘇省)=川瀬憲司】村田製作所は超小型の電子部品を生産する中国の拠点を集約する。上海に隣接する江蘇省蘇州の工場を閉鎖し、その近隣の同省無錫の工場に統合するとともに、生産能力を大幅に増強する。携帯電話やパソコン向けなどの需要が急拡大しているため、生産集約によって効率化を目指す考えだ。
 同社の村田泰隆社長が16日、無錫市内で明らかにした。閉鎖するのは子会社の蘇州村田電子。各種電気製品の生産で大量に使用する積層セラミックコンデンサーと呼ぶ超小型の電子部品を、テープ状の容器にはめ込んで出荷する工程を担当している。3月末で工場を閉め、関連の設備を無錫村田電子に移す。

◎中国、報道規制を強化、メディア幹部の処分相次ぐ(2006年2月16日、産経新聞)
 中国の胡錦濤指導部が報道規制を強め、国内メディアに対する処分が相次いでいる。貧富の格差拡大や環境汚染など社会矛盾が深刻化する中、「社会の安定」最優先を強調しつつ、共産党の一党支配を揺るがしかねない体制批判を封じ込める方針が鮮明になっている。
 有力紙、中国青年報の付属週刊紙「冰点週刊」は先月、歴史教科書に関する評論が問題視され停刊処分となり、関係筋によると、編集長が16日に更迭された。人気大衆紙「新京報」の編集局長も昨年末、編集方針で批判を受け更迭された。
 中国外務省の秦剛副報道局長は同日の定例会見で、冰点週刊について「歴史の事実に反する文章を掲載し、人民の感情を著しく傷付けた」と指摘、処分は適切との認識を示したが、国内メディアの記者は「江沢民前指導部時代に比べ、明らかに規制が厳しくなった」と指摘する。
 中国消息筋によると、胡指導部は2004年9月の共産党中央委員会総会後、党の宣伝強化を命じる文書「16号文件」を全国に通達。昨年も国内メディアの記者証を全面的に更新し体制への批判記事を書くフリーの記者を締め出したほか、党と国家の機密厳守を求めた規定を定めるなど規制を次々と打ち出した。
 冰点週刊の停刊に対し、1980年代に当時の胡耀邦総書記に仕えた朱厚沢・元党宣伝部長ら改革派の元幹部らが「言論の自由のはく奪」と批判。しかし、胡指導部が「報道機関は党の代弁者」との指導を徹底させる中、元幹部らの発言が影響を与える余地は極めて小さいのが実情だ。
 02年秋に発足した胡指導部は一時、メディア改革に取り組み報道規制を緩和する姿勢を打ち出したが、翌春の新型肺炎(SARS)の大流行をめぐって政府の不手際を批判する報道が吹き出して以降、引き締め策に転じていた。

◎香港ディズニーランドおわび、春節の前売り巡って大混乱(2006年2月13日、朝日新聞)
 「春節の経験を教訓に、考え直します」。香港ディズニーランドがチケットを扱う旅行会社などにこんな通知を出した。初めて迎えた春節(旧正月)で人出を読み損ない、前売りチケットを買った客数百人が入場できない事態を招いたことへのおわびだ。客や旅行社は「中国の文化が全く分かっていない」と怒っており、損害賠償請求も辞さない構えだ。
 混乱が起きたのは今月1、2の両日。春節の連休を利用して中国本土などから来た家族連れで園内が膨れあがり、ディズニー側は「チケット完売」の入場制限をかけた。
 ところが、年明けに発売開始した期日指定なしの前売り券を持った客がその後も殺到。数百人が入場ゲートの前で「入れろ」と怒り出し、さくをよじ登って園内に入ろうとしたり、中にいる知人に向かって子供を投げ入れたりするなど、混乱した。
 ディズニー側が春節の中国人客の動きを読み誤ったのが原因。中国本土では大みそかの1月28日から1週間は休みだった職場が大半だが、香港では正月三が日にあたる31日までが休日。ディズニー側も2月1日以降を平日扱いにして、期日指定のない前売り券も使えるようにしてあった。
 ある旅行社の担当者は「中国人にとって春節は最大の休暇。この連休に混雑しなくていつするというのか」と、読みの甘さに首をかしげる。
 ディズニー側は10日、入場できなかった客のチケットの払い戻しに応じるとの通知を出したが、「せっかくの連休が台無しだ」と収まらない客や旅行社も多く、賠償請求額は総額100万香港ドル(約1500万円)を超えるとみる学者もいる。

◎エイズ予防に中国が本腰、公共施設コンドーム常備義務化(2006年2月13日、朝日新聞)
 中国政府は12日、エイズウイルス(HIV)感染拡大の防止を目指した「エイズ予防治療条例」を公布した。地方政府などのエイズ予防と治療の責任について規定。感染者に対して、権利を保障すると同時に感染防止も義務づけている。3月1日から施行する。
 国営新華社通信によると、条例は、地方政府が農村部の患者と都市部の経済的に苦しい患者に対しては治療薬を無償で提供しなければならないと規定。医療機関が患者のエイズウイルス感染を理由に治療を拒否した場合には、刑事責任を問うとしている。ホテルやレストラン、浴場、理髪店などの公共施設・娯楽施設にはコンドームを備えるか販売所を設けるように義務づけ、違反した施設には最高で5000元(約7万3000円)の罰金が科される。
 また、感染者本人の同意なしに職場などが感染の事実を広めることを禁止する一方で、感染者は他人への感染を防止する義務があるとし、エイズを故意に広げることを厳しく禁じている。
 衛生省などによると、05年末の中国のHIV感染者は約65万人で、薬物常用や性交渉による感染が8割を超える。同省は感染拡大に警戒感を強めており、条例により拡大防止に本格的に取り組む姿勢を示したものとみられる。

◎エイズ:感染拡大の防止目的に条例公布、中国(2006年2月13日、毎日新聞)
 中国国務院(政府)は12日、エイズウイルス(HIV)感染拡大の防止を目的とした法令「エイズ予防治療条例」を、国営通信の新華社を通じて公表した。3月1日から施行する。
 衛生省などによると、中国の感染者は昨年末時点で約65万人。同省の専門家は感染拡大の傾向にあると警告しており、政府として拡大防止に本腰を入れる姿勢を打ち出したものとみられる。
 条例は、全国の行政機関に対して、公共施設などでの啓発活動に全力を挙げるよう指示し、怠った場合は処罰すると明記。医療機関が患者のエイズ感染を理由に治療を拒否した場合には、刑事責任を問うとしている。
 また感染者本人の同意なしに職場などが感染の事実を広めることを禁止、中学校以上の教育課程でエイズ教育をカリキュラムに組み込むことも規定した。(北京・共同)

◎中国、ネット統制強化か、「違法」76サイト閉鎖(2006年2月7日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国国家版権局は六日までに、著作権侵害の疑いでウェブサイトの取り締まりを行った結果、百七十二件を摘発し、七十六サイトを閉鎖させたと発表した。国営新華社通信が伝えたもので、中国がこれほど大規模な違法サイトの摘発を発表したのは初めて。これらサイトが、発禁ソフトの発信源とみられることから、著作権保護の姿勢をアピールすると同時に、ネット情報に対する統制強化をさらに進める狙いがあるようだ。
 今回の取り締まりは、中国の情報統制を管轄する共産党中央宣伝部の主導で公安省、情報産業省、国家版権局など八部門が合同で昨年十月十日から開始し、国内の四百五のサーバー(ネットワークに接続されたホストコンピューター)を捜査した。その結果、著作権侵害にかかわったとして、三十九のサーバーと違法所得三万二千元(一元=十四円)を押収。さらに、百三十七のサイトについて管理者にコンテンツの削除を命令。二十九のサイトの管理者に罰金計七十八万九千元を科し、十八サイトについては刑事事件として警察が立件した。
 中国には作者に無断で小説や論文、映画、音楽などを転載し、これらコンテンツをダウンロードできる海賊版サイトがあふれており、国家版権局は「今回の成果は国内外の著作権人からも高い評価を得ている」と意義を強調した。
 ただ、閉鎖されたサイトの詳細は発表されていないことから、国内で発行禁止となっている書籍や情報など、当局に都合の悪いコンテンツをダウンロードできるサイトの取り締まりが目的ではないかとの見方もある。北京では最近、中国青年報の付属週刊紙「冰点周刊」停刊への批判意見を掲載したサイトやブログに対し、当局から内容の削除を求める指導や呼び出しが相次いでいるといい、あるユーザーは「メールのやりとりまで注意された。取り締まりが異様に厳しくなった」と訴えた。
 〇四年にもポルノサイト摘発の名目で、大規模な反体制サイトの取り締まりが行われた。
 中国では民主主義など西側社会の価値観、体制批判、農民暴動の実態、台湾、チベット、法輪功問題など「社会の安定を損なう」情報は自由に発信できず、こういった情報を掲載した海外サイトへのアクセスもできなくなっている。
 これに対抗し、当局の統制システムをくぐり抜けることができるソフトが、ダウンロードサイトを通じて、多くのネットユーザーに配布されてきた。

◎保管爆薬が爆発、6人死亡、中国山西省(2006年2月5日、産経新聞)
 中国の華僑向け通信社、中国新聞社(電子版)によると、中国山西省蒲県の民家に保管していた約30キロの爆薬が4日夜、突然爆発し、民家にいた男女6人が死亡、1人が負傷した。
 現地は石炭の産地で、爆薬は炭鉱で使用するために保管していた可能性がある。死傷したのはいずれも湖南省からの出稼ぎ農民だった。警察当局が爆発の原因を調べている。(共同)

◎批判記事めぐり、警官に暴行受けた新聞編集幹部が死亡、中国(2006年2月4日、産経新聞)
 4日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国浙江省台州市で昨年10月、批判記事をめぐり警察の暴行を受けて入院していた地元紙、台州晩報の呉湘湖・副編集局長(41)が2日、肝不全などのため死亡した。以前に移植を受けた肝臓が暴行を受けた際、損傷していたという。
 台州晩報は、警察が市民から不当な金を徴収しているとの批判記事を掲載。腹を立てた警察幹部が部下数十人を引き連れ、同紙社屋で呉氏に暴行を加えた。
 警察幹部は事件後、警察や共産党内の役職を解かれたという。

◎中国春節の消費が15%増、約1兆4000億円に(2006年2月2日、日本経済新聞)
 中国最大の祝日である春節(旧正月)前半の食品や服飾品、飲食業などの消費額の総額は前年同期比15%増の約1000億元(1兆4000億円)に達したことが分かった。2日付人民日報が商務省の推定として伝えた。
 それによると、1月29日から2月1日までの4日間で、特に飲食業の売り上げは前年比で25%増。このうち、出稼ぎ者が帰省した農村部の消費の伸びが大きく、農村部での酒、たばこ、服飾品の消費は前年比で2倍以上だった。

◎炭鉱でガス爆発、23人死亡、中国・山西省(2006年2月2日、日本経済新聞)
 2日の新華社電によると、中国山西省晋城市の炭鉱で1日夜、ガス爆発事故が起き、2日までに23人が死亡、53人がガス中毒症状で入院し、うち1人が重体となった。
 山西省幹部らが現場に向かい、事故原因などを調べている。

◎トヨタが中国戦略車・第一汽車と開発合弁(2006年2月2日、日本経済新聞)
 トヨタ自動車は中国最大手の自動車メーカー、第一汽車集団(吉林省)と合弁で中国に研究開発会社を設立する方針を固めた。現地の需要や好みを反映させた「中国専用車」の開発を目指す。開発機能を移管することで速やかに新車を投入し、販売拡大につなげる。日産自動車も上海と広州に開発拠点を設置しており、日本メーカーの中国戦略は生産、販売から開発体制の整備による技術移転へと新段階に入る。
 トヨタは生産提携している第一汽車と折半出資で、年内に研究開発会社を設立する方向。海外開発拠点は欧米、タイなどに続き8番目となる。

◎香港ディズニー、春節効果でやっと客足、3日連続チケット完売(2006年2月2日、産経新聞)
 昨年9月の開園後、客足が伸び悩んでいる香港ディズニーランドは1日、1月30日から3日連続でチケットを完売したと発表した。春節(旧正月)の大型連休で香港を訪れている中国の本土客の利用が増えたためとみられる。
 入場者数は公表されていないが、ディズニー側によると、チケットの完売は昨年12月13日を皮切りに今回の3日を合わせてやっと7日目。
 報道によると、連休のピークに当たる1月30日-2月3日の間に香港を訪れる中国本土客は、旅行ブームなどの影響で前年の春節のころと比べ30%増の70万人に達すると見込まれている。(共同)

◎中国、貪欲に石油獲得、消費日量15年で3倍(2006年2月2日、産経新聞)
 世界はいま、「静かな石油危機」に直面している。原油生産が頭打ちになる中で石油需要が年々増え、それが石油高騰を招いている。この新たなエネルギー問題のカギを握るのが中国だ。
 二〇〇五年の中国の石油消費量は、日量六百六十万バレルにのぼった。一九九〇年に比べて三倍近い量だ。工業化の進展や消費形態の多様化を背景に原油輸入を急速に拡大しており、これが世界の原油需給に大きな影響を与えている。
 中国は海外資源の獲得にも積極的だ。中国海洋石油(CNOOC)は昨年六月、米石油大手ユノカルに買収を仕掛けた。ユノカルは当時、石油メジャー(国際石油資本)の米シェブロンに買収されることで合意していたが、CNOOCはシェブロンを上回る買収価格を提示、巻き返しを狙った。
 原油・天然ガス生産量をみると、CNOOCは四月に経営統合して誕生する国際石油開発帝石ホールディングスとほとんど変わらない。それが日本円で二兆円以上の資金を用意し、買収に名乗りを上げた。この買収劇は米議会の反発で失敗に終わったが、その後、中国石油天然ガス集団(CNPC)はカザフスタンに油田権益を持つカナダの石油会社を買収した。
 さらに中国政府は、今年に入ってインドと油田開発の協力で合意したほか、世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアとも石油や天然ガスなどの協力強化を決めるなど、エネルギーの安定調達に向けた資源外交も展開している。
 これに対し、日本は特殊法人改革の一環で旧石油公団が解体され、国家としてエネルギー戦略を企画・立案する「司令塔」不在の状態が続いている。環境省や経済産業省など組織の縦割りを排し、地球環境問題を含めた総合的な「エネルギー安全保障」を議論すべき時期を迎えている。

◎中国河南省の爆竹爆発事故、死者36人、けが48人に(2006年1月31日、朝日新聞)
 中国中部の河南省林州市で、住民が爆竹に付けた火が近くの倉庫に保管されていた爆竹に引火して爆発した事故で、国営新華社通信は30日夜、死者が36人に上り、48人が重軽傷を負ったと伝えた。
 事故現場の近くでは寺の縁日が開かれており、春節休みとあって付近から多くの住民らが訪れていた。爆発で寺も倒壊したという。

◎爆竹倉庫爆発で16人死亡、春節連休初日の中国(2006年1月30日、産経新聞)
 中国では29日、春節(旧正月)の大型連休が始まり、全国で祝賀行事が行われた。市街地で13年ぶりに爆竹が解禁された北京では、前日から未明まで爆竹の破裂音が響き渡った。新華社電によると、河南省林州市では29日夕、爆竹が爆竹倉庫に引火して爆発、16人が死亡、多数が負傷した。
 中国では春節を爆竹で祝う伝統的な習慣があるが、北京では粗悪品の暴発で負傷者が多発するなどしたため、1994年から市街地では爆竹が禁止されていた。
 しかし「爆竹がないと新年を祝った気がしない」(40代男性)と解禁を求める声がここ数年高まり、北京市当局は世論に押される形で大みそかに当たる28日から来月12日まで解禁。28日夜は消防士4000人が大事故など不測の事態に備えた。
 新年を迎えた29日午前0時前後には、市内全域で花火が上がり、爆竹の破裂音が轟いた。中国紙、新京報によると、一部病院には目をけがした市民数人が運び込まれたという。

◎進む言論弾圧、中国内も疑問視、「冰点」停刊、編集長は徹底抗戦(2006年1月30日、産経新聞)
 中国の有力紙「中国青年報」の付属週刊紙「冰点周刊」(水曜日発行)が停刊になり、波紋を呼んでいる。今月11日付同紙に掲載された中国の歴史教科書批判論文に対し、共産党中央宣伝部が「報道宣伝の規律違反」などとして、同紙に「死罪」を言い渡したが、同紙編集長の李大同氏は、処分は憲法違反と抗議、徹底抗戦の構えだ。党の報道規制が相次ぐ中、報道界や知識人の間で胡錦濤政権への疑問の声が高まっている。(北京 伊藤正)
 問題の論文は「現代化と歴史教科書」と題し、中国近代史研究の第一人者として知られる中山大学(広州市)の袁偉時教授が執筆した。教授は、(毛沢東時代の)反右派闘争、大躍進運動、文化大革命の3大災難を経た後、人びとは1970年代末になって「狼(おおかみ)の乳で育った」ことを知ったが、中学の歴史教科書を読み「今も青少年が狼の乳を飲み続けている」のに驚いたと書き出す。
 教授によると、「狼の乳」とは「誤った思想や文化、観点」を指し、●(●=都の者を登)力群元宣伝部長が79年の学術シンポジウムで使ったという。「狼の乳」の実例として、教授は1860年の英仏軍による円明園(北京郊外の清朝離宮)焼き討ち事件と、1900年の義和団事件に関する教科書の記述を指摘した。
 円明園事件について、教科書は「(59年、清朝と天津条約調印のため英仏公使が上陸しようとした際)天津・大沽砲台の将兵が侵略軍の艦船4隻を撃沈し、上陸を強行した900余人を撃退、数百人を死傷させた。一帯の人民も銃砲弾の雨をくぐって戦士を支援、高度の愛国の熱情を表した」(一部略)と記述。
 袁教授は、この翌年、英仏軍が再侵略、北京を占拠し莫大(ばくだい)な賠償金に加え、円明園焼き討ちを招いたのは、愚昧(ぐまい)な清朝皇帝らの大罪であり「愛国英雄の壮挙ではない」と断じた。
 同様に教科書が、8カ国連合軍の侵略に抵抗した愛国行動としている義和団事件についても、北京を中心に殺人、放火、略奪の限りを尽くした義和団を「非人道的、非文明的集団」とし、その結果、6年分の財政収入に相当する賠償金や列強による領土分割を招いたと述べた。
 袁教授は、日本の歴史教科書を批判しながら、中国の教科書も「西洋人は侵略者であり、中国人には何をやっても理があり、たたえねばならない」との「愛国主義(教育)の要求」に沿い、盲目的民族感情をあおっていると批判した。
 この批判は歴史の解釈権を握る共産党には許容できないものだった。李大同編集長によると、中国青年報編集長は論文を一部削除して掲載に同意したが、今月24日、宣伝部が「冰点」の停刊を命じた。宣伝部は「帝国主義列強の中国侵略を肯定、歴史の事実に反し、新聞宣伝の規律に違反、中国人民の感情を傷つけ社会に悪影響を与えた」と断じたという。
 李大同氏は公開状を発表して処分に反発。その中で、昨年も(1)5月25日付の台湾人記者による台湾の実情報道(2)6月1日付の平型関の戦いに関する記事(3)胡啓立元政治局常務委員による胡耀邦氏の回顧記-などを宣伝部が批判したと明らかにし、宣伝部の報道規制は「国民の権利の侵犯」と非難した。
 中国では近年、報道規制が強まり、最近も北京の新聞「新京報」で、編集長への圧力に抗議するストもあった。共産主義青年団の機関紙の中国青年報でも一昨年、デスクと記者の処分問題で同紙名物記者が公開状で、報道干渉に抗議した。
 報道規制は活字・放送メディアだけでなくネット情報にも及んでいる。当局は、報道は党と人民の「喉舌」、つまり宣伝道具と主張、党や指導部のイメージを損なったり、社会不安を招いたりの記事はご法度だ。
 その論理からすれば、従来の共産党の史観と宣伝に反した袁偉時教授の論文は“党への挑戦”ということになる。ただし教授によると、この論文を3年余り前に発表したときには、問題にされなかったという。客観性が基本の科学的発展観を唱える胡錦濤政権下で言論弾圧が進む現状に、保守派台頭の政治的背景を指摘する声も少なくない。

◎中国:携帯電話利用者は3億9300万人に、05年末(2006年1月30日、毎日新聞)
 30日の新華社電は、中国の携帯電話利用者が2005年末時点で3億9300万人となり、1年間で5860万人増えたと伝えた。06年はさらに4800万人増え、年末には4億4000万人に達する見通しだ。
 情報産業当局者は、携帯電話は中国人の情報収集にとって大きな役割を果たしていると強調した。(北京・共同)

◎春節前の北京、爆竹と花火解禁、過去最大の帰省ラッシュも(2006年1月28日、産経新聞)
 中国最大の祝日である春節(旧正月)前日の28日、北京の市街地では13年ぶりに伝統行事の爆竹と花火が解禁され、にぎやかな破裂音が響くなど街はお祭りムードに包まれた。鉄道各駅や長距離バスのターミナルなどでは過去最大の帰省ラッシュが続いた。
 北京市民は同日未明から広場や道端で次々に爆竹や花火に火を付け、一足早く新年を祝った。中心部の地壇公園では獅子舞も披露された。
 爆竹と花火の13年ぶりの復活は市民の強い要望で決まったが、市当局は27日、使用に当たって「安全管理規定の順守」を求めるメールを市民の携帯電話に送信。事故が増えると予測し、春節休み中の救急、消防態勢を大幅に強化する。
 交通省によると、14日から始まった帰省ラッシュで27日までに約6億8000万人が長距離バスなどを利用。28日の新華社電は、鉄道も春節の帰省としては過去最高の計約4939万人を輸送したと伝えた。
 中国紙によると、春節の休みを利用した海外旅行はここ数年で定着。欧州や日本、韓国などのツアーは1月上旬から予約がいっぱいになるケースが相次ぎ、急速な経済発展に伴い富裕層が年々増加している実情を示した。

◎米の対中貿易赤字、2000億ドル突破・2005年見通し(2006年1月26日、日本経済新聞)
 【ワシントン=吉田透】米通商代表部(USTR)のバティア次席代表は25日、ワシントンでの講演で、2005年の米国の対中貿易赤字が初めて2000億ドル(約23兆円)を超えた見通しだと述べた。次席代表は「これほど巨大な貿易不均衡は経済的にも政治的にも維持不可能だ」と述べ、米中経済摩擦の激化に警鐘を鳴らした。
 05年の対中貿易赤字は米商務省が2月10日に正式に公表する。昨年1―11月の赤字は1853億ドルで、金融市場でも05年対中赤字の2000億ドル超えを予想する声が多い。中国政府が最近発表した05年の対米貿易黒字は約1042億ドルだったが、米中両国の貿易統計では香港経由の取引の扱いが違うことなどから、双方の数字には大きな開きがある。
 バティア次席代表は米中間の貿易不均衡縮小のために、中国が世界の貿易ルールに基づいて公正な経済政策を進めるべきだと強調。中国の人民元制度の改革や中国国有企業への政府補助金の削減、知的財産権侵害への取り締まり強化などを強く求めた。中国側が応じない場合には、WTOへの提訴も辞さない構えも示した。

◎反中国感情広がり、関連本出版相次ぐ/旅行30%減(2006年1月25日、産経新聞)
 首相の靖国神社参拝に対する執拗(しつよう)な抗議や昨年4月の反日暴動などを背景に、日本人の間に中国に対する反感が拡大している。内閣府が発表した世論調査では、中国に「親しみを感じない」とした人は63.4%と過去最高になった。中国の歴史や反日意識を検証する関連本の出版が相次ぎ、中国への旅行者は減少、対中ビジネスへの意欲も落ち込むなど、対中関係を企業や個人レベルで見直す流れが加速している。(木綿洋平)

≪専用コーナー≫
 「マオ・誰も知らなかった毛沢東」「マンガ中国入門・やっかいな隣人の研究」「胡錦濤の反日行動計画」「中国『反日』の虚妄」…。大阪市内の大手書店では、中国コーナーに平積みされた三十三冊のうち半分以上が、反日意識や共産党独裁体制を批判的に書いた、いわゆる“嫌中本”だ。中国経済の躍進をたたえるビジネス書などは劣勢を強いられている。
 これは昨年七月に発売されて大ヒットした「マンガ嫌韓流」以来の傾向だという。同書は日韓の歴史問題で韓国を論破する内容で「嫌韓」という言葉を定着させた。「嫌中」はいわば二匹目のドジョウだが、書店は「他国を大っぴらに批判する本はあまりなかった。『嫌韓流』以降、出版社も出しやすくなったのでは」と分析する。
 “暴君”毛沢東を描いた「マオ」は上下合わせ十三万部以上、「中国入門」は十八万部以上発行されている。

≪反日暴動余波≫
 旅行大手のJTBによると、この年末年始、関西国際空港発のアジア旅行客は前年比40%増と好調だったが、中国への旅行者は30%減った。アジアで人気なのは台湾やバンコク。ヨーロッパ旅行も15%増で、中国旅行客の減少が際立つ。「昨夏(七-九月)の前年比40%減に比べれば改善されたが、反日暴動の影響がまだ残っているとしか思えない」と同社。
 近畿日本ツーリストでも、年末年始の中国への旅行客は前年より30%減ったという。同社の渡航先では台湾が30%増。

≪ビジネス低迷≫
 経済発展を続ける一方、人民元切り上げや不安定な社会情勢など、さまざまなリスクが顕著になってきた中国。日本企業には“反日リスク”もある。ジェトロ(日本貿易振興機構)が中国進出企業を対象に行った調査でも、ビジネスマインドの冷え込みが浮き彫りに。
 一昨年十二月の調査で「既存ビジネスの拡充、新規ビジネスを検討している」と答えた企業は86.5%だったのに対し、反日暴動を経た昨年五月に集計した調査では、同じ回答は54.8%に減った。
 中国進出企業のコンサルタント、平沢健一さんは、中国に進出した企業の統計はあっても、撤退はほとんど公表されないのが現状だと指摘。「中国ビジネスの失敗例を、もっとオープンにすべきだ」と訴える。
 「合弁会社の契約上のトラブルが多い。共産党が動かす国のことを、日本企業はほとんど知らない。契約をしっかりしないと、なけなしの資金を失うことになる」
 そう警告する平沢さんだが、これ以上対中感情が悪化することは懸念している。「日本と中国は切っても切れない関係でビジネスパートナーになれる。壁は高いが今後は変わっていくと期待している」と話した。

【用語解説】外交に関する世論調査
 内閣府が昨年10月6日から16日に全国の成人男女3000人を対象に実施。「中国に親しみを感じる」と回答した人が前年より5.2ポイント下げ32.4%となり、質問を始めた昭和53年以降最低を記録した。「親しみを感じない」とした人は63.4%(前年比5.2%増)と過去最高となった。日中関係を「良好と思わない」と感じている人は71.2%(10.2%増)にのぼった。

◎中国、HIV感染者は約65万人・昨年6万~8万人増(2006年1月25日、日本経済新聞)
 【北京25日共同】新華社電によると、中国衛生省と世界保健機関(WHO)は25日、中国のエイズウイルス(HIV)感染者は昨年6万~8万人増え、約65万人になったと発表した。
 昨年増加したうち約80%が麻薬や買売春によるものと指摘し、性交渉による感染者が顕著に増加するなど感染拡大の傾向にあると警告した。

◎中国、05年は実質9.9%成長・仏抜き名目GDP世界5位か(2006年1月25日、日本経済新聞)
 【北京=吉田忠則】中国国家統計局は25日、2005年の国内総生産(GDP)の前年比伸び率が物価変動の影響を除いた実質ベースで9.9%に達したと発表した。1000億ドル(約11兆5000億円)を超える巨額の貿易黒字と投資がけん引し、3年連続で10%前後の高成長となった。今年も雇用確保を優先し、成長率の大幅な鈍化は避ける考えだ。
 名目GDPは18兆2321億元(約259兆円)で、昨年末の為替レート(1ドル=8.07元)で計算すると約2兆2500億ドルと、初めて2兆ドルを超えた。統計局は昨年12月20日に04年のGDPを上方修正し、イタリアを抜いて米日独英仏に続く世界6位になったと発表した。換算為替レートにも左右されるが、05年はフランスを抜いて5位に躍進、英国と肩を並べた可能性もある。
 05年の実質成長率は投資過熱が問題となった04年の10.1%からわずか0.2ポイントの鈍化。四半期ごとでは1~3月が9.9%、4~6月が10.1%、7~9月が9.8%、10~12月が9.9%だった。

◎中国の成長率9.9%、フランス抜き5位に、昨年GDP(2006年1月日、朝日新聞)
 中国国家統計局は25日、中国の05年の国内総生産(GDP)の実質成長率が前年比9.9%になったと発表した。GDP総額は18兆2321億元(約260兆円)。6年間で倍増し、フランスを抜いて米国、日本、ドイツ、英国に次ぐ世界5位になったと見られる。
 10%台の成長で景気過熱さえ心配された03年、04年は下回ったものの、02年から4年連続の9%超という高い成長となった。経済の急膨張に伴う資源不足、環境の悪化、貿易摩擦の多発などの諸問題は、中国政府にますます重い課題となっている。
 成長の主因は、ビルや不動産開発への投資や高い輸出の伸びだ。過熱防止のために、政府が鉄鋼やセメントなど一部産業への融資規制などの抑制策をとったにもかかわらず、政府や企業の固定資産投資は3年連続で25%を超える高い伸びを示した。それに比べると政府が新たな成長エンジンと期待する消費の伸び率は12.9%と緩やかだ。
 消費者物価の上昇率は1.8%で、成長率を考えれば低い。ここ数年続いている過剰投資が原因で生産が需要を大きく上回っているためだ。販売価格の低下が企業収益を悪化させ始めており、経済全体への影響が懸念され始めている。
 輸出は28%増と相変わらず好調だが、輸入は18%増と前年の伸び率のほぼ半分になった。この結果、貿易黒字は過去最高の1019億ドルと前年の3倍に膨らんだ。
 貿易摩擦の拡大を受けて中国政府は内需の拡大に動き始めた。これまで手つかずだった農村の消費力の底上げのために、農民の負担減や農村向け公共投資の増額などの政策を掲げている。

◎中国「売春村」施設を強制閉鎖(2006年1月23日、産経新聞)
・女性従業員数千人が抗議
 【北京=野口東秀】中国系香港紙「文匯報」など香港各紙によると、広東省深●(=土へんに川)で十九日、通称「売春村」と呼ばれる区域の一角にある娯楽施設が強制閉鎖されたことに反発、女性従業員ら数千人が抗議活動を行った。現場の市庁舎前は一時騒然となったが、当局は数千人規模の警察部隊を出動させ、約千人を一時拘束した。
 「売春村」は香港からの男性客らが訪れることで知られる一大歓楽街。だが市当局は十八日、無許可営業などを取り締まるため、カラオケ、サウナ、マッサージ店など数百店を強制閉鎖した。
 これに反発した女性スタッフや経営者が十九日、「生きる必要がある」などと叫び、抗議活動を五時間近くにわたり続けた。「文匯報」によると参加した女性スタッフらは二千人だが、土地の強制収用に抗議する農民らも加わり、抗議者は一時五千人ほどに膨れ上がったという。

◎ガス爆発で1800人避難、死者10人に、中国四川省(2006年1月23日、産経新聞)
 新華社電によると、中国四川省仁寿県で20日起きたガスパイプラインの爆発事故は、22日までに死者が10人、負傷者も50人に上り、現場付近の住民約1800人が避難したことが分かった。
 地元当局者は「現場周辺の生活は平常に戻った」としている。爆発したパイプラインは国内の石油最大手、中国石油天然ガスの所有。同社は、パイプラインは1970年代に建造されたが、事故前は通常通りに運転されていたとしている。爆発で付近一帯のガス供給が止まっていたが、22日までに復旧した。

◎中国、昨年の携帯メールが3000億通超す(2006年1月23日、朝日新聞)
 新華社電によると、中国情報産業省は22日、同国で昨年1年間に送信された携帯電話メール数が前年比39.9%増の3046億5000万通に達したと発表した。料金を1通当たり0.1元で計算すると、総額300億元(約4200億円)以上になる。(時事)

◎北京市、一人当たりGDP63万円、3次産業がけん引(2006年1月22日、産経新聞)
 北京市政府は22日、2005年の同市の1人当たり域内総生産(GDP)が5457ドル(約63万円)に達したと発表した。
 中国国家統計局が昨年暮れに全国のGDPを見直したのに伴い、北京市は04年の1人当たりGDPを3割増の4970ドルに上方修正していた。05年はさらに増加、2000年の約2倍になった。
 05年の市全体のGDPは前年比11.1%増の6814億5000万元(約9兆9300億円)。GDPに占める第3次産業の比率は先進国並みの68%に達し、サービス業が成長をけん引していることを示した。特に不動産業は過去5年間に年平均約20%伸び、05年の同市の固定資産投資の54%を占めた。

◎中国人、6000万人が肥満症、欧米並みの社会問題に(2006年1月19日、産経新聞
 中国上海市の第2軍医大学付属長海病院は19日までに、中国人の6000万人が「肥満症」で、うち60万人は手術が必要との見解を明らかにした。中国紙の新京報が同日報じた。
 同病院では過去2年間で肥満治療の手術を40件以上実施しており、専門の外科治療センターも発足。中国社会でも肥満が欧米並みに問題化していることを裏付けた。
 中国人の肥満傾向について、同病院内分泌科の鄒大進主任は「これから30年間で肥満人口は現在の4倍に達する」と述べ、肥満治療の需要は急速に高まるとの見方を示した。
 同紙によると、同病院で実施しているのは、肥満患者の胃の上部を特殊な器具で締め付けることにより食欲を抑え、減量する方法。治療の際には腹部4カ所に1センチ程度の穴を開け、腹腔(ふくくう)鏡を使って器具を取り付ける手術が必要になる。
 外科治療センターの担当医は「胃腸を切開する必要がない。海外でも広く使われている治療法だ」と、急増が見込まれる肥満患者の治療に自信を示した。
 衛生省によると、中国の判定基準で「太り気味」とされる人は、昨年11月時点ですでに2億人を突破。肥満がもたらす場合が多い高血圧症の患者数も1億6000万人に上るとしており、肥満対策が急務となっている。

◎「産経は言論暴力団」 中国誌、名指し批判(2006年1月18日産経新聞)
 【北京=福島香織】中国外務省傘下の半月刊誌「世界知識」(16日発行)は3ページをさいて産経新聞などを名指し批判した。中国メディア上で産経が批判対象となることは珍しくないが、「言論暴力団」「保守御用喉舌(宣伝機関)」と呼ぶなど、ここまで激しい論調は珍しい。今月上旬、日中協議の席で、中国側が日本側に報道規制を求め断られた経緯があるが、当局が日本メディアの中国報道にいかに敏感になっているかがうかがえる。
 記事は中国社会科学院日本研究所の金●(●=「亡」の下に「口」、その下に「月女凡」)・助理研究員の執筆で「日本右翼メディアを解剖する」「日本右翼メディアの言論の“自由”と暴力」といった刺激的な見出しが躍る。
 まず「正論」執筆者らを名指しで列挙、「侵略戦争を否定し、靖国神社参拝を支持し、周辺隣国を誹謗(ひぼう)中傷し、平和憲法改正を訴えるのが“正論者”の最大公約数」と説明。「デタラメの論に立ち、故意に過激な言動で人の興味を引きつけようとする」と批判した。
 一方、朝日新聞については、「広範な大衆を代表する進歩的メディア」と紹介し、戦後の保守勢力台頭に断固反対する民衆と朝日新聞に対し「保守勢力は言論操作の重要性を実感した」と解説。フジサンケイグループを、保守政財界のてこ入れで生まれた「保守勢力の御用喉舌」と位置づけた。
 さらに産経新聞などを「狭隘(きょうあい)な民族主義を吹聴するだけでなく、異論を排斥する言論暴力団」と呼び、「朝日新聞や進歩的論客を長期にわたって悪意に攻撃してきた」と述べた。
 中国は最近、日本の新聞の論調に敏感で、中国外交官が「日本新聞で産経だけが首相の靖国参拝を支持している」と語るなど、当局の産経新聞に対する不満が強まっているようだ。

◎731部隊跡地を整備、抗日関連の観光地へ、中国・ハルビン(2006年1月18日産経新聞)
 中国のニュースサイト「新浪網」によると、黒竜江省ハルビン市は17日までに、「侵華日軍第731部隊罪証陳列館」がある同市の旧関東軍防疫給水部(731部隊)跡地を、4470万元(約6億4000万円)を投じて整備し、抗日戦争関連の観光地にする計画を明らかにした。
 工事は今年中にも開始され、周辺の住宅や中学校を取り壊して(1)731部隊本部の建物復元(2)跡地の門や壁の復元(3)道路や哀悼のための広場整備―などを進める予定。予算のうち2680万元は中央政府からの補助という。
 地元紙は「旧日本軍による犯罪の客観的事実を再現できる」と強調した。

◎中国人の貯蓄:総額200兆円過去最高、目的トップは教育(2006年1月17日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国各紙は16日、中国人民銀行の調査で05年末の中国人の貯蓄総額が14兆1051億元(約200兆円)と過去最高を記録、05年の1年間で2兆2100億元(約31兆円)増加したと報じた。教育費、老後の蓄え、住宅購入費が「3大貯蓄目的」。中国は国内総生産(GDP)に占める輸出入額(貿易依存度)は約70%に達することから、中国政府は「多消費、少貯蓄」で内需拡大を図り、安定した経済成長を保ちたい考えだが、社会保障制度の進まない中国社会で、庶民の心は安心して消費する方向には進まないようだ。
 中国の貯蓄額は改革・開放以来、96年まで高い推移で伸びていた。その後、00年までは毎年減少傾向にあったが、01年から再び増加し始めた。
 貯蓄目的で最も多いのが、教育費。経済発展の進む江蘇省常州市での調査では、大学合格まで子供1人にあてる教育費は平均約13万1000元(約186万円)で、99年から5万1000元(約72万円)増加した。教育の産業化が進む中、一人っ子への教育費用は今後も増加するとみられる。
 このほかに、医療保険制度や年金制度の不備を補うため貯蓄に回す人が多い。今後5~10年間は、貯蓄はますます増えていくと予想される。

◎金総書記、深センを出発、訪中7日間は過去最長(2006年1月16日、読売新聞)
 【北京=末続哲也】訪中している北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記は15日夜、経済特区がある広東省深セン市の深セン駅を特別列車で出発し、次の目的地へ向かった。行き先は不明だが金総書記は今後、北京に移動して胡錦濤・中国国家主席と首脳会談を行うとの観測が広がっている。
 今回の金総書記の訪中は16日で7日目に入り、過去3回の訪中で最長だった2001年1月の上海・北京訪問の6日間を上回る。
 消息筋によると、金総書記一行は15日、深センの港湾施設やハイテク産業団地などを視察。同日夕には粤劇(えつげき)(広東地方の伝統劇)を鑑賞したと見られる。
 中国系香港紙・文匯報によると、金総書記は14日、同省広州南部の先進的農場を視察した。同省珠海を同日訪れたとの情報もある。

◆特別列車は真っ暗◆
 【北京=末続哲也】中国を訪問している北朝鮮の金正日総書記の特別列車が15日夜、広東省深セン市の深セン駅で多数の人々に目撃された。
 複数の証言によると、列車は、機関車を含め約20両編成。先頭付近の車両には明かりがついていたが、残る大半の車両の窓は真っ暗で、外に明かりが漏れない構造になっている模様だ。また、出発の約15分前には、安全確認用と見られる数両編成の列車が先に駅を離れていたことも分かった。
 前回の訪中(2004年)の際の帰路に起きた北朝鮮・竜川駅での爆発事故の教訓もあり、安全確保に万全の対策をとっているものと見られる。

◎中国:出現!ブランド好きの「新富裕層」(2006年1月16日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国の都市部に住む年収8万~100万元(1元は約14円)の若い新富裕層が、「高消費、高学歴、高感度(流行に敏感)」の「3高」と呼ばれ、その新しいライフスタイルに注目が集まっている。
 市場調査・研究を行う民間機関「新生代市場監測機構」が北京、上海、広東省広州など国内12都市に住む新富裕層(18~45歳)約1万人を対象に調査。過半数が大卒以上で、修士課程以上は12%、留学経験者は7%に上った。
 「3高」はマイホーム、マイカーを所有。車に関しては、年収が25万~40万元になると2台目の車を購入する傾向がある。旅行好きで、年収10万~15万元だと周辺国のアジア地域へ、20万~25万元だと欧米への外国旅行を選択する傾向がある。
 食べ物では、牛乳、パン、バター、チーズなどの乳製品、高脂肪の食品が好み。56%が香水を使用していた。ブランド品が好きで、▽車はBMW▽デジタルカメラはソニー▽ノートパソコンはIBM▽携帯音楽プレーヤーはサムスン▽携帯電話はノキア▽香水はシャネル--が人気だ。
 中国の04年都市住民1人あたりの平均年収は9422元、農民は2936元だった。

◎中国:子ども50人が鉛中毒、北京青年報(2006年1月15日、毎日新聞)
 中国甘粛省天水市の農村で昨年10月、吐き気や食欲不振などの症状を起こした子ども50人が鉛中毒と診断されていたことが分かった。中国紙、北京青年報が14日報じた。
 中国では各地で河川汚染が相次いでいるが、地元の環境当局は、今回の集団中毒も鉛を含んだ工場排水による河川汚染が原因とみて排出源の工場に一時、操業停止を命じたという。(北京・共同)

◎中国:05年、外貨準備が初の8千億ドル、日本には及ばず(2006年1月15日、毎日新聞)
 【北京・飯田和郎】新華社通信によると、中国人民銀行(中央銀行)は15日、昨年12月末の外貨準備高が前年比34%増の8189億ドル(約94兆円)となり、初めて8000億ドル台に達したと発表した。2089億ドルの増加で、01年からの5年間で4倍近くに急増した。
 中国税関総署は11日、昨年の貿易黒字が1018億ドルで、初めて1000億ドルを突破したと発表したばかり。貿易黒字や外国資本の対中投資などが外貨準備の大幅増の要因になったとみられる。
 昨年12月末現在で、外貨準備高は8469億ドルの日本が世界一だが、今年中に中国が日本を上回る可能性が高い。
 中国と香港を合わせた外貨準備高は、昨年6月末時点ですでに日本を抜いていた。ただ、通貨が異なり、それぞれが別の通貨当局を持つ中国と香港の外貨準備高の合計を「世界一」と位置付ける見方は少なく、中国が単独でいつ日本を超えるかが注目されている。

◎中国人民銀行の外貨準備高、実質世界一に(2006年1月15日、朝日新聞)
 中国人民銀行(中央銀行)は15日、昨年12月末時点の外貨準備高が8189億ドルに達したと発表した。前年同期比34.3%増で、昨年1年間で2089億ドルの大幅増となった。香港の同月末の外貨準備高は1243億ドルで、中国と香港を合わせた額は9432億ドルとなり、日本の同期の8468億9700万ドルを超えて実質世界1になった。
 このままの勢いで中国の外貨準備高が増えれば、今年中に単独で世界1になる可能性が高い。(時事)

◎北京の春節は爆発だ!爆竹遊びが正式“復活”(2006年1月15日、読売新聞)
 北京の春節(旧正月)に爆竹の大音響が戻ってくる。北京市当局が、1994年から禁止していた市中心部での爆竹遊びを認めたのだ。今年の春節は今月29日。首都の年越しは、久々に、にぎやかなものになりそうだ。(北京 松本浩行)
 「復活はうれしいよ。みんなの願いだったからね。子供のころの春節といえば、爆竹や花火で空が真っ赤に染まり、街中がものすごい音に包まれたものさ」
 古い北京の街並み・胡同(フートン)が残り、観光客でにぎわう鼓楼の近く。軽食店を営む松広貴さん(45)はうれしそうに言って、こう続けた。
 「実は去年の年越しの時だって、店の前でこっそりやったんだけどね。今年は堂々と出来る」
 中国では、昔から、めでたい日に爆竹は欠かせないとされてきた。特に、中国人たちが最も大事にしている旧暦大みそか(今年は28日)から春節にかけての年越しの時だ。
 観光客向けの人力車を引く任正賢さん(36)は、さすがに「古きよき北京」の伝統に詳しい。春節の爆竹のいわれについて説明してくれた。
 「伝説では、昔、年という名のどう猛な怪物がいて、除夜に姿を現しては人々を襲っていたけど、住民が竹の中に火を放ち、破裂させて退散させたんだ。それが爆竹の始まりさ」
 一年の厄を払う意味があり、庶民にとって、なくてはならない行事なのだという。
 にもかかわらず、北京市は禁令を出した。理由は、「危険。環境も汚染する」。その後、約300都市が追随した。春節の風情を消す禁令が出た当時、多くの中国人は、直感的に政治のにおいをかぎとっていた。
 「禁令は、危ないからじゃないよ。共産党は大勢が街に出て騒ぐのが怖いのさ」――89年の天安門事件や、ソ連・東欧崩壊の記憶が生々しい時代だったのだ。
 もっとも、根っからの爆竹好きの中国人もしぶとい。違反の罰金は100~500元(1元は約15円)だが、見つかっても注意や没収にとどまることが多いと見るや、隠れて鳴らした。禁止後の年越しの夜も、どこからか聞こえてくる爆竹の音は絶えなかった。
 ちなみに、昨年の春節休暇中にも、違法販売者を含め、北京で961人が摘発され、350件以上の火事、ぼやが発生し、550人以上がけがをしている。禁止期間でこれだから、当局が「危険」と言ったのにも道理はあった。
 「民意を重んじる」を売り文句にする胡錦濤政権は、爆竹解禁を求める民意に応えた。昨年、禁令を撤回する都市が続出、9月、北京市人民代表大会(市議会)も、アンケートで7割近くの市民が解禁を望んでいるのを確かめた上で、春節期間に市中心部でも爆竹をやっていいとの新規定案を可決した。賛成49、反対1、棄権8――これまでの禁令の意味を問いたくなるような大差だった。
 制限は残る。例えば、「治安上の理由」から、天安門広場や、党・政府機関が集中し、指導者が住む中南海周辺では、今後も爆竹を鳴らしてはいけない。政権は、本音では、今も騒ぎを嫌っているようだ。
 ただ、普通の民衆には、そんなことは関係ない。楽しむだけだ。
 「これでようやく春節らしくなる」。鼓楼近くの松さんも、気合が入る。
 春を待つ北京。爆竹は22日から、市内の商店で一斉に売り出される。

◎交通整備に2兆8千億円、北京市、今後5年間で(2006年1月15日、産経新聞)
 15日付の中国紙、新京報によると、北京市はこのほど、今年から5年間で2000億元(約2兆8600億円)を投じ、高速道路や地下鉄などの整備を進める計画を明らかにした。
 北京―天津間の第2高速道路など6本の高速道路を建設、総距離は280キロになるという。また、2008年の北京夏季五輪の開催施設などに通じる地下鉄の整備も進める。
 北京は自家用車の急増に伴い、交通渋滞が激しくなっている。

◎李、王、張で20%超に、中国の三大姓(2006年1月12日、産経新聞)
 中国科学院は11日までに、中国で「三大姓(名字)」と呼ばれる李、王、張を姓とする中国人がそれぞれ人口の7.4%、7.2%、6.8%を占め、合計で21.4%になるとする調査結果を明らかにした。中国各紙が同日報じた。
 中国の人口約13億人のうち、2億9600万人を対象に姓を調査。この調査で示された比率を単純に当てはめると、1位の「李」は全国に約9600万人、2位の「王」は約9400万人、3位の「張」は約8800万人いる計算になる。

◎鳥葬の撮影・報道を条例で禁止、中国チベット自治区(2006年1月12日、産経新聞)
 11日の新華社電によると、中国チベット自治区政府の民政担当者は10日、チベットの伝統的な葬法である鳥葬について、撮影や報道を禁ずる条例をこのほど公布したことを明らかにした。地元の伝統文化を尊重し保護するためとしている。
 鳥葬は、遺体を人里離れた場所の岩の上などに置き、ハゲタカなどの鳥に食べさせる風習で、死者を天に送るためとされている。
 同自治区政府によると、チベットには約1000カ所の鳥葬用石台があり、100人近くの専門の僧侶がいる。条例は、僧侶の地位を尊重することも盛り込み、無関係な人間による撮影や見物だけでなく、鳥葬を行う場所の近くでの採石など開発行為も禁ずるとしている。

◎鳥インフルエンザ公表遅れを釈明、「官僚手続き原因」(2006年1月12日、産経新聞)
 中国の国営通信、新華社は11日夜、同日朝に世界保健機関(WHO)が明らかにした中国での鳥インフルエンザ感染による新たな死者の発生を、中国衛生省の発表として半日遅れで報道した。記事の中で「官僚的な手続きが公表を遅らせた」と釈明した。
 WHOは11日朝、中国南部の広西チワン族自治区の女児と江西省の男性の2人が昨年12月に死亡したことを確認し、中国衛生省から9日に通告があったことも明らかにした。鳥インフルエンザによる中国での死者は計5人。(共同)

◎中国の原油輸入1.3億トン、05年も過去最高、伸びは鈍化(2006年1月11日、産経新聞)
 11日の新華社電によると、中国税関総署の通関統計速報で、2005年の中国の原油輸入が前年比3.3%増の約1億3000万トンに達し、過去最高を更新したことが分かった。伸び率は04年の約35%から大幅に鈍化した。
 1次産品全体の輸入金額は26%増の1477億1000万ドル。鉄鉱石の輸入は32.3%増の2億8000万トンだった。

◎中国の貿易黒字、初の1000億ドル、世界1位も(2006年1月11日、産経新聞)
 2005年の中国の貿易黒字は1018億8000万ドル(約11兆6650億円)に達し、初めて1000億ドルを突破する見通しとなった。04年の約320億ドルの3倍以上の水準。AP通信が11日、中国税関総署の話として報じた。貿易黒字国の日本やドイツの05年の統計は発表されていないが、中国が両国を抜いて世界第1位となる可能性が出てきた。
 鉄鋼や繊維製品の輸出が好調で黒字が積み上がった。中国は昨年7月、人民元相場を約2%切り上げたが、輸出増に歯止めがかかる効果は出ておらず、欧米などとの貿易摩擦が激化、人民元の一段の切り上げを求める声が強まるのは必至だ。
 税関総署は10日、輸出入を合わせた05年の貿易総額を発表し、前年比23.2%増の約1兆4221億2000万ドルと初めて1兆ドルの大台を突破した04年(約1兆1547億ドル)を上回った。
 このうち輸出は28.4%増の約7620億ドルに達した半面、輸入は17.6%増の約6600億ドルにとどまり、黒字膨張につながった。国内の引き締め政策などで原材料輸入の伸びが鈍化した一方、鉄鋼や繊維、石油製品などの輸出が伸びた。
 中国は今年からの新5カ年計画では国内消費主導の成長に転換する方針を打ち出しているが、構造転換は容易ではない。
 中国の2005年の貿易黒字が前年の3倍以上に膨張したのは、過剰投資で国内の生産力が大幅に高まった結果、鉄鋼など国内でさばききれない製品などが大量に輸出に回り始めたためだ。
 中国企業は、品質より低価格を武器に輸出市場でシェアを伸ばす傾向が強く、世界貿易機関(WTO)の繊維製品輸入割当制度が撤廃されたこともあって、05年は衣料品の輸出も急増、米国や欧州連合(EU)などとの摩擦に発展した。
 中国は昨年7月に人民元の小幅な切り上げに踏み切ったが、関係業界の不満を代弁する米議会は再切り上げを強く求めるとともに、中国への報復関税を課すことを辞さない構えだ。
 中国政府は米欧に対しては輸出自主規制や航空機などの購入で理解を求めているが、生産能力ばかりが拡大し、貧富の格差で消費が伸びないことなどによる国内需給のアンバランスがそのまま、黒字拡大に反映しており、構造的な輸出圧力の高まりはことしも収まりそうにない。
 中国のWTO加盟から3年が過ぎた。名実ともに貿易大国になった中国が今後、摩擦を回避しながら経済成長を続けるためには、過小評価されている元を再切り上げするとともに、輸出に偏らない内需主導の成長へ転換することが不可欠だ。

◎昨年の中国の貿易黒字、初めて1000億ドル突破(2006年1月11日、日本経済新聞)
 【北京=吉田忠則】中国税関総署は11日、2005年の貿易黒字が1018億8000万ドル(約11兆6600億円)になったと発表した。過去最高だった1998年の黒字額の2倍以上、04年の3倍に膨らみ、初めて1000億ドルを突破した。黒字額は世界最大規模とみられる。急激な黒字拡大で欧米との貿易摩擦が激化し、人民元の切り上げ圧力が強まる可能性がある。
 輸出額は前年比28.4%増の7620億ドルで、輸入額は同17.6%増の6601億2000万ドル。好調な世界景気に支えられて輸出が堅調に伸びる一方、輸入は国内の過剰投資の反動による生産過剰でやや鈍り、貿易黒字を過去最大規模に押し上げた。
 これまでの最高は1998年の434億ドル。2004年は321億ドルだった。05年7月には人民元レートを対ドルで2%切り上げたが、その後も黒字は毎月約100億ドルずつ増え続けており、相場の見直しは輸出を抑える効果がなかった。中国の繊維品の輸出を巡る欧米との摩擦も影響は小さかったようだ。

◎北京の街に韓国パワー、ビジネスマン進出(2006年1月6日、産経新聞)
≪不動産投資過熱/北の直営飲食店も≫
 北京では朝鮮半島系の人々が存在感を増している。核となるのは韓国の活発な対中投資を背景に進出する韓国人ビジネスマンらで、北京の郊外には通称「韓国村」というコンドミニアム群も登場。韓国人の日常生活の需要を当て込んで、中韓の言葉に通じた朝鮮系中国人(朝鮮族)が熱心に商売を繰り広げるほか、女性を配した北朝鮮直系の飲食店まで韓国人の居住地域に進出してうけに入っている。(北京 野口東秀、写真も)

≪五輪までは≫
 「2008年の北京五輪までこの勢いは続くでしょうね」。北京市街と国際空港のほぼ中間に位置する望京地区。この郊外の新開地に林立するコンドミニアムの看板は、漢字よりもハングルがめだつ。ここが北京っ子の呼ぶ「韓国村」だ。
 韓国系の不動産会社「北京世一東方不動産」の徐在日さんらによると、「韓国村」に住む韓国人ビジネスマンとその家族は、5年前の1万人弱から現在は約5万人に拡大。北京に住む韓国人の半数強、中国全体でも八分の一が住む。北京五輪までには北京在住の韓国人は20万人を超えると予想されるほどだ。
 「村」と呼ばれるだけあって、韓国人向けのサービスは充実している。韓国語による学校や塾は約40カ所、韓国食品専門スーパーは30店。韓国料理店にいたっては、実に100軒以上という。
 徐さんの驚きは、韓国人の不動産投資熱だ。35%の頭金を払い込んでコンドミニアムの数戸を購入する韓国人もいる。ソウルあたりから赴任してくるビジネスマンに貸して家賃をかせぎ、数年後には売却するという。1戸あたりの価格は120万-150万元(1元=約15円)が多い。「北京五輪までは値上がりが見込める」(在住の韓国人)ためだ。5年ほど前に1平方メートルあたり約5000元だった価格は現在8000元超。同社だけでも賃貸、分譲合わせ月70-100戸もの契約があるという。

≪橋渡し役≫
 中国市場への進出が著しい韓国人を支えているのが朝鮮族の人々だ。言葉や習慣の面で、進出した韓国人と中国社会の橋渡し役をになう。
 「韓国村」に常時出入りする朝鮮族は1-2万人。多くの韓国人家庭には朝鮮族の家政婦が月千数百元で雇われている。
 中級クラスのコンドミニアムを改装したもぐりの民宿も営業している。食事と洗濯付きで1泊100元という低価格が売り。「村」の民宿は100軒前後といい、オーナーはもちろん、朝鮮族だ。
 韓国からの旅行者のほか、韓国に渡航するビザ(査証)手続き中の朝鮮族で繁盛しており、このうちの1軒はザコ寝を含め1日最大15人、年間200-300人が宿泊する。
 脱北者らしい男性も宿泊したことがあったが、同宿の韓国人のパスポートと財布を盗み姿を消した。オーナーは「それ以来、北の人は断っている」と話す。

≪歌う女性≫
 「韓国村」で経営する北朝鮮政府直営の飲食店「平壌カフェバー」。供されるカクテルの名は「平壌の夜」「統一」「われわれはひとつ」といかにも北朝鮮らしい。ウエートレスが、客のそばまで来て中国や韓国の歌をギターを奏でながら聞かせる。
 1杯60元の「平壌の夜」はグラスが2段式でアルコール度の高い酒に火を付け青い炎を暗がりで楽しむ。「主体思想の塔を象徴しているという人が多いですが自由に発想を」と「金日成バッジ」をつけたウエートレスは話していた。
 拉致問題を話し合う日朝協議で会食の場となった「玉流宮」レストランでも、人気は20人ほどの北朝鮮から来た女性従業員だ。カラフルな衣装でステージで踊る。客席まで来て歌うパフォーマンスを見ようと韓国人客らで連日大にぎわいだ。
 こうした北朝鮮系のレストランは、北京市内に十数軒。北朝鮮側が女性らを派遣し、中国側が店舗や資金を出すケースが多い。最近は、客とのおしゃべりでリピーターを増やしたり、個室を増やすなど高級化志向にある。拡大する韓国人を目当てに有力な外貨稼ぎの手段として増える気配だ。

◎中国・地下金融:正規金融機関の3割、融資8000億元(2006年1月4日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国で、許可を得ずに金融業を行う地下金融の融資規模が、昨年末時点で7405億~8164億元と、正規金融機関による融資規模の約28%に上ることが初の実態調査で明らかになった。新華社通信(電子版)が4日、報じた。
 北京の中央財経大学が調査を実施した。調査結果では、中国政府が景気引き締め策として過剰投資を抑制している炭鉱、石油、鉄鋼、セメントの分野で、資金調達の多くが地下金融からだったことが分かった。引き締め策の影響で昨年以来、地下金融の活動が活発化しているという。
 また、正規金融機関が中小企業や農業への融資に消極的なため、中小企業経営者の3分の1強、農民の約55%が地下金融から融資を受けているのが実態だという。
 正規金融機関による融資規模に対する地下金融の規模は、黒竜江省が53.4%と最も高かった。このほかに30%を超えたのは、遼寧省、福建省、山西省だった。
 中国社会では、地下金融が正規金融機関が果たせない一定の役割を担っている。しかし、犯罪の温床となるなど経済発展を阻害する可能性が高いため、規制強化が必要とされている。

◎人民元、4日からの新取引方式で最高値更新(2006年1月4日、日本経済新聞)
 【上海=川瀬憲司】上海外為市場で4日から始まった銀行間取引で人民元は一時、対ドルで1ドル=8.0670元を付けた。昨年12月30日終値に比べ0.0032元(0.04%)高く、昨年7月21日の切り上げ後の最高値を更新した。ただ、銀行間取引は準備不足の感が否めず、銀行のディーリングルームでは混乱がみられた。
 一方、上海外貨取引センターを介した人民元取引も従来通り行われた。同センターで取引を終えた午後3時半(日本時間同4時半)時点での終値は8.0675元だった。銀行間取引は同5時半(同6時半)まで続いた。
 中国人民銀行(中央銀行)はより柔軟な人民元相場の形成などを目指し、4日から日米欧など先進国市場と同様に銀行間取引を導入。人民銀が許容する1日のドルに対する値幅制限(0.3%)はそのままだが、基準値を前営業日の終値から当日の取引時間直前に特定の銀行から聞き取った加重平均値に変更した。

◎人民元、「初値」は1ドル=8.0702元、銀行間取引がスタート(2006年1月4日、日本経済新聞)
 【上海=川瀬憲司】中国人民銀行(中央銀行)は4日、人民元と外貨のレートを銀行同士で決める新しい取引方式を導入した。これに伴い、人民銀は同日から取引開始直前に取引の基準値を公表。初日、元はドルに対し昨年12月30日の終値と同じ1ドル=8.0702元だった。ただ、その直後には一時、昨年7月21日の切り上げ後初めてとなる8.06元台に突入した。
 初日はシステムの運用面などで取引が一部混乱した。午前9時15分(日本時間同10時15分)に公表されるはずの基準値がすぐに取引参加者に伝わらないといった事態が発生した。
 人民元は従来、上海外貨取引センターを介して取引されていた。4日からは常に売値と買値を提示する義務を負うマーケットメーカー(値付け業者)制度を導入し、従来の方法と併用する。より柔軟で、市場の実勢に近い人民元レートの形成を目指す。

◎中国四川省で感染確認、鳥インフルエンザ(2006年1月4日、産経新聞)
 中国農業省は3日、四川省大竹県で新たに高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)の家禽(かきん)への感染を確認したことを明らかにした。同省で家禽への感染が確認されたのは初めて。
 農業省によると、昨年12月22日、同県の農家で飼われていた家禽1800羽が死んでいるのが見つかり、3日に感染を確認した。四川省の関係当局は感染拡大防止のため、周囲の家禽約1万2900羽を処分したとしている。(共同)

◎中国:米国の中国企業制裁に不満表明(2005年12月29日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】米政府が中国航空技術輸出入総公司など中国国営企業6社に対して、イランにミサイル・化学兵器関連物資や技術を輸出したとして制裁を科した問題で、中国外務省の秦剛(しんごう)報道副局長は29日の定例会見で「米国の間違ったやり方に強烈な不満と反対を表明する」と述べた。
 秦副局長は、「米国が根拠を示さず、国内法に照らして制裁を科すのは道理に合わない」と批判した。

◎米国:イランに武器輸出、中国企業6社など制裁(2005年12月29日、毎日新聞)
 【ワシントン笠原敏彦】米政府は27日、イランにミサイル・化学兵器関連物資や技術を輸出したとして、中国航空技術輸出入総公司(CATIC)、中国北方工業公司(NORINCO)など中国国営企業6社を含む3カ国の計9社に制裁を科したと公表した。
 イランの大量破壊兵器開発阻止を目的とする「イラン不拡散法」に違反したとの認定。制裁を受けた企業は米政府と取引ができないほか、米企業からの技術移転が制限される。中国以外では、インドの化学系企業2社とオーストリアの防衛企業1社も制裁を科された。

◎中国の知的財産保護「輝かしい進展あった」と自賛(2005年12月27日、産経新聞)
 新華社は27日、知的財産権保護について「輝かしい進展があった」と自賛する長文記事を配信した。海賊商品の横行で高まる国際社会の中国への批判に反論する狙いがあるようだ。
 記事は昨年9月から今年末まで、中国政府が全国の各組織を主導し徹底した知的財産保護運動を展開したと強調。施行した条例、摘発した事件などを詳細に伝え、「コピー商品を販売した業者を取り締まった上海市政府に日本の有名企業9社が謝意を表明した」などと成果を誇示した。(共同)

◎60人食中毒、5人死亡、殺鼠剤を検出、中国・重慶(2005年12月27日、朝日新聞)
 26日付の香港各紙によると、中国重慶市の農村部で24日夜、村幹部が開いた宴席の参加者約60人が重い食中毒の症状を訴え、子どもら5人が死亡した。患者が吐いたものから、02年に南京で起きた無差別殺人事件と同じ殺鼠(さっそ)剤「テトラミン」が検出された。中国ではテトラミンの生産や販売が禁じられているにもかかわらず、同様の事件が相次いでいる。

◎中国の政府系機関で不正会計4兆円、196人処分(2005年12月27日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】26日の新華社電によると、中国の会計検査院が今年1~11月に全国約9万の政府関係機関を対象に行った会計検査で、法律や規律に違反した不正会計処理額が2900億元(約4兆600億円)に上ることが明らかになった。
 また、同期間に検査対象となった全国2万2000人の共産党・政府幹部のうち、196人が司法当局への送致など処分を受けたことも判明。幹部腐敗の深刻さを改めて示した。
 最高人民検察院の報告によると、中国で昨年、汚職事件で立件された公務員の数は4万3757人(前年比267人増)。100万元(約1400万円)を超える収賄、公金横領事件は1275件(同4.9%増)で、容疑者のうち閣僚級は11人、中央・地方の局長級198人、一般幹部は2960人に上っている。

◎オークマ、中国で工作機械5割増産(2005年12月25日、日本経済新聞)
 オークマは中国で旋盤、マシニングセンターなど工作機械を5割増産する。昨年1月に本格稼働した合弁会社で現在月に約20台を生産しているが、2006年度は30台に増やす。自動車や金型関連の現地企業の間で需要が高まっているのに対応する。日系工作機械メーカーではヤマザキマザックも中国工場で増産に乗り出す予定で、工作機械の中国現地生産が加速しそうだ。
 合弁会社は「北一大隈(北京)机床」で、旋盤と縦型、横型のマシニングセンターなどの汎用機を中心に生産している。自動車や建機など中国の地元企業の設備投資が活発化、工作機械の需要が高まっているのに対応する。

◎中国:殺そ剤で村民ら5人死亡、55人入院、重慶市(2005年12月25日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】新華社通信によると、重慶市奉節県康楽鎮で24日夜、村の男性の誕生日を祝う宴会で食事を取った出席者が中毒症状を起こし、25日までに5人が死亡し、55人が入院した。うち10人は重体。地元政府によると、食べ物に殺そ剤が混ぜられていたとみられ、警察が事件として捜査している。

◎中国、鳥インフルサンプルをWHOに提供せず(2005年12月24日、朝日新聞)
 世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局(本部・マニラ)の尾身茂・事務局長は23日、北京で記者会見し、鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に感染した鳥から採取されたウイルスのサンプルが中国政府からWHOに全く提供されていない、と明らかにした。WHOは提供を強く求めていく方針だ。
 尾身局長によると、中国では今年、全国31カ所で鳥への感染が確認されたが、いずれの地域からもウイルスのサンプルが提供されていないという。昨年は5カ所の感染地のサンプルが提供された。

◎中国:炭鉱事故多発で、責任者222人を処分(2005年12月24日、毎日新聞)
 【北京・飯田和郎】中国安全生産監督管理総局の李毅中局長は23日の会見で、今年1年で安全対策が著しく劣っていた炭鉱4000カ所以上を閉鎖処分にし、大規模事故の責任者として陝西省と広東省の副省長を含む222人を処分したことを明らかにした。
 中国では今年、黒竜江省七台河市で11月末に171人が亡くなった爆発事故など、30人以上が死亡した炭鉱事故が11回も起きた。全体では昨年1年間とほぼ同数の約6000人が死亡したとみられている。
 李局長によると、山西省寧武県で7月に起きた事故では、36人が死亡したにもかかわらず、地元政府幹部らが共謀し「死者は19人」と上部機関に報告し、残り17人の遺体を隣接する内モンゴル自治区に隠すなど情報隠ぺいを図る悪質なケースもあった。
 処分の内訳は司法機関に移送された経営者らが96人。126人が共産党の処分を受けた。うち40人の行政職ポストがはく奪されたという。

◎中国:トンネル建設現場でガス爆発事故、42人死亡(2005年12月23日、毎日新聞)
 23日の新華社電によると、中国四川省都江堰市の高速道路トンネル建設現場で22日午後、ガス爆発事故が発生し、作業員ら42人が死亡、11人がけがをした。死者はさらに増える可能性がある。中国では最近、炭鉱爆発や病院火災など大規模事故が相次いで起き、多数の犠牲者が出ている。【中国総局】

◎鉄鋼や電力大手、中国で環境・省エネ事業を拡大(2005年12月23日、日本経済新聞)
 鉄鋼や電力大手が中国で環境・省エネルギー事業を拡大する。新日本製鉄は製鉄所で発生した熱で発電する装置を大型化して2006年夏に発売。Jパワーは現地の電力会社と組み、太陽光や風力を使った発電システムの実験を始めた。経済成長が続く中国では温暖化ガスの大量発生や環境汚染が深刻な問題になっている。日本が強みを持つ環境・省エネ技術で需要を取り込む。
 新日鉄は製鉄所の排ガスを回収して発電する大型設備の納入を増やす。コークス(蒸し焼きにした石炭)をつくる炉に取り付ける乾式消火設備(CDQ)と呼ぶもので、中国の鉄鋼大手、首都鋼鉄グループ(北京市)との合弁会社を通じて販売する。

◎中国の粗鋼生産、3億トンをはじめて突破(2005年12月22日、朝日新聞)
 中国の05年の粗鋼生産量が11月までで初めて3億トンを突破した。年間では3億4000万トンに達する見込み。わずか2年で日本の生産量に相当する1億2000万トンも増えた。中国の生産能力は、小規模な製鉄所の乱立で5億トン近くに達していると見られる。過剰生産による資源の浪費や鉄鋼会社の経営悪化も心配され、中国政府が合併や小型高炉の休止を指導するなど対策を急いでいる。
 国営新華社通信によると、中国の05年1月から11月までの粗鋼生産量は前年比25.5%増の3億1765万トンだった。通年では25%増の3億4000万トン、06年には4億トンの生産が予想されている。供給過剰を懸念した日米欧などの減産で世界的な生産量は横ばいの見込みだが、中国の伸びが目立つ。
 しかも、国家発展改革委員会によると、粗鋼の生産能力ではすでに4.7億トンに達し、建設中や計画分も1.5億トン分ある。中国内の鋼材価格は5月ごろから3年ぶりに下がり始めた。需要は減っていないが、10月の鉄鋼製品の在庫は1年前より42.9%も増えた。
 供給過剰は歴然としており、余剰分が輸出に向かう可能性も高い。欧米や東南アジアの主な輸入国はセーフガードなど貿易制限措置の発動をちらつかせて、中国に自主規制を迫っている。
 中国政府は来年から生産能力が計1億トンにもなる小型高炉を整理する方針だ。合併の指導や、企業の統廃合で生産調整を進める。ただ、対象の約900社のほとんどが中小で、民営企業も多い。経営陣だけでなく、税収減を嫌う地方政府の抵抗も強く、指導の効果は疑問視されている。
 一方、中国の05年の鉄鉱石の輸入量は前年より2割多い2億5000万トンの見通し。3年で倍増した。日本より1億トンほど多く、世界一。最近の鉄鉱石価格の急騰の原因でもある。購買力が大きくなるにつれて、中国は有力輸出国の豪州やブラジルとの価格交渉が、日欧主導で進む現状にも不満を強めている。

◎中国、04年GDPを上方修正、世界5位の仏並みに(2005年12月20日、朝日新聞)
 中国政府は20日、国家統計局が実施した経済センサス(統計調査)によって、第3次産業や個人企業などの実態を反映させた結果、04年のGDP(国内総生産)が15兆9878億元(約1.9兆ドル)となり、従来発表に比べ、16.8%増えたと発表した。ドル換算すると、04年は世界5位の仏に迫り、05年は世界4位の英国に近づく見通しだ。
 発表によると、04年のGDPは、従来より2兆3000億元増えた。増加分の93%は、第3次産業だった。中国政府の想定以上に、第3次産業や民間企業の存在感が高まってきたといえそうだ。
 中国政府は合計3000万余の事業主に対して、1000万人の調査員を動員した統計調査(04年12月末時点)を実施。第3次産業や個人企業まで細かく調査したのは初めて。すでに一部の結果が発表され、就業人口は第2次、第3次産業とも約1億5000万人ずつだった。

◎デジタルカメラ:ソニー「不合格」 ペンタックス製も、中国・浙江省(2005年12月18日、毎日新聞)
 ソニーとペンタックスのデジタルカメラが、中国浙江省工商行政管理局の検査で不合格とされたことが17日、分かった。ソニーは混乱を避けるために中国全土で出荷を自粛している。
 両社などによると、同省は省内で販売されている6社のデジタルカメラ34機種を抜き打ち検査し、13機種が不合格になった。ソニーの「サイバーショット」6機種は、明るさを調整する機能や液晶画面の輝度など4項目で基準を満たさないと判定され、名前が公表された。公表されなかったペンタックスも現地の販売代理店からの情報で、2機種が不合格とされたことが分かった。
 両社とも、自社の検査では品質基準を満たしているという。このため両社は、同省が設定した基準の詳細や不合格になった経緯などの情報収集を急ぐ一方で、当局に再検査を要請している。
 この問題は現地で大きく報道され、ソニーの現地法人には消費者から品質についての問い合わせが続いている。混乱を避けるために同社は中国全土で出荷を自粛。16日からは、販売店に文書で販売自粛を要請し始めた。ペンタックスは販売を中止していない。
 ソニーのコンパクト型デジタルカメラは中国市場でシェア首位。同社の05年度の全世界でのデジカメ出荷見込み1350万台のうち、中国市場向けは10%弱を占める。
 松下電器産業とキヤノンの製品も検査を受けたが、17日段階では当局から通知はないという。

◎中国浙江省、ソニーの再申請却下、デジカメ販売認めず(2005年12月18日、産経新聞)
 【北京=福島香織】国営新華社通信によると、中国浙江省工商局がソニー製六機種などのデジタルカメラの品質が省の基準に達しなかったとして、省内販売差し止めを勧告した問題で、同局はソニーが申請していた再検査は必要はないとの判断を示した。また、必要なら訴訟支援も行う構えを見せるなど強硬姿勢を示している。
 浙江省は消費者の苦情を受けて省内市場に出回るデジタルカメラのうち、六ブランド三十四機種について先月、抜き打ち検査を行い、最終的に十三台の品質が問題有りとの判断を下した。現在のところ、社名や製品の詳細を公表されたのはソニーだけとなっており、浙江省、江蘇省などの百貨店、パソコン店などではソニー製品の撤去が始まっているという。
 十六日付の上海証券報によれば、カメラの品質については国家統一基準はないが、ソニー側が企業の品質基準に関する資料の提供をしぶったことにも一因があるという。
 また、中国科学技術省が最近、多国籍企業が知的財産権を乱用し中国市場を独占しているとの見解をまとめた報告書を発表するなど、中国側が市場を席巻する外資技術系企業への不満を隠さなくなっており、今回の事件は、製品性能ではなく、デジカメ市場でトップシェアを占めるソニーを問題視したためではないか、との見方も業界に出ている。
 実際、ペンタックスの二機種も問題点を指摘されたが、再検査を受理されたという。また、キヤノンは「当局から勧告はきていない」とし、松下電器産業も「販売差し止めの指示はきていない」としている。
 ソニーでは、「事態の収束に向け浙江省と話し合いを続ける」方針だが、一社が狙い撃ちされたことに困惑しており、日系企業も真意をつかみかねている。

◎中国・デジカメ差し止め、日本メーカー影響懸念(2005年12月17日、朝日新聞)
 世界のデジカメ市場を席巻している日本メーカーにとって、中国当局から販売差し止めを勧告されるのは初めてといい、中国事業に大きな影響を及ぼす可能性がある。ペンタックスも不合格となったが、ソニーへの勧告が先行したため「ソニーが狙い撃ちされた」との見方もあり、日本メーカーは疑心暗鬼に陥っている。
 ソニーは16日、中国全土の出荷自粛に続き、小売店にも販売見合わせを要請するなど対応に追われた。発端は、先月の検査。デジカメへの苦情を受けて浙江省当局が買い集めた6社34機種のうち、ソニーの「サイバーショット」6機種を含む13機種を不合格とした。13機種を5台ずつ2次検査した結果、ソニーの6機種30台はすべて基準を満たしていないとして、今月13日付で省内販売差し止めを勧告。他社の機種の検査は続いており、当局は「不合格なら追って勧告する」という。
 ソニーで不合格とされたのは、被写体の色合いを調整する機能や液晶モニターの明るさなど4項目。機種の個性にかかわる項目とも言え、「不具合」とは異なる。ソニーは「基準を尊重する」としつつ、当局に再度の検査を要請している。ペンタックスも「過去に不合格とされたことはなく、驚いている」と話す。
 当局関係者は「中国で最もカメラの機能に詳しい国家機関に持ち込んで検査した」と強調する。
 世界で約20%のシェアを握るソニーの05年度の出荷は1350万台の予定で、中国向けは1割程度とみられる。中国で販売する13機種のうち自粛対象は6機種で、ブランドイメージの低下は避けられない。上海市内の家電量販店では16日、対象外のソニー製品まで交換を求める客もいた。
 日本メーカーには不安が広がっている。中国には検査基準が複数あり、その主導権争いの中で、世界的なブランド「ソニー」が犠牲になったとの見方すらある。
 今回の検査対象になったキヤノンは「当局から一切連絡がないので、どの機種が対象になったのかも分からない」という。販売差し止めとなれば中国事業への影響は大きいため、各社とも情報収集に追われている。

◎化学工場爆発、有毒物質がロシア到達、非常事態宣言も(2005年12月16日、産経新聞)
 タス通信によると、ロシア非常事態省は16日、中国東北部の化学工場で起きた爆発で松花江に流れ出た有毒物質が同日、ロシアとの国境であるアムール川に到達したことを確認した。
 アムール川流域のロシア極東の市民生活に影響を与えるのは必至。ハバロフスク地方政府は非常事態の宣言も検討しているほか、飲料水確保など対策準備を進めている。
 ショイグ非常事態相は到達が確認される前の15日夜にハバロフスク入りし、関係当局と対策を協議。地方政府は約150万人の飲料水源になっているアムール川からの取水を中止する方針で、安全が確認されるまで数日間断水が続く可能性もある。多くの市民は各家庭で水を備蓄したほか、地方政府も飲料水3日分を確保、給水車85台を準備した。(共同)

◎中国吉林省で病院火災、33人死亡、被害拡大の恐れも(2005年12月16日、産経新聞)
 新華社電によると、中国吉林省遼源市の病院で15日夕、火災が発生。同日夜までに逃げ遅れた患者ら少なくとも33人が死亡した。
 新華社電は近隣の市などから消防車が動員されたとしている。大規模火災だった可能性があり、死傷者は拡大する恐れもある。患者らは火災から逃れるため建物から飛び降りるなどしたという。吉林省幹部らが現場に急行、救助活動を指揮している。(共同)

◎ソニーのデジカメ「品質不合格」、中国・浙江省が認定(2005年12月15日、朝日新聞)
 上海市に隣接する中国浙江省の工商行政管理局は15日までに、ソニーのデジタルカメラ「サイバーショット」6機種が品質に問題のある不合格品であるとして、省内での販売を禁じる、と発表した。ソニー側はこの措置を受け、同日、「実態を調査する」として、この6機種の中国全土での販売を差し止める方針を固めた。
 工商局の発表によると、省内でデジカメに関する苦情が相次いだため34機種の品質を検査。その結果、ソニーの6機種を含む13機種が一定基準を満たしておらず不合格品と認定した。自動フラッシュ機能や露光調整、ホワイトバランス調整機能に問題があるという。中国各紙によると、すでに国内各地の大手家電量販店などで商品引き揚げが相次いでいるという。ソニー以外のメーカーについては工商局は具体名を明らかにしていない。
 6機種はいずれも隣接する江蘇省無錫市や上海市の工場で製造され、中国のほか、北米でも販売されている。ソニーは「工商局と連携し、どこに問題があるのかを早急に突き止める」として、暫定措置として販売自粛を決めた。

◎世界のビール消費量、中国が2年連続1位、日本は6位(2005年12月15日、朝日新聞)
 キリンビールが15日発表した04年の世界主要国のビール消費量によると、中国が2864万キロリットルで2年連続の1位だった。2位が米国の2397万キロリットル、3位がドイツの955万キロリットル。日本は654万キロリットルで昨年と同じく6位。
 世界の総消費量は前年比4.2%増の約1億5039万キロリットルと19年連続で増加しており、東京ドーム約121杯分だった。アジア市場が11.2%増の4314万キロリットルとなり、世界最大市場である欧州の4937万キロリットル(1%増)に迫った。

◎上海に海上コンテナ港開港、世界一の国際ハブ港目指す(2005年12月11日、産経新聞)
 中国上海市が同市南東部の東シナ海に浮かぶ小島「小洋山」に建設中の海上コンテナターミナル「上海国際海運センター洋山深水港」の第一期部分が10日、開港した。
 「世界の工場」となった中国の主要港である上海港は今年、貨物取扱量が世界一となる見通し。将来、洋山深水港の完成により、コンテナ取扱量も世界一に押し上げ、国際的なハブ港を目指す。
 同港の第一期ターミナルは水深15メートル以上の岸壁を持ち、7~10万トン級の最新大型コンテナ船が停泊できるバースが5つ設置される。コンテナの年間取り扱い能力は300万TEU(長さ20フィートのコンテナ換算)。2012年にはバースが30以上に増え、取り扱い能力は1500万TEUとなる計画で、投資額は約600億元(約9000億円)。
 同港と上海市の陸上部は全長約33キロの「東海大橋」で結ばれ、陸上部には物流基地やハイテク産業が集積する「臨港新都市」の建設が進む。同港と新都市の一部は税関手続きが簡素化される「保税港湾地域」に中国で初めて指定され、国際的な中継貿易が促進される。
 上海港は04年に貨物取扱量が3億7900万トンでシンガポールの3億8800万トンに続き、世界2位。今年は1~11月までに前年同期比16.6%増の4億4000万トンに達し、シンガポールを上回る見通し。(共同)

◎中国偽物天国、秘密マンションに“世界のブランド”びっしり(2005年12月9日、産経新聞)
≪客は日本人や東南アジア大使館員ら≫
 世界のありとあらゆる偽ブランド品が堂々と売られる北京。「ニセモノ大国」の汚名を払拭(ふっしょく)したい胡錦濤政権は摘発に躍起だが、最近は摘発逃れのためマンションの一室で販売する傾向が出始めた。当局はいたちごっこの状況を変えられるのか。ニセモノ販売の現場を探った。(北京 野口東秀)

≪丁寧で完璧≫
 高層ビルが林立する北京市中心部のマンションの一室。呼び出しボタンを押し、ドアののぞき穴に向け、事前に手に入れていた「名刺カード」をみせた。数秒後、ロックが外され若い男が中に入れと手招きした。
 100平方メートルほどの広さに、シャネル、セリーヌ、フェラガモなど、世界的ブランドのバッグ、スーツ、財布、靴など数千点がびっしりと並ぶ。マンションを活用している理由について若い男は「客がゆっくりと選べる。しかも客以外は容易に入れない」と声をひそめた。
 フェンディの財布は200元(1元=約14円)、バッグはルイ・ヴィトンが450元、プラダは500元。女性店員は「広東省で製造したモノです」と説明する。
 部屋の中には、十数人の客が品物を物色していた。客層は日本、欧州、中国。記者(野口)と面識のある東南アジアの大使館員も夫婦連れで商品を買いあさっている。
 本物なら数10万円はするダンヒル、エルメスのスーツが1200元。手触りもよく見分けがつかない。「生地はホンモノ。入手ルートは言えません。縫製は中国だけど、丁寧な仕立てで完璧(かんぺき)に近いでしょ」と女性店員は“自慢”した。
 次に訪ねたのは、日本大使館周辺から徒歩で数分のところにあるマンションの一室。スイス製のニセモノの腕時計がきらびやかに並ぶ。
 世界最古の歴史を誇るバセロン・コンスタンチンを手に若い男が説明した。本物なら市場価格は300万元以上する代物。「売値は6000元弱。スイスで製造したからだ。台湾製や広東製とは素材が全く異なる。中の部品もスイス製だ」。本物そっくりの鑑定書まである。
 オメガにローレックスにロンジン…。男によると、ニセモノでも等級があり広東製は200元、台湾製で500元、真偽は不明だが「部品もスイス」という「スイス製」では数千元に跳ね上がる。

≪知財犯罪氾濫≫
 中国政府の知的財産権保護の関係白書などによると、2000年から04年で、知的財産に関する犯罪案件は5305件、22億元。国家工商行政管理総局は昨年、偽造工場約3500カ所を破壊、253万カ所の店舗を検査し、2308万個の偽造品を没収した。
 しかし、中国のニセモノ市場規模の推定値について、政府機関の国務院発展研究センターなどは、1370億元から2000億元(約2兆8000億円)の数字をあげており、摘発は氷山の一角に過ぎない。
 日系企業が受ける侵害分野も幅広く食料品からオートバイ、車までほぼすべての工業製品に及ぶのが実態だ。日本貿易振興機構(ジェトロ)北京センターには毎月数100件もの苦情、相談が日系企業などから寄せられる。
 「中央政府に取り締まる姿勢はあるものの、中国全体の経済に悪影響があるため、地場産業を優先する地方権力と企業が癒着しているのが根本的問題だ」。ジェトロ北京センター知的財産権室の後谷陽一室長はこう指摘する。
 問題解決には、党が知的財産権保護の重要性について、地道に国民を啓蒙(けいもう)し、違反組織を徹底して摘発する以外にない。中国政府は昨年8月、呉儀副首相をトップに国家知的財産権保護弁公室をたち上げ、保護・摘発に乗り出している。
 日本側は、知的財産権への意識と能力を中国の取り締まる当局者に高めてもらう目的で、国家知識産権局の審査官への技術説明会、偽造対策研修会などを各地で随時開催するなど、人材育成を側面支援している。

≪中国政府が発表した昨年の主な知的財産権侵害事件≫
・広東省でルイ・ヴィトンのバッグ
・江蘇省でクロコダイルのワイシャツ、ネクタイなど
・北京の企業によるコンピューターソフト
・広州市で化粧品エスティローダーの商標盗用
・広東省によるコンピューター関連技術のブランド盗用
・上海でアディダスの運動靴製造
・遼寧省でDVDなど偽造

◎炭鉱事故の死者74人に、中国河北省(2005年12月8日、産経新聞)
 8日の新華社電によると、中国河北省唐山市の炭鉱で7日発生したガス爆発事故の死者数が74人となった。行方不明者は32人。
 救助された29人のうち5人は重傷で、病院で手当てを受けている。

◎中国で5人目の感染確認、遼寧省の女性、鳥インフルエンザ(2005年12月8日、産経新聞)
 新華社電によると、中国衛生省は8日、遼寧省錦州市黒山県で、同県の女性(31)が高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染したことを確認したと発表した。中国で人への感染が確認されたのは5人目。
 女性は10月30日に高熱などの症状を起こし、原因不明の肺炎と診断されたが、その後回復に向かい、11月29日に退院した。中国疾病予防コントロールセンターの検査で鳥インフルエンザ感染が確認された。
 女性は発病前に、死んだ家禽(かきん)に接触していた。香港紙は女性は養鶏に従事、感染した家禽に接触したと伝えている。衛生省は世界保健機関(WHO)などに報告した。
 中国ではこれまで安徽省、湖南省、広西チワン族自治区で計4人が感染。また計31の省、直轄市、自治区のうち、7省4自治区で家禽や渡り鳥の感染が確認されている。
 黒山県は小規模な養鶏農家が村ごとに密集。家禽の感染確認が多数の村に及んだため、11月5日から今月1日まで武装警察が出動して県全体を封鎖していた。

◎中国の“月の土地”業者、当局相手に異例の提訴(2005年12月8日、産経新聞)
≪営業停止処分に猛反発≫
 「地球への眺め良好」などをうたい文句に、月の土地を販売する“不動産業者”がこの秋、中国・北京に現れ、話題を集めたが、中国当局は月の土地の権利という「実体がないものを売って不当な利益を得ている」として開業わずか数日で営業停止処分を下した。これに業者側は「法律に違反していない」と猛反発、処分の取り消しなどを求めて提訴に踏み切った。中国では企業が政府を相手取り訴訟を起こすこと自体が珍しく、その行方に関心が集まっている。
 国営新華社通信などによると、業者は中国の「月の大使館」と名乗り、北京市内の商業ビルの十階に事務所を構えている。宇宙船「神舟6号」の帰還を受け、2010年までの月面探索計画が発表され、中国国内が宇宙開発の話題でもちきりだった10月19日に営業を開始した。
 月の土地1エーカー(約4000平方メートル)とその地下3キロの鉱物の所有権込みで、約300元(約4500円)で分譲。3日間で34人が計49エーカーを購入。購入者は所有地の経度と緯度などが明記された権利書を受け取り、将来、各国の宇宙船などが所有地に着陸したとき、その国に対して使用料を請求できるという。
 「月の大使館」の責任者の男性が地元メディアに行った説明などによると、同社は米国の宇宙不動産業者・ルナエンバシー社の中国代理店。1967年の月に関する国際条約では国家が宇宙空間や惑星を所有することを禁じているが、同社は「個人や企業による所有は禁じられていない」と主張、80年から月の土地の販売を始め、今では日本も含め欧州、アジアなど約10カ国に代理店があり、購入者は200万人以上としている。
 ところが、中国では市民からの通報などを受け、北京市工商局が調査した結果、「不当な取引」と判断し営業許可を取り消した。これに対し業者側は「処分の根拠がない」「不利益をこうむった人はいない」などとして、工商局を相手取り、同市海淀区の裁判所に提訴、徹底抗戦する構え。中国のインターネット掲示板には「政府と法律で争う勇気を支持する」「中国が法治国家になれるかどうかの問題だ」といった意見が多く書き込まれている。
 日本の代理店「ルナエンバシージャパン」(東京・赤坂)は、産経新聞の取材に対し「米国本社経由で北京の騒ぎを聞いている。詳細はわからないが、中国政府の営業停止処分は理解できない」としている。
 ちなみに同社は2002年にノベルティーグッズ(特典商品)販売業者として設立され、これまでに月、火星、金星の土地を10万人以上に販売している。日本では月の土地1エーカーで3000円程度という。(矢板明夫)

◎発電所建設に反対、6千人が警察と衝突、中国・広東省(2005年12月8日、読売新聞)
 香港紙「蘋果日報」が7日報じたところによると、中国広東省汕尾市で6日夜、発電所建設に反対する地元住民約6000人と武装警察が衝突、武装警察が発射した催涙弾が頭に当たるなどして住民少なくとも3人が死亡、8人が負傷した。
 住民らは、2年前に始まった発電所建設に伴う土地収用の補償金を役人が横領しているとして、今年3月から抗議行動を続けていた。(香港支局)

◎中国の私営企業61%、「社会主義」の空洞化進む(2005年12月8日、読売新聞)
 【北京=藤野彰】7日付の中国各紙によると、中国経済躍進の牽引(けんいん)車になっている私営企業がすでに国内企業総数の61%を占めていることが、第1回全国経済調査でわかった。
 かつて社会主義経済の根幹をなしていた国有企業の比率はわずか5.5%にまで後退、急速な市場経済化の下で「社会主義」の空洞化が進んでいることが裏付けられている。
 この調査は、中国国務院(中央政府)が1949年の建国以来初めて実施した全国経済調査で、昨年末現在の業種別企業数、就業者数などが明らかにされている。

◎遺棄兵器12年までに処理、期限延長、中国と協議へ(2005年12月7日、産経新聞)
 政府は7日、旧日本軍が中国で遺棄したとされる化学兵器を回収、処理するための日中共同事業について、2007年4月までの処理期限を5年間延長し、12年4月までとする方針を固めた。政府は近く中国政府との協議に入り、合意を得た上で来春までに化学兵器禁止機関(OPCW)に延長を申請する。
 政府は、遺棄兵器の大半が集中している中国吉林省敦化市ハルバ嶺に大規模処理施設を建設する計画だが、日中両国が新たに設立する「日中連合機構(仮称)」の人員構成などをめぐり協議が難航、施設着工が遅れている。このため処理期限の延長が必要と判断した。
 中国の武大偉外務次官も今月、超党派の国会議員による「日中新世紀会」の訪中団に、12年までに日本が責任をもって全面処理する必要があるとの考えを示していた。
 遺棄兵器をめぐっては、1997年4月、10年以内の化学兵器の全廃を目指す化学兵器禁止条約が発効。日中両政府は99年7月、日本政府が廃棄に必要な資金、技術、施設などを提供するとした「遺棄化学兵器の廃棄に関する覚書」に署名した。政府は2000年9月から小規模の発掘回収事業に着手し、これまでに約3万7000発を回収している。
 また、政府は吉林省ハルバ嶺の遺棄化学兵器について「約67万発」とOPCWに申告していたが、現地調査の結果から「30万~40万発」と下方修正する考え。(共同)

◎炭鉱事故で54人死亡、中国河北省(2005年12月7日、産経新聞)
 新華社電によると、中国河北省唐山市の炭鉱で7日午後3時半(日本時間同4時半)ごろ、ガス爆発事故があり、同日夜までに54人が死亡、ほかに多数が行方不明となっているもよう。
 中国ではエネルギー不足を背景に、無理な操業による炭鉱事故が相次いでいる。先月27日に黒竜江省7台河市の炭鉱で死者171人の爆発事故があったほか、今月2日には河南省の炭鉱で出水事故が発生し、42人が行方不明になった。同日には貴州省でも複数の事故で16人が死亡、3人が不明になっており、事故に歯止めがかからない状況だ。
 中国政府は安全性に問題のある炭鉱に閉鎖を命じるなどしており、繰り返し安全確保を呼び掛けているが、石炭需要が増える冬を迎え、開発優先の地方が従わないケースも多いとみられている。(共同)

◎中国の乗用車、日本シェア3割に迫り首位争い、1~10月(2005年12月8日、日本経済新聞)
 【北京=宮沢徹】中国の乗用車市場(輸入車を除く)で長年首位の座を維持してきたドイツにかわり、日本メーカーが中国勢とともに急浮上している。ブランドごとに分類した国別シェアで日本は1~10月に26.6%と、首位に立った中国に0.7ポイント差で続き、外資の中では初のトップ。新車投入が遅れたドイツ勢に対し、日本勢は積極投資をテコに投入した新車が人気を集めており、3割強のシェアを有する米国市場に続き、世界3位の中国市場でも勢力を拡大している。
 中国汽車工業協会がまとめたメーカー別の同国内生産車販売台数によると、1~10月のドイツ車販売台数は前年同期比26.8%減の37万6000台で、シェアは15.4%に低下した。日本車は逆に同28.8%増の65万1000台。シェアは26.6%と初めてドイツ車を抜いた。中国車は66万9000台とシェア27.3%で日本車を上回り昨年3位から躍進した。日中が初の通年での首位獲得に向け競り合っている。

◎中国:河北省の炭鉱で爆発、3人死亡、99人行方不明(2005年12月7日、毎日新聞)
 新華社電によると、中国河北省唐山市の炭鉱で7日午後3時半(日本時間同4時半)ごろ、ガス爆発事故があり、同日夜までに3人が死亡、99人が行方不明になった。
 事故当時、坑内では123人が働いていた。
 中国ではエネルギー不足を背景に、無理な操業による炭鉱事故が相次いでいる。先月27日に黒竜江省七台河市の炭鉱で死者171人の爆発事故があったほか、今月2日には河南省の炭鉱で出水事故が発生し、42人が行方不明になった。同日には貴州省でも複数の事故で16人が死亡、3人が不明になっており、事故に歯止めがかからない状況だ。(北京・共同)

◎普通選挙求め25万人デモ、香港(2005年12月5日、産経新聞)
 香港政府が示した2007年行政長官選挙などの制度改革案に反対し、普通選挙の完全実施などを求める多数の市民が4日、市街地をデモ行進した。主催者によると25万人が参加したもよう。参加者数が確認されれば、警察発表で20万人が参加した昨年7月の民主化要求デモを上回る大型デモとなる。
 香港政府は10月、長官を選ぶ選挙委員会メンバーの拡大などを盛り込んだ改革案を公表したが、基本法(憲法に相当)が目標に掲げる普通選挙の完全実施の時期には触れなかったため、立法会(議会)の民主派らが反対していた。
 デモは、政府案の賛否を問う採決が立法会で21日に行われるのを前に、普通選挙実施の時期を示すよう中国、香港両政府に訴えようと民主派議員らが主催。参加者は当初予想された「数万人」を大幅に上回り、要求の強さを示した。
 ただ、政府案が今後修正される可能性は低いとみられる。中国側は普通選挙の完全実施は「時期尚早」としており、時期の明示も当面避ける見通し。
 政府案の通過には計60議員のうち40人以上の賛成が必要だが、民主派25人は原案のままなら反対票を投じる意向で、通過は微妙な情勢。デモが民主派と中国、香港両政府の今後の駆け引きにどう影響するか注目されそうだ。(共同)

◎中国、今年は9.4%成長・国家発展改革委主任が見通し(2005年12月4日、日本経済新聞)
 【中国総局】中国国家発展改革委員会の馬凱主任は3日、今年の同国の経済成長率が9.4%になるとの見通しを明らかにした。北京市内で開かれた会議で述べたもので、新華社が伝えた。中国経済は3年連続で9%台半ばの高い成長となることになる。
 馬主任は、高成長する一方で消費者物価上昇率は2%以下に抑えられており、固定資産投資の拡大に比べ伸び悩んでいた(個人消費を示す)社会消費品小売総額も順調に推移していることなどを挙げ、経済発展のバランスが改善しているとの見解を示した。

◎中国の刑務所内で「拷問」 国連人権委、改善求める(2005年12月3日、産経新聞)
 中国での人権弾圧や拷問被害を調査するため訪中していた国連人権委員会のマンフレッド・ノワク特別報告者は2日、北京で記者会見し、中国各地の刑務所や収容施設で「拷問」が行われているとの報告を明らかにし、中国政府に改善を求めた。
 報告書によると、拷問は、受刑者らに飲み水や食事を与えなかったり、電流が流れるこん棒で身体を痛めつけるなどさまざまという。中国政府は「拷問や残虐な体罰を禁止している」(外務省報道局)と主張しており、今回の報告書を受けて中国側がどう対応するかが焦点となりそうだ。
 ノワク氏は会見で、中国の司法制度について「容疑を否認し続ける限り、服役後も家族との面会が制限される」などと自白偏重を指摘。労働矯正施設についても「収容された者の意思破壊、人格改造が目的。組織的な非人道的行為だ」として撤廃を要求した。
 報告書によると、中国の国家安全省、公安当局者らがノワク氏ら調査団メンバーを24時間監視したほか、複数の拷問被害者に対し調査団との面会を拒否するよう脅したという。収容施設はいずれも調査団によるカメラなどの持ち込みを禁止し、証拠収集に応じなかったとしている。
 ノワク氏は先月21日から、独立派住民に対する迫害の疑いが取りざたされているチベット自治区ラサ、新疆ウイグル自治区ウルムチなどで調査していた。(共同)

◎炭鉱爆発で134人死亡、中国・黒竜江省(2005年11月29日、産経新聞)
 新華社電によると、中国東北部の黒竜江省七台河市の炭鉱で27日夜、爆発事故が発生。28日夜現在で、134人の死亡が確認された。坑内には15人が取り残されているという。
 事故当時坑内で作業していたのは221人。72人は自力で脱出したか救助された。
 現地入りした国家安全生産監督管理総局の李毅中局長は、救助隊メンバーら約380人に救出活動を進めるよう指示した。
 エネルギー需要の高まりから増産への圧力が強まる中国では、各地で炭鉱事故が相次いでいる。(共同)

◎旧日本軍の遺棄化学兵器、共同処理機構設立で日中合意(2005年12月3日、朝日新聞)
 日中両政府は、旧日本軍が戦時中、中国に残した遺棄化学兵器の回収・処理を共同で実施するため、両政府職員らによる「日中連合機構(仮称)」の設置で合意した。
 日本政府筋が2日明らかにした。両政府は2007年の処理期限を12年に延長する。兵器数については、これまでの70万発から「最多40万発」に下方修正することでも一致した。
 両政府は近く覚書を結び、本格的な回収・処理作業に入りたい考えだ。
 今回の合意に向け、両政府は事務レベル協議を重ねてきた。日中連合機構は、両政府が共同で設立する組織となる。中国政府が関与することで、認可や中国の国内法適用などの面で、作業を円滑に進めやすくする狙いがある。両政府は来春にも、同機構を中心に、吉林省ハルバ嶺(れい)で、発掘・回収施設の建設に着手する。日本政府がほぼ全額の約973億円を負担する。
 遺棄化学兵器数について、日本政府は「ハルバ嶺に約67万発、中国全土で約70万発」とオランダ・ハーグの化学兵器禁止機関(OPCW)に申告している。しかし、磁気探査機などを使った2002年からの調査で、ハルバ嶺の埋蔵量が30万~40万発程度と判明した。中国側はかつて200万発と主張していたが、日本側の主張を大筋で受け入れた。日本政府は近くOPCWに修正申告する。
 遺棄化学兵器処理の期限は、化学兵器禁止条約に基づき、07年4月までとなっている。しかし、両政府の調整が難航し、期限内処理が事実上不可能なことから期限を5年間延長する。日中両政府は覚書を結び次第、OPCWに5年間の延長を申請する考えだ。
 遺棄化学兵器の回収・処理は、日中両国などが結んだ化学兵器禁止条約に基づくものだ。日本政府は2000年9月、ハルバ嶺以外での小規模な発掘を開始し、約485億円をかけ、計約3万7000発を発掘・回収した。

◎遺棄化学兵器、中国、処理進めず、「期限延長」内情は不透明(2005年12月3日、産経新聞)
 中国での旧日本軍遺棄化学兵器処理事業の期限が、平成十九(二〇〇七)年から二十四(二〇一二)年に五年間延長される見通しとなった。化学兵器禁止条約の発効(一九九七年)から八年が経過し、日本政府はすでに計約四百八十五億円を投じている。だが、成果は計十カ所での小規模な発掘・回収事業だけで、遺棄化学兵器の九割が埋設される吉林省ハルバ嶺での事業は遅々として進まない。「日中間の信頼熟成の事業」(政府担当者)の前途は多難だ。
 「現状では二〇〇七年までの解決は無理だ。一二年までの解決を強く要請する」
 中国の武大偉外務次官は一日、北京を訪問した超党派議員団「日中新世紀会」(団長・遠藤乙彦衆院議員)にこう語り、日本側に対し、早期に化学兵器禁止機関(OPCW、本部・ハーグ)に廃棄期限の延長申請をするよう求めた。
 化学兵器禁止条約は、条約発効後、十年以内に廃棄を完了しなければならない、と規定している。これに基づき日本政府は、ハルバ嶺で、運搬用道路、保管施設、無害化のための焼却処理施設などの建設を計画。昨年四月には日本側の事業主体となる株式会社「遺棄化学兵器処理機構」を設立し、周辺道路の整備事業に着手した。十月中旬には内閣府の江利川毅事務次官が訪中して武氏と会談、早急に事業を開始することを確認した。本体事業はいつでも開始できる態勢にある。
 ところが、中国側は今も事業認可をしていない。内閣府の担当者は「中国政府内の手続きが手間取っているのではないか」と説明するが、真の理由は明らかではない。
 問題は、五年間の延長ですべての作業が終了するかどうか。条約は、五年以上のさらなる延長はいかなる場合も認めておらず、事態は深刻だ。造成や発掘回収に要する期間にめどが立たないうえ、焼却処理だけでも一年半近くかかるとされる。冬季は土も凍る寒冷地域だけに、作業は難航が予想される。「最終期限内に作業が終了しなければ、日本は国際的に非難される立場になりかねない」(政府高官)と危惧(きぐ)する声もあがる。
 総費用もはっきりしない。内閣府は約二千億円と試算しているが、ハルバ嶺での発掘回収事業費はすでに、当初試算の七百八十億円から九百七十億円に上方修正されている。焼却施設建設費にも一千億円以上かかるとみられるうえ、事業運営費や施設解体費などがかさむことが予想される。試算通り事業が進む可能性は低い。(田中靖人)

◎中国黒竜江省で炭鉱爆発、死者68人、内部になお70人(2005年11月28日、朝日新聞)
 中国の国営新華社通信によると、黒竜江省七台河市の炭鉱で27日夜、爆発が起き、少なくとも68人が死亡した。炭鉱事故多発に悩む中国政府は防止策を強めているが、惨事はむしろ増加傾向にある。相次ぐ事故は、急速な経済発展を受けたエネルギー生産の拡大と、安全管理の徹底を同時に進めることの難しさを示すものだ。
 27日の爆発による落盤で、七台河市の炭鉱内には70人以上が閉じこめられているといい、救出作業が続いている。爆発当時、炭鉱内には200人以上の労働者がいたという。中国政府は事態を重視し、松花江(ソン・ホワチアン)の汚染問題で同省ハルビン市に派遣していた国家安全生産監督管理総局の幹部たちを急きょ現場に向かわせた。
 中国では炭鉱事故で年間数千人規模の死者が出ている。同総局によると、死者10人以上の炭鉱事故は今年計51件に上り、昨年同時期に比べて16件増。死者数も同じく2倍増近い計1355人に上った。
 新華社は27日、胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席が安全管理の徹底を求める「重要指示」を出したと伝え、28日付の各紙がこれを大々的に取り上げていた。事故は、その「重要指示」の直後に起きたことになる。
 政府は生産効率が悪く、安全対策が行き届かない小規模炭鉱の廃止を進める。大規模炭鉱に投資を集中し、増産と安全対策を両立させようとの狙いだ。
 中央政府は、役人や企業の管理責任を厳しく追及する姿勢。河北省●台市(「●」は「刑」のつくりが「オオザト」)では今月、炭鉱事故での死者1人当たり100万元(約1400万円)の「罰金」を企業側に科すことを決めた。

◎中国の炭鉱で爆発、30人死亡、140人以上鉱内に(2005年11月28日、朝日新聞)
 中国の新華社通信によると、黒竜江省七台河市の炭鉱で27日夜、爆発が起き、少なくとも30人が死亡した。爆発による落盤で炭鉱内には140人以上が閉じこめられているといい、救出作業が続いている。中国では大規模な事故が相次いでおり、胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席らが安全管理の徹底を関係部門に指示したばかりだった。
 爆発当時、炭鉱内には200人以上の労働者がいたという。中国政府は事態を重視し、松花江(ソンホワチアン)の汚染問題で同省ハルビン市に派遣していた国家安全生産監督管理総局の幹部たちを急きょ現場に向かわせた。

◎有毒物質すでに露到達? 極東河川汚染、中国側が謝罪(2005年11月27日、産経新聞)
 【モスクワ=内藤泰朗】ロシアのラジオ放送「エホ・マスクブイ」は26日、専門家の話として、中国吉林省の石油化学工場爆発事故で流出した有毒物質が河川を通じてロシア側の村に到達したことが確認されたと報じた。また、北京発イタル・タス通信は、中国側が極東の河川汚染をもたらしたことを認め、ロシア側に謝罪したと伝えた。
 有毒物質が到達したのは、ロシア極東のレーニンスコエ村。同村で採取された川の水のベンゼン系有毒物質含有量が最大許容濃度の2倍だった。ただ、有毒物質が極東の中心都市ハバロフスクに到達するのは、早くとも12月1日ごろになるとしており、有毒物質含有量も許容範囲内になるとの見方を伝えた。
 ロシア極東管区のイスハコフ大統領全権代表は25日、河川汚染問題に関する特別対策本部を設置、1日に2回、河川の水質をチェックするよう命じた。同管区の軍部隊など約1000人を有毒物質流入の汚染除去対策のため関係施設に展開したという。
 しかし環境汚染に対する懸念は高まっており、世界自然保護基金(WWF)ロシア支部は、今回の河川汚染が事故現場の下流にあるロシア領のアムール川に生息する魚介類、川底の水生植物に多大な被害をもたらすだけでなく、同川の生態系にも多大な影響を及ぼす危険があると警告し、調査を始めた。
 一方、中国の李肇星外相は26日、ラゾフ駐中国ロシア大使に「深い謝罪の意」を伝え、ロシア側専門家を事故現場に招待し、今後の対策などについて説明する意向を示した。
 中国側は、有毒物質が来月8、9日ごろにロシア領内に到達し、同21日ごろ、ハバロフスクに達すると説明しており、ロシア側の見方と食い違っている。

◎重慶でも工場爆発、ベンゼン流出か、中国紙報道(2005年11月26日、産経新聞)
 25日付の中国紙、第一財経日報によると、中国重慶市で24日、化学工場が爆発、1人が死亡、3人が負傷した。近くの学校の生徒を含む約1万人が避難した。ベンゼンが流出したとみられ、地元当局が事故現場近くの河川の監視などを強化している。
 中国では13日に吉林省吉林市の化学工場が爆発、大量のベンゼンが松花江に流れ込み、下流のハルビンが水道供給を停止した。(共同)

◎中国向け輸出額、過去最高に、10月の貿易統計(2005年11月24日、日本経済新聞)
 財務省が24日発表した10月の貿易統計速報(通関ベース)によると、中国向け輸出額は8319億円と前年同月比で12.8%増え、単月での過去最高を更新した。現地工場向けに自動車部品の輸出が好調だった。中国以外も含めて輸出額から輸入額を差し引いた輸出超過額(貿易黒字)は前年同月比28.8%減で7カ月連続の減少。原油価格の高止まりで輸入額の伸びが輸出額の伸びを上回った。
 中国への輸出の伸びが2ケタ増となるのは8月から3カ月連続。自動車部品が39.6%増え、鉄鋼(20%増)、音響・映像機器部品(32.8%増)も好調だった。
 中国からの輸入では携帯電話やカメラを中心に音響・映像機器部品が27.9%増、ノートパソコンなども14.6%増えた。輸入額も過去最高の9月に次ぐ2番目の高水準だったため、対中貿易赤字は前年同月より3割弱増えた。
 一方、10月の貿易黒字は全体で8221億円。輸出額は過去最高の前月に次ぐ高水準。自動車(13.8%増)、鉄鋼(16.9%増)の増加が寄与した。

◎工場爆発の余波、中国ハルビン市で水道停止、住民混乱(2005年11月23日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】中国吉林省吉林市で13日起きた石油化学工場の大規模爆発事故で、隣接する黒竜江省の省都ハルビン市(人口約970万人)が22日から、事故で流出した化学薬品による水源汚染の可能性などを理由に、市全域で水道水の供給を緊急停止し、市民がパニックに陥る騒ぎとなっている。
 新華社電によると、市当局は21日、4日間の水道停止を突然発表。22日時点で汚染は未確認だが、市の水源である松花江の支流に大量の化学物質が流れ込んだ恐れがあるという。
 市は各機関に対し、「可能な限りの水備蓄」を指示。一方、市民は買いだめに走り、ペットボトル飲用水の値段が通常の3倍以上に高騰している。さらに「近く大地震が発生する」とのデマが広く流布され、混乱に拍車をかけている。
 本紙の取材に対し、市内の大学病院当局者は「約1000トンの水備蓄があるが、2日間の突貫工事で井戸を掘る」と語り、ある中学校も「学校で必要な水は井戸水で対応する」と話した。

◎中国、炭鉱1万3千カ所を生産停止(2005年11月21日、産経新聞)
 中国の華僑向け通信社、中国新聞社によると、国家安全生産監督管理総局は21日、安全性に問題があるなどとして、今年に入ってから、全国計1万2990カ所の炭鉱を生産停止にしたと発表した。このうち9067カ所は、違法に採掘をしていた炭鉱だった。
 中国ではエネルギー需要の高まりを背景に、全国の炭鉱で無理な採掘による事故が相次いでおり、政府が安全対策に力を入れている。(共同)

◎中国大陸の遺棄化学兵器、年明けに処理施設着工(2005年11月18日、朝日新聞)
 旧日本軍が中国大陸に放置した毒ガスなどの遺棄化学兵器の処理をめぐり、日本政府は年明けに、中国・吉林省ハルバ嶺(れい)で大規模回収・処理施設の建設を始める方針を固めた。中国政府と最終調整する。ハルバ嶺の遺棄量は日本がこれまで回収した量の約10倍とみられ、政府は本格処理を進めるため、07年4月の処理期限を延長することも検討している。日本側には「負の遺産」の解決で、冷え込んだ日中関係の改善に役立てたい狙いもある。
 両政府は04年4月、大規模施設建設で合意。今年10月に内閣府の江利川毅事務次官が訪中し、武大偉(ウー・ターウェイ)外務次官との会談で早期着工を確認した。中国側の事業承認を得て、年明けにも建設用地の伐採や造成を始める見通しになった。
 日本はこれまで広東省から黒竜江省に至る約30カ所で、計約3万7000発の遺棄化学兵器を発掘。中国国内で一時保管している。ただ、ハルバ嶺は手つかずの状態。遺棄推計量は、96年の日本の調査による約67万発から、02年の再調査で30万~40万発まで減ったが、過去の回収量と比べて「けた違い」(内閣府幹部)であることに変わりない。
 施設は、遠隔装置で砲弾を発掘する「発掘棟」、X線などで鑑定する「回収棟」、「保管施設」、焼却処理や有害物質の回収などをする「処理施設」で構成。1日あたり640~650発の処理能力があるという。
 遠隔地で一時保管している兵器は、トレーラーに搭載した移動式装置で暫定処理し、ハルバ嶺に運んで最終処理する。
 ただ、化学兵器禁止条約により、処理期限は07年4月に迫っている。政府は「間に合うよう最大限努力する」としているが、期限内の処理は困難な情勢だ。政府は条約に従い処理期限の1年前にあたる来年4月までに化学兵器禁止機関(OPCW)に期限延長を申し出ることを検討している。
 政府は来年度から当面4年間で、ハルバ嶺の大規模施設の建設や運営などに計2000億円以上の経費がかかると見積もっている。
 一方、小泉首相の靖国神社参拝で冷え切った日中関係のなか、遺棄化学兵器の処理協力は双方が歩み寄りをみせる数少ない分野。武次官は10月の江利川次官との会談で、「この問題に対する日本の努力、姿勢を積極的に評価する」と述べた。
 現在、日中間の政府高官対話は途切れ、東シナ海のガス田開発問題も解決のめどが立たない。日本側は「この事業は、未来に向けた建設的で大切なものだとの認識を双方が持っている」(内閣府幹部)と期待する。
 中国・黒竜江省のチチハル市で03年8月、旧日本軍が遺棄した毒ガスによって1人が死亡、43人が重軽傷を負うなど、地中に残された遺棄化学兵器が原因となる事故は今でも度々起きている。
 こうした状況下、中国側にも「早期処理を求める世論が強く、処理を急ぎたい」(内閣府幹部)事情があるようだ。

◎鳥インフルエンザ、中国で感染者、周辺国に被害拡大懸念(2005年11月18日、朝日新聞)
 初の鳥インフルエンザ感染者が確認された中国政府は、「情報隠蔽(いんぺい)」と国際社会から非難を浴びた新型肺炎SARSでの失敗を教訓に、情報公開や防止対策に懸命だ。しかし、全土に140億羽以上の家禽(かきん)を抱え、地方から中央への報告も滞りがち。周辺国への一層の感染拡大が懸念されている。
 中国政府は感染の疑いがある家禽1000万羽以上を処分し、ワクチン接種も急ぐ。11月初めには対策費20億元(約280億円)の投入を決めた。農業省は17日、衛生省との連携強化や地方政府からの速やかな報告を求める予防措置を通達した。
 しかし、地方政府の担当者が責任の追及や投資の減少などを恐れ、不都合な報告をしないケースもあるという。香港特別行政区は18日から中国本土との境界にある2カ所の税関で、入境者への体温検査を始める。
 鳥インフルエンザが警戒されるのは、人の間で感染が広がる新型インフルエンザの発生につながる恐れがあるからだ。厚生労働省は日本で流行した場合、4人に1人に当たる約3200万人が感染し、最大その2%、64万人が死亡すると推計している。
 「これまでも鳥の感染が確認されていたので、可能性としては想定していた」。中国で鳥インフルエンザによるとみられる死者が確認されたことについて、国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長はいう。
 「まだ、鳥から人への感染にとどまっており、すぐに新型インフルエンザの発生に結びつくわけではない。だが、ウイルスの拡散は新型発生の危険を高める。中国には監視を強化し、患者の発生事例を迅速に報告するなどしてもらいたい」と求める。
 厚労省は14日、新型インフルエンザ対策について、平常時から大流行までを6段階に分けた行動計画を発表した。現在は下から3番目だが、自治体との連携や病院の態勢、治療薬の配布手順など、詳細な検討はこれからだ。岡部さんは「具体化できることを早急に検討し、実現していく必要がある」と話している。

◎香港ディズニー:魔法の効果なし? ブーム起こせず(2005年11月14日、毎日新聞)
 東京ディズニーランドに続くアジアで2カ所目のディズニーテーマパーク「香港ディズニーランド」が、9月12日にオープンして2カ月が過ぎた。世界の人々をとりこにするディズニーの魔法の効果も、香港では今ひとつのようだ。【香港・成沢健一】
 「歩道で子供におしっこをさせた」「列に割り込んでけんか騒ぎになった」。開園直後、香港各紙は中国本土客のマナーの悪さを大々的に報じた。リハーサル公開で約3万人が入場した際も「アトラクションは3時間待ち」「レストランが満席」と混乱ぶりを酷評するなど、香港メディアは開園前から手厳しかった。
 同園の運営会社には香港特別行政区政府が57%、米ウォルト・ディズニー社が43%を出資する。施設建設などに特区政府が224億5000万香港ドル(約3370億円)を投じており、「厳しいチェックは当然」(香港紙記者)というメディア側に対し、主要幹部をディズニー出身者で固める運営会社は、入園者数や面積などの問い合わせには一切応じない。
 世界的には入園者数を公表しないテーマパークは珍しくないが、地域密着型で話題を追求する香港メディアには通用しなかった。面積については、航空写真の分析や園の周囲を走るアトラクション列車の速度と所要時間から計算するなど、あの手この手で独自に調査。東京ディズニーランド(51ヘクタール)の半分にも満たない15~19ヘクタールと報じる熱の入れようだ。
 約15ヘクタールと報じた経済日報は「施設部分を除くと入園者が動けるのはせいぜい園内の半分程度。上限とされる3万人が入場すれば、1人当たりの空間はダブルベッドより狭い」とする専門家の見解を掲載した。この規模で入園料は土、日などが大人350香港ドル(約5250円)、子供250香港ドル(約3750円)。平日が大人295香港ドル(約4425円)、子供210香港ドル(約3150円)だ。
 香港紙の報道は中国メディアにも転電され続けた。中国の国慶節による大型連休(9月30日~10月9日)に香港を訪れた中国本土客は前年並みの約44万人で、特区政府や旅行業界が期待した50万~70万人を下回った。香港旅行業会議の董耀中代表幹事は「(報道による)イメージダウンなどの影響で、ディズニーランドは香港の名所が一つ増えたという程度の集客効果。ブームにはなっていない」と語る。
 「香港に敬意を込めて」。こう名づけられたキャンペーンが8日から始まった。1カ月間限定で、特区政府発行のIDカードを持つ香港住民の入園料を50香港ドル(約750円)引き下げた。不振の打開策との見方も広まったが、運営会社は「当初からの計画。開園から2カ月間の入園者数には満足している」と強調する。一方、旅行業者からは「年間パスを発行してほしい」などの要望も相次いでいる。
 香港中文大学の呂大楽教授は「東京ディズニーランドは国内客のニーズに応えて成功したが、香港は戦略が明確ではない。運営会社は情報の透明性を高めつつ、自らを省みる姿勢が必要だ」と指摘する。

◎中国新疆で新たな鳥インフルエンザ感染か、20万羽処分(2005年11月14日、産経新聞
 14日付中国系香港紙、大公報によると、中国新疆ウイグル自治区ウルムチ郊外とカシュガルで家禽(かきん)類が大量に死んだことが確認され、当局が鳥インフルエンザ(H5N1型)感染の疑い例として調べている。当局は周辺の鶏など20万羽を処分したという。
 同自治区では6月、塔城市で家禽のH5N1型感染が確認されている。
 同紙によると、ウルムチ郊外では今月11日の農業当局の検査で、鶏1400羽が死んだことを確認。死んだ鶏は9月と10月の2回、ワクチン接種していたため、当局は効果のない違法ワクチンが流通していなかったかどうかについても調べるという。(共同)

◎日本連合の受注が焦点に、中国高速鉄道、独が先行(2005年11月13日、産経新聞)
 中国が進めている高速鉄道計画でドイツの重電大手シーメンスがこのほど100編成(計800両)のうち60編成分を受注、ドイツと競争する形で応札している日本企業連合がどの程度受注できるかが焦点になっている。
 中国は昨年、在来線の高速化用車両200編成の入札を行い、川崎重工業など日本企業6社と提携する中国の車両製造大手「南車四方機車車両」(山東省)が60編成を受注、フランス、カナダの企業も受注した。
 今回は時速300キロの高速鉄道用と同200キロの準高速用の電車計100編成を発注。10月に日本企業・南車グループと、シーメンスと提携する中国企業の2グループが見積もりを出していた。
 シーメンスが受注したのは300キロの高速用で、2008年開業予定の北京―天津間の路線などに使われる予定。残る40編成は300キロ用と200キロ用が混在しているもようだが、最終的にどのような形で決着するかは予断を許さない。
 シーメンスは昨年の入札では価格面などで条件が合わなかったとされるが、今回は技術移転も約束、胡錦濤国家主席のドイツ訪問に合わせて受注を獲得した。フランスなどは今回の商談に参加していない。(共同)

◎円借款、新規打ち切り、中国、協議応ぜず、靖国・無償協力で対立(2005年11月7日、産経新聞)
 【北京=笠原健】二〇〇八年の北京五輪前までに新規供与を打ち切ることで日中両国政府が合意している中国への政府開発援助(ODA)の円借款に関する日中協議がストップしていることが六日、複数の関係筋の話で明らかになった。小泉純一郎首相の靖国神社参拝に反発する中国側が事務レベル協議に応じていないためだが、円借款の終結方法や無償協力の継続などをめぐって日中間の見解が対立していることが背景にある。 
 日中両政府は、町村信孝外相(当時)と李肇星外相が今年三月に電話で会談し、北京五輪前までに円借款供与を打ち切る方向で協議を進めることで合意した。
 四月に北京で開かれた日中外相会談でも、対中円借款を円満に終了するため事務レベルで協議を行う方針を確認していた。
 日本側は、昭和五十四年度から始まった対中ODAの主要部分である円借款供与の打ち切りにあたって、「双方が経済協力の成果を祝え、『有終の美』を飾れるものにしたい」(外務省幹部)としており、日中双方で「最終プロジェクト」を検討することにしていた。
 しかし、今春に中国国内で反日デモが頻発、小泉首相の靖国参拝問題の影響もあって「事務レベルでの協議はほとんど進んでいない」(同)状況にある。
 日本側は円借款の新規供与打ち切り後も、温暖化対策など環境問題に関する技術協力や文化無償資金協力に限って継続する方針だが、中国側は無償資金協力に経済発展に寄与するインフラ整備も含めるよう水面下で求めているという。
 来年度予算案編成を控えて、日本側は対中円借款に関する協議をすみやかに再開したい考えだが、「中国側が前向きに応じてくる保証はない」(日中関係筋)との見方も出ている。
 日本政府内では、対中円借款の新規供与を終えるにあたって、すでに交換公文を締結した案件で二〇〇八年度以降にまたがる事業を除き、北京五輪前までにすべて打ち切るべきだとの意見と、対中関係を考慮して一部例外を認めるべきだとの両論があり、結論は出ていないが、中国側がこのままの対応を続ければ、「即時打ち切り論」が勢いを増しそうだ。

◎中国の携帯電話利用者、3億7600万人(2005年11月6日、日本経済新聞)
 【北京6日共同】6日の新華社電によると、中国の携帯電話利用者はことし9月末時点で3億7600万人に上り、移動通信関連の産業が2005年の年間国内総生産(GDP)の約10%を占めるとみられることが明らかとなった。
 最近、上海で開かれた移動通信関連の国際会議でデータが発表された。それによると、携帯電話の利用者は08年には5億2000万人、10年には6億人に達すると予測されている。移動通信関連の市場規模はことし5兆元(約72兆円)に達する見通しだ。

◎中国・韓国:キムチで対立、両国製品に寄生虫卵(2005年11月2日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国中央テレビは1日、国家品質監督検査検疫総局が、韓国の大手食品会社5社の製造した韓国産キムチなどから寄生虫の卵が検出されたと発表した、と報じた。韓国では最近、中国産キムチから寄生虫の卵が見つかって問題となっており、今回は中国側が“反撃”に出た格好だ。
 同局によると、寄生虫の卵が検出された食品はキムチのほか、焼き肉のたれなど10製品。同局は食品会社5社の名前と商品名を公表、関連商品の輸入を即日停止した。今後は韓国から輸入された食品類の検査を強化するという。
 一方、韓国では10月中旬、中国産キムチ16製品のうち9製品から回虫など4種類の寄生虫の卵が検出された。9月には中国産キムチから鉛が検出された。
 中国外務省の孔泉報道局長は1日の定例会見で「中韓に発生した貿易問題は協議を通じて解決され、相互尊重の友好を基礎に貿易が発展し続けることを希望する」と述べた。

◎暴行警官に800人抗議、北京、車両を2時間包囲(2005年11月1日、産経新聞)
 北京市内の北京南駅近くで31日夕(日本時間同)、警官の暴行に怒った地方出身の住民約800人が、警官を殴った上、警察車両を約2時間にわたって取り囲んで抗議する騒ぎがあった。目撃者が明らかにした。
 昨年、全国で起きた暴動などの抗議行動は7万4000件発生しているが、首都でこうした抗議行動があるのは珍しい。貧富の格差拡大などへの民衆の不満は高まっており、きっかけさえあれば抗議行動がどこでも発生することを示した。
 目撃者によると、南駅近くで江西省の警察車両に乗ってきた警官隊が、中央政府などに直訴するため上京していた地方住民2人を拘束しようとして、素手で殴るなどした。これを目撃した周辺の直訴住民らが激高し、警官3人を殴りつけ、警察車両1台を取り囲んだ。
 群衆は「警察は庶民をいじめるな」「腐敗警官は出て行け」などと叫びながら、車両のタイヤをパンクさせたり、窓ガラスをたたくなどして抗議を続けた。駆け付けた北京の警官に説得される形で、約2時間後ようやく解散したという。
 裁判所などの陳情窓口がある南駅周辺には官僚の腐敗や農地の強制収用などへの不満を訴える地方出身者が約5000人滞在している。(共同)

◎遺棄化学兵器処理費、中国要求丸のみ巨額化(2005年10月31日、産経新聞)
・法外な森林伐採代償/プール付き宿舎
 中国に旧日本軍が遺棄したとされる化学兵器の廃棄処理問題で、中国側の要求を丸のみした結果、日本が拠出する処理費用が野放図に巨額化している実態が、内閣府の資料などからわかった。例えば施設建設に伴う森林伐採では、国際価格の数十倍という法外な代償を認め、要員宿舎はプール付きの豪華版としている。事業は今冬にも施設建設に入るが、費用の不透明性を残したまま見切り発車すれば、予算の垂れ流し、税金の無駄遣いにつながるのは必至だ。(長谷川周人)
 内閣府の予算関連資料によると、吉林省敦化市郊外のハルバ嶺で建設が予定される処理施設の「インフラ整備諸費」(共通施設分)に今年度、十八億五千万円近い予算が計上されている。
 避難路や要員宿舎の整備費用の一部に充当されるが、関係者によると、用地造成に伴う森林伐採で中国が要求した代償は「シラカバ一本百ドル」。しかし、シラカバは一般に製紙用以外に用途がなく「樹齢にもよるが二、三ドルが国際相場」(製紙業界関係者)とされ、日本は常識はずれの費用負担を強いられている。
 また、要員宿舎は「事業終了後の払い下げを見越し、地元当局から強い要望があった」(関係者)として、2LDKの豪華版で、プールなどのスポーツ施設が併設される予定だ。
 また、「環境関連諸費」(約千五百三十万円)の内訳をみると、「マクロ気象観測費」(約三百三十万円)と「ミクロ観測機器・機材整備費」(千二百万円)だが、気象観測といっても、中国軍の「気象専門員」が百葉箱を使い、気温や風向などを定時放送するというもの。日本側が「無意味に近い」と改善を要求したところ、中国側は「ならば地表温度なども計測しよう」と提案、新たな資材購入費として千二百万円を計上することになったという。
 このほか、中国はハルバ嶺に軍医療班を派遣しているが、絆創膏(ばんそうこう)一枚でも、日本人スタッフには「(解毒剤などが入った)段ボール三箱分の医薬品がセット売り」となる。しかも、なぜか産婦人科医を含む医師団は北京から送り込まれ、これら全経費が日本負担となっている。
 遺棄化学兵器の処理事業で、日本は今年度までに約九百七十億円を投入。処理方法を検討するなど準備を進めてきた。外務省によると、保管作業は昨年七月までに三万七千発分を終えた。
 今後は残る砲弾の回収と並行し、実処理を行う施設の建設に移るが、回収施設だけで九百七十三億円の建設費がかかることが判明している。このほか燃焼処理を行うメーンの前処理施設のほか、燃焼時に発生する汚染ガスの処理に環境対策費なども必要で、総事業費は「一兆円規模」との試算も出ている。
 しかし、遺棄砲弾数は二百万発と主張する中国は、その根拠すら示さず、情報開示を先送りしている。七十万発と主張してきた日本は独自調査に基づき三十万-四十万発と下方修正する方向だが、遺棄兵器の全容は見えていない。
 関係者からは「中国にとって処理事業は“金のなる木”。中国の機嫌ばかりを気遣う官僚の事なかれ主義を是正しなければ、いつまでも無駄な予算を垂れ流すことになる」と批判も出ている。

◎人民元4日連続上昇、7月切り上げ後の最高値更新(2005年10月28日、読売新聞)
 【北京=東一真】28日の上海外国為替市場の人民元相場は、前日終値より0.0022元の元高・ドル安の1ドル=8.0840元で取引を終え、7月の人民元レート切り上げ以降の最高値を更新した。
 このところ、中国人民銀行(中央銀行)関係者の人民元レートの一層の柔軟化を示唆する発言が続き、人民元相場は4日連続で上昇した。
 ただ、人民元切り上げの7月21日から、この日の最高値までの上昇率は0.32%にとどまる。

◎中国湖南省、H5N1型鳥インフルエンザで545羽死ぬ(2005年10月26日、日本経済新聞)
 【北京=桃井裕理】中国農業省は25日、中国湖南省で家禽(かきん)687羽が毒性の強いH5N1型の鳥インフルエンザに感染し、545羽が死んだとして国際獣疫事務局(OIE)に報告した。10月に入って中国でH5N1型の感染が確認されたのは内モンゴル自治区と安徽省に続いて3カ所目。
 感染は22日から湖南省湾塘村で広がった。当局はただちに周辺の家禽など約2487羽を処分した。

◎中国で鳥インフルエンザ確認、4万羽以上処分(2005年10月25日、読売新聞)
 【北京=末続哲也】中国政府は25日、安徽省東部の農村部でガチョウなど約2100羽が鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染し、うち550羽が死亡したと確認した。中国当局は感染拡大を防ぐため、周辺の4万羽以上を処分した。
 中国政府は今月20日にも、内モンゴル自治区フフホト市で、H5N1型への感染で飼い鳥約2600羽が死亡し、周辺の約9万1000羽を処分したことを確認していた。

◎中国:「光復節」60周年式典、中台一体化アピール(2005年10月25日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】日本の台湾植民統治が終了した「光復節」60周年を祝う式典が25日、北京の人民大会堂で開かれ、賈慶林・全国政治協商会議主席(共産党政治局委員)らが出席した。中国当局は、光復節関連の展覧会や討論会、関連書物の出版など台湾島内での「抗日の戦い」を強調しながら過去にない大規模な記念キャンペーンを展開。独立志向を持つ台湾の陳水扁政権への攻勢を強めている。
 賈慶林主席は、光復節の意義について「中華民族が屈辱から奮起した闘争の歴史を回顧するため」と指摘。また、台湾独立勢力が新たな憲法制定を通じて台湾の法的独立を実現しようとしていると陳総統を非難しながら「両岸(中台)の中国人が共同で台湾独立を阻止しなければならない」と述べ、台湾を含めた「中華民族の団結」を訴えた。式典には台湾第3野党で統一派「新党」の郁慕明主席も出席した。
 中国当局は今春以降、台湾の最大野党・国民党の連戦主席(当時)をはじめ、第2野党・親民党、新党の各党首を次々に招き、台湾野党との交流を進めてきた。
 胡錦涛国家主席は9月の対日戦争勝利60周年記念式典で、国民党の果たした役割を全面的に評価しており、当局は一連の光復節記念活動でも、「台湾同胞を含む全中国人が日本侵略者と勇敢に戦った偉大な勝利。台湾の史実は台湾が一つの国ではなく、中国の切り離すことの出来ない一部分と証明している」(25日付「人民日報」社論)と強調した。
 中国当局は「中台一体化」を強調することで、台湾問題が「内政問題」と国際社会に訴える狙いもある。日米両国が今年2月、台湾海峡の平和維持を「共通の戦略目標」に含めたことに強く反発した中国は、8月に初の中露軍事演習を実施し、台湾独立と日米安保同盟強化をにらんだ動きを強めている。
 ▽ことば(光復節) 1945年10月25日に台北市内で行われた蒋介石政権の陳儀(ちんぎ)・台湾省行政長官と安藤利吉・台湾総督が降伏文書の署名を行ったことを記念して設けられた日。陳儀長官は署名後、台湾の主権が国民党政権下に置かれると宣言し、この日から台湾は日本統治を離れた。

◎「遺棄兵器30~40万発」、政府修正答弁、中国主張の5分の1(2005年10月20日、産経新聞)
 旧日本軍が中国に遺棄したとされる化学兵器が、政府が当初説明していた約七十万発ではなく、三十万-四十万発にとどまることが十九日、分かった。内閣府の高松明・遺棄化学兵器処理対策室長が衆院内閣委員会で答えた。約二百万発とする中国の主張が科学的根拠を欠く不当な主張であることが裏付けられただけでなく、処理事業の見直しも迫られそうだ。
 高松氏は泉健太氏(民主)への答弁で、遺棄化学兵器について「三十万発から四十万発と推定している」と述べた。高松氏の前に答弁した細田博之官房長官は「約七十万発あり、そのうち、六十七万発余りが吉林省のハルバ嶺にある」としていたが、泉氏の指摘を受け、「推定だが三十万-四十万発ではないか」と修正した。
 日本政府は平成八年、化学兵器禁止条約に基づき、中国における遺棄化学兵器を約七十万発と申告していたが、十四年十月から十一月にかけ、埋設範囲と数量を正確に把握するため磁気探査を実施。中国外交部と日本政府が委託した民間業者が探査にあたった。
 その結果、実際には申告の約半分である三十万-四十万発と推定されたという。三年前に判明していた数量を明らかにしてこなかったことについて、内閣府は産経新聞の取材に対し、「今春の国際会議では三十万-四十万発と発言している」と意図的に情報を秘匿したわけではないと説明している。
 遺棄化学兵器処理事業で日本政府は、来年度から四年間で九百七十三億円をかけ、ハルバ嶺に処理関連施設を建設することを決定。事業は有償、無償資金協力を合わせた十六年度の対中政府開発援助(ODA)の新規供与額(約九百億円)と同規模の巨大プロジェクトとなっている。
 ただ、外務省OBの一人は「本来、旧日本軍から武装解除で引き渡しを受けた中国、ソ連に管理責任がある。そういう議論をきちんとやらずに国民に大きな財政負担を強いようとしている」と批判。複数の場所に処理施設設置を求める中国側の言い分を受け入れた場合、最終的な拠出額は一兆円を超えるとの日本側試算もあり、遺棄化学兵器の数量が半減したことは処理事業をめぐる今後の日中交渉に影響しそうだ。

・遺棄化学兵器
 先の大戦中に旧日本軍が対ソ連戦に備えて中国に持ち込んだ化学兵器の未処理分。装填(そうてん)された化学剤は、糜爛(びらん)剤(マスタード)など6種。中国は1997年に化学兵器禁止条約を批准し、日本は2007年までに全面廃棄の義務を負った。

◎遺棄化学兵器の回収施設建設費、200億円膨らみ973億円、中国試算(2005年10月17日、産経新聞)
 旧日本軍の遺棄化学兵器を処理するため日本が中国に建設する廃棄処理施設のうち、発掘回収施設の建設費用が、当初予算から約二百億円膨らみ九百七十三億円と試算されていることが十六日、分かった。今後も廃棄処理に関する予算は増大する可能性もある。
 内閣府によると、廃棄処理施設は遺棄砲弾の九割以上が埋設されている吉林省・ハルバ嶺に建設される。
 このうちの発掘回収施設は、遺棄された砲弾を爆発しないように安全に掘り出すための施設。平成十五年度に、日本政府が委託した日本の業者が「基本設計」を行い、総額七百八十億円と試算。二十年度までの国庫債務負担行為として、今年度に一部予算を計上した。
 ところが、その後の日中協議を経て、中国国内の建設基準などに基づく詳細な「初歩設計」を中国企業に委託したところ、総額が増加した。このため内閣府は、今年度予算を返上し、改めて来年度予算から建設費を計上する方針だ。
 廃棄処理施設の建設をめぐっては、関税の免除や建設許可に関する中国側の事務作業が遅れており、内閣府の江利川毅事務次官が十一日から十五日まで中国を訪れて、迅速化を要請している。

◎中国製の模倣品販売、ロゴも酷似、ヤマハが米3社を提訴(2005年10月14日、産経新聞)
 ヤマハ発動機は12日、同社製品を模倣した2輪車などを米国内で販売したとして、米国の2輪車販売会社「ヤモト・モーター」など3社に対し損害賠償を求める訴訟をロサンゼルス地裁に起こした。
 訴えによると、3社はヤマハの2輪車や4輪バギー車を模倣した中国製の製品を販売、会社のロゴもヤマハと類似したものを使用するなどしてヤマハに損害を与えた。ヤマハ側は懲罰的賠償と模倣製品の廃棄命令を求めているが、賠償請求額は未定という。(共同)

◎重慶で数千人デモ、倒産企業不払い巡り、2人死亡(2005年10月10日、読売新聞)
 【香港=吉田健一】香港紙「太陽報」が9日報じたところによると、中国・重慶市で7日、自己破産を宣言した国有企業「重慶特殊鋼鉄」の元従業員や家族ら数千人が警官隊と衝突、民衆側の2人が死亡、22人が負傷した。
 元従業員らは6日午前、市庁舎前で、解雇された際に一時金が支給されなかったことに対する抗議活動を開始。その後、同社前の路上に座り込んで、約3000人の警官隊と対峙(たいじ)した。
 当局は7日午前になって強制排除に乗り出し、衝突が起こった。デモを主導していた9人の身柄が拘束されたという。同社が倒産したのは7月。以後、大規模な抗議デモが断続的に行われていた。
 中国では、貧富の格差拡大などに不満を強める民衆が当局と衝突する事態が相次いでいる。昨年10月には四川省で土地収用に反発した農民数万人と治安当局が衝突して1人が死亡した。

◎中国:100人以上がコレラ感染(2005年10月9日、毎日新聞)
 8日付の香港紙、明報などによると、中国浙江省嘉興市でコレラが流行、先月上旬からの感染者は100人以上に達した。中国では毎年、各地でコレラ感染が確認されているが、今回は特に大規模という。死者が出ているかなどは不明。
 報道によると、河川や井戸水を通じ感染が拡大したとみられ、衛生当局が食品や水などの監視を強めているという。(香港・共同)

◎「冷静に考えて回答を」、離婚急増で質問票導入、北京(2005年10月7日、朝日新聞)
 離婚が激増している北京で「別れる前に冷静になってほしい」と、手続きに質問票の記入を義務づけることになった。子どもの養育や財産分与をめぐって離婚後にもめたり、「本当は別れるつもりがなかった」などと離婚の取り消しを求める裁判が増えたりしたためだ。
 北京各紙によると、市民政局はこのほど、従来は署名した書類を提出するだけだった離婚手続きについて、7項目の質問に答えなければならないとする規定を公布した。「子どもの養育について合意したか」「財産についてだれが所有権を持つか」などに、夫婦がそれぞれ自分で回答しながらもう一度慎重に考える機会をつくるのが狙いだ。
 昨年、北京で結婚の手続きをしたのは12万7391組で、離婚は2万1225組。結婚は前年に比べ約4割増だったが、離婚は倍以上に増えた。

◎重慶市で大規模デモ、広島市長ら参加予定のサミット前に(2005年10月6日、朝日新聞)
 香港紙「明報」は5日、中国重慶市で国営鉄鋼工場の労働者が賃金不払いなどに抗議する大規模なデモを繰り返していると報じた。重慶市では12日から、秋葉忠利・広島市長らが参加を予定しているアジア太平洋都市市長サミットが開幕することになっており、市政府が事態の沈静化に乗り出したという。
 報道によると、抗議しているのは6月に自己破産申請した「特殊鋼鉄公司」の労働者ら。8月に2000人規模のデモが起きて警察と衝突したのに続き、このほどさらに多数の従業員らが抗議行動に出たという。
 市長サミットには約40の国・地域から約100人の首長が集まる予定。

◎公衆トイレ、300メートルごとに、万博にらみ上海市(2005年10月3日、朝日新聞)
 上海市当局は2020年までに、300メートルに1カ所の割合で新たに公衆トイレを設ける、と決めた。市中心部に約800カ所を増設し、どこにいても3分以内でたどり着けるようになる。人口1700万人の上海はこれまで、公衆トイレの少なさが市民や観光客の悩みの種だった。
 市都市計画管理局によると、04年時点で市内の公衆トイレの数は計3781カ所。うち中心部には1601カ所で、平均すると1万人に2.2カ所の割合だ。北京では同5.5カ所で、中国の他の大都市に比べても少ない。とくに観光スポットやオフィスビルなどが集まる市中心部では圧倒的に足りない状態だ。
 同市が新たに設ける公衆トイレは、敷地の確保が難しいこともあり、地下鉄の駅や地下道、既存のビルの一部なども利用。トイレの面積は場所に応じて異なるが、いずれも個室の水洗式とする方針だ。08年の北京五輪や10年の上海万博の開催をにらんだ措置だという。
 同局は「トイレは市民生活にとって必要不可欠だ。国際都市として誇れる街づくりを目指したい」と話している。

◎幻滅!?「夢の国」、香港ディズニーランド(2005年10月2日、産経新聞)
 ≪立ち小便、座席争い殴り合い、マナー悪く≫
 【北京=福島香織】9月12日にオープンしたばかりの香港ディズニーランドが早くも悪評にさらされている。中国人客のマナーの悪さに加え、大気汚染や高い料金とで、夢の国はすっかり色あせた格好。上海にディズニーランドを誘致する計画も取りざたされており、香港政府が投じた224億5000万香港ドル(1香港ドル=約15円)あまりの回収を危ぶむ声は少なくない。
 「これがディズニーランドとは思えない」
 香港現地記者はそう指摘した。所かまわず子供に立ち小便をさせる母親、禁煙区でたばこをふかし、たんを吐き散らす男たち。9月18日には、演劇の座席をめぐり男性2人が殴りあいのケンカをして上演が30分遅れる事態もあった。
 全体の3分の1を占める中国本土からの客にとっては、175-350香港ドルの入場料やミネラルウオーター1本10香港ドルはばか高い。「金額に見合うサービスでなかった」と、入場料と交通費の返還を求める裁判まで起きる始末だ。
 スタートからつまずいていた。12日の開幕式は今年最悪のスモッグに襲われ「呼吸疾患のある人は室内で待機しなければならなかった」(28日付青年参考)。テーマパークのあるランタオ島は自然豊かなリゾート地だったが、大気汚染だけでなく海洋汚染で近海に生息する野生のピンクイルカへの影響などが懸念されている。
 香港政府は、年間入場者を600万から1000万人と見込んで12年以内に投資の回収は可能とそろばんをはじく。しかし、香港科技大学工商管理学院経済発展研究センターの雷鼎鳴主任は中国紙上で「たとえ毎日3万人が入場しても、年間利益はわずか10億香港ドル」と見通しの甘さを指摘する。
 これに追い打ちをかけたのが、香港の4.7倍の規模を持つ上海ディズニーランド構想だ。上海市はすでに土地を用意しているとされる。
 ディズニー側は今後5年以内にアジアで新たなテーマパーク建設はないと言明するが、香港紙・信報(15日付)は「香港だけでも集客が困難なのに、上海ディズニーランドができればその末路は想像に難くない」と、危機感を募らせている。

◎中国:汚職疑惑の村長罷免、当局の圧力で住民撤回(2005年10月2日、毎日新聞)
 【香港・成沢健一】中国広東省の村で、汚職疑惑が浮上した村長を住民運動で罷免することがほぼ確実となったものの、地元当局の圧力によって住民側が罷免要求を撤回させられていたことが分かった。一時は「農村自治のモデル」として注目を集めた村だが、1日付の香港各紙は当局によって民主が砕かれたと報じている。
 この村は工場の建設が相次ぐ広州市番禺区の太石村。今年7月、陳進生村長(村民委員会主任)の土地使用権売却や資金管理をめぐる不正が発覚し、村民が罷免を要求。9月には新村長を決める選挙委員会のメンバー7人が村民の投票で選ばれ、村長の罷免を求める候補者7人が当選した。
 しかし、当選者はその後に相次いで辞任し、7人とも当局が推薦した候補者と交代。さらに村民が提出した罷免要求の名簿584人分のうち、396人が撤回した。罷免要求は有権者(1502人)の5分の1以上の要件を満たさなくなり、7日に予定された選挙委員会による村長選挙が実施されないことになった。
 報道によると、住民運動にかかわった村民の一部を拘束した地元当局が、釈放条件として罷免要求撤回を村民に迫ったという。香港紙「りんご日報」は「罷免が成功すれば各地に飛び火する可能性があり、当局があらゆる手段を講じて運動を封じ込めた」とする人権団体の見方を伝えた。

◎村長リコールあえなく撤回、圧力か、辞退者続出、中国(2005年10月2日、朝日新聞)
 村長解任を求める署名運動が起きていた広州市番禺(パンユイ)区魚窩頭(ユイウオトウ)鎮の太石(タイシー)村で、「(リコールの有効署名者)584人のうち396人が要求を撤回したため法定人数に届かなくなった。法律に基づき罷免要求の撤回を決めた」との公告が村の選挙委員会から出されたことが9月30日明らかになった。解任手続きの開始を認めた鎮政府の決定を覆すもので、このままだと運動は頓挫する公算が大きくなった。
 鎮政府は11日の公告で解任手続きを認めていたが、村の選挙委員会が29日発表した公告は「(リコールに賛成した)村民の一部が撤回を申し出たため調査したら、最終的な罷免要求は188人で、全有権者1502の5分の1に達しない」とした。
 30日付の広州市の共産党機関紙・広州日報は「番禺区政府が調べたところ、村幹部が公共財産を懐に入れるといった問題はなかった。リコールの理由はなくなり、村民が相次いでリコールを撤回した」として、鎮政府より上級の区政府が決定にかかわったことを明らかにした。
 鎮政府の公告で始まった解任手続きは16日、選挙委員会委員を選ぶ選挙で、村民代表の7人が当選したが、その後全員が「健康」や「能力」を理由に辞職、今は当局の意向を受けた人が入っているという。
 香港の星島日報は1日、「当局の圧力の中で解職運動が流産した」と、リコールをめぐる動きを批判的に報道した。

◎中国、炭鉱規制を強化、事故隠蔽・汚職の温床(2005年9月30日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国で炭鉱規制強化の大号令がかかっている。近年の電力不足を背景にした炭鉱景気にあおられ、無理な生産で事故が多発しているためだ。しかし、中央政府の命令に従わず事故を隠蔽(いんぺい)するケースは後を絶たない。背景には根深い汚職構造も指摘されている。
 中国で昨年発生した炭鉱事故による死者数は六千二十七人、今年上半期では二千六百七十二人と発表されている。国家炭鉱安全監察局はこのほど、安全上の問題を理由に全国炭鉱の30-35%にあたる七千六百五十九の炭鉱に生産停止を命じた。しかし、山西省の炭鉱関係者は「死者一、二人の小規模事故は報告されない。実際の死者数はこの数倍にのぼるはず」とみる。
 同関係者によれば、賃金は採掘量に比例して支払われるため、作業員自身がガスが発生しても危険を冒して作業継続を望むケースが多い。炭鉱側もガス発生や出水のたびに作業を中断し生産性を落とすより、報奨金を出して危険な作業を奨励している。
 死亡事故が発生しても「炭鉱で働くのは貧しい農民などが多く、多少の補償金で遺族は沈黙する。また遺族に支払う数十倍の金が地元政府幹部の接待や取材記者の口封じのために使われている」と話す。河南省汝州市で七月に発生した炭鉱事故では、地元当局が記者五百人に合計約二十万元(一元=約十四円)の口封じ料を支払っていたことが地元紙で報じられたが、これは氷山の一角のようだ。
 事故発生時に隠蔽に協力してもらうため、炭鉱株主に地元政府幹部を迎えるやり方も一般的。中国時事週刊誌、生活週刊は、八月に出水事故で百二十三人の死者を出した広東省興寧市の炭鉱は六十五人の株主がいたが、地元政府幹部や安全監察当局幹部が含まれていたようだと報じている。
 中国当局は違法炭鉱の閉鎖を命じるとともに、これまで月給千元前後だった炭鉱作業員の最低賃金を三千元以上、数万元が相場とされていた死亡時の補償金を最低二十万元に引き上げるなど改善を指示。また、国務院は違法操業や事故隠蔽に関する罰則などを盛り込んだ特別規定を発表するとともに、九月二十二日を期限に、公務員に非上場の炭鉱株取得を禁じる通知を出すなど規制強化を打ち出した。
 しかし、「閉鎖を命じられた炭鉱の生産能力は約四千五百万トン。これに規制強化が加わり来年は七千百万トン前後の減産が予想されるが、新設の火力発電所稼働により新たな石炭需要は四千万-六千万トンにのぼる」(証券日報)とされ、違法炭鉱すべてが閉鎖になれば国内は深刻な石炭不足に直面する。
 さらに失業者急増で社会不安も起こりかねず、現に強制閉鎖された広東省興寧市の炭鉱では八月、操業再開を要求するデモを行った作業員千人と警官が衝突する事態が発生している。
 こうしたことから、炭鉱関係者の間では「炭鉱規制強化は一時的なものですぐ緩む。あるいは隠蔽が巧妙になるだけ」との見方も強い。「くびになっても炭鉱投資はやめない」という地方公務員の発言も飛び出している。

◎腐敗幹部3万人を処分、中国(2005年9月29日、産経新聞)
 28日の中国の華僑向け通信社、中国新聞社電によると、中国共産党中央規律検査委員会は、第16回党大会が開催された2002年11月以降、全国で腐敗幹部約3万人を処分したことを明らかにした。
 このうち、局長級以上が約100人、中級幹部が約2000人。
 企業幹部の違法兼任や、違法な金銭授受などを行ったという。(共同)

◎中国、10月に時速300キロ高速鉄道車両入札・日独が応札へ(2005年9月29、日本経済新聞)
 【北京=宮沢徹】中国鉄道省は10月10日、時速300キロメートルで走行する高速鉄道車両の入札を実施する。事業規模は2000億円前後の見通し。昨夏に200キロメートル車両の入札を実施したが300キロメートルは初めて。経済発展のボトルネックとされる鉄道輸送力不足の解消を急ぐ。日独の鉄道関係企業が中国企業と組み応札する予定。巨大市場を巡る外資企業の争いが激しさを増しそうだ。
 入札対象は時速300キロメートル車両だけでなく時速200キロメートル車両も含まれており、合計100編成800車両。対象路線は未定だが、湖北省武漢~広州のほか、北京~上海の一部区間になるとみられる北京~天津、上海~江蘇省南京などが含まれる可能性があるという。

◎人民元、ドル以外との変動幅3%に拡大(2005年9月23日、日本経済新聞)
 【北京=吉田忠則】中国人民銀行(中央銀行)は23日、円やユーロなどドル以外の通貨と人民元の1日の変動幅を現行の上下1.5%から同3%に広げると発表した。7月21日に元を対ドルで2%切り上げたのに続く為替制度の見直し。7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議を控え、改革姿勢を訴える狙いとみられる。
 元相場は現在も通貨当局が市場に介入し、ドルとほぼ連動させている。現行制度の矛盾は、例えばドルが円に対して1日で数%下落した場合、人民元は円との間で1.5%しか変動することができず、市場にゆがみが生じる恐れがあった。
 実際、9月2日には元がユーロに対し1.4%下落するなど1日の変動幅を1.5%に制限するのは難しくなっていた。元の対ドルの変動幅は当面、上下0.3%のままとする方針。7月21日以降の元ドル相場の変動は1日当たり実際は同0.1%以下にとどまっており、人民銀は元をドルに対して急激に変動させる考えはないとみられる。

◎中国漁船に砲撃、1人死亡、インドネシア海軍(2005年9月22日、産経新聞)
 中国外務省の秦剛副報道局長は22日の定例記者会見で、インドネシアの海域で操業していた中国漁船が19日、インドネシア海軍から砲撃を受け、1人が死亡、2人が負傷したと発表した。船員はいずれも中国人で、負傷者を含む約10人が同海軍に拘束されたという。
 副局長は中国外務省などがインドネシア当局に「非人道的行為に対する強烈な不満」を表明し、速やかに真相を解明するよう申し入れたことを明らかにした。その上で「インドネシア政府が武力の乱用防止と類似事件を再発させないよう保証することを希望する」と述べた。
 22日付の中国各紙によると、砲撃を受けた漁船はインドネシア海域で不法操業をしていた。同海軍の停船命令を無視し逃走しようとしたところを砲撃されたという。(共同)

◎中国、独禁法制定へ、民間参入の環境整備(2005年9月22日、産経新聞)
 中国商務省は22日、中国訪問中の日中経済協会代表団(団長・千速晃新日本製鉄会長)との会談で、独占禁止法制定に向け準備を進めていることを明らかにした。早ければ2006年の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で成立する見通し。
 中国はエネルギーや鉄道などを中心に国有企業の独占状態が続いており、価格が高いなどの弊害を指摘する声が強い。インフラ関係にも民間企業が参入しやすい環境を整備する一環として独禁法制定を位置付けている。
 商務省条約法律局の李玲審議官は「独禁法について国務院(政府)で審議しており、その後全人代常務委員会に出すことになっている。日本の専門家からも有益な意見を聞いた」と述べた。
 また会談で商務省の安民次官は、今年1~8月の日中貿易の総額が前年同期比10.2%増の1174億ドルと、中国の貿易全体の伸び(23.5%増)を大きく下回ったことに不満を示した。小泉純一郎首相の靖国神社参拝や、中国での反日デモなど政治関係の悪化が経済にも影響しているとの見方を示唆したとみられる。(共同)

◎不正抗議の村民追い払う、警察、「証拠」持ち去る、中国(2005年9月13日、産経新聞)
 中国広東省広州市番禺区の農村地帯で12日、役場幹部による公金不正処理があったとして抗議行動を続けていた村民らを警官ら約1000人が放水などで追い払い、村民側が保管していた村の会計資料を持ち去った。13日付の香港紙、明報などが伝えた。
 報道によると、村民側の一部は暴行を受け、約50人が拘束されるなどして消息が不明になった。村民側は幹部の不正の「証拠」が改ざんされる可能性があると指摘している。
 村民側は幹部の罷免などを求めて7月末から抗議を開始。地元当局は今月10日、村民らの罷免要求を認めると発表したが、村民側は関係資料改ざんを警戒し、罷免手続きに必要な会計資料の提出を拒んでいたという。(共同)

◎「大成功」のはず中ロ演習、実は死者8人(2005年9月9日、朝日新聞)
 鳴りもの入りで実施され、「大成功」を収めたはずの合同軍事演習で重大事故続発――ロシア紙コメルサントは8日、中国とロシアの初の本格的な合同軍事演習として先月、中国・山東省などで行われた「平和の使命2005」をめぐり、演習中の事故で8人が死亡していた、と報じた。
 同紙によると、死亡事故が起きたのは8月24日の黄海沖での上陸演習の時。中国軍の水陸両用軽戦車2台が沈没、兵士8人が死亡したという。
 戦車は古い50年代のものを改造し、大きな砲を乗せたため車体が重くなったのが原因らしい。悪天候もあり、ロシア軍の戦車も1台沈んだが、乗っていた兵士8人は何とか脱出したという。
 その翌日にあった空挺(くうてい)部隊の落下傘降下演習でも、中国軍の兵士20人以上が負傷。ロシア兵の1人はパラシュートが開かず、同僚につかまって降下し、惨事を免れたという。また、同紙は、演習のため中国へ向かう途中のロシアの駆逐艦から暗号解読兵1人がいなくなったが、軍事機密にかかわることから、軍内では通信兵の事故として処理された、と報じた。

◎中国から北朝鮮に違法資金か、米当局が調査と香港紙(2005年9月8日、産経新聞)
 8日付香港英字紙エイシャン・ウォールストリート・ジャーナル紙は、中国の商業銀行大手、中国銀行とマカオの銀行2行が、北朝鮮側に違法な資金供与をした疑いで米当局の調査を受けていると報じた。米当局は、中国側の資金が北朝鮮の核開発計画に使われた疑いもあるとみているという。
 報道が事実なら、13日前後にも予定される第4回6カ国協議や、中国銀の海外市場への上場計画に影響を与える可能性がある。中国銀は同紙に対し「調査については知らない」と答え、他の2行はコメントを避けた。
 同紙によると銀行に対する調査は、薬物や偽米ドル札などの製造を通じ、本国に違法資金を提供していた北朝鮮系の貿易会社などへの捜査を端緒に始まった。(共同)

◎炭鉱事故で17人死亡、中国・山西省、命令無視し操業か(2005年9月7日、産経新聞)
 中国国家安全生産監督管理総局は7日、中国山西省中陽県の炭鉱で6日に火災が発生し、現場の作業員17人がやけどなどで死亡したと発表した。
 新華社電によると、事故が起きた炭鉱は、安全対策が不十分として8月25日に政府から操業中止を命じられていた。命令を無視した規定違反の操業とみられ、地元警察は炭鉱経営陣6人を拘束した。(共同)

◎月餅:中国政府が「国家基準」策定、過剰包装を是正へ(2005年9月7日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】旧暦8月15日の中秋節に贈り物にする習慣のある月餅(焼き菓子)の包装が年々過剰になってきたため、中国政府は「国家基準」を策定し、来年から強制的に順守させることを決めた。中国では、エネルギー不足やゴミ問題などが深刻化。循環型社会の建設に向けて「節約」がキーワードになっており、月餅にも節度を求めた形だ。
 今年の中秋は9月18日。中国のデパートなどでは月餅が大々的に売り出されている。経済発展に伴い、人々のし好の多様性に合わせたさまざまな月餅が登場。伝統的な塩漬け卵黄の入った月餅のほか、朝鮮ニンジン月餅やフルーツ月餅、フカヒレ月餅、アイスクリーム月餅などが話題を呼んでいる。
 一方で、過剰包装も社会問題化してきた。紙でチョウをかたどった小箱に月餅を入れるなど外見の華やかさが追求され、値段も年々高くなってきた。中国では知人や親族のほか、取引先や関係の深い行政機関の幹部らに月餅を贈る例も多く、見栄えがする包装が好まれてきたからだ。
 策定された「国家基準」では、▽包装の原価が月餅の出荷価格の25%を超えてはならない▽月餅1個ずつの包装では、包装の中にできる空き部分は35%を超えてはならない▽包装した月餅と外箱とのすき間が2.5センチを超えてはならない--などが規定されている。

◎中国「成長、年9%以上」・新5カ年計画(2005年9月7日、日本経済新聞)
 【北京=桃井裕理】中国が10月の共産党中央委員会第五回全体会議(五中全会)で決める2006年からの第11次5カ年計画草案で、経済成長率を年平均9%以上とする方向で検討していることが明らかになった。雇用確保などを重視して高めの経済成長を維持する。エネルギー浪費体質を抱えたまま高成長を続ければ、世界経済の波乱要因となるだけに、今後は効率や質を重視した発展モデルへの転換を図る考えだ。
 現行の第10次5カ年計画(2001~2005年)で想定した経済成長率は年平均7%前後だった。実際には03年10~12月期以降、9%を大きく上回る成長が続き、5年間の平均成長率は9%前後となる見通しだ。

◎中国が戦勝60周年式典、元兵士ら6千人参加(2005年9月3日、朝日新聞)
 中国の戦勝60周年を祝う「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利60周年」記念式典が3日、北京の人民大会堂で開かれた。胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席、温家宝(ウェン・チアパオ)首相ら国家指導者のほか、抗日戦争を戦った元兵士らを含む約6000人が参加した。江沢民(チアン・ツォーミン)前国家主席のほか李鵬(リー・ポン)前全国人民代表大会常務委員長、朱鎔基(チュー・ロンチー)前首相ら前指導部も久しぶりに公式の場に姿を見せた。
 式典には、外国首脳は招かれていないが、日本の阿南惟茂大使ら各国の駐中国大使らが出席した。

◎セクハラ禁止法:女性の権利保護・強化を目指し採択、中国(2005年8月28日、毎日新聞)
 【北京・飯田和郎】中国全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は28日、女性へのセクハラ禁止などを盛り込んだ「女性権利保障法」の改正案を採択した。女性の権利保護・強化を目指すもので、セクハラの禁止が法律に明記されたのは、中国では初めて。12月1日から施行される。
 新華社通信によると、改正法は(1)セクハラを受けた女性に職場や関係機関に被害を訴える権利を認める(2)女性に対する家庭内暴力を禁止し、警察などに家庭内暴力の予防や制止努力を負わせる(3)学校に学生の選抜時の性差別をさせない--ことなどを規定。同法による「男女平等を基本的な国策とする」(新華社)としている。
 中国では、最近の世論調査で女性の84%が「セクハラ被害を受けた」と答えるなど、性的嫌がらせが問題化している。また、女性に課せられた産児制限などに対し、米国の人権団体などは「女性への人権侵害」と抗議しており、改正法は9月5日からの胡錦涛国家主席の訪米を前に、女性重視の姿勢を示し、米国の批判をかわす狙いもありそうだ。
 温家宝首相は今月開かれた会合で「女性と子供の合法的権利を適切に保障し、中国の女性・児童事業の健全な発展を推進する必要がある」と強調していた。

◎工作機械各社、中国生産を拡大・現地の需要に対応(2005年8月24日、日本経済新聞)
 工作機械大手が中国工場で増産に乗り出す。現地で引き合いの強いNC(数値制御)旋盤やマシニングセンター(MC)など、汎用機の生産台数を従来の1.3~2倍に増やす。日本国内の受注が好調で、世界最大の工作機械市場である中国への輸出を増やす余力も乏しい。各社は現地の生産能力を増やし顧客開拓に力を入れる。
 最大手のヤマザキマザックは今年末以降、全額出資する「小巨人机床」(寧夏回族自治区銀川市)の生産台数を従来の約1.5倍の月70台とする。15億円を投じ、機械24台の工場設備を35台に増強中。260人の人員も360人に増やす。月産百台体制を見据え、既に用地を確保した。

◎中国、国連人権調査官の訪問受け入れ、11月下旬に(2005年8月24日、産経新聞)
 AP通信によると、ジュネーブの国連人権委員会当局者は23日、中国が、国連人権委の特別調査官が人権弾圧や拷問疑惑の調査のために同国を訪問することを初めて承認したことを明らかにした。
 マンフレッド・ノワク人権委特別調査官が11月21日から12月2日まで訪中し、中国政府当局者と会談、収容所を視察する。ノワク調査官は調査結果をまとめ、来年の国連人権委会議に報告書を提出する。
 中国は1996年に拷問を法律で禁止したが、その後も拷問が広く行われているとの疑惑が持たれている。(共同)

◎ウラン鉱山の核汚染を直訴、公安に拘束、中国(2005年8月19日、産経新聞)
 ニューヨークに本部を置く人権団体「中国人権」は19日までに、中国甘粛省のウラン鉱山をめぐる不正と環境への核汚染の実情を中央政府に直訴するため北京に滞在していた男性が、公安当局に拘束されたまま行方不明になっていると発表した。
 男性は、甘粛省甘南チベット族自治州にある「792ウラン鉱山」の従業員で、4月28日に北京市の北京南駅近くで拘束された。
 男性は、経営者と省の官僚が結託して「資源が枯渇した」として2002年に閉山手続きを取りながら、実際は採掘を続けて巨額の不正利益を上げていることや、廃棄物を河川に流すなどして深刻な核汚染を引き起こしていると訴えていたという。
 中国人権は中国政府に対し「著しい人権侵害」として男性の釈放を求めるとともに、核汚染に対する対策を講じるよう要求した。(共同)

◎中国・蘇州で豚連鎖球菌感染例か、四川省以外では初(2005年8月17日、産経新聞)
 中国江蘇省蘇州市の衛生当局者は17日、同市内で最近、豚連鎖球菌に感染の疑いがある男性2人の死亡例が見つかったことを明らかにした。豚連鎖球菌の感染はこれまで四川省で広がっていたが、蘇州での感染が確認されれば、四川省以外で初めてとなる。
 衛生当局者によると、感染したのはいずれも蘇州市に住む男性で、今月初めに発症、敗血症などで死亡した。当局者は「江蘇省の衛生当局に報告した。感染経路は分からない」と話している。
 蘇州には日本人約5000人が在住。管轄する上海の日本総領事館は「聞いていない。これから確認する」と話している。豚連鎖球菌の感染は6月から四川省で拡大。これまでに200人以上が感染し約40人が死亡、世界保健機関(WHO)も動向を注視している。(共同)

◎人民元:変動幅上下2%への拡大提言、中国発展改革委(2005年8月16日、毎日新聞)
 中国国家発展改革委員会は15日までに、7月に切り上げられ管理フロート制に移行した人民元の変動幅について、現在の基準値の上下0.3%から上下2%に拡大することも検討すべきだとの研究報告をまとめた。
 報告は中国の経済運営の中で、財政規模が大き過ぎて通貨政策との整合性が取れていなかったなどの問題点を分析、政策面での改善を提言した。経済発展の不確実性を取り除く上で、通貨政策主導の調整に移行すべきだとし、元の変動幅拡大や金利引き上げなどを提案した。(北京・共同)

◎中国人民銀行:都市の不動産バブルを警告、初の報告で(2005年8月16日、毎日新聞)
 中国人民銀行は16日までにまとめた初の中国の不動産金融報告で、上海など一部大都市の不動産バブル傾向を指摘、リスクを軽視すべきではないと強く警告した。
 報告によると、04年末の不動産関連の貸出残高は2兆6300億元(約35兆6100億円)と前年比22.8%も増加、長期融資の34%に達した。
 04年に上海中心部の新築住宅の価格が前年比27.5%上昇したほか、高額物件の伸びが全国的に高いことなどを挙げ、バブルが崩壊した場合、銀行経営にも大きな影響が出ると警告した。
 自己資金の少ない不動産会社は、資産全体の7割を銀行融資に依存しているため、大きな潜在的リスクを抱えていると分析。国有商業銀行の不動産関連融資の内容をみても、個人向け住宅ローンの不良債権比率が1.5%と低いのに、不動産会社向けは10%を超えていた。
 人民銀は、不動産会社が引き締めを逃れるため、社員に個人ローンを組ませるなどの「偽住宅ローン」の横行といった問題も指摘。融資の厳格化や税制などの手段で投機を抑制するとともに、低価格住宅の提供を増やすことを提言した。(北京・共同)

◎猛暑続く上海、缶酎ハイが人気(2005年8月16日、朝日新聞)
 猛暑が続く上海で、缶酎ハイが人気だ。キリンビバレッジが6月中旬に発売した「氷結」が7月末までに100万缶以上売れて、同社の予想を上回る勢いという。
 業界初の現地生産。日本よりアルコール度数を抑え、甘みを強調した。ただ、表面に凹凸のある独特の缶は日本からの輸入で、小売価格1缶5.5元(約75円)のうち2元を占めるという。テレビや地下鉄の広告のほか、繁華街で20万缶余りを無料配布。20代後半から30代を中心に、新しいモノ好きの上海人に支持されたようだ。

◎香港、奇病の不安広がる、四川省産豚の販売自粛(2005年7月28日、産経新聞)
 中国四川省で豚の連鎖球菌に人が感染して死亡するケースが6月以降相次ぎ、生鮮食料品の中国依存が強い香港で不安が広がっている。現在のところ、当局は輸入を禁止してはいないが、大手スーパーは急ぎ、同省産冷凍豚肉の販売を自主的に見合わせた。
 地元紙によれば、香港で売られている冷凍豚肉のうち2割程度が四川省産という。(香港 時事)

◎上海ガニ、料理店から減る?特定外来生物に指定へ(2005年7月28日、朝日新聞)
 中華料理の高級食材として知られる上海ガニ(チュウゴクモクズガニ)が、許可なしに輸入、保管などができない特定外来生物に指定されることになった。国内種保護のためだが、輸入や卸業者だけでなく、生きたまま調理する中華料理店も許可を受けなければならなくなる。手続きを嫌って扱いをやめる店が出る可能性もある。
 環境省が27日、方針を固めた。8月5日の専門家会合で上海ガニを含む42種類の指定候補リストを決定。閣議決定を経て年内にも適用される見通しだ。
 指定されると、輸入、運搬、保管などに、それぞれ国の許可が必要。無許可だと、個人は3年以下の懲役や300万円以下の罰金、法人は1億円以下の罰金が科される。
 同省によると、上海ガニは中国・朝鮮半島原産で、欧米では川岸や土手に巣穴をあけて堤防を決壊させたり、魚を食べて漁業被害を引き起こしたりする例が報告されている。水質汚濁など環境悪化に強く、中国では1000~1500キロの川を遡上(そじょう)するなど移動能力も高い。国内に定着した例はないが、福島、山形、千葉の各県では養殖もしている。
 今年1月に第1次指定候補を決めたときは「食料として輸入されている」として見送られたが、その後の専門家らの意見で、在来のモクズガニへの影響を心配する声が強まった。
 同省によると、国内で消費される上海ガニの大半が中国からの空輸。例年10月から2月にかけて輸入され、取扱量の多い業者で年間20~40トン程度。輸入業者から卸業者、中華料理店と売り渡されるケースがほとんどで、一般消費者への小売りは極めて少ない。酒に漬ける「酔っぱらいガニ」や姿蒸しなど生きたまま調理されることが多い。
 同省はシーズンごとの輸入、販売量をあらかじめ申告させて一括で許可する考え。シーズン終了後に「精算」する形など「できるだけ簡素化する」としている。
 毎年「上海ガニフェア」を開催している横浜中華街にある料理店主は「手続きも分からないので、影響はその時にならないと何とも言えない」と話している。

・特定外来生物2次指定候補の42種類
 【哺乳(ほにゅう)類】アメリカミンク、ハリネズミ属、シカ亜科、キタリス、タイリクモモンガ、マスクラット
 【両生類】シロアゴガエル、コキーコヤスガエル、ウシガエル、キューバアマガエル
 【魚類】カダヤシ、ケツギョ、コウライケツギョ、ストライプトバス、ホワイトバス、ヨーロピアンパーチ、パイクパーチ、ノーザンパイク、マスキーパイク
 【昆虫類】コカミアリ、アシナガキアリ、ツヤオオズアリ、テナガコガネ属
 【無脊椎(せきつい)動物】カワヒバリガイ属、カワホトトギスガイ、クワッガガイ、ヤマヒタチオビ、ニューギニアヤリガタリクウズムシ、ザリガニ2属2種、チュウゴクモクズガニ
 【植物】アゾラ・クリスタータ、オオフサモ、ボタンウキクサ、オオカワヂシャ、スパルティナ・アングリカ、オオキンケイギク、オオハンゴンソウ、アレチウリ、ナルトサワギク

◎中国の流動人口1億4000万、10年間で2倍に(2005年7月27日、産経新聞)
 27日付の中国共産党機関紙、人民日報は、中国の出稼ぎ労働者ら流動人口が2003年時点で1億4000万人に達したと伝えた。1993年の7000万人から倍増しており、総人口の約1割に当たるとしている。
 流動人口は、中西部の農村地域から経済の発達した沿海部に移動しているのが主な流れ。15歳から35歳までの若年層が8割以上を占めている。賃金未払いなど出稼ぎ労働者の権利侵害も過去1年半の間に約15万件と多発しており、同紙は行政、立法による保護が必要と訴えている。(共同)

◎上海人民元市場、ごく狭い範囲の動き(2005年7月25日、朝日新聞)
 人民元の切り上げから2営業日目にあたる25日午前の中国外国為替市場は、前週末の22日終値1ドル=8.1111と切り上げ直後の1ドル=8.1100の狭い幅の中で売買されている。市場参加者は通貨当局の市場管理の姿勢を見極めようと、慎重な取引が続いている。
 一方、香港の先物市場(NDF)の人民元相場は同日午前、半年後に3%、1年後には5%程度の切り上げを見込んだ水準で取引されているが、売買そのものは活発ではない。投機筋の動きもまだ鈍い。
 市場では「切り上げ幅があまりに小さかったので、米国議会が納得せず、いずれ為替水準の再調整があるとの認識が市場に広がり始めた」(日系証券会社)との見方が出ており、中国人民銀行の次の一手に市場の関心が集まっている。

◎人民元切り上げ初日、中国が介入、変動幅抑え込む(2005年7月22日、読売新聞)
 【北京=東一真】通貨・人民元の切り上げ発表後、初の取引となった22日の上海外国為替市場の人民元相場は、新制度初日から通貨当局の介入とみられる元売り・ドル買い注文が入ったことなどから、ほぼ中国政府が前日に発表した基準レート(1ドル=8.11元)通りの取引となった。
 午後3時30分(日本時間午後4時30分)の終値は1ドル=8.1111元と、基準レートからわずかに元安・ドル高となった。
 中国当局が21日発表した新為替制度では、元の対ドルレートは前日の終値より上下0.3%幅で変動することを認めている。
 しかし、中国当局は午後になって断続的に元売り・ドル買い介入を行った模様で、終値では基準レートからの変動幅をわずか約0.01%に抑え込んだ

◎人民元の切り上げ初日、動きは微妙、関心は高く(2005年7月22日、朝日新聞)
 中国が人民元の切り上げを発表して一夜明けた22日。新制度のもとで初めての取引があった中国外国為替市場では、人民元相場が少しだけ動いた。小数点以下のごくわずかだが、旧制度で動いていた幅に比べると大きい。切り上げ後も元相場をさらに動かす用意があるという中国通貨当局のメッセージなのか。世界の市場関係者がかたずをのんで見守る。中国が通貨制度改革に向けて一歩を踏み出したことは確かだ。
 1ドル=8.1111元。22日、上海の中国外貨取引センターでの終値だ。前日に発表した切り上げ後レート8.11元で午前9時半に取引を開始。朝方に8.1105元に動いたあと、取引は模様眺めが続いたが、午後3時半の取引終了直前に売り買いが交錯。結局、1日で0.0011元だけ元安ドル高に動いた。通貨当局の介入とみられる元売りドル買いがあったという。
 ここ数年、1日の変動幅が0.0001~0.0002元程度に収まっていたのに比べると、変動幅は小数点以下とはいえ、1けた大きい。「元高は防ぎたいが、変動の実績は示したい当局の意図を感じた」と邦銀上海支店の担当者は言う。
 こんなわずかな変動が関係者の関心を呼んだのは、中国が人民元相場の変動を実際に許すのかどうか分からないためだ。
 旧制度でも、米ドルに対する1日の変動幅は上下0.3%以内とされていたが、実際はほとんど固定されていた。新制度でも変動幅の上限に変わりはないが、実際に毎日0.3%ずつ動き続ければ、変動は2%どころではすまない。
 新制度初日は通貨当局と市場関係者が互いの動向を見極めようとする雰囲気が強かったようだ。
 一方、22日の香港の人民元先物市場では、1年後の指標は5%近い元の値上がりを見込んだ。市場関係者の間では「当局が本当に変動させるつもりなら、上海市場でもっと大きく動かしたはず。今後も微調整にとどまるのではないか」との見方も出た。

◎中国が人民元切り上げ、2%幅、米に配慮(2005年7月21日、朝日新聞)
 中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は21日夕、人民元の為替レートを1ドル=8.28元から1ドル=8.11元に切り上げる、と発表した。切り上げ幅は2%。あわせて、米ドルのみに連動させてきた現行制度を見直し、ユーロや円も含めた複数通貨の動きを参考に調整する制度に切り替える。21日から実施した。中国の為替制度の大幅な見直しは94年以来、約11年半ぶり。
 人民元の切り上げで、中国のドル建ての経済規模は拡大し、消費力も高まることから、世界経済へ及ぼす影響力は一段と高まるのは必至だ。中国経済の成長とともに、3年にわたって切り上げ観測が続くなか、この時期に踏み切ったのは、胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席の9月訪米、ブッシュ大統領との会談を控え、対中貿易赤字の増大から人民元の切り上げを強く要請していた米国への外交的配慮もある、とみられる。
 人民元相場はアジア金融危機を機に97年ごろから事実上、1ドル=8.277元に固定。制度上は対ドルで前日比上下0.3%の変動幅を設けているが、経済の安定を優先し、実際には人民銀行の介入によって動かないように運用してきた。今回の見直しでも、ドルに対する変動幅は上下0.3%で同じ。ドル以外の通貨に対しては一切明らかにされていない。このため実際にどの程度動くかが今後、注目される。
 今回の見直しでは、人民元を連動させる対象を米ドルだけでなく、「通貨バスケット制」と呼ばれる複数通貨を加重平均した指標を参考に為替水準を調整する方式に切り替えた。人民銀行は、対象を複数通貨に広げることで、より柔軟な運用方法に改善したい考え。ただ、実際には対外決済通貨の大半を占めるドルの動きに大きく影響を受ける、とみられる。
 外国為替市場では、中国の輸出拡大につれて、人民元の切り上げ観測が流れ、人民元の上昇圧力が強まっていた。中国人民銀行が対ドル相場固定のため「ドル買い人民元売り」の介入を続け、05年6月までの3年間で外貨準備高は約3倍にあたる7110億ドルまで膨らんだ。景気が過熱するなかで、人民元の流通量が増えてインフレ圧力を抱えていた。今回の措置は、中国国内のインフレ圧力を和らげるとともに、米国を筆頭に海外から「人民元が低いために、中国製品の外貨建て価格が不当に安く据え置かれて貿易不均衡を招いている」との批判が強まっているのをかわす意図がある。
 中国は94年に通貨制度を改革。外国人向けの外貨、兌換券(だかんけん)を廃止するとともに、当時の市場レートを統合する形で1ドル=5.8元から8.7元に切り下げ、緩やかな変動を認める「管理された変動相場制」(人民銀行)を採用した。今回の見直しでも通貨バスケット制度に基づく「管理された変動相場制度」を参考にするとしており、毎日の変動がどの程度になるかは不明だ。
 温家宝(ウェン・チアパオ)首相は6月、アジア欧州会議(ASEM)財務相会合で「拙速に動かない。依然として大量の準備が必要だ」として、「自主性」「漸進性」「安定性」の3原則を示した。一方で、3月の人民代表大会後の会見では「いつどんな方法を採用するかは意表をつくことになるだろう」とも述べていた。

◎炭鉱事故死の17遺体隠す、中国、経営者を拘束(2005年7月15日、産経新聞)
 中国山西省寧武県の炭鉱で作業員19人が死亡したとされた爆発事故で、実際は36人が死亡していたことを同省炭鉱安全監察局が14日、明らかにした。
 新華社電によると、炭鉱経営者が死者数を少なく報告するため、17人の遺体を内モンゴル自治区に運び隠していた。警察当局は経営者ら3人を拘束した。
 爆発事故は2日に発生し、経営者は死者数を19人と報告。その後、同省当局者が負傷した作業員らから聞き取り調査を実施。報告に疑わしい点があったため、警察当局が捜査に乗りだし、11日に内モンゴル自治区内の病院など3カ所で17人の遺体を発見した。
 この炭鉱は不法採掘を行っていた。
 中国では昨年、炭鉱事故で6027人が死亡している。(共同)

◎中国貿易:上期の黒字396億ドル、昨年の年間額上回る(2005年7月12日、毎日新聞)
 中国税関総署が11日発表した今年上半期の貿易収支によると、貿易黒字額は396億5000万ドル(約4兆4300億円)で、昨年1年間の黒字額の319億8000万ドルを上回った。引き締め政策の効果で原油輸入の伸びが鈍化する一方、電機などの輸出が大幅に増加しており、米国などからの市場開放圧力が高まるのは必至。国際経済の焦点となっている中国の通貨、人民元の改革問題にも影響を与えそうだ。
 上半期の輸出入を合計した貿易総額は6450億3000万ドルで、前年同期に比べ23.2%増加。うち輸出は32.7%増の3423億4000万ドル、輸入は14%増の3026億9000万ドルだった。
 電機・機械製品の輸出は33%増の約1870億ドルに達し、上半期の輸出全体の55%を占めた。衣料品も19.8%増。欧州連合(EU)との間で貿易摩擦に発展している靴類の輸出も23.5%増加した。鋼材輸出も急増した。
 輸入面では、原油輸入が6342万トンと3.9%増にとどまり、鋼材輸入は1322万トンと26.5%減少。
 6月単月の輸出は前年同月比30.6%増の659億6000万ドルで、6カ月連続で30%以上の伸びだった。輸入は15.1%増の562億8000万ドルだった。(北京・共同)

◎中国の若者、日本人好き、国嫌い鮮明、対日意識調査(2005年7月7日、産経新聞)
 【北京=福島香織】中国の英字紙チャイナ・デーリー(6日付)によると、同紙発行の若者向け週刊誌が実施したアンケート調査で、中国人若年層の51%が「日本人と友達になりたい」と答え、「友達になりたくない」(21%)を大きく上回った。
 今年4月から全国の大学生ら1657人を対象に行われた対日感情に関する調査だ。「日本をどう思うか」という質問に対しては、「好き」はわずか2.8%にとどまり、「好き」と「やや好き」をあわせても10%だった。逆に「嫌い」(28%)、「やや嫌い」(24%)と、“嫌日派”が過半数となり、「日本は嫌いだけど日本人とは友達になりたい」という屈折した感情が浮き彫りになった。また、73%が「ビジネスとテクノロジーの領域では日中は十分協力すべきだ」と答えた。
 よく知っている日本人は小泉純一郎首相、東条英機元首相、山本五十六旧連合艦隊司令長官が上位3人にあがった。
 こうしたねじれた日本像が浮き彫りとなった理由だが、同紙は「歴史を反省しない日本の右翼勢力に対しては強く反対せねばならないが、日本人個人は非難されるべきではない」という中国の公式見解にたった専門家のコメント掲載にとどめている。
 しかし、調査は80%が日本人と会ったことがなく、60%が新聞、テレビ、インターネットを通じ対日観が形成されたとしている。個人の経験ではなく、中国共産党の宣伝機関であるメディアが世論にインパクトを与えていることが裏づけられた。

◎農地強制収用に抗議、農民が派出所包囲、中国・広東省(2005年7月4日、毎日新聞)
 【香港=関泰晴】4日付の香港各紙によると、中国広東省仏山市で7月2日、農地の強制収用に抗議する農民2000人以上が、警察当局の派出所を取り囲み、拘束中の仲間の農民を釈放するように要求した。
 農民側の一部が警官隊と衝突したといい、負傷者も出た模様だ。
 農地の強制収用は今年5月末に始まり、地元政府は4000人の警察官を動員したうえ、抗議する農民を殴るなどして排除した。その後、7月1日も別の区画の農地で強制収用が行われ、阻止しようとした農民4人が拘束された。また、大学の研究者を名乗る米国人が抗議行動の模様を撮影して一時拘束されたものの、すでに釈放されているという。
 農民側は「白紙の契約書にサインをさせられ、農地収用の補償金を受けていない」などと主張して、上級機関の広東省政府などに直訴したが、受け付けられなかったとしている。公安当局は現場周辺の取材を禁止しており、拘束されている記者もいる模様だ。

◎北京-天津の高速鉄道着工、08年の五輪前に運転開始(2005年7月5日、産経新聞)
 新華社電によると、北京-天津間を約30分で結ぶ高速鉄道の着工式が4日、天津で開かれた。2007年末に完工、運転開始は08年6月の予定で、北京五輪の開幕に間に合わせる。
 北京-天津間の高速鉄道は、中国が計画している高速鉄道計画3000キロの一部。両都市間約115キロを時速200キロで結び、所要時間は現在の在来線の半分以下。総投資額は約123億4000万元(約1600億円)。
 中国紙は2月、この高速鉄道計画についてコンサルタント契約の国際入札が実施されると伝えていたが、関係筋によると欧州企業が落札したもようだ。(共同)

◎炭鉱でガス爆発、19人死亡、中国・山西省(2005年7月3日、産経新聞)
 新華社電によると、中国山西省寧武県の炭鉱で2日、ガス爆発が起き、作業員19人が死亡した。
 同省の炭鉱安全監察局幹部によると、爆発が起きた際、炭鉱では34人が作業中だったが、15人は自力で脱出するなどして無事だった。この炭鉱は不法採掘を行っていた。
 中国では昨年、炭鉱事故で6027人が死亡。今年1-3月期の死者数は前年同期比20.8%増の1113人に上っている。(共同)

◎中国の米企業買収攻勢、まるで国策、豊富な“軍資金”(2005年6月29日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国企業による米企業の買収提案が相次いで浮上している。中国海洋石油(CNOOC)が米石油大手ユノカルを、中国の家電大手海爾(ハイアール)が米家電メイタグの買収に向け動き出すなど、豊富な“軍資金”を背景に、「中国株式会社」による買収攻勢が本格化しそうだ。
 CNOOCのユノカル買収提案は総額約百八十五億ドル(約二兆円)。実現すればパソコン大手の聯想(レノボ)による米IBMのパソコン事業の買収(約十七億五千万ドル)を大きく上回り、中国企業による過去最大の外国企業買収となる。
 中国紙「南方日報」などによると、ユノカルの石油・天然ガス埋蔵量の70%はアジア地域。CNOOCの狙いは、ユノカルがインドネシアなどで展開するアジア事業にある。買収でCNOOCの石油・天然ガスの埋蔵量は原油換算で四十億バレル、約80%増加する。同社はそれにより、「アジア市場でのリーダーとなる」と強調している。買収の背景にはエネルギー確保のために海外油田の開発・獲得を強化するという国家戦略がある。中国の石油需要はマイカーの増加などで「世界の石油をがぶ飲みする」といわれており、急増する内需をまかなうことが急務となっているからだ。
 一方、中国家電最大手、ハイアールは米家電大手メイタグに買収提案している。買収総額は十二億八千万ドル。ユノカル同様、メイタグも身売り先が決まっていたところに中国企業が攻勢を仕掛けている。
 ハイアールによる買収の背景には、米国の家電市場のシェア拡大に加え、製品のブランド向上が見込める点にある。しかも人民元が切り上げられた場合のダメージにも歯止めをかけることができるわけだ。
 経営破綻(はたん)した英国の自動車大手MGローバー社の買収に、上海汽車集団に続いて吉利汽車が名乗りを上げているのも同様の位置づけだ。上海汽車はさらに、イタリアなどで車設計会社の買収を計画しているとされる。そのほか、通信機器企業が英アルコーニ(電機)の買収案も伝えられている。「中国株式会社」の買収攻勢は“序曲”にすぎないという見方が強い。
 相次ぐ企業買収の裏付けとなっているのが資金調達の問題。CNOOCの買収資金のうち大部分は自己資金でなく借り入れとされる。その「軍資金」は、国内銀行が拠出するとみられている。邦銀関係者は「国家開発銀行など国有金融機関は、自行の影響力を高めるためにも巨額の融資をする傾向にある」と解説する。
 ただ、相次ぐ米企業買収で米国では「国家安全保障上の脅威はすべて調査する」(スノー財務長官)として、対中警戒感も急浮上している。
 経済的摩擦は、米企業を相次いで日本企業が買収していた一九八〇年代をほうふつさせるが、同盟関係にある日本と異なり、中国とは戦略的な競争関係が増している。そこで「中国企業の米企業買収が政治問題化するのは必至だ」(経済紙記者)との見方は、中国国内でも広がりつつある。
 急速に国内の経済活動を拡大してきている中国にとって、次なる一手は「中国企業の国際化」。相次ぐ海外企業買収には、国際競争力を高めたいという期待の表れでもあるが、それ以前に、コピー問題や相手国市場を無視した輸出攻勢など、「中国国内の“国際化”に目を向けるのが先」という意見も多い。

◎中国・安徽省で1万人暴動、スーパー襲うと香港紙報道(2005年6月28日、朝日新聞)
 28日付の香港各紙によると、中国東部の安徽省池州市の中心部で26日午後、住民と警察が衝突、警察車両や派出所が焼かれ、近くのスーパーマーケットが略奪された。暴動は10時間に及び、約1万人が加わったとみられるという。最近、中国各地で警察と民衆の衝突事件が増加している。
 池州市では高校生が乗った自転車と乗用車が接触、運転手が高校生を殴ったことから、目撃した群衆が運転手を取り囲んで騒ぎになった。群衆は車に爆竹を投げ入れ、警察車両をひっくり返すなど騒ぎ出し、夜になって派出所に放火、近所のスーパーの略奪を始めた。
 地元紙池州日報(電子版)によると、警官700人が夜11時ごろに群衆を解散させたが、投石などで警官6人が軽いけがをした。現場で約10人が拘束され、高校生を殴ったとされる運転手も逮捕されたという。
 市政府と党委員会は27日、緊急会議を開き、「社会矛盾を不法分子に利用されないよう、事件の真相を住民に知らせ、社会の安定をはかるように」と指示したという。

◎中国南部で洪水の被害拡大、1884万人被災(2005年6月26日、朝日新聞)
 中国南部が大雨に見舞われ、洪水被害が広がっている。民政省のまとめでは、浙江、福建、江西、湖南、広東、広西チワン族の6省と自治区で計1884万人が被災。124人が死亡し、69人が行方不明になった。直接的な損害は約133億元(約1700億円)といわれる。
 広東省の一部地域では400年に1度といわれる大雨が降り、川の水かさも「100年に1度の高さ」になった。道路や鉄道にも被害が出た。広州市内の一部でも、珠江の水があふれて浸水した。

◎知財侵害、中国では75%が軽い処分、経産省調査(2005年6月23日、産経新聞)
 日本企業が中国で知的財産権の侵害を訴えても、当局による処分内容の75%が「模倣品の没収・廃棄」などで、軽いものが多いとする調査結果を経済産業省が23日まとめた。
 調査によると、2003~04年の2年間に出た中国の行政当局による知財に絡む処分は4029件で、模倣品の没収などは3043件。「製造設備の廃棄」はわずかに3%で、模倣品の製造を防ぐための厳しい措置はあまりみられなかったという。
 経産省は「中国政府に対して知財保護のための法整備、法の執行や再犯対策の強化を求める必要がある」としている。
 調査によると、日本企業が刑事手続きを利用して告発した139件のうち、刑罰が科されたのは33件で23%にとどまった。企業側からは「相手が有力企業のため摘発を求めても拒否された」「行政処理を要請しても長期間放置された」など、中国当局への不満の声が多く出された。
 調査は今年3~4月の2カ月間に実施、中国向けに事業を展開する日本企業134社から回答を得た。(共同)

◎中国、鳥インフルエンザで人用の薬を鶏に乱用・米紙(2005年6月18日、日本経済新聞)
 【ワシントン18日共同】中国が、鶏に鳥インフルエンザが流行するのを抑えるため、人の治療に使う薬「アマンタジン」を鶏に大量に与えていたことが分かったと、18日付の米紙ワシントン・ポストが伝えた。同紙は専門家の話として、この結果、ウイルスが薬に対する耐性を獲得し、人にはもう効かない恐れが強いとしている。
 薬を製造した中国の製薬企業幹部の証言などに基づく報道。人の抗ウイルス薬を家畜に流用することは、耐性の危険を高める恐れがあり、国際指針でも認められていないが、中国政府は鶏への使用を許可していたといい、倫理的な批判を浴びそうだ。
 アマンタジンは人のインフルエンザ治療に使える数少ない抗ウイルス薬。現在、鳥インフルエンザウイルスが変異して人で大流行する事態が懸念されているが、その際に有効なはずの薬が乱用のため役に立たなくなってしまった可能性がある。

◎鶏に乱用、薬が人に無効、鳥インフルエンザで中国(2005年6月18日、産経新聞)
 中国が、鶏に鳥インフルエンザが流行するのを抑えるため、人の治療に使う薬「アマンタジン」を鶏に大量に与えていたことが分かったと、18日付の米紙ワシントン・ポストが伝えた。同紙は専門家の話として、この結果、ウイルスが薬に対する耐性を獲得し、人にはもう効かない恐れが強いとしている。
 薬を製造した中国の製薬企業幹部の証言などに基づく報道。人の抗ウイルス薬を家畜に流用することは、耐性の危険を高める恐れがあり、国際指針でも認められていないが、中国政府は鶏への使用を許可していたといい、倫理的な批判を浴びそうだ。
 アマンタジンは人のインフルエンザ治療に使える数少ない抗ウイルス薬。現在、鳥インフルエンザウイルスが変異して人で大流行する事態が懸念されているが、その際に有効なはずの薬が乱用のため役に立たなくなってしまった可能性がなる。
 同紙によると、中国は昨年2月に初めて鳥インフルエンザの発生を公表したが、実際は1990年代後半から鶏で流行。発生のたびに農家が地元企業から購入したアマンタジンを飲み水に混ぜるなどして鶏に与えていた。
 現在、アジアで流行中の鳥インフルエンザに感染した人は100人以上に上り、この人たちにアマンタジンが効かないことが分かっていたが、理由は不明だった。アマンタジンが無効なため、高価で製造量にも限りがある別の薬しか使えず、近い時期に人で大流行が起きた場合、治療薬の不足が心配されている。(共同)

◎重慶に初のモノレール開通、市長、円借款には言及せず(2005年6月18日、朝日新聞)
 中国・重慶市で日本の円借款を使った初のモノレールが完成し、18日、現地で開通式が開かれた。在重慶日本総領事館によると、開通式には岩村敬・国土交通次官らも出席。王鴻挙・重慶市長はあいさつで円借款について直接は言及せず、「建設に貢献した国内外の友人に感謝する」と述べるにとどめた。
 今回開通した路線は市中心部から同南西部に延びる全長13.5キロ(計14駅)。総事業費470億円のうち約270億円分に円借款があてられたほか、日立製作所とその技術協力を受けた長春軌道客車が製造した車両が導入された。
 人口約3000万人の重慶市では経済発展に伴って公共交通網の拡充が急務となっている。今回のモノレール建設を巡っては、国際協力機構(JICA)が事業化可能性調査をするなど、基本計画の段階から日本が深くかかわっていた。

◎中国・重慶でモノレール開通式、日本の技術導入、全長13.5キロ(2005年6月18日、産経新聞)
 中国の重慶市に、日本の円借款事業で整備したモノレール路線が完成し、同市は18日午前、開通式を開いた。中国で日本の技術を導入したモノレールは初めて。
 式典には国土交通省の岩村敬(いわむら・さとし)事務次官や次期日中経済協会会長に決まった千速晃(ちはや・あきら)新日本製鉄会長ら、多数の日本関係者が招待された。
 重慶はまた、胡錦濤(こ・きんとう)政権の課題である内陸開発の拠点。日本が対中円借款の終了方針を固めた中で、中国側には日中協力をアピールし、対中投資をつなぎ留めたい思惑もある。
 開通したモノレールは全長13.5キロ。事業費約470億円のうち日本政府は円借款で270億円を供与した。日立製作所が、大阪空港や万博記念公園などを通る大阪モノレールをモデルに、設計技術や運行管理などのノウハウを全面的に供与。車両は日立と同社の技術提供を受けた長春軌道客車(吉林省)が分担して製造した。2000年に着工、昨年から試運転していた。(共同)

・対中円借款
 1979年に日本政府は長期・低利の対中融資を打ち出し、政府開発援助(ODA)の対中円借款が本格化した。融資額の累計は2004年度末で約3兆1330億円(供与限度額ベース)。中国の基盤整備と技術協力に貢献し、日本企業も事業に参画した。中国の経済成長で日本は近年、対象を環境保全や人材育成などに集中。新規の円借款も08年の協議を最後に中止することが固まった。円借款の国別順位で中国向けは1位が続いていたが最近第3位に後退、対中外交戦略として継続すべきだとの意見もある。(共同)

◎洪水被害で責任、異例の「進退伺」、中国・黒竜江省長(2005年6月15日、朝日新聞)
 中国黒竜江省寧安市での洪水被災で、張左己省長は14日までに安全対策での責任を認め、中央政府に対して処分を求める考えを表明した。胡錦涛(フー・チンタオ)政権は大規模災害などで行政責任を厳しく問う姿勢を鮮明にしているが、処分問題が省長級まで取りざたされるのは異例だ。洪水による死者は同日夕までに児童95人を含む計99人、行方不明者は計10人に上っている。
 14日付の英字紙チャイナ・デーリーなどは、張省長が「回避できない責任がある。いかなる処分も受ける」と語ったと伝えた。豪雨による洪水によって小学校の教室は2メートルを超す泥水に沈んだ。
 今年2月には遼寧省の炭鉱で200人以上が死亡したガス爆発事故が起き、同省の副省長が停職処分を受けた。中国の地方指導者にとって安全対策の徹底は自らの進退にかかわる重要課題となってきている。

◎披露宴テーブル数「8卓まで」、中国江蘇省で新規則(2005年05月29日、朝日新聞)
 結婚披露宴のテーブル数は8卓に限ります。中国沿海部の江蘇省宿遷市当局がこのほど、市民による冠婚葬祭の宴会についてテーブル数を限定し、規模を縮小することを求める規則をつくった。経済発展に伴って高まる一方の市民の消費熱を抑えるためだ。地元メディアや専門家からは「政府が個人の金の使い方に介入するのは越権行為」と反発する意見が相次いでおり、議論を呼んでいる。
 中央テレビ(CCTV)などの報道では、宿遷市共産党委員会は5月1日から、冠婚葬祭の宴会についての新しい規則を定めた。共産党員や政府幹部が主催する宴会ではテーブル数は5卓、市民主催の場合は8卓を超えてはならない。違反者は罰金などの処分を受けるとした。宴会を開く前には町内会にあたる居民委員会への申請も必要とされた。
 中国では親類や近隣、職場の付き合いが重視され、結婚披露宴などでは数十卓のテーブルを準備するのが珍しくない。市側は市民に対する消費動向の調査結果から多くが冠婚葬祭の交際に使う多額の費用に悩んでおり、消費を抑えるために実施したという。
 規則の施行以降、市内の宴会場では宴会数が大幅に減り、売り上げも半分になったところもある。付き合いを悪くできないため8卓以下のテーブル数の宴会場を複数借り、新郎新婦が宴会場を車で回る例もある。
 市側は、メディアや専門家の批判が相次いでも規則を撤回しない意向で、「効果をあげるために没頭して励む」としている。

◎中国大陸の化学兵器処理、移動施設の導入検討、政府(2005年05月29日、朝日新聞)
 政府は、第2次世界大戦中に旧日本軍が中国大陸に遺棄した化学兵器の処理を急ぐため、砲弾を解体する移動式処理施設を導入する方向で検討に入った。中国側とも調整を進める。日中両政府が合意した吉林省ハルバ嶺(れい)での大規模処理施設の建設が難航し、化学兵器禁止条約で07年4月までとされる処理期限に間に合わない恐れがあるためだ。また、回収、解体作業が遅れると安全面でも問題があると判断した。
 移動式処理施設は、トレーラーに簡易処理施設を搭載するもの。ハルバ嶺以外の各地で見つかった化学砲弾を解体し、廃棄物はハルバ嶺に運ぶことが検討されている。このほか、砲弾のままハルバ嶺に運ぶ案も検討されている、という。
 移動式処理施設は97年ごろにも導入が検討されたが、当時は解体に適した砲弾が少なかったため見送られた。しかし、大規模処理施設建設の遅れが深刻になってきたことに加え、解体に適した砲弾も多く発見されたことから、改めて導入を検討することになった。
 97年に発効した化学兵器禁止条約は、日本政府に対して遺棄化学兵器の廃棄を07年4月までに終えるよう義務づけている。しかし、04年4月に合意したハルバ嶺の大規模施設建設計画は、日中間で調整が難航。期限内に処理を終えるのは難しいとの見方が出ている。
 これまで日本政府は、黒竜江省北安市や同省チチハル市などで計約3万7000発に上る「びらん剤」などの化学砲弾を回収。南京市やチチハル市など12カ所で一時的に保管している。日本側の推計では中国国内の遺棄化学兵器は数十万発に上り、遺棄されたままの砲弾は変質や腐食が進行。チチハル市では化学物質が漏れ、死傷者が出ている。

◎中国の反日デモ、「警察が了解」と米紙(2005年4月11日、産経新聞)
 10日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、9日に北京で起きた反日デモについて「中国政府がデモを容認するのはまれだが(今回は)例外だったようだ」と指摘、中国政府がデモを容認していたと報じた。
 同紙によると、デモの主催者だという中国人民大の大学院生は、デモの2日前に警察に許可を求めると、警察側からは「その場で状況を見る」とだけ言われ、暗黙の了解と受け取ったという。
 この大学院生は「政府が協力的でうれしい。警察は交通整理で協力してくれた」と話した。(共同)

◎反日デモ北京でも、ネットで呼びかけ5千人参加(2005年4月9日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】日本の国連安保理常任理事国入り反対や歴史教科書検定に抗議する集会が、9日午前9時(日本時間同10時)ごろから、「中国のシリコンバレー」と呼ばれるハイテク産業の拠点、北京市海淀区中関村の「海竜ビル」前で行われた。
 今月2日から3日にかけて、四川省成都市や広東省深セン市で日系スーパー襲撃や街頭デモなど「反日活動」が起きているが、当局の監視が厳しい首都・北京でこうした集会が行われるのは異例。
 この日の活動はインターネット上で呼びかけられたもので、やじ馬を含めると約5000人が参加したものと見られる。参加者は「日本製品をボイコットしろ」「日本の安保理常任理事国入りに反対」などの横断幕を掲げ、「小日本(日本の蔑称=べっしょう=)」「釣魚島(尖閣諸島)から出ていけ」などと口々に叫ぶと、集まった群衆から大きな拍手と歓声がわき起こった。子ども連れで参加した30代の男性は「愛国主義教育の生きた教材。子どもの教育のために参加した。一人の中国人として貢献できれば」と話していた。
 警察当局は集会に参加した群衆を「海竜ビル」前の広場から出さないよう規制していたが、午前10時過ぎから群衆の街頭デモが始まった。これに先立ち紙で作った日本国旗を焼くなどの行動に出る者もいた。
 秦剛・外務省副報道局長は5日の定例記者会見で「理性的に自らの意思を示すよう希望する」と述べ、民衆に過激な行動を控えるよう求めていた。
 当局は署名活動を大学内に制限し、街頭デモなどを許可しない方針を決めていたとされる。しかし、政府は「日本が歴史問題で正しくない態度をとっていることが中国民衆の強い不満を引き起こした」(秦副報道局長)として一定の容認姿勢を示しており、こうしたあいまいな態度が反日活動を助長しているとの見方もある。

◎中国:反日デモに若者ら1万人、北京(2005年4月9日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】北京市北西部の海淀区で9日午前、日本の国連安保理常任理事国入りや教科書問題に反対して、中国人の若者らが抗議デモを行った。デモ参加者は約1万人に上り、さらに増える可能性もある。中国各地で続く最近の反日活動では最大規模となった。また、北京でこれほどの規模の集会が開かれるのは極めて異例。
 デモはインターネットやメールで呼びかけられ、パソコン製品などを販売する大型テナントビル前の広場で始まった。若者たちは「日本製品は買わない」「釣魚島(日本名、尖閣諸島・魚釣島)から出ていけ」と書かれたプラカードや横断幕などを掲げ、「小泉首相の靖国神社参拝反対」などとシュプレヒコールを上げた。北京市在住の男性会社員(24)は「日本は歴史を改悪している」と訴えた。
 周囲には警官らが配置されているが、当局がデモを規制する気配は見られなかった。
 中国では今月2、3日にも、広東省深センや四川省成都で同様の抗議デモが行われ、日系企業が襲撃される騒ぎに発展した。中国国内では日本製品の「不売」運動も展開されている。

◎北京で反日デモ、参加者数千人規模に(2005年4月9日、日本経済新聞)
 【北京=飯野克彦】日本の国連安全保障理事会常任理事国入り反対や歴史教科書検定への不満を理由に日本製品不買を呼びかけるデモが、9日午前に北京市西部で行われた。参加者はやじ馬的な人々を含め数千人規模に達した。インターネットで参加を呼び掛けた主催者は事前に「1万―2万人が集まる」とみていた。
 デモがあったのは、中国のIT(情報技術)産業の集積地として知られる中関村。パソコンや電子部品の主要な販売拠点で、ソニーやNECなど日本企業のIT製品のショールームも多い。参加者は「日本製品を買うな」「釣魚台(尖閣諸島)を守れ」などのシュプレヒコールを叫んだ。混乱を避けるため、多くの警官隊が配置されている。
 この日の各店頭からは日本メーカーの製品が自主的に撤去され、手持ちぶさたそうに談笑する店員の姿が目立った。
 参加を呼びかける文章は、数日前から「中国民間保釣連合会」など反日運動を展開する団体のサイト内の掲示板などに掲載されていた。

◎中国チェーンストア協会、日本製品撤去呼び掛け(2005年4月5日、日本経済新聞)
 【北京=桃井裕理】中国の大手小売業団体「中国連鎖経営(チェーンストア)協会」が中国全国の小売り企業に対し、日本製品のボイコットを呼びかけていることが4日、明らかになった。日本が国連安保理常任理事国入りを目指していることや歴史教科書の検定問題に反発したもの。既に一部の大手スーパーでは日本製品の撤去の動きが始まっている。
 同組織は全国に約500社の企業会員と300人の個人会員を持つ流通業界の最有力団体。中国の大手スーパーや主要量販店のほか、米ウォルマート・ストアーズや仏カルフールなど中国に進出した多くの外資企業が加盟している。日系進出企業は加盟していない。

◎麻薬密輸罪で邦人に事実上の死刑求刑、中国の人民法院(2005年3月24日、読売新聞)
 【大連(中国遼寧省)=伊藤彰浩】運び屋を利用して中国から日本への覚せい剤密輸を組織したとして、中国司法当局から麻薬密輸罪に問われた武田輝夫被告(62)(名古屋市出身)らに対する論告公判が24日、遼寧省大連市甘井子区の同区人民法院(地裁に相当)で開かれ、検察側は「証拠は十分で、法律に基づく処分を求める」と述べた。事実上の死刑求刑と受け止められている。
 検察側によると、同被告は、2003年夏、中国人男性2人を通して覚せい剤約13キロを購入。知り合いの中国人女性と共謀して、日本への「運び屋」役の体に薬物を巻き付けて出国させようとした。同被告はこの主張を大筋で認めた。
 中国の刑事裁判では、検察側は量刑を示した上での求刑を必ずしも行わないが、大量覚せい剤密輸事件では死刑判決が下されるのが最近の流れ。このため「法律に基づく処分」は死刑を求めたのにほぼ等しい。
 この事件では、「運び屋」役のうち、同省瀋陽で逮捕された日本人男性が昨年2月に死刑判決(控訴中)を受けたほか、日本人男性2人と韓国籍女性1人が逮捕、起訴され、公判が続いている。

◎麻薬密輸:武田被告に論告、中国・大連市中級人民法院で(2005年3月24日、毎日新聞)
 【大連(中国遼寧省)共同】日本への覚せい剤密輸を図ったとして麻薬密輸、販売罪に問われた無職、武田輝夫被告(62)=名古屋市出身=の大連市中級人民法院(裁判所)での論告公判で24日、検察側は「事実は明白で証拠は十分。法に基づく判決を下すべきだ」と述べた。中国で同罪は、犯行が悪質な場合に極めて厳しい判決もあり得る。過去には死刑が言い渡された例もある。
 裁判は同日結審、次回公判で判決が言い渡される。
 公判では起訴事実に基づく証拠調べなどが行われ、武田被告は大筋で事実を認め、「どのような刑も甘んじて受ける」と述べた。
 起訴状によると同被告は03年6月、大連市で中国人から覚せい剤5キロを買って小分けにし、7月に運び屋の日本人ら5人に渡した。公判では起訴事実以外に、同被告が別の中国人から15キロの覚せい剤を買った上、約13キロを運び屋などに売っていたとの捜査結果も明らかになった。
 中国では03年以降、覚せい剤密輸事件で日本人計17人が相次いで逮捕、起訴され、武田被告から覚せい剤を受け取った運び屋の森勝男被告(62)=福島県出身=が昨年2月、死刑判決=控訴中=を受けたほか、2人が執行猶予2年付きの死刑判決=確定=を受けている。

◎中国:若年層の離婚急増(2005年2月27日、毎日新聞)
 中国で若年層を中心に離婚が急増している。経済発展による価値観の多様化と婚姻法改正(01年)で離婚手続きが容易になったことが背景にあるが、一人っ子政策下で育った「思いやりの足りない」(専門家)世代が短期間で離婚するケースが目立っている。
 中国紙などによると、中国の離婚率は80年代の4.75%が近年は約13%に増加。北京市西城区で行った調査では、03年10月からの1年間に同区で離婚手続きを取った夫婦が前年同期の約1.8倍、1783組に上ったという。
 若年層による短期間の離婚は、ここ数年の特徴。北京市のある裁判所が昨年受け付けた離婚のうち、約3分の1が夫婦ともに25歳以下で、結婚から数カ月~1年半の例が多くみられた。中にはわずか15日のケースもあった。
 理由は浮気が70~80%で断然トップ。専門家は個人所得増に伴う価値観の多様化を理由に挙げ、80年代以降に生まれた「一人っ子」については、伝統や親の束縛を嫌がって自分の思い通りに結婚するが、相手を思いやる能力が足りず、容易に離婚する傾向が強いと分析している。(北京・共同)

◎「トイレは流して」五輪控えマナー向上に全力、北京市(2005年2月19日、読売新聞)
 五輪開催を3年後に控える北京市が、「準備活動の中で最大の難問」(王岐山市長)とする市民のマナー向上作戦に乗り出した。メディアなどを動員した大キャンペーンが連日続いている。(北京 竹腰 雅彦)
 春節休み中、露店がびっしり並び、数万人でごった返す同市の地壇公園。特設ステージで、路線バスの様子を再現した寸劇が演じられた。司会の女性が明るく問いかける。「さて、どこがマナー違反でしょう?」
 1000人近い観衆の手が次々に挙がる。「携帯電話で大声を出した」「家族の定期券を使った」「お年寄りに席を譲らなかった」
 「正解!」。答えた人に記念品のアクセサリーが手渡された。
 主催したのは、同市の東城区政府。司会者は「五輪では、世界の人たちに、『北京市民は文明的なマナーを守っている』という、いい印象を与えましょう」と声を張り上げた。
 北京市民のマナー。それはかつて、先進国の客の目には「恐るべきもの」と映った。所構わぬ大声に悩まされ、タンを踏まないように道を歩く。街路樹わきには、子供に排便させる親。入場券の窓口は、弱肉強食の世界だ。買い物をすれば釣り銭を投げ返される。車も歩行者も交通規則など眼中になく、我が道を行く。
 市場経済化が進み、社会が豊かになるにつれ、こうした状況は、部分的にはかなり改善された。「釣り銭投げ」は、今はほとんど見られない。崩れない行列もできるようになった。だが、及第点には遠い。
 「食事マナーは、まず、『小さな声』から!」――市共産党委員会の機関紙・北京日報など各紙には、新年から、マナーに関する大見出しが躍っている。
 公衆トイレの心得で、「水洗でも約3人に1人が水を流さない」としかる。食事では、「ステーキはかぶりつかず、小分けにして食べる」「食べ放題の食堂で料理を持ち帰らない」とたしなめる。身だしなみについては、「不衛生が原因の体臭や口臭を香水でごまかさない」と注意する。
 北京晨報紙は、伝統的美徳の「孝」を強調、家庭でのテレビのリモコン操作は「親が優先権を握る」のが正しいと紹介した。
 中国人はメンツを重んじる。五輪期間中、北京を訪れる外国人は約300万人に上ると見られており、そこで恥をかきたくない。市の最終目標は、「全世界が、市民の立ち居振る舞いに『礼儀の風貌(ふうぼう)』を感じとる」ようにすることだ。
 キャンペーンのテーマは、順次変わる。現在は「生活マナー」が中心で、夏ごろまでに「競技場でのマナー」に重点を移すという。昨年中国で開かれたサッカー・アジアカップで、厳重警戒にもかかわらず反日騒ぎが起きただけに危機感が強い。
 小中学校では、秋の新年度から「文明礼儀科」の授業導入も検討されている。
 1988年のソウル五輪、2002年のサッカー・ワールドカップで、韓国でのマナー向上運動を見てきた北京在住の韓国人会社員は、「日本を引き合いに、国民の自尊心に働きかけてハッパをかけた韓国とはやり方が違う。正しいはしの使い方まで学ばせようとする中国の意気込みには、すごみを感じる」と苦笑した。
 キャンペーンが、マナーに関する知識の普及に一役買うのは間違いない。だが、市民の反応はまだ概して冷たい。「役人は自分たちが腐敗しているくせに、国民に礼儀やマナーを教育しようなんて。笑い話にもならない」(五十代男性)との憤りの声も、結構ある。

◎炭鉱事故:ガス爆発で24人死亡、中国雲南省(2005年2月17日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】新華社通信は17日、中国雲南省富源県松林村の炭鉱で15日午後2時半ごろ、ガス爆発が発生し、採掘していた村民ら24人が死亡したと報じた。この炭鉱は採掘が許可されておらず、炭鉱経営者が村民に違法採掘をさせている最中にガス爆発が起きたという。
 富源県当局は今月9日の春節(旧正月)前に、違法な炭鉱の取り締まりを実施。この炭鉱は安全対策が施されていなかったため封鎖した。炭鉱経営者に対しても勝手な採掘を禁止したが、炭鉱経営者は春節休みを利用して村民を集め、作業をさせていたという。
 富源県は炭鉱資源が豊富で、個人による違法採掘が横行しているという。

◎中国、輸入、日本なお最大、貿易赤字208億ドルに拡大(2005年2月16日、産経新聞)
 【北京=野口東秀】中国国営新華社通信は十五日、中国税関統計として、二〇〇四年の日本からの輸入額が前年比27.2%増の九百四十三億ドル(約九兆九千億円)に上り、日本が依然として中国にとって最大の輸入相手国となっていると報じた。これに伴い中国側の対日貿易赤字も〇三年の百四十七億ドルから二百八億ドル(約二兆二千億円)に拡大した。
 中国にとって日本は〇三年まで十一年連続で最大の貿易相手国だったが、昨年は欧州連合(EU)、米国に抜かれ第三位になった。しかし部品や素材など日本からの調達の勢いは根強いことがうかがえる。
 中国税関の統計では中国とEUとの貿易総額は昨年、前年比33.6%増の千七百七十二億ドル、米国とは同34.3%増の千六百九十六億ドルだった。いずれも中国側の出超で、黒字額は対EUが三百七十億ドル、対米が八百二億ドルだった。
 日中間の貿易総額は、前年比25.7%増の千六百七十八億ドルと史上最高に達した。中国の対日輸出は同23.7%増の七百三十五億ドルで、中国の対日赤字額は二百八億ドルに上った。中国の貿易相手国・地域の第四位は東南アジア諸国連合(ASEAN)で日本とほぼ同額の二百億ドルの赤字となった。
 中国の貿易総額は昨年、前年比35.7%増の一兆千五百四十七億ドルとなり、日本を抜き米独に次いで世界第三位の貿易大国となることが確実視されている。
 日中関係については「冷たい政治関係が経済関係発展の障害になる」との声も出ているが、中国の対日貿易が増加している状況は、中国が日本との経済関係を引き続き強化していることを裏付けた形だ。

・日米中が牽引、アジア貿易
 中国にとって日本が最大の輸入相手国となっている理由は、中国が「世界の工場」であり続けるために、付加価値の高い素材を日本からの輸入に依存しているからだ。
 中国は、二〇〇一年十二月の世界貿易機関(WTO)加盟を契機に投資環境の整備を進め、安い労働力を武器に世界の一大生産拠点に成長した。
 だが、高度な工作機械部品や半導体などは、日本製品が現在も圧倒的に優位に立つ。中国が主力製品を繊維製品などから付加価値の高いデジタル家電などにシフトしようとするほど、日本製の部品が必要になる構図だ。
 日本と中国が相互依存を深めるのに対し、米国は中国からの輸入を拡大し続けている。米国にとって中国は五年連続で最大の貿易赤字相手国となり、赤字額は昨年、前年比30.6%増の千六百二十億ドルに達した。
 東アジアを舞台にした日米中の貿易トライアングルは近年、均衡発展を続ける日中間の貿易を、世界最大の消費市場を持つ米国が支える構造に変化してきたようだ。
 そのなかで、米国企業は、IBMがパソコン事業部門を中国の聯想(レノボ)へ売却を決定するなど、より付加価値の高い産業への転換を図っている。日本貿易振興機構の渡辺修理事長は「米国企業には、日本を研究開発の拠点にし、成功した技術で中国などアジアへ乗り出す動きが出ている」と指摘している。(吉村英輝)

◎炭鉱爆発で203人死亡、中国遼寧省(2005年2月15日、産経新聞)
 新華社電によると、中国遼寧省阜新市の炭鉱で14日、ガス爆発事故があり、15日までに203人が死亡、13人が行方不明になり、負傷者は22人に上った。
 事故が起きたのは同市の孫家湾炭鉱。14日午後、坑内で突然爆発があり、238人が閉じ込められた。地元当局は事故対策本部を設置、付近の炭鉱から応援要員が駆けつけ、救出作業に当たっていた。
 中国の国家安全生産監督管理局によると、同国では昨年、3639件の炭鉱事故が発生し、627人が犠牲となっている。エネルギー不足を背景に、無理な採掘が爆発事故につながったケースが目立ち、同管理局は「情勢は深刻」と認めていた。(共同)

◎北京などで抗議行動、尖閣の灯台国有化に反発(2005年2月15日、産経新聞)
 中国国内などで反日運動を展開している団体メンバーらは15日、北京の日本大使館前や香港で日本政府による尖閣諸島・魚釣島(中国名・釣魚島)灯台の国有財産化に対する抗議活動を始めた。中国各地の日本総領事館前などでも同日中に抗議活動が行われる予定で、一斉の抗議行動になる。
 国有財産化について、日本政府が「当然の行動」(小泉純一郎首相)と主張しているのに対し、中国政府は「非合法で無効」と強く反発、外交ルートでも抗議の意思を表明している。抗議活動は、こうした中国政府の意向を色濃く反映したものだ。
 日本大使館前で行われた集会では、同島は中国の領土とする立場から「日本は釣魚島から出て行け」などと抗議した。
 抗議は、広州、重慶、香港などの日本総領事館前、台北市内などでも行われる予定。参加者には台湾、香港や米国、カナダの活動家も含まれているとみられる。
 日本政府は9日、魚釣島に日本の政治団体が建設した灯台を国有財産とすると発表した。(共同)

◎中国で炭鉱事故、200人余が死亡、エネルギー不足背景(2005年2月15日、朝日新聞)
 中国東北部の遼寧省阜新市にある孫家湾炭坑で14日午後、ガス爆発事故があり、15日までに203人の死亡が確認された。28人が救出されたが、13人が行方不明となっている。国営新華社通信が伝えた。中国では経済成長に伴うエネルギー不足を背景に無理な炭坑採掘が続き、昨年1年間だけで3600件以上の炭鉱事故が発生、6000人以上が犠牲となった。今回は近年でも最大級の惨事となった。
 新華社電によると、爆発当時、244人が坑内で作業中だった。胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席が救出活動に全力を挙げるよう指示を出し、現場に同省幹部らが駆けつけ、190人の救援隊が不明者の捜索を続けている。
 阜新市の炭鉱は1897年に開かれ、02年から阜新鉱業集団が運営していた。孫家湾炭鉱の従業員数は3100人で、設計生産能力は年間150万トンという。
 中国の国家安全生産監督管理局によると、昨年は全国で3639件の炭鉱事故があり、死亡者は6027人。03年よりそれぞれ504件、407人ずつ減った。昨年10月から11月にかけ、河南省や陜西省で犠牲者が百数十人に上る大事故が起きるなど、炭坑事故の多発は社会問題になっている。
 中国は急激な経済成長で、米国に次ぐ世界第2位のエネルギー消費国になった。その6割以上は石炭に依存している。全土に2万6000余の炭坑があるが、半数は小規模で掘削技術や安全確保策が遅れており、昨年中に基準を満たさない500余の炭坑が閉鎖された。

◎中国による知的財産侵害で米企業が対応要請(2005年2月10日、産経新聞)
 米企業が加盟する国際知的財産同盟は9日、海賊版の横行など中国による知的財産の侵害で被害を受けているとして、世界貿易機関(WTO)の場で中国と直ちに協議に入るよう通商代表部に申し入れた。
 同盟は、中国による知的財産侵害で2004年に25億ドルの損害を受けたと主張している。(共同)

◎中国また揺さぶり、「ビザ発給」めぐり反発、政府・与党は法整備粛々と(2005年2月6日、産経新聞)
 三月下旬に始まる愛知万博の期間中、日本政府が台湾人観光客への査証(ビザ)発給を免除する方針を決めたことに中国側が反発している。日本側は万博に間に合わせるため、九日の参院本会議で台湾を対象に査証を免除する特例法を議員立法で成立させる方針。小泉純一郎首相の靖国神社参拝や東シナ海のガス田開発など、中国側の挑発的な言動で日中関係が冷え込む中、新たな横やりが入った形だが、政府・与党は粛々と法整備を進める構えだ。
 愛知万博は三月二十五日から九月二十五日まで開かれる。政府はこれに合わせ、外国人観光客の来日を促すため、万博期間に限定した査証制度の緩和を検討してきた。
 この結果、韓国と台湾の観光客は査証を免除する方針を決定。中国の団体観光客に対しては、北側一雄国土交通相が今年一月に訪中した際、北京市など三市五省に限定している査証発給の対象地域を万博期間中に限り全土に拡大する考えを中国側に正式に伝えた。
 政府が中国人の査証発給地域を限定しているのは、「観光目的で来日したまま不法滞在する中国人が後を絶たない」(法務省関係者)からだ。
 こうした日本政府の方針に、中国側は外交部などは歓迎の意向を示したが、国家観光局が発給対象の拡大が万博期間に限定されていることを理由に「議員立法で査証を免除する台湾と比べ、査証発給の条件が違いすぎる。納得できない」などと強く抗議した。このため、台湾に対する特例法案の与党側の手続きに遅れが出て、万博開会までの査証発給免除を危惧(きぐ)する声も出ている。
 昨年十二月末の李登輝前総統の来日では日本政府を執拗(しつよう)に批判。「観光目的なのに中国も大人げない」(自民党三役の一人)などと日本側に不快感を広げた。
 両国関係は現在、首相の靖国参拝などを理由に中国側が首脳間の相互訪問を拒否。本来は温家宝首相が来日する番だが実現していない。一方で、東シナ海の日中中間線付近で日本の要請を無視してガス田開発を継続する傍ら、原潜が日本領海を侵犯する事件を起こすなど、挑発的ともいえる動きを活発化している。
 それだけに、今回の査証発給をめぐる中国側の反発について、政府・与党内には「中国の日本に対する揺さぶりの一環ではないか」(外務省筋)との観測も出ている。
 ただ、大勢は「台湾人観光客の場合、不法滞在の割合も少なく、中国人観光客と単純比較するわけにはいかない」との見方で、法案化を進める与党内からは、「中国が日本のやることにクレームをつけるのはおかしい」(自民党観光特別委員会メンバー)と中国への反発が強まっている。

◎中国検察控訴せず、王被告の無期懲役確定へ(2005年2月2日、朝日新聞)
 福岡市東区で衣料品販売業、松本真二郎さん(当時41)の一家4人が殺害された事件で、中国の一審で無期懲役の判決を受けた元日本語学校生の王亮被告(22)について、遼寧省の遼陽市人民検察院は2日、「中国の国内法の規定に従って審査した結果、控訴しないと決定した」と、瀋陽の日本総領事館に連絡してきた。
 同総領事館は、元私立大留学生の楊寧被告(24)=一審判決では死刑=についての情報はまだないとしている。
 両被告に対する判決公判は先月24日、遼陽市中級人民法院(地裁に相当)で行われた。楊被告は判決後、控訴する意思を示し、王被告は控訴しないと表明した。
 しかし、松本さんの遺族が王被告についての判決内容を不服として、中国の検察に控訴するよう外務省を通じて求めていた。
 中国では判決に不服の場合は判決の翌日から10日以内に控訴できる。このため、最終期限の3日を過ぎれば、王被告の刑が確定する。

◎中国圧力?ダライ・ラマ亡命政府事務所に閉鎖通告(2005年2月1日、産経新聞)
 【バンコク=岩田智雄】カトマンズからの報道によると、ネパール政府は31日までに、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の亡命政府(インド北部ダラムサラ)の代表事務所とチベット難民福祉事務所に対し、事務所の閉鎖を求めた。
 両事務所はダライ・ラマが1959年に亡命して以来、チベットからネパールやインドへ亡命する難民を支援してきた。ネパールには2万人以上のチベットからの亡命者が居住しているとされるが、ネパール当局は、両事務所に対し、未登録で活動しているとして閉鎖するよう通告した。
 中国はこれまでネパールに、「反中国活動を許容している」などとして両事務所の閉鎖を要求してきた。このため、カトマンズの亡命政府代表事務所は「閉鎖は中国の圧力によるものだ」と反発している。
 ネパール政府は昨年5月にも、チベットからの亡命者18人を初めて中国当局に引き渡しており、米英や欧州連合(EU)が非難した。
 最貧国の1つであるネパールには最近、国境を接する中国からの影響が強まっている。30日には、中国の支援でカトマンズにテレビ局の新庁舎が完成した。

◎魏被告に死刑求刑、福岡市一家4人殺害事件(2005年2月1日、朝日新聞)
 福岡市東区で03年6月に起きた松本真二郎さん(当時41)一家4人殺害事件で、強盗殺人と死体遺棄などの罪に問われた中国人の元専門学校生魏巍被告(25)の論告求刑公判が1日、福岡地裁(川口宰護裁判長)で開かれた。福岡地検は「犯罪史上まれにみる極悪非道な犯行。冷酷性や非人間性を矯正することは不可能」として死刑を求刑した。論告に先立ち、真二郎さんの妻千加さん(当時40)の父親が、被害者の遺族として初めて意見陳述し、裁判所に極刑を求めた。3月16日の弁護側の最終弁論で結審する予定。
 検察側は論告で「魏被告らは、松本さん一家が外国製高級車に乗っていることで『金持ち』と思い、何の落ち度もない一家を皆殺しにして金品を奪った。家の下見を重ね、犯行後は遺体を海中に遺棄するなど完全犯罪をもくろんだ」と指摘した。
 論告によると、魏被告は犯行前の03年6月16日ごろ、元日本語学校生王亮被告(22)=中国で一審無期懲役=から「日本人の家に侵入して、キャッシュカードの暗証番号を聞き出し、家族全員を殺す。金を引き出してみんなで分ける」と犯行を持ちかけられた。
 魏被告は殺害計画に戸惑いを見せたが、元私立大留学生楊寧被告(24)=同死刑=が「死体を隠せば警察が捜査を始めることすら難しい。絶対にお前が捕まることはない」と説明。魏被告は「いい考えだ」と承諾したという。
 その上で検察側は「幼い子供2人を含む4人の生命が一方的に奪い去られ、結果は悲惨かつ重大。社会を震撼(しんかん)させ、遺族の被害感情も峻烈(しゅんれつ)。魏被告は、わずかな期間に強盗や窃盗などを続けるうち、人間性を次第に見失い、殺戮(さつりく)者と化した」と厳しく非難した。
 論告に先立って意見陳述した千加さんの父、梅津亮七さん(78)は「4人を失った悲しみや怒り、苦しみは増すばかり。なぜ金を奪うために殺す必要があったのか。この手で4人の無念を晴らせるなら、晴らしてやりたい」と述べた。
 この日、検察側から楊、王両被告に対する中国での判決文と一家4人の遺影が証拠提出され、いずれも採用された。

◎福岡一家4人殺害、2被告に死刑と無期懲役、中国で判決(2005年1月24日、朝日新聞)
 福岡市東区で03年6月、衣料品販売業、松本真二郎さん(当時41)の一家4人が殺害された事件で、中国で身柄を拘束され、殺人罪などに問われていた元私立大留学生の楊寧(24)、元日本語学校生の王亮(22)両被告に対し、中国・遼陽市の中級人民法院(日本の地裁に相当)は24日午前9時50分(日本時間同10時50分)、「凶悪で残虐な犯行」とする検察側の主張を認定し、楊被告に死刑、王被告に無期懲役の判決を言い渡した。同法院は、王被告については検察、弁護人双方の主張を認め「自首したことで、事件の解決に協力した」として量刑に差をつけた。
 中国の刑事裁判は二審制で、同法院の判決に不服の場合は、判決の翌日から10日以内に高級人民法院(高裁に相当)に控訴することができる。楊被告は控訴する方針で、王被告は控訴しない。
 事件発生から約1年半。日中両国の捜査協力を経て、この事件の3被告のうち2被告に司法判断が出た。共犯とされる元専門学校生の魏巍被告(25)は福岡地裁で公判中で、2月1日に検察側が求刑する予定。
 この日の判決は楊、王両被告に政治的権利剥奪(はくだつ)と財産没収、罰金各2万8000元(約40万円)も命じた。
 両被告とも昨年10月19日の初公判で、4人の殺害について起訴事実を大筋で認めた。検察側は「残虐な犯行で、日本にいる中国人留学生に悪い影響を与えた。また、中日友好の関係を損ねて遺憾だ」などと指摘したうえで、2人に対して「厳罰」を求めていた。王被告については、検察、弁護人とも「自首」を主張し、刑を軽くすべきだと訴えた。
 初公判で楊被告は「強盗計画を持ちかけたのは自分だ。最初から殺人を考えていた」と述べた。王被告は傍聴席にいた遺族に向かってひざまずき謝罪した。ただ、殺害の状況を巡って、互いに責任を押しつけ合うような場面もあった。
 この日の公判は初公判と同様、公開審理で日本のメディアにも傍聴席が5席割り振られた。遺族は傍聴に訪れなかった。
 両被告は事件直後の03年6月24日、福岡空港から帰国。日中間で犯罪人を互いに引き渡す条約が結ばれていないため、捜査の難航が予想されたが、中国の公安当局は同年8月、両被告を拘束し、国外での殺人などの犯行について処罰できると定めた刑法の国外犯規定に基づいて昨年7月に起訴した。
 魏被告は03年8月、別の傷害容疑で福岡県警に逮捕され、昨年1月、強盗殺人容疑で再逮捕された。一連の捜査では、日本の警察官、検察官が訪中し中国の捜査官による両被告の取り調べに立ち会う一方、中国の捜査員も来日し捜査に協力した。
 福岡地裁は昨年11月の魏被告の公判で、中国の捜査当局が作成した楊、王両被告の調書を、「共犯」の調書としては日本で初めて証拠採用した。

〈福岡市一家4人殺害事件〉
 福岡地検の起訴状などによると、楊寧、王亮、魏巍の3被告は共謀のうえ、03年6月20日午前0時すぎ、福岡市東区の松本真二郎さん(当時41)宅に侵入し、妻千加さん(同40)と長男海君(同11)の首を絞めて殺害。長女ひなさん(同8)を人質に取って帰宅した松本さんの首を絞めて仮死状態にし、ひなさんも殺害した。現金約3万7000円と預金通帳などを奪い、車で4人を博多湾の岸壁に運んで海に沈め、松本さんを水死させたとされる。

〈中国の刑事裁判〉
 二審制。検察が起訴後、各地の中級人民法院(日本の地裁に相当)が審理し、被告は弁護人を付けることができる。判決に不服の場合は、判決の翌日から10日以内に高級人民法院(高裁に相当)に控訴できる。殺人犯の量刑は死刑、無期懲役、10年以上の懲役とされる。

◎重慶市の大気汚染、中国で最悪に(2005年1月30日、日本経済新聞)
 【重慶=宮沢徹】中国・重慶市は2004年の大気汚染が中国主要47都市で最悪だったとの調査結果をまとめた。地元紙が伝えた。重慶市環境保護局によると酸性雨の原因になる二酸化硫黄濃度は他の46都市の平均値の2.4倍、二酸化窒素濃度は同1.72倍、ススなど汚染浮遊物質は同1.43倍に達する。
 市内に立地する化学工場や鉄鋼工場などからの排出ガスに加え、年々増加する自動車の排ガス問題も深刻だ。環境保護局は「重慶市も環境対策に力を入れたが、他の都市の進歩のほうが早かった」と説明している。

◎中国富豪がケチ返上?地震被災に寄付の話も(2005年1月20日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】スマトラ島沖地震の被災者に対する国を挙げての募金活動が展開されている中国で、「寄付嫌い」とされてきた中国の富豪が重い腰を上げ始めた。
 中国紙「中国青年報」は「慈善事業は国家の文明レベルにかかわり、中国にも富豪の慈善家が必要だ」とする特集記事を掲載した。これを機にこれまでの「吝嗇(りんしょく)富豪イメージ」の根本的な改善につながるかどうかが注目される。
 同紙によると、中国最大の慈善組織「中華慈善総会」が過去に受け付けた寄付金の7割が、海外や香港・台湾地域からで、大陸の富豪が行った寄付は15%に満たず、このうち名の知れた富豪はいないという。2003年に米誌「フォーブス」が発表した中国人富豪番付100人の7割は「2004年中国慈善ランキング」の中に入っていなかった。
 また、中国の企業1000万社以上の99%は寄付したことがないという。ある有名な牛乳メーカーは、寄付に際して国家指導者との面会など様々な条件をつけ、申し出た100万元(約1300万円)のうち、実際には20万元(約260万円)しか寄付しなかった。
 中国の富豪は、計画経済から市場経済へと転換する社会の変化をうまくとらえて個人経営者から急速に台頭した私営企業家が大半だ。それだけに、欧米のように寄付文化が根付いているわけではない。
 確かに、富豪側にも、これまで寄付から縁遠かった理由がある。不動産開発業者、潘石屹氏は「中国の企業家が財を成したのはこの10年で、欧米とは比べものにならない。実際、運用できる資金はそれほど多くない」と反論する。金持ちイメージが広がることで、身の安全にもかかわるなどの懸念もある。さらに、寄付金の使途が不透明など慈善組織の信頼性が低い点も意欲の低下につながったとの見方もある。
 しかし、変化も出てきた。今月10日には、資産額91億元(約1180億円)で富豪番付トップになったこともあるIT(情報技術)界の大物、丁磊氏(33)が1000万元(約1億3000万円)を寄付する意向を表明した。丁氏は中国電子科学技術大学を卒業後、浙江省寧波の電信局職員を経て、1997年にインターネット企業「網易」を創業。
 丁氏とほぼ同時に、潘石屹氏も約300万元(約3900万円)の寄付を決めた。潘氏は政府職員を振り出しに、87年に海南島などで不動産開発会社を設立。それ以来、時代の先端を行く物件を次々に世に送り出し、今では経済フォーラムなどに引っ張りだこの有名人だ。

◎中国と台湾、春節直行便で合意、中国機が初めて台湾へ(2005年1月15日、朝日新聞)
 中国と台湾の航空当局者は15日、マカオで協議し、2月9日の春節(旧正月)に合わせて双方の航空会社がチャーター便を乗り入れることで合意した。台湾海峡の安定をアピールしたい両者の思惑が一致したもので、中国機が台湾に乗り入れるのは、49年の中台分断以来、実質的に初めてとなる。これを機に途絶えていた中台間の対話が復活するかどうかが、注目される。
 今回の協議は、中台双方の交通当局の航空担当幹部が民間団体職員の身分で出席、異例の当局者同士の直接交渉となった。2時間にわたった協議の後に開かれた共同記者会見で、浦照洲・中国民航協会常務理事は「友情のこもった雰囲気のなか、我々は短時間で合意に至った」と述べた。
 中台間を結ぶ航空便は、03年の春節に台湾機がチャーター便として旅客を乗せずに香港、マカオを経由して上海に乗り入れ、帰省客を乗せて戻ったのが、49年の中台分断以来最初となった。04年は中台関係の緊張から見送られた。
 今回合意されたのは、今月29日から2月20日にかけて、中国の中国国際航空や台湾の中華航空など、中台双方のそれぞれ6社が合計48便を運航するという内容。主に大陸で暮らす台湾人ビジネスマンらの里帰りに利用されるとみられる。発着地点は、中国側が北京、上海と広州、台湾側が台北と高雄。上海-台北だけだった前回より拡大した。「軍用機との識別が困難」とする台湾側に配慮し、着陸はしないが香港の空域を経由する。

◎中国が貿易額で日本抜き世界3位、04年1兆ドル超(2005年1月11日、朝日新聞)
 中国商務省が発表した04年の通関統計速報によると、1~12月の貿易総額は前年比35.7%増の1兆1547億ドルで、初めて1兆ドルを超えた。日本を抜いて米、独に次ぐ世界3位の規模となった見通し。内訳は、輸出が同35.4%増の5933億ドル、輸入は同36.0%増の5613億ドル、貿易黒字は同25.6%増の319億ドルだった。

◎広東省で暴動、けが人多数、治安要員の横暴に労働者ら怒り(2004年12月26日、産経新聞)
 26日付中国系香港紙、文匯報によると、中国広東省東莞の大朗村で25日、「民工」と呼ばれる出稼ぎ労働者らが、警察車両を焼くなどの暴動が発生、多数のけが人が出た。同紙は住民の話として、すぐ殴るなど治安要員の日ごろの横暴ぶりに民工側の怒りが爆発したと伝えた。
 同紙によると、約5万人の民工が現場に集まり、周辺の道路は25日夜、約3キロにわたりガラス片や石などが散乱、警官数百人のほか装甲車などが多数配備されたという。
 治安要員は当局の委任を受け警察業務の一部を担当する民間人。
 暴動は23日、学生がバイクの窃盗犯と間違えられて治安要員に殴られ、病院で死亡したのがきっかけ。補償を求める遺族ら数十人と治安要員らが衝突、暴動に発展したらしい。(共同)

◎出稼ぎ労働者5万人が警察と衝突、中国・広東省(2004年12月26日、朝日新聞)
 広東省東莞市で25日、地元自警団にあたる治安員に拘束された男性が亡くなったのをきっかけに、出稼ぎ労働者と警察の衝突が起きた。一時約5万人の労働者が道路を占拠し、警察車両4台を焼いたという。香港の中国系紙文匯報が26日伝えた。
 同紙によると、23日に起きたバイク事故をきっかけに、湖南省出身の男性と地元の運転手が口論となり、村の治安員が男性を連行。男性は連行時に強く殴打され、病院に移送されたが、同日夜に死亡した。25日に家族や同郷の出稼ぎ労働者らが治安員の事務所に抗議に押しかけ、もみ合いとなり、治安員十数人が負傷した。治安員側が警察に助けを求め、警官数百人が出動したが、話を聞いて労働者らが集まり、一時は約5万人が道路を約3キロにわたって占拠、投石を繰り返した。
 台湾の中央通信社によると、深夜に警察側が30台以上の特殊車両や武装警察隊を投入して現場を制圧、群衆は解散したという。

◎人民元:05年早々に切り上げるとの観測強まる(2004年12月26日、毎日新聞)
 中国が通貨・人民元を05年早々に切り上げるとの観測が、外国為替市場で強まっている。中国政府や中国人民銀行(中央銀行)は「人民元レートの安定を維持する」と否定するが、早期切り上げ観測を背景に、海外先物市場での人民元相場は実勢レートより6%ほど高く、「元旦切り上げ説」も浮上している。上海市などでは、国民が外貨預金などで保有する米ドルを人民元に交換する動きが目立っているという。
 中国政府は94年1月1日に、対ドルで割高に設定されていた人民元の「公定レート」(1ドル=5.8元)を、当時の「市場レート」(1ドル=8.7元)に合わせたことがある。この“実績”も「正月に切り上げという観測を強めている」(米系銀行)ようだ。
 中国は人民元相場を米ドルに対して事実上固定する「ドル・ペッグ(連動)制」を採用している。99年以降は、中国人民銀行が外為市場での日々の為替介入を通じ、1ドル=約8.28元に相場水準を維持している。
 切り上げ観測が強まっているのは、対中貿易赤字が急増している米国が、人民元切り上げを通じて貿易不均衡の是正を求めるといった「外圧」に加え、中国自身も景気過熱に伴うインフレを抑えるために、切り上げを必要としていると見られているからだ。
 現在のような大規模なドル買い・人民元売り介入を続けていると、市場に放出された人民元が必要以上に増え、インフレ圧力を高めてしまう。中国人民銀は10月に、景気過熱抑制のため9年ぶりの利上げを行ったが、現在の為替介入は、この政策と矛盾していることにもなる。
 さらに、中国は世界貿易機関(WTO)加盟に伴う義務として、06年12月までに金融市場の対外開放を進めなければならず、為替相場の柔軟化も課題だ。
 そうした背景から、市場では「中国は05、06年に5%ずつ人民元相場を切り上げ、07年以降に為替管理を大幅に緩和するのではないか」(大和総研の亀岡裕次シニア・エコノミスト)という見方も出ている。また、切り上げ観測を反映し、人民元の先物取引を扱っている「NDF(ノンデリバラブル・フォワード)」での人民元先物相場(1年物)は24日時点で、1ドル=約7.78元台と、11カ月ぶりの元高・ドル安水準を記録した。
 人民元が切り上げられれば、円・ドル相場やアジア通貨相場全体への影響も避けられないだけに、日本の通貨当局も注視している。【竹川正記】

◎中国の携帯電話の密輸1000万台に・中国紙報道(2004年12月23日、日本経済新聞)
 【北京23日共同】携帯電話の利用者数が世界一の中国で携帯端末の密輸が激増し、年間1000万台近くに達するとの見方が出ていると、中国紙「21世紀経済報道」が23日、報じた。正規輸入品に比べ、密輸品は3割以上も値段が安く、国内に密輸品の流通市場が形成されていることなどが横行の背景。外国メーカーの中には流通品の9割が密輸品というケースもあり、当局も取り締まりに躍起だ。
 ある韓国メーカーの場合、2001年時点で中国国内で流通している自社の携帯電話端末600万台のうち、正規輸入品はたったの40万台だった。香港から広東省への密輸ルートなどがあり、同省深セン市の税関で11月に実施した取り締まりでは、約一週間で密輸端末約3800台、584万元(約7400万円)相当が摘発、押収された。
 中国情報産業省の統計では、中国の携帯電話の利用者は先月末で3億2900万人。新華社電によると、携帯利用者は昨年末と比べ、ことし11月時点で約6000万人増加した。1月から11月までに携帯電話で送信されたメールは、約1959億通に達するなど「携帯大国」の地位を不動にしている。

◎違法くじ席巻、市民失踪・産業にも影響、中国・浙江省(2004年12月23日、朝日新聞)
 中国沿海部の浙江省の地方都市を、「六合彩」と呼ばれる違法な宝くじが席巻し、多くの市民の生活を一変させている。当局は取り締まりを強めるが、一度甘い汁を吸った市民の欲望を抑えるのは難しそうだ。
 広州紙「21世紀経済報道」などの報道では、同省台州市仙居県では02年ごろから倍率の高い違法な宝くじが出回り始めた。1枚最低5元(1元は約13円)からで、当選したら40倍の賞金がつくとされ、のめり込む者が続出。今年6月には銀行から優良顧客として表彰された男性が妻と小学生の子供を残して失踪(しっそう)した。高利貸などから借金した40万元余りを宝くじにつぎ込み、借金取りから逃げたとみられる。
 県の基幹産業である工芸品を製造するある工場では、週3回の当選番号の発表日に多数の工員が出勤せず、操業に大きな影響が出ている。別の工場のオーナーは宝くじに運転資金をつぎ込み、工場を手放した。
 中国人民銀行(中央銀行)仙居支行の調べでは、10月の県内の金融機関の預金残高は総額で前月比1億元以上も減少。同月末までに、同県の昨年の財政収入に匹敵する2億元以上が宝くじに流れたとみられる。
 地元当局は12月中旬までに賭博罪で計270件を立件し、800人余りを処罰した。預金残高の大幅な減少にも歯止めがかかった。ただ宝くじが消えたわけではなく、一層地下に潜り、発覚が難しくなったようだ。

◎中国:原油輸入量、1億トン突破、自動車急増背景に(2004年12月22日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国税関総署は21日、04年1月から11月の中国の原油輸入量を前年同期比35.2%増の1億1062万トンと発表した。中国が96年に原油の純輸入国になってから1億トンを突破したのは初めて。輸入量で日本の約半分になる。石油消費量では米国に次ぐ2位の消費大国になるのも確実になった。中国政府は国内での省エネ対策とともに海外での資源確保を一段と迫られることになる。
 中国の原油生産量は近年、ほぼ横ばいで推移していることから、通年の輸入依存度は40%に達する見通しだ。国際エネルギー機関(IEA)統計によると、中国は02年の輸入量で米国、日本、韓国、ドイツなどに次ぐ世界8位だったが、今年は米国、日本に次ぐ3位に浮上する可能性がある。
 一方、03年の石油消費量は大手石油会社のBP(旧ブリティッシュ・ペトロリアム)統計で米国が9億1430万トン。中国は2億7520万トンで日本の2億4870万トンを抜いた。中国の輸入、消費量は中国政府の予測を大幅に上回るペースで伸びており、国際価格にも影響を与えそうだ。
 需要を押し上げた原因は自動車の急増だ。中国紙報道によると、中国国内で製造された自動車の1~11月の販売台数は前年同期16.8%増の458万台。米国、日本に次ぐ世界3位の市場規模になった。経済成長を反映して石油化学製品の需要も増えた。
 中国政府はエネルギー需給のひっ迫を受けて、11月下旬に「省エネルギー中長期特定項目計画」を発表した。中国国有石油各社は中東・アフリカなどで政府援助をテコにした油田の自主開発や企業買収による資源確保に力を入れている。
 中国の一人当たりのエネルギー消費量は日本の1割程度で、経済成長に伴って需要が大幅に増加するのは避けられそうにない。IEAは10月に発表した「世界のエネルギー展望2004」で、中国の原油輸入が2030年ごろ、現在の米国並み(約5億トン)になると予測している。

◇急成長、省エネ実現の壁に
 アジアを中心にしたエネルギー需要の急速な伸びは、現在の原油価格上昇の構造的要因になっている。特にアジア地域の石油の輸入依存度は高まっており、2030年には8割を超えると予測されている。中でも中国はダントツの勢いだ。
 中国政府は深刻なエネルギー不足を緩和するため、「省エネルギー中長期特定項目計画」を徹底させる方針だ。計画は「交差点の信号を白熱灯から発光ダイオード(LED)に替えると消費電力を約90%節約できる」「自動車の代替燃料開発で石油3800万トンを節約する」などと効果を強調する。
 しかし、モータリゼーションなど産業・社会の変化が始まったばかりの中国社会で過度な省エネを同時に推進することは「成長の活力」をそぐという消極論も国内に根強く、省エネ社会をスムーズに実現するのは容易ではない。
 中国は需要増の大半を海外での資源獲得に頼っている。「中国版メジャー」と呼ばれる3大国有石油会社は90年代初めから、サウジアラビア、ブラジル、スーダン、アンゴラなど世界50カ所以上で油田権益を獲得。米国や日本などと摩擦を生むようになっている。
 中国の石油消費が今後も拡大を続ければ、供給面での不安と相まって原油高が続くのは必至で、日本もエネルギー安定供給のためアジア全体でエネルギー政策に取り組む必要があるとの認識を強めている。
 このため、経済産業省は今年10月、「アジア・エネルギー・パートナーシップ・タスクフォース」を設置。石油備蓄制度の強化や省エネ・環境対策にアジア全体で取り組む体制を整えていく構えだ。【須佐美玲子、浦松丈二】

◇中国の国別原油輸入量(04年1~10月)
  国 名 輸入量(万トン) 比率
 サウジアラビア 1336 13.42%
 オマーン 1309 13.15%
 アンゴラ 1219 12.24%
 イラン 1114 11.19%
 ロシア 925 9.29%
 ベトナム 472 4.74%
 スーダン 470 4.72%
 その他 3111 31.25%
     合計 9956 100%
 (新華社CHINA OGPから)

◎取り締まりに恨み?30人が交通局襲撃、中国ハルビン市(2004年12月21日、産経新聞)
 中国黒竜江省ハルビン市で18日午後、刀や鉄棒などを手にした男ら約30人が、同市交通局の違反取り締まり中隊の事務所を襲撃、隊員10人に切り付けたりして8人にけがを負わせ、車で逃げ去った。20日付の中国紙、揚子晩報が伝えた。
 襲撃された中隊は、無許可のバスや貨物トラックを取り締まる部門。その担当地域内で長距離バスを運行する民間業者が男らのリーダーとみられることから、取り締まりをめぐる恨みが襲撃の動機の可能性もある。
 黒竜江省では今年、付暁光・副省長ら幹部5人が解任されるなど、多数の幹部が関与した腐敗事件が表面化した。中国では官僚腐敗や横暴な地方行政への不満を募らせた住民が地元当局と衝突する事件が各地で相次いでいる。(共同)

◎マカオ:「1国2制度」成功アピール、5周年記念式典(2004年12月20日、毎日新聞)
 【マカオ成沢健一】ポルトガルから中国に返還されて5周年を迎えたマカオで20日午前、胡錦濤国家主席らが出席して記念式典が行われた。返還前からの課題だった治安が安定し、観光客数やカジノ収入も順調に伸びていることから、胡氏らは「1国2制度」の成功をアピールした。式典は、8月に圧倒的な支持を得て再選された何厚カ行政長官の就任式を兼ねており、2期目(任期5年)がこの日からスタートした。
 式典では、何長官が胡氏の前で就任の宣誓をした後にあいさつし、「この5年間、マカオはアジア通貨危機の後遺症や失業率の悪化、新型肺炎(SARS)禍を克服してきた。今後は発展の加速や社会の多元化で種々の矛盾も複雑化するだろうが、高度な自治の下で偉大な事業を継承させていきたい」と語った。
 続いて演説した胡氏は、「マカオの発展は、トウ小平氏が提唱した『1国2制度』の正確さを証明した。社会は安定し、経済は順調に伸びている」と語り、資本主義と社会主義の併存を認めた「1国2制度」の成功を強調。その上で(1)統治能力の向上(2)経済の発展(3)人材の育成(4)安定の維持--を求めた。特に、安定の維持については、「愛国愛澳(国を愛し、マカオを愛する)」の下での団結を促し、急激な民主化進展には否定的な見解を示した。

◎覚せい剤密輸の邦人、猶予付き死刑判決、上海人民法院(2004年12月15日、読売新聞)
 【上海=伊藤彰浩】在上海の日中関係筋が14日、明らかにしたところによると、上海市第1中級人民法院(地裁に相当)は今月3日、同市内の空港から日本へ覚せい剤約1.56キロを持ち出そうとして中国司法当局に拘束され、麻薬密輸罪に問われた20代の邦人男性に対し、死刑(執行猶予2年)の判決を言い渡した。男性は控訴した。
 中国国内で、薬物密輸に関与した邦人に対し死刑判決が下されたのは、60歳代の男性に対する今年2月の瀋陽市(遼寧省)中級人民法院の判決(執行猶予なし。控訴中)に次いで2件目。中国国内法では、死刑にも執行猶予が認められており、該当期間中、故意の犯罪を犯さなければ無期懲役に減刑される。

◎邦人に猶予付き死刑判決、上海、覚せい剤密輸事件で(2004年12月15日、産経新聞)
 覚せい剤約1.56キロを中国上海市の空港から日本へ持ち出そうとしたとして麻薬密輸罪に問われた日本人男性に、同市の第一中級人民法院(裁判所)が今月3日、執行猶予2年付きの死刑判決を言い渡した。上海の日本総領事館が15日、明らかにした。男性は控訴した。
 総領事館によると、同人民法院は判決の際「猶予期間中は拘束し、この間に故意の犯罪を行わなければ、無期懲役に減刑する」と告げたという。男性は昨年11月に拘束された。
 中国では昨年以降、覚せい剤密輸容疑で日本人が逮捕される事件が各地で相次ぎ、17人が拘束された。このうちの1人、福島県出身の男性(61)にも今年2月、遼寧省瀋陽市の中級人民法院で執行猶予なしの死刑判決が言い渡され、現在、控訴中。
 中国では、死刑にも執行猶予が認められており、2001年7月には瀋陽市の中級人民法院で、殺人罪に問われた日本人が、執行猶予付きの死刑判決を受けた例がある。この日本人は無期懲役に減刑された。
 中国の弁護士によると、外国人の場合は、減刑後、さらに数年、服役し、国外退去になるケースが多いという。(共同)

◎覚せい剤密輸の邦人に執行猶予付き死刑判決、上海(2004年12月15日、朝日新聞)
 中国・上海市の第1中級人民法院(地裁)が今月3日、覚せい剤約1.5キロを上海から日本に運び出そうとして麻薬密輸罪で起訴された日本人男性に対し、執行猶予2年がついた死刑判決を言い渡していたことが分かった。上海の日本総領事館などが14日明らかにした。男性は同市高級人民法院(高裁)に控訴した。
 中国では近年、覚せい剤密輸などに絡んで日本人が起訴され、無期懲役や死刑などの重刑を受けるケースが急増している。死刑判決が言い渡されたのは今回で3人目。
 同領事館によると、男性は昨年11月7日、上海市内の浦東空港で、飛行機で日本国内に覚せい剤を運ぼうとしたところを地元当局に拘束された。麻薬密輸罪で逮捕・起訴され、今年3月に初公判があった。中国の刑法では、執行猶予期間中に犯罪を起こさなかった場合、死刑判決を受けていても無期懲役に減刑されることが多いという。

◎覚せい剤密輸:日本人男性初公判、起訴事実認める、中国(2004年11月30日、毎日新聞)
 【大連(中国遼寧省)成沢健一】中国で覚せい剤を密売していたとして、麻薬密輸罪で起訴された名古屋市出身の武田輝夫被告(61)らの初公判が30日、遼寧省の大連市中級人民法院(地裁)で開かれた。武田被告は日中混成強盗団のリーダーとして愛知など5県警に国際手配されているほか、昨年から中国で日本人が覚せい剤所持などで相次いで逮捕された事件の中心人物だった可能性があり、極刑が言い渡される可能性が指摘されている。
 覚せい剤を武田被告から購入して別の日本人に密輸させたとして、今年7月に北京で拘束された大阪市出身の西富裕被告(38)の初公判も同時に行われた。次回公判で判決が言い渡される。公判は日本人記者らに公開された。
 起訴状によると、武田被告は昨年6月以降、西被告を含む5人の日本人らに覚せい剤計5キロを売っていた。この中には、遼寧省瀋陽市で覚せい剤1.25キロを運び出そうとして逮捕され、今年2月に死刑判決を受けた福島県出身の森勝男被告(61)も入っている。
 武田被告は公判で、起訴事実を認めたうえ「重大なことをしてしまい、死刑になっても構わない」と発言した。また被告人質問の中で、覚せい剤の密売は日本の密売組織からの要求などで行ったことを明らかにした。西被告は起訴事実を否認した。
 武田被告は02年7月以降、約30人の強盗団を率い、愛知や大分など9都県で17件の強盗傷害事件などに関与したとされ、被害総額は6億円に上るとみられている。02年11月に名古屋空港から中国に出国。今年6月、中国広東省深セン市のホテルで中国人2人と覚せい剤3.1キロを所持しているところを拘束され、大連に身柄を移された。
 中国や香港では昨年3月以降、日本人17人が覚せい剤所持などで身柄を拘束された。中国の刑法は、覚せい剤50グラム以上の所持に懲役15年か無期懲役、死刑を規定。以前は10キロ以上の所持に対して死刑判決が出ていたが、中国当局が取り締まりの強化に乗り出すなか、「運び屋」とされる森被告にも死刑が言い渡された。
 森被告の控訴審や大連で起訴された他の日本人の公判は進展しておらず、武田被告の公判の行方を見極めている模様だ。一方、日本での強盗傷害事件に関する日中間の捜査協力については、「福岡市の一家4人殺害事件のような特殊なケースと異なり、今回は中国側も応じるのは難しい」(外交筋)との見方が強い。

◎日本人「黒幕」極刑も、日中強盗団、覚醒剤密輸(2004年11月30日、産経新聞)
・ホームレス狙い運び屋に
 【大連(中国・遼寧省)=野口東秀】中国国内で五キロの覚醒(かくせい)剤を仲間に運ばせたなどとして、麻薬密輸・販売罪で起訴された日中混成強盗団のリーダー、武田輝夫被告(61)=名古屋市出身=ら日本人二人に対する初公判が三十日、遼寧省大連市中級人民法院(地裁)で始まった。
 中国(香港含む)では昨年から今年にかけ十七人の日本人が覚醒剤を日本に密輸しようとして逮捕され、上海の裁判所で今月二十四日に「運び屋役」として覚醒剤約一キロを所持していた六十歳代と五十歳代の男性に無期懲役と懲役十二年の判決が出されている。
 こうした多くの事案で武田被告が「黒幕」とされており、死刑判決など極めて重い量刑が予想される。
 武田被告は今年六月、広東省のホテルで覚醒剤三.一キロを所持していたとして中国公安当局に逮捕された。
 起訴状などによると中国人の仲介人から約五キロの覚醒剤を購入。日本人ら数人を「運び屋」として使っていた。罪状認否では「死刑になってもかまわない」などと起訴事実を認め、覚醒剤の密輸に手を出した理由として「自分の仕事がうまくいかなかった。また日本から『アイス』(覚醒剤の意味)を欲しがっているという情報があった」などとした。
 武田被告は日本人と中国人約三十人のメンバーを率い日本全国で強盗事件などを起こした日中混成強盗団のリーダー。九都県の資産家宅を狙い全国各地で三十件の強盗傷害事件を起こしたが「日本の警察には捕まりませんよ」と豪語、中国に逃亡していた。
 中国から日本への覚醒剤密輸事件では、昨年七月に大連空港で六十歳代の男性(覚醒剤約一.二四キロ、その後死亡)が逮捕されたほか、四十歳代の男性(同約一.五二キロ)が逮捕され公判中。
 二月には遼寧省瀋陽市で六十歳代の男性=福島県=に日本人として初めて執行猶予のつかない死刑判決(一審)が出ており控訴審で公判中。
 昨年から今年にかけ香港を含め十七人(うち死亡一人、刑期満了で帰国一人)の日本人が覚醒剤を密輸しようとして逮捕され拘束されている。多くは失業者やホームレスなどが金に困って誘われるケースが多い。
 中国では覚醒剤などの製造、密輸、販売では麻薬の種類によっても異なるが五十グラムから死刑になる可能性もある。

・日中混成強盗団
 2000年ごろから全国各地で目立ち始めた。主に日本人が運転手役、資産家宅の情報提供をし、中国人が実行役。宅配業者などを装うなどして押し入り粘着テープで縛り上げ、ナイフやスタンガンで現金や株券、日本刀などを脅し取る手口。武田被告は強盗団のリーダーとして愛知県警など5県警から国際刑事警察機構(ICPO)を通じ国際手配されていた。

【覚醒剤関連で中国で拘束された邦人一覧】
 (1)2004年2月に遼寧省瀋陽市で死刑判決(1審)控訴中、60歳代男性。瀋陽空港で覚醒剤約1.2キロ。日本人として初めて執行猶予の付かない死刑判決
 (2)2004年6月、2審で懲役15年確定、50歳代男性、大連空港で覚醒剤約1キロ
 (3)2004年7月(香港)1審で懲役25年、控訴中。40歳代女性、香港の空港で覚醒剤約5キロ
 (4)2004年7月(香港)1審で懲役14年8月、控訴保留中。30歳代男性、香港の空港で覚醒剤約2.5キロ
 (5)2004年1月(香港)1審で懲役20年、20歳代男性、香港の空港で覚醒剤約7キロ
 (6)2003年7月に広州で3人逮捕、いずれも40歳代男性、計5キロの覚醒剤所持
 (7)2003年7月に大連で40歳代男性、大連の空港で覚醒剤約1.5キロ。公判中
 (8)2004年11月24日、1審で60歳代男性に無期懲役、50歳代男性に懲役12年、上海の空港で2人合わせ覚醒剤約1キロ
 (9)2003年11月、20歳代男性、上海の空港で覚醒剤約1.5キロ、公判中
 (10)6カ月服役し帰国
 (11)2004年6月に密輸事件とのかかわり容疑で福州の空港で逮捕。保釈金支払い保釈中
 (12)2004年6月に逮捕、武田被告と30歳代男性、30日に初公判

◎覚せい剤密輸認める、「黒幕」邦人、中国で初公判(2004年11月30日、産経新聞)
 中国大連市の中級人民法院(裁判所)で30日、覚せい剤を日本人の運び屋に渡し、日本に密輸させたなどとして起訴された無職、武田輝夫被告(61)=名古屋市出身=ら日本人2人の初公判が開かれ、武田被告は「自分がやったことは重大であり、死刑になっても構わない」と起訴事実を認めた。
 中国では昨年から、覚せい剤密輸容疑で日本人が逮捕される事件が各地で相次ぎ、17人が拘束された。同被告は密輸組織の中心人物とみられている。今年2月には福島県出身の男性が死刑判決を受けており、武田被告も今後の公判で極刑を言い渡される可能性が高い。
 武田被告は、資産家宅を狙った強盗容疑などで愛知など5県警から国際指名手配されている「日中強盗団」のリーダー。強盗団による事件は2002年から東京、福井、兵庫、福岡など9都県で17件発生した。
 公判は、同被告から入手した覚せい剤を日本人に密輸させたとして起訴された無職の男(38)=大阪市=の審理も併合された。
 関係者や中国紙の報道によると、武田被告は02年末に中国に入国。大連などで「アイス」と呼ばれる覚せい剤を集め日本に密輸。今年6月、広東省深●(●=土へんに川)市で覚せい剤約3キロを所持していて拘束された。運び屋の日本人らは、日本の暴力団関係者に高額の報酬で密輸を持ち掛けられたという。(共同)

◎覚せい剤所持で起訴の日本人2人、中国で初公判(2004年11月30日、朝日新聞)
 覚せい剤3.1キロを所持し、他人を使って日本に密輸しようとしたなどとして中国で逮捕され、起訴された名古屋市出身の武田輝夫被告(61)ら2邦人に対する初公判が30日午前、遼寧省の大連市中級人民法院(地裁に相当)で始まった。罪状認否で武田被告は起訴事実をほぼ認めた。
 武田被告は愛知県や福岡県などで起きた連続強盗事件で、強盗致傷や窃盗の容疑で5県警から指名手配されていたが、今年6月に中国・深センのホテルで中国人2人と共に逮捕された。
 法廷で朗読された起訴状によると、武田被告は中国人から5キロの覚せい剤を購入し、日本人ら4人に運ばせたとされる。もう一人の被告は大阪市出身の西富裕被告(38)で、武田被告に覚せい剤1キロを電話で要求したとされる。西被告は起訴事実を否認している。
 武田被告は犯行の動機について「中国での仕事がうまくいかなかったことに加え、日本の密売組織からの要求があった」と述べた。さらに「自分のやったことは重大で、死刑になってもかまわない」と述べた。
 この日の公判では、検察側の起訴状朗読に続いて、被告人尋問が行われた。その後、検察側が主張を述べ、事実上の求刑を行う。公判は日本人記者団にも公開された。
 今年2月には遼寧省の瀋陽市中級人民法院で麻薬密輸罪に問われた福島県出身の森勝男被告に死刑判決が言い渡された。同被告は控訴中だが、日本の捜査当局は森被告が武田被告のグループから覚せい剤を受け取った疑いがあると見ている。森被告は覚せい剤1.25キロを日本に運び出そうとしていた。
 中国の刑法では麻薬犯罪に対する規定が厳しく、今後、武田被告に対しても厳しい判決が下される可能性が強い。
 日本の捜査当局によると、武田被告は02年11月に名古屋空港から中国へ出国したことが確認されている。中国では覚せい剤の組織的な密輸に関与し、覚せい剤の「中国ルート」の中心人物と見られている。

◎中国内陸部の炭鉱でガス爆発、170人不明(2004年11月28日、日本経済新聞)
 【北京=飯野克彦】中国内陸部の陝西省銅川市の国有炭鉱で28日午前7時(日本時間同8時)ごろ、ガス爆発が発生した。新華社電によると坑内にいた293人の作業員のうち123人が午後1時までに脱出し、170人が閉じ込められている。
 中国はエネルギー需要の7割を石炭で賄っており、高度成長にともない増産圧力は高まる一方。それにともない悲惨な事故が相次いでおり、10月に河南省の炭鉱で発生したガス爆発では120人以上が死亡した。国家安全生産監督管理局によると今年1~9月の炭鉱事故による死者は前年同期比630人(13.17%)減った。生産量は前年同期比20%程度伸びているだけに、同局は「全国の炭鉱の安全状況は相対的に安定しており、好転するすう勢にある」としている。炭鉱事故による死者は1999年までは毎年1万人を超えていたが、2000年以降は7000人以下という。炭鉱以外にも、今月20日に河北省の鉄鉱石採掘場で起きた火災事故では65人が死亡した。

◎炭鉱爆発、166人不明、中国陝西省(2004年11月28日、産経新聞)
 新華社電によると、中国陝西省銅川の陳家山炭鉱で28日朝、ガス爆発があり、166人が坑内に閉じ込められた。現場では当時、293人が働いており、127人は脱出したが、うち41人が重軽傷を負った。
 中央テレビによると、胡錦涛国家主席らが救助に全力を挙げるよう関係当局に指示した。
 中国ではエネルギー需要の高まりを受けて石炭増産が進められているが、炭鉱事故も多発。10月20日には河南省新密市で坑内に148人が閉じ込められ、これまでに120人以上の死亡が確認される事故が起きた。(共同)

◎中国、抗日戦争記念館を全面改装、愛国教育強化か(2004年11月21日、産経新聞)
 21日付の中国各紙によると、北京市郊外の盧溝橋にある中国人民抗日戦争記念館が、全面改装のため12月中旬から一時閉館する。来年7月に再開する。来年は中国にとって「抗日戦争勝利60周年」に当たり、展示の増強で愛国教育を強化するのが目的とみられる。
 記念館は、1937年7月の盧溝橋事件で始まった日中戦争に関する総合的な博物館で、87年に開館。これまでに小中学生を中心に1200万人が訪れたとされる。
 各紙によると、97年に改装して以来無休で開館しており、展示内容が古くなったことなどから全面改装に踏み切った。改装費用は5000万元(約6億3000万円)前後に上るという。(共同)


◎中国で旅客機墜落、乗員53人全員死亡、地上の1人も(2004年11月21日、読売新聞)
 【北京=伊藤彰浩】新華社電などによると、21日午前8時20分(日本時間同9時20分)ごろ、中国・内モンゴル自治区包頭市で、上海行きの中国東方航空5210便小型ジェット旅客機(CRJ200型)が離陸直後に、空港近くの公園に墜落した。
 乗客乗員53人全員の死亡が確認されたほか、公園の職員1人が巻き込まれて死亡した。搭乗者名簿に日本人とみられる名前はないという。
 目撃者は、飛行機は離陸直後に「ビルの6階にも満たない高さで揺れ始め墜落、爆発した」と話しており、政府調査委が原因を調べている。
 中国国内では、2002年5月に遼寧省大連沖で中国北方航空機が墜落し、日本人を含む112人が死亡した事故が起きている。CRJ200型ジェット機は、ボンバルディア社(カナダ)の設計で、中国国内のローカル路線に多数、投入されている。

◎旅客機墜落、乗員53人全員死亡、地上の1人も、中国・内モンゴル(2004年11月21日、産経新聞)

 中国北部の内モンゴル自治区包頭市で21日午前8時20分(日本時間同9時20分)ごろ、乗客乗員計53人が乗った中国東方航空の小型旅客機が空港を離陸直後に市内の公園の湖に墜落、炎上した。新華社電によると、同日夕までに乗客乗員全員の遺体を収容、地上にいた公園職員1人も巻き添えになり、計54人が死亡した。同機は上海に向かっていた。
 北京の日本大使館によると、日本人は乗っていなかった。乗客にはインドネシア人とみられる外国人1人が含まれ、上海の上場企業経営者が乗っていたとの情報もある。
 事故原因は調査中で、フライトレコーダー(飛行記録装置)の回収に全力を挙げている。事故機はカナダ・ボンバルディア社製の50人乗り小型ジェット旅客機CRJ200。
 当日の現場の気温は零度以下。中国中央テレビのニュースは、凍結した湖面に焼け焦げた機体の一部が浮いている現場の様子を放映した。
 中国では2002年5月、中国北方航空機が大連沖に墜落し、日本人を含む112人が死亡した。(共同)

◎中国で53人乗り旅客機が墜落、全員死亡か(2004年11月21日、読売新聞)
 【中国総局】新華社電(電子版)などによると、21日午前8時20分(日本時間同9時20分)ごろ、中国内モンゴル自治区包頭市で、乗客47人、乗員6人の計53人を乗せた包頭発上海行き中国東方航空5210便小型旅客機(CRJ200型)が離陸直後、空港近くに墜落した。
 搭乗していた全員が死亡した模様だ。
 現地からの報道によると、同機は、空港から数キロの距離にある南海公園の湖付近に墜落し、炎上した。公園そばの建物も、墜落した機体に直撃され、倒壊しているという。
 現地の消防当局幹部によると、墜落現場に消防車30数台と消防隊員100人以上を急派し、救助作業に当たっているが、生存者は見つかっていないという。

◎約50人乗り旅客機墜落、中国・内モンゴル(2004年11月21日、産経新聞)
 新華社電によると、中国北部の内モンゴル自治区包頭市で21日午前8時20分(日本時間同9時20分)ごろ、小型旅客機が包頭空港を離陸直後に市内の湖に墜落、炎上した。乗客乗員50人余りが乗っていたもよう。安否は不明だが、新華社電は生存の可能性は低いとしている。
 旅客機は上海行きで、中国東方航空機とみられる。
 北京の日本大使館によると、日本人が乗っていたとの情報はない。
 中国では、2002年5月、中国北方航空機が大連沖に墜落し、日本人を含む112人が死亡した。(共同)

◎人民元レートを改革、米中首脳会談で胡主席表明(2004年11月21日、読売新聞)
 【サンティアゴ=菱沼隆雄】アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するためチリを訪問中のブッシュ米大統領は20日午前(日本時間同日夜)、中国の胡錦濤国家主席とサンティアゴ市内のホテルで約1時間会談し、北朝鮮の核問題について、対話を通じ、平和解決を目指す方針で一致した。
 また、人民元の相場切り上げ問題についても協議した。
 両首脳の顔合わせは、ブッシュ大統領の再選以来初めて。
 ブッシュ大統領は会談後、「(2期目となる今後4年間も)朝鮮半島と太平洋地域の平和のため緊密に協力していきたい」と発言。胡主席も、「米中ともに、(北朝鮮の核問題を)対話を通し、平和的解決を目指すことへの期待感を表明した」と述べた。
 中国筋によると、6か国協議について、ブッシュ大統領は「協議のプロセスを継続する用意がある」と表明したのに対し、胡主席は「(協議には)忍耐と柔軟性が必要だ」と応じた。人民元の切り上げ問題については、胡主席が「人民元レート改革を進める」と述べ、ブッシュ大統領は賛意を示した。

◎鉄鉱採掘場で大火災、作業員60人が不明、中国河北省(2004年11月21日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】新華社電によると、中国河北省沙河市の鉄鉱採掘場で、20日午前、大規模な火災が発生し、作業員70人以上が閉じこめられた。
 同日夜までに、15人が救出されたが、少なくとも60人が依然として行方不明になっている。

◎ドルの人民元交換、中国で加速化、切り上げ懸念で(2004年11月18日、産経新聞)
 18日付の香港英字紙エイシャン・ウォールストリート・ジャーナルは、中国人民元が切り上げられると、米ドルで保有している資産に損失が出る恐れがあるとして、中国国内で市民が大挙して米ドルを人民元に交換している、と報じた。
 同紙によると、中国では、少し前までは米ドルで資産を保有していた人々がドル離れを起こし、多くの人が人民元を、より安全な通貨と評価。上海市内の銀行では昼休みにドルを人民元に交換するための長い列ができる。列に並んだ人々は「ドルはもう(持つ)意味がない」「ドル預金ではなく、ユーロや円にしておけばよかった」などと話している。(共同)

◎中国、一次で敗退、クウェートに1及ばず(2004年11月18日、産経新聞)
・7-0大勝も総得点差で涙
 【北京=伊藤正】2006年W杯アジア一次予選で17日、前回の日韓大会に初出場した4組の中国は7-0で香港に大勝したが、マレーシアを6-1で圧倒したクウェートに次ぐ2位となり、最終予選進出を逃した。中国とクウェートは当該対戦成績が同じで、勝ち点、得失点差でも並んだが、総得点でクウェートが中国を上回った。
 一方、7組の韓国は2-0でモルディブを下し一次予選を突破した。これで最終予選進出は日本と韓国、クウェートのほか北朝鮮、ウズベキスタン、バーレーン、サウジアラビアの7カ国となった。既に一次予選突破を決めていた2組のウズベキスタンは6-1で台湾に快勝した。

≪ファンから批判殺到≫
 アジアの強豪中国のW杯連続出場の夢は、一次予選でついえた。広州で行われた香港戦。7-0で圧勝しながら、マレーシアに6-1で勝ったクウェートに総得点で1点及ばなかった。圧勝しながらの敗退。結果は際どかったが、ファンの声は厳しくネット上にはサッカー協会批判が殺到した。
 最終戦までクウェートに勝ち点で並び、得失点で2差をつけられていた中国は、大差の勝利が絶対条件だった。開始早々から全員攻撃に近い猛攻を仕掛け、前半は3-0とリード。同時進行のクウェート-マレーシアは前半1-1で、得失点差で中国が逆転、約2万人の観衆を熱狂させた。
 さらに後半開始早々、中国は連続ゴール。「6-0で勝利」を予言していたオランダ人のアリ・ハーン監督の笑顔が再三アップでテレビに映し出された。過去数年、香港に3点差以上で勝ったことはなく、「奇跡」が起こるかに見えた。
 ところが後半3分に5点目を挙げた後、約40分間はPK失敗などが続きゴールできなかった。終了間際に2点を加え7点としたものの結局、この拙攻が響いた。プロリーグの放棄試合や暴力事件など不祥事続きで、加速するファン離れを食い止めるべく、サッカー界は一次予選突破に起死回生を図ったが、及ばなかった。
 広州からの報道では、観衆は香港戦の大勝がぬか喜びに終わったと知ると、虚脱状態に陥り、混乱に備えて待機した5000人の警備陣も出番がなかったという。(伊藤正)

◎予選逆転突破へ「同胞に圧力」?AFCが中国、香港に警告(2004年10月16日、産経新聞)
 サッカーW杯アジア一次予選の4組最終戦で11月17日に対戦する中国と香港に対しアジア・サッカー連盟(AFC)のベラパン事務局長は15日、「FIFAとAFCは不正がないよう、しっかり検証する」と警告した。
 4組は中国が13日のクウェート戦に0-1で敗れ、クウェートに得失点差2をつけられ2位に後退。最終予選進出を懸ける11月17日の香港戦は、クウェート(対マレーシア)との得失点差の争いだが、状況は不利。
 このためAFP=時事によると、中国では香港に試合を捨てるよう圧力をかけるべきだとの論調も登場、地元スポーツ紙は「サッカー協会会長がやるべきことは香港の同胞に『血は水よりも濃い』と催眠術をかけること」などと論評していた。

◎中国でまた騒乱、1人死亡、住民ら有料道路料金所に放火(2004年11月15日、産経新聞)
 15日付香港紙、太陽報などによると、中国広東省東部の掲陽市で10日、有料道路の料金所職員と地元住民の口論をきっかけに住民らが料金所に放火するなどの騒乱が起きた。武装警官ら数百人が出動して鎮圧したが、住民1人が死亡、多数のけが人が出た。
 同紙によると、バイクの通行料2元(約25円)を徴収すべきではないとする住民と料金所職員が口論となり、住民側の一部が料金所に放火。
 住民側は消防車の進入を阻止したが、その際、消防車にひかれて老人1人が死亡した。現場には2、3万人が集まったという。
 地元当局は11日、放火犯に16日までに出頭するよう呼び掛け、かくまった者は厳罰に処すると住民側に通告した。(共同)

◎「1つの中国」認めた場合のみ対話と中国側、台湾総統に圧力(2004年11月15日、産経新聞)
 15日付の中国各紙によると、中国の対台湾交流窓口機関の海峡両岸関係協会当局者は、台湾の陳水扁総統が「独立」活動を放棄し、「一つの中国」原則を認めた場合にのみ対話に応じるとの考えを表明した。
 中国は1992年10月の香港での中台会談で「『一つの中国』原則の堅持で両者が合意した」としている。台湾の立法委員(国会議員)選挙を12月11日に控え、陳総統の民主進歩党を中心とする台湾与党連合に圧力をかける狙いがあるとみられる。
 香港会談について台湾側は「『一つの中国』の解釈は(中台)各自に委ねるとの共通認識を得ただけ」と反論してきたが、陳総統は今月13日、「(中台会談の)共通認識を認めることは中国に対する投降を意味する」と会談の合意自体を否定、中国を刺激する発言をした。
 海峡両岸関係協会当局者は「香港での中台会談で、双方が『一つの中国』の堅持を共通認識としたことは歴史的事実だ」と強調。陳総統がこれを認めないのは「対話を望む中台同胞と国際社会の期待に背くことだ」と非難した。
 ロイター通信によると、国務院(政府)台湾事務弁公室の王在希副主任は「台湾当局が挑発を続けており、武力衝突の圧力が高まっている」と警告した。(共同)

◎中国の原油輸入昨年超える、海外資源の確保が急務(2004年11月14日、産経新聞)
 13日付の中国各紙によると、中国の1~10月の原油輸入が9959万トンと、すでに昨年の年間輸入量(9112万トン)を上回っていることが中国の税関統計で明らかになった。
 各紙によると、国際エネルギー機関(IEA)は年間の原油輸入は1億2000万トンに達すると予測。中国の石油業界関係者からは、ことしの原油輸入依存度が昨年の36%から一段と上昇、45%に達するとの予測も出ており、中国は海外での資源確保を一段と迫られることになりそうだ。
 原油以外の石油製品の輸入も上半期だけで1985万トンに達し、年間では4000万トンに達する見通し。各紙は、2年連続で米国に次ぎ世界2位の石油消費国になるのは確実としている。
 1~10月の中国の貿易収支は109億7000万ドルの黒字だったが、エネルギーを中心にした高水準の輸入が続くと、年間では昨年の貿易黒字(225億ドル)を下回る可能性もある。(共同)

◎中国、各メディア独自の報道を禁止、各地の衝突、ストで(2004年11月14日、産経新聞)
 14日付香港紙、明報によると、中国共産党中央宣伝部は、同国各地で相次いでいる地元当局と住民の衝突や抗議活動、ストライキなどが拡大することを警戒し、各メディアが独自に報じることを禁止する通知を出した。
 同紙によると、通知は各地のメディア管理部門に向けて出され、四川省や河南省、重慶などで起きた最近の事件を「悪性衝突事件」と位置付け、勝手に報道することを禁止。事件を伝える場合は国営通信社、新華社の原稿を用いることとし、違反した場合は厳しく処分するという。(共同)

◎官房長官「領海侵犯の潜水艦は中国籍、速やかに抗議」(2004年11月12日、日本経済新聞)
 細田博之官房長官は12日午後の記者会見で、10日朝に沖縄県先島群島周辺の日本領海を侵犯した潜水艦について「我が国周辺海域から離れて航行していった方向や、原子力潜水艦と考えられることをはじめ、諸情報を総合的に勘案した結果、中国海軍に属するものと判断している」と発表した。「今後、速やかに外交ルートを通じ、中国に対して抗議する予定。町村信孝外相からできれば17時に在京の中国大使館に抗議を行う」と述べた。
 10日午前8時45分に大野功統防衛庁長官が発令した海上警備行動に関しては「本日午後1時ごろまでに防空識別圏を越え、東シナ海の公海上まで追尾した結果、潜水艦が我が国周辺海域から離れていった方向がおおむね北北西であると把握できたこと、当該潜水艦が当面、再度我が国領海に戻ってくる恐れはないと判断したことから3時50分に終結命令を発した」ことも明らかにした。

◎侵犯の潜水艦、中国の原潜と特定、海上警備行動は解除(2004年11月12日、朝日新聞)
 中国の原潜とみられる潜水艦が沖縄県・先島諸島周辺の日本領海を侵犯した事件で、細田官房長官は12日午後4時の記者会見で、潜水艦が中国方向の北北西に向かったこと、原子力潜水艦と見られることなどから、「中国海軍に属するものと判断した」と発表した。町村外相が中国大使館公使を呼び、抗議した。
 また大野防衛庁長官は午後3時50分、潜水艦が日本の領空外に設けた防空線である「防空識別圏」の外に出たこと、再度戻ってくることはないと見られること、などから海上警備行動の終結命令を出した。

◎北京五輪控え、中国でスポーツ用品商戦が熱気(2004年11月7日、読売新聞)
 2008年に開催される北京五輪に向け、日本のスポーツ用品メーカーが中国市場へ取り組みを本格化させている。
 最大手のミズノが大型直営店の展開に乗り出したほか、アシックスや、スポーツウエア大手のデサントなども積極的な店舗戦略を進めている。米ナイキ、独アディダスなど中国市場で先行する欧米有名ブランドも店舗網を拡大中だ。背景には、北京五輪をひかえた建設ブームなど中国の景気過熱があり、スポーツ用品の商戦も熱気を帯びている。(遼寧省瀋陽で、東一真)

◆激突
 ミズノは8月末に、遼寧省瀋陽市の繁華街に、直営スポーツ用品店では中国最大級となる総面積2000平方メートルの大規模店をオープンした。ミズノ直営店の真正面には、アディダスなどの製品を売る地元スポーツ用品店があり、すぐ隣は中国最大のスポーツ用品メーカー「李寧(りねい)」の専門店だ。東に50メートル歩けば、ナイキの専門店も店を構え、中国屈指のスポーツ都市の瀋陽では、世界的なスポーツ用品メーカーの激突が始まっている。
 中国のスポーツ用ウエアとシューズ市場は、中国に700店を展開するナイキが3割近いシェア(市場占有率)で、李寧とアディダスを加えた3社が他を圧倒している。これに対し、ミズノは今後、瀋陽と同規模の大型直営店を北京、上海に開店する。百貨店などに入居する小規模店も400程度から、北京五輪の2008年までに計1400に拡大し、中国で売上高160億円、シェア10%を目指す。

◆市場開拓
 デサントは9月に上海で、日本のプロ・ゴルファーを講師としたゴルフ学校をオープンした。「マンシング」ブランドのゴルフウエアなどを作る同社は、ゴルフをもっと普及させて、ウエアの需要を高めたい考えだ。
 広い中国全土に、ゴルフ場はまだ200か所弱、ゴルフ人口は推定で約40万人にすぎない。うち30万人は中国に駐在する外国人と見られ、ゴルフを楽しむ中国人は10万人程度とごくわずかだ。ゴルフ学校の開設は、ゴルフ人口を増やし、市場を自ら掘り起こす試みだ。
 デサントは一方で、「マンシング」ブランドの販売店を年内に50店舗と昨年の2倍に拡大する。ブランド別の多店舗展開を進め、売上高の目標は2004年度に10億円、2005年度20億円、2006年度30億円と急成長を見込む。

◆活況いつまで
 アシックスも運動シューズを中心に、現在の100店舗から2008年には300店舗に拡大する計画だ。2008年の売り上げは現在の5倍の50億円を目指す。
 中国紙の報道によると、李寧も現在の約300店舗を、今後2年以内に1000店舗に増やす計画だ。
 中国でスポーツ関連メーカーが店舗展開を加速させているのは、北京五輪を控えてスポーツに対する関心が高まると見られているためだ。五輪に向けた建設ブームなどで、消費者の購買力も強まり、大きな商機が来ると見込んでいる。業界では「中国のスポーツ関連市場は、北京五輪後に一時的な後退があっても、長期的には右肩上がり」(北野周三・ミズノ取締役)との強気の見方が支配的だ。
 とはいえ、中国のスポーツ商戦について、「バブル現象」との見方もある。
 中国は10月29日に9年ぶりに法定貸出金利を引き上げ、金融引き締めによる「バブル抑制」に動いた。過熱景気の中で進むスポーツ市場の活況が続くかどうかは、中国の経済運営と景気の行方に大きく左右されそうだ。

◎中国河南省、回族と漢族が衝突、148人死亡説も(2004年11月1日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】香港のテレビ報道によると、中国河南省鄭州市郊外の中牟県で1日までに、イスラム教を信仰する少数民族・回族と漢族の住民同士が衝突、多数が死亡したとの情報が出ている。
 米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、この衝突で148人が死亡したと伝えた。両民族の衝突は10月29日、回族のタクシー運転手が漢族の6歳少女をはね死亡させたことをきっかけに起きたという。
 公安当局などが、付近の回族の加勢を食い止めようとしているが、すでに河南省各地の回族が車で現場に駆け付け、約1万人に達している模様だ。応援の武装警察部隊も県内に入れない状況が続いているという。
 一方、香港紙によると、中国四川省漢源県で、10月末、水力発電所建設工事のために地元当局が収用した土地の補償をめぐり、農民ら数万人規模の抗議行動が発生、重慶市でも同月中旬、市民数万人が地元政府庁舎を包囲する騒乱が起きるなど、不穏な動きが相次いでいる。

◎農民数万人デモ、1人死亡、中国、土地補償に不満(2004年11月1日、産経新聞)
 一日付香港紙、東方日報などによると、中国四川省漢源県で10月27日、地元政府が収用した土地の補償に不満を持った農民ら数万人が抗議行動を起こし、鎮圧に当たった多数の警官と衝突して農民の男性1人が死亡した。
 反発した農民側は男性の遺体を掲げて翌28日「汚職役人打倒」「(地元政府は)温家宝首相の言う通りにしろ」などと叫んでデモ行進。一時は政府や学校、商店が閉鎖されたという。
 同紙によると、現地は31日にも各所に武装警官が配置され、当局は「首謀者」を徹底捜査するとの通知を出した。
 中国では先月、重慶市で市民数万人が地元政府庁舎を取り囲む騒乱が発生。安徽省でも年金に不満を持つ数千人が道路を封鎖するなど、行政に対する抗議活動が続出している。(共同)

◎中国南部で大規模干害、過去50年で最悪(2004年10月29日、日本経済新聞)
 【北京29日共同】中国の国家水害・干害対策本部によると、華南地区など中国南部で9月以降の降水量が例年を大幅に下回り、湖南、広東の両省と広西チワン族自治区ではこの約50年で最悪の干害に見舞われている。国営通信、新華社が29日までに伝えた。
 工業や農業への影響にとどまらず、一部地域では飲用水さえ欠乏するほど深刻化している。両省と同自治区では9月から今月24日までの降雨量がわずか約77ミリ。10月以降に限ると、さらに広い地域で10ミリ以下の少雨となっている。広西チワン族自治区では約140万人が飲用水の確保が困難になっている。国家気象センターによると、干害に見舞われている地区一帯は今後1週間も晴天が続く見通しで、被害がさらに拡大する可能性がある。

◎中国が9年ぶり利上げ、景気沈静化狙う(2004年10月29日、読売新聞)
 【北京=東一真】中国政府・中国人民銀行(中央銀行)は28日、主要政策金利の一つで、金融機関から企業などに貸し出す際の「法定貸出金利」を29日から、期間1年もので0.27%引き上げて、年5.58%にすると発表した。
 これに伴って、銀行に預け入れる際の「法定預金金利」も0.27%引き上げ、1年もので2.25%とする。インフレ懸念を払拭(ふっしょく)し、過熱気味の景気をソフトランディング(軟着陸)させるには利上げに踏み切らざるを得ないと判断した。
 中国は、1996年5月以降、97年のアジア通貨危機に伴う景気後退への対応も含め連続8回、法定貸出金利を引き下げており、利上げは1995年7月以来、9年ぶりとなる。法定貸出金利の1.7倍までに制限してきた商業銀行の貸出金利の上限も撤廃する。
 人民銀行は昨年9月に金融機関の預金準備率を引き上げて以降、銀行の窓口指導を強化して鉄鋼、セメント、アルミなど設備投資が活発な業種への融資を控えさせたほか、各地の開発区(工業団地)の整理に乗り出すなど強権的ともいえる行政手段で景気過熱の沈静化を図ってきた。
 今年4月以降、投資の伸びが鈍化して、中国政府は「コントロールの効果が表れた」としていた。ただ、7月に再び固定資産投資が上昇に転じ、消費者物価指数の上昇率も年初以来、上がり続け、9月には5.2%になった。このため、抜本的な金融引き締め措置が必要と判断して、利上げに踏み切ったとみられる。

◎北京市郊外に世界最大のモールが開業、総投資額500億円(2004年10月24日、産経新聞)
 北京市西部海淀区の住宅地に24日、敷地面積が東京ドームの約15個分の68万平方メートルという世界最大のショッピングモール「金源時代購物中心(ゴールデン・リソース・ショッピングモール)」が開店した。
 北京市でショッピングセンターを経営する企業と広東省深セン(セン=土へんに川)市の百貨店が共同で設立した会社が運営。総投資額は38億元(約500億円)という。中核になる超大型ショッピングセンターには高級ブランドなどのテナントが多数入り、日本のファッションを集めたコーナーもある。
 敷地内にはこのほか、100以上のレストラン、映画館やスポーツジム、主要メーカーのディーラーがそろった自動車販売センターなどがあり、1日10万人以上の来客を見込んでいる。(共同)

◎中国製靴下に輸入制限、米商務省(2004年10月24日、産経新聞)
 米商務省は22日、中国製靴下の輸入が急増し国内市場が打撃を受けているとして、緊急輸入制限(セーフガード)の発動を決めた。最近の輸入量に対して伸び率を6~7.5%増に抑える。
 米政府は事態の改善策について直ちに中国政府と協議に入る方針。90日以内に両国間で合意できない場合は、制限措置をさらに1年間延長する予定だ。今回の輸入制限発動は、大統領選を目前に国内繊維業界の支持固めを狙ったものと受け止められている。
 商務省によると中国からの靴下輸入は2003年に9000万ドル超に上り、前年の3倍以上になった。(共同)

◎東シナ海ガス田開発、中国、日本側で計画、政府抗議へ、外交問題化も(2004年10月18日、産経新聞)
 日本政府の抗議を無視する形で進めている、中国政府の東シナ海のガス田開発で、日本政府が主張している日本側水域で中国が新たな鉱区開発を計画していることが十七日、日本政府が入手した情報で明らかになった。中国は日本側水域近くでガス田開発を進めているが、日本側水域でのガス田開発の動きが判明したのは初めて。今回の情報が事実なら、中国が日本側水域内で主権を行使することになりかねず、重大な外交問題に発展するのは必至だ。
 東シナ海では、資源開発などの権利が認められる排他的経済水域(EEZ)をめぐり、日本は日中両国の海岸線から等距離地点を結んだ「中間線」を境界線としているが、中国は大陸棚が続く「沖縄トラフ」までをEEZとしている。
 中国は、日本がEEZと主張する日中中間線から約四キロ中国側に春暁鉱区を設定。来年中ごろの操業を目指してパイプライン敷設工事などを進めているが、日本政府は春暁鉱区のガス鉱脈が海底地下で日本側水域までつながっており、日本側の資源も吸い上げられると抗議している。
 今回、政府が入手した中国側の海洋資源開発計画によると、日中中間線を越え、日本側の海域に複数の鉱区を新たに設定していることが判明した。
 すでに開発権利を中国企業に与えているとの情報もあり、日本の権益が大きく侵害される懸念が高まっている。
 これまで中国側は日本政府の抗議に日中の共同開発計画を逆提案するなどして応じてきているが、日本側は「内容があいまいで、さらに日本側の海洋資源を侵食される恐れがある」(政府関係者)として応じない姿勢を保ってきた。
 しかし、十七日のフジテレビ「報道2001」に出演した中川昭一経済産業相は、「EEZ無視は友好的ではない」と強い不快感を示す一方、「事実関係を確認するため、実務者協議はむしろ早くやるべきだ」と強調。中国政府が東シナ海のガス田開発問題で打診してきた日中実務者レベル協議について、月内にも開催する方向で日中間で調整し、この場で、中国側が応じていない現場海域の地下資源データ提出を改めて求めたうえで、中国に開発地点について事実関係をただし、事実なら強く抗議する考えだ。
 排他的経済水域の境界画定は、日中間で棚上げ状態となっているが、今回の鉱区開発をきっかけに、再燃する可能性もある。

≪東シナ海海底資源開発≫
 日本が、資源開発などの権利が認められる排他的経済水域(EEZ)と主張する東シナ海の日中中間線付近の海底に石油や天然ガスの埋蔵があるとされ、中国は2003年8月、国際石油資本(メジャー)と共同で中間線付近の中国側水域で「春暁鉱区」など5カ所で開発に着手した。
 日本政府は、EEZの境界線が画定していないなど国連海洋法を根拠に付近海底の資源開発を許可してこなかったが、中国側の動きを受けて7月、中間線より日本側で海底資源探査に乗り出した。こうした日中対立のなか、メジャーは9月、東シナ海の事業から撤退を表明している。

◎上海ガニ、指輪でニセモノ対策、業者名と電話番号明記(2004年10月17日、朝日新聞)


 秋の名物としてシーズンを迎えた上海ガニに指輪をつけたものが登場した。最高級品の産地として知られる中国・江蘇省の陽澄湖産。偽物が大量に出回っているため、業者が本物を証明するために考案した。
 上海市内のあるレストランでは9月下旬から、直径約1センチ大のプラスチック製の白い丸い指輪をはめたカニを陽澄湖産として提供している。
 指輪の外側には業者名と電話番号、内側にはID番号が打ち込まれている。電話番号をダイヤルして証明番号を伝えれば本物か偽物かを確認できる。同店での値段は1杯約80元(約1000円)と例年並みだ。
 考案した蘇州市陽澄湖上海ガニ業協会によると、数年前から大量の偽物に悩まされ、これまでは甲羅にレーザー処理したシールを張った方法などを採用したが、効果はいまひとつだった。
 指輪の材質は、カニと一緒に調理しても問題ないものだという。特許も出願しており、同協会は「指輪は一度外すと付け直せない仕掛けになっており、指輪の偽物を作るのも相当難しいはずだ」と自信を見せる。
 指輪つきは同協会会員約40社に限られ、シーズン中の出荷は計600万~700万杯にのぼるとみられる。日本へも輸出されているという。

◎海運業界「冬の時代」脱出、中国成長で荷動き活発に(2004年10月17日、読売新聞)
 空前の好況に沸く海運各社が、過去最大規模の船舶の調達に乗り出している。中国経済の高成長で、素材や資源、工業製品などの荷動きが世界規模で活発になり、今後も増加が見込まれるためだ。
 運賃の上昇と、それに支えられた好業績も背景にある。現時点の計画では日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社で約630隻、総額は約3兆円近い規模になる。
 1980年代半ば以降の急激な円高で大規模リストラを迫られ、「冬の時代」が長かった海運業界だが、強気の投資で「わが世の春」を謳歌(おうか)している形だ。

・投資
 各社の投資計画では、日本郵船が2003~2007年度に1兆円を予定する。現在の船舶は616隻だが、2007年度までに210隻程度を新たに確保する。業界で最大の630隻を持つ商船三井も、2004~2009年度に1兆1600億円を投じ、243隻を調達する。川崎汽船も2004~2008年度に7300億円かけ、181隻を調達する。
 海運会社とは別の船主が保有し、海運会社が借りて使う「用船」も含まれているが、調達規模はいずれも過去最高水準という。コンテナ船、自動車輸送船、石油タンカーなど幅広い種類の船を建造する予定で、各社は「投資をさらに上積みする可能性もある」(商船三井)としている。

・背景
 中国経済の成長が最大の要因だ。中国向けでは鉄鉱石、原油などが伸び、中国発では建材や家電製品、日用品、電子部品などの輸送が増えている。日本郵船の調べによると、2003年の全世界の海上の荷動き量は、原油が18億2400万トンと前年比4%増え、鉄鉱石や穀物などバラ積み荷の総量も21億7100万トンと7%増になった。
 その結果、運賃も急騰し、石油タンカーの運賃指標は今年10月に2000年4月の2倍以上となった。こうした好況が、2004年3月期連結決算で大手3社がそろって過去最高の経常利益を出すなどの好業績につながり、新たな投資を生む好循環になっている。
 また、過去のリストラの徹底も海運の好調を支えている。海運会社は「代金決済の8割がドル建て」(商船三井)で、85年のプラザ合意後の急激な円高が業績に深刻な影響を与え、日本人船員を外国人に切り替えるなど、長期間、リストラに取り組んできた。このため「リストラを先取りし、バブル期にも続けてきた成果が今、出ている」(日本郵船)という面もある。

・展望
 中国を中心とした荷動きは、今後も増加が見込まれる。ロシアや南米など新興国の輸出入も増えると予想されている。日本郵船は、世界全体の2007年の海上輸送量について、原油で2003年と比べ14%、バラ積み荷でも18%増えると推計している。「中国で製品を作って消費地に運ぶなど国の間の水平分業の動きが広がっており、海上輸送の需要は当面、伸びる」(一柳創・大和総研アナリスト)との見方が強い。
 ただ、現在の運賃相場については「過去に経験のない水準で、このまま続くとは考えにくい」(民間アナリスト)とも見られている。各社が競って船舶調達を行えば、供給過剰に陥って、運賃が下落する懸念もある。中国経済が急失速すれば、需給のバランスが崩れる可能性も指摘される。
 さらに、「1ドル=1円の円高で16億円の利益が減る」(商船三井)という為替変動リスクも不安要因で、「春」が永遠に続く保証はないのが現実だ。

◎中国の外貨準備、5000億ドル、ドル買い介入で増加か(2004年10月17日、産経新聞)
 中国中央テレビによると、中国人民銀行(中央銀行)は15日、9月末の中国の外貨準備高が5145億ドルとなり、初めて5000億ドルを突破したと発表した。
 中国は通貨、元を米ドルに連動させるため元売りドル買い介入を続けており、外貨準備高が急増している。昨年末時点では4032億ドルだった。日本の外貨準備は9月末で8309億ドル(財務省調べ)。
 また、9月末の金融機関の貸出残高は前年同月比13.6%増だったが、伸び率は前年同月より大幅に縮小。通貨供給量も13.9%増と「年初に計画した合理的水準に戻った」という。
 中国人民銀行は最近の金融情勢について「国のマクロコントロールの方向に従って発展している」としている。(共同)

◎中国サッカー「存亡の危機」? 判定めぐり迷走 W杯出場ピンチ(2004年10月17日、産経新聞)
・協会解体論まで
 【北京=伊藤正】中国サッカー界が揺れている。国内プロ一部の「プレミアリーグ」で判定をめぐって試合放棄事件が発生、サッカー協会がその対応にもたつく間に、二〇〇六年ワールドカップ(W杯)一次予選での敗退がほぼ決定的になったためだ。ファンの怒りが爆発、中国サッカーは「存亡の危機」と有力メディアも伝えだした。
 試合放棄があったのは今月二日、北京現代と瀋陽金徳戦。1-1で迎えた後半29分、北京現代ゴール前でのクロスプレーを主審がPKと判定、不服の北京現代イレブンはピッチを離れ、十一年前のプロリーグ発足以来初の放棄試合を宣告された。
 「誤審」と確信する北京現代の抗議に対し、翌三日の審判委員会はビデオチェックの結果として誤審を否定した。サッカーに誤審は付き物だが、主審の判定は覆らないのは常識であり審判委の判断は当然だった。
 中国サッカー協会は当初、主審への処分を拒否、北京現代に厳罰を科す方針だったが、すぐ迷走を始める。プロリーグ創設以来の有力チームの北京現代がリーグ離脱も辞さない構えに出たからだ。北京現代の強硬姿勢の背景には、サッカー界の現状への強い不信がある。
 北京現代指導部は、過去繰り返されてきた八百長試合、審判の買収事件から闇賭博の放置などを中国サッカー弱体化とファンのサッカー離れの要因とし、今回の「誤審」事件もその延長線上にあると主張した。最大民間ネット「新浪網」のアンケートで75%が北京現代を支持したこともサッカー協会を動揺させた。
 規定では試合放棄に対する処分は三日以内に下すことになっているが、サッカー協会が決定を出したのは後半戦開始二日前の十四日。北京現代に瀋陽戦の0-3での敗北と三十万元(約四百万円)の罰金を科すと同時に、主審の後半戦出場停止という実質的に「誤審」を認める処分だった。
 北京現代は処分は不当としながら十六日の後半戦第一戦には出場した。各クラブが大赤字を出す一方で、放映権料などで利益を独占する中国サッカー協会が北京現代の離脱を恐れ、審判の権威を損なう妥協に応じたことを北京現代側が「評価」した結果だった。
 そうした中、北京時間十四日未明のW杯アジア一次予選第四組で中国はクウェートとのアウエー戦に敗退、勝ち点で並ばれ、得失点で2点差をつけられた。最終戦の相手(中国は3位の香港、クウェートは香港よりはるかに実力が劣る最下位のマレーシア)から中国のW杯出場はほぼ絶望的になった。
 メディアは、ホームでは勝ったクウェート戦の敗北の原因をオランダ人のアリ・ハーン監督の戦術ミスに帰した。新浪網のアンケートでも九割以上が監督の戦術ミスと答え、実績のないハーン氏を採用したサッカー協会の責任を追及する大合唱が起こった。
 共産党機関紙「人民日報」さえハーン監督批判に加わり、中国サッカーは「またも危急の時を迎えた」と評した。ファンの間でもサッカー協会解体論も強まっている。
 八月のアジア杯日中決戦後、反日騒動に発展したように、ファンのフラストレーションは極限に達しつつある。三年前の審判買収事件では、責任をほおかぶりしたサッカー協会幹部も今回は逃れられそうもない。

◎文化財密輸:日本人男性が無期懲役、01年に、上海紙報道(2004年10月16日、毎日新聞)
 国外持ち出し禁止の骨董(こっとう)品を中国遼寧省の大連空港から日本に持ち出そうとしたとして、日本人男性が文化財密輸罪で起訴され、01年に無期懲役の判決を受けていたことが、15日付の上海紙、東方早報の報道で分かった。
 瀋陽総領事館大連出張駐在官事務所によると、この男性(62)は今も服役中で「持ち出し禁止とは思わなかった」と話している。中国で骨董品を買い、税関申告せずに持ち帰る日本の旅行者は多いとされるが、摘発され、実刑判決を受けるのは異例だ。
 同事務所によると、男性は骨董品市場で陶器片などを10~30元(約130~390円)で約190点買ったが、持ち出し禁止品が含まれていた。量が多いため、日本で転売するため密輸しようとしたと認定され、01年12月に地元裁判所で無期懲役、02年2月の2審でも控訴棄却となった。(上海・共同)

◎集団買春:日本人20人摘発、駐在員ら2人起訴、上海(2004年10月15日、毎日新聞)
 中国上海の日本総領事館が15日明らかにしたところによると、5月末に上海を訪れた団体観光客ら日本人約20人が集団買春で摘発される事件があり、現在も拘束されている2人が今週起訴された。
 関係者によると、2人は日系企業の上海駐在員らで、集団買春を仲介した罪を問われた。団体は上海市内のナイトクラブで気に入ったホステスを宿泊先のホテルに呼び買春。起訴された2人はクラブを紹介するなど仲介をした。
 外国人の買春事件で拘束が長期に及び、起訴されるのは異例。罰金を払えば釈放されることが多いが、2人は集団買春を仲介したため、罪状が重いと判断されたようだ。
 昨年9月、広東省珠海市で起きた日本人観光客約380人の集団買春では、中国各紙が批判し、反日感情が高まって外交問題に発展したが、今回は中国紙は一切報じていない。
 関係者によると、添乗員が紹介したクラブを団体が拒否し、別のクラブに行ったため、怒った添乗員が警察に宿泊先などを通報したらしい。(上海共同)

◎松下、中国に世界最大級の家電生産基地建設へ(2004年10月15日、日本経済新聞)
 【上海=湯浅健司】松下電器産業は中国の浙江省に世界最大規模の家電生産基地を建設する。洗濯機や掃除機、エアコン関連など生活に身近な白物家電の工場を集約・拡充し、中国国内向けを中心とした一大供給拠点とする。既存工場も生かすため、投資額は300億円前後の見通し。中国家電最大手に匹敵する生産規模と価格競争力を確保し、2006年度には日本企業初となる中国売上高1兆円の目標達成を確実なものとする。日本の電機大手の中国戦略は現地最大手を目指した新たな段階に入る。
 松下は浙江省の省都、杭州市の経済開発区にある炊飯器や掃除機などの既存工場に隣接して、約30万平方メートルの敷地を確保。「松下杭州工業園」と呼ぶ巨大な工場群を建設する。

◎松下電器、中国の秀才囲い込み、大連理工大に専用コース(2004年10月13日、朝日新聞)
 松下電器産業は、中国での生産拡大に対応するため、優秀な中国人学生を囲い込み、ソフトウエア技術者に育成する戦略をとる。まず大連市の大連理工大学の協力を得て「松下グループ専用コース」を開設。松下グループが同大の学生を選抜し、日本語修得を含めた1年間の実務教育を実施。講師も同グループから送り込む。学生に松下への就職義務はないものの、コース履修者の半数程度は採用できると予想している。中国では企業の人材獲得競争が激化しているが、教育まで手がける「超青田買い」は異例の手法だ。
 コースは18日に開講する。7月の説明会に参加した学生約800人から、筆記試験と面接で第1期生40人を選んだ。対象は3年生で年間400時間の特別講義を実施、日本語に加え、ソフト開発に必要な技術などを松下グループの技術者数十人が分担して教える。学生の負担はゼロで、コース運営の資金は松下が全額提供する。
 中国の大学は9月から学期が始まるため、1期生がコースを終えると4年生で、ちょうど就職活動を始めるころになる。大連理工大は難関校の一つとされ、一線の技術者の供給源となることに期待を寄せる。
 関係者によると、中国の大学では外資系企業がスポンサーになる寄付講座などの例はあるが、全面的に企業が運営する例は極めて珍しい。松下は来年以降、ほかの大学にもコースを設置することも検討している。
 松下は現在、中国にグループ企業が60社あり、約6万人が働いている。03年度に約5800億円だった中国での生産規模を05年度には1兆円に引き上げる方針だ。ただ、事業拡大のカギを握る経営幹部や技術者といった現地の人材は、企業間で奪い合いの状況という。
 これまでも松下は北京と大連に「リクルートセンター」を設置し、グループ各社が一括採用を実施してきた。大連には今年1月、ソフトウエア開発拠点としてパナソニックソフトウェア開発(大連)有限公司を設立したばかりで、まず大連で学生の囲い込み戦略を手がけることにした。

◎中国の実質成長率、9.4%成長に、04年予測(2004年10月11日、日本経済新聞)
 【北京11日共同】11日付の中国各紙によると、中国社会科学院の経済分析チームは、ことしの中国の国内総生産(GDP)実質成長率が9.4%程度で2003年の9.1%をやや上回るとの予測を発表した。上半期の成長率は9.7%だったが、政府の引き締め政策の効果で通年ではさらに減速するとみている。
 05年については、大きな災害などがなければ8%以上の成長は可能としている。
 ことしの固定資産投資の伸びは24%と依然高い見通し。引き締め効果で05年には15%程度まで減速すると予測したが、GDPに占める固定資産投資の比率は50%を超える見通しで、比率を抑える対策が必要だと指摘した。
 ことしの輸出入の伸びは30%程度の勢いを維持するが、05年には20%程度に減速、貿易黒字も縮小に向かうとしている。

◎中国人民銀総裁、「元」の変動幅拡大を示唆(2004年10月3日、読売新聞)
 【北京=東一真】先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に出席した中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は2日、ワシントンで、米ドルに事実上固定している人民元の為替相場について「アジア通貨危機の特殊な状況下で形成されたもので、永久的なものではない」と述べ、今後、人民元相場の変動幅拡大など、為替を柔軟化する方針を示唆した。
 中国国営新華社通信のインタビューに答えた。
 ただ、周総裁は、今後の為替改革について、「中国のマクロ経済状況、周辺国・地域の金融情勢などを考慮しなければならない」とも述べ、人民元相場の柔軟化にはなお時間がかかるとの見方を示した。

◎中国であふれる家電ゴミ、テレビ年間1千万台にも(2004年9月30日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】世界最大の家電消費大国・中国で、電子ゴミの山が膨れあがっている。昨年中国で廃棄されたテレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、パソコン(主要5製品)は計約2800万台で、増加ペースは「一般ゴミの3倍」(中国紙)。中国政府は9月中旬、「生産者責任」などをうたった家電ゴミの「回収処理管理条例案」を初公表し、先進国にならった関連法制整備を始めた。
 中国国家発展改革委員会によると、5製品の昨年の生産量は計1億8200万台で、全国の普及台数は現在約9億台。多くが購入から10―15年の買い替え期を迎え、今後の廃棄量は、毎年テレビ1000万台、洗濯機600万台、冷蔵庫400万台などと見込まれる。500万台のパソコン、3000万機の携帯電話も更新期だ。
 急速な経済成長が続く中国では、都市部の大量消費に対応する基盤整備が間に合わない状態。経済発展に必用な資源や資材の枯渇も顕著で、再利用可能資源を有効活用する「循環型経済」の確立が国家の重要課題になっている。資源ゴミの処理施設、リサイクル網の整備は緊急課題だ。
 一方、欧米や日本など海外から中国に持ち込まれる電子ゴミも後を絶たない。「中国経済時報」紙によると、世界の電子ゴミ年間5億トンのうち、約7割が中国に運び込まれているという。政府は電子ゴミ輸入を禁止しているが、各地の「密輸基地」では、手作業で貴重金属を抽出するなどの違法処理が横行、環境汚染や人体被害が続出している。
 北京の環境専門家は「廃棄家電から、金になる枯渇資材を入手しようとする業者が幾重にも介在し、必要な部分だけを『取り捨て』しているのが現状。リサイクルルートを構築しても、機能するには時間がかかる」と困難を予想している。

◎中国が炭の全面輸出禁止、焼き鳥店への影響は深刻?(2004年9月28日、読売新聞)
 林野庁は28日、中国が森林保護を理由に、10月から木炭の輸出を全面禁止すると発表した。輸出禁止の期間は不明で、再開の可能性は低いとしている。
 中国産の木炭は、日本国内の消費量の約3分の1を占め、特にうなぎ店や焼き鳥店などで使われる白炭のシェア(市場占有率)は約8割を占める。
 林野庁は、おがくずを原料にした代替品の利用や、国内産の増産を関係業界に呼びかけている。
 林野庁によると、中国は8月26日付で木炭の輸出禁止を公告した。2003年の日本国内の木炭消費量は約18万トンで、うち中国からの輸入品は約6万3000トンをだった。
 備長炭などで代表される白炭は、均一で安定した火力を得られるため、料理店での需要が高い。
 業界では、約3~6か月程度の在庫があり、その後は代替品の「オガ炭」や他国からの輸入品への切り替える動きが広がりそうだ。しかし、中国産の白炭は、国内産(1キロ約600円程度)の約半額のため人気で、切り替えが順調に進むかは不透明だ。

◎焼き鳥、蒲焼きに影響か?中国が木炭輸出を全面禁止へ(2004年9月28日、朝日新聞)
 中国政府が10月から、木炭の輸出を全面的に停止する方針であることが28日、明らかになった。森林の保護など環境対策が理由という。日本でウナギのかば焼きや焼き鳥などに使う木炭の多くを中国産に依存しており、飲食業界などへの影響は大きそうだ。
 中国では、国土に占める森林の割合(被覆率)は16.55%(02年)と日本の約4分の1。国家林業局は森林開発を制限し、被覆率を2050年に26%まで引き上げる国家目標を打ち出している。
 木炭は木材を大量に使用するため、商務部は昨年8月、断面直径4センチ、長さ10センチ以上の木炭の輸出を禁止していた。今回は、その措置をさらに拡大することになる。
 林野庁によれば、03年の中国産木炭の輸入量は6万2000トンで、輸入量全体の半数以上を占める。特にウバメガシが主な原料で安定した火力が長時間にわたって得られる白炭は、高級品が「備長炭」として飲食店に珍重されるが、4万4000トンの国内消費量のうち中国産が3万6000トンだ。
 中国からの輸入が止まった場合、「減った供給量を早急に補うことは難しい」(林野庁特用林産対策室)という。
 ただ、4カ月分の消費量程度の中国産木炭の在庫があるため、林野庁は「在庫を使い切る前に、国産の生産量を増やしたり、マレーシアなどからの輸入量を増やすなどの対策を実施する」という。
 また業者によっては、のこぎりくずを加工して生産し、白炭に似た性質を持たせた「オガ炭」への切り替えで代替を図るところも出てきそうだ。

◎遺棄化学兵器を回収、中国・黒竜江省(2004年9月23日、朝日新聞)
 中国・黒竜江省寧安市の製鉄所で発見された旧日本軍の遺棄化学兵器の発掘・回収が今月上旬から始まり、22日、作業が報道陣に公開された。化学兵器禁止条約に基づき、日本の責任で行う発掘・回収作業は00年9月から始まり、今回が6度目となる。
 製鉄所にはくしゃみ剤やマスタードガスなどが入った約700発の砲弾などが埋められていると推定されている。日本側からは約40人、中国側からは約160人が参加。作業は6日から28日までで、期間中、周辺の住民は避難を余儀なくされている。
 自衛隊員が土中の砲弾などを手やスコップで掘り起こす。それを自衛隊OBらが、化学兵器かどうかの鑑定を行う。緊張を強いられる上に防護服での作業のため、大量の汗をかく厳しい作業だ。中国の若い軍人は「暑い」とつぶやいていた。
 21日までに111個の砲弾類が発掘された。26個が化学弾と判定され、保管のために仮梱包(こんぽう)された。化学弾かどうか不明の弾はエックス線鑑定に回され、通常弾は中国側が処分する。

◎中国、対日割りばし輸出に批判、環境破壊ないと業界反論(2004年9月22日、毎日新聞)
 中国紙、国際商報はこのほど、中国から日本に輸出される大量の割りばしをめぐり、中国国内で「森林資源を破壊している」との批判が高まっており、業界側は「環境破壊には当たらない」と懸命に反論していると報じた。
 同紙によると、中国は2003年に世界30カ国以上に割りばしを輸出し、1億2000万ドル(約132億円)以上を稼いだ。輸出の65%は日本向けだという。
 森林資源減少を防ぐため、中国政府は01年に全国的な伐採量の上限を設定。だが、同紙によると、業界団体幹部は、割りばしに使われる木材は年150万トン程度で、03年の木材商品生産量の約3%に過ぎないと説明。また、原料はカバなど繁殖力が強く用途の少ない樹木が中心だとして、環境への影響は小さいと強調した。
 中国の生産業界は、日本で中国製割りばしから漂白剤が検出されたことなどで輸入検査が強化されたことにも危機感を強めているようだ。業界団体幹部は、日本の輸入業者団体と交流を強化し、粗悪品防止に向け、製品規格制定や安全性向上を進めていると強調した。(共同)

◎江沢民氏、軍事委主席を辞任・胡錦濤氏が3権掌握(2004年9月19日、日本経済新聞)
 【北京=宮沢徹】中国共産党が16日から開いていた第16期中央委員会第4回全体会議(4中全会)は19日に閉幕し、党中央軍事委員会の江沢民主席(78)が辞任、後任に胡錦濤国家主席(党総書記、61)を選出した。これで2002年に総書記に就任した胡氏が党、政府、軍の3権を掌握。名実ともに胡錦濤体制へ移行する。
 党軍事委主席の交代は、トウ小平氏から江氏へポストを譲った1989年以来、15年ぶり。江氏は来春の全国人民代表大会(全人代)で国家中央軍事委主席からも退く見通しで、完全引退となる。
 江氏は上海市長などを歴任、1989年の天安門事件直後に党総書記に抜てきされ、その後、党軍事委主席、国家主席も兼務した。2002年に総書記、2003年に国家主席の座を胡氏に譲って以降も党軍事委主席にとどまり胡氏に強い影響力を及ぼしてきた。台湾問題などが緊迫する中、軍に依然として強い基盤を持つ江氏が引退後も一定の発言力を維持するとの指摘もある

◎江沢民氏が完全引退、胡錦涛氏、3権掌握(2004年9月19日、産経新聞)
 北京で16日から開かれていた中国共産党の第16期中央委員会第4回総会(4中総会)は19日、江沢民党中央軍事委主席(78)の退任と胡錦涛総書記(61)の同主席就任を承認して閉幕した。
 江氏が来春の全国人民代表大会(全人代)で国家中央軍事委主席から退くのは確実で、完全引退となる。これで2002年の第16回党大会で総書記に就任した胡氏が党、政府、軍の3権を掌握。権力の引き継ぎが完了し、温家宝首相との「胡・温体制」が独り立ちする。
 しかし、江氏は軍に絶大な影響力を保持しており、引退後も故鄧小平氏に倣って一定の影響力を発揮しそうだ。(共同)

◎中国・長江上流で「2百年に一度の洪水」、172人死亡(2004年9月9日、朝日新聞)
 中国西部を流れる長江(揚子江)上流域の重慶市と四川省で、大雨による洪水の被害が広がっており、華僑向け通信社の中国新聞社などによると、8日午後2時までに計172人が死亡し、緊急避難などの被災者が計800万人を超えた。重慶では4日から集中豪雨が続き、地元メディアは「200年に1度の大洪水」と報道。中央政府も救援物資を送るなど対応に追われている。
 洪水地域は重慶市北東部の開県から、隣接する四川省東部の達州市にかけての山間部。倒壊家屋は約11万棟、けが人が9000人近くにのぼるという。家や橋が流され、開県では水や電力の供給が止まり、交通や電話も遮断されるなど一時「陸の孤島」となった。
 重慶での農作物などへの被害は推定約20億元(約260億円)。今月中、さらに広範囲に大雨が降るとみられている。中国気象局によると、6月から8月にかけて全国で気象災害による死者数は計745人。全人口の約8%の1.1億人が被災した。全国30余りの省や市で900回に及ぶ雷雨や強風、竜巻などの災害が発生。8月中旬は沿海部の浙江省に台風が上陸し、168人が死亡した。

◎被告の量刑、コンピューター任せ、山東省で「電脳量刑」(2004年9月8日、朝日新聞)
 中国沿海部の山東省の地方裁判所が、コンピューターで被告の量刑を確定する「電脳量刑」を全国で初めて導入し、議論を呼んでいる。裁判所側は「公平性が保証された」と胸を張るが、「個別の事情を軽視し、逆に公平さを失う」と、コンピューター任せにすることに反発する声もある。
 電脳量刑を採用した裁判所は、山東省シ博市シ川区の同区人民法院(裁判所)。地元メディアの報道では、同裁判所は01~03年に結審した1300件余りの刑事事件を盗みや汚職、強盗など犯罪別に11種類に分類。法律上の量刑や実際の判決などを統計的に処理し、量刑のモデルになるソフトを開発した。裁判官がコンピューター上で被告の犯罪状況や情状酌量などのデータを加えると、適切な量刑が決められるという。
 今年3月に導入され、量刑を決めるための所要時間は、簡単な傷害事件の場合、わずか3分という。同裁判所で今年上半期に電脳量刑を使った判決は190件余り。裁判官の裁量に任される量刑は中国では公正さに疑いが出るケースもあるが、電脳量刑については量刑を不服とした控訴はゼロだという。
 電脳量刑の是非を巡っては、中国中央テレビ(CCTV)も特集番組を放送するなど議論が白熱。地元紙は「犯罪は千差万別で、電脳量刑は見た目は派手だが、限界がある」など厳しい声を伝えている。

◎中国、アニメ・ゲーム産業振興へ計画作り(2004年9月4日、日本経済新聞)
 【北京=飯野克彦】中国政府はアニメ・ゲーム産業の振興計画作りに着手した。国産アニメ・ゲームを3~5年以内に国内市場の主流に育て、10年以内に国際市場でのシェア確保を目指す。中国では外国産のアニメ・ゲームが市場を席巻しており、教育的な観点からも国産の振興を求める声が強まっている。
 3日の中国共産党機関紙「人民日報」によると、文化省は最近、専門的な研究グループを設置した。同グループが中心になって、振興計画や関連政策・法律などの制定を加速する。
 振興計画の草案にはアニメ・ゲーム産業の拠点となる重点地区の建設や、有力企業の育成、人材の訓練・育成などを盛り込んでいる。文化省はすでに7月、上海を「国家アニメ・ゲーム産業振興基地」と位置づけており、上海が中核的な拠点の一つとなる。

◎中国の石油輸入、マラッカ有事に備えミャンマー経由も2004年9月3日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】高度経済成長を続ける中国が石油確保に躍起だ。特に頭が痛いのは、中東地域などからの石油輸送ルートとなっているマラッカ海峡がテロや大事故などで航行不能になる事態。「マラッカ・リスク」回避のため、ミャンマーと中国雲南省を結ぶ中国のパイプライン建設が現実味を帯び始めている。
 「エネルギー安全保障戦略の一つは、インド洋からミャンマー経由で雲南省に入る南西ルートの開拓だ」
 中国紙「北京晨報」によると、7月30日、エネルギー戦略の会議で、共産党中央政策研究室の李連仲・経済局長は、こんな構想を明らかにした。
 中国のエネルギー情勢は厳しい。2003年は石油輸入が9000万トンを突破し、今年は1億2000万トンを超える見通しだ。李局長によると、2020年の中国の石油消費量は少なくとも5億トンに達し、輸入依存度は60%に上る。政府は中東依存度を低下させるため、中央アジアのカザフスタンからのパイプライン敷設に今月着工するほか、アフリカや中南米など石油輸入源の多角化を模索しているが、輸入石油の5分の4はマラッカ海峡を通過する。
 李局長は「マラッカ海峡を支配する者はいつでも中国の石油の安全を脅かすことができる」と危機感をあらわにした。同海峡介入に熱心な米国を念頭に置いた発言で、石油調達の動脈が米国の影響下に置かれたくないとの本音をのぞかせた。
 雲南省昆明とミャンマー西部の港湾都市シットウェを結ぶパイプラインは、全長1700キロで、建設費用は総額20億米ドル程度と見られる。7月中旬、訪中したミャンマーのキン・ニュン首相と中国指導部との会談では、「パイプライン建設は議論していない」(北京のミャンマー大使館)という。ただ、「双方はパイプライン問題に触れた」(中国紙・二十一世紀経済報道)との報道もあり、検討段階に入ったとの見方が強い。
 マラッカ海峡回避策としては、タイが掲げるマレー半島横断パイプライン構想もあるが、半島の両側で石油を積み下ろしする手間とコストがかかるだけに、ミャンマー・ルートの方が実現可能性が高いという。
 ただ、昆明から、石油需要が逼迫(ひっぱく)している東部沿海地方まで輸送する新たなパイプラインが必要になるのは難点。ミャンマー・ルートの決定はタイなど周辺国家の理解を求める必要もあり、実現までにはまだ曲折がありそうだ。

◆マラッカ海峡
 南シナ海とアンダマン海を結ぶマレー半島とスマトラ島との間の水路(全長約800キロ)。年間5万隻の船舶が行き交い、世界貿易量の4分の1強、石油輸送量の約半分が通過する。テロ攻撃や事故発生などによる危険にさらされている。

◎中国のエチレン生産、2010年に日本抜き世界2位に(2004年年9月1日、日本経済新聞)
 【上海=川瀬憲司】米欧の石油化学品大手が相次ぎ中国で化学製品の基礎原料であるエチレンの生産を始める。化学品世界最大手の米ダウ・ケミカルが中国最大規模の工場新設を決め、独BASFなどの設備も来年半ばに稼働する。2010年の中国のエチレン生産能力は日本を抜き米国に次ぐ世界第2位となる。自動車、家電、素材分野で中国生産を加速させている日本企業にとって原材料の安定確保につながる半面、汎用樹脂では世界的な価格競争激化も予想される。
 ダウのジェームズ・マッキルベニー・大中華地区社長は「10年までにエチレン生産を始める」ことを明らかにした。生産能力は年100万トンで中国では最大規模。周辺のインフラ整備などを含めた総投資額は約30億ドル(約3300億円)に達する見通し。進出候補を上海周辺や広東周辺、華北など中国沿岸部の約5カ所に絞っった。中国で外資がエチレン生産する場合、出資上限は50%。合弁先の選定など「04年中に詳細を決めたい」という。

◎日本6社連合など3社に分割発注、中国・在来線高速化(2004年8月29日、朝日新聞)
 中国鉄道省は29日までに、国内在来線を現在の2倍の時速200キロに高速化するプロジェクトの入札の結果、川崎重工業など日本6社連合と連携した中国企業を含め、応札したフランス系、カナダ系の3社すべての落札を決めた。国営新華社通信が報じた。
 今回のプロジェクトは、同じく入札が予定され、日本が新幹線採用を売り込む北京~上海間の高速鉄道計画に先立つ事業。日本連合はJR東日本の東北新幹線「はやて」の改良車両で応札しており、新幹線が中国を走行すれば、その技術をアピールできることになる。3社がどこを分担するかは明らかではない。ただ、高速化プロジェクトの対象となる北京~瀋陽(遼寧省)など5路線(約2000キロ)を走る計200編成を3社が分割して受注する可能性が高い。
 新華社電によると、今回の入札は「先進技術を導入し、共同で設計・生産を行い、中国ブランドを構築する原則」に基づいて実施。応札額や車両製造技術のほか、中国側への技術協力なども考慮して最終決定したもようだ。
 ただ、実績面などから、日本連合と仏重電大手アルストムが有力とみられていた。日本単独落札の場合には「反日感情」が高まることも予想され、「3社落札」に落ち着いた可能性もある。(時事)

◎日系など3社とも落札、中国の在来線高速化事業(2004年8月29日、産経新聞)
 29日の新華社電によると、中国鉄道省が来年予定している国内在来線の高速化プロジェクトに向け、7月下旬に実施した新型車両の競争入札で、川崎重工業を含む日本企業6社と提携した中国の鉄道メーカーをはじめ、応札した3社がいずれも同日までに落札した。
 3社は、日本企業と提携している車両製造大手「南車四方機車車両」(山東省)、フランスの鉄道車両・重電大手アルストムと組んだ「長春軌道客車」(吉林省)、カナダの航空機・鉄道車両総合メーカー、ボンバルディア系の「青島四方ボンバルディアパワー鉄路運輸設備」(山東省)。
 同プロジェクトは時速200キロでの車両運行を計画しており、入札は合計200編成(1600両)が対象。日本はJR東日本の東北新幹線「はやて」を改良した車両で対応する予定で、中国国内を日本の新幹線型車両が走ることになる。(共同)

◎中国、東シナ海ガス田でパイプライン着工(2004年8月27日、読売新聞) 【北京=佐伯聡士】中国南京市の夕刊紙「揚子晩報」(電子版)は26日、日中間の懸案になっている、東シナ海の日中中間線近くで中国が進める天然ガス田「春暁」の開発が実質段階に入り、ガス田と陸地を結ぶ470キロの海底パイプラインの敷設工事が始まったと伝えた。
 同紙によると、春暁は4つのガス田からなり、総面積は2万2000平方キロ。来年5月に第1期工事が完成し、稼働できる見通しで、浙江省と上海に、年間25億立方メートルの天然ガスを供給する計画だ。

◎中国の電話利用者6億人突破(2004年8月24日、産経新聞)
 新華社電によると、中国の固定電話と携帯電話の利用者数が合計で初めて6億人を突破したことが23日、情報産業省の統計で判明した。
 急増する携帯電話の利用者数が7月末時点で3億1000万人に達し、固定電話も2億9900万人にまで増えた。携帯電話で送受信するショートメールの送信数は1月~7月までで1178億件に達し、前年同期比68.7%増となった。(共同)

◎中国初の「ヌーディストビーチ」、猛抗議で白紙に(2004年8月24日、朝日新聞)
 中国初とみられる「ヌーディストビーチ」が浙江省臨安に誕生しかけたが、案の定、反対の声があがり、見送られた。
 地元紙によると、論議の舞台は狼牙灘という海岸。その地域の環境や景観を維持する管理事務所の職員が、全裸で泳ぐ女子学生を目撃、「注意するにも近づけず、困惑した」。その話を聞いた同事務所では、禁止するのではなく、大胆に発想を転換して、厳格に管理するヌーディストビーチを作ることにした。男女を分け、お互いに見えない専用区域を設け、看板も用意した。
 だが、地元から「風紀が乱れる」「裸を利用した商売だ」と激しい反対が出て、開設は見送られた。知識人から「裸で泳ぐことは別に異常ではない」と擁護する意見も出て、議論が続いている。

◎人材育成で無償資金協力、中国に9億6800万円(2004年8月24日、産経新聞)
 政府は24日、中国に対し、遼寧省大連市に人材育成センターを建設するための建設費や機材調達費の一部として、9億6800万円を限度とする無償資金協力を行うと発表した。
 資金を供与するのは、大連市当局と中国政府が建設を計画している「日中友好大連人材育成センター」。実用的な日本語能力と、情報技術(IT)や工学、経営などの専門知識を兼ね備えた人材育成を目的としている。
 大連市には約2150社の日系企業が進出。これらの企業にとって、経営への参加が可能性な優秀な人材の確保につながると期待されている。

◎対中貿易収支、初の黒字、電子、自動車部品の輸出で(2004年8月24日、産経新聞)
 日本貿易振興機構(ジェトロ)は24日、2004年上半期(1~6月)の日中貿易調査をまとめ、香港経由の取引を含めた対中貿易収支(輸入ベース)は11億3541万ドルの黒字になったと発表した。半期ベースながら、統計のある1993年以来、黒字となったのは初めて。
 輸出は中国への日系企業の進出で半導体、液晶などの電子部品や自動車部品が好調だった。中国の経済成長に支えられ、鉄鋼、プラスチックといった原料や建設機械も増加した。前年同期は8億9614万ドルの赤字だった。
 日本にとって中国は衣料や食品の輸入先という従来の関係が変わり、製品や部品を輸出する巨大市場になりつつある実態があらためて浮き彫りになった。
 輸入は衣料品や食品に加え、現地に進出した日系企業で生産した事務機器や携帯電話が増えたが、輸出の伸びには及ばなかった。「通年でも黒字を維持する」(ジェトロ)とみている。
 上半期の貿易総額(輸入ベース)は前年同期比29.3%増の885億6122万ドルで、93年以来、上半期としては最高となった。

◎NEC、中国向け携帯拡大・06年度500万台目指す(2004年8月22日、日本経済新聞)
 携帯電話機国内最大手のNECは2006年度、中国向けの携帯電話出荷台数を今年度計画比2.5倍の500万台超に拡大する。インターネット接続機種など高性能機の拡大が見込める中国を携帯電話の海外主力市場とし、フィンランドのノキアなど首位グループを追撃する。拡販に向け、中国内のEMS(電子機器の受託製造サービス)会社に年間1000万台弱の委託生産枠を確保する。
 NECは04年度の中国向け携帯出荷を前年度の倍の200万台、05年度には300万台に増やす計画。携帯電話需要が急増する中国では来年以降に第三世代サービスも始まり、カメラ付きやネット接続など国内市場で培った技術が生きると判断した。投入機種も前年度の10機種から20~30機種に広げる。

◎東論西談:反日ブーイング騒ぎ(2004年8月15日、毎日新聞)
 終戦記念日の8月15日は、中国では抗日戦争勝利記念日と呼ばれる。8年に及んだ日中戦争の勝利を祝う日ということになっている。しかしこの国で、戦争の英雄をたたえる姿を見ることはまれだ。目に付くのは、戦争で亡くなった家族をしのび、記念碑に花輪をささげる人たちの姿ばかりである。
 実際のところ、中国が日本軍を戦闘で追い払ったわけではない。日本軍の方が対米戦争で大敗し、自分から崩壊していったのである。だから中国の人が戦争で想起するのは南京虐殺であり、戦勝記念日には「抗日戦争の歴史を思い出し、国家が味わった恥辱を忘れず、中華を振興させよう」と誓い合う。
 ところが、大方の日本人が戦争の相手として記憶しているのは米国である。米軍機による空襲や広島と長崎への原爆投下もあって、自分たちも「被害者」だという意識が強い。
 しかしそうした考えに立った振る舞いは、中国人には不快感を与えるようだ。日本人が加害者意識を欠いた行動をとると、中国の人は過去の日中戦争という悲劇を軽視されたり、ひょっとすると無視されているのではないかと反発する。
 中国が日本に対し、過去の侵略を謝罪せよと繰り返し迫るのも、そうした事情があるのだろう。日本人が加害者であるという意識を持ち続けてくれなければ、戦争で死んでいった人たちが浮かばれないと考えるのである。
 こうした構図は変わらなく続き、59年という時が過ぎた。そして、サッカーのアジア・カップのあの反日ブーイング騒ぎが起きた。
 中国の若者は、重慶、済南、そして北京で、日本の国歌吹奏をブーイングで妨害したり、日本人にゴミや石を投げつけた。中国人は歴史上の被害者で日本人に抗議する権利があるから、少々のことは許されると考えたのかもしれない。
 ところが、日本を含めた世界のメディアは、そうやって暴れる中国の若者を批判的に報じた。反日感情をどうこう言う以前に、あまりのマナーのひどさ、品の悪さにあきれかえった。そして中国の人たちはこの瞬間、日本人に対する「加害者」に転じてしまった。
 実は中国のメディアは、この騒ぎの具体的な内容も、世界の反応も伝えていない。それでいて「中国で反日感情が生じたのは、小泉純一郎首相が靖国神社を参拝したからだ」と主張し、責任は日本にあると指摘している。
 ただ一方で「(中国側にも)反省に値する点がたくさんある」「過激な反日感情は民族の利益に合致しない」といった、新しい論調も出るようになってきた。こういった指摘が、これからどういう議論に発展していくのかはわからない。しかし、過去の歴史の文脈を超えるような発想を生み出す可能性も秘めているように思われる。
 日本では、先の戦争の歴史と今回のブーイング騒動をからめて考えるような動きは出ているのだろうか。【北京・上村幸治】

◎中国で重刑受ける日本人急増、初の死刑執行の可能性も(2004年8月15日、朝日新聞)
 日本人が中国や香港から覚せい剤を日本に持ち出そうとして逮捕され、無期懲役や死刑などの重刑を受けるケースが急増している。海外では前例がない日本人への死刑執行も懸念されている。失業者らお金に困った人が暴力団などに少額の報酬で「運び屋」を引き受けさせられ、摘発された例が目立ち、外務省はホームページなどで注意を呼びかけている。
 外務省によると、摘発が急増した03年から今夏までの間に、広州、大連、瀋陽、上海など中国各地や香港で計16人が逮捕され、裁判にかけられている。今年2月には瀋陽で逮捕された60代の男性に地裁で死刑判決が下った。7月にも香港で昨年7月に逮捕された男女それぞれに、懲役もしくは禁固14年8カ月と25年の判決が出た。
 中国の刑事裁判は二審制。控訴をした場合でも、判決は高裁で確定する。
 海外で極刑の判決を受けた日本人としては、フィリピンで大麻所持で死刑判決を受け、03年に禁固40年に減刑された男性がいる。だが、中国では死刑確定後の即時執行が一般的で、減刑嘆願も効果はさほどない。中国の刑法では、50グラム以上の薬物所持や販売の最高刑は死刑。外国人が死刑になる例もしばしばある。
 中国での日本人の薬物がらみの摘発は毎年1~2人程度だったが、03年から急増した。薬物汚染が深刻化し、中国政府が取り締まりを強化していることが背景にあると見られる。北朝鮮の工作船による海上ルートでの日本国内への持ち込みに対して、日本当局の監視が強まり、中国経由で日本に持ち込むルートが開拓されつつある、との見方もある。
 摘発されたケースの大半は、現地で渡された覚せい剤を持ち出そうとして空港で発覚している。外務省によると、日本国内で暴力団が失業者、ホームレスらに数十万円程度の報酬で中国に受け取りに行かせており、「中身も知らず、中国では薬物関係の刑罰が非常に重いことにも無知な人が多い」(同省海外邦人安全課)という。
 外務省はホームページで中身の分からない物品の運搬の依頼は断るよう呼びかけている。ただ、司法は主権にかかわるため、日本政府が中国政府に減刑を求めることは基本的にはしない。家族による減刑嘆願書を現地の司法当局に渡す手伝いをするぐらいだという。

◎上海の猛暑対策、人工降雨が郊外の一部で成功(2004年8月11日、日本経済新聞)
 【上海11日共同】猛暑で電力不足が深刻になっている中国上海市で、気温を下げるための「人工降雨」作戦が10、11日の2日連続試みられ、11日、市郊外の一部地域で成功した。
 上海テレビなどによると、浦東新区や南匯区、閔行区で降雨量が最大14.2ミリに達し、気温が31度から4.2度下がった。市当局は空軍から軍用輸送機を借用し、ヨウ化銀を入れた「降雨誘発弾」を雲に向け発射。10日は、一部地域で小雨が降っただけで失敗していた。ヨウ化銀は、雲の中の細かい水滴が凝集し雨になるのを促す。報道によると、一回当たり約470万元(6300万円)の経費が掛かる。隣の江蘇省で7月下旬に実施した際は、気温が3~10度下がった。

◎電力不足の上海、猛暑対策の人工降雨失敗(2004年8月11日、日本経済新聞)
 【上海11日共同】猛暑で電力不足が深刻となっている中国上海市で10日、気温を下げるため「人工降雨」作戦が試みられたが、降雨量はごくわずかで失敗に終わった。
 11日付の上海各紙によると、市当局が空軍から軍用輸送機を借用。10日正午すぎから約一時間半、郊外の上空を飛行し、ヨウ化銀を入れた「降雨誘発弾」200発を雲に向けて発射した。2時間後に一部地域で小雨が降ったが、降雨量は0.1ミリにも達しなかった。ヨウ化銀は雲の中の細かい水滴を凝集、雨になって落ちるのを促す。報道によると、一回当たり約470万元(6300万円)の経費が掛かる。隣の江蘇省で7月下旬に実施した際は人工降雨に成功し、気温が3~10度下がった。上海市気象局は「設備のテストとしては成果があった」としており、8月末までに再び実施する計画だ。

◎ネットで政府転覆を扇動、反体制活動家の控訴棄却、中国(2004年8月11日、産経新聞)
 新華社電によると、中国湖北省の高級人民法院(高裁)は11日、インターネット上で「政権転覆」などを扇動した罪に問われ、一審で懲役3年、執行猶予4年の判決を受けた同省武漢市出身の反体制活動家、杜導斌被告(40)の控訴を棄却した。
 一審判決などによると、杜被告は同省孝感市内で医療保険事務などを担当していたが、2002年から03年にかけネット上で国家政権や社会主義体制の転覆をあおる主張を発表したとして昨年11月に逮捕。今年6月に孝感市の地裁で有罪判決を受けた。
 中国政府は国内でのインターネットの発達とともに、ネット上の政治的な言論に対する取り締まりも強めており、外国の人権団体などから批判が相次いでいる。(共同)

◎猛暑対策の人工降雨失敗、電力不足の上海で(2004年8月11日、産経新聞)
 猛暑で電力不足が深刻となっている中国上海市で10日、気温を下げるため「人工降雨」作戦が試みられたが、降雨量はごくわずかで失敗に終わった。
 11日付の上海各紙によると、市当局が空軍から軍用輸送機を借用。10日正午すぎから約1時間半、郊外の上空を飛行し、ヨウ化銀を入れた「降雨誘発弾」200発を雲に向けて発射した。2時間後に一部地域で小雨が降ったが、降雨量は0.1ミリにも達しなかった。
 ヨウ化銀は雲の中の細かい水滴を凝集、雨になって落ちるのを促す。報道によると、1回当たり約470万元(6300万円)の経費が掛かる。隣の江蘇省で7月下旬に実施した際は人工降雨に成功し、気温が3~10度下がった。
 上海市気象局は「設備のテストとしては成果があった」としており、8月末までに再び実施する計画だ。(共同)

◎JFE、中国に高炉建設計画、日系企業に製品供給(2004年8月11日、朝日新聞)
 鉄鋼大手のJFEスチールが、中国・広東省に製鉄の中核設備である高炉の建設を計画していることが11日、明らかになった。中国企業との合弁事業になる見通し。鉄鉱石などの原材料から高品質の鋼板を製造するまでの一貫生産体制を築き、現地に進出している日系自動車メーカーなどに製品を供給する。日本の鉄鋼メーカーが海外に高炉を建設するのは戦後初めて。
 合弁相手となるのは中国の国有中堅鉄鋼メーカー、広州鋼鉄企業集団(広州市)。総事業費は1000億円超にのぼる。稼働は08年ごろとみられる。
 広州鋼鉄は生産効率を上げるため、粗鋼から高級鋼板までを一貫して生産する計画を進めている。JFEはこれに協力する形で、技術、資金の両面で高炉建設を主導する方向だ。両社は昨年12月、日本などから輸入した冷延鋼板に、めっき処理を施す合弁会社を設立するなどすでに提携関係にある。
 表面処理した薄型の高級鋼板は日本の鉄鋼メーカーが得意とする分野で、海外に進出している自動車メーカーからの引き合いが強い。広州市には、ホンダと日産自動車の現地企業や乗用車の合弁工場がある。06年からはトヨタ自動車も同市で乗用車の合弁生産を始める予定で、日系企業の需要だけでもかなりの増加が見込まれる。このため今後、中国で同様の大型投資が広がる可能性がある。

◎中国雲南省でM5.6の地震、3人死亡、200人以上けが(2004年8月11日、産経新聞)
 中国国家地震局によると、10日午後6時26分(日本時間同7時26分)ごろ、中国雲南省北東部の昭通市魯甸県でマグニチュード(M)5.6の地震があった。同局のこれまでのまとめで3人が死亡、200人以上がけがをした。
 北京の日本大使館には日本人の被害に関する情報は入っていない。
 震源の深さは不明。現場は省都の昆明市から北東に約255キロ離れた山間部の農村地帯。
 国家地震局によると、同県で2人、隣接する昭通市昭陽県で1人の住民がそれぞれ死亡。現場からの通信が途絶えているため詳しい被害状況は把握できず、死傷者は増える可能性がある。新華社電によると、多くの家屋が崩壊するような状況ではないという。
 魯甸県では昨年11月にも2回、M5.1と5.0の地震が起き、計4人が死亡、120人余りがけがをしている。今回の震源も昨年の2回とほぼ同じ地点で、現場では余震が続いている。(共同)

◎荏原、中国を環境装置の輸出拠点に(2004年8月10日、日本経済新聞)
 荏原は中国で環境装置事業を強化する。北京に新設した統括会社に既存の現地法人3社を統合。水処理やごみ処理、大気汚染防止装置などを総合的に展開する。設計要員なども増やし、中国での売り上げを2003年度の35億円から10年度は約3倍の100億円に増やす。設計や調達の工夫でコスト競争力を磨き、東南アジアや欧米への輸出拠点に育てる。
 中国では受注業務などを担当する北京、水処理装置を手がける上海、ごみ処理装置を扱う青島の子会社3社が役割を分担しながら環境装置を展開してきた。これを統括会社が統合。全拠点で水処理、ごみ処理、大気汚染防止など環境装置全般を手がけられる体制にする。ボイラーや発電所で使う排ガスの脱硫装置も新たに取り扱う。設計や営業など現地での人員は現状の約75人から2010年までに125人に増やす。現地での設計体制を強化するとともに、日本からも指導員などを派遣する。中国拠点を「ローコストエンジニアリングセンター」と位置づけ、コスト競争力を武器に、東南アジアや欧米で受注した環境装置の設計や部品輸出などを手がける。

◎中国サッカーファンの反日行動、NYタイムズ紙も詳報(2004年8月10日、日本経済新聞)
 【ワシントン=吉田透】9日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、中国で開かれたサッカーのアジアカップで中国人の観客が示した反日的行動を詳しく報じた。7日の決勝で中国代表が日本代表に敗れた後、中国の若者らが日の丸を焼いている写真なども掲載した。
 北京発の記事は第三面のトップで大きく扱われた。「日本への憤怒の強まり、サッカー敗戦で垣間見える」との見出しの記事では、決勝戦だけでなくアジアカップのすべての日本戦で、中国人観客が日本代表に激しいブーイングを浴びせたり、試合前の君が代斉唱時に起立しなかったりしたことなども伝えた。
 中国の若い世代の反日意識の強まりは日本との政治・経済面でのつながりを強化したいと考える中国政府の思惑を妨げかねないとするコロラド大のグリーズ教授の見解も載せた。決勝戦で、日本の勝ち越し点となった二点目については中田浩二選手のハンドだった可能性があると指摘。スタジアムの巨大画面に得点場面がリプレーされなかったのは、当局者が観客の反応を恐れたためではないかと推測している。

◎中国の「民族感情」批判、アジア杯サッカーで台湾紙(2004年8月9日、産経新聞)
 8日付の台湾紙、中国時報は、サッカーのアジア・カップ決勝で中国が日本に敗れたことに腹を立てた中国のサポーターが「日の丸」を焼くなどして騒いだことについて「(反日の)民族感情を好き放題発散させていると、(2008年の)北京五輪のイメージを損なうことになる」と批判した。
 同紙は「試合に勝ち負けはつきもので『民族の恨み』のように見なすなら、北京五輪の際、(中国と戦争をしたことがある)日本やベトナムなどの選手は気をもむことになる」と「民族主義の高揚」に警鐘を鳴らした。(共同)

◎「反日」制御できぬ中国当局、アジア杯・群衆の騒乱(2004年8月9日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】サッカー・アジアカップ決勝が終わった7日夜、中国人群衆が北京の会場周辺で繰り広げた反日騒ぎについて、中国当局は、ほとんど沈黙している。今回の騒動は、共産党政権が、民衆の反日感情を制御できなくなりつつある事実をはっきり示した。2008年北京五輪の成否、さらに、民衆感情のコントロールという独裁の根幹にかかわる問題だ。
 試合後、群衆が「小日本(日本に対するべっ称)をたたきのめせ!」と叫びながら、日の丸を焼き、駐北京日本公使が乗った車のガラスを割り、日本代表の宿舎を取り囲んだ。
 8日以降、中国主要メディアはそろって、「大会の円満な閉幕」を伝えた。混乱については、北京の1紙が「一部が過剰な行動を取り、約10人が警察に拘束された」と報じただけだ。君が代演奏への大ブーイングなどの非礼な行為にも一切触れていない。
 公使の車が襲われたことについて、日本大使館は中国外務省に抗議。外務省からの反応はないものの、8日、市公安当局から「警備上の不備があった」として電話で謝罪があった。
 しかし、実態としては、警備上の問題ではない。当局は多数の警官を会場、天安門広場、繁華街などに配置、北京市民に「これだけ厳重な警備は、1989年の天安門事件当時以来だ」と言わせるほどの厳戒態勢を取っていたのだ。
 2001年に南シナ海上空で米中両軍機が接触、中国人パイロットが死亡した際には、当局は米国大使館周辺などで厳戒態勢をとって反米デモを防いだ。
 ものものしい警備は、事実上の警告だった。それは、簡単に無視された。
 サッカーのサポーターが多い世代は、90年代の江沢民政権時代からの徹底的な愛国教育を受けている。多くは「反日は正義、親日は売国」という屈折した民族主義的感情を持つ。
 言論統制下にあって、こうした感情は、当局の監視が届きにくいインターネットを通じて、広く共有されている。市場経済と言う名の経済的自由が国民に浸透する中で、共産主義の権威も地に落ちている。すでに8700万人にも達したネットユーザーたちは、「反日」の声をあげながら、政府の「軟弱さ」をののしる。
 「『民族の正義』の前では、共産党も売国奴扱いされる」(中国筋)時代に入ったのだ。実際に力で「反日」を封じ込めようとすれば、政権と民衆が衝突しかねない状況にある。
 共産党自身が国民の反日感情をあおってきたため、「一番自由にものが言えるのが、反日」(中国マスコミ関係者)という事情もある。共産党政権にとって、反日は最も対処の難しい問題になっている。

◎試合後「反日」行動、未熟さ露呈(2004年8月8日、産経新聞)
 【北京=伊藤正】七日のサッカー・アジア杯「日中決戦」は、六万の中国人ファンの大声援と日本チームへのブーイングを跳ね返し、日本が制した。威信をかけた中国当局の万全の警備とメディアを通じた呼びかけが効いた形で、試合中には大きな混乱はなかったが、試合後、会場の工人体育場周辺では、中国人サポーター数千人が「反日」を叫んで警備陣と衝突、八日未明まで騒ぎが続いた。今大会で露骨に表れた反日感情が、今後さらに拡大、尾を引くことが懸念される。
 中国政府は、一次リーグから準決勝までの五試合で、日本の選手やサポーターに向けられた威圧的な行動や「君が代」吹奏へのブーイングなどが決勝戦で再現することを強く警戒していた。そのいずれも、国際試合のホスト国としてあってはならないことだからだ。
 とりわけ中国当局が懸念していたのは、2008年北京五輪を控えていることと無縁ではない。アジア杯開会式で、中国人サポーターが中国サッカー協会幹部に浴びせたブーイングをアジアサッカー連盟事務総長が誤解、五輪開催に疑問を提起したことも、当局を神経質にしていた。
 当局にすれば「日中決戦」は最悪のシナリオだったかもしれない。当局の命令のままに国民は動かず、国民の声に当局が耳を傾けるよう指導部から指示されている時代なのだ。
 中国外務省は従来、一部の反日グループの「日の丸」焼却などの行動にも、日本側にも原因があるなどと甘い態度を取ってきたが、今回のサポーターの行為についても、遺憾とする一方で、一部日本のメディアの報道を批判した。
 スポーツ交流に大警備陣を配備する異常事態の中で、試合自体は大きな混乱なく終わったものの、中国の敗戦に収まらないサポーターらは、不満の矛先を日本に向けた。その背景には、何事にも政治を絡め、日本批判をする中国当局の姿勢もあるのではないか。アジア杯に表れた問題は、日中関係だけでなく、中国人の資質にも疑問を投げかけた。

◎高句麗めぐり中韓“外交紛争”、過熱化に懸念も(2004年8月7日、産経新聞)
 朝鮮半島北部から中国にかけて存在した古代国家、高句麗をめぐる中韓両国の“外交紛争”が過熱している。中国が古代中国の地方政権だったと位置付けようとしているとみる韓国側は、中国政府に抗議、韓国メディアの批判も高まる一方だ。
 直接のきっかけは韓国史を紹介した中国外務省のホームページ。高句麗、新羅、百済が対峙(たいじ)した三国時代の説明から高句麗の記述が今年4月、突然削除されたことだった。
 中国では最近、高句麗を古代中国の地方民族政権だったとする動きがあり、韓国では南北統一後などの領土紛争に備えた「歴史歪曲(わいきょく)」との不満がくすぶっていた。このため韓国紙だけでなく、韓国政府も修正を求め、5日には外交通商省高官が抗議のため訪中する騒ぎに発展した。
 これに対し、中国は5日、ホームページから高句麗史だけではなく大韓民国樹立以前の歴史記述を全面削除。抗議への配慮を見せたとみられるが、韓国では逆に「攻撃的対応」(韓国紙)と取られ、火に油を注ぐ形となった。
 与党ウリ党の千正培院内代表は6日「国会に対策機構をつくる」と言明、北朝鮮との共同対応を求める声が出るなど騒ぎは収まる気配がない。
 ただ北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議での中国の重要性や急拡大する対中貿易などを考慮すれば、これ以上の摩擦を避けたいのが韓国政府の本音だ。(共同)

◎さよなら、悪名高き北京の公衆トイレ(2004年8月6日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】2008年の五輪を控え、都市再開発が進む北京で、不衛生さで悪名の高い公衆便所の撤去が進んでいる。個室や仕切りが無い「ニーハオ・トイレ」は、北京の伝統的な町並みと共に姿を消すことになりそうだ。
 北京の公衆便所は、1990年代末から施設の改善が行われてきたが、汚いため、急用でも使用をためらう外国人旅行客は少なくない。壁や仕切りがないため隣の人と顔を合わせてあいさつしてしまうことから、「ニーハオ・トイレ」と俗称され、衝撃的な「トイレ体験」は、今でも中国旅行者の土産話の筆頭格だ。
 市内の公衆便所は現在約7700あり、このうち3分の1が家にトイレのない北京の伝統的な平屋街にある。市は地域の再開発に合わせ、五輪開催の2008年までに2800の公衆便所を取り壊す予定だ。
 一方、町中のトイレ不足は深刻で、市は「徒歩で8分以内にたどりつける」ことを目標に施設充実に力を入れる。年内に計400の公衆便所を新設・改修する予定で、市民が集まる繁華街や公園などには、絵画や生け花を飾ったり、虫の姿をかたどるなど趣向を凝らしたトイレも誕生している。

◎中国組織がサイバー攻撃、日台の官庁など標的・香港紙(2004年8月6日、日本経済新聞)
 【香港6日共同】6日付中国系香港紙、文匯報は、中国のハッカー集団がこのほど国内外の人員約1900人を組織、靖国神社や官庁など日本と台湾の約200のウェブサイトに対し大規模なサイバー攻撃を始めたと報じた。
 同紙によると、攻撃は「中国ハッカー81反撃戦」として1日から一週間続ける計画。メンバーは中国大陸のほか香港や台湾などにもおり、攻撃の「戦績」を分析するなど、グループごとに役割を分担している。日本の首相官邸や外務省、防衛庁など八政府機関のサーバーコンピューターには1日以降、大量のデータが送られ、一時的にホームページへのアクセスが困難になった。細田博之官房長官は5日の記者会見で、攻撃元は不明だが、「特別な影響は出ていない」と説明していた。尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を主張する民間団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」のサイトが7月末、「釣魚島は日本のものだ」などと書き込まれる被害を受けたことへの「反撃」に出た可能性がある。

◎サイバー攻撃:中国ハッカー集団、日本と台湾を標的(2004年8月6日、毎日新聞)
 6日付中国系香港紙、文匯報は、中国のハッカー集団がこのほど約1900人を組織、靖国神社や官庁など日本と台湾の約200のウェブサイトに対し大規模なサイバー攻撃を始めたと報じた。
 同紙によると、攻撃は「中国ハッカー八一反撃戦」として1日から1週間続ける計画。メンバーは中国大陸のほか香港や台湾などにもおり、攻撃の「戦績」を分析するなど、グループごとに役割を分担している。
 日本の首相官邸や外務省、防衛庁など8政府機関のサーバーコンピューターには1日以降、大量のデータが送られ、一時的にホームページへのアクセスが困難になった。細田博之官房長官は5日の記者会見で、攻撃元は不明だが、「特別な影響は出ていない」と説明していた。
 尖閣諸島(中国名・釣魚島)の中国領有権を主張する民間団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」のサイトが7月末、「釣魚島は日本のものだ」などと書き込まれる被害を受けたことへの「反撃」に出た可能性がある。
 メンバーの1人は同紙に「台湾のサイトは基本的にまひさせることができるが、日本のサイトは比較的強く、官邸サイトなどは攻撃後、数秒で回復してしまう」と述べたという。(香港・共同)

◎中国ハッカー集団、日台のサイト攻撃か、香港紙報道(2004年8月6日、産経新聞)
 6日付中国系香港紙、文匯報は、中国のハッカー集団がこのほど約1900人を組織、靖国神社や官庁など日本と台湾の約200のウェブサイトに対し大規模なサイバー攻撃を始めたと報じた。
 同紙によると、攻撃は「中国ハッカー八一反撃戦」として1日から1週間続ける計画。メンバーは中国大陸のほか香港や台湾などにもおり、攻撃の「戦績」を分析するなど、グループごとに役割を分担している。
 日本の首相官邸や外務省、防衛庁など8政府機関のサーバーコンピューターには1日以降、大量のデータが送られ、一時的にホームページへのアクセスが困難になった。細田博之官房長官は5日の記者会見で、攻撃元は不明だが、「特別な影響は出ていない」と説明していた。
 尖閣諸島の中国領有権を主張する民間団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」のサイトが7月末、「尖閣諸島は日本のものだ」などと書き込まれたことへの「反撃」に出た可能性がある。
 メンバーの1人は同紙に「台湾のサイトは基本的にまひさせることができるが、日本のサイトは比較的強く、官邸サイトなどは攻撃後、数秒で回復してしまう」と述べたという。(共同)

◎ホスト国のもてなしどこへ行った、サッカー・アジア杯(2004年8月5日、産経新聞)
 スタジアムで国歌が聞こえない-。日本代表の海外遠征には何度も同行したが、厳粛な時間をここまでかき乱された経験は初めてだ。熱狂的サポーターを抱える韓国、イングランドでさえ国歌演奏の間は静寂が支配する。世界共通のマナーが中国には存在しなかった。(北京 榊輝朗)
 オマーン、タイ、イラン、ヨルダン。重慶での4試合に、ホスト国の心は感じられなかった。日本の対戦国が好機を迎えると大歓声を上げる。関心はサッカーではなく、日本の敗戦としか思えない。尖閣諸島の領有権を主張する横断幕が掲げられ、公安職員が撤去する一幕も何度かあった。
 ホスト国としての資格を疑わせる前兆は、7月17日の開会式からあった。スタジアムでの運営面の落ち度などを批判するブーイングが絶えず、一向に静まらない客席に閉口したアジアサッカー連盟(AFC)のピーター・ベラパン事務局長が「マナーがひどい。五輪が開催できるのか」と批判すると、ファンだけでなく北京市や大会関係者からも発言撤回を求める声が沸き起こりベラパン氏は謝罪している。こんなホスト国は前代未聞だろう。当局まで一緒になったことでファンの中のタガが外れたようだ。
 北京五輪を控え、政府もこれではまずいと思ったようだ。中国共産党の青年向け機関紙が行き過ぎた行動を批判、引き締めにかかり、済南では多少は鎮まった。だが、中国との決戦を控え、地元ファンはホスト国として振る舞うだろうか。
 4日付の中国共産党機関紙、人民日報は、日本代表について「日本もいいチーム」といった国民の声を紹介、中国各紙も日本の実力を「『二軍』で勝って決勝へ」(京華時報)などと評価する記事を掲載するなど、日本への配慮を見せた。だが同じメディアが2日、ジーコ監督にサッカーとは無関係の「領土問題」を質問し、場違いな取材で不興を買っている。
 サッカーは見る者を興奮させる。試合中のブーイングや大歓声は世界共通だが、2年前のW杯の日本でも今年開催された欧州選手権の開催地ポルトガルでも、他の国のサポーターへの温かいもてなしがあり、いずれも各国メディアに評価された。応援するサポーターに物を投げつけるファンのいる国が、同じ評価を得られるとは思えない。
 中国のスポーツ紙記者は、「大きな大会の開催に慣れていないことも要因だ」と弁明した。だが、ホスト国の心構えは、難しいことではない。
 「歴史的な問題はスポーツとは関係ない」「国歌が聞こえなくて歌えないのは不満だ」-。日本代表のジーコ監督や選手たちの要望に耳を傾け、配慮すれば、いい。
 決勝戦で、それができるか。五輪開催国のホスピタリティーを測るリトマス試験紙になる。

◎中国・上海電気集団、池貝を買収へ・技術開発力を取得(2004年8月4日、日本経済新聞)
 中国を代表する大手機械メーカーの上海電気集団総公司は工作機械の池貝(茨城県玉造町)を買収する方針を決めた。75%の株式を取得し、傘下に収める。中国企業にとって日本の製造業の優れた技術力や開発力は大きな魅力。豊富な資金力を生かした日本企業の買収が加速しそうだ。
 上海電気集団の関係者によると、池貝がまず今秋にも総額3000万円の第三者割当増資を実施し、資本金を4000万円とする。上海電気はその全額を引き受け筆頭株主になる。上海電気は池貝の事業拡大のため、段階的に数億円規模まで出資金を増やしていくという。

◎中国の毒ガス事故、旧日本軍兵器と判明、政府が遺憾の意(2004年8月3日、朝日新聞)
 中国の吉林省敦化市で7月下旬に発生した毒ガス事故について、外務省は3日、現地に派遣した調査団による調査の結果、旧日本軍が遺棄した化学兵器による事故だったことを明らかにした。高島肇久外務報道官名で、「極めて遺憾であり、被害者の方々に心からお見舞いを申し上げる」との談話を発表した。政府は今後、処理のための作業チームを現地に派遣する予定だ。
 外務省によると、事故は7月23日に発生。砲弾を発見した子供2人が、砲弾から流れ出た液体に触れて手足がただれたという。

◎旧日本軍の毒ガス問題で全国9カ所の地下水を追加調査(2004年8月3日、朝日新聞)
 旧日本軍がつくった毒ガスが各地に埋まっているとされる問題で、環境省は3日、今秋から全国9カ所で地下水調査をすると発表した。茨城県神栖町、神奈川県平塚市などに続く追加調査となる。
 同省が全国調査の結果を公表した昨年11月では、毒ガスの埋まっている場所が特定できなかったり、過去に毒ガスが発見されたが今も存在するかどうかが分からなかったりする地点が37カ所あった。このうち9カ所で、その後の情報などから場所が特定されたため、井戸などから水を採取して成分を分析することにした。同省では「毒ガスによる被害が出る可能性が高まったわけではない」としている。
 調査する場所は次の通り。
 北海道留萌市、水戸市、群馬県榛東村、千葉市、東京都新宿区、神奈川県横須賀市、新潟県五泉市、静岡県浜名湖周辺(細江町、三ケ日町、浜松市)、広島県大久野島(竹原市)

◎警官600人が村を封鎖、発砲で負傷か、中国(2004年8月3日、産経新聞)
 2日付香港紙、蘋果日報などは、中国河南省鄭州郊外の師家河村で先月末、地元農民による村幹部への抗議デモを防ぐため警官600人が村を封鎖、反発して人垣をつくった住民数千人にゴム弾や催涙弾を発砲したと報じた。頭に弾が当たるなどした4人が危険な状態という。
 同紙によると、農民から接収した土地代の不払いなど、村幹部の不正に住民の不満が日ごろから高まっており、デモ激化を恐れた村当局が7月31日未明に警官を派遣。住民数人を身柄拘束しようとしたところ、反発した住民数千人と対峙(たいじ)する形となり発砲したという。(共同)

◎広州新空港:5日に開業、香港などと競争激化へ(2004年8月2日、毎日新聞)
 北京、上海と並ぶ中国の3大空港として広東省広州に約4年がかりで建設していた新白雲国際空港が完成し、2日、省幹部らが出席して開港式典が行われた。5日に正式運用が始まる。
 輸送能力増強や乗り継ぎ簡便化を図り、拠点(ハブ)空港として設計された中国初の空港。これまでの建設費約200億元(約2800億円)は中国では過去最大で、旅客ロビーなども国内最大規模という。
 米国との間で民間航空の定期便増便を盛り込んだ新航空協定に7月に調印するなど中国の規制緩和が本格化する中、新空港はアジアのハブ空港としても存在感を増しそうで、香港など隣接空港との競争激化は必至だ。
 新空港の敷地面積は約15平方キロで現空港の約4倍。2010年までに旅客取り扱い能力を現空港の約3割増の年2500万人に、貨物取り扱い能力を約7割増の年100万トンに引き上げる計画。
 高成長が続く広州など華南地区の需要増を見越し、滑走路を開業時の2本から最大5本に増やすなどの設備拡張計画もある。新空港開業に伴い、現空港は廃止する。
 一方、貨物取扱量世界一の香港国際空港は、輸出貨物の大半が華南地区向けのため将来の地位低下への懸念を強めており、9月からの着陸費値引きを発表するなど影響回避に懸命となっている。(広州・共同)

◎17年ぶりに1元新紙幣を発行、偽造防止技術こらす(2004年7月31日、FujiSankei Business i.)
 中国の1元(約13円)紙幣が、1987年から17年ぶりに生まれ変わり、新札の発行が30日に開始された。
 表のデザインは、旧紙幣では少数民族の女性だったが、新紙幣では毛沢東主席の肖像に変わった。また、裏には浙江(せつこう)省・杭州(こうしゆう)にある名勝、西湖(せいこ)の風景が描かれている。
 中国各地で偽造紙幣が横行しているが、新1元札は紙の質を高めたほか、蘭の花の透かしや、精密な肖像画、2色刷りの通し番号など偽造防止技術の粋をこらした。印刷技術の向上で、毛主席の肖像は凹凸がはっきりし、手触りもよいという。サイズは横130ミリ、横63ミリで、旧紙幣に比べて横が10ミリ短くなった。
 100元、50元、20元、10元、5元の紙幣は1999年10月に切り替わり、表の肖像はすべて毛主席が採用されている。新1元紙幣の登場で中国のお札は毛主席の顔で統一された。



◎香港:2階建て路面電車、開業100周年(2004年7月30日、毎日新聞)
 【香港・成沢健一】香港市民の足として親しまれている2階建て路面電車(トラム)が30日、開業100周年を迎えた。雑然とした下町から高層ビルが並ぶオフィス街と変化に富む香港島北部の約30キロを東西に走り、レトロな雰囲気を漂わせながら1日平均24万人を運んでいる。
 トラムは、1904年7月30日に英国製の1階建て車両26両で開業した。輸送力を増強するため、12年に2階建て車両を導入した。
 トラムを運行させる民間会社「香港電車公司」は現在、163両を保有しており、最も古い車両は49年に製造された。00年から新型車両も導入したが、この車両も含めてエアコンは設置されていない。
 80年代に並行する路線で地下鉄が開業し、利用者は一時減少した。しかし、地下鉄の半額以下の一律2香港ドル(約28円)という安さと約200メートルごとに駅がある便利さで、共存を図ることに成功している。

◎中国の貧困層は8500万人、貧富の格差が一段と拡大(2004年7月30日、産経新聞)
 中国国務院(政府)の専門家グループなどの29日までの調べで、年収637元(約8500円)以下の「極貧層」が昨年、80万人増加し2900万人となり、極貧層に転落する危険が高い「貧困層」も5600万人いることが分かった。
 計8500万人が1年を1万円前後で生活していることになり、急速な経済発展を続ける中国で貧富の格差が一段と拡大している実態が明らかになった。
 同グループによると、政府が「温飽」(何とか食べていける暮らし)とする極貧層が増加に転じたのは1978年に始まった「改革開放」後、初めてという。80~90年代は年間600万人が極貧から脱していたが、2001、02年は200万人未満に低下。昨年は逆に河南、安徽、陝西、黒竜江の4省で計約200万人が貧困に転落した。
 一方、米証券会社の調べでは、中国で100万ドル(約1億1000万円)以上の資産を有する富裕層は23万6000人。1000億円の資産家もいるとされる。
 貧困層に対する国、民間、国際機構からの援助金は毎年計300億元に上っており「平等分配すれば年収1000元を超す」(中国紙)として官僚の資金流用などを批判する声が上がる一方、農村問題の専門家は「貧困地区の発展には時間と金がかかる」としている。(共同)

◎中国の高速鉄道入札、独社脱落で日仏の一騎打ちへ(2004年7月29日、読売新聞)
 【北京=東一真】川崎重工業、三菱商事、日立製作所など日本の6社連合が新幹線車両の受注を目指している中国の在来線高速化事業について、中国政府は28日、200編成(1編成=8両)の高速車両の入札を実施した。
 1000億円規模の巨大入札で、日本連合のほか、フランスの高速車両TGVを製造するアルストム社など計3グループが応札した。入札参加が確実視されていた独シーメンス社は提携する中国企業を探すことができずに脱落し、事実上、日仏の一騎打ちとなる。
 落札結果は早ければ今月中に明らかになる見通しだ。
 今回の入札は、海外企業と中国企業が共同で応札するルールとなっている。
 日本連合6社は、中国の大手鉄道車両メーカー「南車四方機車車両」(本社・山東省青島市)と組んで、JR東日本の新幹線車両「はやて」をベースにした車両で応札した。

◎中国の鉄道時速200キロ化事業、新幹線車両に可能性(2004年7月29日、朝日新聞)
 中国鉄道省は28日、国内在来線の旅客列車高速化で使う車両の入札を実施した。川崎重工業、日立製作所など日本企業6社は、提携先の「南車四方機車車両」(山東省青島)を通じて応札しており、今後鉄道省による決定を待つ。日本側は、東北新幹線の「はやて」をもとにした最新型を南車四方に技術供与して現地生産させる意向で、日本の新幹線車両の大陸進出が現実味を帯びている。
 今回の鉄道高速化は、北京―瀋陽(遼寧省)など五つの主要幹線の計2000キロで、来年から最高時速200キロによる走行を目指している。足りない技術を外国企業から導入して国内企業に生産させるのが中国政府の方針だ。独シーメンスと提携した「長春軌道客車」(吉林省長春)も応札した模様で、事実上日独の争いだが、規模が大きいため双方に配分する可能性がある。
 「はやて」型は技術上は時速350キロ走行も可能。日本企業側は、今回の高速化事業と別に計画されている北京―上海間高速鉄道での受注も視野に入れている。

◎覚せい剤:日本人の女に禁固25年判決、香港高裁・麻薬持ち出しで(2004年7月28日、毎日新聞)
 【香港・成沢健一】香港の高等法院(高裁)は27日、覚せい剤4.8キロを香港から持ち出そうとしたとして、日本人の女(44)に麻薬密売罪で禁固25年の実刑判決を言い渡した。中国本土や香港では昨年3月から、覚せい剤を大量に持ち出そうとした日本人が逮捕されるケースが相次いでおり、このうち1人が遼寧省瀋陽の裁判所で死刑判決を受けている。
 判決などによると、この女は昨年7月、香港国際空港から日本に向かおうとしていたところ、二つの買い物袋にそれぞれ2.4キロの覚せい剤を所持しているのを捜査当局に発見された。一緒にいた日本人の男(35)も起訴されており、今月30日に判決が出る。

◎覚せい剤密輸図った邦人女性、香港で25年の実刑判決(2004年7月28日、読売新聞)
 【香港=関泰晴】香港の高等法院は27日、覚せい剤を日本に運ぼうとして薬物密売などの罪で逮捕・起訴されていた日本人女性(44)に対して、25年の実刑判決を言い渡した。懲役刑か禁固刑かは、刑確定後、言い渡される。
 判決などによると、女性は香港国際空港で昨年7月に手荷物の中に「アイス」と呼ばれる中国製の覚せい剤約5キロを所持していたところを見つかり、一緒にいた日本人男性(35)とともに警察当局に逮捕されていた。
 押収された覚せい剤は、香港の市場に出回れば170万香港ドル(約2400万円)で取引されるとみられ、日本での末端価格は2億3000万円に達する。香港の警察当局は、中国―香港を経由して、日本に向かう覚せい剤の密輸ルートの捜査を進めていたという。

◎日本人の女に25年の実刑判決、覚せい剤密輸で香港(2004年7月28日、産経新聞)
 香港の高等裁判所は27日、覚せい剤密輸の罪に問われた日本人の女(44)に25年の実刑判決を言い渡した。懲役刑か禁固刑かは刑の確定後に裁判所が決める。
 判決によると、女は日本人の男(35)とともに昨年7月、香港国際空港から「アイス」と呼ばれる覚せい剤約5キロを日本へ密輸しようとした。
 2人は観光名目で3泊4日の日程で香港を訪れていた。男も起訴されており、30日に判決が言い渡される。2人の氏名や職業は明らかになっていない。
 当局が押収した覚せい剤の取引価格は170万香港ドル(約2400万円)で、日本では約9倍の価格になるという。(共同)

◎覚醒剤所持の日本人女性に25年の有罪判決、香港(2004年7月28日、朝日新聞)
 28日付の香港各紙によると、香港の高等法院(裁判所)は27日、日本人の元旅行会社員、甲斐豊洋子(かい・とよこ)被告(44)に覚せい剤所持・運搬の罪で懲役25年の実刑判決を言い渡した。
 甲斐被告は昨年7月5日、香港から日本へ帰る際、香港国際空港で、「アイス」と呼ばれる覚せい剤4・8キロを菓子の袋に入れて持ち出そうとしたところをもう1人の日本人男性とともに警察に逮捕された。
 公判で甲斐被告は「荷物の中に覚せい剤が入っていたことを知らなかった」などと釈明したが、裁判官は「観光やショッピングにも行った形跡がなく、往復に別々の航空会社を使うなど、計画性は明らか」と退けるとともに、「この事件を通じて、香港政府が薬物犯罪にきわめて厳格であることを香港と日本の社会に知ってもらいたい」と述べた。

◎また大規模な赤ちゃん売買、中国・内モンゴル(2004年7月28日、産経新聞)
 新華社電(電子版)によると、中国の内モンゴル自治区フフホト市で27日までに、赤ちゃん76人を売買した犯罪組織が摘発され、医師ら病院関係者を含む計102人が警察に拘束された。
 報道によると、赤ちゃんは生後2時間から5日。主犯グループが病院当局者を通じて男児を7000~8000元(約9万3000~約10万6000円)、女児を1000~2000元で買い、河南省などで男児を1万~1万3000元、女児を4000元で売っていた。農村からの出稼ぎ者が困って売ることを希望するケースが増えているという。
 広西チワン族自治区では23日に赤ちゃん118人を売買したとして主犯格6人に死刑判決が言い渡されている。(共同)

◎わいせつHP700件閉鎖、中国(2004年7月28日、産経新聞)
 27日の新華社電によると、中国公安省が今月16日から実施したインターネットのわいせつホームページ(HP)取り締まりで、25日までの10日間に全国で700件近いHPを閉鎖、関係者計224人を拘束した。
 中国は6月末時点のネット利用者が前年より28%増え8700万人に上り、利用者数で米国に次ぐ「ネット大国」となったが、わいせつHPも急増。同省担当者は「有害情報がはんらんする勢いを食い止めることができた」と取り締まりの成果を誇っている。(共同)

◎炭鉱内でガス、16人死亡、中国・湖南省(2004年7月27日、産経新聞)
 新華社電によると、中国湖南省漣源市の炭鉱で26日、ガス噴出事故が発生、同日夜までに坑内にいた作業員16人の死亡が確認された。炭鉱は無許可操業で監督当局から操業停止を命じられていた。
 中国では炭鉱事故が相次いでおり、今年上半期は2644人が死亡している。(共同)

◎旧日本軍の毒ガス使用に関する史料公開、日本防衛庁(2004年7月27日、人民日報ニュース)
 日本メディアの報道によると、日本の防衛庁が26日、第2次大戦中の旧日本軍の活動を記した歴史資料を公開した。旧日本軍が中国の山西省で殺傷力の高い毒ガス、イペリットガス(マスタードガス)を使用した詳細な内容が記載されている。
 今回公開された歴史資料は「冬季山西粛正作戦戦闘詳報」。記載内容によると、1942年2月6日、中国山西省で「三光政策(殺し尽くす、奪い尽くす、焼き尽くす、の意)」を展開していた第1軍の弘前・歩兵第36師師団長が、重要施設を発見した場所でイペリットガスを使用するよう命令した。命令を受けた歩兵第224連隊長は直ちに毒ガス戦特殊兵を含む3隊を派遣し、同月20日と21日、当時の中国共産党八路軍の本拠地10カ所で「黄剤(きいざい)」と呼ばれるイペリットガスを使用した。作戦の実行地点と毒ガスの使用量についても詳細に記載されていた。
 旧日本軍が中国侵略戦争で化学兵器を使用したことを記す資料は、1983年に米国国立公文書館で発見されている。資料の中では「黄剤」の使用は「撒毒」と表記され、冬季山西粛正作戦に関する記載もみられるが、部隊番号や指揮官など詳細が書かれた戦争史料が公開されるのは今回が初めて。

◎中国で赤ん坊売買組織摘発、6人死刑・5人無期(2004年7月26日、読売新聞)
 【北京=藤野彰】中国広西チワン族自治区で他省にまたがる大掛かりな赤ん坊売買ネットワークが摘発され、23日、犯罪にかかわった被告51人に死刑、無期懲役を含む有罪判決が下された。
 被告の中には産婦人科の医師、看護師11人も含まれており、赤ん坊が産院から直接、買い取り人に売り渡され、さらに仲買人を通じて全国各地に転売されていく実態が明らかになった。
 25日付の中国紙「北京晨報」が掲載した新華社のルポによると、主犯格の被告のうち6人が死刑、5人が無期懲役の判決を受けた。このネットワークを通じて売買された赤ん坊は計118人。犯罪に関与した医師、看護師は、女の赤ん坊を産んだ女性が「育てたくない」と言った場合、赤ん坊1人につき100~200元(1元=約13円)で買い取り人に売り渡していた。赤ん坊は仲買人を経て最終的に2000~3000元で売られたという。
 赤ん坊は睡眠薬を飲まされた上、布で手足を縛られ、袋に入れられて安徽省などに搬送。輸送に使われた長距離バスから1度に28人の赤ん坊が見つかったことがあったが、全員が女児で、1人はすでに死亡しており、生まれてまだ数日の赤ん坊もいたという。
 中国の農村部では男尊女卑の伝統的観念がまだ根強く残っており、女児を中心に人身売買する犯罪の土壌となっている。

◎赤ちゃん118人を売買、中国、主犯格6人に死刑(2004年7月26日、産経新聞)
 中国広西チワン族自治区玉林市の中級人民法院(裁判所)は25日までに、赤ちゃん118人を売買した犯罪グループの主犯格6人に死刑(うち4人は執行猶予2年)、45人に無期懲役から懲役1年6月の判決をそれぞれ言い渡した。
 判決によると、犯罪グループは2001年から同市一帯で赤ちゃんを誘拐したり、医療関係者から買ったりして、河南省や安徽省などで売買していた。移動の際に泣きださないように睡眠薬を飲ませ死亡させたケースもあった。
 関与した医療関係者は赤ちゃん1人につき100~200元(約1300~2600円)を受け取っていたという。中国紙によると、売買された118人の赤ちゃんの多くが女の子だった。
 昨年3月に同自治区で赤ちゃん28人の売買事件が発覚したことをきっかけに警察当局が捜査を開始した。
 中国は1980年代から産児制限策「一人っ子政策」を実施。農村で働き手として男の子が重宝される傾向があり、政府は人身売買の増加に懸念を強めている。
 中国では、近年、男児数が女児を大幅に上回るようになっている。(共同)

◎赤ちゃん118人売買で死刑、中国で6人、5人は無期(2004年7月26日、朝日新聞)
 25日付の北京紙「晨報」によると、中国南部・広西チワン族自治区玉林市の裁判所で23日、赤ん坊計118人を売買していた医療関係者ら52人に対する判決公判があり、6人に死刑(4人は執行猶予2年)、5人に無期懲役が言い渡された。
 ほかの被告にも1人を除いて、1年6カ月以上の有罪が言い渡された。昨年3月、大型バスの中から旅行用バッグに詰め込まれた女の赤ん坊28人(1人死亡)が見つかったことから密売組織が明るみに出た。赤ん坊は玉林市の病院などから現地の住民らに売られ、さらに安徽省などに運ばれていた。
 被告52人のうち11人が医師や看護師。ある病院は、母親が育てたくないという女の赤ん坊を100元(1元は約13円)から200元で売り渡していた。安徽省などで買い手は2千~3千元を払っていたという。
 中国の農村部には、働き手として男児を好む伝統が残っており、こうした売買に影響していると見られる。
 一方、ラヂオプレスが24日の中国中央テレビの報道として伝えたところによると、内モンゴル自治区の公安局はこのほど、赤ん坊売買の容疑で102人を逮捕した。生まれて間もない76人を北京などで売っていたという。

◎中国、台湾海峡の制空権確保想定した演習実施へ(2004年7月23日、産経新聞)
 23日付中国系香港紙、文匯報は、中国福建省南東部の東山島に展開していた中国人民解放軍が近く、台湾海峡の制空権確保を想定した陸、海、空軍合同の軍事演習を始めると報じた。中央軍事委員会の幹部も福建入りするという。
 演習については上海紙、外灘画報が、今月中旬に始まったと伝えているが、正確な情報は確認されていない。
 文匯報によると、1996年に始まった福建省での恒例の演習で、台湾海峡の制空権確保を想定するのは初めて。合同演習に先立ち地元の福建軍区が現場周辺で22日、地元予備役らと補給訓練などを実施、1万人以上が参加したという。(共同)

◎新型肺炎隠しの告発者を拘束、洗脳も?香港紙報道(2004年7月23日、読売新聞)
 【香港=関泰晴】22日付の香港英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」は、消息筋の話として、昨年、中国当局による新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)患者隠しを告発した元軍医・蒋彦永氏が、先月初旬から今月中旬まで当局に拘束され、思想改造を行う「洗脳工作」を受けたと報じた。
 蒋氏は、患者隠し告発のほか、今年3月には、1989年の天安門事件の再評価を求める意見書を公開。事件15周年の6月4日を前に行方不明となり、その後、当局に拘束されていたことが判明した。同紙によると、蒋氏は今月中旬に解放されるまで、毎日9時間にわたって、「思想改造」を受けた。

◎日本のEES内で中国船の調査急増、抗議の効果なし(2004年7月22日、読売新聞)
 日本の排他的経済水域(EEZ)内での中国の海洋調査活動が今月に入って急増している。海上自衛隊は21日、今月10回目の違反行為を確認した。現在、東シナ海と沖ノ鳥島周辺で3隻の中国船が並行して海洋調査を繰り広げている。
 いずれも、日本政府への事前通報はなく、政府は両国政府が合意した事前通報制度や国連海洋法条約に違反しているとして、中国への抗議を繰り返しているが、効果は上がっていない。
 海上自衛隊第1航空群(鹿屋基地)所属のP3C哨戒機は21日午後2時15分ごろ、沖縄県の尖閣諸島・魚釣島の西方約37キロの日本のEEZ内で、中国海軍のヤンライ級測量艦「東測226」が海洋調査と見られる活動を行っているのを発見した。
 日中両政府が合意している「事前通報」のない調査で、外務省は同日、外交ルートを通じて中国政府に抗議した。細田官房長官も記者会見で「大変遺憾なこと。国際的に当然、常識的な線がある。強い抗議をしていかなければならないと思っている」と述べた。
 日中両国は、東シナ海の相手国EEZ内で海洋調査を行う場合、2か月前までに調査主体や内容を事前に相手国に通報することを合意している。東シナ海以外のEEZは日中双方が加盟している国連海洋法条約の適用対象で、6か月前までに調査国(中国)が沿岸国(日本)に申請し、同意を得ることになっている。
 今年初めからこれまでに海自は計26回の調査活動を確認している。しかし、中国はそのいずれも事前通報制度や同条約に定める通報をしなかった。違反調査の件数は昨年1年間の8件と比べてはるかに多く、近年で最も多い1999年(33件)を上回るペースとなっている。
 日本政府は抗議を繰り返しているものの、「中国からはほとんど無視されているに近い状態だ」(政府関係者)という。
 中国船の活動が活発なのは、東シナ海での日中のEEZの境界を定めた中間線に近い南西諸島の尖閣諸島付近と、沖ノ鳥島の西方から南方へ至る広い海域だ。東シナ海では「東測226」が先月25日ごろから調査に入った。沖ノ鳥島方面では国家海洋局所属の「向陽紅9号」が今月12日から、海軍測量艦「南調411」が今月6日から、それぞれ活動しているのが確認されている。
 中国側の狙いについて防衛庁は「資源獲得と軍事の2つの目的がある」(幹部)としている。また、専門家からは、「尖閣諸島の領有を主張する中国が東シナ海を自国のEEZと見なし、資源確保の主導権を握ろうとしている」との見方が出ている。

◎中国、海洋資源開発を加速、周辺国との摩擦不可避(2004年7月18日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】「海洋強国」建設を国家戦略の一つに掲げる中国が、海洋資源獲得に向けた動きを加速している。石油・天然ガスなどの資源増産が、最優先の国家目標である経済成長を続けていく上で欠かせないためだ。
 東シナ海の日中中間線近くで中国が進める天然ガス田開発は、日中間の新たな懸案になった。中国の動きが、今後も周辺国との摩擦を生むことは、避けられない見通しだ。
 東シナ海での日中間摩擦がすでに表面化していた6月下旬、温家宝首相は関係機関に対し、海洋資源などの探査・開発をいっそう強化するよう指示した。
 共産党機関紙・人民日報が発行する国際問題専門紙「環球時報」によると、昨年時点で、計25の海上油田・ガス田で開発が進んでおり、石油年産量は2000万トン以上に達しているという。温首相の指示は、この動きをさらに加速させる国家意思の表明といえる。
 そのための準備も、かなり整った模様だ。
 中国はこれまで、尖閣諸島周辺の東シナ海や、ベトナム沖の南シナ海など、近隣国を刺激する海域も含む近海で、資源の本格的開発の前提となる綿密な海洋調査活動を進めてきた。
 科学技術省系の月刊誌「中国科技財富」によると、中国が「管轄海域」で行った全面的な海洋地質調査により、今年初めまでに351億トン~404億トンに上る石油・天然ガスがある可能性が判明したという。
 中国のエネルギー事情は、高度成長が続くにつれ、厳しさを増している。2003年は石油輸入が9000万トンを突破し、今年は1億2000万トンを超える見通しだ。中国地質科学院の予測では、石油輸入量は2020年に約5億トンに達し、輸入依存度は約70%となる。エネルギー安全保障上の理由で、自給率低下をなるべく抑えたい中国にとって、陸上の石油開発が頭打ちの現状では、海洋での石油・天然ガス増産が急務だ。
 エネルギー安全保障は、資源輸送でも極めて重視されている。「環球時報」は14日、現在90%に上る外国タンカーへの依存度を、5年以内に70%程度にする見通しだと伝えた。
 海洋資源開発の事実上の“後ろ盾”となる海軍は、遠洋作戦能力の向上を目指している。熊光楷・副総参謀長は今年、「当面、空母をもつ計画はない」と語ったとされる。外交筋の間では、「将来的には、空母戦闘群の創設が中国の視野に入っていることは間違いない」との観測も出ている。

◎中国GDP:第2四半期の成長率は9.6%、高水準を維持(2004年7月16日、毎日新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国国家統計局は16日、04年第2四半期(4~6月)の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比9.6%になったと発表した。投資の減速により、第1四半期(1~3月)の9.8%を下回ったが、昨年7~9月期から4四半期連続で9%台の高い伸び率が続いている。上半期の実質成長率は9.7%。
 過剰投資による景気の過熱感は強く、中国政府は昨年来、一連の引き締め策を継続している。統計局は「経済運営の中で不安定、不健全な要素は、第1段階において抑制された。全体的に見て経済運営は良好で、国民経済の穏やかで比較的ペースの速い成長を引き続き保持できる条件は整った」と、今後の経済運営に自信を示した。しかし、中国政府の成長率目標である年平均7%を大幅に上回っており、“ソフトランディング(軟着陸)“に向けて慎重な経済運営が求められそうだ。
 国内需要は、政府と企業を合わせた上半期の固定資産投資が28.6%増と、第1四半期の43.0%に比べ第2四半期になって減速していることを示した。上半期の消費財小売総額は12.8%増で、個人消費は好調を持続している。工業生産は11.9%増だった。
 上半期の貿易は、輸出が35.7%増の2581億ドル、輸入は42.6%増の2649億ドル、貿易収支は68億ドルの赤字だった。ただ、1~4月の4カ月連続赤字から、5、6月は2カ月連続で単月では黒字に転じた。過剰投資業種だった鉄鋼などへの投資抑制策が影響したとみられる。
 消費者物価は3.6%上昇し、インフレへの懸念は依然として高まっている。

◎台湾にらんで中国軍が演習へ、部隊集結、緊迫増す(2004年7月16日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国軍が台湾の陳水扁政権をにらんで陸海空3軍の合同軍事演習を実施する福建省の東山島では、部隊の移動が地元住民に目撃されるなど準備が最終段階に入っている模様だ。
 中国紙「チャイナ・デーリー」も軍事筋の話として、「演習実施は今月後半で、最終的な日程は天候次第」と報じており、緊迫感が強まっている。
 東山島にある元豊ホテルの女性従業員(21)は本紙の電話取材に対し、「12日午前、東部の第2職業中学校で軍隊が駐屯しているのを目撃した」と興奮した様子で語った。また、秀東ホテルの20歳代の女性従業員は「通行証がない一般庶民は演習を直接見ることができない。ここ数日は、部隊が移動するのを見た」という。
 電力関係の会社に勤める男性(23)も「海岸沿いに大規模な部隊が展開している」と証言した。地元住民の話を総合すると、演習は東山島の市街地から約8キロ離れた東部湾岸一帯で行われるものと見られる。
 15日付の中国紙「中国青年報」は、今回の演習期間は1週間で、参加人数は1万8000人以上に上ると伝えた。同紙によると、1996年以来続けてきた同演習の主要目的は、〈1〉部隊の合同作戦能力向上と訓練成果の検証〈2〉中国軍に台湾問題を武力解決する能力と自信があることを「台湾独立」勢力に示す〈3〉台湾問題の解決が中国の内政で、外国勢力が決して介入してはいけないことを世界に知らせる、の3点にあるという。
 今回は、台湾海峡の制空権獲得が最大目的で、空軍が主要な役割を果たすほか、陸軍ミサイル旅団や第2砲兵(戦略ミサイル部隊)なども参加するという。
 具体的な演習内容は、上陸作戦や封鎖、対地攻撃、パラシュート降下、空母や巡航ミサイルに対する反撃など幅広い項目にわたっている。

◎日本人ボス中国で逮捕、「日本警察には捕まらぬ」豪語の日中強盗団(2004年7月16日、産経新聞)
・国際手配、中麻薬密輸容疑など
 【北京=野口東秀】中国・大連市の日本総領事館は十五日、広東省深セン市で、覚醒(かくせい)剤三・一キロを所持していた日本人男性(六一)が麻薬密輸容疑などで逮捕されたことを明らかにした。男性は三十人の日本人、中国人を配下に、平成十四年に日本の一都六県の資産家宅を狙い約十億円の緊縛強盗を起こした「日中混成強盗団」のリーダーとして国際指名手配中の武田輝夫容疑者とみられる。
 中国紙「南方都市報」などによると、男は六月十八日、深セン市内のホテルの部屋で配下とみられる中国人三人とともに逮捕された。昨年七月に遼寧省大連市などで連続麻薬密輸事件が発生。大連空港などから覚醒剤を日本に密輸しようとして逮捕された日本人運び屋に対する捜査過程で男の関与が浮上し、十カ月間にわたる内偵捜査の末に逮捕した。
 男の中国での逃亡生活は「中国人連続強盗団」(講談社)で描かれており、「日本の警察には捕まりませんよ」「日本で強盗は約三十件約十億円」と話していたという。
 外交筋によると、男は日本での犯行後、犯罪人引き渡し条約が結ばれていない中国へ逃亡、すでに昨年三月時点で覚醒剤の密輸に関与していた。
 男は旅券を所持しておらず、中国側は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて最終的な身元確認を急いでいる。
 武田容疑者が率いた日中混成強盗団による事件は平成十四年から東京、愛知、滋賀、和歌山、福岡、大分、福井などで計十数件発生。全国で計十人以上が逮捕されている。日中混成強盗団は、日本の暴力団関係者が、資産家の情報を中国人側に流していたことが特徴の一つ。中国人が実行犯役として事件ごとに離合集散し、粘着テープで被害者を縛る手口が多い。

◎中国の麻薬常用者105万人、対日密輸など顕著に(2004年7月15日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】中国公安省の楊鳳瑞・薬物対策局長は14日、記者会見し、昨年、中国の麻薬常用者が約105万人に達したほか、国内での覚せい剤製造・販売の増加で「日本など海外への密輸も顕著になっている」と指摘した。
 同省によると、中国で昨年摘発された違法薬物事件は約9万4000件。約6万3700人を拘束し、ヘロイン約9.5トン、覚せい剤約5.8トン、合成麻薬のMDMA(通称エクスタシー)約41万錠を押収した。
 中国では近年、ディスコなどを中心に若者の合成麻薬使用が広がっており、麻薬常用者約105万人のうち35歳以下が約72%に上る。都市部の失業者層、農村部の貧困層などでも使用が拡大しており、麻薬汚染の実態は統計を大きく上回るものとみられる。また、中国のHIVウイルス感染者約84万人のうち半数の55.3%が麻薬注射による感染とされ、社会安定の一大脅威となっている。
 一方、遼寧省瀋陽市で今年2月、60歳代の日本人男性が麻薬密輸罪で執行猶予の付かない死刑判決を受けるなど、対日密輸が次々明らかになっている。
 楊局長は、密輸の総量は不明としながらも、「日本は巨大な市場だ」と指摘。「容疑者が国籍によって優遇されることはあり得ない」と強調し、麻薬に関与すれば外国人でも国内法に基づき厳罰に処す姿勢を示した。

◎中国の空爆想定し軍事演習、台湾で25年ぶり発着訓練へ(2004年7月14日、産経新聞)
 中国が今月、台湾の制空権確保を想定した大規模演習を計画しているのを受け、台湾国防部(国防省)は14日までに、中国の空爆を想定した演習を21日に行うことを決めた。
 演習では、中国の攻撃で空軍基地が破壊された場合を想定して高速道路を滑走路代わりに戦闘機を発着させる訓練が1978年10月以来、25年ぶりに行われるなど、軍事圧力を強めている中国人民解放軍に対抗する姿勢をみせている。
 国防部は2006年以降、中国が限定的な軍事行動を起こす可能性があると分析しており、台湾海峡を挟んで双方が今後、軍事色を前面に出した対抗姿勢を強める恐れがある。
 中国は台湾の制空権確保を念頭に今月、人民解放軍の陸海空三軍合同の大規模軍事演習を計画。具体的な日程は不明だが、福建省南東部の東山島での演習を予定している。同島は台湾・澎湖諸島に近く、地形的にも台湾西岸と似て上陸作戦訓練に適しているとされる。
 米国防総省は5月末、中国の台湾向けミサイルが昨年より50基増え、500基になったとの報告書を発表、中国の軍事的脅威を強調した。
 一方、台湾は今後15年間で米国製最新鋭地対空誘導弾パトリオット(PAC3)発射装置6台、ディーゼル潜水艦8隻、P3C対潜哨戒機12機を購入する予定で、計6108億台湾元(約2兆円)の特別予算を組む方針を決めた。
 蔡明憲・国防副部長(副大臣)は、陳水扁総統の「独立志向」を警戒する中国が06年以降、軍事威嚇行動に踏み切る恐れがあるとする一方、米国が台湾に巡航ミサイルなど攻撃用武器を供与する可能性もあると指摘した。(共同)

・中国3軍合同演習
 中国人民解放軍の陸、海、空軍合同の大規模軍事演習で、毎年実施される。今回は7月中に福建省南東部の東山島での演習を予定。同島は台湾・澎湖諸島に近く、台湾西岸と似た地形で上陸作戦に適しているといわれ、中国軍は1996年から8回の大規模演習を行った。今回は台湾の制空権確保という「積極的な攻撃」を想定した内容とされる。(共同)

◎10年後に20%が嫁不足、中国の男女人口差深刻(2004年7月12日、産経新聞)
 新華社電によると、中国国家人口計画出産委員会の張維慶主任は12日までに、中国の9歳未満の男児人口は女児より1277万人も多いとの最近の統計を明らかにし、このままでは10年後に適齢期男性の20%が嫁を見つけられない事態になると警告した。
 中国全体の男女比率は、2000年の人口調査で女性100に対して男性119.92。近年は子供の男女比のアンバランスが目立っているという。
 原因について張主任は(1)農村の主要労働力は男(2)伝統的に男が両親の面倒を見ると考えられている(3)男女の社会的地位の不平等-の3点を挙げ、さらに男女の産み分け技術の向上も影響を与えていると分析した。
 張主任は、この傾向が続けば深刻な結婚問題だけでなく、人身売買などの犯罪を引き起こす恐れもあるとして早急な対策の必要性を強調。同委員会が女児を育てる家庭の支援策を検討中であることを明らかにした。
 現在は広東省や雲南省の一部地区で試験的に、女児のいる家庭に補助金を支給する制度を始めたという。(共同)

◎中国、鄭和にあやかり「海洋大国」の威信をアピール(2004年7月12日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】中国が明時代の武将・鄭和(1371~1434年ごろ)の大航海開始600年を記念した博覧会開催を予定するなど一大キャンペーンに乗り出している。
 「海洋大国」としての威信をアピールし、中国の将来を左右する海洋権益に対する国民の関心を引きつける狙いがありそうだ。
 鄭和は1405年7月、永楽帝の命で初の航海に出発し、1433年まで7回の航海で東南アジアからインド、アフリカ東海岸に到達。南海貿易の活発化をもたらした。英国の学者が「コロンブスより早く米大陸に到達した」との学説を唱えるなど、中国の海洋進出の象徴と言える存在だ。
 来年は大航海開始から600年に当たり、中国は外務省など15の国家機関が記念活動準備委を結成。来年、北京で鄭和の記念大会や展覧会、上海で国際海洋博覧会を開く。記念貨幣や記念切手発行も計画しており、歴史上の人物としては、突出した“てこ入れ”ぶりだ。
 中国は近年、最優先の国家目標である「持続的な発展」を維持するため、新たな海洋開発を戦略に掲げている。特にエネルギー確保の観点から、海洋資源開発は焦眉の課題だ。尖閣諸島や沖ノ鳥島周辺での中国船の違法な調査活動や、東シナ海における天然ガス田開発もこうした流れの中にある。
 中国政府は記念事業のスローガンとして「熱愛祖国」を第一に掲げており、「海洋=国益」とのイメージを国民に醸成する意図も込められていそうだ。

◎中国製品に偽JISマーク、取り締まり要請も効果なし(2004年7月9日、読売新聞)
 【北京=東一真】日本工業規格(JIS)マークや、資源有効利用促進法に基づく分別回収のための「プラ・マーク」などを勝手に付けた商品が中国で出回り、日本政府が対応に頭を痛めている。
 中国内で販売される商品に表示している限りは、法には触れず、取り締まりが難しいためだ。特に品質保証の印であるJISマークなどは「不当表示が広がったら権威が落ちる」(経済産業省筋)懸念があり、政府は中国に対応を要請した。
 ニセのJISマークが最初に見つかったのは今年3月。日本製品の模倣品であるブレーキ・オイルのパッケージに表示があった。JISマークは日本の工業標準化法に基づく品質保証の表示で、品質管理などで一定の基準を満たす工場を日本政府が認定し、製品にJISマークの表示を許可している。海外工場についても認定しているが、発見されたブレーキ・オイルの製造工場は認定を受けていなかった。
 日本国内では、不当にJISマークを付けた事業者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処すことができる。また、不当表示の製品が日本に輸入された場合には、税関で差し押さえることができる。
 ところが、中国国内で不当表示しても、日本の法律を適用できない。JISマークは、企業のロゴ・マークと異なり「商標」ではないため、知的財産権の侵害にもあたらない。盲点を突かれた形の経産省は、5月に中国商務省に取り締まりを要請したが、現在まで、具体的な対応策は示されていない。
 一方、中国で製造販売されている菓子の容器に、日本政府が資源有効利用促進法に基づいて定めた「プラ・マーク」や、「紙マーク」を付けた商品も出回っている。これらのマークは、日本で分別回収する際、包装・容器の素材を示すために表示を義務づけているが、中国国内ではまったく意味がないマークだ。
 中国では、人気の高い日本製品に見せかけるために、「サクサクした繊維を豊富に含有」などの日本語をパッケージに表示する商品が増えており、プラ・マークなどの表示も、日本製品に見せかけたり、かっこよく見せたりするための手法と見られる。
 こちらはJISマークと違って品質保証を意味しないため、経産省は特に中国政府に対応を要望していない。ただ、中国国内でまったく意味をなさないマークを放置すれば、中国の消費者を混乱させる恐れがあるほか、模倣品や海賊版を大量に生み出す「ニセモノ文化」の風土を助長することにもなりかねない。中国政府自らの対応が問われそうだ。

◎バイアグラ特許、中国で取り消し・米ファイザー反発(2004年7月8日、日本経済新聞)
 【ニューヨーク=篠原洋一】米ファイザーは7日、中国政府が同社の主力製品であるぼっ起不全(ED)治療薬「バイアグラ」の特許を取り消したことを明らかにした。特許が期限切れ前に取り消されるのは極めて異例。中国政府は取り消しの理由などを近く正式に公表する見通し。同社は納得できないとして決定見直しを訴えていく方針だ。
 同社はバイアグラの中国での特許を2001年に取得した。すでに多数の偽造品が出回っているとされ、特許取り消しで正規の後発医薬品が相次ぎ発売されるのは確実。今回の取り消し決定は米医薬大手の中国戦略にも影響を与えそうだ。

◎中国政府がバイアグラの特許取り消し、米欧は報復も(2004年7月8日、産経新聞)
 8日付の英フィナンシャル・タイムズ紙(アジア版)によると、中国政府は7日、米医薬品大手ファイザーに与えていた性的不能治療薬「バイアグラ」の成分特許を取り消す決定を下した。
 同社は抗議する構えで、北京在住の外交官は同紙に対し、米国と欧州連合(EU)が中国への報復措置を検討する可能性もあると述べた。
 中国では外国医薬品の偽造品が出回っており、バイアグラのケースは、医薬品の知的所有権保護についての中国政府の姿勢を見極める試金石とみられていた。
 中国政府は2001年、ファイザーに対し、バイアグラの有効成分「クエン酸シルデナフィル」の特許を認可したが、中国の医薬品会社連合は特許の無効化を申し立てていた。
 中国のバイアグラ市場は年商約10億元(約130億円)に達するとみられ急拡大中。特許取り消しにより、中国製の“正規後発医薬品”が出回ることになりそうだ。(共同)

◎盧溝橋事件記念日、中国、抗議デモ禁止(2004年7月8日、産経新聞)
 【北京=福島香織】今年で67回目を迎える盧溝橋事件記念日の7日、中国の民間組織「愛国者同盟」などが北京市郊外の盧溝橋で予定していた反日集会が公安当局の指示により土壇場でキャンセルになった。一部メンバーは独自で抗議デモなどを行ったが規模は小さく、メディアの報道も控えめ。東シナ海の天然ガス開発をめぐり日中の対立が先鋭化する中、中国当局は国民の反日感情を刺激しないよう配慮しているようだ。
 盧溝橋事件は1937年7月7日に発生、日中戦争の発端となった。集会は3月に沖縄県の尖閣諸島(中国名・釣魚島)に上陸した活動家らが所属していたことでも知られる愛国者同盟のサイトで呼びかけられ、7日午前9時に盧溝橋で行われる予定だったが6日、同盟のサイト上で突然、集会の取り消しが通知された。
 同盟側は、(集会に参加する)車列が交通渋滞で時間通り北京に到着しない▽参加人数が多く集会許可の申請が必要だが、人数などが不確定なので集会許可が申請できない▽7日当日、国家が活動を行うため、集会の場所がない-などと説明したが、関係筋によると実際には公安当局から「待った」をかけられたようだ。
 メンバーのうち数十人が集会取り消しに納得せずデモなどを決行したが、同盟のスポークスマンは「同盟としては関知していない」と責任を回避した。盧溝橋では前日から公安車両が集会を取り締まるべく待機。7日午後も厳重な警備が続いており、デモはすぐ解散したもよう。
 中国では東シナ海の天然ガス開発をめぐる日本側の調査の影響で、国民の反日感情の高まりが懸念されており、当局は盧溝橋事件記念日をきっかけに反日運動が拡大することを恐れたようだ。
 外交筋によるとメディアにも反日キャンペーンを控えるよう通知が出ている。

◎中国で1000万人感染の恐れ・国連が世界エイズ報告(2004年7月6日、日本経済新聞)
 【ジュネーブ6日共同】国連合同エイズ計画(UNAIDS)は6日、2年に一度の世界エイズ報告を発表、エイズの感染拡大には歯止めがかかっておらず、特に人口の多い中国とインドで今後エイズウイルス(HIV)感染者が急増する恐れがあり、適切な措置をとらなければ中国のHIV感染者数は2010年には1000万人に達する可能性があると警告した。
 報告はバンコクで11日から16日まで国際エイズ会議が開催されるのに先立って発表された。
 報告によると、03年末時点での世界のHIV感染者数(推計)は約3780万人。昨年はこれまでで最も新規感染者が多く、世界中で480万人が新たに感染したと推計している。また、昨年1年間にエイズで290万人が死亡したと推計、初めてエイズ患者が死亡した1981年からの死者の累計は2000万人を超えたとしている。
 地域別では、約2500万人のHIV感染者がいる南部アフリカの状況が依然として最も深刻だが、潜在的な脅威として中国とインドを挙げた。

◎中国で1000万人感染の恐れ、国連が世界エイズ報告(2004年7月6日、産経新聞)
 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は6日、2年に一度の世界エイズ報告を発表、エイズの感染拡大には歯止めがかかっておらず、特に人口の多い中国とインドで今後エイズウイルス(HIV)感染者が急増する恐れがあり、適切な措置をとらなければ中国のHIV感染者数は2010年には1000万人に達する可能性があると警告した。
 報告はバンコクで11日から16日まで国際エイズ会議が開催されるのに先立って発表された。
 報告によると、03年末時点での世界のHIV感染者数(推計)は約3780万人。昨年はこれまでで最も新規感染者が多く、世界中で480万人が新たに感染したと推計している。また、昨年1年間にエイズで290万人が死亡したと推計、初めてエイズ患者が死亡した1981年からの死者の累計は2000万人を超えたとしている。
 地域別では、約2500万人のHIV感染者がいる南部アフリカの状況が依然として最も深刻だが、潜在的な脅威として中国とインドを挙げた。(共同)

◎中国、台湾対岸で大演習へ、制空権狙い、3年ぶりの規模(2004年7月5日、朝日新聞)
 中国人民解放軍が7月、台湾海峡の制空権獲得を想定した大規模な軍事演習を行うことがわかった。北京の軍事筋が確認した。最近、中国は台湾の陳水扁(チェン・ショイピエン)政権の自立化路線に一層、神経をとがらせており、外交・経済面に加えて、軍事的な圧力も強める方針のようだ。演習は陸海空各軍を動員する3年ぶりの規模とされ、陳政権への牽制(けんせい)姿勢を日米など周辺国にも明示する狙いがある。
 演習の予定については3日付の中国青年報も、中国外務省が認めたと報じた。場所は、台湾海峡に面した福建省南部の東山島。海岸の地形が台湾の西海岸に似ているとされ、96年以来、台湾上陸を想定した演習が計8回行われた、という。中でも01年の演習が最大で、4カ月にわたり約10万人を動員した。今回の演習規模について同紙は「01年の演習以来」としている。
 同紙によると、過去の演習では台湾が独立を宣言したと仮定。澎湖諸島に上陸し、米海軍の介入に対して戦う、とのシナリオだった。だが、今回の主眼は「独立の予防」から、「台湾海峡の制空権を奪い取る積極性と攻撃性を備えたもの」に変わる、とする軍事専門家の指摘を紹介した。
 演習には最新兵器が投入される見通し。200以上の目標を同時にとらえられるフェーズド・アレイ・レーダーを搭載した中国版「イージス艦」もすでに1隻が就航したとみられ、演習に加わる可能性がある。軍事筋によると、目標を捕捉し自動的に応戦できる日米のイージス艦と違い、使用武器は乗員が判断するなどハイテク面の遅れはあるが、計4隻を保有する計画という。
 実際の戦力では、F16戦闘機など米国製最新兵器を備える台湾軍から中国軍が制空権を奪うのは簡単ではないとみられているが、積極攻撃を狙う大規模演習は十分に圧力になると読んでいる。
 こうした動きは、中国政府が陳政権へのいら立ちを募らせていることの表れだ。中国は3月の台湾総統選前後は演習を控えたが、それは軍事的刺激が逆に台湾世論を自立化に追いやり、陳氏の再選戦略を利することを懸念したためだった。
 しかし、陳氏は結局、再選。5月の就任演説では、現行の中華民国憲法を本格的に見直し、08年に新憲法を出す方針を明示した。中国の国威発揚の歴史的イベントになる同年の北京五輪にぶつけるかのような動きに中国の憤りは深い。
 軍事面だけでなく、外交面でも中国は締め付け強化を図っている。米国に対しては、高性能レーダーや潜水艦などの台湾向け武器売却に強く反発してきた。次期駐日大使に知日派の王毅(ワン・イー)外務次官が内定したのも、日本とのパイプの太い王氏に、台湾問題で日本を引き付けておく役割が期待されている面もある。
 また、大陸に投資する台湾企業のうち陳政権を支持する企業は「容認しない」(国務院台湾事務弁公室)と警告を発するなど、大陸への依存が強まる経済界と陳政権との分断も狙っている。
 経済成長を最優先する中国政府にとって、台湾海峡の波乱は望ましくはない。演習の予定を事前にメディアで報じさせたのも、「周辺国に必要以上の懸念を抱かせないため」と軍事筋は言う。それでも、この演習には、陳政権の自立化路線がエスカレートすれば、決して見過ごさない姿勢を内外に示す意図が込められているのは間違いない。

◎中国の携帯電話加入数、3億を突破(2004年7月2日、朝日新聞)
 中国情報産業省の統計によると、中国の携帯電話加入総数は今年5月末時点で3億55万9000件と、3億の大台に乗った。2億件は02年11月に達しており、それからわずか1年半で1億件増えた。
 今年1年で6000万件程度の増加が見込まれ、来年のうちに都市部のほぼ全体に普及するとみられている。今後、所得の低い内陸の農村部へと、市場が順調に拡大するかどうかは、楽観できないとする見方もある。

◎麻薬犯罪で16人死刑、中国(2004年6月27日、産経新聞)
 中国政府は26日の「国際麻薬乱用撲滅デー」を前に全国で取り締まりキャンペーンを強化、24、25の両日、麻薬密輸や売買などの罪で少なくとも16人の死刑を執行した。
 中国では経済発展の一方で、麻薬が社会問題化。政府は新聞やテレビで「麻薬阻止」を訴える特集を組むなど危機感を強めており「1罰100戒」を狙ったとみられる。
 新華社電によると、広東、海南、雲南など5つの省で開かれた市民参加の「集会」で死刑が言い渡され、直後に執行された。
 近年の麻薬犯罪は大規模化、国際化しており、ヘロイン2トンと大麻3トンを国外から中国に運び込んだケースや、日本に覚せい剤1.1トンを密輸しようとした事件もあった。
 公安省によると、昨年末で麻薬常習者は約74万人。昨年は日本人が麻薬密輸容疑で拘束される事件も続発、現在拘束中の日本人は、死刑判決を受けた者を含め10人以上に上っている。(共同)

◎中国・チチハルの毒ガス砲弾処理、16日から日中共同で(2004年6月15日、朝日新聞)
 中国・黒竜江省チチハル市の郊外で5月下旬、旧日本軍が遺棄した毒ガス砲弾など52発が見つかった問題で、内閣府遺棄化学兵器処理担当室は14日、16日から約10日間の予定で日中共同で発掘・回収作業を行うと発表した。
 同室担当者の説明では、現場はチチハル市南部の昂昂渓区頭站村の民家の敷地内。約100メートル離れた場所に小学校がある。5月末に日本外務省の調査団が訪れて10発を鑑定し、旧日本軍のびらん剤(マスタードガス)などと確認した。作業には、内閣府に出向している自衛官や同OBなど日本側が二十数人、中国側は130人前後が参加する。
 一方、同時期にチチハル市の別の建設現場で掘り出されたドラム缶の周囲にいた8人が体に異常を訴えた問題で、ドラム缶は旧日本軍のびらん剤の容器だとわかった。だが、古い穴が開いて中身はなく、中国側は「8人の体の異常との因果関係ははっきりしない」と日本側に説明したという。8人はいったん病院に運ばれたが退院している。

◎夏の猛暑、人工降雨で冷やせ、電力不足緩和で上海市計画(2004年6月13日、朝日新聞)
 夏は連日猛暑が続く中国・上海市は、エアコン使用などによる電力不足を緩和するため、人工的に雨を降らせて気温を下げる計画を立てている。商業や工業施設が集中する同市では、電力不足が社会問題化している。水不足対策などの人工降雨は例があるが、電力不足解消を目的にしたのは初めてという。今月中にも試験的に実施する予定だ。
 市当局によると、飛行機から冷却剤などを雲の中に散布することで温度を大きく下げ、水滴や氷の量を増やして人工的に雨を降らせる方法などが検討されている。天候条件に左右されるうえコストも高いが、電力を買うコストに比べれば採算が合うという。
 同市は夏場の電力消費量の約半分をエアコン使用が占める。ある地区では昨夏、突然大雨が降った時の電力需要が150万キロワット減少したといい、雨による気温低下でエアコン使用を抑える効果があるとみている。
 上海市経済委員会によると、今夏の最大電力需要は1670万キロワットにのぼり、これに対し供給は240万キロワット程度不足するとみられていた。

◎中国の携帯電話、3億突破確実に、1年で6千万増見込む(2004年6月7日、朝日新聞)
 中国情報産業省の統計によると、今年4月末時点で中国の携帯電話加入総数は2億9575万件に達した。3億件突破は確実だ。昨年末以来、新規加入が2705万件あり、今年1年間では6000万件増えると見込まれている。
 携帯電話は経済が発展している沿海地域のほか、内陸でも普及しつつあり、四川省で1300万件、河南省でも1200万件を超えている。ただ、いずれも都市部が中心で、農村部での普及は進んでいない。
 一方、固定電話の加入数もすでに携帯電話に追い抜かれたものの、この4カ月で2214万件増え2億8544万件に達した。

◎靴工場で労働者1000人以上が暴動、中国広東省(2004年6月7日、産経新聞)
 6日付の台湾夕刊紙、聯合晩報によると、中国広東省東莞にある台湾資本の靴工場で5月、残業時間を削減され収入が減ったことに反発する労働者1000人以上が暴動を起こし、主犯格の女性労働者4人が逮捕され、いずれも懲役15年の実刑判決を受けた。
 労働者は車に火を付けたり、コンピューターを破壊したほか、台湾人幹部に負傷させた。500人以上の武装警察官が鎮圧に当たった。
 中国当局は最近、労働環境改善に向け、週当たり労働時間が48時間を超えてはいけないとの管理規定を施行。この工場は規定を守った結果、労働者の暴動を招いたという。工場側が給与をカットしたためとの見方もある。
 広東省深●(●=土へんに川)でも先月、残業減らしに不満を持った別の工場の労働者6000人以上が街頭抗議デモを行ったという。(共同)

◎ホンダ、類似商標で中国企業再提訴(2004年6月5日、産経新聞)
 4日付中国英字紙、チャイナ・デーリーによると、ホンダが中国の大手オートバイメーカー、重慶力帆実業集団(重慶市)を相手に商標権侵害で1700万元(約2億2000万円)を超す損害賠償などを求めた訴訟の審理が3日、上海市第二中級人民法院(地裁)で開かれた。
 同紙が伝えた訴え内容によると、重慶力帆はホンダのオートバイ「SCR」にデザインがそっくりな「SOR」マークを自社の製品に付けて販売。ホンダは2001年に気付き、翌年から重慶力帆側に警告の文書を送っていたという。
 重慶力帆は商標権侵害を否定し、ホンダ側と争う構え。ホンダは以前にも、重慶力帆が商標「HONDA」によく似た「HONGDA」のマークを付けて自社製品を販売しているとして提訴した。(共同)

◎新日石、中国に新工場、携帯向け液晶フィルム生産倍増へ(2004年6月6日、朝日新聞)
 新日本石油は、携帯電話などの液晶画面に使われる光学フィルムの生産能力を2倍に増強する。中国・蘇州に建設中の新工場で8月から試験生産を始め、来年2月に本格生産に移行する計画。同社の製品はカラー液晶向けのシェアが高い。今後は海外でもカラー画面の携帯電話が標準になると見込み、有力な収益源に育てたい考えだ。
 フィルムは樹脂製で、液晶画面のガラス偏光板の間に数枚、層状に張られている。光の振動を整え、画面の映りをくっきりさせ、斜めからでも見やすくする効果がある。新日石は、分子構造の複雑な石油化学製品の製造技術をもとに、95年に商品化した。
 メーカーは世界で15社ほどあるが、同社の製品は、携帯電話用カラー液晶の5割強に採用されているという。03年度の売上高は前年の2倍近い約35億円。画面のカラー化と大型化が追い風だ。
 年産120万平方メートルの能力を持つ辰野工場(長野県辰野町)はフル稼働で、「需要の伸びに生産が追いつかない状態」(担当幹部)。増産のため、蘇州に約50億円かけて辰野と同じ規模の新工場を建設している。蘇州周辺にはセイコーエプソンやフィリップスなど液晶メーカーの拠点が集中しており、注文に迅速に対応できる利点がある。
 IT調査会社の予測では、携帯向け光学フィルムの需要は08年に現在の1.3倍になると見込まれる。新日石は06年までに採用率を7割まで引き上げる目標を掲げる。

◎中国でも就職は大変、大学生が急増、競争激化(2004年6月1日、産経新聞)
 速いスピードで経済発展を続ける中国で、7月の卒業を前に大学生が就職難に見舞われている。進学率の上昇により大学生数が急激に増えたことに加え、市場経済の発展に見合った雇用の仕組みが立ち遅れていることが背景にある。高い希望を持つ学生と、厳しく選別する採用側の認識の違いも、競争激化に拍車を掛けているようだ。
 就職シーズン終盤を迎えた5月、北京市で開かれた有料の就職説明会場は学生ら数千人で埋まった。
 卒業間近の杜愛紅さん(24)は「説明会はもう4回目。英語を生かせる仕事をしたいが、なかなか条件が合わない」とため息をついた。北京大学院生の侯鐸さん(24)は7カ月の就職活動を経て、ようやく国有企業に就職を決めた。「『仕事の経験』を問われるなど、企業の要求が厳しかった」と振り返る。
 今年の大卒者は約280万人。昨年卒業しながら未就職の約50万人を加えた約330万人が就職戦線に参加した。
 教育省は今年9月の就職率の目標を70%と設定。鄭斯林・労働社会保障相は「目標達成は可能」との見通しを示しているものの、残りの30%の大半は“就職浪人”だ。
 中国では従来、国が大学生の就職をあっせんする「分配」が主流だったが、市場経済化の進展に伴い1990年前半に自由に仕事を選べる制度に変更された。当初は高成長期の開始と重なったこともあり、大卒者は高収入を約束された「特権階級」だったという。
 しかし、教育市場の開発と人材育成を狙って99年に大学生数を拡大する制度が導入されたことで状況は一変。今年の大卒者数は99年と比べて75%増に膨れ上がり、就職活動も激烈になった。
 各大学や自治体は合同説明会を開いたり、ホームページで企業を紹介したり、側面支援に力を入れる。
 だが、学生の希望と雇用する側の思惑には食い違いがある。学生側が(1)北京、上海、広州など大都市部の職場(2)高給料、好待遇-を求めるのに対し、雇用側からは「即戦力として期待できない」「一人っ子で甘やかされ自信過剰」などの辛口評価も聞かれる。
 中国紙によると、就職問題の専門家は「分配に安住していた影響がまだ尾を引いている。学生側と雇用側が接触する機会をもっと増やすなど、経済発展に見合った人材市場のシステム化が急務だ」と指摘した。(共同)

◎中国、ロシアから電力輸入・工場向けに安定調達(2004年5月27日、日本経済新聞)
 【北京=宮沢徹】中国がロシアから電力の輸入を始めた。2013年までの契約で極東地域の発電所から年10億~20億キロワット時の電力を買い取る。中国は電力不足が深刻で、国内の発電所整備だけでは需要拡大に追いつかないと判断した。ロシアからは原油、天然ガスの輸入も拡大する計画。中国はエネルギー消費の約1割を輸入に頼っているが、今後はロシア依存が急速に強まる見通しだ。
 ロシア極東のアムール州にある二つの水力発電所から国境をまたいで、黒竜江省の黒河市まで送電。黒竜江省に立地するシリコン加工や素材など電力多消費型の工場で活用する。今回の輸入量は中国全体の消費量の0.1%にすぎないが、電力不足により工場が停止に追い込まれる事態を回避できる。受け入れ窓口になる黒河市経済合作区管理委員会企業局の李樹平局長は「ロシアの電力料金は中国より安く、地域産業の競争力強化にもつながる」と説明しており、今後、輸入量を拡大したり黒竜江省以外の地域の工場で活用したりすることも検討する。

◎チチハルで再び遺棄化学兵器見つかる、新華社報道(2004年5月26日、朝日新聞)
 中国黒竜江省チチハル市で、旧日本軍の化学兵器の入ったドラム缶1個が見つかったと新華社が25日伝えた。
 報道によると、ドラム缶は24日、住宅建設現場で発見された。液体はなくなっていたが周辺に刺激臭が流れた。缶に触れた8人に大きな異常は見られないが、検査を続けている。軍の専門家は旧日本軍が遺棄したもので毒ガスが入っていたと鑑定した。
 北京の日本大使館は中国側から正式な通知を受けていないという。チチハル市では昨年8月、旧日本軍の遺棄化学兵器の毒ガスが漏れ、1人が死亡、43人が負傷した。

◎サカタINX、7月から中国でインク製造販売(2004年5月23日、日本経済新聞)
 サカタインクスは7月から、中国で段ボールや包装フィルム向けインクの生産を始める。上海に工場を建設、フル稼働時には年間3600トンを生産する。日本の製造業の進出や現地メーカーの成長で、増加する印刷需要を取り込む。本格稼働する3年後には年間8億円の売り上げを見込む。
 新工場には、顔料と樹脂などを混ぜ合わせてインキを作る設備と、金属やプラスチック缶などの容器に詰める装置を設置した。総投資額は8億円。原料は中国国内のほか日本からも調達する。日系企業だけでなく中国国内や中国へ進出している外資の印刷会社に販売する。

◎炭鉱事故で21人死亡、中国・山西省(2004年5月20日、産経新聞)
 新華社電によると、中国山西省呂梁地区の炭鉱で18日起きたガス爆発事故で、救助隊は19日までに21人の遺体を確認した。1人が救出され、12人が行方不明となっている。
 同省当局者によると、坑内は一酸化炭素の濃度が高いため、救助活動は慎重に進められているという。
 中国では炭鉱事故が多発、昨年は計約6700人が死亡している。(共同)

◎入管法違反事件:中国人が最多、不法就労目立つ(2004年5月18日、毎日新聞)
 法務省入国管理局は17日、03年の入管法違反事件の概要をまとめた。不法入国や不法残留で退去強制手続きをとった外国人は4万5910人(前年比3975人増加)。国籍別では、中国が1万2382人で最も多く、韓国を抜き初めてトップになった。
 退去強制手続きをとった外国人のうち、3万4325人が不法就労で、全体の約75%を占めた。就労期間が「3年を超える」者が全体の48%で、就労期間の長期化が目立つ。就労場所は、東京都を中心に関東の1都6県に全体の約72%が集中していた。

◎中国で偽ミルク、栄養不良で乳児12人死亡(2004年5月17日、産経新聞)
 中国安徽省阜陽市などで、栄養成分が国の基準を大幅に下回る「偽粉ミルク」が発売され、16日までにミルクを飲んだ乳児229人が栄養不良となり、うち12人が死亡した。同日の新華社電(電子版)によると、中国国務院(政府)は、製造にかかわった業者ら31人を逮捕したことを明らかにした。
 国務院の調べでは、偽ミルクはデンプンや砂糖などにミルクの香りを加えるなどして製造されていた。タンパク質や脂肪、ビタミンが極端に少なく、飲んだ乳児らは発育不良や免疫低下の症状を示したという。
 阜陽市では55種類の不合格ミルクが発見され、社名や製造場所を偽った業者が多数かかわっていたという。
 偽ミルクによる被害は昨年3月ごろ、阜陽市の農村部などで頭部が肥大し発育が遅れた乳児が報告されて発覚。その後、黒竜江省や福建省、湖北省などで同様の症状を示す乳児が見つかっている。(共同)

◎中国、日本からの廃プラ輸入緊急停止(2004年5月14日、日本経済新聞)
 【北京=飯野克彦】中国で品質管理などを主管する国家品質監督検査検疫総局は13日までに、日本からの廃棄プラスチックの輸入手続きを緊急停止した。日本からの廃プラ輸入で違法行為があったためとしている。期間は不明。
 同総局が8日付で出した「公告」によると、日本側が廃プラをばら積み船に積み込む際に、危険性のある大量の貨物を隠して違法に輸出。一部を転売して深刻な環境汚染を引きおこしたという。日本側の荷主などの名前は明らかにしていない。公告はこれを「欺まん的な手段による重大事件」などと位置づけ、日本からの廃プラ輸入に必要な検査手続きなどを一時停止する、と表明した。
 経済の高度成長にともなって中国は鉄スクラップや古紙など再生資源の輸入が急拡大しているが、一方で再生資源の名目で廃棄物の輸入も増えているとされる。中国政府は危険な廃棄物の輸入を禁止するなど環境保護の規制を強化しているが、日本を含む先進国などで処理されなかった廃棄物の違法な流入があとを絶たない。

◎中国・青海省でM5.9の地震(2004年5月11日、産経新聞)
 新華社電によると、中国内陸部の青海省デリンハ市で11日午前7時27分(日本時間同8時27分)、マグニチュード(M)5.9の地震があった。震源地は同市中心部から西方60キロの地点で、負傷者など被害の程度は不明。
 同市周辺では2月と3月、さらに今月4日にもM5以上の地震が起きている。(共同)

◎中国、違法製鉄所で処分・鉄鋼余剰解消へ強硬姿勢(2004年5月9日、日本経済新聞)
 中国政府は違法な大型製鉄所の建設を認めた地方政府の幹部や融資した銀行の支店長らを一斉に処分した。政府は供給過剰が懸念される鉄鋼の工場新設を制限しているが、地方が独断で着工を認める例が後を絶たない。厳しい措置により景気過熱を回避するための強い姿勢を示した形だ。
 処罰されたのは江蘇省常州市の共産党委員会書記や同省発展改革委員会副主任、中国銀行常州支店長ら8人。解雇や党による厳重注意処分となった。
 問題となったのは民営企業、江蘇鉄本鋼鉄が常州市で計画した製鉄所プロジェクト。銀行融資などで集めた約100億元(約1300億円)を投じて年産840万トンという巨大工場をつくる構想で、昨年3月から工事が始まった。
 同プロジェクトは環境影響調査が十分でなかったうえ、土地使用などの手続きが完了しないまま、地元政府が工事の開始を認めた。(上海=湯浅健司)

◎中国:覚せい剤密輸の日本人に無期懲役の判決(2004年5月8日、毎日新聞)
 【北京・上村幸治】中国・遼寧省の大連市中級人民法院(地裁)が、覚せい剤約1キロを日本に持ち出そうとして逮捕された日本人会社経営者(50)に対し、4月28日に無期懲役の判決を言い渡していたことが分かった。北京の司法関係筋が7日に明らかにした。会社経営者は控訴するかどうかを検討しているという。
 会社経営者は昨年10月、依頼を受けて大連から日本に覚せい剤を運ぶ途中、大連空港で捜査当局に逮捕された。
 昨年、中国の瀋陽、上海、広州など6カ所の空港で日本人13人が覚せい剤を持ち出そうとして、それぞれ逮捕されている。このうち、瀋陽空港で逮捕された60歳の無職男性は、覚せい剤約1.25キロを持ち出そうとして、今年2月に瀋陽市中級人民法院で執行猶予のつかない死刑判決を言い渡され、控訴している。
 今回の会社経営者は、同じような量の覚せい剤を運ぼうとしながら、無期懲役という判決を受ける形になった。死刑判決を受けた60歳男性は、誰から覚せい剤を受け取ったかすら知らなかったが、会社経営者はそういった点を公判で説明できた模様で、司法関係筋は「情状酌量の余地があると判断されたのではないか」と指摘している。
 一連の事件では、60歳代と40歳代の無職男性が昨年7月に大連空港で同容疑で逮捕されながら、まだ判決が出ていない。

◎覚せい剤密輸の日本人男性に無期懲役の判決、中国・大連(2004年5月8日、朝日新聞)
 日本人男性が覚せい剤約1キロを中国・大連から日本へ運び出そうとしたとして麻薬密輸罪に問われ、中国遼寧省の大連市中級人民法院(裁判所)から無期懲役の判決を受けていたことが7日、わかった。
 瀋陽の日本総領事館などによると、男性は東京都内に住む50代の会社経営者。昨年10月1日、大連空港で覚せい剤997.8グラムを所持しているのが見つかった。男性は商用で大連を訪れた際、中国人男性からかばんを日本に運んでほしいと頼まれ、その中に覚せい剤が入っていた、と話しているという。4月28日に判決が出され、現在、控訴を検討中。
 中国では2月、遼寧省瀋陽市中級人民法院で、覚せい剤1.25キロを運び出そうとしたとして、別の邦人男性が死刑判決を受けている。

◎中国進出企業に大手4行が“争奪戦”、支店増設や機能強化、支援ビジネスに注力(2004年5月7日、産経新聞)
 中国市場へ進出する日本企業をサポートしようと大手四銀行の競争が激化している。各行とも国際金融センターに成長しつつある上海に機能を集中。資金決済や債権回収、金融派生商品(デリバティブ)業務などを拡充している。バブル崩壊後、大手銀行は海外撤退が相次いだが、中国は別格。「日本と地続きのつもり」(首脳)という力の入れようだ。(渡辺浩生)
 四大銀行の中国での営業網は現在、七都市に合計十八支店。駐在員事務所を合わせると三十一拠点に上る。だが、各行とも国内大手メーカーの工場移転の動きに合わせ、それぞれ支店の増設を申請中だ。メーカーの進出とともに部品などの下請け企業も追随し、銀行にとっては取引先拡大の好機となるからだ。
 例えば、トヨタ自動車が工場建設に乗り出すなど自動車産業集積地で「中国のデトロイト」と呼ばれる広州市では、現在支店を持つのは三井住友銀だけだが、東京三菱銀が支店出店を申請中。同様にみずほコーポレート銀は無錫に、UFJ銀は蘇州へ出店を申請している。
 また進出企業の半数以上を飲み込む最大の成長地域である上海には、「ニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融センターになる」(斎藤宏みずほコーポレート銀頭取)と、調査や市場部門の人材、機能の集約を進めている。
 中国の世界貿易機関(WTO)加盟後、外資系の銀行業務は、個人向けを含む人民元業務が全面解禁される二〇〇六年に向け段階的な開放が続く。「顧客は進出先の店舗の有無やサービスの中身でメーンバンクを乗り換える」(中国担当者)だけに、各行とも支援ビジネスに知恵を絞る。
 顧客から確実な資金決済を求められていることから、三井住友銀は中国人民銀行(中央銀行)が構築する国内電子決済システムに参加し、決済情報をリアルタイムで提供できるよう注力。みずほは日本企業にとって悩みの種の地元取引先からの資金回収を円滑にするため、二月に、中国企業と人民元取引が可能な免許を取得、日本企業が現地企業に対して持つ売掛金を買い取り、転売する債権回収業務に乗り出した。
 商習慣や法律、規制の違いから生じるさまざまなトラブル解決や相談も重要な仕事だ。UFJ銀は、上海に進出した会計、法律事務所や人材派遣、物流などの現地法人と提携、顧客企業から本業以外の現地業務の外部委託を一括して引き受ける総合相談サービスに近く乗り出す。
 今年三月には四大銀行が上海支店でのデリバティブ業務の免許を一斉に申請。認可されれば、人民元・外貨建ての為替先物など高度な金融サービスの提供も可能になるという。

◎炭鉱でガス爆発、35人死亡、中国(2004年5月1日、産経新聞)
 1日の新華社電などによると、中国山西省臨汾市の炭鉱で30日、ガス爆発事故が発生、35人が死亡、1人が行方不明となった。
 炭鉱当局者によると、事故発生時、現場では49人が作業中で、13人は自力で脱出した。
 臨汾市が行方不明者の救出に全力を挙げるとともに、詳しい事故原因を調べている。(共同)

◎中国の短距離弾道ミサイル500基以上、米高官が証言(2004年4月23日、朝日新聞)
 ローレス米国防次官補代理(東アジア・太平洋担当)は22日、米議会上院外交委員会の小委員会で証言し、中国が沿岸部に配備している短距離弾道ミサイルが現段階で500~550基に達し、いずれも台湾に向けられているとの見方を明らかにした。中国軍はアフガニスタンやイラクにおける米軍の作戦から、無人偵察機の利用や地上の特殊部隊と連携した空爆などの効果を「学習しているようだ」とも述べ、警戒感を示した。
 ローレス次官補代理は、中国の国防費は公表されている数字の2~3倍の「500億~700億ドル」との見方を改めて示し、中国軍は短距離弾道ミサイルを質、量ともに増強していると指摘。空軍も従来の防衛型から、攻撃型の能力を強化しているとの見解を示した。
 また、91年の湾岸戦争以来、コソボでの軍事作戦やアフガン、イラクでの対テロ戦における米軍の作戦を観察し、近代戦にはスピードが欠かせないとの認識も深めつつあると指摘した。

◎中国、知的財産権の保護で行動計画、米中高官協議(2004年4月22日、読売新聞)
 【ワシントン=広瀬英治】アメリカと中国の経済閣僚などによる初のハイレベル通商協議が21日、ワシントンで開かれた。中国側は、米国が強く対応を求めていた知的財産権の保護問題について、国内の取り締まり強化などを盛り込んだ行動計画を提示した。
 中国が6月に予定していたパソコンなどに関する独自の無線暗号化規格について、採用の義務付けを延期すると表明し、米側に歩み寄った。
 サービス分野でも、外資系企業に対する輸出入などの貿易権を、予定より半年早めて7月から付与することを明らかにした。また、両国は、米国が中国を「市場経済国」と認定するかどうかを検討する作業部会を設置することで合意した。
 米国の対中貿易赤字の拡大を背景に、米中間の通商摩擦の激化が懸念されていたが、中国が対米通商関係の改善に努める姿勢が目立った。
 知的財産権に関する行動計画は、2004年末までに、模造品の製造など知的財産権の侵害に対する罰則を強化するとして、国内の監視体制や税関の強化などに取り組むことを強調した。
 この日の協議は、2003年12月の米中首脳会談での合意に基づき、従来の両国間の商業・貿易委員会(JCCT)を格上げする形で行われた。米国はドン・エバンズ商務長官、ロバート・ゼーリック米通商代表部(USTR)代表、アン・ベネマン農務長官ら、中国は呉儀副首相、薄煕来商務相らが出席した。

◎日本人経営者に罰金、「女体盛り」で中国衛生当局(2004年4月21日、産経新聞)
 20日付香港紙、星島日報によると、中国雲南省昆明市で裸の女性にすしなどを乗せて食べる「女体盛り」を提供した日本懐石料理店に対し、地元衛生当局はこのほど2000人民元(約2万6000円)の罰金を科した。地元メディアの報道として伝えた。
 当局は店のサービスが「婦女権益保障法」などに違反すると判断。社会道徳にもとり女性差別につながるなどとして、今後同種のサービスを提供しないよう命じたという。
 同店の経営者は日本人で、今月2日「美女人体盛宴」として女子大生2人の体にすしなどを乗せて客に提供したが、直後に市民の反発を受け、当局に中止を命じられた。(共同)

◎化学工場爆発:死者行方不明者9人に、中国・重慶(2004年4月17日、朝日新聞)
 【北京・大谷麻由美】中国・重慶市内の化学工場で16日に起きた爆発・塩素ガス漏れ事故で、中国国営新華社通信によると、同日夜までに、工場の社長や従業員計9人が死亡したか、行方不明であることが分かった。避難していた工場周辺に住む約15万人のうち、工場付近の住民約3万人がテントで夜を明かし、約12万人が帰宅した。
 関係者の話によると、15日午後7時ごろに工場の配管に穴が見つかったため緊急処置をしていたところ、16日午前2時ごろ1回目の爆発が起きた。同日昼ごろから周辺住民の避難が始まったが、同日午後6時ごろに2度目の爆発が起きたという。

◎中国・重慶の化学工場で塩素ガス漏れ、死亡・不明9人(2004年4月17日、朝日新聞)
 中国国営新華社通信は17日、中国西南部の重慶市江北区にある重慶天原化学工業工場で15日夜、塩素ガスの流出事故が起き、これまでに死者・行方不明者が9人にのぼったと伝えた。有毒ガスの流出で被害が拡大する恐れもあり、同市当局は、現場から半径1キロ以内の住民計約15万人に対して避難を呼びかけた。
 同通信によると、15日午後7時(日本時間同8時)ごろ、工場からガスが漏れ始め、さらに翌16日未明と夕方に2回にわたって爆発が起きた。同工場内にある7カ所の塩素タンクからガスが漏れており、周囲約300メートル内の地域では、鼻をつくような強いにおいが漂っているという。

◎中国の電力供給制限、3省除き全土に、工業活況で需要増(2004年4月11日、朝日新聞)
 中国の電力部門などによると、今年1~3月に電力供給制限を実施した地域は、新疆ウイグル自治区、海南省、東北地区3省を除く全国に及んだ。今年の電力不足は3千万キロワットに達するとみられていて、日本の関西電力の発電能力にほぼ相当する。電力不足は今年がピークで、来年以降は新たな発電所の増強でいくぶん緩和される見通し。
 1~3月の電力消費量は約4800億キロワット時で、前年同期に比べ16.4%も増えた。工業生産の伸びが主な原因で、中でも鉄鋼、アルミなど電力多消費型産業の活況が影響している。上海周辺など沿海地域では需要急増による電力不足が発生しているほか、内陸部では水不足により発電量が前年より6~8割も落ち込む水力発電所が続出した。各地域とも工場の休日を振り替え、電力消費のピークを抑える措置をとるなどの対応策をとっている。

◎東芝がパソコン生産を中国に集約、年300万台体制に(2004年4月9日、日本経済新聞)
 東芝は来春をめどに日本、中国、フィリピンに分散しているノート型パソコンの生産を中国に集約する。中国・杭州工場の生産能力を年300万台に倍増し、大幅なコストダウンを進める。米デルなどパソコン大手は一斉にコストの安い中国生産を強化、東芝も思い切った集約で競争力向上と収益改善を狙う。中国はパソコンをはじめ主要な情報機器で最大生産国になっており、中国を軸に生産体制を組み直す動きが広がりそうだ。
 東芝の2003年度のパソコン出荷台数は約450万台、売上高は6900億円を見込む。この全量がノート型で、世界3位のシェア(12.4%)を握る。ただコスト改善の遅れで、パソコン事業は前期265億円の営業赤字になる見通し。生産集約で抜本的なコスト削減を進め、黒字体質を確立、主力事業として維持する。

◎中国の日本料理店で「女体盛り」、衛生庁が停止命令(2004年4月7日、読売新聞)
 【北京=藤野彰】中国紙「北京青年報」の6日までの報道によると、中国雲南省昆明市で、懐石料理を看板に掲げる日本料理店が、女子大生を雇い、素肌にすしや刺し身を直接盛りつける「女体盛り」サービスを始めたところ、地元衛生当局が「女体は容器ではなく、食品衛生上問題がある」としてサービスの停止を命じる事件があった。
 この料理店はさる2日、「身長1メートル70以上で、色が白く、スタイルのいい」女子大生2人を雇い、初の「美女人体盛宴(女体盛り)」を披露。開始前、2人には30分以上シャワーを浴びさせ、さらに氷室で体温を下げるなどの準備をさせたという。店の責任者は「実際の状況を考慮して全裸にはしなかった」としている。
 しかし、女性が人前で裸体をさらすことがタブー視されている中国では「女体盛り」は前代未聞の珍事とあって、メディアの取材に地元市民らは「女性をべっ視している」などと反発。問題を聞きつけた雲南省衛生庁が立ち入り調査に乗り出し、5日、同店に「女体盛り」の停止を命じた。衛生庁では今後、罰金などを含めた処罰を検討するという。

◎昨年の死刑執行、中国がトップ、アムネスティ報告書(2004年4月7日、産経新聞)
 世界の28カ国で昨年、分かっているだけで1146人が死刑を執行され、国別では中国がトップ、イラン、米国がこれに続くことが6日、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルがまとめた報告書で分かった。
 報告書によると、中国では昨年、726人に死刑が執行された。イランは108人、米国は65人で、ベトナムの64人、サウジアラビアの50人と続いた。
 日本については、少なくとも1人に対して死刑が執行されたとしている。
 アムネスティは、中国が薬物注入による死刑を執行する「移動処刑車」を18台導入し、即決裁判で処刑を強行していると非難した。
 また「テロとの戦い」に名を借りた少数派や反政府勢力に対する弾圧が中国やモロッコで顕著になり、モロッコでは反テロ法に基づく死刑言い渡しが16件あったと指摘している。(共同)

◎中国、貿易額で世界第4位・03年世界貿易統計(2004年4月6日、日本経済新聞)
 【ジュネーブ=清水真人】2003年の中国の貿易額が日本にほぼ匹敵する規模になった。世界貿易機関(WTO)が5日発表した貿易統計によると、モノの輸出入額は世界第4位、輸入額だけを見ると米独に次ぐ同3位に浮上した。安価な労働力による工業生産の急増や内需拡大をテコに「貿易大国」入りを果たした格好だが、同国は市場開放など通商交渉の焦点にもなっている。一方、世界全体の貿易はモノの輸出額が前年比で16%増え、1995年以来の高い伸びを記録した。
 中国のモノの輸入額は前年比40%増の4128億ドルで、フランス、英国、日本などを抜き初めて上位3位入りした。同輸出額(ドル換算)は同35%増の4384億ドル。貿易総額は3位の日本に肉薄する8512億ドルとなった。中国の貿易が拡大した最大の要因は世界の有力メーカーの工場進出だ。直接投資額は2002年に世界一の米国向けとほぼ並び、エアコンやカラーテレビ、DVD(デジタル多用途ディスク)プレーヤーなどの生産量で世界一になった。日本や東南アジアからの電子部品の対中輸出が急増し、完成品は日本や米国市場に輸出されている。

◎ゲームで徹夜、線路で熟睡、2中学生死亡、中国・重慶(2004年4月2日、産経新聞)
 1日の新華社電によると、中国内陸部の重慶市で3月31日、インターネットゲームで遊び疲れて鉄道のレール上で寝ていた中学1年生の男子2人が列車にひかれ死亡した。一緒にレール上で休んでいた別の男子1人は列車に気付き助かった。
 3人はインターネットカフェで2、3日間徹夜してコンピューターゲームをした後にレール上で休息。そのまま寝込んでしまったらしい。
 3人の通う中学がある農村には、1年ほど前にネットカフェが開業。登校せずに入り浸る生徒が相次ぐなど問題になっていたという。(共同)

◎対中貿易、単月で10年ぶり黒字、中国の内需の強さ反映(2004年3月25日、朝日新聞)
 2月の対中国貿易収支が、約10年ぶりに黒字に転じた。財務省が25日発表した貿易統計(速報)によると、日本から中国への輸出は5902億円、中国からの輸入は5765億円で、差し引き137億円の貿易黒字となった。最後に黒字だった94年3月は、大型船舶の輸出があって一時的に黒字化したが、赤字基調は87年半ばから続いており、実質的には約17年ぶりの黒字転換だ。
 日本向けの安価な製品輸出が急増して、一時は脅威論が強まった中国だが、最近は「世界の工場」として部品や素材を中心に日本からの輸入が膨らんでいる。
 高成長が続く中国の内需は強く、日本からの輸出は02年1月から連続で前年同月比プラスとなり、ほぼ2けた増の高い伸び。08年の北京オリンピック開催に向けた道路や橋などのインフラ投資で、日本からは鉄鋼や建設用機械の輸出の増加が目立つ。半導体部品や液晶なども好調だ。
 一方、輸入も02年4月から増加が続くが、伸び率は輸出より低い水準にとどまっている。
 対中貿易で赤字傾向が定着する前の87年2月の貿易黒字は172億円と今年2月とほぼ同じ水準。しかし、輸出額は904億円と6分の1ほどで、急増してきた輸出が今後さらに伸び続けた場合、貿易黒字は一段と増加する可能性がある。
 国際金融情報センターの石井久哉アジア第1部長は、「世界貿易機関(WTO)加盟による市場開放の浸透などで中国は今年、輸入が急増し経常赤字となる可能性もある。日本の対中貿易も黒字傾向が続きそうだ」という。

◎中国フィルム大手の楽凱、2003年度純利益36%減(2004年3月16日、日本経済新聞)
 【上海=川瀬憲司】中国の大手写真フィルムメーカー、楽凱膠片(ラッキー、河北省保定市)が16日発表した2003年度決算によると、純利益は前の年度に比べ36%減の8000万元だった。密輸の横行で販売価格が下落したうえ、デジタルカメラに押されて、カラーフィルムの需要が落ち込んだためという。
 楽凱の売上高は同5%減の5億6400万元、営業利益は同34%減の9500万元だった。
 同社は同日、米イーストマン・コダックの出資手続きが完了したと発表した。コダックは発行済み株式の13%を保有する第2位株主となった。両社は昨年10月、コダックが株式取得の見返りに、現金約1億ドルと生産設備・技術を供与することで合意している。

◎中国人1100人の不法入国仲介、架空証明書使い手数料稼ぐ(2004年3月14日、産経新聞)
 東京都内で日本語学校を実質経営する会社社長、吉田勝則被告(56)=偽造有印公文書行使罪などで公判中=が、架空の「就学」や「技能」の証明書を発行して数年間で少なくとも中国人約1100人の不法入国を仲介したことが14日、埼玉県警などの調べで分かった。
 県警は、中国国内にあっせん組織があるとみて、実態解明のため、警察庁を通じて中国当局に捜査協力を要請。吉田被告が手数料数億円を稼いでいたとみている。
 調べでは、吉田被告は昨年11月、知人の中国人男性の在留資格延長手続きで、東京入国管理局に偽造書類を提出したとして逮捕された。
 県警はその際、法人を含め中国人関係者計約8000件の名簿や偽造書類作成用の印鑑約800本を押収。就労目的なのに日本語学校への入学許可証を発行したり、調理技術の証明書を偽造して料理店のコックとして雇わせたりして、吉田被告が中国人を継続的に受け入れていたことが判明した。
 これまでに不法入国させたのは「就学」資格で約800人、「技能」資格で約300人に上り、在留資格の更新手続きも代行していたという。

◎中国人1100人の不法入国仲介・日本語学校経営者(2004年3月14日、日本経済新聞)
 東京都内で日本語学校を実質経営する会社社長吉田勝則被告(56)=偽造有印公文書行使罪などで公判中=が、架空の「就学」や「技能」の証明書を発行して数年間で少なくとも中国人約1100人の不法入国を仲介したことが14日、埼玉県警などの調べで分かった。
 県警は、中国国内にあっせん組織があるとみて、実態解明のため、警察庁を通じて中国当局に捜査協力を要請。吉田被告が手数料数億円を稼いでいたとみている。
 調べでは、吉田被告は昨年11月、知人の中国人男性の在留資格延長手続きで、東京入国管理局に偽造書類を提出したとして逮捕された。
 県警はその際、法人を含め中国人関係者計約8000件の名簿や偽造書類作成用の印鑑約800本を押収。就労目的なのに日本語学校への入学許可証を発行したり、調理技術の証明書を偽造して料理店のコックとして雇わせたりして、吉田被告が中国人を継続的に受け入れていたことが判明した。〔共同〕

◎中国、台湾近くへ軍配備か・香港紙報じる(2004年3月14日、日本経済新聞)
 【香港14日共同】14日付の香港紙、星島日報は北京の消息筋などの話として、中国人民解放軍が20日投開票の台湾総統選をにらみ、台湾に近い福建省に兵士や武器の大量配備を始めたと報じた。
 同紙によると、江沢民中央軍事委員会主席が11日の会議で関係部署に対し、総統選に絡む有事に備えて出動態勢を整えるよう命令。福建省には重装備を運ぶトラックなどが続々と入り、兵士は休暇を取り消し部隊内で待機するよう命じられたという。

◎中国、物権法や破産法を年内に制定(2004年3月10日、日本経済新聞)
 【北京=飯野克彦】中国の全人代の呉邦国常務委員長は10日、「物権法」「企業破産法」「緊急事態法」などを年内に制定する方針を示した。物権法の制定は、憲法改正で私有財産の保護規定が強化されるのを踏まえた措置。企業破産法は既に存在するが、1980年代に施行した試験的な法律で不備が目立ってきたため、より本格的な法律を制定する。
 対外貿易法や公司(会社)法、証券法などの経済関係の法律も一部改正し、世界貿易機関(WTO)加盟と市場経済化の進展に対応した法体系の整備を進める。緊急事態法の制定は、憲法改正で「戒厳令布告」が「緊急事態突入宣言」に改められるのを踏まえる。社会的、政治的な騒乱だけでなく、昨年の新型肺炎(SARS)のような感染症の大流行や大規模な自然災害、経済危機などへの対処も想定する見通し。

◎中国:死刑など182件、初の統計発表(2004年3月10日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国の肖揚・最高人民法院院長(最高裁長官)は10日、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)に活動報告を行い、2003年に前年比16.3%増の300件の死刑許可・刑事再審案件を審査し、182件の原判決を維持したことを明らかにした。大部分に死刑が執行されたとみられる。中国が死刑執行に関する統計を発表するのは初めて。死刑執行の透明性を求める国際世論に配慮した模様だ。
 一方、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部・ロンドン)は、02年に少なくとも31カ国で1526人に死刑が執行され、うち中国では3分の2の1060人が執行されたと指摘している。今回の中国側統計は、この数字を大きく下回るが、それでも全体の1割程度になる。
 中国(香港を含む)では昨年1年間に9件13人の日本人が麻薬を中国から日本に密輸しようとした容疑で拘束された。瀋陽市中級人民法院(地裁)は今年2月3日、うち1人に初めて執行猶予がつかない死刑判決を言い渡し、現在、被告が控訴している。
 報告によると、最高人民法院は昨年1年間で、高級人民法院(高裁)から送られた300件のうち、94件の判決を変え、24件を下級裁判所に差し戻した。中国の刑事訴訟法は「死刑は最高人民法院の許可を受ける」と定めており、被告が控訴しない場合も許可が必要になる仕組みだ。
 肖院長は死刑判決の罪状について「麻薬、密輸、金融詐欺、汚職、賄賂など」と指摘。さらに「罪状が極めて重く、社会に極めて大きな危害を与えた犯罪分子には、断固として法律に基づき死刑許可を出した」と説明している。

◎リコーが中国市場に本格参入、カラー複写機など売り込み(2004年3月10日、朝日新聞)
 事務用機器大手のリコーは9日、主力製品の複写機などの分野で中国市場に本格参入し、5年後の08年度までに中国での年間売上高を03年度見込みの5倍となる1000億円を目指す、と発表した。これにより、08年度の連結売上高の目標値を03年度見込み比46%増の2兆6000億円に設定。中国市場の開拓を足がかりに成長戦略を描く方針だ。
 リコーは昨年、中国の拠点を整理・統合し、事業全般を統括するための新会社を上海に設置。今後、販売会社を約50社まで倍増させて販売網を整備する計画だ。企業の情報化が進んでいることから、カラー複写機などの需要が高まると見て、積極的に売り込む。03年度の中国での売り上げ見込みは約200億円にとどまるが、桜井正光社長は「新興市場での地位を確立したい」という。
 業界では、大手各社が中国進出を急いでいる。キヤノンはアジア地区のマーケティング機能を香港から北京に移し、着実に市場拡大を図る。富士ゼロックスは複写機の生産拠点を05年内に全面的に上海に移転する。コニカミノルタは、中国の現地企業と軽印刷事業で提携し、高速複写機の販売を強化する。

◎SARS暴露の中国軍医師、天安門事件の再評価求め書簡(2004年3月9日、朝日新聞)
 信報など8日付の香港紙は、89年の天安門事件当時に北京の軍病院で外科主任だった蒋彦永医師が、同事件を「反革命動乱」とみなす中国当局の評価を改めて「学生愛国運動と呼ぶべきだ」と主張する書簡を、温家宝(ウェン・チアパオ)首相と呉邦国(ウー・パンクオ)全国人民代表大会常務委員長らにあてて提出した、と報じた。蒋医師は今も軍に所属し、新型肺炎SARSが流行した昨春、米週刊誌に北京市当局が多数の感染者を隠していると暴露した。
 書簡で蒋医師は、天安門事件当時の学生たちは政治腐敗に抗議する正義の要求を掲げており、市民の支持も得ていた、との見方を示した。武力鎮圧は「少数の腐敗した指導者層が戦車や機関銃で弾圧を加え、数百人の青年が死亡、数千人が負傷した」と指摘している。
 そのうえで「党の誤りは自ら解決すべきで、解決は早く、徹底的であるほどよい。事件の再評価は民心にかなっており、社会を乱すことはない」と記した。
 このほか蒋医師は、98年に事件当時の軍の実力者楊尚昆元国家主席と会った際、楊氏が「事件はわが共産党が犯した歴史上最悪の誤りだ。将来(事件への評価を)正さなくてはならないだろう」と述べたことを明らかにした。

◎中国船の違法調査急増、潜水艦航路開拓?(2004年3月9日、読売新聞)
 中国の海洋調査船が日本の排他的経済水域(EEZ)内の太平洋上で違法な調査活動を行うケースが今年に入って急増し、8日現在、すでに11件にのぼることが防衛庁の調べでわかった。
 中国船による日本EEZ内での違法な海洋調査活動は、昨年1年間で8件だった。最近で最も多かった1999年も1年間で33件で、今年はこれを上回るペースとなっている。しかも、調査が海底資源探査と無関係の海域で続いているため、防衛庁では、中国が潜水艦の航路を開拓している可能性もあると見て警戒を強めている。
 海上自衛隊第4航空群(神奈川・厚木基地)所属の哨戒機P3Cが、小笠原諸島・西之島の西約270キロの海域で中国国家教育部所属の海洋調査船「東方紅2号」(排水量3235トン)を今年初めて発見したのは2月17日で、同船は海中に音波を発信していた。2月29日、3月2、3、4日にも、沖ノ鳥島北方の日本EEZ内で同様の調査を行っていた。
 外務省が今月2~4日にかけて3度、在京中国大使館や北京の外交ルートを通じて中国政府に調査活動の中止を求め、「東方紅2号」は西方へ移動した。しかし、7日に再び南大東島の東約310キロの海域で海中に音波を発信しているところを海自機が確認した。
 また、1月2日から19日にかけては、中国国家海洋局所属の調査船「向陽紅14号」と「向陽紅9号」が、石垣島南東海域や沖ノ鳥島北方海域で計5度、違法な調査活動を行っていた。
 EEZ内では、沿岸国が資源開発や海洋調査について主権的権利を持ち、他国が海洋調査を行うには、6か月前までに沿岸国に申請し、承認を得ることが国連海洋法条約に定められている。中国は今回の調査について日本側に申請をしておらず、調査活動そのものが条約違反となる。
 同海域は水深5000メートル前後で、一帯を航行する他船舶の動きをとらえやすい戦術的要衝と見られている。このため、「台湾有事に備える中国にとっては、潜水艦を展開し、米軍や海自の艦船の動きをとらえるのに適した海域」(防衛庁関係者)で、収集したデータは軍事的な利用価値も高いと見られている。
 竹内行夫外務次官は8日の記者会見で、中国の海洋調査船による違法な調査活動について、「より厳格に取り組む必要がある」と述べた。

◆排他的経済水域(EEZ)
 1994年に発効した国連海洋法条約は、領海に接続する海域で、領海の幅を定める直線基線から200カイリ(約370キロ・メートル)以内の水域を沿岸国のEEZと定めた。96年に日本が制定した「排他的経済水域及び大陸棚に関する法律」にも同じ規定がある。中国も同年、条約を批准した。
 EEZ内では、〈1〉海中、海底、その下にある天然資源の探査、開発、管理〈2〉人工島や構築物の設置〈3〉海洋の科学的調査〈4〉環境保護――などについて沿岸国が主権的権利を有する。一方、沿岸国でなくても、船舶による航行、海底電線・パイプラインの敷設などの自由は、すべての締約国に認められている。

◎東工大、中国の清華大と大学院教育で提携(2004年3月8日、日本経済新聞)
 東京工業大学は8日、中国の清華大学と大学院教育で提携、両大学の修士号を同時に取得できるよう制度をつくったと発表した。日本の大学が海外の大学とこうした取り決めをするのは初めて。日本企業の中国進出が拡大するなか、両国の大学で学んだ人材が一段と求められると判断した。
 東工大は提携に合わせ、ナノテクノロジー(超微細技術)とバイオテクノロジーの二コースを、清華大の要望を受けて新設。両コースは定員各10人程度。「どちらの大学の修士号も正規に取得した場合と同じ扱いになる」(東工大の下河辺明副学長)という。清華大は中国でトップ級の大学で、政府の要人を多く輩出している名門大学。
 受講するには東工大の大学院とコースの両方の試験に合格することが必要。最初の1年間は清華大で受講、次の1年間は東工大で受講し研究論文を提出。その後、再び清華大で半年受講して論文が認められると、両大学の修士号を取得できる。

◎中国憲法改正案:「私有財産の不可侵」を明記、14日に採択(2004年3月8日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】中国の第10期全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は8日の会議に「私有財産の不可侵」を明記するなど14項目の憲法改正案を提案した。中国の憲法改正(82年施行)は99年以来5年ぶり4回目。最終日の14日に採択される。中国は冷戦後、社会主義制度下で市場経済化を加速させてきたが、私有財産保護の憲法明記で経済面では西側資本主義諸国に準じた法制度を整えることになる。
 改正案は、現行憲法が規定する「国家は公民の合法的財産の所有権を保護する」を「公民の合法的な私有財産は侵されない」に改める。趣旨説明に立った王兆国・全人代副委員長は「わが国の改革・開放以来、個人財産が増加し、法律による保護要求が切迫している」と述べた。
 中国憲法は前回改正で、改革・開放政策で活性化した民間経済を「公有制経済の補完」から「社会主義市場経済の重要な要素」に格上げした。この際も全人代代表(議員)らから私有財産権保護を求める声が上がったが条件が整わず、改正を見送っていた。
 今回改正は中国の経済発展をけん引する民営企業家らの要請に応えたものであり「神聖不可侵」と定めている公有財産に近い地位を、私有財産にも与える内容になる。土地や私有財産の徴集・収用に対する国家補償も合わせて定められており、補償関連法の策定など私有財産の具体的な保護規定につながる見込みだ。
 また改正案は序文(前文)に、江沢民前国家主席が提唱した「『三つの代表』重要思想」を明記し、毛沢東思想、トウ小平理論と並ぶ国家指導指針と位置付けた。さらに「人権の尊重と保障」「社会保障制度の構築」も条文に入れ、弱者への配慮を示した。こうした人権規定が中国の政治改革につながるかどうか注目される。
 今回の憲法改正案は一昨年秋の第16回中国共産党大会で決まった方針に基づき、昨年3月から呉邦国・全人代常務委員長をトップとする憲法改正指導グループが草案を検討。昨年12月に党提案として全人代常務委員会に草案が示された。改正案は3分の2以上の代表の賛成で可決される。
 中国憲法の改正案骨子は次の通り。(中国総局)
・国家指導指針として江沢民前国家主席の「三つの代表」重要思想を追加(序文)
・土地の徴集・収用に対する補償を追加(10条)
・「(国家は)非公有制経済の発展を励まし、支持する」と追加(11条)
・合法的な私有財産の不可侵と徴集・収用への補償を明記(13条)
・「経済発展レベルにふさわしい社会保障制度の確立」を追加(14条)
・「国家は人権を尊重し、保障する」を追加(33条)
・国家主席の職権である「戒厳令の発布」を「緊急事態突入の宣言」に改変(80条)
・国家主席の職権に「国事行為」を追加(81条)

◎中国国防費、13%の伸び、初めて2千億元突破の見通し(2004年3月6日、朝日新聞)
 中国の04年国防費の伸び率が、兵器のハイテク化などを反映し、2年ぶりに前年比10%台に上ることが明らかになった。総額も2100.2億元(1元=13円)と、初めて2000億元台を突破する見通しだ。
 全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で金人慶財政相が6日に提出する04年予算案は、通常発表する国防費の総額を示していないが、前年支出(実績)に比べ218.3億元、11.6%増えたと記述。これをもとに総額を計算し、前年の当初予算と比べると、伸び率は13.3%となる。
 中国の国防費は89年から02年まで続けて10%以上の伸びを維持し、03年は9.6%だった。国防費の総額は、02年を除いて、予算案の中で明記していた。軍事支出の総額すら明示しない不透明な態度は他国の警戒感を呼びそうだ。
 国防費増加の理由として、予算案では「ハイテク条件下での防衛作戦能力の向上」と「軍関係者の給料の調整と退職金支出によるもの」と言及。人民解放軍は05年までに現在の約230万人から20万人削減する計画で、退職者の増加も影響しているとみられる。
 ただ、装備費への配分も強まっていることは確かだ。江沢民中央軍事委主席は軍の人員削減について「限られた戦略資源を集中させ、軍の情報化の加速に役立つ」と述べ、軍事情報の伝達手段の電子化を進めるための措置だと説明。解放軍高官も、削減対象は主に陸軍(約160万人)だと明らかにしている。
 この方針のもと、海軍は最新レーダー搭載の駆逐艦整備、空軍はロシアから最新鋭戦闘機の購入などを進める。日米のミサイル防衛(MD)構想に対しては「戦略バランスが崩れ、新たな軍備競争を起こす懸念もある」(曹剛川国防相)との見解を示すと同時に、対抗策としてミサイルの多弾頭化の研究・開発にも力を入れている。

◎違法薬物事件、中国で昨年6万3千人摘発(2004年3月1日、読売新聞)
 【北京=竹腰雅彦】中国公安省の羅鋒次官は1日、記者会見し、中国で昨年、麻薬などの違法薬物事件が9万4000件に達し、6万3700人を摘発、ヘロイン約9.5トン、覚せい剤約5.8トン、合成麻薬のMDMA(通称・エクスタシー)約41万錠を押収したと明らかにした。
 羅次官によると、昨年の全国統計による麻薬使用者は105万人で、このうち35歳以下は約72%。中国メディアによると、近年、若者の合成麻薬使用や、都市部の失業者層と農村部での使用者増が顕著になっており、実際数は統計の数倍に上るとみられる。

◎佐川急便、中国で輸出入権を獲得(2004年2月28日、日本経済新聞)
 佐川急便は中国で、輸出入に伴う決済を代行できる「輸出入権」を取得した。同権を持つ中国企業に決済を委託する必要がなくなるため、顧客企業のコスト削減や輸送期間の短縮につながる。佐川は日中間の一貫輸送事業や国内の物流事業を強化する計画で、今後は決済代行を加えた総合サービスを顧客に提供できる。
 輸出入権を取得したのは佐川が中国保利集団(北京市)と折半出資で設立した保利佐川物流(広東省深セン市)で、3月から決済代行を始める。保利佐川が支店開設を計画している北京、天津、上海、広州(広東省)、大連(遼寧省)、青島(山東省)の六都市でも、7月をめどに決済を含む一括受託サービスを始める計画。
 中国政府は輸出入権を持つ貿易公司などに貿易に伴う決済を限定している。一部の大手メーカーを除きほとんどの進出企業は輸出入権を持っておらず、地方ごとにある貿易公司に輸出入額の3%程度の手数料を支払って決済を委託せざるを得なかった。

◎麻薬密輸事件:死刑判決被告の減刑嘆願書、中国に提出されず(2004年2月21日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】麻薬密輸事件で中国遼寧省の瀋陽市中級人民法院(地裁)から死刑判決を受けた福島県相馬市の無職、森勝男被告(61)=控訴中=の減刑嘆願書が中国側に提出されていないことが20日、分かった。森被告は今月10日、面会に訪れた瀋陽の日本総領事館担当者に嘆願書を書く意思を示したが、その後、担当者が同被告に面会していないため放置された形になっており、邦人保護業務のあり方が問われそうだ。
 同総領事館によると、担当の副領事が10日に森被告に面会した際、減刑嘆願書について説明した。森被告は、その場で嘆願書を書く意思を示したが、面会が約1時間と限られていたため書く時間がなかったという。副領事は毎日新聞の電話取材に、次回面会についても中国側に申請していないことを認め「次は3月上旬に面会に行くつもりだ」と語っている。
 中国の司法関係者によると、日本政府が水面下で減刑を働きかける際、本人の嘆願書が中国当局に届いていることが重要になる。中国は2審制で、森被告は遼寧省高級人民法院(高裁)の控訴審で死刑が確定、執行される可能性がある。中国の控訴審は、地裁判決から1カ月前後の短い期間に書面審理だけで刑が確定することもあり、早急な減刑嘆願が必要とされる。家族の嘆願書も有効だが、中国側に届いていない。
 10日の面会は、今月3日に森被告が死刑判決の言い渡しを受けて以降、初めてだった。同総領事館によると、副領事は面会で、森被告と控訴するかどうかを中心に話し合ったというが、14日の控訴手続き締め切りの直前だった。
 総領事館によると、被告が昨年7月30日に刑事拘束(逮捕に相当)された後、8月13日、9月5日、同29日、12月2日の4回面会していた。死刑言い渡しが予想される判決公判前、約2カ月にわたって面会に行っていなかったことも、問題になりそうだ。

◆外務省邦人保護課の話
 控訴プロセスについて現地の裁判所や弁護士から情報を収集しつつ、嘆願書提出のタイミングを計っている。われわれの業務怠慢ということではない。

◎中国、北朝鮮向け核処理液押収、昨夏、米の情報受け摘発(2004年2月21日、朝日新聞)
 中国政府が昨年夏、米政府からの情報をもとに、北朝鮮による核関連物質の輸入を阻止していたことがわかった。中国政府は、米政府が提唱した大量破壊兵器の拡散防止構想(PSI)への参加を見合わせているが、朝鮮半島の非核化に向けて水面下で連携している形だ。北朝鮮の最大の同盟国である中国が米国と組んで核の封じ込めに動いたことは、北朝鮮が核開発を進める上で大きな重圧になっているとみられる。
 この物質は、使用済み核燃料棒から兵器級プルトニウムを抽出する際に溶媒として使われるリン酸トリブチル(TBP)という液体。北朝鮮による核関連物質の調達の事実の一端が表面化したのも異例のことだ。
 米中関係にかかわる複数の米政府当局者によると、米中央情報局(CIA)は昨年夏、北朝鮮が大量のTBPを輸入しようとしているとの情報を入手。TBPを積んだコンテナを運ぶとみられる平壌行きの列車を調べ、外交ルートを通じて中国政府に通報、輸送を阻止するよう働きかけた。
 中国の捜査当局は、遼寧省の中朝国境の都市・丹東の駅でこの列車を止め、捜索した。米当局が指定したその列車からはTBPが見つからなかったが、同駅での捜査を続けたところ、後日、別の平壌行き列車のコンテナ内からTBPを発見、押収したという。
 この約半年前の02年12月、CIAは同様に、約20トンのTBPが中国から北朝鮮に輸入されるとの情報を事前に入手したが、米政府内で検討した結果、「中国の協力が得られる可能性は低いとの結論に達した」(米当局者)ため、通報は見送られていた。
 その後、北朝鮮は寧辺の核施設から国際原子力機関(IAEA)の査察官を追放し、使用済み核燃料棒を運び出すなど行動がエスカレート。危機感を募らせた米政府は再びTBP輸入の動きをつかんだ昨年夏、中国政府に知らせて行動を促す決定に転じた。
 中国政府はTBPの同国内での製造や輸出入を規制しているが、このコンテナは義務づけられている届け出がされていなかったという。コンテナを手配した業者や、TBPがどこから運ばれていたのかなどは明らかにされていない。
 核の拡散阻止をめぐる米中間の協力について、ボルトン米国務次官は16日、訪問先の北京で「PSIは組織ではなく、行動だ」と表明。中国の正式参加は必ずしも求めずに「情報交換などで連携を強化」「中国はPSIの参加国と同じ目的を共有している」などと評価する発言をしていた。
 中国政府は昨年2月にも、東北部から北朝鮮に燃料を供給するパイプラインを一時停止した。中国側は「技術的な理由」と説明したが、米政府などは、核問題で北朝鮮に自制を促す中国の圧力だったとみている。そのうえ核関連物質の輸入も妨げられたことで、北朝鮮は中国側の警告をくみ取り、その後の第1回6者協議の開催に応じた可能性もある。

・リン酸トリブチル
 無色無臭の液体。ウランやプルトニウムをよく溶かす性質を持つ。使用済み核燃料の再処理法のうち、欧米や日本で採用されているピューレックス法では、ウランとプルトニウムを他の核分裂生成物から分離する工程と、最後にウラン、プルトニウムをそれぞれ精製する工程で溶媒として使われる。使い切りではなく、何度も再利用される。
 原子力関係者によると、再処理に必要なリン酸トリブチルの量は工場の性能や工程によって異なるが、1日に数キロのプルトニウムを抽出できる規模の工場の場合、10トン前後は必要。プルトニウムは一般に、約8キロで原爆1個がつくれる。

・拡散防止構想(PSI)
 核兵器やミサイルなどの大量破壊兵器が他国やテロ組織に売買されるのを阻止するため、米と各国の間で取り決めを交わし、国際法上は難しい飛行機や船舶などの臨検も可能にする構想。昨年5月末にブッシュ米大統領がポーランドで演説し、世界に提案した。主に北朝鮮やイランの核・ミサイル輸出を念頭に置いている。現在、日・豪や欧州を中心に16カ国が参加し、不審船の臨検を想定した洋上演習などを行っている。

◎たばこの不始末が原因、中国・吉林省のビル火災(2004年2月19日、産経新聞)
 18日の新華社電によると、死者53人を出した中国吉林省吉林市の商業ビル火災は、ビル内の倉庫所有者の男性(35)のたばこの不始末が原因と分かった。地元警察はこの男性を拘束し、さらに詳しい事情を調べている。
 中国政府が現地に派遣した専門家は調査の結果、ビル2階の商店街の一角にある倉庫で、この男性が投げ捨てたたばこの火が可燃物に引火し、燃え広がったと断定した。
 ビルの1、2階は商店街で、100を超すテナントが入っていた。
 火災は15日、4階建て商業ビル「中百商厦」で発生、死者53人のほか負傷者68人を出す惨事となった。(共同)

◎中国の核技術、パキスタン経由でリビアに(2004年2月18日、産経新聞)
 米政府当局者は17日、パキスタンからリビアへの核拡散に関連し、中国の1970年代の核開発技術が、パキスタンを通じてリビアに流出していたことを明らかにした。
 リビアで見つかった核兵器の設計図など関係資料が中国から提供されていたと報じた米紙の報道を確認した。米国は核開発の完全放棄を表明したリビアから遠心分離機の機材や関連資料を大量に搬出、米国内で分析を進めている。
 当局者はまた、大量破壊兵器の拡散問題で今週訪中したボルトン国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)に対し、中国側が「拡散防止構想(PSI)の目的と原則を共有する」と表明したと言及。中国はPSIに未加盟国ながら、北朝鮮などへの拡散防止策として進める同構想に協力していく姿勢を確認したことを指摘した。(共同)

◎中国へ約100億円不正送金、警視庁、中国人を逮捕(2004年2月18日、産経新聞)
 中国へ不正送金する「地下銀行」を営んだとして、警視庁捜査3課は17日、銀行法違反(無免許営業)の疑いで、東京都豊島区、中国籍の日本語学校生、翁志飛容疑者(31)を逮捕した。調べに対し、「これまで約100億円を不正送金した」と供述しているという。
 調べでは、翁容疑者は昨年2月中旬-12月下旬、日本にいる中国人7人の依頼を受け、中国の家族らの銀行口座へ計1280万円を振り込み、手数料として約3万6500円を受け取った疑い。同課は平成11年10月から、計約37億円を不正送金していたことを確認している。
 平成14年12月に東京港から密入国し銀座の路上で逮捕された中国人52人の中に窃盗グループのメンバーがおり、見張り役だった女が翁容疑者の口座あてを含む大量の振込用紙を所持していたことから捜査していた。
 依頼人は飲食店従業員らで、大半は不法滞在者。捜査3課では依頼人宅への家宅捜索で盗難パソコン計4台を押収していることから、不正送金の中に盗品売買による収益が含まれている可能性が高いとみている。

◎無免許銀行業務で中国に100億円送金、中国人を逮捕(2004年2月18日、朝日新聞)
 無免許の銀行業務で中国に送金したとして、警視庁は17日、中国人の元専門学校生翁志飛容疑者(31)=東京都豊島区駒込6丁目=を銀行法違反(無免許営業)の疑いで逮捕した。「95年ごろからこれまでに約100億円送金した」と話しているという。
 捜査3課と万世橋署の調べでは、翁容疑者の直接の逮捕容疑は、銀行法上の免許を持っていないのに03年2月~12月、日本に住む中国人7人に頼まれ、指定された中国の受取人に12回計1280万円を送金し、手数料として3万6500円を受け取った疑い。
 あらかじめ中国の銀行口座に資金を置いておき、日本在住の客から依頼があるとその口座から中国の受取人に金を送り、後に送金金額と手数料を日本の自分の口座に振り込ませていた。振込先などとして国内に107口座、中国に14口座を開設していた。手数料は送金額の1%で、親しい人からは受け取っていなかったという。
 正規の手続きでは銀行に身分証明書を提示し、送金目的を明らかにする必要があるため、不法滞在者らが翁容疑者に依頼していた。押収した手帳などから、昨年6月~今年1月に2558件計約12億8527万円を送ったことが確認された。

◎中国、核ミサイル開発でサウジ・パキスタン支援か(2004年2月16日、日本経済新聞)
 【ワシントン15日共同】ロイター通信は15日、複数の米政府当局者の話として、中国が大量破壊兵器拡散防止を確約したにもかかわらず、依然、サウジアラビアの弾道ミサイルとパキスタンの核・弾道ミサイルの開発支援を続けている恐れがあると報じた。
 ロイター通信によると、同当局者は今週、北京を訪問するボルトン国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)と中国側との協議では、大量破壊兵器の「拡散防止構想」(PSI)への参加を要請するだけでなく、中国のサウジ、パキスタン支援も焦点になると語った。
 同当局者は、短期的にはイランと北朝鮮の大量破壊兵器拡散が大きな脅威だが、サウジがミサイル分野で中国の協力を得ていることへの懸念を示した。
 専門家らは、仮にサウジでイスラム過激派政権が誕生したり、サウジがイランの核兵器への脅威を感じたような場合、弾道ミサイル所有が厄介な問題となる恐れがあると指摘している。

◎日本人男性に中国で死刑判決、覚せい剤密輸容疑(2004年2月14日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国遼寧省の瀋陽市中級人民法院(地裁)は今月上旬、覚せい剤1.25キロを中国から日本に持ち出そうとして麻薬密輸罪で起訴された60歳代の日本人男性に対し執行猶予の付かない死刑判決を言い渡した。
 日中関係筋が14日、明らかにした。男性は同省高級人民法院(高裁)に控訴した。
 外務省邦人保護課によると、日本人が中国で執行猶予の付かない死刑判決を受けたのは初めて。刑が確定して執行されれば、海外で日本人が刑法犯として死刑に処される初のケースとなる。
 同筋によると、この男性は昨年7月、同省の大連空港から覚せい剤を所持して出国しようとしたところを拘束され、逮捕、起訴された。男性は公判で起訴事実を認めている。瀋陽の日本総領事館は中国側の通報を受けて、昨年7月以来、計5回にわたって領事館員を面会させ、事情を聴くとともに対応を話し合ってきた。弁護は中国人の国選弁護士に依頼している。男性の健康状態は良好だという。同筋は「刑の確定までに4~5か月はかかる」との見通しを示している。
 中国の刑法では、死刑判決にも執行猶予が付くことがあり、2年間の執行猶予中に故意に犯罪を犯さなかった場合は、無期懲役に減刑される。麻薬の製造、運搬、販売、密輸にかかわった罪は麻薬の種類によっても異なるが、ヘロインなどは最低50グラムから死刑になる可能性があるという。

◆暴力団や密売組織との接点薄い
 外務省邦人保護課によると、中国から覚せい剤を持ち出そうとして逮捕された日本人は、1999~2002年の4年間に2人しかいなかったが、昨年は上海、瀋陽、大連、広州など6空港で計14人に上った。そのほとんどが、暴力団や覚せい剤の密売組織との接点がなく、見知らぬ人物に数十万円程度の報酬で中国行きを頼まれたホームレスなどだった。
 このうち、昨年11月7日、上海空港の手荷物検査場で、約1.5キロの覚せい剤を隠し持っていたとして逮捕された20歳代の男性も、東京・新宿で暮らすホームレスで、公園で見知らぬ男に20万円で頼まれ、偽造パスポートや渡航費を渡されていた。

◎麻薬密輸で邦人に死刑判決、中国、ほかに11人拘束(2004年2月14日、産経新聞)
 中国遼寧省瀋陽市の同市中級人民法院(地裁)が2月3日に日本人男性の被告(61)に対し、覚せい剤1・25キロを日本に運ぼうとしたとして麻薬密輸罪で死刑判決を言い渡していたことが14日、分かった。関係者が明らかにした。
  日本人が中国で、執行猶予の付かない死刑判決を受けるのは初めて。男性は控訴しており、2カ月以内に二審が開かれる見通し。中国は二審制で、二審判決が出れば比較的早く執行される。死刑が実際に執行されると、日本人が海外で刑法犯として極刑に処される初のケースとなる。
 男性は昨年7月、遼寧省内の空港で覚せい剤を持ち出そうとして拘束された。
 中国では昨年、日本人が麻薬密輸容疑で拘束される事件が急増。現在、拘束中の日本人はこの男性を含め、大連、上海、広州、香港などで計12人に上る。背後に日本人を運び屋として利用する麻薬密輸ネットワークがあるとみられている。
 中国刑法では、麻薬の製造、販売、密輸は重罪で、量が1キロ以上の場合、無期懲役か死刑が一般的。他の日本人11人も1キロ以上の麻薬密輸容疑で拘束されており、同様に死刑判決が言い渡される可能性がある。
 北京の日本大使館幹部は「個別の事案についてはプライバシーの問題があり、答えられないが、家族からの(減刑などの)嘆願は法院に伝え、適宜、領事面会を行っている」と話している。
 中国では2001年9月、800グラムの麻薬を製造、所持して死刑判決を受けた韓国人男性に死刑が執行された。
 関係者によると、タイやフィリピンなどで過去に麻薬不法所持で日本人に死刑判決が出た例はあるが、実際に執行されたケースはないという。(共同)

◎覚せい剤密輸の罪で邦人男性に死刑、中国・瀋陽で判決(2004年2月14日、朝日新聞)
 中国・遼寧省瀋陽市の瀋陽市中級人民法院(地裁)が今月3日、覚せい剤1.25キロを中国から日本に運び出そうとして麻薬密輸罪で起訴された60歳代の日本人男性に対し、死刑判決を言い渡していたことがわかった。男性は同省高級人民法院(高裁)に控訴した。日本人が中国で、執行猶予のつかない死刑判決を受けるのは初めて。
 中国では麻薬密輸に絡んで日本人が逮捕されるケースが昨年以来急増しており、今後も厳しい判決が続く可能性もある。死刑が実際に執行されれば、日本人が海外で刑法犯として極刑に処される初のケースとなる。
 関係者によると、男性は昨年7月、遼寧省の大連空港から覚せい剤を身につけ飛行機に乗ろうとしたところを拘束され、逮捕・起訴された。地裁の公判で男性は、中身は麻薬だと知ったうえで持ち出そうとした事実を認めたという。
 瀋陽の日本総領事館は昨年7月以来、計5回にわたって男性と面会。男性は中国人の国選弁護人に弁護を依頼した。
 中国の刑法では、麻薬の製造、運搬、販売にかかわった場合、覚せい剤なら50グラムから死刑になる可能性があるなど、麻薬に関する規定が厳しい。一昨年、覚せい剤800グラムを中国から密輸しようとした韓国人男性は高裁で死刑判決が確定し、執行されたという。
 今回、男性に死刑判決が言い渡されたのは、日本人が旅行者を装って運搬する例が急増していることが背景にあるとみられる。関係者によると、昨年は中国(香港を含む)で13人が拘束された。それ以前には99年と01年の2人だけだった。
 うち01年に拘束された日本人男性は、覚せい剤1.8キロを韓国に持ち出そうとしたとして拘束・起訴され、02年に北京の地裁で無期懲役の判決を受けた。
 日本人が海外で死刑判決を受けた場合、外交ルートでは司法の独立の観点から減刑などの申し入れは行わないが、家族の減刑嘆願書などは相手国に伝える場合もある。

◎空から鳥1万羽が落ちて死ぬ、中国で、中毒死の可能性(2004年2月6日、朝日新聞)
 中国・江蘇省泰州市内で3日、飛んでいた大量の渡り鳥が空から落ちてきて死ぬ事態が起きた。5日付の上海紙の東方早報が伝えた。原因や鳥の種類は不明だが、地元当局は落下現場付近を立ち入り禁止とするとともに、死骸(しがい)の標本を調査機関に送って死因を調べている。
 報道によると、ある目撃者は3日午後1時ごろ、同市内を車で走っていたところ、空から突然何かが落ちてきたことに気づき、路上を見ると鳥が死んでいた。その後も鳥は次々に雨のように落ち、路上や農地は死骸で埋まった。数は1万羽以上にのぼるという。
 別の目撃者によると、鳥の形や大きさはスズメに似ているが、首と翼は黄色で、尾がスズメより少し長い。一群の渡り鳥は1日ごろから現場付近の上空を旋回していたという。現地の衛生当局者らが駆けつけ、死んだ鳥を集めて土中に埋めるなどの処理をした。死因は判明していないが、住民たちの多くは鳥インフルエンザによる感染死ではなく、中毒死の可能性が高いとみている。農業省によると、5日夜現在、江蘇省内では鳥インフルエンザの感染の確認も疑い例も報告されていない。
 江蘇省農林庁の専門家は「渡り鳥は集団生活しており、食べ物や水などに毒が混じったり、汚染されたりしていた場合、大量の鳥が死ぬケースは起こる」と話している。

◎中国、日本産などの化学品に反ダンピング課税を決定(2004年2月1日、日本経済新聞)
 【北京1日共同】中国商務省は1日、日本と韓国、米国、台湾から輸入される化学原料フェノールがダンピング(不当廉売)で国内業界に損害を与えているとの認定を正式決定し、同日から4カ国・地域製品の輸入時に144~3%の反ダンピング税を課すと発表した。課税期間は5年。
 フェノールは電子機器や接着剤などの原材料に使われ、日本の対中輸出量は2002年で4万4900トン。中国での電子機器などの生産拡大に伴い、今後も需要の増加が見込まれている。同省は02年8月から調査を始め、昨年6月にダンピングを認定する仮決定を出していた。

◎高級車の事故契機に・中国、特権階級への不満爆発(2004年1月16日、産経新聞)
 中国黒竜江省ハルビン市の女性(44)が、ドイツの高級車BMWを運転して農民ら13人を死傷させた人身事故が、貧富の格差と政治腐敗でくすぶる国民の不満に火を付け、新年早々、中国メディアを巻き込んだ騒動に発展している。
 単純な交通事故として執行猶予付きの軽い判決を受けたことで騒ぎは拡大。「女性は省政府幹部の親族」「殺人事件だ」などと、特権階級への激しい攻撃がインターネット上を飛び交い、中国政府も事故の再調査に乗り出さざるを得なくなった。
 事故は昨年10月、ハルビン市内で発生。農業用トラクターが急ハンドルを切って、停車中のBMWに接触したのが発端だった。
 怒った女性は、車から飛び出して農民を罵倒(ばとう)し、カバンで殴り付けた。興奮収まらぬまま車に戻り急発進、農民の妻をひいて死亡させ、群衆12人も巻き添えとなり負傷した。
 女性が車に乗る直前「ひき殺してやる」と言ったという目撃証言があり、被害者の農民も刑事事件としての捜査を要請。しかし地元の警察当局は詳しく調べもせずに人身事故として処理し、女性には昨年12月20日に懲役2年、執行猶予3年の判決が言い渡された。
 これ以降、インターネットの複数の掲示板に「女性は省政府幹部の息子の嫁」などと事件処理を批判する書き込みが続いた。さらに「新京報」「南方周末」など比較的自由な言論で知られる中国紙が追撃、不透明さを連日のように指摘した。
 夫もベンツで事故直後に現場に駆け付けたが、2人とも即死状態の被害者には目もくれなかったという。女性が乗り回していたBMWは80万元(約1030万円)もするというが、夫婦の身分は今も隠されたまま。被害者には9万9000元(約130万円)の和解金を渡したという。
 政府権力とつながる大金持ちと発展から取り残される農民。中国社会の縮図を分かりやすく映し出したストーリーに国民は強く反応した。インターネットを使った攻撃を政府は統制できず、その世論を背景とした自由な報道も、もはや規制できる状況にない。
 地元政府は再調査を約束すると同時に中国共産党中央規律検査委員会に事件の概要を報告したが、党中央はまだ具体的な対策を提示していない。(共同)

◎中国・チチハルで工場からガス流出、130人搬送(2004年1月16日、朝日新聞)
 中国国営通信・新華社によると、黒竜江省チチハル市郊外で15日夜、塩素ガスが流出する事故があり、130人余が病院に運ばれた。うち6人は呼吸に苦しむなど症状が重いが、生命の危険はないという。同市では昨年8月、旧日本軍の遺棄化学兵器によって住民1人が死亡、40人以上が負傷する事故があったが、チチハル市政府当局者は16日、朝日新聞に対し、今回の事故は遺棄化学兵器とは無関係だと語った。
 また、中国外務省の遺棄化学兵器担当室も同日、北京の日本大使館に、事故は製薬工場で発生したものだと伝えた。

◎トップは清華大学、中国大学ランキング[社労](2004年1月15日、NNA)
 中国紙「21世紀経済報道」最新号(1月15日発売)は、中国管理科学研究院科学学研究所がまとめた中国国内の大学ランキングを掲載した。トップは清華大学(北京)。北京、浙江、復旦の各大学が続いた。日本以上に学歴社会が進んでいるといわれる中国で、今回発表された大学の序列はその正否を巡って論議を呼びそうだ。


 調査は同研究所の武書連、呂嘉、郭石林の3氏がまとめた。同紙によると、武氏は中国の大学ランキング研究の権威で、同分野での論文発表、引用とも国内トップクラスの学者だとしている。
 ランキングでは、全国の大学を「人材育成」と「科学研究」の2つの指標で分類。人材育成では、大学院生、大学生の育成状況を、科学研究では社会科学、自然科学の研究分野を、数値化して総合ランキングを決定している。
 総合評価では、いわゆる有名大学が名を連ねているが、同研究所は各学科別のランキングも発表。医学部では、中国協和医科大学(北京)がトップとなっているほか、管理学部でも西安交通大学も北京大学や清華大学を抜いて首位にランクされており、大学の特徴を示すものとして注目されている。
 また、2000年から2002年までに英国の科学誌「ネイチャー」と米国の科学誌「サイエンス」に掲載された論文を出身大学別でみると、北京大学の9本が最多。清華大学も6本と健闘したが、米国のハーバード大学(431本)、英国のケンブリッジ大学(179本)、東京大学(132本)には遠く及ばず、国際レベルでの認識度は、中国の大学のレベルはまだまだ低いようだ。
 今回の掲載について、21世紀経済報道は「読者の需要を満足させ、大学ランキング(研究)の発展を促すため」と明記。「ランキング自体は本紙の観点を代表しておらず、読者の討論を歓迎する」として、ランキング発表を契機として、国民的論議が行われることを希望するとの立場を説明している。

◎233人死亡のガス噴出事故、原因は作業員のミス、中国(2004年1月3日、朝日新聞)
 中国重慶市北東部の開県で昨年12月23日に起きた住民ら200人余りが死亡した天然ガス噴出事故で、中央政府の調査チームは、事故原因はガス田の作業員らの過失によるものと断定し、管理者の業務上過失責任を追及する。国営新華社通信が2日報じた。
 調べでは、作業員らはガス噴出量の見積もりが甘かったほか、大量の硫黄を含むガス田の探鉱技術についても未熟だった。さらにガス噴出の兆候も発見できなかった。噴出後も、規定にあったガス放出管に点火して毒性を薄める作業を怠ったため、有毒ガスが拡散し、死傷者を増やしたとしている。
 事故では睡眠中や避難中の住民ら233人がガス中毒で死亡した。

◎中毒症状1万人超える、ガス噴出事故、中国(2003年12月28日、産経新聞)
 中国重慶市開県の有毒ガス噴出事故で、中毒症状などのため同県内の医療機関で治療を受けた住民は27日までに累計で1万175人に上り、うち77人が重体となっている。新華社が28日伝えた。これまでの死者数は198人。
 有毒ガスが噴出した天然ガス田での密封作業が27日成功したのを受け、避難していた6万4000人に上る被災者は28日朝から、安全が確認された地区で徐々に自宅に戻り始めた。噴出現場に近い地区では家屋の消毒が続いているという。(共同)

◎中国ガス田事故:中毒者1万人超える(2003年12月28日、毎日新聞)
 中国重慶市開県の有毒ガス噴出事故で、中毒症状などのため同県内の医療機関で治療を受けた住民は27日までに累計で1万175人に上り、うち77人が重体となっている。新華社が28日伝えた。これまでの死者数は198人。
 有毒ガスが噴出した天然ガス田での密封作業が27日成功したのを受け、避難していた6万4000人に上る被災者は28日朝から、安全が確認された地区で徐々に自宅に戻り始めた。噴出現場に近い地区では家屋の消毒が続いているという。(北京・共同)

◎重慶ガス事故の死者が234人に(2003年12月27日、朝日新聞)
 中国の人民日報(電子版)などによると、重慶市開県の天然ガス噴出事故による死者数は29日までに234人になった。治療を受けた住民は27日までに計1万175人に上った。
 死者の多くは、現場近くから逃げる途中に息絶えた人たちとみられる。

◎中国の天然ガス噴出、84時間ぶり封鎖、死者198人に(2003年12月27日、朝日新聞)
 中国重慶市北東部の開県で起きた天然ガス田のガス噴出事故で、国営新華社通信は27日、ガスの噴出を完全に止める作業が同日午前9時(日本時間同10時)に始まり、封鎖に成功したと伝えた。23日夜以来、84時間ぶりに噴出が止まった。地元警察当局や民兵組織などによる救助隊約1500人が27日未明まで現場の半径5キロ以内で進めていた、被害者の捜索といった大規模な救助活動は、ほぼ収束した。事故による死者は同日昼までに198人になった。
 ガス田の主要パイプは事故発生翌日の24日に封鎖され、なおもガスが噴出している部分については、有毒ガスの拡散を防ぐために火が付けられていた。噴出を完全に止める作業は、当初26日に予定されたが、現場の状況などから延期されていた。中国メディアはこの作業が今回の事故処理の一つの区切りとなると位置づけて伝えている。
 26日までに緊急避難した住民は4万人以上に上り、学校などの施設で夜を過ごしている。一方、中毒症状を訴えて病院で手当てを受けた住民は9185人に上っている。

◎死者の多くは子どもや高齢者、中国・重慶ガス噴出(2003年12月26日、朝日新聞)
 中国・重慶市郊外で190人以上が死亡した天然ガス田ガス噴出事故で、国営新華社通信(電子版)は26日、入院治療を受けた住民らが660人に達し、うち17人が危篤を含む重症と伝えた。治療を受けた人は9185人に上った。また、死者の多くは近くの村に住む子どもや高齢者だった。
 新華社などによると、硫化水素など有毒ガスを吸って死亡した191人のうち、身元が確認されたのは182人。このうちガス田の作業員は2人だけで、ほとんどは地元住民だった。犠牲者は子どもと高齢者の割合が高く、10歳以下が39人、60歳以上が46人だった。
 ガス田の半径5キロ以内は一般人の立ち入りが禁止された。防毒マスクで防御した武装警察官約800人や軍部隊70人も投入され、救助活動が続いている。

◎中国ガス田事故:死亡者の大多数は、逃げ遅れた付近住民(2003年12月26日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】26日の新華社電によると、中国重慶市開県で23日夜に発生した天然ガス田事故で、噴出した有毒ガスによる死者の大多数が逃げ送れた周辺住民だった。また、現場の県当局が事故連絡を受けたのは発生から約2時間以上後だった。中国政府は、事故発生直後の初動態勢など被害拡大の原因究明を迫られそうだ。
 この事故による死者数は25日夜までに、子供39人を含む191人に達した。うち身元が確認された182人は、2人の作業員を除き、全員が周辺住民だった。26日までに、中毒症状で手当てを受けた人は9185人、計660人が入院し、17人が重体。また、緊急避難した周辺住民は4万2247人に達した。今後も増加する可能性がある。
 事故発生は23日午後9時15分だったが、県当局は同日午後11時半にガス田側から市を経由して連絡を受けた。
 関係者からは、事故発生時に予想される危険度合いを周辺住民に速報する効果的な警報システムがなかったことや、掘削などに関する周辺住民への事前説明制度が整っていないことも住民被害が拡大した要因になったと指摘されている。
 この事故では、胡錦涛国家主席と温家宝首相ら指導部が、発生2日後の25日に「全力で捜索、救出せよ」と地方当局に指示。26日から1500人規模の捜索チームが動員された。現指導部は弱者救済など「親民路線」を打ち出しており、多数の住民被害をもたらした事故を深刻に受け止めている模様だ。
 中国国家安全生産監督管理局によると、中国では今年1~10月、炭鉱などで採掘中に7197人(前年同期比1.9%増)が事故死した。先進国では30年以上前の高い事故率だといわれ、安全よりも生産を優先させる企業体質が国内でも問題になっていた。
 中国政府が今月発表した「中国の鉱物資源政策」は、採掘を実施する企業に対して「情報ネットワークを確立し、災害防止・減少案を作成し、突発災害の発生を避けるための最大限の努力をする」と定めていた。
 中国では過去2回、類似のガス噴出事故が起きている。98年3月には四川省の天然ガス田から有毒ガスが漏れ出し、近くの炭鉱内に流入。炭鉱作業員11人が死亡した。92年9月には河北省で油田掘削中に硫化水素を含むガスが噴出、付近住民6人が死亡した。

◎ガス噴出事故:中国重慶で死者191人、さらに増える可能性(2003年12月26日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】25日の新華社電によると、中国重慶市開県の天然ガス田で23日午後10時(日本時間同11時)ごろ、ガス噴出による事故が発生し、この事故による死者は25日までに191人に上った。大半は有毒ガスによる中毒死とみられる。死者数はさらに増える可能性があり、中国国内の炭鉱などでの事故としては過去最大規模に発展しそうだ。胡錦濤国家主席と温家宝首相らは救助を指示、中国政府の対策チームが25日夜、現場に入った。
 事故当時、硫化水素の混じった天然ガスが地上から約30メートルの高さまで噴出し、約10キロ離れた地点でもガス臭がしたという。24日午後3時(同4時)ごろ、ガス噴出口に点火してガス漏れを止めた。4万人規模の付近住民が緊急避難している。
 事故が起きたのは国有企業「中国天然ガス集団」が所有する大型天然ガス田で、四川石油管理局が掘削を請け負っていた。ガス井の深さは約4000メートル。1日100万立方メートルの天然ガスを産出していた。24日時点で65人が病院に運ばれており、死者の多くは作業員や付近住民とみられる。
 開県は重慶市の北東約340キロに位置し、人口は約150万人。天然ガスの確認埋蔵量が1100億立方メートル、ほかにも石炭などの鉱物資源が豊富な地域として知られている。
 中国では小規模炭鉱を中心にガス漏れ事故などでここ数年は年間5000人前後が死亡している。天然ガス田の大規模事故は珍しい。

◎ガス噴出事故:現場は依然有毒の危険、中国政府、生存者を捜索(2003年12月26日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】26日の新華社電やロイター通信によると、中国重慶市開県で23日夜に発生した天然ガス田事故の被害はすでに確認された死者191人のほか、291人が入院、うち4人が重体。3000人以上が目などに痛みを訴えている。現場付近には依然として硫化水素などを含む有毒ガスの危険があり、中国政府対策チームは軍や警察など約1500人を動員し、生存者を捜索している。
 現場は重慶市中心部から北東へ約337キロ。対策本部は事故が起きたガス田から約1キロ離れた高橋鎮政府会議室に設けられた。ガス噴出口には有毒ガスを無毒化するため火がつけられ、激しく炎が上がっている。一方、付近には燃え残った有毒ガスが残留しる可能性があり、引火しないように電源が切られ、鎮内は停電している。固定電話も使用できない。
 事故は地表から深さ208メートル付近をドリルで掘削中に発生し、有毒ガスが地上30メートルまで噴出、現場の高橋鎮など周辺4鎮28村に広がったという。危険を知った半径5キロ以内の住民約4万1000人がトラックの荷台などに乗って緊急避難したが、一部が逃げ遅れた。対策チームの捜索隊は警察犬やガス濃度の計測機を持ち、民家を一軒一軒回って生存者を捜索しているが。現場周辺は家畜の死骸が散らばるゴーストタウンと化しているという。
 患者が運ばれた開県の「人民病院」は4階建て建物の病室が患者であふれ、一部は廊下に横たわって治療を待っている。内科医師によると、138人を収容したが、残りは周辺の診療所などに運ばれた。また、避難した住民は特設の避難所15カ所で食料や衣類が配給されている。

◎住民ら3000人が中毒、中国・重慶のガス噴出事故(2003年12月26日、産経新聞)
 中国重慶市開県の天然ガス田で起きたガス噴出事故は、付近の住民ら約3000人が目やのどの痛みなどの中毒症状を訴える深刻な事態となっている。新華社が26日伝えた。
 死者数は25日夜時点の191人から増えていないが、このほかに290人がガス田から噴き出した硫化水素を吸って入院、うち4人が重体とされ、さらに死者が増える恐れがある。
 救助隊が身元を確認した死者182人は、2人の作業員を除いて全員が付近の住民だったことが判明。噴出したガスが猛烈な勢いで広がり逃げ遅れたとみられ、10歳以下の子供が39人、60歳以上の人が46人に上った。
 現地では救助隊が捜索活動を続け、捜索範囲も拡大。開県では既に4万1000人の住民を安全な場所に移すなど、犠牲者の捜索と住民の避難を進めている。
 25日に現場を取材した新華社記者によると、ガス田周辺は今も場所によって硫化水素が残留、危険な状態だという。
 救助隊の話によると、23日夜の事故発生直後に8人の犠牲者を確認。その後、ガス田の周囲数キロを調べたところ、さらに183人の死者を発見したという。(共同)

・硫化水素
 腐った卵のようなにおいがする無色の有毒ガス。硫黄と水素の化合物で目や皮膚を刺激する。天然では火山ガスや鉱泉中に含まれ、高濃度を吸引した場合、数呼吸で失神、こん倒などを起こし低酸素状態や肺水腫(はいすいしゅ)で死亡することもある。吸引量が少なくても頭痛、吐き気などの症状を起こす。(共同)

◎中国・重慶で天然ガス噴出事故、191人死亡(2003年12月25日、朝日新聞)
 国営新華社通信は25日、中国西南部の重慶市郊外の天然ガス田で23日夜、ガス噴出事故が起こり、作業員や付近の住民191人が死亡したと伝えた。事故発生当初は、毒性の強い硫化水素などが含まれたガスが高さ約30メートルまで噴き上がり、周囲の住民ら多数に中毒症状がみられるという。市当局は救援部隊や専門家を派遣しているが、25日夜現在も噴出は続いており、現場の周囲5キロの数万人規模の住民を緊急避難させている。
 中央政府も事態を重くみて、胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席らは華建敏・国務委員を現場に派遣し、救援活動を指揮するように命じた。
 現場は、重慶市中心部から北東に約330キロ離れた開県高橋鎮にある中国石油西南油気田分公司川東北ガス鉱田で、埋蔵量が500億~600億トンにのぼる大型の天然ガス田。多数の住民や作業員らが病院に運ばれているが、ほとんどが中毒症状を見せており、今後も死者数が増える可能性があるという。市当局などは事故発生の翌日、ガスの噴出をくい止める応急処置をとり、26日午前から本格的な処置を実施する予定だ。
 同県は50余りの県の下の行政単位にあたる郷鎮からなり、人口は約150万人。中国中央テレビの報道によると、ガスは現場付近の複数の集落に拡散。ある集落ではトラックの荷台に多数の住民が乗り込み、避難している姿が見られたという。当局は大気中のガスを燃焼させるため、故意に点火する処置をとっており、集落内は停電させているため真っ暗だという。
 同鉱田の副鉱長の説明によると、事故が起きたガス田は深さ4000メートル、幅700メートルで、1日の生産量は100万立方メートル。事故直前の作業には問題がなかったという。掘削ドリルが深さ208メートルに達したときにガスが噴出。ただ、ガスは掘削した部分からではなく、その周囲のすき間から噴き出たという。
 中国紙によると、ここ数年、全国で炭鉱事故が相次ぎ、年間約7000人が死亡しており、国家安全生産監督管理局が鉱山などの安全管理を呼びかけていた。

◎天然ガス田で事故、191人死亡、中国・重慶郊外(2003年12月25日、産経新聞)
 新華社電によると、中国重慶市開県の天然ガス田でガス噴出事故が23日夜に発生、現場の作業員ら191人が死亡したことが25日夜までに確認された。噴出した天然ガスに有毒の硫化水素が混じっていたためで、さらに犠牲者が増える可能性もある。
 中国の鉱山・ガス田に絡む事故の中でも過去最大級の規模とみられ、事態を重視した中国政府は胡錦涛国家主席らの指示で華建敏国務委員を現場に派遣、救助活動の陣頭指揮に当たらせている。
 噴出したガスは猛烈な勢いで高さ30メートルに上り、24日午後まで噴出が続いた。中国紙の報道によると、付近の住民約10万人が緊急避難。現場から約30キロ離れた開県の市街地も上空が真っ黒になり、噴出口に点火しガスを燃焼させてようやくガス漏れを止めた。
 事故発生直後の24日は73人が中毒となり、うち8人が死亡、65人が治療中と伝えられていた。噴出が収まり現場の調査が可能となって多数の死者が確認されたとみられる。
 事故が起きたガス田は、埋蔵量500億-600億トンに上る大型天然ガス田内にあり、中国石油天然ガス集団の四川石油管理局が掘削してきた。ガス田は深さ4000メートルで、1日100万立方メートルの天然ガスを生産し、これまでは正常に稼働してきたという。
 事故原因は調査中だが、現場の責任者によると、ガスを掘るドリルパイプの側面からガスが噴出し、大きな事故につながった。中国では炭鉱事故が相次ぎ、年間6000-7000人が死亡しており、国家安全生産監督管理局が安全管理の強化を呼び掛けていた。
 天然ガスはメタンを主成分とする可燃性のガスで、通常は燃焼しても有害物質の発生が少ないため、他の化石燃料に代わるクリーンなエネルギーとして中国も生産に力を入れていた。(共同)

・硫化水素
 腐った卵のようなにおいがする無色の有毒ガス。硫黄と水素の化合物で目や皮膚を刺激する。天然では火山ガスや鉱泉中に含まれ、高濃度を吸引した場合、数呼吸で失神、こん倒などを起こし低酸素状態や肺水腫(はいすいしゅ)で死亡することもある。吸引量が少なくても頭痛、吐き気などの症状を起こす。(共同)

◎今冬も全国で電力不足、日系企業にも影響(2003年12月2日、NNA)
 1日付北京青年報によると、中国で冬期期間中も電力不足が続くことが確実となることが分かった。改革・開放後、過去最悪ともいわれた今年夏に続いて電力制限が行われることになり、日本企業など外資企業にも今後、影響が出るのは必至。新たなチャイナリスクとして、電力不足問題が定着したともいえそうだ。
 電力不足問題が深刻なのは山西、広東、四川、浙江、湖南、広西などの各省・自治区や上海市。湖南省長沙市内では、11月30日から重点企業49社以外の企業・住宅で「4社(世帯)に1社を停電とする」原則で、電力の供給を制限。市の電力部門は毎週、停電の公告を通達するようになった。
山西、広東の両省でも1日から節電措置を導入。必要以上の電力を消費した場合、料金が加算されたり、地区別での電力量の割当を実施し、電力消費の抑制を行っている状態だ。
記録的な猛暑で過去最悪の電力不足となった上海市でも今冬は200万キロワットの電力不足になることが確実視されており、連日、貨車2,600両の石炭が火力発電所に運び込まれているという。

・干ばつ、石炭不足も原因
 今夏の電力不足では、企業の需要に発電所建設が追いつかなかったことを指摘するものが多かったが、今冬は近年の干ばつ・少雨被害も加わり、問題はより深刻となっているようだ。
湖南省では十数年ぶりの干ばつ被害に見舞われ、省内の発電量の半分を担う水力発電に影響が出ている。広西チワン族自治区沿海部でも、降雨量が例年の10~80%減となり、やはり水力発電に深刻な影響を与えている。さらに、政府の方針で、効率性の悪い炭坑が閉山されたことにより、石炭の供給量が減り、広東、貴州、四川の各省では発電量が低下しているという。
電力当局によると、今年の電力需要の伸びは過去25年間で最高の14~15%に達する見込み。需要増に対し干ばつ、石炭不足が電力不足問題を深刻させていることは間違いない。

・上海では電力料金値上げも
 上海の日本総領事館によると、今冬の電力不足に対し、上海市当局は今夏同様、市内の企業に工場の操業を休日に振り替えるよう要請する予定だという。ただ、電力需要がピーク時とオフピーク時との料金格差をつけることはせず、契約容量に対して基本料金を値上げすることを検討しており、同市に進出している日系企業にとってコスト高になるのは必至。同館では「中国は国を上げて積極的に企業誘致を行っている一方で、(電力不足対策などの)政策が著しく不透明。進出企業が困っている状態が続くのは大きな問題だ」として、今後も関係当局に善処するよう働きかけを強めていく方針だ。
高い経済成長を維持し、「世界の工場」といわれる中国だが、電力不足という問題がその屋台骨を脅かす可能性も出てきていることは間違いない。

◎破たん国有企業に500万人、中国、失業率「7%」(2003年11月20日、産経新聞)
 中国で経営破たん状態にありながら閉鎖できずにいる国有の企業や鉱山が2500社余りあり、従業員は計510万人近くに上ることが国有資産監督管理委員会の調査で分かった。同委員会の李栄融主任が19、20の両日、北京で開かれたフォーラムで公表した。
 9月末の都市部の失業者数は793万人、失業率4.2%と過去最高水準にあり、こうした潜在失業者を加味すると失業率は3ポイント近く押し上げられ、約7%になる計算だ。
 破たん企業の金融債務は2400億元(約3兆1000億円)余りで、李主任は融資元の銀行経営に対する悪影響に加え、政府の財政資金不足、社会保障体制の未整備のため「直ちに市場から退出させるのは難しい」と指摘。市場経済推進に向けた改革の重荷になっていることを認めた。
 経営改善の見込みがない国有企業や資源が枯渇した国有鉱山を政府が計画的に倒産させる「政策的閉鎖」は「社会主義市場経済」の推進が本格化した1994年から昨年までに3080件、再就職などの対策を取った従業員は約530万人に上った。
 ほぼ同数に近い破たん企業や鉱山が、閉鎖できずに残っていることになり、監督委は競争力のない企業の「市場退出」制度の整備を加速し、今後5年間で閉鎖する方針。(共同)

◎上海の人口、1,700万人に(2003年11月19日、日本経済新聞)
 【上海支局】上海市政府のまとめによると、同市の人口は今年末には1,700万人前後に達する見通しだ。今年1年間の出生数は8万6,000人前後。このうち戸籍を持つ人の出生数は6万3,000人だった。市政府は1980年代に起きた「ベビーブーム」の影響で2006年から出生数の増加が顕著になり、2009年には16万5,600人が新たに生まれると予測している。

◎買春容疑で日本人3人を国際手配(2003年12月17日、産経新聞)
 中国の新華社は17日、広東省珠海市で9月に起きた日本人旅行客の集団買春騒動で、中国当局が売春女性を依頼した日本企業の幹部3人を組織買春の容疑で国際手配したと報じた。

◎中国人2人に終身刑、買春騒動(2003年12月17日、産経新聞)
 中国の広東省珠海市で起きた日本人旅行客の集団買春騒動で、同市の裁判所は17日、組織売春の罪に問われた中国人2人に終身刑、残る12人に2~15年の禁固刑を言い渡した。
 被告はホステスの手配師や買春騒動があったホテルの幹部ら。

◎買春費用380万円、日本企業側が一括払い、上海紙報道(2003年11月19日、朝日新聞)
 中国広東省珠海市のホテルに宿泊した日本人団体客が今年9月、「中国人女性を相手に買春行為をした」とされる問題で、19日付の上海紙、青年報は、日本企業の担当者が女性185人の買春費用として約29万元(約380万円)を一括して支払っていたと報じた。警察・検察当局から得た情報としている。また、買春をあっせんした中国人女性ら14人の被告について、珠海市中級人民法院(地裁)で近く、初公判が開かれる見通しという。
 報道によると、日本企業の社員3人は8月、事前に現地を訪れ、仲介役の中国人男性らにコンパニオンの派遣を要求。社員側が到着した9月16日のパーティーには約300人の女性を参加させた。会社側はその場で買春費用などについて説明し、パーティー終了後に185人が買春行為をしていたという。
 会社側は翌日未明、買春や派遣費用などとして計29万元余りを仲介役に支払ったとしている。記事には、日本企業や中国側と交渉していた日本人社員の実名も書かれている。

◎中国集団買春:「日本側がホテルに手配、380万円払う」(2003年11月190日、毎日新聞)
 【北京・上村幸治】今年9月に中国広東省珠海市で起きた日本人団体客による集団買春疑惑で、中国紙「新京報」は18日、日本の企業の担当者が珠海のホテルに売春婦を用意するよう依頼し、買春費用など約29万元(約380万円)をまとめて支払っていたと報じた。珠海市司法機関から得た情報として伝えた。名指しされた日本企業は会社ぐるみの関与を否定していた。
 同紙の報道によると、同社の日本人担当者3人(実名)がホテルに、売春のできるホステスを500人から600人用意してほしいと依頼。3人は中国側と、ホステスをホテルに連れ帰る手順や経費の支払い方法も話し合った。
 9月16日夜に開かれた宴会には日本人客285人が参加、ホテル側は300人のホステスを用意した。この場で日本側の司会者が「1回800元(約1万円)、1晩1200元です」などと説明した。この夜は185人の女性が売春し、日本側が買春費用20万元余とテーブルチャージ名目の費用9万元をまとめて支払ったという。
 この事件はまもなく現地で裁判が開かれ、中国側で売春をあっせん、逮捕された関係者が出廷する。今回の記事で伝えられた内容も説明される見通しだ。

◎わいせつ寸劇:留学生側が反省文を提出、自主帰国へ(2003年11月1日、毎日新聞)
 【西安(中国・陝西省)浦松丈二】中国・西北大学の日本人留学生らによる「わいせつ寸劇」をきっかけに広がった当地のデモ騒ぎで1日、日中双方は留学生側が「中国の文化・風習を理解していなかった」との反省文を同日中に大学側に提出して自主帰国することで合意した。デモを組織している学生側幹部は留学生に対して公開謝罪を強く要請しており、反省文提出でデモ騒ぎは近く終息に向かう可能性が高まった。
 関係者によると、事態収拾をめぐる大学側と留学生側の協議は31日夜から1日午前6時(日本時間同7時)ごろまで続けられた。寸劇を演じた留学生3人と日本人教師1人の処分について、大学側は31日に退学・解雇処分を公表したが、デモ収拾のため、留学生らの公開謝罪などを要求した。
 これに対し、留学生側は寸劇に悪意はなかったが、中国の文化・風習を理解していなかったとの反省文に4人連名で証明・提出することを受け入れた。
 また、反省文提出の模様を地元テレビ局などが撮影。放映することも受け入れたという。
 関係者によると、デモを中心的に組織しているのは同大の「文芸の夕べ」を企画・運営した中国共産主義青年団の幹部ら。この催しは大学だけではなく、企業スポンサーも多数協賛する伝統的な行事で、留学生の寸劇は「著しく下品」だと強い反発を招いたという。
 体面を傷つけられた幹部らは、西北大学だけではなく各地で1000人規模のデモを繰り広げ、謝罪を要求していた。
 反省文の提出と自主帰国による決着方針は、デモ幹部側にも伝えられている模様で、反省文提出と4人の自主帰国を待ち、反日デモも終結する見通しだ。

◎3留学生除籍、日本人教師を解職、寸劇事件で西北大学(2003年11月1日、朝日新聞)
 中国・西安市の西北大学の文化祭で、日本人留学生らが行った下品な寸劇に中国人学生が謝罪を求めて抗議デモをした問題で、同大学は規律、規則に違反したとして、3人の留学生を除籍、日本人教師1人を解職処分にした。現地入りしている日本大使館員が31日に確認した。大使館員らは1日未明、寸劇に参加した4人も含む日本人留学生らと面会。同日午前中も引き続き、当時の詳しい事情を聴いている。
 大使館によると、3人の留学生と教師はいずれも男性。国営通信・新華社が前日報じた卑猥(ひわい)な寸劇を行ったことを大筋で認めたうえで、「大変なことをしてしまった。迷惑をかけ、反省している」と意気消沈した様子で語ったという。4人は反省文を提出し、日本に帰国する方向で大学当局と話し合いを進めている。
 ただ、寸劇の際に「これが中国人だ」という札をかけていたのかどうかなど、中国人学生の憤激を招いた理由をめぐる詳しい状況はまだ明らかになっていない。
 中国外務省側の説明では、寸劇が行われた翌30日、「パフォーマンスに強い不満を感じた」中国人学生が学内に壁新聞を張り出し、日本人学生に謝罪を要求した。その後、西北大学以外の学生も加わってデモ行進が行われるなど、事態がエスカレートしていったという。
 日本大使館の調べでは、学生宿舎に乱入した中国人学生に殴られてけがをした男女の日本人留学生は、寸劇には参加していなかったという。日本人留学生約40人を含む同大学の外国人留学生約80人は、中国当局によって市内のホテルに移され、そこにとどまっている。

◎日本人留学生が殴られ軽傷、中国・西安の寸劇反発問題(2003年11月1日、朝日新聞)
 中国・西安市の西北大学での文化祭で、日本人留学生の寸劇に中国人学生が反発している問題で、同大学の日本人留学生の男女2人が中国人学生に殴られ、軽傷を負ったことが分かった。北京の日本大使館が31日、職員を現地に派遣して確認した。約40人の日本人学生を含む同大学の外国人留学生らは31日未明、中国当局により市内のホテルに移され、安全が確保されているという。
 中国外務省の羅田広(ルオ・ティエンクワン)領事局長は同日午前、日本大使館の高橋邦夫公使を同省に呼び、日本人留学生の卑猥(ひわい)な出し物に中国人学生が謝罪を要求した経緯を説明。日中双方の学生の衝突を避ける措置をとったことを伝えた。
 そのうえで「留学生のパフォーマンスは日本の公の場所でも許されておらず、まして中国ではなおさら許されない。日本人が中国で学習や旅行をする間、中国の法律、風習、習慣を順守するよう希望する」と述べた。
 これに対し高橋公使は「日本人留学生が負傷したり、複数の留学生の部屋が荒らされたりした。理由がどうであれ、このような事態に強い遺憾の意を表明する」と伝えた。
 日本大使館によると、留学生らはホテル内にとどまるよう大学当局から指示されている。ホテルでは中国人の出入りも制限されているという。
 北京のインターネットニュース「千竜網」は同日、西北大学が3人の日本人留学生を除籍処分にしたと報じた。これについて大学の広報担当者は朝日新聞の取材に「教育省からの連絡を待っており、今は確認できない」としている。
 香港紙「文匯報」は、日本人留学生らが問題の寸劇をした際、「ほら、これが中国人だ」と書いた札を掲げていた、と報じたが、実際にそうした事実があったかどうか、日本大使館員らが調べている。ただ、こうした報道をもとに、ネット上では「中国人を侮辱している」などと反発する書き込みが続いている。
 中国国営通信・新華社によると、29日夜にあった同大学外国語学院の文化祭で、日本人留学生3人と同教師の計4人が、胸に赤いブラジャー、下腹部に紙コップを付けて踊り、ブラジャーから紙くずを出し観客席にまいた。中国人学生や教師が怒って中止させ、翌30日には同大以外も含む千人以上の中国人学生が留学生寮前に集まり、謝罪を要求した。

◎わいせつ寸劇:演じた日本人留学生らに数百人が抗議、中国(2003年10月31日、毎日新聞)
 【北京・浦松丈二】31日の新華社電によると、中国陝西省西安市の西北大学の文化祭で、日本人留学生3人と日本人教師1人がわいせつな寸劇を演じ、これに反発した中国人学生数百人が30日、留学生らに謝罪を要求してデモ行進した。北京の日本大使館によると、この際、中国人学生らが留学生宿舎に入り込み、日本人留学生の女性1人がけがをしたという情報がある。約50人の日本人留学生は安全な場所に避難したという。同大使館は31日朝、現地に職員3人を派遣した。
 中国では今年9月に広東省珠海市で、日本人旅行客の集団買春が報道されたばかり。日本人留学生らのわいせつ劇が、中国人学生の反日感情に火をつけたようだ。
 同省教育庁報道官によると、留学生らは29日夜、同大外語学院の文化祭に出場し、胸に赤いブラジャー、腰に紙製の性器のようなものを付けて踊った。ブラジャーから白い紙くずを取り出して観衆にまき出したところ、中国人教師や学生から制止されたという。
 31日付の香港紙「りんご日報」などによると、留学生らは踊りながら「これがおまえたち中国人のイメージだ」などと叫んだという。また中国人学生らの抗議行動では「日本の畜生を追い出せ」「日本人を打倒せよ」などと書いた反日スローガンが掲げられた。

◎邦人留学生らの寸劇に抗議デモ、中国の大学文化祭(2003年10月31日、朝日新聞)
 中国陜西省西安市の西北大学の中国人学生数百人が、日本人留学生らが文化祭で演じた下品な寸劇に反発し、謝罪を求めて市内をデモ行進した。中国国営通信新華社が31日伝えた。中国側の学生の代表は同省の関係部門に対し、留学生による公開謝罪を求める請願書を提出した。
 新華社によると、29日夜、西北大学外語学院であった文化祭に出演した日本人留学生3人と日本人教師の計4人が、胸に赤いブラジャー、下腹部に紙コップを付けて踊り、ブラジャーの中から取り出した紙くずを観客席に向かってまいたという。
 その場にいた中国人の教師や学生が踊りの下品さに怒りだし、すぐに中止させた。翌30日昼には、1000人以上の同大の学生が留学生寮の前に集まり、謝罪を要求。さらに数百人の学生は夕方6時半すぎ、学校を出て、同市中心部の新城広場まで抗議のデモ行進を行った。
 香港紙の文匯報によると、寸劇をした留学生らは「ほら、これが中国人だ」と書かれた札を掲げていたという。
 中国では今年9月、広東省珠海市で、日本人団体客による集団買春騒ぎが起き、インターネットの掲示板に「中国人を辱めた」とする非難が掲載されるなど、対日感情が悪化している。

◎中国、マイカー増で交通事故死10万人以上に(2003年10月29日、日本経済新聞)
 【香港29日共同】29日付の中国系紙、香港商報によると、中国でのマイカーブームなどで交通事故が増え、昨年は死者が10万人以上と日本の13倍に達し、同紙は「大型旅客機一機が毎日墜落するのと同じ状況になっている」と報じた。
 2002年に中国で起きた交通事故は77万3000件で、死者は10万9000人、負傷者は56万2000人。1日平均約300人が交通事故で死亡している計算となり、直接的な経済損失は推定33億2000万元(約500億円)に上る。日本で昨年、交通事故発生から24時間以内の死者は8326人だった。中国の死亡事故の原因で多いのはスピード違反のほか、違法車線走行、無理な突っ込み、違法な追い越し、酒飲み運転など。事故予防の当局者は交通ルールを守る意識が薄いことが大きな問題と指摘、今後3―5年間は交通事故が増え続けると予測しているという。

◎ネズミ駆除剤の混入容疑で妻を拘束 中国・10人中毒死(2003年10月25日、朝日新聞)
 中国中西部の湖北省利川市で、葬式に出席していた住民33人が昼食中に中毒症状を起こし、このうち10人が死亡した事件で、地元公安当局は24日、ネズミ駆除剤を食事に混ぜて殺害した疑いで、死亡した男性の妻の身柄を拘束した。国営新華社通信などが伝えた。
 報道によると、夫婦は財産分与などをめぐり、子どもの家族も巻き込んで対立していた。妻は犯行を認めているものの、「まさか死ぬとは思っていなかった」と話しているという。

◎葬儀後の食事にネズミ駆除剤?10人死亡、中国・湖北省(2003年10月23日、産経新聞)
 22日付の上海紙、新民晩報によると、中国湖北省南西部の利川市で21日、10人が中毒症状を起こし死亡、22人が重体となった。劇薬のネズミ駆除剤による中毒症状に似ているという。
 一緒に食事をした3人が行方不明になっており、毒物混入事件に発展する可能性もありそうだ。中国では昨年10月に江蘇省南京市で、同じ駆除剤を混入した食物を食べた42人が死亡する事件が起きた。
 同紙によると、被害者は同市近くの村民ら。葬式の後に食事をしている際に相次いでけいれんを起こし倒れた。(共同)

◎葬式の昼食にネズミ駆除剤混入か、中国で10人中毒死(2003年10月23日、朝日新聞)
 中国の湖北省利川市で、葬式に出席していた住民33人が昼食中に突然けいれんを起こす中毒症状を起こし、このうち10人が死亡した。国営新華社通信(電子版)などが22日伝えた。ネズミ駆除剤による中毒症状と似ているといい、公安当局は、何者かが毒物を混入した疑いが強いとみて捜査を始めた。
 報道によると、21日正午ごろ、葬式に集まった30人余りの住民が昼食をとり始めたところ、同村の共産党書記の男性がけいれんを起こして倒れ、間もなく死亡。ほかの9人も病院に運ばれる途中に死亡した。
 中国では昨年10月、南京市内でネズミ駆除剤が混ぜられた朝食を食べた42人が死亡するなど、混入事件が相次いでいる。多くが怨恨(えんこん)による犯行とされている。

◎中国買春疑惑の企業、2億円所得隠し、大阪国税局追徴(2003年10月21日、朝日新聞)
 中国広東省珠海市のホテルで9月、集団で買春行為をしたと中国紙などに報じられた関西の企業が、大阪国税局の税務調査を受け、4年間で約2億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。同社は、重加算税を含め約7500万円を追徴課税され、全額納付している。
 関係者によると、同社は、売り上げを簿外の口座に隠すなどの方法で所得を圧縮。02年11月期までの4年間の約2億円が仮装・隠蔽(いんぺい)にあたるとして重加算税の対象になった。隠した所得は、社員の遊興費などに充てていたとみられる。
 この企業をめぐっては、中国や香港の各紙が9月、「日本人団体客が中国人女性相手に買春行為をした」と報道。中国政府が「強い憤り」を表明したのを受け、外務省が同社から事実関係を聴いた。
 同社によると、9月16~18日の3日間、社員288人が慰安旅行として珠海市を訪れ、多数のコンパニオンが出席した宴会を開いたという。同社は「報道されたような買春目的ではない」と否定している。

<同社総務部の話>
 会社と税務当局との認識のズレがあったが、話はすべてついている。中身についてコメントする気はない。

◎旧日本軍毒ガス事故、日本3億円支払いを中国側に提示(2003年10月17日、朝日新聞)
 中国黒竜江省チチハル市で旧日本軍の遺棄化学兵器の毒ガスが漏れ出して住民らが死傷した事故で、外務省が中国政府に3億円の支払いを提示したことが16日、わかった。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて20日に予定されている小泉首相と中国の胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席による首脳会談前の決着をめざし、中国側と最終調整している。
 支払いの名目は補償や見舞金とせず、協力費などとする方向だ。
 チチハルでの事故をめぐって日本政府は、当初1億円の支払いを打診したが、中国側は10億円の支払いを求め、協議は難航していた。また中国側は「見舞いの提供が緊急の問題」(李肇星(リー・チャオシン)外相)として、被害者の救済を求めてきた。日本は「中国は日中共同宣言で戦争賠償の請求を放棄している」との立場から補償などの名目での支払いは拒んできたが、「中国側が受け取った後に被害者に支払うことは問題ない」(外務省幹部)としている。
 事故は8月4日に発生し、1人が死亡、40人余が被害を受けた。日本政府は遺棄化学兵器の処理チームや医療チームを派遣してきたが、李外相が今月3日、「日本の対応が遅く、中国国民や被害者の強烈な不満を招いている」と発言するなど、中国側は対応の遅れに強い不満を示している。

◎中国、外国人の宿泊制限を撤廃、民宿滞在も可能に(2003年10月1日、産経新聞)
 北京市公安局は1日、外国人の宿泊先制限を正式に撤廃した。中国政府はこれまで50年余り、外国人に対し指定したホテルや宿舎への宿泊を義務付けていたが、北京市内では外国人が宿泊先を自由に選べるようになった。
 新華社電によると、軍事管制地区や未開放地区を除けば外国人は北京市内のどこでも宿泊でき、市街地の横町「胡同(フートン)」の民宿に滞在することも可能という。
 制限撤廃は北京市が独自に決めたもので、日本の旅行会社によると中国全国でも初めての試みとみられる。
 公安局の決定によると、これまでは設備が整った一定規模のホテルや大学の寮を指定宿泊先と定めていたが、1日からは旅館業の経営資格を持つホテルや企業ならどこでも外国人の受け入れができるようになった。
 新華社電はこれまでの宿泊制限について「外国人の安全と社会安定の維持に重要な役割を果たしてきたが、既に時代遅れになった」と撤廃の理由を伝えた。
 また、北京市公安局の張越副局長は制限撤廃について「世界貿易機関(WTO)の基本原則である内国民待遇の実現である」と指摘した。(共同)

◎売春組織主犯格の身柄拘束と中国紙報道、日本人集団買春(2003年9月30日、朝日新聞)
 中国広東省珠海市内のホテルに宿泊した日本人団体客が「中国人女性を相手に買春行為をした」と中国紙などが報じた問題で、日本人側に女性をあっせんしたとされる売春組織のリーダー格が、中部の湖南省で警察当局に身柄を拘束された模様だ。同省の地元紙・瀟湘晨報が30日伝えた。
 報道によると、広東省や地元の警察当局は9月28日、湖南省懐化市会同県内で潜伏していた売春組織の主犯格を拘束した。当局は「事件は複雑なため、詳細はまだ公表できない」としている。また、別の報道によると、珠海市の警察当局も、日本人との売春にかかわった疑いがあるとして50人以上の女性を拘束しているという。
 一方、駐広州日本総領事館は29日、広東省政府や省公安庁に職員を派遣し、事実関係の調査を始めた。

◎中国買春ツアー報道、大阪の建設会社が事実関係を否定(2003年9月29日、読売新聞)
 中国広東省珠海市内のホテルで日本人団体客が集団で買春行為をしたと現地紙で報じられた問題で、社員旅行でこのホテルを使った大阪府内の建築会社は29日、「集団買春はしていない。買春ツアーをしたかのように報道され、困惑している」と事実関係を否定した。
 同社によると、旅行には男性社員288人が参加し、16日から2泊3日の日程で珠海市を訪問、ホテル「珠海国際会議センター大酒店」に宿泊したが、報道されたような事実はあり得ないとしている。

◎「日本人団体が集団買春」と中国紙報道(2003年9月29日、朝日新聞)
 マカオに隣接する中国広東省珠海市の高級ホテル、国際会議センターホテルが28日までに、「日本人団体客による買春行為」にかかわった疑いで、当局から営業停止を命じられた。中国や香港の各紙が報じた。
 中国外務省の孔泉(コン・チュアン)報道局長は28日、この問題について調査中としながらも「外国人が中国に来たら、中国の法律を守らなければならない」と不快感を表明した。
 最初に報じたのは、26日付の中国紙中国青年報。16日深夜にホテルに到着した中国人の宿泊客が「約300人の日本人男性団体客が若い中国人女性を連れ、エレベーターの中で女性の体に公然と触れるなどしていた。ホールには日本企業の創立記念日の行事案内の看板があった」などと話した目撃談を報じた。この中国人が団体客の1人に中国人通訳を通じて聞いたところ、「女遊びに来た」と答えた、としている。
 翌日の中国、香港各紙は同じ中国人の話をもとに、「300人の日本人団体客が500人の中国女性を集め、ホテルの大会議場で接待させたあと、女性を部屋に連れ帰り、買春した」と断定的に報じた。
 香港の現地紙で、国際会議センターホテルで女性を呼んで宴会を開いたとして社名が報じられた会社の一つである西日本の企業の関係者によると、年1回の社員旅行で、9月中旬に社員200人余りが同ホテルに泊まったという。ただ、同ホテルが改装中だったため、宴会を開いたのは別のホテル。その際、社員とほぼ同数の女性コンパニオンがいたが、買春などの事実はなかったという。
 宿泊先のホテルの地下には女性がいるマッサージ店があったというが、「そうした店を利用した社員がいたかどうかは分からない」と話している。

◎集団買春:日本人団体客約380人 広東省のホテル営業停止(2003年9月28日、毎日新聞)
 【香港・成沢健一】中国広東省の夕刊紙「羊城晩報」(電子版)などによると、中国広東省の公安当局は27日、日本人の団体旅行客による集団買春が行われたとして同省珠海市の高級ホテルに営業停止を命じるとともに、組織売春にかかわったとみられる関係者の身柄を拘束した。
 営業停止となったのは、同市を代表する「国際会議センターホテル」。現地からの報道によると、今月中旬に男性ばかりの日本人団体客約380人がホテル内で宴会を開いた。この際、約500人の女性を呼んで買春行為をし、女性に1人当たり1200元(約1万7000円)程度を支払ったという。
 中国国内の報道には事実関係が食い違うものもある。しかし、満州事変72周年の今月18日と時期が重なったこともあり、中国や香港各紙が大きく報道。ネット上でも反日感情を露骨に表す書き込みが目立ち、広東省当局も強い態度でこの問題に対処することを決めた模様だ。

◎給食のケーキにネズミ駆除剤、400人以上入院、中国(2003年9月28日、産経新聞)
 27日の中国紙、重慶晨報(電子版)などによると、中国湖南省岳陽市郊外の小学校で23日、給食を食べた児童が嘔吐(おうと)などの食中毒症状を起こし、児童473人のうち402人が入院した。重症は22人に上り、うち5人が重体という。
 同省疾病予防対策センターで調べた結果、吐いた物などから強力なネズミ駆除剤「毒鼠強」の成分が検出され、地元公安局は人為的に給食のケーキに混入されたと判断、捜査を始めた。
 毒鼠強は中国で劇薬として製造販売が禁止されているが、各地で混入事件が相次いでいる。昨年9月には江蘇省南京市郊外で毒鼠強が混入した食品を食べた中高生ら42人が死亡する事件が発生。混入した男が死刑になった。(共同)

◎旧日本軍遺棄兵器:国に賠償命令、原告請求ほぼ認め、東京地裁(2003年9月29日、毎日新聞)
 旧日本軍が中国に遺棄した毒ガスや砲弾で、戦後に被害を受けたとして、中国人13人が日本政府に約2億円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は29日、原告側の請求をほぼ認め、国に約1億9000万円の支払いを命じた。片山良広裁判長は「可能な限り情報を集めて中国側に提供し、被害発生を防ぐよう依頼する義務があった」と指摘したうえで、「日中の国交が回復した72年以降、その義務を果たさなかったのは違法」と国の不作為責任を認めた。
 海外の遺棄兵器による被害で、被害者側の請求が認められたのは初めて。
 中国の被害者は2000人以上(中国側発表)いるとされ、今年8月にも毒ガス弾で43人の死傷者が出たことから、日中間の外交問題に発展しており、判決は重大な影響を与えるとみられる。
 判決は被害について、「終戦前後に日本軍が遺棄した兵器によるもの」と因果関係を認めた。遺棄行為の違法性も認めたうえで、「旧軍関係者から事情聴取を行なったり、残された軍関係の資料を調査すれば、遺棄兵器が現場付近にあることは予見できた」と認定した。
 そのうえで、「中国には主権が及ばないから、日本が直接回収を行うのは不可能だが、情報を中国に伝えれば、安全に処理されていた可能性がある」と結論づけた。
 遺棄兵器被害を巡っては今年5月、東京地裁が「主権が及ばない中国で、国が被害を回避することはできなかった」として、原告敗訴の判決を言い渡しており、同じ地裁で司法判断が分かれた。
 日本は95年、遺棄国による兵器処理を義務付けた化学兵器禁止条約を批准し、中国での処理の準備を進めているが、同条約は被害の賠償責任には触れておらず、判決が注目されていた。
 原告は74年と82年に黒竜江省で発生した計2回の毒ガス事故や、95年、同省で起きた砲弾爆発事故で死亡した3人の遺族6人と直接の被害者の計13人。工事中に発見した毒ガス缶のふたを開け、液体に触れたり、気化したガスを吸い込んで死亡したり、腕が動かなくなるなどの後遺症が残った。
 旧日本軍が中国に遺棄した化学兵器数について、日本側は70万発、中国側は200万発とする調査結果を発表している。【小林直】

◎旧日本軍遺棄の毒ガス弾訴訟で、国に賠償命令(2003年9月29日、朝日新聞)
 旧日本軍が日中戦争終了前後に中国本土に遺棄した毒ガスや砲弾がその後数十年を経て漏れ出したり、爆発したりして死傷した中国人とその遺族計13人が日本政府に計約2億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。片山良広裁判長は、「政府は72年に中国との国交を回復した後も、遺棄兵器をどこに隠したかの情報を中国側に伝えるなどの対応をしないまま放置を続けており、その行為にわずかの正当性も認められない」と述べて計約1億9千万円の支払いを命じた。
 旧日本軍の遺棄兵器をめぐっては、今年8月に黒竜江省チチハル市の建設現場で見つかったイペリット(マスタードガス)入り缶から流出した液体に触れるなどして、1人が死亡し40人以上が負傷する事故が発生したばかり。この事故で日本政府は1億円を支払う意向を示したが、中国側はこれを受け取っておらず、見舞金との趣旨ではなく、補償そのものを求める世論が強まっている。
 訴えていたのは、同省の李臣さん(58)ら。
 判決によると、裁判で問題になったのは三つの事故で、(1)74年10月、同省佳木斯市の川で浚せつ中、船が引き揚げた砲弾から毒ガスが漏れだし、作業員3人が被害(2)82年7月、同省牡丹江市で下水道工事中に毒ガス缶が見つかり、4人の作業員が被害(3)95年8月、同省双城市の道路工事現場から発見された砲弾の信管を抜く作業中に破裂。農作業中の2人が死亡し、1人が重傷を負った。
 判決はまず、いずれの被害者も旧日本軍の遺棄兵器で死傷したと認定した。旧日本軍による遺棄行為について「単に物を置き去りにするという行為にとどまらず、生命や身体に危険な状態を積極的に作り出す作為的行為だ」と指摘した。そのうえで「日本政府には危険な状態を解消し、事故を回避するための義務がある」とし、72年の日中共同声明により、その義務を履行することが可能になったのに、それを果たさず各事故が発生したと認定した。
 さらに、74年の事件については民法の規定で20年の時効(除斥期間)が成立しているものの、「国がその適用を受けて損害賠償義務を免れることは著しく正義に反する」として適用を認めなかった。
 日本政府側は、事故を予見することはできなかったとして争っていた。
 今年5月、東京地裁の別の裁判部は同種訴訟の判決で、毒ガスの遺棄を違法と認定しつつも、「主権の及ばない中国で兵器を回収することは困難だ」として日本政府に撤去義務はなかったと判断し、原告の請求を棄却したが、原告側は東京高裁に控訴している。
 中国に遺棄された兵器は推計で70万発とされる。化学兵器禁止条約に基づいて07年の期限までに処理する必要があるものの、作業は遅れており外交問題となっている。今回の判決により、まだ地中や水中に残されている毒ガスなどによる被害が再発しないよう早急な撤去を求める声が強まりそうだ。

【旧日本軍の毒ガス・砲弾遺棄をめぐる主な動き】
1945年ごろ 旧日本軍が毒ガス弾など約70万発を中国各地に遺棄(日本政府の調査による)
 74年10月 黒竜江省佳木斯市で浚せつ船が毒ガス弾を巻き上げ、原告の李臣さんら作業員が被害
 82年7月 同省牡丹江市で発見された毒ガス缶で被害
 91年   日本政府が現地調査に乗り出す
 95年8月 同省双城市で砲弾が爆発し、3人死傷
 97年   化学兵器禁止条約が発効
 99年   遺棄兵器除去の協力に関する覚書を日中政府が交わす
   8月 同省チチハル市の建設現場で毒ガス缶が見つかり、1人死亡、40人以上が負傷
   9月 同市の事故で日本政府は1億円を支払う方針決める

◎伸びる上海、沈む地盤、高層ビル林立が拍車(2003年9月29日、朝日新聞)
 高層ビルが林立する上海の金融街で、毎年1.5センチ程度のペースで地盤沈下が進んでいることが分かった。上海の週刊紙外灘画報の最新号が伝えた。専門家は、90年代から進んだ高層ビルの建築ラッシュが沈下に拍車をかけ、安全に支障がでる恐れもあると指摘。市当局も、高層ビル建築の規制に乗り出す方針だ。
 上海市内には、昨年末の時点で18階以上の高層ビルが約2800棟もある。上海交通大学の朱栄林教授によると、上海は長江の下流域に位置することからもともと地盤が軟らかく、20年代以降、1メートル以上も沈下している。しかし、90年代以降は沈下の理由の7割が地下水のくみ上げ、3割が高層ビル建築によるものとされ、特に地上88階建ての世界第3位の高さのビルなど高層ビルが集中する「陸家嘴」地区では、年に12~15ミリ沈んでいるという。
 一般的には地盤は平均して沈むため、建物本体への影響はそれほど大きくない。ただ、高さも形もばらばらの高層ビルが集まると不均衡な沈み方をする可能性がある。
 上海市地質学会の専門家も「地盤沈下の速度が速すぎたり、偏った沈み方をしたりすれば、高層ビルの安全に支障をきたす恐れもある」と指摘する。
 市議会にあたる上海市人民代表大会は10月に常務委員会を開き、都市計画条例の修正案を審議。高層ビルの建築に規制を設ける方針だという。

◎中国で深刻な電力供給不足、経済成長の足かせにも(2003年9月27日、読売新聞)
 中国の電力不足問題が深刻になってきた。電力の供給不足は早くとも2005年まで改善の見通しが立っておらず、今後高い経済成長を維持していく上での足かせにもなりかねない。(北京:東 一真)
 今月4日、上海呉●第2発電所(出力120万キロ・ワット)で突然ブレーカーが落ち、送電が止まる事故が発生した。今夏の猛暑で急伸した電力需要に対応するため、無理な運転を続けたのが原因と見られる。浙江省などから電力を振り向けてしのいだが、米加で起きたような大停電を懸念する声さえ出ている。(●は「徑」のギョウニンベンをサンズイに)
 中国経済時報によると、浙江省温州市では2、3日に1日の割合で昼間に停電が起こり、10月までこの状態が続く見通しという。
 この夏は、上海市や浙江省、江蘇省など長江デルタ地域を中心に停電や電力の供給不足が深刻化、操業が制約された工場も相次いだ。上海市内にある日系の音響関連メーカーの工場は、今月半ばまで平日の稼働を減らし、土日操業で代替。上海市政府から電力不足を理由に振り替え操業を求められたからだ。
 別の日系化学メーカーも、「2度も突然停電になった。24時間稼働が必要なプラントが止まり、大騒ぎだった」と振り返る。
 中国の今年1~6月の電力消費は、前年比15・4%増の8616億キロ・ワット時に達した。同期の国内総生産(GDP)の伸び率は8.2%のため、電力消費は経済成長の2倍近い勢いで伸びている。
 需要が急増した原因は、アルミニウム精錬など電気を使う産業が国内で急成長したことだ。また、生活水準の向上に伴ってエアコンが普及したことも大きい。都市部の普及率は約50%に達しており、2000年に比べて12%増だ。
 中国政府はこうした需要の急拡大を予想できず、第10次5か年計画(2001~2005年)では、発電所建設計画のベースとなる電力需要見通しで、電力消費の伸びをGDPよりも低く見積もっていた。計画策定当時は、電力消費の伸びがGDPの伸びを下回っていたため、読み誤ったと見られる。
 あわてた政府は今夏、浙江省に建設していた原子力発電所を予定より3か月早く稼働させた。大規模プロジェクトの三峡ダムにある2基の水力発電機が7月に出来上がったが、同ダムの別の2基についても予定を前倒しして年内稼働にこぎつけたい考えだ。
 ただ、1820万キロ・ワットの三峡ダムの発電を含め、現在建設計画がある発電所の総発電規模は8840万キロ・ワットしかない。このうち、2005年までに完成予定のものは5500万キロ・ワットにとどまる。
 一方、最新の需要見通しによると、2005年までに7500万キロ・ワット以上の新規電源開発が必要になるため、同年では差し引き2000万キロ・ワットが不足する勘定だ。日本の九州電力の発電総量が1900万キロ・ワットであることを考えると、深刻な事態だ。
 第11次5か年計画(2006―2010年)を策定中の政府は、発電能力を大幅に強化する方針だ。しかし、「世界の製造工場」の発展は当面続く見通しで、産業用の電力需要の一段の伸びは必至。民生用でも、値崩れが続くエアコンの一般家庭への普及がさらに進むことなどを考えると、再び計画を上回る電力需要が生じる可能性もある。
 2002年の総発電量のうち、火力発電は81.7%、水力が16.6%で原子力は1.6%と、中国は火力発電に大きく依存している。今後も電力供給の多くを火力に負うと見られるが、CO2排出が多いことから環境面での制約も予想され、構造的な電力不足体質から抜け出すのは容易ではない。
 ジェトロ北京事務所海外電力調査室の諸岡秀行室長は、「電力不足は経済成長の非常に大きな制約要因になる可能性がある。日本企業も、中国政府が実際にどんな対策を取っていくかを注意深く見守る必要がある」と話している。

◎給食にネズミ駆除剤、400人以上入院、中国の小学校(2003年9月27日、朝日新聞)
 中国湖南省岳陽の小学校で給食を食べた児童や教師ら450人が吐き気や頭痛を訴え、27日までに400人以上が入院、4人が重体、22人が重症という。地元紙などが伝えた。
 23日朝の学校給食が終わって、児童らが異常を訴え始め、地元の病院へ次々と収容された。省疾病対策センターが入院者の血液や嘔吐(おうと)物を調べたところ、ネズミ駆除剤「毒鼠強」が検出されたという。衛生局などの調べでは、毒物は給食のケーキから検出された。地元の警察は「人為的に混入された可能性が強い」として捜査を始めた。
 この駆除剤は昨年9月に南京郊外の軽食店で起きた毒物混入事件にも使われ、当局発表では児童・生徒ら38人が死亡。製造、販売とも禁じられた。

◎普通パスポートを持つ日本国民の査証なし中国への短期訪問に関して(2003年8月25日、中華人民共和国駐日本大使館HP)
1. 2003年9月1日より、普通パスポートを持つ商用、観光、親族訪問、トランジットの目的で入境する日本籍の者は、入境日から15日以内の場合ノービザ。その時、必ず外国人に開放する飛行場、港から入境し、イミグレーションで有効のパスポートを提出しなければならない。
2. 2003年9月1日より、普通パスポートを持ち、15日を越えて滞在する者、或いは留学、就業、定居、取材者、及び外交、公務パスポートの者は今まで通り、現在の法律と規定に基づいて、中国大使館総領事館でビザを申請する。
3. 日本の航空会社の乗務員は今までどおり中日間の協議に基づいて行われる。
4. 15日以内の滞在のつもりで入境した日本人がもし15日を越えるような場合は、現地の公安局の入境管理部門でビザの申請をする。停留期間を超過した者は、公安機関とイミグレーションで規定に基づく処罰が与えられることになるので注意すること。

◎中国、私有財産保護を憲法で明確化(2003年8月12日、日本経済新聞)
 【北京=石川正浩】中国共産党は11日の政治局会議で、第16期中央委員会第三回全体会議(三中全会)を10月に開くことを決めた。新華社電は主要議題となる憲法改正について「広範な人民の根本的な利益の維持、発展のため法律的な保障を提供する」としており、私有財産の保護を憲法で明確化する見通しだ。
 中国の経済成長のけん引役である私有企業の財産保護は、憲法で保障されているものの、国有財産の「不可侵」規定に比べて拘束力が弱い。このため、国家による接収などを恐れる私営企業家や個人が資産を海外に持ち出すなどの動きもある。

◎中国・河北省で爆破事件、新疆独立派の犯行か(2003年2月6日、朝日新聞)
 5日付の香港紙明報は、消息筋の話として、中国河北省滄州市で1月末、少数民族ウイグル人の東トルキスタン(新疆(シン・チャン))独立派の犯行とみられる爆発事件があり、警察官1人が死亡、負傷者が多数出たと伝えた。すでに複数の容疑者が逮捕された模様だ。滄州は首都北京から南約150km。
 また台湾・中央通信社の4日のアンカラ電によると、新疆ウイグル自治区の主要都市で中国当局が独立派の大規模摘発に乗り出した。トルコ居住のウイグル独立運動関係者の話では、ウイグル人の若者350人以上が拘束されたという。

◎厳寒の中国、電力不足が深刻、工業化の沿海部中心に(2003年2月1日、朝日新聞)
 厳しい寒さが続く中国で、電力供給不足が広域にわたって起きている。31日付の中国の英字紙チャイナ・デーリーによると、2002年12月以来、沿海部だけでなく、四川省、河南省といった内陸でも停電が深刻化している。
 上海市、浙江省など沿海都市部では企業立地の伸びに加え、例年にも増して厳しい寒さが電力需要を急増させた。産業用電力を確保するため、一般住民向けを一時的に止めて急場をしのいでいる。
 国内エネルギー源の3分の2を占める石炭は、前年より増産しているが需給は逼迫(ひっぱく)。また河川の水位低下で水力発電所の能力が落ち、水力への依存度が高い四川省では12月から、10%もの供給不足が生じている。1月は省内で1日当たり延べ880回の停電があったという。
 寒さが緩むとともに改善する見込みだが、冷房用需要が増す夏に再び不足が生じるとみられている。長期計画で電力需要の伸びを低く見積もり、発電所建設が遅れたのが原因という指摘もある。

◎新疆の男性を国家転覆扇動罪で起訴、ネット言論締めつけ(2003年1月16日、朝日新聞)
米国の人権団体「中国人権」は15日、新疆ウイグル自治区ウルムチ市在住の文筆家陶海東氏(45)がネット上で発表した文章を理由に国家転覆扇動罪で逮捕、起訴されたと発表した。
 陶氏はこれまで中国の民主化の提案や体制批判の文章をネット上に発表。2002年7月9日、党や国家指導者を侮辱したなどとして自宅で現行犯逮捕されたという。
 中国人権によると、2002年11月以来、「ステンレスのネズミ」というペンネームで当局を風刺する文章を発表していた北京師範大学生劉荻氏や、ウェブサイト「民主と自由」を主宰していた李毅斌氏など逮捕が相次ぎ、ウェブ上の言論への締めつけが強まっている。

◎ナンバー3万元、遠い上海マイカー時代(2003年1月13日、NNA)
上海での自家用車ナンバープレート取得費用が昨年、ついに3万元を超えた。上海大衆、上海通用(GM)と大手自動車メーカーが拠点を構え、自動車産業を重点産業の柱に据えている上海だが、マイカー市場では北京や広州、成都の後塵を排しているその背景には、ナンバープレート政策がある。
 上海ではマイカーの総量コントロール策として、ナンバープレートの発行数を制限し、競売方式を採用している。11月は3,200枚を発行、最低落札価格は3万800元、平均は3万1,721元と過去最高額に達した。12月は発行枚数の増加と様子見の心理から、入札者が発行枚数に達せず、図らずも最低価格100元となったが、平均価格は2万7,800元と高水準を保った。3万元台の乗用車があることを考えるとその突出ぶりがよく分かる。
 競売が始まったのは1992年。当時は台数規制というよりは、好きな番号を競り落とすもので、マイカーとはいえ会社の認可が必要だった。その後当局は車両数のコントロールを目的とした競売制度の整備を進め、1994年に「上海市私人自備車、両輪摩托車上牌額度競購弁法」を公布、1994年7月から毎月1回の競売が開始された。会社の認可は必要ないが、入札開始価格が決められており、1998年までの最高落札価格は16万8,000元に達した。
1998年には、上海製のサンタナは2万元から、その他の地域生産の車両は10万元からと開始価格に差をつけた地方保護主義を全面に出した競売となった。こうした上海のやり方は当然、他都市の反感を買い、湖北は、基金の名目でサンタナ購入者に7万元の支払いを義務付け、吉林や天津などでも同様の規定が相次いで出された。その後、保護主義を撤廃し、2000年からは開始価格を設定しない競売が始まった。
 こうした制限の中でも、昨年は各メーカーの相次ぐ新車発表と値下げに加え、しばらくはナンバー開放はないとの見方から、市場は刺激され、今年は発行枚数の増発にもかかわらず、最低落札価格は右肩上がりの上昇、上海富裕層のおう盛な購買力が浮き彫りとなった。
 だが、全体的にみると2001年のマイカー市場(国家統計局発表)では、トップの北京(62万台)に対し、上海は8万7,000台で6位にとどまった。都市部住民の収入では全国一の上海(1万2,883元)だが、7位の重慶(6,721元)との差はわずか5,000台。潜在市場規模を考慮すると、ナンバー規制の効果はかなり大きいことが分かる。中央政府は第10次5カ年計画(2001~2005年)には「マイカー所有奨励」を盛り込み、各地方自治体はナンバー政策を緩和している。ナンバー取得費用は北京で144元、南京で124元。一方、上海は今年発表した交通白書に、ナンバープレートの発行制限による総量規制を継続することを明記した。
 上海と他都市の政策のすき間に目をつけた販売店は、他地域のナンバープレートでも上海で支障なく走行できることから、「異地上牌」つまり杭州や蘇州など、周辺都市でのナンバー取得サービスを始めた。
 奇瑞汽車のある特約代理店は、上海のナンバー代行のほか、浙江省のナンバー取得代行も手掛ける。例えば販売価格が10万2,900元の場合、約1万元の上乗せで、浙江ナンバーを取得、毎年1度の取得地での車検も代行するという。吉利汽車のディーラーは販売価格に1,000元プラスで江蘇省太倉市のナンバーを代行する。他都市のナンバーについて、いつ、何らかの制限が科せられるか分からないという不安定要素があるが、経済の中心地として他地域車両の通行制限は現実的ではない。
 加速する道路や駐車場インフラ整備も、車両増加数には追いついていない格好で、慢性的な交通渋滞に悩まされている上海。車両価格が下がってもその下げ幅を、ナンバー取得価格の上昇が軽く上回る現状では、値下げによるマイカー増は期待できないだろう。上海のモータリゼーションはまだ遠いようようだ。

◎電力不足の危機、今夏に広範囲で発生も(2003年1月10日、NNA)
2003年夏から2004年にかけて、広範な地域で電力不足が深刻化する可能性が出てきた。専門家によると、電力消費が発電量の増強計画を上回る勢いで増加している。2004年はさらに供給状況が厳しくなるとも指摘されている。
中国新聞社電が国内の業界紙を引用して伝えたところによると、電力部計画司の司長を勤めた経験があり、現在は国家能源投資公司の副総経理である呉敬儒氏は、全国12ブロックの電力供給ネットワークのうち、余剰電力があるのは東北と海南のみと分析。かつて豊富だった四川地区の電力も、今年は他地域への供給ができなくなると指摘している。呉氏は電力の不足について、「1998~2001年当時の政策ミスが原因」とみている。
当時の判断では、全国規模で見れば電力は余剰しており、消費量の伸びも3~4%にとどまるとされ、大きな発電施設建設計画が進められなかった。第10次5カ年計画期間(2001~2005年)の後半3年間で増強される発電能力は6,000万キロワットだが、2002年1年だけで消費量は3,000万キロワット増えているという。
このため、呉氏は、有効な措置を採らなければ、今夏には広範囲で電力不足となると分析している。特に華東や四川、広東、さらに中央主導の大型発電プロジェクトがない華中ブロックの河南省で、電力不足は深刻になるとみている。
一方で当局側は9日付人民日報で、「今年は局部的に電力が不足するかもしれないが、総体的に見れば受給バランスは安定しており、消費者への影響は少ない」と反論している。
今冬に一部地区で起きている電力不足については、
1. 気温の低い日が続き、石炭やガスによる暖房施設がない長江以南地域で需要が急増した
2. 年末で商工業用の電力需要が増えた
3. 水不足で水力発電の効率が下がった
4. 石炭価格の上昇により、火力発電施設の発電量が落ちている
とし、政策的なミスではなく外部要因によるものとの見方をしている。

◎WTO加盟から1年~金融を振り返る(2002年12月11日、NNA)
世界貿易機関(WTO)加盟で一気に開放が加速した銀行・保険・証券業界。1年目の今年は、外資の様子見もありシェアなどに大きな変化はなかったものの、もともと地場系の基盤がぜい弱な分野だけに、外資系の存在感は確実に強まっている。同時に地場系も外資のやり方などを見て経営方法を変えつつあるようだ。
WTO加盟に伴い、中国は外銀に対し中国公民・企業向けの外貨業務を認可。人民元業務は加盟前からの上海、深センに加え、加盟時に天津と大連で、今月からは広州、珠海、青島、南京、武漢での取り扱いを正式に認可した。だが1年たった現在、地場系銀と外銀とでシェアなどに大きな変動は起きていない。
外銀が最も多い上海では、1~9月の預金の伸びが国有商業銀で18%だったのに対し、外銀は25%に達しており、外銀人気がうかがえた。一方で貸付の伸びは国有商業銀10%に対し、外銀は1%以下にとどまった。外銀の資産総量の伸びは6ポイントダウン。市場開放の影響は最小限にとどまったといえる。
ただし外資系の存在感は確実に強まっている。南京エリクソンが巨額資金の借入先を地場系からシティバンクに切り替えたことは、「市場開放が進めば、企業は取引行をサービス・信用度ともに上の外銀に変える」ことを予感させる象徴的な事件と受け止められ、地場系は危機感を強めた。外銀が小額預金に対し手数料を徴収したことも地場系を刺激。手数料の徴収を検討し始めるなど、サービス意識とともにコスト意識も変わりつつある。
HSBCなど3行が上海銀行の株式18%を取得、カナダのノバ・スコシア銀など2行が西安市商業銀行への出資を決めるなど、中小銀行への経営参画を通した進出も静かに起きている。迎え撃つ地場系は、外資の進出が本格化する前に不良債権比率を引き下げたり、自己資本率を引き上げ、経営体力を高めることが課題となっている。
保険業界では、WTO加盟時に4社が認可されていたが、その後も日系を含め計6社が認可されており、1年間で10社と比較的早いペースでの進出となった。
地域的には上海と広州に加え、北京と天津での業務が解禁された。北京では米大手金融・保険グループ、AIG傘下のAIAの支店が6月に開業、同市初の外資100%による保険会社となった。天津ではカナダ最大手のサンライフが合弁の生命保険会社を設立。英大手のスタンダードライフも合弁生保を設立することを決めた。
地場系の保険会社が海外大手の出資を受け入れるケースも相次いだ。中堅損害保険の華泰保険は米保険大手・エースグループの3社に株式の22.13%を売却。中国平安保険はHSBCに株式の10%を譲った。外資を取り込んで資金を充実させると同時に、ノウハウや技術を導入し、競争力を高めるのが狙いのようだ。
政策面では、自動車保険の保険料率が来年から自由化されることが決まるなど、計画経済色の強い政策は姿を消しつつある。
銀行・保険に比べると対外開放の遅かった証券業界だが、外資が中国の証券会社やファンド管理会社に出資する際の規定について定めた規則が7月に施行されるなど、法整備が進んだ。合弁証券会社は3月に国内2番目となる中銀国際証券が発足。内藤証券が上海B株取り扱いの域外代理商資格を認可され、野村証券上海事務所が証券取引所の特別会員になるなど業務の対外開放が加速した。合弁のファンド管理会社は4社が認可された。
今月からはQFII制度の導入で資本市場を限定開放、海外の機関投資家によるA株取引が可能となるなど、市場も海外との結び付きを強めている。

◎オムロン、中国現法に能力主義-“わかりやすさ”で人材確保(2002年12月5日、日刊工業新聞)
オムロンは中国で四半期ごとに社員の能力評価を行い、賃金に反映させる「クウォータリーマネジメントシステム」の導入を拡大する。現地子会社に2001年に導入以来、これまで中国全体で6法人の運用を始めている。同システムが現地社員のモチベーションや定着率の向上に結びついていることから、残る13法人にも今後順次導入していく。能力を考慮した成果主義に基づく査定制度は、わかりやすい賃金制度として中国人に受け入れられており、優秀な人材獲得にもつなげたい考え。
 中国は“世界の工場”として急速に製造インフラが整備されている。そこで、豊富な人材と労働力を生かすため、オムロンは能力評価を公平に行う「クウォータリーマネジメントシステム」の導入拡大が最適と判断した。

◎来年の携帯市場、大幅な供給過剰へ(2002年12月3日、NNA)
来年は携帯端末市場が大幅な供給過剰となる見通しだ。メーカー各社の生産計画を総合すると、供給量は1億7,000万台。一方の需要は5,000万~7,000万台にとどまると予測されており、価格競争の激化、メーカーの淘汰(とうた)が加速しそうな気配だ。
家電量販大手の蘇寧電器は1日、南京市にメーカー14社を集め、来年度向けの携帯電話機の買い付けを行った。当日はモトローラやノキア、シーメンス、TCL、康佳、科健、波導など12社が参加。蘇寧電器の160万台、20億元分の購買会は、さながら携帯市場の縮図、来年の動向を反映する場となった。
蘇寧電器の購買成約リストを見ると、70%が1,500元以下の機種。中でも1,300元前後が全体の55%を占めている。一方でGPRS、カラー液晶やデジタルカメラ搭載機種の購買にも力を入れており、価格が2,200元以上の機種は20万台が契約されている。
メーカー別では、モトローラが全体の4分の1に当たる5億元分の受注を獲得。海外ブランドの強さを見せつける結果となった。
購買会に集まった各社は、いちように来年の供給過剰について懸念を示している。 康佳通信科技の曽ユウ(火へんに日に立)副総経理は「携帯生産は利益率が他製品より高い。新規参入が増えるのは当然の結果」とし、「価格競争は避けられない現象」と語っている。かつてカラーテレビの価格競争を経験した熊猫電子集団のトウ偉明副総裁は「来年は盲目的な生産拡張はしない。価格競争にも参入しない」としている。
12月2日付広州日報によると、国産ブランドの携帯端末は、昨年下半期からTCLや波導を中心に価格下落が目立ってきている。国産ブランド各社は「海外ブランドが価格競争に参入すれば、国産は非常に厳しくなる」と警戒を強めている。

◎映画も真っ青!飲茶老舗で富豪殺人(2002年12月2日、朝日新聞)
 老舗の飲茶店で友人と語らう富豪に、突然近づく殺し屋。富豪は短銃の一撃で血の海に倒れる:ギャング映画ばりの事件が30日朝、香港の飲茶の名店として知られる陸羽茶室で起きた。
 殺されたのは貿易・不動産業経営者の林漢烈氏(54)。地元紙によると、林氏は、友人3人と来店、飲茶を楽しんでいた。犯人の男は4つ離れた席で1人で食事をしていたが、席を立ち、カウンターでトイレの場所を尋ね、トイレに行ったあと、林氏に近づき右腕で林氏の頭を羽交い締めにし、左手に持った短銃で左のこめかみを撃って、逃走したという。
 男は短銃をトイレに隠していたとみられ、地元紙は「映画『ゴッドファーザー』か『男たちの挽歌』並みの手口」と伝えた。香港人の使う広東語ではなく、大陸で使われる普通話でトイレの場所を尋ねたことから、警察は「何者かに雇われた大陸出身のプロの殺し屋ではないか」とみている。
 林氏はオフィスビルなど不動産転売ビジネスで成功。葉巻好きで、「葉巻の林」と呼ばれていた。最近、ゴルフ場をめぐりビジネスパートナーと紛争になっているほか、商売上のトラブルもいくつか抱えていたという。
 陸羽茶室は香港の中心部、中環(セントラル)にある33年開店の老舗。香港の富豪たちのほか、キッシンジャー米元国務長官やパッテン前香港総督ら内外の名士が常連客という。

◎毒物混入した疑いで容疑者逮捕 南京の集団食中毒(2002年9月17日、朝日新聞)
 中国・南京で起きた集団中毒事件で、香港紙文匯報は17日、軽食店経営者のいとこの陳正平容疑者が毒物を食品に混入した疑いで逮捕された、と伝えた。
 同紙によると、陳容疑者は以前、同店で働いていたが、経営者と不仲になり、近所に別の軽食店を開いた。しかし前の店ほど繁盛せず、恨みを抱いていたらしい。事件のあった14日朝、軽食店経営者は顔なじみの陳容疑者に小麦粉をこねるのを手伝うよう依頼。この時、井戸に殺鼠剤(さっそざい)を入れたほか、小麦粉にも混ぜたという。
 事件後、陳容疑者は列車で逃げようとしたが、寝台車内で鉄道警察官に逮捕され、南京の警察に引き渡されたという。

◎ネズミ駆除剤の成分検出か?南京食中毒事件で中国当局(2002年9月16日、朝日新聞)
中国江蘇省南京市で14日起きた食中毒事件で、市の衛生局、公安局は中毒被害者の食べた物からネズミ駆除剤の成分を検出した模様だ。中国衛生省系の健康報(インターネット版)が16日付で報じた。「毒鼠強」という駆除剤で毒性が強く、今のところ即効性のある解毒剤はないという。
 同日付英字紙チャイナ・デーリーは、「事件は何者かによって故意に毒物が混入されて起きたとみられ、引き続き捜査中だ」とする江蘇省当局者の発言を伝えた。
 同紙によると、200人以上とされる中毒被害者の総数はさらに膨らむ可能性もあるが、同当局者は「死者は100人を下回る」と断言しているという。

◎死者100人以上か 南京中毒事件で香港のTV報道(2002年9月16日、朝日新聞)
 中国・南京郊外で起きた集団中毒事件で、香港の有線テレビは16日、現地警察関係者の話として死者が100人以上に達していると伝えた。
 香港各紙は、何者かが毒物を軽食店の工場の井戸に入れたとの見方を強めている。大衆紙太陽報は、毒物の残るガラス瓶が井戸のそばで見つかったと伝えた。文匯報は病院の話として、毒物が禁止されている殺鼠剤(さっそざい)テトラミンと特定されたと報じた。
 香港・有線テレビは地元で箝口令(かんこうれい)が敷かれている模様を伝え、地元村長が「中央の宣伝部と公安部の許可がない限り、国営新華社でも報道できないことになっている」と住民を怒鳴りつける場面を放送した。
 軽食店主は身柄を拘束され、聴取を受けている模様だ。東方日報は店員1人が事件後行方不明で、事件との関係が疑われている、と伝えた。
 明報によると、収容された中毒者の容体は落ち着いているが、専門家によると、テトラミンには中枢神経を傷つける作用があり、記憶障害などの後遺症の心配もある、としている。

◎中国、昨年の犯罪容疑者17.6%増84万人(2002年3月11日、日本経済新聞)
 中国の最高人民検察院は11日の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、2001年に摘発した犯罪容疑者が84万1845人と前年に比べ17.6%増えたことを明らかにした。そのうち汚職の立件数は3万6447件で4万195人にのぼった。100万元(約1600万円)以上の「特大」贈収賄事件は1319件に達した。
 最高人民検察院、最高人民法院は今年の活動目標で世界貿易機関(WTO)加盟への対応への強化を課題として挙げ、最高人民検察院の韓杼浜検察長(検事総長)は活動報告で「法執行の際の透明度と信頼度を上げ、知的財産権に関する犯罪やマネーロンダリング(資金洗浄)に厳しく対処する」との方針を示した。
 最高人民検察院の活動報告によると、2001年は(1)「黒社会(暴力団)」による犯罪(2)爆発物を使った殺人・強盗などの暴力犯罪(3)窃盗――を重点取り締まり対象とし、「厳打(犯罪撲滅キャンペーン)」を展開。この3分野で摘発した犯罪容疑者は45万4587人にのぼった。

◎中国首相、7%成長めざす・全人代で表明へ(2002年3月2日、日本経済新聞)
 中国の朱鎔基首相は5日に開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、今年も7%程度の経済成長率を目指すことを明らかにする。昨年12月の世界貿易機関(WTO)への加盟を踏まえ「経済開放のレベルを全面的に引き上げる」との方針も打ち出す。ただ、中国が高度経済成長を続けられるかどうかは米国経済の動向に左右されそうだ。
 全人代は15日までの11日間の予定。中国は2001年に政府目標の7%を上回る7.3%成長を達成したものの、10~12月期の国内総生産(GDP)は実質で6.6%の伸びにとどまった。対米輸出額の前年比伸び率も2000年の24.2%から2001年は4.2%へと急減速している。中国が今年も7%成長に全力を挙げるのは、国内の「安定」を最優先課題に掲げているからだ。WTO加盟のあおりもあって、13億の人口の約7割を占める農村部や国有企業などで失業率がさらに上がる可能性があるため、雇用創出に向けた高成長が欠かせない。

◎違法炭坑でガス爆発、4人死亡(2002年2月3日、人民網日本語版)
湖南省婁底市管轄下にある漣源市安坪鎮の違法炭坑で、2日午前3時ごろガス爆発事故が起こり、現在までに少なくとも4人の死亡が確認されている。
爆発事故を起こした炭坑は「復興炭坑」と呼ばれており、事故発生前、現地政府から閉坑命令を出されていた。現地政府の関係部門は2日午前、炭坑の電源を強制遮断した。ところが、炭坑を経営する個人事業者はこのところの石炭価格の上昇に目がくらみ、政府の閉坑命令を無視して勝手に電源を開いて採掘を始め、爆発事故を起こした。

◎中国のインターネット人口、昨年は106万人増加(2002年1月7日、人民網日本語版)
インターネットの接続料の値下げやブロードバンドの導入などにより、中国のインターネット人口は昨年1年間で106万人増加し、合計1591万人に達した。
統計によると、ユーザーの月平均接続料は150~200元となり、許容できるレベルに収まった。
中国電信の固定資産投資の拡大により、昨年1~11月の固定資産投資額は前年同期比54%増の1979億元を突破。とりわけ広帯域幅問題の解決に巨額の資金を投入したこともあり、全国のブロードバンドの普及を促した。

◎ダライ・ラマ問題について談話を発表 外交部(2001年11月30日、人民網日本語版)
外交部の章啓月報道官は29日の記者会見で、ポルトガル大統領が28日ダライ・ラマと会見したことについて談話を発表した。章報道官の談話は次の通り。
中国は同問題について、すでに何度もポルトガル側に厳正な申し入れを行ってきた。しかしポルトガル側は、ダライ・ラマの訪問だけでなく大統領や政府高官との会見まで許可した。中国はこれに対し強い不満と断固たる反対を表明する。
ダライ・ラマは単なる宗教指導者ではなく、宗教の名を借り、長期にわたって国外で祖国の分裂や民族団結の破壊の活動を行っている政治亡命者だ。われわれは訪問場所や訪問の肩書きに関係なく、祖国の分裂と民族の団結を破壊するダライ・ラマの政治活動に反対する。また、いかなる国や地域であれ、名義や形式に関係なく政府当局者がダライ・ラマに訪問を招請し、会見することにも反対する。われわれはポルトガルが2国間関係の大局を考慮し、中国側の同問題に対する厳正な姿勢を重視して、同様の事件の再発を防止するとともに、両国の友好協力関係の健全かつ安定した発展を確保していくよう希望する。

◎米国による台湾への潜水艦売却を非難(2001年11月21日、人民網日本語版)
外交部の章啓月報道官は20日、米国企業による台湾向け新型ディーゼル潜水艦売却について双方が合意に達したことについて、中国政府はこれに強く反対するとの見解を示し、次のように述べた。
中国は、米国による台湾への武器、特に潜水艦の売却に反対しており、この問題については何度も米国側と交渉を行なってきた。中国政府は米国政府に対して、台湾向け武器売却の危険性を正確に認識すると同時に、中米間の3つの共同コミュニケ、特に「8・17コミュニケ」の関連規定を厳守し、台湾への潜水艦や武器売却を中止し、中米関係が損失を被ることがないように求める。

◎三徳、中国産のニッケル水素電池材料を高品質化(2001年7月24日、化学工業日報)
 三徳は、包頭三徳電子材料有限公司(三徳と仏ローディアの合弁事業)のニッケル水素電池材料の品質を大幅に引き上げ、年内に国内品や米国で生産している製品と同水準に高品質化する計画。これまでは中国国内企業向け品質での出荷が行われており、国際水準のニッケル水素電池原料の品質としては不十分だった。品質の改善によって、日米中の3拠点で同一品質による原料供給体制が確立される。ニッケル水素電池原料でグローバル展開を行っているのは同社だけであり、原料希土類金属からの一貫生産の強みを生かした供給ネットワークが大幅に強化される。

◎電線盗んだ農民4人に異例の死刑判決(2001年7月24日、朝日新聞)
 北京市第2中級人民法院は20日、電線などを盗んでいた農民21人に対する公開裁判を行い、全員に有罪判決を下した。4人を死刑、2人を執行猶予2年付きの死刑とし、8人を無期懲役にした。
 新華社電によると、21人は99年から00年にかけて、北京や河北省などで37回にわたり、ケーブル計5万6千メートル分を盗み、4期の高圧電線鉄塔を倒した。計221万間(日本円で約3300万円)相当の損失を国家に与えたという。
 中国でも電線の窃盗での死刑判決は極めて異例。新華社電は「電線を盗んで売ることで死刑になるとは、農民たちは夢にも思わなかっただろう」と伝えた。

◎石原産業、中国から酸化チタンを大量受注(2001年7月19日、化学工業日報)
 石原産業は、中国からの酸化チタンの大口受注で契約した。2001年第1四半期出荷分でルチル型酸化チタンの5000トンまとめての発注で、1トン当たり50ドルの値上げで決着したアジア市場向け新価格が適用される。ここ数年の間、中国の酸化チタン需要は好調に増加しており、1999年の輸入量は約11万トン、2000年も13万-14万トンが輸入されたとみられている。

◎中国で塩ビ樹脂生産計画-台湾FPCグループ(2001年7月19日、化学工業日報)
 台湾プラスチックス(FPC)グループが3億ドルを投じて中国本土に石油化学プラントを建設する計画が浮上している。建設するのは塩化ビニル樹脂(PVC)プラントで、実現すれば同グループにとって中国で初のPVC生産拠点になる。台湾政府は5000万ドルを超える対中投資を原則禁じているが、中国への進出ブームが高まるなかで産業界からの規制緩和圧力も増している。FPCグループは中国での投資プロジェクトを管理する事務所も上海に開設する予定で、今後、中国での投資を積極化する。

◎三洋電機、中国でのニッケル水素電池パック加工の生産能力を増強(2001年7月16日、日刊工業新聞)
 三洋電機は中国・天津市にあるニッケル水素電池生産工場での同電池パック加工の生産能力を大幅に増強する。8月中に月間60万個から同160万個に引き上げる。携帯電話向けを中心にした現地需要の増大に対応するのが狙い。三洋は天津では6月にパック加工する前のニッケル水素電池本体(素電池)の生産をスタートしており、これで素電池からパック加工までの一貫生産体制も整えた。
 三洋電機が生産増強するニッケル水素電池生産工場は「天津藍天三洋電源有限公司」。携帯電話用電池は基本的に、携帯電話端末メーカー向けのOEM(相手先ブランド)製品であり、端末ごとの仕様に合わせてパック加工して納入する。
◎台湾の大王電子、中国工場拡大・半導体増産(2001年7月6日、日本経済新聞)
 台湾の半導体メーカー、大王電子は約4億ドルを投じて中国に半導体工場を新設する。直径8インチ(200ミリ)のシリコンウエハー換算で年間2万枚の生産能力を持つ工場を2003年初めに稼働させる計画だ。新工場は大王電子の中国関連会社、南科集積電子が広東省珠海市に設ける。昨年末に稼働した同社の直径6インチ(150ミリ)ウエハー工場に隣接する8800平方メートルの敷地を珠海市政府から無償で譲り受ける。
 各種デジタル機器向けの半導体製品を中国の家電メーカーなどに供給する予定。ウエハーに電子回路を描く線幅が0.20マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートルという微細加工技術を持つ中古の製造装置を「米国や日本のメーカーから購入することで投資額を低く抑える」(南科集積電子の呉緯国董事長)という。米政府は0.25マイクロメートル以下の製造装置の対中輸出を認めていないが、呉董事長は「中国の世界貿易機関(WTO)加盟を受け規制は緩和される」と期待している。

◎WTO中国加盟、11月承認で基本合意(2001年7月4日、日本経済新聞)
 世界貿易機関(WTO)加盟国は3日、11月の閣僚会議で中国の加盟を承認することで基本合意した。年内にも申請以来15年ぶりに加盟が実現する。社会主義市場経済の独自路線を歩む中国が多角的通商ルールの枠組みに参加、国際社会とのかかわりを飛躍的に深めていく歴史的な転換点を迎える。
 既に加盟条件交渉を実質的に終えている台湾も中国と並び、時間差を置かずに加盟承認を受ける見通しだ。既に加盟国・地域が140を超えているWTOは中台の加盟により、世界経済システムの中で一段と重みを増す。今後はロシア、サウジアラビア、ベトナムなどの加盟交渉を急ぐとともに、難航している多角的通商交渉(新ラウンド)の早期立ち上げを目指す。先月28日から大詰めの調整を続けているWTOの中国加盟に関する多国間作業部会は3日の会合で(1)中国の加盟条件などを盛り込んだ部会報告書や加盟議定書などを9月半ばまでに完成させ、部会の作業を終える(2)11月9-13日に中東のカタールで開く閣僚会議でこれらの合意文書を採択し、加盟を承認する――との日程で一致した。

◎欧州の素材企業、対中投資拡大(2001年6月27日、日本経済新聞)
 欧州の素材メーカーが中国向け投資を加速している。独化学大手バイエルが31億ドル(約3700億円)を投じて化学工場をつくるほか、独鉄鋼大手ティッセン・クルップも上海の製造拠点の生産能力を2倍に増やす。自動車や電機メーカーの進出で、中国が「世界の製造拠点」となり、今後素材需要が急増するとの判断がある。素材関連で欧州各社は対中進出に慎重な日米各社に先行しており、中国での競争力を一段と高めることになる。
 バイエルは2008年までに、中国にプラスチックの中間過程であるポリマーの生産拠点をつくる。同社は2010年までにアジア太平洋地域向けに60億ドルの大型投資をし、このうち中国での生産体制を構築するために全体の半分強を投じる。同社は今春、中国担当の取締役も置き、中国市場の調査から生産・販売戦略の策定に乗り出した。

◎中国、日本製品に特別関税・セーフガードに報復(2001年6月19日、日本経済新聞)
 中国の対外貿易経済協力省は18日深夜、国営の新華社通信を通じて日本製の自動車、携帯・自動車搭載電話、空調機の輸入に対し特別関税を課すことを決定したと発表した。日本が、輸入の急増しているネギなど農産物3品目に対し緊急輸入制限措置(セーフガード)を暫定発動したことに対する報復措置とみられる。日中貿易摩擦は、輸入制限措置を応酬し合う貿易戦争の様相を呈してきた。
 新華社電によると、同省の高燕スポークスマンは特別関税を課す理由について、「日本側は中国の強い反対と申し入れにもかかわらず、中国のいくつかの輸出品目に対して一連の不公正な貿易制限措置と差別待遇を講じ、中国の産業と企業、生産者の利益を著しく害するとともに、二国間の貿易関係の正常な発展にも重大な影響を与えた」と指摘した。税率や課税開始の時期は明らかにしていない。

◎台湾企業、長江三角州に注目(2001年6月12日、人民網日本語版)
台湾からの資金や人材が長江三角州に集まり始めている。業界関係者は、今後の台湾企業による投資は珠江三角州や福建省南部から長江三角州へと広がりをみせると分析している。
長江三角州には江蘇、上海、浙江の3省・直轄市の長江と杭州湾付近の15都市が含まれる。国内では経済が最も発達した地域の一つで、投資環境も整備されている。
台湾でこのほど発表された投資に関するデータによると、1~4月の台湾企業による大陸部への投資額は9.98%増の8億800万ドル。その52.27%が江蘇省への投資だ。
浙江省の関係部門の統計データからも、台湾企業の投資が同省の資金誘致における重要な成長ポイントとなっていることが明らかになっている。同省では今年第1四半期に、台湾からの投資で新設された企業は105社に上っている。うち投資額が1000万ドル以上の企業は8社、契約ベースでの投資額は2億6500万ドルで、それぞれ133%増と145%増となっている。
台湾企業はこれまで低コストな人件費や地価を重視し、多くの資源を消費する産業に投資を行っていたが、現在ではハイテク分野への投資が増え、両岸が各自の強みを発揮して補完し合い、国際市場での競争力を高めることを望むようになっている。
今年1~4月までの台湾企業による大陸部への投資のうち、46%がエレクトロニクス製品製造業へのものであった。台湾企業がこの2年間で、浙江省の寧波や杭州などに新たに投資した半導体企業やPCメーカーは20社あまりで、ほとんどの企業で投資額は1000万ドル以上となっている。
世界の半導体産業で大きな実力を持つ台湾の半導体メーカーも祖国大陸部への投資をはじめている。上海の張江テクノロジーパーク内に16億ドルを投資して設立されたチップ工場は、台湾の半導体メーカーによる大陸部への投資の先がけとなった。
情報によると、江蘇省では台湾からの投資で、(1)労働密集型の伝統産業から資金・技術密集型に転換(2)分散していた加工貿易プロジェクトからハイテクプロジェクトに転換(3)小額のプロジェクトから大規模な産業型プロジェクトに転換、という3つの転換の傾向が見られている。

◎キヤノン、中国最大級の複写機工場(2001年6月4日、日本経済新聞)
 キヤノンはキヤノンアプテックスなど子会社2社と共同で、中国江蘇省の蘇州に中国最大級の複写機工場を建設、来年7月稼働を目指す。第1期工事の総投資額は100億円強。中級クラス以下の複写機の生産を日本から中国に移管し、世界市場向け輸出拠点にする。中国の国内販売権を取得して現地でも販売する。中国ではリコー、富士ゼロックスが生産・販売を始めており、中国を舞台にした大手3社間の競争が激化しそうだ。
 キヤノンが今年9月に全額出資で設立する中国の現地法人が23万平方メートルの敷地を取得、1期工事で延べ床面積7万1000平方メートルの工場を建設する。アプテックス、コピアも全額出資の現法を設立し、この現法が工場を賃借する。キヤノンが毎分30枚程度の複写速度の中級機、コピアが毎分20枚以下の普及機種、アプテックスが給排紙装置など部品を生産する。
 中国工場は2004年時点で3500人前後の従業員を雇用し、月産約2万台で年間2000億円を売り上げ、キヤノングループの複写機販売額の3割を中国で生産する。

◎中国進出外資、全額出資が主流に(2001年4月16日、日刊工業新聞)
 外国企業が中国へ進出する際、中国企業との合弁ではなく、全額出資の会社を設立する傾向が強まってきた。国家工商行政管理局によると、2000年に外国企業が新規登録した全額出資会社は1万1470社に達し、前年比48.6%増となった。意思決定などの面で経営の自由度が高い全額出資企業が主流になっている。
 2000年の外資企業の新規登録社数は全形態で前年比32.1%増の2万727社となった。うち製造業が1万4901社で全体の72%を占めた。出資形態別にみると、最も多かったのが全額出資企業の1万1470社。中国企業との合弁は18%増の7622社、利益の分配比率などをあらかじめ契約で決めておく合作企業は9%増の1630社にとどまった。中国政府は金融や流通などの分野を中心に、外国企業による全額出資に対し厳しい規制をかけてきた。製造業でもハイテク業種では中国企業に技術移転を促すため合弁形態を奨励し、国内販売で優遇するなどの政策を適用してきた。

◎中国で炭鉱爆発54人死傷(2001年4月9日、日本経済新聞)
 8日付の中国夕刊紙、北京晩報によると、中国陜西省銅川市の炭鉱で6日夜、ガス爆発が起き、38人が死亡、16人が負傷した。
 同省の程安東省長らが現地入りし、救助活動を進めている。事故原因などの詳細は伝えられていない。中国では、安全管理のずさんな小規模な炭鉱などで爆発事故が頻発しており、政府は安全管理の徹底を呼び掛けていた。

◎キヤノン、中国・大連でプリンター生産(2001年4月6日、日本経済新聞)
 キヤノンは、今秋に中国・大連(遼寧省)の製造子会社でレーザービームプリンター(LBP)の生産を始める。月間4万台を生産し、全量を日本や欧米に輸出する。LBPは主に企業のオフィスで使うプリンターで、キヤノンは世界市場の約6割を占める最大手。キヤノンは世界のLBPの需要が今後、年1割前後伸びると見て、既にLBPを生産している中国・珠海に続いて大連でも生産する。
大連の製造子会社はLBP用のトナー(インク粉)やトナー容器を製造している。新たに20億円を投入して、LBP製造用の治工具など生産設備をそろえるほか、年内に200人前後を新規に雇用する。レーザー照射装置や光学部品など基幹部品は日本から持ち込む。生産品目は15万円前後の中級機。2年後をメドに当初の月間4万台の生産を8万台に倍増する。LBPの世界市場は年間1200万台前後。キヤノンは自社ブランド販売のほか、米ヒューレット・パッカードに大量にOEM(相手先ブランドによる生産)供給している。

◎中国、45%の富が1%の人口に集中(2001年3月13日、日本経済新聞)
 二つの「40%以上」に注目集まる。中国国営の新華社は12日、北京で開かれている全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で所得分配の不平等を示す二つの数値が委員らの注目を集めていると報じた。一つは中国の富の45%が全人口の1%に集中しているという数値。新華社は、国際的にはこの数値が60%を超えると社会動乱を引き起こす危険な状態になるとし、45%という水準は「貧富の差の拡大は警戒ラインを超えている」と指摘した。
 もう一つは昨年の個人所得税収全体に占めるサラリーマン層の比率が43%になったという統計。課税が難しい個人事業者などの比率が低すぎ、サラリーマン層を中心に税への不公平感が強まっているとしながら、いびつな所得分配は「民衆の心を蝕み、百害あって一利なし」としている。(北京=藤賀三雄)

◎腐敗対策に人民代表「ノー」、中国全人代(2001年3月6日、朝日新聞)
 15日閉幕した中国全国人民代表大会(国会)で、検察と裁判所に対する人民代表たちの強い不満が示され、中国が抱える腐敗問題の深刻さを浮かび上がらせた。当局の自浄能力に「ノー」を突きつけたもので、党はより厳しく腐敗問題に取り組まざるをえない。党高級幹部の関係者たちの腐敗関与もささやかれるなか、党は難しい立場に追い込まれた。
 この日は2789人の人民代表が出席。10時5ヵ年計画案には、97.7%が賛成、反対・棄権は合わせてわずか2.3%だった。だが、「この1年間の任務に努力し、経済発展に貢献した」とする最高人民検察院(最高検)の活動報告に対しては、584人が反対に回り、332人が棄権した。合わせて32.8%になる。同様に1年間努力したとする最高人民法院(最高裁)活動報告でも、30.0%が反対・棄権に回った。
 もともと人民代表には党や中央、地方政府の幹部ら「内輪」が多いだけに、深刻な数字といえる。
 各紙によると、全人代期間中、人民代表たちは党の腐敗対策に様々な注文をつけた。河南省代表は「この数年、社会の誘惑はますます増え、道徳水準は下がった。一部の幹部は、外見は共産党員だが中身は変質している」。人民解放軍代表は「(党が説いているように)徳で国を治めるなら、まず、官吏に徳がなければならない」などと訴えた。
 全人代常務委員会は監督機能を高めるために、「監督法」の近い時期の制定をめざしており、成思危・副委員長は14日、河北代表団に「監督のない権力は腐敗する。権力のない監督は形式に流れる」として、監督法の必要性を訴えた。李鵬常務委員長も、閉幕演説で、全人代が監督機能を発揮しなければならないこと、地方の全人代との連携などを訴えた。

◎大日本インキ、アジアの生産再編-中国に新工場(2001年2月27日、日刊工業新聞)
 大日本インキ化学工業はアジア・太平洋地域における印刷インキ事業の生産再編に乗りだす。99年末に子会社化した英コーツ社の同地域での拠点と品目調整を進め、約1万トン程度の増産余力を確保するほか、中国・深センに新聞インキ工場を新設する。生産体制の増強と、品目の最適化を推進することで、アジア・太平洋地域(日本を除く)で現在のシェア23%を5年後に35%に引き上げ、独走態勢を目指す。
 大日本インキはアジア・太平洋地域の生産設備を持つ自社9拠点と、英コーツ社13拠点との間で生産最適化を進める。

◎川重、米KBRと組み中国で肥料プラント受注(2001年2月26日、日本経済新聞)
 川崎重工業は米エンジニアリング大手のケロッグ・ブラウン・アンド・ルート(KBR)と共同で、中国海洋石油総公司(北京市)から肥料プラントを受注した。同国海南省で計画中のプラントで、受注金額は約170億円。肥料プラントとしては世界最大級となる。食糧需給のひっ迫が予想される中国や中東諸国では化学肥料の需要が増える見通しで、両社は今後も協力してプラントの受注獲得を目指す。
 受注したのは、海南省東方市の工業地区で計画中のプラント。沖合のトンキン湾で産出される天然ガスを原料に、化学肥料である尿素を1日に2700トン生産できるプラントの建設を請け負う。川重が資材調達や工事監理、KBRが基本設計を担当し、2003年末に引き渡す。川重とKBRはナイジェリアやイランで肥料プラントを手がけた実績があり、今回が四件目の共同受注となる。両社は食糧の増産ニーズを背景にプラント需要が伸びると見ており、当面は年間1件ペースでの受注を狙う。